JP2021042825A - 密封装置 - Google Patents

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慧 丸山
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慧 丸山
裕太 落合
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Abstract

【課題】耐久性を向上させる。【解決手段】密封装置としてのバルブステムシール1は、軸線x周りに環状の補強環10と、補強環10に取り付けられている弾性体から形成されている軸線x周りに環状の弾性体部20と、を備え、補強環10は、軸線x方向に延びる円筒状又は略円筒状の部分である円筒部11を有し、弾性体部20は、軸線x方向において補強環10の一方の側に設けられている環状のシールリップ23と、円筒部11の内周面111を内側から覆っている嵌合部22と、を有しており、嵌合部22は、内周面221にて内周側dに突出して環状に形成されている突起部222と、突起部222に対して軸線x方向において隣接した位置に環状に形成されている溝部223と、を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、密封装置に関する。
従来から、内燃機関において、カム側とシリンダ側との間を往復動するバルブのバルブステムとバルブガイドとの間の空間の密封を図るためにバルブステムシールのような密封装置が用いられている。バルブステムシールは、バルブガイドとバルブステムとの間にバルブステムの摺動を円滑に行わせるための潤滑油を供給しつつ、白煙発生等の不具合を防止するためこの潤滑油の供給量を制御してポートやシリンダへの潤滑油の流入の防止を図っている。上記のようなバルブステムシールとしては、軸線周りに環状の補強環と、補強環に取り付けられ軸線周りに環状の弾性体部と、を備え、弾性体部が、環状のシールリップと、シールリップから軸線方向における他方の側に配設されている環状の背圧リップと、を有するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−264415号公報
ところで、バルブステムシールは、背圧リップにより密封性が高まることで背圧が上昇し、その結果バルブステムシールに対してバルブステムから離脱する方向に荷重が加わることがある。このような背圧による荷重が加わることは、バルブステムシールの耐久性に影響を与える要因となっていた。また、バルブステムシールは、バルブガイド及びバルブステムとの組み付けの際に、バルブステムシールの弾性体部が有する環状の嵌合部が生じる弾性力により、バルブガイドが内側に押し戻される現象(スプリングバック現象)が生じることがある。このスプリングバック現象により、バルブステムシールは、背圧を受けてバルブガイドから抜けてしまうことがある。つまり、スプリングバック現象も、バルブステムシールの耐久性に影響を与える要因となっていた。
以上のように、従来のバルブステムシールは、耐久性を向上させることができる構造が求められていた。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐久性を向上させることができる密封装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、軸線周りに環状の補強環と、前記補強環に取り付けられている弾性体から形成されている前記軸線周りに環状の弾性体部と、を備え、前記補強環は、軸線方向に延びる円筒状又は略円筒状の部分である円筒部を有し、前記弾性体部は、前記軸線方向において前記補強環の一方の側に設けられている環状のシールリップと、前記円筒部の内周面を内側から覆っている嵌合部と、を有しており、前記嵌合部は、内周面にて内周側に突出して環状に形成されている突起部と、前記突起部に対して前記軸線方向において隣接した位置に環状に形成されている溝部と、を有している。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記溝部は、前記軸線方向において、前記突起部よりも前記一方の側に形成されている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記シールリップは、使用状態において内周側に配置されているバルブステムの外周面に接し、前記嵌合部は、使用状態において内周側に配置されているバルブガイドの外周面に接し、前記円筒部は、使用状態において内周面における前記溝部の外周側に相当する位置から内周側に向かって凸部が形成されている。
本発明に係る密封装置によれば、耐久性を向上させることができる。
本発明の第1の実施の形態に係るバルブステムシールの構成を示す、軸線に沿う断面における断面図である。 図1のバルブステムシールの嵌合部における突起部及び溝部の周辺を拡大して示す部分拡大断面図である。 図1のバルブステムシールの変形例を示す、嵌合部における突起部及び溝部の周辺を拡大して示す部分拡大断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るバルブステムシールの構成を示す、軸線に沿う断面における断面図である。 図4のバルブステムシールの嵌合部における突起部及び溝部の周辺を拡大して示す部分拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の密封装置の第1の実施の形態に係るバルブステムシール1の構成を示す、軸線に沿う断面における断面図である。図2は、バルブステムシール1の嵌合部における突起部及び溝部の周辺を拡大して示す部分拡大断面図である。
本実施の形態1に係るバルブステムシール1は、自動車の内燃機関の動弁系において使用される。バルブステムシール1は、シリンダとポートとの間を連通及び遮断するためのバルブのバルブステムと、このバルブステムが挿通される一端がカム側に臨み他端がシリンダ側に臨むバルブガイドとの間の密封を図る。
以下、説明の便宜上、軸線xにおいて矢印a方向を外側、矢印b方向を内側とする。ここで、外側とは、バルブステムシール1が図示しない内燃機関の吸気又は排気バルブに取り付けられた状態において燃焼室から離れる方向となる方向又は側であり、内側とは、バルブステムシール1が図示しない内燃機関の吸気又は排気バルブに取り付けられた状態において燃焼室に向かう方向となる方向又は側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、径方向ともいう。)において、軸線xから遠ざかる方向を外周側とし(矢印c方向)、軸線xに向かう方向を内周側とする(矢印d方向)。
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るバルブステムシール1は、軸線x周りに環状の補強環10と、補強環10に取り付けられている弾性体から形成されている軸線x周りに環状の弾性体部20と、を備える。補強環10は、軸線x方向に延びる円筒状又は略円筒状の部分である円筒部11を有する。弾性体部20は、軸線x方向において補強環10の一方の側に設けられている環状のシールリップ23と、シールリップ23から軸線x方向における他方の側に離間して配設されている環状の背圧リップ24と、円筒部11の内周面111を内側から覆っている嵌合部22と、を有している。嵌合部22は、内周面221にて内周側dに突出して環状に形成されている突起部222と、突起部222に対して軸線x方向において近接した位置に環状に形成されている溝部223と、を有している。以下、バルブステムシール1について具体的に説明する。
補強環10は、図1に示すように、軸線xに沿う断面の形状(以下、断面形状ともいう。)が略L字状に形成されている。補強環10は、軸線x方向に延びる円筒状又は略円筒状の部分である円筒部11と、円筒部11のカム側(外側a)の端部から内周側dに向かって延びる中空環状の部分であるフランジ部12とを有している。フランジ部12は、円筒部11の外側aの端部から軸線xに向かって軸線x方向における他方の側(内側b)に斜めに延びている。
弾性体部20は、シール部21と嵌合部22とを一体に有している。シール部21は、軸線x方向に延びる環状の部分である。シール部21は、シールリップ23と、環状の背圧リップ24と、環状の突起25とを有している。
シールリップ23は、使用状態において内周側dに挿通されるバルブステム52に当接する。具体的には、シールリップ23は、シール部21の外側aの端部又は端部近傍に形成されており、内周側dに突出する、軸線x周りに環状の部分である。シールリップ23は、内周側dに向かって凸の楔形状の断面形状を有している。
背圧リップ24は、軸線x方向においてシリンダ側(内側b)にシールリップ23から離間して配設されている。背圧リップ24は、シール部21の内側bの端部に形成されている、内側bに延びる軸線x周りに環状のリップである。より具体的には、背圧リップ24は、軸線xに向かって内側bに斜めに延びている、軸線xを中心又は略中心とする円錐筒状のリップである。背圧リップ24は、使用状態において内周側dに配置されているバルブステム52に当接する。
突起25は、軸線x方向においてシールリップ23と背圧リップ24との間に配設されている。突起25は、シールリップ23よりもシリンダ側において内周側に突出する円弧状に延びる部分である。シール部21には、複数の突起25が軸線x周りに等角度間隔で設けられている。例えば、シール部21には、4つの突起25が形成されている。突起25は、シールリップ23のバルブステム52への追従性を向上させるための部分である。突起25は、使用状態において、バルブステム52の変位に対応してバルブステム52にシールリップ23を追従させるために設けられている。
嵌合部22は、バルブステムシール1がバルブガイド51の外周面512に接してバルブガイド51に嵌着されて固定されるために機能する部分である。嵌合部22は、補強環10の円筒部11を内周側dから覆っている。嵌合部22は、背圧リップ24の外周側cの根元部24aから内側bに延びている。嵌合部22は、上述のように内周面221に突起部222及び溝部223を有している。嵌合部22は、バルブガイド51の外側aの端部が嵌合部22の内側bに圧入されると、図1に示すように、補強環10の円筒部11とバルブガイド51の外周面との間で圧縮されて径方向の力である嵌合力を所定の大きさで発生する。この嵌合力により、バルブステムシール1がバルブガイド51に嵌着されて固定される。嵌合部22の径方向の厚さは、この所定の嵌合力が発生するように所定の厚さに設定されている。嵌合部22は、軸線x方向の一部の範囲において周面が上記所定の厚さに設定されていてもよい。また、嵌合部22は、軸線x方向の全ての範囲において周面が上記所定の厚さに設定されていてもよい。
突起部222は、嵌合部22の内周面221において軸線x周りに環状に形成されている。突起部222は、内周面221の軸線x方向における形成位置が、バルブガイド51に装着された状態(使用状態)においてバルブガイド51の拡径された部位の内側bの端部(ガイドエッジ部511)に対応するように設けられている。突起部222は、内周面221から内周側dに突出して設けられている。つまり、嵌合部22の径方向の厚さは、突起部222が設けられている部分において他の部分よりも肉厚に形成されている。
以上のように形成されていることで、突起部222は、バルブステムシール1の使用状態において、ガイドエッジ部511に引っ掛かりやすくなるため、バルブステムシール1の抜け止めとなる。このため、突起部222を有することで、バルブステムシール1は、抜けに対する耐久性を向上させることができる。
溝部223は、図2に示すように、嵌合部22の内周面221が、径方向外周側cに拡径するように設けられている溝状の部位である。溝部223は、例えば、断面における溝状の形状が、突起部222の凸形状に対応した凹形状に形成されている。溝部223は、軸線x周りに環状に形成されている。溝部223は、軸線x方向において、突起部222よりも一方の側(外側a)に形成されている。また、溝部223は、突起部222に対して軸線x方向において近接した位置、具体的には、溝部223の内側bの端部2231が、軸線x方向において、突起部222の外側aの端部2221と近接して配置されている。溝部223は、軸線x方向において、突起部222と軸線x方向において隣接して配置されている。
図3は、バルブステムシール1Aの変形例を示す、嵌合部22Aにおける突起部222及び溝部223Aの周辺を拡大して示す部分拡大断面図である。本発明の密封装置の実施の形態に係るバルブステムシールにおいて、溝部223の形状は、上述の形状には限定されない。図3に示すように、本発明の密封装置の第1の実施の形態に係るバルブステムシール1Aにおいて、溝部223Aの形状は、例えば、断面における溝状の形状が、断面視四角形状の凹形状に形成されていてもよい。
以上のように形成されていることで、バルブステム52を支持するバルブガイド51にバルブステムシール1を組み付ける際に、バルブステムシール1が一方の側(外側a)から他方の側(内側b)に向かって挿入されると、溝部223は、バルブガイド51の外周面512により外側aに引き伸ばされた突起部222を収容し、突起部222の逃げ場とすることができる。このため、バルブステムシール1によれば、溝部223を有することで、バルブガイド51に組み付けられる際に、嵌合部22の内周面221に接しているバルブガイド51の外周面512が内側bに戻ろうとする現象(スプリングバック現象)を抑制することができる。また、バルブステムシール1によれば、溝部223を有することで、スプリングバック現象を抑制することができるため、嵌合部22の径方向の厚さを増加させてバルブガイド51と嵌合部22との嵌合代を増加することができる。つまり、バルブステムシール1によれば、溝部223を有することで、バルブガイド51からの抜けを抑制し、耐久性を向上させることができる。
なお、溝部223は、バルブステムシール1とバルブガイド51を組み付ける際に、バルブステムシール1が外側aから内側bに向かってバルブガイド51に挿入されるとき、バルブガイド51の外周面512により外側aに引き伸ばされた突起部222を収容することができればよいため、軸線x方向において間隔を有せず隣接して配置されているものには限定されず、所定の間隔をもって隣接して配置されているものであってもよい。
弾性体部20の弾性体は、例えば、フッ素ゴムやアクリルゴム等のゴム材である。補強環10は、例えば、金属製であり、プレス加工や鍛造によって製造されている。弾性体部20は、成形型を用いて架橋(加硫)成形によって成形される。この架橋成形の際に、補強環10は成形型の中に配置されている。弾性体部20が架橋接着により補強環10に接着されることにより、弾性体部20が補強環10と一体的に成形される。
バルブステムシール1は、ガータスプリング26を有している。ガータスプリング26は、シール部21の外周側cに、シールリップ23に背向して嵌着されている。ガータスプリング26は、シールリップ23を軸線xに向かう方向に押して、シールリップ23がバルブステム52の変位に対して追随するようにシールリップ23に内周側に向かう緊迫力を与えている。なお、バルブステムシール1は、ガータスプリング26を有していなくてもよい。
以上説明したように、第1の実施の形態に係るバルブステムシール1によれば、嵌合部22の内周面221が突起部222に対して軸線x方向において近接した位置に形成されている溝部223を有することで、バルブガイド51からの抜けが抑制され、耐久性を向上させることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係るバルブステムシール1Bについて説明する。以下、上述の第1の実施の形態に係るバルブステムシール1,1Aと同一の又は類似する機能を有する構成に対しては同一の符号を付してその説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るバルブステムシール1Bの構成を示す、軸線に沿う断面における断面図である。また、図5は、バルブステムシール1Bの嵌合部22Bにおける突起部222B及び溝部223Bの周辺を拡大して示す部分拡大断面図である。
図4及び図5に示すように、バルブステムシール1Bは、補強環10Bの円筒部11Bの内周面111Bに、溝部223の外周側cに相当する位置から内周側dに向かって凸形状の凸部113Bが形成されている。凸部113Bは、バルブガイド51及びバルブステム52をバルブステムシール1Bの円筒部11Bの内部に挿入した後に、円筒部11Bの径方向外周側cから内周側dに向かって不図示のポンチなどの適宜な工具を用いて形成することができる。ここで、凸部113Bを形成する位置の内周側dには、上述のように溝部223が形成されている。このため、凸部113Bは、溝部223による中空部により容易に形成することができる。
円筒部11Bの内周面111Bに凸部113Bが形成されていることにより、バルブステムシール1Bは、溝部223を設けることによるバルブガイド51の圧縮応力の低下を抑制することでバルブガイド51からの抜けを抑制し、耐久性を向上させることができる。また、バルブステムシール1Bによれば、凸部113Bの形成により内周側dに突出された嵌合部22の弾性体が内周側d、すなわち溝部223側に突出されることで、嵌合部22Bとバルブガイド51の外周面512との接触力がより向上し、抜けをより抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
1、1A、1B…バルブステムシール、10、10B…補強環、11、11B…円筒部、12…フランジ部、20…弾性体部、21…シール部、22、22A、22B…嵌合部、23…シールリップ、24…背圧リップ、24a…根元部、25…突起、26…ガータスプリング、51…バルブガイド、52…バルブステム、111、111B…内周面、113B…凸部、221…内周面、222、222B…突起部、2221…端部、223、223A、223B…溝部、2231…端部、511…ガイドエッジ部、512…外周面

Claims (3)

  1. 軸線周りに環状の補強環と、
    前記補強環に取り付けられている弾性体から形成されている前記軸線周りに環状の弾性体部と、を備え、
    前記補強環は、軸線方向に延びる円筒状又は略円筒状の部分である円筒部を有し、
    前記弾性体部は、前記軸線方向において前記補強環の一方の側に設けられている環状のシールリップと、前記円筒部の内周面を内側から覆っている嵌合部と、を有しており、
    前記嵌合部は、内周面にて内周側に突出して環状に形成されている突起部と、前記突起部に対して前記軸線方向において隣接した位置に環状に形成されている溝部と、を有している、密封装置。
  2. 前記溝部は、前記軸線方向において、前記突起部よりも前記一方の側に形成されている、
    請求項1に記載の密封装置。
  3. 前記シールリップは、使用状態において内周側に配置されているバルブステムの外周面に接し、
    前記嵌合部は、使用状態において内周側に配置されているバルブガイドの外周面に接し、
    前記円筒部は、使用状態において内周面における前記溝部の外周側に相当する位置から内周側に向かって凸部が形成されている、
    請求項1または2に記載の密封装置。
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