JP2021042099A - セルロースナノファイバー担持シリカの製造方法、セルロースナノファイバー担持シリカを含む樹脂組成物、ゴム組成物、樹脂及びゴム - Google Patents

セルロースナノファイバー担持シリカの製造方法、セルロースナノファイバー担持シリカを含む樹脂組成物、ゴム組成物、樹脂及びゴム Download PDF

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昌克 堀田
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正進 西峯
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Tomoya Ogata
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【課題】セルロースナノファイバー担持シリカの製造方法、セルロースナノファイバー担持シリカを含む樹脂組成物、ゴム組成物、樹脂及びゴムを提供することを目的とする。【解決手段】(1)珪酸ソーダ水溶液に酸を加えて珪酸を遊離させると共にアンモニアを加えることでシリカゲルのスラリーを得る工程、(2)上記(1)の工程で得られたシリカゲルのスラリーに、セルロースナノファイバー水分散液及び珪素原子含有疎水化剤を添加してセルロースナノファイバー及び珪素原子含有疎水化剤を含むスラリーを得る工程、及び(3)上記(2)の工程で得られたセルロースナノファイバー及び珪素原子含有疎水化剤を含むスラリーを濾過、乾燥を経てセルロースナノファイバー担持シリカを得る工程を含んでなることを特徴とするセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースナノファイバー担持シリカの製造方法、セルロースナノファイバー担持シリカを含む樹脂組成物、ゴム組成物、樹脂及びゴムに関する。
セルロースナノファイバー(CNF)は木を構成する繊維を化学的又は機械的にナノレベルまでほぐす(開繊する)ことで得られる素材である。特に、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル)触媒の存在下でセルロースを酸化し、さらに機械的な開繊処理を施すことで、セルロースナノファイバーが効率的に分離されることが見出されている(特許文献1:特開2008−001728号公報)。
セルロースナノファイバーは、環境負荷が小さく、軽量で高強度であることから、樹脂やゴムの補強性充填材としての研究開発が近年盛んに進められている。しかしながら、セルロースナノファイバーは水分散液の状態で販売されているため、樹脂やゴムへ均一に分散させようとすると、凝集してしまい配合することが困難であった。
この対策として、セルロース分子の水酸基を変性することが提案されているが(特許文献2:特開2017−095611号公報)、この変性セルロースナノファイバーも低濃度の水分散液であるため、水に分散可能な樹脂やゴムにしか適用することができず、また大量の水を必要とするため、生産性にも問題が残っている。
また、セルロースファイバーの水酸基の一部をシランカップリング剤で処理し、シリコーンゴムに配合することで、機械的強度や耐熱性が向上したという報告もなされている(特許文献3:特開2013−234268号公報)。しかしながら、セルロースナノファイバーをシランカップリング剤で処理しても、その処理過程においてセルロースナノファイバーが強く凝集してフィルム状や硬い固形物となるため、樹脂やゴムへ均一に分散せず、大幅な強度向上を達成することは難しい。
また、多孔質シリカ粒子にセルロースナノファイバーを含ませた例もあるが、洗浄用化粧料用途であり、樹脂やゴム補強材としての評価はされていない(特許文献4:特開2017−186187号公報)。
この様に、樹脂やゴムに容易に均一分散させることができ、さらに高い補強強化を発揮できるセルロースナノファイバー分散方法は確立されていない。
特開2008−001728号公報 特開2017−095611号公報 特開2013−234268号公報 特開2017−186187号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、樹脂やゴムの組成物にセルロースナノファイバーを容易に均一分散させることができ、かつ硬化後の樹脂やゴムの物理的特性を改善することができるセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法、セルロースナノファイバー担持シリカを含む樹脂組成物、ゴム組成物、樹脂及びゴムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、
(1)珪酸ソーダ水溶液に酸を加えて珪酸を遊離させると共にアンモニアを加えることでシリカゲルのスラリーを得る工程、
(2)上記(1)の工程で得られたシリカゲルのスラリーに、セルロースナノファイバー水分散液及び珪素原子含有疎水化剤を添加してセルロースナノファイバー及び珪素原子含有疎水化剤を含むスラリーを得る工程、及び
(3)上記(2)の工程で得られたセルロースナノファイバー及び珪素原子含有疎水化剤を含むスラリーを濾過、乾燥を経てセルロースナノファイバー担持シリカを得る工程
を含んでなるセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法によれば、該セルロースナノファイバー担持シリカを用いることによって、樹脂やゴムの組成物にセルロースナノファイバー(セルロースナノファイバー担持シリカ)を容易に均一分散させることができ、かつ硬化後の樹脂やゴムの物理的特性を改善することができることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記セルロースナノファイバー担持シリカの製造方法、セルロースナノファイバー担持シリカを含む樹脂組成物、ゴム組成物、樹脂及びゴムを提供する。
〔1〕
セルロースナノファイバー担持シリカの製造方法であって、
(1)珪酸ソーダ水溶液に酸を加えて珪酸を遊離させると共にアンモニアを加えることでシリカゲルのスラリーを得る工程、
(2)上記(1)の工程で得られたシリカゲルのスラリーに、セルロースナノファイバー水分散液及び珪素原子含有疎水化剤を添加してセルロースナノファイバー及び珪素原子含有疎水化剤を含むスラリーを得る工程、及び
(3)上記(2)の工程で得られたセルロースナノファイバー及び珪素原子含有疎水化剤を含むスラリーを濾過、乾燥を経てセルロースナノファイバー担持シリカを得る工程
を含んでなることを特徴とするセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法。
〔2〕
セルロースナノファイバー表面の1級水酸基が、N−オキシル化合物により酸化されたセルロースナノファイバーである〔1〕記載のセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法。
〔3〕
シリカ100質量部に対してセルロースナノファイバーが0.005〜5質量部配合されてなる〔1〕又は〔2〕記載のセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法。
〔4〕
セルロースナノファイバーの平均繊維径が2〜500nmである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法。
〔5〕
シリカの表面に、珪素原子含有疎水化剤を介して、セルロースナノファイバーが担持されている〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法。
〔6〕
シリカ表面に、珪素原子含有疎水化剤を介して、セルロースナノファイバーが担持されたセルロースナノファイバー担持シリカを含む樹脂組成物。
〔7〕
シリカ表面に、珪素原子含有疎水化剤を介して、セルロースナノファイバーが担持されたセルロースナノファイバー担持シリカを含むゴム組成物。
〔8〕
ゴム組成物がシリコーンゴム組成物である〔7〕記載のセルロースナノファイバー担持シリカを含むゴム組成物。
〔9〕
〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の樹脂組成物又はゴム組成物を硬化してなる樹脂又はゴム。
本発明によれば、樹脂やゴムの組成物にセルロースナノファイバー(セルロースナノファイバー担持シリカ)を容易に均一分散させることができ、かつ硬化後の樹脂やゴムの物理的特性を改善することができるセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法、セルロースナノファイバー担持シリカを含む樹脂組成物、ゴム組成物、樹脂及びゴムを提供することができる。
以下、本発明のセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法、セルロースナノファイバー担持シリカを含む樹脂組成物、ゴム組成物、樹脂及びゴムについて詳細に説明する。
はじめに、最終的に得られるセルロールナノファイバー担持シリカとその出発材料について説明する。
<セルロースナノファイバー担持シリカ>
セルロースナノファイバー担持シリカは、シリカの表面に、珪素原子含有疎水化剤を介して、セルロースナノファイバーが担持されたものである。
[セルロースナノファイバー]
セルロースナノファイバーは、植物又は微生物由来のセルロース原料を化学的あるいは機械的に開繊したものであり、本発明ではいずれのものも使用することができる。化学的に開繊したものの例として、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル)を触媒としてセルロース分子の水酸基を酸化した酸化セルロースナノファイバーを挙げることができる。
本発明においても、セルロースナノファイバー表面の1級水酸基が、N−オキシル化合物により酸化されている酸化セルロースナノファイバーを好適に用いることができる。
セルロースナノファイバーの平均繊維径は、好ましくは2〜500nm、より好ましくは2〜100nmである。平均繊維径が2nm未満であると、技術的に製造が困難となり、高アスペクト比(繊維長/繊維径)の繊維状態を維持できないおそれがある。また、平均繊維径が500nmを超えると、束となっている成分が多くなり、十分にナノ分散を活かした補強効果が得られないおそれがある。なお、セルロースナノファイバーのアスペクト比(繊維長/繊維径)の平均値は、好ましくは10〜1,000、より好ましくは10〜500である。なお、ここでいう平均繊維径及び繊維長は、電解放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)によって観察される繊維径及び繊維長をそれぞれ平均することによって得られるものである。
セルロースナノファイバーは、事前に調製したものを使ってもよいし、市販されているものを使ってもよく、市販されているものとしては、0.01〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%の水分散液の状態であるものが挙げられる。
[珪酸ソーダ]
本発明の珪酸ソーダは、メタ珪酸のナトリウム塩であり、市販品を用いることができる。特に本発明においては、低粘度であるJIS K 1408の3号品が好適である。
珪酸ソーダに酸を加えると珪酸が遊離してゲル化し、シリカを生成する。
本発明で得られるセルロースナノファイバー担持シリカのBET比表面積としては、30〜500m2/gであることが好ましく、50〜300m2/gであることがさらに好ましい。30m2/g未満では樹脂やゴムへの補強効果が得られにくく、500m2/gを超えると樹脂やゴム粘度が上がり混練が困難となる。
本発明のセルロースナノファイバー担持シリカにおいて、セルロースナノファイバーとシリカとの質量比は、シリカ100質量部に対してセルロースナノファイバーが0.005〜5質量部であることが好ましく、0.01〜1質量部であることがより好ましく、0.1〜1質量部であることがさらに好ましい。セルロースナノファイバーが0.005質量部未満であると、確実な補強効果が得られないおそれがあり、5質量部を超えると、セルロースナノファイバー同士の凝集が起こりやすく、補強に貢献する成分量が少なくなるおそれがある。
[珪素原子含有疎水化剤]
本発明のセルロースナノファイバー担持シリカにおいて、珪素原子含有疎水化剤は必須成分である。より具体的には、シリカ表面はこの珪素原子含有疎水化剤を介してセルロースナノファイバーが担持される。
一方、珪素原子含有疎水化剤を使用せず、セルロースナノファイバーだけでシリカ表面を処理すると乾燥時にセルロースナノファイバーが容易に脱離、凝集するために、樹脂やゴムの組成物にそのものを均一に分散させることが困難となる。
珪素原子含有疎水化剤としては、アルキルシラザン、ビニルシラザン等のオルガノシラザン類、アルキルアルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン等のオルガノアルコキシシラン類、アルキルクロロシラン、ビニルクロロシラン等のオルガノクロロシラン類が挙げられ、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザンなどのオルガノシラザン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シランなどのオルガノアルコキシシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシランなどのオルガノクロロシラン、又はその部分加水分解物、分子鎖末端にSi−OH官能基あるいはSi−OR’(R’は炭素数1〜4の一価炭化水素基)などの官能基を有する重合度が50以下のシロキサンオリゴマーなど公知のいずれのものも用いることができる。また、珪素原子含有疎水化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を同時又は異なるタイミングで用いてもよい。
[酸]
酸(酸性溶媒、以下、単に“酸”ということがある。)は、水性分散媒(水溶性溶媒)に酸性物質を溶解させることにより作製することができる。
水性分散媒(水性溶媒)としては、水、水と混合可能な水溶性有機溶媒、水と水溶性有機溶媒の混合溶媒を用いることが好ましい。水としては、例えば、脱イオン水、蒸留水、純水等が好ましい。また、水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどの水溶性の含窒素化合物、酢酸エチルなどが挙げられ、水溶性有機溶媒は、これらの1種又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
酸性物質としては、王水、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸や、蟻酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、蓚酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸などの有機酸が挙げられる。
これらの中でも、通常、水と無機酸との組み合わせからなるものが用いられ、特には硫酸又は塩酸濃度が5〜35質量%の酸、好ましくは10〜30質量%の酸が用いられる。
[アンモニア]
アンモニア(アンモニア水、以下、単に“アンモニア”ということがある。)は、水性分散媒(水溶性溶媒)にアンモニアを溶解させることにより作製することができる。
水性分散媒(水溶性溶媒)は上記の通りであり、通常、水とアンモニアとの組み合わせからなるものが用いられ、特にはアンモニア濃度が5〜30質量%のアンモニア、好ましくは10〜25質量%のアンモニアが用いられる。
<セルロースナノファイバー担持シリカの製造方法>
本発明では、以下の工程(1)〜(3)を有するセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法を提供する。
(1)珪酸ソーダ水溶液に酸を加えて珪酸を遊離させると共にアンモニアを加えることでシリカゲルのスラリーを得る工程、
(2)上記(1)の工程で得られたシリカゲルのスラリーに、セルロースナノファイバー水分散液及び珪素原子含有疎水化剤を添加してセルロースナノファイバー及び珪素原子含有疎水化剤を含むスラリーを得る工程、及び
(3)上記(2)の工程で得られたセルロースナノファイバー及び珪素原子含有疎水化剤を含むスラリーを濾過、乾燥を経てセルロースナノファイバー担持シリカを得る工程。
以下、各工程について詳しく説明する。
[工程(1)]
この第1の工程では、シリカゲルのスラリーを得る。はじめに、珪酸ソーダ水溶液に酸を加えて珪酸を遊離させ、引き続きアンモニアを加えることでシリカゲルのスラリーを生成させる。系の温度は20〜60℃、好ましくは30〜50℃、特に40℃程度とすることが好ましい。珪酸ソーダ水溶液は、珪酸ソーダを水で希釈して調製するが、希釈液中のSiO2濃度は5〜15質量%が好ましく、6〜12質量%がさらに好ましい。この範囲にSiO2濃度を制御することで、樹脂やゴム組成物の充填剤として好ましい大きさの粒子径が得やすくなる。酸及びアンモニアは上記のものが用いられる。また、次工程でセルロースナノファイバー水分散液を投入することを考慮して、最終的には、pH4〜10、好ましくはpH6〜8、特にpH7程度にしておくことが好ましい。pHが酸側にあるとセルロースナノファイバーの分散性が失われ(即ち、セルロースナノファイバー間の斥力を生み出しているナトリウムが失われ、セルロースナノファイバーが凝集しやすくなる)、逆にpHがアルカリ側にあると珪素原子含有疎水化剤同士の反応が優先するおそれがある。
なお、シリカには乾式シリカと湿式シリカが存在するが、珪酸ソーダを出発原料とする湿式シリカの製造途中で、次工程でセルロースナノファイバー水分散液と珪素原子含有疎水化剤を投入することによって、水系においてすべての原材料を効率よく接触させることができる。すでに乾燥された乾式シリカは水に分散しにくく、その表面にセルロースナノファイバーを効率的に接触させることは困難である。
[工程(2)]
この第2の工程では、工程(1)で得られたシリカゲルのスラリーにセルロースナノファイバー水分散液と珪素原子含有疎水化剤を添加する。
セルロースナノファイバー水分散液の濃度は、0.01〜5質量%が好ましく、0.01〜2質量%がより好ましく、0.1〜1質量%が特に好ましい。市販のセルロースナノファイバー水分散液(固形分1〜2質量%)では、セルロースナノファイバー同士の凝集による増粘が見られるため、工程(1)で得られたシリカゲルのスラリーに添加する前に十分に予備撹拌をすることが好ましい。撹拌方法としては、フラスコと撹拌羽根を組み合わせたものでもよく、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、自転・公転ミキサー(シンキー社製シンキーミキサー等)などを用いてもよい。撹拌しても粘度が下がらない、あるいはすぐに粘度が戻る様であれば、さらに水で希釈して粘度を下げてもよい。
珪素原子含有疎水化剤は、セルロースナノファイバー水分散液に次いで添加することが好ましい。セルロースナノファイバー水分散液よりも先に添加すると珪素原子含有疎水化剤同士の反応が優先するおそれがある。また、珪素原子含有疎水化剤は、一度に大量に投入せず、滴下投入することが好ましい。さらに、珪素原子含有疎水化剤添加後は、上記工程(1)の系の温度下、好ましくは15分以上、より好ましくは30分以上撹拌を継続し、系を熟成させることが好ましい。
[工程(3)]
この第3の工程では、工程(2)で得られたセルロースナノファイバー及び珪素原子含有疎水化剤を含むスラリーを濾過、乾燥を経てセルロースナノファイバー担持シリカを得る。
濾過工程には、一般的なろ紙と漏斗を用いた重圧濾過の他に、減圧濾過やフィルタープレスに代表される加圧濾過を用いることができる。無機塩を除去するために、十分に水洗操作を行うことが好ましい。
続く乾燥工程では、例えば加熱乾燥、減圧乾燥、加熱減圧乾燥、凍結乾燥などから選択することができる。
乾燥温度は、乾燥方法により適宜調整すればよいが、200℃以下とすることが好ましい。200℃以下であれば、セルロースナノファイバーが劣化するおそれがない。
乾燥工程で用いる装置としては、真空箱型乾燥機、通気乾燥機、ロータリーエバポレーターなどのバッチ式乾燥装置や、スプレードライ式乾燥機、スクリューコンベアー式乾燥機、ドラム式乾燥機などの連続式乾燥装置を用いてもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。
乾燥時間は、装置や乾燥条件によって適宜最適化されるが、乾燥後の混合粉体を105℃×3時間加熱した後の不揮発分が80%以上、好ましくは90%以上になるような乾燥条件を選択することが望ましい。
以上のように、セルロースナノファイバー担持シリカの製造方法に従えば、セルロースナノファイバー担持シリカを得ることができる。
<セルロースナノファイバー担持シリカを含む樹脂組成物、ゴム組成物、樹脂及びゴム>
本発明では、さらに得られたセルロースナノファイバー担持シリカを各種樹脂組成物、特にはゴム組成物中に容易に均一に分散させ、かつ硬化後、優れた物理的特性を有する樹脂やゴムを得ることができる。
ここで、樹脂組成物としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリカーボナート樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリブチレンテレフタラート樹脂、ポリエチレンナフタラート樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリメチルメタクリラート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂組成物が挙げられ、ゴム組成物としては、エチレン−プロピレンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリウレタンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、シリコーンゴムなどのゴム組成物が挙げられるが、中でもゴム組成物が好ましく、特にはシリコーンゴム組成物が好ましい。
シリコーンゴム組成物は、例えば、メチル基等のアルキル基及びビニル基等のアルケニル基を含むオルガノポリシロキサンと硬化剤等を含むものが挙げられ、硬化剤としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化反応触媒とを組み合わせたもの、有機過酸化物、又はその両方を組み合わせたものを用いることができる。
セルロースナノファイバー担持シリカを、上記組成物に分散させるには、ニーダー、バンバリーミキサー、二本ロールミル等の公知の混練機を使用することができる。
成形方法としては、目的とする成形品の形状及び大きさに合わせて公知の成形方法を選択すればよい。例えば、注入成形、圧縮成形、射出成形、カレンダー成形、押出成形などの方法が挙げられる。
硬化条件は、用いる成形方法における公知の条件でよく、一般的に80〜200℃の温度で数秒〜2時間程度である。また、得られるシリコーンゴム中に残存している低分子シロキサン成分の低減、シリコーンゴム中の有機過酸化物の分解物の除去等の目的で、120℃以上、好ましくは150〜220℃で1時間以上、好ましくは1〜4時間程度のポストキュアを行ってもよい。
こうして、本発明では、得られたセルロースナノファイバー担持シリカを、各種樹脂組成物、特にはゴム組成物中に容易に均一に分散させ、かつ硬化後、優れた物理的特性を有する樹脂やゴムを得ることができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1](セルロースナノファイバー担持シリカの合成:シラン処理あり)
セルロースナノファイバー水分散液(日本製紙株式会社製セレンピア、固形分1質量%、平均繊維径3〜4nm)60gに純水60gを加えてホモジナイザーで3,000rpmで10分間撹拌し、さらに純水60gを加えてホモジナイザーで3,000rpmで10分間撹拌し、均一なセルロースナノファイバー希釈液180gを得た。
市販の珪酸ソーダ(SiO2濃度28質量%)200gと純水500gを混合した珪酸ソーダ水溶液を撹拌羽根の付いた加熱可能な反応容器に入れ、40℃に加温した状態で硫酸(25質量%)をpH4になるまで添加し、10分間撹拌した。そこに、アンモニア水(濃度15質量%)を入れて、pH7とし10分間撹拌した。さらに、上記セルロースナノファイバー希釈液180gを添加し撹拌後、ジメトキシジメチルシラン(信越化学工業株式会社製KBM−22)10gを滴下投入して、60分間撹拌した。
得られた反応液をフィルタープレスにより濾過し、その後純水で繰り返し洗浄し、再度濾過し、得られた粉体を100℃で12時間、送風恒温乾燥器にて乾燥した。乾燥した粉体を105℃×3時間加熱した後の不揮発分は99%であった。この乾燥粉体を市販の家庭用ミキサーにて粉砕し、セルロースナノファイバー担持シリカ(シラン処理あり)を52g得た。
[比較例1](セルロースナノファイバー担持シリカの合成:シラン処理なし)
上記実施例1のセルロースナノファイバー及びシラン担持シリカ調製工程において、ジメトキシジメチルシランを添加せず、その他の工程は同様に進めてセルロースナノファイバー担持シリカ(シラン処理なし)を50g得た。
(ゴムコンパウンドの調製)
[実施例2]
ジメチルシロキサン単位99.9モル%、メチルビニルシロキサン単位0.075モル%、ジメチルビニルシロキサン単位0.025モル%からなり、平均重合度が約6,000であるオルガノポリシロキサン100質量部に、実施例1で得られたセルロースナノファイバー担持シリカ(シラン処理あり)の40質量部を2本ロールミルで室温配合し、ゴムコンパウンドを調製した。
[比較例2]
実施例2の実施例1で得られたセルロースナノファイバー担持シリカ(シラン処理あり)を比較例1で得られたセルロースナノファイバー担持シリカ(シラン処理なし)に変更し、同様の操作を行った。
(硬化ゴムシートの作製と評価)
実施例2及び比較例2で得られたゴムコンパウンド100質量部に、信越化学工業株式会社製C−8(2.5−ジメチル−2,5−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサンを25質量%含有)2質量部を、2本ロールミルで混合した。それを120℃、10MPaで10分間プレス成型し、150℃で4時間ポストキュアをして、厚さ2mmのシリコーンゴムシートを得た。
(硬化ゴムシートの評価)
JIS K 6249:2003に準拠する手法で評価した。結果を表1に示す。
Figure 2021042099
表1に示す様に、セルロースナノファイバー担持シリカ(シラン処理あり)はゴムコンパウンド中に均一に分散し十分なゴム強度が得られたが、セルロースナノファイバー担持シリカ(シラン処理なし)は分散状態が悪く目視でも粗粒が確認され、十分なゴム強度は得られなかった。

Claims (9)

  1. セルロースナノファイバー担持シリカの製造方法であって、
    (1)珪酸ソーダ水溶液に酸を加えて珪酸を遊離させると共にアンモニアを加えることでシリカゲルのスラリーを得る工程、
    (2)上記(1)の工程で得られたシリカゲルのスラリーに、セルロースナノファイバー水分散液及び珪素原子含有疎水化剤を添加してセルロースナノファイバー及び珪素原子含有疎水化剤を含むスラリーを得る工程、及び
    (3)上記(2)の工程で得られたセルロースナノファイバー及び珪素原子含有疎水化剤を含むスラリーを濾過、乾燥を経てセルロースナノファイバー担持シリカを得る工程
    を含んでなることを特徴とするセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法。
  2. セルロースナノファイバー表面の1級水酸基が、N−オキシル化合物により酸化されたセルロースナノファイバーである請求項1記載のセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法。
  3. シリカ100質量部に対してセルロースナノファイバーが0.005〜5質量部配合されてなる請求項1又は2記載のセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法。
  4. セルロースナノファイバーの平均繊維径が2〜500nmである請求項1〜3のいずれか1項記載のセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法。
  5. シリカの表面に、珪素原子含有疎水化剤を介して、セルロースナノファイバーが担持されている請求項1〜4のいずれか1記載のセルロースナノファイバー担持シリカの製造方法。
  6. シリカ表面に、珪素原子含有疎水化剤を介して、セルロースナノファイバーが担持されたセルロースナノファイバー担持シリカを含む樹脂組成物。
  7. シリカ表面に、珪素原子含有疎水化剤を介して、セルロースナノファイバーが担持されたセルロースナノファイバー担持シリカを含むゴム組成物。
  8. ゴム組成物がシリコーンゴム組成物である請求項7記載のセルロースナノファイバー担持シリカを含むゴム組成物。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項記載の樹脂組成物又はゴム組成物を硬化してなる樹脂又はゴム。
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