JP2021029612A - 吸収性物品用不織布 - Google Patents

吸収性物品用不織布 Download PDF

Info

Publication number
JP2021029612A
JP2021029612A JP2019153210A JP2019153210A JP2021029612A JP 2021029612 A JP2021029612 A JP 2021029612A JP 2019153210 A JP2019153210 A JP 2019153210A JP 2019153210 A JP2019153210 A JP 2019153210A JP 2021029612 A JP2021029612 A JP 2021029612A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
woven fabric
resin
elastomeric
less
absorbent articles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019153210A
Other languages
English (en)
Inventor
裕貴 高田
Yuki Takada
裕貴 高田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2019153210A priority Critical patent/JP2021029612A/ja
Publication of JP2021029612A publication Critical patent/JP2021029612A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Absorbent Articles And Supports Therefor (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

【課題】透湿性と透気性とを備え、且つ伸縮性を有する吸収性物品用不織布を提供する。【手段】構成繊維の平均繊維径が5μm以下であり、該構成繊維がエラストマー性樹脂と非エラストマー性オレフィン樹脂とを含有し、前記非エラストマー性オレフィン樹脂に対する前記エラストマー性樹脂の質量比が0.2以上5以下である、吸収性物品用不織布。【選択図】図1

Description

本発明は、生理用ナプキンやパンティライナー等の吸収性物品用の不織布に関する。
これまで、生理用ナプキン等の吸収性物品において、液吸収性や着用感の向上のため、種々の不織布を用いることが提案されてきた。
例えば、特許文献1には、低結晶性ポリプロピレンと高結晶性ポリプロピレンとを含有する弾性不織布が記載されている。この弾性不織布は、弾性回復性の観点から、低結晶性ポリプロピレンを高結晶性ポリプロピレンの12倍以上の質量割合で含有する。また、特許文献2には、吸収性物品と共に使用するための外側カバーが記載されている。この外側カバーは2層の不織布からなり、機械的活性化プロセスを経て、1軸方向、又は2軸方向の、いずれかに伸張可能にすることができる。
特開2013−237964号公報 特表2009−539460号公報
吸収性物品の構成部材である裏面シートには、炭酸カルシウム及びポリエチレンを主成分とする多孔質性フィルムが用いられることが主流である。しかし、多孔質性フィルムは不織布よりも透湿性や透気性(通気性)が低く、多孔質性フィルムを裏面シートに用いた吸収性物品の透湿性及び透気性は未だ十分とは言えない。
一方、不織布は透湿性及び透気性の点では優れているものの、吸収性物品に求められる伸縮性の観点から改善の余地がある。吸収性物品を構成する不織布が伸縮性を有していれば、吸収性物品は着用者の動きに合わせて柔軟に追従し、吸収性物品を着けていることで生じる違和感(突っ張り)をなくすことができる。この着用者の動作に合わせた柔軟な追従性のためには、吸収性物品の外側にある裏面シートが高い伸縮性を有することが効果的である。
しかし、伸縮性、透湿性、及び透気性を全て具備する不織布はこれまでなかった。
本発明は、上記の点に鑑み、透湿性と透気性とを備え、且つ伸縮性を有する吸収性物品用不織布に関する。
本発明は、構成繊維の平均繊維径が5μm以下であり、該構成繊維がエラストマー性樹脂と非エラストマー性オレフィン樹脂とを含有し、前記非エラストマー性オレフィン樹脂に対する前記エラストマー性樹脂の質量比が0.2以上5以下である、吸収性物品用不織布を提供する。
本発明の吸収性物品用不織布は、透湿性と透気性とを備え、且つ伸縮性を有する。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて吸収性物品用不織布の表面を1000倍で拡大して撮像した図面代用写真である。(A)は実施例2の不織布試料2を撮像した図面代用写真であり、(B)は比較例1の不織布試料C1を撮像した図面代用写真である。 実施例3の不織布試料3及び比較例2の不織布試料C2について、示差走査熱量測定(DSC)を行った結果を示したグラフである。
以下、本発明の吸収性物品用不織布(以下、単に「不織布」ともいう。)の好ましい実施形態について説明する。
本発明の吸収性物品用不織布では、構成繊維の平均繊維径が5μm以下である。「構成繊維の平均繊維径が5μm以下」とは、不織布を構成する繊維の繊維径の相加平均値が5μm以下であることを意味し、不織布を構成する全ての繊維の繊維径が5μm以下であることを意味するものではない。そのため、不織布の製造過程で構成繊維の繊維径にばらつきが生じ、一部の繊維の繊維径が5μmを越えても、平均で5μm以下であれば良い。
構成繊維の平均繊維径を5μm以下まで細くすることで、繊維間距離が小さくなり、耐水圧が高くなる。その結果、不織布は十分な防漏性を有し、裏面シートとして用い得る。例えば、不織布の耐水圧を600mmHO以上とすることが可能になる。
繊維径は細くなるほど不織布を透過する光が散乱され、不織布は白く見える。この観点から、前記構成繊維の平均繊維径は、4μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましい。この上限値以下であれば、着用者がモレ不安を感じない白さを出すことができる。
また、耐水圧の観点から、前記構成繊維の平均繊維径は小さいほど好ましい。但し、繊維の手や装置へのまとわりつきを防止し、ハンドリング性を高める観点から、前記構成繊維の平均繊維径は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
(平均繊維径の測定方法)
測定対象の不織布からランダムに2cm四方の小片サンプルを5個採取する。走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子株式会社製、JCM−6000PLUS(商品名))を用いて、図1(A)及び(B)に示すように、視野に20本以上60本以下の繊維が映るように、観察倍率を例えば1000倍以上10000倍以下に拡大した写真を撮像する。前記写真において、視野内全ての繊維についてそれぞれ1回ずつカウントするように繊維径を測定する。5回の測定値の相加平均値の小数第一位を四捨五入して算出した値を、構成繊維の平均繊維径とする。
本発明の吸収性物品用不織布では、構成繊維はエラストマー性樹脂と非エラストマー性オレフィン樹脂とを構成成分として含有する。構成繊維がこれら2種類の樹脂を有することで、各繊維がエラストマー性樹脂由来の伸縮性と非エラストマー性オレフィン樹脂由来の融着のしづらさとの両方を具備する。即ち、繊維同士が融着して実質太径になるのを防ぐことができる。
エラストマー性樹脂とは、100%伸長し、除荷したときの残留歪みが50%以下となる樹脂をいう。一方、非エラストマー性オレフィン樹脂における非エラストマー性とは、100%伸長し、除荷したときの残留歪みが50%を越える性質や、100%伸長で破断する性質をいう。残留歪みの測定方法については後述する。
非エラストマー性オレフィン樹脂は、非エラストマー性の樹脂のうち、オレフィンすなわちエチレン系炭化水素が重合してできる樹脂をいう。非エラストマー性樹脂をオレフィン系にすることにより、構成繊維の平均繊維径を小さくしやすくなる。
構成繊維にエラストマー性樹脂と非エラストマー性オレフィン樹脂とを含有させる方法は、本発明の効果を奏するものであれば特に限定されない。例えば、エラストマー性樹脂と非エラストマー性オレフィン樹脂とを溶融して混合し、メルトブローン法によって不織布を製造する方法が挙げられる。
非エラストマー性オレフィン樹脂に対するエラストマー性樹脂の質量比は、0.2以上5以下である。構成繊維がこれら2種類の樹脂を適度に有することで、前述のような不織布の伸縮性と構成繊維の融着のしづらさとを両立できる。
前記質量比が一定以上であれば、着用時における不織布の変形(例えば、後述する30%伸長)の範囲では、不織布はエラストマー樹脂のみからなる不織布と同程度の伸縮性を示す。かかる観点から、前記質量比は、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。
一方で、繊維同士の融着を適度に防止する観点から、前記質量比は、4.5以下が好ましく、4以下がより好ましい。
非エラストマー性オレフィン樹脂は、エラストマー性樹脂よりも、融点が高いことが一般的である。即ち、本発明の吸収性物品用不織布においては、構成繊維は低融点のエラストマー性樹脂と高融点の非エラストマー性オレフィン樹脂とを有する。
従来のように低融点のエラストマー性樹脂のみで不織布を製造(例えば、前述のメルトブローン法で製造)した場合、高温で吐出された繊維状の樹脂は集積部に到達する直前まで溶融状態にある。すると、集積部に到達する前までに繊維同士が融着し、絡まり合いを生じる。また、繊維同士が融着すると、繊維同士が束ねられて実質的に太い繊維となる。すると、繊維間距離が大きくなり、耐水圧(防漏性)は小さくなる。
これに対して本発明では、上記の質量比で構成繊維に高融点の樹脂が混在することにより、不織布の製造段階(例えば、前述のメルトブローン法)において加熱された樹脂が溶融状態でいる時間が短くなり、繊維同士が融着しづらくなる。そのため、小さな繊維間距離を維持することができる。加えて、繊維同士の絡まり合いが抑制され、不織布のミクロ開孔率が小さくなる。その結果、高い伸縮性を維持したまま、高い防漏性(高い耐水圧)を有する不織布を得ることができる。なお、ミクロ開孔率については後述する。
繊維同士の融着を適度に防止する観点から、非エラストマー性オレフィン樹脂の融点は、140℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、160℃以上が更に好ましい。また、不織布の製造段階において樹脂を加熱した時に容易に溶融させる観点から、非エラストマー性オレフィン樹脂の融点は、200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましく、180℃以下が更に好ましい。
エラストマー性樹脂の融点は、前述の非エラストマー性オレフィン樹脂の融点よりも低いことが一般的であり、100℃以下であることが実際的である。
非エラストマー性オレフィン樹脂は、高分子結晶構造を有することが好ましい。高分子結晶構造の有無は、以下の示差走査熱量測定により確認できる。
(示差走査熱量測定(DSC))
測定対象のサンプルから1.0mg前後の小片をカットし、その重量を秤量する。前記小片を容器に入れ、示差走査熱量測定器にセットし、測定を開始する。測定は、30℃から260℃まで20℃/分で昇温しながらDSC曲線を得て、100℃から200℃までの間に吸熱ピークが現れるか確認することで、非エラストマー性オレフィン樹脂の高分子結晶構造の有無を確認できる。
なお、DSCは、単独の非エラストマー性オレフィン樹脂に対して行うだけでなく、本発明における構成繊維のように、エラストマー性樹脂と非エラストマー性オレフィン樹脂とを含有する混合物に対しても行うこともできる。この場合、混合物中の非エラストマー性オレフィン樹脂が高分子結晶構造を有するか否かを、DSCにより確認できる。
(非エラストマー性オレフィン樹脂の種類)
非エラストマー性オレフィン樹脂の具体例として、ポリエチレンやポリプロピレン等が挙げられる。中でも、以下の観点から、ポリプロピレンが好ましい。
ポリプロピレンは、プロピレンが連なった重合体で柔軟な構造をとり、ポリプロピレンからなる成型品は柔らかいといった特長を有する。また、結晶構造の融点も160℃前後と高く、溶融状態で吐出された後に素早く固化することができる。総じて、非エラストマー性オレフィン樹脂にポリプロピレンを使用することで、不織布は柔らかく、繊維同士の融着の抑制にも有効である。
(エラストマー性樹脂の種類)
エラストマー性樹脂の具体例として、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・αオレフィン共重合体、低立体規則性ポリプロピレン等が挙げられる。中でも、エチレン・αオレフィン共重合体が好ましい。
エラストマー性樹脂は、必ずしもオレフィンが重合してできるオレフィン樹脂でなくても良いが、オレフィン樹脂であることが好ましい。エラストマー性樹脂もオレフィン系であるときは、非エラストマー性オレフィン樹脂との相溶性が良好になり、高融点の非エラストマー性オレフィン樹脂が構成繊維全体に分散する。その結果、繊維同士の絡まり合いが一層抑制され、不織布のミクロ開孔率が更に小さくなる。
なお、上述のエチレン・プロピレン共重合体、エチレン・αオレフィン共重合体、及び低立体規則性ポリプロピレンはいずれも、オレフィン系のエラストマー性樹脂に含まれる。
次に、本発明の吸収性物品用不織布の透湿性及び透気性に関する事項について説明する。
(地合い)
不織布における地合いとは、マクロなレベルでの不織布の均質性である。具体的には、目視で確認できる程度の大きさにおける均質性をいう。不織布全体における地合いは、以下の地合い指数によって評価することができる。地合い指数が小さいほど、不織布全体が均質で地合いが良好であることを表す。
なお、地合いの良好な不織布を得る観点から、本発明の吸収性物品用不織布では、エラストマー性樹脂と非エラストマー性オレフィン樹脂とが構成繊維全体に均一に分散していることが好ましい。
(地合い指数の測定方法)
測定対象の不織布を、任意の位置から10cm四方に切り出し、地合い測定用サンプルを採取する。地合計(フォーメーションテスター「FMT−MIII」、野村商事株式会社製)を用い、地合い測定用サンプルの地合い指数を以下のように計測する。
地合い測定用サンプルを試料台の上に置き、地合い測定用サンプルの片面側から光を照射した際の透過像を二次元CCDカメラで捕える。地合い測定用サンプル中の有効サイズ10cm×10cmを320×230画素に分解し、それぞれの画素が受ける光の強さを測定する。画素それぞれに対する透過率Tを下記式(1)に従い算出する。
透過率T(%)=〔(V−V)/(V100−V)〕×100 ・・・(1)
但し、Vは点灯時(地合い測定用サンプル有)の透過光量、Vは、消灯時(地合い測定用サンプル有)の透過光量であり、V100は点灯時(地合い測定用サンプル無)の透過光量、Vは、消灯時(地合い測定用サンプル無)の透過光量である。
得られた透過率Tから、下記式(2)に従い吸光度Eを算出する。
吸光度E=2−log10T ・・・(2)
得られた吸光度Eから、下記式(3)に従い地合い指数を算出する。
地合い指数=吸光度Eの変動係数×10
=〔吸光度Eの標準偏差(σ)〕/〔吸光度Eの平均値(Eave.)〕×10
・・・(3)
測定は10枚の試験片について行い、その相加平均値を地合い測定用サンプルの地合い指数とする。
本発明の吸収性物品用不織布の地合い指数は、150以下が好ましく、135以下がより好ましく、120以下が更に好ましい。地合い指数を一定以下にすることで、不織布面内における粗密の発生を抑えられ、耐水圧のばらつきが軽減される。地合い指数は小さいほど好ましい。
(ミクロ開孔率)
ミクロ開孔率とは、不織布の拡大視において、構成繊維が存在せずミクロな開孔となっている領域の割合を表す指標である。ミクロな開孔は目視では確認できず、拡大視することで初めて確認できるものであり、前述の地合いとは異なる概念である。そして、ミクロ開孔率を一定以下にすることで、不織布の耐水圧を高めることができる。
本発明の吸収性物品用不織布のミクロ開孔率は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下が更に好ましい。ミクロ開孔率を小さくするには、構成繊維同士の融着を適度に防止することで実現できる。また、ミクロ開孔率は小さいほど好ましい。
(ミクロ開孔率の測定方法)
測定対象の不織布からランダムに2cm四方の小片サンプルを3個採取する。上述のSEMを用いて、図1(A)及び(B)に示すように、視野に20〜60本の繊維が映るように、観察倍率を1000倍に拡大した写真を撮像する。前記写真において、画像解析ソフト「ImageJ」を用い、色のコントラストを利用して、ミクロの開孔に相当する黒色部分を抽出する。該画像解析ソフトで算出した黒色部分の面積を写真全体の視野面積で除した値について、小片サンプル1つにつき3か所で測定し、合計9回の相加平均値を算出し、不織布のミクロ開孔率とする。
(残留歪み)
残留歪みは、その値が小さいほど、伸縮性が高いことを示す。本発明の吸収性物品用不織布においては、30%伸長し、除荷したときの残留歪みは15%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、8%以下が更に好ましい。残留歪みを一定以下にすることで、本発明の吸収性物品用不織布を組み込んだ吸収性物品が着用者の動作に追従し、装着時の違和感を抑えることができる。
なお、30%という伸長率は、吸収性物品の着用時における不織布の変形量を想定したものである。
(残留歪みの測定方法)
測定対象の不織布から、幅25mm長さ150mmの試験片を3枚切り出す。その際、各試験片の機械方向(MD)を試験片の長さ方向とする。引張試験機(商品名:AG−IS、株式会社島津製作所製)を用い、チャック間距離Lを100mmに設定し、長さ150mmの各試験片の両端部を固定する。引張速度300mm/分で30%伸長後、同速にて原点に戻し、応力が0となる時の長さLを測定する。残留歪みを下記式(4)に従い算出する。
残留歪み(%)=(L/L−1)×100 ・・・(4)
3回の算出値の相加平均値を、不織布の残留歪みとする。
なお、上記の測定方法において、伸長率30%を100%にすることで、測定対象の樹脂がエラストマー性樹脂であるか非エラストマー性樹脂であるかを判定できる。
(坪量)
本発明の吸収性物品用不織布の坪量は、製品組み立て時の柔らかさの観点から、30g/m以下が好ましく、25g/m以下がより好ましく、20g/m以下が更に好ましい。また、本発明の吸収性物品用不織布の坪量は、不織布搬送時や製品着用時に破れにくくする観点から、1g/m以上が好ましく、3g/m以上がより好ましく、5g/m以上が更に好ましい。
(坪量の測定方法)
測定対象の不織布について、任意の位置から10cm四方の測定片を10枚切り出し、その測定片の質量(kg)と面積(m)とを測定する。質量を面積で除した値について、10枚の相加平均値を算出し、不織布の坪量とする。
(繊維充填率)
吸収性物品の薄型化を実現する観点及び手で触れた時の感触を柔らかくする観点から、本発明の吸収性物品用不織布の繊維充填率は、18%以下が好ましく、17%以下がより好ましく、16%以下が更に好ましい。また、繊維間距離を小さくし、耐水圧を一定以上に保つ観点から、本発明の吸収性物品用不織布の繊維充填率は、10%以上が好ましく、11%以上がより好ましく、12%以上が更に好ましい。繊維充填率をこの下限値以上とすることで、繊維間距離は十分に小さくなり、耐水圧も600mmHO以上を示す。
(繊維充填率の算出方法)
不織布の繊維充填率は、不織布の坪量を不織布の厚みで除することで算出する。坪量の測定方法は、前述の通りである。
(耐水圧)
本発明の吸収性物品用不織布は、耐水圧を高めることで、十分な防漏性を備え、裏面シートに好適に用いられる不織布となる。その耐水圧としては、600mmHO以上が求められ、700mmHO以上が好ましく、800mmHO以上がより好ましく、1000mmHO以上が更に好ましい。耐水圧の値は大きければ大きいほど好ましい。
従来のようにエラストマー性樹脂のみからなる不織布の場合、構成繊維が容易に伸長できる。そのため、不織布に高い水圧が掛かると、不織布内に侵入しようとする水により構成繊維が変形する。その結果、水の通り道が形成され、不織布の耐水圧は低下する。
これに対して本発明では、エラストマー性樹脂だけでなく非エラストマー性オレフィン樹脂も含有することで、構成繊維の伸長性が適度に抑えられている。その結果、不織布に高い水圧が掛かっても構成繊維が変形しにくく、不織布の耐水圧の低下を抑制できる。
(耐水圧の測定方法)
耐水圧は、JIS L1092に記載の耐水度試験に準拠して測定する。なお、測定対象の不織布の大きさが規定に満たない時には、採取できる面積の不織布に水が当たるよう測定面積を縮小した装置を組み、同様の方法で測定を行うことができる。
測定は10枚の試験片について行い、その相加平均値を不織布の耐水圧とする。
(吸収性物品)
本発明の吸収性物品用不織布は、排泄液を吸収保持する種々の吸収性物品に好適に組み込むことができる。吸収性物品の具体例としては、生理用ナプキン、パンティライナー、おむつ、失禁パッド、尿とりパッドなどが挙げられる。排泄液としても尿に限らず経血など種々のものを対象とすることができる。
前記吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に配置された吸収体を具備する。また、表面シートと吸収体との間に、液拡散性のセカンドシートが配置されてもよい。
この形態においては、本発明の吸収性物品用不織布を裏面シートに用いることが好ましく、その中でも裏面シートと吸収体が接している形態がより好ましい。本発明の吸収性物品用不織布を裏面シートに用いると、裏面シート自体で十分な耐水圧を確保でき、裏面シートと吸収体との間には透湿フィルム等の部材を配置しなくても良くなる。その結果、吸収性物品を構成する部材が少なくなり、柔らかい吸収性物品を提供できる。また、裏面シートが存在する領域が伸縮することで、着用者の体の動きに合わせて吸収性物品が変形することができる。そのため、従来の非伸縮の透湿性フィルム等の部材を配した吸収性物品よりも、吸収性物品の体への追従性が高い。その結果、着用時に生じる吸収性物品の突っ張り感を着用者に感じさせず、高い着用感の良さを着用者に与えることが可能である。
本発明の吸収性物品用不織布を裏面シートに適用した場合の表面シート、吸収体及びセカンドシートとしては、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限無く用いることができる。例えば表面シートとしては、親水性のエアスルー不織布などが挙げられる。吸収体としては、パルプ繊維の集合体、パルプ繊維と高吸収性ポリマー材との集合体、又はこれらを被覆シートで被覆してなるものなどが挙げられる。セカンドシートとしては、親水性の不織布やクレープ紙などが挙げられる。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
エラストマー性樹脂としてエチレン・αオレフィン共重合体(商品名:GA1950、密度:0.80g/cm、温度190℃荷重2.16kgにおけるMFR:500g/10分、融点:70℃)8質量部と、非エラストマー性オレフィン樹脂としてポリプロピレン(商品名:HP461Y、密度:0.94g/cm、温度200℃荷重2.16kgにおけるMFR:1300g/10分、融点:160℃)2質量部とを、溶融して混合し、メルトブローン法によって実施例1の不織布試料1を作製した。メルトブローン法による不織布試料1の作製条件は、以下の通りである。
樹脂温度(ノズルから吐出させる際の温度):170℃
単孔吐出量:0.06g/min
熱風流量:300Nm/h
熱風吹き出し幅:400mm
熱風温度:160℃
ノズル径:0.15mm、ノズル長さ:3mm、ノズルピッチ0.85mm
ノズルから捕集面までの距離:300mm
(実施例2)
樹脂温度を185℃、熱風温度を200℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の不織布試料2を作製した。
(実施例3)
樹脂温度を210℃、熱風温度を230℃とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の不織布試料3を作製した。
(実施例4)
エチレン・αオレフィン共重合体を2質量部、ポリプロピレンを8質量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の不織布試料4を作製した。
(実施例5)
樹脂温度を185℃、熱風温度を190℃とした以外は、実施例4と同様にして、実施例5の不織布試料5を作製した。
(実施例6)
樹脂温度を210℃、熱風温度を230℃とした以外は、実施例4と同様にして、実施例6の不織布試料6を作製した。
(比較例1)
エチレン・αオレフィン共重合体を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の不織布試料C1を作製した。
(比較例2)
ポリプロピレンを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2の不織布試料C2を作製した。
(比較例3)
エチレン・αオレフィン共重合体の代わりに、スチレン系エラストマー樹脂としてスチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)(商品名:S2002、密度:0.80g/cm、温度190℃荷重2.16kgにおけるMFR:70g/10分、ガラス転移温度:70℃)を用い、樹脂温度を280℃、熱風温度を280℃とした以外は、比較例2と同様にして、比較例3の不織布試料C3を作製した。
(比較例4)
樹脂温度を290℃、熱風温度を300℃とした以外は、比較例3と同様にして、比較例4の不織布試料C4を作製した。
(厚みの測定)
各不織布試料について、任意の位置から10cm四方の測定片を切り出した。その上に質量12.5g、直径56.4mmの円形のプレートを載置し、該プレートの重さを含め49Paの圧力下で、CCDレーザー変位計(レーザー発信器:LK−085、本体:LK−2110、表示部:RV−10、株式会社キーエンス製)を用い、厚みを測定した。5回測定した相加平均値を、不織布試料の厚みとした。
(試験)
各不織布試料について、前述の方法に従い、坪量、平均繊維径、地合い指数、ミクロ開孔率、耐水圧、及び30%伸長時の残留歪みを測定した。併せて、繊維充填率を前述の方法に従い算出した。
また、実施例3の不織布試料3及び比較例2の不織布試料C2については、前述の方法に従いDSCを行い、高分子結晶構造の有無を確認した。
結果を表1及び2、並びに図2に示す。
表1及び2に示す通り、実施例1〜6の不織布試料では、耐水圧がいずれも600mmHO以上であり、非エラストマー性オレフィン樹脂を用いなかった比較例2〜4の不織布試料と比較して、十分な防漏性を備えるものであった。また、実施例1〜6の不織布試料では、30%伸長時の残留歪みがいずれも15%以下であり、エラストマー性樹脂を用いず伸長試験で破断した比較例1の不織布試料と比較して、吸収性物品の着用者に違和感を生じさせない高い伸縮性を有していた。
このように、本発明の吸収性物品用不織布は、不織布であるが故に透湿性と透気性とを十分に備える部材であっても、裏面シートとしての使用に堪え得る耐水圧を備え、且つ伸縮性が高いことがわかる。

Claims (6)

  1. 構成繊維の平均繊維径が5μm以下であり、該構成繊維がエラストマー性樹脂と非エラストマー性オレフィン樹脂とを含有し、
    前記非エラストマー性オレフィン樹脂に対する前記エラストマー性樹脂の質量比が0.2以上5以下である、吸収性物品用不織布。
  2. 前記エラストマー性樹脂がオレフィン系樹脂である、請求項1記載の吸収性物品用不織布。
  3. 地合い指数が150以下である、請求項1又は2記載の吸収性物品用不織布。
  4. 30%伸長し、除荷したときの残留歪みが15%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
  5. ミクロ開孔率が5%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
  6. 表面シート、裏面シート、及び前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置された吸収体とを有し、
    前記裏面シートと前記吸収体とが接しており、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布を前記裏面シートに用いている、吸収性物品。
JP2019153210A 2019-08-23 2019-08-23 吸収性物品用不織布 Pending JP2021029612A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019153210A JP2021029612A (ja) 2019-08-23 2019-08-23 吸収性物品用不織布

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019153210A JP2021029612A (ja) 2019-08-23 2019-08-23 吸収性物品用不織布

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021029612A true JP2021029612A (ja) 2021-03-01

Family

ID=74674364

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019153210A Pending JP2021029612A (ja) 2019-08-23 2019-08-23 吸収性物品用不織布

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021029612A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005089870A (ja) * 2002-08-08 2005-04-07 Chisso Corp 弾性不織布及びこれを用いた繊維製品
JP2016069748A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 花王株式会社 不織布
JP2018141244A (ja) * 2017-02-24 2018-09-13 花王株式会社 メルトブロー不織布の製造方法
JP2019002099A (ja) * 2017-06-16 2019-01-10 花王株式会社 不織布
JP2019070221A (ja) * 2015-03-09 2019-05-09 三井化学株式会社 不織布積層体、伸縮性不織布積層体、繊維製品、吸収性物品及び衛生マスク

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005089870A (ja) * 2002-08-08 2005-04-07 Chisso Corp 弾性不織布及びこれを用いた繊維製品
JP2016069748A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 花王株式会社 不織布
JP2019070221A (ja) * 2015-03-09 2019-05-09 三井化学株式会社 不織布積層体、伸縮性不織布積層体、繊維製品、吸収性物品及び衛生マスク
JP2018141244A (ja) * 2017-02-24 2018-09-13 花王株式会社 メルトブロー不織布の製造方法
JP2019002099A (ja) * 2017-06-16 2019-01-10 花王株式会社 不織布

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5543464B2 (ja) 混繊スパンボンド不織布、その製造方法及びその用途
JP4617044B2 (ja) 区域分けされた方向性のある伸張性を有する吸収性物品
JP4033487B2 (ja) エラストマ吸収性構造
JP5698269B2 (ja) 結合ウェブ材料を備える吸収性物品
JP5606310B2 (ja) 混繊スパンボンド不織布及びその用途
MX2008015629A (es) Cubierta externa biaxialmente estirable para un articulo absorbente.
JP2015091357A (ja) 引裂抵抗性フィルムを備えた吸収性物品
KR20070090938A (ko) 신장가능 흡수 코어 및 랩
US10092461B2 (en) Three-dimensional apertured film for transmitting dynamically-deposited and statically-retained fluids
KR20020025086A (ko) 통기성인 축축함 방지재를 갖는 흡수 제품
JP2020022759A (ja) スパンボンド不織布,吸収性物品用のシートおよび吸収性物品
JP2009001930A (ja) 吸収性物品用の不織布
KR20050059200A (ko) 표면측 시트 및 음순간 패드
WO2021256146A1 (ja) スパンボンド不織布および衛生材料
JP2021029612A (ja) 吸収性物品用不織布
AU758046B2 (en) Porous sheet
WO2021065446A1 (ja) 積層伸縮不織布、衛生材料、および、積層伸縮不織布の製造方法
KR20190096022A (ko) 고흡수성 박막 코어층
JP4007688B2 (ja) 透湿フィルム及び吸収性物品
JP5643633B2 (ja) 不織布
JP7411950B2 (ja) 衛生材料の表面材及びその製造方法
JPH06166111A (ja) 吸収性物品の表面材およびその製造方法
JP3697801B2 (ja) 長繊維不織布及びそれを用いた吸収性物品
JP2002249972A (ja) メルトブロー不織布
JP2022104209A (ja) 吸収体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220614

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230314

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230418

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230725

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230913

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231024