本発明の好適な実施形態では、情報処理装置は、フレーム毎に取得された、それぞれが基準点からの距離を示す複数の計測点について、第1距離差以内となる他の計測点が存在する計測点に対し、フラグを付与する付与部と、前記フラグが付与された計測点に対し、計測点間の距離差が第2距離差以内となる計測点群毎にグループ分けを行うグループ化部と、グループ毎の計測点の個数に基づき、前記フラグが付与された計測点がノイズであるか否かの判定を前記グループ毎に行う判定部と、を有する。「基準点」は、情報処理装置の位置であってもよく、距離を計測する装置と情報処理装置とが別体である場合には、距離を計測する装置の位置であってもよく、情報処理装置を搭載する移動体の位置であってもよい。
一般に、物体は空間的な広がりを有するため、物体に対する計測点は、近似した距離を示す塊(計測点群)を形成する。そして、ノイズにより生成された計測点の場合には、上記の塊を形成する場合であっても、形成する個数が少ない。以上を勘案し、情報処理装置は、第1距離差以内となる他の計測点が存在する計測点に対し、計測点間の距離差が第2距離差以内となる計測点群毎にグループ分けを行い、グループ毎の計測点の個数に基づき計測点のノイズ判定をグループ毎に行う。これにより、情報処理装置は、ノイズとなる計測点を的確に判定することができる。
上記情報処理装置の一態様では、前記付与部は、前記複数の計測点のうち、前記基準点からの計測方向が近似するいずれかの計測点が示す距離との距離差が前記第1距離以内となる計測点に対し、前記フラグを付与する。この態様により、情報処理装置は、孤立点でない計測点に対してフラグを付与し、グループ化の対象として好適に定めることができる。
上記情報処理装置の他の一態様では、情報処理装置は、前記基準点からの距離又は反射光強度の少なくとも一方が計測される計測点のうち、複数フレーム間での距離の分散又は反射強度が所定値未満となる計測点を、時間的安定点として検出する時間的安定点検出部をさらに有し、前記グループ化部は、前記フラグが付与された計測点及び前記時間的安定点に対し、計測点間の距離差が前記第2距離差以内となる計測点群毎にグループ分けを行う。時間的に安定して計測される計測点である時間的安定点は、実際の物体の距離を示す計測点であると推定される。よって、情報処理装置は、このような時間的安定点を含めてグループ化を行い、グループ毎の計測点の個数に基づき計測点のノイズ判定をグループ毎に行うことで、ノイズとなる計測点をより的確に判定することができる。
上記情報処理装置の他の一態様では、前記付与部は、前記基準点からの距離が計測される計測点のうち、前記時間的安定点と、所定範囲内の距離を示す計測点とを除く複数の計測点について、前記第1距離以内となる他の計測点が存在する計測点に対し、前記フラグを付与する。上述の「所定範囲」は、例えば、正確に計測をすることができない距離の範囲、及び、ノイズが発生しない距離の範囲を指す。情報処理装置は、時間的安定点と、所定範囲内の距離を示す計測点とを除いた計測点に対してフラグを付与することで、ノイズであるか否かが既に判明している計測点を、ノイズであるか否かの判定対象から除外することができる。
上記情報処理装置の他の一態様では、前記時間的安定点検出部は、前記情報処理装置が搭載される移動体の速度に基づき、前記フレーム毎の計測点の対応関係を特定し、対応する計測点毎に前記距離又は反射光強度の少なくとも一方の分散を算出する。この態様により、情報処理装置は、移動中に計測を行う場合であっても、時間的安定点を的確に検出することができる。
上記情報処理装置の他の一態様では、前記グループ化部は、前記基準点からの計測方向が近似し、かつ、距離の差が前記第2距離差以内となる計測点の組み合わせを、同一グループに分類する処理を、前記フラグが付与された各計測点に対して実行する。この態様により、情報処理装置は、計測点間の距離差が第2距離差以内となる計測点群毎に的確にグループ分けを行うことができる。
上記情報処理装置の他の一態様では、情報処理装置は、角度を変えながら射出されるパルス光の各々の射出後に検出される反射光強度が最大となるタイミングに基づき算出される前記基準点からの距離を、前記パルス光の射出方向と対応付けた点群情報を生成する点群情報生成部と、前記判定部が前記ノイズであると判定した計測点に対応する前記射出方向における距離の情報を前記点群情報から除去したノイズ除去点群情報を出力する出力部と、をさらに有する。この態様により、情報処理装置は、計測点毎の距離を示した点群情報から、ノイズにより計測された距離の情報を好適に除去することができる。
上記情報処理装置の他の一態様では、前記グループ化部は、複数の計測装置により夫々計測された複数の計測点について、前記計測装置の各々の位置及び姿勢の情報に基づき、前記計測装置の各々の計測範囲の境界において隣接して存在すると判定される計測点を、同一グループとして前記グループ分けを行う。この態様により、情報処理装置は、複数の計測装置の計測範囲の境界に物体が存在する場合であっても、物体の計測点をノイズと判定することを好適に防ぐことができる。
本発明の他の好適な実施形態では、情報処理装置が実行する制御方法であって、フレーム毎に取得された、それぞれが基準点からの距離を示す複数の計測点について、第1距離差以内となる他の計測点が存在する計測点に対し、フラグを付与する付与工程と、前記フラグが付与された計測点に対し、計測点間の距離差が第2距離差以内となる計測点群毎にグループ分けを行うグループ化工程と、グループ毎の計測点の個数に基づき、前記フラグが付与された計測点がノイズであるか否かの判定を前記グループ毎に行う判定工程と、を有する。情報処理装置は、この制御方法を実行することで、ノイズとなる計測点を的確に判定することができる。
本発明の他の好適な実施形態では、プログラムは、フレーム毎に取得された、それぞれが基準点からの距離を示す複数の計測点について、第1距離差以内となる他の計測点が存在する計測点に対し、フラグを付与する付与部と、前記フラグが付与された計測点に対し、計測点間の距離差が第2距離差以内となる計測点群毎にグループ分けを行うグループ化部と、グループ毎の計測点の個数に基づき、前記フラグが付与された計測点がノイズであるか否かの判定を前記グループ毎に行う判定部としてコンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、ノイズとなる計測点を的確に判定することができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[装置構成]
図1は、本実施例に係るライダ100の概略構成を示す。ライダ100は、例えば、自動運転などの運転支援を行う車両に搭載される。ライダ100は、水平方向および垂直方向の所定の角度範囲に対してレーザ光(「照射光」とも呼ぶ。)を照射し、当該照射光が物体に反射されて戻った光(「反射光」とも呼ぶ。)を受光することで、ライダ100から物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の3次元位置を示す点群情報を生成する。さらに、ライダ100は、点群情報において物体を誤検知することで生成されたデータ(所謂誤警報データ)を好適に除去した点群情報(「ノイズ除去点群情報」とも呼ぶ。)を生成及び出力する。
図1に示すように、ライダ100は、主に、送信部1と、受信部2と、ビームスプリッタ3と、スキャナ5と、ピエゾセンサ6と、制御部7と、メモリ8と、を有する。
送信部1は、パルス状の照射光をビームスプリッタ3に向けて出射する光源である。送信部1は、例えば、赤外線レーザ発光素子を含む。送信部1は、制御部7から供給される駆動信号「S1」に基づき駆動する。
受信部2は、例えばアバランシェフォトダイオード(Avalanche PhotoDiode)であり、受光した光量に対応する検出信号「S2」を生成し、生成した検出信号S2を制御部7へ供給する。
ビームスプリッタ3は、送信部1から射出されるパルス状の照射光を透過する。また、ビームスプリッタ3は、スキャナ5によって反射された反射光を、受信部2に向けて反射する。
スキャナ5は、例えば静電駆動方式のミラー(MEMSミラー)であり、制御部7から供給される駆動信号「S3」に基づき、傾き(即ち光走査の角度)が所定の範囲内で変化する。そして、スキャナ5は、ビームスプリッタ3を透過した照射光をライダ100の外部へ向けて反射すると共に、ライダ100の外部から入射する反射光をビームスプリッタ3へ向けて反射する。また、ライダ100の計測範囲内において照射光が照射される点を「計測点」とも呼ぶ。さらに、物体を誤検知することで生成されたデータに対応する計測点を「ノイズ発生点」と呼び、実在する物体を検知することで生成されたデータに対応する計測点を「有効点」とも呼ぶ。
また、スキャナ5には、ピエゾセンサ6が設けられている。ピエゾセンサ6は、スキャナ5のミラー部を支持するトーションバーの応力により生じる歪みを検出する。ピエゾセンサ6は、生成した検出信号「S4」を、制御部7へ供給する。検出信号S4は、スキャナ5の向きの検出に用いられる。
メモリ8は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの各種のメモリにより構成される。メモリ8は、制御部7が所定の処理を実行するために必要なプログラムを記憶する。また、メモリ8は、制御部7により参照される第1パラメータ群81と、第2パラメータ群82とを記憶している。第1パラメータ群81及び第2パラメータ群82の詳細については後述する。また、メモリ8には、生成された最新の所定フレーム数分の点群情報が記憶される。これらの点群情報は、処理対象中の点群情報に対するノイズ除去処理の際に参照される。
制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサを含む。制御部7は、メモリ8に記憶されたプログラムを実行することで、所定の処理を実行する。制御部7は、プログラムを実行するコンピュータの一例である。
制御部7は、機能的には、送信駆動ブロック70と、スキャナ駆動ブロック71と、点群情報生成ブロック72と、時間的安定点検出ブロック73と、空間的安定点検出ブロック74と、出力ブロック75と、を有する。
送信駆動ブロック70は、送信部1を駆動する駆動信号S1を出力する。駆動信号S1は、送信部1に含まれるレーザ発光素子の発光時間と、当該レーザ発光素子の発光強度を制御するための情報を含む。送信駆動ブロック70は、駆動信号S1に基づき、送信部1に含まれるレーザ発光素子の発光強度を制御する。
スキャナ駆動ブロック71は、スキャナ5を駆動するための駆動信号S3を出力する。この駆動信号S3は、スキャナ5の共振周波数に対応する水平駆動信号と、垂直走査するための垂直駆動信号と、を含む。また、スキャナ駆動ブロック71は、ピエゾセンサ6から出力される検出信号S4を監視することで、スキャナ5の走査角度(すなわち照射光の射出方向)を検出する。照射光の射出方向は、本発明における「基準点からの計測方向」の一例である。
点群情報生成ブロック72は、受信部2から供給される検出信号S2に基づき、ライダ100を基準点として、照射光が照射された物体までの距離と方向とを計測点毎に示した点群情報を生成する。この場合、点群情報生成ブロック72は、照射光を射出してから受信部2が反射光を検出するまでの時間を、光の飛行時間(Time of Flight)として算出する。そして、点群情報生成ブロック72は、算出した飛行時間に応じた距離と、受信部2が受信した反射光に対応する照射光の照射方向とを計測点毎に示す点群情報を生成し、生成した点群情報を時間的安定点検出ブロック73に供給する。以後では、全計測点に対する1回分の走査により得られる点群情報を、1フレーム分の点群情報とする。また、点群情報生成ブロック72は、生成した最新の所定フレーム数分の点群情報を、メモリ8に記憶する。点群情報生成ブロック72は、本発明における「点群情報生成部」の一例である。
なお、点群情報は、計測点を画素とし、各計測点が示す距離を画素値とする画像とみなすことができる。この場合、各計測点は、縦方向の並びにおいて仰俯角における照射光の照射方向が異なり、横方向の並びにおいて水平角における照射光の照射方向が異なる。
時間的安定点検出ブロック73は、点群情報生成ブロック72から供給される点群情報に基づき、時系列においてばらつきが少ない距離が計測される計測点(「時間的安定点Pt」とも呼ぶ。)を検出する。そして、時間的安定点検出ブロック73は、時間的安定点Ptに関する判定結果を示すフラグ(「第1有効点フラグF1」とも呼ぶ。)を計測点毎に関連付けた点群情報を、空間的安定点検出ブロック74へ供給する。なお、時間的安定点Ptは、時間的にばらついて発生するノイズ発生点とは異なり、時系列において安定して距離が計測できている計測点となる。よって、制御部7は、時間的安定点Ptを、実際に物体を計測している有効点とみなす。時間的安定点検出ブロック73は、本発明における「時間的安定点検出部」の一例である。
空間的安定点検出ブロック74は、時間的安定点検出ブロック73から供給される、第1有効点フラグF1が付加された1フレーム分の点群情報に基づき、空間的に安定して距離が計測された計測点(「空間的安定点Ps」とも呼ぶ。)を検出する。空間的安定点Psは、計測点間の距離差が小さい計測点群を構成する計測点である。そして、空間的安定点検出ブロック74は、空間的安定点Psに関する判定結果を示すフラグ(「第2有効点フラグF2」とも呼ぶ。)を第1有効点フラグF1と共に計測点毎に関連付けた点群情報を、出力ブロック75へ供給する。なお、空間的安定点Psは、空間的にばらついて発生するノイズ発生点とは異なり、空間的に安定して物体を計測できた計測点となる。よって、制御部7は、空間的安定点Psを、実際に物体を計測している有効点であるとみなす。空間的安定点検出ブロック74は、本発明における「付与部」、「グループ化部」、及び「判定部」の一例である。
出力ブロック75は、空間的安定点検出ブロック74から供給される、第1有効点フラグF1及び第2有効点フラグF2が計測点毎に関連付けられた点群情報に基づき、ノイズ発生点を判定する。そして、出力ブロック75は、ノイズ発生点に対応するデータを除去した点群情報を、ノイズ除去点群情報「S5」として生成する。そして、出力ブロック75は、生成したノイズ除去点群情報S5を、車両の自動運転などの運転支援を制御する装置(「運転支援装置」とも呼ぶ。)に出力する。この場合、運転支援装置は、例えば、車両のECU(Electronic Control Unit)であってもよく、車両と電気的に接続したカーナビゲーション機器などの車載装置であってもよい。出力ブロック75は、本発明における「出力部」の一例である。
図2(A)は、メモリ8に記憶される第1パラメータ群81のデータ構造の一例を示す。また、図2(B)は、メモリ8に記憶される第2パラメータ群82のデータ構造の一例を示す。第1パラメータ群81は、時間的安定点検出ブロック73により参照されるパラメータ群であり、測距最低距離「Dth1」と、安定測距距離「Dth2」と、計算フレーム数「Nf」と、有効分散閾値「Vth」とを含む。また、第2パラメータ群82は、空間的安定点検出ブロック74により参照されるパラメータ群であり、候補判定閾値「dDth1」と、塊判定距離閾値「dDth2」と、塊判定点数閾値「Ngth」とを含む。
測距最低距離Dth1は、測距の対象となる最低距離を示す閾値である。時間的安定点検出ブロック73は、測距最低距離Dth1未満の距離を示す計測点については、正確な距離が計測できないと判定し、時間的安定点Pt又は空間的安定点Psのいずれにも該当しないノイズ発生点であると判定する。
安定測距距離Dth2は、ノイズが発生せずに安定的に測距が可能な距離の上限値を示す閾値である。時間的安定点検出ブロック73は、例えば、測距最低距離Dth1以上安定測距距離Dth2以下の距離を示す計測点については、有効点であるとみなす。なお、第1パラメータ群81は、安定測距距離Dth2に加えて、ノイズが発生せずに安定的に測距が可能な距離の下限値を示すパラメータを含んでもよい。測距最低距離Dth1により特定される測距対象外の距離範囲、及び、安定測距距離Dth2により特定される、ノイズが発生せずに安定的な測距が可能な距離の範囲は、本発明における「所定範囲」の一例である。
計算フレーム数Nfは、計測点毎に時間的な距離のばらつきを示す分散値(「距離分散V」とも呼ぶ。)を算出する際に時間的安定点検出ブロック73が参照するフレーム数を示す。計算フレーム数Nfの用途の詳細は後述する。
有効分散閾値Vthは、対象の計測点が時間的安定点Ptに該当するかを距離分散Vに基づき判定するための閾値である。時間的安定点検出ブロック73は、距離分散Vが有効分散閾値Vth未満の場合に、対象の計測点が時間的安定点Ptであると判定する。一方、時間的安定点検出ブロック73は、距離分散Vが有効分散閾値Vth以上となる計測点については、時間的安定点Ptではないとみなす。距離分散Vに基づき時間的安定点Ptではないとみなされた計測点は、空間的安定点Psの候補となる計測点(「第1候補点」とも呼ぶ。)として、空間的安定点検出ブロック74によって空間的安定点Psであるか否かの判定が行われる。有効分散閾値Vthは、本発明における「所定値」の一例である。
候補判定閾値dDth1は、第1候補点が周囲の計測点(「周囲点」とも呼ぶ。)と距離的に孤立している孤立点であるか否かを判定するための閾値である。言い換えると、候補判定閾値dDth1は、第1候補点について、周囲点との距離が近似するか否かを空間的安定点検出ブロック74が判定するための閾値である。ここで、周囲点は、ライダ100からの計測方向が対象の計測点と近似する計測点を指す。言い換えると、計測点を照射光が照射される仮想平面上に投影した場合に対象の計測点と隣接する計測点を指す。さらに言い換えると、周囲点は、点群情報を画像とみなし、計測点を画像中の画素とみなした場合、対象の計測点に対応する画素と縦及び横において隣接する(例えば所定画素数内に存在する)画素に対応する計測点を指す。
そして、孤立点でないとみなされた第1候補点(「第2候補点」とも呼ぶ。)は、後述の塊判定距離閾値dDth2及び塊判定点数閾値Ngthを用いてさらに空間的安定点Psであるか否かの判定が行われる。候補判定閾値dDth1は、本発明における「第1距離差」の一例である。
塊判定距離閾値dDth2は、同一の塊(クラスタ)を形成しているか否かを、ライダ100からの計測方向が近似する計測点間の距離差に基づき判定するための閾値である。塊判定距離閾値dDth2は、本発明における「第2距離差」の一例である。塊判定点数閾値Ngthは、塊ごとにグループ化された計測点のグループ毎の数(「グループ計測点数Ng」とも呼ぶ。)により、第2候補点がノイズ発生点か否かをグループ毎に判定するための閾値である。
[時間的安定点検出処理]
まず、時間的安定点検出ブロック73による時間的安定点Ptの検出処理について説明する。
図3は、時間的安定点Ptの検出処理の手順を示すフローチャートの一例である。時間的安定点検出ブロック73は、図3に示す処理を、繰り返し実行する。ここでは、一例として、時間的安定点検出ブロック73は、時間的安定点Ptとなる計測点に対して「1」の第1有効点フラグF1を付し、空間的安定点Psの第1候補点となる計測点に対して「2」の第1有効点フラグF1を付し、それ以外の計測点に対して「0」の第1有効点フラグF1を付す処理を行う。
まず、時間的安定点検出ブロック73は、処理の対象となる計測点の第1有効点フラグF1の初期値を、無効であることを示す「0」に設定する(ステップS11)。そして、時間的安定点検出ブロック73は、対象の計測点に対応する距離が測距最低距離Dth1以上であるか否か判定する(ステップS12)。そして、時間的安定点検出ブロック73は、対象の計測点に対応する距離が測距最低距離Dth1未満である場合(ステップS12;No)、対象の計測点の第1有効点フラグF1を「0」のままとする(ステップS13)。即ち、この場合、時間的安定点検出ブロック73は、対象の計測点が有効点ではないとみなし、第1有効点フラグF1を、無効であることを示す「0」のままにする。
一方、対象の計測点に対応する距離が測距最低距離Dth1以上である場合(ステップS12;Yes)、時間的安定点検出ブロック73は、処理の対象となる計測点に対応する距離が安定測距距離Dth2を超えるか否か判定する(ステップS14)。そして、時間的安定点検出ブロック73は、処理の対象となる計測点に対応する距離が安定測距距離Dth2以下である場合(ステップS14;No)、対象の計測点の第1有効点フラグF1を、有効であることを示す「1」に設定する(ステップS15)。即ち、この場合、時間的安定点検出ブロック73は、ノイズが発生せずに安定的な測距が可能な距離が計測されたことから、対象の計測点を有効点であるとみなし、対象の計測点に対して有効である旨の第1有効点フラグF1を設定する。
一方、対象の計測点に対応する距離が安定測距距離Dth2を超える場合(ステップS14;Yes)、時間的安定点検出ブロック73は、対象の計測点が示す距離が、ノイズが発生せずに安定的に測距が可能な距離の範囲から外れていることから、ステップS16以降において、対象の計測点が時間的安定点Ptであるか否かの詳細な判定処理を行う。
この場合、まず、時間的安定点検出ブロック73は、対象の計測点について、第1パラメータ群81に含まれる計算フレーム数Nfを参照し、計算フレーム数Nf分の距離に基づき、距離分散Vを算出する(ステップS16)。この場合、時間的安定点検出ブロック73は、メモリ8に記憶された過去の点群情報(即ち「Nf−1」個分の点群情報)と、現在の点群情報とに基づき、対象の計測点の最新の計算フレーム数Nf分の距離を抽出することで、距離分散Vを算出する。ステップS16の処理の詳細については後述する。
そして、時間的安定点検出ブロック73は、算出した距離分散Vが有効分散閾値Vth以上であるか否か判定する(ステップS17)。そして、時間的安定点検出ブロック73は、距離分散Vが有効分散閾値Vth未満の場合(ステップS17;No)、対象の計測点の第1有効点フラグF1を、有効であることを示す「1」に設定する(ステップS18)。即ち、この場合、時間的安定点検出ブロック73は、対象の計測点では時間的にばらつきが少ない距離が安定して計測されたことから、対象の計測点を時間的安定点Pt(即ち有効点)であるとみなす。
一方、時間的安定点検出ブロック73は、距離分散Vが有効分散閾値Vth以上である場合(ステップS17;Yes)、対象の計測点の第1有効点フラグF1を「2」に設定する(ステップS19)。即ち、この場合、時間的安定点検出ブロック73は、対象の計測点では時間的にばらつきがある距離が計測されたことから、対象の計測点は少なくとも時間的安定点Ptではないと判定する。そして、時間的安定点検出ブロック73は、対象の計測点の第1有効点フラグF1を、空間的安定点Psの第1候補点であることを示す「2」に設定する。この場合、対象の計測点は、空間的安定点検出ブロック74により空間的安定点Psであるか否かの判定が行われる。
そして、時間的安定点検出ブロック73は、全ての計測点に対してステップS11〜ステップS19の処理を実行したか否か判定する(ステップS20)。そして、時間的安定点検出ブロック73は、全ての計測点に対してステップS11〜ステップS19の処理を実行していない場合(ステップS20;No)、未処理である1の計測点を次の処理対象の計測点として選定し、ステップS11に処理を戻す。一方、時間的安定点検出ブロック73は、全ての計測点に対してステップS11〜ステップS19の処理を実行した場合(ステップS20;Yes)、フローチャートの処理を終了する。その後、時間的安定点検出ブロック73は、再び次のフレームの点群情報が点群情報生成ブロック72から供給された場合に、当該点群情報を対象として図3のフローチャートの処理を実行する。
ここで、ステップS16における距離分散Vの算出処理について補足説明する。
時間的安定点検出ブロック73は、点群情報生成ブロック72が生成した点群情報に基づき、計測点毎に時間的な距離のばらつきを示す距離分散Vを算出する。このとき、時間的安定点検出ブロック73は、第1パラメータ群81に含まれる計算フレーム数Nfを参照し、計算フレーム数Nf分の点群情報に基づき、計測点毎に距離分散Vを算出する。
ここで、距離分散Vの算出の具体例について図4を参照して説明する。図4(A)〜(C)は、3フレーム分の各計測期間において計測される計測点をライダ100から俯瞰した図である。ここでは、計算フレーム数Nfは「3」に設定されているものとし、距離分散Vの算出対象の計測点を「Ptag」とする。
この場合、時間的安定点検出ブロック73は、現在フレームの(即ち最新の走査により得られた)点群情報を点群情報生成ブロック72から取得すると共に、前回フレームの点群情報及び前々回フレームの点群情報をメモリ8から参照する。そして、時間的安定点検出ブロック73は、距離分散Vの算出対象となる計測点Ptagについて、これらの点群情報に基づく距離(ここでは、「x1」、「x2」、「x3」)をそれぞれ取得する。そして、時間的安定点検出ブロック73は、これらの距離x1、x2、x3から、距離分散Vを算出する。
次に、点群情報生成ブロック72が生成する点群情報について補足説明する。
点群情報生成ブロック72は、計測点毎に、照射光を射出してから受信部2が反射光を検出するまでの飛行時間を測定し、当該飛行時間に基づき距離を算出する。図4は、ある計測点に対して照射光の射出後から所定時間において受信部2が出力する検出信号S2が示す反射光強度の時間変化を示すグラフである。図4に示すように、点群情報生成ブロック72は、受信部2から供給される検出信号S2に基づき、反射光強度の時間波形を計測点毎に取得する。そして、点群情報生成ブロック72は、この場合、照射光を射出してから反射光強度が最大となるタイミングまでの時間長を光の飛行時間(図4では「t1」)とみなし、対象の計測点に対する距離を算出する。
このように、点群情報生成ブロック72は、反射光強度が最大となるタイミングに基づき、各計測点について距離を算出する。ここで、図4に示すように、背景光やノイズ等に起因して、反射光を受信部2が受光するタイミング以外においても反射光強度は0より大きい値で遷移する。よって、照射される物体が測距可能距離の範囲内に存在せずに反射光が生成されない場合であっても、各計測点において距離が算出される。反射光が生成されない場合に算出された距離を示す計測点は、ノイズ発生点となる。
[空間的安定点検出処理]
次に、空間的安定点検出ブロック74による空間的安定点Psの検出処理について説明する。
空間的安定点検出ブロック74は、空間的安定点Psの検出処理として、大きく分けて3つの処理(第1処理〜第3処理)を行う。第1処理として、空間的安定点検出ブロック74は、第1有効点フラグF1が「2」(第1候補点)となる計測点について、周囲点と距離が離れた孤立点であるか否かの判定を行い、孤立点でない計測点を第2候補点と定める。第2処理として、空間的安定点検出ブロック74は、第2候補点と時間的安定点Ptについて、距離差が小さい周囲点同士に対して同一のラベル(「クラスタラベル」とも呼ぶ。)を付すことで、グループ分けを行う。第3処理として、空間的安定点検出ブロック74は、クラスタラベルに基づきグループ計測点数Ngを算出し、グループ計測点数Ngに基づき、第2候補点が空間的安定点Psであるか否かをグループごとに判定する。
図6は、空間的安定点Psの検出に関する第1処理の手順を示すフローチャートの一例である。空間的安定点検出ブロック74は、図6に示す処理を繰り返し実行する。
まず、空間的安定点検出ブロック74は、処理対象とする計測点を定め、当該計測点の第2有効点フラグF2の初期値を、無効であることを示す「0」に設定する(ステップS21)。次に、空間的安定点検出ブロック74は、対象の計測点の第1有効点フラグF1が「2」(即ち第1候補点)を示すか否か判定する(ステップS22)。そして、空間的安定点検出ブロック74は、対象の計測点の第1有効点フラグF1が「2」を示す場合(ステップS22;Yes)、ステップS23へ処理を進める。一方、空間的安定点検出ブロック74は、対象の計測点の第1有効点フラグF1が「2」以外である場合(ステップS22;No)、ステップS25へ処理を進める。この場合、空間的安定点検出ブロック74は、対象の計測点が空間的安定点Psの第1候補点ではないことから、第2有効点フラグF2を、無効であることを示す「0」のままにする。
次に、空間的安定点検出ブロック74は、第1有効点フラグF1が「2」となる計測点に対し、距離差が候補判定閾値dDth1以下となる周囲点が存在するか否か判定する(ステップS23)。ステップS23の判定の具体例については、図7を参照して後述する。
そして、空間的安定点検出ブロック74は、対象の計測点に対して距離差が候補判定閾値dDth1以下となる周囲点が存在する場合(ステップS23;Yes)、対象の計測点の第2有効点フラグF2を、有効である旨を示す「1」に設定する(ステップS24)。この場合、空間的安定点検出ブロック74は、対象の計測点が孤立点ではなく、空間的安定点Psの第2候補点であると判定し、対象の計測点の第2有効点フラグF2を、有効であることを示す「1」に設定する。「1」を示す第2有効点フラグF2は、本発明における「フラグ」の一例である。
一方、空間的安定点検出ブロック74は、対象の計測点に対して距離差が候補判定閾値dDth1以下となる周囲点が存在しない場合(ステップS23;No)、ステップS25へ処理を進める。この場合、空間的安定点検出ブロック74は、対象の計測点は孤立点であり、空間的安定点Psではないことから、第2有効点フラグF2を、無効であることを示す「0」のままにする。
次に、空間的安定点検出ブロック74は、全ての計測点に対してステップS21〜ステップS24の処理を実行したか否か判定する(ステップS25)。そして、空間的安定点検出ブロック74は、全ての計測点に対してステップS21〜ステップS24の処理を実行していない場合(ステップS25;No)、未処理の1の計測点を処理対象の計測点として選定し、ステップS21に処理を戻す。一方、空間的安定点検出ブロック74は、全ての計測点に対してステップS21〜ステップS24の処理を実行した場合(ステップS25;Yes)、フローチャートの処理を終了する。その後、空間的安定点検出ブロック74は、次のフレームの点群情報が時間的安定点検出ブロック73から供給された場合に、当該点群情報を対象として図6のフローチャートの処理を実行する。
ここで、ステップS23の処理について、図7を参照して補足説明する。
図7は、各計測点をライダ100から俯瞰した場合に、計測点Ptagに対する周囲点を明示した計測点の分布図である。図7では、計測点Ptagに対する周囲点に対してハッチングを施している。
図7の例では、空間的安定点検出ブロック74は、計測点Ptagが計測された時点で計測済となる計測点のうち、縦及び横に2つ分の計測点を、対象の計測点Ptagの周囲点として定める。即ち、空間的安定点検出ブロック74は、点群情報を画像とみなした場合、計測点Ptagの画素位置から上下左右において2画素差内の画素に対応する計測済の計測点を、周囲点として定める。なお、空間的安定点検出ブロック74は、現在フレームの全計測点に対する距離が既に計測されている場合には、計測点Ptagの下方に位置する計測点(即ち未計測の計測点として周囲点から除外された計測点)等についても周囲点とみなしてもよい。
そして、空間的安定点検出ブロック74は、各周囲点が示す距離と、計測点Ptagが示す距離との距離差を算出し、当該距離差が候補判定閾値dDth1以下となる周囲点が存在する場合、計測点Ptagを第2候補点であるとみなす。そして、この場合、空間的安定点検出ブロック74は、計測点Ptagの第2有効点フラグF2を、有効であることを示す「1」にする。この処理を全ての計測点に対して行うことで、空間的安定点検出ブロック74は、好適に、孤立点でない第1候補点を第2候補点として識別することができる。
図8は、空間的安定点Psの検出に関する第2処理の手順を示すフローチャートの一例である。空間的安定点検出ブロック74は、図8に示す処理を、図6に示す第1処理の実行後に実行する。
まず、空間的安定点検出ブロック74は、各計測点に対して付与するクラスタラベルをリセットする(ステップS31)。例えば、空間的安定点検出ブロック74は、各計測点に対して付与するクラスタラベルを、グループ分けが未処理である旨を示す所定の初期値に設定する。
次に、空間的安定点検出ブロック74は、処理対象とする計測点を定め、当該計測点の第1有効点フラグF1又は第2有効点フラグF2が有効であることを示す「1」であるか否か判定する(ステップS32)。即ち、この場合、空間的安定点検出ブロック74は、対象の計測点が時間的安定点Ptであるか、又は、第2候補点のいずれかに該当するか否か判定する。そして、空間的安定点検出ブロック74は、対象の計測点の第1有効点フラグF1又は第2有効点フラグF2が「1」である場合(ステップS32;Yes)、ステップS33に処理を進める。一方、対象の計測点の第1有効点フラグF1及び第2有効点フラグF2がいずれも「1」ではない(即ち有効ではない)場合(ステップS32;No)、空間的安定点検出ブロック74は、対象の計測点が時間的安定点Pt又は第2候補点のいずれでもないとみなす。この場合、空間的安定点検出ブロック74は、対象の計測点のクラスタラベルを初期値のままにする。この場合、対象の計測点は、クラスタラベルによるグループ分けの対象から除外される。
次に、空間的安定点検出ブロック74は、第1有効点フラグF1又は第2有効点フラグF2が「1」となる対象の計測点に対し、第1有効点フラグF1又は第2有効点フラグF2が「1」となり、対象の計測点との距離差が塊判定距離閾値dDth2未満となる周囲点が存在するか否か判定する(ステップS33)。ステップS33の処理の具体例については、図9を参照して後述する。
そして、空間的安定点検出ブロック74は、第1有効点フラグF1又は第2有効点フラグF2が「1」となり、対象の計測点との距離差が塊判定距離閾値dDth2未満となる周囲点が存在する場合(ステップS33;Yes)、対象の計測点及び該当の周囲点の組み合わせに対して同一のクラスタラベルを付与する(ステップS34)。このように、空間的安定点検出ブロック74は、ライダ100からの計測方向が近似し、距離差が小さい時間的安定点Pt又は/及び第2候補点の組み合わせに対して同一のクラスタラベルを付与することで、同一物体に対する距離を示す計測点群に対して同一のクラスタラベルを付与することができる。
一方、空間的安定点検出ブロック74は、第1有効点フラグF1又は第2有効点フラグF2が「1」となる周囲点が存在しない、又は、このような周囲点と対象の計測点との距離差がいずれも塊判定距離閾値dDth2以上となる場合(ステップS33;No)、対象の計測点に新たなクラスタラベルを付与する(ステップS35)。この場合、空間的安定点検出ブロック74は、まだ使用されていない値を示すクラスタラベルを、対象の計測点に付与する。
そして、空間的安定点検出ブロック74は、全ての計測点に対してステップS32〜ステップS35の処理を実行したか否か判定する(ステップS36)。そして、空間的安定点検出ブロック74は、全ての計測点に対してステップS32〜ステップS35の処理を実行していない場合(ステップS36;No)、未処理の計測点の1つを、処理対象の計測点として定め、ステップS32に処理を戻す。一方、空間的安定点検出ブロック74は、全ての計測点に対してステップS31〜ステップS35の処理を実行した場合(ステップS36;Yes)、フローチャートの処理を終了する。その後、空間的安定点検出ブロック74は、再び図6に示す第1処理を実行した場合に、図8に示すフローチャートの処理を実行する。
ここで、第2処理の具体例について、図9を参照して説明する。
図9は、時間的安定点Ptと第2候補点とを明示した計測点の平面分布図を示す。図9(A)は、時間的安定点Ptと第2候補点とその他の計測点とを識別可能に明示している。
この場合、空間的安定点検出ブロック74は、全計測点に対して第2処理を実行することで、破線枠20内の時間的安定点Pt及び第2候補点に対してクラスタラベル「L1」を付し、破線枠21内の第2候補点に対してクラスタラベル「L2」を付す。この場合、破線枠20内の時間的安定点Pt及び第2候補点が示す距離は、夫々、破線枠20内の周囲点が示す距離との差が塊判定距離閾値dDth2未満となっている。同様に、破線枠21内の時間的安定点Pt及び第2候補点が示す距離は、夫々、破線枠21内の周囲点が示す距離との差が塊判定距離閾値dDth2未満となっている。従って、破線枠20内の計測点は、同一物体に対する距離を計測した計測点であることが推定される。同様に、破線枠21内の計測点は、同一物体に対する距離を計測した計測点であることが推定される。従って、空間的安定点検出ブロック74は、第2処理によれば、同一物体に対する距離を計測した時間的安定点Pt及び第2候補点の塊に対して、好適に同一のクラスタラベルを付与することができる。
図10は、空間的安定点Psの検出に関する第3処理の手順を示すフローチャートの一例である。空間的安定点検出ブロック74は、図10に示す処理を、図8に示す第2処理の実行後に実行する。
まず、空間的安定点検出ブロック74は、クラスタラベルにより分けられたグループ毎のグループ計測点数Ngを算出する(ステップ41)。
そして、空間的安定点検出ブロック74は、対象のグループに対するグループ計測点数Ngが塊判定点数閾値Ngth未満であるか否か判定する(ステップS42)。そして、空間的安定点検出ブロック74は、グループ計測点数Ngが塊判定点数閾値Ngth未満である場合(ステップS42;Yes)、対象のグループに属する計測点の第2有効点フラグF2を、無効であることを示す「0」に設定する(ステップS43)。この場合、空間的安定点検出ブロック74は、対象のグループに属する計測点の数が少なく、対象グループに属する計測点は空間的安定点Psではない(即ちノイズ発生点である)とみなす。
一方、空間的安定点検出ブロック74は、グループ計測点数Ngが塊判定点数閾値Ngth以上である場合(ステップS42;No)、対象のグループに属する計測点の第2有効点フラグF2を変更しない。この場合、対象の計測点が第2候補点である場合には、第2有効点フラグF2は「1」のままとなり、対象の計測点が時間的安定点Ptである場合には、第2有効点フラグF2は「0」のままとなる。よって、この場合、空間的安定点検出ブロック74は、グループ計測点数Ngが塊判定点数閾値Ngth以上となるグループに属する第2候補点に対し、有効であることを示す「1」となる第2有効点フラグF2を付すことができる。
そして、空間的安定点検出ブロック74は、全てのグループに対してステップS42の判定処理を実行したか否か判定する(ステップS44)。そして、空間的安定点検出ブロック74は、全てのグループに対してステップS42の判定処理を実行した場合(ステップS44;Yes)、フローチャートの処理を終了する。一方、空間的安定点検出ブロック74は、ステップS42の判定処理を実行していないグループが存在する場合(ステップS44;No)、判定処理を実行していないグループを対象としたステップS42の処理を再び実行する。
第3処理の実行後、空間的安定点検出ブロック74は、第1有効点フラグF1及び第2有効点フラグF2が付加された点群情報を出力ブロック75に供給する。この場合、出力ブロック75は、第1有効点フラグF1及び第2有効点フラグF2のいずれも「1」ではない計測点を、ノイズ発生点とみなし、当該計測点の距離及び方向を示す計測データを点群情報から除去したノイズ除去点群情報S5を生成する。この場合、ノイズ除去点群情報S5は、時間的安定点Pt、空間的安定点Ps、又は測距最低距離Dth1以上安定測距距離Dth2以下の距離を示す計測点のいずれかに対応する計測データを含む。そして、出力ブロック75は、ノイズ除去点群情報S5を運転支援装置に供給する。
図11は、図9に示す計測点の分布における第3処理に基づく第2有効点フラグF2の設定例を示す。図11の例では、塊判定点数閾値Ngthは、「8」に設定されているものとする。
この場合、出力ブロック75は、クラスタラベルL1が付されたグループのグループ計測点数Ngが「14」、クラスタラベルL2が付されたグループのグループ計測点数Ngが「6」であると認識する。そして、出力ブロック75は、クラスタラベルL1が付されたグループのグループ計測点数Ngが塊判定点数閾値Ngth以上(14>8)となることから、クラスタラベルL1が付された第2候補点P1〜P4の第2有効点フラグF2を「1」のままとする。この場合、第2候補点P1〜P4は、出力ブロック75により空間的安定点Ps(即ち有効点)とみなされ、第2候補点P1〜P4の計測データは点群情報から除去されない。
一方、出力ブロック75は、クラスタラベルL2が付されたグループのグループ計測点数Ngが塊判定点数閾値Ngth未満(6<8)であることから、クラスタラベルL1が付された第2候補点P5〜P10の第2有効点フラグF2を「0」とする。この場合、第2候補点P5〜P10は、出力ブロック75によりノイズ発生点とみなされ、第2候補点P5〜P10の計測データは点群情報から除去される。
以上説明したように、本実施例に係るライダ100の制御部7の空間的安定点検出ブロック74は、フレーム毎に取得された、それぞれが基準点からの距離を示す複数の計測点について、候補判定閾値dDth1以内となる他の計測点が存在する計測点に対し、有効であることを示す第2有効点フラグF2を付与する。そして、空間的安定点検出ブロック74は、有効であることを示す第2有効点フラグF2が付与された計測点に対し、計測点間の距離が塊判定距離閾値dDth2以内となる計測点群毎にグループ分けを行う。そして、空間的安定点検出ブロック74は、グループ毎の計測点の個数であるグループ計測点数Ngに基づき、第2有効点フラグF2が付与された計測点がノイズ発生点であるか否かの判定をグループ毎に行う。これにより、空間的安定点検出ブロック74は、計測点が空間的安定点Psであるか又はノイズ発生点であるかの判定を的確に行うことができる。
[変形例]
以下、上述の実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
(変形例1)
ライダ100が車両などの移動体に搭載される場合、時間的安定点検出ブロック73は、移動体の速度を勘案してフレーム毎の計測点の対応関係を特定し、対応する計測点毎に距離分散Vを算出してもよい。
図12(A)〜(C)は、ライダ100を搭載する移動体が移動中の場合において、3フレーム分の各計測期間において計測される計測点をライダ100から俯瞰した図である。ここでは、計算フレーム数Nfは「3」に設定されているものとし、距離分散Vの算出対象の計測点を「Ptag1」とする。
この場合、時間的安定点検出ブロック73は、現在フレームの(即ち最新の走査により得られた)点群情報を点群情報生成ブロック72から取得すると共に、前回フレームの点群情報及び前々回フレームの点群情報をメモリ8から参照する。そして、時間的安定点検出ブロック73は、現在フレームにおける計測点Ptag1に対応する計測点Ptag2、Ptag3を前回フレームと前々回フレームとで特定する場合、移動体の速度と現在フレームとのフレーム差とに基づいて特定する。例えば、時間的安定点検出ブロック73は、移動体が所定速度範囲内の場合、1フレームずれるごとに右又は左(ここでは右)に1つ分だけ計測点Ptag1に対応させる計測点Ptag2、Ptag3をずらす。この場合、メモリ8には、移動体の速度(及び移動方向)と1フレーム差毎に計測点をずらす個数及び方向とを対応付けたマップ情報が記憶されている。そして、時間的安定点検出ブロック73は、このマップ情報を参照し、移動体に付属するセンサが出力する移動体の速度の情報から、現在フレームの計測点Ptag1に対応する過去フレームの計測点Ptag2、Ptag3を特定する。そして、時間的安定点検出ブロック73は、これらの計測点Ptag1、Ptag2、Ptag3が夫々示す距離「y1」、「y2」、「y3」から、距離分散Vを算出する。
他の例では、時間的安定点検出ブロック73は、移動体の位置及び向き、移動体におけるライダ100の設置位置及び向き等の情報に基づき、点群情報が示す各計測点を、地図などで用いられる絶対座標系に変換する。そして、時間的安定点検出ブロック73は、計算フレーム数Nfの各フレームにおいて、絶対座標系で安定して計測される地点を示す現在フレームの計測点を、時間的安定点Ptとみなす。
このように、変形例1によれば、ライダ100が移動する場合であっても、好適に時間的安定点Ptを検出することができる。
(変形例2)
ライダ100の構成は、図1に示す構成に限定されない。例えば、制御部7の時間的安定点検出ブロック73及び空間的安定点検出ブロック74に相当する機能を、ライダ100とは別の装置が有してもよい。
図13は、変形例2に係るライダ100X及びノイズ除去装置200の構成図を示す。この場合、ライダ100Xは、点群情報生成ブロック72が生成する点群情報をノイズ除去装置200へ供給する。
ノイズ除去装置200は、制御部7Aと、メモリ8Aとを有する。メモリ8Aには、第1パラメータ群81及び第2パラメータ群82が記憶されている。制御部7Aは、機能的には、時間的安定点検出ブロック73と、空間的安定点検出ブロック74と、出力ブロック75とを有する。そして、時間的安定点検出ブロック73は、ライダ100Xの点群情報生成ブロック72が生成する点群情報を受信し、受信した点群情報に対して第1パラメータ群81を参照して時間的安定点検出処理を実行する。空間的安定点検出ブロック74は、時間的安定点検出ブロック73が第1有効点フラグF1を付した点群情報に対して第2パラメータ群82を参照して空間的安定点検出処理を実行する。そして、出力ブロック75は、空間的安定点検出ブロック74から供給された、第1有効点フラグF1及び第2有効点フラグF2が付された点群情報に基づき、ノイズ除去点群情報S5を生成し、当該ノイズ除去点群情報S5を出力する。
なお、ノイズ除去装置200は、運転支援装置により実現されてもよい。また、第1パラメータ群81及び第2パラメータ群82は、ノイズ除去装置200が参照可能なメモリを有する他の装置により記憶されてもよい。変形例2では、ノイズ除去装置200は、本発明における「情報処理装置」の一例である。
(変形例3)
時間的安定点検出ブロック73は、距離分散Vに基づき各計測点が時間的安定点Ptであるか否かを判定するのに加えて、又はこれに代えて、計算フレーム数Nf分の反射光強度に基づいて、各計測点が時間的安定点Ptであるか否かの判定を行ってもよい。
例えば、時間的安定点検出ブロック73は、最新の計算フレーム数Nf分の各フレームについて、対象の計測点に対する反射光強度の波形(図5参照)のうち最大となる反射光強度(図5の場合、時間t1での反射光強度)を取得する。そして、時間的安定点検出ブロック73は、計算フレーム数Nf分の反射光強度の分散(「強度分散」とも呼ぶ。)が所定閾値未満の場合には、対象の計測点が時間的安定点Ptであると判定する。一方、時間的安定点検出ブロック73は、強度分散が所定閾値以上の場合には、対象の計測点は時間的安定点Ptではないと判定する。
例えば、計算フレーム数Nfが「6」の場合において、フレーム毎の時刻「T1」〜「T6」において取得される反射光強度に基づき、強度分布を算出する例について考察する。図14(A)、(B)は、異なる計測点における時刻T1〜T6で計測される反射光強度(最大値)を示す。時間的安定点検出ブロック73は、図14(A)に示される反射光強度が計測された計測点については、時刻T1〜T6での反射光強度のばらつきが小さいため、強度分散は所定の閾値未満となる。この場合、時間的安定点検出ブロック73は、図14(A)に示される反射光強度が計測された計測点を、時間的安定点Ptであるとみなす。
一方、図14(B)に示される反射光強度が計測された計測点については、時刻T1〜T6での反射光強度のばらつきが大きく、共同分散は所定の閾値以上となる。この場合、時間的安定点検出ブロック73は、図14(A)に示される反射光強度が計測された計測点を、時間的安定点Ptではないとみなす。
なお、時間的安定点検出ブロック73は、距離分散Vが有効分散閾値Vth未満であって、かつ、強度分散が所定の閾値未満である場合に、対象の計測点を時間的安定点Ptであるとみなしてもよい。他の例では、時間的安定点検出ブロック73は、距離分散Vが有効分散閾値Vth未満、または、強度分散が所定の閾値未満である場合に、対象の計測点を時間的安定点Ptであるとみなしてもよい。なお、時間的安定点Ptでないとみなされた計測点は、第1有効点フラグF1が「2」(第1候補点)に定められ、空間的安定点Psであるか否かの判定が行われる。
本変形例によれば、ライダ100は、より正確に各計測点がノイズ発生点であるか否かの判定を行うことができる。
(変形例4)
複数のライダを用いる場合、各ライダの計測範囲の境界エリアを考慮してノイズ判定を行ってもよい。
図15は、変形例4におけるライダシステムの概要図を示す。ライダシステムは、図13に示す変形例2において説明したライダ100Xに相当する第1ライダ100Xa及び第2ライダXbと、変形例2において説明したノイズ除去装置200に相当するノイズ除去装置200aと、を有する。この構成では、ノイズ除去装置200aは、第1ライダ100Xa及び第2ライダ100Xbから、夫々、点群情報を受信する。以後では、第1ライダ100Xaが生成する点群情報を「第1点群情報」、第2ライダXbが生成する点群情報を「第2点群情報」とも呼ぶ。
ノイズ除去装置200aは、空間的安定点検出を行う場合、単一のライダ(第1ライダ100Xa又は第2ライダ100Xb)で夫々計測された計測点群のグループ計測点数Ngが塊判定点数閾値Ngth未満であっても、同一物体に対する計測点であると判定された計測点群のグループ計測点数Ngの合計数が塊判定点数閾値Ngth以上である場合には、第2有効点フラグを1のままにする(即ち空間的安定点Psであるとみなす)。言い換えると、ノイズ除去装置200aは、複数のライダにより夫々計測された複数の計測点について、ライダの各々の位置及び姿勢の情報に基づき、ライダの各々の計測範囲の境界において隣接して存在すると判定される計測点を、同一グループとしてグループ分けを行う。
具体的には、まず、ノイズ除去装置200aは、第1点群情報及び第2点群情報の夫々に対して、図6に示す第1処理と図8に示す第2処理とを実行することで、計測点に対してクラスタラベルを付与する。図15の例では、第1点群情報に属する計測点群P21〜P25が同一のクラスタラベルが付与され、第2点群情報に属する計測点群P26〜P29が同一のクラスタラベルが付与される。この場合、夫々の計測点群に対するグループ計測点数Ngは、それぞれ「5」と「4」となり、塊判定点数閾値Ngth(ここでは8とする)未満となる。
ここで、ノイズ除去装置200aは、第1ライダ100Xaと第2ライダ100Xbの車両に設置された位置及び姿勢の情報に基づき、第1点群情報に属する計測点群P21〜P25と、第2点群情報に属する計測点群P26〜P29とが近接していると判定する。なお、第1ライダ100Xaと第2ライダ100Xbの車両に設置された位置及び姿勢の情報は、予めメモリ8Aなどに記憶されている。この場合、ノイズ除去装置200Aaは、これらのグループ計測点数Ng(5と4)の合計値(9)が塊判定点数閾値Ngth(ここでは8とする)以上であることから、第1点群情報に属する計測点群P21〜P25と、第2点群情報に属する計測点群P26〜P29とを、夫々空間的安定点Psであるとみなす。
なお、ノイズ除去装置200aは、第1ライダ100Xaと第2ライダ100Xbの車両に設置された位置及び姿勢の情報に基づき、これらの計測範囲が重複又は隣接すると判定した場合、第1点群情報と第2点群情報とを1つの点群情報として統合した後、統合した点群情報に対して第1処理〜第3処理を実行してもよい。
このように、本変形例によれば、計測範囲が重複又は隣接する複数のライダを有する場合に、物体がこれらのライダの計測範囲の境界に位置する場合であっても、物体の計測点をノイズ発生点であると誤判定することを好適に防ぐことができる。