JP2021044674A - Rfidタグ、rfidタグ内蔵タイヤ、およびrfidタグの共振周波数を調整する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2に記載の発明では、第2のアンテナが共振回路を構成していないため、アンテナの共振周波数の調整が困難であった。
本発明の第2の目的は、長さを変更することなく共振周波数を容易に調整することのできる線形アンテナを備えたRFIDタグを提供することである。
本発明の第3の目的は、RFIDタグのアンテナの共振周波数を通信周波数と一致するように調整する、自動調整方法を提供することである。
一局面に従うRFIDタグは、導波器と、折り返し放射器と、アンテナ内蔵タグと、を含み、折り返し放射器とアンテナ内蔵タグとは同一のプリント基板に配設され、折り返し放射器は開放部を有する1ターン未満のコイルと同調半固定コンデンサとを備え、1ターン未満のコイルと同調半固定コンデンサとは共振回路を構成し、導波器は、1ターン未満のコイルの一方の開放部の端部に一端が接続された略直線状の導体であって、1ターン未満のコイルとアンテナ内蔵タグのアンテナとが電磁界結合されている。
これに対して、一局面に従うRFIDタグの場合、折り返し放射器が共振回路を構成しているため、導波器の物理的な長さの変動による実効電気長の変動、および/または、導波器の周囲の物質の比誘電率の変化に伴う電波の波長の変動による実効電気長の変動に対して、RFIDタグのアンテナの共振周波数の変動が少ない。
第2の発明にかかるRFIDタグは、一局面に従うRFIDタグにおいて、ゴム製品に埋め込んで使用されてもよい。
これに対して、本発明のRFIDタグでは、共振周波数付近で折り返し放射器が低インピーダンスになることにより、カーボンブラックによるインピーダンスの影響を受けることなく、折り返し部分で発生した磁界を効率よくアンテナ内蔵タグに伝導することができる。
また、折り返し放射器が共振回路を構成していることにより、アンテナの実効電気長が変化しても、RFIDタグのアンテナの共振周波数の変動が少ない。
第3の発明にかかるRFIDタグは、一局面または第2の発明にかかるRFIDタグにおいて、1ターン未満のコイルの折り返し部分から導波器の他端までの実効電気長は、通信周波数の電波の波長をλとして、λ/4、λ/2、3λ/4、または5λ/8であってもよい。
第4の発明にかかるRFIDタグは、一局面から第3の発明にかかるRFIDタグにおいて、導波器は導体の網線(編線を含む、以下同様)で形成されていてもよい。
第5の発明にかかるRFIDタグは、一局面から第4の発明にかかるRFIDタグにおいて、プリント基板は多層プリント基板であって、折り返し放射器は多層プリント基板の中間層に配置されていてもよい。
第6の発明にかかるRFIDタグは、一局面から第5の発明にかかるRFIDタグにおいて、1ターン未満のコイルの巻回軸上にアンテナ内蔵タグのアンテナの中心が位置するように配置されていてもよい。
第7の発明にかかるRFIDタグは、一局面から第6の発明にかかるRFIDタグにおいて、プリント基板の長手方向の長さが1mm以上16mm以下であってもよい。
第8の発明にかかるRFIDタグは、一局面から第7の発明にかかるRFIDタグにおいて、導波器の長さは40mm以上200mm以下であってもよい。
第9の発明にかかるRFIDタグは、一局面から第8の発明にかかるRFIDタグにおいて、プリント基板の比誘電率が4以上5以下であってもよい。
第10の発明にかかるRFIDタグは、一局面から第9の発明にかかるRFIDタグにおいて、さらに、メアンダパターンの導波素子がプリント基板に配設され、導波素子は1ターン未満のコイルの他方の開放部の端部に接続されていてもよい。
第11の発明にかかるRFIDタグは、第10の発明にかかるRFIDタグにおいて、導波素子の実効電気長をλ/4としてもよい。
第12の発明にかかるRFIDタグは、一局面から第9の発明にかかるRFIDタグにおいて、さらに、直方体形状の抵抗体がプリント基板に配設され、1ターン未満のコイルの他方の開放部の端部に抵抗体の長手方向の一方の端部が接続されていてもよい。
第13の発明にかかるRFIDタグは、第12の発明にかかるRFIDタグにおいて、抵抗体の長手方向の一方の端部と他方の端部との間の抵抗値は1kΩ以上30kΩ以下であってもよい。
第14の発明にかかるRFIDタグは、第12の発明または第13の発明にかかるRFIDタグにおいて、抵抗体の長手方向の長さは2mm以上10mm以下であってもよい。
第15の発明にかかるRFIDタグは、一局面から第14の発明にかかるRFIDタグにおいて、同調半固定コンデンサはプリント基板に配設され、同調半固定コンデンサの一方および/または他方の電極にスリット孔を有し、スリット孔の大きさが増加すると同調半固定コンデンサの容量値が減少するようにしてもよい。
第16の発明にかかるRFIDタグは、第15の発明にかかるRFIDタグにおいて、折り返し放射器の共振周波数がRFIDタグの通信周波数に一致するように調整してもよい。
他の局面にかかるRFIDタグの共振周波数を調整する方法は、発振器、RFIDタグの通信周波数と同一の共振周波数を有する測定用アンテナ、反射レベルサーチ回路、およびレーザ照射器を備えて、第16の発明にかかるRFIDタグの共振周波数を調整する方法であって、RFIDタグを測定用アンテナの近傍に配置するステップ、発振器がRFIDタグの通信周波数に相当する正弦波信号を出力するステップ、測定用アンテナが発振器の出力をRFIDタグに送信するステップ、レーザ照射器がレーザを放射し、スリット孔の大きさを大きくして同調半固定コンデンサの容量値を減少させるステップ、および反射レベルサーチ回路が発振器の出力をモニターし、発振器の出力が所定のレベルまで増加するとレーザ照射器のレーザ照射を停止するステップ、を含むものである。
本発明の調整方法は、測定用アンテナとRFIDタグのアンテナ(導波器および折り返し放射器)との間で反射作用が生じ、測定用アンテナの共振周波数とRFIDタグのアンテナの共振周波数が一致したときに、測定用アンテナの共振周波数における発振器の出力信号が最も大きくなることを利用している。
そして、反射レベルサーチ回路が発振器の出力をモニターし、発振器の出力が所定のレベルまで増加するとレーザ照射器のレーザ照射を停止することにより、自動的に、測定用アンテナの共振周波数とRFIDタグのアンテナの共振周波数とが一致するように同調半固定コンデンサの容量値を調整することができる。
第18の発明にかかるRFIDタグの共振周波数を調整する方法は、他の局面にかかるRFIDタグの共振周波数を調整する方法において、レーザ照射を停止するステップは、発振器の出力が所定のレベルまで増加することに加えて、発振器の出力を所定時間間隔でモニターし、発振器の出力の時間差分が零または負になることをレーザ照射器のレーザ照射を停止する条件としてもよい。
第19の発明にかかるRFIDタグの共振周波数を調整する方法は、第17の発明または第18の発明にかかるRFIDタグの共振周波数を調整する方法において、RFIDタグを測定用アンテナの近傍に配置するステップは、RFIDタグの導波器を所定の比誘電率を有するゴム製品で挟み込んだ状態で、RFIDタグを測定用アンテナの近傍に配置してもよい。
さらに他の局面にかかるRFIDタグ内蔵タイヤは、一局面から第16の発明にかかるRFIDタグを埋め込んだRFIDタグ内蔵タイヤである。
第21の発明にかかるRFIDタグ内蔵タイヤは、第20の発明にかかるRFIDタグ内蔵タイヤにおいて、タイヤのサイドウォールにRFIDタグを埋め込んでもよい。
第22の発明にかかるRFIDタグ内蔵タイヤは、第21の発明にかかるRFIDタグ内蔵タイヤにおいて、RFIDタグをタイヤの回転軸を中心として放射状方向に沿って埋め込んでもよい。
第23の発明にかかるRFIDタグ内蔵タイヤは、第20から第22の発明にかかるRFIDタグ内蔵タイヤにおいて、RFIDタグ内蔵タイヤが加硫タイヤであってもよい。
図1は、RFIDタグ22の模式的斜視図であり、図2はRFIDタグ22の多層プリント基板を分解した態様での模式的斜視図であり、図3はRFIDタグ22の動作を説明する模式図であり、図4はRFIDタグ22の等価回路図である。
第1の実施形態では、折り返し放射器10の1ターン未満のコイル12は3層のプリント基板21の中間層21bの上面に、メッキ、印刷、エッチング、蒸着等の手法によって形成される。同調半固定コンデンサ14は、3層のプリント基板21の中間層21bの上面の1ターン未満のコイル12の一方の開放部12aと、3層のプリント基板21の下層21cの上面の同調半固定コンデンサ電極14aとの対向する部分に形成される。同調半固定コンデンサ14の厚さと比誘電率とは、中間層21bの厚さと比誘電率とに相当する。同調半固定コンデンサ電極14aはスルーホール20を介して1ターン未満のコイル12の他方の開放部12bに接続される。
したがって、同調半固定コンデンサ14は1ターン未満のコイル12の一方の開放部12aと他方の開放部12bとの間に接続され、1ターン未満のコイル12と同調半固定コンデンサ14とはLC共振回路を構成する。そして、LC共振回路の共振周波数はRFIDタグ22の通信周波数に一致する。本実施形態では比誘電率4.6のプリント基板21を使用している。小さな面積で必要な最大容量値を備えた同調半固定コンデンサ14を形成するためにはプリント基板21の比誘電率は高い方が望ましく、比誘電率4以上5以下のプリント基板21を使用することができる。
また、第1の実施形態では、プリント基板21として多層プリント基板を使用し、折り返し放射器10を多層プリント基板の中間層21bに配設し、ゴム製品と折り返し放射器10が直接接触しないようにすることにより、さらにインピーダンスを安定に保っている。ただし、単層両面プリント基板を用いて、上面に1ターン未満のコイル12を、上面と下面との間に同調半固定コンデンサ14を形成することも可能である。
折り返し放射器10の折り返し部分から導波器13の他端までの実効電気長(図3参照)は、通信周波数の波長をλとして、λ/4、λ/2、3λ/4、または5λ/8であることが望ましい。これは、実効電気長を上記の値に設定した場合に、RFIDタグ22がより長い通信距離を確保することができるからである。
なお、本実施形態では、直方体形状のプリント基板21の長手方向の長さ(折り返し放射器10の長手方向の長さに相当)は約15mm、導波器13の長さは約135mmであり、アンテナの全長L(導波器13の長さと折り返し放射器10の長さの合計)は約150mmである。RFIDタグ22をタイヤなどのゴム製品に埋め込んで使用する場合にはゴム製品の比誘電率により電波の波長λが短くなるため、最適な導波器13の長さ、およびアンテナの全長Lはより短くすることができる。
なお、プリント基板21の長手方向の長さとしては、1mm以上16mm以下とすることができる。プリント基板21の長さを16mm以下とすることにより、タイヤなどのゴム製品に埋め込んだ場合に、タイヤ成形時等の加圧による折り返し放射器10の破損を防止することができる。
また、導波器13の長さとしては40mm以上200mm以下とすることができる。導波器13の長さを40mm未満とした場合にはRFIDタグ22の通信距離の確保が困難になり、また、導波器13の長さが200mmを超えた場合にはRFIDタグ22をタイヤに埋め込むことが困難になる。
また、別の方法として、多層プリント基板21a、21b、21cのうち、多層プリント基板21aのみにスリット孔14bを設けるとともに、スリット孔14bに当接する1ターン未満のコイル12の開放部12aに突起部分を設ける。そして、レーザ照射などの方法でスリット孔14bに当接する開放部12aの突起部分の金属箔を切除することによっても、同調半固定コンデンサ14の容量値を減少させることができる。
図5は、RFIDタグ22に用いられるアンテナ内蔵タグ11を分解した態様での模式的斜視図の一例である。また、図6は、RFIDタグ22に用いられるアンテナ内蔵タグ11の模式的等価回路図の一例である。
アンテナ内蔵タグ11は、多層アンテナAとICモジュールBとで構成されている。多層アンテナAは3層の基板A5、A6、A7を含み、基板A5にはICモジュールBとの接続端子A1、A2が配設されている。また、基板A6と基板A7とはそれぞれ、コイルA3とコイルA4とが配設されている。基板A5,A6,A7の間はそれぞれスルーホールで接続され、接続端子A1はコイルA3の一端に接続され、コイルA3の他端はコイルA4の一端に接続され、コイルA4の他端は接続端子A2に接続されている。コイルA3の巻回軸とコイルA4の巻回軸とは一致していることが望ましい。アンテナ内蔵タグ11の等価回路は図6に示す構成である。
なお、図5および図6に記載のアンテナ内蔵タグ11は、2つのコイルA3とA4とを積層して形成した多層アンテナを備えているが、コイルは単層でもよく、また、ループアンテナ、メアンダアンテナなどであっても、1ターン未満のコイル12と磁界の方向とが一致していれば使用可能である。
第1の実施形態のアンテナ内蔵タグ11、折り返し放射器10、および導波器13を備えたRFIDタグ22の原理モデルをMOM法(Method of Moments)を用いて検証した。
図7に検証したRFIDタグ22の構成を示す。図7(a)はRFIDタグ22の全体図、図7(b)は折り返し放射器10およびアンテナ内蔵タグ11の詳細図である。図7(b)において、アンテナ内蔵タグ11は信号源11aおよび約2ターンのコイルからなるアンテナ11bから構成されており、アンテナ11bと1ターン未満のコイル12とは電磁界結合している。アンテナ内蔵タグ11は外周4mm×4mmであり、折り返し放射器10の1ターン未満のコイル12は外形4mm×16mmで、開放部(上側)の端部に同調半固定コンデンサ14を接続している。1ターン未満のコイル12の開放部にはさらにカーボンブラックの抵抗に相当するカーボンブラック等価抵抗10aが接続されている。アンテナ内蔵タグ11のアンテナ11bと1ターン未満のコイル12とはX方向において、1mm離れて平行に配置されている。アンテナの全長L(導波器13の長さと折り返し放射器10の長さの合計)は152mmであり、これをλ/2とする周波数は986MHzである。
また、比較例として、通常のダイポールアンテナの長さに対する共振周波数および反射損失の最小値の変化と、折り返し放射器10の端部を信号源11aで直接駆動した場合のアンテナの全長Lに対する共振周波数および反射損失の最小値の変化をシミュレーションで確認した。給電点のインピーダンスは50Ωとしているが、折り返し放射器10を信号源11aで直接駆動した場合は信号源11aのインピーダンスを1kΩとしている。
なお、以下のシミュレーションでは、RFIDタグ22はゴム製品には埋め込まれていない。
図8に同調半固定コンデンサ14が3.9pFでアンテナの全長Lが152mmの場合の反射損失の周波数特性を示した。この場合、875MHzで反射損失最小となり、その値は−22.7dBである。
図9に同調半固定コンデンサ14の容量値を変化させた場合の共振周波数および反射損失最小値の容量値依存性を示した。なお、このときのアンテナの全長L(導波器13の長さと折り返し放射器10の長さの合計)は152mmである。図9からわかるように、容量値を変化させることで共振周波数を調整することができる。また、反射損失最小値は共振周波数860MHz付近で最小となるが、約800MHzから930MHzの広い範囲で反射損失−10dB以下となる。したがって、同調半固定コンデンサ14の容量値を調整することにより、RFIDタグ22の共振周波数を調整することができる。
図10に同調半固定コンデンサ14の容量値3.9pFにおいて、さらにカーボンブラックの等価抵抗10kΩを追加した場合の反射損失の周波数特性を示した。カーボンブラックの等価抵抗10kΩの無い図8と比較すると、共振周波数は同一で、反射損失最小値はむしろ小さくなっていることがわかる。したがって、本発明のRFIDタグ22は折り返し放射器10がカーボンブラックを含むゴム製品に埋め込まれた場合にも反射損失の周波数特性に対する影響は少ない。
図11に、同調半固定コンデンサ14の容量値3.9pFでの、共振周波数および反射損失最小値のアンテナの全長L(導波器13の長さと折り返し放射器10の長さの合計)に対する依存性を示す。共振周波数は865MHz以上880MHz以下の範囲に収まっており、アンテナの全長Lに対する依存性は少ない。反射損失は138mmから160mmの範囲で−10dB以下となっており、図9と図11の結果より、以下のことがわかる。アンテナの共振周波数は同調半固定コンデンサ14の容量値で決まり、アンテナの全長Lの変化に対しては、共振周波数の変化は少なく、アンテナの全長Lの変化が±8%程度の範囲であれば反射損失も許容範囲(−10dB以下)に入っている。
図12に、通常のダイポールアンテナの、共振周波数および反射損失最小値の、アンテナの長さに対する依存性を示した。通常のダイポールアンテナでは、共振周波数は、ほぼアンテナの長さの逆数に比例しており、アンテナの全長Lが152mmを中心として±8%程度変化した場合、共振周波数は860MHz以上980MHz以下の範囲で変化する。
図13に折り返し放射器10の端部を信号源11aで直接駆動した場合の共振周波数と反射損失最小値とのアンテナの全長Lに対する依存性を示した。また、図14にはシミュレーションに用いた折り返し放射器10および信号源11aの構成を示した。同調半固定コンデンサ14の容量値は3.9pF、折り返し放射器10の1ターン未満のコイル12は外形4mm×16mmである。なお、この構成の場合、給電点のインピーダンスが50Ωでは反射損失が−1dB程度と大きいため、このシミュレーションに限って、信号源11aのインピーダンスを1kΩに設定している。折り返し放射器10の端部を直接駆動した場合、同調半固定コンデンサ14が接続されていても、通常のダイポールアンテナと同様に、共振周波数はほぼアンテナの長さの逆数に比例して変化する。
アンテナ内蔵タグ11、折り返し放射器10、および導波器13で構成される本発明のRFIDタグ22では、RFIDタグ22の共振周波数(反射損失が最小となる周波数)は折り返し放射器10の同調半固定コンデンサ14の容量値で決まる。アンテナの全長Lの変化に対しては、共振周波数の変化は少なく、アンテナの全長Lの変化が±8%程度の範囲であれば反射損失も許容範囲(−10dB以下)に入る。
したがって、RFIDタグ22が自動車タイヤなどのゴム製品に埋め込んで使用された場合、ゴム製品の比誘電率の変化等によりアンテナの実効電気長が変化した場合にも、共振周波数または反射損失の変化は少ない。
また、折り返し放射器10の両端に10kΩの抵抗を追加した場合にも共振周波数または反射損失の変化が少ないことから、RFIDタグ22をカーボンブラックを含むゴム製品の中に埋め込んで使用した場合にも特性の変化は少ないと考えられる。
また、第2の比較例としてシミュレーションした、折り返し放射器10の端部を直接駆動したRFIDタグ22についても共振周波数がアンテナの長さの逆数に比例している。したがって、アンテナの長さを変化させたときの、RFIDタグ22の共振周波数の変化を小さくするためには、折り返し放射器10とアンテナ内蔵タグ11のアンテナ11bとが電磁界結合されることが必要である。
なお、アンテナの全長L(導波器13の長さと折り返し放射器10の長さの合計)152mmの場合、共振周波数が870MHz付近において反射損失が最小になる。また、ダイポールアンテナでは共振周波数が870MHzとなるのは約155mmである。このことから、本発明の場合、アンテナの全長Lは導波器13の長さ(136mm)ではなく、導波器13の長さと折り返し放射器10の長さの合計であること、すなわち、折り返し放射器10もアンテナの一部として機能していることが確認された。
図15は第2の実施形態のRFIDタグ22の模式的上面図である。図15において、折り返し放射器10はプリント基板21に配設され、1ターン未満のコイル12はプリント基板21の上面に形成されている。また、同調半固定コンデンサ14の一方の電極はプリント基板21の上面に、他方の電極はプリント基板21の下面に形成され、他方の電極はスルーホール20を介して、1ターン未満のコイル12の他方の開放部の端部に接続されている。第2の実施形態のRFIDタグ22では、1ターン未満のコイル12の一方の開放部の端部に導波器13が接続されているが、さらに、他方の開放部の端部にメアンダパターンの導波素子13aが接続されている。導波素子13aはプリント基板21の上面に配設されている。導波器13の実効電気長および導波素子13aの実効電気長はともに、通信周波数の波長をλとして、λ/4であることが望ましいが、これに限定されない。
本実施形態ではプリント基板21は一層の両面基板となっているが、これを第1の実施形態同様、多層プリント基板21a、21b、21cとすることもできる。
第2の実施形態のRFIDタグ22では、導波器13の実効電気長をλ/4、導波素子13aの実効電気長をλ/4とすることにより、全長λ/2のダイポールアンテナを備えたRFIDタグと実質的に同一の特性を備えたRFIDタグ22を構成することができる。
図16は第3の実施形態のRFIDタグ22の模式的上面図である。
図16において、折り返し放射器10は、プリント基板21に配設され、1ターン未満のコイル12はプリント基板21の上面に形成されている。同調半固定コンデンサ14の一方の電極はプリント基板21の上面に、他方の電極はプリント基板21の下面に形成され、他方の電極はスルーホール20を介して、1ターン未満のコイル12の他方の開放部の端部に接続されている。
第3の実施形態のRFIDタグ22では、1ターン未満のコイル12の一方の開放部の端部に導波器13が接続されているが、さらに、他方の開放部の端部に直方体形状の抵抗体13bが接続されている。抵抗体13bはプリント基板21の上面に配設されている。
抵抗体13bは、例えばカーボンレジン系抵抗インクを印刷焼成することにより形成することができる。第3の実施形態のRFIDタグ22をタイヤなどのゴム製品に埋め込んで使用する場合、抵抗体13bはゴム製品に直接接触することが望ましい。
第3の実施形態の場合、抵抗体13bの抵抗値は約5kΩであるが、タイヤのカーボンブラックの含有量に合わせて、1kΩ以上30kΩ以下とすることができる。また、抵抗体13bの長手方向の長さは約5mmであるが、2mm以上10mm以下とすることができる。抵抗体13bの長さが2mm未満の場合、抵抗体13bとカーボンブラックの結合が十分でなく、また、抵抗体13bの長さが10mmを超えた場合は、プリント基板21の長手方向の長さが長くなり、タイヤ成形時等の加圧による折り返し放射器10の破損のリスクが高まる。
この結果、折り返し放射器10および抵抗体13bを配設するプリント基板21の長手方向の長さを第2の実施形態よりさらに短縮することができる。
図17は、第4の実施形態のRFIDタグ22の折り返し放射器10の共振周波数を調整する方法を実現する自動調整装置36の構成を示す図である。また、図18は、測定用アンテナ23単体の写真(図18(a))、および測定用アンテナ23単体の場合の発振器28の出力の周波数特性を示す図(図18(b))である。図19は測定用アンテナ23の上にRFIDタグ22を配置した写真(図19(a))、および測定用アンテナ23の近傍にRFIDタグ22を配置した場合の発振器28の出力の周波数特性を示す図(図19(b)、(c))である。図20は自動調整装置36の反射レベルサーチ回路29に含まれる検波回路31の構成および動作を示す図である。
一方、RFIDタグ22の共振周波数25が測定用アンテナ23の共振周波数24より小さい場合には、共振周波数24の近傍において発振器28の出力にピークが生じる。しかし、このピークのレベルは、図19(b)に示すように、図19(c)の、測定用アンテナ23の共振周波数24とRFIDタグ22の折り返し放射器10の共振周波数25が同じ場合に比べて小さい。
したがって、測定用アンテナ23の共振周波数24における発振器28の出力をモニターし、共振周波数24における発振器28の出力が最大となるように同調半固定コンデンサ14の容量値を調整することで、RFIDタグ22の折り返し放射器10の共振周波数25を測定用アンテナ23の共振周波数24に合わせることができる。
a)RFIDタグ22を、RFIDタグ22の通信周波数と同一の共振周波数24を備えた測定用アンテナ23の近傍に配置する。
b)発振器28からRFIDタグ22の通信周波数に相当する正弦波信号を出力する。
c)発振器28の出力を測定用アンテナ23からRFIDタグ22に送信する。
d)レーザ照射器30からレーザ照射ヘッド27を介してレーザを放射して同調半固定コンデンサ14のスリット孔14b、14c、14dの大きさを大きくし、容量値を減少させる。
e)反射レベルサーチ回路29が発振器28の出力をモニターし、発振器28の出力が所定のレベルまで増加した時点でレーザ照射器30のレーザ照射を停止する。
上記a)からe)のステップにより、RFIDタグ22の折り返し放射器10の共振周波数25を測定用アンテナ23の共振周波数24と等しくなるように調整することができる。
図20(a)に示すように、振幅が時間とともに増加する高周波信号を、図20(b)に示す検波回路31へ入力した場合、検波回路31によりDC電圧に変換され、検波回路31の出力端子33からは、図20(c)に示す、DC電圧が増加する信号が出力される。反射レベルサーチ回路29は、検波回路31の出力端子33の電圧と、所定の基準電圧とを比較し、出力端子33の電圧が所定の基準電圧より大きい場合にレーザ照射器30にレーザ照射停止信号を送るように構成することができる。
図21は第5の実施形態におけるRFIDタグ22を内蔵したRFIDタグ内蔵タイヤ46の模式的断面図である。
図21において、RFIDタグ22を内蔵したRFIDタグ内蔵タイヤ46は、ホイールリム40、ビードワイヤ41、カーカス42、サイドウォール43、ブレーカーコード44、およびトレッド45を含む。
これは、以下の理由によるものである。
まず、加速または減速におけるタイヤの変形による損傷が少なくRFIDタグ22のRFIDタグ内蔵タイヤ46からの剥離を防止できること、
次に、RFIDタグリーダライタを自動車に近づけた場合、RFIDタグ22をサイドウォール43に埋め込むことでリーダライタとの間の距離を短くできること、
第3に、RFIDタグ22とリーダライタとの間に障害となるものが少ないこと、である。
RFIDタグ22は、インナーライナーとサイドウォール43の本体との間に配置することができる。RFIDタグ22は、インナーライナーと本体プライとの間に挟まれてもよい。RFIDタグ22は、本体プライとビードフィラーとの間に挟まれてもよい。RFIDタグ22は、2つの本体プライの間に挟まれてもよい。RFIDタグ22は、ビードフィラーとサイドウォールゴムとの間に挟まれてもよい。
RFIDタグ22をタイヤに埋め込む際は、直接タイヤ素材に固定してもよく、あるいはRFIDタグ22を硬化性接着剤に封入した状態でタイヤに埋め込んでもよい。硬化性接着剤としては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムのうちの少なくとも1つが挙げられる。RFIDタグ22をタイヤ内面に貼り付ける場合は、硬化性接着剤を用いてタイヤ内面に貼り付けてもよい。
なお、上記ではゴム製品としてタイヤについて説明した。しかし、ゴム製品としてタイヤ以外に、例えば、建築物の耐震用に用いられる耐震ゴムに埋め込まれるRFIDタグ、あるいはエンジンのホースなどに用いられる耐熱ゴムに埋め込まれるRFIDタグ等にも本発明を適用することができる。
11 アンテナ内蔵タグ
12 1ターン未満のコイル
12a、12b 1ターン未満のコイルの開放部
13 導波器
13a メアンダパターンの導波素子
13b 抵抗体
14 同調半固定コンデンサ
14a 同調半固定コンデンサ電極
14b、14c、14d スリット孔
21 プリント基板
21a、21b、21c 多層プリント基板
22 RFIDタグ
23 測定用アンテナ
28 発振器
29 反射レベルサーチ回路
30 レーザ照射器
46 RFIDタグ内蔵タイヤ
43 サイドウォール
Claims (23)
- 導波器と、
折り返し放射器と、
アンテナ内蔵タグと、を含み、
前記折り返し放射器と前記アンテナ内蔵タグとは同一のプリント基板に配設され、
前記折り返し放射器は開放部を有する1ターン未満のコイルと同調半固定コンデンサとを備え、前記1ターン未満のコイルと前記同調半固定コンデンサとは共振回路を構成し、
前記導波器は、前記1ターン未満のコイルの一方の開放部の端部に一端が接続された略直線状の導体であって、
前記1ターン未満のコイルと前記アンテナ内蔵タグのアンテナとが電磁界結合される、RFIDタグ。 - ゴム製品に埋め込んで使用される、請求項1に記載のRFIDタグ。
- 前記1ターン未満のコイルの折り返し部分から前記導波器の他端までの実効電気長は、通信周波数の電波の波長をλとして、λ/4、λ/2、3λ/4、または5λ/8である、請求項1または2に記載のRFIDタグ。
- 前記導波器は導体の網線で形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
- 前記プリント基板は多層プリント基板であって、前記折り返し放射器は前記多層プリント基板の中間層に配置されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
- 前記1ターン未満のコイルの巻回軸上に前記アンテナ内蔵タグのアンテナの中心が位置するように配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
- 前記プリント基板は長手方向の長さが1mm以上16mm以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
- 前記導波器は長さが40mm以上200mm以下である、請求項1から7のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
- 前記プリント基板は比誘電率が4以上5以下である、請求項1から8のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
- さらに、メアンダパターンの導波素子が前記プリント基板に配設され、前記導波素子は前記1ターン未満のコイルの他方の開放部の端部に接続された、請求項1から9のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
- 前記導波素子の実効電気長はλ/4である、請求項10に記載のRFIDタグ。
- さらに、直方体形状の抵抗体が前記プリント基板に配設され、前記1ターン未満のコイルの他方の開放部の端部に前記抵抗体の長手方向の一方の端部が接続された、請求項1から9のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
- 前記抵抗体の長手方向の一方の端部と他方の端部との間の抵抗値は1kΩ以上30kΩ以下である、請求項12に記載のRFIDタグ。
- 前記抵抗体の長手方向の長さは2mm以上10mm以下である、請求項12または13に記載のRFIDタグ。
- 前記同調半固定コンデンサは前記プリント基板に配設され、前記同調半固定コンデンサの一方および/または他方の電極にスリット孔を有し、前記スリット孔の大きさが増加すると前記同調半固定コンデンサの容量値が減少する、請求項1から14のいずれか1項に記載のRFIDタグ。
- 前記折り返し放射器の共振周波数は前記RFIDタグの通信周波数に一致する、請求項15に記載のRFIDタグ。
- 発振器、RFIDタグの通信周波数と同一の共振周波数を有する測定用アンテナ、反射レベルサーチ回路、およびレーザ照射器を備えて、請求項16に記載のRFIDタグの共振周波数を調整する方法であって、
前記RFIDタグを前記測定用アンテナの近傍に配置するステップ、
前記発振器が前記RFIDタグの通信周波数に相当する正弦波信号を出力するステップ、
前記測定用アンテナが前記発振器の出力を前記RFIDタグに送信するステップ、
前記レーザ照射器がレーザを放射し、前記スリット孔の大きさを大きくして前記同調半固定コンデンサの容量値を減少させるステップ、および
前記反射レベルサーチ回路が前記発振器の出力をモニターし、前記発振器の出力が所定のレベルまで増加すると前記レーザ照射器のレーザ照射を停止するステップ、を含むRFIDタグの共振周波数を調整する方法。 - 前記レーザ照射を停止するステップは、前記発振器の出力が所定のレベルまで増加することに加えて、前記発振器の出力を所定時間間隔でモニターし、前記発振器の出力の時間差分が零または負になることを前記レーザ照射器のレーザ照射を停止する条件とする、請求項17に記載のRFIDタグの共振周波数を調整する方法。
- 前記RFIDタグを前記測定用アンテナの近傍に配置するステップは、前記RFIDタグの前記導波器を所定の比誘電率を有するゴム製品で挟み込んだ状態で、前記RFIDタグを前記測定用アンテナの近傍に配置する、請求項17または18に記載のRFIDタグの共振周波数を調整する方法。
- 請求項1から16のいずれか1項に記載のRFIDタグを埋め込んだRFIDタグ内蔵タイヤ。
- タイヤのサイドウォールに前記RFIDタグを埋め込んだ、請求項20に記載のRFIDタグ内蔵タイヤ。
- 前記RFIDタグを前記タイヤの回転軸を中心として放射状方向に沿って埋め込んだ、請求項21に記載のRFIDタグ内蔵タイヤ。
- 前記RFIDタグ内蔵タイヤが加硫タイヤである、請求項20から22のいずれか1項に記載のRFIDタグ内蔵タイヤ。
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WO2023276184A1 (ja) * | 2021-06-30 | 2023-01-05 | 株式会社ブリヂストン | タイヤ、リトレッドタイヤ、及びリトレッドタイヤの製造方法 |
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WO2017130956A1 (ja) * | 2016-01-25 | 2017-08-03 | トッパン・フォームズ株式会社 | Rfidタグ内蔵タイヤ |
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WO2018199007A1 (ja) * | 2017-04-28 | 2018-11-01 | 株式会社村田製作所 | Rfidタグ |
-
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