JP2021042793A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、左右の後輪をそれぞれ独立して操舵可能とすることも提案されている。
後輪操舵機能を有する車両に関する従来技術として、例えば、特許文献1には、前後の左輪と右輪とを独立して操舵する独立操舵手段を有する車両において、いわゆるスプリットμ路であっても車両の安定性を保つため、左輪側と右輪側の路面状態をスリップ率に基づいて検出し、スリップ率が小さい側の車輪を車両挙動に基づく目標制御量で制御するとともに、スリップ率が大きい側の車輪の横力が略ゼロとなるように操舵制御を行うことが記載されている。
特許文献2には、車両の後輪操舵装置において、スリップ制御装置が作動状態にあることが確認された場合に、転舵特性を同位相側に補正するとともに、走行路が低μ路であることが確認された場合に、転舵特性を同位相側に補正することが記載されている。
このような差動機構には、走破性や操縦性能の向上を目的として、左右車輪の差回転を制限する差動制限機構(LSD)が設けられる場合がある。
差動制限機構は、左右一方の車輪にスリップが生じた場合、回転速度が高い側から低い側へトルクが移動(トルクバイアス)する特性を有する。
例えば、車両が直進状態で加速中に、左右車輪の一方が接する路面の摩擦係数が他方に対して急激に低下した場合(例えば、アイスパッチやオイルに乗った場合)、当該車輪のスリップが発生して差動制限装置が拘束され、トルクバイアスにより他方の車輪の駆動力が急激に増加する場合がある。
このような状況となった場合、左右車輪の駆動力差によって車体を旋回させるヨーモーメントが発生し、車両の挙動が不安定となってしまう。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、左右車輪が接地する路面の摩擦係数が異なる場合であっても車両挙動を安定化することができる車両制御装置を提供することである。
請求項1に係る発明は、右側車輪及び左側車輪に駆動力を伝達するとともに前記右側車輪と前記左側車輪との差動を許容する差動機構と、前記差動機構に設けられ前記差動を制限する締結状態と前記差動を許容する解放状態とを切替可能な差動制限機構と、ドライバの操舵操作量を検出する操舵操作検出部と、ドライバのアクセル操作量を検出するアクセル操作検出部と、車両の旋回挙動を検出する車両挙動検出部と、前記操舵操作量の変化量が所定の閾値以下であり、前記アクセル操作量の変化量が所定の閾値以下であり、かつ前記旋回挙動が検出された場合に、前記差動制限機構を解放状態とするヨー抑制制御を行う制御部とを備えることを特徴とする車両制御装置である。
これによれば、ドライバによる操舵操作、アクセル操作が閾値以下である状態で、左右車輪が接地する路面の摩擦係数が異なる状態となり旋回挙動が発生したときに、差動制限機構(LSD)を解放状態とすることにより、低摩擦係数側の車輪から高摩擦係数側の車輪へのトルク移動(トルクバイアス)によって旋回挙動を促進させるヨーモーメントが発生することを防止し、車両の挙動を安定化することができる。
請求項3に係る発明は、右側車輪及び左側車輪に駆動力を伝達するとともに前記右側車輪と前記左側車輪との差動を許容する差動機構と、前記差動機構に設けられ前記差動を制限する差動制限機構と前記右側車輪と前記左側車輪との少なくとも一方を操舵する操舵機構と、ドライバの操舵操作量を検出する操舵操作検出部と、ドライバのアクセル操作量を検出するアクセル操作検出部と、車両の旋回状態を検出する車両挙動検出部と、前記操舵操作量の変化量が所定の閾値以下であり、前記アクセル操作量の変化量が所定の閾値以下であり、かつ前記旋回挙動が検出された場合に、前記旋回挙動を抑制する方向に前記操舵機構を作動させるヨー抑制制御を行う制御部とを備えることを特徴とする車両制御装置である。
これらの各発明によれば、ドライバによる操舵操作、アクセル操作が閾値以下である状態で、左右車輪が接地する路面の摩擦係数が異なる状態となり旋回挙動が発生したときに、旋回挙動を抑制する方向に操舵機構を作動させることにより、差動制限機構(LSD)に起因する低摩擦係数側の車輪から高摩擦係数側の車輪へのトルク移動(トルクバイアス)により発生し旋回挙動を促進させるヨーモーメントを打ち消し、車両の挙動を安定化することができる。
以下、本発明を適用した車両制御装置の第1実施形態について説明する。
第1実施形態の車両制御装置は、例えば、乗用車等の自動車に搭載されるものである。
図1は、第1実施形態の車両制御装置を有する車両の駆動系の構成を模式的に示す図である。
左前輪Wfl、右前輪Wfrは、周知の電動パワーステアリング装置を有する操舵装置により、ドライバからの操舵操作、あるいは、自動運転装置、運転支援装置からの操舵指令値に応じて、左右連動してステアされる。
センターディファレンシャル2は、例えばエンジン、モータジェネレータ等の走行用動力源が発生する出力を、フロントディファレンシャル3、リアディファレンシャル4に伝達する動力伝達機構である。
センターディファレンシャル2は、フロントディファレンシャル3、リアディファレンシャル4の回転速度差を許容する差動機構を備えている。
また、この差動機構は、回転速度差を規制する差動制限機構(リミテッドスリップディファレンシャル:LSD)を有する。
差動制限機構として、例えば、前輪側の出力部と後輪側の出力部とを相互に拘束する締結状態と、拘束を解除した解放状態とを切換可能であるとともに、締結状態における締結力を制御可能な油圧式あるいは電磁式などの湿式多板クラッチ(トランスファクラッチ141)を用いることができる。
フロントディファレンシャル3は、左前輪Wfl、右前輪Wfrの回転速度差(差動)を許容する差動機構を備えている。
リアディファレンシャル4は、左後輪Wrl、右後輪Wrrの回転速度差(差動)を許容する差動機構を備えている。
これらの差動制限機構として、例えば、電磁式、油圧式等のクラッチアクチュエータ150(図2参照)によって圧着される湿式多板クラッチを有する電子制御式LSD(アクティブLSD)を用いることができる。
また、LSDは、回転速度が速い側の車輪から、回転速度が遅い側の車輪へトルクを移動(トルクバイアス)させる特性を有する。例えば、旋回時に旋回内輪にスリップが生じた場合(タイヤのスリップ率が通常の旋回時よりも高い状態である場合)には、旋回内輪側から旋回外輪側へのトルクの移動が生じ、旋回外輪側の駆動力が旋回内輪側よりも大きくなる。
なお、スリップ率は、車体速度と車輪速度(周速)との差分を、車体速度で除することによって得られる値である。
図2は、第1実施形態の車両制御装置における制御システムの構成を模式的に示すブロック図である。
第1実施形態の車両制御装置100は、車両運動制御ユニット110、パワーステアリング制御ユニット120、エンジン制御ユニット130、トランスミッション制御ユニット140、LSDアクチュエータ150等を有する。
これらの各ユニットは、例えば、CPU等の情報処理部、RAMやROMなどの記憶部、入出力インターフェイス及びこれらを接続するバス等を有する。
また、各ユニットは、例えばCAN通信システムなどの車載LANシステムを介して、相互に通信可能となっている。
車両制御ユニット110は、パワーステアリング制御ユニット120から、前輪を操舵する操舵装置の現在の舵角(ドライバの操舵操作量)に関する情報を取得する。
また、車両制御ユニット110は、エンジン制御ユニット130から、アクセル開度(ドライバのアクセルペダル操作量)に関する情報を取得する。
ヨーレートセンサ111は、車体の鉛直軸回りの回転角速度(ヨーレート)を検出するものである。
横Gセンサ112は、車体に車幅方向に作用する加速度を検出するものである。
ヨーレートセンサ111、横Gセンサ112は、後述する舵角センサ121と協働して車両の旋回状態を検出する車両挙動検出部として機能する。
車輪速センサ113は、各車輪の回転速度を個別に検出するものである。
車輪速センサ113が検出する各車輪の回転速度を比較することにより、特定の車輪のスリップ率を推定することが可能である。
車輪速センサ113は、スリップ状態検出部としての機能を有する。
パワーステアリング制御ユニット120には、舵角センサ121が接続されている。
舵角センサ121は、ドライバが操舵操作を入力するステアリングホイールが接続されたステアリングシャフトの回転角度を検出する角度エンコーダを有する。
舵角センサ121が検出する舵角は、ドライバからの操舵操作量とほぼ一致する。
エンジン制御ユニット130には、アクセル開度センサ131が接続されている。
アクセル開度センサ131は、ドライバが加速要求を入力する図示しないアクセルペダルの操作量(踏込み量)を検出するものである。
エンジン制御ユニット130は、アクセル開度センサ131の出力等に基づいてドライバ要求トルクを設定し、エンジンが実際に発生する実トルクがドライバ要求トルクと一致するよう、エンジンの出力調整を行う。
変速機として、例えばチェーン式の無段変速機を用いることができる。
また、トランスミッション制御ユニット140は、センターディファレンシャル2に設けられるトランスファクラッチ141の締結力(拘束力)を制御する機能を有する。
LSDアクチュエータ150は、例えば、電磁式、あるいは、油圧式のアクチュエータである。
LSDアクチュエータ150は、車両運動制御ユニット110から伝達される指令に応じて、LSDの拘束力を変化させ、ロック状態と解放状態との間で左右輪間でのトルク伝達能力を無段階あるいは段階的に変化させる機能を有する。
図3は、差動制限機構を有する車両の直進加速時のタイヤ駆動力等の状態を模式的に示す図である。
図3(a)は、左右後輪が接地する路面の摩擦係数が同等である状態を示している。
図3(b)は、左後輪が接地する路面の摩擦係数が他よりも低いスプリットμ状態を示している。
このとき、リアディファレンシャル4の差動制限機構が締結状態(トルクバイアスが生じる状態)となっていると、トルクバイアスにより、左後輪Wrl側から右後輪Wrr側へトルクが移動し、右後輪Wrrの駆動力Trrが大きくなる。
このような左右の駆動力差は、車体を図3における反時計方向へ回転させるヨーモーメントMを発生させ、ドライバの意図しない旋回挙動の原因となる。
図4は、第1実施形態の車両制御装置における直進加速時の動作を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
車両運動制御ユニット110は、ステアリング制御ユニット120を介して舵角センサ121が検出した舵角に関する情報を取得し、その履歴を所定期間にわたって保持する。
その後、ステップS02に進む。
車両運動制御ユニット110は、エンジン制御ユニット130を介して、アクセル開度センサ131が検出したアクセル開度に関する情報を取得し、その履歴を所定期間にわたって保持する。
その後、ステップS03に進む。
車両運動制御ユニット110は、ステップS01において取得した舵角の変化量、及び、ステップS02において取得したアクセル開度の変化量を、それぞれ予め設定された閾値と比較する。
舵角、アクセル開度の変化量がともに閾値以下である場合はステップS04に進み、その他の場合はステップS08に進む。
車両運動制御ユニット110は、車輪速センサ113が検出した各車輪の回転速度に関する情報を取得し、その履歴を所定期間にわたって保持する。
その後ステップS05に進む。
車両運動制御ユニット110は、ヨーレートセンサ111が検出した車体のヨーレートに関する情報を取得し、その履歴を所定期間にわたって保持する。
その後ステップS06に進む。
車両運動制御ユニット110は、ステップS04において取得した車輪速に関する情報、ステップS05において取得したヨーレートに関する情報に基づいて、車両が直進状態から旋回状態へ急変したか否かを判別する。
例えば、一部の車輪の回転速度が他の車輪の回転速度に対して、所定の閾値以上上昇しており(スリップ状態)、かつ、所定の閾値以上のヨーレートの変化があった場合に、車両状態が急変したものと判別することができる。
車両状態急変が判定された場合はステップS07に進み、その他の場合はステップS08に進む。
車両運動制御ユニット110は、LSDアクチュエータ150が多板クラッチのプレッシャープレートに与える圧着力をゼロとし、LSDを解放状態(左後輪Wrlと右後輪Wrrとの間でトルクバイアスが発生しない状態)とするヨー抑制制御を行う。
これにより、右後輪Wrlのスリップが生じている場合であっても、図3(b)に破線で図示するように、右後輪Wrlの駆動力Trrを左後輪Wrrの駆動力Trlと同等まで低くすることができる。
これにより、左右の駆動力差によるヨーモーメントの発生が防止される。
その後、一連の処理を終了(リターン)する。
車両運動制御ユニット110は、通常走行時におけるLSDアクチュエータ150の制御を実行する。
通常走行時においては、リアディファレンシャル4のLSDは、基本的に解放状態とされ、例えば、車輪速センサ113の出力に基づいて、左後輪Wrl又は右後輪Wrrのスリップ率増加が検出された場合に締結状態とされる。
LSDの拘束力(締結力)は、左後輪Wrlと右後輪Wrrとの回転速度差の増加に応じて強化される構成とすることができる。
その後、一連の処理を終了(リターン)する。
次に、本発明を適用した車両制御装置の第2実施形態について説明する。
第2実施形態において、上述した第1実施形態と共通する箇所には同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
左後輪Wrl、右後輪Wrrは、左右独立した後輪操舵機構により、独立してステア可能となっている。
第2実施形態において、車両は、以下説明する後輪操舵機構を備えている。
図5は、左後輪のサスペンション装置を、斜め前方側かつ斜め上方側から見た状態を示している。
サスペンション装置10は、リアサブフレーム11、ハウジング12、ロワアーム13、アッパアーム14、トレーリングアーム15、トーコントロールアーム16、ダンパスプリングユニット17、スタビライザ18、アクチュエータ20等を備えて構成されている。
リアサブフレーム11には、各アーム類の車体側支点が設けられる。
リアサブフレーム11は、例えば、上方から見た平面視においてほぼ矩形状(井桁状)に形成され、前方左右、後方左右の4か所において、弾性体ブッシュを介して車体に締結されている。
サスペンション装置10は、ハウジング12を車体及びリアサブフレーム11に対して、所定の軌跡に沿ってストローク可能に支持する機能を有する。
アッパアーム14は、平面視において車幅方向にほぼ沿いかつロワアーム13の上方側に設けられ、ハウジング12の上部と、リアサブフレーム11との間にわたして設けられたリンク状の部材である。
ロワアーム13、アッパアーム14は、ハウジング12の主に車幅方向における位置決めを行うとともに、ストローク時における左後輪Wrlのキャンバ変化をコントロールする機能を有する。
トレーリングアーム15は、ハウジング12の主に車両前後方向における位置決めを行うとともに、ストローク時における左後輪Wrlを車幅方向から見たときの軌跡をコントロールする機能を有する。
トーコントロールアーム16は、ハウジング12の主にトー角(鉛直軸回りにおける角度位置)をコントロールする機能を有する。
ダンパ(ショックアブソーバ)は、サスペンション装置10のストローク速度に応じた減衰力を発生する減衰要素である。
コイルスプリングは、ダンパの外径側にダンパと同心に設けられ、サスペンション装置10のストローク量に応じたばね反力を発生する。
ダンパスプリングユニット17の下端部は、ロワアーム13のハウジング12側の端部近傍に揺動可能に連結されている。
ダンパスプリングユニット17の上端部は、車体側に設けられた図示しないマウント部に締結される。
スタビライザ18は、ばね鋼からなる棒材により形成されたトーションバースプリングであるスタビライザバーの両端部を、左右のロワアーム13に図示しないリンクを介して連結して構成されている。
アクチュエータ20は、例えば、ボールねじ機構及びこれを駆動する電動モータ等を有する構成とすることができる。
アクチュエータ20は、後述する後輪操舵制御ユニット160からの指令に応じて伸縮する。
なお、以下の説明において、左右のサスペンション装置10にそれぞれ設けられたアクチュエータ20に、添字L,Rをそれぞれ付して説明する。
図6は、第2実施形態の車両制御装置における制御システムの構成を模式的に示すブロック図である。
第2実施形態の車両制御装置100は、第1実施形態におけるLSDアクチュエータ150に代えて、以下説明する後輪操舵制御ユニット160を備えている。
なお、第2実施形態の車両制御装置においては、リアディファレンシャル4の差動制限装置として、例えば、左右車輪の回転速度差に応じて多板クラッチのクラッチプレートを押圧するカム機構を有する機械式LSDを用いることができる。
機械式LSDは、左右車輪の一方がスリップ状態となったときに、多板クラッチを締結して左右車輪の回転速度差を制限する。
図7は、第2実施形態の車両制御装置における直進加速時の動作を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
車両運動制御ユニット110は、ステアリング制御ユニット120を介して舵角センサ121が検出した舵角に関する情報を取得し、その履歴を所定期間にわたって保持する。
その後、ステップS12に進む。
車両運動制御ユニット110は、エンジン制御ユニット130を介して、アクセル開度センサ131が検出したアクセル開度に関する情報を取得し、その履歴を所定期間にわたって保持する。
その後、ステップS13に進む。
車両運動制御ユニット110は、ステップS11において取得した舵角の変化量、及び、ステップS12において取得したアクセル開度の変化量を、それぞれ予め設定された閾値と比較する。
舵角、アクセル開度の変化量がともに閾値以下である場合はステップS14に進み、その他の場合は一連の処理を終了(リターン)する。
車両運動制御ユニット110は、車輪速センサ113が検出した各車輪の回転速度に関する情報を取得し、その履歴を所定期間にわたって保持する。
その後ステップS15に進む。
車両運動制御ユニット110は、ヨーレートセンサ111が検出した車体のヨーレートに関する情報を取得し、その履歴を所定期間にわたって保持する。
その後ステップS16に進む。
車両運動制御ユニット110は、ステップS14において取得した車輪速に関する情報、ステップS15において取得したヨーレートに関する情報に基づいて、車両が直進状態から旋回状態へ急変したか否かを判別する。
例えば、一部の車輪の回転速度が他の車輪の回転速度に対して、所定の閾値以上上昇しており(スリップ状態)、かつ、所定の閾値以上のヨーレートの変化があった場合に、車両状態が急変したものと判別することができる。
車両状態急変が判定された場合はステップS17に進み、その他の場合は一連の処理を終了(リターン)する。
車両運動制御ユニット110は、左後輪Wrl及び右後輪Wrrをステアして、各車輪のコーナリングフォースCFrl、CFrrが発生するヨーモーメントでトルクバイアスに起因するヨーモーメントを打ち消すために必要な後輪操舵量(舵角)を算出する。
その後、ステップS18に進む。
車両運動制御ユニット110は、ステップS08において算出した後輪操舵量を、後輪操舵制御ユニット160に指令する。
指令を受けた後輪操舵制御ユニット160は、アクチュエータ20L、20Rを伸縮させて、左後輪Wrl及び右後輪Wrrを指令された後輪操舵量だけステアさせるヨー抑制制御を行う。
その後、一連の処理を終了(リターン)する。
図8(a)は、左右後輪が接地する路面の摩擦係数が同等である状態を示している。
図8(b)は、左後輪が接地する路面の摩擦係数が他よりも低いスプリットμ状態を示している。
一方、図8(b)に示す状態においては、左後輪Wrlのスリップに伴い、図3(b)と同様のトルクバイアスが発生し、これによる反時計回りのヨーモーメントMtが発生している。
そこで、第2実施形態においては、左後輪Wrl及び右後輪Wrrを、左側に操舵し、タイヤにスリップアングルを与えてコーナリングフォースCFrl、CFrrを発生させている。
このコーナリングフォースCFrl、CFrrが発生するヨーモーメントMsは、上述したヨーモーメントMtを相殺するよう、反対向きでありかつ同等の大きさとなる。
本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)車両制御装置及び車両の構成は、上述した各実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
(2)車両が直進加速中にスプリットμ路面に進入し、ドライバの操舵操作によらないヨー挙動が発生した場合に、第1実施形態においては電制LSDの締結力(トルク伝達能力)をゼロとし、第2実施形態においては後輪の操舵によって車両の直進性を維持する制御を行っているが、これらの制御を併用してもよい。
(3)各実施形態において、車両は例えばセンター及び前後アクスルにディファレンシャルを有するフルタイムAWD(全輪駆動)車であり、LSDの解放制御や操舵制御は後輪で行っているが、これらの制御を前輪で行ってもよい。
また、本発明は、後輪駆動車の後輪や、前輪駆動車の前輪にも適用することができる。
(4)第2実施形態において、差動制限機構は、例えば、カム機構によりクラッチを圧着させる機械式LSDであったが、本発明はこれに限定されず、他の方式の差動制限機構を有する車両にも適用することができる。
例えば、トルク感応式などの異なった種類の機械式LSDや、第1実施形態と同様の電制式LSD、流体の粘性を差動制限に用いるビスカスカップリング式LSDなど、異なった種類の差動制限機構を有する車両にも本発明は適用することができる。
3 フロントディファレンシャル 4 リアディファレンシャル
10 サスペンション装置 11 リアサブフレーム
12 ハウジング 13 ロワアーム
14 アッパアーム 15 トレーリングアーム
16 トーコントロールアーム 17 ダンパスプリングユニット
18 スタビライザ
20(20L,20R) アクチュエータ
100 車両制御装置 110 車両運動制御ユニット
111 ヨーレートセンサ 112 横Gセンサ
113 車輪速センサ 120 パワーステアリング制御ユニット
121 舵角センサ 130 エンジン制御ユニット
131 アクセル開度センサ 140 トランスミッション制御ユニット
141 トランスファクラッチ 150 LSDアクチュエータ
160 後輪操舵制御ユニット
Wfl 左前輪 Wfr 右前輪
Wrl 左後輪 Wrr 右後輪
Trl 左後輪駆動力 Trr 右後輪駆動力
CFrl 左後輪コーナリングフォース
CFrr 右後輪コーナリングフォース
Claims (3)
- 右側車輪及び左側車輪に駆動力を伝達するとともに前記右側車輪と前記左側車輪との差動を許容する差動機構と、
前記差動機構に設けられ前記差動を制限する締結状態と前記差動を許容する解放状態とを切替可能な差動制限機構と、
ドライバの操舵操作量を検出する操舵操作検出部と、
ドライバのアクセル操作量を検出するアクセル操作検出部と、
車両の旋回挙動を検出する車両挙動検出部と、
前記操舵操作量の変化量が所定の閾値以下であり、前記アクセル操作量の変化量が所定の閾値以下であり、かつ前記旋回挙動が検出された場合に、前記差動制限機構を解放状態とするヨー抑制制御を行う制御部と
を備えることを特徴とする車両制御装置。 - 前記右側車輪と前記左側車輪との少なくとも一方を操舵する操舵機構を有し、
前記制御部は、前記ヨー抑制制御を行う際に、前記旋回挙動を抑制する方向に前記操舵機構を作動させる
こと
を特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。 - 右側車輪及び左側車輪に駆動力を伝達するとともに前記右側車輪と前記左側車輪との差動を許容する差動機構と、
前記差動機構に設けられ前記差動を制限する差動制限機構と
前記右側車輪と前記左側車輪との少なくとも一方を操舵する操舵機構と、
ドライバの操舵操作量を検出する操舵操作検出部と、
ドライバのアクセル操作量を検出するアクセル操作検出部と、
車両の旋回状態を検出する車両挙動検出部と、
前記操舵操作量の変化量が所定の閾値以下であり、前記アクセル操作量の変化量が所定の閾値以下であり、かつ前記旋回挙動が検出された場合に、前記旋回挙動を抑制する方向に前記操舵機構を作動させるヨー抑制制御を行う制御部と
を備えることを特徴とする車両制御装置。
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