JP2021041789A - 表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温下において、画像の表示ボケを発生しにくくすることができる表示装置を提供する。【解決手段】表示装置は、S102で液晶ディスプレイの温度が補正基準値よりも低いと判定し、S103で表示するコンテンツが表示ずれ許容コンテンツであると判定した場合、S104で、表示画像について、自車両のピッチ変化に起因する重畳対象に対するAR画像の表示ずれを補正せず、その旨のメッセージを表す画像を生成する。【選択図】図2

Description

本開示は、表示装置に関する。
特許文献1には、車両の進行方向を示す矢印の虚像を車両前方の路面上に重畳表示させる虚像生成システムが記載されている。虚像生成システムは、車両にピッチ変化が生じても、矢印の虚像の路面上への重畳表示が維持されるように制御する。具体的には、虚像生成システムは、虚像として表示する矢印の画像を生成した後に、車両のピッチ変化に合わせて矢印の画像の位置を補正する。そして虚像生成システムは、位置を補正した矢印の画像を、液晶ディスプレイを用いてウインドシールドに投影する。
特開2017−94882号公報
しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、低温下においては、液晶ディスプレイの応答性が悪化することにより、投影する画像の切替が間に合わず、画像の表示ボケが発生しやすくなる、という課題が見出された。
本開示の一局面は、低温下において、画像の表示ボケを発生しにくくすることができる表示装置を提供する。
本開示の一態様は、運転席の前方の透明部材へ表示画像を投影することで、車両の前景に表示画像を虚像として重畳表示する表示装置であって、描画部(115)と、ピッチ補正部(118)と、投影部(12)と、温度検知部(28)と、を備える。描画部は、車両の前景における重畳対象に関連付けて重畳表示されるAR画像を生成するように構成される。ピッチ補正部は、車両のピッチ変化に応じた補正であるピッチ補正をAR画像に施すことによりピッチ補正画像を生成するように構成される。投影部は、ピッチ補正画像を表示画像として透明部材へ液晶ディスプレイ(201)を用いて投影するように構成される。温度検知部は、液晶ディスプレイの温度を検知するように構成される。投影部は、液晶ディスプレイの温度が基準温度よりも低いことを必要条件とする表示制限条件が成立した場合、ピッチ補正画像に代えてピッチ補正が施されていない画像を表示画像として投影する。
このような構成によれば、低温下において、画像の表示ボケを発生しにくくすることができる。
表示装置の構成を示すブロック図である。 画像生成処理のフローチャートである。
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
図1に示す表示装置1は、自動車などの車両に搭載され、ウインドシールドなど運転席の前方の透明部材へ画像を投影することで、車両の前景に画像を虚像として重畳表示する装置である。以下、表示装置1が搭載される車両を自車両という。
表示装置1は、自車両にピッチ変化が生じた場合でも、運転者から見て、重畳対象に虚像を重畳させた状態が維持されるように、表示の制御を行う。すなわち、自車両にピッチ変化が生じた場合、重畳対象と、透明部材への画像の投影位置と、運転者のアイポイントと、の上下方向の位置関係が変化する。透明部材への画像の投影位置が維持された場合、運転者から見ると、重畳対象に対して虚像がずれて表示される。そのため、表示装置1は、自車両のピッチ変化に応じて、虚像の表示ずれが低減されるように、透明部材への画像の投影位置を補正する。
ここで、自車両のピッチ変化は、一定の周波数で生じるわけではなく、例えば0から2Hz程度までの周波数帯域で生じている。本実施形態では、0から0.5Hz程度までの周波数帯域を低周波帯域とし、0.5から2Hzまでの周波数帯域を高周波帯域とする。各周波数帯におけるピッチ変化に対する補正については、後に詳述する。
自車両には、表示装置1以外に、外界センサ21と、ロケータ22と、3次元地図データベース23と、ハイトセンサ24と、車両制御ECU25と、ジャイロセンサ26と、フィルタ回路27と、が搭載されている。
外界センサ21は、歩行者及び他の車両等の移動物体、並びに、路上の縁石、道路標識、道路標示、及び区画線等の静止物体を検出するためのものである。本実施形態では、外界センサ21として、前方カメラ及びLIDARが用いられる。なお、外界センサ21としては、例えばソナーやミリ波レーダが用いられてもよい。なお、LIDARとは、Light Detection and Rangingの略である。
ロケータ22は、自車両の位置を計測するためのものである。ロケータ22は、GPS、GLONASS、Galileo、IRNSS、QZSS、Beidou等の衛星測位システムのうち少なくとも一つの衛星測位システムの各測位衛星から、測位信号を受信可能である。ロケータ22は、受信した測位信号に基づき、自車両の位置を計測する。
3次元地図データベース(以下、「3次元地図DB」という。)23は、多数の3次元地図データを格納した大容量の記録媒体を主体とする構成である。3次元地図データは、例えば、道路の緯度、経度、高度を示す情報を含んだ高精度な地図データである。
ハイトセンサ24は、自車両が走行する路面からボディまでの高さを計測するためのものである。ハイトセンサ24は、自車両に生じる上下方向の変位を検出する。ハイトセンサ24は、例えば、左右いずれか一方のリアサスペンションに設置されている。ハイトセンサ24は、ボディに懸架されたサスペンションアームの動作によって上下方向に変位する特定の車輪について、ボディに対する沈み込み量を計測する。
車両制御ECU25は、マイクロコントローラを主体に構成された演算装置である。車両制御ECU25には、アクセルポジションセンサ及びブレーキ踏力センサ等を含むペダルセンサが電気的に接続されている。車両制御ECU25は、ペダルセンサの検出信号に基づき、自車両に発生させる前後方向の加速度、すなわち、車軸トルク及びブレーキ力を制御する。加えて車両制御ECU25は、運転者の加減速操作及び路面の凹凸等の外乱に伴う自車両の振動が抑制されるように、車軸トルク及びブレーキ力をフィードフォワード制御する。車両制御ECU25は、フィードフォワード制御における車軸トルク及びブレーキ力の各目標値である制御情報を算出する。
ジャイロセンサ26は、自車両のピッチ変化を計測するためのものである。
フィルタ回路27は、ハイパスフィルタと、積分処理部と、を備える。ハイパスフィルタは、高周波帯域の信号を概ね通過させ、低周波帯域以下の信号を減衰させる。ハイパスフィルタのカットオフ周波数は、高周波帯域及び低周波帯域の境界値となるように設定されている。こうした設定により、ハイパスフィルタは、ジャイロセンサ26により計測された計測信号に含まれる周波数帯域のうち低周波帯域と重複する帯域の信号を減衰させる。加えて、ハイパスフィルタの通過により、ジャイロセンサ26に生じるドリフト成分が計測信号から除去される。
積分処理部は、例えばローパスフィルタを主体とした構成である。積分処理部は、ピッチ変化の角速度を示す計測信号を時間積分する信号処理により、自車両のピッチ角を示す信号を生成する。
表示装置1は、制御部11と、投影部12と、温度センサ28と、を備える。
制御部11は、図示しないCPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。CPUは、非遷移的実体的記録媒体であるROMに格納されたプログラムを実行する。当該プログラムが実行されることで、当該プログラムに対応する方法が実行される。具体的には、制御部11は当該プログラムに従い、後述する図2に示す画像生成処理を実行する。なお、制御部11は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。
制御部11は、CPUがプログラムを実行することで実現される機能ブロック、すなわち、仮想的な構成要素として、勾配算出部111と、乗員積載補正量算出部112と、加減速補正量算出部113と、低周波補正量算出部114と、AR描画部115と、非AR描画部116と、高周波補正量算出部117と、路面凹凸補正部118と、合成部119と、歪み補正部120と、通知部121と、を備える。制御部11に含まれる各部の機能を実現する手法はソフトウェアに限るものではなく、その一部又は全部の機能は、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。例えば、上記機能がハードウェアである電子回路によって実現される場合、その電子回路は、デジタル回路、又はアナログ回路、あるいはこれらの組合せによって実現されてもよい。例えば、制御部11は、SoC、FPGA、GPUによって実現される構成であってもよい。なお、SoCとは、System on a Chipの略である。また、FPGAとは、Field Programable Gate Arrayの略である。また、GPUとは、Graphics Processing Unitの略である。
勾配算出部111は、ロケータ22により取得される自車両の位置情報に基づき、現在地周辺の3次元地図データの提供を、3次元地図DB23に要求する。勾配算出部111は、3次元地図DB23により取得された3次元地図データに基づき、自車両が走行する道路の路面勾配を算出する。路面勾配は、道路の縦断勾配を示す値であって、上りの坂道では正の値をとり、下りの坂道では負の値をとる。勾配算出部111は、3次元地図データに示された複数箇所の緯度、経度及び高度の各情報に基づき、幾何計算によって坂道の路面勾配を算出する。
乗員積載補正量算出部112は、低周波帯域のうち所定の低周波境界値よりも低い側の帯域である第1帯域におけるピッチ変化の変化量を算出する。なお、低周波帯域のうち低周波境界値よりも高い側の帯域を第2帯域とする。第1帯域におけるピッチ変化は、乗員の増減及び積載重量の変化、並びに実質的に一定の加速及び減速によって生じる。乗員積載補正量算出部112は、ハイトセンサ24により計測された沈み込み量に基づいて、第1帯域におけるピッチ変化の変化量を算出する。乗員積載補正量算出部112は、ローパスフィルタを含む構成である。ローパスフィルタは、第1帯域の信号を概ね通過させる一方で、第2帯域以上の信号を減衰させる。ローパスフィルタのカットオフ周波数は、低周波境界値となるように設定されている。
加減速補正量算出部113は、第2帯域におけるピッチ変化の変化量を算出する。第2帯域におけるピッチ変化は、通常のペダル操作に伴う加速及び減速によって生じる。加減速補正量算出部113は、バンドパスフィルタを含む構成である。バンドパスフィルタは、第2帯域の信号を概ね通過させる一方で、第1帯域以下の信号及び高周波帯域の信号を衰退させる。バンドパスフィルタの高周波数側のカットオフ周波数は、低周波帯域及び高周波帯域の境界値となるように設定されている。加えて、バンドパスフィルタの低周波数側のカットオフ周波数は、低周波境界値となるように設定されている。こうした設定により、バンドパスフィルタは、ハイトセンサ24により検出される第1帯域の信号と、ジャイロセンサ26により検出される高周波帯域の信号との重複領域を除去する。加減速補正量算出部113は、車両制御ECU25により算出された車軸トルク及びブレーキ力の制御情報をバンドパスフィルタに通すことにより、第2帯域におけるピッチ変化の変化量を算出する。
低周波補正量算出部114は、勾配算出部111により算出された路面勾配、乗員積載補正量算出部112により算出された第1帯域におけるピッチ変化の変化量、及び加減速補正量算出部113により算出された第2帯域におけるピッチ変化の変化量を統合し、自車両の姿勢を特定する。低周波補正量算出部114は、特定した自車両の姿勢に基づき、低周波帯域におけるピッチ変化による虚像の補正量である低周波補正量を算出する。
AR描画部115は、自車両の前景における重畳対象に関連付けて重畳表示されるAR画像を生成するように構成される。AR描画部115は、外界センサ21により検出された重畳対象である移動物体及び静止物体の少なくとも一部に関連付けてAR画像を生成する。例えば、右折を示す矢印の虚像を自車両の前方の路面上に関連付けて重畳表示する場合、AR描画部115は、右折を示す矢印がちょうど右折箇所となる路面上に位置するような画像31を生成する。
加えて、AR描画部115は、低周波補正量算出部114により算出された低周波補正量に基づき、低周波帯域におけるピッチ変化に起因する虚像の表示ずれが低減されるように、AR画像を補正する。
非AR描画部116は、自車両の前景における重畳対象に関連付けずに重畳表示される画像である非AR画像を生成するように構成される。例えば、非AR描画部116は、自車両の速度を表す画像32を生成する。
高周波補正量算出部117は、高周波帯域におけるピッチ変化による虚像の補正量である高周波補正量を算出する。高周波補正量算出部117は、前述したフィルタ回路27における積分処理部を通過した自車両のピッチ角を示す信号に基づいて高周波補正量を算出する。
路面凹凸補正部118は、自車両の高周波帯域におけるピッチ変化に起因する重畳対象に対するAR画像の表示ずれが低減されるように、AR描画部115により生成されたAR画像を補正した高周波補正画像を生成するように構成される。路面凹凸補正部118は、高周波補正量算出部117により算出された高周波補正量に基づき、高周波補正画像を生成する。例えば、加速に伴いリア側に沈ませるピッチ変化が自車両に生じた場合、路面凹凸補正部118は、AR描画部115により生成された画像31を表示位置が下方になるように補正した画像33を生成する。また、自車両を急発進又は急減速させる場合、及び悪路走行中等では、より高速なピッチ変化が生じるため、路面凹凸補正部118も高速に高周波補正画像を生成する必要がある。また、路面凹凸補正部118は、場合によっては、高周波補正画像を生成せず、高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正が施されていないAR画像をそのまま合成部119に出力する。
合成部119は、非AR描画部116により生成された非AR画像と、路面凹凸補正部118により生成された高周波補正画像と、を合成した合成画像を生成するように構成される。例えば、合成部119は、自車両の速度を表す非AR画像である画像32と、AR画像を補正した高周波補正画像である画像33と、を合成した画像34を生成する。また、合成部119は、場合によっては、非AR画像と、高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正が施されていないAR画像と、通知部121により生成されたメッセージと、を合成する。
歪み補正部120は、透明部材の形状に起因する虚像の歪みが低減されるように、後述する投影部12により投影される表示画像を補正するように構成される。例えば、歪み補正部120は、ウインドシールドの湾曲形状に応じた補正量をあらかじめ保持したテーブルに基づき、合成部119により生成された画像34を変形させた画像35を生成する。
通知部121は、投影部12により投影される表示画像について、自車両の高周波帯域におけるピッチ変化に起因する重畳対象に対するAR画像の表示ずれが補正されていない旨を運転者に通知する。本実施形態では、通知部121は、「低温下のため、表示ずれ抑制機能を停止しています」等のメッセージを表す画像を生成し、合成部119に出力する。メッセージを表す画像は、後述するヘッドアップディスプレイ装置により表示される。なお、メッセージを表す画像が表示される装置としては、コンビネーションメータ、CID等であってもよい。この場合、通知部121は、メッセージを表す画像を合成部119ではなくコンビネーションメータ、CID等に出力する。なお、CIDとは、Center Information Displayの略である。
投影部12は、表示画像を透明部材へ投影するように構成される。本実施形態では、投影部12として、ヘッドアップディスプレイ装置が搭載される。投影部12は、自車両のインストルメントパネルに設けられる。投影部12は、液晶ディスプレイ201を備える。液晶ディスプレイ201は、多数の画素が配列されてなる表示面を有している。液晶ディスプレイ201は、各画素に設けられた赤色、緑色、及び青色等のサブ画素における光の透過率を増減させ、表示面に種々の画像をカラー表示する。具体的には、液晶ディスプレイ201は、液晶ディスプレイ201を構成する液晶分子にかける電圧を変化させ、液晶分子の方向を変更することで、各サブ画素における光源からの光の透過率を増減させる。液晶分子の方向を変更するときの応答速度が投影部12により表示画像が投影される処理速度よりも遅い場合、表示面に表示される画像に表示ボケが発生しやすくなる。特に、液晶分子は低温下で応答速度が遅くなるため、表示面に表示される画像に表示ボケが発生しやすい。
投影部12は、液晶ディスプレイ201の表示面に表示される画像をウインドシールドへ向けて投影する。例えば、投影部12は、歪み補正部120により補正された画像35をウインドシールドへ向けて投影する。ウインドシールドによって車室内側に反射された画像35の光束は、運転者によって知覚される。これにより、運転者は、ウインドシールドの前方にて結像される画像35の虚像を、前景の一部と重ねて視認可能となる。液晶ディスプレイ201の表示面に表示される画像に表示ボケが発生している場合、運転者によって知覚される虚像にも表示ボケが発生してしまう。
なお、投影部12が表示画像を投影する透明部材は、ウインドシールドに限らず、例えば透光性コンバイナであってもよい。
温度センサ28は、液晶ディスプレイ201の温度を計測するためのものである。温度センサ28は、液晶ディスプレイ201が収容されるヘッドアップディスプレイ装置の筐体の内部における液晶ディスプレイ201の近傍に設置される。温度センサ28は、液晶ディスプレイ201の温度を検出し、検出結果を示す温度検出信号を出力する。
[2.処理]
制御部11が実行する画像生成処理について、図2のフローチャートを用いて説明する。画像生成処理は、自車両のイグニッションスイッチがオンされた後、所定の周期で繰り返し実行される。画像生成処理は、制御部11における処理のうちAR描画部115、路面凹凸補正部118、及び通知部121に関する処理である。
まず、S101で、制御部11は、AR画像を生成する。加えて、制御部11は、低周波帯域におけるピッチ変化に起因する虚像の表示ずれが低減されるように、AR画像を補正する。なお、S101が、AR描画部115としての処理に相当する。
続いて、S102で、制御部11は、温度センサ28から出力される温度検出信号に基づき、液晶ディスプレイ201の温度が所定の補正基準値よりも低いか否かを判定する。
制御部11は、S102で液晶ディスプレイ201の温度が補正基準値よりも低いと判定した場合には、S103へ移行し、表示するコンテンツが、自車両の高周波帯域におけるピッチ変化に起因する重畳対象に対する表示ずれを許容できる表示ずれ許容コンテンツであるか否かを判定する。本実施形態では、表示するコンテンツを表示ずれを許容できるグループと表示ずれを許容できないグループとにあらかじめ分類しておき、今回表示するコンテンツが表示ずれを許容できるグループに含まれるか否かを判定することにより、表示するコンテンツが表示ずれ許容コンテンツであるか否かを判定する。表示ずれを許容できるコンテンツには、重畳対象に対して上下方向に表示画像がずれたとしても運転者が混乱しにくいコンテンツが分類される。例えば、歩行者に対して歩行者を囲む枠を重畳表示させる歩行者注意コンテンツなどが該当する。仮に、歩行者を囲む枠が歩行者の上方又は下方にずれて表示されたとしても、歩行者が存在するということを運転者が認識できるからである。一方、表示ずれを許容できないコンテンツには、重畳対象に対して上下方向に表示画像がずれた場合、運転者が混乱しやすいコンテンツが分類される。例えば、路面に関連づけて重畳表示される経路案内コンテンツなどが該当する。仮に、右折を示す矢印が実際の右折箇所よりも上方又は下方にずれて、別の曲がり角を指し示すように表示された場合、右折箇所を運転者が誤って認識してしまう可能性があるからである。
制御部11は、S103で表示するコンテンツが表示ずれ許容コンテンツであると判定した場合には、S104へ移行し、表示画像について、自車両の高周波帯域におけるピッチ変化に起因する重畳対象に対するAR画像の表示ずれが補正されていない旨のメッセージを表す画像を生成した後、図2の画像生成処理を終了する。なお、S104が、通知部121としての処理に相当する。
一方、制御部11は、S102で液晶ディスプレイ201の温度が補正基準値よりも低くないと判定した場合には、S105へ移行する。
制御部11は、S103で表示するコンテンツが表示ずれ許容コンテンツでないと判定した場合にも、S105へ移行する。
S105で、制御部11は、自車両の高周波帯域におけるピッチ変化に起因する重畳対象に対するAR画像の表示ずれが低減されるようにAR画像を補正した高周波補正画像を生成した後、図2の画像生成処理を終了する。なお、S105が、路面凹凸補正部118としての処理に相当する。
図2の画像生成処理が終了した後は、合成部119、歪み補正部120、及び投影部12による処理が実行される。
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(3a)AR画像をピッチ変化に応じて補正した画像は、ピッチ変化に応じた補正が施されていないAR画像と比較して、液晶ディスプレイ201の表示面に表示される画像が素早く動く。また、液晶ディスプレイ201は、温度が低いほど応答性が悪化し、素早く動く画像ほど表示ボケが生じやすくなる。そこで、表示装置1は、液晶ディスプレイ201の温度が補正基準値よりも低いと判定した場合、ピッチ変化に応じた補正が施されていない画像を表示画像として投影する。このような構成によれば、低温下において、画像の表示ボケを発生しにくくすることができる。
(3b)表示装置1は、液晶ディスプレイ201の温度が補正基準値よりも低いと判定した場合、高周波補正画像に代えて高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正が施されていないAR画像を表示画像として投影する。すなわち、表示装置1は、低温下であっても、低周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正は施す。このような構成によれば、低温下において、低周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正を施し表示ずれを低減しつつ、画像の表示ボケを発生しにくくすることができる。
(3c)表示装置1は、表示するコンテンツが複数種類の表示用コンテンツのうちの一部である表示ずれ許容コンテンツの場合、ピッチ変化に応じた補正が施されていない画像を表示画像として投影する。一方、表示装置1は、表示するコンテンツが表示ずれ許容コンテンツでない場合、ピッチ変化に応じて補正した画像を表示画像として投影する。すなわち、表示装置1は、低温下であっても、表示ずれ許容コンテンツでないコンテンツに対しては、ピッチ変化に応じた補正を施す。このような構成によれば、重畳対象に対して上下方向に表示画像がずれた場合に運転者が混乱しやすいコンテンツについては、ピッチ変化に起因する画像の表示ずれの低減を優先することができる。
(3d)表示装置1は、表示画像について、自車両のピッチ変化に応じた補正が施されていない旨のメッセージを通知する。このような構成によれば、表示ずれが生じている可能性があることを運転者に認識させやすくすることができる。
なお、AR描画部116が描画部に相当し、路面凹凸補正部118がピッチ補正部に相当し、温度センサ28が温度検知部に相当する。
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
(4a)上記実施形態では、表示装置1は、液晶ディスプレイ201の温度が補正基準値よりも低いと判定した場合、高周波補正画像に代えて、高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正を施す前のAR画像を表示画像として投影する。しかし、表示装置1は、例えば、液晶ディスプレイ201の温度が補正基準値よりも低いと判定した場合、高周波補正画像に代えて、低周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正及び高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正のいずれも施していないAR画像を表示画像として投影してもよい。
(4b)上記実施形態では、表示装置1は、表示するコンテンツを表示ずれを許容できるグループと表示ずれを許容できないグループとにあらかじめ分類する。そして、表示ずれを許容できるグループに分類されたコンテンツについては、低温下において、高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正を施さず、一方、表示ずれを許容できないグループに分類されたコンテンツについては、低温下であっても、高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正を施す。しかし、コンテンツの分類によって、高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正を施すか否かを変更しなくてもよい。つまり、コンテンツを分類せず、すべてのコンテンツについて、低温下において、高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正を施さなくてもよい。具体的には、図2の画像生成処理は、S103の判定を実施しなくてもよい。
(4c)上記実施形態では、表示装置1は、液晶ディスプレイ201の温度が補正基準値よりも低いと判定した場合、高周波補正画像に代えて、高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正を施す前のAR画像を表示画像として投影する。しかし、表示装置1は、例えば、液晶ディスプレイ201の温度が補正基準値よりも低いと判定した場合、高周波補正画像に代えて、高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正を施す前のAR画像とは異なる形態の代替画像を表示画像として投影してもよい。具体的には、例えば、歩行者注意コンテンツについて、表示装置1は、液晶ディスプレイ201の温度が補正基準値よりも低いと判定した場合は、歩行者を囲むように重畳表示される枠の画像に代えて、重畳対象に対する表示ずれが影響しにくい画像、例えば歩行者の上方付近において歩行者を指し示す矢印のアイコン等を表示画像として投影してもよい。この場合、AR描画部115は、温度センサ28から出力される温度検出信号を受信し、温度検出信号に基づき、液晶ディスプレイ201の温度が所定の補正基準値よりも低いか否かを判定する。AR描画部115は、液晶ディスプレイ201の温度が補正基準値よりも低いと判定した場合、枠の画像に代えて、矢印のアイコン等の画像を生成する。このような構成によれば、高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正が施されない場合、高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正が施される場合とは異なる形態の画像が表示される。よって、枠の画像に代えて矢印のアイコン等の画像が表示された場合、高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正が施されていないことを、運転者が直感的に認識しやすい。また、代替画像は、重畳対象である移動物体及び静止物体の少なくとも一部に関連付けられてもよく、重畳対象に関連付けられずに重畳表示されてもよい。例えば、「歩行者注意」等のメッセージを示す画像が、重畳対象に関連付けずに重畳表示されてもよい。また例えば、経路案内コンテンツについて高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正が施されない場合、右折又は左折を示す矢印について、表示装置1は、路面の形状に合わせて重畳表示されるように生成された矢印の画像に代えて、路面の形状に影響されない矢印のアイコン等を表示画像として投影してもよい。
(4d)上記実施形態では、液晶ディスプレイ201の温度について、補正基準値よりも低いか低くないかを閾としている。しかし、複数の閾値を設定してもよい。例えば、次のような温度条件を設けてもよい。液晶ディスプレイ201の温度が第1の閾値よりも高い場合、すべてのコンテンツについて、低周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正と高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正とを施す。液晶ディスプレイ201の温度が第1の閾値以下、かつ、第1の閾値よりも低い第2の閾値以上の場合、一部のコンテンツのみ低周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正と高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正とを施す。その他のコンテンツについては、高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正を施さず、低周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正のみ施す。液晶ディスプレイ201の温度が第2の閾値よりも低い場合、すべてのコンテンツについて、高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正を施さず、低周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正のみ施す。また、コンテンツごとに閾値の設定を更に設けてもよい。
(4e)上記実施形態では、AR描画部115及び路面凹凸補正部118は、ピッチ変化に起因する重畳対象に対するAR画像の表示ずれが低減されるように、AR画像を補正する。しかし、ピッチ変化に加えて、ロール及びヒーブ等の姿勢変化に起因する重畳対象に対するAR画像の表示ずれが低減されるように、AR画像を補正してもよい。
(4f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
1…表示装置、12…投影部、28…温度センサ、115…AR描画部、118…路面凹凸補正部、201…液晶ディスプレイ。

Claims (6)

  1. 運転席の前方の透明部材へ表示画像を投影することで、車両の前景に前記表示画像を虚像として重畳表示する表示装置であって、
    前記車両の前景における重畳対象に関連付けて重畳表示されるAR画像を生成するように構成された描画部(115)と、
    前記車両のピッチ変化に応じた補正であるピッチ補正を前記AR画像に施すことによりピッチ補正画像を生成するように構成されたピッチ補正部(118)と、
    前記ピッチ補正画像を前記表示画像として前記透明部材へ液晶ディスプレイ(201)を用いて投影するように構成された投影部(12)と、
    前記液晶ディスプレイの温度を検知するように構成された温度検知部(28)と、
    を備え、
    前記投影部は、前記液晶ディスプレイの温度が基準温度よりも低いことを必要条件とする表示制限条件が成立した場合、前記ピッチ補正画像に代えて前記ピッチ補正が施されていない画像を前記表示画像として投影する、表示装置。
  2. 請求項1に記載の表示装置であって、
    前記ピッチ補正部は、前記車両のピッチ変化のうち、所定の高周波帯域におけるピッチ変化に応じた補正を、前記ピッチ補正として前記AR画像に施す、表示装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の表示装置であって、
    前記表示制限条件は、前記表示画像が、複数種類の表示用コンテンツのうちの一部である所定の表示用コンテンツであることを必要条件とする、表示装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の表示装置であって、
    前記表示制限条件が成立した場合、運転者にその旨を通知する通知部(121)を更に備える、表示装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の表示装置であって、
    前記投影部は、前記表示制限条件が成立した場合、前記ピッチ補正画像に代えて当該ピッチ補正画像に前記ピッチ補正を施す前の前記AR画像を前記表示画像として投影する、表示装置。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の表示装置であって、
    前記投影部は、前記表示制限条件が成立した場合、前記ピッチ補正画像に代えて当該ピッチ補正画像に前記ピッチ補正を施す前の前記AR画像とは異なる形態の代替画像を前記表示画像として投影する、表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115494648A (zh) * 2022-10-21 2022-12-20 广东高云半导体科技股份有限公司 一种抬头显示装置

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