以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同一または相当する部材には同一符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態の基板ホルダを用いためっき処理を行うめっき装置の全体配置図を示す。このめっき装置は、反り量の小さい基板を選択する反り量判定部170Cと、基板ホルダ18に基板をロードし、又は基板ホルダ18から基板をアンロードするロード/アンロード部170Aと、基板を処理する処理部170Bとに大きく分けられる。本実施形態において、基板は、円形、あるいは多角形の半導体基板であってもよく、基板の厚みは、例えば1mm程度であってもよい。また、基板が反っている状態とは、基板が水平面に沿った起伏のない均一な平板状ではないことをいう。基板の反り量とは、基板を水平面上に置いた時に、基板の上面(または下面)に関して、水平面からの距離の最大値と最小値の差である。
図1に示すように、ロード/アンロード部170Aには、半導体ウェハ等の基板WFを収納したカセット10を搭載する2台のカセットテーブル12と、基板WFのオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるアライナ14と、めっき処
理後の基板WFを高速回転させて乾燥させるスピンドライヤ16が備えられている。更に、アライナ14と、スピンドライヤ16の近くには、基板ホルダ18を載置して基板WFの基板ホルダ18との着脱を行う基板着脱部20が設けられる。カセットテーブル12と、アライナ14と、スピンドライヤ16と、基板着脱部20の中央には、これらの間で基板WFを搬送する搬送用ロボットからなる基板搬送装置(搬送システム)22が配置されている。
そして、処理部170Bには、基板着脱部20側から順に、基板ホルダ18の保管及び一時仮置きを行うストッカ(ワゴン)24、基板WFを純水に浸漬させるプリウェット槽26、基板WFの表面に形成したシード層等の表面の酸化膜をエッチング除去するプリソーク槽28、基板WFの表面を純水で水洗する第1の水洗槽30a、洗浄後の基板WFの水切りを行うブロー槽32、第2の水洗槽30b及びめっき槽34が順に配置されている。このめっき槽34は、オーバーフロー槽36の内部に複数のめっきユニット38を収納して構成され、各めっきユニット38は、内部に1個の基板ホルダ18を収納して、銅めっき等のめっきを施すようになっている。
更に、これらの各機器の側方に位置して、これらの各機器の間で基板ホルダ18を基板WFとともに搬送する、例えばリニアモータ方式を採用した基板ホルダ搬送部40が備えられている。この基板ホルダ搬送部40は、基板着脱部20とストッカ24との間で基板WFを搬送する第1のトランスポータ42と、ストッカ24、プリウェット槽26、プリソーク槽28、水洗槽30a,30b、ブロー槽32及びめっき槽34との間で基板WFを搬送する第2のトランスポータ44を有している。
また、この基板ホルダ搬送部40のオーバーフロー槽36を挟んだ反対側には、各めっきユニット38の内部に位置してめっき液を攪拌する掻き混ぜ棒としてのパドル(図示せず)を駆動するパドル駆動装置46が配置されている。
基板着脱部20は、レール50に沿ってスライド自在な平板状の2個の載置プレート52を備えている。この載置プレート52の各々に1個、合計2個の基板ホルダ18を水平状態で並列に載置する。2個の基板ホルダ18のうちの一方の基板ホルダ18と基板搬送装置22との間で基板WFの受渡しを行う。その後、この載置プレート52を横方向にスライドさせて、他方の基板ホルダ18と基板搬送装置22との間で基板WFの受渡しを行う。
基板ホルダ18は、基板のめっき処理の際に、基板の端部及び裏面をめっき液からシールし被めっき面を露出させて保持する。また、基板ホルダ18は、基板の被めっき面の周縁部と接触し、外部電源から給電するための接点を備えても良い。基板ホルダ18は、めっき処理前にストッカ24(ワゴン)に収納され、めっき処理時には基板ホルダ搬送部40により、基板搬送装置22、めっき処理部の間を移動し、めっき処理後にワゴンへと再び収納される。めっき装置においては、基板ホルダ18に保持された基板をめっき槽34のめっき液に鉛直方向に浸漬し、めっき液をめっき槽34の下から注入しオーバーフローさせつつめっきが行われる。めっき槽34は、既述のように複数のめっきユニット38を有することが好ましく、各々のめっきユニット38では、1枚の基板を保持した1つの基板ホルダ18がめっき液に垂直に浸漬され、めっきされる。各々のめっきユニット38には基板ホルダ18の挿入部、基板ホルダ18への通電部、アノード、パドル攪拌装置、遮蔽板を備えていることが好ましい。アノードはアノードホルダに取り付けて使用し、基板と対向するアノードの露出面は基板と同心円状となっている。基板ホルダ18に保持された基板は、めっき処理部の各処理槽内の処理流体で処理が行われる。
基板ホルダ18に保持された基板は、めっき処理部の各処理槽内の処理流体で処理が行
われる。
めっき処理部の各処理槽の配置は、例えば、めっき液を2液使用するタイプのめっき装置とする場合には、工程順に、前水洗槽、前処理槽、リンス槽、第1めっき槽、リンス槽、第2めっき槽、リンス槽、ブロー槽、といった配置としてもよいし、別の構成としてもよい。各処理槽の配置は工程順(X→X’方向)に配置することが、余分な搬送経路をなくす上で好ましい。めっき装置内部の、槽の種類、槽の数、槽の配置は、基板の処理目的により自由に選択可能である。
基板ホルダ搬送部40の第1のトランスポータ42、第2のトランスポータ44は基板ホルダを懸架するアームを有し、アームは基板ホルダ18を垂直姿勢で保持するためのリフターを有する。基板ホルダ搬送部は、走行軸に沿って、基板着脱部20、めっき処理部の間をリニアモータなどの搬送機構(図示せず)により移動可能である。基板ホルダ搬送部40は、基板ホルダ18を垂直姿勢で保持し搬送する。基板ホルダを収納するストッカは、複数の基板ホルダ18を垂直状態で収納することができる。
次に、基板ホルダ18の詳細について説明する。基板ホルダ18は、図2乃至図5に示すように、例えば塩化ビニル製で矩形平板状の第1保持部材(固定保持部材)54と、この第1保持部材54にヒンジ56を介して開閉自在に取付けた第2保持部材(可動保持部材)58とを有している。
この第2保持部材58は、基部60とリング状のシールホルダ62とを有し、例えば塩化ビニル製で、下記の押えリング72との滑りを良くしている。シールホルダ62の第1保持部材54と対向する面には、基板ホルダ18で基板WFを保持した時、基板WFの外周部の基板シールライン64に沿って基板WFの外周部に圧接してここをシールする基板シール部材66が内方に突出して取付けられている。更に、シールホルダ62の第1保持部材54と対向する面には、基板シール部材66の外方位置で第1保持部材54の下記の支持ベース80に圧接してここをシールするホルダシール部材68が取付けられている。
基板シール部材66及びホルダシール部材68は、シールホルダ62と、シールホルダ62にボルト等の締結具を介して取付けられる固定リング70との間に挟持されてシールホルダ62に取付けられている。基板シール部材66のシールホルダ62との当接面(上面)には、基板シール部材66とシールホルダ62との間をシールする突条部66aが設けられている。
第2保持部材58のシールホルダ62の外周部には段部が設けられ、この段部に、押えリング72がスペーサ74を介して回転自在に装着されている。押えリング72は、シールホルダ62の側面に外方に突出するように取付けられた押え板(図示せず)により、シールホルダ62から取り外しできないように装着されている。この押えリング72は、酸に対して耐食性に優れ、十分な剛性を有する、例えばチタンから構成される。スペーサ74は、押えリング72がスムーズに回転できるように、摩擦係数の低い材料、例えばPTEFで構成されている。
第1保持部材54は、略平板状で、基板ホルダ18で基板WFを保持した時にホルダシール部材68と圧接して第2保持部材58との間をシールする支持ベース80を有する。さらに第1保持部材54は、この支持ベース80と互いに分離した略円板状の可動ベース(支持部)82を有している。押えリング72の外側方に位置して、第1保持部材54の支持ベース80には、内方に突出する突出部を有する逆L字状のクランパ84が円周方向に沿って等間隔で立設されている。一方、押えリング72の円周方向に沿ったクランパ84と対向する位置には、外方に突出する突起部72aが設けられている。そして、クラン
パ84の内方突出部の下面及び押えリング72の突起部72aの上面は、回転方向に沿って互いに逆方向に傾斜するテーパ面となっている。押えリング72の円周方向に沿った複数箇所(例えば4箇所)には、上方に突出するポッチ72bが設けられている。これにより、回転ピン(図示せず)を回転させてポッチ72bを横から押して回すことにより、押えリング72を回転させることができる。
基板WFの挟持は以下の手順で行われる。図3に仮想線で示すように、第2保持部材58を開いた状態で、第1保持部材54の中央部に基板WFを挿入し、ヒンジ56を介して第2保持部材58を閉じる。そして、押えリング72を時計回りに回転させて、押えリング72の突起部72aをクランパ84の内方突出部の内部に滑り込ませる。この結果、押えリング72の突起部72aとクランパ84にそれそれぞれ設けたテーパ面を介して、第1保持部材54と第2保持部材58とを互いに締付けてロックする。ロックを解くときは、押えリング72を反時計回りに回転させて、逆L字状のクランパ84の内方突出部から押えリング72の突起部72aを引き抜く。こうしてロックを解くことができる。
可動ベース82は、基板ホルダ18で基板WFを保持した時に、基板WFの外周部と当接して基板WFを支持するリング状のエッジ部82aを有している。エッジ部82aは、圧縮ばね86を介して、支持ベース80に近接する方向に移動自在に支持ベース80に取付けられている。エッジ部82aは、圧縮ばね86の付勢力(ばね力)により、支持ベース80から離れる方向に付勢される。厚みの異なる基板WFを基板ホルダ18で保持した時に、基板WFの厚みに応じて、可動ベース82が支持ベース80に近接する方向に移動することで、基板WFの厚みを吸収する厚み吸収機構88が構成されている。
可動ベース82の周縁部上面には、基板Wの外周端部をガイドして基板Wの可動ベース82に対する位置決めを行う基板ガイド82eが備えられている。基板WFを基板ホルダ18で保持するに先だって、基板WFを可動ベース82の支持面82aに支持する時、基板WFの外周端部が基板ガイド82eに案内されて、基板WFの可動ベース82に対する位置決めが行われる。
ここで、めっき液の種類は、特に限られることはなく、用途に応じて様々なめっき液が用いられる。例えば、TSV(Through-Silicon Via、Si貫通電極)用めっきプロセス
の場合のめっき液を用いることができる。
また、めっき液としては、Cu配線を有する基板の表面に金属膜を形成するためのCoWB(コバルト・タングステン・ホウ素)やCoWP(コバルト・タングステン・リン)などを含むめっき液が用いられてもよい。また、絶縁膜中にCuが拡散することを防止するため、Cu配線が形成される前に基板の表面や基板の凹部の表面に設けられるバリア膜を形成するためのめっき液、例えばCoWBやTa(タンタル)を含むめっき液が用いられてもよい。
以上のように構成されるめっき処理装置を複数含むめっき処理システムは、上述した各部を制御するように構成されたコントローラ(図示せず)を有する。コントローラは、所定のプログラムを格納したメモリ(図示せず)と、メモリのプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)(図示せず)と、CPUがプログラムを実行することで実現される制御部(図示せず)とを有する。制御部は、例えば、基板搬送装置22の搬送制御、基板ホルダ搬送部40の搬送制御、めっき槽34におけるめっき電流及びめっき時間の制御等を行うことができる。また、コントローラは、めっき装置及びその他の関連装置を統括制御する図示しない上位コントローラと通信可能に構成され、上位コントローラが有するデータベースとデータのやり取りをすることができる。ここで、メモリを構する記憶媒体は、各種の設定データや後述するめっき処理プログラム
等の各種のプログラムを格納している。記憶媒体としては、コンピューターで読み取り可能なROMやRAMなどのメモリや、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROMやフレキシブルディスクなどのディスク状記憶媒体などの公知のものが使用され得る。
本実施形態では、めっき装置内に設けた反り量判定部170Cで、反り量の小さい基板を選択する。選択された基板をカセットテーブル12に格納する。反り量判定部170Cは、基板の反り量の測定を実施する測定部110と、FOUP(Front-Opening Unified Pod、フープ)112を有する。FOUPは、300mmウェハ用の搬送・保管を目的としたキャリアであり、正面開口式カセット一体型搬送・保管箱である。反り量判定部170Cでの処理フローを図6に示す。
測定部110は、FOUP112から取り出した基板の反り量の測定を実施する(ステップ114)。なお、FOUP112と測定部110との間の基板の搬送、及び測定部110とカセットテーブル12との間の基板の搬送は、図示しない搬送ロボットにより行われる。測定した基板の反り量が閾値未満であるかどうかを判定する(ステップ116)。閾値としては、例えば、2mmとする。基板の反り量が閾値未満であるときは、その基板を基板ホルダ18に搭載してめっきを実施するために、カセットテーブル12に送る(ステップ118)。基板の反り量が閾値以上であるときは、当該基板については、制御部に対して、エラーを出して、FOUP112へ基板を戻す(ステップ120)。これにより、反りが大きい基板WFに関しては、割れる前に処理を中止することができる。
次に、測定部110での基板の反り量の測定方法を図7により説明する。回転ステージ122上に基板WFを搭載し、基板WFを回転させる。距離センサ124で基板WFの反り量を測定する。距離センサ124は、基板WFの外周上に配置する。距離センサ124は、距離センサ124と基板WFとの距離を読み取る。距離センサ124は、さらに、基板WFの測定開始点での距離センサ124と基板WFとの距離を基準として、基板WFの外周上の距離の変化量をコントローラに出力する。コントローラは、基板WFの外周上の距離の変化量が、図6に関して既述したように、ある閾値以上の場合、めっき処理を行わないため、基板WFを基板ホルダに搭載しない。
図7(a)に示す実施例では、距離センサ124は固定されているため、基板WFの外周上の距離の変化量のみを測定する。図7(b)に示す実施例では、基板WFを回転させながら、距離センサ124は基板WF上を、基板WFの半径方向に動く。従って、距離センサ124は、基板WFの円周方向と半径方向の距離の変化量を測定する。なお、距離センサ124を移動させる代わりに、複数の距離センサ124を半径方向に配置してもよい。外周上の距離の変化量のみを測定する場合、基板WFの全体としては、反りがあるが、外周上では、反りが検出されない場合がありうる。例えば、基板が山形やおわん形に反っている場合である。基板がおわん形に反っている場合は、距離センサ124と回転ステージ122の上面との距離をあらかじめ測定しておけば、反りが検出される。しかし基板が山形に反っている場合は、外周上の距離の変化量の測定のみでは反りが検出されない。外周上の測定のみでは反りが検出されない場合も考慮すると、距離センサ124は、基板WFの円周方向と半径方向の距離の変化量を測定することが好ましい。
距離センサ124としては、例えばレーザー距離計を用いることができる。レーザー距離計は、照射した光が測定対象で反射して受光するまでの時間を計測して、距離を測定する。測定方法の違いにより「位相差距離方式」と「パルス伝播方式」がある。
図8に、基板WFの反り量の別の測定方法を示す。図8では、基板WFの半径にわたって測定することができるプロファイル計測器126を用いている。プロファイル計測器126は、固定されている。本測定方法では、反り量判定部170Cを設けることなく、図
1に示すアライナ14等のステージの上で基板WFを回転させて、基板WFの外周上の距離の変化量のプロファイルを計測している。図8(b)に基板WFの全体にわたる距離の変化量の測定結果であるプロファイルの一例を示す。図8(b)は、1つの直径上の距離の変化量の測定結果である。横軸が基板WFの当該直径上の位置を示し、縦軸が距離の変化量である。コントローラは、基板の外周上または基板の全体にわたる距離の変化量から基板の反り量を決定する。既述のように、ある一定の反り量を有する基板WF、例えば2mmの反り量を有する基板WFは処理しない。判定部170Cを設けて、判定部170Cにおいて、プロファイル計測器126を用いてもよい。
図9に、基板WFの反り量の別の測定方法を示す。図9では、基板WFを基板ホルダ18の可動ベース82に搭載した時に、基板WFの外周上を距離センサ124で走査して、基板WFと距離センサ124との距離を測定する。本測定方法では、反り量判定部170Cを設けることなく、載置プレート52上で距離センサ124を基板WFの外周上を回転させて、基板WFの全体にわたる距離の変化量のプロファイルを計測する。また、複数のセンサ124を基板WFの外周上に配置して、距離センサ124は固定しておくこととしてもよい。距離センサ124と可動ベース82のエッジ部82aの上面128との距離をあらかじめ測定しておけば、外周上に反りがある場合は、外周上の反りが検出される。
図9(a)は、基板WFがおわん形(谷形)に反っている例であり、図9(b)は、基板WFが山形に反っている例である。図9(a)、図9(b)は、反り量が閾値未満の例である。図9(a)、図9(b)は、可動ベース82が、基板WFの外周部に位置する基板WFの裏面と接触するエッジ部82aと、エッジ部82a以外の凹部130とを有する例である。凹部130は、基板WFの裏面から遠ざかる方向に、エッジ部82aに対して窪んでいる。くぼみの深さは、例えば、2.5mmである。
図9(c)は、可動ベース82が、上記の凹部130を有しない比較例である。凹部130を有する場合は、反り量が閾値以内である場合は、図9(a)、図9(b)に示すように、山形でも谷形でもめっきできる。一方、凹部130を有しない図9(c)の場合であって、反りが谷形の場合、エッジ部82aに既述のように、基板WFを保持するための力が加わるため、基板WFにひずみが発生し、破損する可能性が、図9(a)の場合よりも大きくなる。図9(a)、図9(b)の場合、エッジ部82aに既述のように、基板WFを保持するための力が加わっても、基板WFにひずみが発生する可能性は低い。
次に、反り量が閾値以下である基板WFを搭載するドライハンド及びウェットハンドについて説明する。ロード/アンロード部170Aでの基板WFの搬送においては、基板WFがドライのものとウエットのものが混在する。このため、このロード/アンロード部170Aに用いる基板搬送装置(搬送システム)22は、2組のアームで2ハンド方式のものを搭載することとした。図10Aは、基板搬送装置22を示す平面図(但し上段ハンド237(ハンド部)が基板WFを保持した状態を示している)で、図10Bは、基板搬送装置22の側面図(基板WFを保持しない状態)、図10Cは、基板搬送装置22の上段ハンド237の要部平面図(基板WFを保持した状態)、図10Dは、基板搬送装置22の下段ハンド(ハンド部)241の要部平面図(基板WFを保持した状態)である。図10A乃至10Dに示すように、基板搬送装置22は、基板搬送装置本体231上に設置した複数の関節を有する複数(2組)のアーム233,235の内の一方のアーム233先端に、上段ハンド237を取り付けている。基板搬送装置22は、他方のアーム235の先端に下段ハンド241を取り付けている。
上段ハンド237は、ドライの基板WFをカセットテーブル12から載置プレート52へ搬送するドライハンドである。上段ハンド237には、基板WFの表面が上側になるように搭載され、上段ハンド237の厚さは10mm以下であり、基板WFの裏面を真空吸
着する。下段ハンド241は、めっき処理部170Bから載置プレート52に搬送された基板Wをスピンドライヤ16に搬送するウェットハンドである。下段ハンド241には、基板WFの表面が下側になるように搭載される。基板WFは、周壁部152で囲まれた支持部220に搭載される。
上段ハンド237が、基部132と、基部132の表面上に配置された2つの突起部134とを備える。基部132は2つのフォークから形成される。基部132は、3個以上のフォークから構成されてもよい。突起部134が、図示しない真空源に連通している真空孔136を有し、真空孔136は、突起部134の頂部に開口138を有し、突起部134の頂部は、基部132の表面140に対して高さが固定されている。突起部134の頂部に、基板WFを真空により吸着する。突起部134の頂部は、基部132の表面に対して1mm〜2mmの高さ142(図11に示す)を有している。突起部134は、表面140の中央部に配置される。真空吸着する上段ハンド237は、吸着される基板WFの反り量が2mm以下であることを考慮して、基部132の表面に対して突起部134は、2mm高くなっている。図11に、図10Cに示す断面AAにおける上段ハンド237の断面図を示す。
下段ハンド(ハンド部)241は、図12に示すように、搭載される基板WFの反り量が2mm以下であることを考慮して、基板WFの下面(裏面144)に対向する部分(凹部130)をエッジ部157に対して2mm掘り下げている。基板WFは、表面148と、裏面144と、基板WFの外周部に位置する側面150とを有する。下段ハンド241は、基板WFの裏面144と対向していて基板WFを搭載する支持部220と、基板WFの側面150に対向していて支持部220の外周に配置された周壁部152と、を有する。
支持部220は、基板WFの外周部160に位置する裏面144と接触するエッジ部157と、エッジ部157以外の凹部130とを有する。凹部130は、裏面144から遠ざかる方向に、エッジ部157に対して窪んでいる。下段ハンド241は2つのフォーク156から形成される。下段ハンド241は、3個以上のフォークから構成されてもよい。周壁部152は、フォーク部156に設けられている。凹部130の窪みは1mm〜2mmの深さ158を有している。深さ158は、0.5mm以上が好ましい。
次に、反っている基板を保持したまま、めっき液中に浸漬させたときに、基板の割れを防止できる基板ホルダ18について、図13により説明する。基板ホルダ18は、図2〜図5において詳述したように、基板WFの外周部160を挟持して基板WFを脱着自在に保持する第1保持部材54および第2保持部材58を有する。第1保持部材54は、基板WFの裏面144と対向する可動ベース82を有する。基板ホルダ18は、可動ベース82から基板WFに向かう方向に、第1保持部材54に対向する基板WFの裏面144に対して、力を加える基板保持部材(バックサイドサポート)162を有する。基板保持部材(バックサイドサポート)162は、基板中央部に対応する位置に1個設けることもできるが、基板中央部付近に周方向に均等に少なくとも3個設けるようにしてもよい。一実施形態においては、基板保持部材(バックサイドサポート)162は、第1保持部材54と板バネなどの弾性部材184で連結されて、基板面に対して垂直方向に伸縮自在に固定されることができる。弾性部材184は周方向に均等に少なくとも3個配置することができる。さらに、可動ベース82は、第1保持部材54と板バネなどの弾性部材86で連結されて、基板面に対して垂直方向に伸縮自在に固定されることができる。弾性部材86は周方向に均等に少なくとも3個配置することができる。好適には、基板WFを把持するときに、可動ベース82が下がるとともに中央の基板保持部材162が突き出てきて外周と同じ高さになるように、弾性部材86及び弾性部材184のそれぞれの長さが調整される。なお、基板WFの反りの程度が小さい等の場合には、基板保持部材162の突き出し量を
それほど確保する必要がないため、弾性部材86を設けることに代えて単なる連結部材を設け、弾性部材184のみを設けるようにすることができる。また、第1保持部材54に対して可動ベース82及び/又は基板保持部材162が弾性体で連結されているため、基板の反りといった被保持物の凹凸の影響を吸収できるだけでなく、厚みがあるような基板WFであっても、基板の厚みの影響を吸収しながらこれを保持することができる。なお、例えば基板の厚みが薄いような場合には、本実施形態における基板ホルダでは、前述した基板WFの厚みを吸収する厚み吸収機構88を設けないようにすることもできる。
基板WFの裏面144側に存在する空間164は、シールされている空間164であるため、空間164内の圧力は、水圧より低い。基板ホルダ18は、めっき処理時に基板WFの表面148に加わる水圧に抗するための基板保持部材162を有する。このため、基板WFの割れを防止できる。
可動ベース82は貫通孔172を有する。貫通孔172の開口部174は、基板WFの裏面144に対向している。貫通孔172に基板保持部材162は配置される。可動ベース82は、基板WFの外周部160に位置する裏面144と接触するエッジ部82aと、エッジ部82a以外の凹部130とを有する。凹部130は、裏面144から遠ざかる方向に、エッジ部82aに対して窪んでいる。
図13(a)は、基板WFが第1保持部材54に置かれて、第2保持部材58が基板WFを挟持する前の状態である。図13(b)は、基板WFが第2保持部材58によって挟持された後の状態である。図13(a)は、基板保持部材162の下部にはばね184があり、ばね184は、基板保持部材本体186を基板WFの方へ押すことができる。図13(a)に示すように、第2保持部材58が第1保持部材54に押し付けられる前は、基板保持部材本体186が裏面144と接触する部分180が凹部130表面から露出しないように、係止部188により基板保持部材本体186は係止されている。基板保持部材本体186は、貫通孔172内を、凹部130からWF基板に向かう方向に、および基板WFから凹部130に向かう方向に移動可能である。
図13(b)においては、基板保持部材本体186が裏面144を押して、基板WFの反りを是正している。このため、基板保持部材本体186が裏面144と接触する部分180と、エッジ部82aが裏面144と接触する部分は、凹部130上の点から、凹部130から基板WFに向かう方向に計測した高さ182が同じである。すなわち、基板WFを把持するときに、可動ベース82が下がり、中央の基板保持部材162が突き出てきて、外周と同じ高さになる。
また、基板の反り量が既知でかつ一定である場合は、外周と同じ高さではなく、その既知の反り量を考慮して基板を支持できるような高さになるようにすることが好ましい。
また、上述したように、基板を従来の基板ホルダに保持したまま、めっき液中に浸漬させてめっきする際、基板の上部と下部とで異なる水圧が加わることによる差圧の影響や、パドル攪拌の流体力に起因した、内部応力の増加や反り量の増加による、基板の割れも懸念される。特に、例えば厚みが1mm程度の薄い基板のときには、割れの懸念が顕在化しやすかった。本実施形態では、基板WFに加わる水圧に抗するために、基板WFを裏面から支えるバックサイドサポートである基板保持部材162を備えている。さらに、第1保持部材54に対して可動ベース82及び/又は基板保持部材162が弾性体で連結された、反り吸収機構を有している。従って、反っている基板WFを保持したまま、めっき液中に浸漬させたときに、水圧によって反り量が増加することが防止できて、基板の割れを防止できる。さらに、基板ホルダに保持されたときにはそれほど反っていない基板WFであっても、基板ホルダに保持された状態の基板WFをめっき液に浸漬させた後に、水圧の
影響でめっき液中で反りが発生してしまうことを防止できるため、めっき処理中での基板の割れが生じることを有効に防止できる。
図13(b)においては、基板WFは、反りがない状態に是正されているが、基板WFの反りが大きい場合は、反りがない状態に是正することが好ましくないことがある。図14に、反りがない状態に是正することが好ましくない場合に適用することが好ましい基板保持部材である弾性部材190を示す。弾性部材190は、可動ベース82の凹部130と、基板WFの裏面144との間に配置される。弾性部材190は、例えばエアバッグであり、裏面144から基板WFをサポートする。弾性部材190は、基板WFを一定の圧力で支えることができる。
図14は、山形に反った基板の場合であるが、おわん形に反った基板の場合には、エアバッグを基板の外周部に配置する。例えば、ドーナツ型のエアバッグにより、基板の外周部において、図14において上方に押す(突き出す)ように基板の外周部に圧力をかけて、基板をおわん形に変形させて、基板を支持する。事前に図7,8において説明した方法により測定したプロファイルデータを用いて、ドーナツ型のエアバッグの高さを調整して、基板を支える。このようして、基板に加わる負荷を軽減させ、且つ基板を裏側から支持することができる。
図15に、反りがない状態に是正することが好ましくない場合に適用することが好ましい別の基板保持部材を示す。この基板保持部材は、弾性部材190と同様に、水圧に抗するためのバックサイドサポートである。基板保持部材は、本図の場合、5本の可変長部材192を有する。可変長部材192は、可動ベース82の凹部130と、基板WFの裏面144との間に配置され、可動ベース82の凹部130から基板WFに向かう方向の長さ294が調整可能である。可変長部材192は例えばピン形状である。
可変長部材192の長さ294は、可変長部材192が設置されている場所の、可動ベース82の凹部130と基板WFの裏面144との間の距離に従って調整される。この距離に、通常は、可変長部材192の長さ294を一致させる。調整方法は、事前に図7,8において説明した方法により測定したプロファイルデータを用いて、そのプロファイルに合うように下から可変長部材192を所定寸法突き出す。具体的には、測定したプロファイルデータは、前述しためっき装置のコントローラ(図示せず)のメモリに記憶され、CPUがプログラムを実行して、基板ホルダ18に設けられた、複数の可変長部材192のそれぞれの長さを調整するように制御する。
突き出し量の調整機構としては、可変長部材192の下から可変長部材192にエア圧やばね力を負荷するとともに、当該エア圧やばね力を調整するエア圧負荷調整機構やバネ力負荷調整機構を用いることができる。その他に、コイルによる電磁力を使用した電磁アクチュエータや、圧電効果を用いた圧電アクチュエータも、調整機構として用いることができる。また、可変長部材192の下部にネジを設け、ネジの回転角度を調整することにより可変長部材192の長さを調整する方法も可能である。
エア圧やばね力を調整するエア圧負荷調整機構の例を次に説明する。図21は、エア圧負荷調整機構240を示す。図21(a)は、基板WFが基板ホルダ18に搭載されているときのエア圧負荷調整機構240を示す。図21(b)は、基板WFが基板ホルダ18に搭載される前のエア圧負荷調整機構240を示す。
エア圧負荷調整機構240は、シリンダ244内に可変長部材192の一部を収納し、可変長部材192の上部は、シリンダ244の外部にある。可変長部材192は、ピン形状である。可変長部材192の頂部246が基板WFの裏面(下面)に接触する。バネ2
42が、可変長部材192のフランジ248と、シリンダ244の上面250との間に配置される。バネ242は可変長部材192を、下方に押し下げる力を発生する。シリンダ244の下部に設けた吸気口252からエアがシリンダ244内に供給される。シリンダ244内のエアの圧力を制御することにより、可変長部材192の突き出し量が制御される。
図21(b)に示すように、基板WFを搭載する前は、吸気口252からエアを抜き、バネ242の力で可変長部材192を下方に下げる。図21(a)に示すように、基板WFを搭載した後は、吸気口252からエアを入れて、エア圧の力で可変長部材192を上方に上げる。バネ力とエア圧の大小関係により、突き出し量が制御される。
図21は、可変長部材192の頂部246に圧力センサ254を設けている。圧力センサ254は、可変長部材192と基板WFとの間に働く圧力を検知する。圧力センサ254で検知した、可変長部材192と基板WFとの間に働く圧力を用いて、シリンダ244内のエア圧を調整する。これにより、可変長部材192と基板WFとの間に働く圧力を調整できる。圧力センサ254により、可変長部材192と基板WFとの間に働く圧力をフィードバック制御することができる。圧力センサ254は、例えばピエゾ抵抗効果を利用した半導体圧力センサである。
なお、図21の例において、圧力センサ254によるシリンダ244内のエア圧を制御することは必ずしも必要ではない。圧力センサ254を用いずに、所定のエア圧を有するエアを供給することとしてもよい。
図22は、エア圧負荷調整機構240の別の実施例を示す。図22(a)は、基板WFが基板ホルダ18に搭載されているときのエア圧負荷調整機構240を示す。図22(b)は、基板WFが基板ホルダ18に搭載される前のエア圧負荷調整機構240を示す。このエア圧負荷調整機構240は、固定長さ方式(固定ばね力方式)である。基板を搭載する前にエアの圧力で可変長部材192を押し下げる。基板WFがクランプされる共に、エアを抜いて、可変長部材192をバネ242により押し上げる。
バネ242が、可変長部材192のフランジ248と、シリンダ244の下面256との間に配置される。バネ242は可変長部材192を、上方に押し上げる力を発生する。シリンダ244の上部に設けた吸気口252からエアがシリンダ244内に供給される。
図22(b)に示すように、基板WFを搭載する前は、吸気口252からエアを供給し、エア圧の力で可変長部材192を下方に下げる。図22(a)に示すように、基板WFを搭載した後は、吸気口252からエアを抜いて、バネ242の力で可変長部材192を上方に上げる。可変長部材192の突き出し量はバネ力のみで決定される。
図14,15では、山形に反った基板WFに弾性部材190や可変長部材192を適用した例を示すが、谷形に反った基板WFにも同様に弾性部材190や可変長部材192を適用することができる。
図15において、可変長部材192の先端に圧力センサを設置して、可変長部材192と基板WFの裏面144との間の接触圧を測るようにしてもよい。そして接触圧が所定の大きさになるまで、可変長部材192を裏面144に向かって突き出し、その位置に可変長部材192を固定する。この場合は、前記のプロファイルデータを用いることなく、可変長部材192の位置を設定することができる。めっき中に、接触圧が所定値以上に変動したときには、制御部は、エラー信号を表示および/または出力する。制御部は、エラー信号を蓄積してもよい。制御部は、接触圧が一定になるように、めっき中に可変長部材1
92の位置を制御してもよい。
図15における可変長部材192は、ピン形状または島状とすることができる。島状の可変長部材192の例を図16に示す。図16は、可動ベース82の平面図である。図16においては、可変長部材192が可動ベース82に同心円状に配列されている。内側の円周上に配置された可変長部材192aは2個の可変長部材192aからなる。外側の円周上に配置された可変長部材192bは、6個の可変長部材192bからなる。可変長部材192bの動きをガイドするために、ガイド202が可変長部材192bの周囲に均等に6個配置されている。
図13〜16に示す実施例では、可動ベース82は、いずれも凹部130を有する。一方、図9(c)に示す例では、可動ベース82は凹部を有しない。凹部を有しないで全面がフラットの場合、めっき終了後、何らかの不具合により基板ホルダ中に液が進入した場合、基板WFを可動ベース82から離すときに、可動ベース82の表面に基板WFが隙間なく付着する。これは、可動ベース82の表面と基板WFとの間に液が入り込むためである。図13〜16に示すように、基板保持部材を設けると、可動ベース82の表面に基板WFが隙間なく付着することが防止できるという利点がある。
図17、18に、基板保持部材の効果を説明するための実験データを表示するグラフを示す。図17(a)、17(b)は、基板保持部材がないときのめっき時の基板WFに生じるひずみデータである。図17(a)では、横軸は、めっき開始からの経過時間を表し、縦軸はひずみ量をμSTで表したものである。図17(b)では、横軸は、めっき開始時からのめっきの厚みを表し、めっき開始時の厚みは0μmであり、縦軸は、ひずみ量をμSTで表したものである。図18は、基板保持部材があるときのめっき時の基板WFに生じるひずみデータである。図18では、横軸は、めっき開始からの経過時間を表し、縦軸はひずみ量をμSTで表したものである。
図17(a)から、めっき開始時にひずみが「0」であり、めっき開始と同時に基板WFに液圧がかかるため、ひずみが急激に発生する。その大きさは、−150μSTから−200μSTである。ひずみは、17(b)に示すように−51.9μSTまで増加する。図18は、図13に示す基板保持部材162を用いたときのひずみである。グラフ194が基板保持部材162を用いたときのひずみであり、グラフ196が基板保持部材162を用いないときのひずみである。グラフ194は、パドルの往復数が異なる3本のグラフからなる。パドルの往復数をrpmで表した時に、往復数が375rpm、300rpm、225rpmであるときのグラフである。グラフ196は、パドルの往復数が異なる6本のグラフからなる。グラフ196において、上側の実線のグラフと下側の実線のグラフが対応し、これらはパドルの往復数が375rpmであるときのグラフである。同様に上側の点線のグラフと下側の点線のグラフが対応し、これらはパドルの往復数が300rpmであるときのグラフであり、上側の一点鎖線のグラフと下側の一点鎖線のグラフが対応し、これらはパドルの往復数が225rpmであるときのグラフである。これらのグラフは、上側のグラフがそれぞれのパドル往復数のときのひずみの最大値であり、下側のグラフがそれぞれのパドル往復数のときのひずみの最小値である。基板保持部材162を用いないときは、パドルの運動の影響を受けて、ひずみの変動が短時間の間に大きく生じるため、測定されたひずみに大きな幅が生じる。グラフ194とグラフ196とを比較すると、ひずみが−130μSTから−20μSTに改善されたことがわかる。
ところで、既述のように、基板WFを基板ホルダ18に設置するときは、第1保持部材54に基板WFを挿入し、第2保持部材58を閉じる。そして、ロック機構が、第2保持部材58の構成要素である押えリング72(具体的には、シールホルダ62の構成要素である押えリング72)を下方に押す。次にロック機構が、押えリング72を時計回りに回
転させて、押えリング72の突起部72aをクランパ84の内方突出部の内部に滑り込ませる。こうして第1保持部材54と第2保持部材58とを互いに締付けてロックする。ロック後、ロック機構は、押えリング72から離れる。
ロックを解く場合は、回転方向が異なる以外は類似の操作を行う。すなわち、ロック機構が、押えリング72を下方に押す。次にロック機構が、押えリング72を反時計回りに回転させて、押えリング72の突起部72aをクランパ84の内方突出部の内部から出す。これにより、第1保持部材54と第2保持部材58とを開放する。その後、ロック機構は、押えリング72から離れる。
ロックする場合にロック終了後、及びロックを解く場合にロック解放後、ロック機構が押えリング72から離れる速度を、低速とすることにより、基板WFに生じるひずみを減らすことができる。これについて図19,29により説明する。図19(a)及び図19(b)は、ロックする場合を示し、図19(a)は、ロック機構が押えリング72から離れる速度が高速の場合である。図19(b)は、ロック機構が押えリング72から離れる速度が低速の場合である。
図19(a)により、ロック機構がシールホルダ62から離れる速度が高速の場合の手順を説明する。ロック機構204が、シールホルダ62に係合し(S10)、シールホルダ62とともに、速度2500mm/minで下降する(S12)。基板WFにロック機構204が接近すると、速度を落として速度50mm/minで下降する(S14)。シールホルダ62が基板WFに接触すると、シールホルダ62をさらに下方に押し(S16)、次に押えリング72を時計回りに回転させて、押えリング72の突起部72aをクランパ84の内方突出部の内部に滑り込ませる(S18)。その後、ロック機構204は、押えリング72から速度3000mm/minという高速で離れる(S20)。
図19(b)により、ロック機構204が押えリング72から離れる速度が低速の場合の手順を説明する。手順S10から手順S18までは、図19(a)と同じである。手順S18の後、ロック機構は、押えリング72から速度50mm/minという低速で離れる(S22)。ロック機構204がリング72から完全に離れたのちに、ロック機構204は、図19(a)の手順S20と同様に、押えリング72から速度3000mm/minという高速で離れる(S24)。
図20により、図19(a)と図19(b)において、基板WFのひずみがどの程度改善されるかを説明する。図20(a)、図20(c)は、ロック機構がシールホルダ62から離れる速度が高速の場合、図20(b)は、ロック機構がシールホルダ62から離れる速度が低速の場合のひずみを示す。図20(a)、図20(c)は、図19(a)に対応し、図20(b)は、図19(b)に対応する。図20(a)〜図20(c)の横軸は時間、縦軸はひずみを示す。図20(a)、図20(c)は、ロック機構がシールホルダ62から離れる速度が同じであるが、ロック機構のモータのトルクが異なる。
点206は、シールホルダ62が基板WFに接触した時のひずみを示す。ひずみが「0μST」から「100μST」に急上昇する。点208は、シールホルダ62が基板WFから離れた時のひずみを示す。ひずみが「50μST」から「−25μST」に低下する。ひずみが正から負になったことは、基板WFの反りの方向が反転したことを意味する。すなわち、基板WFに大きなひずみが発生したことを意味する。点206に示す「星印」は、この時に基板WFに大きな衝撃力が加わったことを示す。
一方、点210は、シールホルダ62が基板WFから離れた時のひずみを示すが、ひずみが「50μST」から「0μST」に低下する。ひずみが正から0になったことは、基
板WFの反りの方向が反転しないことを意味する。すなわち、基板WFに大きなひずみが発生していないことを意味する。
図20(d)〜図20(f)は、図20(a)〜図20(c)に対応し、図20(a)〜図20(c)における、シールホルダ62が基板WFから離れる時の速度212、モータトルク214、点208,210におけるひずみの最大値216と、最小値218を示す。
次に、基板WFのオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるアライナ14の回転ステージ部等に適用できる基板支持部材について、図23により説明する。図23(a)は、基板WFを搭載した基板支持部材262の平面図を示す。図23(b)は、図23(a)のAA断面図を示す。この基板支持部材262は、おわん形に反った基板WFを安定的に吸着できるものである。
本実施形態の、基板WFを支持する基板支持部材262は、基部258と、基部258の表面272上に設けられて、基板WFが搭載される3個の支持部260と、基部258の表面272上に配置された突起部(真空チャック部)264とを備える。基板支持部材262の外径は基板WFの外周のノッチ検出や、外周検出のため、基板WFの直径より小さい直径を有する。
突起部264が、基板WFを真空により吸着するための真空孔266を有する。真空孔266は、突起部264の頂部268に開口270を有する。突起部264の頂部268は、基部258の表面272に対して高さ274が固定されている。突起部264の頂部268に、基板WFを真空により吸着する。真空孔266は、真空ポンプである真空源276に接続されている。
突起部268は、基部258の中央部に配置される。支持部260は、本実施形態では3個設けられるが、3個以上であればよい。基板支持部材262は基板WFの外周に接するように3箇所に、基板の支持部260を備えている。この基板支持部材262は、おわん形に反った基板WFを安定的に吸着できる。
次に、アライナ14のステージ部等に適用できる基板支持部材の別の実施形態について、図24により説明する。図24(a)は、基板支持部材278の平面図を示す。図24(b)は、基板WFを搭載した時の図24(a)のAA断面図を示す。この基板支持部材278は、山形に反った基板WFを安定的に吸着できるものである。
本実施形態の、基板WFを支持する基板支持部材278は、基部280と、基部280が、基板WFを真空により吸着するための真空孔266を有する。真空孔266は、基部280の頂部282に開口284を有する。基部280の頂部282に、基板WFを真空により吸着する。基板WFの中央に接触する部分に、支持部286から突き出ている突起部である基部280を備える。基部280の頂部282に真空吸着のための開口284がある。真空孔266は真空源276に接続している。この基板支持部材は、山形に反った基板を安定的に吸着できる。
次に、アライナ14のステージ部等に適用できる基板支持部材のさらに別の実施形態について、図25により説明する。図25(a)は、基板支持部材288の平面図を示す。図25(b)は、基板WFを搭載した時の図25(a)のAA断面図を示す。この基板支持部材288は、山形に反った基板WFを安定的に吸着できるものである。
本実施形態の、基板WFを支持する基板支持部材288は、基部290と、基部290
が、基板WFを真空により吸着するための真空孔292を有する。真空孔292は、基部290の頂部296に開口298を有する。基部290の頂部296に、基板WFを真空により吸着する。基板WFの中央に接触する部分に、支持部286から突き出ている突起部である基部290を備える。基部290の頂部296に真空吸着のための開口298がある。この基板支持部材は、山形に反った基板を安定的に吸着できる。真空孔292は真空孔266に接続している。真空孔266は真空源276に接続している。
次に、反り状態を有した基板WFが、搬送装置(基板ホルダ18)等の所定の位置に正しく搭載されていることが検知できる検出システムについて説明する。搬送用の基板支持部材上に基板WFが正しく配置されているかを検知するために水平センサーを用いることができる。最初に、反り状態を有しない基板WFの場合に適用できる水平センサーの動作について、図26により説明する。反り状態を有する基板WFの場合に適用できる水平センサーの動作については後述する。
既述のように、基板WFを基板ホルダ18で保持するに先だって、基板WFを可動ベース82の支持面82aに支持する時、基板WFの外周端部が基板ガイド82eに案内されて、基板WFが可動ベース82に設置される。図26(a)は、可動ベース82上の正しい位置に、反り状態を有しない基板WFが設置されている場合の水平センサーの動作についての説明図である。図26(b)は、可動ベース82上の不適切な位置に、反り状態を有しない基板WFが設置されている場合の水平センサーの動作についての説明図である。
図26(a)に示すように、水平センサーの発光部300は、基板WFの少し上を、光線302を通過させるように光線302を発光する。光線302は、水平センサーの検出部304により検出される。図26(b)に示すように、可動ベース82上の不適切な位置に、具体的には、基板ガイド82e上に、反り状態を有しない基板WFが設置されている場合、光線302は基板WFにより遮られる。検出部304は、光線302を検出しないため、可動ベース82上の不適切な位置に、基板WFが設置されていることが検知できる。なお、発光部300と検出部304は、基板ガイド82eによって光線302が遮られないような位置に配置される。
発光部300と検出部304は、基板WFの2本の直径上に配置することが好ましい。2本の直径のなす角度は、90度が好ましいが、0度より大きければよい。また、発光部300と検出部304は、基板WFの直径以外の直線上に配置してもよい。水平検出システムによれば、基板WFを搬送する際のステージの正確な位置に基板WFを置けるので、例えば搬送時の基板WFの脱落を防止できる。
図26では、基板の少し上を光線302を通過させて、基板の載置位置のずれ(あるいは、基板が水平に乗せられているかどうか)を検知している。しかし、反った基板WF(例えば、上方向に反っている形状の山形形状の基板)では、正しく配置されているかどうかが検知できないことがある。これについて図27により説明する。
図27は、反り状態を有した基板WFが、基板ホルダ18の所定の位置に正しく搭載されているにもかかわらず、誤って検出される例を示す図である。図27に示すように、可動ベース82上の正しい位置に、反り状態を有する基板WFが設置されている場合、光線302は基板WFにより遮られる。検出部304は、光線302を検出しないため、可動ベース82上の不適切な位置に、基板WFが設置されていると、誤って検出する。
このような問題が解決できる、可動ベース82(搭載部)に搭載された基板の位置を検出する検出システム312について、図28により説明する。検出システム312は、反り状態を有する基板WF、及び反り状態を有しない基板WFの両方について、基板の位置
を正しく検出できる。検出システム312は、基板WFの外周に検出光314を照射し、可動ベース82または基板WFによって反射された検出光314を検出システム312で検知する。詳細は、後述するが、検出光314が基板WFによって遮られたときに、位置が不適切であると判定する。
検出システム312では、基板WFの少し上を光線302が通過する図26の方式とは異なり、基板WFの端部316に対してのみ検出システム312から光線314を照射する。検出システム312からの光線314を基板WFが遮ったときに位置がずれていると判定する。こうして、基板の搭載位置のずれを検知できる。
検出システム312は、図2に示すように、基板WFの周囲の3ヶ所以上に設置すればよい。図2では、4個の検出システム312が配置されている。3ヶ所以上設置された検出システム312のいずれもが、基板WFが正しい位置にあると判定すれば、後述するように基板WFの全体が、正しい位置にあると判定できる。図28(a)は、反り状態を有する基板WFが正しい位置にあるときの例を、2個の検出システム312のみを図示して示した図である。2個の検出システム312はいずれも基板WFが正しい位置にあると判定する。
図28(b)は、反り状態を有する基板WFが誤った位置にあるときの例を、2個の検出システム312のみを図示して示した図である。2個の検出システム312のうち、検出システム312bは、検出システム312からの光線314を基板WFが遮えぎらないため、基板WFが正しい位置にあると判定する。検出システム312aは、検出システム312からの光線314を基板WFが遮えぎるため、基板WFが正しい位置にないと判定する。
図29に検出システム312の構成を示す。可動ベース82(搭載部)に搭載された基板(対象物)WFの位置を検出する検出システム312は、基板の位置を検出するための検出光を出力する発光部318を有する。検出システム312は、検出部320を有する。検出部320は、発光部318から可動ベース82に直接入射する検出光314が可動ベース82によって反射されて生成される反射光322を検出可能な位置に配置される。
可動ベース82に直接入射する検出光314と、検出部320によって検出される反射光322によって生成される平面において、可動ベース82に直接入射する検出光314に関して、反射光322と基板WFとは反対側に位置する。当該平面は、図29の場合、図29が記載されている平面である。基板WFは、その一部が記載されている。基板324は正しい位置にあり、基板326〜基板330は、この順番で位置ずれが大きくなっている。矢印332は、正しい位置からの基板330の位置のずれ量を示す。
反射光322は、基板WFによって遮られることがない光線314が反射されたものである。反射光322を検出した場合は、基板は正しい位置にある。反射光326a〜反射光330aは、それぞれ、基板326〜基板330によって遮られて反射された光線を示す。反射光326aは、基板WFによって反射された後に、可動ベース82によって反射された光線である。反射光328a,330aは、基板WFによって反射された後に、可動ベース82によって反射されない光線である。反射光328aは、検出部320によって検出される。反射光330aは、検出部320によって検出されない。
基板WFのずれ量が、どの程度であるかによって、検出部320のどの位置に入射するかが異なる。従って、検出部320のどの位置に入射するかによって、基板WFのずれ量(基板WFの位置)が検出できる。異なる位置で光を受光する検出部320の例として、ラインセンサやCCDセンサなどの、複数の受光素子が平面内に配置されたイメージセン
サを用いることができる。
反射光322が検出部320に入射する位置を基準にして、本図に示すように、反射光326aが入射する側の検出部320の位置を「+(プラス)」とし、反射光328aが入射する側の検出部320の位置を「−(マイナス)」とする。このように決めた場合、反射光326aを検出した時、すなわち、微小な位置ずれの時にプラス値が出る。反射光322と、反射光326aは、位置が接近しているため、接近の程度によっては、反射光326aを正しい位置の基板WFによるものと誤認する場合がある。反射光330aの場合は、検出部320への入射がないため、基板WFの位置がずれていると正確に認識することができる。反射光322と反射光330aの場合にのみ、最も正確に基板WFの位置が判定できるため、本図の場合、測定値が、反射光322と反射光330aの場合以外では、若干安定しない。
より安定した測定ができる別の実施形態に係わる検出システム312の構成を図30に示す。可動ベース82(搭載部)に搭載された基板(対象物)WFの位置を検出する検出システム312は、基板の位置を検出するための検出光を出力する発光部318を有する。検出システム312は、検出部320を有する。検出部320は、発光部318から可動ベース82に直接入射する検出光314が可動ベース82によって反射されて生成される反射光322を検出可能な位置に配置される。
可動ベース82に直接入射する検出光314と、検出部320によって検出される反射光322によって生成される平面において、反射光322に関して、可動ベース82に直接入射する検出光314と基板WFとは反対側に位置する。当該平面は、図30の場合、図30が記載されている平面である。基板WFは、その一部が記載されている。基板324は正しい位置にあり、基板326〜基板328は、この順番で位置ずれが大きくなっている。矢印332は、正しい位置からの基板328の位置のずれ量を示す。
反射光322は、基板WFによって遮られることがない。反射光322を検出した場合は、基板は正しい位置にある。反射光326a〜反射光328aは、それぞれ、基板326〜基板328によって遮られて反射された光線を示す。反射光326a,328aは、可動ベース82によって反射された後に、基板WFによって反射された光線である。反射光326aは、検出部320によって検出される。反射光328aは、検出部320によって検出されない。
基板WFのずれ量が、どの程度であるかによって、検出部320のどの位置に入射するかが異なる。従って、検出部320のどの位置に入射するかによって、基板WFのずれ量(基板WFの位置)が検出できる。異なる位置で光を受光する検出部320の例として、ラインセンサやCCDセンサなどの、複数の受光素子が平面内に配置されたイメージセンサを用いることができる。
反射光322が検出部320に入射する位置を基準にして、本図に示すように、反射光326aが入射する検出部320の位置を「−(マイナス)」とし、光線が入射することがない検出部320の位置を「+(プラス)」とする。このように決めた場合、反射光326aを検出した時、すなわち、微小な位置ずれの時にマイナス値が出る。
図30の検出システム312は、図29の検出システム312と同一の構成とすることができる。異なる点は、基板WFや可動ベース82との位置関係である。図29と図30を比較すると、検出システム312は、上下を反対にしたような関係にある。
図29と図30の違いは、検出システム312の取付けが反転しており、図29では、
基板WFで反射した後に可動ベース82で反射する。一方、図30では、可動ベース82で反射したのちに、基板WFで反射する。基板WFでの反射は、基板WFの表面形状等が複雑であるため、干渉が生じる。図29と図30の第1の違いは、図29では、基板324〜基板328という範囲で検出部320は受光して位置ずれの大きさを認識するが、図30では、基板324〜基板326という、狭い範囲でのみ検出部320は受光して位置ずれの大きさを認識するという点である。図30では、基板328の位置では、検出部320は受光しないため、位置がずれていると明確に認識することができ、図29に比べて、精度よく位置ずれを認識できる。図29では、基板WFが基板328よりさらに位置ずれをおこした時に、始めて、検出部320は受光しなくなり、位置ずれを明確に認識できる。
図29と図30の第2の違いは、図29では、検出部320の「プラス」と「マイナス」の両方という範囲で、検出部320は受光するが、図30では、検出部320の「マイナス」のみの、狭い範囲で検出部320は受光するという点である。図29では、検出部320は、「プラス」と「マイナス」の両方という広い範囲で、基板324〜基板328という広い範囲の位置ずれを検出するため、位置ずれの大きさを判定するときの精度が図30より低下する。検出部320に入射する光は、広がりを持って入射する光であるため、光の強度分布の最大値の位置で基板WFの位置を判定する際に、位置の判定精度が低下する。図30では、基板324〜基板326という狭い範囲でのみ検出部320は受光するため、光の強度分布の最大値の位置で基板WFの位置を判定する際に、誤差が生じるとしてしても、測定すべき基板WFの位置の誤差が最初から小さい。
この点についてさらに説明する。図29の方式では、上から、基板WFの下部にある可動ベース82に対して光を照射し、基板WFで反射した後に可動ベース82で反射する。基板326と基板328によってそれぞれ反射された反射光326aと反射光328aが、検出部320で受光される位置を対比するとわかるように、基板WFの位置がほんのわずかずれているだけで、光が、大きく異なる位置に散乱される。光が大きく散乱されるため、反射光の分布領域が広がり、検出部320に適切に反射光が入ってこない。すなわち、基板WFの位置の小さな変化により光線の経路が大きく変わる。そして、検出部320の「プラス」と「マイナス」の両方という広い範囲で検知が行われる。基板326〜基板328という基板WFの広い範囲での位置ずれを、検出部320の広い範囲で検知する。検出部320に入射する光は、大きな広がり(光の分布の幅が広く、強度的に鋭いピークを有しない分布)を持って入射する光であるため、光の強度分布の最大値の位置で基板WFの位置を判定する際に、位置の判定精度が低下する。結果として、基板WFの微妙な位置のずれを認識することが、図30より困難である。図29では、基板WFの位置を微調整することが図30より困難である。
図29において、基板326と基板324の位置を識別する場合、すなわち、基板の位置がより外周に近い基板326と、より内周に近い基板324の位置を識別する場合、受光した光の波形の、強度的に最大のピークがどこに位置するかを認識する。認識した位置によって基板の微細な位置がどこにあるかを特定する。しかし、図29において、反射光322と反射光326aとを対比するとわかるように、基板326の位置で、基板を外側にわずかに移動するだけで、反射光が大きく散乱する。基板326の位置では、反射光の分布域が広がり、反射光の一部は、検出部320の外部に入射する可能性がある。適切に反射光が検出部320に入ってこない。この状態は、正確な測定ができない状態であるため、検出部320において、プラス値を出力し、エラー発生とする。
他方で、図30では、可動ベース82で反射させたのちに、基板WFで反射させるという方式を採用しているため、既述のように、反射光の分布域を限定することができる。このように、図30では、基板WFの位置ずれが少ない位置、すなわち、正しい位置から近
距離点のみで受光しており、基板328や基板330の位置では、反射光を検出することがない。図29に比べて、図30では、余計な反射光を拾うことがない。
図30の検出システム312の場合、次のような利点が図29の検出システム312と比較してある。すなわち、
1.検出部320のプラス領域に光線が入らないため、エラーが減少する。これは、基板WFの位置が大きくずれたときの反射光が図30に示すように検出部320に入ることがないためである。マイナス領域のみで検知するため、数値変動域がわかりやすくなり、位置ずれの判別がしやすくなる。
2.図29では、反射光328aを検知するが、図30では、反射光328aは検知しない。すなわち、ずれが少ない場合のみ検知する。最近距離点のみ受光することで余計な光源を拾わない。検知範囲を限定することで数値が安定する。
3.上記の1.、2.により微小な基板WFの位置ずれを検知可能である。
図29を図30に変更する場合、検出システム312を取り付けるための取付けブラケットを交換するのみでよい。このため、変更が容易である。
図30の一部を拡大した図を図31に示す。図30では、基板WFのずれた位置を仮想線で示した。図31では、ずれた位置にある基板WFの位置を同一として、ずれた位置の基板WFによる光線の経路を示す。光線334以外は、図30に記載した光線である。光線334に関しては、以下のことがわかる。光線334及びその近傍の光線の場合、一定以上の干渉が生じて、2次反射が起こり、受光角度が変わる。この結果、より近距離(よりずれの少ない位置)で反射・受光したと検出部320で認識され、ずれた位置を示す数値が、実際のずれた位置よりも近い値を示す。
なお、水平センサーと、検出システム312の両方を用いる方式も可能である。この方式では、基板WFの少し上に水平センサーから光線を図27に示すように照射し、そこでエラーが生じたときに、次いで、基板WFの少し上ではなく、基板WFの外周に対して、検出システム312からの検出光をあてる。検出システム312からの光を図29、または図30のように基板WFが遮ったときに「エラー」とすることでもよい。この手順によれば、基板が上向きまたは下向きに反っているかを判定できるとともに、基板の載置位置のずれを検知できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。
以上説明したように、本発明は以下の形態を有する。
形態1
基板の外周部を挟持して前記基板を脱着自在に保持する第1保持部材および第2保持部材を有する基板ホルダにおいて、
前記第1保持部材は、前記基板が搭載される支持部を有し、前記支持部は、前記支持部の周辺部に位置して前記基板の前記外周部を挟持するエッジ部と、前記エッジ部以外の凹部とを有し、前記凹部は、前記エッジ部に対して窪んでおり、
前記基板ホルダは、前記凹部から前記基板に向かう方向に、前記基板に力を加える基板保持部材を有することを特徴とする、基板ホルダ。
形態2
前記凹部は貫通孔を有し、前記貫通孔に前記基板保持部材は配置される、形態1に記載の基板ホルダ。
形態3
前記基板保持部材は、前記貫通孔内を、前記凹部から前記基板に向かう方向に、および/または、前記基板から前記凹部に向かう方向に移動可能である、形態2に記載の基板ホルダ。
形態4
前記基板保持部材が前記基板と接触する部分と、前記エッジ部が前記基板と接触する部分は、前記凹部上の点から、前記凹部から前記基板に向かう方向に計測した高さが同じである、形態2または3に記載の基板ホルダ。
形態5
前記基板保持部材は、前記凹部と、前記基板との間に配置される弾性部材である、形態1に記載の基板ホルダ。
形態6
前記基板保持部材は、少なくとも1つの可変長部材を有し、前記可変長部材は、前記凹部と、前記基板との間に配置され、前記凹部から前記基板に向かう方向の長さが調整可能であり、
前記可変長部材の長さは、前記凹部と、前記基板との間の距離に従って調整される、形態1に記載の基板ホルダ。
形態7
前記基板保持部材及び前記第1保持部材は、前記基板に向かう方向の長さが調整可能となるように、それぞれ弾性体で支持された、形態1から4までのいずれか一項に記載の基板ホルダ。
形態8
基板の外周部を挟持して前記基板を脱着自在に保持する第1保持部材および第2保持部材を有する基板ホルダにおいて、
前記基板ホルダは可変長部材を有し、
前記可変長部材は、長さが調整可能で、前記基板に当接して前記基板に力を加えることが可能である、基板ホルダ。
形態9
前記可変長部材と前記基板との間の接触圧力を検知できる圧力センサを備えている、形態8に記載の基板ホルダ。
形態10
前記圧力センサの検出する圧力に基づいて、前記圧力を調整できる調整機構を有する、形態9に記載の基板ホルダ。
形態11
形態1から10までのいずれか一項に記載の基板ホルダを有する、前記基板を電解めっきするめっき装置。
形態12
電子デバイス製造装置において基板を搬送する搬送システムであって、
前記搬送システムは、前記基板が搭載されるハンド部を備え、
前記ハンド部が、基部と、前記基部の表面上に配置された少なくとも1つの突起部とを備え、
前記突起部が、前記基板を真空により吸着するための真空孔を有し、前記真空孔は、前記突起部の頂部に開口を有し、
前記突起部の前記頂部は、前記基部の前記表面に対して高さが固定されており、
前記突起部の前記頂部に、前記基板を真空により吸着する搬送システム。
形態13
前記突起部の前記頂部は、前記基部の前記表面に対して1mm〜2mmの高さを有している、形態12に記載の搬送システム。
形態14
前記基部および前記突起部の全体の高さが、5mm以下である、形態12または13に記載の搬送システム。
形態15
前記突起部は、前記表面の中央部に配置される、形態12から14までのいずれか一項に記載の搬送システム。
形態16
電子デバイス製造装置において基板を搬送する搬送システムであって、
前記搬送システムは、前記基板が搭載されるハンド部を備え、
前記ハンド部は、前記基板が搭載される支持部と、前記支持部の外周に配置された周壁部とを有し、
前記支持部は、前記支持部の周辺部に位置するエッジ部と、前記エッジ部以外の凹部とを有し、前記凹部は、前記エッジ部に対して窪んでおり、
前記ハンド部は、少なくとも2つのフォーク部を備え、前記周壁部の少なくとも一部および前記凹部の少なくとも一部は、前記フォーク部に設けられている、搬送システム。
形態17
前記凹部の窪みは1mm〜2mmの深さを有している、形態16に記載の搬送システム。
形態18
前記電子デバイス製造装置は、前記基板を電解めっきするめっき装置である、形態12から17までのいずれか一項に記載の搬送システム。
形態19
基板を支持する基板支持部材であって、
基部と、
前記基部の表面上に設けられて、前記基板が搭載される支持部と、
前記基部の表面上に配置された突起部とを備え、
前記突起部が、真空源に連結された真空孔を有し、前記真空孔は、前記突起部の頂部に開口を有し、
前記突起部の前記頂部は、前記基部の前記表面に対して高さが固定されており、
前記突起部の前記頂部に、前記基板を真空により吸着する基板支持部材。
形態20
前記突起部は、前記基部の中央部に配置される、形態19に記載の基板支持部材。
形態21
前記支持部は、少なくとも3個設けられる、形態19または20に記載の基板支持部材。
形態22
基板を支持する基板支持部材であって、
基部を備え、
前記基部が、前記基板を真空により吸着するための真空孔を有し、前記真空孔は、前記基部の頂部に開口を有し、
前記基部の前記頂部に、前記基板を真空により吸着する基板支持部材。
形態23
搭載部に搭載された対象物の位置を検出する検出システムであって、
前記対象物の位置を検出するための検出光を出力可能な発光部と、
前記発光部から前記搭載部に直接入射する前記検出光が前記搭載部によって反射されて生成される反射光を検出可能な位置に配置される検出部とを有し、
前記搭載部に直接入射する前記検出光と、前記検出部によって検出される前記反射光によって生成される平面において、前記搭載部に直接入射する前記検出光に関して、前記反射光と前記対象物とは反対側に位置する、検出システム。
形態24
搭載部に搭載された対象物の位置を検出する検出システムであって、
前記対象物の位置を検出するための検出光を出力可能な発光部と、
前記発光部から前記搭載部に直接入射する前記検出光が前記搭載部によって反射されて生成される反射光を検出可能な位置に配置される検出部とを有し、
前記搭載部に直接入射する前記検出光と、前記検出部によって検出される前記反射光によって生成される平面において、前記反射光に関して、前記搭載部に直接入射する前記検出光と前記対象物とは反対側に位置する、検出システム。
形態25
形態23または24に記載の検出システムを有する、前記対象物を搬送する搬送装置。
形態26
形態23または24に記載の検出システムを有し、前記対象物は基板である、前記基板を電解めっきするめっき装置。