JP2021032303A - 車両の制御装置及び車両の制御方法 - Google Patents

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泰弘 遠藤
Yasuhiro Endo
泰弘 遠藤
岳大 飯泉
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岳大 飯泉
健次 内田
Kenji Uchida
健次 内田
英真 川口
Eishin Kawaguchi
英真 川口
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Abstract

【課題】アクセルペダルが踏みこまれて加速する際に、直結クラッチを締結させることによって駆動源の回転速度が急低下することを抑制する。【解決手段】車両100を制御するコントローラ10は、エンジン1を所定値以上の回転速度に維持した後に、ロックアップクラッチ2aの入出力要素が回転同期するとロックアップクラッチ2aを締結する直結クラッチ締結制御を実行する。【選択図】図2

Description

本発明は、車両の制御装置及び車両の制御方法に関する。
特許文献1には、ロックアップクラッチ(直結クラッチ)を解放状態から完全係合状態へ移行するに際して、ロックアップクラッチの入出力回転速度の回転速度差をトリガとして、即ち、入出力回転が回転同期したことをトリガとして完全係合へ移行することが開示されている。
国際公開第2016/158077号
しかしながら、アクセルペダルが踏みこまれた場合に、駆動源の回転速度が急上昇している途中でロックアップクラッチ(直結クラッチ)の入出力回転を同期させようとすると、駆動源の回転速度が急低下し、ドライバが違和感を覚えるおそれがある。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、アクセルペダルが踏みこまれて加速する際に、直結クラッチが締結することによって駆動源の回転速度が急低下することを抑制することを目的とする。
本発明のある態様によれば、駆動源と、駆動輪と、前記駆動源と前記駆動輪とを直結する直結クラッチと、を有する車両を制御する車両の制御装置は、前記駆動源を所定値以上の回転速度に維持した後に、前記直結クラッチの入出力要素が回転同期すると前記直結クラッチを締結する直結クラッチ締結制御を実行する制御部を有することを特徴とする。
本発明の別のある態様によれば、駆動源と、駆動輪と、前記駆動源と前記駆動輪とを直結する直結クラッチと、を有する車両を制御する車両の制御方法は、前記駆動源を所定値以上の回転速度に維持した後に、前記直結クラッチの入出力要素が回転同期すると前記直結クラッチを締結する直結クラッチ締結制御を実行することを特徴とする。
これらの態様では、駆動源の回転速度を上昇させて所定値以上の回転速度に維持して、直結クラッチを締結させているので、アクセルペダルが踏みこまれて加速する際に、直結クラッチが締結することによって駆動源の回転速度が急低下することを抑制することができる。
本発明の実施形態に係る車両の概略構成図である。 本発明の実施形態に係る制御の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る制御に用いる変速マップの一例である。 本発明の実施形態に係るロックアップクラッチOFF時の制御の流れを示すタイムチャートである。 本発明の実施形態に係るロックアップクラッチ締結時の制御の流れを示すタイムチャートである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、車両100の概略構成図である。車両100は、エンジン1と、無段変速機としての自動変速機3と、オイルポンプ5と、駆動輪6と、制御装置としてのコントローラ10と、を備える。
エンジン1は、ガソリン、軽油等を燃料とする内燃機関であり、走行用駆動源として機能する。エンジン1は、コントローラ10からの指令に基づいて、回転速度、トルク等が制御される。
自動変速機3は、トルクコンバータ2と、締結要素31と、無段変速機構としてのバリエータ30と、油圧コントロールバルブユニット40(以下では、単に「バルブユニット40」ともいう。)と、オイル(作動油)を貯留するオイルパン32と、を備える。
トルクコンバータ2は、エンジン1と駆動輪6の間の動力伝達経路上に設けられる。トルクコンバータ2は、流体を介してエンジン1からの駆動力を増幅して伝達することができる。また、トルクコンバータ2は、直結クラッチとしてのロックアップクラッチ2aを締結することで、エンジン1からの駆動力の動力伝達効率を高めることができる。
ロックアップクラッチ2aは、例えば、単板式のクラッチである。ロックアップクラッチ2aは、トルクコンバータ2内の締結側油室(図示せず)内の圧力と解放側油室(図示せず)内の圧力との差圧ΔPcが制御されることによって、締結又は解放される。具体的には、締結側油室の圧力が解放側油室の圧力よりも大きくなる、つまり、差圧ΔPcが正の方向に大きくなると、ロックアップクラッチ2aが締結され、締結側油室の圧力が解放側油室の圧力よりも小さくなる、つまり、差圧ΔPcが負の方向に大きくなると、ロックアップクラッチ2aが解放される。なお、以下では、差圧ΔPを正の方向に変化させることを、差圧ΔPを上げる、あるいは上昇させるといい、差圧ΔPを負の方向に変化させることを、差圧ΔPを下げる、あるいは低下させるという。
締結要素31は、トルクコンバータ2とバリエータ30の間の動力伝達経路上に配置される。締結要素31は、図示しない前進クラッチ及び後進ブレーキを備える。締結要素31は、コントローラ10からの指令に基づき、オイルポンプ5の吐出圧を元圧としてバルブユニット40によって調圧されたオイルによって制御される。締結要素31としては、例えば、多板クラッチが用いられる。
バリエータ30は、締結要素31と駆動輪6との間の動力伝達経路上に配置され、車速やアクセル開度等に応じて変速比を無段階に変更する。バリエータ30は、プライマリプーリ30aと、セカンダリプーリ30bと、両プーリ30a,30bに巻き掛けられたベルト30cと、を備える。プーリ圧によりプライマリプーリ30aの可動プーリとセカンダリプーリ30bの可動プーリとを軸方向に動かし、ベルト30cのプーリ接触半径を変化させることで、変速比を無段階に変更する。なお、プライマリプーリ30aに作用するプーリ圧及びセカンダリプーリ30bに作用するプーリ圧は、オイルポンプ5からの吐出圧を元圧としてバルブユニット40によって調圧される。
バリエータ30のセカンダリプーリ30bの出力軸には、図示しない終減速ギヤ機構を介してディファレンシャル12が接続される。ディファレンシャル12には、ドライブシャフト13を介して駆動輪6が接続される。
オイルポンプ5は、エンジン1の回転がベルトを介して伝達されることによって駆動される。オイルポンプ5は、例えばベーンポンプによって構成される。オイルポンプ5は、オイルパン32に貯留されるオイルを吸い上げ、バルブユニット40にオイルを供給する。バルブユニット40に供給されたオイルは、ロックアップクラッチ2aの駆動、各プーリ30a,30bの駆動や、締結要素31の駆動、自動変速機3の各要素の潤滑などに用いられる。
コントローラ10は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ10は、複数のマイクロコンピュータで構成されてもよい。具体的には、コントローラ10は、自動変速機3を制御するATCU、シフトレンジを制御するSCU、エンジン1の制御を行うECU等によって構成される。なお、後述する直結クラッチ締結制御を実行する制御部とは、コントローラ10の直結クラッチ締結制御を実行するための機能を仮想的なユニットとしたものである。
コントローラ10には、エンジン1の回転速度(エンジン回転速度Ne)を検出する第1回転速度センサ51、トルクコンバータ2の出力軸側であるタービン(出力要素)の回転速度(出力側回転速度Ntout)を検出する第2回転速度センサ52、締結要素31の出力回転速度を検出する第3回転速度センサ53、セカンダリプーリ30bの回転速度を検出する第4回転速度センサ54、車速Vを検出する車速センサ55、締結要素31のセレクトレンジ(前進、後進、ニュートラル及びパーキングを切り替えるセレクトレバー又はセレクトスイッチの状態)を検出するインヒビタスイッチ56、アクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ57、ブレーキの踏力を検出する踏力センサ58、エンジン1の出力トルクを検出するトルクセンサ59等、からの信号が入力される。コントローラ10は、入力されるこれら信号に基づき、エンジン1及び自動変速機3の各種動作を制御する。なお、第1回転速度センサ51によって検出された回転速度は、トルクコンバータ2の入力軸側であるポンプ(入力要素)の回転速度(入力側回転速度Ntin)に相当し、締結要素31の出力回転速度は、プライマリプーリ30aの回転速度(プライマリ回転速度Npri)に相当する。
ところで、車両100においては、ロックアップクラッチ2aが解放されているときに、加速するためにアクセルペダルAPが踏み込まれる(加速要求がある)と、エンジン回転速度Neが急激に上昇する。このようにエンジン回転速度Neが急上昇している途中で、ロックアップクラッチ2aの入出力回転を同期させようとすると、エンジン回転速度Neが急激に低下し、ドライバが違和感を覚えるおそれがある。
そこで、本実施形態では、エンジン回転速度Neを所定値以上に維持した後に、ロックアップクラッチ2aの入出力要素が回転同期するとロックアップクラッチ2aを締結する直結クラッチ締結制御を実行する。以下に、本実施形態における直結クラッチ締結制御について、図2を参照しながら具体的に説明する。なお、直結クラッチ締結制御は、コントローラ10にあらかじめ記憶されたプログラムに基づいて実行される。
ステップS1では、車両100が走行中であるか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、車速Vが所定値V1以上であるか否かを判定する。車速Vが所定値V1以上であれば、ステップS2に進み、車速Vが所定値V1未満であればENDに進む。
ステップS2では、アクセルOFFの状態からアクセルペダルAPが踏み込まれたか否かを判定する。具体的には、アクセル開度センサ57によって検出されたアクセル開度APOが所定値以上になったか否かを判定する。なお、これに限らず、例えば、アクセルペダルAPがONのときに信号を出力するスイッチを設けて、この信号に基づいて判定を行うようにしてもよい。
ステップS2において、アクセルペダルAPが踏み込まれたと判定されれば、ステップS3に進み、アクセルペダルAPが踏み込まれていないと判定されれば、ENDに進む。
ステップS3では、ロックアップクラッチ2aがOFF状態(解放状態)か否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、第1回転速度センサ51によって検出された入力側回転速度Ntinと、第2回転速度センサ52によって検出された出力側回転速度Ntoutと、の回転速度差Dが所定値D1以上である場合に、ロックアップクラッチ2aがOFF状態(非完全締結状態)になっていると判定する。本実施形態におけるロックアップクラッチ2aのOFF状態には、ロックアップクラッチ2aが完全に解放されている状態に限らず、ロックアップクラッチ2aが所定量スリップしている状態も含まれる。なお、ロックアップクラッチ2aがOFF状態(解放状態)か否かの判定は、差圧ΔPcの指示値(指示圧)に基づいて行ってもよい。また、ロックアップクラッチ2aの実際の差圧を検出できる油圧センサを備えている場合には、油圧センサによって検出された差圧に基づいてロックアップクラッチ2aがOFF状態(解放状態)か否かを判定してもよい。
ステップS3において、ロックアップクラッチ2aがOFF状態であると判定されれば、ステップS4に進み、ロックアップクラッチ2aがOFF状態でないと判定されれば、ステップS5に進む。
ステップS4では、ロックアップクラッチ2aの差圧ΔPcを上昇させる。具体的には、コントローラ10は、バルブユニット40を制御して、ロックアップクラッチ2aの伝達トルク容量が0よりわずかに大きくなる程度、差圧ΔPcを上昇させる。
ステップS5では、ロックアップクラッチ2aをOFF状態(非完全締結状態)にする。このとき、コントローラ10は、バルブユニット40を制御して、ロックアップクラッチ2aの伝達トルク容量が0よりわずかに大きくなる程度まで、差圧ΔPcを低下させる。
ステップS6では、エンジン回転速度Neを上昇させる。具体的には、コントローラ10は、あらかじめ記憶された変速マップ(図3)に基づいて、アクセル開度APOに応じたプライマリ回転速度Npriの最終的な目標となる最終目標プライマリ回転速度Npri1を求める。この最終目標プライマリ回転速度Npri1は、トルクコンバータ2の出力軸の最終目標である目標出力側回転速度Nt1に相当する。さらに、エンジン回転速度Neは、ロックアップクラッチ2aが締結されると、出力側回転速度Ntoutと等しくなる。そこで、本実施形態では、目標エンジン回転速度Netを目標出力側回転速度Nt1に相当する値(所定値N1)、ないし、目標出力側回転速度Nt1よりも若干大きな値に設定する。
ステップS7では、回転同期制御を開始する。具体的には、コントローラ10は、バルブユニット40を制御して、ロックアップクラッチ2aの差圧ΔPcを上昇させて、ロックアップクラッチ2aの伝達トルク容量を上昇させる。そして、コントローラ10は、エンジン回転速度Neが所定値N1以上になると、エンジン回転速度Neを所定値N1以上に維持するようにして差圧ΔPcをさらに上昇させる。
ステップS8では、回転同期したか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、第1回転速度センサ51によって検出された入力側回転速度Ntinと、第2回転速度センサ52によって検出された出力側回転速度Ntoutと、の回転速度差Dが所定値D2以下となった場合に、回転同期したと判定する。ステップS8において、回転同期したと判定されれば、ステップS9に進み、回転同期していないと判定されれば、回転同期するまでステップS8の判定を繰り返す。
ステップS9では、ロックアップクラッチ2aを完全締結させる。具体的には、コントローラ10は、バルブユニット40を制御して、ロックアップクラッチ2aの差圧ΔPcをさらに上昇させて、ロックアップクラッチ2aを完全締結させる。
本実施形態の直結クラッチ締結制御では、上述のように、アクセルペダルAPが踏みこまれて加速する際に、エンジン回転速度Neを所定値N1以上に維持するようにして、ロックアップクラッチ2aを回転同期させるようにしているので、ロックアップクラッチ2aの締結時にエンジン回転速度Neが急激に引き込まれる(急激に低下する)こと及びエンジン1が吹け上がる(急激に上昇する)ことを抑制できる。即ち、本実施形態の直結クラッチ締結制御では、引き込み及び吹け上がりの双方を抑制してエンジン回転速度Neを適切に維持した制御が可能となる。また、コントローラ10がエンジン回転速度Neの上昇の指示をするときに、ロックアップクラッチ2aにわずかに伝達トルク容量を持たせているので、エンジン1の過度な吹け上がり(急激な上昇)を抑制することができる。
次に、図4及び図5に示すタイムチャートを参照しながら、本実施形態における制御についてより具体的に説明する。
図4は、ロックアップクラッチ2aがOFF状態でアクセルペダルAPが踏み込まれた場合の直結クラッチ締結制御を示している。
時刻t1において、アクセルペダルAPが踏み込まれると、コントローラ10は、エンジン回転速度Neの指令値(目標エンジン回転速度Net)を、所定値N1まで上昇させる。エンジン回転速度Neの上昇に伴って、トルクコンバータ2内の流体伝動により出力側回転速度Ntoutが上昇する。
また、これと同時に、コントローラ10は、バルブユニット40を制御してロックアップクラッチ2aの差圧ΔPcの指令値を段階的に所定量上昇させる。このとき、差圧ΔPcの指令値は、ロックアップクラッチ2aの伝達トルク容量が0よりわずかに大きくなるような値、言い換えると、ロックアップクラッチ2aがわずかに接触するか否か程度の値に設定される。このような値とすることで、ロックアップクラッチ2aが急激に締結され、エンジン1が停止することを防止しつつ、エンジン1の吹け上がりを抑制できる。
さらに、コントローラ10は、バルブユニット40を制御してロックアップクラッチ2aの差圧ΔPcの指令値を徐々に上昇させる。このとき、コントローラ10は、差圧ΔPcをオープン制御で制御する。このような制御の開始時にフィードバック制御を行うと、例えば、何らかの理由によって油圧の立ち上がりが遅れる、あるいは、ロックアップクラッチ2aのクラッチ板の移動が遅れた場合に、目標値と検出値との偏差が縮まらず、指令値が大きくなってしまう。このようにして指令値が大きくなると、急激に油圧が立ち上がり、クラッチ板が急締結するおそれがある。このため、本実施形態では、制御の開始時には、オープン制御で差圧ΔPcを制御する。
時刻t1から所定時間経過すると(時刻t2)、コントローラ10は、ロックアップクラッチ2aに対して回転同期制御を実行する。具体的には、バルブユニット40を制御してロックアップクラッチ2aの差圧ΔPcの指令値をさらに上昇させる。これにより、ロックアップクラッチ2aは、一定の伝達トルク容量を持ったスリップ状態になる。なお、スリップ状態とは、エンジン1からのトルクを伝達しつつ、ロックアップクラッチ2aの出力軸と入力軸とのイナーシャを分離できる締結力がロックアップクラッチ2aに印加されている状態を意味する。このとき、コントローラ10は、オープン制御からフィードバック制御に切り替えて、差圧ΔPcを制御する。具体的には、コントローラ10は、第1回転速度センサ51によって検出された入力側回転速度Ntinと、第2回転速度センサ52によって検出された出力側回転速度Ntoutと、に基づいて差圧ΔPcを制御する。
そして、コントローラ10は、ロックアップクラッチ2aにおける伝達トルク容量が徐々に大きくなるように差圧ΔPcを制御する。
時刻t3において、ロックアップクラッチ2aの入出力軸の回転速度差D(入力側回転速度Ntinと出力側回転速度Ntoutとの回転速度差)が所定値D2以内になると、コントローラ10は、回転同期したと判定する。そして、コントローラ10は、差圧ΔPcをさらに上昇させて、ロックアップクラッチ2aを完全締結させる。
次に、図5を参照しながら、ロックアップクラッチ2aが締結されている状態でアクセルペダルAPが踏み込まれた場合における直結クラッチ締結制御について説明する。
時刻t11において、アクセルペダルAPが踏み込まれると、コントローラ10は、エンジン回転速度Neの指令値(目標エンジン回転速度Net)を、所定値N1まで上昇させる。
また、これと同時に、コントローラ10は、バルブユニット40を制御してロックアップクラッチ2aの差圧ΔPcの指令値を所定量低下させる。このとき、差圧ΔPcの指令値は、ロックアップクラッチ2aの伝達トルク容量が0よりわずかに大きくなるような値、言い換えると、ロックアップクラッチ2aがわずかに接触するか否か程度の値に設定される。差圧ΔPcを下げすぎるとロックアップクラッチ2aを再締結させる際に時間を要してしまう、あるいは、エンジン1の吹け上がりが発生してしまう。このため、差圧ΔPcを上述のような圧力に制御することで、ロックアップクラッチ2aを素早く再締結させることができるとともに、エンジン1の吹け上がりを抑制できる。
ロックアップクラッチ2aの差圧ΔPcの低下に伴って、エンジン回転速度Neは、図4の実施例と同じように上昇する。具体的には、ロックアップクラッチ2aがOFF状態になったことで、エンジン1の負荷が小さくなり、エンジン回転速度Neは、図4の実施例と同じように上昇する。また、エンジン回転速度Neの上昇に伴って、トルクコンバータ2内の流体伝動により出力側回転速度Ntoutが上昇する。
時刻t11から所定時間経過すると(時刻t12)、コントローラ10は、ロックアップクラッチ2aに対して回転同期制御を実行する。具体的には、バルブユニット40を制御してロックアップクラッチ2aの差圧ΔPcの指令値を上昇させる。これにより、ロックアップクラッチ2aは、一定の伝達トルク容量を持ったスリップ状態になる。コントローラ10は、ロックアップクラッチ2aにおける伝達トルク容量が徐々に大きくなるように差圧ΔPcを制御する。
時刻t13において、ロックアップクラッチ2aの入出力軸の回転速度差D(入力側回転速度Ntinと出力側回転速度Ntoutとの回転速度差)が所定値D2以内になると、コントローラ10は、回転同期したと判定する。そして、コントローラ10は、差圧ΔPcをさらに上昇させて、ロックアップクラッチ2aを完全締結させる。
ロックアップクラッチ2aが解放されているときに、アクセルペダルAPが踏み込まれた場合には、ロックアップクラッチ2aが締結されているときに比べて、エンジン1の負荷が小さくなるため、エンジン回転速度Neが急激に上昇する、いわゆる吹け上がりが発生しやすい。そこで、本実施形態では、ロックアップクラッチ2aが解放されている場合には、ロックアップクラッチ2aにわずかに伝達トルク容量を持たせた状態でエンジン回転速度Neの上昇の指示をする。これにより、エンジン1の吹け上がり(急激な上昇)を抑制することができる。
一方、ロックアップクラッチ2aが締結されているときに、アクセルペダルAPが踏み込まれた場合には、このような吹け上がりは発生しない。しかしながら、エンジン1の負荷が大きくなるため、エンジン回転速度Neの上昇速度が遅くなり、加速感が乏しくなる。そこで、本実施形態では、ロックアップクラッチ2aが締結されている場合には、一旦ロックアップクラッチ2aをOFF状態にする。これにより、エンジン回転速度Neの上昇速度を早くすることができるので、ドライバの加速感を満足させることができる。また、ロックアップクラッチ2aが締結されているときには、一旦ロックアップクラッチ2aをOFF状態にして制御を行うので、ロックアップクラッチ2aの締結時及び解放時のいずれにおいても同様の加速フィーリングを得ることができる。
なお、例えば、車両100の走行中にアクセルペダルAPが踏みこまれてない状態でロックアップクラッチ2aが解放された場合に、ロックアップクラッチ2aをロックアップクラッチ2aの伝達トルク容量が0よりわずかに大きくなるような値(スタンバイ圧)で待機させることにより、制御をより正確に行うことができる。
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
車両100は、駆動源(エンジン1)と、駆動輪6と、駆動源(エンジン1)と駆動輪6とを直結する直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)と、を有する。また、車両100を制御する制御装置(コントローラ10)は、駆動源(エンジン1)を所定値N1以上の回転速度に維持した後に、直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)の入出力要素が回転同期すると直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)を締結する直結クラッチ締結制御を実行する制御部(コントローラ10)を有する。
アクセルペダルAPが踏みこまれて加速する場合に、エンジン回転速度Neを所定値N1以上に維持して、直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)を完全締結させるようにしているので、直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)の締結時にエンジン回転速度Neが急激に低下することを抑制できる (請求項1及び6の発明の効果)。
車両100は、直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)と駆動輪6との間に無段変速機構(バリエータ30)をさらに有する。また、制御部(コントローラ10)は、所定値N1を無段変速機構(バリエータ30)の変速マップに基づき設定する。
変速マップは、アクセル開度APO等の駆動力要求に応じて最終目標プライマリ回転速度Npri1が定まるようになっているので、これに基づき、例えば、直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)解放中に最終目標プライマリ回転速度Npri1近辺(最終目標プライマリ回転速度Npri1との差が閾値以内)になるように事前に駆動源(エンジン1)の回転速度を上げておくことにより直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)の締結完了後にスムーズに狙いの車両走行状態を作り上げることができるようになる(請求項2の発明の効果)。
直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)は、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ2aである。
直結クラッチがトルクコンバータ2であることにより、トルクの流体伝動によって出力側の回転速度Ntoutを上昇させることができる。これにより、より素早く回転同期状態に達することになることから、加速レスポンスをより早く得ることができる(請求項3の発明の効果)。
制御部(コントローラ10)は、直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)が締結中に加速要求が生じた場合は直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)を非完全締結状態にした後に直結クラッチ締結制御を実行する。
この構成では、直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)締結状態からの加速と、直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)解放状態からの加速と、の加速フィーリングを一致させることができる。よって、車両100の加速時のドライバビリティに対するドライバの違和感を緩和することができる(請求項4の発明の効果)。
制御部(コントローラ10)は、車両100の走行中にアクセルペダルAPが踏みこまれてない状態で直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)を解放した後は、直結クラッチ(ロックアップクラッチ2a)をスタンバイ圧で待機させる。
ロックアップクラッチ2aをスタンバイ圧で待機させることにより、駆動源(エンジン1)の吹け上がりを抑制することができる(請求項5の発明の効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上記実施形態では、駆動源としてエンジン1を例に説明したが、駆動源は、モータであってもよい。また、駆動源としてエンジンとモータを併用するハイブリッド車両に適用してもよい。
また、直結クラッチとしてロックアップクラッチ2aを備えた車両を例に説明したが、例えば、1モータ2クラッチ式の車両におけるクラッチに適用してもよい。
1 エンジン
2 トルクコンバータ
2a ロックアップクラッチ(直結クラッチ)
3 自動変速機(無段変速機)
5 オイルポンプ
10 コントローラ(制御装置、制御部)
30 バリエータ(無段変速機構)
100 車両

Claims (6)

  1. 駆動源と、駆動輪と、前記駆動源と前記駆動輪とを直結する直結クラッチと、を有する車両を制御する車両の制御装置であって、
    前記駆動源を所定値以上の回転速度に維持した後に、前記直結クラッチの入出力要素が回転同期すると前記直結クラッチを締結する直結クラッチ締結制御を実行する制御部を有することを特徴とする車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載された車両の制御装置において、
    前記車両は、前記直結クラッチと前記駆動輪との間に無段変速機構を有し、
    前記制御部は、前記所定値を前記無段変速機構の変速マップに基づき設定することを特徴とする車両の制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載された車両の制御装置において、
    前記直結クラッチは、トルクコンバータのロックアップクラッチであることを特徴とする車両の制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載された車両の制御装置において、
    前記制御部は、前記直結クラッチが締結中に加速要求が生じた場合は前記直結クラッチを非完全締結状態にした後に前記直結クラッチ締結制御を実行することを特徴とする車両の制御装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載された車両の制御装置において、
    前記制御部は、前記車両の走行中にアクセルペダルが踏みこまれてない状態で前記直結クラッチを解放した後は、前記直結クラッチをスタンバイ圧で待機させることを特徴とする車両の制御装置。
  6. 駆動源と、駆動輪と、前記駆動源と前記駆動輪とを直結する直結クラッチと、を有する車両を制御する車両の制御方法であって、
    前記駆動源を所定値以上の回転速度に維持した後に、前記直結クラッチの入出力要素が回転同期すると前記直結クラッチを締結する直結クラッチ締結制御を実行することを特徴とする車両の制御方法。
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