JP2021037636A - 防曇性積層体、及び、防曇性積層体の製造方法 - Google Patents

防曇性積層体、及び、防曇性積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な防曇性を有しつつ、透明性、耐傷性、耐水垂れ性及び防汚性に優れた防曇性積層体及び防曇性積層体の製造方法を提供する。【解決手段】吸水性樹脂層と、吸水性樹脂層の上に配置される親水撥油層と、を有し、親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含むか、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含むか、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む防曇性積層体及び防曇性積層体の製造方法。【選択図】なし

Description

本開示は、防曇性積層体、及び、防曇性積層体の製造方法に関する。
屋内外に設置されて長期間にわたって使用される装置及び建材は、様々な環境に曝されやすく、例えば、寒暖の影響で水滴が付いたり、風雨時の雨水に濡れたりすることが原因で所期の機能及び性能を維持できないことがある。このような事態を解消する技術として、例えば、表面性状を親水的にする技術が検討されている。
表面性状を親水的にする技術として、対象面に親水性層を付与する方法が知られており、具体的には、表面を親水化する材料(親水型の材料)と、表面に吸水性を与える材料(吸水型の材料)と、が広く検討されている。
親水型の材料は、材料表面に水膜を形成しやすくすることで、曇りの発生原因となる水滴が形成されない仕組みとなる。すなわち、防曇性が良好となる。しかし、付着する水の量が多いと、水膜の厚さが大きくなる。それに伴い、水滴が垂れるといった問題、透過像に揺らぎが生じて透明性が低下するといった問題があり、用途が限定されてきた。
一方、吸水型の材料には、吸水性ポリマーが広く用いられ、吸水性ポリマーが水を吸収することで、曇りの発生原因となる水滴が形成されない仕組みとなる。しかし、水を吸収して膨潤する材料は機械的強度に劣るため、物理的な接触が多い用途には適用できないといった問題があった。
また、親水性の膜は親油性の特性を有するため、人に起因する汚れ(汗、指紋等)が付着しやすいといった問題があった。
防曇性に着目した技術として、例えば、特許文献1には、セルロースエステルフィルムと、セルロースエステルフィルムの一方の面に積層された親水性の熱線反射層と、セルロースエステルフィルムの他方の面が親水化処理されて形成された防曇層と、を備える遮熱防曇フィルムが記載されている。また、特許文献2には、共重合体と多官能ブロックイソシアネート化合物と界面活性剤とからなる防曇剤組成物において、界面活性剤は、共重合体100重量部に対して、1重量部〜10重量部のベタイン系界面活性剤と、0.01重量部〜3重量部のカチオン系界面活性剤とを含むことが記載されている。
国際公開第2015/083479号 特開2017−165886号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている防曇フィルム、及び特許文献2に開示されている防曇剤組成物を用いて形成された防曇膜は、防曇性を有するが、透明性、耐傷性、耐水垂れ性及び防汚性との両立は考慮されていない。
本開示はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、良好な防曇性を有しつつ、透明性、耐傷性、耐水垂れ性及び防汚性に優れた防曇性積層体及び防曇性積層体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための具体的手段は以下の態様を含む。
<1>吸水性樹脂層と、吸水性樹脂層の上に配置される親水撥油層と、を有し、親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含むか、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含むか、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む防曇性積層体。
<2>親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含み、無機粒子はシリカ粒子又はアルミナ粒子である、<1>に記載の防曇性積層体。
<3>親水撥油層は、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含み、アニオン性無機粒子はシリカ粒子である、<1>に記載の防曇性積層体。
<4>親水撥油層は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含み、カチオン性無機粒子はアルミナ粒子である、<1>に記載の防曇性積層体。
<5>ベタイン型フッ素化合物の含有量は、親水撥油層の全量に対して0.5質量%〜10質量%である<1>又は<2>に記載の防曇性積層体。
<6>ベタイン型フッ素化合物の含有量に対する無機粒子の含有量は、質量基準で0.5〜30である<1>、<2>又は<5>に記載の防曇性積層体。
<7>無機粒子、アニオン性無機粒子及びカチオン性無機粒子はそれぞれ、一次粒子径が100nm以下である、<1>に記載の防曇性積層体。
<8>吸水性樹脂層の親水撥油層が配置されている側とは反対側に、非吸水性支持体を有する<1>〜<7>のいずれか1つに記載の防曇性積層体。
<9>吸水性樹脂層の親水撥油層が配置されている側とは反対側に、最外層として、粘着剤層を有する<1>〜<8>のいずれか1つに記載の防曇性積層体。
<10>バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含む塗布液、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含む塗布液、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む塗布液を吸水性樹脂層の上に塗布する工程を有する防曇性積層体の製造方法。
本開示によれば、良好な防曇性を有しつつ、透明性、耐傷性、耐水垂れ性及び防汚性に優れた防曇性積層体及び防曇性積層体の製造方法を提供することができる。
図1は、吸水性樹脂層が支持体を兼ねる態様の防曇性積層体の積層構造の一例を示す断面図である。 図2は、吸水性樹脂層を非吸水性支持体上に設けた態様の防曇性積層体の積層構造の一例を示す断面図である。
以下、本開示の防曇性積層体及び防曇性積層体の製造方法について詳細に説明する。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、「工程」という語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、「吸水性」とは、JIS K 7209:2000に記載されたA法に準拠して測定される吸水率が12%以上であることを意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する概念である。また、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念である。
[防曇性積層体]
本開示の防曇性積層体は、吸水性樹脂層と、吸水性樹脂層の上に配置される親水撥油層と、を有し、親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含むか、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含むか、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む。
防曇材料の形態には親水型と吸水型とがある。親水型の材料では、付着する水の量が多いと、水膜の厚さが大きくなる。それに伴い、水滴が垂れるといった問題、及び、透過像に揺らぎが生じて透明性が低下するといった問題があり、用途が限定されてきた。一方、吸水型の材料には、吸水性ポリマーが広く用いられているが、水を吸収して膨潤する材料は機械的強度に劣るため、物理的な接触が多い用途には適用できないといった問題があった。また、親水性の膜は親油性の特性を有するため、人に起因する汚れ(汗、指紋等)が付着しやすいといった問題があった。
これに対して、本開示の防曇性積層体は、吸水性樹脂層と、吸水性樹脂層の上に配置される親水撥油層と、を有し、親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含むか、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含むか、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含むため、良好な防曇性を有しつつ、透明性、耐傷性、耐水垂れ性及び防汚性に優れる。特に、ベタイン型フッ素化合物と無機粒子との組み合わせ、アニオン性フッ素化合物とアニオン性無機粒子との組み合わせ、及び、カチオン性フッ素化合物とカチオン性無機粒子との組み合わせのいずれの場合においても、互いに凝集することがないため、ヘイズが少なく、透明性に優れる。
上記特許文献1及び特許文献2には、互いに凝集しないようにフッ素化合物と無機粒子とを組み合わせる技術は開示されておらず、防曇性以外の特性を両立させることはできていない。
本開示の防曇性積層体の具体的な態様を図1〜図2を参照して説明する。
図1に示す防曇性積層体10は、吸水性樹脂層が支持体を兼ねる態様である。具体的に、防曇性積層体10は、吸水性樹脂層としての吸水性支持体14と、吸水性支持体14の一方の面に設けられた親水撥油層12と、吸水性支持体14の他方の面に設けられた粘着剤層16と、を備える。
図2に示す防曇性積層体20は、吸水性樹脂層と支持体とを別層として設けた態様である。具体的には、防曇性積層体20は、非吸水性支持体26上に、吸水性樹脂層24と、親水撥油層22と、をこの順に備え、支持体26の吸水性樹脂層24が配置されている側と反対側に粘着剤層28を備える。
以下、本開示の防曇性積層体における各層の詳細について説明する。
(吸水性樹脂層)
吸水性樹脂層は、樹脂を少なくとも含み、吸水性を有する層であれば特に限定されない。吸水性樹脂層は、吸水性を有する樹脂(吸水性樹脂)を含む単一の層でもよいし、複数の層であってもよい。
吸収性樹脂層における「吸水性」とは、日本工業規格(JIS) K 7209:2000に記載のA法に準拠して測定される吸水率が12%以上である性状をいう。
したがって、本開示における吸水性樹脂は、吸水率が12%以上の樹脂を指し、吸水率が12%未満の樹脂は、非吸水性樹脂として本開示における吸水性樹脂と区別される。
吸水性樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、及びポリビニルアセトアミド系樹脂が挙げられる。なお、セルロース系樹脂とは、セルロースを少なくとも含む樹脂のことをいい、他の樹脂に関しても同様である。
中でも、吸水性に優れる観点から、セルロース系樹脂が好ましい。
セルロース系樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。セルロース系樹脂は、上市されている市販品であってもよい。市販品としては、例えば、トチセン社製のケン化処理トリアセチルセルロース(ケン化TAC、ケン化処理層の厚さ:0.5μm、吸水率:5%)、及び、住友精化社製の「HEC AL−15(ヒドロキシエチルセルロース)」が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、及び、部分ケン化ポリビニルアルコールが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂は、上市されている市販品であってもよい。市販品としては、例えば、クラレ社製のクラレポバールシリーズが挙げられる。
ポリビニルアセタール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール、及び、ポリビニルブチラールが挙げられる。ポリビニルアセタール系樹脂は、上市されている市販品であってもよい。市販品としては、例えば、積水化学工業社製の「エスレック(ポリビニルアセタール)」が挙げられる。
ポリビニルピロリドン系樹脂としては、例えば、ポリビニルピロリドン、及び、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。ポリビニルピロリドン系樹脂は、上市されている市販品であってもよい。市販品としては、例えば、第一工業製薬社製の「ピッツコール(ポリビニルピロリドン)」が挙げられる。
ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、及び、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、上市されている市販品であってもよい。市販品としては、例えば、アシュランドジャパン社製の「PVP/VA S−630(ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体)」が挙げられる。
ポリビニルアセトアミド系樹脂としては、例えば、ポリ−N−ビニルアセトアミドが挙げられる。ポリビニルアセトアミド系樹脂は、上市されている市販品であってもよい。市販品としては、例えば、昭和電工社製の「GE191(ポリ−N−ビニルアセトアミド)」が挙げられる。
吸水性樹脂層は、吸収性樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
吸水性樹脂層は、吸水性樹脂を含む樹脂層、吸水性樹脂の成形物、又は吸水性樹脂の成形物と吸水性の表面処理層とを有する積層体のいずれであってもよい。
吸水性樹脂を含む樹脂層としては、例えば、吸水性樹脂及び溶媒を含む塗布液を調製し、塗布液を非吸水性支持体の上に塗布して形成される樹脂層が挙げられる。
吸水性樹脂の成形物としては、例えば、吸水性樹脂を膜状に(例えば溶融押出して)成形したフィルム又はシートが挙げられる。
吸水性樹脂の成形物と吸水性の表面処理層とを有する積層体としては、例えば、吸水性樹脂を膜状に(例えば溶融押出して)成形したフィルム又はシートを親水化処理し、表面に表面処理層が形成されたものが挙げられる。ここで、親水化処理としては、例えば、ケン化処理、及び酸素プラズマ処理が挙げられる。
ケン化処理の方法としては、特に限定されず、公知の方法を適用できる。
ケン化処理の方法としては、例えば、アルカリ水溶液中にフィルムを浸漬させる方式が挙げられる。アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液、及び水酸化カリウムの水溶液が挙げられる。ケン化処理の方法に使用されるフィルムとしては、セルロースエステルフィルムが好ましく、トリアセチルセルロースフィルムがより好ましい。すなわち、本開示の防曇性積層体では、吸水性樹脂層として、少なくとも一方の表面にケン化処理層を有するトリアセチルセルロースフィルムを用いることが好ましい。
アルカリ水溶液中のアルカリ成分の濃度、及びアルカリ水溶液へのフィルムの浸漬時間は、特に限定されず、表面処理層の設計厚さ、及びフィルムの種類に応じて、適宜設定できる。
表面処理層の厚さは、吸水性の観点から、5μm〜15μmが好ましく、5μm〜12μmがより好ましい。層の厚さは、以下の方法で測定される。まず、厚さ方向の断面観察像において、無作為に選択した10箇所で測定される厚さの算術平均値を求める。得られた値を層の厚さとする。層の厚さ方向の断面観察像は、走査型電子顕微鏡(SEM)、又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて得ることができる。本開示において、いずれの層も同様の方法で測定することができる。
吸水性樹脂層の厚さは、用途、目的又は構造により適宜選択すればよい。本開示の防曇性積層体が、図1に示す構造を有する場合、吸水能を確保し、かつ、支持体としての機能を兼ねる観点から、数十μm〜数百μmであることが好ましく、20μm〜400μmがより好ましい。また、本開示の防曇性積層体が、図2に示す構造を有する場合、吸水能を確保する観点から、数μm〜数十μmであることが好ましく、5μm〜30μmがより好ましい。
(親水撥油層)
親水撥油層は、吸水性樹脂層の上に配置される層である。親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含むか、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含むか、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む。
親水撥油層の厚さは、透明性の観点から、100nm〜10μmとすることが好ましく、200nm〜8μmがより好ましい。
<バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含む場合>
親水撥油層が、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含む場合について説明する。
−ベタイン型フッ素化合物−
本開示の防曇性積層体における親水撥油層に用いられるベタイン型フッ素化合物は、1分子内にアニオン構造とカチオン構造とを有するフッ素化合物であれば特に限定されない。本開示の防曇性積層体は、親水撥油層が親水撥油性の機能を発揮するベタイン型フッ素化合物を含むことにより、防汚性に優れる。
本開示における親水撥油層は、ベタイン型フッ素化合物を1種のみ含有していてもよく、2種以上のベタイン型フッ素化合物を含有していてもよい。
本開示で用いられるベタイン型フッ素化合物は、カルボベタイン型、スルホベタイン型、アミンオキシドベタイン型又はホスホベタイン型のいずれであってもよい。ベタイン型フッ素化合物としては、防曇性の観点から、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
式(1)中、Rf及びRfは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基である。Rfは、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキレン基である。
パーフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子が全てフッ素置換された基をいう。パーフルオロアルキレン基とは、アルキレン基の水素原子が全てフッ素置換された基をいう。パーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、ノナフルオロイソブチル基、ウンデカフルオロ−n−ペンチル基、及びトリデカフルオロ−n−へキシル基が挙げられる。
式(1)中、Rは、2価の有機基である。Rは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。また、Rは、分子鎖中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい。2価の有機基は、炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基又は炭素数7〜30のアラルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜20のアルキレン基であることがさらに好ましい、炭素数2〜8のアルキレン基であることが特に好ましい。
Rがアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。アルキレン基としては、例えば、−CH−、−C−、−C(CH−CH−、−CHC(CHCH−、−C12−、−C(C)C−、−C1836−、1,4−trans−シクロヘキシレン基、−C−OCO−NH−C−、−C−OCO−C−、−C−O−、−C−O−C10−O−、−C−NH−COO−、−C−O−CH−CH(OH)−CH−OCO−、−CH−CH(OH)−CH−、−C−OCO−、−C−O−C10−、−CH−O−C(C11)−、−C−NH−COO−C−、−C−CONH−C−、−C−OCONH−C12−、−CH−OCONHC1020−、−CHCH(OH)CH−、及び−CONH−C−が挙げられる。
アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、−C−CO−C−、−C−S−、及びナフチレン基が挙げられる。
アラルキレン基としては、例えば、−C−C−、−C−C−C−、−CH−C−C−C−、−C−OCO−C−、及び−C−O−C−C−S−を挙げることができる。
式(1)中、Xは、カルボベタイン型、スルホベタイン型、アミンオキシド型及びホスホベタイン型からなる群より選択されるいずれかの構造を有する基である。Xは、末端に、カルボベタイン型の「−N(CHCO 」、スルホベタイン型の「−N(CHSO 」、アミンオキシド型の「−N」又はホスホベタイン型の「−OPO (CH10」を有する。nは1〜5 の整数である。R、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
式(1)で表されるカルボベタイン型の化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
式(1)で表されるスルホベタイン型の化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
式(1)で表されるアミンオキシド型の化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
式(1)で表されるホスホベタイン型の化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
ベタイン型フッ素化合物は、上市されている市販品であってもよく、例えば、エフロンティアA0111(三菱マテリアル電子化成社製)が挙げられる。
ベタイン型フッ素化合物に含まれるフッ素原子数は、ベタイン型フッ素化合物の全原子数に対して10at%(原子%)〜80at%であることが好ましく、より好ましくは20at%〜60at%である。フッ素原子数が10at%以上であると、親水撥油性の機能がより発揮され、防汚性により優れた防曇膜を形成することができる。また、フッ素原子数が80at%以下であると、コーティング液中に、ベタイン型フッ素化合物が溶解しやすく、ベタイン型フッ素化合物の含有量を高めることが可能となる。これにより、親水撥油性の機能がより発揮され、防汚性により優れた防曇膜を形成することができる。なお、各ベタイン型フッ素化合物のフッ素原子数は、19F−NMR(フッ素19核磁気共鳴)を用いて化合物の構造を解析し、フッ素の原子数を、化合物全体の原子数で除することにより算出することができる。
親水撥油層におけるベタイン型フッ素化合物の含有量は、親水撥油層の全量に対して0.5質量%〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは2質量%〜8質量%である。ベタイン型フッ素化合物の含有量が0.5質量%以上であると、防汚性により優れる。ベタイン型フッ素化合物の含有量が10質量%以下であると、防曇性により優れる。
−無機粒子−
本開示の防曇性積層体では、親水撥油層に無機粒子を含有させることにより、親水撥油層の硬度を向上させることができ、防曇性積層体の耐傷性を向上させることができる。また、無機粒子はベタイン型フッ素化合物と組み合わせても凝集することがないため、ヘイズを低く抑えることができ、透明性に優れる。ベタイン型フッ素化合物と組み合わせる場合には、無機粒子は、アニオン性無機粒子及びカチオン性無機粒子のいずれであってもよい。
本開示における親水撥油層は、1種の無機粒子を含有していてもよく、2種以上の無機粒子を含有していてもよい。無機粒子を2種以上含む場合、サイズ及び形状の少なくとも一方が互いに異なっていてもよい。
無機粒子としては、無機酸化物粒子が好ましく、金属酸化物粒子がより好ましい。ここで、金属酸化物粒子における金属には、B、Si、Ge、As、Sb、Te等の半金属も含まれる。
金属酸化物粒子としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、Nb、Mo、W、Zn、B、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Te等の原子を含む酸化物粒子が好ましい。また、耐傷性向上の観点からモース硬度が6以上の金属酸化物粒子であることが好ましい。モース硬度が6以上の金属酸化物粒子としては、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子及びアルミナ粒子が挙げられ、シリカ粒子又はアルミナ粒子が好ましい。
シリカ粒子としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。シリカ粒子としては、例えば、ヒュームドシリカ、及びコロイダルシリカが挙げられる。
ヒュームドシリカは、ケイ素原子を含む化合物を気相中で酸素及び水素と反応させることによって得ることができる。原料となるケイ素化合物としては、例えば、ハロゲン化ケイ素(例えば、塩化ケイ素)が挙げられる。
コロイダルシリカは、原料化合物を加水分解し、かつ、縮合するゾルゲル法により合成することができる。コロイダルシリカの原料化合物としては、例えば、アルコキシケイ素(例えば、テトラエトキシシラン)、及びハロゲン化シラン化合物(例えば、ジフェニルジクロロシラン)が挙げられる。
無機粒子は、上市されている市販品であってもよい。
シリカ粒子の市販品としては、例えば、エボニック社のAEROSIL(登録商標)シリーズ、日産化学工業社のスノーテックス(登録商標)シリーズ(例えば、スノーテックスOXS、スノーテックスO−33、及びスノーテックスOL)、ナルコ社のNalco(登録商標)シリーズ(例えば、Nalco8699)、及び、扶桑化学工業社のクォートロンPLシリーズ(例えば、PL−1)が挙げられる。
アルミナ粒子の市販品としては、例えば、川研ファインケミカル社のアルミナゾルシリーズ(例えば、アルミゾルF−3000)、及び、多木化学社のバイラールシリーズ(例えば、AL−7)が挙げられる。
無機粒子の形状としては、球状、板状、針状、数珠状、又はこれらの2種類以上が合体した形状が挙げられる。なお、球状とは、真球状のほか、回転楕円体、卵形等の形状である場合も含む。また、無機粒子は、耐傷性向上の観点から、平均アスペクト比が大きい形状を有していることが好ましい。具体的には、無機粒子のアスペクト比としては、5〜3000が好ましく、30〜1000がより好ましい。
無機粒子の平均一次粒子径は、透明性向上の観点から、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましく、20nm以下であることが特に好ましい。また、無機粒子の平均一次粒子径は、良好な防曇性を維持する観点から、2nm以上であることが好ましく、8nm以上であることがより好ましい。無機粒子の平均一次粒子径は、透明性及び防曇性の両立の観点から、8nm〜20nmであることが好ましい。
無機粒子の平均一次粒子径は、以下の方法によって測定される、円相当径の算術平均値である。透過型電子顕微鏡を用いて得られた観察像から選択された300個の無機粒子の一次粒子の投影面積を測定する。得られた投影面積から、各無機粒子の円相当径を求める。各無機粒子の円相当径の算術平均値を求め、得られた値を無機粒子の平均一次粒子径とする。
親水撥油層における無機粒子の含有量は、親水撥油層の全量に対して、5質量%〜70質量%であることが好ましく、8質量%〜60質量%であることがより好ましく、10質量%〜40質量%であることが特に好ましい。無機粒子の含有量が5質量%以上であること、親水撥油層の硬度をより向上できる。無機粒子の含有量が70質量%以下であることで、透明性の低下をより抑制できる。
ベタイン型フッ素化合物の含有量に対する無機粒子の含有量の比率は、質量基準で0.5〜30であることが好ましい。比率が30以下であると、透明性の低下をより抑制できる。
−バインダー−
バインダーは、ベタイン型フッ素化合物と無機粒子とを含む層を形成することが可能なポリマーであれば、特に限定されない。硬度の観点から、バインダーは、シロキサンポリマー又は有機架橋ポリマーであることが好ましい。
本開示における親水撥油層は、1種のバインダーを含有していてもよく、2種以上のバインダーを含有していてもよい。
(1)シロキサンポリマー
本開示における親水撥油層は、吸水性樹脂層の上に親水撥油層形成用塗布液を塗布して、乾燥させることにより形成することが可能である。親水撥油層形成用塗布液を調製する際に、無機粒子、ベタイン型フッ素化合物、アルコキシシラン、水等を混合すると、アルコキシシランが加水分解し、シラノールが脱水縮合し、バインダーとなるシロキサンポリマーが形成される。本開示では、無機粒子は、バインダーとなるシロキサンポリマーと化学結合していることが好ましい。
アルコキシランとしては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Si(ORx(R4−x ・・・(3)
式(3)中、Rは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、Rはアミノ基を含まない炭素数が1〜15の有機基を表す。また、xは、2〜4の整数を表し、xが2のときは2官能アルコキシシラン、xが3のときは3官能アルコキシシラン、xが4のときは4官能アルコキシシランを表す。
がアルキル基である場合に、炭素数が4以下であると、酸性水と混ぜたときのアルコキシシランの加水分解速度が遅くなりすぎることがなく、均一な水溶液にするまでの溶解に要する時間が短くなる。Rとしては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基及びフェニル基が挙げられる。中でも、メチル基及びエチル基が好ましい。また、Rの炭素数が15以下であると、親水撥油層が十分な硬度を有する。Rで示す有機基は、酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を有してもよい。
アルコキシシランは、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一般式(3)で表される化合物の具体例を以下に示す。
一般式(3)において、xが4である4官能アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランが挙げられる。4官能アルコキシシランは、市販品であってもよい。市販品としては、例えば、テトラエトキシシラン(製品名「KBE−04」、信越化学工業社製)が挙げられる。
一般式(3)において、xが3である3官能アルコキシシランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン及びフェニルトリメトキシシランが挙げられる。中でも、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランが好ましい。3官能アルコキシシランは、市販品であってもよい。市販品としては、例えば、メチルトリエトキシシラン(製品名「KBE−13」、信越化学工業社製)が挙げられる。
一般式(3)において、xが2である2官能アルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン及びジフェニルジメトキシシランが挙げられる。2官能アルコキシシランは、市販品であってもよい。市販品としては、例えば、ジメチルジエトキシシラン(製品名「KBE−22」、信越化学工業社製)が挙げられる。
本開示では、4官能アルコキシシランと、エポキシ基含有2官能アルコキシシラン又はエポキシ基含有3官能アルコキシシランとを組み合わせて用いることが好ましい。エポキシ基含有2官能アルコキシシラン又はエポキシ基含有3官能アルコキシシランは、1分子中に1つ以上エポキシ基を有するものであればよく、エポキシ基の数は特に限定されない。
エポキシ基含有2官能アルコキシシラン及びエポキシ基含有3官能アルコキシシランとしては、例えば、2−(3 ,4−エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン、2−(3 ,4−エポキシシクロヘキシル) エチルトリエトキシシラン、2−( 3,4−エポキシシクロヘキシル) エチルトリエトキシシラン、2−(3 ,4− エポキシシクロヘキシル) エチルメチルジメトキシシラン、2−(3 ,4 − エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。エポキシ基含有2官能アルコキシシラン及びエポキシ基含有3官能アルコキシシランは、市販品であってもよい。市販品としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(製品名「KBE−403」、信越化学工業社製)及び3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(製品名「KBE−402」、信越化学工業社製)が挙げられる。
また、親水撥油層形成用塗布液を調製する際に、シランカップリング剤を混合してもよい。シランカップリング剤を混合することにより、より強固な親水撥油層を形成することができる。シランカップリング剤は末端に官能基を有するシラン化合物であることが好ましく、官能基としては、例えば、アミノ基、水酸基、ビニル基及びカルボキシ基が挙げられる。シランカップリング剤は、市販品であってもよい。市販品としては、例えば、アルキレングリコールを有するシランカップリング剤(製品名「X−12−1098」、信越化学工業社製)が挙げられる。
また、親水撥油層形成用塗布液を調製する際に、硬化触媒を混合してもよい。硬化触媒は、水溶性であることが好ましい。硬化触媒は、シラノールの脱水縮合を促してシロキサン結合の形成を促進させる機能を有する。硬化触媒としては、例えば、水溶性の無機酸、有機酸、無機酸塩、有機酸塩、金属アルコキシド、及び金属錯体が挙げられる。金属錯体としては、Al 、Mg 、Mn 、Ti 、C u 、Co 、Zn 、Hf及びZrからなる群より選択される金属を含む金属錯体が好ましい。
無機酸としては、例えば、ホウ酸、リン酸、塩酸、硝酸、及び硫酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、酢酸、蟻酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、及びアスコルビン酸が挙げられる。
無機酸塩としては、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、及び硝酸ジルコニウムが挙げられる。
有機酸塩としては、例えば、酢酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、酢酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、酢酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、酢酸ジルコニウム、及びシュウ酸ジルコニウムが挙げられる。
金属アルコキシドとしては、例えば、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、及びジルコニウムアルコキシドが挙げられる。
金属錯体としては、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムアルキルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート) 、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等のアルミニウムキレート;
マグネシウムエチルアセトアセテートモノイソプロピレート、マグネシウムビス(エチルアセトアセテート) 、マグネシウムアルキルアセトアセテートモノイソプロピレート、マグネシウムビス(アセチルアセトネート)等のマグネシウムキレート;
ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート)等のジルコニウムキレート;
マンガンアセチルアセトナート、コバルトアセチルアセトナート、銅アセチルアセトナート、チタンアセチルアセトナート、及びチタンオキシアセチルアセトナートが挙げられる。
中でも、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート) 、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、マグネシウムビス( アセチルアセトネート) 、マグネシウムビス( エチルアセトアセテート) 、ジルコニウムテトラアセチルアセトナートが好ましい。また、保存安定性及び入手容易さの観点から、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート及びアルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)がより好ましい。市販品としては、例えば、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(製品名「ALCH」、川研ファインケミカル社製)及びアルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)(製品名「ALCH−D」、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
(2)有機架橋ポリマー
本開示における親水撥油層は、吸水性樹脂層の上に親水撥油層形成用塗布液を塗布して、乾燥させることにより形成することが可能である。親水撥油層形成用塗布液を調製する際に、無機粒子、ベタイン型フッ素化合物と共に、有機架橋ポリマーを形成するための原料を混合して反応させることにより、バインダーとなる有機架橋ポリマーを得ることができる。有機架橋ポリマーを形成するための原料は、吸水性ポリマー及び架橋剤であることが好ましい。また、吸水性ポリマー及び架橋剤以外に、硬化触媒を用いてもよく、他の添加剤を用いてもよい。
吸水性ポリマーは、ポリビニルアルコール系重合体、多糖類、及び(メタ)アクリル系重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマーであることが好ましい。吸水性ポリマーを用いることにより、吸水機能による防曇性、及び強度を向上させることができる。
本開示において、「ポリビニルアルコール系重合体」とは、ビニルアルコール単位(−CH−CHOH−)を含む重合体を意味し、特に断りのない限り、単独重合体及び共重合体を包含する。ビニルアルコール単位は、例えば、ビニルエステル単位(例えば、酢酸ビニル単位)をケン化することによって形成できる。
ポリビニルアルコール系重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール、及び変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールの一部が変性された化合物(ポリビニルアルコール誘導体ともいう。)である。変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、及びシラノール変性ポリビニルアルコールが挙げられる。中でも、ポリビニルアルコール系重合体は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールであることが好ましい。
ポリビニルアルコール系重合体は、防曇性の観点から、部分ケン化型ポリビニルアルコール系重合体であることが好ましい。部分ケン化型ポリビニルアルコール系重合体のケン化度は、防曇性の観点から、80モル%以上98モル%未満であることが好ましく、80モル%〜95モル%であることがより好ましく、85モル%〜95モル%であることがさらに好ましく、88モル%〜95モル%であることが特に好ましい。
ケン化度は、JIS K 6726:1994に記載された方法に従って測定される。
ポリビニルアルコール系重合体は、市販品であってもよい。市販品としては、例えば、クラレ社製のクラレポバールシリーズ(例えば、PVA−205(ケン化度86.5モル%〜89モル%)、及びPVA−220(ケン化度87モル%〜89モル%))、及び日本合成化学社製のゴーセネックス(登録商標、以下同じ。例えば、Z−100(ケン化度98.5モル%以上)、Z−200(ケン化度99モル%以上)、及びZ−220(ケン化度90.5モル%〜92.5モル%以上))が挙げられる。
ポリビニルアルコール系重合体の重合度は、硬度の観点から、600以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、1200以上であることがさらに好ましい。ポリビニルアルコール系重合体の重合度の上限は特に限定されず、例えば、5000以下の範囲で適宜選択することができる。
多糖類は、単糖分子がグリコシド結合によって複数重合した物質の総称であり、例えば、アガロース、デキストラン、カラギーナン、アルギン酸、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、デンプン、及びセルロース系化合物が挙げられる。多糖類の中でも、セルロース系化合物が好ましい。
セルロース系化合物には、セルロース、及び変性セルロースが含まれる。変性セルロースは、セルロースの一部が変性された化合物である。変性セルロースとしては、例えば、アセチルセルロース、トリアセチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
セルロース系化合物は、上市されている市販品であってもよい。市販品としては、例えば、ダイセルファインケム社製のSP200、SP400、SP500、SP600、SP850、SP900等(ヒドロキシエチルセルロース)、及び1110、1120、1130、1140、1150、1160、1170、1180、1190、1220、1240、1250、1260、1330、1350、1380、1390、2200、2260、2280(カルボキシメチルセルロース)が挙げられる。
セルロース系化合物の重量平均分子量は、硬度の観点から、500,000以上が好ましく、800,000以上がより好ましく、1,000,000以上が更に好ましい。セルロース系化合物の重量平均分子量の上限は特に限定されず、例えば、3,000,000以下の範囲で適宜選択することができる。
本開示における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により測定される値である。
詳細には、GPCによる測定は、測定装置として、HLC−8120GPC及びSC−8020(いずれも東ソー社製)を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super HM−H(6.0mmID×15cm、東ソー社製)を2本用い、溶離液として、水、又は水とジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶媒を用いることにより測定する。測定条件として、試料濃度を0.5質量%、流速を0.6ml/min、サンプル注入量を10μl、及び測定温度を40℃とし、示唆屈折計(RI)検出器を用いて行うことができる。検量線は、東ソー社製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、及び「F−700」の10サンプルから作製されたものを用いることができる。
(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位を含む重合体を意味し、吸水性を有する(メタ)アクリル系重合体の中から選択される。(メタ)アクリル系重合体は、特に断りのない限り、単独重合体又は共重合体のいずれでもよい。
(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリルエステルが挙げられる。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルメタクリルアミド、及びN−メチロールアクリルアミドが挙げられる。
(メタ)アクリルエステルは、アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル部位の炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。(メタ)アクリルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、及びイソブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリル系重合体としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、(メタ)アクリルアミド系重合体、及び(メタ)アクリルエステル系重合体が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド系重合体としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、アクリルアミド−アクリル酸共重合体、アクリルアミド−メタクリル酸共重合体、アクリルアミド−アクリル酸メチル共重合体、アクリルアミド−メタクリル酸メチル共重合体、及びN,N’−ジメチルアクリルアミド−N−メチロールアクリルアミド−メタクリル酸メチル共重合体が挙げられる。
(メタ)アクリルエステル系重合体としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、及びポリイソブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量は、ウェット擦り耐性及び硬度の観点から、15,000以上が好ましく、20,000以上がより好ましく、25,000以上がさらに好ましい。(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量の上限は特に限定されず、例えば、50,000以下の範囲で適宜選択することができる。
親水撥油層における吸水性ポリマーの含有量は、強度及び硬度の観点から、親水撥油層の全量に対して、20質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜50質量%がより好ましい。
中でも、吸水性ポリマーは、吸水性が高く防曇性がより向上することから、ポリビニルアルコール系重合体を含むことがより好ましい。
架橋剤は、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート、及び金属キレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
メラミン樹脂としては、水酸基を有するメラミン樹脂が架橋反応の点で好ましく、メチロールメラミン樹脂が好ましい。メチロールメラミン樹脂は、上市されている市販品であってもよい。市販品としては、例えば、日本カーバイド社製のニカラックMX−035が挙げられる。
ブロックイソシアネートは、イソシアネート化合物のイソシアネート基がブロック剤で保護された構造を有する。加熱するとブロック剤が解離し、イソシアネート基が再生する。
ブロックイソシアネートを構成するイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,9−ノナメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジエチルエーテルジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジメチレレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−メチレンジトリレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化1,3−キシリレンジイソシアネート及び水素化1,4−キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
中でも、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)が好ましい。
ブロックイソシアネートの母構造は、ビウレット型、イソシアヌレート型、アダクト型、又は2官能プレポリマー型のいずれであってもよい。
イソシアネート化合物のイソシアネート基を保護するブロック剤としては、例えば、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール、アミン、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール化合物及びイミド化合物が挙げられる。中でも、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール、アミン、活性メチレン化合物、及びピラゾール化合物から選ばれるブロック剤が特に好ましい。
また、ブロックイソシアネートは、市販品であってもよい。ブロックイソシアネートの市販品としては、例えば、旭化成社製のデュラネート(登録商標)シリーズ(例えば、デュラネートWM44−L70G)、三井化学社製のタケネート(登録商標)シリーズ(例えば、タケネートWXB−F206)、明星化学工業社製のメイカネートシリーズ(例えば、メイカネートTP-10)が挙げられる。
金属キレートとしては、アルコール又は酸等を配位子とした、Zr、Ti及びAlから選ばれる金属を中心金属とするキレート化合物、又はROH(R:炭素数1〜10のアルキル基)で表されるアルコールとRCOCHCOR(R:炭素数1〜10のアルキル基、R:炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti及びAlから選ばれる金属を中心金属とするキレート化合物を用いることができる。
金属キレートとしては、例えば、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート;
チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウム等のチタンキレート;
ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレートが挙げられる。
また、金属キレートは、上市されている市販品であってもよい。市販品としては、例えば、チタンラクテートアンモニウム塩(製品名「オルガチックスTC−300」、マツモトファインケミカル社製)、チタンラクテート(製品名「オルガチックスTC−310」及び「オルガチックスTC−315」、マツモトファインケミカル社製)、及び、塩化ジルコニウム化合物(製品名「オルガチックスZC−126」及び「オルガチックスZC−300、マツモトファインケミカル社製)が挙げられる。
硬化触媒としては、特に限定されず、吸水性ポリマー及び架橋剤の種類に応じて、公知の硬化触媒から選択できる。硬化触媒としては、例えば、光酸発生剤、熱酸発生剤、光塩基発生剤、熱塩基発生剤、及び光重合開始剤が挙げられる。
中でも、硬化触媒は、熱酸発生剤(熱硬化触媒ともいう。)であることが好ましい。親水撥油層形成用塗布液が熱酸発生剤を含有することで、加熱による硬化反応を促進できる。熱酸発生剤としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、リン酸、及びドデシルベンゼンスルホン酸が挙げられる。親水撥油層形成用塗布液は、1種の硬化触媒を含有していてもよく、2種以上の硬化触媒を含有していてもよい。
親水撥油層におけるバインダーの含有量は、親水撥油層の全量に対して、10質量%〜95質量%であることが好ましく、20質量%〜90質量%であることがより好ましく、50質量%〜90質量%であることが特に好ましい。バインダーの含有量が10質量%以上であると、併用する無機粒子を十分に保持することができる。バインダーの含有量が95質量%以下であると、無機粒子の含有量を担保でき、硬度をより向上させることができる。
本開示の防曇性積層体における親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子以外の成分を含んでいてもよい。親水撥油層に、例えば、耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含有させることができる。
<バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含む場合>
親水撥油層がアニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含む場合について説明する。
−アニオン性フッ素化合物−
本開示の防曇性積層体における親水撥油層に用いられるアニオン性フッ素化合物は、1分子内にアニオン性基を有するフッ素化合物であれば特に限定されない。本開示の防曇性積層体は、親水撥油層が親水撥油性の機能を発揮するアニオン性フッ素化合物を含むことにより、防汚性に優れる。
アニオン性フッ素化合物に含まれるアニオンとしては、例えば、COO、PO 及びSO が挙げられる。
アニオン性フッ素化合物としては、アニオン性のフッ素界面活性剤を用いることができる。アニオン性フッ素化合物は、上市されている市販品であってもよい。アニオン性フッ素化合物の市販品としては、例えば、DIC社製のメガファックF−114及びメガファックF−410、ネオス社製のフタージェント100及びフタージェント150が挙げられる。
親水撥油層におけるアニオン性フッ素化合物の含有量は、親水撥油層の全量に対して0.5質量%〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは2質量%〜8質量%である。アニオン性フッ素化合物の含有量が0.5質量%以上であると、防汚性により優れる。アニオン性フッ素化合物の含有量が10質量%以下であると、防曇性により優れる。
−アニオン性無機粒子
本開示の防曇性積層体では、親水撥油層にアニオン性無機粒子を含有させることにより、親水撥油層の硬度を向上させることができ、防曇性積層体の耐傷性を向上させることができる。また、アニオン性無機粒子はアニオン性フッ素化合物と組み合わせても凝集することないため、ヘイズを低く抑えることができ、透明性に優れる。
本開示において、アニオン性無機粒子とは、水中において、表面が負に帯電する無機粒子のことをいう。アニオン性無機粒子としては、アニオン性無機酸化物粒子が好ましく、アニオン性金属酸化物粒子がより好ましい。アニオン性金属酸化物粒子としては、シリカ粒子が好ましい。
シリカ粒子としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。シリカ粒子としては、例えば、ヒュームドシリカ、及びコロイダルシリカが挙げられる。
ヒュームドシリカは、ケイ素原子を含む化合物を気相中で酸素及び水素と反応させることによって得ることができる。原料となるケイ素化合物としては、例えば、ハロゲン化ケイ素(例えば、塩化ケイ素)が挙げられる。
コロイダルシリカは、原料化合物を加水分解及び縮合するゾルゲル法により合成することができる。コロイダルシリカの原料化合物としては、例えば、アルコキシケイ素(例えば、テトラエトキシシラン)、及びハロゲン化シラン化合物(例えば、ジフェニルジクロロシラン)が挙げられる。
アニオン性無機粒子は、上市されている市販品であってもよい。
シリカ粒子の市販品としては、エボニック社のAEROSIL(登録商標)シリーズ、日産化学工業社のスノーテックス(登録商標)シリーズ(例えば、スノーテックスOXS、スノーテックスO−33、及びスノーテックスOL)、ナルコ社のNalco(登録商標)シリーズ(例えば、Nalco8699)、及び、扶桑化学工業社のクォートロンPLシリーズ(例えば、PL−1)が挙げられる。
アニオン性無機粒子の形状としては、球状、板状、針状、数珠状、又はこれらの2種類以上が合体した形状が挙げられる。なお、球状とは、真球状のほか、回転楕円体、卵形等の形状である場合も含む。また、無機粒子は、耐傷性向上の観点から、平均アスペクト比が大きい形状を有していることが好ましい。具体的には、無機粒子のアスペクト比としては、5〜3000が好ましく、30〜1000がより好ましい。
アニオン性無機粒子の平均一次粒子径は、透明性向上の観点から、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましく、20nm以下であることが特に好ましい。また、アニオン性無機粒子の平均一次粒子径は、良好な防曇性を維持する観点から、2nm以上であることが好ましく、8nm以上であることがより好ましい。アニオン性無機粒子の平均一次粒子径は、透明性及び防曇性の両立の観点から、8nm〜20nmであることが好ましい。
親水撥油層中のアニオン性無機粒子の含有量は、親水撥油層の全質量に対して、5質量%〜70質量%であることが好ましく8質量%〜50質量%であることがより好ましく、10質量%〜40質量%であることが特に好ましい。アニオン性無機粒子の含有量が5質量%以上であること、親水撥油層の硬度をより向上できる。アニオン性無機粒子の含有量が70質量%以下であることで、透明性の低下をより抑制できる。
−バインダー−
バインダーについては、上記バインダーと同様のものを用いることができるため、説明を省略する。
親水撥油層におけるバインダーの含有量は、親水撥油層の全量に対して、10質量%〜95質量%であることが好ましく、20質量%〜90質量%であることがより好ましく、50質量%〜90質量%であることが特に好ましい。バインダーの含有量が10質量%以上であると、併用する無機粒子を十分に保持することができる。バインダーの含有量が95質量%以下であると、無機粒子の含有量を担保でき、硬度をより向上させることができる。
本開示の防曇性積層体における親水撥油層は、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子以外の成分を含んでいてもよい。親水撥油層に、例えば、耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含有させることができる。
<バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む場合>
親水撥油層が、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む場合について説明する。
−カチオン性フッ素化合物−
本開示の防曇性積層体における親水撥油層に用いられるカチオン性フッ素化合物は、1分子内にカチオン性基を有するフッ素化合物であれば特に限定されない。本開示の防曇性積層体は、親水撥油層が親水撥油性の機能を発揮するカチオン性フッ素化合物を含むことにより、防汚性に優れる。
カチオン性フッ素化合物に含まれるカチオンは、第4級アンモニウムカチオンであることが好ましい。
カチオン性フッ素化合物としては、カチオン性のフッ素界面活性剤を用いることができる。カチオン性フッ素化合物は、上市されている市販品であってもよい。カチオン性フッ素化合物の市販品としては、AGCセイケミカル社製のサーフロンS−221、及びネオス社製のフタージェント320が挙げられる。
親水撥油層におけるカチオン性フッ素化合物の含有量は、親水撥油層の全量に対して0.5質量%〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは2質量%〜8質量%である。カチオン性フッ素化合物の含有量が0.5質量%以上であると、防汚性により優れる。カチオン性フッ素化合物の含有量が10質量%以下であると、防曇性により優れる。
−カチオン性無機粒子
本開示の防曇性積層体では、親水撥油層にカチオン性無機粒子を含有させることにより、親水撥油層の硬度を向上させることができ、防曇性積層体の耐傷性を向上させることができる。また、カチオン性無機粒子はカチオン性フッ素化合物と組み合わせても凝集することないため、ヘイズを低く抑えることができ、透明性に優れる。
本開示において、カチオン性無機粒子とは、水中において、表面が正に帯電する無機粒子のことをいう。カチオン性無機粒子としては、カチオン性無機酸化物粒子が好ましく、カチオン性金属酸化物粒子がより好ましい。カチオン性金属酸化物粒子としては、例えば、チタン粒子及びアルミナ粒子が挙げられ、アルミナ粒子が好ましい。
カチオン性無機粒子は、上市されている市販品であってもよい。
アルミナ粒子の市販品としては、例えば、川研ファインケミカル社のアルミナゾルシリーズ(例えば、アルミゾルF−3000)、及び、多木化学社のバイラールシリーズ(例えば、AL−7)が挙げられる。
カチオン性無機粒子の形状としては、球状、板状、針状、数珠状、又はこれらの2種類以上が合体した形状が挙げられる。なお、球状とは、真球状のほか、回転楕円体、卵形等の形状である場合も含む。また、無機粒子は、耐傷性向上の観点から、平均アスペクト比が大きい形状を有していることが好ましい。具体的には、無機粒子のアスペクト比としては、5〜3000が好ましく、30〜1000がより好ましい。
カチオン性無機粒子の平均一次粒子径は、透明性向上の観点から、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましく、20nm以下であることが特に好ましい。また、カチオン性無機粒子の平均一次粒子径は、良好な防曇性を維持する観点から、2nm以上であることが好ましく、8nm以上であることがより好ましい。カチオン性無機粒子の平均一次粒子径は、透明性及び防曇性の両立の観点から、8nm〜20nmであることが好ましい。
親水撥油層中のカチオン性無機粒子の含有量は、親水撥油層の全質量に対して、5質量%〜70質量%であることが好ましく8質量%〜50質量%であることがより好ましく、10質量%〜40質量%であることが特に好ましい。カチオン性無機粒子の含有量が5質量%以上であること、親水撥油層の硬度をより向上できる。カチオン性無機粒子の含有量が70質量%以下であることで、透明性の低下をより抑制できる。
−バインダー−
バインダーについては、上記バインダーと同様のものを用いることができるため、説明を省略する。
親水撥油層におけるバインダーの含有量は、親水撥油層の全量に対して、10質量%〜95質量%であることが好ましく、20質量%〜90質量%であることがより好ましく、50質量%〜90質量%であることが特に好ましい。バインダーの含有量が10質量%以上であると、併用する無機粒子を十分に保持することができる。バインダーの含有量が95質量%以下であると、無機粒子の含有量を担保でき、硬度をより向上させることができる。
本開示の防曇性積層体における親水撥油層は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子以外の成分を含んでいてもよい。親水撥油層に、例えば、耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含有させることができる。
(非吸水性支持体)
本開示の防曇性積層体は、吸水性樹脂層の親水撥油層が配置されている側とは反対側に、非吸水性支持体を有してもよい。防曇性積層体が後述する粘着剤層を有する場合は、吸水性樹脂層と粘着剤層との間に非吸水性支持体が配置されることが好ましい。
非吸水性支持体の材料としては、例えば、ガラス、樹脂(プラスチックを含む)、金属、セラミックス等の各種材料から適宜選択することができ、好ましくは樹脂である。
本開示の防曇性積層体を、例えば、自動車のライトの保護材又は監視カメラの保護材に適用する場合は、軽量で強度に優れる点で、樹脂基材を用いることが好ましい。
非吸水性支持体は、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリオレフィン又はポリエチレンテレフタレートを用いた支持体であることが好ましい。また、密着性により優れた積層体を形成できる観点から、アクリル樹脂又はポリカーボネートを用いた支持体がより好ましく、ポリメチルメタクリレート又はポリカーボネートを用いた支持体がさらに好ましい。
非吸水性支持体の材料としては、複数の材料から形成される複合材料を用いてもよく、例えば、非吸水性支持体の材料は、ガラス及び樹脂材料を含み、ガラスと樹脂材料とを複合化した複合材であってもよく、複数種の樹脂材料が混練又は貼合された樹脂複合材であってもよい。
非吸水性支持体の厚さ及び形状は、特に限定されず、適用対象に応じて適宜選択することができる。非吸水性支持体の厚さは、数十μm〜数百μmとすることができる。
また、非吸水性支持体の表面には、必要に応じ、表面処理が施されていてもよい。表面処理方法は、特に限定されず、コロナ放電処理等の公知の方法を用いることができる。
(粘着剤層)
本開示の防曇性積層体は、吸水性樹脂層の親水撥油層が配置されている側とは反対側に、最外層として、粘着剤層を有してもよい。粘着剤層を有することで、種々の被着体との密着性を向上できる。
粘着剤層の材料は、特に限定されず、被着体の材質等に応じて公知の材料から選択される。例えば、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリウレタン、及びポリエステルが挙げられる。粘着剤層は、必要に応じて、帯電防止剤、滑剤又はブロッキング防止剤を含有していてもよい。
粘着剤層の厚さは、0.1μm〜30μmであることが好ましい。
(他の層)
本開示の防曇性積層体は、必要に応じて、上記した吸水性樹脂層、親水撥油層及び粘着剤層以外の層(以下、「他の層」ともいう。)を有していてもよい。他の層としては、保護層(例えば保護フィルム)及び密着層が挙げられる。密着層は、例えば、層と層との間に配置されることによって、層間の密着性を高めることができる。
<積層体の製造方法>
本開示の積層体の製造方法は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含む塗布液、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含む塗布液、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む塗布液を吸水性樹脂層の上に塗布する工程を有する。本開示の積層体の製造方法は、更に、他の工程を有していてもよい。吸水性樹脂層の上に親水撥油層形成用塗布液を塗布することにより、親水撥油層が形成される。
親水撥油層形成用塗布液は、バインダーを形成するための原料、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子と、必要に応じて他の成分とを混合することにより調製することができる。また、親水撥油層形成用塗布液は、バインダーを形成するための原料、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子と、必要に応じて他の成分とを混合することにより調製することができる。また、親水撥油層形成用塗布液は、バインダーを形成するための原料、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子と、必要に応じて他の成分とを混合することにより調製することができる。
ベタイン型フッ素化合物、アニオン性フッ素化合物、カチオン性フッ素化合物、無機粒子、アニオン性無機粒子及びカチオン性無機粒子については、上記のものを用いることができるため、説明を省略する。
バインダーをシロキサンポリマーとする場合には、バインダーを形成するための原料としては、例えば、アルコキシシラン、シランカップリング剤、及び硬化触媒が挙げられる。アルコキシシラン、シランカップリング剤及び硬化触媒については、上記のものを用いることができるため、説明を省略する。
また、バインダーを有機架橋ポリマーとする場合には、バインダーを形成するための原料としては、例えば、吸水性ポリマー、架橋剤及び硬化触媒が挙げられる。吸水性ポリマー、架橋剤及び硬化触媒については、上記のものを用いることができるため、説明を省略する。
親水撥油層形成用塗布液は、溶剤を含むことが好ましい。溶剤としては、特に限定されず、親水撥油層形成用塗布液に含まれる成分の種類、溶解性、及び分散性に応じて、公知の溶剤から選択できる。溶剤としては、例えば、水、及びアルコールが挙げられる。
アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、及びブタノールが挙げられる。親水撥油層形成用塗布液は、1種の溶剤を含有していてもよく、2種以上の溶剤を含有していてもよい。
親水撥油層形成用塗布液の固形分濃度は、親水撥油層の設計厚さ、及び塗布適性に応じて、適宜設定できる。親水撥油層形成用塗布液の固形分濃度は、例えば、5質量%〜20質量%の範囲で適宜設定できる。
塗布方法は、特に限定されず、公知の塗布方法から選択できる。塗布方法としては、例えば、スプレーコート法、スリットコート法、ロールコート法、ブレードコート法、スピンコート法、バーコート法、及びディップコート法が挙げられる。上記塗布方法において用いられる塗布装置は、特に限定されず、公知の塗布装置から選択できる。
塗布工程後には、吸水性樹脂層の上に塗布された親水撥油層形成用塗布液を乾燥させることが好ましい。親水撥油層形成用塗布液が硬化触媒を含有する場合、親水撥油層形成用塗布液を加熱することによって硬化反応を促進できる。親水撥油層の形成方法は、必要に応じて、露光工程を有していてもよい。
乾燥方法は、特に限定されず、公知の乾燥方法を適用できる。乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、及び減圧乾燥が挙げられる。乾燥装置としては、例えば、オーブン、及び電気炉が挙げられる。
乾燥温度は、特に限定されず、例えば、20℃〜150℃の範囲で適宜設定できる。
乾燥時間は、特に限定されず、例えば、1分間〜60分間の範囲で適宜設定できる。
以下、本開示を実施例によりさらに具体的に説明するが、本開示はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[親水撥油層形成用塗布液の調製]
まず、酢酸水溶液を激しく攪拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(製品名「KBE−403」、信越化学工業社製、固形分100質量%)を酢酸水溶液に添加し、30分間攪拌を続けた。次に、テトラエトキシシラン(東京化成工業社製、固形分100質量%)を激しく攪拌しながら、酢酸水溶液に添加し、1時間攪拌を続けた。得られた溶液を溶液1−Aとした。
次に、アルミナゾル(製品名「アルミゾルF−1000」、短径4nm×長径1400nm、川研ファインケミカル社製、固形分75質量%)に、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(製品名「ALCH」、川研ファインケミカル社製、固形分100質量%)を添加し、12時間撹拌した。さらに、溶液1−Aの半分を添加し、1時間撹拌した。得られた溶液を溶液1−Bとした。
溶液1−Aの残りの半分に、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)(製品名「ALCH−D」、川研ファインケミカル社製、固形分75質量%)を添加し、1時間攪拌を続けた。得られた溶液を溶液1−Cとした。
溶液1−B、溶液1−C、シランカップリング剤(製品名「X−12−1098」、信越化学工業社製、固形分30質量%)、水及びエタノールを混合し、1時間攪拌を続けた。得られた溶液を溶液1−Dとした。
溶液1−Dに、ベタイン型フッ素化合物1(製品名「エフロンティアA0111」、三菱マテリアル電子化成社製、固形分1質量%)を添加し、30分間撹拌して、親水撥油層形成用塗布液を得た。
[防曇性積層体の作製]
基材としての機能を担う吸水性フィルムであるケン化処理トリアセチルセルロース(トチセン社製、厚さ:127μm(ケン化処理層の厚さ:7μm〜8μmを含む)、吸水率:70%〜85%)の片側の表面(ケン化処理層の表面)に、親水撥油層形成用塗布液をバーコート法により塗布し、塗布膜を150℃で10分間乾燥させて、厚さ6μmの親水撥油層を形成した。吸収性フィルム上に親水撥油層が配置された、実施例1の防曇性積層体を得た。
(実施例2〜実施例9、実施例14、実施例15、比較例1〜比較例8)
実施例1で用いたバインダー原料、無機粒子及びフッ素化合物を表1及び表2に記載の種類及び含有量に変更し、実施例1と同様の方法で、実施例2〜実施例9、実施例14、実施例15、比較例1〜比較例8の親水撥油層形成用塗布液を調製した。なお、比較例8では、水溶性非フッ素化合物を用いたが、「フッ素化合物」の欄に記載した。
比較例7については、フッ素化合物が水とエタノールの混合溶液に溶解せず、親水撥油層形成用塗布液を調製することができなかった。
実施例2〜実施例9、実施例14、実施例15、比較例1〜比較例6、比較例8について、実施例1と同様の方法で、防曇性積層体を作製した。
(実施例10)
[親水撥油層形成用塗布液の調製]
以下に示す成分を、表1及び表2に記載の含有量になるように混合した後、ベタイン型フッ素化合物1(製品名「エフロンティアA0111A0111」、三菱マテリアル電子化成社製、固形分1質量%)を添加し、30分間撹拌して、親水撥油層形成用塗布液を得た。
・アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(製品名「ゴーセネックスZ−220」、日本合成化学社製、重合度1200、ケン化度90.5〜92.5、固形分100質量%)・メラミン樹脂架橋剤(製品名「ニカラックMX−035」、日本カーバイド社製、固形分70質量%)
・p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業社製、固形分100質量%)
・アルミナゾル(製品名「アルミゾルF−1000」、短径4nm×長径1400nm、川研ファインケミカル社製、固形分75質量%)
・水
・エタノール
[防曇性積層体の作製]
実施例1と同様の方法で、実施例10の防曇性積層体を作製した。
(実施例11及び実施例12)
実施例10で用いたバインダー原料、無機粒子及びフッ素化合物を表1及び表2に記載の種類及び含有量に変更し、実施例10と同様の方法で、実施例11及び実施例12の防曇性積層体を作製した。
(実施例13)
[親水撥油層形成用塗布液の調製]
実施例1と同様の方法で、親水撥油層形成用塗布液を得た。
[防曇性積層体の作製]
ポリエチレンテレフタレート基材(製品名「A4300」、東洋紡社製、厚さ75μm)上に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(製品名「ゴーセネックスZ−220」、日本合成化学社製、重合度1200、ケン化度90.5〜92.5、固形分100質量%)をバーコート法により塗布し、塗布膜を150℃で5分間乾燥させて、厚さ5μmの吸水性樹脂層を形成した。
次に、親水撥油層形成用塗布液をバーコート法により塗布し、塗布膜を150℃で10分間乾燥させて、厚さ6μmの親水撥油層を形成した。非吸水性支持体であるポリエチレンテレフタレート基材上に、吸水性樹脂層及び親水撥油層がこの順に配置された、実施例13の防曇性積層体を得た。
実施例及び比較例の防曇性積層体について、防曇性、耐水垂れ性、鉛筆硬度、防汚性及び透明性の評価を行った。評価方法は以下のとおりである。評価結果を表2に示す。比較例9では、親水撥油層形成用塗布液を調製することができず、防曇性積層体を作製することができなかったため、評価を行っていない。そのため、評価の欄に「−」を記載した。
<防曇性>
40℃の湯浴を用意し、得られた積層体の親水撥油層のあらかじめ定めた5cm×5cmの領域のみに温浴からの蒸気を当て、曇りが生じるまでの時間を測定した。評価基準は以下のとおりである。評価は、A及びBを合格とした。
A:1分30秒以上曇りがなく、かつ、透過像がぼけて見える揺らぎもない。
B:30秒以上1分30秒未満曇りがなく、かつ、透過像がぼけて見える揺らぎもない。
C:30秒未満で曇りが発生し、透過像が見えない。
<耐水垂れ性>
10cm×10cmの大きさのサンプルを用意し、親水撥油層の表面に霧吹きで10mLの水をかけて強制的に水膜を形成した。その後、垂直に立てかけた状態で静置乾燥させた。この操作を10回繰り返した後、垂れ跡(すなわち、水垂れの痕跡)の有無を目視で観察した。評価基準は以下のとおりである。評価は、Aを合格とした。
A:垂れ跡がない
B:垂れ跡が僅かに見える
C:垂れ跡がはっきりと見える
<鉛筆硬度>
10cm×10cmの大きさのサンプルを用意し、親水撥油層の表面に対し、JIS K 5600 5−4(1999)の条件で鉛筆硬度試験を行った。鉛筆硬度が高いほど、耐傷性に優れる。評価は、HB、H、2H及び3Hを合格とした。評価は、H以上であることがより好ましい。
<透明性>
ヘイズメーター(型番:NDH 5000、日本電色工業(株)製)を用いて、積層体のヘイズ(Haze)を測定した。得られた測定値を、透明性を評価する指標とした。基材よる差異を除去するため、へイズは積層体での測定値から基材のみでの測定値を引くことにより算出した。測定は、積層体の基材面、すなわち積層体の親水撥油層が形成されている面とは反対側の面を光源に向けて行った。ヘイズが低いほど、透明性に優れる。評価基準は以下のとおりである。評価は、A及びBを合格とした。
A:ヘイズ0.9%未満
B:ヘイズ0.9%以上1.5%未満
C:ヘイズ1.5%以上
<防汚性>
10cm×10cmの大きさのサンプルを用意し、親水撥油層の表面に対し、n−ヘキサデカンを1μLずつ滴下した。室温(25±1℃)下、親水撥油層の表面と液滴との接触部位で形成される角度(単位:度)を、自動接触角計(協和界面科学社製)を用いて測定した。角度が大きいほど、防汚性に優れる。評価基準は以下のとおりである。評価は、Aを合格とした。
A:80°以上
B:30°以上80°未満
C:30°未満
表1に記載の略語は、以下の化合物を意味する。
・KBE−403・・・ 3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(製品名「KBE−403」、信越化学工業社製、固形分100質量%)
・Z−220・・・アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(製品名「ゴーセネックスZ−220」、日本合成化学社製、重合度1200、ケン化度90.5〜92.5、固形分100質量%)
・TEOS・・・テトラエトキシシラン(東京化成工業社製、固形分100質量%)
・X−12−1098・・・シランカップリング剤(製品名「X−12−1098」、信越化学工業社製、固形分30質量%)
・MX−035・・・イミノ基及びメチロール基を有するメラミン樹脂(製品名「ニカラックMX−035」、日本カーバイド社製、固形分70質量%)
・WM44−L70G・・・ブロックイソシアネート架橋剤(製品名「デュラネートWM44−L70G」、旭化成ケミカルズ社製、固形分70質量%)
・ALCH・・・アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(製品名「ALCH」、川研ファインケミカル社製、固形分100質量%)
・ALCH−D・・・アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)(製品名「ALCH−D」、川研ファインケミカル社製、固形分75質量%)
・p−TS・・・p−トルエンスルホン酸(和光純薬工業社製、固形分100質量%)
表2に記載の略語は、以下の化合物を意味する。
・カチオン性無機粒子:アルミナ・・・アルミナゾル(製品名「アルミゾルF−1000」、短径4nm×長径1400nm、川研ファインケミカル社製、固形分75質量%)
・アニオン性無機粒子:シリカ・・・コロイダルシリカ(製品名「スノーテックスO33」、一次粒子径10nm〜15nm、日産化学社製、固形分33質量%)
・ベタイン型フッ素化合物1・・・ベタイン型フッ素化合物(製品名「A0111」、三菱マテリアル電子化成社製)、フッ素原子数36at%
・ベタイン型フッ素化合物2・・・下記構造のベタイン型フッ素化合物、フッ素原子数24at%
・カチオン性フッ素化合物1・・・下記構造のカチオン性フッ素化合物
・カチオン性フッ素化合物2・・・下記構造のカチオン性フッ素化合物
・アニオン性フッ素化合物1・・・下記構造のアニオン性フッ素化合物
・アニオン性フッ素化合物2・・・下記構造のアニオン性フッ素化合物
・非水溶性フッ素化合物・・・含フッ素基・親油性基含有オリゴマー(製品名「メガファックF−552」、DIC社製)
・水溶性非フッ素化合物・・・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(製品名「エマルゲン103」、花王社製)
・UG−4040・・・エポキシ基含有アクリルポリマー(製品名「ARUFON(登録商標)UG−4040」、重量平均分子量11000、エポキシ価2.1meq/g、東亞合成社製)
・ケン化TAC・・・ケン化処理トリアセチルセルロース(トチセン社製、厚さ:127μm(ケン化処理層の厚さ:7μm〜8μmを含む)、吸水率:70%〜85%)
・A4300・・・ポリエチレンテレフタレート基材(製品名「A4300」、東洋紡社製、厚さ75μm)
(ベタイン型フッ素化合物2)
(カチオン性フッ素化合物1)
(カチオン性フッ素化合物2)
(アニオン性フッ素化合物1)
(アニオン性フッ素化合物2)
表2に示すように、実施例1〜実施例15の防曇性積層体は、吸水性樹脂層と、吸水性樹脂層の上に配置される親水撥油層と、を有し、親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含むか、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含むか、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含むため、良好な防曇性を有しつつ、透明性、耐傷性、耐水垂れ性及び防汚性に優れることが分かった。特に、実施例1〜3の防曇性積層体は、ベタイン型フッ素化合物の含有量が親水撥油層の全量に対して0.5質量%〜10質量%であるため、実施例14の防曇性積層体と比較して防汚性に優れ、実施例15の防曇性積層体と比較して防曇性に優れることが分かった。
一方、比較例1及び比較例2では、吸水性樹脂層を有していないため、防曇性に劣っていた。比較例3では、親水撥油層に無機粒子が含まれていないため、耐傷性に劣っていた。比較例4では、親水撥油層にフッ素化合物が含まれていないため、防汚性に劣っていた。比較例5では、親水撥油層がカチオン性無機粒子とアニオン性フッ素化合物とを含むため、透明性に劣っていた。比較例6では、親水撥油層がアニオン性無機粒子とカチオン性フッ素化合物とを含むため、透明性に劣っていた。比較例8では、親水撥油層がフッ素化合物ではなく非フッ素化合物を含むため、防汚性に劣っていた。
以上より、本開示の防曇性積層体は、吸水性樹脂層と、吸水性樹脂層の上に配置される親水撥油層と、を有し、親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含むか、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含むか、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含むため、良好な防曇性を有しつつ、透明性、耐傷性、耐水垂れ性及び防汚性に優れる。
10,20・・・防曇性積層体
12,22・・・親水撥油層
14,24・・・吸水性樹脂層
16,28・・・粘着剤層
26・・・非吸水性支持体

Claims (10)

  1. 吸水性樹脂層と、
    前記吸水性樹脂層の上に配置される親水撥油層と、を有し、
    前記親水撥油層は、
    バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含むか、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含むか、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む防曇性積層体。
  2. 前記親水撥油層は、バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含み、
    前記無機粒子はシリカ粒子又はアルミナ粒子である、請求項1に記載の防曇性積層体。
  3. 前記親水撥油層は、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含み、
    前記アニオン性無機粒子はシリカ粒子である、請求項1に記載の防曇性積層体。
  4. 前記親水撥油層は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含み、
    前記カチオン性無機粒子はアルミナ粒子である、請求項1に記載の防曇性積層体。
  5. 前記ベタイン型フッ素化合物の含有量は、前記親水撥油層の全量に対して0.5質量%〜10質量%である請求項1又は請求項2に記載の防曇性積層体。
  6. 前記ベタイン型フッ素化合物の含有量に対する前記無機粒子の含有量は、質量基準で0.5〜30である請求項1、請求項2又は請求項5に記載の防曇性積層体。
  7. 前記無機粒子、前記アニオン性無機粒子及び前記カチオン性無機粒子はそれぞれ、一次粒子径が100nm以下である、請求項1に記載の防曇性積層体。
  8. 前記吸水性樹脂層の前記親水撥油層が配置されている側とは反対側に、非吸水性支持体を有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の防曇性積層体。
  9. 前記吸水性樹脂層の前記親水撥油層が配置されている側とは反対側に、最外層として、粘着剤層を有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の防曇性積層体。
  10. バインダー、ベタイン型フッ素化合物及び無機粒子を含む塗布液、バインダー、アニオン性フッ素化合物及びアニオン性無機粒子を含む塗布液、又は、バインダー、カチオン性フッ素化合物及びカチオン性無機粒子を含む塗布液を吸水性樹脂層の上に塗布する工程を有する防曇性積層体の製造方法。
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