(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると、当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中ではなく、その後にまとめて説明する。
(車両)
図1を参照すると、車両1は、いわゆる四輪自動車であって、鉛直上方から車両1を見た平面視にて略矩形状の車体2を備えている。以下の説明の便宜上、車両1における「前」「後」「左」「右」「上」および「下」を、図1中にて矢印で示された通りに定義する。これらの方向概念は、前進走行中の車両1における運転席に搭乗する乗員である運転者Pを基準としたものである。前後方向は、車両全長方向と同義である。また、左右方向は、車幅方向と同義である。また、上下方向は、車高方向と同義である。車両全長方向は、車幅方向と直交し且つ車高方向と直交する方向である。車高方向は、車両1の車高を規定する方向であって、車両1を走行可能な状態で水平面に載置した場合の重力作用方向と平行な方向である。
車体2における、乗員が搭乗する内部空間である車室3は、前方をフロントウィンドシールド4によって覆われている。フロントウィンドシールド4は、透光性のガラスあるいは合成樹脂により板状に形成されている。フロントウィンドシールド4は、車幅方向と平行な視線で見た側方視にて、下端部よりも上端部の方が後方に位置するように傾斜配置されている。
図2は、前進走行中の車両1の運転者Pにおける視点EPから、当該車両1の進行先の路面RSをフロントウィンドシールド4越しに見た様子を示す。図2中、DLは道路区画線、LSは自車線、LXは他車線を示す。自車線LSは、車両1が現在走行中の車線である。他車線LXは、自車線LSとは異なる車線であり、典型的には幅員方向について自車線LSに隣接する車線である。
図1および図2に示されているように、車室3内における、フロントウィンドシールド4の下方には、ダッシュボード5が配置されている。ダッシュボード5から運転者Pに向かって、ステアリングコラム6が延設されている。ステアリングコラム6には、ステアリングホイール7が取り付けられている。
(車載システム)
車両1には、車載システム10が搭載されている。車載システム10は、車載通信回線10Aおよびこの車載通信回線10Aを介して相互に接続された各ノードを含む車載ネットワークであって、車両1の運転時の各種制御およびこれに伴う各種表示動作等を実行可能に構成されている。車載システム10は、CAN(国際登録商標:国際登録番号1048262A)等の所定の通信規格に準拠するように構成されている。CAN(国際登録商標)はController Area Networkの略である。
以下、図1〜図3を参照しつつ、車載システム10の構成の詳細について説明する。なお、車載システム10を搭載する車両1を「自車両」と称することがある。車載システム10は、車両状態センサ11と、外界状態センサ12と、周辺監視センサ13と、ロケータ14と、DCM15と、運転支援ECU16とを備えている。DCMはData Communication Moduleの略である。ECUはElectronic Control Unitの略である。車両状態センサ11、外界状態センサ12、周辺監視センサ13、ロケータ14、およびDCM15は、車載通信回線10Aと接続されている。運転支援ECU16は、車載通信回線10Aに接続されたノードとして設けられている。
また、車載システム10は、DSM17と、入力操作部18と、表示装置19と、表示制御装置20とを備えている。DSMはDriver Status Monitorの略である。本実施形態においては、DSM17、入力操作部18、および表示装置19は、表示制御装置20と、車載通信回線10Aとは異なるサブ通信回線を介して情報通信可能に接続されている。表示制御装置20は、車載通信回線10Aに接続されたノードとして設けられている。
車両状態センサ11は、自車両の運転状態に関連する諸量に対応する出力を発生するように設けられている。「運転状態に関連する諸量」は、例えば、アクセル操作量、ブレーキ操作量、シフトポジション、操舵角、等の、運転者Pによる運転操作状態に関連する諸量を含む。また、「運転状態に関連する諸量」は、例えば、車速、角速度、前後方向加速度、左右方向加速度、等の、自車両の挙動に関連する物理量を含む。すなわち、車両状態センサ11は、アクセル開度センサ、操舵角センサ、車輪速センサ、角速度センサ、加速度センサ、等の、運転制御に必要な周知のセンサ類を、図示および説明の簡略化のために総称したものである。車両状態センサ11は、車載通信回線10Aを介して、ロケータ14等の各部に検出出力を提供可能に設けられている。
外界状態センサ12は、自車両の周囲の自然環境に関連する諸量に対応する出力を発生するように設けられている。「自然環境に関連する諸量」は、例えば、外気温、降雨量、照度、等の物理量を含む。すなわち、外界状態センサ12は、外気温センサ、雨滴センサ、照度センサ、等の周知のセンサ類を、図示および説明の簡略化のために総称したものである。外界状態センサ12は、車載通信回線10Aを介して、運転支援ECU16等の各部に検出出力を提供可能に設けられている。
周辺監視センサ13は、自車両の周囲の交通環境事象のうち、主として外界状態センサ12により検知可能なもの以外を検知するように設けられている。具体的には、周辺監視センサ13は、自車両の周囲の所定の検出範囲における、移動物体および静止物体を検出可能に構成されている。「移動物体」は、例えば、歩行者、サイクリスト、動物、図2に示された先行車両PVを含む走行中の他車両、等である。「静止物体」は、例えば、路上落下物、ガードレール、縁石、停車あるいは駐車中の他車両、道路標識、道路標示、道路脇の構造物(例えば建造物等)、等である。本実施形態においては、周辺監視センサ13は、移動物体および静止物体を検出するための構成として、フロントカメラ131とレーダセンサ132とを有している。
フロントカメラ131は、自車両の前方および前側方範囲の画像を撮影するように設けられている。本実施形態においては、フロントカメラ131は、デジタルカメラ装置であって、CCDあるいはCMOS等のイメージセンサを備えている。CCDはCharge Coupled Deviceの略である。CMOSはComplementary MOSの略である。
レーダセンサ132は、レーダ波を送受信するミリ波レーダセンサ、サブミリ波レーダセンサ、またはレーザレーダセンサであって、車体2の前面部に装着されている。レーダセンサ132は、反射点の位置および相対速度に対応する信号を出力するように構成されている。「反射点」は、自車両の周囲の物体の表面上における、レーダ波を反射したと推定される点である。「相対速度」は、反射点すなわちレーダ波を反射した物体の、自車両に対する相対速度である。本実施形態においては、「相対速度」は、レーダ波を反射したと推定される物体に自車両が近づく場合に正値となり、当該物体から自車両が遠ざかる場合に負値となるものとする。
ロケータ14は、いわゆる複合測位により、自車両の高精度な位置情報等を決定するように構成されている。具体的には、ロケータ14は、GNSS受信器141と、慣性取得部142と、高精度地図DB143と、ロケータECU144とを有している。GNSSはGlobal Navigation Satellite Systemの略である。DBはデータベースの略である。
GNSS受信器141は、複数の測位衛星すなわち人工衛星から送信された測位信号を受信するように設けられている。本実施形態においては、GNSS受信器141は、GPS、QZSS、GLONASS、Galileo、IRNSS、北斗衛星導航系統、等の衛星測位システムのうちの少なくとも1つにおける測位衛星からの測位信号を受信可能に構成されている。GPSはGlobal Positioning Systemの略である。QZSSはQuasi-Zenith Satellite Systemの略である。GLONASSはGlobal Navigation Satellite Systemの略である。IRNSSはIndian Regional Navigation Satellite Systemの略である。
慣性取得部142は、自車両に作用する加速度および角速度を取得するように構成されている。本実施形態においては、慣性取得部142は、ロケータ14における箱状の筐体内に内蔵された3軸ジャイロセンサおよび3軸加速度センサとして設けられている。
高精度地図DB143は、高精度地図情報を書き換え可能に記憶するとともに電源遮断中にも記憶内容を保持するように、不揮発性リライタブルメモリを主体に構成されている。不揮発性リライタブルメモリは、例えば、ハードディスク、EEPROM、フラッシュROM、等である。EEPROMはElectronically Erasable and Programmable ROMの略である。ROMはRead Only Memoryの略である。高精度地図情報は、高精度地図データとも称され得る。高精度地図情報には、目的地への経路案内を行う通常あるいは従来のカーナビゲーションシステムに用いられる地図情報よりも高精度な地図情報が含まれている。具体的には、高精度地図DB143には、ADASIS規格等の所定の規格に準拠して、三次元道路形状情報、レーン数情報、規制情報、等の、高度運転支援あるいは自動運転に利用可能な情報が格納されている。ADASISはAdvanced Driver Assistance Systems Interface Specificationの略である。
ロケータECU144は、図示しないCPU、ROM、RAM、入出力インタフェース、等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとして構成されている。CPUはCentral Processing Unitの略である。RAMはRandom Access Memoryの略である。ロケータECU144は、GNSS受信器141にて受信した測位信号、慣性取得部142にて取得した加速度および角速度、車両状態センサ11から取得した車速、等に基づいて、自車両の位置および方角等を逐次決定するように構成されている。そして、ロケータ14は、ロケータECU144による位置および方角等の決定結果を、車載通信回線10Aを介して、運転支援ECU16および表示制御装置20等の各部に提供可能に設けられている。
DCM15は、車載通信モジュールであって、LTEあるいは5G等の通信規格に準拠した無線通信により、自車両の周囲の基地局との間で情報通信可能に設けられている。LTEはLong Term Evolutionの略である。5Gは5th Generationの略である。具体的には、例えば、DCM15は、クラウド上のプローブサーバから最新の高精度地図情報を取得するように構成されている。また、DCM15は、取得した最新の高精度地図情報を、ロケータECU144と連携することで、高精度地図DB143に格納するようになっている。
運転支援ECU16は、図示しないCPU、ROM、RAM、入出力インタフェース、等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとして構成されている。運転支援ECU16は、車両状態センサ11、外界状態センサ12、周辺監視センサ13、およびロケータ14から取得した信号および情報に基づいて、所定の運転支援動作を実行するように構成されている。「所定の運転支援動作」は、例えば、米国自動車技術会の規定する自動運転レベルにおける、レベル2以下の「部分的な自動走行制御動作」あるいは「高度運転支援動作」である。具体的には、運転支援ECU16は、例えば、先行車両との車間距離を一定に保ちつつ定速走行するためのACC制御、走行中の車線からの逸脱を抑制するための車線維持制御、等を実行可能に構成されている。ACCはAdaptive Cruise Controlの略である。
また、運転支援ECU16は、運転支援動作のために生成あるいは利用した、上記の信号および情報ならびにこれらの処理結果を、車載通信回線10Aを介して、表示制御装置20に提供可能に設けられている。運転支援ECU16から表示制御装置20に提供される信号あるいは情報等には、例えば、天候、自車両の周囲に存在する物体の認識結果、自車両の前方の路面RSの状況等の、自車両の周囲の交通環境事象が含まれる。また、かかる信号あるいは情報等には、例えば、道路の幅員方向における自車両の走行位置を含む、自車両の現在位置が含まれる。
DSM17は、運転者Pの顔を画像認識して運転者Pの状態を検出することで、ダッシュボード5等に設けられた不図示のスピーカ等を用いて脇見運転等に関する注意喚起あるいは警告を行うように構成されている。具体的には、DSM17は、車内カメラ171と、光源装置172と、これらを制御するDSM−ECU173とを備えている。
車内カメラ171は、車室3内が暗くなっても安定して運転者Pを撮影することができるように、近赤外線カメラによって構成されている。すなわち、車内カメラ171は、近赤外LED等の近赤外光源である光源装置172により照らされた運転席を撮像するように設けられている。
DSM−ECU173は、車内カメラ171による撮影画像を解析することで、車室3内における視点EPの三次元位置、運転者Pの視線方向、等を算出するように構成されている。さらに、DSM17は、DSM−ECU173における算出結果を、表示制御装置20に提供可能に設けられている。
入力操作部18は、運転者Pによる手動および/または音声による入力操作を受け付けるように構成されている。具体的には、入力操作部18は、例えば、ウィンカスイッチ181等を有している。ウィンカスイッチ181は、ステアリングコラム6に設けられた操作レバーである不図示のウィンカーレバーの操作状態に応じた信号を出力するように構成されている。また、入力操作部18は、例えば、ステアリングホイール7におけるスポーク部に設けられたステアスイッチを有している。さらに、入力操作部18は、例えば、運転者Pの発話を検出する音声入力装置等を有している。入力操作部18は、運転者Pによる入力操作の受け付け結果を、表示制御装置20に提供可能に設けられている。
(車両用表示装置)
車両1用の表示装置19は、運転者Pに対して、自車両に関する各種情報を表示するように構成されている。具体的には、ダッシュボード5には、メータパネル191が設けられている。メータパネル191は、運転者Pに向けて配置されている。
メータパネル191は、車速、エンジン回転数、冷却水温、走行距離、等の、自車両の運転状態に関する情報を表示するとともに、外気温、現在時刻、等の補助的情報を表示可能に構成されている。具体的には、メータパネル191は、車両情報ディスプレイ191Aを有している。車両情報ディスプレイ191Aは、不図示のタコメータとスピードメータとの間の、メータパネル191の車幅方向における略中央部にて、各種情報を表示するようになっている。
また、車両1には、ヘッドアップディスプレイ装置192が搭載されている。以下、ヘッドアップディスプレイ装置192を、「HUD装置192」と略称する。HUDはHead-Up Displayの略である。HUD装置192は、フロントウィンドシールド4の下方にて、ダッシュボード5内に収容されている。
HUD装置192は、AR技術を用いて虚像である表示画像Viを形成することで、自車両の進行先の路面RSを含む前景と併せて表示画像Viを運転者Pにより視認可能に表示するように設けられている。ARはAugmented Realityの略である。すなわち、HUD装置192は、表示画像Viを構成する表示画像光VLをフロントウィンドシールド4における投影範囲PAに投影して、表示画像光VLのフロントウィンドシールド4による反射光を運転者Pに視認させることで、表示画像Viを表示するように構成されている。本実施形態においては、HUD装置192は、図1に示されているように、俯角ADが0度以上の正値となるように構成されている。俯角ADは、図1にて、視点EPを通る仮想水平線と視点EPと投影範囲PAの上端とを結ぶ仮想直線との間の角度である。俯角ADは、視点EPから投影範囲PAの上端を見下ろす場合に正値となり、視点EPから投影範囲PAの上端を見上げる場合に負値となるものとする。また、HUD装置192は、垂直画角AVよりも水平画角を大きくすることで、投影範囲PAが図2に示されているように横長な略長方形となるように構成されている。垂直画角AVは、図1にて、視点EPと投影範囲PAの上端とを結ぶ仮想直線と、視点EPと投影範囲PAの下端とを結ぶ仮想直線との間の角度である。すなわち、垂直画角AVは、視点EPから表示画像Viを視認可能な上下方向における角度範囲であり、上下方向における視野角とも称され得る。
HUD装置192は、プロジェクタ192Aと拡大光学系192Bとを備えている。プロジェクタ192Aは、表示制御装置20により生成された表示画像信号に基づいて、表示画像光VLを拡大光学系192Bに向けて射出するように設けられている。拡大光学系192Bは、凹面鏡を含む複数の光学要素と、これらのアライメントを制御するアクチュエータとを備えている。拡大光学系192Bは、DSM17によって検出された視点EPに応じて上記のアライメントをアクチュエータで制御することで、フロントウィンドシールド4に対する表示画像光VLの投影状態を調整するように構成されている。
HUD装置192は、重畳コンテンツを表示可能に設けられている。「重畳コンテンツ」は、前景に含まれる特定の注目対象に対応付けあるいは関連付けされつつ、当該注目対象または重畳対象に重畳表示される表示画像コンテンツである。「注目対象」は、例えば、路面標示、道路標識、前方車両、歩行者、等の、運転中に注目すべきあるいは注意を払うべき対象物である。「重畳対象」は、典型的には、注目対象そのものである。但し、注目対象が道路区画線DLを含む路面標示等である場面において、重畳対象と注目対象とは、部分的に重なったり、一致しなかったりすることがあり得る。
具体的には、例えば、図2に示されている区画線コンテンツCLは、重畳コンテンツである。区画線コンテンツCLは、対応する道路区画線DLに沿って表示される重畳コンテンツであって、道路区画線DLに模した形状を有している。区画線コンテンツCLは、典型的には、対応する道路区画線DLと視覚的に重なるように路面RSに重畳表示される。この場合、「注目対象」および「重畳対象」は、ともに道路区画線DLである。もっとも、区画線コンテンツCLは、図2に示されているように、対応する道路区画線DLに対して、幅員方向にオフセット表示される場合があり得る。この場合、「注目対象」が道路区画線DLであるのに対し、「重畳対象」は道路区画線DL近傍の路面RSである。
HUD装置192は、非重畳コンテンツを表示可能に設けられている。「非重畳コンテンツ」は、前景に含まれる特定の注目対象には関連付けられず、特定の重畳対象に重畳表示されるものではない、表示画像コンテンツである。具体的には、例えば、図2に示されている、現在走行中の道路の法定最高速度を示す速度情報コンテンツCVは、非重重畳コンテンツである。
重畳コンテンツと非重畳コンテンツとは、以下の点で異なる。例えば、自車両および/または注目対象の移動により、注目対象の自車両に対する相対位置が変化する。このとき、重畳コンテンツの、投影範囲PA内における表示位置は、注目対象の自車両に対する相対位置の変化に追随して変化することがあり得る。これに対し、非重重畳コンテンツの、投影範囲PA内における表示位置は、通常は一定である。また、注目対象あるいは重畳対象と、重畳コンテンツと、視点EPとは、これらが実質的に一直線上に位置するような相対位置関係となる。このような相対位置関係は、自車両の走行等により相対位置の変化が生じても、継続的に維持される。これに対し、非重畳コンテンツについては、そもそも注目対象あるいは重畳対象が規定されないため、このような相対位置関係は観念されない。また、重畳コンテンツの典型例として、区画線コンテンツCLのような、道路区画線DLに対応する実線あるいは破線状の表示画像コンテンツが挙げられる。このようなコンテンツは、道路に沿って表示されるものであり、運転者Pから見て奥行き方向に延びるように表示される。これに対し、非重畳コンテンツの典型例として、車速表示コンテンツ、速度情報コンテンツCV、等が挙げられる。このようなコンテンツは、必ずしも道路に沿って表示されるものではなく、運転者Pから見て奥行き方向に延びるように表示されるものでもない。なお、自車両と注目対象あるいは重畳対象との位置関係によっては、非重畳コンテンツであっても、運転者Pから、重畳コンテンツに対応する注目対象あるいは重畳対象と重畳して視認されることがあり得る。しかしながら、このように、意図しない偶然により何らかの前景と重畳して視認されるような、非重畳コンテンツの表示は、重畳コンテンツにおける「重畳表示」とは異なる。
(表示制御装置)
表示制御装置20は、表示装置19における表示動作を制御するように設けられている。すなわち、表示制御装置20は、DSM17、入力操作部18、および表示装置19を含むHMIシステムの動作を制御するHCUとして構成されている。HMIはHuman Machine Interfaceの略である。HCUはHMI Control Unitの略である。具体的には、表示制御装置20は、処理部201、記憶部202、RAM203、入出力インタフェース204、等を備えた、いわゆる車載マイクロコンピュータとして構成されている。
処理部201は、CPU等の演算コアを少なくとも一つ含む構成を有している。記憶部202は、ROMおよび/または不揮発性リライタブルメモリによって構成されている。記憶部202には、処理部201によって実行される種々のプログラム、例えば、表示制御プログラム等が格納されている。また、記憶部202には、プログラムの実行の際に用いられる各種のデータ、例えば、初期値、テーブル、マップ、等が、あらかじめ格納されている。RAM203は、上記のプログラムの実行により後述する各機能部の機能を実現するための種々の処理を実行するために、処理部201によりアクセス可能に設けられている。
入出力インタフェース204は、表示制御装置20と、運転支援ECU16、DSM17、等の外部装置との間の、信号および情報の入出力を行うように設けられている。具体的には、入出力インタフェース204には、車載通信回線10Aが接続されている。また、入出力インタフェース204には、DSM17、入力操作部18、および表示装置19との間の通信用のサブ通信回線が接続されている。
(機能構成)
表示制御装置20は、メータパネル191における各種表示、および、HUD装置192における表示画像の表示を制御するように構成されている。具体的には、表示制御装置20は、図4に示されているような、マイクロコンピュータ上にて実現される各機能部を有している。以下、図1〜図4を参照しつつ、本実施形態における、表示制御装置20の機能構成の詳細について説明する。
表示制御装置20は、死角領域DB210と、認識結果取得部211と、死角領域取得部212とを有している。また、表示制御装置20は、相対位置取得部213と、位置情報取得部214と、地図情報取得部215と、走行状況取得部216とを有している。さらに、表示制御装置20は、視点位置取得部217と表示制御部218とを有している。
死角領域DB210には、普通乗用車、軽乗用車、普通ワゴン車、軽ワゴン車、小型バス、大型バス、小型トラック、大型トラック、等の車両種類毎に応じてあらかじめ定められた死角領域が記憶されている。「死角領域」は、特許文献1における「死角範囲」と同義である。死角領域DB210は、死角領域を書き換え可能に記憶するとともに電源遮断中にも記憶内容を保持するように、不揮発性リライタブルメモリを主体に構成されている。すなわち、死角領域DB210における記憶データは、車両1の製造工場、整備工場、販売店、等にて、あらかじめ死角領域DB210に格納されている。また、かかる記憶データは、DCM15と表示制御装置20との連携により、最新のデータに書き換え可能になっている。
認識結果取得部211は、周辺監視センサ13を用いた物体の認識あるいは検知の結果を取得するように設けられている。具体的には、認識結果取得部211は、フロントカメラ131による道路区画線DLの検知結果を、周辺監視センサ13または運転支援ECU16から車載通信回線10Aを介して取得するようになっている。また、認識結果取得部211は、自車両のフロントウィンドシールド4越しに視認される路面RS上を走行する先行車両PVの認識結果を、周辺監視センサ13または運転支援ECU16から車載通信回線10Aを介して取得するようになっている。「認識結果」には、フロントカメラ131による撮影範囲のうちの所定領域内の、先行車両PVの有無も含まれる。かかる「所定範囲」は、レーダセンサ132による測距可能な範囲に設定されている。
死角領域取得部212は、認識結果取得部211にて取得した認識結果に対応する、先行車両PVの死角領域を取得するように設けられている。具体的には、死角領域取得部212は、先行車両PVの認識結果に対応する死角領域を、死角領域DB210から読み出して、RAM203における一時格納領域にて格納するようになっている。
相対位置取得部213は、自車両と先行車両PVとの相対位置および相対速度の検知結果を取得するように設けられている。具体的には、相対位置取得部213は、周辺監視センサ13による先行車両PVの検知結果を、周辺監視センサ13または運転支援ECU16から車載通信回線10Aを介して取得するようになっている。
位置情報取得部214は、ロケータ14にて複合測位により決定された、自車両の高精度な位置情報および方角情報を取得するように設けられている。具体的には、位置情報取得部214は、ロケータECU144による位置情報および方角情報の決定結果を、ロケータECU144から車載通信回線10Aを介して取得するようになっている。
地図情報取得部215は、高精度地図DB143に格納された高精度地図情報を取得するように設けられている。具体的には、地図情報取得部215は、ロケータECU144が高精度地図DB143から読み出した高精度地図情報を、ロケータECU144から車載通信回線10Aを介して取得するようになっている。
走行状況取得部216は、自車両の走行状況、すなわち、運転状態および走行環境を取得するように設けられている。具体的には、走行状況取得部216は、車両状態センサ11により検出したシフトポジションおよび車速等の諸量を、車載通信回線10Aを介して取得するようになっている。また、走行状況取得部216は、外界状態センサ12により検出した外気温、降雨量、等を、車載通信回線10Aを介して取得するようになっている。
視点位置取得部217は、HUD装置192による表示を実行する際の視点EPの位置を取得するように設けられている。具体的には、視点位置取得部217は、DSM−ECU173による視点EPの三次元位置の算出結果を、DSM−ECU173から車載通信回線10Aを介して取得するようになっている。
(表示制御部)
表示制御部218は、認識結果取得部211〜視点位置取得部217による取得結果に基づいて、HUD装置192による表示動作を制御するように設けられている。以下、図1〜図8を参照しつつ、本実施形態における、表示制御装置20の機能構成の詳細について説明する。図5〜図8は、自車両の走行中における表示制御の遷移を示す。なお、図示および説明の簡略化のため、図5〜図8においては、死角領域コンテンツCX1、死角侵入コンテンツCX2、非死角領域コンテンツCX3、および回避方向コンテンツCX4以外の、他の表示コンテンツの図示は、省略されているものとする。
表示制御部218は、図5に示されているように、先行車両PVの認識結果および相対位置等に基づいて、死角領域コンテンツCX1を路面RSに重畳表示するようになっている。死角領域コンテンツCX1は、自車線LSに隣接する他車線LXにて自車両よりも前方を走行する先行車両PVの死角領域を示す重畳コンテンツである。「先行車両PVの死角領域」は、先行車両PVの運転席にて運転姿勢で乗車する乗員からの死角領域である。死角領域コンテンツCX1において、「注目対象」は先行車両PVあるいはその死角領域であり、「重畳対象」は当該死角領域に対応する路面RSである。具体的には、本実施形態においては、死角領域コンテンツCX1は、例えば、路面RSのテキスチャからの視覚的な識別が可能な程度の輝度と、路面RS上の表示を判読可能な程度の透過性とを有する、半透明状の白色ベタ表示である。なお、死角領域コンテンツCX1は、先行車両PVの死角領域のすべてを表示するものではない。すなわち、例えば、図5に示されているように、先行車両PVが自車両の左前方に位置している状況を想定する。かかる状況において、自車両が、先行車両PVが走行中の他車線LXにおける先行車両PVの真後ろの死角領域に侵入することは想定されない。同様に、自車両が、先行車両PVの左後ろ側の死角領域に侵入することは想定されない。このため、かかる状況においては、自車両が侵入する可能性が所定程度見込まれる、先行車両PVの右後ろ側の死角領域が、死角領域コンテンツCX1による表示対象である。
表示制御部218は、自車両と先行車両PVとの相対距離RDが所定の閾値距離RDth未満である場合に、死角領域コンテンツCX1を表示するようになっている。また、表示制御部218は、自車両と先行車両PVとの相対速度RVに応じて、死角領域コンテンツCX1の表示状態を変化させるようになっている。本実施形態においては、表示制御部218は、死角領域コンテンツCX1の表示状態を変化させる際の相対速度RVとして、絶対値を用いるようになっている。「表示状態」には、色、輝度、模様、点灯/点滅の区別、点滅インターバル、等の表示形式の他に、表示/非表示の区別も含まれる。具体的には、表示制御部218は、相対速度RVが所定の領域表示閾値RVth1以上である場合に、死角領域コンテンツCX1を非表示とするようになっている。一方、表示制御部218は、相対速度RVが領域表示閾値RVth1未満である場合に、死角領域コンテンツCX1を表示するようになっている。また、表示制御部218は、死角領域コンテンツCX1を表示する場合に、相対速度RVに応じて、表示形式を変更するようになっている。具体的には、表示制御部218は、相対速度RVに応じて輝度を変更するようになっている。「表示形式」は「表示態様」とも称され得る。相対速度RVに応じた表示状態の変更の詳細については、後述の動作概要にて説明する。
表示制御部218は、図5および図6に示されているように、自車両が死角領域に侵入したことにより死角領域コンテンツCX1が投影範囲PA外になった場合に、死角侵入コンテンツCX2を路面RSに重畳表示するようになっている。すなわち、表示制御部218は、図6に示されているように、認識結果取得部211にて取得した先行車両PVの認識結果、相対位置取得部213にて取得した相対位置、等に基づいて、死角侵入コンテンツCX2を路面RSに重畳表示するようになっている。死角侵入コンテンツCX2は、自車両が、図5に示されていた死角領域コンテンツCX1に対応する死角領域に侵入したことを示す重畳コンテンツである。死角侵入コンテンツCX2において、「注目対象」は、先行車両PVの死角領域である。一方、「重畳対象」は、当該死角領域の近傍位置に対応する路面RSであり、より詳細には、後述する非死角領域コンテンツCX3に対応する路面RSである。
例えば、死角侵入コンテンツCX2は、図6に示されているように、自車両の斜め前方にて隣接する先行車両PVの死角領域内に自車両が侵入したことを警告する「隣車死角内!」という文字表示である。あるいは、例えば、死角侵入コンテンツCX2は、図7に示されているように、自車両が侵入した先行車両PVの死角領域から脱出すべき旨を警告する「死角回避」という文字表示である。
本実施形態においては、表示制御部218は、相対速度RVに応じて、死角侵入コンテンツCX2の表示状態を変化させるようになっている。「表示状態」には、文字および/または文字枠の、サイズ、色、輝度、模様、点灯/点滅の区別、点滅インターバル、等の表示形式の他に、表示/非表示の区別も含まれる。具体的には、表示制御部218は、相対速度RVが所定の侵入表示閾値RVth2以上である場合に、死角侵入コンテンツCX2を非表示とするようになっている。一方、表示制御部218は、相対速度RVが侵入表示閾値RVth2未満である場合に、死角侵入コンテンツCX2を表示するようになっている。なお、本実施形態においては、侵入表示閾値RVth2は、領域表示閾値RVth1と同一値である。また、表示制御部218は、死角侵入コンテンツCX2を表示する場合に、相対速度RVに応じて表示形式を変更するようになっている。具体的には、本実施形態においては、表示制御部218は、例えば、赤文字と白文字枠とを含む死角侵入コンテンツCX2全体の点滅インターバルを、相対速度RVに応じて変更するようになっている。相対速度RVに応じた表示状態の変更の詳細については、後述の動作概要にて説明する。
表示制御部218は、図6および図7に示されているように、先行車両PVの認識結果および相対位置等に基づいて、非死角領域コンテンツCX3を路面RSに重畳表示するようになっている。非死角領域コンテンツCX3は、先行車両PVの非死角領域を示す重畳コンテンツである。非死角領域コンテンツCX3において、「注目対象」は先行車両PVの非死角領域であり、「重畳対象」は当該非死角領域に対応する路面RSである。具体的には、本実施形態においては、非死角領域コンテンツCX3は、例えば、路面RSのテキスチャからの視覚的な識別が可能な程度の輝度と、路面RS上の表示を判読可能な程度の透過性とを有する、半透明状の青色ベタ表示である。なお、死角領域コンテンツCX1の場合と同様の理由により、非死角領域コンテンツCX3は、先行車両PVの非死角領域のすべてを表示するものではない。具体的には、図6および図7に示されているように、先行車両PVが自車両の左前方に位置している状況を想定する。かかる状況においては、自車両が侵入する可能性が所定程度見込まれる、先行車両PVの右前側の非死角領域が、非死角領域コンテンツCX3による表示対象となる。
本実施形態においては、表示制御部218は、相対速度RVに応じて、非死角領域コンテンツCX3の表示状態を変化させるようになっている。「表示状態」の意義は、上記の死角領域コンテンツCX1と同様である。具体的には、表示制御部218は、相対速度RVが侵入表示閾値RVth2以上である場合に、非死角領域コンテンツCX3を非表示とするようになっている。一方、表示制御部218は、相対速度RVが侵入表示閾値RVth2未満である場合に、非死角領域コンテンツCX3を表示するようになっている。また、表示制御部218は、非死角領域コンテンツCX3を表示する場合に、相対速度RVに応じて表示形式を変更するようになっている。具体的には、本実施形態においては、表示制御部218は、例えば、相対速度RVに応じて、輝度を変更するようになっている。相対速度RVに応じた表示状態の変更の詳細については、後述の動作概要にて説明する。
図6および図7に示されているように、先行車両PVよりもさらに前方に、他先行車両PVNが存在している場面があり得る。このような場面において、先行車両PVの非死角領域の一部が、他先行車両PVNの死角領域BAと重複する場合があり得る。そこで、表示制御部218は、先行車両PVの非死角領域から他先行車両PVNの死角領域BAを除外した領域を示す非死角領域コンテンツCX3を、路面RSに重畳表示するようになっている。
表示制御部218は、図7に示されているように、先行車両PVの認識結果および相対位置等に基づいて、回避方向コンテンツCX4を路面RSに重畳表示するようになっている。回避方向コンテンツCX4は、自車両が先行車両PVの死角領域に侵入した場合に、かかる死角領域からの推奨脱出方向を示す重畳コンテンツである。「推奨脱出方向」は、自車両の車速、先行車両PVの相対位置および相対速度を含む自車両の周囲の他車両検知結果、等に基づいて、運転支援ECU16により算出された、死角領域からの脱出方向である。回避方向コンテンツCX4は、例えば、推奨脱出方向を示す矢印状のアイコンである。本実施形態においては、表示制御部218は、相対速度RVに応じて、非死角領域コンテンツCX3と同様に、回避方向コンテンツCX4の表示状態を変化させるようになっている。
表示制御部218は、コンテンツ決定部219を有している。コンテンツ決定部219は、認識結果取得部211〜走行状況取得部216における取得結果に基づいて、HUD装置192に表示させる表示画像コンテンツを選択あるいは決定するように設けられている。すなわち、コンテンツ決定部219は、自車両および先行車両PVの走行状況等に応じて、死角領域コンテンツCX1〜回避方向コンテンツCX4における表示状態を設定するようになっている。そして、表示制御部218は、コンテンツ決定部219にて選択あるいは決定した表示画像コンテンツをHUD装置192に表示させるようになっている。
(動作概要)
以下、本実施形態に係る表示制御装置20の動作、および、この表示制御装置20により実行される表示制御方法の概要について、本実施形態の構成により奏される効果とともに、図1〜図8を用いて説明する。
表示制御装置20は、自車両の不図示のイグニッションスイッチオンを含む所定のHUD表示開始条件が成立すると、処理部201により記憶部202から表示制御プログラムを読み出して実行することで、HUD装置192の表示制御を開始する。HUD装置192の表示制御が開始されると、適宜のタイミングで、HUD装置192による表示コンテンツの表示が実行される。例えば、周辺監視センサ13および/またはロケータ14により、自車両が現在走行中の道路における速度規制情報が取得された場合、表示制御装置20は、対応する非重畳コンテンツである速度情報コンテンツCVを、HUD装置192により表示する。
その他、表示制御装置20は、非重畳コンテンツに対応する各種情報が取得された場合、かかる情報に対応する非重畳コンテンツを、HUD装置192により表示する。また、表示制御装置20は、取得された情報に変更が生じる毎に、HUD装置192による非重畳コンテンツの表示状態を更新する。さらに、表示制御装置20は、周辺監視センサ13による検知結果が取得されたり更新されたりした際に、表示コンテンツの表示状態を更新する。表示状態を更新することには、非表示にすることも含まれる。
図5は、自車線LSの左側に隣接する他車線LXを先行車両PVが自車両の左前方にて走行中、且つ、自車両が先行車両PVの右後ろ側の死角領域よりも後方にて自車線LSを走行中である状況を示す。かかる状況において、認識結果取得部211は、周辺監視センサ13による先行車両PVの検知結果に基づいて、先行車両PVの認識結果すなわち車両種類を取得する。死角領域取得部212は、認識結果取得部211にて取得した車両種類に対応する、先行車両PVの死角領域を、死角領域DBから読み出すことで取得する。
相対位置取得部213は、自車両と先行車両PVとの相対位置および相対速度の検知結果を取得する。位置情報取得部214は、幅員方向における自車両の位置を含む、自車両の高精度な位置情報および方角情報を取得する。地図情報取得部215は、高精度地図DB143に格納された高精度地図情報を取得する。走行状況取得部216は、自車両の走行状況、すなわち、車速等の運転状態および降雨等の走行環境を取得する。視点位置取得部217は、HUD装置192による表示を実行する際の視点EPの位置を取得する。
表示制御部218は、認識結果取得部211〜視点位置取得部217による取得結果に基づいて、HUD装置192による表示動作を制御する。すなわち、コンテンツ決定部219は、認識結果取得部211〜走行状況取得部216における取得結果に基づいて、HUD装置192に表示させる表示画像コンテンツの種類および表示形式を選択あるいは決定する。そして、表示制御部218は、コンテンツ決定部219にて選択あるいは決定した種類および表示形式の表示画像コンテンツを、HUD装置192に表示させる。
表示制御部218は、取得した先行車両PVの検知結果、すなわち、認識結果および相対位置等に基づいて、先行車両PVの死角領域を示す表示画像コンテンツである死角領域コンテンツCX1を、HUD装置192により路面RSに重畳表示する。具体的には、コンテンツ決定部219は、死角領域取得部212にて取得した先行車両PVの死角領域と、自車両と先行車両PVとの相対位置とに基づいて、表示すべき死角領域コンテンツCX1における位置および形状を決定する。そして、表示制御部218は、自車両と先行車両PVとの相対距離RDおよび相対速度RVに応じて、死角領域コンテンツCX1を、自車両の前方の路面RSに重畳表示する。すると、図5に示されているように、死角領域コンテンツCX1は、自車線LSにおける自車両の前方に表示される。
かかる構成および方法によれば、先行車両PVの死角領域を示す死角領域コンテンツCX1が、自車両の進行先の路面RSに重畳表示される。これにより、自車線LSに隣接する他車線LXを走行する先行車両PVの死角領域を、自車両の運転者Pに良好に認識させることができる。したがって、先行車両PVの死角領域内への自車両の侵入を、効果的に抑制することが可能となる。
自車両と先行車両PVとの相対距離RDが閾値距離RDth以上である場合、先行車両PVの死角領域は、重畳コンテンツの表示領域である投影範囲PAよりも、運転者Pから見て上方あるいは前方となり、投影範囲PA外となる。よって、表示制御部218は、相対距離RDが閾値距離RDth以上である場合、死角領域コンテンツCX1を非表示とする。
相対距離RDが閾値距離RDth未満である場合、先行車両PVの死角領域は、投影範囲PA内に侵入する程度まで自車両に近づく。すると、かかる死角領域への自車両の侵入を警告する必要性が生じる。ここで、一般には、自車両と先行車両PVとの相対速度RVが高いほど、警告の必要性が高まる。
ところで、相対速度RVの絶対値は、走行中の道路における法定最高速度未満となる。よって、相対速度RVの絶対値が、法定最高速度に近い所定の高速度範囲である場合、自車両と先行車両PVとのうちの一方の車速が極低速である可能性が高い。このような場合は、典型的には、例えば、自車両と先行車両PVとのうちの一方が、停車しようとしていたり、側道への出口に進入中であったりする場合である。このような場合、先行車両PVの死角領域への自車両の侵入を警告する必要性は低い。
そこで、表示制御部218は、自車両と先行車両PVとの相対距離RDが閾値距離RDth未満である場合であっても、自車両と先行車両PVとの相対速度RVが領域表示閾値RVth1以上であれば、死角領域コンテンツCX1を非表示とする。一方、表示制御部218は、相対距離RDが閾値距離RDth未満であって、且つ相対速度RVが領域表示閾値RVth1未満である場合、図5に示されているように、死角領域コンテンツCX1を表示する。
死角領域コンテンツCX1を表示する場合、コンテンツ決定部219は、相対速度RVに応じて、死角領域コンテンツCX1の表示形式を決定する。例えば、コンテンツ決定部219は、相対速度RVが所定の低速度範囲にて、死角領域コンテンツCX1の表示形式を「通常表示」に設定する。「通常表示」は、例えば、低〜中輝度表示である。これに対し、コンテンツ決定部219は、相対速度RVが所定の中速度範囲にて、死角領域コンテンツCX1の表示形式を「強調表示」に設定する。「強調表示」は、例えば、「通常表示」よりも高輝度表示である。
図5に示された状況から、自車両が死角領域コンテンツCX1に向かって相対的に前進することで、図5にて表示されていた死角領域コンテンツCX1に対応する死角領域に自車両が侵入する場合があり得る。この場合、典型的には、図5にて表示されていた死角領域コンテンツCX1に対応する死角領域は、投影範囲PAよりも、運転者Pから見て下方あるいは手前側となり、投影範囲PA外となる。よって、この場合、死角領域コンテンツCX1は表示されなくなる。
そこで、表示制御部218は、自車両が死角領域に侵入したことにより死角領域コンテンツCX1が投影範囲PA外となって非表示となった場合、図6に示されているように、死角侵入コンテンツCX2を自車両の進行先の路面RSに重畳表示する。これにより、自車両が死角領域に侵入したことを運転者Pに報知しつつ、死角領域からの自車両の脱出を運転者Pに促すことが可能となる。
自車両と先行車両PVとの相対速度RVに応じた死角侵入コンテンツCX2の表示状態の変化についても、死角領域コンテンツCX1と同様である。すなわち、表示制御部218は、相対速度RVに応じて、死角侵入コンテンツCX2の表示状態を変化させる。具体的には、表示制御部218は、相対速度RVが侵入表示閾値RVth2以上である場合に、死角侵入コンテンツCX2を非表示とする。一方、表示制御部218は、相対速度RVが侵入表示閾値RVth2未満である場合に、死角侵入コンテンツCX2を表示する。
また、表示制御部218は、相対速度RVに応じて、死角侵入コンテンツCX2の表示形式を変更する。具体的には、コンテンツ決定部219は、相対速度RVが所定の低速度範囲にて、死角侵入コンテンツCX2の表示形式を「通常表示」に設定する。「通常表示」は、例えば、死角侵入コンテンツCX2の点滅インターバルが、1秒程度の比較的長いインターバルである。これに対し、コンテンツ決定部219は、相対速度RVが所定の中速度範囲にて、死角侵入コンテンツCX2の表示形式を「強調表示」に設定する。「強調表示」は、例えば、「通常表示」よりも短く運転者Pの注意をよりいっそう引くような点滅インターバルである。
本実施形態によれば、図6に示されているように、表示制御部218は、先行車両PVの非死角領域を示す表示画像コンテンツである非死角領域コンテンツCX3を、路面RSに重畳表示する。これにより、死角領域からの自車両の脱出を良好に誘導することが可能となる。
自車両と先行車両PVとの相対速度RVに応じた非死角領域コンテンツCX3の表示状態の変化についても、死角領域コンテンツCX1と同様である。すなわち、表示制御部218は、相対速度RVに応じて、非死角領域コンテンツCX3の表示状態を変化させる。具体的には、表示制御部218は、相対速度RVが侵入表示閾値RVth2以上である場合に、非死角領域コンテンツCX3を非表示とする。一方、表示制御部218は、相対速度RVが侵入表示閾値RVth2未満である場合に、非死角領域コンテンツCX3を表示する。
表示制御部218は、相対速度RVに応じて、非死角領域コンテンツCX3の表示形式を変更する。具体的には、コンテンツ決定部219は、相対速度RVが所定の低速度範囲にて、非死角領域コンテンツCX3の表示形式を「通常表示」に設定する。「通常表示」は、例えば、低〜中輝度表示である。これに対し、コンテンツ決定部219は、相対速度RVが所定の中速度範囲にて、非死角領域コンテンツCX3の表示形式を「強調表示」に設定する。「強調表示」は、例えば、「通常表示」よりも高輝度表示である。
このように、本実施形態によれば、自車両と先行車両PVとの相対速度RVに応じて、死角領域コンテンツCX1、死角侵入コンテンツCX2、および非死角領域コンテンツCX3の表示の有無と表示形式とが適切に設定される。したがって、本実施形態によれば、死角領域コンテンツCX1、死角侵入コンテンツCX2、および非死角領域コンテンツCX3の表示が、自車両および先行車両PVの運転状態に適合して適切に実行され得る。
本実施形態によれば、表示制御部218は、図6に示されているように、先行車両PVの非死角領域から他先行車両PVNの死角領域BAを除外した領域を示す非死角領域コンテンツCX3を路面RSに重畳表示する。これにより、先行車両PVと、かかる先行車両PVとは異なる他先行車両PVNとが、自車両の前方にて併存する状況において、両者の死角領域への自車両の侵入を良好に抑制することが可能となる。
本実施形態によれば、図7に示されているように、表示制御部218は、自車両が先行車両PVの死角領域に侵入した場合、回避方向コンテンツCX4を、路面RSに重畳表示する。これにより、死角領域からの自車両の脱出を良好に誘導することが可能となる。
(動作例)
以上に説明した表示制御動作の一具体例について、図9Aおよび図9Bのフローチャートを用いて説明する。なお、図9Aおよび図9Bにおいて、「ステップ」を単に「S」と略記する。図9Aおよび図9Bに示された処理は、上記の表示制御プログラムに含まれる。
図9Aおよび図9Bは、死角領域コンテンツCX1、死角侵入コンテンツCX2、および非死角領域コンテンツCX3の表示に関する一連の処理の流れを示す。かかる一連の処理を「死角表示関連処理」と総称する。死角表示関連処理は、例えば、所定の開始条件の成立により開始する。「所定の開始条件」は、例えば、自車両のシフトポジションが後退以外の走行ポジションであること、自車両の車速が所定の低速側閾値以上であること、周辺監視センサ13の動作が正常であること、等を含む。
死角表示関連処理が開始すると、まず、ステップ901にて、処理部201は、先行車両PVの認識結果を取得する。次に、ステップ902にて、処理部201は、フロントカメラ131による撮影範囲のうちの所定領域内に先行車両PVが存在するか否かを判定する。すなわち、処理部201は、レーダセンサ132による測距可能な範囲に先行車両PVが存在するか否かを判定する。
先行車両PVが存在しない場合(すなわちステップ902=NO)、処理部201は、ステップ903の処理を実行した後、処理をステップ901に戻す。ステップ903にて、処理部201は、死角領域コンテンツCX1、死角侵入コンテンツCX2、および非死角領域コンテンツCX3を非表示とする。なお、死角侵入コンテンツCX2が非表示である場合、回避方向コンテンツCX4だけを表示することは想定外であるため、回避方向コンテンツCX4もまた非表示となる。後述の各ステップにおいても同様である。
先行車両PVが存在する場合(すなわちステップ902=YES)、処理部201は、処理をステップ904に進行させる。ステップ904にて、処理部201は、自車両と先行車両PVとの相対距離RDが閾値距離RDth未満であるか否かを判定する。
相対距離RDが閾値距離RDth以上である場合(すなわちステップ904=NO)、処理部201は、ステップ903の処理を実行した後、処理をステップ901に戻す。一方、相対距離RDが閾値距離RDth未満である場合(すなわちステップ904=YES)、処理部201は、処理をステップ905に進行させる。
ステップ905にて、処理部201は、自車両と先行車両PVとの相対速度RVが領域表示閾値RVth1未満であるか否かを判定する。相対速度RVが領域表示閾値RVth1以上である場合(すなわちステップ905=NO)、処理部201は、ステップ903の処理を実行した後、処理をステップ901に戻す。一方、相対速度RVが領域表示閾値RVth1未満である場合(すなわちステップ905=YES)、処理部201は、処理をステップ906に進行させる。
処理がステップ906に進行する場合は、自車両と先行車両PVとで、相対距離RDが閾値距離RDth未満であり、且つ、相対速度RVが領域表示閾値RVth1未満である。この場合、死角領域コンテンツCX1の表示条件が満たされる。そこで、ステップ906にて、処理部201は、死角領域コンテンツCX1をHUD装置192により路面RSに重畳表示させる。このときの死角領域コンテンツCX1の表示形式は、相対速度RVに応じたものとされる。
死角領域コンテンツCX1の表示が開始された後、処理部201は、ステップ907に処理を進行させる。ステップ907にて、処理部201は、表示された死角領域コンテンツCX1に対応する死角領域に自車両が侵入したか否かを判定する。
自車両が死角領域に侵入していない場合(すなわちステップ907=NO)、処理部201は、処理をステップ901に戻す。一方、自車両が死角領域に侵入した場合(すなわちステップ907=YES)、処理部201は、処理をステップ908に進行させる。なお、自車両が死角領域に侵入した場合、当該死角領域に対応する死角領域コンテンツCX1は、投影範囲PA外となることで非表示状態となる。
ステップ908にて、処理部201は、自車両と先行車両PVとの相対速度RVが侵入表示閾値RVth2未満であるか否かを判定する。相対速度RVが侵入表示閾値RVth2以上である場合(すなわちステップ908=NO)、処理部201は、ステップ909の処理を実行した後、処理をステップ901に戻す。ステップ909にて、処理部201は、死角侵入コンテンツCX2および非死角領域コンテンツCX3を非表示とする。これに対し、相対速度RVが侵入表示閾値RVth2未満である場合(すなわちステップ908=YES)、処理部201は、ステップ910の処理を実行した後、処理をステップ911に進行させる。
ステップ910にて、処理部201は、死角侵入コンテンツCX2および非死角領域コンテンツCX3をHUD装置192により路面RSに重畳表示させる。このときの死角侵入コンテンツCX2および非死角領域コンテンツCX3の表示形式は、相対速度RVに応じたものとされる。
ステップ911にて、処理部201は、相対速度RVが侵入表示閾値RVth2未満である状態が所定時間継続したか否かを判定する。所定時間継続前の場合(すなわちステップ911=NO)、処理部201は、処理をステップ908に戻す。一方、相対速度RVが侵入表示閾値RVth2未満である状態が所定時間継続した場合(すなわちステップ911=YES)、処理部201は、ステップ912の処理を実行した後、処理をステップ913に進行させる。
ステップ912にて、処理部201は、回避方向コンテンツCX4をHUD装置192により路面RSに重畳表示させる。このときの回避方向コンテンツCX4の表示形式は、死角侵入コンテンツCX2と同様の、相対速度RVに応じたものとされる。ステップ913にて、処理部201は、回避動作が完了したか否か、すなわち、侵入した死角領域から自車両が脱出したか否かを判定する。「回避動作」とは、運転者Pの運転操作により、自車両が、侵入した死角領域から脱出する動作である。
回避動作が完了すると(すなわちステップ913=YES)、処理部201は、処理をステップ914以降に進行させる。一方、回避動作中は(すなわちステップ913=NO)、処理部201は、処理のステップ914以降への進行を待機させる。
ステップ914にて、処理部201は、死角侵入コンテンツCX2、非死角領域コンテンツCX3、および回避方向コンテンツCX4を非表示とする。ステップ915にて、処理部201は、終了条件が成立したか否かを判定する。終了条件の成立は、上記の開始条件の不成立である。終了条件が成立した場合(すなわちステップ915=YES)、処理部201は、死角表示関連処理を終了する。一方、終了条件が成立していない場合(すなわちステップ913=NO)、処理部201は、処理をステップ901に戻す。
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、相互に同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な装置構成に、何ら限定されるものではない。すなわち、例えば、車両1は、四輪自動車に限定されない。具体的には、車両1は、三輪自動車であってもよいし、貨物トラック等の六輪または八輪自動車でもよい。車両1の種類は、内燃機関のみを備えた自動車であってもよいし、内燃機関を備えない電気自動車または燃料電池車であってもよいし、いわゆるハイブリッド自動車であってもよい。車体2の形状および構造も、箱状すなわち平面視における略矩形状に限定されない。車両1の用途、ステアリングホイール7の位置、乗員数、等についても、特段の限定はない。
車載システム10を構成する通信規格としては、CAN(国際登録商標)以外のもの、例えば、FlexRay(国際登録商標)等も採用され得る。また、車載システム10を構成する通信規格は、一種類に限定されない。例えば、車載システム10は、LIN等の通信規格に準拠したサブネットワーク回線を有していてもよい。LINはLocal Interconnect Networkの略である。
車両状態センサ11、外界状態センサ12、および周辺監視センサ13についても、上記の例示に限定されない。例えば、周辺監視センサ13は、ソナーすなわち超音波センサを含んだ構成であってもよい。
ロケータ14についても、上記の例示に限定されない。例えば、ロケータ14は、ジャイロセンサおよび加速度センサを内蔵した構成ではなくてもよい。具体的には、慣性取得部142は、車両状態センサ11としてロケータ14の外部に設けられた角速度センサおよび加速度センサからの出力信号を受信するようになっていてもよい。
DCM15は、省略され得る。
運転支援ECU16に代えて、あるいはこれとともに、自動運転ECUが設けられていてもよい。かかる自動運転ECUは、米国自動車技術会の規定する自動運転レベルにおける、レベル3以上の自動走行制御を可能にするように構成されている。
DSM17は、車載通信回線10Aを介して、表示制御装置20に接続されていてもよい。
入力操作部18は、車載通信回線10Aを介して、表示制御装置20に接続されていてもよい。
表示装置19の構成および配置についても、上記の具体例に限定されない。すなわち、例えば、メータパネル191は、タコメータ、スピードメータ、水温計、等における、ベゼル、指針、目盛、等を画像表示するように構成されていてもよい。この場合、メータパネル191は、車両情報ディスプレイ191Aと同視され得る。
HUD装置192、特に、プロジェクタ192A等の具体的な構造についても、特段の限定はない。すなわち、HUD装置192は、車両1のフロントウィンドシールド4越しに視認される路面RSに表示画像を重畳表示可能な構成であれば、いかなる構造のものでも、車載不可能等の技術的な矛盾がない限り、採用可能である。また、HUD装置192による重畳表示可能な視野範囲である投影範囲PAの大きさについても、特段の限定はない。すなわち、例えば、HUD装置192は、フロントウィンドシールド4におけるほぼ全面にて前景との重畳表示が可能な、いわゆるウィンドシールドディスプレイ装置であってもよい。
上記実施形態において、表示制御装置20は、CPU等を備えていた。しかしながら、本発明は、かかる構成に限定されない。すなわち、例えば、表示制御装置20は、GPUを備えていてもよい。GPUはGraphics Processing Unitの略である。あるいは、表示制御装置20は、上記のような動作を可能に構成されたデジタル回路、例えばASICあるいはFPGAを備えた構成であってもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。FPGAはField Programmable Gate Arrayの略である。CPUとASIC等とは併存し得る。
本発明に係るプログラムは、DCM15等のV2X通信手段を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。V2XはVehicle to Xの略である。あるいは、本発明に係るプログラムは、車両1の製造工場、整備工場、販売店、等に設けられた端末装置を介して、ダウンロードあるいはアップグレードされ得る。かかるプログラムの格納先は、メモリーカード、光学ディスク、磁気ディスク、等であってもよい。
このように、上記の各機能構成および方法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、上記の各機能構成および方法は、一つあるいは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移的実体的記憶媒体に記憶されていてもよい。すなわち、上記の各機能構成および方法は、これを実現するための手順を含むコンピュータプログラム、あるいは、当該プログラムを記憶した非遷移的実体的記憶媒体としても表現可能である。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な機能構成および動作例に限定されない。例えば、先行車両PVの認識結果に応じた死角領域は、V2Xにより取得され得る。この場合、死角領域DB210は、省略される。また、死角領域取得部212は、V2Xにより取得した死角領域を、RAM203における一時格納領域にて格納するようになっている。
例えば、先行車両PVの車両種類および/または死角領域は、車−車間通信すなわちV2Vにより取得可能である。V2VはVehicle-to-Vehicleの略である。死角領域がV2Vにより取得される場合、死角領域DB210は、省略される。また、死角領域取得部212は、V2Vにより取得した死角領域を、RAM203における一時格納領域にて格納するようになっている。
上記実施形態において、視点位置取得部217は、DSM−ECU173による視点EPの三次元位置の算出結果を、DSM−ECU173から車載通信回線10Aを介して取得した。すなわち、HUD装置192による表示を実行する際の視点EPを取得するために、運転者Pの状態を検知して注意喚起あるいは警告を行うためのDSM17に設けられた車内カメラ171等の構成が流用されていた。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。
具体的には、例えば、車載システム10にDSM17が設けられない場合があり得る。この場合、HUD装置192用の運転席撮影カメラが車室3内に設けられ得る。また、この場合、視点EPの位置算出は、表示制御装置20における視点位置取得部217にて実行され得る。
侵入表示閾値RVth2は、領域表示閾値RVth1とは異なる値であってもよい。
先行車両PVの死角領域への自車両の侵入を警告する必要性がある場面は、主として、自車両が先行車両PVを追い越すような、自車両の方が先行車両PVよりも車速が高い状況にて発生する。かかる状況においては、相対速度RVは正値となる。一方、相対速度RVが負値の場合、自車両が先行車両PVの死角領域に侵入する可能性は極めて低い。
そこで、表示制御部218は、相対速度RVが負値の場合は、死角領域コンテンツCX1〜回避方向コンテンツCX4を非表示としてもよい。すなわち、ステップ905における判定処理は、相対速度RVとして絶対値ではなく正負の符号付きの値を用いて、「0<RV<RVth1?」としてもよい。ステップ908についても同様である。
自車両が死角領域に侵入しても死角領域コンテンツCX1が部分的に投影範囲PA内となる場合があり得る。しかしながら、死角領域コンテンツCX1と、死角侵入コンテンツCX2または非死角領域コンテンツCX3とが併存すると、運転者Pが紛らわしさを感じることがあり得る。
そこで、表示制御部218は、自車両が死角領域に侵入して死角侵入コンテンツCX2および非死角領域コンテンツCX3を路面RSに重畳表示する場合に、死角領域コンテンツCX1を表示から非表示に切り替えるようにしてもよい。これにより、死角領域コンテンツCX1、死角侵入コンテンツCX2、および非死角領域コンテンツCX3の表示に関する紛らわしさが解消され得る。
表示制御装置20は、死角侵入コンテンツCX2および/または回避方向コンテンツCX4に対応する表示コンテンツを、HUD装置192に代えて、あるいはこれとともに、車両情報ディスプレイ191Aに表示させてもよい。あるいは、死角侵入コンテンツCX2および/または回避方向コンテンツCX4は、非重畳コンテンツであってもよい。
図8のフローチャートも、適宜変更され得る。例えば、「閾値未満」は「閾値以下」に変更され得る。同様に、「閾値以上」と「閾値を超える」とは、相互に置換可能である。すなわち、「<」と「≦」とは、相互に置換可能である。
レベル3以上の自動走行制御の例においては、ステップ913の「回避動作」とは、自動運転ECUの自動走行制御により、自車両が、侵入した死角領域から脱出する動作である。すなわち、ステップ913の処理内容は、自動運転ECUの自動走行制御による回避動作が完了したか否かの判定となる。
上記説明の通り、死角領域コンテンツCX1等の表示の際の考慮対象となる先行車両PVは、典型的には、自車線LSに隣接する他車線LX上に存在する。しかしながら、本発明は、かかる典型的な適用例に限定されない。すなわち、本発明の適用対象は、自車線LSと他車線LXとが道路区画線DLによって区画されている状況に限定されない。したがって、例えば、道路の幅員方向両端以外には道路区画線DLが存在せず、自車線LSと他車線LXとが明確に区画されない状況においても、本発明は良好に適用可能である。
ARは、最広義には、実景に電子情報を重ね合わせて表示することを含む。このため、重畳コンテンツも非重畳コンテンツも、実景と併せて視認される限度において、最広義のARコンテンツあるいはAR表示物に含まれる。しかしながら、ARコンテンツについて、重畳コンテンツを含む一方で非重畳コンテンツは含まない、狭義の解釈も可能である。この場合、非重畳コンテンツは、非ARコンテンツあるいは非AR表示物と云い得る。
「取得」「算出」「推定」「検出」「検知」「決定」等の類似の表現とは、技術的に矛盾しない範囲内において、相互に適宜置換可能である。「検出」と「抽出」とも、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜置換可能である。
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に本発明が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。
変形例も、上記の例示に限定されない。また、複数の変形例が、互いに組み合わされ得る。さらに、上記実施形態の全部または一部と、変形例の全部または一部とが、互いに組み合わされ得る。
(まとめ)
上記実施形態および変形例によって示された本開示は、方法およびプログラムに関する以下の各観点を含む。なお、下記の各観点は、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わせて適用可能である。
第一の観点によれば、車両(1)のフロントウィンドシールド(4)越しに視認される路面(RS)に表示画像を重畳表示する車両用表示装置(192)における前記表示画像の表示を制御する、表示制御方法は、
前記路面上の先行車両(PV)の認識結果を取得する処理と、
前記車両と前記先行車両との相対位置の検知結果を取得する処理と、
前記認識結果と前記検知結果とに基づいて、前記先行車両の死角領域を示す前記表示画像である死角領域コンテンツ(CX1)を、前記路面に重畳表示する処理と、
を含む。
また、車両(1)のフロントウィンドシールド(4)越しに視認される路面(RS)に表示画像を重畳表示する車両用表示装置(192)における前記表示画像の表示を制御するように構成された、表示制御装置(20)により実行される表示制御プログラムにおいて、
前記表示制御装置により実行される処理は、
前記路面上の先行車両(PV)の認識結果を取得する処理と、
前記車両と前記先行車両との相対位置の検知結果を取得する処理と、
前記認識結果と前記検知結果とに基づいて、前記先行車両の死角領域を示す前記表示画像である死角領域コンテンツ(CX1)を、前記路面に重畳表示する処理と、
を含む。
第2の観点は、前記車両が前記死角領域に侵入したことを示す前記表示画像である死角侵入コンテンツ(CX2)を、前記路面に重畳表示する処理を含む。
第3の観点は、前記車両が前記死角領域に侵入したことにより前記死角領域コンテンツが前記表示画像の表示領域(PA)外になった場合に、前記死角侵入コンテンツを前記路面に重畳表示する処理を含む。
第4の観点は、前記先行車両の非死角領域を示す前記表示画像である非死角領域コンテンツ(CX3)を、前記路面に重畳表示する処理を含む。
第5の観点は、第一の前記先行車両の前記非死角領域から、前記第一の前記先行車両とは異なる第二の前記先行車両の前記死角領域を除外した領域を示す、前記非死角領域コンテンツを前記路面に重畳表示する処理を含む。
第6の観点は、前記車両と前記先行車両との相対速度に応じて、前記死角侵入コンテンツの表示状態を変化させる処理を含む。
第7の観点は、前記相対速度が侵入表示閾値未満である場合に前記死角侵入コンテンツを表示する一方、前記相対速度が前記侵入表示閾値以上である場合に前記死角侵入コンテンツを非表示とする処理を含む。
第8の観点によれば、前記路面に重畳表示する処理は、前記車両と前記先行車両との相対速度に応じて、前記死角領域コンテンツの表示状態を変化させる。
第9の観点によれば、前記路面に重畳表示する処理は、前記相対速度が領域表示閾値未満である場合に前記死角領域コンテンツを表示する一方、前記相対速度が前記領域表示閾値以上である場合に前記死角領域コンテンツを非表示とする。