JP2021034513A - 巻磁心、並びに、巻磁心、及び、カレントトランスの製造方法 - Google Patents

巻磁心、並びに、巻磁心、及び、カレントトランスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】角型比が5%以上30%以下で、温度に対する透磁率の変化が少ない磁心、カレントトランスおよびそれらの製造方法を提供する。【解決手段】巻回されたナノ結晶合金薄帯を含む巻磁心であって、角形比Br/Bmが5%以上30%以下であり、周波数f=50Hz、振幅H=1.0アンペア/メートル(A/m)の交流磁場が印加された状態において温度T℃で測定した時の透磁率をμ(T)としたとき、透磁率μ(25)が100,000以上250,000以下であり、式1および式2を満たす。(式1)|(μ(−25)−μ(25))/μ(25)|≦0.05(式2)|(μ(100)−μ(25))/μ(25)|≦0.05【選択図】図1

Description

本願は、巻回されたナノ結晶合金薄帯を含む巻磁心、並びに、巻磁心、及び、カレントトランスの製造方法に関する。
単ロール法により製造される非晶質合金、ナノ結晶合金などの軟磁性合金薄帯は、軟磁気特性に優れているために、各種磁性部品に使用されている。特に、ナノ結晶合金は、パーマロイやCo基非晶質合金に比べて高い飽和磁束密度を示し、Fe基非晶質合金に比べて高い透磁率を有するという、優れた軟磁気特性を示す。そのため、ナノ結晶合金は、カレントトランス等の磁心に使用されている。
また、ナノ結晶合金磁心は、熱処理時の温度プロファイルや、熱処理時に磁場を特定の方向に印加することにより、透磁率μや角形比等の磁気特性を大きく変えることができる。
例えば、特許文献1は、3つの工程の加熱により磁場中熱処理を行うことが記載されている。詳細には、ナノ結晶化の熱処理を行い、その後、ナノ結晶化の熱処理の温度よりも低い温度で、縦方向(磁路の方向)に磁場を印加しながら熱処理を行い、その後、横方向(磁路に対して直交する方向)に磁場を印加しながら熱処理を行うことが記載されている。
以後、簡略化のため、縦方向(磁路の方向)に磁場を印加しながら熱処理することを、縦磁場熱処理ということがある。また、横方向(磁路に対して直交する方向)に磁場を印加しながら熱処理することを、横磁場熱処理ということがある。また、磁場が印加されていない状態で熱処理することを、無磁場熱処理ということがある。
また、本出願人は、特許文献2において、ナノ結晶化の熱処理を縦磁場熱処理で行い、その後、より低い温度で横磁場熱処理を行う製造方法を提供している。具体的には、特許文献2は、コア材の磁路方向に振幅透磁率が飽和する磁場を印加しながらコア材を結晶化温度以上に加熱して熱処理を行いコアとする縦磁場中熱処理工程と、縦磁場中熱処理工程の後、コアの磁路方向に垂直な方向に磁場を印加しながらコアを結晶化温度未満に加熱して熱処理を行う横磁場中熱処理工程を有する、カレントトランス用コアの製造方法が開示されている。
特許文献2では、上記の製造方法により、次のカレントトランス用コアが提供できることが記載されている。
「周波数f=50Hz、振幅H=1.0A/mの交流磁場が印加された状態において、温度T(℃)で測定される前記コアの振幅透磁率をμr(T)とし、|μr(100)−μr(0)|/μr(0)をΔμr(100−0)とするとき、
Δμr(100−0)が0.5以下であり、かつ、μr(25)≧4×10であり、
磁場Hが80A/mにおける磁束密度B(80)を飽和磁束密度Bmと定義するとき、
残留磁束密度Brと飽和磁束密度Bmとの比Br/Bmが0.9未満」
また、特許文献3も、特許文献2と同様に、ナノ結晶化の熱処理を縦磁場熱処理で行い、その後、より低い温度で横磁場熱処理を行う製造方法が開示されている。
例えば、表5の番号3d,3e,3f,5b,5c,5dは、0.5h、550℃の条件で縦磁場熱処理を行い、その後、3h、460℃の条件で横磁場熱処理を行うことが示唆されている。
なお、縦磁場熱処理における0.5h、横磁場熱処理における3h、との条件は、詳細な説明がなされていない。当業者の一般的な知見からすれば、この条件は、各温度(550℃、460℃)での保持時間であると考えられる。
そして、上記の条件で得られた巻磁心は、角形比Br/Bmが5%未満であることが表5に記載されている。
その他、特許文献4では、ナノ結晶化の熱処理を無磁場熱処理で行い、その後、ナノ結晶化の熱処理の温度よりも低い温度で、横磁場熱処理を行う製造方法が、開示されている。具体的には、特許文献4は、巻回または積層されたアモルファス合金リボンの磁心を、熱処理によりナノ結晶化する、ナノ結晶合金磁心の製造方法として、磁心を、無磁場中で結晶化開始温度より低い温度から結晶化開始温度以上に昇温する一次熱処理を行う一次熱処理工程と、その後に行う二次熱処理工程とを有し、二次熱処理工程は、無磁場中において200℃以上、結晶化開始温度未満の一定の温度で保持する二次温度保持工程と、その後、磁路に対して直行する方向に磁場を印加しながら降温する二次降温工程とを有する、製造方法が開示されている。
特許文献4では、上記の製造方法により、次のナノ結晶合金磁心が提供できることが記載されている。
「巻回または積層されたナノ結晶合金リボンを含むナノ結晶合金磁心であって、
周波数f=1kHz、振幅H=0.05アンペア/メートル(A/m)の交流磁場が印加された状態において室温にて測定した透磁率μ(1kHz)が70,000以上であり、
角形比Br/Bmが50%以下であり、
保磁力が1.0A/m以下であるナノ結晶合金磁心。」
国際公開第2010/081993号 特許第6491666号 特開2006−525655号 国際公開第2018/062310号
カレントトランスでは、角型比が5%以上30%以下で、25℃の透磁率μ(25)が100,000以上250,000以下の透磁率を有するとともに、温度に対する透磁率の変化が少ない磁心が求められる。
特許文献2では、透磁率は高いものの、Br/Bmが0.9未満とされているが、実施例で得られている最低の角型比Br/Bmは、0.59と、大きいものである。また、後述するように、温度に対する透磁率の変化が十分少ないとは言えないものである。
特許文献3では、Br/Bmは小さいものの、透磁率も小さい。
特許文献4では、同程度の透磁率と角型比の巻磁心が開示されているが、後述するように、温度に対する透磁率の変化が十分に少ないとは言えず、改良の余地がある。
本開示は、角型比が5%以上30%以下で、100,000以上250,000以下の透磁率を有するとともに、温度に対する透磁率の変化が少ない磁心、カレントトランスおよびそれらの製造方法を提供する。
巻磁心に関する本発明は、
巻回されたナノ結晶合金薄帯を含む巻磁心であって、
角形比Br/Bmが5%以上30%以下であり、
周波数f=50Hz、振幅H=1.0アンペア/メートル(A/m)の交流磁場が印加された状態において温度T℃で測定した時の透磁率をμ(T)としたとき、
透磁率μ(25)が100,000以上250,000以下であり、
下記(式1)および(式2)を満たすものである。
(式1)|(μ(−25)−μ(25))/μ(25)|≦0.05
(式2)|(μ(100)−μ(25))/μ(25)|≦0.05
前記ナノ結晶合金薄帯は、
一般式:(Fe1−a100−x−y−z−α―β―γCuSiM’αM”βγ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M’はNb、Mo、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mn及びWからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M”はAl、白金族元素、Sc、希土類元素、Zn、Sn、Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、XはC、Ge、P、Ga、Sb、In、Be、Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、a、x、y、z、α、β及びγはそれぞれ0≦a≦0.5、0.1≦x≦3、0≦y≦30、0≦z≦25、5≦y+z≦30、0≦α≦20、0≦β≦20及び0≦γ≦20を満たす。)により表される組成を有する合金からなるものとすることができる。
また、本発明の巻磁心を用いて、カレントトランスとすることができる。
巻磁心の製造方法に関する本発明は、
巻回されたナノ結晶合金薄帯を含む巻磁心の製造方法であって、
非晶質合金薄帯が巻かれた磁心材を用意する工程と、
前記磁心材に、無磁場中で結晶化開始温度以上に加熱してナノ結晶化するナノ結晶化熱処理工程と、
その後、前記磁心材の磁路の方向に磁場を印加しながら熱処理する縦磁場熱処理工程と、
その後、前記磁路に対して直交する方向に磁場を印加しながら熱処理する横磁場熱処理工程と、
を備え、
前記縦磁場熱処理工程において、磁場が印加される際の最高温度HTを380℃以上600℃以下とし、
前記横磁場熱処理工程において、磁場が印加される際の最高温度LTを380℃以上480℃以下とし、
上記の各工程により、
角形比Br/Bmが5%以上30%以下であり、
周波数f=50Hz、振幅H=1.0アンペア/メートル(A/m)の交流磁場が印加された状態において温度T℃で測定した時の透磁率をμ(T)としたとき、
透磁率μ(25)が100,000以上250,000以下であり、
下記(式1)および(式2)を満たすようにする、巻磁心の製造方法である。
(式1)|(μ(−25)−μ(25))/μ(25)|≦0.05
(式2)|(μ(100)−μ(25))/μ(25)|≦0.05
前記最高温度HT(℃)と、前記最高温度LT(℃)とを、次の式3を満たすものとすることが好ましい。
(式3)4×LT−1350≦HT≦1.9×LT−290
また、前記縦磁場熱処理工程において、磁場は、磁場強度80A/m以上で印加することが好ましい。
また、前記横磁場熱処理工程において、磁場は、磁場強度50kA/m以上で印加することが好ましい。
また、上記いずれかの巻磁心の製造方法によって巻磁心を作製する工程と、
前記巻磁心に導線を巻回させる工程と、により、カレントトランスを製造することができる。
角型比が5%以上30%以下で、25℃の透磁率μ(25)が100,000以上250,000以下であり、−25℃の透磁率μ(―25)、及び100℃の透磁率μ(100)が、室温の透磁率μ(25)に対して、その変化率が5%以下の巻磁心、及び、カレントトランスを提供できる。
巻磁心の、温度変化による透磁率μ(T)の変化率を示す図である。 縦磁場熱処理と横磁場熱処理における、磁場を印加する際の最高温度(HT,LT)と、透磁率μ(25)との、関係を示す図である。 μ(25)を100,000以上250,000以下とすることが容易な、HTとLTの関係を示す図である。 熱処理の温度プロファイルを示す図である。 横磁場熱処理で適用した温度プロファイルを示す図である。 透磁率μ(T)の測定システムの構成を示す図である。
ナノ結晶合金薄帯は、使用環境の温度変動に対応させるため、コアの透磁率の変動が使用温度域において小さいという温度特性も求められる場合がある。温度特性が特に要求される磁性部品として、カレントトランス(CT: Current Transformer)がある。カレントトランスは、計測用の電流変成器であり、例えば電流計測器や漏電遮断器などに用いられている。そして、カレントトランスに用いられる巻磁心は、−25℃から100℃のいずれの環境下であっても電流値の測定誤差が小さくなるよう、温度に対する透磁率の変化が小さいものが求められる。特に透磁率の変化が小さい磁心では、目標とされる透磁率の変化率は、−25℃の透磁率μ(―25)、及び100℃の透磁率μ(100)が、室温の透磁率μ(25)に対して、5%以下である。
また、透磁率μ(25)は100,000以上250,000以下のものを求められる場合がある。
さらに、角型比が5%以上30%以下のものを求められる場合がある。
本願発明者は、上記の特性を有する巻磁心を製造するため、先ず、特許文献4をベースとした製造方法(ナノ結晶化の熱処理を無磁場熱処理で行い、その後、ナノ結晶化の熱処理の温度よりも低い温度で、横磁場熱処理を行う製造方法。以下、M+L処理という)により、角型比が5%以上30%以下で、透磁率の変化率が小さい磁心の製造を、試みた。しかしながら、透磁率の変化率が小さい磁心を得ることは、困難であった。
この理由は、次のものと推察される。ナノ結晶合金は、アモルファス相中にナノ結晶粒が存在する形態を有する。上記の製造方法では、横磁場熱処理がナノ結晶化された後の合金薄帯に施される。この場合、誘導磁気異方性は、ナノ結晶相には付与されず、アモルファス層のみに付与される。アモルファス相はキュリー点が低いため、高温環境下で誘導磁気異方性が容易に損なわれやすい。これにより、透磁率の変化率が大きい磁心になると思われる。
本発明者は、解決策として、透磁率の変化率をさらに小さくするため、ナノ結晶化の熱処理を縦磁場中で行うことでナノ結晶相側に磁気異方性を付与し、かつ、横磁場熱処理によってアモルファス層側に磁気異方性を付与する製造方法(以下、H+L処理という)を、考えた。つまり本発明者は、高温化でアモルファス層の磁気異方性が失われるのに伴い、ナノ結晶相の磁気異方性が顕在化して、透磁率の低下が抑制できる、と考えた。
しかし、縦磁場熱処理による結晶相に付与される磁気異方性が強すぎると、同様に、透磁率の変化率が大きい磁心となる場合があった。
例えば、H+L処理が開示される特許文献2では、−25℃の透磁率μ(―25)、及び100℃の透磁率μ(100)が、室温の透磁率μ(25)に対して、5%以下の磁心は、開示されていない。特許文献2の図4は、磁心の透磁率μ(T)の温度特性を示すグラフである。縦磁場熱処理の磁場強度を19A/m、230A/mとしたときのデータが記載されている。どちらのデータにおいても、室温付近の透磁率に対し、100℃の透磁率μ(100)が5%以上変化していることが、明らかである。
また、H+L処理が開示される特許文献3でも、−25℃の透磁率μ(―25)、及び100℃の透磁率μ(100)が、室温の透磁率μ(25)に対して、5%以下の磁心は、開示されていない。
例えば、特許文献3では、温度特性に関する記述として、次の内容が記載されている。(0048)「広い温度範囲(例えば−40〜+70℃)での適用についての更なる検討のため、複合的な透磁率の温度特性を考慮する必要がある。例えば鉄心2A−2のループは透磁率が負の温度係数を示し、−40〜+85℃で殆ど直線状に推移し、鉄心2B−2のループは約−0.1%/Kなる値を示した。この値は、4mA/cm並びに15mA/cmの双方の励磁磁界の振幅に対し通用する。温度上昇の際に銅線の抵抗増加と逆に挙動し、そのため位相誤差が減少するなら、変流器に対する正の温度係数は好ましい。従って変流器についての検討の際、温度と共に結果的に生ずる大きな誤差の変化に注意せねばならない。弱弾性接着剤の使用時には、高温でも低温でも温度変化が変流器誤差の付加的な直線性ずれにつながる。ここでは、硬化した接着剤の弾性挙動のため、槽の材料から移された鉄心に引張り力又は押圧力が生ずる。この作用の明らかな減少は、充填材として弱弾性反応材料の代わりに弱塑性の非反応性ペーストを用いることで実現した。その結果直線性の値を、−40〜+85℃ 迄の温度範囲内で殆ど一定に維持できた。」
このように、特許文献3では、透磁率が直線状に−0.1%/Kの割合で変化する旨、記載されている。しかし、室温25℃から100℃の透磁率の変化率を算出すると、温度差75℃に−0.1%/Kを乗じた値である、−7.5%も透磁率が変化している。
よって、上述の様に、特許文献3においても、本発明が意図する透磁率の変化が小さい磁心は、得られていない。
また、特許文献1の製造方法においても、角型比が5%以上30%以下で、透磁率の変化率が5%以下に小さい巻磁心を製造することは、容易ではない。
本発明の巻磁心を実現可能な製造方法は、次のものである。
巻回されたナノ結晶合金薄帯を含む巻磁心の製造方法であって、
非晶質合金薄帯が巻かれた磁心材を用意する工程と、
前記磁心材に、無磁場中で結晶化開始温度以上に加熱してナノ結晶化するナノ結晶化熱処理工程と、
その後、前記磁心材の磁路の方向に磁場を印加しながら熱処理する縦磁場熱処理工程と、
その後、前記磁路に対して直交する方向に磁場を印加しながら熱処理する横磁場熱処理工程と、
を備え、
前記縦磁場熱処理工程において、磁場が印加される際の最高温度HTを380℃以上600℃以下とし、
前記横磁場熱処理工程において、磁場が印加される際の最高温度LTを380℃以上480℃以下とし、
上記の各工程により、
角形比Br/Bmが5%以上30%以下であり、
周波数f=50Hz、振幅H=1.0アンペア/メートル(A/m)の交流磁場が印加された状態において温度T℃で測定した時の透磁率をμ(T)としたとき、
透磁率μ(25)が100,000以上250,000以下であり、
下記(式1)および(式2)を満たすようにする、巻磁心の製造方法。
(式1)|(μ(−25)−μ(25))/μ(25)|≦0.05
(式2)|(μ(100)−μ(25))/μ(25)|≦0.05
なお、角形比Br/Bmは、下限値を8%、さらには10%とすることができる。また上限値を25%、さらには20%とすることができる。
本発明のナノ結晶合金薄帯は、
一般式:(Fe1−a100−x−y−z−α―β―γCuSiM’αM”βγ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M’はNb、Mo、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mn及びWからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M”はAl、白金族元素、Sc、希土類元素、Zn、Sn、Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、XはC、Ge、P、Ga、Sb、In、Be、Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、a、x、y、z、α、β及びγはそれぞれ0≦a≦0.5、0.1≦x≦3、0≦y≦30、0≦z≦25、5≦y+z≦30、0≦α≦20、0≦β≦20及び0≦γ≦20を満たす。)により表される組成を有する合金からなるものとすることができる。
好ましくは、上記一般式において、a、x、y、z、α、β及びγは、それぞれ0≦a≦0.1、0.7≦x≦1.3、12≦y≦17、5≦z≦10、0.1≦α≦5、0≦β≦1及び0≦γ≦1を満たす範囲である。さらに好ましくは、a=0、0.8≦x≦1.2、13≦y≦16.5、6≦z≦9、1.0≦α≦4、β=0及びγ=0を満たす組成である。これらの組成の合金は、本発明の製造方法を適用することで、透磁率μ(25)が100,000以上250,000以下の巻磁心を得やすい。
前記組成の合金を、融点以上に溶融し、単ロール法等により、急冷凝固することで、長尺状の非晶質合金薄帯を得ることができる。
非晶質合金薄帯を巻回すことにより、リング形状を有する磁心材を作製することができる。各非晶質合金薄帯の層の間に僅かな隙間または他の物質が存在していてもよく、磁心材に占める非晶質合金薄帯の体積占積率は、例えば70%〜90%程度である。
本発明の、ナノ結晶化熱処理工程について、説明する。
本発明において、ナノ結晶化熱処理とは、非晶質合金薄帯に、結晶化開始温度以上まで昇温する熱処理工程を指すものとする。
非晶質合金薄帯に、結晶化開始温度以上で加熱する熱処理を行うことで、薄帯のナノ結晶化を行うことができる。ナノ結晶化された合金薄帯は、少なくとも50体積%、さらには80体積%が、最大寸法で測定した粒径の平均が100nm以下の微細な結晶粒で占められる。合金の微細結晶粒以外の部分は主に非晶質である。微細結晶粒の割合は実質的に100体積%であってもよい。
昇温速度の上限は5℃/minとすることが好ましい。保磁力Hcを下げることができる。昇温速度の下限は特に限定されないが、昇温速度を0.2℃/min以上とすれば安定したナノ結晶化を行うことができる。また、一次熱処理にかかる時間を短縮できる。
なお、結晶化開始温度よりも20℃低温までは、例えば3〜5℃/分の昇温速度で比較的急速に昇温してもよい。
なお、本願において、結晶化開始温度は、示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimetry)の測定条件を昇温速度10℃/分で行ったときの、ナノ結晶化の開始による発熱反応が検出される温度として定義される。
ナノ結晶化熱処理は、最高温度を520℃以上600℃以下とすることができる。この温度範囲とすることで、前記の、角型比、μ(25)を有する巻磁心を得やすくなる。
なお、ナノ結晶化熱処理において、結晶化開始温度より低い温度からそれ以上に昇温するが、結晶化開始温度での昇温速度(結晶化開始温度の5℃低い温度と5℃高い温度の間の平均昇温速度)は、5℃/min以下の緩やかな昇温速度で昇温することが好ましい。安定したナノ結晶化を行うことができる。昇温速度は、3℃/min以下、さらには、1.0℃/min未満とすることが好ましい。
ナノ結晶化熱処理工程後、520℃以上600℃以下の温度で、保持する工程を設けてもよいし、設けなくともよい。ナノ結晶化熱処理において、昇温後の最高温度での保持時間が0分(保持時間無し)であってもナノ結晶化させることができるが、好ましくは、5分以上24時間以下の範囲で保持する。最高温度の保持時間が5分以上であれば、コアを構成する合金の全体を均一な温度にしやすいので、磁気特性を均一にしやすい。一方、最高温度の保持時間が24時間よりも長いと、生産性が悪くなるだけではなく、結晶粒の過剰な成長、または不均一な形態の結晶粒の生成により、磁気特性の低下が起こりやすい。
縦磁場熱処理工程について説明する。
本発明の縦磁場熱処理は、ナノ結晶化熱処理工程の後の、ナノ結晶化されたナノ結晶合金薄帯に対し、縦方向(薄帯が巻回された巻磁心の磁路の方向)に磁場を印加しながら熱処理を行うものである。
縦磁場を印加するタイミングは、前記のナノ結晶化熱処理後の温度を保持する工程からでもよいし、ナノ結晶化熱処理工程後の冷却工程からでもよい。さらには、ナノ結晶化熱処理工程後に一旦冷却し、別途熱処理を行う工程でもよい。
磁場の印加は、直流磁場、交流磁場、またはパルス磁場のいずれによるものでもよい。
縦磁場熱処理工程における磁場を印加する際の最高温度(HT)は、380℃以上600℃以下とする。これにより、温度変化による透磁率の変化率を小さくできる。また、後述の横磁場熱処理工程をさらに施すことで、透磁率μ(25)を100,000以上250,000以下とすることができる。
最高温度HTの下限は、400℃以上がさらに好ましく、420℃がさらに好ましく、430℃がさらに好ましい。最高温度HTの上限は、590℃がさらに好ましく、585℃がさらに好ましい。
縦磁場熱処理工程において、磁場は、磁場強度80A/m以上で印加することが好ましい。これにより、温度変化による透磁率の変化率を小さくできる。より好ましい範囲は、300A/m以上であり、さらに好ましい範囲は400A/m以上である。また、磁場強度の上限は特に限定されないが、800A/mを超えても、誘導磁気異方性がさらに付与されることはないので、磁場強度は800A/m以下とすることが好ましい。
縦磁場熱処理は、非反応性雰囲気ガス中で行うことが好ましい。窒素ガス中で熱処理した場合は十分な透磁率が得られ、窒素ガスを実質的に非反応性ガスとして扱える。非反応性ガスとして、不活性ガスも使用することもできる。また、真空中で行ってもよい。具体的には、酸素濃度が10ppm以下の雰囲気中で行うことで保磁力をさらに小さくすることができるため好ましい。なお、後述の横磁場熱処理も、同様の条件で行うことが好ましい。
横磁場熱処理工程について説明する。
本発明の横磁場熱処理は、縦磁場熱処理を施されたナノ結晶合金薄帯に対し、横方向(薄帯が巻回された巻磁心の磁路に対して直交する方向)に磁場を印加しながら熱処理を行うものである。巻磁心においては、磁心の高さ方向に磁場を印加することができる。
また、磁場を印加するタイミングは、縦磁場熱処理後であれば、特に限定されない。
磁場の印加は、直流磁場、交流磁場、またはパルス磁場等の、いずれによるものでもよい。
横磁場熱処理により、透磁率が低下するものの残留磁束密度Brが低下して、角形比Br/Bmを、30%以下にでき、偏磁が生じにくい磁心とすることができる。これらの磁気特性は、カレントトランス用に好適な特性である。なお、本発明において、飽和磁束密度Bmは、磁場H=80A/mでの磁束密度B(80)と定義される。
横磁場熱処理工程における磁場を印加する際の最高温度(LT)は、380℃以上480℃以下とする。これにより、温度変化による透磁率の変化率を小さくできる。また、透磁率μ(25)を100,000以上250,000以下とすることができる。
最高温度LTの下限は、390℃がさらに好ましく、400℃がさらに好ましく、405℃がさらに好ましい。最高温度LTの上限は、470℃がさらに好ましく、465℃がさらに好ましい。
横磁場熱処理工程において、磁場は、磁場強度50kA/m以上で印加することが好ましい。印加する磁場が弱すぎると、実作業条件での誘導磁気異方性の付与が難しくなる。より好ましい範囲は、60kA/m以上であり、さらに好ましい範囲は100kA/m以上である。また、磁場強度の上限は特に限定されないが、400kA/mを超えても、誘導磁気異方性がさらに付与されることはないので、磁場強度は400kA/m以下とすることが好ましい。
縦磁場熱処理工程における磁場を印加する際の最高温度HTが高いほど、透磁率μ(25)が高くなる傾向がある。また、横磁場熱処理工程における磁場を印加する際の最高温度LTが低いほど、透磁率μ(25)が高くなる傾向がある。透磁率μ(25)を、100,000以上250,000以下の範囲にするには、最高温度HT(℃)と最高温度LT(℃)とを、次の式3を満たすものとすることが好ましい。
(式3)4×LT−1350≦HT≦1.9×LT−290
上記した本発明の製造方法により、本発明の巻磁心を得ることができる。
本発明の巻磁心は、巻回されたナノ結晶合金薄帯を含む巻磁心であって、
角形比Br/Bmが5%以上30%以下であり、
周波数f=50Hz、振幅H=1.0アンペア/メートル(A/m)の交流磁場が印加された状態において温度T℃で測定した時の透磁率をμ(T)としたとき、
透磁率μ(25)が100,000以上250,000以下であり、
下記(式1)および(式2)を満たす、巻磁心である。
(式1)|(μ(−25)−μ(25))/μ(25)|≦0.05
(式2)|(μ(100)−μ(25))/μ(25)|≦0.05
なお、以後は、簡略化のため、(式1)の|(μ(−25)−μ(25))/μ(25)|をΔμ(−25)ということがある。また、(式2)の|(μ(100)−μ(25))/μ(25)|をΔμ(100)ということがある。
特許文献1の実施例に記載の製造条件で、本発明の巻磁心を得ることは困難である。
例えば、特許文献1では、Elong(縦磁場熱処理における効率パラメータ)とEtrans(横磁場熱処理における効率パラメータ)が、規定されている。ElongとEtransは、時刻tにおける処理温度T(t)が100℃を超えるときの処理温度T(t)と100℃を超える温度との間の差の時間に対する積分値である。単位は、温度の単位は℃であり、時間の単位はhourである。
この特許文献1での、ElongとEtransの比を取ると、特許文献1の表1においては、No.5が最も小さく、58%である。対して、本願発明で同様のElongとEtransの比を取ると、55%以下である。この点からも、特許文献1と本願発明が異なることが明らかである。この詳細については、実施例で記載する。
この巻磁心に、導線を巻回し、カレントトランスとして用いることができる。
なお、本願における「透磁率」という用語は、周波数f=50Hz、振幅H=1.0アンペア/メートル(A/m)の交流磁場が印加された状態において、温度T(℃)のもとで測定される振幅透磁率である。この条件で測定される巻磁心単体の透磁率を、透磁率μ(T)とする。
図6は、カレントトランス等に用いられる巻磁心または磁心ユニットの透磁率μ(T)の測定に際して使用した測定システムの構成を示す図である。図示する構成において、被測定物(巻磁心または磁心ユニット)の一次側導体14は、広範囲の直流電圧、直流電流、交流電圧、および電気抵抗の測定が可能なデジタルマルチメータ(DMM)52および抵抗(RESISTANCER)を介して、任意の周波数と波形を持った交流電圧信号を生成するファンクションジェネレータ54に接続されている。一方、カレントトランスの二次側導体12は、一次側導体14側のデジタルマルチメータ52とは別のデジタルマルチメータ(DMM)56に接続されている。本願における測定では、抵抗の値を47オームに設定し、デジタルマルチメータ52および56としてアジレント社製のデジタルマルチメータ34401Aを用いた。ファンクションジェネレータ54としてエヌエフ回路設計ブロック社製のマルチファンクションジェネレータWF1973を用い、マルチファンクションジェネレータによって交流電圧信号を生成した。
デジタルマルチメータ(DMM)56により測定された電圧値をVo(V)、コアの有効断面積をAe(m2)、真空の透磁率をμ0、周波数をf(Hz)、一次側導体18により印加される交流磁場強度をH(A/m)とした場合、透磁率μ(T)は下記の(式4)により求められる。
(式4)
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示の磁心ユニットはこの実施例に限られない
(実施例1)
原子%で、Cu:1%、Nb:3%、Si:15%、B:7%、残部Fe及び不可避不純物からなる合金溶湯を単ロ−ル法により急冷し、幅50mm、厚さ18μmのFe基非晶合金薄帯を得た。示差走査熱量計(DSC)での測定により、この合金の結晶化開始温度は500℃であった。このFe基非晶合金薄帯を、幅17mmにスリット(裁断)した後、巻回して、磁路長が34.7mm、断面積が23.9mmの磁心材を作製した。
作製した磁心材に対して、図4に示す温度パターンで熱処理を行った。この熱処理は、ナノ結晶加熱処理、縦磁場熱処理を含むものである。なお、いずれの熱処理も、酸素濃度が10ppm以下(2ppm)の雰囲気中で行った。
磁心材に、無磁場中で結晶化開始温度以上に加熱してナノ結晶化するナノ結晶化熱処理を施した。まず、75分で室温(25℃)から450℃まで昇温し、30分保持した後、240分かけて最高温度580℃まで昇温した。
その後、580℃で、60分保持した。
その後、縦磁場熱処理を行った。
炉内の加熱を停止し、磁心材を580℃から100℃まで冷却した。
なお、冷却過程において、磁心材の磁路の方向に磁場を印加した。磁場を印加する際の最高温度(以下、HT)は、それぞれ、580℃,550℃,500℃,450℃の4パターンとした。
その後、横磁場熱処理を行った。
図5に示す温度パターン、若しくはそれと類似する温度パターンで、再度、熱処理を行った。この熱処理における最高温度は、410℃、440℃、460℃の3パターンとした。その後、この最高温度で、1時間保持した。
その後、炉内の加熱を停止し、磁心材をこの最高温度から100℃まで一定の速度で冷却した。
なお、冷却過程において、磁心材の磁路に対して直交する方向に磁場を印加した。磁場を印加する際の最高温度(以下、LT)は、それぞれ、410℃、440℃、460℃の3パターンとした。最高温度から100℃まで降温される間の時間は、90分とした。
上記の工程により、巻回されたナノ結晶合金薄帯を含む巻磁心が得られた。
それぞれの巻磁心に対し、次の特性を測定した。表1にその結果を示す。また、図1に、それぞれのμ(25)、Δμ(−25)、Δμ(100)をプロットする。
・Br/Bm:角型比
・μ(25):室温の透磁率
・Δμ(−25):室温の透磁率μ(25)に対する−25℃の透磁率μ(―25)の変化率
・Δμ(100):室温の透磁率μ(25)に対する100℃の透磁率μ(100)の変化率
・Hc:保磁力
No.1〜4の巻磁心が、本実施形態の巻磁心である。
No.1の巻磁心は、縦磁場熱処理での最高温度HTが580℃、横磁場熱処理での最高温度LTが460℃の巻磁心である。
No.1のΔμ(−25)は、−4.7%であり、式1を満たす。
(式1)|(μ(−25)−μ(25))/μ(25)|≦0.05
また、No.1〜4の巻磁心は、HTが下げるにつれ、μ(−25)の値が大きくなる傾向にあるが、いずれのΔμ(−25)の絶対値も、5.0%を超えない
No.4の巻磁心は、縦磁場熱処理での最高温度HTが450℃、横磁場熱処理での最高温度LTが410℃の巻磁心である。
No.4のΔμ(100)は、−4.6%であり、式2を満たす。
(式2)|(μ(100)−μ(25))/μ(25)|≦0.05
また、No.2〜4の巻磁心は、LTが下げるにつれ、μ(100)の値が、小さくなる傾向にあるものの、いずれのΔμ(100)の絶対値も5.0%を超えない。
(比較例1)
特許文献4に記載のM+L処理により得られた巻磁心MLの各測定値を、表1のNo.5に併記する。また図1に、それぞれのμ(25)、Δμ(−25)、Δμ(100)をプロットする。
巻磁心MLは、Δμ(100)の絶対値が10.0%を超える。
(比較例2)
本発明の製造方法では、最高温度LTが380℃以上480℃以下である。対して、特許文献1の実施例で開示される巻磁心は、最高温度TL(特許文献1ではTlong)が、高いものでも、380℃である。
参考値として、本実施形態No.1〜4の巻磁心に対し、特許文献1で規定される、Elong(縦磁場熱処理における効率パラメータ)とEtrans(横磁場熱処理における効率パラメータ)の数値、及び、その両者の比Elong/Etransを、表1に併記する。
ElongとEtransは、時刻tにおける処理温度T(t)が100℃を超えるときの処理温度T(t)と100℃を超える温度との間の差の時間に対する積分値である。単位は、温度の単位は℃であり、時間の単位はhourである。
本実施形態No.1〜4の巻磁心における、Elong/Etransは、全て55%以下となる。つまり、縦磁場熱処理における誘導磁気異方性の付与の大きさに対して、横磁場熱処理における誘導磁気異方性の付与の大きさが、非常に小さい。
対して、特許文献1の表1に記載される巻磁心は、No.5が、最もElong/Etransが小さい値となる。その値は、58%である。
この製造方法の違いにより、特許文献1の巻磁心は、本願発明の巻磁心と異なる特性になると考えられる。
(実施例2)
縦磁場熱処理での最高温度HTと、横磁場熱処理での最高温度LTとによる、透磁率μ(25)への影響を調べた。表2に測定結果を併記する。
縦磁場熱処理での最高温度HTは、400℃、450℃、500℃、550℃、580℃とした。
横場熱処理での最高温度LTは、380℃、390℃、400℃、410℃、420℃、430℃、440℃、450℃、460℃、470℃とした。
表2に測定結果を併記する。なお、表2中、“――”の欄は、未測定のものである。
また、図2に、縦磁場熱処理と横磁場熱処理における、磁場を印加する際の最高温度(HT,LT)と、透磁率μ(25)との関係を、示す。HTが高いほど、磁率μ(25)が高くなる傾向がある。また、LTが低いほど、磁率μ(25)が高くなる傾向がある。
図3は、μ(25)を100,000以上250,000以下とすることが容易な、HTとLTの関係を示す図である。図中、丸印は、μ(25)が上記範囲であるものを示す。×印は、上記範囲から外れたものを示す。磁率μ(25)を、100,000以上250,000以下の範囲にするには、図3に示すように、HT(℃)とLT(℃)とを、次の式3を満たすものとすることが好ましい。
(式3)4×LT−1350≦HT≦1.9×LT−290
本開示の磁心ユニットは、コモンモードチョークコイル、高周波トランス、パルストランス、カレントトランス等の磁心に好適に使用可能であり、例えば、特にカレントトランスに好適に使用され得る。

Claims (8)

  1. 巻回されたナノ結晶合金薄帯を含む巻磁心であって、
    角形比Br/Bmが5%以上30%以下であり、
    周波数f=50Hz、振幅H=1.0アンペア/メートル(A/m)の交流磁場が印加された状態において温度T℃で測定した時の透磁率をμ(T)としたとき、
    透磁率μ(25)が100,000以上250,000以下であり、
    下記(式1)および(式2)を満たす、巻磁心。
    (式1)|(μ(−25)−μ(25))/μ(25)|≦0.05
    (式2)|(μ(100)−μ(25))/μ(25)|≦0.05
  2. 前記ナノ結晶合金薄帯は、
    一般式:(Fe1−a100−x−y−z−α―β―γCuSiM’αM”βγ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M’はNb、Mo、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mn及びWからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M”はAl、白金族元素、Sc、希土類元素、Zn、Sn、Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、XはC、Ge、P、Ga、Sb、In、Be、Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、a、x、y、z、α、β及びγはそれぞれ0≦a≦0.5、0.1≦x≦3、0≦y≦30、0≦z≦25、5≦y+z≦30、0≦α≦20、0≦β≦20及び0≦γ≦20を満たす。)により表される組成を有する合金からなる、請求項1に記載の、巻磁心。
  3. 請求項1または2に記載の巻磁心を含む、カレントトランス。
  4. 巻回されたナノ結晶合金薄帯を含む巻磁心の製造方法であって、
    非晶質合金薄帯が巻かれた磁心材を用意する工程と、
    前記磁心材に、無磁場中で結晶化開始温度以上に加熱してナノ結晶化するナノ結晶化熱処理工程と、
    その後、前記磁心材の磁路の方向に磁場を印加しながら熱処理する縦磁場熱処理工程と、
    その後、前記磁路に対して直交する方向に磁場を印加しながら熱処理する横磁場熱処理工程と、
    を備え、
    前記縦磁場熱処理工程において、磁場が印加される際の最高温度HTを380℃以上600℃以下とし、
    前記横磁場熱処理工程において、磁場が印加される際の最高温度LTを380℃以上480℃以下とし、
    上記の各工程により、
    角形比Br/Bmが5%以上30%以下であり、
    周波数f=50Hz、振幅H=1.0アンペア/メートル(A/m)の交流磁場が印加された状態において温度T℃で測定した時の透磁率をμ(T)としたとき、
    透磁率μ(25)が100,000以上250,000以下であり、
    下記(式1)および(式2)を満たすようにする、巻磁心の製造方法。
    (式1)|(μ(−25)−μ(25))/μ(25)|≦0.05
    (式2)|(μ(100)−μ(25))/μ(25)|≦0.05
  5. 前記最高温度HT(℃)と、前記最高温度LT(℃)とを、次の式3を満たすものとする、
    請求項4に記載の巻磁心の製造方法。
    (式3)4×LT−1350≦HT≦1.9×LT−290
  6. 前記縦磁場熱処理工程において、磁場は、磁場強度80A/m以上で印加される、請求項4または5のいずれかに記載の巻磁心の製造方法。
  7. 前記横磁場熱処理工程において、磁場は、磁場強度50kA/m以上で印加される、請求項4乃至6のいずれかに記載の巻磁心の製造方法。
  8. 請求項4乃至7のいずれかの巻磁心の製造方法によって巻磁心を作製する工程と、
    前記巻磁心に導線を巻回させる工程と、
    を含むカレントトランスの製造方法。
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