JP2014142367A - 機能性光学フィルムおよびこれを備えた液晶調光素子 - Google Patents

機能性光学フィルムおよびこれを備えた液晶調光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】薄型化が可能であり、緑〜近赤外領域の光の利用効率を向上可能な機能性光学フィルムおよびこれを備えた液晶調光素子を提供する。
【解決手段】本発明の機能性光学フィルム10は、有機膜を積層、延伸して形成した多層膜フィルムからなるバンドパスフィルタ11の一方の面11aに、吸収型の偏光膜12が一体形成されてなることを特徴とする。バンドパスフィルタ11は、青色の領域の光を透過し、緑色から赤色の領域の光を反射する。
【選択図】図1

Description

本発明は、機能性光学フィルムおよびこれを備えた液晶調光素子に関する。
液晶調光素子の一形態としては、バックライトとして青色発光ダイオード(LED)や近紫外発光ダイオード(LED)が用いられ、カラーフィルタに相当する部位に蛍光体が配置されたものが知られている。この蛍光体励起色変換方式の液晶調光素子は、バックライトから出射された光を蛍光体で波長変換し、所望の色(RGBなど)を表示する。この液晶調光素子は、カラーフィルタ方式のものと比較して、光の吸収による損失がなく、蛍光体によって波長変換するため、光利用効率が高いという特長がある。
蛍光体励起色変換方式の液晶調光素子は、所望の蛍光体を選択的に励起するために、液晶表示素子と蛍光体の間に偏光板が設けられている。その偏光板としては、光反射膜が積層されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−134275号公報
特許文献1では、偏光板と光反射膜が粘着層を介して積層されているが、粘着層の複屈折や散乱(ヘイズ)の影響により、コントラスト低下や視野角低下の課題が発生するばかりでなく、偏光板が2枚のTAC(トリアセチルセルロース)フィルムに挟まれたPVA(ポリビニルアルコール)膜からなるため、偏光板厚さが大きくなるという問題があった。偏光板厚さが大きいと、液晶調光素子で調光し、所望の画素から出射した光が、意図しない隣の画素の蛍光体に入射するという光学的クロストークが発生してしまうため、色純度が低下するという課題が発生する。また、光反射膜として、金属薄膜や蒸着形成した誘電体多層膜などを用いており、大面積を安価に製造することが困難であるという課題も有している。
また、フィルム状の光反射膜を用いるとの記載もあるが、膜厚の薄いフィルムをガラス基板などの平坦な基板上に積層する際には、フィルムに皺が入り、良好な貼り合せを行うことが困難であるという、量産性の課題も有している。特許文献1では、平坦な基板上に発光領域(蛍光体層)、平滑化膜、光反射膜、偏光フィルムの順に順次積層していくプロセスを取っており、個々のフィルム、特に光反射膜の膜厚が薄い場合に、良好な貼り合せを行うことが困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、薄型化が可能であり、緑〜近赤外領域の光の利用効率を向上可能な機能性光学フィルムおよびこれを備えた液晶調光素子を提供することを目的とする。
本発明の機能性光学フィルムは、吸収型偏光膜の少なくとも一方の支持体の一部が、屈折率の異なる複数の層を有する有機多層膜からなるバンドパスフィルタであることを特徴とする。
前記バンドパスフィルタは、特許文献1における光反射膜と同様の機能を有するものであるが、青色領域の光を透過し、緑色から近赤外領域までの光を反射することが好ましい。
なお、本発明においては、青色領域の光とは、波長400〜490nmの範囲に含まれる光であり、緑色領域の光とは、波長490〜570nmの範囲に含まれる光であり、赤色から近赤外領域の光とは、波長570〜1300nmの範囲に含まれる光である。
前記バンドパスフィルタは、その厚さ方向に沿って、前記誘電体多層膜の繰り返し単位の厚さが連続的に変調されたものとすることもできる。
前記バンドパスフィルタは、その厚さ方向に沿って、前記誘電体多層膜の繰り返し単位の厚さが連続的に変調された誘電体多層膜を複数積層した積層フィルムであるものとすることもできる。
前記バンドパスフィルタは、その厚さ方向に沿って、前記誘電体多層膜の繰り返し単位の厚さが連続的に変調された誘電体多層膜を複数積層した積層フィルムであり、かつ隣り合う誘電体多層膜の繰り返し単位の厚さが不連続であるものとすることもできる。
前記バンドパスフィルタは、前記偏光膜側から順に、赤色から近赤外領域までの光を反射する領域と、緑色領域の光を反射する領域とが積層されたものとすることもできる。
前記バンドパスフィルタは、前記偏光膜側から順に、緑色領域の光を反射する領域と、赤色から近赤外領域までの光を反射する領域とが積層されたものとすることもできる。
前記バンドパスフィルタは、前記誘電体多層膜の繰り返し単位を構成する層の少なくとも1つが一軸性の複屈折を有する材料からなる偏光反射板とすることもできる。
前記バンドパスフィルタの延伸方向と、偏光板吸収軸が一致しているものとすることもできる。
前記バンドパスフィルタの厚さは、20μm以上であることが好ましい。
前記吸収型偏光膜と前記支持体の厚さの合計が60μm以上であることが好ましい。
前記吸収型偏光膜と前記支持体の厚さの合計が100μm以上であることが好ましい。
本発明の液晶調光素子は、光源と、該光源からの光の偏光状態を制御する液晶素子と、該液晶素子を透過する光を励起光として吸収し、前記光源の波長域と異なる波長域の光を生じる蛍光体と、前記液晶素子を挟む一対の偏光膜と、を備え、前記偏光膜のうち一方は、前記蛍光体の間に設けられた機能性光学フィルムであり、前記光源は、発光スペクトル内において、波長400〜490nmの範囲に少なくとも1つの極大値を有し、前記機能性光学フィルムは、有機膜を積層、延伸して形成した多層膜フィルムからなるバンドパスフィルタと、該バンドパスフィルタの一方の面に成膜された吸収型の偏光膜と、保護膜と、を具備してなることを特徴とする。
本発明の液晶調光素子は、光源と、該光源からの光の偏光状態を制御する液晶素子と、該液晶素子を透過する光を励起光として吸収し、前記光源の波長域と異なる波長域の光を生じる蛍光体と、前記液晶素子を挟む一対の偏光膜と、を備え、前記偏光膜のうち一方は、前記蛍光体の間に設けられた機能性光学フィルムであり、前記光源は、発光スペクトル内において、波長400〜490nmの範囲に少なくとも1つの極大値を有し、前記機能性光学フィルムは、有機膜を積層、延伸して形成した多層膜フィルムからなるバンドパスフィルタと、該バンドパスフィルタの一方の面に接着層を介して積層された吸収型の偏光膜と、を具備してなることを特徴とする。
前記一対の偏光板のうち、第1偏光板は前記光源と前記液晶素子の間に設けられ、第2偏光板は前記液晶素子を構成する基板の液晶層側に設けられたバンドパスフィルタ付き偏光膜であるものとすることもできる。
前記バンドパスフィルタ付き偏光膜の反射スペクトルの短波長側の端部が480nm±10nmの範囲に存在し、前記バンドパスフィルタ付き偏光膜の反射スペクトルの長波長側の端部が850nm以上の領域に存在するものとすることもできる。
前記光源は、青色発光ダイオードであることが好ましい。
前記光源は、青色蛍光管とすることもできる。
本発明の窓ガラスは、本発明の機能性光学フィルムを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、従来のヨウ素偏光板と比較して、薄型化することができるとともに、緑〜赤色領域の光の利用効率を向上することができる。
第1実施形態の機能性光学フィルムの概略断面図である。 第1実施形態の機能性光学フィルムと、一般的な偏光膜とをパラレルニコルの関係に配置した場合を示す概略断面図である。 第1実施形態の機能性光学フィルムと、一般的な偏光膜とをクロスニコルの関係に配置した場合を示す概略断面図である。 第2実施形態の機能性光学フィルムの概略断面図であり、(a)は全体を示す断面図、(b)は一部を拡大した断面図であり、(c)は(b)の一部をさらに拡大した断面図である。 第2実施形態の機能性光学フィルムの反射スペクトルを示すグラフである。 第2実施形態の機能性光学フィルムにおいて、(a)はバンドパスフィルタの反射スペクトル、青色発光ダイオードのスペクトルおよび蛍光体の発光スペクトルを示すグラフであり、(b)はバンドパスフィルタに対して斜め50度に光を入射した場合の反射スペクトルを示すグラフである。 第3実施形態の機能性光学フィルムの概略断面図であり、(a)は全体を示す断面図、(b)は一部を拡大した断面図であり、(c)は(b)の一部をさらに拡大した断面図である。 第3実施形態の機能性光学フィルムの反射スペクトルを示すグラフである。 第4実施形態の機能性光学フィルムの概略断面図である。 第4実施形態のバンドパスフィルタの反射スペクトルを示すグラフである。 第4実施形態の機能性光学フィルムを液晶調光素子に適用した場合を示す断面模式図である。 第4実施形態の機能性光学フィルムの比較例となる機能性光学フィルムを液晶調光素子に適用した場合を示す断面模式図である。 第5実施形態の機能性光学フィルムの概略断面図である。 第5実施形態の機能性光学フィルムを液晶調光素子に適用した場合を示す断面模式図である。 第5実施形態の機能性光学フィルムの比較例となる機能性光学フィルムを液晶調光素子に適用した場合を示す断面模式図である。 第6実施形態の機能性光学フィルムの概略断面図であり、(a)は全体を示す断面図、(b)は一部を拡大した断面図であり、(c)は(b)の一部をさらに拡大した断面図である。 第6実施形態の機能性光学フィルムを液晶調光素子に適用した場合を示す断面模式図である。 第7実施形態の機能性光学フィルムの概略断面図である。 第1実施形態の液晶調光素子を示す概略断面図である。 第2実施形態の液晶調光素子を示す概略断面図である。 第3実施形態の液晶調光素子を示す概略断面図である。 第4実施形態の液晶調光素子を示す概略断面図である。 第5実施形態の液晶調光素子を示す概略断面図である。 第6実施形態の液晶調光素子を示す概略断面図である。 本発明の窓ガラスの一実施形態を示す概略図である。
「機能性光学フィルム」
(1)第1実施形態
図1は、第1実施形態の機能性光学フィルムの概略断面図である。
本実施形態の機能性光学フィルム10は、バンドパスフィルタ11と、バンドパスフィルタ11の一方の面11aに形成された吸収型の偏光膜12とから概略構成され、バンドパスフィルタ11と偏光膜12が積層されてなるものである。
バンドパスフィルタ11は、例えば、複数の有機膜11A〜11Hを積層、延伸して形成した多層膜フィルムである。図1では、有機膜11A〜11Hの8層が図示されているが、バンドパスフィルタ11の層の数はこれに限定されない。バンドパスフィルタ11は、数十層、数百層といった設計が適宜可能である。
また、複数の有機膜は、高屈折率層と低屈折率層が交互に積層された構造をなしている。例えば、有機膜11A、11C、11E、11Gが低屈折率層であり、有機膜11B、11D、11F、11Hが高屈折率層であるというように、高屈折率層と低屈折率層が交互に積層される。高屈折率層と低屈折率層の屈折率差は、有機膜を使用する場合、0.05〜0.3程度の範囲が想定される。例えば、低屈折率層を形成する材料としてポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることができ、高屈折率層を形成する材料としてポリエチレンナフタレート(PEN)を用いることができる。
有機膜11A〜11Hを形成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、フッ素系樹脂、フルオレン系樹脂(屈折率n=1.62)などが用いられるが、これらの中でもポリエチレンナフタレートが薄膜化の観点では好ましい。
ポリエチレンナフタレートは屈折率が高いので、有機膜11A〜11Hを形成する材料としてポリエチレンナフタレートを用いた場合、バンドパスフィルタ11の厚さを薄くすることができる。
例えば、垂直入射する光に対して、選択した波長λの光を反射するバンドパスフィルタを得るには、d=λ/2nの層間隔で積層された誘電体多層膜が必要である。したがって、n(媒質の屈折率)が大きいと、dが小さくなる効果がある。その結果、ポリエチレンナフタレートを用いた機能性光学フィルム10を、液晶調光素子の第2偏光板に適用すると、その第2偏光板と蛍光体層の間隔が小さくなるので、映像のぼやけや、光学的クロストークによる色純度の低下を低減する効果が得られる。したがって、機能性光学フィルム10を備えた液晶調光素子を、より精細度が高いディスプレイに適用できる。
また、バンドパスフィルタ11を構成する有機膜11A〜11Hは、青色透過率が高い方が好ましい。バンドパスフィルタ11を液晶調光素子に適用した場合、緑〜赤色領域への波長変換が効率よく行われるためには、有機膜11A〜11Hの青色透過率が高いことが好ましい。
偏光膜12としては、波長400〜470nmの範囲に吸収ピークを有する二色性色素からなるもの、ポリビニルアルコール(PVA)に二色性色素やヨウ素を含浸した後、そのポリビニルアルコールを延伸してなる偏光膜などが用いられる。
二色性色素としては、青色光において二色比(消光比)を有する材料が用いられる。二色性色素としては、例えば、Acid red 266、Benzopurpurin、C.I.Direct Blue 67、Violet 20、Cyanine dye、Methyl Orange、Perylenebiscarboximides、RU 31.156、Sirius Supra Brown RLL、AH 6556などが挙げられる。
また、二色性色素としては、下記の化学式(1)で表され、2位にアゾ基、6位にアミノ基、もしくはN−置換アミノ基を置換基とする1−ナフトール−3−スルホン酸骨格を有するジアゾ染料、下記の化学式(2)で表され、2位にアゾ基、6位に置換アミノ基を置換基とする1−ナフトール−3−スルホン酸骨格を有するトリスアゾ染料、下記の化学式(3)で表され、4,4’にアゾ基、2,2’にスルホン酸基を置換基とするスチルベン骨格を有するテトラアゾ染料なども用いられる。
Figure 2014142367
Figure 2014142367
Figure 2014142367
二色比の最大部が波長430nm付近にあるC.I.Direct Blue 67(450nm)を用いて偏光膜12を形成すれば、機能性光学フィルム10を、液晶調光素子に適用した場合、光源としては、例えば、二色比の最大部に発光ピークを合わせた青色発光ダイオード(青色LED)、波長430nmおよび490nmに極大値を有する青色蛍光管などが用いられる。
偏光膜12が二色性色素のみからなる場合、偏光膜12は、種々の有機溶媒に二色性色素を溶解して溶液を調製し、ダイコータ、スリットコータ、バーコータなどの塗布装置を用いて、バンドパスフィルタ11の一方の面11aに、その溶液を塗布し、乾燥することによって形成される。
二色性色素を配向させる方法としては、例えば、バンドパスフィルタ11に、二色性色素を溶解した溶液を、剪断力を加えながら塗布する方法が挙げられる。この方法によれば、剪断力を加えた方向、すなわち、溶液の塗布方向が偏光膜12の透過軸となり、剪断力を加えた方向と直交する方向が偏光膜12の吸収軸となる。
また、二色性色素を配向させる方法としては、バンドパスフィルタ11の一方の面11aにラビングなどの配向処理を施し、その配向処理が施された面に、二色性色素を溶解した溶液を塗布することにより、二色性色素を配向させる方法が挙げられる。
さらに、二色性色素を配向させる方法としては、バンドパスフィルタ11の一方の面11aに配向膜を形成し、その配向膜に、二色性色素を溶解した溶液を塗布することにより、二色性色素を配向させる方法が挙げられる。
このように、バンドパスフィルタ11に配向処理を施した後、二色性色素を溶解した溶液を塗布した場合、配向処理方向に二色性色素が配向するので、偏光膜12の吸収軸が配向処理方向と一致する。
また、二色性色素を配向させる方法としては、バンドパスフィルタ11の一方の面11aに光配向膜を形成し、その光配向膜に対して斜め方向から紫外線あるいは偏光紫外線を照射することによって配向処理を施し、二色性色素を配向させる方法が挙げられる。
偏光膜12が、ポリビニルアルコールに二色性色素やヨウ素を含浸した後、そのポリビニルアルコールを延伸してなる偏光膜からなる場合、バンドパスフィルタ11の一方の面11aに、接着剤を介して、偏光膜12が接着される。
機能性光学フィルム10では、バンドパスフィルタ11の一方の面11aに、二色性色素を溶解した溶液が塗工されるか、あるいは、バンドパスフィルタ11の一方の面11aに、接着剤を介して、二色性色素やヨウ素を含浸したポリビニルアルコールが接着されて、偏光膜12が形成されているので、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどからなる基材を省略することができる。したがって、バンドパスフィルタ11と偏光膜12が一体化されてなる機能性光学フィルム10を薄型化することが可能となる。
また、バンドパスフィルタ11が、有機膜11A〜11Hを積層、延伸して形成した多層膜フィルムからなるので、二色性色素やヨウ素を含浸したポリビニルアルコールからなる偏光膜12との接着が容易である。加えて、バンドパスフィルタ11自体が、偏光膜12の保護材として機能する。
ここで、機能性光学フィルム10と、一般的な偏光膜20とを組み合わせて用いた場合の機能性光学フィルム10の作用について説明する。
図2は、機能性光学フィルム10と、偏光膜20とをパラレルニコルの関係に配置した場合を示す概略断面図である。図2において、偏光膜12の透過軸は符号13で示す方向を向いており、偏光膜20の透過軸は符号21で示す方向を向いている。
偏光膜20は、偏光膜12におけるバンドパスフィルタ11と接している面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)12aに対向するように配置されている。
青色発光ダイオードなどを光源とし、例えば、波長455nm付近に極大値を有する青色光31を、偏光膜20における機能性光学フィルム10と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)20aから入射する。
すると、青色光31は、偏光膜20、偏光膜12およびバンドパスフィルタ11を透過する。したがって、蛍光体層が、バンドパスフィルタ11における偏光膜12と接している面とは反対側の面(以下、「他方の面」と言う。)11bに対向するように配設されていれば、偏光膜20および機能性光学フィルム10を透過した青色光31を、その蛍光体層で波長変換して、緑色領域の光(以下、「緑色光」と言うこともある。)32や赤色から近赤外領域の光(以下、「赤色光」と言うこともある。)33を発光させることができる。さらに、バンドパスフィルタ11は、緑色光32や赤色光33を、再び蛍光体層側に反射するので、緑色光32や赤色光33を効率的に利用することができる。
図3は、機能性光学フィルム10と、偏光膜20とをクロスニコルの関係に配置した場合を示す概略断面図である。図3において、偏光膜12の透過軸は符号14で示す方向を向いており、偏光膜30の透過軸は符号21で示す方向を向いている。
偏光膜20は、偏光膜12の一方の面12aに対向するように配置されている。
青色発光ダイオードなどを光源とし、例えば、波長455nm付近に極大値を有する青色光31を、偏光膜20の一方の面20aから入射する。
すると、青色光31は、偏光膜20を透過するが、偏光膜12を透過することができない。したがって、蛍光体層が、バンドパスフィルタ11の他方の面11bに対向するように配設されていても、青色光31を蛍光体層で波長変換して、緑色光32や赤色光33に変換することができない。
このように、機能性光学フィルム10と、偏光膜20との配置を、パラレルニコルの関係またはクロスニコルの関係に切換えることにより、光の透過に関する特性を切換えることができる。
また、バンドパスフィルタ11の他方の面11bでは、緑色光32や赤色光33を反射するので、蛍光体層が、バンドパスフィルタ11の他方の面11bに対向するように配設されている場合、緑色光32や赤色光33を効率的に利用することができる。
機能性光学フィルム10は、バンドパスフィルタ11の一方の面11aに、偏光膜12が積層されているので、一般的なヨウ素偏光板よりも薄型化することができる。
また、機能性光学フィルム10は、偏光膜12を形成するための基材が不要であるから、その基材自体に起因する複屈折や散乱(ヘイズ)などの偏光解消要因や、偏光膜12をバンドパスフィルタ11に接合するための粘着層の複屈折や散乱の影響がない。したがって、コントラストを高くすることができるとともに、視野角を広げることができる。
さらに、機能性光学フィルム10は、偏光膜12を形成するための基材が不要であるから、耐熱性が高い。
(2)第2実施形態
図4は、第2実施形態の機能性光学フィルムの概略断面図であり、(a)は全体を示す断面図、(b)は一部を拡大した断面図であり、(c)は(b)の一部をさらに拡大した断面図である。
本実施形態の機能性光学フィルム50は、バンドパスフィルタ51と、バンドパスフィルタ51の一方の面51aに形成された吸収型の偏光膜52とから概略構成され、バンドパスフィルタ51と偏光膜52が積層されてなるものである。
バンドパスフィルタ51は、偏光膜52側から順に、第1のバンドパスフィルタ53から第5のバンドパスフィルタ57までが積層されたものである。
第1のバンドパスフィルタ53は、図4(c)に示すように、1つの繰り返し単位が高屈折率層と低屈折率層からなり、繰り返し単位が連続的に変調された構造をなしている。繰り返し単位のうち1単位の層間隔が小さい側を53A、1単位の層間隔が大きい側を53Bとしている。また、高屈折率層53B−Hをポリエチレンナフタレートで形成し、低屈折率層53B−Lをポリエチレンテレフタレートで形成した場合、高屈折率層53B−Hと低屈折率層53B−Lの屈折率差は0.12である。高屈折率層53B−Hを形成する材料としては、フルオレン系樹脂、低屈折率層53B−Lを形成する材料としては、フッ素系樹脂なども用いることができる。
次に、バンドパスフィルタ51の繰り返し単位の変調に関して詳述する。
図4に示すように、バンドパスフィルタ51の厚さ方向に沿って、繰り返し単位の厚さが第1のバンドパスフィルタ53から第5のバンドパスフィルタ57に通して連続的に変調されており、その繰り返し単位の厚さが、偏光膜52側で最小、反対側で最大となっている。
バンドパスフィルタ51の繰り返し単位の厚さ(層間隔)と、バンドパスフィルタ51の繰り返し単位における反射波長と、媒質(バンドパスフィルタ51を構成する材質)の屈折率との間には、以下の式(1)の関係がある。
1単位の厚さ=反射波長/[2×(媒質の屈折率)] (1)
例えば、バンドパスフィルタ51の中の一部の繰り返し単位における反射波長が550nm、バンドパスフィルタ51の媒質の平均屈折率が1.52の場合、上記の式(1)から、1単位の厚さは約181nmである。
本発明では、図5に示すように、バンドパスフィルタの反射スペクトルの短波長端が480nm付近、長波長端が850nm以上に存在するため、最も薄い層の1単位の厚さは約142nm、一方で最も厚い層の1単位の厚さは約300nmとなる。
バンドパスフィルタ51の繰り返し単位の厚さの変調率は、繰り返し単位の厚さの最小値をd1、繰り返し単位の厚さの最大値をd2としたとき、(d2−d1)/d1が80%以上であることが好ましい。言い換えれば、バンドパスフィルタ51の中で、繰り返し単位の厚さの最大値は、繰り返し単位の厚さの最小値の1.8倍以上であることが好ましい。さらに好ましくは(d2−d1)/d1が100%以上であることが好ましい。言い換えれば、バンドパスフィルタ51の中で、繰り返し単位の厚さの最大値は、繰り返し単位の厚さの最小値の2.0倍以上であることが好ましい。
第1のバンドパスフィルタ53から第5のバンドパスフィルタ57の各層の厚さは、それぞれの層における反射波長に合わせて適宜決定される。
また、厚さが最も薄い層、すなわち、第1のバンドパスフィルタ53の低屈折率層53Aに相当する反射波長は、反射波長の短波長側の波長端が480nm±10nmで、反射波長の長波長側の波長端が850nmよりも長波長側に存在することが好ましい。さらに好ましくは1000nmよりも長波長側に存在する事が好ましい。
誘電体多層膜の反射スペクトルは、入射極角が大きくなるに従って短波長側にシフトするブルーシフトと言う特徴がある。多層膜に正面入射した光は、緑〜赤色領域において反射するが、斜め50度入射した光は、青〜緑領域より短波長の光を反射するなどの現象が起きる。このため、予めブルーシフトすることを想定して、反射波長帯域の長波長側の端部が、可視光よりも長い波長(850nm以上)となるように、バンドパスフィルタ51の反射スペクトルを設計する。なお、バンドパスフィルタ51の反射波長帯域の長波長側の端部は、850nmよりも長波長側(900nmや1000nmなど)にあってもよい。一方、バンドパスフィルタ51の反射波長帯域の短波長側の端部は、青色発光ダイオードからの光を透過させるために、青色発光ダイオードのカットオフ波長(480nm±10nm)近傍を透過/反射の境界とすることが好ましい。
ここで、バンドパスフィルタ51は、例えば、図6(a)のような反射スペクトル特性を示す。図6(a)は、機能性光学フィルム50において、バンドパスフィルタの反射スペクトル、青色発光ダイオードのスペクトルおよび蛍光体の発光スペクトルを示すグラフである。蛍光体を励起する青色発光ダイオードからの光は、選択的に正面入射に近い光、すなわち、指向性の高い光とすることが好ましい。指向性の高い入射光は、効率よくバンドパスフィルタを透過させることができる。
図6(b)に、バンドパスフィルタに対して斜め50度に光を入射した場合の反射スペクトルを示す。蛍光体に入射した青色光が蛍光体で色変換され、拡散光として発光し、一部はバンドパスフィルタに斜め入射するが、バンドパスフィルタの反射帯域がブルーシフトしても、反射帯域が赤色領域まで確保されているので、赤色成分の光を反射することができる。
このようにバンドパスフィルタのブルーシフトを考慮した設計を行うことが好ましい。
第1実施形態で述べたように、本実施形態の機能性光学フィルム50を蛍光体と組み合わせて使用した場合、蛍光体から発光した光を効率よく反射し、再び蛍光体層側へ出射させることができる。
さらに、低屈折率層と高屈折率層の屈折率差は、大きいことが好ましい。このようにすれば、厚さの薄いバンドパスフィルタ51を形成することができる。
例えば、低屈折率層をフッ素系樹脂(屈折率n=1.42、商品名:ディフェンサ、DIC社製)で形成し、高屈折率層をフルオレン系樹脂(屈折率n=1.62、商品名:オグソール、大阪ガスケミカル社製)やポリエチレンナフタレート(屈折率n=1.64)で形成してもよい。
また、低屈折率層をポリエチレンテレフタレートなどの透明樹脂(屈折率n=1.52〜1.54)で形成し、高屈折率層をルミプラス(商品名、屈折率n=1.71、三菱ガス化学社製)で形成してもよい。
偏光膜52としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
機能性光学フィルム50によれば、第1のバンドパスフィルタ53から第5のバンドパスフィルタ57までが積層されているので、5つのバンドパスフィルタの特性を合わせた反射スペクトル特性が得られる。
機能性光学フィルム50は、バンドパスフィルタ51の一方の面51aに、偏光膜52が積層されているので、一般的なヨウ素偏光板よりも薄型化することができる。
また、機能性光学フィルム50は、偏光膜52を形成するための基材が不要であるから、その基材自体に起因する複屈折や散乱(ヘイズ)などの偏光解消要因や、偏光膜52をバンドパスフィルタ51に接合するための粘着層の複屈折や散乱の影響がない。したがって、コントラストを高くすることができるとともに、視野角を広げることができる。
さらに、機能性光学フィルム50は、偏光膜52を形成するための基材が不要であるから、耐熱性が高い。
なお、本実施形態では、第1のバンドパスフィルタ53から第5のバンドパスフィルタ57の繰り返し単位が、低屈折率層と高屈折率層が、この順に積層された積層体である場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、繰り返し単位が、低屈折率層、高屈折率層および低屈折率層が、この順に積層された積層体であってもよく、高屈折率層、低屈折率層および高屈折率層が、この順に積層された積層体であってもよい。
また、本実施形態では、バンドパスフィルタを構成する各層において、偏光膜側から順に低屈折率層と高屈折率層が形成された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、バンドパスフィルタを構成する各層において、偏光膜側から順に高屈折率層と低屈折率層が形成されていてもよい。
また、本実施形態では、バンドパスフィルタ51が、その厚さ方向に沿って、繰り返し単位の厚さが連続的に変調され、その繰り返し単位の厚さが、偏光膜52側で最小、反対側で最大である場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、バンドパスフィルタは、その厚さ方向に沿って、繰り返し単位の厚さが連続的に変調され、その繰り返し単位の厚さが、偏光膜側で最大、反対側で最小であってもよい。
(3)第3実施形態
図7は、第3実施形態の機能性光学フィルムの概略断面図であり、(a)は全体を示す断面図、(b)は一部を拡大した断面図であり、(c)は(b)の一部をさらに拡大した断面図である。
本実施形態の機能性光学フィルム60は、バンドパスフィルタ61と、バンドパスフィルタ61の一方の面61aに形成された吸収型の偏光膜62とから概略構成され、バンドパスフィルタ61と偏光膜62が積層されてなるものである。
バンドパスフィルタ61は、偏光膜62側から順に、第1のバンドパスフィルタ63から第5のバンドパスフィルタ67までが積層されたものである。
第1のバンドパスフィルタ63は、図7(c)に示すように、1つの繰り返し単位が高屈折率層と低屈折率層からなり、繰り返し単位が連続的に変調された構造をなしている。繰り返し単位のうち1単位の層間隔が小さい側を63A、1単位の層間隔が大きい側を63Bとしている。また、高屈折率層63B−Hをポリエチレンナフタレートで形成し、低屈折率層63B−Lをポリエチレンテレフタレートで形成した場合、高屈折率層63B−Hと低屈折率層63B−Lの屈折率差は0.12である。高屈折率層63B−Hを形成する材料としては、フルオレン系樹脂、低屈折率層63B−Lを形成する材料としては、フッ素系樹脂なども用いることができる。
また、バンドパスフィルタ61は、複数のバンドパスフィルタが積層されたものであってもよいが、複数のバンドパスフィルタそれぞれの繰り返し単位は、必ずしも連続的でなくてもよい。
例えば、図7において、バンドパスフィルタ61は、第1のバンドパスフィルタ63から第5のバンドパスフィルタ67までの5つの層から構成されている。第1のバンドパスフィルタ63から第5のバンドパスフィルタ67は、それぞれの繰り返し単位の厚さが変調されている。
例えば、第1のバンドパスフィルタ63は、繰り返し単位の厚さが63A側で最小、63B側で最大であり、最小値d63Aが150nm、最大値d63Bが181nmとなるように連続的に変調された多層膜である。
第2のバンドパスフィルタ64は、繰り返し単位の厚さが64A側で最小、64B側で最大であり、最小値d64Aが167nm、最大値d64Bが202nmとなるように連続的に変調された多層膜である。
第3のバンドパスフィルタ65は、繰り返し単位の厚さが65A側で最小、65B側で最大であり、最小値d65Aが185nm、最大値d65Bが223nmとなるように連続的に変調された多層膜である。
第4のバンドパスフィルタ66は、繰り返し単位の厚さが66A側で最小、66B側で最大であり、最小値d66Aが204nm、最大値d66Bが246nmとなるように連続的に変調された多層膜である。
第5のバンドパスフィルタ67は、繰り返し単位の厚さが67A側で最小、67B側で最大であり、最小値d67Aが224nm、最大値d67Bが270nmとなるように連続的に変調された多層膜である。
上記のように、5つの各バンドパスフィルタ内では、繰り返し単位が連続的に変調されているが、隣り合うバンドパスフィルタ間、すなわち、第1のバンドパスフィルタ63と第2のバンドパスフィルタ64の境界部や、第2のバンドパスフィルタ64と第3のバンドパスフィルタ65の境界部などでは、繰り返し単位が不連続に積層されている。このような構成であっても、個々のバンドパスフィルタの反射帯域は、隣り合うバンドパスフィルタの反射帯域と重なり合う領域があるため、積層したバンドパスフィルタ全体としては、連続的に繰り返し単位を変調した場合と同等の挙動を得ることができる。
また、5つのバンドパスフィルタはそれぞれ、繰り返し単位の厚さが変調されているが、その変調率は、例えば、第1のバンドパスフィルタ63の場合、繰り返し単位の厚さの最小値をd63A、繰り返し単位の厚さの最大値をd63Bとしたとき、(d63B−d63A)/d63Aが20%程度であることが好ましい。言い換えれば、バンドパスフィルタ61の中で、繰り返し単位の厚さの最大値は、繰り返し単位の厚さの最小値の1.2倍程度であることが好ましい。5つのバンドパスフィルタはそれぞれ、同様の変調率で変調した場合、5つのバンドパスフィルタ全体で見れば、上述した連続的に膜厚変調したケースと同様に、(d2−d1)/d1が80%、あるいは、繰り返し単位の厚さの最大値が、繰り返し単位の厚さの最小値の1.8倍以上という条件に相当する。
第1のバンドパスフィルタ63から第5のバンドパスフィルタ67の各層の厚さは、それぞれの層における反射波長に合わせて適宜決定される。
例えば、低屈折率層をフッ素系樹脂(屈折率n=1.42、商品名:ディフェンサ、DIC社製)で形成し、高屈折率層をフルオレン系樹脂(屈折率n=1.62、商品名:オグソール、大阪ガスケミカル社製)やポリエチレンナフタレート(屈折率n=1.64)で形成してもよい。
また、低屈折率層をポリエチレンテレフタレートなどの透明樹脂(屈折率n=1.52〜1.54)で形成し、高屈折率層をルミプラス(商品名、屈折率n=1.71、三菱ガス化学社製)で形成してもよい。
また、ポリエチレンテレフタレートのみを用いた場合でも、延伸工程や加熱工程の制御により、結晶化度を調整することによって、低屈折率層(屈折率=1.52)と高屈折率層(屈折率=1.56)程度にまで屈折率変調の幅を制御することも可能であるため、屈折率の異なる2種類のポリエチレンテレフタレートを積層、延伸することによって、所望の多層膜を形成することも可能である。また、同種の材料を用いて、上記の多層膜を形成することは、低コストの観点で最も好ましい。
また、ポリエチレンナフタレートは、高延伸倍率で延伸すると、平均屈折率が1.7程度にまで高めることが可能であるため、低屈折率層をポリエチレンテレフタレート、高屈折率層をポリエチレンナフタレートという構成で、溶融積層した多層フィルムを形成し、この多層フィルムを延伸することによって所望の膜厚の多層膜とすることも可能である。
また、ポリエチレンナフタレートのみを用いた場合でも、延伸工程や加熱工程の制御により、結晶化度を調整することによって、低屈折率層(屈折率=1.6)と高屈折率層(屈折率=1.7)程度にまで屈折率変調の幅を制御することも可能であるため、屈折率の異なる2種類のポリエチレンナフタレートを積層、延伸することによって、所望の多層膜を形成することも可能である。また、同種の材料を用いて、上記の多層膜を形成することは、低コストの観点で最も好ましい。
偏光膜62としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
機能性光学フィルム60は、例えば、図8のような反射スペクトル特性を示す。
第1のバンドパスフィルタ63は、480nm付近に短波長端を有し、反射帯域が100〜150nmのバンドパスフィルタである。
第2のバンドパスフィルタ64は、530nm付近に短波長端を有し、反射帯域が100〜150nmのバンドパスフィルタである。
第3のバンドパスフィルタ65は、580nm付近に短波長端を有し、反射帯域が100〜150nmのバンドパスフィルタである。
第4のバンドパスフィルタ66は、650nm付近に短波長端を有し、反射帯域が100〜150nmのバンドパスフィルタである。
第5のバンドパスフィルタ67は、710nm付近に短波長端を有し、反射帯域が100〜150nmのバンドパスフィルタである。
機能性光学フィルム60によれば、第1のバンドパスフィルタ63から第5のバンドパスフィルタ67までが積層されているので、5つのバンドパスフィルタの特性を合わせた反射スペクトル特性が得られる。
機能性光学フィルム60は、バンドパスフィルタ61の一方の面61aに、偏光膜62が積層されているので、一般的なヨウ素偏光板よりも薄型化することができる。
また、機能性光学フィルム60は、偏光膜62を形成するための基材が不要であるから、その基材自体に起因する複屈折や散乱(ヘイズ)などの偏光解消要因や、偏光膜62をバンドパスフィルタ61に接合するための粘着層の複屈折や散乱の影響がない。したがって、コントラストを高くすることができるとともに、視野角を広げることができる。
さらに、機能性光学フィルム60は、偏光膜62を形成するための基材が不要であるから、耐熱性が高い。
なお、本実施形態では、バンドパスフィルタ61が、第1のバンドパスフィルタ63から第5のバンドパスフィルタ67が積層されてなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、4つ以上の異なるバンドパスフィルタが接着層を介して積層されていてもよいし、接着層を介さずに、膜厚の異なる多層膜を積層、延伸した一体成型品であってもよい。
このように、バンドパスフィルタ61の各層を形成する材料の屈折率差、誘電体多層膜の層間隔と層数、積層するバンドパスフィルタの数とその短波長端設計などを適宜決定することによって、様々な反射型バンドパスフィルタを形成することができる。
(4)第4実施形態
図9は、第4実施形態の機能性光学フィルムの概略断面図である。
本実施形態の機能性光学フィルム80は、バンドパスフィルタ81と、バンドパスフィルタ81の一方の面81aに形成された吸収型の偏光膜82とから概略構成され、バンドパスフィルタ81と偏光膜82が積層されてなるものである。
バンドパスフィルタ81は、偏光膜82側から順に、第1のバンドパスフィルタ83と第2のバンドパスフィルタ84が積層されたものである。
第1のバンドパスフィルタ83と第2のバンドパスフィルタ84は、屈折率を調整可能な透明接着剤を介して接合されている。
また、第1のバンドパスフィルタ83と第2のバンドパスフィルタ84は、紫外線硬化型樹脂を介して貼り合せられた後、紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射して、この紫外線硬化型樹脂を硬化させることにより接合されている。
すなわち、バンドパスフィルタ81は、偏光膜82側から順に、有機膜からなる第1のバンドパスフィルタ83と第2のバンドパスフィルタ84を積層、延伸して形成した多層膜フィルムである。
第1のバンドパスフィルタ83としては、帝人デュポンフィルム社の超多層フィルム:テイジン(登録商標)テトロン(登録商標)フィルムMLFシリーズのMLF−19.0が用いられる。
MLF−19.0は、図10に示すように、波長580〜680nmに反射率30%以上の特異的な反射領域を示す。また、MLF−19.0は、主に赤色光を反射し、僅かに(10%程度)緑色光を反射するという特性を有する。
第2のバンドパスフィルタ84としては、帝人デュポンフィルム社の超多層フィルム:テイジン(登録商標)テトロン(登録商標)フィルムMLFシリーズのMLF−16.5が用いられる。
MLF−16.5は、図10に示すように、波長480〜580nmに反射率30%以上の特異的な反射領域を示す。また、MLF−16.5は、主に緑色光を反射し、僅かに(10%程度)赤色光を反射するという特性を有する。
偏光膜82としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
機能性光学フィルム80の透過スペクトルは、図10に示すように、MLF−19.0(第1のバンドパスフィルタ83)とMLF−16.5(第2のバンドパスフィルタ84)のそれぞれの反射帯域を合わせた特性を有している。
次に、機能性光学フィルム80を液晶調光素子に適用した場合について説明する。
図11は、機能性光学フィルム80を液晶調光素子に適用した場合を示す断面模式図である。
ここでは、蛍光体層90が、機能性光学フィルム80の第2のバンドパスフィルタ84と対向するように配置されている。また、図示していないが、機能性光学フィルム80の下層には液晶素子が設置してあり、蛍光体層90のRGB各画素に対応した画素領域で光の偏光状態を制御し、機能性光学フィルム80を透過する光の光量を調光する。
液晶パネルが透過状態(白表示)のとき、青色発光ダイオードなどを光源とする青色光101が、偏光膜82の一方の面82aから入射すると、青色光101が、偏光膜82、第1のバンドパスフィルタ83および第2のバンドパスフィルタ84を透過する。そして、第2のバンドパスフィルタ84を透過した青色光101の一部が、蛍光体層90のうち緑色蛍光体層90Gに入射すると、緑色蛍光体層90Gから緑色光(蛍光)が発光される。緑色光の一部は、蛍光体層90の裏面側(第2のバンドパスフィルタ84側)に出射するが、その緑色光102は第2のバンドパスフィルタ84で反射して、再び緑色蛍光体層90Gに入射する。
機能性光学フィルム80によれば、蛍光体層90の裏面側に出射した緑色光102を、第2のバンドパスフィルタ84にて、再び蛍光体層90側に反射させ、その反射光を蛍光体層90に入射することができるので、緑色蛍光体層90Gにおいて高い効率が得られ、白表示のときに明るい表示が得られる。
また、機能性光学フィルム80によれば、所望の画素以外から青色光が入って、意図しない蛍光体を励起するという光学的クロストークを防止することができる。
一方、図12に示すように、蛍光体層90側から順に、第1のバンドパスフィルタ83、第2のバンドパスフィルタ84および偏光膜82が配置された場合について説明する。
図12は、機能性光学フィルム110を液晶調光素子に適用した場合を示す断面模式図である。
機能性光学フィルム110は、偏光膜82と、偏光膜82側から順に、第2のバンドパスフィルタ84と第1のバンドパスフィルタ83が積層されたバンドパスフィルタ111とから概略構成されている。
液晶パネルが透過状態(白表示)のとき、青色発光ダイオードなどを光源とする青色光101が、偏光膜82の一方の面82aから入射すると、青色光101が、偏光膜82、第2のバンドパスフィルタ84および第1のバンドパスフィルタ83を透過する。そして、第1のバンドパスフィルタ83を透過した青色光101の一部が、蛍光体層90のうち緑色蛍光体層90Gに入射すると、緑色蛍光体層90Gから緑色光(蛍光)が発光される。緑色光の一部は、蛍光体層90の裏面側(第1のバンドパスフィルタ83側)に出射して、第1のバンドパスフィルタ83を透過する。さらに、第1のバンドパスフィルタ83を透過した緑色光102は第2のバンドパスフィルタ84で反射するが、蛍光体層90と第2のバンドパスフィルタ84の間に第1のバンドパスフィルタ83が存在するため、再び一部の光が第2のバンドパスフィルタ84側に反射される。また、蛍光体層90と第2のバンドパスフィルタ84の間の光学距離が長いため、第2のバンドパスフィルタ84で反射した光の一部が隣の赤色蛍光体層90Rや青色蛍光体層90Bに入射し、色純度が低下する場合もあるため、緑色光の利用効率を優先的に高める場合においては、蛍光体層90側から順に、第2のバンドパスフィルタ84、第1のバンドパスフィルタ83および偏光膜82が配置された場合の方がより好ましい配置である。
機能性光学フィルム80は、バンドパスフィルタ81の一方の面81aに、偏光膜82が積層されているので、一般的なヨウ素偏光板よりも薄型化することができる。
また、機能性光学フィルム80は、偏光膜82を形成するための基材が不要であるから、その基材自体に起因する複屈折や散乱(ヘイズ)などの偏光解消要因や、偏光膜82をバンドパスフィルタ81に接合するための粘着層の複屈折や散乱の影響がない。したがって、コントラストを高くすることができるとともに、視野角を広げることができる。
さらに、機能性光学フィルム80は、偏光膜82を形成するための基材が不要であるから、耐熱性が高い。
なお、バンドパスフィルタとしては、上記以外に東レ社製のPICASUSを用いることもできる。
(5)第5実施形態
図13は、第5実施形態の機能性光学フィルムの概略断面図である。
本実施形態の機能性光学フィルム120は、バンドパスフィルタ121と、バンドパスフィルタ121の一方の面121aに形成された吸収型の偏光膜122とから概略構成され、バンドパスフィルタ121と偏光膜122が積層されてなるものである。
バンドパスフィルタ121は、偏光膜122側から順に、第1のバンドパスフィルタ123と第2のバンドパスフィルタ124が積層されたものである。
第1のバンドパスフィルタ123と第2のバンドパスフィルタ124は、屈折率を調整可能な透明接着剤を介して接合されている。
また、第1のバンドパスフィルタ123と第2のバンドパスフィルタ124は、紫外線硬化型樹脂を介して貼り合せられた後、紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射して、この紫外線硬化型樹脂を硬化させることにより接合されている。
すなわち、バンドパスフィルタ121は、偏光膜122側から順に、有機膜からなる第1のバンドパスフィルタ123と第2のバンドパスフィルタ124を積層、延伸して形成した多層膜フィルムである。
第1のバンドパスフィルタ123としては、帝人デュポンフィルム社の超多層フィルム:テイジン(登録商標)テトロン(登録商標)フィルムMLFシリーズのMLF−16.5が用いられる。
第2のバンドパスフィルタ124としては、帝人デュポンフィルム社の超多層フィルム:テイジン(登録商標)テトロン(登録商標)フィルムMLFシリーズのMLF−19.0が用いられる。
偏光膜122としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
機能性光学フィルム120の透過スペクトルは、図10に示すように、MLF−16.5(第1のバンドパスフィルタ123)とMLF−19.0(第2のバンドパスフィルタ124)のそれぞれの反射帯域を合わせた特性を有している。
次に、機能性光学フィルム120を液晶調光素子に適用した場合について説明する。
図14は、機能性光学フィルム120を液晶調光素子に適用した場合を示す断面模式図である。
ここでは、蛍光体層90が、機能性光学フィルム120の第2のバンドパスフィルタ124と対向するように配置されている。
液晶パネルが透過状態(赤表示)のとき、青色発光ダイオードなどを光源とする青色光101が、偏光膜122の一方の面122aから入射すると、青色光101が、偏光膜122、第1のバンドパスフィルタ123および第2のバンドパスフィルタ124を透過する。そして、第2のバンドパスフィルタ124を透過した青色光101の一部が、蛍光体層90のうち赤色蛍光体層90Rに入射すると、赤色蛍光体層90Rから赤色光(蛍光)が発光される。赤色光の一部は、蛍光体層90の裏面側(第2のバンドパスフィルタ124側)に出射するが、その赤色光103は第2のバンドパスフィルタ124で反射して、再び赤色蛍光体層90Rに入射する。
機能性光学フィルム120によれば、蛍光体層90の裏面側に出射した赤色光103を、第2のバンドパスフィルタ124にて、再び蛍光体層90側に反射させ、その反射光を蛍光体層90に入射することができるので、赤色蛍光体層90Rにおいて高い効率が得られ、赤表示のときに明るく、色純度の高い表示が得られる。
また、機能性光学フィルム120によれば、所望の画素以外から青色光が入って、意図しない蛍光体を励起するという光学的クロストークを防止することができる。
一方、図15に示すように、蛍光体層90側にから順に、第1のバンドパスフィルタ123、第2のバンドパスフィルタ124および偏光膜122が配置された場合について説明する。
図15は、機能性光学フィルム130を液晶調光素子に適用した場合を示す断面模式図である。
機能性光学フィルム130は、偏光膜122と、偏光膜122側から順に、第2のバンドパスフィルタ124と第1のバンドパスフィルタ123が積層されたバンドパスフィルタ131とから概略構成されている。
液晶パネルが透過状態(赤表示)のとき、青色発光ダイオードなどを光源とする青色光101が、偏光膜122の一方の面122aから入射すると、青色光101が、偏光膜122、第2のバンドパスフィルタ124および第1のバンドパスフィルタ123を透過する。そして、第1のバンドパスフィルタ123を透過した青色光101の一部が、蛍光体層90のうち赤色蛍光体層90Rに入射すると、赤色蛍光体層90Rから赤色光(蛍光)が発光される。赤色光の一部は、蛍光体層90の裏面側(第1のバンドパスフィルタ123側)に出射して、第1のバンドパスフィルタ123を透過する。さらに、第1のバンドパスフィルタ123を透過した赤色光103は第2のバンドパスフィルタ124で反射するが、蛍光体層90と第2のバンドパスフィルタ124の間に第1のバンドパスフィルタ123が存在するため、再び一部の光が第2のバンドパスフィルタ124側に反射される。また、蛍光体層90と第2のバンドパスフィルタ124の間の光学距離が長いため、第2のバンドパスフィルタ124で反射した光の一部が隣の緑色蛍光体層90Gや青色蛍光体層90Bに入射し、色純度が低下する場合もあるため、赤色光の利用効率を優先的に高める場合においては、蛍光体層90側から順に、第2のバンドパスフィルタ124、第1のバンドパスフィルタ123および偏光膜122が配置された場合の方がより好ましい配置である。
機能性光学フィルム120は、バンドパスフィルタ121の一方の面121aに、偏光膜122が積層されているので、一般的なヨウ素偏光板よりも薄型化することができる。
また、機能性光学フィルム120は、偏光膜122を形成するための基材が不要であるから、その基材自体に起因する複屈折や散乱(ヘイズ)などの偏光解消要因や、偏光膜122をバンドパスフィルタ121に接合するための粘着層の複屈折や散乱の影響がない。したがって、コントラストを高くすることができるとともに、視野角を広げることができる。
さらに、機能性光学フィルム120は、偏光膜122を形成するための基材が不要であるから、耐熱性が高い。
なお、バンドパスフィルタとしては、上記以外に東レ社製のPICASUSを用いることもできる。
(6)第6実施形態
図16は、第6実施形態の機能性光学フィルムの概略断面図であり、(a)は全体を示す断面図、(b)は一部を拡大した断面図であり、(c)は(b)の一部をさらに拡大した断面図である。
本実施形態の機能性光学フィルム140は、バンドパスフィルタ141と、バンドパスフィルタ141の一方の面141aに形成された吸収型の偏光膜142とから概略構成され、バンドパスフィルタ141と偏光膜142が積層されてなるものである。
バンドパスフィルタ141は、偏光膜142側から順に、第1の領域143と第2の領域144が形成されたものである。
第1の領域143は、偏光膜142側から順に、第1の層145と第2の層146と第3の層147とが積層されたものである。
第1の層145は、低屈折率層145A−Lと高屈折率145A−Hを1単位とする層である。
また、繰り返し単位の厚さが145A側で最も大きく、145B側で最も小さくなるように連続的に変調された構造を有している。
第2の領域146は、第1の領域145と同様に繰り返し単位が変調されているが、最も繰り返し単位の厚さが大きい146Aの側が第1の領域の145Bの厚さから連続的に小さくなるように、膜厚が設定されている。
すなわち、バンドパスフィルタ141は、第1の領域から第2の領域に向かって、連続的に繰り返し単位が変調されている多層膜である。
バンドパスフィルタ141の繰り返し単位の厚さの変調率は、繰り返し単位の厚さの最小値(第6の層150Bの厚さ)をd150B、繰り返し単位の厚さの最大値(第1の層145Aの厚さ)をd145Aとしたとき、(d145A−d150B)/d150Bが80%以上であることが好ましい。言い換えれば、バンドパスフィルタ141の厚さ20μmの中で、繰り返し単位の厚さの最大値(第1の層d145Aの厚さ)は、繰り返し単位の厚さの最小値(第6の層d150Bの厚さ)の1.8倍以上であることが好ましい。さらに好ましくは(d2−d1)/d1が100%以上であることが好ましい。言い換えれば、バンドパスフィルタ51の中で、繰り返し単位の厚さの最大値は、繰り返し単位の厚さの最小値の2.0倍以上であることが好ましい。
このように、バンドパスフィルタ141の繰り返し単位の厚さを変調させることにより、第1の領域143が主に赤色光を反射する特性を示し、第2の領域144が主に緑色光を反射する特性を示すようにすることができる。
バンドパスフィルタ141を形成する方法としては、延伸フィルムの製造工程を用いて、各層を形成するフィルムを多層に積層する方法、感光性フィルムの一方の面にホログラム反射膜を形成した後、厚さを変調しながら多層膜を形成する方法などが挙げられる。
ホログラム反射膜を形成する方法は、感光性フィルムを干渉露光し、感光性フィルムに高屈折率領域と低屈折率領域を形成した後、感光性フィルムの一方の面に膜厚変調材料(低分子の拡散材)を貼り付け、熱処理を行い、その膜厚変調材料が一方向に拡散していくことによって、片側から徐々に膜厚が増大していき、膜厚変調した多層膜を形成する方法である。
偏光膜142としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
次に、機能性光学フィルム140を液晶調光素子に適用した場合について説明する。
図17は、機能性光学フィルム140を液晶調光素子に適用した場合を示す断面模式図である。
ここでは、蛍光体層90が、機能性光学フィルム140の第2の領域144と対向するように配置されている。
液晶パネルが透過状態(白表示)のとき、青色発光ダイオードなどを光源とする青色光101が、偏光膜142の一方の面142aから入射すると、青色光101が、偏光膜142、第1の領域143および第2の領域144を透過する。そして、第2の領域144を透過した青色光101の一部が、蛍光体層90のうち緑色蛍光体層90Gに入射すると、緑色蛍光体層90Gから緑色光(蛍光)が発光される。緑色光の一部は、蛍光体層90の裏面側(第2の領域144側)に出射するが、その緑色光102は第2の領域144で反射して、再び緑色蛍光体層90Gに入射する。
機能性光学フィルム140によれば、蛍光体層90の裏面側に出射した緑色光102を、第2の領域144にて、再び蛍光体層90側に反射させ、その反射光を蛍光体層90に入射することができるので、緑色蛍光体層90Gにおいて高い効率が得られ、白表示のときに明るい表示が得られる。
また、機能性光学フィルム140によれば、所望の画素以外から青色光が入って、意図しない蛍光体を励起するという光学的クロストークを防止することができる。
機能性光学フィルム140は、バンドパスフィルタ141の一方の面141aに、偏光膜142が積層されているので、一般的なヨウ素偏光板よりも薄型化することができる。
また、機能性光学フィルム140は、偏光膜142を形成するための基材が不要であるから、その基材自体に起因する複屈折や散乱(ヘイズ)などの偏光解消要因や、偏光膜142をバンドパスフィルタ141に接合するための粘着層の複屈折や散乱の影響がない。したがって、コントラストを高くすることができるとともに、視野角を広げることができる。
さらに、機能性光学フィルム140は、偏光膜142を形成するための基材が不要であるから、耐熱性が高い。
なお、本実施形態では、第1の領域143が、第1の層145、第2の層146および第3の層147から構成された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第1の領域が、2層または4層以上から構成されていてもよい。
また、本実施形態では、第2の領域144が、第4の層148、第5の層149および第6の層150から構成された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第2の領域が、2層または4層以上から構成されていてもよい。
(7)第7実施形態
図18は、第7実施形態の機能性光学フィルムの概略断面図である。
本実施形態の機能性光学フィルム160は、バンドパスフィルタ161と、バンドパスフィルタ161の一方の面161aに形成された吸収型の偏光膜162とから概略構成され、バンドパスフィルタ161と偏光膜162が積層されてなるものである。
バンドパスフィルタ161は、偏光膜162側から順に、第1の層163、第2の層164、・・・、第n−1の層165および第nの層166が積層されたものである。バンドパスフィルタ161の層数nは、数十層、数百層の設計が適宜可能である。
すなわち、バンドパスフィルタ161は、偏光膜162側から順に、第1の層163、第2の層164、第n−1の層165、第nの層166を積層、延伸して形成した多層膜フィルムである。
第1の層163は、一軸性の複屈折を有する材料からなる層(以下、「複屈折層」と言う。)163Aと、複屈折を示さない材料からなる層(以下、「等方性層」と言う。)163Bを1単位とする層である。
第2の層164、複屈折層164Aと等方性層164Bを1単位とする層である。
第n−1の層165は、複屈折層165Aと等方性層165Bを1単位とする層である。
第nの層166は、複屈折層166Aと等方性層166Bを1単位とする層である。
第1の層163、第2の層164、第n−1の層165および第nの層166を形成する誘電体材料としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
また、バンドパスフィルタ161は、その厚さ方向に沿って、繰り返し単位の厚さが連続的に変調されており、その繰り返し単位の厚さが、偏光膜162側で最大、反対側で最小となっている。すなわち、第1の層163の厚さ、第2の層164の厚さ、第n−1の層165の厚さ、および、第nの層166の厚さが、この順に連続的に変調されている。そして、第1の層163の厚さが最大、第nの層166の厚さが最小となっている。
バンドパスフィルタ161の繰り返し単位の厚さの変調率は、繰り返し単位の厚さの最小値(第nの層166の厚さ)をd1、繰り返し単位の厚さの最大値(第1の層163の厚さ)をd2としたとき、(d2−d1)/d1が80%以上であることが好ましい。言い換えれば、バンドパスフィルタ161の厚さ60μmの中で、繰り返し単位の厚さの最大値(第1の層163の厚さ)は、繰り返し単位の厚さの最小値(第nの層166の厚さ)の1.8倍以上であることが好ましい。さらに好ましくは(d2−d1)/d1が100%以上であることが好ましい。言い換えれば、バンドパスフィルタ51の中で、繰り返し単位の厚さの最大値は、繰り返し単位の厚さの最小値の2.0倍以上であることが好ましい。
第1の層163の厚さ、第2の層164の厚さ、第n−1の層165の厚さおよび第nの層166の厚さは、それぞれの層における反射波長に合せて適宜決定される。
バンドパスフィルタ161を形成する方法としては、液晶性フィルムと非晶質のフィルムの積層体を延伸するなどが挙げられる。
このような構成のバンドパスフィルタ161は、屈折率変調に異方性があるため、反射特性に偏光依存性が生じる。すなわち、反射偏光子として機能する。
偏光膜162としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
機能性光学フィルム160は、バンドパスフィルタ161の透過軸と、偏光膜162の透過軸とが一致するように、偏光膜162が形成されているので、バンドパスフィルタ161において、青色の領域の光を透過し、緑色〜近赤外領域の光を反射する特性を示す。
また、機能性光学フィルム160は、バンドパスフィルタ161の一方の面161aに、偏光膜162が積層されているので、一般的なヨウ素偏光板よりも薄型化することができる。
また、機能性光学フィルム160は、偏光膜162を形成するための基材が不要であるから、その基材自体に起因する複屈折や散乱(ヘイズ)などの偏光解消要因や、偏光膜162をバンドパスフィルタ161に接合するための粘着層の複屈折や散乱の影響がない。したがって、コントラストを高くすることができるとともに、視野角を広げることができる。
さらに、機能性光学フィルム160は、偏光膜162を形成するための基材が不要であるから、耐熱性が高い。
「液晶調光素子」
(1)第1実施形態
図19は、第1実施形態の液晶調光素子を示す概略断面図である。
本実施形態では、上述の第1〜第7の実施形態の機能性光学フィルムを備えた液晶調光素子を例示する。
本実施形態の液晶調光素子200は、液晶パネル300と、その表示画面300aとは反対側の面300b側に配置されたバックライト400とから概略構成されている。
液晶パネル300は、第1偏光板301と、第1基板302と、一対の透明電極(図示略)に挟持された液晶層303と、第2基板304と、保護膜305と、第2偏光板306と、蛍光体層307と、第3基板308と、外光フィルタ309とを備えてなり、これらがバックライト400側から順に積層された構造をなしている。
蛍光体層307は、散乱体層307B、赤色蛍光体層307Rおよび緑色蛍光体層307Gから構成されている。なお、図示していないが、蛍光体層307の液晶層303側には、各色の蛍光体間の凹凸を平坦化するための中間層として透明樹脂などを積層してもよい。また、蛍光体層307は、機能性光学フィルムとの密着性および平坦性、液晶層とのセルギャップを均一に保つことが必要である。
また、液晶層303は、第1偏光板301と第2偏光板306に挟まれている。
なお、液晶層303は、画素電極、駆動電極、薄膜トランジスタ(TFT)、配向膜などが含まれるが、ここでは図示を省略した。
第2偏光板306としては、バンドパスフィルタ310と、バンドパスフィルタ310の一方の面310aに形成された吸収型の偏光膜311とから構成され、上述の本発明の実施形態に係る機能性光学フィルム10,50,60,80,120,140,160と同様のものが用いられる。
なお、本実施形態では、偏光膜311が、種々の有機溶媒に二色性色素を溶解して溶液を調製し、ダイコータ、スリットコータ、バーコータなどの塗布装置を用いて、バンドパスフィルタ310の一方の面310aに、その溶液を塗布し、乾燥することによって形成されたものである。バンドパスフィルタ310が一方の支持体として機能する。バンドパスフィルタ310のもう一方の面には、必要に応じて保護膜が設けられることが好ましい。また、保護膜305は、第2基板304との接着層として機能させることも可能である。
外光フィルタ309としては、可視光領域の光を透過し、青色から近紫外領域の光を吸収または反射するバンドパスフィルタなどが用いられる。
バックライト400としては、発光スペクトル内において、波長400〜470nmの範囲に少なくとも1つの極大値を有するもの、すなわち、波長400〜470nmの範囲に最大強度を示すものが用いられ、好ましくは波長430〜470nmの範囲で最大強度を示すものが用いられる。
バックライト400としては、例えば、波長455nm付近に極大値を有する青色発光ダイオード(青色LED)、波長430nmおよび490nmに極大値を有する青色蛍光管などが用いられる。
また、液晶パネル300とバックライト400の間には、ルーバーと呼ばれるブラインド状に配置された線状のフィルムを配置してもよい。この線状のフィルムにより、バックライト400から出射された光がコリメートされて、そのコリメート光(平行光)が、液晶パネル300に照射される。あるいは、その線状のフィルムにより、バックライト400から出射された光が略コリメートされて、その略コリメート光(略平行光)が、液晶パネル300に照射される。
このように、液晶パネル300とバックライト400の間には、指向性を高める目的で、ルーバーと呼ばれるブラインド状に配置された線状のフィルムを配置してもよいが、指向性を高める方式はこれに限定されない。
液晶調光素子200によれば、第2偏光板306として、機能性光学フィルム10,50,60,80,120,140,160と同様のものが用いられているので、バックライト400から発光された青色光501が、第2偏光板306を透過して、蛍光体層307に入射し、散乱体層307Bから青色光(散乱)502Bが発光され、赤色蛍光体層307Rから赤色光(蛍光)502Rが発光され、緑色蛍光体層307Gから緑色光(蛍光)502Gが発光され、高輝度化が可能になる。また、高コントラスト化が可能となる。さらに、所望の画素以外から青色光が入って、意図しない蛍光体を励起するという光学的クロストークが生じることを防止できる。
(2)第2実施形態
図20は、第2実施形態の液晶調光素子を示す概略断面図である。
本実施形態では、上述の第1〜第7の実施形態の機能性光学フィルムを備えた液晶調光素子を例示する。
本実施形態の液晶調光素子600は、液晶パネル700と、その表示画面700aとは反対側の面700b側に配置されたバックライト800とから概略構成されている。
液晶パネル700は、第1偏光板701と、第1基板702と、一対の透明電極(図示略)に挟持された液晶層703と、第2基板704と、保護膜705と、第2偏光板706と、蛍光体層707と、第3基板708と、外光フィルタ709とを備えてなり、これらがバックライト800側から順に積層された構造をなしている。
蛍光体層707は、散乱体層707B、赤色蛍光体層707Rおよび緑色蛍光体層707Gから構成されている。
また、液晶層703は、第1偏光板701と第2偏光板706に挟まれている。
なお、液晶層703は、画素電極、駆動電極、薄膜トランジスタ(TFT)、配向膜などが含まれるが、ここでは図示を省略した。
保護膜705は、第2偏光板と第1偏光板の間に配置されるため、複屈折の小さい材料であることが好ましい。保護膜705を形成する材料としては、TACなどが好適に用いられるが、その他の低複屈折材料として、シクロオレフィン系の樹脂としてZEONOAを用いたり、フルオレン系の樹脂を用いてもよい。
第2偏光板706としては、バンドパスフィルタ710と、バンドパスフィルタ710の一方の面710aに、接着層712を介して設けられた吸収型の偏光膜711とから構成され、上述の本発明の実施形態に係る機能性光学フィルム10,50,60,80,120,140,160と同様のものが用いられる。
なお、本実施形態では、偏光膜711が、ポリビニルアルコールに二色性色素やヨウ素を含浸した後、そのポリビニルアルコールを延伸してなる偏光膜からなるものである。
外光フィルタ709としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
バックライト800としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
また、上述の第1実施形態と同様に、液晶パネル700とバックライト800の間には、ルーバーと呼ばれるブラインド状に配置された線状のフィルムを配置してもよい。
このように、液晶パネル700とバックライト800の間には、指向性を高める目的で、ルーバーと呼ばれるブラインド状に配置された線状のフィルムを配置してもよいが、指向性を高める方式はこれに限定されない。
また、本実施形態のように、青色領域対応の第1偏光板701と第2偏光板706が、第2基板704の外側に設けられる場合、第2基板704の厚さは、光学的クロストーク防止の観点から、画素ピッチよりも小さいことが好ましい。本実施形態では、偏光膜711の一方の支持体がバンドパスフィルタ710によって構成されるため、従来用いられている一般的な偏光膜と比較して薄型化が可能である。
液晶調光素子600によれば、第2偏光板706として、機能性光学フィルム10,50,60,80,120,140,160と同様のものが用いられているので、バックライト800から発光された青色光901が、第2偏光板706を透過して、蛍光体層707に入射し、散乱体層707Bから青色光(散乱)902Bが発光され、赤色蛍光体層707Rから赤色光(蛍光)902Rが発光され、緑色蛍光体層707Gから緑色光(蛍光)902Gが発光され、高輝度化が可能になる。また、高コントラスト化が可能となる。さらに、所望の画素以外から青色光が入って、意図しない蛍光体を励起するという光学的クロストークが生じることを防止できる。
(3)第3実施形態
図21は、第3実施形態の液晶調光素子を示す概略断面図である。
本実施形態では、上述の第1〜第7の実施形態の機能性光学フィルムを備えた液晶調光素子を例示する。
本実施形態の液晶調光素子1000は、液晶パネル1100と、その表示画面1100aとは反対側の面1100b側に配置されたバックライト1200とから概略構成されている。
液晶パネル1100は、第1偏光板1101と、第1基板1102と、一対の透明電極(図示略)に挟持された液晶層1103と、保護膜1104と、第2偏光板1105と、蛍光体層1106と、第2基板1107と、外光フィルタ1108と、を備えてなり、これらがバックライト1200側から順に積層された構造をなしている。
蛍光体層1106は、散乱体層1106B、赤色蛍光体層1106Rおよび緑色蛍光体層1106Gから構成されている。
液晶層1103は、第1偏光板1101と第2偏光板1105に挟まれている。
第1偏光板1101は、バックライト1200と液晶層1103の間に設けられている。
第2偏光板1105は、第2基板1107の液晶層1103と対向する面側に設けられている。
液晶層1103と第2偏光板1105の間には、保護膜1104が設けられている。
なお、液晶層1103は、画素電極、駆動電極、薄膜トランジスタ(TFT)、配向膜などが含まれるが、ここでは図示を省略した。
第2偏光板1105としては、バンドパスフィルタ1110と、バンドパスフィルタ1110の一方の面1110aに形成された吸収型の偏光膜1111とから構成され、上述の本発明の実施形態に係る機能性光学フィルム10,50,60,80,120,140,160と同様のものが用いられる。
なお、本実施形態では、偏光膜1111が、種々の有機溶媒に二色性色素を溶解して溶液を調製し、ダイコータ、スリットコータ、バーコータなどの塗布装置を用いて、バンドパスフィルタ1110の一方の面1110aに、その溶液を塗布し、乾燥することによって形成されたものである。
外光フィルタ1108としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
バックライト1200としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
また、液晶パネル1100とバックライト1200の間には、ルーバーと呼ばれるブラインド状に配置された線状のフィルムを配置してもよい。
このように、液晶パネル1100とバックライト1200の間には、指向性を高める目的で、ルーバーと呼ばれるブラインド状に配置された線状のフィルムを配置してもよいが、指向性を高める方式はこれに限定されない。
液晶調光素子1000によれば、第2偏光板1105として、機能性光学フィルム10,50,60,80,120,140,160と同様のものが用いられているので、バックライト1200から発光された青色光1301が、第2偏光板1105を透過して、蛍光体層1106に入射し、散乱体層1106Bから青色光(散乱)1302Bが発光され、赤色蛍光体層1106Rから赤色光(蛍光)1302Rが発光され、緑色蛍光体層1106Gから緑色光(蛍光)1302Gが発光され、高輝度化が可能になる。また、高コントラスト化が可能となる。さらに、所望の画素以外から青色光が入って、意図しない蛍光体を励起するという光学的クロストークが生じることを防止できる。
(4)第4実施形態
図22は、第4実施形態の液晶調光素子を示す概略断面図である。
本実施形態では、上述の第1〜第7の実施形態の機能性光学フィルムを備えた液晶調光素子を例示する。
本実施形態の液晶調光素子1400は、液晶パネル1500と、その表示画面1500aとは反対側の面1500b側に配置されたバックライト1600とから概略構成されている。
液晶パネル1500は、第1偏光板1501と、第1基板1502と、一対の透明電極(図示略)に挟持された液晶層1503と、保護膜1504と、第2偏光板1505と、蛍光体層1506と、第2基板1507と、外光フィルタ1508と、を備えてなり、これらがバックライト1600側から順に積層された構造をなしている。
蛍光体層1506は、散乱体層1506B、赤色蛍光体層1506Rおよび緑色蛍光体層1506Gから構成されている。
液晶層1503は、第1偏光板1501と第2偏光板1505に挟まれている。
第1偏光板1501は、バックライト1600と液晶層1503の間に設けられている。
第2偏光板1505は、第2基板1507の液晶層1503と対向する面側に設けられている。
液晶層1503と第2偏光板1505の間には、保護膜1504が設けられている。
なお、液晶層1503は、画素電極、駆動電極、薄膜トランジスタ(TFT)、配向膜などが含まれるが、ここでは図示を省略した。
第2偏光板1505としては、バンドパスフィルタ1510と、バンドパスフィルタ1150の一方の面1510aに形成された吸収型の偏光膜1511とから構成され、上述の本発明の実施形態に係る機能性光学フィルム10,50,60,80,120,140,160と同様のものが用いられる。
なお、本実施形態では、偏光膜1511が、ポリビニルアルコールに二色性色素やヨウ素を含浸した後、そのポリビニルアルコールを延伸してなる偏光膜からなるものである。
また、本実施形態では、偏光膜1511の一方の支持体がバンドパスフィルタ1510によって構成されるため、従来用いられている一般的な偏光膜と比較して薄型化が可能である。
外光フィルタ1508としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
バックライト1600としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
また、液晶パネル1500とバックライト1600の間には、ルーバーと呼ばれるブラインド状に配置された線状のフィルムを配置してもよい。
このように、液晶パネル1500とバックライト1600の間には、指向性を高める目的で、ルーバーと呼ばれるブラインド状に配置された線状のフィルムを配置してもよいが、指向性を高める方式はこれに限定されない。
液晶調光素子1400によれば、第2偏光板1505として、機能性光学フィルム10,50,60,80,120,140,160と同様のものが用いられているので、バックライト1600から発光された青色光1701が、第2偏光板1505を透過して、蛍光体層1506に入射し、散乱体層1506Bから青色光(散乱)1702Bが発光され、赤色蛍光体層1506Rから赤色光(蛍光)1702Rが発光され、緑色蛍光体層1506Gから緑色光(蛍光)1702Gが発光され、高輝度化が可能になる。また、高コントラスト化が可能となる。さらに、所望の画素以外から青色光が入って、意図しない蛍光体を励起するという光学的クロストークが生じることを防止できる。
(5)第5実施形態
図23は、第5実施形態の液晶調光素子を示す概略断面図である。
本実施形態では、上述の第1〜第7の実施形態の機能性光学フィルムを備えた液晶調光素子を例示する。
本実施形態の液晶調光素子1800は、液晶パネル1900と、その表示画面1900aとは反対側の面1900b側に配置されたバックライト2000とから概略構成されている。
液晶パネル1900は、第1基板1901と、第1偏光板1902と、第1保護膜1903と、一対の透明電極(図示略)に挟持された液晶層1904と、第2保護膜1905と、第2偏光板1906と、蛍光体層1907と、第2基板1908と、外光フィルタ1909と、を備えてなり、これらがバックライト2000側から順に積層された構造をなしている。
蛍光体層1907は、散乱体層1907B、赤色蛍光体層1907Rおよび緑色蛍光体層1907Gから構成されている。
液晶層1904は、第1偏光板1902と第2偏光板1906に挟まれている。
第1偏光板1902は、第1基板1901液晶層1904と対向する面側に設けられている。
第2偏光板1906は、第2基板1908の液晶層1904と対向する面側に設けられている。
液晶層1904と第1偏光板1902の間には、第1保護膜1903が設けられている。
液晶層1904と第2偏光板1906の間には、第2保護膜1905が設けられている。
なお、液晶層1904は、画素電極、駆動電極、薄膜トランジスタ(TFT)、配向膜などが含まれるが、ここでは図示を省略した。
第2偏光板1906としては、バンドパスフィルタ1910と、バンドパスフィルタ1910の一方の面1910aに形成された吸収型の偏光膜1911とから構成され、上述の本発明の実施形態に係る機能性光学フィルム10,50,60,80,120,140,160と同様のものが用いられる。
なお、本実施形態では、偏光膜1911が、種々の有機溶媒に二色性色素を溶解して溶液を調製し、ダイコータ、スリットコータ、バーコータなどの塗布装置を用いて、バンドパスフィルタ1910の一方の面1910aに、その溶液を塗布し、乾燥することによって形成されたものである。
外光フィルタ1909としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
バックライト2000としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
また、液晶パネル1900とバックライト2000の間には、ルーバーと呼ばれるブラインド状に配置された線状のフィルムを配置してもよい。
このように、液晶パネル1900とバックライト2000の間には、指向性を高める目的で、ルーバーと呼ばれるブラインド状に配置された線状のフィルムを配置してもよいが、指向性を高める方式はこれに限定されない。
液晶調光素子1800によれば、第2偏光板1906として、機能性光学フィルム10,50,60,80,120,140,160と同様のものが用いられているので、バックライト2000から発光された青色光2101が、第2偏光板1906を透過して、蛍光体層1907に入射し、散乱体層1907Bから青色光(散乱)2102Bが発光され、赤色蛍光体層1907Rから赤色光(蛍光)2102Rが発光され、緑色蛍光体層1907Gから緑色光(蛍光)2102Gが発光され、高輝度化が可能になる。また、高コントラスト化が可能となる。さらに、所望の画素以外から青色光が入って、意図しない蛍光体を励起するという光学的クロストークが生じることを防止できる。
(6)第6実施形態
図24は、第6実施形態の液晶調光素子を示す概略断面図である。
本実施形態では、上述の第1〜第7の実施形態の機能性光学フィルムを備えた液晶調光素子を例示する。
本実施形態の液晶調光素子2200は、液晶パネル2300と、その表示画面2300aとは反対側の面2300b側に配置されたバックライト2400とから概略構成されている。
液晶パネル2300は、第1偏光板2301と、第1基板2302と、一対の透明電極(図示略)に挟持された液晶層2303と、第2基板2304と、第2偏光板2305と、蛍光体層2306と、第3基板2307と、外光フィルタ2308とを備えてなり、これらがバックライト2400側から順に積層された構造をなしている。
蛍光体層2306は、散乱体層2306B、赤色蛍光体層2306Rおよび緑色蛍光体層2306Gから構成されている。なお、図示していないが、蛍光体層2306の液晶層2303側には、各色の蛍光体間の凹凸を平坦化するための中間層として透明樹脂などを積層してもよい。また、蛍光体層2306は、機能性光学フィルムとの密着性および平坦性、液晶層とのセルギャップを均一に保つことが必要である。
また、液晶層2303は、第1偏光板2301と第2偏光板2305に挟まれている。
なお、液晶層2303は、画素電極、駆動電極、薄膜トランジスタ(TFT)、配向膜などが含まれるが、ここでは図示を省略した。
第2偏光板2305としては、バンドパスフィルタ2310と、バンドパスフィルタ2310の一方の面2310aに、接着層2314を介して積層された、保護膜2312,2313に挟持された吸収型の偏光膜2311とから構成され、上述の本発明の実施形態に係る機能性光学フィルム10,50,60,80,120,140,160と同様のものが用いられる。
外光フィルタ2308としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
バックライト2400としては、上述の第1実施形態と同様のものが用いられる。
また、液晶パネル2300とバックライト2400の間には、ルーバーと呼ばれるブラインド状に配置された線状のフィルムを配置してもよい。この線状のフィルムにより、バックライト2400から出射された光がコリメートされて、そのコリメート光(平行光)が、液晶パネル2300に照射される。あるいは、その線状のフィルムにより、バックライト2400から出射された光が略コリメートされて、その略コリメート光(略平行光)が、液晶パネル2300に照射される。
このように、液晶パネル2300とバックライト2400の間には、指向性を高める目的で、ルーバーと呼ばれるブラインド状に配置された線状のフィルムを配置してもよいが、指向性を高める方式はこれに限定されない。
本実施形態では、吸収型の偏光膜2311の少なくとも一方に有機多層膜からなるバンドパスフィルタ2310を積層した機能性光学フィルムを用いて、量産性に優れる液晶調光素子を提供する。
従来技術の課題の節で述べた通り、フィルム状の光反射膜のような膜厚の薄いフィルム状の膜をガラス基板などの平坦な基板上に積層する場合、フィルムにある程度のコシ(剛性)が必要である。フィルムの剛性は、フィルム厚に伴って大きくなるため、量産性を考慮すると一定以上の厚さが必要となる。
表1に、フィルム厚を変えて、厚さ10μmの接着層を介して、ガラス基板上にフィルム状の光反射膜を貼り合せた際の結果、および液晶調光素子の光学性能の関係を示す。
Figure 2014142367
表1の結果から、フィルム厚は少なくとも20μm以上、好ましくは60μm以上でないと、貼り合せ時にフィルム状の光反射膜に皺が入り、良好な貼り合せを行うことが困難であることが判った。特に、平坦な基板上に蛍光体層、バンドパスフィルタおよび偏光膜を順次積層していくプロセスを経た場合、バンドパスフィルタの膜厚が薄い時に皺の問題が顕著となる。
一方、本実施形態では、吸収型の偏光膜2311の少なくとも一方に、有機多層膜からなるバンドパスフィルタ2310を積層した機能性光学フィルムを予め作製しておくことによって、基板上に貼り合せるフィルム状の光反射膜の剛性を確保することが可能である。例えば、バンドパスフィルタの厚さが20μmと薄い場合であっても、柔軟なフィルム状の偏光板との貼り合せであればロールtoロールなどのプロセスにより良好に貼り合せることが可能である。
一般的な偏光板の厚さは、偏光膜であるPVA層の厚さが40μm、PVA層を挟む一対の保護膜であるTACフィルムの厚さがそれぞれ40μmとすると、合計120μmの厚さを有するので、厚さ10μmの接着層を介してバンドパスフィルタと貼り合せると、総計150μm程度の厚さとなる。上記厚さのフィルムであれば、平坦な基板上に良好に貼り合せることが可能となる。予め作製した機能性光学フィルムを用いることにより、量産性を高める効果がある。
また、機能性光学フィルム厚と第2基板を合せた厚さは500μm以下であることが好ましい。500μm以上になると、蛍光体層と液晶層との間隔が広くなりすぎるため、所望の画素以外から青色光が入って、意図しない蛍光体を励起するという光学的クロストークが生じる。
本実施形態では、偏光膜2311の一方の支持体に、バンドパスフィルタ2310と保護膜2312,2313であるTACフィルムを含む構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、他の実施形態のように、偏光板の一方の支持体がバンドパスフィルタそのものである構成であってもよい。
保護膜は、第2偏光板と第1偏光板の間に配置されるため、複屈折の小さい材料であることが好ましい。保護膜を形成する材料としては、TACなどが好適に用いられるが、その他の低複屈折材料として、シクロオレフィン系の樹脂としてZEONOAを用いたり、フルオレン系の樹脂を用いてもよい。
また、本実施形態の第2偏光板2305は、図21に記載したような、第2基板のない構成に対しても、適用が可能である。
液晶調光素子2200によれば、第2偏光板2305として、機能性光学フィルム10,50,60,80,120,140,160と同様のものが用いられているので、バックライト2400から発光された青色光2501が、第2偏光板2305を透過して、蛍光体層2306に入射し、散乱体層2306Bから青色光(散乱)2502Bが発光され、赤色蛍光体層2306Rから赤色光(蛍光)2502Rが発光され、緑色蛍光体層2306Gから緑色光(蛍光)2502Gが発光され、高輝度化が可能になる。また、高コントラスト化が可能となる。さらに、所望の画素以外から青色光が入って、意図しない蛍光体を励起するという光学的クロストークが生じることを防止できる。
「窓ガラス」
図24は、本発明の窓ガラスの一実施形態を示す概略図である。
本実施形態の窓ガラス2700は、ガラス基材2701と、ガラス基材2701の一方の面(外面)2701aに積層された機能性光学フィルム2702とから概略構成されている。
機能性光学フィルム2702は、バンドパスフィルタ2703と、バンドパスフィルタ2703の一方の面(外面)2703aに積層された吸収型の偏光膜2704とから概略構成されている。
そして、機能性光学フィルム2702は、偏光膜2704が、ガラス基材2701の一方の面2701aに接するように、ガラス基材2701に積層されている。
バンドパスフィルタ2703は有機多層膜からなり、その反射波長帯域を一定の赤外線領域に設定すると、バンドパスフィルタ2703は赤外光3001を、入射角αの範囲で反射するようになる。
そこで、図25に示すように、バンドパスフィルタ2703と、これに積層された偏光膜2704とを備えた機能性光学フィルム2702を、家屋2800の天窓を構成するガラス基材2701に積層して窓ガラス2700を形成した場合、窓ガラス2700は、可視光の片側偏光を透過し、赤外光を反射する機能を有するものとなる。
上述した通り、バンドパスフィルタ2703はブルーシフト特性があるため、バンドパスフィルタ2703に対して一定範囲の入射角の光は反射するが、反射範囲を超える斜め入射光は透過する挙動を示す。
例えば、図25に示すように、バンドパスフィルタ2703の法線方向を太陽の南中高度に合わせて設置した場合、赤外光3001に対して、バンドパスフィルタ2703への入射角が小さい光、例えば、正午にまたがる南中高度周辺の光は家屋2800外に反射させ、入射角の大きい光、例えば、午前中の赤外光は家屋2800内に透過するといった機能を付与することができる。
一方、可視光3002に対しては、機能性光学フィルム2702が吸収型の偏光膜2704を備えているので、透過軸をS偏光成分、すなわち、地面に水平な方位にした場合、家屋2800内にはS偏光成分のみが透過する。ところで、家屋2800内に設置される液晶テレビ2900に設置されている前面偏光板は、地面に水平方向に吸収軸を設けられることが一般的である。したがって、機能性光学フィルム2702(窓ガラス2700)を透過したS偏光成分は、液晶テレビ2900の前面偏光板に吸収される。そのため液晶テレビ2900の画面上の光の移り込みを低減することができる。
また、春分や秋分(90度−観測地点の緯度)、夏至(90度−観測地点の緯度+23.4度)、冬至(90度− 観測地点の緯度−23.4度)などに合せて、バンドパスフィルタ2703に対して入射する太陽光の入射角が異なるため、目的に応じて、機能性光学フィルム2702(窓ガラス2700)の設置角度が調正可能であることが好ましい。
また、本実施形態では、赤外光を反射し、可視光の一方の偏光を透過する機能性光学フィルム2702を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、赤外光を透過し、可視光を反射する機能性光学フィルムや、可視光の所望の波長範囲の光を透過し、それ以外の波長範囲の光を反射する機能性光学フィルムなど、目的に応じて様々な設計が可能である。
また、可視光の特定の範囲で透過−反射選択性を付与することができれば、意匠性に優れたフィルムを得ることが可能となる。さらに、赤外光の範囲で選択性を付与すれば、熱マネージメントフィルムとしての機能を得ることが可能となる。一方、紫外光の範囲に選択性を付与すれば、耐光性の弱い物質の保護などの目的に適用することも可能となる。
本発明は、偏光板、液晶調光素子の分野に利用することができる。
10,50,60,80,120,140,160,170,180,190・・・機能性光学フィルム
11,51,61,81,121,141,161,171,181,191,309・・・バンドパスフィルタ
12,52,62,82,122,142,162,172,182,192,310・・・偏光膜
200,600,1000,1400,1800,2200・・・液晶調光素子
300,700,1100,1500,1900,2300・・・液晶パネル
301,701,1101,1502,1902,2301・・・第1偏光板
302,702,1102,1501,1901,2302・・・第1基板
303,703,1103,1504,1904,2303・・・液晶層
304,704,1107,1508,1908,2304・・・第2基板
305,705,1104,2312,2313・・・保護膜
306,706,1105,1506,1906,2305・・・第2偏光板
307,707,1106,1507,1907,2306・・・蛍光体層
308,708,2307・・・第3基板
309,709,1108,1509,1909,2308・・・外光フィルタ
310,710,1110,1510,1910,2310・・・バンドパスフィルタ
311,711,1111,1511,1911,2311・・・偏光膜
400,800,1200,1600,2000,2400・・・バックライト
1503,1903・・・第1保護膜
1505,1905・・・第2保護膜
2314・・・接着層

Claims (19)

  1. 吸収型偏光膜の少なくとも一方の支持体の一部が、屈折率の異なる複数の層を有する有機多層膜からなるバンドパスフィルタであることを特徴とする機能性光学フィルム。
  2. 前記バンドパスフィルタは、青色領域の光を透過し、緑色から近赤外領域までの光を反射することを特徴とする請求項1に記載の機能性光学フィルム。
  3. 前記バンドパスフィルタは、その厚さ方向に沿って、前記誘電体多層膜の繰り返し単位の厚さが連続的に変調されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の機能性光学フィルム。
  4. 前記バンドパスフィルタは、その厚さ方向に沿って、前記誘電体多層膜の繰り返し単位の厚さが連続的に変調された誘電体多層膜を複数積層した積層フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の機能性光学フィルム。
  5. 前記バンドパスフィルタは、その厚さ方向に沿って、前記誘電体多層膜の繰り返し単位の厚さが連続的に変調された誘電体多層膜を複数積層した積層フィルムであり、かつ隣り合う誘電体多層膜の繰り返し単位の厚さが不連続であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の機能性光学フィルム。
  6. 前記バンドパスフィルタは、前記偏光膜側から順に、赤色から近赤外領域までの光を反射する領域と、緑色領域の光を反射する領域とが積層されたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の機能性光学フィルム。
  7. 前記バンドパスフィルタは、前記偏光膜側から順に、緑色領域の光を反射する領域と、赤色から近赤外領域までの光を反射する領域とが積層されたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の機能性光学フィルム。
  8. 前記バンドパスフィルタは、前記誘電体多層膜の繰り返し単位を構成する層の少なくとも1つが一軸性の複屈折を有する材料からなる偏光反射板であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の機能性光学フィルム。
  9. 前記バンドパスフィルタの延伸方向と、偏光板吸収軸が一致していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の機能性光学フィルム。
  10. 前記バンドパスフィルタの厚さは、20μm以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の機能性光学フィルム。
  11. 前記吸収型偏光膜と前記支持体の厚さの合計が60μm以上であることを特徴とする請求項10に記載の機能性光学フィルム。
  12. 前記吸収型偏光膜と前記支持体の厚さの合計が100μm以上であることを特徴とする請求項10に記載の機能性光学フィルム。
  13. 光源と、該光源からの光の偏光状態を制御する液晶素子と、該液晶素子を透過する光を励起光として吸収し、前記光源の波長域と異なる波長域の光を生じる蛍光体と、前記液晶素子を挟む一対の偏光膜と、を備え、
    前記偏光膜のうち一方は、前記蛍光体の間に設けられた機能性光学フィルムであり、
    前記光源は、発光スペクトル内において、波長400〜490nmの範囲に少なくとも1つの極大値を有し、
    前記機能性光学フィルムは、有機膜を積層、延伸して形成した多層膜フィルムからなるバンドパスフィルタと、該バンドパスフィルタの一方の面に成膜された吸収型の偏光膜と、保護膜と、を具備してなることを特徴とする液晶調光素子。
  14. 光源と、該光源からの光の偏光状態を制御する液晶素子と、該液晶素子を透過する光を励起光として吸収し、前記光源の波長域と異なる波長域の光を生じる蛍光体と、前記液晶素子を挟む一対の偏光膜と、を備え、
    前記偏光膜のうち一方は、前記蛍光体の間に設けられた機能性光学フィルムであり、
    前記光源は、発光スペクトル内において、波長400〜490nmの範囲に少なくとも1つの極大値を有し、
    前記機能性光学フィルムは、有機膜を積層、延伸して形成した多層膜フィルムからなるバンドパスフィルタと、該バンドパスフィルタの一方の面に接着層を介して積層された吸収型の偏光膜と、を具備してなることを特徴とする液晶調光素子。
  15. 前記一対の偏光板のうち、第1偏光板は前記光源と前記液晶素子の間に設けられ、第2偏光板は前記液晶素子を構成する基板の液晶層側に設けられたバンドパスフィルタ付き偏光膜であることを特徴とする請求項13または14に記載の液晶調光素子。
  16. 前記バンドパスフィルタ付き偏光膜の反射スペクトルの短波長側の端部が480nm±10nmの範囲に存在し、前記バンドパスフィルタ付き偏光膜の反射スペクトルの長波長側の端部が850nm以上の領域に存在することを特徴とする請求項15に記載の液晶調光素子。
  17. 前記光源は、青色発光ダイオードであることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の液晶調光素子。
  18. 前記光源は、青色蛍光管であることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の液晶調光素子。
  19. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の機能性光学フィルムを備えたことを特徴とする窓ガラス。
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