JP2021037636A - 防曇性積層体、及び、防曇性積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
<1>吸水性樹脂層と、吸水性樹脂層の上に配置される親水撥油層と、を有し、親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含むか、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含むか、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む防曇性積層体。
<2>親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含み、無機粒子はシリカ粒子又はアルミナ粒子である、<1>に記載の防曇性積層体。
<3>親水撥油層は、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含み、アニオン性無機粒子はシリカ粒子である、<1>に記載の防曇性積層体。
<4>親水撥油層は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含み、カチオン性無機粒子はアルミナ粒子である、<1>に記載の防曇性積層体。
<5>ベタイン型フッ素化合物の含有量は、親水撥油層の全量に対して0.5質量%〜10質量%である<1>又は<2>に記載の防曇性積層体。
<6>ベタイン型フッ素化合物の含有量に対する無機粒子の含有量は、質量基準で0.5〜30である<1>、<2>又は<5>に記載の防曇性積層体。
<7>無機粒子、アニオン性無機粒子及びカチオン性無機粒子はそれぞれ、一次粒子径が100nm以下である、<1>に記載の防曇性積層体。
<8>吸水性樹脂層の親水撥油層が配置されている側とは反対側に、非吸水性支持体を有する<1>〜<7>のいずれか1つに記載の防曇性積層体。
<9>吸水性樹脂層の親水撥油層が配置されている側とは反対側に、最外層として、粘着剤層を有する<1>〜<8>のいずれか1つに記載の防曇性積層体。
<10>バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含む塗布液、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含む塗布液、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む塗布液を吸水性樹脂層の上に塗布する工程を有する防曇性積層体の製造方法。
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、「工程」という語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、「吸水性」とは、JIS K 7209:2000に記載されたA法に準拠して測定される吸水率が12%以上であることを意味する。
本開示の防曇性積層体は、吸水性樹脂層と、吸水性樹脂層の上に配置される親水撥油層と、を有し、親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含むか、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含むか、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む。
吸水性樹脂層は、樹脂を少なくとも含み、吸水性を有する層であれば特に限定されない。吸水性樹脂層は、吸水性を有する樹脂(吸水性樹脂)を含む単一の層でもよいし、複数の層であってもよい。
したがって、本開示における吸水性樹脂は、吸水率が12%以上の樹脂を指し、吸水率が12%未満の樹脂は、非吸水性樹脂として本開示における吸水性樹脂と区別される。
中でも、吸水性に優れる観点から、セルロース系樹脂が好ましい。
ケン化処理の方法としては、例えば、アルカリ水溶液中にフィルムを浸漬させる方式が挙げられる。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液、及び水酸化カリウムの水溶液が挙げられる。ケン化処理の方法に使用されるフィルムとしては、セルロースエステルフィルムが好ましく、トリアセチルセルロースフィルムがより好ましい。すなわち、本開示の防曇性積層体では、吸水性樹脂層として、少なくとも一方の表面にケン化処理層を有するトリアセチルセルロースフィルムを用いることが好ましい。
親水撥油層は、吸水性樹脂層の上に配置される層である。親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含むか、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含むか、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む。
親水撥油層が、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含む場合について説明する。
本開示の防曇性積層体における親水撥油層に用いられるベタイン型フッ素化合物は、1分子内にアニオン構造とカチオン構造とを有するフッ素化合物であれば特に限定されない。本開示の防曇性積層体は、親水撥油層が親水撥油性の機能を発揮するベタイン型フッ素化合物を含むことにより、防汚性に優れる。
本開示の防曇性積層体では、親水撥油層に無機粒子を含有させることにより、親水撥油層の硬度を向上させることができ、防曇性積層体の耐傷性を向上させることができる。また、無機粒子はベタイン型フッ素化合物と組み合わせても凝集することがないため、ヘイズを低く抑えることができ、透明性に優れる。ベタイン型フッ素化合物と組み合わせる場合には、無機粒子は、アニオン性無機粒子及びカチオン性無機粒子のいずれであってもよい。
シリカ粒子の市販品としては、例えば、エボニック社のAEROSIL(登録商標)シリーズ、日産化学工業社のスノーテックス(登録商標)シリーズ(例えば、スノーテックスOXS、スノーテックスO−33、及びスノーテックスOL)、ナルコ社のNalco(登録商標)シリーズ(例えば、Nalco8699)、及び、扶桑化学工業社のクォートロンPLシリーズ(例えば、PL−1)が挙げられる。
バインダーは、ベタイン型フッ素化合物と無機粒子とを含む層を形成することが可能なポリマーであれば、特に限定されない。硬度の観点から、バインダーは、シロキサンポリマー又は有機架橋ポリマーであることが好ましい。
本開示における親水撥油層は、吸水性樹脂層の上に親水撥油層形成用塗布液を塗布して、乾燥させることにより形成することが可能である。親水撥油層形成用塗布液を調製する際に、無機粒子、ベタイン型フッ素化合物、アルコキシシラン、水等を混合すると、アルコキシシランが加水分解し、シラノールが脱水縮合し、バインダーとなるシロキサンポリマーが形成される。本開示では、無機粒子は、バインダーとなるシロキサンポリマーと化学結合していることが好ましい。
Si(OR4) x(R5) 4−x ・・・(3)
式(3)中、R4は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、R5はアミノ基を含まない炭素数が1〜15の有機基を表す。また、xは、2〜4の整数を表し、xが2のときは2官能アルコキシシラン、xが3のときは3官能アルコキシシラン、xが4のときは4官能アルコキシシランを表す。
一般式(3)において、xが4である4官能アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランが挙げられる。4官能アルコキシシランは、市販品であってもよい。市販品としては、例えば、テトラエトキシシラン(製品名「KBE−04」、信越化学工業社製)が挙げられる。
マグネシウムエチルアセトアセテートモノイソプロピレート、マグネシウムビス(エチルアセトアセテート) 、マグネシウムアルキルアセトアセテートモノイソプロピレート、マグネシウムビス(アセチルアセトネート)等のマグネシウムキレート;
ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート)等のジルコニウムキレート;
マンガンアセチルアセトナート、コバルトアセチルアセトナート、銅アセチルアセトナート、チタンアセチルアセトナート、及びチタンオキシアセチルアセトナートが挙げられる。
本開示における親水撥油層は、吸水性樹脂層の上に親水撥油層形成用塗布液を塗布して、乾燥させることにより形成することが可能である。親水撥油層形成用塗布液を調製する際に、無機粒子、ベタイン型フッ素化合物と共に、有機架橋ポリマーを形成するための原料を混合して反応させることにより、バインダーとなる有機架橋ポリマーを得ることができる。有機架橋ポリマーを形成するための原料は、吸水性ポリマー及び架橋剤であることが好ましい。また、吸水性ポリマー及び架橋剤以外に、硬化触媒を用いてもよく、他の添加剤を用いてもよい。
ケン化度は、JIS K 6726:1994に記載された方法に従って測定される。
詳細には、GPCによる測定は、測定装置として、HLC−8120GPC及びSC−8020(いずれも東ソー社製)を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super HM−H(6.0mmID×15cm、東ソー社製)を2本用い、溶離液として、水、又は水とジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶媒を用いることにより測定する。測定条件として、試料濃度を0.5質量%、流速を0.6ml/min、サンプル注入量を10μl、及び測定温度を40℃とし、示唆屈折計(RI)検出器を用いて行うことができる。検量線は、東ソー社製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、及び「F−700」の10サンプルから作製されたものを用いることができる。
チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウム等のチタンキレート;
ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレートが挙げられる。
親水撥油層がアニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含む場合について説明する。
本開示の防曇性積層体における親水撥油層に用いられるアニオン性フッ素化合物は、1分子内にアニオン性基を有するフッ素化合物であれば特に限定されない。本開示の防曇性積層体は、親水撥油層が親水撥油性の機能を発揮するアニオン性フッ素化合物を含むことにより、防汚性に優れる。
本開示の防曇性積層体では、親水撥油層にアニオン性無機粒子を含有させることにより、親水撥油層の硬度を向上させることができ、防曇性積層体の耐傷性を向上させることができる。また、アニオン性無機粒子はアニオン性フッ素化合物と組み合わせても凝集することないため、ヘイズを低く抑えることができ、透明性に優れる。
シリカ粒子の市販品としては、エボニック社のAEROSIL(登録商標)シリーズ、日産化学工業社のスノーテックス(登録商標)シリーズ(例えば、スノーテックスOXS、スノーテックスO−33、及びスノーテックスOL)、ナルコ社のNalco(登録商標)シリーズ(例えば、Nalco8699)、及び、扶桑化学工業社のクォートロンPLシリーズ(例えば、PL−1)が挙げられる。
バインダーについては、上記バインダーと同様のものを用いることができるため、説明を省略する。
親水撥油層が、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む場合について説明する。
本開示の防曇性積層体における親水撥油層に用いられるカチオン性フッ素化合物は、1分子内にカチオン性基を有するフッ素化合物であれば特に限定されない。本開示の防曇性積層体は、親水撥油層が親水撥油性の機能を発揮するカチオン性フッ素化合物を含むことにより、防汚性に優れる。
本開示の防曇性積層体では、親水撥油層にカチオン性無機粒子を含有させることにより、親水撥油層の硬度を向上させることができ、防曇性積層体の耐傷性を向上させることができる。また、カチオン性無機粒子はカチオン性フッ素化合物と組み合わせても凝集することないため、ヘイズを低く抑えることができ、透明性に優れる。
アルミナ粒子の市販品としては、例えば、川研ファインケミカル社のアルミナゾルシリーズ(例えば、アルミゾルF−3000)、及び、多木化学社のバイラールシリーズ(例えば、AL−7)が挙げられる。
バインダーについては、上記バインダーと同様のものを用いることができるため、説明を省略する。
本開示の防曇性積層体は、吸水性樹脂層の親水撥油層が配置されている側とは反対側に、非吸水性支持体を有してもよい。防曇性積層体が後述する粘着剤層を有する場合は、吸水性樹脂層と粘着剤層との間に非吸水性支持体が配置されることが好ましい。
本開示の防曇性積層体は、吸水性樹脂層の親水撥油層が配置されている側とは反対側に、最外層として、粘着剤層を有してもよい。粘着剤層を有することで、種々の被着体との密着性を向上できる。
本開示の防曇性積層体は、必要に応じて、上記した吸水性樹脂層、親水撥油層及び粘着剤層以外の層(以下、「他の層」ともいう。)を有していてもよい。他の層としては、保護層(例えば保護フィルム)及び密着層が挙げられる。密着層は、例えば、層と層との間に配置されることによって、層間の密着性を高めることができる。
本開示の積層体の製造方法は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含む塗布液、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含む塗布液、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む塗布液を吸水性樹脂層の上に塗布する工程を有する。本開示の積層体の製造方法は、更に、他の工程を有していてもよい。吸水性樹脂層の上に親水撥油層形成用塗布液を塗布することにより、親水撥油層が形成される。
[親水撥油層形成用塗布液の調製]
まず、酢酸水溶液を激しく攪拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(製品名「KBE−403」、信越化学工業社製、固形分100質量%)を酢酸水溶液に添加し、30分間攪拌を続けた。次に、テトラエトキシシラン(東京化成工業社製、固形分100質量%)を激しく攪拌しながら、酢酸水溶液に添加し、1時間攪拌を続けた。得られた溶液を溶液1−Aとした。
基材としての機能を担う吸水性フィルムであるケン化処理トリアセチルセルロース(トチセン社製、厚さ:127μm(ケン化処理層の厚さ:7μm〜8μmを含む)、吸水率:70%〜85%)の片側の表面(ケン化処理層の表面)に、親水撥油層形成用塗布液をバーコート法により塗布し、塗布膜を150℃で10分間乾燥させて、厚さ6μmの親水撥油層を形成した。吸収性フィルム上に親水撥油層が配置された、実施例1の防曇性積層体を得た。
実施例1で用いたバインダー原料、無機粒子及びフッ素化合物を表1及び表2に記載の種類及び含有量に変更し、実施例1と同様の方法で、実施例2〜実施例9、実施例14、実施例15、比較例1〜比較例8の親水撥油層形成用塗布液を調製した。なお、比較例8では、水溶性非フッ素化合物を用いたが、「フッ素化合物」の欄に記載した。
比較例7については、フッ素化合物が水とエタノールの混合溶液に溶解せず、親水撥油層形成用塗布液を調製することができなかった。
実施例2〜実施例9、実施例14、実施例15、比較例1〜比較例6、比較例8について、実施例1と同様の方法で、防曇性積層体を作製した。
[親水撥油層形成用塗布液の調製]
以下に示す成分を、表1及び表2に記載の含有量になるように混合した後、ベタイン型フッ素化合物1(製品名「エフロンティアA0111A0111」、三菱マテリアル電子化成社製、固形分1質量%)を添加し、30分間撹拌して、親水撥油層形成用塗布液を得た。
・アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(製品名「ゴーセネックスZ−220」、日本合成化学社製、重合度1200、ケン化度90.5〜92.5、固形分100質量%)・メラミン樹脂架橋剤(製品名「ニカラックMX−035」、日本カーバイド社製、固形分70質量%)
・p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業社製、固形分100質量%)
・アルミナゾル(製品名「アルミゾルF−1000」、短径4nm×長径1400nm、川研ファインケミカル社製、固形分75質量%)
・水
・エタノール
実施例1と同様の方法で、実施例10の防曇性積層体を作製した。
実施例10で用いたバインダー原料、無機粒子及びフッ素化合物を表1及び表2に記載の種類及び含有量に変更し、実施例10と同様の方法で、実施例11及び実施例12の防曇性積層体を作製した。
[親水撥油層形成用塗布液の調製]
実施例1と同様の方法で、親水撥油層形成用塗布液を得た。
ポリエチレンテレフタレート基材(製品名「A4300」、東洋紡社製、厚さ75μm)上に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(製品名「ゴーセネックスZ−220」、日本合成化学社製、重合度1200、ケン化度90.5〜92.5、固形分100質量%)をバーコート法により塗布し、塗布膜を150℃で5分間乾燥させて、厚さ5μmの吸水性樹脂層を形成した。
40℃の湯浴を用意し、得られた積層体の親水撥油層のあらかじめ定めた5cm×5cmの領域のみに温浴からの蒸気を当て、曇りが生じるまでの時間を測定した。評価基準は以下のとおりである。評価は、A及びBを合格とした。
A:1分30秒以上曇りがなく、かつ、透過像がぼけて見える揺らぎもない。
B:30秒以上1分30秒未満曇りがなく、かつ、透過像がぼけて見える揺らぎもない。
C:30秒未満で曇りが発生し、透過像が見えない。
10cm×10cmの大きさのサンプルを用意し、親水撥油層の表面に霧吹きで10mLの水をかけて強制的に水膜を形成した。その後、垂直に立てかけた状態で静置乾燥させた。この操作を10回繰り返した後、垂れ跡(すなわち、水垂れの痕跡)の有無を目視で観察した。評価基準は以下のとおりである。評価は、Aを合格とした。
A:垂れ跡がない
B:垂れ跡が僅かに見える
C:垂れ跡がはっきりと見える
10cm×10cmの大きさのサンプルを用意し、親水撥油層の表面に対し、JIS K 5600 5−4(1999)の条件で鉛筆硬度試験を行った。鉛筆硬度が高いほど、耐傷性に優れる。評価は、HB、H、2H及び3Hを合格とした。評価は、H以上であることがより好ましい。
ヘイズメーター(型番:NDH 5000、日本電色工業(株)製)を用いて、積層体のヘイズ(Haze)を測定した。得られた測定値を、透明性を評価する指標とした。基材よる差異を除去するため、へイズは積層体での測定値から基材のみでの測定値を引くことにより算出した。測定は、積層体の基材面、すなわち積層体の親水撥油層が形成されている面とは反対側の面を光源に向けて行った。ヘイズが低いほど、透明性に優れる。評価基準は以下のとおりである。評価は、A及びBを合格とした。
A:ヘイズ0.9%未満
B:ヘイズ0.9%以上1.5%未満
C:ヘイズ1.5%以上
10cm×10cmの大きさのサンプルを用意し、親水撥油層の表面に対し、n−ヘキサデカンを1μLずつ滴下した。室温(25±1℃)下、親水撥油層の表面と液滴との接触部位で形成される角度(単位:度)を、自動接触角計(協和界面科学社製)を用いて測定した。角度が大きいほど、防汚性に優れる。評価基準は以下のとおりである。評価は、Aを合格とした。
A:80°以上
B:30°以上80°未満
C:30°未満
・KBE−403・・・ 3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(製品名「KBE−403」、信越化学工業社製、固形分100質量%)
・Z−220・・・アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(製品名「ゴーセネックスZ−220」、日本合成化学社製、重合度1200、ケン化度90.5〜92.5、固形分100質量%)
・TEOS・・・テトラエトキシシラン(東京化成工業社製、固形分100質量%)
・X−12−1098・・・シランカップリング剤(製品名「X−12−1098」、信越化学工業社製、固形分30質量%)
・MX−035・・・イミノ基及びメチロール基を有するメラミン樹脂(製品名「ニカラックMX−035」、日本カーバイド社製、固形分70質量%)
・WM44−L70G・・・ブロックイソシアネート架橋剤(製品名「デュラネートWM44−L70G」、旭化成ケミカルズ社製、固形分70質量%)
・ALCH・・・アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(製品名「ALCH」、川研ファインケミカル社製、固形分100質量%)
・ALCH−D・・・アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)(製品名「ALCH−D」、川研ファインケミカル社製、固形分75質量%)
・p−TS・・・p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業社製、固形分100質量%)
・カチオン性無機粒子:アルミナ・・・アルミナゾル(製品名「アルミゾルF−1000」、短径4nm×長径1400nm、川研ファインケミカル社製、固形分75質量%)
・アニオン性無機粒子:シリカ・・・コロイダルシリカ(製品名「スノーテックスO33」、一次粒子径10nm〜15nm、日産化学社製、固形分33質量%)
・ベタイン型フッ素化合物1・・・ベタイン型フッ素化合物(製品名「A0111」、三菱マテリアル電子化成社製)、フッ素原子数36at%
・ベタイン型フッ素化合物2・・・下記構造のベタイン型フッ素化合物、フッ素原子数24at%
・カチオン性フッ素化合物1・・・下記構造のカチオン性フッ素化合物
・カチオン性フッ素化合物2・・・下記構造のカチオン性フッ素化合物
・アニオン性フッ素化合物1・・・下記構造のアニオン性フッ素化合物
・アニオン性フッ素化合物2・・・下記構造のアニオン性フッ素化合物
・非水溶性フッ素化合物・・・含フッ素基・親油性基含有オリゴマー(製品名「メガファックF−552」、DIC社製)
・水溶性非フッ素化合物・・・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(製品名「エマルゲン103」、花王社製)
・UG−4040・・・エポキシ基含有アクリルポリマー(製品名「ARUFON(登録商標)UG−4040」、重量平均分子量11000、エポキシ価2.1meq/g、東亞合成社製)
・ケン化TAC・・・ケン化処理トリアセチルセルロース(トチセン社製、厚さ:127μm(ケン化処理層の厚さ:7μm〜8μmを含む)、吸水率:70%〜85%)
・A4300・・・ポリエチレンテレフタレート基材(製品名「A4300」、東洋紡社製、厚さ75μm)
12,22・・・親水撥油層
14,24・・・吸水性樹脂層
16,28・・・粘着剤層
26・・・非吸水性支持体
Claims (10)
- 吸水性樹脂層と、
前記吸水性樹脂層の上に配置される親水撥油層と、を有し、
前記親水撥油層は、
バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含むか、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含むか、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む防曇性積層体。 - 前記親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含み、
前記無機粒子はシリカ粒子又はアルミナ粒子である、請求項1に記載の防曇性積層体。 - 前記親水撥油層は、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含み、
前記アニオン性無機粒子はシリカ粒子である、請求項1に記載の防曇性積層体。 - 前記親水撥油層は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含み、
前記カチオン性無機粒子はアルミナ粒子である、請求項1に記載の防曇性積層体。 - 前記ベタイン型フッ素化合物の含有量は、前記親水撥油層の全量に対して0.5質量%〜10質量%である請求項1又は請求項2に記載の防曇性積層体。
- 前記ベタイン型フッ素化合物の含有量に対する前記無機粒子の含有量は、質量基準で0.5〜30である請求項1、請求項2又は請求項5に記載の防曇性積層体。
- 前記無機粒子、前記アニオン性無機粒子及び前記カチオン性無機粒子はそれぞれ、一次粒子径が100nm以下である、請求項1に記載の防曇性積層体。
- 前記吸水性樹脂層の前記親水撥油層が配置されている側とは反対側に、非吸水性支持体を有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の防曇性積層体。
- 前記吸水性樹脂層の前記親水撥油層が配置されている側とは反対側に、最外層として、粘着剤層を有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の防曇性積層体。
- バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含む塗布液、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含む塗布液、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む塗布液を吸水性樹脂層の上に塗布する工程を有する防曇性積層体の製造方法。
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JP2019158842A JP7179701B2 (ja) | 2019-08-30 | 2019-08-30 | 防曇性積層体、及び、防曇性積層体の製造方法 |
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