JP2021042509A - 紡績ユニット及び紡績糸の製造方法 - Google Patents

紡績ユニット及び紡績糸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】風合いが柔らかく、均一な外観の紡績糸を生成可能な紡績ユニットを提供する。【解決手段】紡績ユニットは、ドラフト装置と、空気紡績装置9と、を備える。空気紡績装置9が備えるノズルブロック33には、紡績ノズル37と、円柱状の旋回室34を形成する内壁面35と、が形成されている。内壁面35は全体にわたって軸中心と平行である。フロントローラ対25のニップ点から中空ガイド軸体40の繊維走行方向の上流端までの距離である第1距離L1は、旋回室34の周長以下である。軸中心で見たときに、紡績ノズル37のノズル中心線102は、内壁面35に接しているか、軸中心側に当該紡績ノズル37の半径以下の平行移動を行うことで当該内壁面35に接する。紡績ノズル37の噴出口37aが形成されている箇所における旋回室34の直径dが6.7mm以上9.0mm未満である。【選択図】図6

Description

本発明は、主として、空気を用いて紡績を行う紡績ユニットに関する。
空気を用いて紡績を行う紡績ユニットは、ドラフト装置と、空気紡績装置と、を備える。ドラフト装置は、ローラ対で繊維束を引き延ばす。空気紡績装置は、ノズルブロックと、中空ガイド軸体と、を備える。ノズルブロックには紡績ノズルが形成されている。紡績ノズルから圧縮空気が噴出されることで、旋回空気流が発生する。この旋回空気流によって、中空ガイド軸体の周囲において、繊維束の繊維の端部が反転して旋回する。反転した繊維は芯繊維に巻き付く。この繊維束は、中空ガイド軸体の内部の通路を通って下流側に進み、紡績糸として下流へ送られる。特許文献1から3では、この種の紡績方法が開示されている。
特許文献1には、中空ガイド軸体を挿入するための透孔がノズルブロックに形成されることが記載されている。また、特許文献1には、透孔のうち最も上流側の円柱状空間部の内径を4mmから6mmにすることが記載されている。
特許文献2には、スピンドル(中空ガイド軸体)の入り口からフロントローラまでの距離(第1距離)を16.5mm、20.5mm、24.5mmとすることが記載されている。また、特許文献2には、ノズルブロックの径を7mmとすることが記載されている。なお、特許文献2のノズルブロックは、スピンドルよりも上流側の部分のみに設けられた部材である。また、特許文献2に記載のスピンドルは、軸を中心として回転可能に取り付けられている。
特許文献3には、旋回気流により反転した巻付繊維がノズルブロックの内周壁に沿って略一周することが記載されている。
特開2003−193338号公報 特開平3−241019号公報 特開2009−1934号公報
従来の紡績方法では、旋回空気流が発生する位置及びその強さ等により、巻付繊維に強いテンションが掛かり、巻付繊維が強い力で芯繊維に局所的に巻き付くことがある。更に、従来の紡績方法では、旋回室内に供給された巻付繊維が、次に供給された巻付繊維と重なることによっても、巻付繊維が強い力で芯繊維に局所的に巻き付くことがある。このような紡績糸は、巻付繊維が局所的に強い力で巻き付いているため、風合いが硬くなる。更に、紡績糸の表面に巻付繊維と芯繊維が分かれて存在することになり、巻付繊維と芯繊維では光の反射態様が異なるため、紡績糸の外観が非均一となる。特許文献1から3に示されている条件は、巻付繊維を芯繊維に均一に巻き付けるためには十分ではない。
本発明の主要な目的は、風合いが柔らかく、均一な外観の紡績糸を生成可能な紡績ユニットを提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の紡績ユニットが提供される。即ち、この紡績ユニットは、ドラフト装置と、空気紡績装置と、を備える。前記ドラフト装置は、繊維束をニップして送出するフロントローラ対を含んで構成されており、前記繊維束をドラフトする。前記空気紡績装置は、前記ドラフト装置が送出した前記繊維束に旋回空気流を作用させて紡績糸を生成する。前記空気紡績装置は、ノズルブロックと、中空ガイド軸体と、を備える。前記ノズルブロックには、空気を噴出するための紡績ノズルと、円柱状の旋回室を形成する内壁面と、が形成されており、前記紡績ノズルから噴出した空気により前記旋回室に旋回空気流が発生する。前記中空ガイド軸体は、前記旋回室を通過した前記繊維束が内部を通過するとともに、前記空気紡績装置の軸中心を回転中心とした回転が紡績中は規制されるように取り付けられる。前記内壁面は全体にわたって前記軸中心と平行である。前記フロントローラ対のニップ点から前記中空ガイド軸体の繊維走行方向の上流端までの距離である第1距離は、前記旋回室の周長以下である。前記軸中心で見たときに、前記紡績ノズルのノズル中心線は、前記内壁面に接しているか、径方向外側に当該紡績ノズルの半径以下の平行移動を行うことで当該内壁面に接する。前記紡績ノズルの噴出口が形成されている箇所における前記旋回室の直径が6.7mm以上9.0mm未満である。
ノズル中心線と内壁面が上記の関係を有し、更に、旋回室の内壁面が軸中心と平行であるため、内壁面に沿う旋回空気流を巻付繊維に作用させることができる。これにより、巻付繊維が内壁面に沿うように旋回するため、巻付繊維が中空ガイド軸体の外表面の周囲を旋回する場合と比較して、巻付繊維を分散させつつ、巻付繊維に掛かるテンションを軽減できる。また、第1距離が旋回室の周長以下なので、旋回室内で巻付繊維が1周しにくいため、次に供給された巻付繊維と重なりにくい。この点においても、巻付繊維が分散し易くなる。また、一般的な第1距離を考慮すると、旋回室の直径が上記の範囲(6.7mm以上9.0mm未満)であることが、更に好ましい。巻付繊維が分散したりテンションが軽減されたりすることで、巻付繊維が芯繊維に均一に巻き付き易くなる。その結果、風合いが柔らかく、均一な外観の紡績糸を生成できる。
前記の紡績ユニットにおいては、前記軸中心に平行な任意の平面で切った断面において、前記軸中心と前記内壁面とがなす角が1.5°以内であることが好ましい。
これにより、軸中心と内壁面の平行度が十分高いので、内壁面に沿うとともに、乱れの少ない旋回空気流を発生させることができる。
前記の紡績ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記旋回室の直径をdとする。前記旋回室の径方向で見たときに、前記軸中心に垂直な平面と、前記ノズル中心線と、がなす角であるノズル角度をθとする。前記噴出口から前記旋回室の繊維走行方向の下流端までの前記軸中心に沿う長さをhとする。この場合、dπ/2tanθ≦h≦dπ/tanθが成立する。
これにより、ノズル角度に沿って流れる旋回空気流が旋回室内を半周から1周することとなるので、適切な範囲で巻付繊維を旋回させることができる。
前記の紡績ユニットにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記空気紡績装置は、前記ドラフト装置が送出した前記繊維束を前記旋回室に向けて案内する繊維案内部材を備える。前記繊維案内部材の繊維走行方向の下流端から、前記中空ガイド軸体の繊維走行方向の上流端までの距離の、前記中空ガイド軸体の軸中心に平行な方向の成分である第2距離が0.3mm以上7.0mm以下である。
これにより、巻付繊維に掛かるテンションを軽減しつつ、脱落する繊維の量を少なくすることができる。
前記の紡績ユニットにおいては、前記ノズルブロックに形成されている前記紡績ノズルの数が、3以上6以下であることが好ましい。
これにより、紡績ノズルが複数形成されることで、噴出口から噴出した空気が、別の噴出口から噴出した空気にあたることで、噴出口よりも繊維走行方向の上流側にも旋回空気流を発生させることができる。そのため、旋回室の広い範囲において内壁面に沿う旋回空気流を発生させることができる。また、紡績ノズルの数を多くし過ぎないことで、旋回空気流の乱れを小さくすることができる。
前記の紡績ユニットにおいては、前記第1距離が19mm以上28mm以下であることが好ましい。
これにより、紡績ユニットは、様々な条件で紡績を行う場合に対応することができる。
本発明の第2の観点によれば、以下の紡績糸の製造方法が提供される。即ち、この紡績糸の製造方法は、ドラフト工程と、紡績工程と、を含む。前記ドラフト工程では、繊維束をニップして送出するフロントローラ対を含んで構成されたドラフト装置を用いて、前記繊維束をドラフトする。前記紡績工程では、前記ドラフト装置が送出した前記繊維束に旋回空気流を作用させる空気紡績装置を用いて、紡績糸を生成する。前記空気紡績装置は、ノズルブロックと、中空ガイド軸体と、を備える。前記ノズルブロックは、空気を噴出するための紡績ノズルと、円柱状の旋回室を形成する内壁面と、が形成されており、前記紡績ノズルから噴出した空気により前記旋回室に旋回空気流が発生する。前記中空ガイド軸体は、前記旋回室を通過した前記繊維束が内部を通過するとともに、前記空気紡績装置の軸中心を回転中心とした回転が紡績中は規制されるように取り付けられる。前記内壁面は、前記軸中心と平行である。前記フロントローラ対のニップ点から前記中空ガイド軸体の繊維走行方向の上流端までの距離である第1距離は、前記旋回室の周長以下である。前記軸中心で見たときに、前記紡績ノズルのノズル中心線は、前記内壁面に接しているか、径方向外側に当該紡績ノズルの半径以下の平行移動を行うことで当該内壁面に接する。前記紡績ノズルの噴出口が形成されている箇所における前記旋回室の直径が6.7mm以上9.0mm未満である。
これにより、風合いが柔らかく、均一な外観の紡績糸を生成できる。
本発明の一実施形態に係る紡績ユニットを含む紡績機の全体的な構成を示す正面図。 紡績ユニットの側面図。 空気紡績装置の構成を示す断面図。 従来の紡績方法で生成される紡績糸の模式図。 空気紡績装置を軸方向で見た断面図(平面断面図)。 ドラフト装置及び空気紡績装置の各部のサイズ及び角度を示す断面図。 本実施形態の紡績方法で生成される紡績糸の模式図。
次に、本発明の一実施形態に係る紡績ユニット2を含む紡績機1について、図面を参照して説明する。図1に示す紡績機1は、並設された多数の紡績ユニット2と、糸継台車3と、原動機ボックス4と、機台制御装置90と、を備える。
機台制御装置90は、紡績機1が備える各構成を集中的に管理する装置であって、モニタ91と入力キー92とを備える。オペレータが入力キー92を用いて適宜の操作を行うことにより、特定の紡績ユニット2又は全ての紡績ユニット2の設定を行ったり、特定の紡績ユニット2又は全ての紡績ユニット2の設定及び状態等をモニタ91に表示したりすることができる。
図2に示すように、各紡績ユニット2は、上流から下流へ向かって順に配置された、ドラフト装置7と、空気紡績装置9と、糸貯留装置14と、巻取装置96と、を備える。なお、本明細書において「上流」及び「下流」とは、紡績時での繊維束8及び紡績糸10の走行(通過)方向、又は送出される圧縮空気の流れ方向における上流及び下流を意味する。各紡績ユニット2は、ドラフト装置7から送られてくる繊維束8を空気紡績装置9で紡績して紡績糸10を生成し、この紡績糸10を巻取装置96で巻き取ってパッケージ28を形成する。
ドラフト装置7は紡績機1の筐体5の上端近傍に設けられている。ドラフト装置7は、上流側から順に、バックローラ対21、サードローラ対22、エプロンベルト23を装架したミドルローラ対24、及びフロントローラ対25の4つのローラ対を備える。ドラフト装置7は、図略のスライバケースからスライバガイド20を介して供給される繊維束8(スライバ)を、それぞれのローラ対でニップして(挟み込んで)回転することで、所定の太さになるまでドラフトする(繊維束8を引き伸ばす)。ドラフト装置7でドラフトされた繊維束8は、空気紡績装置9に供給される。以下では、フロントローラ対25が繊維束8をニップする箇所をニップ点と称する。
空気紡績装置9は、ドラフト装置7から供給された繊維束8を用いて紡績糸10を生成する。具体的には、図3に示すように、空気紡績装置9は、繊維案内部材31と、針状部材32と、ノズルブロック33と、中空ガイド軸体40と、を備える。
繊維案内部材31は、ドラフト装置7でドラフトされた繊維束8を空気紡績装置9の内部に向けて案内する。針状部材32は、繊維案内部材31に取り付けられている。ドラフト装置7でドラフトされた繊維束8は、繊維案内部材31の内部に導入され、針状部材32に巻き掛かるようにして案内される。繊維案内部材31の下流端には、第1平面31aが形成されている。第1平面31aには、平面状であり、針状部材32を配置したり繊維束8を通過させたりするための開口部が形成されている。
繊維案内部材31の下流側には、ノズルブロック33が配置されている。ノズルブロック33は中空状の部分を有しており、この中空状の部分を繊維束8が通過する。具体的には、ノズルブロック33には、円柱状の空間である旋回室34が形成されている。ノズルブロック33は、旋回室34の周方向に沿う曲面である内壁面35を有している。また、繊維案内部材31の第1平面31aは、旋回室34の上流端を形成している。旋回室34の軸中心は、針状部材32の軸中心、及び、中空ガイド軸体40の軸中心と一致している。以下では、これらの軸中心(即ち、空気紡績装置9の軸中心)を単に軸中心と称することがある。
ノズルブロック33には、紡績ノズル37が形成されている。紡績ノズル37は、空気噴出側である噴出口37aが旋回室34を向くように形成されている。空気紡績装置9は、紡績ノズル37から旋回室34内に圧縮空気を噴出して、旋回室34内の繊維束8に旋回空気流を作用させる。
繊維束8は、多数の繊維から構成されている。繊維束8に含まれている繊維のうち、一部は、フロントローラ対25のニップ点と中空ガイド軸体40との間で連続状態となる。この状態の繊維を、芯繊維8aと称する。また、繊維束8に含まれている繊維のうち、別の一部は、フロントローラ対25のニップ点と中空ガイド軸体40との間で連続状態でない。この種の繊維の下流端は芯繊維8aに撚り込まれているが、上流端は自由端である。空気紡績装置9内に導入された各繊維の自由端は、紡績ノズル37から噴出された圧縮空気によって発生した旋回空気流により、旋回しながら下流側に流される。このように、各繊維の自由端(上流端)が下流側に流されることにより、当該自由端の向きが「反転」して、下流側(図3の下側)を向く。この反転した繊維は、後述のように芯繊維8aに巻き付くため、この反転した繊維を巻付繊維8bと称する。
巻付繊維8bの自由端は、旋回室34内において、中空ガイド軸体40の周囲を螺旋状に流れる旋回空気流の作用を受ける。これにより、巻付繊維8bは、中空ガイド軸体40の外表面(テーパ面)に沿いつつ、当該外表面の周囲を旋回する。これにより、巻付繊維8bは、芯繊維8aの周囲に順次巻き付いていく。
芯繊維8aは、旋回する巻付繊維8bに連れられて加撚される。このように、芯繊維8aの周囲に巻付繊維8bが巻き付き、更に芯繊維8aに撚りが加えられることで、巻付繊維8bが芯繊維8aに撚り込まれて、紡績糸10が生成される。
芯繊維8aの撚りは上流側(フロントローラ対25側)へ伝播しようとするが、その伝播は針状部材32によって阻止される。このように、針状部材32は撚り伝播防止手段としての機能を有している。
ノズルブロック33には、内壁面35の下流端に接続されるように、テーパ面38が形成されている。テーパ面38は、下流側に近づくに連れて径が大きくなる面である。テーパ面38が形成されることにより、ノズルブロック33と中空ガイド軸体40の間隔を確保することができる。これにより、旋回室34に供給された圧縮空気を排出できる。
中空ガイド軸体40は、中空状の部材であり、内部に第2通路40aが形成されている。中空ガイド軸体40は、繊維案内部材31と対向するように配置されている。中空ガイド軸体40は、軸中心を回転中心とする回転が紡績中は規制されるように取付部41に取り付けられている。取付部41は、中空ガイド軸体40の外表面を径方向内側に押圧する構成であるか、あるいは、中空ガイド軸体40に回転方向の力を加えても中空ガイド軸体40の一部と干渉して中空ガイド軸体40が回転できない構成である。中空ガイド軸体40がこのような非回転式の場合、特許文献2のような回転式と比較して、繊維束8に撚りが掛かりにくいことがある。そのため、空気紡績装置9は、繊維束8に撚りを十分に掛けることが可能な構成であることが好ましい。撚りが加えられた繊維束8は、第2通路40aによって下流側に案内されて、糸出口(図略)から紡績糸10として空気紡績装置9の外部へ送出される。
空気紡績装置9の下流には、糸品質測定器12と、スピニングセンサ13と、が設けられている。空気紡績装置9で紡出された紡績糸10は、糸品質測定器12及びスピニングセンサ13を通過する。
糸品質測定器12は、走行する紡績糸10の太さを、図略の光学式センサによって監視する。糸品質測定器12は、紡績糸10の糸欠陥(紡績糸10の太さなどに異常がある箇所)を検出した場合に、糸欠陥検出信号を図略のユニットコントローラへ送信する。糸品質測定器12は光学式のセンサに限らず、例えば静電容量式のセンサで紡績糸10の太さを監視する構成であってもよい。糸品質測定器12は、紡績糸10に含まれる異物を糸欠陥として検出してもよい。
スピニングセンサ13は、糸品質測定器12のすぐ下流側に配置されている。スピニングセンサ13は、空気紡績装置9と糸貯留装置14との間における紡績糸10のテンションを検出することができる。スピニングセンサ13は、この検出したテンションの検出信号を前記ユニットコントローラへと送信する。ユニットコントローラは、スピニングセンサ13が検出したテンションを監視することにより、弱糸などの異常箇所を検出する。紡績ユニット2は、スピニングセンサ13を備えていなくてもよい。
糸品質測定器12及びスピニングセンサ13の下流には、糸貯留装置14が設けられている。糸貯留装置14は、図2に示すように、糸貯留ローラ15と、当該糸貯留ローラ15を回転駆動するモータ16と、を備える。
糸貯留ローラ15は、その外周面に一定量の紡績糸10を巻き付けて一時的に貯留することができる。糸貯留ローラ15の外周面に紡績糸10を巻き付けた状態で当該糸貯留ローラ15を所定の回転速度で回転させることにより、空気紡績装置9から紡績糸10を所定の速度で引き出して下流側に搬送することができる。また、糸貯留ローラ15の外周面に紡績糸10を一時的に貯留することができるので、糸貯留装置14を一種のバッファとして機能させることができる。これにより、空気紡績装置9における紡績速度と、巻取速度(パッケージ28へ巻き取られる紡績糸10の速度)と、が何らかの理由により一致しない不具合(例えば紡績糸10の弛みなど)を解消することができる。
巻取装置96は、クレードルアーム97と、巻取ドラム98と、トラバースガイド99と、図略の巻取ドラム駆動モータと、を備える。クレードルアーム97は、紡績糸10を巻き取るためのボビンを回転可能に支持可能である。巻取ドラム98は、巻取ドラム駆動モータの駆動力が伝達されることにより、前記ボビン又はパッケージ28の外周面に接触した状態で回転する。トラバースガイド99は、紡績糸10を案内可能である。巻取装置96は、トラバースガイド99を図略の駆動手段によって往復動させながら巻取ドラム98を巻取ドラム駆動モータによって駆動する。これにより、巻取装置96は、巻取ドラム98に接触するパッケージ28を回転させ、紡績糸10を綾振りしつつ、紡績糸10をパッケージ28に巻き取る。
糸継台車3は、図1及び図2に示すように、糸継装置93と、サクションパイプ94と、サクションマウス95と、を備える。糸継台車3は、ある紡績ユニット2で糸切れ又は糸切断が発生すると、図略のレール上を当該紡績ユニット2まで走行し、停止する。前記サクションパイプ94は、軸を中心に上方向に回動し、空気紡績装置9から送出される紡績糸10を捕捉し、軸を中心に下方向に回動することで紡績糸10を糸継装置93へ案内する。サクションマウス95は、軸を中心に下方向に回動し、パッケージ28から紡績糸10を捕捉し、軸を中心に上方向に回動することで紡績糸10を糸継装置93へ案内する。糸継装置93は、案内された紡績糸10同士の糸継ぎを行う。
次に、従来の紡績及びその課題について図4を参照して説明する。従来の空気紡績装置を用いた紡績では、強い旋回空気流が主に中空ガイド軸体の外表面の周囲(特に上流端の近傍)に局所的に発生することがある。その結果、巻付繊維8bが中空ガイド軸体の外表面の近傍に集中し、巻付繊維8bが強い力で芯繊維8aに局所的に巻き付くことがある(図4)。局所的な巻付きとは、紡績糸10の長手方向において、巻付繊維8bが巻き付いている箇所と、巻付繊維8bが巻き付いていない箇所と、が明確に区分されることである。また、仮に巻付繊維8bが旋回室の内壁面に沿うように旋回した場合であっても、この巻付繊維8bが次に供給された巻付繊維8bと重なって絡むことがある。その結果、巻付繊維8bが分散しにくいので、巻付繊維8bが強い力で芯繊維8aに局所的に巻き付くことになる。
このような紡績糸10は、巻付繊維8bが局所的に強い力で巻き付いているため、風合いが硬くなる。更に、紡績糸10の表面に巻付繊維8bと芯繊維8aが分かれて存在する。巻付繊維8bと芯繊維8aでは、繊維の向きが異なるために光の反射態様が異なる。その結果、紡績糸10の外観が非均一となる。
次に、主に図5及び図6を参照して、空気紡績装置9の詳細な形状及びドラフト装置7との位置関係等について説明する。以下の説明では、平行又は垂直等の角度を示す用語は、厳密な平行等だけでなく、略平行等も含む。略平行等の範囲としては、例えば誤差が±3°又は±5°であるとする。円形、直線、接線、又は全体等の用語も、厳密な円形等だけでなく、略円形等も含む。
本実施形態の空気紡績装置9は、従来の空気紡績装置と比較して、主に2つの特徴を有する。第1の特徴は、旋回室34の内壁面35に沿う旋回空気流を発生させることが可能であり、更に、噴出口37aよりも繊維走行方向の上流側にも旋回空気流を発生させることが可能であることである。第2の特徴は、巻付繊維8bが次に供給された巻付繊維8bと重ならないことである。
初めに、第1の特徴を発揮するための空気紡績装置9の構成について説明する。
図5に示すように、ノズルブロック33には、4つの紡績ノズル37が形成されている。それぞれの紡績ノズル37は、軸中心に対して90°間隔で形成されている(即ち、紡績ノズル37間の角度が均等になるように形成されている)。
内壁面35に沿う旋回空気流を発生させるため、紡績ノズル37は内壁面35に沿うように形成されている。具体的には、紡績ノズル37は直線状かつ断面円形であり、紡績ノズル37の壁面のうち径方向の最も外側の部分(以下、壁面37b)が、円形の内壁面35に接するように形成されている。以下、この接線をノズル接線101と称する。また、紡績ノズル37の中心線をノズル中心線102と称する。ノズル接線101とノズル中心線102は平行であり、ノズル接線101とノズル中心線102の距離を第3距離L3と称する。本実施形態では、壁面37bとノズル接線101が一致しているため、第3距離L3は紡績ノズル37の半径に一致する。
紡績ノズル37は、本実施形態よりも軸中心から僅かに離れた位置に形成されていてもよい。例えば、ノズル接線101とノズル中心線102が一致するように紡績ノズル37が形成されていてもよい。つまり、ノズル接線101とノズル中心線102が一致するか、ノズル接線101よりも軸中心側にノズル中心線102が位置していればよく、第3距離L3は、0以上かつ紡績ノズル37の半径以下の何れの値であってもよい。言い換えれば、軸中心で見たときに(即ち図5において)、紡績ノズル37のノズル中心線102は、内壁面35に接しているか、径方向外側に紡績ノズル37の半径以下の平行移動を行うことで内壁面35に接する。
このように、紡績ノズル37を内壁面35に沿うように形成することで、内壁面35に沿う旋回空気流を発生させることができる。内壁面35に沿う旋回空気流を巻付繊維8bに作用させることで、巻付繊維8bが内壁面35に沿うように旋回するため、巻付繊維8bを分散させつつ、巻付繊維8bに掛かるテンションを軽減することができる。これにより、巻付繊維8bが芯繊維8aに均一に巻き付き易くなる。
更に、本実施形態のように紡績ノズル37が複数形成されることで、噴出口37aから噴出した空気が、別の噴出口37aから噴出した空気にあたる。そのため、噴出口37aよりも繊維走行方向の上流側にも旋回空気流を発生させることができる。その結果、旋回室34の広い範囲において内壁面35に沿う旋回空気流を発生させることができる。しかし、紡績ノズル37の数が多過ぎる場合、噴出口37aから噴出した空気同士が干渉して旋回空気流が乱れる可能性がある。そのため、紡績ノズル37(噴出口37a)の数は、3以上6以下であることが好ましい。ただし、紡績ノズル37の数は2以下であってもよいし、7以上であってもよい。紡績ノズル37は直線状でなくてもよい。この場合、噴出口37aの近傍の中心線をノズル中心線102とすればよい。
更に、第1の特徴を発揮するために、旋回室34は、径が一定の1つの円柱状の空間である。そのため、内壁面35は、全体において軸中心と平行である。言い換えれば、軸中心に平行な任意の平面で切った断面(例えば図6)において、軸中心の位置を示す軸中心線103と内壁面35とがなす角が0°である。なお、軸中心線103と内壁面35がなす角は1.5°以内の任意の値であってもよい。例えば、下流側に近づくに連れて広がるように内壁面35が傾斜している場合、軸中心線103と内壁面35の延長線は、内壁面35よりも上流側で交差する。この2直線が交差してできる角のうち小さい方が2直線のなす角である。一方、上流側に近づくに連れて広がるように内壁面35が傾斜している場合、軸中心線103と内壁面35の延長線は、内壁面35よりも下流側で交差する。この2直線が交差してできる角のうち小さい方が2直線のなす角である。何れの場合においても、なす角は、0°より大きく、90°より小さい正の値である。
仮に、旋回室に段差が形成されていたりテーパが形成されていたりする場合、噴出口の近傍では旋回空気流は内壁面に沿っていても、噴出口から離れるに連れて、内壁面から離れたり、流れが乱れたりする。この点、本実施形態では旋回室34の径が一定であるため、繊維走行方向の全体にわたって、内壁面35に沿う旋回空気流を発生させることができる。
以上の構成により、旋回室34は上記の第1の特徴を発揮することができる。このような内壁面35に沿う旋回空気流を巻付繊維8bに作用させるために、空気紡績装置9は、更に、第2距離L2に関する条件と、有効長さhに関する条件と、を有する。
第2距離L2とは、繊維案内部材31の下流端(第1平面31a)から、中空ガイド軸体40の上流端までの距離の軸中心に平行な方向の成分である。第2距離L2が短過ぎると、巻付繊維8bが反転しにくくなる。第2距離L2が長過ぎると、ニップ点から中空ガイド軸体40までの距離が長くなるので、繊維束8に含まれる繊維が脱落し易くなる。従って、本実施形態では、第2距離L2は、0.3mm以上であることが好ましく、2.0mm以下、3.0mm以下、5.0mm以下、7.0mm以下であることが好ましい。また、本実施形態の旋回室34は、中空ガイド軸体40の上流端よりも上流側だけでなく下流側にも位置するように形成されている。
有効長さhは、旋回空気流を巻付繊維8bに作用させることができる長さ(軸中心に沿う長さ)である。旋回空気流は、上述のように噴出口37aの上流側にも存在するが、主として噴出口37aの下流側に存在する。そのため、有効長さhは、噴出口37aから旋回室34の繊維走行方向の下流端までの軸中心に沿う長さである。有効長さhは、旋回空気流が旋回室34を半周から1周するように定められる。
具体的には、有効長さhは、ノズル角度θを用いて表される。ノズル角度θとは、旋回室34の径方向で見たときに(即ち図6において)、軸中心に垂直な仮想平面104と、ノズル中心線102と、が交差してできる角度のうち小さい方の角(仮想平面104とノズル中心線102がなす角)である。旋回室34の直径dをdとした場合、「dπ/2tanθ≦h≦dπ/tanθ」が成立することが好ましい。内壁面35が軸中心と厳密に平行でない場合は、例えば噴出口37aが形成される位置における直径dを用いることが好ましい。噴出口37aが形成される位置では、旋回空気流が発生するとともに、巻付繊維8bの旋回等も生じている。
dπは内壁面35の周長である。旋回空気流は、ノズル角度θを維持して内壁面35に沿って流れる。dπ/2tanθ=hが成立するときは、旋回室34の下流端までに旋回空気流が半周する。dπ/tanθ=hが成立するときは、旋回室34の下流端までに旋回空気流が1周する。従って、旋回空気流が旋回室34を半周から1周する場合、上記の式が成立する。これにより、適切な範囲で巻付繊維8bを旋回させることができる。
次に、第2の特徴を発揮するための空気紡績装置9の構成について説明する。
図6に示すように、フロントローラ対25のニップ点から中空ガイド軸体40の上流端(更に詳細には上流端かつ軸中心である点)までの距離を第1距離L1と称する。第1距離L1は、直線距離であり、繊維束8の実際の走行経路に沿う距離ではない。第1距離L1は、3次元空間における線分の長さであるが、フロントローラ対25の軸方向で見た図(図6)における線分の長さとして表現することもできる。第1距離L1が短いほど、反転する繊維が少なくなって巻き付く繊維量が少なくなる傾向にある。巻き付く繊維量は多過ぎても少な過ぎても紡績糸10の品質に影響することがあるため、第1距離L1は、ノズルブロック33の形状、原料(繊維束8)の性質、生成する紡績糸10の糸番手等に応じて、適切な値が設定される。また、繊維束8はフロントローラ対25のニップ点(第1距離L1の一端)において保持されているため、第1距離L1は、巻付繊維8bの最大長さに一致する。
本実施形態では、第2の特徴を発揮させるために(巻付繊維8bが次に供給された巻付繊維8bと重ならないようにするために)、第1距離L1は、旋回室34の周長以下である。図5に示すように、巻付繊維8bは、内壁面35に沿って旋回する。第1距離L1を旋回室34の周長以下に設定することで、巻付繊維8bの長さも旋回室34の周長以下となり、巻付繊維8bが内壁面35に沿って1周しなくなる。そのため、巻付繊維8bが、次に供給された巻付繊維8bと重ならなくなる。その結果、巻付繊維8bが分散するので、巻付繊維8bが芯繊維8aに均一に巻き付き易くなる。このように、本実施形態の空気紡績装置9は第2の特徴を有している。
第1距離L1は、例えば19mm以上28mm以下であることが好ましく、19mm以上21mm以下であることが更に好ましい。第1距離L1が21mmである場合、旋回室34の直径dが約6.7mmであれば、第1距離L1=周長が成り立つ。従って、直径dが6.7mm以上であれば、当該特徴を有するノズルブロック33を、第1距離L1が19mm以上21mm以下の構成に採用できる。また、第1距離L1が28mmである場合、旋回室34の直径dが約9.0mmであれば、第1距離L1=周長が成り立つ。以上により、直径dは6.7mm以上9.0mm未満であることが好ましい。直径dは7.0mm以上8.0mm以下であることが更に好ましい。
上記の第1の特徴及び第2の特徴を有することにより、巻付繊維8bが芯繊維8aに均一に巻き付き易くなる。図7には、本実施形態の紡績方法で生成される紡績糸10の模式図が示されている。この紡績糸10は、巻付繊維8bの巻付き力がソフトで、巻付繊維8bが芯繊維8aに均一に巻き付いているので、風合いが柔らかく、均一な外観の紡績糸10を生成できる。
以上に説明したように、本実施形態の紡績ユニット2は、ドラフト装置7と、空気紡績装置9と、を備え、紡績糸10の製造を行う。ドラフト装置7は、繊維束8をニップして送出するフロントローラ対25を含んで構成されており、繊維束8をドラフトする(ドラフト工程)。空気紡績装置9は、ドラフト装置7が送出した繊維束8に旋回空気流を作用させて紡績糸10を生成する(紡績工程)。空気紡績装置9は、ノズルブロック33と、中空ガイド軸体40と、を備える。ノズルブロック33には、空気を噴出するための紡績ノズル37と、円柱状の旋回室34を形成する内壁面35と、が形成されており、紡績ノズル37から噴出した空気により旋回室34に旋回空気流が発生する。中空ガイド軸体40は、旋回室34を通過した繊維束8が内部を通過するとともに、空気紡績装置9の軸中心を回転中心とした回転が紡績中は規制されるように取り付けられる。内壁面35は全体にわたって軸中心と平行である。フロントローラ対25のニップ点から中空ガイド軸体40の繊維走行方向の上流端までの距離である第1距離L1は、旋回室34の周長以下である。軸中心で見たときに、紡績ノズル37のノズル中心線102は、内壁面35に接しているか、径方向外側に当該紡績ノズル37の半径以下の平行移動を行うことで当該内壁面35に接する。紡績ノズル37の噴出口37aが形成されている箇所における旋回室34の直径dが6.7mm以上9.0mm未満である。
ノズル中心線102と内壁面35が上記の関係を有し、更に、旋回室34の内壁面35が軸中心と平行であるため、内壁面35に沿う旋回空気流を巻付繊維8bに作用させることができる。これにより、巻付繊維8bが内壁面35に沿うように旋回するため、巻付繊維6bが中空ガイド軸体40の外表面の周囲を旋回する場合と比較して、巻付繊維8bを分散させつつ、巻付繊維8bに掛かるテンションを軽減できる。また、第1距離L1が旋回室34の周長以下なので、旋回室34内で巻付繊維8bが1周しにくいため、次に供給された巻付繊維8bと重なりにくい。この点においても、巻付繊維8bが分散し易くなる。また、一般的な第1距離L1を考慮すると、旋回室34の直径dが上記の範囲であることが、更に好ましい。巻付繊維8bが分散したり、テンションが軽減されていたりすることで、巻付繊維8bが芯繊維8aに均一に巻き付き易くなる。その結果、風合いが柔らかく、均一な外観の紡績糸10を生成できる。
本実施形態の紡績ユニット2において、軸中心に平行な任意の平面で切った断面において、軸中心(軸中心線103)と内壁面35とがなす角が1.5°以内である。
これにより、軸中心と内壁面35の平行度が十分高いので、内壁面35に沿うとともに、乱れの少ない旋回空気流を発生させることができる。
本実施形態の紡績ユニット2において、旋回室34の直径d、軸中心に垂直な仮想平面104とノズル中心線102とがなすノズル角度θ、噴出口37aから旋回室34の繊維走行方向の下流端までの軸中心に沿う有効長さhについて、dπ/2tanθ≦h≦dπ/tanθが成立する。
これにより、ノズル角度θに沿って流れる旋回空気流が旋回室34内を半周から1周することとなるので、適切な範囲で巻付繊維8bを旋回させることができる。
本実施形態の紡績ユニット2において、空気紡績装置9は、ドラフト装置7が送出した繊維束8を旋回室34に向けて案内する繊維案内部材31を備える。繊維案内部材31の繊維走行方向の下流端から、中空ガイド軸体40の繊維走行方向の上流端までの距離の、中空ガイド軸体40の軸中心に平行な方向の成分である第2距離L2が0.3mm以上7.0mm以下である。
これにより、巻付繊維8bに掛かるテンションを軽減しつつ、脱落する繊維の量を少なくすることができる。
本実施形態の紡績ユニット2において、ノズルブロック33に形成されている紡績ノズル37の数が、3以上6以下である。
これにより、紡績ノズル37が複数形成されることで、噴出口37aから噴出した空気が、別の噴出口37aから噴出した空気にあたることで、噴出口37aよりも繊維走行方向の上流側にも旋回空気流を発生させることができる。そのため、旋回室34の広い範囲において内壁面35に沿う旋回空気流を発生させることができる。また、紡績ノズル37の数を多くし過ぎないことで、旋回空気流の乱れを小さくすることができる。
本実施形態の紡績ユニット2において、第1距離L1が19mm以上28mm以下である。
これにより、紡績ユニット2は様々な条件で紡績を行う場合に対応することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。以下の変更例は、適宜組み合わせ可能である。
針状部材32を省略して、繊維案内部材31の下流側端部により、針状部材32の機能を果たしても良い。
空気紡績装置9の下流側の位置において、糸貯留装置14に代えて、又はそれに加えて、回転駆動されるデリベリローラと、デリベリローラに押し付けられるニップローラと、を備え、デリベリローラとニップローラとの間で紡績糸10を挟んで下流へ送るようにしてもよい。この場合、デリベリローラとニップローラの下流に、吸引空気流を用いたスラックチューブ、及び/又は機械式のコンペンセータを設けてもよい。
紡績ユニット2では、繊維通過方向が上側から下側に向かうように各装置が配置されているが、繊維通過方向が下側から上側に向かうように各装置が配置されていてもよい。
繊維案内部材31とノズルブロック33は、1つの部材として一体的に構成されていてもよい。
紡績ユニット2は、パッケージ28から紡績糸10を少なくとも空気紡績装置9まで逆搬送し、その後、ドラフト装置7によるドラフト動作と空気紡績装置9による紡績動作を開始することにより、分断されていた紡績糸10を連続状態にしてもよい(いわゆるピーシング)。
紡績機1は、糸継台車3を備えずに、分断されていた紡績糸10を連続状態にするための構成が各紡績ユニット2に設けられていてもよい。
1 紡績機
2 紡績ユニット
7 ドラフト装置
9 空気紡績装置
31 繊維案内部材
32 針状部材
33 ノズルブロック
34 旋回室
35 内壁面
37 紡績ノズル
40 中空ガイド軸体

Claims (7)

  1. 繊維束をニップして送出するフロントローラ対を含んで構成されており、前記繊維束をドラフトするドラフト装置と、
    前記ドラフト装置が送出した前記繊維束に旋回空気流を作用させて紡績糸を生成する空気紡績装置と、
    を備え、
    前記空気紡績装置は、
    空気を噴出するための紡績ノズルと、円柱状の旋回室を形成する内壁面と、が形成されており、前記紡績ノズルから噴出した空気により前記旋回室に旋回空気流が発生するノズルブロックと、
    前記旋回室を通過した前記繊維束が内部を通過するとともに、前記空気紡績装置の軸中心を回転中心とした回転が紡績中は規制されるように取り付けられる中空ガイド軸体と、
    を備え、
    前記内壁面は全体にわたって前記軸中心と平行であり、
    前記フロントローラ対のニップ点から前記中空ガイド軸体の繊維走行方向の上流端までの距離である第1距離は、前記旋回室の周長以下であり、
    前記軸中心で見たときに、前記紡績ノズルのノズル中心線は、前記内壁面に接しているか、径方向外側に当該紡績ノズルの半径以下の平行移動を行うことで当該内壁面に接し、
    前記紡績ノズルの噴出口が形成されている箇所における前記旋回室の直径が6.7mm以上9.0mm未満であることを特徴とする紡績ユニット。
  2. 請求項1に記載の紡績ユニットであって、
    前記軸中心に平行な任意の平面で切った断面において、前記軸中心と前記内壁面とがなす角が1.5°以内であることを特徴とする紡績ユニット。
  3. 請求項1又は2に記載の紡績ユニットであって、
    前記旋回室の直径をdとし、
    前記旋回室の径方向で見たときに、前記軸中心に垂直な平面と、前記ノズル中心線と、がなす角であるノズル角度をθとし、
    前記噴出口から前記旋回室の繊維走行方向の下流端までの前記軸中心に沿う長さをhとしたときに、
    dπ/2tanθ≦h≦dπ/tanθが成立することを特徴とする紡績ユニット。
  4. 請求項1から3までの何れか一項に記載の紡績ユニットであって、
    前記空気紡績装置は、前記ドラフト装置が送出した前記繊維束を前記旋回室に向けて案内する繊維案内部材を備え、
    前記繊維案内部材の繊維走行方向の下流端から、前記中空ガイド軸体の繊維走行方向の上流端までの距離の、前記中空ガイド軸体の軸中心に平行な方向の成分である第2距離が0.3mm以上7.0mm以下であることを特徴とする紡績ユニット。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載の紡績ユニットであって、
    前記ノズルブロックに形成されている前記紡績ノズルの数が、3以上6以下であることを特徴とする紡績ユニット。
  6. 請求項1から5までの何れか一項に記載の紡績ユニットであって、
    前記第1距離が19mm以上28mm以下であることを特徴とする紡績ユニット。
  7. 繊維束をニップして送出するフロントローラ対を含んで構成されたドラフト装置を用いて、繊維束をドラフトするドラフト工程と、
    前記ドラフト装置が送出した前記繊維束に旋回空気流を作用させる空気紡績装置を用いて、紡績糸を生成する紡績工程と、
    を含む紡績糸の製造方法において、
    前記空気紡績装置は、
    空気を噴出するための紡績ノズルと、円柱状の旋回室を形成する内壁面と、が形成されており、前記紡績ノズルから噴出した空気により前記旋回室に旋回空気流が発生するノズルブロックと、
    前記旋回室を通過した前記繊維束が内部を通過するとともに、前記空気紡績装置の軸中心を回転中心とした回転が紡績中は規制されるように取り付けられる中空ガイド軸体と、
    を備え、
    前記内壁面は全体にわたって前記軸中心と平行であり、
    前記フロントローラ対のニップ点から前記中空ガイド軸体の繊維走行方向の上流端までの距離である第1距離は、前記旋回室の周長以下であり、
    前記軸中心で見たときに、前記紡績ノズルのノズル中心線は、前記内壁面に接しているか、前記軸中心側に当該紡績ノズルの半径以下の平行移動を行うことで当該内壁面に接し、
    前記紡績ノズルの噴出口が形成されている箇所における前記旋回室の直径が6.7mm以上9.0mm未満であることを特徴とする紡績糸の製造方法。
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