実施例に係る蒸発燃料処理装置について説明する。図1は、実施例に係る蒸発燃料処理装置2を模式的に示す図である。図1に示すように、蒸発燃料処理装置2は、燃料タンク30と、キャニスタ10と、パージポンプ50と、ECU100(Engine Control Unit)とを備えている。蒸発燃料処理装置2は、例えば、ガソリン自動車やハイブリッド自動車等の車両(図示省略)に搭載される。蒸発燃料処理装置2が搭載される車両にはエンジン60が搭載されている。蒸発燃料処理装置2は、燃料タンク30で発生する蒸発燃料を含むパージガスをエンジン60に接続されている吸気通路62に供給するための装置である。
車両のエンジン60には吸気通路62の下流端部が接続されている。エンジン60に吸入される空気が吸気通路62を通過する。吸気通路62を通じてエンジン60に空気が供給される。吸気通路62にはエアクリーナ63とスロットルバルブ64が設けられている。エアクリーナ63は、吸気通路62を流れる空気に含まれているゴミ等の異物を除去する。スロットルバルブ64は、吸気通路62の通路面積を調整することによって、エンジン60に供給される空気の流量を調整する。スロットルバルブ64よりも下流側の吸気通路62には後述するパージ通路38が接続されている。
燃料タンク30は、エンジン60に供給される燃料(例えば、ガソリン)を収容する。燃料タンク30内には燃料ポンプ32が配置されている。燃料ポンプ32には燃料供給通路34の上流端部が接続されている。燃料供給通路34の下流端部はエンジン60に接続されている。燃料ポンプ32は、燃料タンク30に収容されている燃料を吸入して燃料供給通路34に吐出する。燃料ポンプ32から吐出された燃料が燃料供給通路34を通じてエンジン60に供給される。
燃料タンク30内の燃料は、燃料タンク30内で蒸発することがある。例えば、車両の走行中や駐車中に燃料が蒸発することがある。燃料タンク30内の燃料が蒸発することによって蒸発燃料が発生する。
燃料タンク30の上部には、タンク通路36の上流端部が接続されている。燃料タンク30内で発生した蒸発燃料がタンク通路36内に流入する。タンク通路36の下流端部はキャニスタ10に接続されている。燃料タンク30内で発生した蒸発燃料がタンク通路36を通じてキャニスタ10に供給される。
図2は、実施例に係るキャニスタ10を模式的に示す図である。図2に示すように、キャニスタ10は、ケース12と、タンクポート13と、大気ポート14と、パージポート15とを備えている。
ケース12は、ポンプ収容部122と、吸着材収容部121とを備えている。吸着材収容部121には、キャニスタ10に供給される蒸発燃料を吸着するための複数の吸着材18が収容されている。吸着材18は、例えば活性炭からなる。蒸発燃料を含むガスが吸着材18を通過するときに、ガスに含まれている蒸発燃料が吸着材18に吸着される。また、吸着材18に吸着された蒸発燃料は、空気が吸着材18を通過するときに、吸着材18から空気中に脱離する(即ち、蒸発燃料がパージされる)。吸着材18の形状は、例えば、ペレット状やモノリス状等である。吸着材18としては、例えば、石炭系や木質系の活性炭を用いることができる。
ポンプ収容部122は、吸着材収容部121の端部に固定されている。ポンプ収容部122にはパージポンプ50が収容されている。パージポンプ50については後述する。ポンプ収容部122は、パージポート15とパージポンプ50を囲んでいる。ポンプ収容部122は、ケース12からパージポート15が突出する方向に沿って延びている。
タンクポート13と大気ポート14とパージポート15とは、ケース12と一体的に形成されている。タンクポート13と大気ポート14とパージポート15とは、ケース12の吸着材収容部121に固定されている。タンクポート13にはタンク通路36(図1参照)の下流端部が接続されている。タンク通路36を通じてキャニスタ10に供給された蒸発燃料が、タンクポート13から吸着材収容部121内に流入する。吸着材収容部121内に流入した蒸発燃料が吸着材収容部121に収容されている吸着材18を通過するときに、蒸発燃料が吸着材18に吸着される。
キャニスタ10の大気ポート14には大気通路37の下流端部が接続されている。大気通路37の上流端部は大気に開放されている(図1参照)。大気中の空気が大気通路37を通じてキャニスタ10に供給される。大気中の空気が大気ポート14から吸着材収容部121内に流入する。吸着材収容部121内に流入した空気が吸着材収容部121に収容されている吸着材18を通過するときに、吸着材18に吸着されている蒸発燃料が空気中に脱離する。これによって、蒸発燃料を含むパージガスが吸着材収容部121内で生成される。このとき、蒸発燃料が脱離するときの吸熱反応によって、比較的低温のパージガスが生成される。
キャニスタ10のパージポート15には、後述するパージポンプ50の吸入ポート55が接続されている。吸着材収容部121内で生成されたバージガスがパージポート15からパージポンプ50内に流入する。
次に、パージポンプ50について説明する。パージポンプ50は、キャニスタ10のポンプ収容部122内に配置されている。図3は、実施例に係るパージポンプ50を模式的に示す図である。図3に示すように、パージポンプ50は、ハウジング52と、吸入ポート55と、吐出ポート56と、モータ80と、インペラ54とを備えている。
ハウジング52と吸入ポート55と吐出ポート56とは、一体的に形成されている。ハウジング52は、モータ80とインペラ54を収容している。ハウジング52内には、パージガスが通過するガス通路57が形成されている。
吸入ポート55は、キャニスタ10のパージポート15に接続されている。パージポート15から流出するパージガスが吸入ポート55に流入する。吸入ポート55に流入したパージガスがハウジング52内のガス通路57に流入する。ガス通路57は、インペラ54を収容するインペラ収容部157を備えている。ガス通路57は、吸入ポート55と吐出ポート56との間に形成されている。ガス通路57を通過したパージガスが吐出ポート56から吐出される。吐出ポート56には、パージ通路38(図1参照)の上流端部が接続されている。吐出ポート56から吐出されるパージガスがパージ通路38内に流入する。
パージポンプ50のモータ80は、例えばブラシレスモータである。モータ80は、ステータ82とロータ81を備えている。ステータ82は、ハウジング52内に配置されている支持部材58によって支持されている。ステータ82は、コア84と、コア84の周りに巻かれているコイル86とを備えている。ロータ81は、回転軸83と、回転軸83の周りに配置されている永久磁石85とをと備えている。回転軸83は、ハウジング52内に配置されている複数の軸受け87によって支持されている。複数の軸受け87は支持部材58によって支持されている。複数の軸受け87と支持部材58との間には金属の熱伝達部材70が配置されている。
パージポンプ50のインペラ54は、ハウジング52内に形成されているインペラ収容部157に配置されている。インペラ54は、複数の羽根(不図示)を備えている。インペラ54は、ロータ81の回転軸83に固定されている。回転軸83が回転するとインペラ54が回転する。インペラ54が回転することによって、パージポンプ50の吸入ポート55からハウジング52内にパージガスが吸入され、そのパージガスがガス通路57を流れて吐出ポート56から吐出される。吐出ポート56から吐出されたパージガスがパージ通路38内に流入する。上記のパージポンプ50では、モータ80の回転軸83が回転すると、回転軸83を支持している複数の軸受け87で熱が発生する。また、モータ80が動作するとコイル86が発熱する。複数の軸受け87とコイル86で発生した熱は、ハウジング52内に配置されている熱伝達部材70に伝達される。
次に、熱伝達部材70について説明する。図4は、図3の部分IVを模式的に示す図である。図4に示すように、熱伝達部材70は、金属の板状部材が屈曲することにより形成されている。熱伝達部材70は、受熱部72と、熱伝達部74と、放熱部73とを備えている。
受熱部72は、熱伝達部材70の一端部に位置している。受熱部72は、モータ80の回転軸83の軸方向に沿って延びている。受熱部72は、回転軸83の径方向において複数の軸受け87とモータ80のコイル86との間に配置されている。受熱部72の一方の表面が複数の軸受け87に面しており、受熱部72の他方の表面がモータ80のコイル86に面している。受熱部72は、複数の軸受け87に接触している。受熱部72は、複数の軸受け87で発生する熱を受熱する。また、受熱部72は、コイル86で発生する熱を、支持部材58を介して受熱する。
熱伝達部74は、受熱部72と放熱部73の間に位置している。熱伝達部74の一端部が受熱部72に接続されており、熱伝達部74の他端部が放熱部73に接続されている。熱伝達部74は、受熱部72が受熱した熱を放熱部73に伝達する。なお、複数の軸受け87やモータ80のコイル86で発生する熱を熱伝達部74が受熱することもある。
放熱部73は、熱伝達部材70の他端部(受熱部72と反対側の端部)に位置している。放熱部73は、モータ80の回転軸83の径方向に沿って延びている。放熱部73の一方の表面は、ガス通路57のインペラ収容部157の一部に面している。放熱部73の表面がガス通路57に露出している。放熱部73は、ガス通路57を通過するパージガスに熱を放出する。これによって、複数の軸受け87とモータ80のコイル86で発生した熱がパージガスに伝達される。熱が伝達されたパージガスがパージポンプ50から吐出される。
パージポンプ50にはパージ通路38の上流端部が接続されている。パージポンプ50から吐出されたパージガスがパージ通路38内に流入する。図1及び図2に示すように、パージ通路38の上流端部には、温度センサ41(測定部の一例)と圧力センサ42が設けられている。温度センサ41と圧力センサ42は、パージポンプ50の吐出ポート56の直後に配置されている。温度センサ41は、パージポンプ50から吐出された直後のパージガスの温度を直接的に測定する。圧力センサ42は、パージポンプ50から吐出された直後のパージガスの圧力を直接的に測定する。パージ通路38の下流端部は吸気通路62に接続されている(図1参照)。パージポンプ50から吐出されたパージガスがパージ通路38を通じて吸気通路62内に流入する。
図5は、実施例に係るECU100のブロック図である。図5に示すように、ECU100は、温度センサ41と、圧力センサ42と、MIL(Malfunction Indication Lamp)43に有線又は無線で接続されている。温度センサ41と圧力センサ42については上述した通りである。MIL43(報知部の一例)は、蒸発燃料処理装置2に関する情報を報知するランプである。MIL43は、例えば、蒸発燃料処理装置2のパージポンプ50が正常に動作していない場合には赤色に点灯する。
ECU100は、推定部101と、制御部102と、記憶部103とを備えている。推定部101は、パージポンプ50(図1参照)から吐出されるパージガスの温度等を推定する。推定部101による推定処理については後述する。制御部102は、例えばCPUを備えており、蒸発燃料処理装置2に関する制御や処理を実行する。制御部102による制御や処理については後述する。
記憶部103は、例えばROMやRAMを備えており、蒸発燃料処理装置2に関する情報を記憶する。記憶部103には、予め複数のマップが記憶されている。記憶部103には、第1のマップと、第2のマップと、第3のマップとが記憶されている。第1のマップと第2のマップと第3のマップとは、実験や解析に基づいて予め作成されている。
図6は、実施例に係る第1のマップを示す図である。図6に示すように、第1のマップは、外気温度と、パージガスの濃度と、吸入ポート側温度(即ち、パージポンプ50に吸入されるパージガスの温度)との関係を示す三次元マップである。第1のマップは、外気温度とパージガスの濃度とに基づいて、パージポンプ50に吸入されるパージガスの温度を推定するためのマップである。パージポンプ50に吸入されるパージガスの温度は、キャニスタ10のパージポート15から流出してパージポンプ50の吸入ポート55に流入するパージガスの温度である。第1のマップの外気温度は、例えば、外気温度センサ(不図示)によって測定される。また、パージガスの濃度は、例えば、ECU100の推定部101によって推定される。推定部101は、圧力センサ42によって測定されるパージガスの圧力に基づいてパージガスの濃度を推定する。
図7は、実施例に係る第2のマップを示す図である。図7に示すように、第2のマップは、パージポンプ50のモータ80の回転数と、モータ80の消費電力と、パージポンプ50の正常時のモータ80の発熱温度との関係を示す三次元マップである。第2のマップは、モータ80の回転数と消費電力とに基づいて、モータ80の発熱温度を推定するためのマップである。モータ80の回転数は、例えば、ホールセンサ(不図示)によって測定されるロータ81の回転位置に基づいて特定される。モータ80の消費電力は、例えば、モータ80の電圧と電流とに基づいて特定される。モータ80の回転数と消費電力を特定する方法については、よく知られているので詳細な説明を省略する。
図8は、実施例に係る第3のマップを示す図である。図8に示すように、第3のマップは、吸入ポート側温度(即ち、パージポンプ50に吸入されるパージガスの温度)と、パージポンプ50の正常時のモータ80の発熱温度と、吐出ポート側温度(即ち、パージポンプ50から吐出されるパージガスの温度)との関係を示す三次元マップである。第3のマップは、パージポンプ50に吸入されるパージガスの温度と、モータ80の発熱温度とに基づいて、パージポンプ50から吐出されるパージガスの温度を推定するためのマップである。パージポンプ50に吸入されるパージガスの温度は、上記の第1のマップに基づいて推定される。モータ80の発熱温度は、上記の第2のマップに基づいて推定される。
次に、蒸発燃料処理装置2の動作について説明する。上記の蒸発燃料処理装置2では、図1に示す燃料タンク30内で発生した蒸発燃料がタンク通路36を通じてキャニスタ10内に流入する。キャニスタ10内に流入した蒸発燃料は、キャニスタ10の吸着材収容部121に収容されている複数の吸着材18に吸着される。また、上記の蒸発燃料処理装置2では、パージポンプ50が始動すると、大気中の空気が大気通路37を通じてキャニスタ10内に流入する。キャニスタ10内に流入した空気が吸着材収容部121を通過すると、吸着材収容部121内の複数の吸着材18に吸着されている蒸発燃料が空気に脱離してパージガスが生成される。キャニスタ10で生成されたパージガスは、パージポンプ50に吸入され、パージポンプ50から吐出される。パージポンプ50から吐出されたパージガスは、パージ通路38を通じて吸気通路62に流入する。吸気通路62に流入したパージガスは、吸気通路62を通じてエンジン60に供給される。
次に、蒸発燃料処理装置2で実行される異常判定処理について説明する。図9は、実施例に係る異常判定処理のフローチャートである。異常判定処理は、例えば蒸発燃料処理装置2のパージポンプ50が始動すると開始される。パージポンプ50が動作すると、パージポンプ50のモータ80が回転することによって、複数の軸受け87とモータ80のコイル86(図3及び図4参照)で熱が発生する。
図9に示すように、異常判定処理のS10では、ECU100の推定部101が、パージポンプ50の動作中に、吐出ポート側温度(即ち、パージポンプ50から吐出されるパージガスの温度)を推定する。より詳細には、推定部101が、記憶部103に記憶されている第1のマップ(図6参照)に基づいて、吸入ポート側温度(即ち、パージポンプ50に吸入されるパージガスの温度)を推定する。また、推定部101が、記憶部103に記憶されている第2のマップ(図7参照)に基づいて、パージポンプ50の正常時のモータ80の発熱温度を推定する。そして、推定部101が、記憶部103に記憶されている第3のマップ(図8参照)に基づいて、吐出ポート側温度(即ち、パージポンプ50から吐出されるパージガスの温度)を推定する。
続くS11では、ECU100の制御部102が、上記のS10で推定部101によって推定された吐出ポート側温度(即ち、パージポンプ50から吐出されるパージガスの温度)に基づいて、基準温度Thを設定する。基準温度Thは、上記のS10で推定部101によって推定された温度よりも所定の温度だけ高温の温度である。例えば、基準温度Thは、推定部101による推定温度+20℃である。
続くS12では、制御部102が、上記のS11で設定した基準温度Thと、パージ通路38に設けられている温度センサ41によって測定される温度とを比較する。温度センサ41によって測定される温度は、パージポンプ50から吐出されるパージガスの温度であって、温度センサ41によって実際に測定される温度である。
続くS13では、制御部102が、温度センサ41による測定温度が、上記のS11で設定した基準温度Th以上であるか否かを判定する。測定温度が基準温度Th以上である場合は、制御部102がYESと判断してS14に進む。そうでない場合は、制御部102がNOと判断して後述するS18に進む。
S13でYESの後のS14では、制御部102が、パージポンプ50のモータ80の回転数を減少させる。モータ80の回転数が減少すると、パージポンプ50から吐出されるパージガスの量が低下する。また、モータ80の回転数が減少すると、複数の軸受け87とモータ80のコイル86で発生する熱量が減少し、パージポンプ50から吐出されるパージガスの温度が低下することがある。
続くS15では、制御部102が、モータ80の回転数を減少させた後に温度センサ41によって測定される温度と、上記のS11で設定した基準温度Thとを比較する。
続くS16では、制御部102が、温度センサ41による測定温度が、上記のS11で設定した基準温度Th以上であるか否かを再び判断する。測定温度が基準温度Th以上である場合は、制御部102がYESと判断してS19に進む。そうでない場合は、制御部102がNOと判断してS17に進む。
S16でNOの後のS17では、制御部102が、パージポンプ50のモータ80の回転数を増加させる。続くS18では、制御部102が、パージポンプ50が停止したか否かを判断する。例えば、車両のエンジン60が停止すると、パージポンプ50が停止する。パージポンプ50が停止した場合は、制御部102がYESと判断して異常判定処理を終了する。そうでない場合は、制御部102がNOと判断して上記のS10に戻る。
上記のS16でYESの後のS19では、制御部102が、パージポンプ50に異常が生じている(即ち、パージポンプ50が正常に動作していない)と判定する。続くS20では、制御部102が、パージポンプ50を停止する。続くS21では、制御部102が、MIL43を例えば赤色に点灯する。その後、S21の処理が終了すると異常判定処理が終了する。
以上、実施例に係る蒸発燃料処理装置2について説明した。上記の説明から明らかなように、蒸発燃料処理装置2は、蒸発燃料を含むパージガスが生成されるキャニスタ10と、キャニスタ10から吸気通路62に向けてパージガスを吐出するパージポンプ50と、パージポンプ50から吐出されるパージガスの温度を測定する温度センサ41とを備えている。また、蒸発燃料処理装置2は、温度センサ41による測定温度以外(例えば、パージポンプ50に吸入されるパージガスの温度)に基づいてパージポンプ50から吐出されるパージガスの温度を推定する推定部101を備えている。上記の蒸発燃料処理装置2では、制御部102が、温度センサ41による測定温度と、推定部101による推定温度よりも所定の温度だけ高温の基準温度Thとを比較する。
上記のキャニスタ10では、蒸発燃料が脱離してパージガスが生成されるときに、吸熱反応によって比較的低温のパージガスが生成される。また、パージポンプ50は、正常に動作しているときにはその温度があまり高温にならないが、正常に動作していないときにはその温度が顕著に高温になることがある。例えば、複数の軸受け87やモータ80のコイル86が顕著に高温になることがある。そのため、比較的低温であったパージガスがパージポンプ50から吐出されると、パージポンプ50が正常に動作しているときにはパージポンプ50から吐出されるパージガスの温度があまり高温にならないが、パージポンプ50が正常に動作していないときにはパージポンプ50から吐出されるパージガスの温度が顕著に高温になることがある。したがって、パージポンプ50が正常に動作していないときには温度センサ41による測定温度が顕著に高温になることがある。
これに対して、推定部101による推定温度は、温度センサ41による測定温度以外に基づいているので、パージポンプ50が正常に動作していないときであっても、あまり高温にならない。そのため、温度センサ41による測定温度と推定部101による推定温度に基づく基準温度Thとを比較すると、パージポンプ50が正常に動作していないときには、測定温度が基準温度Thよりも高温になることがある。したがって、測定温度と基準温度Thを比較することにより、パージポンプ50が正常に動作しているか否かを判定することができる。蒸発燃料が脱離するときの吸熱反応によってパージガスの温度が比較的低温になるというキャニスタ10の特性と、パージポンプ50が正常に動作していないときはパージポンプ50の温度が顕著に高温になるというパージポンプ50の特性とを利用して、パージポンプ50が正常に動作しているか否かを判定することができる。また、パージポンプ50内の温度(例えば、複数の軸受け87やモータ80のコイル86の温度)を直接的に測定しなくでも、パージポンプ50が正常に動作しているか否かを判定することができる。
また、上記の蒸発燃料処理装置2では、制御部102が、温度センサ41による測定温度が基準温度Th以上である場合は、MIL43を赤色に点灯する(図9のS13でYES、S16でYES)。赤色の点灯は、温度センサ41による測定温度が基準温度Th以上であることを示す情報の一例である。この構成によれば、測定温度が基準温度Th以上であることをユーザに報知することができる。そのため、パージポンプ50が正常に動作していないことをユーザに報知することができる。
また、上記の蒸発燃料処理装置2では、推定部101が、吸入ポート側温度(即ち、キャニスタ10からパージポンプ50に吸入されるパージガスの温度)を外気温度とパージガスの濃度とに基づいて推定している(図6参照)。また、推定部101が、吸入ポート側温度に基づいて吐出ポート側温度(即ち、パージポンプ50から吐出されるパージガスの温度)を推定している(図8参照)。
吸入ポート側温度は、例えば温度センサによって測定することも考えられる。しかしながら、吸入ポート側温度を測定するために例えばパージポンプ50の直前に温度センサを設けると、蒸発燃料処理装置2の構成が複雑になることが考えられる。上記の構成によれば、吸入ポート側温度を外気温度とパージガスの濃度とに基づいて推定するので、吸入ポート側温度を測定するための温度センサを設ける必要がない。そのため、簡潔な構成でパージポンプ50から吐出されるパージガスの温度を推定することができる。
また、上記の蒸発燃料処理装置2では、制御部102が、温度センサ41による測定温度が基準温度Th以上である場合は、パージポンプ50を停止する(図9のS16でYES、S20)。この構成によれば、パージポンプ50が更に高温になることを抑制することができる。
また、上記の蒸発燃料処理装置2では、キャニスタ10が、パージポンプ50を収容するポンプ収容部122を備えている。この構成によれば、キャニスタ10で生成されるパージガスをキャニスタ10から直ぐにパージポンプ50に吸入することができる。そのため、パージポンプ50内で発生する熱をキャニスタ10で生成されるパージガスに対して直ぐに反映させることができる。キャニスタ10で生成される比較的低温のパージガスが他の影響で高温になる前にパージポンプ50で発生する熱をパージガスに反映させることができる。
また、上記の蒸発燃料処理装置2では、温度センサ41が、パージポンプ50の直後に配置されており、パージポンプ50から吐出された直後のパージガスの温度を測定する。この構成によれば、パージポンプ50から吐出されるパージガスの温度を温度センサ41によって直ぐに測定することができる。パージポンプ50から吐出されるパージガスの温度が低下する前にパージガスの温度を測定することができる。
パージポンプ50は、パージポンプ50内で発生する熱をパージガスに伝達する熱伝達部材70を備えている。この構成によれば、パージポンプ50内で発生する熱をパージガスに確実に伝達することができる。そのため、パージポンプ50が正常に動作していないときパージポンプ50から吐出されるパージガスの温度が顕著に高温になる。
パージポンプ50は、パージガスを吸入する吸入ポート55と、パージガスを吐出する吐出ポート56と、吸入ポート55と吐出ポート56との間に位置するガス通路57とを備えている。熱伝達部材70は、ガス通路57に面している放熱部73を備えている。この構成によれば、パージポンプ50内で発生する熱をパージガスに確実に伝達することができる。
パージポンプ50は、モータ80と、モータ80の回転軸83を支持する軸受け87とを備えている。熱伝達部材70は、軸受け87に面している受熱部72を備えている。この構成によれば、パージポンプ50が正常に動作していないときに軸受け87で発生する熱をパージガスに確実に伝達することができる。
熱伝達部材70の受熱部72は、モータ80のコイル86に面している。この構成によれば、パージポンプ50が正常に動作していないときにモータ80のコイル86で発生する熱をパージガスに確実に伝達することができる。
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上記の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
(1)上記の実施例では、ECU100の推定部101が、圧力センサ42によって測定されるパージガスの圧力に基づいてパージガスの濃度を推定していたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、推定部101が、超音波流量センサによって測定されるパージガスの流量に基づいてパージガスの濃度を推定してもよい。また、推定部101が、A/F(Air by Fuel)センサによって測定されるエンジン60の排気ガスの空燃比に基づいてパージガスの濃度を推定してもよい。また、更に他の実施例では、蒸発燃料処理装置2が、パージガスの濃度を直接的に測定する濃度センサを備えていてもよい。
(2)他の実施例では、制御部102が、温度センサ41による測定温度が基準温度Th未満である場合は、MIL43を例えば青色に点灯してもよい。制御部102は、測定温度が基準温度Th以上である第1の場合は、MIL43を赤色に点灯し、測定温度が基準温度Th未満である第2の場合は、MIL43を青色に点灯する。制御部102は、第1の場合と第2の場合とでMIL43を異なる色で点灯する。青色の点灯は、測定温度が基準温度Th未満であることを示す情報の一例である。この構成によれば、測定温度が基準温度Th未満であることをユーザに報知することができる。そのため、パージポンプ50が正常に動作していることをユーザに報知することができる。
(3)他の実施例では、エンジン60に空気を圧送する過給機が吸気通路62に設けられていてもよい。また、パージ通路38を開閉するパージ弁がパージ通路38に設けられていてもよい。
(4)上記の実施例では、吸入ポート側温度(即ち、パージポンプ50に吸入されるパージガスの温度)を推定部101が推測していたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、温度センサが吸入ポート側温度を直接的に測定してもよい。この場合は、吸入ポート側温度を測定するための温度センサが吸入ポート55の直前に配置される。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。