JP2021028646A - 偏光板及び表示装置 - Google Patents

偏光板及び表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2021028646A
JP2021028646A JP2017233033A JP2017233033A JP2021028646A JP 2021028646 A JP2021028646 A JP 2021028646A JP 2017233033 A JP2017233033 A JP 2017233033A JP 2017233033 A JP2017233033 A JP 2017233033A JP 2021028646 A JP2021028646 A JP 2021028646A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refractive index
layer
polarizing plate
film
protective film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017233033A
Other languages
English (en)
Inventor
丈範 熊谷
Takenori Kumagai
丈範 熊谷
啓史 別宮
Hiroshi Bekku
啓史 別宮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2017233033A priority Critical patent/JP2021028646A/ja
Priority to PCT/JP2018/044117 priority patent/WO2019111809A1/ja
Publication of JP2021028646A publication Critical patent/JP2021028646A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/20Filters
    • G02B5/26Reflecting filters
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/20Filters
    • G02B5/28Interference filters
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
    • G02F1/133Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
    • G02F1/1333Constructional arrangements; Manufacturing methods
    • G02F1/1335Structural association of cells with optical devices, e.g. polarisers or reflectors
    • GPHYSICS
    • G09EDUCATION; CRYPTOGRAPHY; DISPLAY; ADVERTISING; SEALS
    • G09FDISPLAYING; ADVERTISING; SIGNS; LABELS OR NAME-PLATES; SEALS
    • G09F9/00Indicating arrangements for variable information in which the information is built-up on a support by selection or combination of individual elements
    • GPHYSICS
    • G09EDUCATION; CRYPTOGRAPHY; DISPLAY; ADVERTISING; SEALS
    • G09FDISPLAYING; ADVERTISING; SIGNS; LABELS OR NAME-PLATES; SEALS
    • G09F9/00Indicating arrangements for variable information in which the information is built-up on a support by selection or combination of individual elements
    • G09F9/30Indicating arrangements for variable information in which the information is built-up on a support by selection or combination of individual elements in which the desired character or characters are formed by combining individual elements

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Nonlinear Science (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Mathematical Physics (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Optical Filters (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】本発明の課題は、ケン化処理が不要であり、遮熱性能が高く、かつカールの発生を抑制できる偏光板、及び当該偏光板を備える表示装置を提供することである。【解決手段】本発明の偏光板10は、偏光子14の少なくとも一方の面側に保護フィルム11を有する偏光板10であって、偏光子14と保護フィルム11の間に、光反射性の誘電体多層膜13を備え、かつ、誘電体多層膜13が、水溶性樹脂を含有するものである。【選択図】図1

Description

本発明は、偏光板及び表示装置に関する。より詳細には、本発明は、ケン化処理が不要であり、遮熱性能が高く、かつカールの発生を抑制できる偏光板、及び当該偏光板を備える表示装置に関する。
昨今ディスプレイの表示モジュールおいて、液晶方式から有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)方式を使用する研究開発が進められている。液晶方式の場合、保護フィルムで380nm以下の紫外線をカットする必要がある。また、有機発光ダイオード方式においては、さらに有機材料の光劣化の理由から、405nm以下の短波長の光をシャープにカットする必要がある。ここで、この領域をカットする手段としては一般的に紫外線吸収剤が用いられる。しかしながら、昨今の偏光板自体を薄膜化するという要望の高まりもあって、単位膜厚あたりの光吸収量を向上させる必要があり、紫外線吸収剤では対応できなくなっている。その他にも、偏光板の構成部材である偏光子及び偏光版保護フィルムの薄膜化の要望により、偏光板全体のカールを制御が難しくなってきており、偏光板や保護フィルムでカール対策が必要とされている。
また、近年、車載機器には意匠性を有する表示モジュールが組み込まれることが検討されている(例えば、引用文献1及び引用文献2参照)。ここで、その表示モジュールに用いられた偏光板には、光が照射されることによる熱籠り等に起因した、光学機能の低下やカールの発生等の劣化が問題視されている。当該問題を解決するために、適切な光吸収剤を使用することはできるが、光透過率が低下するという問題がある。さらに、光を吸収することにより、光吸収剤が発熱の原因となるため、結果的に偏光板が劣化することも問題視されている。つまり、可視光透過率を十分に確保し、紫外線や赤外線をシャープに反射する技術が求められている。
特許第4788882号 特許第5923441号
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、ケン化処理が不要であり、遮熱性能が高く、かつカールの発生を抑制できる偏光板、及び当該偏光板を備える表示装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、偏光板を、偏光子と保護フィルムとの間に、光反射性能を有する誘電体多層膜が形成されたものとし、当該誘電体多層膜が、水溶性樹脂を含有することで、ケン化処理が不要であり、遮熱性能が高く、かつカールの発生を抑制できる偏光板を提供できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.偏光子の少なくとも一方の面側に保護フィルムを有する偏光板であって、
前記偏光子と前記保護フィルムの間に、光反射性の誘電体多層膜を備え、かつ、
前記誘電体多層膜が、水溶性樹脂を含有することを特徴とする偏光板。
2.前記誘電体多層膜が、前記水溶性樹脂として、ポリビニルアルコールを含有することを特徴とする第1項に記載の偏光板。
3.前記偏光子と前記誘電体多層膜とが、隣接して設けられていることを特徴とする第1項又は第2項に記載の偏光板。
4.前記誘電体多層膜が、300〜405nmの波長領域内の光を反射することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の偏光板。
5.前記誘電体多層膜が、900〜1215nmの波長領域内の光を反射することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の偏光板。
6.前記誘電体多層膜が、屈折率が相対的に異なる、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層されたものであることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の偏光板。
7.前記低屈折率層と前記高屈折率層とが、それぞれ屈折率の異なる無機微粒子又は樹脂を含有することで、層としての屈折率が相対的に異なることを特徴とする第6項に記載の偏光板。
8.厚さが、40〜100μmの範囲内であることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の偏光板。
9.前記保護フィルムが、シクロオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする第1項から第8項までのいずれか一項に記載の偏光板。
10.第1項から第9項までのいずれか一項に記載の偏光板を備えることを特徴とする表示装置。
本発明によれば、ケン化処理が不要であり、遮熱性能が高く、かつカールの発生を抑制できる偏光板、及び当該偏光板を備える表示装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構は明確になっていないが、以下のように推察している。
従来の偏光子と保護フィルムの貼合工程では、保護フィルムを高温のアルカリ溶液にフィルムを浸漬させる、いわゆるケン化処理を行って保護フィルム表面を親水化し、その後、水糊(PVA)等を塗布して貼合させていた。従来の方法では、仮に保護フィルムに添加剤が多く含まれている場合には、当該ケン化工程にて添加剤が溶け出して、ケン化浴槽が汚染されるという問題があった。また、ケン化後に、カールの発生等といったフィルムの変形が生じるという問題があった。
本発明の偏光板は、偏光子と保護フィルムの間に、光反射性の誘電体多層膜を備え、かつ、当該誘電体多層膜が水溶性樹脂を含有する。偏光板に光反射性の誘電体多層膜を有する構成とすることで、偏光板の遮熱性能を向上することができる。また、本発明に係る誘電体多層膜は、水溶性樹脂を含有する。そのため、偏光子及び保護フィルムへの密着性が高く、当該誘電体多層膜を介して偏光子と保護フィルムを接着できると考えられる。したがって、紫外線硬化型接着剤等の接着剤は不要で、偏光子と保護フィルムを接着できると考えられる。また、本発明の偏光板は、ケン化処理することなく偏光板保護フィルムを偏光子と接着することができる。
以上のように、本発明に係る偏光板は、偏光子と保護フィルムとの間に水溶性樹脂を含有する誘電体多層膜を備えればよい。つまり、従来の方法とは異なり、ケン化処理が不要であり、接着剤も不要で偏光子と保護フィルムと接着できる。このような偏光板では、両面で異なる種類の保護フィルムが使用され、かつ膜厚も異なることが多いため、カールの調整が難しい。そこで、片方の保護フィルムに誘電体多層膜を設けることで、カールの調整代(しろ)が増加するので(カールの調整をしながら次の層を積層し、多層膜を形成することができるので)、カールの発生を抑制することができると推察される。
本発明の偏光板の基本的構成の一例を示す概略断面図 本発明の有機EL表示装置の構成の一例を示す概略断面図 本発明の液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面側に保護フィルムを有する偏光板であって、前記偏光子と前記保護フィルムの間に、光反射性の誘電体多層膜を備え、かつ、前記誘電体多層膜が、水溶性樹脂を含有することを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通する又は対応する技術的特徴である。
実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記誘電体多層膜が、前記水溶性樹脂として、ポリビニルアルコールを含有することが好ましい。
また、前記偏光子と前記誘電体多層膜とが、隣接して設けられていることが好ましい。
さらに、例えば有機EL(Electroluminescence)表示装置への適応性の観点から、すなわち、有機EL表示装置に用いられている有機材料の光劣化を防止するために、前記誘電体多層膜が、300〜405nmの波長領域内の光を反射することが好ましい。
なお、有機材料の熱による劣化を防止するために、前記誘電体多層膜が、900〜1215nmの波長領域内の光を反射することも好ましい。
本発明においては、前記誘電体多層膜が、屈折率が相対的に異なる、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層されたものであることが、光反射性の観点から好ましい。
また、同様の理由に基づき、前記低屈折率層と前記高屈折率層とが、それぞれ屈折率の異なる無機微粒子又は樹脂を含有することで、層としての屈折率が相対的に異なることが好ましい。さらに、本発明の偏光板の厚さが、40〜100μmの範囲内であることが好ましい。
前記保護フィルムが、シクロオレフィン系樹脂を含有することが、本発明の効果を有効に得ることができ、かつ耐湿性を高めやすいという観点から、好ましい。
本発明の偏光板は、各種表示装置に好適に用いることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪偏光板≫
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面側に保護フィルムを有する偏光板であって、前記偏光子と前記保護フィルムの間に、光反射性の誘電体多層膜を備え、かつ、当該誘電体多層膜が、水溶性樹脂を含有するものである。
図1に本発明の偏光板の基本的構成の一例を示す概略断面図を示す。図1に示した偏光板(10)においては、第1の保護フィルム(11)と偏光子(14)の間に誘電体多層膜(13)が配置されており、偏光子(14)のもう一方の面には第2の保護フィルム(12)が備えられている。前記保護フィルムの少なくとも一つは位相差フィルムとしての機能も有することが好ましい。また、誘電体多層膜(13)は、図1に示すように、例えば、低屈折率層(13a)と高屈折率層(13b)が交互に積層されたものであることが好ましい。低屈折率層(13a)と高屈折率層(13b)とは、それぞれ屈折率の異なる無機微粒子又は樹脂を含有することで、層としての屈折率が相対的に異なることが好ましい。
本発明に係る偏光板は、図1に示すような構成で実現可能なため、薄膜化が可能である。具体的には、液晶表示装置や有機EL表示装置等の各種表示装置に適用できるように、偏光板の厚さが40〜100μmの範囲内であることが好ましく、49〜99μmの範囲内であることがより好ましい。
以下、偏光子、誘電体多層膜、及び保護フィルムの順に詳細な説明をする。
<偏光子>
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素又は二色性染料で染色したフィルム(好ましくはさらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよいし;ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素又は二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、さらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。偏光子の吸収軸は、通常、最大延伸方向と平行である。
例えば、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、ケン化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールが用いられる。中でも、熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。
偏光子の厚さは、5〜30μmであることが好ましく、偏光板を薄型化するため等から、5〜25μmであることがより好ましい。
<誘電体多層膜>
本発明に係る光反射性の誘電体多層膜は、種々の態様の構成をとり得るが、誘電体である無機又は有機微粒子及び水溶性樹脂を含有し、かつ光反射性を有することを特徴とする。光反射性については、光の波長により選択的に反射する態様のものであることが好ましい。特に、300〜405nm及び900〜1215nmの波長領域内の光を反射するものであることが好ましい。
また、本発明において「水溶性樹脂」とは、25℃における水100gに対し、1.0g以上溶解する樹脂をいう。また、熱水に溶解させた後、25℃で同様に溶解している樹脂も、本発明でいう水溶性樹脂として定義する。水溶性樹脂は、公知の水溶性樹脂を用いることができ、具体例としては、後述の水溶性樹脂として例示されているものを用いることができる。
また、本発明において「光を反射する」とは、表面反射率が10%以上であることをいう。したがって、例えば、「300〜405nmの波長領域内の光を反射する」とは、300〜405nmの波長領域の光の表面反射率が10%以上であるということを意味する。
また、本発明において「光反射性の誘電体多層膜」の「光反射性」とは、特定の波長領域で表面反射率よりも高い反射特性を有することをいう。
このような光反射特性を実現するために、本発明に係る誘電体多層膜は、基本的には、例えば、高屈折率の誘電体薄膜と低屈折率の誘電体薄膜とを交互に複数層積層させたものであることが好ましい。層の種類は2種に限定されず、それ以上の種類であってもよい。
誘電体薄膜の積層順については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、隣接する膜の屈折率が高い場合にはそれより低い屈折率の膜を最初に積層する。その逆に隣接する層の屈折率が低い場合にはそれより高い屈折率の膜を最初に積層する。
なお、屈折率が高いか低いかは絶対的なものではなく、相対的なものである。すなわち、「低屈折率層」及び「高屈折率層」なる用語は、隣接した2層の屈折率差を比較した場合に、相対的に、屈折率が低い方の屈折率層を低屈折率層とし、高い方の屈折率層を高屈折率層と定義する。
したがって、「低屈折率層」及び「高屈折率層」なる用語は、誘電体多層膜を構成する各屈折率層において、隣接する二つの屈折率層に着目した場合に、各屈折率層が同じ屈折率を有する形態以外のあらゆる形態を含むものである。
(特定の波長領域内の光を反射するための誘電体多層膜の構成)
特定の波長領域内の光を反射するための誘電体多層膜は、低屈折率層及び高屈折率層の層厚及び積層数を調整することによって、形成することができる。以下、低屈折率層の屈折率を1.5、高屈折率層の屈折率を1.7とした場合において、300〜405nmの波長領域内の光を反射する誘電体多層膜の構成の一例を説明する。
まず、低屈折率層が300〜405nmの波長領域内の光を効率的に反射できる層厚について説明する。低屈折率層をその波長領域内の光をよく反射できるようにするためには、例えば、低屈折率層の光反射率のピークの位置に対応する波長を、その波長領域の中央値である352.5nmとすることで実現できる。この場合、下記式1のように、この「中央値の波長」を「屈折率×4」で除することによって、この中央値の波長が光反射率のピークの位置に対応する波長となる低屈折率層の層厚を算出することができる。
式1:中央値の波長/(屈折率×4)=低屈折率層の層厚
上記の例の場合は、中央値の波長:352.5nm、屈折率:1.5であるので、低屈折率層の層厚は58.8nmと算出することができる。すなわち、低屈折率層の層厚を58.8nmとすることで、低屈折率層が300〜405nmの波長領域内の光を効率的に反射できる。
高屈折率層における、300〜405nmの波長領域内の光を効率的に反射できる層厚は、低屈折率層と同様に上記式1により算出できる。具体的には、中央値の波長:352.5nm、屈折率:1.7であるので、高屈折率層の層厚は51.8nmと算出することができる。
低屈折率層と、高屈折率層の積層数を増やせば、より高い反射率とすることができる。
したがって、誘電体多層膜を構成する低屈折率層(層厚:58.8nm、屈折率:1.5)と、高屈折率層(層厚:51.8nm、屈折率:1.7)とを、所望の光反射率を有するようになるまで積層数を増やして交互に積層することで、300〜405nmの波長領域内の光を反射する誘電体多層膜を形成することができる。
次に、2つの特定の波長領域内の光を反射するための誘電体多層膜の構成について説明する。2つの特定の波長領域内の光を反射するための誘電体多層膜も、低屈折率層及び高屈折率層のそれぞれの層厚を調整することによって、形成することができる。以下、低屈折率層の屈折率を1.5、高屈折率層の屈折率を1.7とした場合において、構成波長領域300〜405nm及び900〜1215nmの両方の波長領域内の光を反射する誘電体多層膜の構成の一例を説明する。
低屈折率層が900〜1215nmの波長領域内の光を効率的に反射できる層厚は、上記式1により算出できる。具体的には、中央値の波長:1057.5nm、屈折率:1.5であるので、高屈折率層の層厚は176.3nmと算出することができる。
また、高屈折率層が900〜1215nmの波長領域内の光を効率的に反射できる層厚も、上記式1により算出できる。具体的には、中央値の波長:1057.5nm、屈折率:1.7であるので、高屈折率層の層厚は155.5nmと算出することができる。
さらに、多層膜による反射の場合、反射ピークに対応する位置の波長の1/3の付近の波長域にも強い反射が発生するため、1057.5nm/3=352.5nmの付近の波長域でも反射率が大きくなる。
したがって、誘電体多層膜を構成する低屈折率層(層厚:176.3nm、屈折率:1.5)と、高屈折率層(層厚:155.5nm、屈折率:1.7)とを、所望の光反射率を有するようになるまで積層数を増やして交互に積層することで、300〜405nm及び900〜1215nmの両方の波長領域内の光を反射する誘電体多層膜を形成することができる。
各誘電体多層膜は、その構成材料として誘電体成分が含有されていることが必要であるが、具体的には、少なくとも無機微粒子と水溶性樹脂を含有する。以下、各成分について説明する。
(無機微粒子)
本発明において、低屈折率層及び高屈折率層は、無機微粒子として金属酸化物粒子を含有することが好ましい。以下、低屈折率層及び高屈折率層のそれぞれについて説明する。
〈低屈折率層に適用可能な無機微粒子(金属酸化物粒子)〉
本発明に係る低屈折率層には、金属酸化物粒子としては、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、酸化亜鉛、アルミナ、コロイダルアルミナ等が挙げられる。これらのうち、コロイダルシリカゾル、特に酸性のコロイダルシリカゾルを用いることがより好ましく、有機溶媒に分散させたコロイダルシリカを用いることが特に好ましい。
また、屈折率をより低減させるために、低屈折率層の金属酸化物粒子として、粒子の内部に空孔を有する中空微粒子を用いてもよく、特に酸化ケイ素(二酸化ケイ素)の中空微粒子が好ましい。また、酸化ケイ素以外の公知の金属酸化物粒子(無機酸化物粒子)も使用することができる。屈折率を調整するために、低屈折率層に含まれる金属酸化物粒子としては、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
低屈折率層に含まれる酸化ケイ素粒子は、その平均粒径(個数平均;直径)が3〜100nmであることが好ましい。一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗布前の分散液状態での粒径)は、3〜50nmであることがより好ましく、3〜40nmであることがさらに好ましく、3〜20nmであることが特に好ましく、4〜10nmであることが最も好ましい。また、二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
また、低屈折率層に含まれる酸化ケイ素粒子の粒径は、一次平均粒径の他に、体積平均粒径により求めることもできる。
本発明に適用可能なコロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、例えば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、及び国際公開第94/26530号などに記載されているものである。
このようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、日産化学工業株式会社から販売されているスノーテックスシリーズ(スノーテックスOS、OXS、S、OS、20、30、40、O、N、C等)が挙げられる。
コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよく、また、Al、Ca、Mg又はBa等で処理されたものであってもよい。
また、低屈折率層の酸化ケイ素粒子としては、上述のように、中空粒子を用いることもできる。中空微粒子を用いる場合には、平均粒子空孔径が、3〜70nmであると好ましく、5〜50nmであるとより好ましく、5〜45nmであるとさらに好ましい。
なお、中空微粒子の平均粒子空孔径とは、中空微粒子の内径の平均値である。中空微粒子の平均粒子空孔径は、上記範囲であれば、十分に低屈折率層の屈折率が低屈折率化される。平均粒子空孔径は、電子顕微鏡観察で、円形、楕円形又は実質的に円形は楕円形として観察できる空孔径を、ランダムに50個以上観察し、各粒子の空孔径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。なお、平均粒子空孔径は、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる空孔径の外縁を、2本の平行線で挟んだ距離のうち、最小の距離を意味する。
低屈折率層における酸化ケイ素粒子の含有量は、低屈折率層の全固形分に対して、20〜90質量%であることが好ましく、30〜85質量%であることがより好ましく、40〜80質量%であることがさらに好ましい。20質量%以上であると、所望の屈折率が得られ90質量%以下であると塗布性が良好となり好ましい。
上記低屈折率層の酸化ケイ素粒子及び2種以上のカチオンポリマーは、複数存在する低屈折率層の少なくとも1層に含まれていればよい。
〈高屈折率層に適用可能な無機微粒子(金属酸化物粒子)〉
本発明に係る高屈折率層においては、金属酸化物粒子を含有することが好ましい。高屈折率層に適用する金属酸化物粒子としては、上記説明した低屈折率層に適用する金属酸化物粒子とは異なることが好ましい。
本発明に係る高屈折率層に用いられる金属酸化物粒子としては、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化亜鉛粒子、アルミナ粒子、コロイダルアルミナ、酸化ニオブ粒子、酸化ユウロピウム粒子、ジルコン粒子等を挙げることができる。
上記金属酸化物粒子は、それぞれ1種単独で用いても、又は2種以上混合して用いてもよい。上記金属酸化物粒子の中でも、酸化ジルコニウム粒子を含有することが好ましい。酸化ジルコニウム粒子を含む高屈折率層は、透明でより高い屈折率を発現することができる。また、光触媒活性が低いことから、高屈折率層や隣接した低屈折率層の耐光性、耐候性が高くなる。なお、本発明において、酸化ジルコニウムとは二酸化ジルコニウム(ZrO)を意味する。
上記酸化ジルコニウム粒子は、立方晶でも正方晶であってもよく、また、それらの混合物であってもよい。
高屈折率層に含まれる酸化ジルコニウム粒子の大きさは、特に制限されるものではないが、体積平均粒径又は一次平均粒径により求めることができる。高屈折率層で用いられる酸化ジルコニウム粒子の体積平均粒径は、100nm以下であると好ましく、1〜100nmであるとより好ましく、2〜50nmであるとさらに好ましい。また、高屈折率層で用いられる酸化ジルコニウム粒子の一次平均粒径は、100nm以下であることが好ましく、1〜100nmであることがより好ましく、2〜50nmであることがさらに好ましい。体積平均粒径又は一次平均粒径が1〜100nmの範囲内であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
なお、本明細書でいう体積平均粒径とは、粒子そのものをレーザー回折散乱法、動的光散乱法、又は電子顕微鏡を用いて観察する方法や、屈折率層の断面や表面に現れた粒子像を電子顕微鏡で観察する方法により、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する粒子の集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、体積平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた平均粒径を算出する。
また、本明細書において、一次平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。
透過型電子顕微鏡から求める場合、粒子の一次平均粒径は、粒子そのもの、又は屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
また、酸化ジルコニウム粒子としては、水系の酸化ジルコニウムゾルの表面を変性して有機溶剤等に分散可能な状態にしたものを用いてもよい。
酸化ジルコニウム粒子又はその分散液の調製方法としては、従来公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、特開2014−80361号公報に記載されるように、ジルコニウム塩を水中にてアルカリと反応させて、酸化ジルコニウム粒子のスラリーを調製し、有機酸を加えて水熱処理する方法が用いられうる。
酸化ジルコニウム粒子は、市販のものを使用してもよく、例えば、SZR−W、SZR−CW、SZR−M、及びSZR−K等(以上、堺化学工業株式会社製)を好適に使用することができる。
さらに、本発明で用いられる酸化ジルコニウム粒子は、単分散性であることが好ましい。
高屈折率層における酸化ジルコニウム粒子の含有量としては、特に制限されないが、高屈折率層の全固形分に対して、15〜95質量%であると好ましく、20〜90質量%であるとより好ましく、30〜90質量%であるとさらにより好ましい。上記範囲とすることで、光反射特性の良好なものとできる。
本発明に係る誘電体多層膜において、高屈折率層には、酸化ジルコニウム粒子以外にも、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、アルミナ、コロイダルアルミナ、酸化ニオブ、酸化ユウロピウム等の金属酸化物粒子(高屈折率金属酸化物微粒子)を用いることができる。なお、上記高屈折率金属酸化物微粒子は、屈折率を調整するために、1種であっても2種以上を併用してもよい。なお、上記酸化ジルコニウム以外の高屈折率金属酸化物微粒子の大きさは、特に制限されないが、体積平均粒径が1〜100nm以下であると好ましく、3〜50nmであるとより好ましい。一次平均粒径が1〜100nm以下であると好ましく、3〜50nmであるとより好ましい。また、高屈折率層における上記高屈折率金属酸化物微粒子の含有量としては、特に制限されないが、酸化ジルコニウムと組み合わせる場合においては、酸化ジルコニウム粒子の含有量と高屈折率金属酸化物微粒子の含有量との和が、高屈折率層の全固形分に対して、15〜95質量%となるように調整されると好ましく、20〜80質量%であるとより好ましく、30〜80質量%であるとさらにより好ましい。
なお、酸化ジルコニウムと他の金属酸化物微粒子を組み合わせる場合、高屈折率層に用いられる金属酸化物粒子の総量(酸化ジルコニウム粒子と上記酸化ジルコニウム以外の高屈折率金属酸化物微粒子との合計量)に対して、酸化ジルコニウム粒子の含有量は80〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることが好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
上記高屈折率層の酸化ジルコニウム粒子は、複数存在する高屈折率層の少なくとも1層に含まれていればよい。
〈低屈折率層の水溶性樹脂〉
本発明に係る低屈折率層には、従来公知の水溶性樹脂を用いることができる。
本発明に係る低屈折率層においては、特に、ポリビニルアルコール系樹脂をバインダー樹脂として用いることが好ましい。
ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1000以上であることが好ましく、平均重合度が1500〜5000であることが特に好ましい。また、ケン化度は、70〜100%であることが好ましく、80〜99.9%であることが特に好ましい。
本発明で用いられるポリビニルアルコールは、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。ポリビニルアルコールとして用いられる市販品の例としては、例えば、PVA−102、PVA−103、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−235(以上、株式会社クラレ製)、JC−25、JC−33、JF−03、JF−04、JF−05、JP−03、JP−04、JP−05、JP−45(以上、日本酢ビ・ポバール株式会社製)等が挙げられる。
本発明に適用するバインダー樹脂は、本発明の効果を損なわない限りでは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、一部が変性された変性ポリビニルアルコールを含んでもよい。このような変性ポリビニルアルコールを含むと、膜の密着性や耐水性、柔軟性が改良される場合がある。
変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
また、酢酸ビニル系樹脂(例えば、株式会社クラレ製「エクセバール」)、ポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させて得られるポリビニルアセタール樹脂(例えば、積水化学工業株式会社製「エスレック」)、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール(例えば、株式会社クラレ製「R−1130」)、分子内にアセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂(例えば、日本合成化学工業株式会社製「ゴーセファイマー(登録商標)Z/WRシリーズ」)等もポリビニルアルコール系樹脂に含まれる。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報及び同63−307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されているような疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシ基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1級〜第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
ビニルアルコール系ポリマーとしては、エクセバール(前出)やニチゴーGポリマー(商品名:日本合成化学工業株式会社製)などが挙げられる。
低屈折率層においては、上記ポリビニルアルコール系樹脂以外に、本発明の目的効果を損なわない範囲でその他のバインダー樹脂を適用することができる。
〈高屈折率層のバインダー樹脂〉
高屈折率層に適用可能なバインダー樹脂としては、成膜性が良好である観点から、低屈折率層で説明したのと同様のポリビニルアルコール系樹脂を適用すること特に好ましいが、その他には、ポリ(メタ)アクリレート等を適用することができる。
高屈折率層を構成するバインダー樹脂は1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
ポリ(メタ)アクリレートとしては、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの重合体であり、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートが挙げられる。
高屈折率層に含まれるポリ(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、10000〜1000000程度であり、50000〜800000であることが好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した値を採用する。
〈その他の水溶性樹脂〉
更に、本発明に係る低屈折率層や高屈折率層に適用可能なその他の水溶性樹脂としては、例えば、ゼラチン、セルロース類、増粘多糖類、反応性官能基を有するポリマー等を挙げることができ、その詳細については、例えば、特開2012−27288号公報、特開2012−139938号公報、特開2012−185342号公報、特開2012−215733号公報、特開2012−220708号公報、特開2012−242644号公報、特開2012−252137号公報、特開2013−4916号公報、特開2013−97248号公報、特開2013−148849号公報、特開2014−89347号公報、特開2014−201450号公報、特開2014−215513号公報等の記載を参照することができる。
(各屈折率層に適用可能なその他の添加剤)
本発明に係る高屈折率層及び低屈折率層に適用可能な各種の添加剤を、以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、及び特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報、及び特開平3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオン又はノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報、及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、ポリエステル樹脂、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
〔誘電体多層膜の積層構造〕
本発明に係る誘電体多層膜は、保護フィルム上に無機微粒子を含有する高屈折率層と低屈折率層が交互に積層して形成された多層の光学干渉膜である。
一般に、誘電体多層膜においては、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で所望の光、例えば、紫外線や赤外線に対する反射率を高くすることができるという観点から好ましい。本発明においては、少なくとも隣接した2層(高屈折率層及び低屈折率層)の屈折率差が0.15以上であることが好ましく、より好ましくは0.2以上であり、特に好ましくは0.21以上である。また、上限には特に制限はないが通常0.5以下である。
この屈折率差と、必要な層数とについては、市販の光学設計ソフト(例えば、(FTG Software Associates Film DESIGN Version 2.23.3700))を用いてシミュレーション又は計算することができる。例えば、近赤外線反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと200層以上の積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下し、故障なく製造することも非常に困難になる場合がある。
誘電体多層膜において、高屈折率層及び低屈折率層を交互に積層する場合には、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が、上記好適な屈折率差の範囲内にあることが好ましい。
本発明に係る誘電体多層膜は反射率をアップさせる特定波長領域を変えることにより、紫外線反射膜(フィルム)や可視光線反射膜(フィルム)や近赤外線反射膜(フィルム)とすることができる。すなわち、反射率をアップさせる特定波長領域を可視光領域に設定すれば可視光線反射膜(フィルム)となり、近赤外領域に設定すれば近赤外線反射膜(フィルム)となる。また、反射率をアップさせる特定波長領域を紫外光領域に設定すれば、紫外線反射膜(フィルム)となる。
本発明に係る誘電体多層膜における低屈折率層は、屈折率が1.10〜1.60であることが好ましく、より好ましくは1.30〜1.50である。高屈折率層は、屈折率が1.65〜1.80であることが好ましく、より好ましくは1.70〜1.75である。
屈折率層の1層(最下層、最表層を除く)あたりの厚さ(乾燥後の層厚)は、20〜1000nmであることが好ましく、50〜500nmであることがより好ましく、50〜350nmであることがより好ましい。
本発明において、誘電体多層膜の全体の厚さは、好ましくは12〜315μm、より好ましくは15〜200μm、さらに好ましくは20〜100μmである。
さらに、光学特性をより良好なものとするために、誘電体多層膜のヘイズは小さい方が好ましく、0〜1.5%であるとより好ましい。
〔誘電体多層膜の形成方法〕
本発明に係る誘電体多層膜の形成方法としては、前述のように、保護フィルム上に、高屈折率層と低屈折率層とを積層して形成することができる方法であれば、いかなる方法でも用いられ得る。
具体的には、保護フィルム上に、高屈折率層と低屈折率層とを交互に塗布、乾燥して積層体を形成することが好ましい。具体的には以下の形態が挙げられる。
(1)保護フィルム、例えば、PETフィルム上に、高屈折率層用塗布液を塗布・乾燥して高屈折率層を形成した後、低屈折率層用塗布液を塗布・乾燥して低屈折率層を形成し、これを順次繰り返して行い誘電体多層膜を形成する方法、
(2)保護フィルム上に、低屈折率層用塗布液を塗布・乾燥して低屈折率層を形成した後、高屈折率層用塗布液を塗布・乾燥して高屈折率層を形成し、これを順次繰り返して行い誘電体多層膜を形成する方法、
(3)保護フィルム上に、高屈折率層用塗布液と、低屈折率層用塗布液とを逐次重層塗布した後乾燥して、所定の層数の高屈折率層及び低屈折率層で構成されている誘電体多層膜を形成する方法、
(4)保護フィルム上に、高屈折率層用塗布液と、低屈折率層用塗布液とをウェット状態で複数層積層し、所定の層数を同時重層塗布・乾燥して、高屈折率層及び低屈折率層を含む誘電体多層膜を形成する方法、などが挙げられる。
なかでも、より簡便な製造プロセスとなる上記(4)の方法が好ましい。すなわち、本発明の誘電体多層膜の形成方法としては、水系同時重層塗布法により、高屈折率層及び低屈折率層とを複数層積層する態様の方法であることが好ましい。
塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、又は米国特許第2761419号明細書、同第2761791号明細書に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液を調製するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、又はその混合溶媒が好ましい。本発明においては、各屈折率層の構成バインダー樹脂としてポリビニルアルコールを主として用いることが好ましいが、このように、ポリビニルアルコールを用いることにより、水系溶媒による塗布が可能となる。
さらに、本発明では、ヘイズの低減やクラックの抑制のため、2種以上のカチオンポリマーを低屈折率層用塗布液に添加することが好ましい。水系溶媒は、有機溶媒を用いる場合と比較して、大規模な生産設備を必要とすることがないため、生産性の点で好ましく、また環境保全の点でも好ましい。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でも又は2種以上混合して用いてもよい。環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、水系溶媒が好ましく、水、又は水とメタノール、エタノール、若しくは酢酸エチルとの混合溶媒がより好ましく、水が特に好ましい。
水と少量の有機溶媒との混合溶媒を用いる際、当該混合溶媒中の水の含有量は、混合溶媒全体を100質量%として、80〜99.9質量%であることが好ましく、85〜99.5質量%であることがより好ましい。ここで、80質量%以上にすることで、溶媒の揮発による体積変動が低減でき、ハンドリングが向上し、また、99.9質量%以下にすることで、液添加時の均質性が増し、安定した液物性を得ることができるからである。
高屈折率層用塗布液中の樹脂の濃度(複数種類の樹脂を用いる場合は、その合計濃度)は、0.5〜10質量%であることが好ましい。また、高屈折率層用塗布液中の例えば酸化ジルコニウムを含む金属酸化物粒子の合計濃度は、1〜50質量%であることが好ましい。
低屈折率層用塗布液中の樹脂の濃度は、0.5〜10質量%であることが好ましい。また、低屈折率層用塗布液中の酸化ケイ素粒子を含む金属酸化物粒子の合計濃度は、1〜50質量%であることが好ましい。また、低屈折率層用塗布液中における2種以上のカチオンポリマーの含有量は、各カチオンポリマーが、例えば酸化ケイ素粒子を含む金属酸化物粒子の合計質量に対して、例えば0.5〜20質量%であり、2〜20質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましく、3〜5質量%であることがさらにより好ましい。
高屈折率層用塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、金属酸化物粒子、樹脂バインダー、例えば、ポリビニルアルコール、さらに必要に応じて添加されるその他の添加剤を添加し、撹拌混合する方法が挙げられる。この際、各成分の添加順も特に制限されず、撹拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、撹拌しながら一度に添加し混合してもよい。
低屈折率層用塗布液の調製方法も、特に制限されず、例えば、金属酸化物粒子、樹脂バインダー、例えば、ポリビニルアルコール、さらに必要に応じて添加されるその他の添加剤を添加し、撹拌混合する方法が挙げられる。この際、各成分の添加順も特に制限されず、撹拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、撹拌しながら一度に添加し混合してもよい。
また、本発明において、同時重層塗布を行う場合は高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液に用いるポリビニルアルコールのケン化度が異なることが好ましい。ケン化度が異なることによって塗布、乾燥工程の各工程において層の混合を抑制することができる。
同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の温度は、スライドホッパー塗布方式を用いる場合は、25〜60℃の温度範囲が好ましく、30〜45℃の温度範囲がより好ましい。また、カーテン塗布方式を用いる場合は、25〜60℃の温度範囲が好ましく、30〜45℃の温度範囲がより好ましい。
同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液と低屈折率層用塗布液の粘度は、特に制限されない。しかしながら、スライドビード塗布方式を用いる場合には、上記の塗布液の好ましい温度の範囲において、5〜160mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは60〜140mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、上記の塗布液の好ましい温度の範囲において、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。このような粘度の範囲であれば、効率よく同時重層塗布を行うことができる。
塗布及び乾燥方法の条件は、特に制限されないが、例えば、逐次塗布法の場合は、まず、30〜60℃に加温した高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液のいずれか一方を保護層上に塗布、乾燥して層を形成した後、もう一方の塗布液をこの層上に塗布、乾燥して積層膜前駆体を形成する。
次に、所望の光反射性能を発現するために必要な積層数を、前記方法にて逐次塗布、乾燥して積層させて積層膜前駆体を得る。乾燥する際は、形成した塗膜を、30℃以上で乾燥することが好ましい。例えば、湿球温度5〜50℃、膜面温度5〜100℃(好ましくは10〜50℃)の範囲で乾燥するのが好ましく、例えば、40〜60℃の温風を1〜5秒吹き付けて乾燥する。
また、同時重層塗布を行う場合の塗布及び乾燥方法の条件は、高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液を30〜60℃に加温して、保護層上に高屈折率層用塗布液及び低屈折率層用塗布液の同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を好ましくは1〜15℃に一旦冷却し(セット)、その後10℃以上で乾燥することが好ましい。より好ましい乾燥条件は、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件である。例えば、40〜80℃の温風を1〜5秒吹き付けて乾燥する。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜の均一性向上の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
(保護フィルム)
本発明に係る保護フィルムとしては、種々の熱可塑性樹脂フィルムを用いることができる。また、当該保護フィルムには、目的に応じて、後述する種々の化合物を含有させることができる。
熱可塑性樹脂の例としては、セルロースアシレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、スチレン系樹脂等が挙げられる。中でも、位相差を発現しにくく、耐湿性又は耐熱性が良好である点から、セルロースアシレート、アクリル系樹脂、及びシクロオレフィン系樹脂が好ましい。保護フィルムに含まれる熱可塑性樹脂は、1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせたものであってもよい。
〈セルロースアシレート〉
セルロースアシレートは、セルロースのヒドロキシ基の一部又は全部が、カルボン酸とエステル化反応して得られる樹脂である。セルロースアシレートに含まれるアシル基は、1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせたものであってもよい。
セルロースアシレートに含まれるアシル基は、脂肪族アシル基であってもよいし、芳香族アシル基であってもよい。中でも、位相差の調整が容易である点から、セルロースアシレートに含まれるアシル基は、脂肪族アシル基であることが好ましい。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、2〜7であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル基、プロピオニル基及びブタノイル基等が含まれる。
中でも、セルロースアシレートのアシル基は、耐熱性を高めやすい点から、アセチル基を含むことが好ましく、必要に応じて炭素原子数3以上のアシル基をさらに含んでもよい。炭素原子数3以上のアシル基は、セルロースアシレートに疎水性を付与し得る。
セルロースアシレートの例には、セルロースアセテート(セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレート等が含まれ、位相差を発現しにくく、良好な耐熱性を有することから、セルロースアセテート及びセルロースアセテートプロピオネートが好ましい。
セルロースアシレートのアシル基の総置換度は、2.0〜3.0であることが好ましく、2.6〜3.0であることがより好ましい。アシル基の総置換度を高めることで、延伸による位相差発現性を低くすることができる。アシル基の置換度は、ASTM−D817−96に準じて測定することができる。
具体的には、以下の式(1)〜(3)を満たすセルローストリアセテート又はセルロースアセテートプロピオネートが好ましい。式中、Xはアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基の置換度である。
式(1)1.0≦X≦3.0
式(2) 0≦Y≦1.5
式(3)2.0≦X+Y≦3.0
セルロースアシレートの数平均分子量Mnは、30000〜150000であることが好ましい。セルロースアシレートの数平均分子量Mnが30000以上であると、保護フィルムの機械的強度が得られやすく、150000以下であると、成形性が損なわれにくい。セルロースアシレートの重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)は、1.4〜3.0程度であり得る。
セルロースアシレートの数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。測定条件は、以下のとおりである。
(測定条件)
溶媒:ジクロロメタン
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000((株)日立製作所製)
流量:1.0mL/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
〈アクリル系樹脂〉
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体;又は(メタ)アクリル酸エステルとそれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体であり得る。なお、(メタ)アクリル酸エステルには、アクリル酸エステルと、メタクリル酸エステルの両方が含まれる。
(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、メタクリル酸メチルであることがより好ましい。
(メタ)クリル酸メチルと共重合可能な他のモノマーの例には、アルキル部分の炭素原子数が2〜18のメタクリル酸アルキルエステル;アルキル部分の炭素原子数が1〜18のアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸;スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル;無水マレイン酸、グルタル酸無水物等の酸無水物;マレイミド、N−置換マレイミド等が含まれる。これらの他のモノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとそれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体におけるメタクリル酸メチル由来の構造単位の含有割合は、該共重合体を構成する全構成単位の合計に対して30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましい。
アクリル系樹脂の例には、ポリメチルメタクリレート等が含まれる。
アクリル系樹脂の重量平均分子量Mwは、80000〜1000000であることが好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量Mwが80000以上であると、保護フィルムの機械的強度が得られやすく、1000000以下であると、成形性が損なわれにくい。アクリル系樹脂の重量平均分子量Mwは、前述と同様の方法で測定できる。
〈シクロオレフィン系樹脂〉
シクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィン単量体の重合体、又はシクロオレフィン単量体とそれ以外の共重合性単量体との共重合体である。
シクロオレフィン単量体は、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体である。位相差値RoやRt(特にRt)が低い保護フィルムを得る観点から、非対称な構造を有するシクロオレフィン単量体を含むことが好ましい。非対称な構造を有するシクロオレフィン単量体の例には、下記一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体が含まれる。
Figure 2021028646
一般式(A−1)のRは、水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。中でも、炭素数1〜5の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜3の炭化水素基がより好ましい。
一般式(A−1)のRは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子)を表す。中でも、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基が好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基がより好ましい。
一般式(A−1)のpは、0〜2の整数を表す。pは、1又は2であることが好ましい。
一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体は、非対称な構造を有する。即ち、一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体の置換基R及びRが、分子の対称軸に対して片側の環構成炭素原子のみに置換されているので、分子の対称性が低い。そのような非対称な構造を有するシクロオレフィン単量体は、主鎖がx方向に並んでも、側鎖がxy面内だけでなく、それ以外の種々の方向を向くため、Roのみが発現しやすく、Rtが大きくなりにくいと考えられる。
一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体の含有割合は、シクロオレフィン系重合体を構成する全シクロオレフィン単量体の合計に対して、例えば50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80モル%以上とし得る。一般式(A−1)で表される単量体を一定以上含むシクロオレフィン系重合体は、保護フィルムのRtを低くしやすい。
シクロオレフィン単量体は、必要に応じて一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体以外の他のシクロオレフィン単量体をさらに含んでもよい。他のシクロオレフィン単量体の例には、下記一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体が含まれる。
Figure 2021028646
一般式(A−2)のR〜Rは、独立して水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基、又は極性基を表す。ただし、R〜Rの全てが同時に水素原子を表すことはなく、RとRが同時に水素原子を表すことはなく、RとRが同時に水素原子を表すことはないものとする。
炭素原子数1〜30の炭化水素基は、炭素原子数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数1〜5の炭化水素基であることがより好ましい。炭素原子数1〜30の炭化水素基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はケイ素原子を含む連結基をさらに有していてもよい。そのような連結基の例には、カルボニル基、イミノ基、エーテル結合、シリルエーテル結合、チオエーテル結合等の2価の極性基が含まれる。炭素原子数1〜30の炭化水素基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が含まれる。
極性基の例には、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基及びシアノ基が含まれる。中でも、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基が好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基が好ましい。
一般式(A−2)のpは、0〜2の整数を示す。pは、1又は2であることが好ましい。
一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物15〜34に示し、一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物1〜14に示す。
Figure 2021028646
他のシクロオレフィン単量体の例には、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン等も含まれる。
シクロオレフィン単量体と共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロオレフィン単量体と開環共重合可能な共重合性単量体、シクロオレフィン単量体と付加共重合可能な共重合性単量体が含まれる。
開環共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン及びシクロオクタジエン等のシクロオレフィンが含まれる。
付加共重合可能な共重合性単量体の例には、不飽和二重結合含有化合物、ビニル系環状炭化水素単量体、(メタ)アクリレートが含まれる。不飽和二重結合含有化合物の例には、炭素原子数2〜12(好ましくは2〜8)のオレフィン系化合物であり、その例には、エチレン、プロピレン、ブテンが含まれる。ビニル系環状炭化水素単量体の例には、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体が含まれる。(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜20のアルキル(メタ)アクリレートが含まれる。
シクロオレフィン系樹脂におけるシクロオレフィン単量体の含有割合は、シクロオレフィン系樹脂を構成する全単量体の合計に対して例えば50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%とし得る。
シクロオレフィン系重合体の数平均分子量Mnは、8000〜100000であることが好ましく、10000〜80000であることがより好ましく、12000〜50000であることがさらに好ましい。シクロオレフィン系重合体の重量平均分子量Mwは、20000〜300000であることが好ましく、30000〜250000であることがより好ましく、40000〜200000であることがさらに好ましい。シクロオレフィン系重合体の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwは、前述と同様の方法で測定できる。
これらの中でも、保護フィルムに含まれる熱可塑性樹脂は、偏光板に加工する際の適性から、セルロースアシレートが好ましい。位相差を低減しやすく、耐湿性や耐熱性をバランスさせやすい点では、セルロースアシレートとアクリル系樹脂の併用が好ましい。耐湿性を高めやすい点では、アクリル系樹脂やシクロオレフィン系樹脂が好ましい。
保護フィルムにおける熱可塑性樹脂の含有量は、保護フィルムの全質量に対して50質量%以上、好ましくは70質量%以上とし得る。
(任意成分)
本発明の保護フィルムは、必要に応じて上記以外の他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、紫外線吸収剤、可塑剤、酸化防止剤及びマット剤が含まれる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、保護フィルムの耐候性を向上させる目的で添加され得る。そのような紫外線吸収剤の例には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、及びトリアジン系紫外線吸収剤が含まれる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例には、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノールが含まれる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品の例には、TINUVIN109、TINUVIN171、TINUVIN234、TINUVIN326、TINUVIN327、TINUVIN328、TINUVIN928等のTINUVINシリーズがあり、これらはいずれもBASF社製の市販品である。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例には、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等が含まれる。
サリチル酸エステル系紫外線吸収剤の例には、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルサリシレート等が含まれる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤の例には、2′−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3−(3′,4′−メチレンジオキシフェニル)−アクリレート等が含まれる。
トリアジン系紫外線吸収剤の例には、2−(2′−ヒドロキシ−4′−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニルトリアジン等が含まれる。トリアジン系紫外線吸収剤の市販品の例には、TINUVIN477が含まれる。
これらの中でも、良好な紫外線吸収能を有する点では、トリアジン系の紫外線吸収剤が好ましいが、延伸によって位相差を発現しやすい傾向がある。したがって、延伸により位相差を発現しにくく、かつ良好な紫外線吸収性能を有する点では、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤がより好ましい。
なお、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤は、トリアジン系の紫外線吸収剤と比べると紫外線吸収性能はやや劣るため、フィルムにおける含有量を多くする必要がある。紫外線吸収剤の含有量を多くすると、湿熱耐久性は低下しやすい。
紫外線吸収剤の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。紫外線吸収剤の含有量が熱可塑性樹脂の全質量に対して0.1質量%以上であれば、保護フィルムの耐候性を十分に高めうる。紫外線吸収剤の含有量が熱可塑性樹脂の全質量に対して10質量%以下であれば、得られる保護フィルムの透明性が損なわれ難い。紫外線吸収剤の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対して0.5〜10質量%であることがより好ましく、1.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
(可塑剤)
可塑剤の例には、ポリエステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤(フタル酸エステル系可塑剤を含む)、グリコレート系可塑剤、エステル系可塑剤(脂肪酸エステル系可塑剤を含む)、及びアクリル系可塑剤等が含まれる。保護フィルムに含まれる可塑剤は、1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。中でも、熱可塑性樹脂と相溶しやすく、良好な可塑性が得られやすい点から、ポリエステル系可塑剤が好ましい。
ポリエステル系可塑剤は、下記式(I)で表されるであることが好ましい。下記式(I)のnは、1以上の整数を表す。
式(I):B−(G−A)n−G−B
式(I)のAは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸から誘導される基、アルケニレンジカルボン酸から誘導される基、又は炭素原子数6〜12のアリールジカルボン酸から誘導される基を表す。
アルキレンジカルボン酸から誘導される基の例には、1,2−エタンジカルボン酸(コハク酸)、1,3−プロパンジカルボン酸(グルタル酸)、1,4−ブタンジカルボン酸(アジピン酸)、1,5−ペンタンジカルボン酸(ピメリン酸)、1,8−オクタンジカルボン酸(セバシン酸)等が含まれる。アルケニレンジカルボン酸から誘導される基の例には、マレイン酸、フマル酸等から誘導される基が含まれる。アリールジカルボン酸から誘導される基の例には、1,2−ベンゼンジカルボン酸(フタル酸)、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸等から誘導される基が含まれる。
Aは、1種類であっても、2種類以上が組み合わされてもよい。中でも、Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸から誘導される基と炭素原子数8〜12のアリールジカルボン酸から誘導される基との組み合わせが好ましい。
式(I)のGは、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される基、炭素原子数6〜12のアリールグリコールから誘導される基、又は炭素原子数4〜12のオキシアルキレングリコールから誘導される基を表す。
炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される基の例には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、及び1,12−オクタデカンジオール等から誘導される基が含まれる。
炭素原子数6〜12のアリールグリコールから誘導される基の例には、1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)などから誘導される基が含まれる。炭素原子数が4〜12のオキシアルキレングリコールから誘導される基の例には、ジエチレングルコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等から誘導される基が含まれる。
Gは、1種類であっても、2種類以上が組み合わされてもよい。中でも、Gは、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される基であることが好ましい。
式(I)のBは、芳香環含有モノカルボン酸又は脂肪族モノカルボン酸から誘導される基である。
芳香環含有モノカルボン酸は、分子内に芳香環を含有するカルボン酸であり、芳香環がカルボキシ基と直接結合したものだけでなく、芳香環がアルキレン基等を介してカルボキシ基と結合したものも含む。芳香環含有モノカルボン酸から誘導される基の例には、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸等から誘導される基が含まれる。
脂肪族モノカルボン酸から誘導される基の例には、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸などから誘導される基が含まれる。中でも、アルキル部分の炭素原子数が1〜3であるアルキルモノカルボン酸から誘導される基が好ましく、アセチル基がより好ましい。
式(1)で表されるポリエステル系可塑剤の例には、以下のものが含まれる。
Figure 2021028646
Figure 2021028646
Figure 2021028646
ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量は、500〜3000であることが好ましい。ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量が500以上であると、製膜時に揮発しにくく、3000以下であると成形性や熱可塑性樹脂との相溶性が損なわれにくい。ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量は、600〜2000であることがより好ましい。重量平均分子量は、前述と同様の方法で測定することができる。
可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対して1〜40質量%であることが好ましい。可塑剤の含有量が熱可塑性樹脂の全質量に対して1質量%以上であると、後述する膜状物を十分に可塑化しやすく、40質量%以下であると、延伸時や保存時のブリードアウトを十分に抑制しやすい。可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対して1〜20質量%であることがより好ましく、1〜3質量%であることがさらに好ましい。
可塑剤は、その効果の一つとして、熱可塑性樹脂の含水率を低下させて耐水性と耐湿性を向上させ得る。従って、可塑剤以外の添加剤の疎水性が高ければ、可塑剤の添加量を少なくすることができる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤は、高湿高温下に置かれた液晶表示装置に含まれる保護フィルムの劣化を抑制する目的;具体的には、保護フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等による樹脂の分解を遅らせたり、抑制したりする目的で添加され得る。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、その例には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が含まれる。中でも、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。
酸化防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対して1質量ppm〜1.0質量%であることが好ましく、10〜1000質量ppmであることがより好ましい。
(マット剤)
マット剤は、保護フィルムの表面の滑り性を高める目的で添加され得る。微粒子は、無機微粒子又は有機微粒子である。無機微粒子の例には、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等の微粒子が含まれる。有機微粒子の例には、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル系樹脂等の微粒子が含まれる。中でも、ヘイズを生じ難く、着色も少ないことから、二酸化ケイ素(シリカ)粒子が好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子の例には、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKE−P10、KE−P30、KE−P50、KE−P100(以上日本触媒(株)製)等が含まれる。中でも、得られるフィルムの濁度を低く保ちつつ、摩擦係数を低減させやすいことから、アエロジルR972V、NAX50及びシーホスターKE−P30が好ましい。
微粒子の一次粒子径は、5〜50nmの範囲であることが好ましく、7〜20nmの範囲であることがより好ましい。一次粒子径が大きいほうが、得られるフィルムの滑り性を高める効果は大きいが、透明性が低下しやすい。そのため、微粒子は、粒子径0.05〜0.3μmの二次凝集体として含有されていてもよい。微粒子の一次粒子又はその二次凝集体の大きさは、透過型電子顕微鏡にて倍率50〜200万倍で一次粒子又は二次凝集体を観察し、一次粒子又は二次凝集体100個の粒子径の平均値として求めることができる。
微粒子の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対して0.05〜1.0質量%であることが好ましく、0.1〜0.8質量%であることがより好ましい。
(フィルム物性)
(位相差値Ro及びRt)
本発明に係る保護フィルムは、位相差フィルムとしての機能を持たせることも好ましい。例えばIPSモードの液晶表示装置の位相差フィルムとしての機能を持たせる場合は、測定波長550nm、23℃・55%RHの環境下で測定される面内方向の位相差値Roは、0〜8nmであることが好ましく、0〜5nmであることがより好ましい。厚さ方向の位相差値Rtは、−10〜10nmであることが好ましく、−8〜8nmであることがより好ましい。
なお、保護フィルムのRo及びRtは、それぞれ下記式で定義される。
式(1a):Ro=(n−n)×d
式(1b):Rt=((n+n)/2−n)×d
(式中、nは、フィルムの面内方向において屈折率が最大となる方向x(面内遅相軸方向)における屈折率であり、nは、フィルムの面内方向において前記方向x(面内遅相軸方向)と直交する方向yにおける屈折率であり、nは、フィルムの厚さ方向における屈折率であり、dは、フィルムの膜厚(nm)である。)
保護フィルムの位相差値Ro及びRtの測定は、以下の方法で行うことができる。
1)保護フィルムを23℃・55%RHの環境下で24時間調湿する。
2)調湿後の保護フィルムの、測定波長550nmにおける位相差値Ro及びRtを、それぞれ自動複屈折率計 Axometorics社製Axoscanを用いて、23℃・55%RHの環境下で測定する。具体的な測定手順や測定条件は、後述する実施例と同様である。
保護フィルムの位相差値Ro及びRtは、主として熱可塑性樹脂の種類、糖のアルキレンオキサイド付加物の種類及び含有量、並びに延伸倍率によって調整することができる。保護フィルムの位相差値Ro及びRtを低くするためには、例えば熱可塑性樹脂としてセルロースアシレートとアクリル系樹脂の混合物を選択したり;糖のアルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドの付加モル数を少なくしたり、アルキレンオキサイドの種類を炭素数の少ないアルキレンオキサイドとしたり、アルキレンオキサイドのヒドロキシ基末端を未封止としたり;延伸倍率を低くしたりすることが好ましい。
(ヘイズ)
本発明に係る保護フィルムのヘイズは、0.01〜2.0であることが好ましい。保護フィルムのヘイズが2.0以下であると、表示画像のコントラストを高め得る。本発明に係る保護フィルムのヘイズは、0.01〜1.0であることがより好ましい。
保護フィルムのヘイズは、ヘイズメーター(型式NDH 2000、日本電色工業(株)製)により測定することができる。
保護フィルムのヘイズは、フィルムに含有させる種々の前記化合物の種類や含有量によって調整することができる。
(厚さ)
保護フィルムの厚さは、例えば5〜100μmとし得る。RoとRtを上記範囲に調整しやすくする観点から、5〜60μmであることがより好ましく、10〜30μmであることが特に好ましい。
[保護フィルムの製造方法]
本発明に係る保護フィルムは、任意の方法で製造することができ、例えば(1)少なくとも前述の熱可塑性樹脂と溶媒とを含むドープを得る工程と、(2)得られたドープを金属支持体上に流延し、乾燥及び剥離して、膜状物を得る工程と、(3)得られた膜状物を延伸する工程とを含む。
(1)の工程について
(溶媒)
ドープに用いられる溶媒は、前述の熱可塑性樹脂やその他の成分を溶解させ得る有機溶媒(良溶媒)を含むことが好ましい。そのような良溶媒の例には、塩化メチレン(ジクロロメタン)等の塩素系有機溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等の非塩素系有機溶媒が含まれる。中でも、塩化メチレン(ジクロロメタン)、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく用いることができる。
ドープに用いられる溶媒は、貧溶媒をさらに含んでいてもよい。貧溶媒の例には、炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールが含まれる。ドープ中のアルコールの比率が高くなると、膜状物がゲル化しやすく、金属支持体からの剥離が容易になりやすい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうちドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
良溶媒と貧溶媒とを併用する場合、良溶媒の含有比率を60〜99質量%、貧溶媒の含有比率を1〜40質量%とし得る。
ドープの樹脂濃度は、金属支持体上に流延した後の乾燥負荷を低減する観点では高いほうが好ましいが、濾過時の負荷が増えて濾過精度が悪くなる。これらを両立するドープの樹脂濃度は、15〜45質量%であることが好ましい。
樹脂の溶解は、一般的な方法で行うことができる。加熱と加圧を組み合わせると、常圧における沸点以上に加熱できる。溶媒の常圧での沸点以上であり、かつ加圧下で溶媒が沸騰しない温度で加熱しながら撹拌溶解すると、塊状未溶解物の発生を抑制できるので、好ましい。
加圧は、窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶媒の蒸気圧を発現させる方法によって行うことができる。加熱は、外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
加熱温度は、樹脂の溶解性の観点からは高いほうが好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。加熱温度は、例えば45〜120℃であることが好ましい。
異物故障を抑制する観点等から、得られたドープを濾材で濾過することが好ましい。濾過したドープを脱泡した後、送液ポンプで流延ダイに供給する。
(2)の工程について
得られたドープを、金属支持体上に流延する。ドープの流延は、流延ダイから吐出させて行うことができる。
金属支持体は、ステンレスベルト又は回転する金属ドラム等であり得る。金属支持体の表面は、鏡面仕上げされていることが好ましい。
次いで、金属支持体上に流延されたドープ中の溶媒を蒸発させ、乾燥させる。金属支持体上におけるドープ中の溶媒の蒸発は、ドープの表面に風を当てる方法、金属支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良く好ましい。金属支持体上のドープの乾燥は、40〜100℃の雰囲気下で行うことが好ましい。
そして、乾燥されたドープを金属支持体から剥離して、膜状物を得る。金属支持体から剥離する際のドープの残留溶媒量(剥離時の残留溶媒量S)は、得られる保護フィルムの位相差値RoやRtを低減しやすくする点では、50〜120質量%であることが好ましい。剥離時の残留溶媒量Sが50質量%以上であると、乾燥又は延伸時に熱可塑性樹脂が流動しやすく無配向にしやすいため、得られる保護フィルムのRoやRtを低減しやすい。剥離時の残留溶媒量Sが120質量%以下であると、ドープを剥離する際に要する力が過剰に大きくなりにくいので、ドープの破断を抑制しやすい。
ドープの残留溶媒量は、下記式で定義される。以下においても同様である。
ドープの残留溶媒量(質量%)=(ドープの加熱処理前質量−ドープの加熱処理後質量)/ドープの加熱処理後質量×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、120℃60分の加熱処理をいう。
剥離して得られた膜状物は、必要に応じてさらに乾燥させてもよい。
(3)の工程について
得られた膜状物を、乾燥させながら延伸する。延伸は、少なくとも一方向に行うことができる。延伸方向は、膜状物の長手方向(MD方向)、膜状物の長手方向と直交する幅手方向(TD方向)、及び膜状物の長手方向に対して斜め方向のいずれであってもよい。
延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階に分割して行ってもよい。また、二軸延伸を行う場合、同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に延伸を行う逐次二軸延伸を行ってもよい。
延伸倍率は、広幅化と薄型化を実現する点から、一定以上の延伸倍率であることが好ましく、例えば全方向の延伸倍率の合計が、10〜200%であることが好ましく、20〜50%であることがより好ましい。延伸倍率は、{(延伸後の膜状物の延伸方向大きさ)/(延伸前の膜状物の延伸方向大きさ)}×100として定義される。全方向の延伸倍率の合計とは、各方向の延伸倍率の総和(合計)をいう。
延伸温度は、フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、例えば(Tg+15)〜(Tg+50)℃、好ましくは(Tg+20)〜(Tg+40)℃とし得る。延伸温度が(Tg+15)℃以上であると、乾燥又は延伸時に膜状物に加わる張力が過剰には大きくなりにくいので、得られる保護フィルムのRoやRtが過剰には増大しにくい。延伸温度が(Tg+50)℃以下であると、膜状物中の溶媒の気化による気泡の発生を高度に抑制しやすい。延伸温度は、具体的には140〜220℃とし得る。
延伸開始時の膜状物中の残留溶媒量Sは、5〜20質量%であることが好ましい。延伸開始時の残留溶媒量Sが5質量%以上であると、残留溶媒による可塑化効果で、延伸時の膜状物の実質的なTgが低くなるため、保護フィルムのRoやRtが増大しにくい。延伸開始時の残留溶媒量Sが20質量%以下であると、膜状物中の溶媒の気化による気泡の発生を高度に抑制できる。延伸開始時の膜状物中の残留溶媒量Sは、8〜15質量%であることがより好ましい。
膜状物のMD方向の延伸は、例えば複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用する方法(ロール法)で行うことができる。膜状物のTD方向の延伸は、例えば膜状物の両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げる方法(テンター法)で行うことができる。
(その他市販の保護フィルム等)
偏光子には、市販の保護フィルムが配置されてもよい。他の保護フィルムの例には、市販のセルロースアシレートフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC4UX、KC8UCR3、KC4SR、KC4BR、KC4CR、KC4DR、KC4FR、KC4KR、KC8UY、KC6UY、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC2UA、KC4UA、KC6UA、KC2UAH、KC4UAH、KC6UAH、以上コニカミノルタ株式会社製)、ポリエステルフィルム(例えばポリエチレンテレフタレートフィルム等)、その他市販のシクロオレフィン系樹脂フィルム及びアクリル系樹脂フィルム等が含まれる。
保護フィルムの厚さは、特に限定はないが、10〜100μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましく、20〜60μmであることが特に好ましい。
[偏光板の作製方法]
本発明の偏光板の作製方法としては、例えば、図1に示した偏光板の場合、基本的には、上記のように、誘電体多層膜を備えた保護フィルムを偏光子の片面又は両面に貼合すればよい。当該誘電体多層膜面を偏光子に貼合の際、必ずしもケン化を要しない。ただし、偏光子のもう一方の片面に本発明に係る誘電体多層膜を備えていない保護フィルムを貼合する場合には、当該保護フィルムの偏光子側の面に対し後述する易接着処理(表面活性化処理)を施してもよい。
具体的には、あらかじめ表面に易接着処理を施した保護フィルムと本発明に係る誘電体多層膜を備えた保護フィルムとを用意しておき、下記のような工程(1〜5)を含む方法で偏光板を作製することができる。
工程1:ポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸する。これをヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に浸漬し、次いでヨウ化カリウム及びホウ酸を含有する水溶液に浸漬する。その後、これを水洗・乾燥して偏光子を得る。
工程2:あらかじめ表面に易接着処理を施した保護フィルムの当該表面上に上記工程1で得た偏光子を載せる。
工程3:前記保護フィルム上に載せられた偏光子の反対側の面上にポリビニルアルコール接着剤(完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液)を塗布する。
工程4:工程3で得たポリビニルアルコール接着剤が塗布された偏光子の面上に、あらかじめ別途用意した本発明に係る誘電体多層膜を備えた保護フィルムを当該誘電体多層膜側を当該偏光子に対向するように載せて積層体を形成する。
工程5:工程4で得た積層体に圧力を加え貼合する。
工程6:工程5で得た積層体を乾燥し、偏光板を作製する。
偏光子の片面側に本発明に係る誘電体多層膜を備えた保護フィルム以外の保護フィルムを貼合する場合、例えば、市販の保護フィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC、以上コニカミノルタ株式会社製)も好ましく用いられる。このような保護フィルムの場合は、あらかじめケン化処理等の表面活性化処理を行う必要がある。
液接着処理としては、コロナ(放電)処理、プラズマ処理、フレーム処理、イトロ処理、グロー処理、オゾン処理、プライマー塗布処理等があるが、このうち少なくとも1種が実施されれば良い。これらの易接着処理のうち、生産性の観点からは、コロナ処理、プラズマ処理が易接着処理として好ましい。
なお、接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂やウレタン樹脂を主成分として含む水系接着剤や、エポキシ系樹脂等の光硬化性樹脂を主成分として含む活性エネルギー線硬化型接着剤を用いることができる。例えば、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン及びポリエーテル等をベースポリマーとして含む接着剤等を用いることもできる。
[その他]
以上で説明した本発明の偏光板は、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。本発明の効果が得られる範囲で変更が可能であり、例えば、誘電体多層膜と偏光子との間に、紫外線硬化型接着剤からなるUV接着層を設けたものも本発明の範囲内といえる。
≪表示装置≫
本発明の表示装置は、本発明の偏光板が具備されている。本発明の表示装置の例には、有機エレクトロルミネッセンス表示装置や液晶表示装置等が含まれる。
<有機エレクトロルミネッセンス表示装置>
本発明の偏光板は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(「有機EL表示装置」、「OLED」ともいう。)に好適に用いることができる。
有機EL表示装置は有機EL素子を用いた表示装置である。有機EL素子は一対の電極からの電子と正孔(ホール)の注入によって発光する有機発光材料を含む素子である。陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔が有機発光材料内で再結合する際のエネルギーを光として外部へ取り出すものである。
図2は、有機EL表示装置(20)の概略の基本的構成を示す断面図である。有機EL表示装置(20)は、有機EL素子(26)と、有機EL素子(26)に対して視認側に配置される偏光板(10)を備えている。
なお、当該偏光板は、第2の保護フィルム(12)として、λ/4位相差フィルムを用い円偏光板とすることが好ましい。
本発明に係る偏光板の保護フィルムに光反射防止等の機能をもたせるため、当該保護フィルムをλ/4位相差フィルムとして用いる場合は、温度23℃・相対湿度55%の条件下で、波長450nm、550nm及び650nmで測定された面内方向の位相差値Roを、それぞれRo(450)、Ro(550)及びRo(650)としたとき、当該Ro(450)、Ro(550)及びRo(650)が、下記式(a1)〜(a3)を満たすことが好ましい。
(a1) 110nm≦Ro(550)≦170nm
(a2) 0.72≦Ro(450)/Ro(550)≦0.96
(a3) 0.83≦Ro(550)/Ro(650)≦0.97
Ro(550)が、式(a1)を満たす光学フィルムは、λ/4位相差フィルムとして好ましく機能し得る。なかでも、120nm≦Ro(550)≦160nmを満たすことがより好ましく、130nm≦Ro(550)≦150nmを満たすことがさらに好ましい。
Ro(450)、Ro(550)及びRo(650)が、上記式(a2)及び(a3)を満たす光学フィルムは、逆波長分散性に優れ、λ/4位相差フィルムとしてより好ましく機能し得る。また、光学フィルムを用いた画像表示装置を黒表示させたときの光漏れ等も低減し得る。具体的には、式(a2)を満たすと青色の再現性が高く、式(a3)を満たすと赤色の再現性が高い。なかでも、0.79≦Ro(450)/Ro(550)≦0.89を満たすことがより好ましく、0.84≦Ro(550)/Ro(650)≦0.93を満たすことがより好ましい。
λ/4位相差フィルムとしては、公知のものを用いることができ、例えば、特開2013−114105に記載されたλ/4位相差フィルムを用いることができる。
また、本発明においては、さらに、当該偏光板の視認側の面上には目的に応じて特別な機能層、前面板等を設けてもよい。
有機EL素子は、図2に示すように、基本的には、透明基板(25)上に、透明電極(26a)、発光層を含む有機機能層(26b)及び光反射性電極(26c)で構成される。
なお、透明電極と光反射性電極は、陽極又は陰極として機能するものであるが、一般的には、透明伝教を陽極とし、光反射性電極とするのが好ましい。また、陽極と陰極の両方とも透明電極であってもよい。
なお、有機EL素子の構成の詳細については、後述する。
本発明の偏光板は、画面サイズが20インチ以上、すなわち対角線距離が50.8cm以上の大型画面からなる有機EL表示装置に適用することができる。
このような構成の有機EL表示装置において、有機機能層は、厚さ10nm程度と極めて薄い膜で形成されている。このため、有機機能層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機機能層とを透過して光反射性金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に光反射性金属電極を備えてなる有機EL素子を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側(視認側)に偏光板として円偏光板を設けることで、それを通過する光が、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、光反射性電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、円偏光板によって再び直線偏光となるため、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
<有機EL素子の構成要素>
以下、本発明の有機EL表示装置を構成する有機EL素子の各構成要素の詳細について説明する。
本発明に適用が可能な有機EL素子の構成の一例を示すが、これらの構成に限定されるものではない。
(i)陽極/発光層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(iv)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
本発明に適用可能な有機EL素子の概要については、例えば、特開2013−157634号公報、特開2013−168552号公報、特開2013−177361号公報、特開2013−187211号公報、特開2013−191644号公報、特開2013−191804号公報、特開2013−225678号公報、特開2013−235994号公報、特開2013−243234号公報、特開2013−243236号公報、特開2013−242366号公報、特開2013−243371号公報、特開2013−245179号公報、特開2014−003249号公報、特開2014−003299号公報、特開2014−013910号公報、特開2014−017493号公報、特開2014−017494号公報等に記載されている構成を挙げることができる。
また、タンデム型の有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第6337492号明細書、米国特許第7420203号明細書、米国特許第7473923号明細書、米国特許第6872472号明細書、米国特許第6107734号明細書、米国特許第6337492号明細書、特開2006−228712号公報、特開2006−24791号公報、特開2006−49393号公報、特開2006−49394号公報、特開2006−49396号公報、特開2011−96679号公報、特開2005−340187号公報、特許第4711424号公報、特許第3496681号公報、特許第3884564号公報、特許第4213169号公報、特開2010−192719号公報、特開2009−076929号公報、特開2008−078414号公報、特開2007−059848号公報、特開2003−272860号公報、特開2003−045676号公報、国際公開第2005/009087号、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
更に、有機EL素子を構成する各層について説明する。
〔透明基板:基材〕
有機EL素子(EL)に適用可能な透明基板(「基材」ともいう。)としては、特に制限はなく、例えば、ガラス、樹脂基材等の種類を挙げることができ、好ましくは、有機EL素子にフレキシブル性を付与することができる観点からフレキシブル性樹脂基材である。
本発明に適用可能なフレキシブル性を備えた樹脂基材を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(略称:TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(略称:CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類及びそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート(略称:PC)、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(略称:PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル及びポリアリレート類、アートン(商品名、JSR社製)及びアペル(商品名、三井化学社製)等のシクロオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
これら樹脂基材のうち、コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)、ポリカーボネート(略称:PC)等のフィルムがフレキシブル性を有する樹脂基材として好ましく用いられる。
また、上記の樹脂基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
本発明に適用可能な樹脂基材は、従来公知の一般的な製膜方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂材料を押出機により加熱溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の樹脂基材を製造することができる。また、未延伸の樹脂基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、樹脂基材の搬送方向(縦軸方向、MD方向)、又は樹脂基材の搬送方向と直角の方向(横軸方向、TD方向)に延伸することにより、延伸樹脂基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、樹脂基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍の範囲内であることが好ましい。
樹脂基材の厚さとしては、3〜200μmの範囲内にある薄膜の樹脂基材であることが好ましいが、より好ましくは10〜150μmの範囲内であり、特に好ましくは、20〜120μmの範囲内である。
また、本発明に係る光透過性を有する基材として適用可能なガラス基材としては、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。
〔陽極〕
有機EL素子を構成する陽極としては、酸化物半導体又は薄膜の金属若しくは合金で構成されていることが好ましい形態であり、例えば、Ag、Au等の金属又は金属を主成分とする合金、CuI、インジウム・スズの複合酸化物(ITO)、SnO及びZnO等の酸化物半導体を挙げることができる。
陽極を、銀を主成分として構成する場合、銀の純度としては、99%以上であることが好ましい。また、銀の安定性を確保するためにパラジウム(Pd)、銅(Cu)及び金(Au)等が添加されていてもよい。
陽極として銀を主成分として構成する場合には、銀単独で形成してもよく、又は銀(Ag)を含有する合金から構成されていてもよい。そのような合金としては、例えば、銀・マグネシウム(Ag・Mg)、銀・銅(Ag・Cu)、銀・パラジウム(Ag・Pd)、銀・パラジウム・銅(Ag・Pd・Cu)、銀・インジウム(Ag・In)などが挙げられる。
上記陽極を構成する各構成材料の中でも、本発明に係る有機EL素子を構成する陽極としては、インジウム・スズの複合酸化物(ITO)又は銀を主成分として構成し、厚さが2〜20nmの範囲内にある光透過性を有する陽極とすることができ、好ましくは厚さが4〜12nmの範囲内である。厚さが20nm以下であれば、光透過性を有する陽極の吸収成分及び反射成分が低く抑えられ、高い光透過率が維持されるため好ましい。
本発明でいうインジウム・スズの複合酸化物(ITO)又は銀を主成分として構成されている層とは、陽極中のITO又は銀の含有量が60質量%以上であることをいい、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくはITO又は銀の含有量が98質量%以上である。また、本発明に係る光透過性を有する陽極でいう「光透過性」とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
光透過性を有する陽極においては、銀を主成分として構成されている層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。
また、本発明においては、陽極が、銀を主成分として構成する光透過性を有する陽極である場合には、形成する光透過性を有する陽極の銀膜の均一性を高める観点から、その下部に、下地層を設けることができる。下地層としては、特に制限はないが、窒素原子又は硫黄原子を有する有機化合物を含有する層であることが好ましく、当該下地層上に、光透過性を有する陽極を形成する方法が好ましい態様である。
また、本発明に係る陽極の引出電極は、上記陽極の構成材料を同様の材料で、陽極より延長して形成する。
〔発光層〕
有機EL素子(EL)を構成する発光層には、発光材料としてリン光発光性化合物、又は蛍光発光性化合物を用いることができるが、本発明においては、特に、発光材料としてリン光発光性化合物が含有されている構成が好ましい。
この発光層は、電極又は電子輸送層から注入された電子と、正孔輸送層から注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層としては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。
発光層の厚さの総和は、1〜100nmの範囲内にあることが好ましく、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜30nmの範囲内がさらに好ましい。なお、発光層の厚さの総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む厚さである。
また、発光層は、複数の発光材料を混合してもよく、リン光発光材料と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)とを同一発光層中に混合して用いてもよい。発光層の構成としては、ホスト化合物(発光ホスト等ともいう)及び発光材料(発光ドーパント化合物ともいう。)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
以上のような発光層は、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、グラビアコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット、Langmuir Blodgett法)及びインクジェットプリント法等の公知の方法により形成することができるが、本発明においては、スピンコート法、キャスト法、グラビアコート法、インクジェットプリント法等の湿式塗布方式で形成することが好ましい。
〈ホスト化合物〉
発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらにリン光量子収率が0.01未満であることが好ましい。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は、複数種のホスト化合物を用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機電界発光素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
発光層に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
本発明に適用可能なホスト化合物としては、例えば、特開2001−257076号公報、同2001−357977号公報、同2002−8860号公報、同2002−43056号公報、同2002−105445号公報、同2002−352957号公報、同2002−231453号公報、同2002−234888号公報、同2002−260861号公報、同2002−305083号公報、米国特許出願公開第2005/0112407号明細書、米国特許出願公開第2009/0030202号明細書、国際公開第2001/039234号、国際公開第2008/056746号、国際公開第2005/089025号、国際公開第2007/063754号、国際公開第2005/030900号、国際公開第2009/086028号、国際公開第2012/023947号、特開2007−254297号公報、欧州特許第2034538号明細書等に記載されている化合物を挙げることができる。
〈発光材料〉
本発明で用いることのできる発光材料としては、リン光発光性化合物(リン光性化合物、リン光発光材料又はリン光発光ドーパントともいう。)及び蛍光発光性化合物(蛍光性化合物又は蛍光発光材料ともいう。)が挙げられるが、特に、リン光発光性化合物を用いることが、高い発光効率を得ることができる観点から好ましい。
〈1〉リン光発光性化合物
リン光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)でリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率が0.1以上の化合物である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は、種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においてリン光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて、上記リン光量子収率として0.01以上が達成されればよい。
リン光発光性化合物は、一般的な有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、白金化合物(白金錯体系化合物)又は希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明においては、少なくとも一つの発光層が、2種以上のリン光発光性化合物が含有されていてもよく、発光層におけるリン光発光性化合物の濃度比が発光層の厚さ方向で変化している態様であってもよい。
本発明に使用できる公知のリン光発光性化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。
Nature 395,151(1998)、Appl.Phys.Lett.78, 1622(2001)、Adv.Mater.19,739(2007)、Chem.Mater.17,3532(2005)、Adv.Mater.17,1059(2005)、国際公開第2009/100991号、国際公開第2008/101842号、国際公開第2003/040257号、米国特許出願公開第2006/835469号明細書、米国特許出願公開第2006/0202194号明細書、米国特許出願公開第2007/0087321号明細書、米国特許出願公開第2005/0244673号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。
また、Inorg.Chem.40,1704(2001)、Chem.Mater.16,2480(2004)、Adv.Mater.16,2003(2004)、Angew.Chem.Int.Ed.2006,45,7800、Appl.Phys.Lett.86,153505(2005)、Chem.Lett.34,592(2005)、Chem.Commun.2906(2005)、Inorg.Chem.42,1248(2003)、国際公開第2009/050290号、国際公開第2009/000673号、米国特許第7332232号明細書、米国特許出願公開第2009/0039776号、米国特許第6687266号明細書、米国特許出願公開第2006/0008670号明細書、米国特許出願公開第2008/0015355号明細書、米国特許第7396598号明細書、米国特許出願公開第2003/0138657号明細書、米国特許第7090928号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。
また、Angew.Chem.Int.Ed.47,1(2008)、Chem.Mater.18,5119(2006)、Inorg.Chem.46,4308(2007)、Organometallics 23,3745(2004)、Appl.Phys.Lett.74,1361(1999)、国際公開第2006/056418号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2006/082742号、米国特許出願公開第2005/0260441号明細書、米国特許第7534505号明細書、米国特許出願公開第2007/0190359号明細書、米国特許第7338722号明細書、米国特許第7279704号明細書、米国特許出願公開第2006/103874号明細書等に記載の化合物も挙げることができる。
さらには、国際公開第2005/076380号、国際公開第2008/140115号、国際公開第2011/134013号、国際公開第2010/086089号、国際公開第2012/020327号、国際公開第2011/051404号、国際公開第2011/073149号、特開2009−114086号公報、特開2003−81988号公報、特開2002−363552号公報等に記載の化合物も挙げることができる。
本発明においては、好ましいリン光発光性化合物としてはIrを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。さらに好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含む錯体が好ましい。
上記説明したリン光発光性化合物は、例えば、Organic Letter誌、vol3、No.16、2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻、1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻、695〜709頁(2004年)、さらにこれらの文献中に記載されている参考文献等に開示されている方法を適用することにより合成することができる。
〈2〉蛍光発光性化合物
蛍光発光性化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
〔発光層を除く有機機能層群〕
発光層を除く有機機能層群を構成する各層の代表例として、電荷注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び阻止層の順に、その構成を説明する。
(電荷注入層)
電荷注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、電極と発光層の間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)にその詳細が記載されており、正孔注入層と電子注入層とがある。
電荷注入層としては、一般には、正孔注入層であれば、陽極と発光層又は正孔輸送層との間、電子注入層であれば陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させることができるが、本発明においては、光透過性を有する電極に隣接して電荷注入層を配置させることを特徴とする。また、中間電極で用いられる場合は、隣接する電子注入層及び正孔注入層の少なくとも一方が、本発明の要件を満たしていれば良い。
正孔注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、一方の電極である陽極に隣接して配置される層であり、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、正孔注入層に用いられる材料としては、例えば、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体、アントラセンやナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体、及びポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを主鎖又は側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー、ポリシラン、導電性ポリマー又はオリゴマー(例えば、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン):PSS(ポリスチレンスルホン酸)、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
トリアリールアミン誘導体としては、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(略称:α−NPD)に代表されるベンジジン型や、4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン)(略称:MTDATA)に代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。
電子注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、陰極と発光層との間に設けられる層のことであり、陰極が本発明に係る光透過性を有する電極で構成されている場合には、当該光透過性を有する電極に隣接して設けられ、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、電子注入層に好ましく用いられる材料の具体例としては、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等に代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデン、酸化アルミニウム等に代表される金属酸化物、リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等に代表される金属錯体等が挙げられる。また、本発明における光透過性を有する電極が陰極の場合は、金属錯体等の有機材料が特に好適に用いられる。電子注入層はごく薄い膜であることが望ましく、構成材料にもよるが、その層厚は1〜10μmの範囲が好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層及び電子阻止層も正孔輸送層の機能を有する。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー及びチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記記載の化合物を使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物を用いることができ、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(略称:TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン及びN−フェニルカルバゾール等が挙げられる。
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、グラビアコート法、インクジェットプリント法を含む印刷法及びLB法(ラングミュア・ブロジェット、Langmuir Blodgett法)等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができるが、本発明においては、ピンコート法、キャスト法、グラビアコート法、インクジェットプリント法等の湿式塗布方式を適用することが好ましい。
正孔輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲である。この正孔輸送層は、上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
また、正孔輸送層の材料に不純物をドープすることにより、p性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報及びJ.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このように、正孔輸送層のp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料から構成され、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は、単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層及び積層構造の電子輸送層において、発光層に隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層に伝達する機能を有していれば良い。このような材料としては、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層の材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した高分子材料又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(略称:Znq)等及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層の材料として用いることができる。
電子輸送層は、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、グラビアコート法、インクジェットプリント法を含む印刷法及びLB法等の公知の方法により、薄膜化することで形成することができるが、本発明においては、スピンコート法、キャスト法、グラビアコート法、インクジェットプリント法等の湿式塗布方式により形成することが好ましい。
電子輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる単一構造であってもよい。
(阻止層)
阻止層としては、正孔阻止層及び電子阻止層が挙げられ、上記説明したキャリア輸送機能層ユニット3の各構成層の他に、必要に応じて設けられる層である。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層等を挙げることができる。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ、電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に適用する正孔阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜30nmの範囲である。
〔陰極〕
陰極は、有機機能層群や発光層に電子を供給するために機能する電極膜であり、金属、合金、有機又は無機の導電性化合物若しくはこれらの混合物が用いられる。具体的には、蒸着法等の乾式形成方法を用いる場合には、金、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、イットリウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO及びSnO等の酸化物半導体などが挙げられる。
また、湿式塗布方式を用いて形成する場合には、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との複合物(PEDOT:PSS)や銀ナノインク等を用いて、ピンコート法、キャスト法、グラビアコート法、インクジェットプリント法等により形成することができる。
陰極は、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させて作製することができる。また、第2電極としてのシート抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、有機EL素子が、陰極側からも発光光Lを取り出す、両面発光型の場合には、光透過性の良好な陰極を選択して構成すればよい。
〔封止部材〕
有機EL素子を封止するのに用いられる封止手段としては、例えば、フレキシブル封止部材と、陰極及び透明基板とを封止用接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また透明性及び電気絶縁性は特に限定されない。
具体的には、フレキシブル性を備えた薄膜ガラス板、ポリマー板、フィルム、金属フィルム(金属箔)等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属フィルムとしては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金が挙げられる。
本発明においては、封止部材としては、有機EL素子を薄膜化することできる観点から、ポリマーフィルム及び金属フィルムを好ましく使用することができる。さらに、ポリマーフィルムは、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された温度25±0.5℃、相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が、1×10−3g/m・24h以下であることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3mL/m・24h・atm(1atmは、1.01325×10Paである。)以下であって、温度25±0.5℃、相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が、1×10−3g/m・24h以下であることが好ましい。
封止用接着剤としては、例えば、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
<液晶表示装置>
本発明の偏光板は液晶表示装置にも好適に用いることができる。
図3は、液晶表示装置(30)の基本的な構成の一例を示す模式図である。図3に示されているように、液晶表示装置(30)は、基本的には、液晶セル(35)と、それを挟持する第1の偏光板(10)及び第2の偏光板(10x)と、バックライト(36)とで構成される。
液晶セル(35)の表示モードは、特に制限されず、例えばTN(Twisted Nematic)、VA(Vistical Alignment)、及びIPS(In Plane Switching)等のいずれであってよい。モバイル機器向けの液晶セルは、例えばIPSモードのものが好ましく、中・大型用途の液晶セルは、例えばVAモードのものが好ましい。
第1の偏光板(10)は、液晶セル(35)の視認側の面に配置されており、第1の偏光子(14)と、第1の偏光子(14)の液晶セル(35)とは反対側の面に配置された第1の保護フィルム(11)と、第1の偏光子(34)の液晶セル(35)側の面に配置された第2の保護フィルム(12)とを含む。また、第1の保護フィルム(11)と第1の偏光子(14)の間に誘電体多層膜(13)が配置されている。
また、第2の偏光板(10x)は、液晶セル(35)のバックライト(36)側の面に配置されており、第2の偏光子(14x)と、第2の偏光子(14x)の液晶セル側の面に配置された保護フィルム(11x)と、第2の偏光子(14)の液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルム(12x)を含む。第2の偏光子(14x)の吸収軸は、第1の偏光子(14)の吸収軸と直交していることが好ましい。
本発明の偏光板は、上記第1及び/又は第2の偏光板として用いることができるが、視認側の偏光板(第1の偏光板)として用いるのが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《誘電体多層膜積層体の作製》
〔誘電体多層膜積層体1の作製〕
下記の記載の方法に従って、図1に記載の第1の保護フィルム(11)と誘電体多層膜(13)の積層体を作製した。
(1)保護フィルムの準備
上記第1の保護フィルム(11)として、以下の保護フィルムP1を準備した。
保護フィルムP1として、縦400mm、横250mm、厚さ20μmの透明なセルロースアシレートフィルム(コニカミノルタ株式会社製TACフィルム、KC2UA)を準備した。
(2)誘電体多層膜1の形成
(低屈折率層用塗布液1の調製)
下記の方法に従って、低屈折率層用塗布液1を調製した。
撹拌容器にカチオンポリマーとしてメチルジアリルアミン塩酸塩重合体(3級アミン塩を含む)(PAS M−1、重量平均分子量20000、50質量%水溶液、ニットーボーメディカル株式会社製)4.0g、及びジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体(4級アンモニウム基を含む。)(PAS H−5、重量平均分子量30000、28質量%水溶液、ニットーボーメディカル株式会社製)5.0gと、ゆすぎ水31gと、ホウ酸(3質量%水溶液)31.9gとを混合した。ここに、10質量%の酸性コロイダルシリカの水溶液(ST−OXS、濃度10%、平均一次粒径:4〜6nm、日産化学工業株式会社製)を489.9g加えた。これを撹拌しながら40℃まで加温した。ここに、ポリビニルアルコールの8質量%水溶液(JP−45、重合度4500、ケン化度88モル%、日本酢ビ・ポバール株式会社製)386.3g、エマルジョン樹脂(スーパーフレックス650、第一工業製薬株式会社)30.5g、及び5質量%の界面活性剤の溶液(ソフタゾリンLMEB−R、川研ファインケミカル株式会社製)6.3g、及び純水15gの混合液を加え、40℃で撹拌、混合し、低屈折率層用塗布液1を得た。低屈折率層用塗布液1を用いて作製した後述する単層の屈折率は1.50であった。なお、屈折率の測定方法は下記のとおりである(以下同様)。
〈各層の単膜屈折率の測定〉
屈折率を測定するため、上記透明フィルム基材上に上記高屈折率層用塗布液1を単層で塗布したサンプルを作製し、このサンプルを10cm×10cmに裁断した後、下記の方法に従って屈折率を求めた。日立製の分光光度計 U−4100(固体試料測定システム)を用いて、各サンプルの測定面とは反対側の面(裏面)を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5°正反射の条件にて400〜2500nmの反射率の測定を行い、結果より屈折率を求めた。下記の屈折率は屈折率の波長依存性を考え1000nmの屈折率とした。
(高屈折率層用塗布液1の調製)
30質量%の酸化ジルコニウム粒子の分散液(SZR−W、ジルコニアゾル、粒度分布:D50 3〜5nm、堺化学工業株式会社製)384.8gに対してクエン酸水溶液(1.9質量%)を175.4g加えた。これに界面活性剤(ソフタゾリンLMEB−R、川研ファインケミカル株式会社製)の5質量%水溶液を1.94g添加し、これを40℃まで加温した。次いで、さらにエチレン変性ポリビニルアルコールの8質量%水溶液(株式会社クラレ製、エクセバールRS2117、ケン化度:97.5〜99モル%)を120.4g加え、さらに純水9.9gを加えた。これを10分撹拌後、ポリビニルアルコールの6質量%水溶液(JC−40、ケン化度:99モル%以上 日本酢ビ・ポバール株式会社製)240.8g及び純水66.7gを加えた。この後、40℃で180分間撹拌し、高屈折率層用塗布液1を得た。
高屈折率層用塗布液1を用いて作製した後述する単層の屈折率は1.70であった。
(誘電体多層膜積層体1の形成)
32層同時塗布が可能なスライドホッパー方式の塗布装置を用い、上記調製した低屈折率層用塗布液1及び高屈折率層用塗布液1を45℃に保温しながら、45℃に加温した上記長尺の保護フィルムP1上に、23層同時重層塗布(低屈折率層及び高屈折率層を交互に23層積層)を行った。この際、最下層及び最上層は低屈折率層(層厚:58.8nm)とし、それ以外は低屈折率層(層厚:58.8nm)及び高屈折率層(層厚:51.8nm)がそれぞれ交互に積層されるようにして、23層から構成される誘電体多層膜を形成した。
(誘電体多層膜積層体2〜9の形成)
誘電体多層膜積層体2〜9では、表Iに示すように、第1の保護フィルムの種類及び誘電体多層膜を構成する水溶性樹脂を変更し、低屈折率の層厚及び高屈折率層の層厚を下記のように変更した以外は誘電体多層膜積層体1の形成方法と同様にして作製した。
また、第1の保護フィルムP2、P3としては、以下のものを準備して用いた。
誘電体多層膜積層体5においては、保護フィルムP2として、縦400mm、横250mm、厚さ50μmのシクロオレフィン系樹脂フィルム(ゼオノア(登録商標)、日本ゼオン株式会社製、ZF14)を用いた。
誘電体多層膜積層体6においては、保護フィルムP3として、縦400mm、横250mm、厚さ23μmの超延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインSRF)を用いた。
また、誘電体多層膜積層体4においては、誘電体多層膜を構成する水溶性樹脂として、低屈折率層及び高屈折率層のポリビニルアルコールの代わりにゼラチンを用いた。
また、誘電体多層膜積層体2では、最下層及び最上層は低屈折率層(層厚:145.8nm)とし、それ以外は低屈折率層(層厚:145.8nm)及び高屈折率層(層厚:128.7nm)がそれぞれ交互に積層されるようにして、23層から構成される誘電体多層膜を形成した。
また、誘電体多層膜積層体3〜9では、最下層及び最上層は低屈折率層(層厚:176.3nm)とし、それ以外は低屈折率層(層厚:176.3nm)及び高屈折率層(層厚:155.5nm)がそれぞれ交互に積層されるようにして、23層から構成される誘電体多層膜を形成した。
<偏光板の作製>
上記で作製した誘電体多層膜積層体1〜9を用い、下記方法により偏光板1〜9を作製した。
また、偏光板1〜6の作製では、図1に記載の第2の保護フィルム(12)として、縦400mm、横250mm、厚さ40μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(コニカミノルタ株式会社製、KC2UA、保護フィルムP4)を用いた。
(偏光板1〜6の作製)
工程1:ポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗・乾燥して偏光子を得た。最終的に5μm厚の偏光子を得た。
工程2:あらかじめ表面にコロナ放電処理を施した第2の保護フィルムの当該表面上に上記工程1で得た偏光子を載せた。
なお、コロナ放電処理の条件は、コロナ出力強度2.0kW、ライン速度18m/分とした。
工程3:前記保護フィルム上に載せられた偏光子の反対側の面上に固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤(完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液)を厚さ2μmで塗布した。
工程4:工程3で得たポリビニルアルコール接着剤が塗布された偏光子の面上に、あらかじめ別途用意した本発明に係る誘電体多層膜積層体1〜9の該誘電体多層膜側を、当該偏光子に対向するように載せて偏光板前駆体を形成した。
工程5:工程4で得た偏光板前駆体に圧力(20〜30N/cm)を加え、搬送スピード約2m/分で偏光子と第1及び第2の保護フィルムを貼合した。
工程6:工程5で貼合された積偏光板前駆体を約90秒間乾燥し、偏光板を作製した。
上記偏光板1〜6の層構成は、図1に示すように、第1の保護フィルム(11)/誘電体多層膜(13)/偏光子(14)/第2の保護フィルム(12)が積層されたものである。表Iでは、この層構成を層構成L1として示している。
(偏光板7の作製)
偏光板7は、偏光板1の作製において、第2の保護フィルムとして、縦400mm、横250mm、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(コニカミノルタ株式会社製、KC8UA、保護フィルムP5)を用いた以外は同様にして作製した。
(偏光板8の作製)
偏光板8は、偏光板3の作製において、第2の保護フィルムを設けなかったこと以外は同様にして作製した。つまり、偏光板8は、第1の保護フィルム(11)/誘電体多層膜(13)/偏光子(14)が積層されたものである。表Iでは、この層構成を層構成L4として示している。
(偏光板9の作製)
上記偏光板3の作製において、第2の保護フィルムとして、縦400mm、横250mm、厚さ20μmのλ/4位相差フィルム(コニカミノルタ株式会社製、KCW、保護フィルムP6)を用いた以外は同様にして、偏光板9を作製した。
(偏光板10の作製)
比較例の偏光板として、第1の保護フィルム(11)/偏光子(14)/第2の保護フィルム(12)が積層された層構成L2の偏光板10を作製した。
第1の保護フィルム(11)として偏光板1と同じ保護フィルムP1を準備し、第2の保護フィルム(12)として偏光板1と同じ保護フィルムP4を準備した。第1の保護フィルム(11)及び第2の保護フィルム(12)のいずれも45℃の2モル/Lの水酸化カリウム溶液に30秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して表面をケン化した保護フィルムとした。
また、ケン化処理は、第2の保護フィルム(12)、第1の保護フィルム(11)の順に行った。
また、これらの保護フィルムを用いて、偏光板1〜9と同様に工程1〜6を経て偏光板10を作製した。
(偏光板11の作製)
比較例の偏光板として、後述するとおり、第1の保護フィルム(11)/UV接着層(紫外線硬化型接着剤層)/誘電体多層膜(13)/UV接着層(紫外線硬化型接着剤層)/偏光子(14)/第2の保護フィルム(12)が積層された層構成L3の偏光板11を作製した。
また、本発明に係る誘電体多層膜の比較例として、厚さ102nmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと、厚さ92nmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムとを積層した積層膜(商品名:ナノ90、3M社製、合計層厚:50μm)を用いた。このフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムとが屈折率差があるので、これらを交互に数100層積み上げることで、特定波長を反射することができるものである。また、当該積層膜は、偏光板1〜9のように、酸性コロイダルシリカや酸化ジルコニウム粒子等の無機微粒子は含有していない。当該比較例の誘電体多層膜と偏光子の貼合は、下記方法によって行った。
誘電体多層膜のPENフィルム側の面にコロナ放電処理を施し、当該コロナ放電処理面に、紫外線硬化型接着剤液を、硬化後の膜厚が約3μmとなるようにバーコーターで塗工して紫外線硬化型接着剤層(UV接着層)を形成した。
PENフィルム上の紫外線硬化型接着剤層に、偏光子の一方の面に貼合した。さらに、当該偏光子の他方の面に、あらかじめコロナ放電処理を施した第2の保護フィルム(12)を貼合した。第2の保護フィルム(12)として偏光板1と同じ保護フィルムP4を用いた。
また、誘電体多層膜のPETフィルム側の面にコロナ放電処理を施し、当該コロナ放電処理面に、紫外線硬化型接着剤液を、硬化後の膜厚が約3μmとなるようにバーコーターで塗工して紫外線硬化型接着剤層(UV接着層)を形成した。PETフィルム上の紫外線硬化型接着剤層に、あらかじめコロナ放電処理を施した第1の保護フィルム(11)と貼合した。
次に、上記操作を経て作製した積層体の両面側から、ベルトコンベヤー付き紫外線照射装置(ランプは、フュージョンUVシステムズ社製のDバルブを使用)を用いて、積算光量が750mJ/cmとなるように紫外線を照射し、それぞれの紫外線硬化型接着剤層を硬化させ、偏光板11を作製した。
なお、上記紫外線硬化型接着剤液は、下記の方法で調製して得た接着剤を用いた。
(紫外線硬化型接着剤液の調製)
下記成分を混合した後、脱泡して、紫外線硬化型接着剤液を調製した。なお、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートは、50%プロピレンカーボネート溶液として配合し、下記にはトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートの固形分量を表示した。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
45質量部
エポリードGT−301(ダイセル社製の脂環式エポキシ樹脂)
40質量部
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル 15質量部
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
2.3質量部
9,10−ジブトキシアントラセン 0.1質量部
1,4−ジエトキシナフタレン 2.0質量部
<反射波長領域の測定>
上記各偏光板について、反射波長領域を測定した。具体的には、各偏光板について、分光光度計(積分球使用、株式会社日立製作所製、U−4000型)を用いて、300〜2500nmの領域における5nmおきの光反射率を測定した。次に、光反射率(表面反射率)が10%以上である波長領域を特定した。そして、この特定した波長領域を、光を反射する波長領域であるとし、反射波長領域とした。各偏光板の反射波長領域は表Iに示す。
Figure 2021028646
[偏光板の性能評価]
上記各偏光板について、下記性能について評価した。各評価結果は表IIに示す。
(評価1)カール評価
23℃、50%RH環境下において、作製した各偏光板をA4サイズにカットし24時間調湿した。短辺で吊るした際に、短辺方向が円筒の円周になるよう変形させた際の円筒の曲率半径を測定した。各偏光板の曲率半径を表IIに示す。曲率半径の大きさによって、カールの強さを評価した。曲率半径は20mm以下であれば実用上問題ないとして合格とした。
(評価2)遮熱性能(TSER)、可視光透過率、透過率、面内位相差値
作製した各偏光板に関し、分光光度計(積分球使用、株式会社日立製作所製、U−4000型)を用いて300〜2500nmの領域における5nmおきの透過率・反射率を測定した。第1の保護フィルム(11)の面を分光光度計の検出器側に向けて測定した。ここで、可視光透過率に関しては380〜780nmの波長領域における透過率の平均値を算出した。また、当該可視光透過率と、405nm及び415nmの波長での光透過率を表IIに示す。
偏光板1〜11において、可視光透過率(波長380〜740nm)は各偏光板全体の透過率を示している。
また、偏光板1〜9、11において、光透過率(波長405nm)及び光透過率(波長415nm)は、偏光板のうち第1の保護フィルム及び誘電体多層膜を積層体の状態で測定した透過率を示している。また、偏光板10は誘電体多層膜を設けていないので、光透過率(波長405nm)及び光透過率(波長415nm)は、第1の保護フィルムの透過率を示している。
次に、JIS S 3107:2013に記載の方法で求められる日射透過率T(DS)及び日射反射率R(DS)を用いて、下記計算式を用いて遮熱性能(TSER:Total Solar Energy Rejection)を算出した。
TSER(%)=((100−T(DS)−R(DS))×0.7143)+R(DS)
次に、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃・55%RHの環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率nx、nyから下記式を用いて、面内位相差値Roを算出した。
式(i):Ro=(n−n)×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。〕
(評価3)ケン化槽汚染評価、接着性評価
偏光板10の作製における、第1の保護フィルム(11)及び第2の保護フィルム(12)のケン化処理において、45℃の2モル/Lの水酸化カリウム溶液に30秒間浸漬した時に、第2の保護フィルム(12)から紫外線吸収剤がケン化液に溶出したため、第1の保護フィルム(11)のケン化時に紫外線吸収剤が付着し、白化してしまった。
また、偏光板1〜11の接着性を評価した。
偏光板を、23℃で相対湿度55%の環境下で24時間放置した。その後、各偏光板の偏光子と第1の保護フィルムとの間を引き剥がそうとしたときの偏光板の状態について、以下の基準で接着性を評価した。下記基準で評価して、「○」であれば実用上問題ないレベルと判断した。
○:第1の保護フィルムと偏光子との間の接着力に問題はなく、第1の保護フィルムを剥がそうとすると、第1の保護フィルム側及び偏光子側の少なくとも一方の端部の一部に材料破壊が生じる。
×:第1の保護フィルムと偏光子との間の接着力が弱いため、第1の保護フィルムを剥がそうとすると、第1の保護フィルム側又は偏光子側において、一部又は全部が材料破壊を生じることなく剥がれる。
(評価4)有機EL表示装置での評価
偏光板1〜11を用いて有機EL表示装置を作製し、発光輝度の評価を行った。
(有機EL表示装置の作製)
偏光板1〜11を用いて、特開2013−109869の段落[0180]〜[0186]と同様の方法で有機EL表示装置1〜11を作製した。このとき、偏光板の第2の保護フィルム(12)が有機EL素子側となるように、偏光板1〜11を配置した。なお、偏光板8では、第2の保護フィルムを設けていないので、偏光子が有機EL側となるようにして偏光板8を配置した。
(発光輝度の評価)
室温(25℃)で、2.5mA/cmの定電流密度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ株式会社製)を用いて、各有機EL表示装置の発光輝度を測定し、当該電流値における発光効率(外部取り出し効率)を求めた。そして、偏光板1を用いて作製した有機EL表示装置1の発光効率を1.00とする相対値を用いて、下記基準により各有機EL表示装置での発光効率を評価した。
4:上記相対値が1.1以上
3:上記相対値が0.9以上1.1未満
2:上記相対値が0.5以上0.9未満
1:上記相対値が0.5未満
(キセノン(Xe)光照射試験)
紫外部放射照度が太陽光の3倍(180W/m)高い特性を有するスーパーキセノンウェザーメーター(スガ試験機 SX75)を用いて、放射強度180W/m、槽内温度60℃の条件下において、各有機EL表示装置にキセノン(Xe)光を500時間照射を行い、照射前後での輝度の変化を測定し、偏光板への影響度を評価した。評価方法としては、上記発光輝度の評価方法と同様の方法で発光効率を求め、キセノン(Xe)光照射前に対するキセノン(Xe)光照射後の発光輝度を求めた。
そして、キセノン(Xe)光照射前の偏光板の発光輝度を1.00としたときの、キセノン(Xe)光照射後の偏光板の発光輝度の相対値を下記基準で評価した。
4:上記相対値が1.1以上
3:上記相対値が0.9以上1.1未満
2:上記相対値が0.5以上0.9未満
1:上記相対値が0.5未満
(可視光透過率)
キセノン(Xe)光照射後の各有機EL表示装置から、各偏光板を取り出した。次に、当該各偏光板を、分光光度計(積分球使用、株式会社日立製作所製、U−4000型)を用いて380〜780nmの領域における5nmおきの透過率・反射率を測定した。ここで、第1の保護フィルムの面を分光光度計の検出器側に向けて測定した。また、380〜780nmの波長領域における透過率の平均値を算出し、可視光透過率とした。
(視認性評価)
また、有機EL表示装置1〜11において、偏光板の上から、有機EL表示装置で表示される画像の視認性評価を行った。すると、第2の保護フィルムとして、λ/4を用いた偏光板11を備えた有機EL表示装置10では、外光の反射が少ないため、他の有機EL表示装置よりも有機EL素子側からの画像をよりはっきりと見ることができた。
Figure 2021028646
以上の評価結果を表IIに示す。本発明の偏光板は、各評価項目において、優れていることが分かる。一方、比較例の偏光板は、いずれかの評価項目について、劣るものであった。
また、評価2において、反射波長領域に405nmを含む偏光板は、波長405nmでの光透過率と、波長415nmでの光透過率に大きな差異があり、光の波長により選択的に反射させることができ、優れた光選択性を有することを確認した。また、偏光板11では位相差値が高く、虹ムラになることも確認された。本発明に係る多層膜を用いた場合には、面内位相差値は小さく、鮮明な画像が得られることが分かった。
また、評価3では、本発明の偏光板は、誘電体多層膜を介して、偏光子と保護フィルムを、実用上問題ないレベルの接着性で接着できていることを確認できた。
また、有機EL表示装置での評価4の結果から分かるとおり、偏光板のうち300〜405nmに反射波長領域を有する偏光板では、長時間キセノン(Xe)光を照射しても、ほとんど発光効率に影響がないことが分かった。これは、キセノン(Xe)光を反射することができた偏光板では、ダメージが少なく、発光効率を維持することができたためであると考えられる。
10、10x 偏光板
11、11x 保護フィルム
12、12x 保護フィルム(位相差フィルム)
13 誘電体多層膜
13a 低屈折率層
13b 高屈折率層
14、14x 偏光子
20 有機EL表示装置
25 透明基板
26 有機EL素子
26a 透明電極
26b 有機機能層
26c 光反射性電極
30 液晶表示装置
35 液晶セル
36 バックライト

Claims (10)

  1. 偏光子の少なくとも一方の面側に保護フィルムを有する偏光板であって、
    前記偏光子と前記保護フィルムの間に、光反射性の誘電体多層膜を備え、かつ、
    前記誘電体多層膜が、水溶性樹脂を含有することを特徴とする偏光板。
  2. 前記誘電体多層膜が、前記水溶性樹脂として、ポリビニルアルコールを含有することを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記偏光子と前記誘電体多層膜とが、隣接して設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の偏光板。
  4. 前記誘電体多層膜が、300〜405nmの波長領域内の光を反射することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の偏光板。
  5. 前記誘電体多層膜が、900〜1215nmの波長領域内の光を反射することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の偏光板。
  6. 前記誘電体多層膜が、屈折率が相対的に異なる、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層されたものであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の偏光板。
  7. 前記低屈折率層と前記高屈折率層とが、それぞれ屈折率の異なる無機微粒子又は樹脂を含有することで、層としての屈折率が相対的に異なることを特徴とする請求項6に記載の偏光板。
  8. 厚さが、40〜100μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の偏光板。
  9. 前記保護フィルムが、シクロオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の偏光板。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の偏光板を備えることを特徴とする表示装置。
JP2017233033A 2017-12-05 2017-12-05 偏光板及び表示装置 Pending JP2021028646A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017233033A JP2021028646A (ja) 2017-12-05 2017-12-05 偏光板及び表示装置
PCT/JP2018/044117 WO2019111809A1 (ja) 2017-12-05 2018-11-30 偏光板及び表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017233033A JP2021028646A (ja) 2017-12-05 2017-12-05 偏光板及び表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021028646A true JP2021028646A (ja) 2021-02-25

Family

ID=66750144

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017233033A Pending JP2021028646A (ja) 2017-12-05 2017-12-05 偏光板及び表示装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2021028646A (ja)
WO (1) WO2019111809A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2021235330A1 (ja) * 2020-05-20 2021-11-25

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014142367A (ja) * 2011-05-13 2014-08-07 Sharp Corp 機能性光学フィルムおよびこれを備えた液晶調光素子
JP5874318B2 (ja) * 2011-10-27 2016-03-02 セイコーエプソン株式会社 インクジェット用樹脂インク組成物、インクジェット記録方法、記録物
JP6291830B2 (ja) * 2013-12-13 2018-03-14 東レ株式会社 多層積層フィルム
WO2015098767A1 (ja) * 2013-12-27 2015-07-02 コニカミノルタ株式会社 光学反射フィルム
EP3088177A4 (en) * 2013-12-27 2017-08-30 Zeon Corporation Multilayer film, polarization plate, and multilayer film production method
CN107407755B (zh) * 2015-03-17 2020-06-05 东丽株式会社 叠层膜、使用了该叠层膜的液晶显示器、触摸面板以及有机el显示器
JP6930544B2 (ja) * 2016-09-23 2021-09-01 日本ゼオン株式会社 多層フィルム、偏光板、及び液晶表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
WO2019111809A1 (ja) 2019-06-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6396407B2 (ja) 偏光膜、偏光膜を含む光学フィルム積層体、及び、偏光膜を含む光学フィルム積層体の製造に用いるための延伸積層体、並びにそれらの製造方法、並びに偏光膜を有する有機el表示装置
US9444076B2 (en) Display device comprising polarizing layer
JP5599740B2 (ja) 偏光板及びこれを備える有機発光装置
US10330842B2 (en) Polarizer and display device comprising the same
JP5109606B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法と保護フィルム
JP6378525B2 (ja) 有機エレクトロルミネセンス表示装置
JP2014170221A (ja) 円偏光板および屈曲可能な表示装置
CN109997061B (zh) 光学层叠体、圆偏振片、触控面板和图像显示装置
JP6977737B2 (ja) 表示装置
TW201635516A (zh) 光學膜及具有光學膜之有機發光二極體顯示器
CN106023822B (zh) Oled显示装置以及其制造方法
TW202021805A (zh) 積層薄膜
JP2010212184A (ja) 有機el素子、及びそれを用いた有機elディスプレイ、有機el照明装置
WO2019111809A1 (ja) 偏光板及び表示装置
TWI753138B (zh) 圖像顯示裝置
KR101662920B1 (ko) λ/4 위상차 필름과 그의 제조 방법, 원 편광판 및 유기 일렉트로루미네센스 표시 장치
JP5182024B2 (ja) El素子およびそれを用いるel表示装置
TW200420919A (en) Method for manufacturing a phase plate
JP2004125817A (ja) 偏光フィルム、偏光板、補償偏光板及び表示装置、並びにインハウス製造方法
TW202147660A (zh) 光學薄膜、偏光板及有機電致發光圖像顯示裝置
TW201439650A (zh) 影像顯示裝置