JP2021041330A - メタンの脱水素芳香族化反応用触媒及び芳香族化合物の製造方法 - Google Patents

メタンの脱水素芳香族化反応用触媒及び芳香族化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021041330A
JP2021041330A JP2019164380A JP2019164380A JP2021041330A JP 2021041330 A JP2021041330 A JP 2021041330A JP 2019164380 A JP2019164380 A JP 2019164380A JP 2019164380 A JP2019164380 A JP 2019164380A JP 2021041330 A JP2021041330 A JP 2021041330A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
metal
methane
tungsten
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019164380A
Other languages
English (en)
Inventor
勝俊 永岡
Katsutoshi Nagaoka
勝俊 永岡
勝俊 佐藤
Katsutoshi Sato
勝俊 佐藤
信宏 西
Nobuhiro Nishi
信宏 西
康弘 細木
Yasuhiro Hosoki
康弘 細木
吉邦 奥村
Yoshikuni Okumura
吉邦 奥村
啓介 太田
Keisuke Ota
啓介 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oita University
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Oita University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK, Oita University filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2019164380A priority Critical patent/JP2021041330A/ja
Publication of JP2021041330A publication Critical patent/JP2021041330A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】メタンの脱水素芳香族化反応に対して高い転化率及び選択率を達成するメタンの脱水素芳香族化反応用触媒、その触媒の製造方法、及び芳香族化合物(特にベンゼン)を選択的に製造する方法を提供する。【解決手段】4族の金属(Ti、Zr、Hf)及び5族の金属(V、Nb、Ta)からなる群から選択される少なくとも1つの金属MがドーピングされたタングステンカーバイドM−WCx(式中、xは0.82〜1.00の数値を表す。)が担持されたメタロシリケートからなることを特徴とするメタンの脱水素芳香族化反応用触媒、少なくとも1つの金属M化合物をメタロシリケートに担持した後焼成してタングステンと金属Mの複合酸化物とする工程と前記触媒前駆体をメタンの存在下500〜900℃の温度で熱処理し炭化する工程を含む前記触媒の製造方法、及び前記触媒を用いメタンを脱水素芳香族化する芳香族化合物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明はメタンの脱水素芳香族化反応用触媒及び芳香族化合物の製造方法に関する。さらに詳しく言えば、天然ガス等の主成分であるメタンの脱水素反応により、化学工業、薬品類、プラスチック類などの化学製品の原料となる芳香族化合物を効率的に製造し得る触媒、その製造方法及びその触媒を用いた芳香族化合物の製造方法に関する。
ベンゼン等の芳香族化合物を生産する方法としては、触媒の存在下、酸素または酸化剤の非存在下で低級炭化水素とりわけメタンを反応させる方法が知られている。前記触媒としてはZSM−5型ゼオライトにモリブデン(Mo)(またはレニウム)を担持したものが有効とされている(Journal of Catalysis 165,150−161(1997);非特許文献1)。担持されたモリブデン(Mо)は、メタンの芳香族化反応中に、炭化物であるモリブデンカーバイドに変化し、このモリブデンカーバイドがメタンを活性化する。しかし、従来の触媒では、メタンの転化率が低く、また炭素の析出が多いために触媒が失活するという問題がある。
したがって、芳香族化合物及び水素の製造効率をさらに高めた優れた触媒の開発が望まれている。
上記の問題を解決するため、特許第5151951号公報(特許文献1)では活性金属としてモリブデン(Mo)とタングステン(W)をメタロシリケートに担持した触媒が提案され、モリブデン単独の触媒よりも高い活性が得られている。
また、特許第5656826号公報(特許文献2)にはモリブデンを必須とし、所望により、Cu、Ni、Fe、Co、Mn、Cr、Nb、Ta、Zr、V、Zn及びGaからなる群から選択される元素及びゼオライトを含む触媒(メタロシリケート触媒)がメタンの脱水素芳香族化に高い活性を示すことが開示されている。
Journal of Molecular Catalysis.A:Chemical,163,283−296(2000)(非特許文献2)では、モリブデンカーバイドの結晶構造に着目し、MoCx(x=1.0)を担持した触媒が、MoCx(x=0.5)を担持した場合よりも高い触媒活性を示すことを報告している。
炭素析出が生じやすい芳香族製造反応を長期間にわたり行う場合には、炭素析出によって劣化した触媒から、炭素成分を除去する触媒再生処理を行う必要がある。触媒の再生処理法としては、一般に酸素を含むガス(空気等)の流通下での燃焼再生法が広く用いられている。しかし、モリブデンカーバイドは空気中での熱処理によって、昇華性の酸化モリブデンへ変換されるため、空気中での燃焼再生法では触媒が劣化し活性が低下するという問題がある。そこで、モリブデンまたはレニウムを活性金属とした場合は、水素ガスを用いる還元的再生処理法が採用されている。しかし、水素ガスによる再生処理は効率に問題があり、またエネルギー源として貴重な水素ガスを消費することになり、望ましい再生処理法とは言えない。
モリブデンと同じ6族元素であるタングステンの酸化で生成する酸化タングステンは、酸化モリブデンまたは酸化レニウムに比べてはるかに昇華しにくい物質である。したがって、タングステンを活性金属とすることができれば、酸素含有ガス(空気)による燃焼再生処理が可能となり、効率的プロセスを構築できると期待される。しかし、単にメタロシリケートにタングステンを担持したのではメタンの芳香族化反応に対する活性は低い(特許文献1)。
特許第5151951号公報 特許第5656826号公報
Journal of Catalysis,165,150−161(1997) Journal of Molecular Catalysis.A:Chemical,163,283−296(2000)
特許文献2及び非特許文献2では、メタンから芳香族化合物を製造する反応触媒においてメタロシリケートに担持する活性金属種としてモリブデン(Mo)またはレニウム(Re)を使用して高い触媒活性を得ているが、空気酸化による触媒再生処理工程で大幅な触媒劣化を生じるという課題がある。
本発明の課題は、タングステンをメタロシリケートに担持する活性金属とし、メタンの芳香族化合物化反応に対してより高い転化率及び選択率を達成する芳香族化合物製造用触媒、その触媒の製造方法、及びその触媒を用いた芳香族化合物(特にベンゼン)の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑みて鋭意検討した結果、メタロシリケート上にタングステン化合物と4族または5族の金属化合物を担持した後に焼成することによりタングステン(W)と金属化合物の複合酸化物が形成すること、この複合酸化物中のWはメタンなどの炭化水素化合物雰囲気下で焼成する工程(炭化処理工程)によりタングステンカーバイトWCx(x=0.82〜1.0)に変化すること、そしてこのWCxと前記金属を担持したメタロシリケートはメタンから芳香族化合物を高効率・高選択率で製造できる触媒となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は下記[1]〜[5]のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒、[6]〜[7]のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒の製造方法、及び[8]〜[9]の芳香族化合物の製造方法に関する。
[1] 4族の金属(Ti、Zr、Hf)及び5族の金属(V、Nb、Ta)からなる群から選択される少なくとも1つの金属MがドーピングされたタングステンカーバイドM−WCx(式中、xは0.82〜1.00の数値を表す。)が担持されたメタロシリケートからなることを特徴とするメタンの脱水素芳香族化反応用触媒。
[2] 金属Mが5族の金属である前項1に記載のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒。
[3] 5族の金属がNbである前項2に記載のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒。
[4] M−WCxのxの値が0.82または1.0である前項1〜3のいずれかに記載のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒。
[5] メタロシリケートがZSM−5型ゼオライトである前項1〜4のいずれかに記載のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒。
[6] タングステン化合物及び4族(Ti、Zr、Hf)及び5族の金属(V、Nb、Ta)からなる群から選択される少なくとも1つの金属M化合物をメタロシリケートに担持した後、焼成してタングステンと金属Mの複合酸化物とする工程(触媒前駆体製造工程)と前記触媒前駆体をメタンの存在下500〜900℃の温度で熱処理し炭化する工程(触媒前駆体炭化工程)を含むことを特徴とする前項1〜5のいずれかに記載のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒の製造方法。
[7] 触媒前駆体製造工程におけるメタロシリケートへの金属Mの担持量が、タングステン金属100質量部に対して金属M換算で0.1〜50質量部である前項6に記載のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒の製造方法。
[8] メタンまたはメタンを主成分とする低級炭化水素ガスを300〜900℃の温度で、前項1〜5のいずれかに記載のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒と接触させることを特徴とする芳香族化合物の製造方法。
[9] 芳香族化合物がベンゼンである前項8に記載の芳香族化合物の製造方法。
Ti、Zr、Hf、V、Nb及びTaからなる群から選択される少なくとも1つの金属MがドーピングされたタングステンカーバイドM−WCx(xは0.82〜1.00の数値を表す。)がゼオライトに担持されたメタロシリケートからなる本発明の触媒によればメタンの脱水素反応によりベンゼンを高効率で製造することができる。
実施例1〜2及び比較例1〜2の各触媒によるメタンの芳香族化反応における反応時間とメタン転化率との関係を示す。 実施例1〜2及び比較例1〜2の各触媒によるメタンの芳香族化反応における反応時間とベンゼン生成速度(単位触媒量当たり・単位時間当たりのベンゼン生成量;STYと略記)との関係を示す。 芳香族化反応後の実施例1〜2及び比較例1〜2の各触媒及びそれに用いた担体のX線回析スペクトルである。
以下、本発明の実施形態のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒(以下、芳香族化合物製造用触媒ということもある。)について説明する。
実施形態の芳香族化合物製造用触媒は、式:M−WCxで示される4族(Ti、Zr、Hf)及び5族の金属(V、Nb、Ta)からなる群から選択される少なくとも1つの金属Mがドーピングされたタングステンカーバイドが担持されたメタロシリケートからなる。
上記式中、xは、W元素に対するC元素の組成比を表し、0.82〜1.00の数値である。「M−W」は単に金属MがWと共存することを意味し、金属MとWの組成比が1:1であることを表すものではない。
金属MがドーピングされたWCxはメタンを原料とする芳香族化合物生成反応中に炭化されることによって、メタロシリケートに担持されたタングステンとドーピングされた金属Mの複合酸化物がタングステンとMの複合炭化物に変換される。すなわち、タングステンと金属Mの複合酸化物を担持したメタロシリケートは触媒前駆体であり、タングステンと金属Mの複合炭化物を担持したメタロシリケートが芳香族化合物製造用触媒となる。Mをタングステンと共存させることで、タングステンカーバイドはM−WCx(x=0.82〜1.0)に制御される。
[タングステンカーバイド]
さまざまな組成比のタングステンカーバイド(WCx化合物)が知られている。単純に酸化タングステンを担持したメタロシリケートを触媒前駆体とした場合、メタンからの芳香族化合物生成反応を行うと、炭化反応によって生成するタングステンカーバイドはWCx(x=0.5)となり、芳香族化合物製造反応に対して低い活性しか示さない。しかし、金属MとWの複合酸化物を担持した触媒前駆体を用いた場合は、結晶構造がWCx(x=0.82〜1.0)と類似したものとなり、高い触媒活性を示す触媒となる。WCxのxは、0.82及び1.0はどちらであってもよい。
組成比の異なるWCxは物質固有のX線回折パターンを示すため、芳香族化反応後の触媒をX線構造解析すれば、WCxのxの値が決定できる。例えば、WCx(x=1.0)の場合、X線回析スペクトルにおいて、35.6°、48.3°±0.1に回折ピークがあらわれるため、反応後の触媒のX線回折パターンにおいて、それらの位置にピーク、ショルダー、膨らみがあれば、WC1.0であると判断できる。WC0.82のときは、36.9°、42.9°±0.1に回折ピークがあらわれ、WC0.50のときは、39.6°±0.1に回折ピークがあらわる。
タングステンカーバイドのメタロシリケートへの担持量は特に制限はないが、全触媒(担体+WCx)の2〜20質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることがより好ましく、5〜12質量%であることが特に好ましい。タングステンカーバイドが2質量%以上あることで、メタン活性化の活性点が増えるために、活性を高くすることができる。一方、20質量%以下であるとタングステンカーバイドが凝集してしまうことが少ない。
[金属M]
金属Mは、4族の金属であるTi、Zr、Hfまたは5族の金属であるV、Nb、Taの群から選択される少なくとも1つの金属である。これらの中では結合距離がタングステンにより近いことから5族の金属が好ましく、昇華しにくい面からNbがさらに好ましい。金属MはM元素を含む化合物の形で触媒担体に担持され、触媒前駆体製造工程において焼成されて酸化物となる。
[触媒担体]
触媒の担体に使用するメタロシリケートとしては、シリカ及びアルミナからなる多孔質体であるモレキュラーシーブ5A(UTA)、フィジャサイト(NAY)及びNAX、ZSM−5、MCM−22のようなアルミノシリケート、リン酸を主成分とするALPO−5、VPI−5等の多孔質体で、0.6〜1.3nmのミクロ細孔やチャンネルからなるゼオライト、シリカを主成分とし一部アルミナを成分として含むメゾ細孔(1〜10nm)の筒状細孔(チャンネル)で特徴づけられるFSM−16やMCM−41などのメゾ細孔多孔質担体などが例示できる。これらの中でも、細孔径、酸点の性質の観点から、ZSM−5型ゼオライト、MCM−22型ゼオライトを好適に用いることができる。
[触媒前駆体]
金属Mのドーピングによってタングステンカーバイドの構造が制御される理由は定かではないが、金属Mがメタルに還元される際に、酸化タングステンに結晶欠陥が発生して、カーボンの挿入が進行しやすくなると考えられる。すなわち、タングステンと金属Mは複合化(複合酸化物化)させておくことが必要である。
[触媒前駆体製造工程]
触媒前駆体は、金属Mとタングステンの複合酸化物がメタロシリケートに担持されたものである。触媒前駆体は、金属M化合物とタングステン化合物を担体に付着させた後、焼成することで製造される。金属Mの担持量は、特に制限はないが、金属M化合物の担持量が、タングステン金属100質量部に対し金属M金属換算で0.1〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。金属Mを0.1質量部以上添加することで、タングステンとの複合酸化物が形成され、触媒中のタングステンカーバイドがWCx(x=0.82〜1.0)になる。金属Mそのものは触媒として機能しないため、金属Mを20質量部超添加すると、触媒能が低下してしまうことがある。
触媒前駆体の製造に使用するタングステン化合物または金属M化合物に制限はないが、例えば、アンモニウム塩、ケイ酸塩、塩化物、臭化物等のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の鉱酸塩、炭酸塩、蓚酸塩等のカルボン酸塩等が例示できる。これらの中で、より好ましい化合物として、アンモニウム塩、硝酸塩が挙げられる。
タングステンと金属Mをメタロシリケートに担持させる方法としては、前述したタングステン化合物と金属M化合物をそれぞれ溶解させた水溶液を混合した後に、メタロシリケート担体に含浸担持させた後、空気中で加熱処理することが望ましい。タングステン及び金属M水溶液はメタロシリケートに別々に含浸させたのでは、タングステンとニオブの複合酸化物が得られにくくなるので好ましくない。
タングステンと金属Mの結晶性複合酸化物を形成するためには、含浸担持後に、空気気流中で300〜800℃、好ましくは400〜700℃で焼成処理することが望ましい。焼成処理を行い、複合酸化物である触媒前駆体を形成しておくことにより、タングステンカーバイド形成が進行しやすくなる。
本実施形態に用いる触媒前駆体は、シリカ、アルミナ、粘土などのバインダーを添加して、ペレット状若しくは押出品に成形して次の触媒前駆体炭化工程及び芳香族化合物製造工程に供することができる。
[触媒前駆体炭化工程及び芳香族化合物製造工程]
前記触媒前駆体を、メタンを含む原料ガス流通下高温で焼成(熱処理)することによってタングステンと金属Mの複合酸化物が炭化され芳香族化合物製造用触媒となるタングステンカーバイドが形成され(触媒前駆体炭化工程)、脱水素芳香族化反応により芳香族化合物を製造することができる(芳香族化合物製造工程)。
原料ガスは、メタンを主成分とする低級炭化水素ガスであり、通常50容量%以上、好ましくは70容量%以上、より好ましくは90容量%以上のメタンを含有していることが望ましい。原料ガスは、メタン以外の成分として、水素ガス及び炭素数2〜6の低級炭化水素を含んでいてよい。これらの例としては、エタン、プロパン等のアルカン、エチレン、プロピレン等のアルケンを挙げることができる。
原料ガスは、窒素ガス、ヘリウム、アルゴン、酸素ガス、二酸化炭素等の成分を反応に影響を及ぼさない量含んでいてもよい。
触媒前駆体炭化工程の熱処理温度は500〜900℃であり、複合酸化物の分解の促進の観点から500〜800℃がより好ましい。熱処理の時間は、熱処理温度にもよるが、30〜120分が好ましい。圧力、原料ガスの供給速度は、芳香族化合物製造工程と同一とすることができる。
芳香族化合物製造工程での反応温度は好ましくは300〜900℃、より好ましくは450〜800℃である。反応圧力は好ましくは0.01〜1MPa、より好ましくは0.1〜0.7MPaである。
原料ガスの供給速度(SV)は、通常250〜100000ml/hr・mL−catであり、好ましくは500〜10000ml/hr・mL−catである。
本芳香族化合物製造工程での反応は、回分式あるいは流通式の反応形式で実施することが可能である。特に、固定床、移動床または流動化床等の流通式の反応形式で実施することが好ましい。
以下、実施例により本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[触媒の化学組成比の測定]
元素含有量を、株式会社リガク製ZSX Primus IIを使用し、EZスキャンプログラムにより測定した。担持されたタングステン及び金属Mの金属換算担持量は下記式から求めた。
Figure 2021041330
[X線回折測定]
WCxの構造解析は、株式会社リガク製MultiFlexを用いて触媒のX線回折(XRD)測定により行った。測定は連続走査モードにて行った。測定条件は、管電圧40kV、管電流40mA、サンプリング幅0.02°、スキャンスピード3°/minとした。
[ガスクロマトグラフィー]
反応後の生成物ガスは、250℃で保温したままガスクロマトグラフィーで分析し、メタン転化率、ベンゼン選択率を計算した。分析装置として、FID検出器にアジレントテクノロジー株式会社製PLOTカラムGS−GASPRO:(60m、0.32mmφ)、TCD検出器に信和化工株式会社製キャピラリ―カラム MICROPACKED−ST(2m、1.0mmφ)を接続したアジレントテクノロジー株式会社製7890Bを使用した。キャリアガスには、FID側にヘリウムガスを使用し、TCD側に窒素ガスを使用して行い、アルゴンガスを内部標準とすることによって定量した。検量線補正後、目的物の収量及び原料残量を求め、これらより転化率及びベンゼン選択率を求めた。
転化率及び選択率の計算には、以下の計算式を用いた。
Figure 2021041330
Figure 2021041330
実施例1:触媒前駆体1の調製
タングステン酸パラアンモニウム5水和物((NH4101241・5H2O 0.9043g(W:3.464mmol)とニオブ酸シュウ酸アンモニウムn水和物NH4[Nb(C242]・nH2O 0.0534g(Nb:0.176mmol)を純水に溶解させた。またメタロシリケート担体としてアンモニウム型ZSM−5(東ソー株式会社製、SiO2/Al23=23mol/mol)を700℃空気下で5時間焼成し、プロトン型に変換したもの7.000gを、前記のタングステン化合物とニオブ化合物の混合水溶液に加え、撹拌しながら回転式減圧エバポレーターを用いて蒸発乾固した。得られた粉末を110℃で一晩乾燥させ、空気下700℃で5時間焼成し、ニオブとタングステンの複合酸化物Nb−W−Oが担持された触媒前駆体1を得た(タングステン金属10.1質量%、ニオブ金属0.34質量%、100×Nb/W=3.4)。
実施例2::触媒前駆体2の調製
タングステン酸パラアンモニウム5水和物((NH4101241・5H2O 0.9054g(W:3.468mmol)とニオブ酸シュウ酸アンモニウムn水和物NH4[Nb(C242]・nH2O 0.1051g(Nb:0.346mmol)を純水に溶解させた。またメタロシリケート担体としてアンモニウム型ZSM−5(東ソー株式会社製、SiO2/Al23=23mol/mol)を700℃空気下で5時間焼成し、プロトン型に変換したもの5.5036gを、前記のタングステン化合物とニオブ化合物の混合水溶液に加え、撹拌しながら回転式減圧エバポレーターを用いて蒸発乾固した。得られた粉末を110℃で一晩乾燥させ、空気下700℃で5時間焼成し、ニオブとタングステンの複合酸化物Nb−W−Oが担持された触媒前駆体2を得た(タングステン金属10.2質量%、ニオブ金属0.68質量%、100×Nb/W=6.7)。
比較例1:比較用触媒前駆体3の調製
タングステン酸パラアンモニウム5水和物((NH4101241・5H2O 1.0001g(W:3.831mmol)とニオブ酸シュウ酸アンモニウムn水和物NH4[Nb(C242]・nH2O 1.1605g(Nb:3.830mmol)を純水に溶解させた。またメタロシリケート担体としてアンモニウム型ZSM−5(東ソー株式会社製、SiO2/Al23=23mol/mol)を700℃空気下で5時間焼成し、プロトン型に変換したもの6.0367gを、前記のタングステン化合物とニオブ化合物の混合水溶液に加え、撹拌しながら回転式減圧エバポレーターを用いて蒸発乾固した。得られた粉末を110℃で一晩乾燥させ、空気下700℃で5時間焼成し、ニオブとタングステンの複合酸化物Nb−W−Oが担持された触媒前駆体3を得た(タングステン金属9.1質量%、ニオブ金属3.11質量%、100×Nb/W=34.2)。
比較例2:
タングステン酸パラアンモニウム5水和物((NH4101241・5H2O 0.6389g(W:2.447mmol)を純水に溶解させた。またメタロシリケート担体としてアンモニウム型ZSM−5を700℃空気下で5時間焼成し、プロトン型に変換したもの4.500gを、前記のタングステン化合物水溶液に加え、撹拌しながら回転式減圧エバポレーターを用いて蒸発乾固した。得られた粉末を110℃で一晩乾燥させ、空気下500℃で5時間焼成し、タングステンの酸化物WO3が担持された触媒前駆体4を得た(タングステン金属9.8質量%)。
[芳香族化合物製造反応]
上記の各触媒前駆体2.5mLを流通式固定床反応装置のインコネル600製の反応管(内径7mm、熱電対用さや管外径3mm)に充填した(触媒層高さ5cm、触媒層面積0.5cm2)。アルゴンガス流通下、0.1MPaで750℃まで5℃/minの速度で昇温した後、メタンを主成分とする原料ガス(メタンの他に10容量%アルゴンを含む)を1.9NL/hの速度で供給し、触媒前駆体と接触させ、触媒前駆体の炭化処理及び芳香族化合物生成反応を0.1MPa、750℃で行った。前駆体に原料ガスを流通し始めた時間を反応開始時間とし、300分までの触媒安定性及び触媒活性を調べた。
芳香族化合物としては主生成物であるベンゼンの生成速度の経時変化を調べた。結果を表1及び図1〜2に示す。なお、反応開始から90分以前は、触媒前駆体の炭化反応による触媒生成の期間である。この間に触媒が生成する。同時にメタンの反応によるベンゼンの生成も進行するが、反応が安定しないので、データは90分以降のものを記した。
Figure 2021041330
図1に示すように、実施例1及び実施例2の触媒はメタンの転化率が比較例より高く、反応時間が経過しても高い転化率を維持している。
図2に示すベンゼン生成速度から明らかなように、実施例の触媒はWとCの比率が異なる触媒(比較例1)やタングステンカーバイドWC2のみを担持した触媒(比較例2)に比べてベンゼンの生成速度が高かった。
図3に示すように、反応後の触媒のX線構造解析によるスペクトルを比較すると、実施例1では36°、48°にピークがあり、式M−WCxでのx=1.00)が形成されている。比較例1では、Nb比率の高い触媒前駆体3の炭化反応によって炭化物であるNb22Cが生成している。この炭化物は39°にピークがあり、x=0.5が形成されおり、W2Cと同様な結晶構造を形成しているため、触媒活性が低くなることがわかった。
以上のように、タングステンと金属Mの複合酸化物をメタロシリケートに担持した触媒前駆体を用いることにより組成がWCのタングステンカーバイドを得ることができ、タングステン単独やタングステンと金属Mの比率を変えてに担持して得られるW2Cが形成された触媒よりも活性が向上することがわかった。

Claims (9)

  1. 4族の金属(Ti、Zr、Hf)及び5族の金属(V、Nb、Ta)からなる群から選択される少なくとも1つの金属MがドーピングされたタングステンカーバイドM−WCx(式中、xは0.82〜1.00の数値を表す。)が担持されたメタロシリケートからなることを特徴とするメタンの脱水素芳香族化反応用触媒。
  2. 金属Mが5族の金属である請求項1に記載のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒。
  3. 5族の金属がNbである請求項2に記載のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒。
  4. M−WCxのxの値が0.82または1.0である請求項1〜3のいずれかに記載のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒。
  5. メタロシリケートがZSM−5型ゼオライトである請求項1〜4のいずれかに記載のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒。
  6. タングステン化合物及び4族(Ti、Zr、Hf)及び5族の金属(V、Nb、Ta)からなる群から選択される少なくとも1つの金属M化合物をメタロシリケートに担持した後、焼成してタングステンと金属Mの複合酸化物とする工程(触媒前駆体製造工程)と前記触媒前駆体をメタンの存在下500〜900℃の温度で熱処理し炭化する工程(触媒前駆体炭化工程)を含むことを特徴とする金属MがドーピングされたタングステンカーバイドM−WCx(式中、xは0.82〜1.00の数値を表す。)が担持されたメタロシリケートからなる請求項1〜5のいずれかに記載のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒の製造方法。
  7. 触媒前駆体製造工程におけるメタロシリケートへの金属Mの担持量が、タングステン金属100質量部に対して金属M換算で0.1〜50質量部である請求項6に記載のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒の製造方法。
  8. メタンまたはメタンを主成分とする低級炭化水素ガスを300〜900℃の温度で、請求項1〜5のいずれかに記載のメタンの脱水素芳香族化反応用触媒と接触させることを特徴とする芳香族化合物の製造方法。
  9. 芳香族化合物がベンゼンである請求項8に記載の芳香族化合物の製造方法。
JP2019164380A 2019-09-10 2019-09-10 メタンの脱水素芳香族化反応用触媒及び芳香族化合物の製造方法 Pending JP2021041330A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019164380A JP2021041330A (ja) 2019-09-10 2019-09-10 メタンの脱水素芳香族化反応用触媒及び芳香族化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019164380A JP2021041330A (ja) 2019-09-10 2019-09-10 メタンの脱水素芳香族化反応用触媒及び芳香族化合物の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021041330A true JP2021041330A (ja) 2021-03-18

Family

ID=74861911

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019164380A Pending JP2021041330A (ja) 2019-09-10 2019-09-10 メタンの脱水素芳香族化反応用触媒及び芳香族化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021041330A (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1170633A (zh) * 1997-07-24 1998-01-21 厦门大学 甲烷非氧化催化脱氢芳构化催化剂
JP2012522721A (ja) * 2009-04-06 2012-09-27 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 反応混合物から水素を電気化学的に分離する方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1170633A (zh) * 1997-07-24 1998-01-21 厦门大学 甲烷非氧化催化脱氢芳构化催化剂
JP2012522721A (ja) * 2009-04-06 2012-09-27 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 反応混合物から水素を電気化学的に分離する方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Chen et al. Dehydrogenation of propane over spinel-type gallia–alumina solid solution catalysts
JPH1160514A (ja) 低級炭化水素を原料とする芳香族化合物の製造方法
JP5481996B2 (ja) 芳香族炭化水素製造方法
EA032182B1 (ru) Способ получения катализатора, катализатор, а также способ окислительного дегидрирования углеводородов
Liu et al. Highly efficient VO x/SBA-15 mesoporous catalysts for oxidative dehydrogenation of propane
TW201821159A (zh) 烴轉化製程
JP4773451B2 (ja) 炭化水素の分解触媒及びその製造方法
JP5402354B2 (ja) 芳香族化合物製造方法
WO2012002269A1 (ja) 芳香族炭化水素製造方法
Li et al. Boron-promoted Cu/ZrO2 catalysts for hydrogenation of sec-butyl acetate: structural evolution and catalytic performance
US11905471B2 (en) Selective catalyst for hydrogenolysis of ethyl-aromatics by conserving methyl-aromatics
JP4235731B2 (ja) 低級炭化水素の脱水素芳香族化反応用触媒成型体の製造方法
WO2020059889A1 (ja) 触媒、及びこれを用いた1,3-ブタジエンの製造方法
JP2021041330A (ja) メタンの脱水素芳香族化反応用触媒及び芳香族化合物の製造方法
JP4677194B2 (ja) 触媒を用いた低級炭化水素の転化方法
Stepanov et al. State-of-the-Art and Achievements in the Catalytic Conversion of Natural Gas into Valuable Chemicals
JP2010042343A (ja) 低級オレフィン製造用触媒、その製造方法及びこれを用いた低級オレフィンの製造方法
JP2021041329A (ja) メタンの脱水素芳香族化反応用触媒及び芳香族化合物の製造方法
JP4790356B2 (ja) 低級炭化水素改質触媒
JP5564769B2 (ja) 低級炭化水素芳香族化触媒及び芳香族化合物の製造方法
JP2010018556A (ja) エタノールからの低級オレフィンの製造方法
JPWO2005028105A1 (ja) 低級炭化水素の芳香族化触媒とその製造方法並びに芳香族化合物と水素の製造方法
Wang et al. Low-temperature oxidative coupling of methane over LaCeZr ternary oxide supported Mn–Na 2 WO 4
US20130012747A1 (en) Method of manufacture of aromatic compound
JP5949069B2 (ja) 低級炭化水素芳香族化触媒の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190927

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20191227

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220411

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221130

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20230131

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20230202

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230420

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20230518

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230523