JP2021028166A - 水中防汚管 - Google Patents

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聡一郎 谷野
Soichiro Yano
聡一郎 谷野
真一 田代
Shinichi Tashiro
真一 田代
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Abstract

【課題】水中における生物付着負荷の高い条件でも優れた防汚性を有し、耐ダメージ性にも優れる水中防汚管、水中ケーブル及び前記水中防汚管による、水中用ケーブルの保護方法を提供する。【解決手段】シリコーンを主材とする基材層、及び該基材層上にシリコーン硬化体(A)と滑り剤(B)を含有する防汚層を有し、該防汚層が最外層である、水中防汚管、前記水中防汚管中に水中用ケーブルを有する水中ケーブル、及び前記水中防汚管による水中用ケーブルの保護方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、水中防汚管、その製造方法、水中ケーブル及び水中用ケーブルの保護方法に関する。
海洋や河川など、水中で使用される物品は、水生生物の付着により種々の障害を生じる。たとえば、送電やデータ転送に用いられるケーブル類や、液体の移送に用いられるホース類あるいはパイプ類は、水生生物が付着することにより、損傷、重量増大、柔軟性低下などの問題が生じる。
こうした問題に対し、生物の付着を防止する水中物品の外装、塗装が検討されている。
たとえば、特許文献1には、2部材からなる加熱硬化型シリコーンエラストマーの層でコーティングされ、これにより生物付着を防止する可撓性管材からなる地震ストリーマケーシングが開示されている。
また、特許文献2には、ホース表面への海洋生物の付着を防止することを目的として、一点係留ブイに係留されたタンカーから原油や精製油を輸送するために使用されるサブマリンホースにおいて、該ホース表面が海洋生物付着防止用カバーで被覆されてなることを特徴とするサブマリンホースが開示されている。
特表2008−506928号公報 特開2001−21093号公報
近年では、水上発電所、海中無人探査機、海中ドローン、海底ステーション等、次々と新たな水中あるいは水上の施設や機器が開発され、それに伴い、多様な大きさ、強度、柔軟性を有するケーブル類が必要とされている。一方、特許文献1や2のケーシングやカバーを用いることで、ある程度の水生生物に対する防汚性を付与することができるが、前記のような多様な用途への適応性という点、様々な環境下、特に生物付着負荷の高い環境下での防汚性という点ではいまだ不十分であり、海流や機器の移動、浮遊物等との接触によるケーブルのダメージに対しても不十分であった。
そこで、本発明は、水中における生物付着負荷の高い条件でも優れた防汚性を有し、耐ダメージ性にも優れる水中防汚管、水中ケーブル及び前記水中防汚管による、水中用ケーブルの保護方法を提供することを課題とする。
本発明者は、前記の課題に鑑み鋭意研究したところ、シリコーンからなる基材層とその上にシリコーン硬化体と滑り剤を含有する防汚層を有する水中防汚管によれば、前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の要旨は以下のとおりである。
本発明は、以下の[1]〜[13]に関する。
[1]シリコーンを主材とする基材層、及び該基材層上にシリコーン硬化体(A)と滑り剤(B)を含有する防汚層を有し、該防汚層が最外層である、水中防汚管。
[2]滑り剤(B)が、油類及び親水性基を有するポリマーから選ばれる1種以上である、[1]に記載の水中防汚管。
[3]前記防汚層中の滑り剤(B)の含有量が、1〜30質量%である、[1]又は[2]に記載の水中防汚管。
[4]滑り剤(B)が、シリコーン油、パラフィン油、油脂、親水性基を有するアクリル系ポリマー及びポリアルキレングリコールから選ばれる1種以上である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の水中防汚管。
[5]前記シリコーン油が、フェニル変性シリコーン及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種以上である、[4]に記載の水中防汚管。
[6]前記防汚層の厚さが50μm〜3mmである、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の水中防汚管。
[7]前記基材層を構成するシリコーンが、シリコーンゴムである、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の水中防汚管。
[8]前記防汚層が前記基材層上に直接接する、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の水中防汚管。
[9]着色顔料(C)を含有する、[1]〜[8]のいずれか1つに記載の水中防汚管。
[10]前記着色顔料(C)が、前記防汚層に存在する、[9]に記載の水中防汚管。
[11][1]〜[10]のいずれか1つに記載の水中防汚管中に水中用ケーブルを有する、水中ケーブル。
[12]水中用ケーブルの表面を、[1]〜[10]のいずれか1つに記載の水中防汚管で覆うことによる、水中用ケーブルの保護方法。
[13]硬化性シリコーン(a)と滑り剤(B)を含有する防汚塗料組成物を、シリコーンを主材とする基材層に塗布する工程、及び硬化性シリコーン(a)を硬化させて防汚層を得る工程を有する、水中防汚管の製造方法。
本発明によれば、水中、なかでも海中における生物付着負荷の高い条件でも優れた防汚性を有し、耐ダメージ性にも優れる水中防汚管、水中ケーブル及び前記水中防汚管による、水中用ケーブルの保護方法を提供することができる。
以下に、本発明の水中防汚管、その製造方法、水中ケーブル及び水中用ケーブルの保護方法について詳細に説明する。
[水中防汚管]
本発明の水中防汚管は、シリコーンを主材とする基材層、及び該基材層上にシリコーン硬化体(A)と滑り剤(B)を含有する防汚層を有し、該防汚層が最外層である。
<基材層>
本発明の水中防汚管を構成するシリコーンを主材とする基材層は、シリコーンを主材とする。基材層中に占めるシリコーンの含有量は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上がより更に好ましい。
前記基材層は、水中用ケーブル等の周囲に管状に存在する基材となるものである。基材層はシリコーンを主材とするものであるが、少なくとも防汚層と接する表面にシリコーンが前記の割合で存在すればよく、その他の層や補強用のガラスクロス等を有していてもよい。
また、基材層の内部に更に層を有していてもよい。たとえば、管状の可撓性を有する樹脂の上に基材層を有するものが挙げられ、本発明の水中防汚管としては、更に該基材層上に防汚層を有する。
前記基材層を構成するシリコーンとしては、シリコーン樹脂、シリコーンゴム等が挙げられ、シリコーンゴムが好ましい。これらのシリコーンは、付加反応硬化型、縮合硬化型のいずれであってもよく、製造作業性や基材層の強度等の観点からは付加反応硬化型が好ましい。
基材層にシリコーンゴムを用いることで、本発明の水中防汚管に柔軟性を与えることができ、移動する設備への応用が容易となり、耐ダメージ性にも優れるものとなる。
前記基材層の内径及び厚さに特に制限はないが、防汚性や製造作業性を良好とする観点から、内径は、1〜1,000mmが好ましく、5〜100mmがより好ましく、基材層の厚さは、0.3mm〜200mmが好ましく、1〜10mmがより好ましい。
JIS K 6251に準拠した試験方法により測定した前記基材層の引張強さは、3MPa以上が好ましく、5MPaがより好ましい。また、JIS K 6251に準拠した試験方法により測定した前記基材層の切断時伸びは、150%以上が好ましく、250%以上がより好ましい。
JIS K 6253−3に準拠し、タイプAデュロメータで測定した前記基材層の硬さは、30以上が好ましく、50以上がより好ましい。
前記基材層としては、シリコーンチューブやシリコーンホースが好ましい。基材層として好適に用いられるシリコーンチューブやシリコーンホースの市販品としては、株式会社十川ゴム製のシリコーンチューブ、シリコーンブレードホースS、シリコーンデリバリーサクションホースが挙げられる。
前記基材層は、遮光性があることが好ましく、基材層の隠蔽率は、50%以上が好ましい。基材層が遮光性を有することで、藻類などの水生植物の発生を抑制することができる。該基材層には、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、着色顔料、染料が挙げられ、着色顔料が好ましい。なかでも後述の(着色顔料(C))の項に示される着色顔料がより好ましい。
前記基材層は、後述のシリカ(D)を含んでいてもよい。
<防汚層>
本発明の水中防汚管は、シリコーン硬化体(A)と滑り剤(B)を含有する防汚層を有する。
(シリコーン硬化体(A))
前記防汚層にはシリコーン硬化体(A)を含有する。
防汚層にシリコーン硬化体(A)を含有することで、長期にわたって防汚性を付与することができるものと考えられる。更に着色顔料を基材層表面に保持することができるため、防汚層が存在しない防汚管内部や切れ目部であっても、藻類などの水生植物の発生を抑制することができるものと考えられる。
シリコーン硬化体(A)は、後述の硬化性シリコーン(a)を硬化させることによって得ることが好ましい。この場合、シリコーン硬化体(A)の構造は、原料となる硬化性シリコーン(a)が架橋された構造となる。
また、防汚層として、後述のシランカップリング剤(f)や有機ケイ素架橋剤(g)を含有する場合、硬化性シリコーン(a)と反応し、シリコーン硬化体(A)の一部となることもある。
シリコーン硬化体(A)は、主鎖と架橋部位を有する。
前記主鎖は、ポリジオルガノシロキサン構造であり、ポリジメチルシロキサン構造が好ましい。
前記架橋部位としては、原料である硬化性シリコーン(a)の反応性基及びシランカップリング剤(f)と有機ケイ素架橋剤(g)の反応性基によって異なるが、ケイ素原子が3つ又は4つのシロキサン結合を介して3つ又は4つの主鎖を連結するもの、ケイ素原子が炭化水素基を介して他のケイ素原子と結合することで主鎖同士を連結するものが挙げられ、ケイ素原子が3つ又は4つのシロキサン結合を介して3つ又は4つの主鎖を連結するものが好ましい。
シリコーン硬化体(A)の架橋点間分子量は、防汚層に柔軟性を付与する観点から、500以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましく、15,000以上がより更に好ましく、20,000以上がより更に好ましい。そして、1,000,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましく、40,000以下がより更に好ましい。
前記防汚層中のシリコーン硬化体(A)の含有量は、長期にわたる防汚性を付与する観点から、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、また、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
後述の製造方法において、得られる防汚層中のシリコーン硬化体(A)の含有量を算出する場合、防汚塗料組成物の固形分中の硬化性シリコーン(a)、シランカップリング剤(f)及び有機ケイ素架橋剤(g)の合計量から硬化時に脱離して揮発する成分を差し引くことで算出することができる。
ここで、「防汚塗料組成物の固形分」とは、後述する有機溶剤(i)及び各成分に溶剤として含まれる揮発成分を除いた成分であり、防汚層としてみなすことができる。また、「防汚塗料組成物の固形分」は、塗料組成物を125℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥させて得られた固形分(加熱残分)を測定して算出してもよい。
「防汚層中の各成分の含有量」は、後述する有機溶剤(i)、各成分に溶剤として含まれる揮発成分及び硬化反応後に脱離して揮発する成分を差し引いたものの中の各成分の含有量から算出することができる。
(滑り剤(B))
本発明の水中防汚管は、防汚層に滑り剤(B)を含有する。
滑り剤(B)は、防汚層に滑り性を付与することで、水生生物の付着阻害性(防汚性)を向上させることができ、水中において、水中防汚管の表面を滑りやすくすることで、物質と接触した際のダメージを低減し、設置や回収時の作業性を向上させることができる。
滑り剤(B)は、25℃において流動性を有するものであることが好ましく、液状であることがより好ましい。滑り剤が流動性を有することで、防汚層内の移動性が高く、表面に滑りを与える効果を高めることができると考えられる。また、後述の防汚塗料組成物の粘度を低減して塗布性も良好にできる。
滑り剤(B)としては、油類及び親水性基を有するポリマーから選ばれる1種以上が好ましい。
前記油類としては、シリコーン油、パラフィン油、油脂が挙げられ、なかでもシリコーン油が好ましい。
パラフィン油としては、流動パラフィン等が挙げられる。
油脂としては、脂肪酸とグリセリンのエステルであり、動物性油脂、植物性油脂等が挙げられる。
前記親水性基を有するポリマーとしては、親水性基を有するアクリル系ポリマー、ポリアルキレングリコール等が挙げられ、親水性基を有するアクリル系ポリマーが好ましい。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体及びそれらのアルキルエーテル等が挙げられる。
すなわち、滑り剤(B)は、シリコーン油、パラフィン油、油脂、親水性基を有するアクリル系ポリマー及びポリアルキレングリコールから選ばれる1種以上であることが好ましく、シリコーン油及び親水性基を有するアクリル系ポリマーから選ばれる1種以上であることがより好ましく、シリコーン油であることが更に好ましい。また、水中防汚管の防汚性、耐ダメージ性及び製造作業性の点から、親水性基を有するアクリル系ポリマーを含むことが好ましく、シリコーン油と親水性基を有するアクリル系ポリマーの両方を含むことがより好ましい。
以下に好適な滑り剤(B)である、シリコーン油と親水性基を有するアクリル系ポリマーについて、詳細に説明する。
〔シリコーン油(B1)〕
本発明の水中防汚管に用いられるシリコーン油(B1)としては、ジメチルシリコーン(ポリジメチルシロキサン、未変性シリコーン)、変性シリコーンが挙げられる。変性シリコーンはジメチルシリコーンの一部のメチル基が、メチル基以外の有機基で置換されたものであり、後述の硬化性シリコーン(a)のような反応性基を実質的に含有しないものである。
シリコーン油は界面張力が低く、低温等の環境下でも性質が変化しにくいため、防汚層の表面に移動しやすく、効率的に水生生物の付着防止性(防汚性)や耐ダメージ性を改善することができる。
シリコーン油(B1)の25℃における粘度は、水生生物の滑り性を付与し、防汚性を向上させ、防汚塗料組成物の塗布性を向上させる観点から、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは20mPa・s以上、更に好ましくは40mPa・s以上、より更に好ましくは60mPa・s以上、より更に好ましくは80mPa・s以上であり、そして、好ましくは10,000mPa・s以下、より好ましくは5,000mPa・s以下、更に好ましくは4,000mPa・s以下である。
なお、本明細書において、シリコーン油(B1)の25℃における粘度は、B型回転粘度計により測定した粘度を指す。
変性シリコーンとしては、フェニル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、フッ化アルキル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フェノール変性シリコーン等が挙げられる。
このような変性シリコーンの内、水中防汚管の防汚性及び耐ダメージ性を良好とし、後述の防汚塗料組成物に適度な搖変性を付与し、その塗工性を良好とする観点から、シリコーン油(B1)としては、フェニル変性シリコーン及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種以上が好ましく、ポリエーテル変性シリコーンがより好ましく、フェニル変性シリコーン及びポリエーテル変性シリコーンを併用することが更に好ましい。
変性シリコーンの構造としては、側鎖変性型、両末端変性型、片末端変性型、ブロック型、側鎖及び両末端変性型が挙げられる。
前記ジメチルシリコーンの市販品としては、「KF−96−1,000cs」(信越化学工業(株)製、動粘度(25℃):1,000mm2/秒)等が挙げられる。
フェニル変性シリコーンのフェニル変性率は、防汚性及び防汚層の形成を容易にする観点から、3〜50%が好ましく、3〜20%がより好ましく、4〜10%が更に好ましい。フェニル変性率は、ケイ素に結合したフェニル基とメチル基の総数に対するフェニル基の数を百分率で表したものである。
フェニル変性シリコーンの25℃における動粘度は、防汚層の防汚性、防汚塗料組成物の塗工作業性の観点から、10〜5000mm2/秒が好ましく、100〜3000mm2/秒がより好ましく、500〜2000mm2/秒が更に好ましい。
フェニル変性シリコーンの市販品としては、「KF−50−1,000cs」(信越化学工業株式会社製、フェニル変性率=5%、動粘度(25℃):1,000mm2/秒)等が挙げられる。
前記防汚層がフェニル変性シリコーンを含有する場合、防汚層中の含有量は、防汚層の防汚性、形成効率、耐ダメージ性を良好とする観点から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、5質量%以上が更に好ましく、また、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、20質量%以下がより更に好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンの構造としては、側鎖変性型、両末端変性型、ブロック型、側鎖及び両末端変性型が挙げられ、側鎖変性型及び両末端変性型が好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンのポリエーテル基(ポリアルキレングリコール基)を構成するポリエーテル(ポリアルキレングリコール)は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体が挙げられ、ポリエチレングリコールが好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンは、防汚性及び防汚層の形成を容易にする観点から、その構造中に占めるポリエーテル部分構造の割合は、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは15〜40質量%である。
前記防汚層がポリエーテル変性シリコーンを含有する場合、防汚層中の含有量は、防汚層の防汚性を向上させ、防汚層を形成しやすくする観点等から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、また、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。
前記防汚層がエチレンオキシ(−OC24−)構造単位を含有するポリエーテル変性シリコーン及び/又は後述のエチレンオキシ(−OC24−)構造を有する親水性基を有するアクリル系ポリマー(B2)を含有する場合、防汚層に良好な防汚性及び耐ダメージ性を付与する観点から、シリコーンのジメチルシロキサン部分構造(−(CH32Si−O−)100質量部に対して、エチレンオキシ(−OC24−)部分構造の合計質量は、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部である。
ポリエーテル変性シリコーンの25℃における動粘度は、防汚性及び防汚塗料組成物の塗工作業性等の観点から、10〜5000mm2/秒が好ましく、50〜2000mm2/秒がより好ましく、100〜500mm2/秒が更に好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンの市販品としては、「X−22−4272」(信越化学工業株式会社製、両末端型、動粘度(25℃):270mm2/秒)、「KF−6020」(信越化学工業株式会社製、側鎖型、動粘度(25℃):180mm2/秒)、「FZ−2203」(東レ・ダウコーニング株式会社製、側鎖型)、「FZ−2160」(東レ・ダウコーニング株式会社製、ブロック型)等が挙げられる。
前記防汚層中のシリコーン油(B1)の含有量は、防汚層の防汚性を向上させ、防汚層を形成しやすくする観点等から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、6質量%以上がより更に好ましく、また、50質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、25質量%以下が更に好ましく、15質量%以下がより更に好ましい。
〔親水性基を有するアクリル系ポリマー(B2)〕
本発明の水中防汚管に用いられる親水性基を有するアクリル系ポリマー(B2)としては、親水性基を有するモノマーに由来する構成単位を含有することが好ましく、親水性基を有するモノマーに由来する構成単位と疎水性モノマーに由来する構成単位を含有することがより好ましく、親水性基を有するモノマーに由来する構成単位と疎水性モノマーに由来する構成単位からなることが更に好ましい。
親水性基を有するアクリル系ポリマー(B2)中の親水性基を有するモノマーに由来する構成単位の含有量は、1〜100質量%が好ましく、3〜80質量%がより好ましく、5〜70質量%が更に好ましく、10〜60質量%がより更に好ましい。
アクリル系ポリマーが親水性基を有することで、本発明の水中防汚管が水中に設置された際に、アクリル系ポリマーの親水性部位が溶解あるいは膨潤し、徐々に防汚層表面に移行することで水生生物の付着を効率的に防止できるものと考えられる。また、アクリル構造を有するため、ゆるやかな加水分解を受け、水への親和性が変化することで、長期間にわたり、防汚性を維持できると考えられる。
前記親水性基を有するモノマーの親水性基としては、水中防汚管の防汚性及び耐ダメージ性の観点からエーテル基、水酸基が好ましく、エーテル基がより好ましい。
また、親水性基を有するアクリル系ポリマー(B2)中の疎水性モノマーに由来する構成単位の含有量は、99質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましく、95質量%以下が更に好ましく、90質量%以下がより更に好ましく、また、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましい。
疎水性モノマーを有することで、防汚層の他の成分であるシリコーン架橋体等と高い親和性を有し、防汚層表面に均一に滑り効果を発現することができるものと考えられる。
前記親水性基を有するモノマーとしては、水中防汚管の防汚性及び耐ダメージ性の観点から、ポリアルキレングリコール基を有するモノマー、水酸基を有するモノマー及びアルコキシアルキル基を有するモノマーが好ましく、ポリアルキレングリコール基を有するモノマーがより好ましい。
具体的には、防汚性を向上させる観点から、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルモルフォリン及びビニルピロリドンから選ばれる1種以上が好ましく、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上がより好ましく、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが更に好ましい。
なお、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとしては、ポリアルキレングリコールの片末端が(メタ)アクリル酸と直接エステル結合又は連結基を介して結合し、残りの片末端が水酸基又はアルコキシ基であるものが挙げられ、アルコキシ基であるものが好ましい。
なかでも、ポリアルキレングリコールの片末端が(メタ)アクリル酸と直接エステル結合しているものが好ましく、残りの片末端がアルコキシ基であるものがより好ましい。
末端の(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
末端のアルコキシ基は、メトキシ基、フェノキシ基、オクトキシ基等が挙げられ、メトキシ基、フェノキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを構成するポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体が好ましく、ポリエチレングリコールがより好ましい。
ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート中のポリアルキレングリコールを構成する平均アルキレングリコール単位数は、2〜25が好ましく、3〜15がより好ましく、5〜12が更に好ましい。
ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの具体例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールメタクリレート、オクトキシポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ドデシロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタデシロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート等が挙げられ、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの市販品としては、新中村化学工業株式会社製のNKエステル AM−90G(メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート)、NKエステル AM−130G(メトキシポリエチレングリコール#550アクリレート)、NKエステル M−90G(メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート)、NKエステル M−230G(メトキシポリエチレングリコール#1000メタクリレート);共栄社化学株式会社製のライトアクリレートMTG−A(メトキシ−トリエチレングリコールアクリレート)、ライトアクリレートEC−A(エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート)、ライトアクリレートEHDG−AT(2−エチルヘキシル−ジエチレングリコールアクリレート)、ライトエステル041MA(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート);日油株式会社製のブレンマーANP−300(ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート)、ブレンマーAP−400(ポリプロピレングリコールモノアクリレート)、ブレンマー70PEP−350B(ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート)、ブレンマー55PET−800(ポリエチレングリコールテトラメチレングリコールモノメタクリレート)、ブレンマー50POEP−800B(オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールメタクリレート);大阪有機化学工業株式会社製のビスコート#MTG(メトキシポリエチレングリコールアクリレート)等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの市販品としては、共栄社化学株式会社製のライトエステルHOA(N)(2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ライトエステルHO−250(N)(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ライトエステルHOP(N)(2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)等が挙げられる。
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、メトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートとしては、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートが好ましく、テトラヒドロフルフリルアクリレートがより好ましい。
4−(メタ)アクリロイルモルフォリンとしては、4−アクリロイルモルフォリン、4−メタクリロイルモルフォリンが好ましく、4−アクリロイルモルフォリンがより好ましい。
ビニルピロリドンとしては、1−ビニル−2−ピロリドン(N−ビニル−2−ピロリドン)、3−アセチル−1−ビニルピロリジン−2−オン、3−ベンゾイル−1−ビニルピロリジン−2−オン等が挙げられ、1−ビニル−2−ピロリドンが好ましい。
前記疎水性モノマーとしては、炭素数1〜30の分岐、直鎖又は環状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、炭素数6〜10の芳香族基を有するアリール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル基含有シリコーンが挙げられ、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル基含有シリコーンが好ましく、アルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、4〜18がより好ましく、4〜8が更に好ましく、4〜6がより更に好ましい。
また、前記アルキル基は、分岐、直鎖又は環状であり、分岐又は直鎖が好ましく、分岐がより好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、及びベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
アリール(メタ)アクリレートの芳香族基の炭素数は、6〜10が好ましく、6〜7がより好ましい。
アリール(メタ)アクリレートの具体例としては、フェニル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル基含有シリコーンとしては、メタクリル基含有シリコーン及びアクリル基含有シリコーンが挙げられ、メタクリル基含有シリコーンが好ましい。
(メタ)アクリル基含有シリコーンは、(メタ)アクリル基がシリコーン主鎖の片末端に連結基を介して結合するもの、及び(メタ)アクリル基がシリコーン主鎖の片末端に直接結合するものが好ましく、(メタ)アクリル基がシリコーン主鎖の片末端に連結基を介して結合するものが好ましい。
前記連結基はトリメチレン基であることが好ましい。
シリコーン主鎖は、直鎖又は分岐のジメチルシリコーン(ポリジメチルシロキサン)からなることが好ましく、直鎖のジメチルシリコーンからなることがより好ましい。
また、(メタ)アクリル基とは反対側の末端には、炭素数1〜6のアルキル基が存在することがより好ましく、ブチル基が存在することが好ましい。
(メタ)アクリル基含有シリコーンの市販品としては、JNC株式会社製のサイラプレーンTM−0701T(トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート)、サイラプレーンFM−0711(メタクリル基含有ジメチルポリシロキサン、数平均分子量1,000)、及びサイラプレーンFM−0721(メタクリル基含有ジメチルポリシロキサン、数平均分子量5,000)等が挙げられる。
(メタ)アクリル基含有シリコーンを含むことで、形成される防汚塗膜の防汚性を向上させることができる。
親水性基を有するアクリル系ポリマー(B2)の重量平均分子量(Mw)は、防汚性や防汚塗料組成物の粘度の観点から、1,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましく、5,000以上が更に好ましく、7,000以上がより更に好ましく、そして、150,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましく、30,000以下がより更に好ましい。
親水性基を有するアクリル系ポリマー(B2)の重量平均分子量(Mw)が上記範囲にあると、防汚層に良好な防汚性及び耐ダメージ性を付与できる点で好ましい。
本発明の水中防汚管の防汚層が、親水性基を有するアクリル系ポリマー(B2)を含有する場合、防汚層中の親水性基を有するアクリル系ポリマー(B2)の含有量は、防汚性及び耐ダメージ性の観点から、0.2質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、そして、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい
(着色顔料(C))
本発明の水中防汚管における防汚層は、着色顔料(C)を含有することが好ましい。
防汚層が着色顔料を含むことで、耐ダメージ性を高めることができる。更に水中防汚管の防汚層が存在しない内部や切れ目部への太陽光等の光を遮断することができ、藻類などの水生植物の発生を抑制することができると考えられる。
着色顔料(C)は、特に制限されるものではないが、例えば、酸化鉄、酸化チタン、カーボンブラック、酸化亜鉛、ケイ酸アルミニウム、アルミナホワイト、硫酸バリウムなどの無機顔料;ナフトールレッド、フタロシアニンブルー等の有機顔料が挙げられ、防汚塗料組成物の製造作業性や塗工作業性、貯蔵安定性、防汚層の防汚性や耐ダメージ性の観点から、無機顔料であることが好ましく、中でも、酸化鉄、酸化チタン、カーボンブラック、酸化亜鉛、ケイ酸アルミニウム、アルミナホワイト、及び硫酸バリウムから選ばれる1種以上であることが好ましく、酸化鉄、酸化チタン、カーボンブラックから選ばれる1種以上であることが好ましく、酸化鉄、酸化チタンから選ばれる1種以上であることがより好ましい。
酸化鉄としては、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄等が挙げられる。
酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型のいずれも用いることができ、防汚層及び防汚塗料組成物の安定性や入手容易性の観点から、ルチル型を用いることが好ましい。
有機顔料としては、ナフトールレッド、フタロシアニンブルー等が挙げられる。
前記防汚層中の着色顔料(C)の含有量は、防汚層の防汚性や耐ダメージ性、並びに、防汚塗料組成物の製造作業性や塗工作業性、貯蔵安定性に優れる点等から0.01〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、4〜10質量%が更に好ましい。
(シリカ(D))
本発明の水中防汚管における防汚層は、防汚層の硬さや柔軟性、強度等の物性を向上させる観点から、シリカ(D)を含有することが好ましい。
シリカ(D)は、防汚層の物性を向上させるだけでなく、その原料である防汚塗料組成物の流動性、チキソトロピー性も良好にする。
シリカ(D)としては、乾式法シリカ及び湿式法シリカが好ましく、乾式法シリカがより好ましい。
乾式法シリカには、特に制限はないが、吸着水含分量は、1.5質量%以下が好ましく、嵩密度は、50〜100g/Lが好ましく、1次粒子径は、8〜20μmが好ましく、比表面積(BET表面積)は、10m2/g以上が好ましい。
また、湿式法シリカには、特に制限はないが、吸着水分含量は、4〜8質量%が好ましく、嵩密度は、200〜300g/Lが好ましく、1次粒子径は、10〜30μmが好ましく、比表面積は、10m2/g以上が好ましい。
シリカ(D)としては、特に制限はないが、防汚塗料組成物の塗工性の観点から、親水性シリカ及び疎水性シリカが好ましく、疎水性シリカがより好ましい。また、親水性シリカと疎水性シリカを併用することも好ましい。
親水性シリカは、無処理シリカ(表面未処理シリカ)であり、乾式法シリカ(フュームドシリカ、無水シリカ)、湿式法シリカ(水和シリカ)等が挙げられ、乾式法シリカが好ましく、フュームドシリカがより好ましい。
親水性シリカの市販品としては、日本アエロジル株式会社製「AEROSIL 200」等が挙げられる。
疎水性シリカは、疎水性処理シリカ(表面を疎水処理したシリカ)であり、水性湿式法シリカ、疎水性フュームドシリカ等が挙げられる。
疎水性フュームドシリカは、乾式法シリカをメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンから選ばれる1種以上の有機ケイ素化合物で表面処理したシリカが挙げられ、ヘキサメチルジシラザンで表面処理したシリカが好ましい。
疎水性フュームドシリカに特に制限はないが、水分含量は、0.3質量%以下が好ましく、0.05〜0.2質量%がより好ましく、1次粒子径は、5〜50nmが好ましく、嵩密度は、50〜100g/Lが好ましく、比表面積は、10m2/g以上であることが好ましい。
疎水性シリカの市販品としては、日本アエロジル株式会社製「AEROSIL R974」、「AEROSIL RX200」等が挙げられる。
前記防汚層中のシリカ(D)の含有量は、防汚層の強度や硬度を向上させる観点から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、そして、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
前記防汚層のシリコーン硬化体(A)100質量部に対するシリカ(D)の含有量は、防汚層の強度や硬度を向上させる観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、2質量部以上が更に好ましく、そして、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。
(生物忌避剤(E))
前記防汚層は、防汚性を高めることを目的として、生物忌避剤(E)を含有することが好ましい。
生物忌避剤(E)は、水中において防汚層から溶出するものであり、防汚層表面に水生生物が付着することを抑制し、防汚性を向上させる効果があるものである。
生物忌避剤(E)としては、水生生物に対して忌避効果を有し、水中への一定の溶出速度を有するものが好ましく、銅ピリチオン、亜鉛ピリチオン、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル(別名:トラロピリル)、及び4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(別名:DCOIT)から選ばれる1種以上が好ましく、防汚層からの溶出性と幅広い生物種に対する忌避効果の観点から、銅ピリチオン及び亜鉛ピリチオンから選ばれる1種以上がより好ましく、溶出性の観点から、銅ピリチオンが更に好ましい。生物忌避剤(E)は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記防汚層中の生物忌避剤(E)の含有量は、防汚層の強度と防汚性、並びに、防汚塗料組成物の塗工性の観点から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、また、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
<水中防汚管の構成>
本発明の水中防汚管は、前記の通り、シリコーンを主材とする基材層、及び該基材層上にシリコーン硬化体(A)と滑り剤(B)を含有する防汚層を有し、該防汚層が最外層である。
本発明の水中防汚管は、着色顔料(C)を含有することが好ましい。着色顔料(C)は、基材層、防汚層、又は基材層と防汚層の両方に存在することが好ましく、防汚層、又は基材層と防汚層の両方に存在することがより好ましく、防汚層に存在することが更に好ましい。
本発明の水中防汚管の断面形状は、円、楕円、四角形等の多角形等が挙げられ、円及び楕円が好ましく、円がより好ましい。また、管の外周と内周の形状が異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
水中防汚管の厚さや全体の厚さ、管内径は、内部に導入する水中用ケーブル等の太さ、強度、敷設場所、用途等によって最適なものを選択することが好ましい。
本発明の水中防汚管は、管の長手方向に1つ又は複数の切れ目が存在してもよく、敷設の容易性からは、切れ目が存在することが好ましい。たとえば、断面がC型やL型、I型の基材の1つ又は複数を水中用ケーブル等に巻き付けた後、結索して得られる水中防汚管は、長手方向に切れ目が存在する。そのため、切れ目を有する管を用いる場合、本発明の水中防汚管は、切れ目を有する水中防汚管を水中用ケーブル等に巻き付けた後、該切れ目への防汚塗料組成物の塗装、又は該切れ目の接合等によって切れ目が塞がれたものであることが好ましい。一方、高い防汚性を発揮する観点からは、切れ目部分の開口面積は小さい方が好ましく、切れ目部分を持たないことがより好ましい。
本発明の水中防汚管の最外層は防汚層であるが、最外層とは、本発明の水中防汚管を水中に敷設した際に、水中用ケーブル等に面する側(内側)と反対側(外側)の外部の水に接する面を有する層のことをいう。
前記防汚層の厚さは、10μm〜3mmであることが好ましく、30μm〜3mmがより好ましく、50μm〜3mmが更に好ましく、50μm〜1mmがより更に好ましく、50〜500μmがより更に好ましく、75〜500μmがより更に好ましく、100〜500μmがより更に好ましい。
前記防汚層は、遮光性があることが好ましく、防汚層の隠蔽率は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましく、95%以上がより更に好ましい。防汚層に遮光性があることで、内部や切れ目部への太陽光等の光を遮断することができ、藻類などの水生植物の発生を抑制することができる。
本発明の水中防汚管は、柔軟性及び可撓性を有することが好ましい。柔軟性及び可撓性を有することで、海流等の水流による破損を防ぎ、水中や水上を移動する設備への使用が可能となる。
[水中ケーブル及び水中用ケーブルの保護方法]
本発明の水中ケーブルは、前記水中防汚管中に水中用ケーブルを有する。
水中用ケーブルは、水上設備、海底設備、水中浮遊設備、水中移動設備、船舶等同士あるいは、これらと陸上の設備を接続し、送電又は通信を行うために用いるものである。
水中用ケーブルは、電気伝導体、光ファイバー等を絶縁物等で被覆されたものが用いられる。
特に長期間水中に浸漬される場合、水中用ケーブルは金属製の耐水層を有することが好ましい。
本発明の水中ケーブルは、水中防汚管中に水中用ケーブルを有するが、水中防汚管の内部空洞に水中用ケーブルを有することが好ましく、水中用ケーブルが水中に存在する部分は全て水中防汚管で被覆されていることが好ましい。
本発明の水中用ケーブルの保護方法は、水中用ケーブルの表面を水中防汚管で覆うことによる。
水中用ケーブルの表面を水中防汚管で覆う方法としては、水中防汚管の内部空洞に水中用ケーブルを挿入する方法、長手方向に切れ目を有する水中防汚管を水中用ケーブルに巻き付けて結索する方法、複数の短い水中防汚管で水中ケーブルを覆った後、水中防汚管を接合する方法が挙げられ、敷設の容易性の観点からは、長手方向に切れ目を有する水中防汚管を水中用ケーブルに巻き付けて結索する方法が好ましい。一方、高い防汚性を発揮する観点からは、水中防汚管の内部空洞に水中用ケーブルを挿入する方法が好ましい。
水中用ケーブルを前記水中防汚管で覆うことによって、水中用ケーブルを水生生物による汚染や損傷から保護することができ、水流や漂流物に対するダメージからも保護することができる。
[水中防汚管の製造方法]
本発明の水中防汚管の製造方法は、硬化性シリコーン(a)と滑り剤(B)を含有する防汚塗料組成物を、シリコーンを主材とする基材層に塗布する工程、及び硬化性シリコーン(a)を硬化させて防汚層を得る工程を有する。
管の長手方向に1つ又は複数の切れ目が存在する場合、前記2工程の前あるいは後に、基材の1つ又は複数を水中用ケーブル等に巻き付けた後、結索して水中防汚管を得る工程を設けることが好ましく、基材の1つ又は複数を水中用ケーブル等に巻き付けた後、該切れ目へ防汚塗料組成物を塗装したり、該切れ目を接合して、切れ目を塞ぐことがより好ましい。
<防汚塗料組成物>
本発明の製造方法に用いる防汚塗料組成物は、硬化性シリコーン(a)と滑り剤(B)を含有する。
なお、滑り剤(B)は前記の<防汚層>に記載の滑り剤(B)が好適に用いられる。
また、本製造方法に用いられる防汚塗料組成物は、硬化性シリコーン(a)と滑り剤(B)以外に、着色顔料(C)、シリカ(D)及び生物忌避剤(E)も含有することが好ましく、それぞれ、前記の<防汚層>に記載の着色顔料(C)、シリカ(D)及び生物忌避剤(E)が好適に用いられる。
(硬化性シリコーン(a))
硬化性シリコーン(a)は、主鎖と反応性部位を有する。
前記主鎖は、ポリオルガノシロキサン構造を有し、ポリオルガノシロキサン構造としては、ポリジメチルシロキサン構造、ポリメチルフェニルシロキサン構造等が挙げられ、なかでもポリジメチルシロキサン構造が好ましく、アルキレン基やポリオキシアルキレン基等がブロック状で存在していてもよい。
また、主鎖と反応性部位の連結部位として、たとえばアルキレン基やポリオキシアルキレン基等が存在していてもよい。
前記反応性部位は、付加反応性基又は縮合反応性基であり、硬化反応において、硬化阻害物質の影響が少なく、安定した反応速度が得られる観点から、縮合反応性基であることが好ましい。
前記反応性部位は、硬化性シリコーン(a)の反応性部位同士、あるいは防汚塗料組成物に含まれる後述の有機ケイ素架橋剤(g)と反応して架橋構造を形成し、シリコーン硬化体となり、防汚層を形成する。また、後述のシランカップリング剤(f)とも反応し、シリコーン硬化体の一部を形成することもある。
前記縮合反応性基としては、シラノール基、オキシムシリル基、アシルオキシシリル基、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アミノシリル基、アミドシリル基等が挙げられ、シラノール基、オキシムシリル基、アシルオキシシリル基、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基が好ましく、シラノール基、オキシムシリル基、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基がより好ましく、シラノール基、オキシムシリル基、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基が更に好ましく、シラノール基、オキシムシリル基がより更に好ましい。
オキシム基としては、炭素数が1〜10のオキシム基が好ましく、ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基、及びメチルイソプロピルケトオキシム基がより好ましく、メチルエチルケトオキシム基が更に好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数が1〜6のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましく、メトキシ基が更に好ましい。
オキシム基やアルコキシ基は、1のケイ素原子に2以上のこれらの基が結合していてもよく、1のケイ素原子に2以上のオキシム基又はアルコキシ基が結合していることが好ましい。
前記反応性部位の位置としては、主鎖のケイ素原子との直接結合、側鎖中、主鎖の両末端、主鎖の片末端が挙げられ、主鎖の両末端が好ましい。
硬化性シリコーン(a)の具体例としては、シラノール基含有シリコーン、オキシムシリル基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、エノールシリルエーテル基含有シリコーンが挙げられ、シラノール基含有シリコーン、オキシムシリル基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーンが好ましく、シラノール基含有シリコーン、オキシムシリル基含有シリコーンがより好ましい。
硬化性シリコーン(a)の重量平均分子量(Mw)は、塗工作業性、塗料組成物の硬化性、及び形成される塗膜の強度を向上させる観点から、好ましくは500以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは10,000以上、より更に好ましくは15,000以上、より更に好ましくは20,000以上であり、そして、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは50,000以下、より更に好ましくは40,000以下である。
本発明において、「重量平均分子量(Mw)」は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を用いて測定し、分子量既知の標準ポリスチレンで換算して算出される。
硬化性シリコーン(a)の25℃における粘度は、塗料組成物の製造作業性を向上させる観点、塗料組成物の塗工作業性、硬化性、及び形成される塗膜の強度や屈曲性を向上させる観点から、20mPa・s以上が好ましく、100mPa・s以上が好ましく、500mPa・s以上がより好ましく、1000mPa・s以上が更に好ましい。そして、100,000mPa・s以下が好ましく、10,000mPa・s以下がより好ましく、5,000mPa・s以下が更に好ましい。
なお、硬化性シリコーン(a)の25℃における粘度は、B型回転粘度計(例えば、型式:BM、東京計器(株)製)により測定した粘度である。
前記防汚塗料組成物中の硬化性シリコーン(a)の含有量は、形成される防汚層の強度を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
硬化性シリコーン(a)の市販品としては、GELEST社製「DMS−S35」、及び信越化学工業(株)製「KE−445」等が挙げられる。
(滑り剤(B))
前記防汚塗料組成物に用いられる滑り剤(B)は、前記の<防汚層>に記載の滑り剤(B)が好適に用いられ、具体的な好適化合物も前記の通りである。
前記防汚塗料組成物中のシリコーン油(B1)の含有量は、防汚塗料組成物の塗工作業性、防汚層の防汚性及び耐ダメージ性を向上させる観点等から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、また、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
前記防汚塗料組成物中の親水性基を有するアクリル系ポリマー(B2)の含有量は、防汚性を向上させ、防汚層を形成しやすくする観点等から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、また、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。
(着色顔料(C))
前記防汚塗料組成物は、着色顔料(C)を含有することが好ましい。
前記防汚塗料組成物に用いられる着色顔料(C)は、前記の<防汚層>に記載の着色顔料(C)が好適に用いられ、具体的な好適化合物も前記の通りである。
前記防汚塗料組成物中の着色顔料(C)の含有量は、0.01〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、3〜8質量%がより好ましい。
(シリカ(D))
前記防汚塗料組成物は、シリカ(D)を含有することが好ましい。
前記防汚塗料組成物に用いられるシリカ(D)は、前記の<防汚層>に記載のシリカ(D)が好適に用いられ、具体的な好適化合物も前記の通りである。
前記防汚塗料組成物中のシリカ(D)の含有量は、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。そして、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。
前記防汚塗料組成物中の硬化性シリコーン(a)100質量部に対するシリカ(D)の含有量は、防汚塗料組成物のチキソトロピー性を向上させる観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、2質量部以上が更に好ましく、3質量部以上がより更に好ましく、そして、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下が更に好ましく、12質量部以下がより更に好ましい。
(生物忌避剤(E))
前記防汚塗料組成物は、生物忌避剤(E)を含有することが好ましい。
前記防汚塗料組成物に用いられる生物忌避剤(E)は、前記の<防汚層>に記載の生物忌避剤(E)が好適に用いられ、具体的な好適化合物も前記の通りである。
前記防汚塗料組成物中の生物忌避剤(E)の含有量は、0.05質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、また、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
(その他の成分)
本発明の製造方法に用いる防汚塗料組成物は、硬化性シリコーン(a)と滑り剤(B)、また、前記の着色顔料(C)、シリカ(D)及び生物忌避剤(E)以外にその他の成分も含有することができる。
その他の成分として、シランカップリング剤(f)、有機ケイ素架橋剤(g)、硬化触媒(h)、有機溶剤(i)、着色顔料(C)及びシリカ(D)以外の顔料、脱水剤、タレ止め剤・沈降防止剤、酵素、難燃剤及び熱伝導改良剤等が挙げられ、シランカップリング剤(f)、有機ケイ素架橋剤(g)、硬化触媒(h)、有機溶剤(i)を含有することが好ましい。
〔シランカップリング剤(f)〕
前記防汚塗料組成物は、防汚層の付着性及び硬化性を良好とすることを目的として、シランカップリング剤(f)を含有することが好ましい。
シランカップリング剤(f)は、ケイ素原子に、少なくとも1つのアルコキシ基と少なくとも1つの有機反応性基を有する有機アルコキシシランである。
前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
ケイ素原子に対し、アルコキシ基は1〜3個結合しており、2〜3個結合していることが好ましく、3個結合していることがより好ましい。
前記有機反応性基としては、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、イソシアネート基、ウレイド基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、スチリル基が挙げられ、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、イソシアネート基、ウレイド基が好ましく、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基がより好ましく、アミノ基が更に好ましい。
アミノ基を含有する具体的な有機反応性基としては、2−(アミノエチル)−3−アミノプロピル基、3−アミノプロピル基が好ましく、2−(アミノエチル)−3−アミノプロピル基がより好ましい。
シランカップリング剤(f)としては、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及びN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましく、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランがより好ましい。
シランカップリング剤(f)として、前記化合物の縮合物を用いてもよい。シランカップリング剤(f)は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記防汚塗料組成物中のシランカップリング剤(f)の含有量は、0.01〜5質量%が好ましく、0.03〜1質量%がより好ましく、0.05〜0.5質量%が更に好ましい。
前記防汚塗料組成物中のシランカップリング剤(f)の硬化性シリコーン(a)100質量部に対する含有量は、0.01〜5質量部が好ましく、0.03〜1質量部がより好ましく、0.05〜0.5質量部が更に好ましい。
〔有機ケイ素架橋剤(g)〕
前記防汚塗料組成物は、硬化速度と防汚層の強度を向上させるために、有機ケイ素架橋剤(g)を含有することが好ましい。
有機ケイ素架橋剤(g)は、ケイ素原子に、3つ又は4つの加水分解性基を有し、加水分解性基を3つ有する場合には、更に1つの炭化水素基を有する有機シランであり、その部分縮合物も含まれる。
前記加水分解性基は、ケイ素原子1つに対し、3つ又は4つであるが、4つが好ましい。
前記加水分解性基としては、アルコキシ基及びオキシム基が好ましく、アルコキシ基が好ましい。
前記アルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基が好ましい。
前記炭化水素基としては、炭素数1〜6の炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましく、メチル基及びエチル基が更に好ましい。
有機ケイ素架橋剤(g)としては、テトラエチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケートの部分解縮合物、アルキルトリアルコキシシラン、オキシムシランが挙げられ、テトラエチルオルトシリケート及びテトラエチルオルトシリケートの部分加水分解縮合物が好ましい。
テトラエチルオルトシリケートの市販品としてはコルコート社製「エチルシリケート28」、及び多摩化学工業(株)製「正珪酸エチル」等が挙げられる。
テトラエチルオルトシリケートの部分加水分解縮合物の市販品としては、多摩化学工業(株)製「シリケート40」、及び旭化成ワッカーシリコーン株式会社製「WACKER SILICATE TES 40 WN」等が挙げられる。
アルキルトリアルコキシシランの市販品としては、信越化学工業株式会社製「KBM−13」等が挙げられる。
オキシムシランの市販品としては、東レ株式会社製「MTO(MOS)」(メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン)、「VTO(VOS)」(ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン)等が挙げられる。
有機ケイ素架橋剤(g)は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記防汚塗料組成物中の有機ケイ素架橋剤(g)の含有量は、0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましく、2〜4質量%が更に好ましい。
前記防汚塗料組成物中の有機ケイ素架橋剤(g)の硬化性シリコーン(a)100質量部に対する含有量は、1.5〜30質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましく、3〜10質量部が更に好ましい。
〔硬化触媒(h)〕
前記防汚塗料組成物は、硬化速度と防汚層の膜強度を向上させるために、硬化触媒(h)を含有することが好ましい。
硬化触媒(h)としては、有機金属化合物が挙げられ、錫化合物、チタン化合物及びアルカリ金属の低級脂肪酸塩が好ましく、錫化合物及びチタン化合物がより好ましく、錫化合物が更に好ましい。
錫化合物としては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫アセトアセトネート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジペンタノエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ビス(ジブチルスズラウレート)オキサイド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)錫、ビス(ジブチルスズアセテート)オキサイド、ジブチル錫ビス(エチルマレート)、ジオクチル錫ビス(エチルマレート)、ナフテン酸錫、オレイン酸錫等が挙げられ、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫アセトアセトネート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジペンタノエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジネオデカノエートが好ましく、ジブチル錫ジラウレートがより好ましい。
錫化合物の市販品としては、日東化成株式会社製「NEOSTANN U−100」、DIC株式会社製「Gleck TL」等が挙げられる。
チタン化合物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラ−N−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチルグリコール等が挙げられる。
錫化合物及びチタン化合物以外の有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛−2−エチルオクトエート、鉄−2−エチルヘキソエート、コバルト−2−エチルヘキソエート、マンガン−2−エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、アルコキシアルミニウム化合物等が挙げられる。
アルカリ金属の低級脂肪酸塩としては、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、及びシュウ酸リチウム等の等が挙げられる。
硬化触媒(h)は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記防汚塗料組成物中の硬化触媒(h)の含有量は、硬化速度を向上させる観点から、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましく、0.1〜1質量%が更に好ましい。
前記防汚塗料組成物中の硬化触媒(h)の硬化性シリコーン(a)100質量部に対する含有量は、0.003〜30質量部が好ましく、0.03〜5質量部がより好ましく、0.3〜3質量部が更に好ましい。
〔有機溶剤(i)〕
本発明に係る防汚塗料組成物は、該塗料組成物の粘度を低く保ち、塗工作業性を向上させるために、有機溶剤(i)を含有してもよい。
有機溶剤(i)としては、例えば、芳香族炭化水素系有機溶剤、脂肪族炭化水素系有機溶剤、脂環族炭化水素系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、及びエステル系有機溶剤等が挙げられ、芳香族炭化水素系有機溶剤及びケトン系有機溶剤が好ましく、芳香族炭化水素系有機溶剤がより好ましい。
芳香族炭化水素系有機溶剤としては、トルエン、キシレン、及びメシチレン等が挙げられ、キシレンが好ましい。
脂肪族炭化水素系有機溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、及びオクタン等が挙げられる。
脂環族炭化水素系有機溶剤としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、及びエチルシクロヘキサン等が挙げられる。
ケトン系有機溶剤としては、アセチルアセトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及び炭酸ジメチル等が挙げられ、アセチルアセトンが好ましい。
エステル系有機溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
有機溶剤(i)は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記塗料組成物中の有機溶剤(i)の含有量は、塗工作業性を向上させる観点より、1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、そして、塗工時のタレを抑制したり、溶剤回収の負荷を低減する観点から、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
〔他の任意成分〕
着色顔料(C)及びシリカ(D)以外の顔料としては、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、カリ長石、カオリン及びガラス短繊維等が挙げられ、これらの無機充填剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脱水剤としては、ゼオライト、多孔質アルミナ、及びオルトギ酸アルキルエステル等のオルトエステル、オルトホウ酸、イソシアネート等が挙げられる。
タレ止め剤・沈降防止剤としては、有機粘土系ワックス(Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩等)、有機系ワックス(ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、アマイドワックス、ポリアマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス等)、有機粘土系ワックスと有機系ワックスの混合物等が挙げられる。
酵素としては、例えばセリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、メタロプロテイナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、及びグリコシダーゼ等が挙げられる。
難燃剤としては、酸化アンチモン、及び酸化パラフィン等が挙げられる。
熱伝導性改良剤としては、窒化ホウ素、及び酸化アルミニウム等が挙げられる。
(多液型防汚塗料組成物)
前記防汚塗料組成物は、前記成分を1つの組成物とする1液型防汚塗料組成物でもよく、前記成分を2つ以上の組成物とし、塗布前に混合する多液型防汚塗料組成物でもよいが、保管時の変質を防ぐ点からは多液型防汚塗料組成物が好ましく、塗工作業性の観点からは1液型防汚塗料組成物の方が好ましい。
多液型防汚塗料組成物としては、2液型防汚塗料組成物、3液以上の多液型防汚塗料組成物が挙げられ、塗工作業性の観点では2液型防汚塗料組成物が好ましく、保管時の変質を防ぐ観点からは3液以上の多液型防汚塗料組成物が好ましい。
多液型防汚塗料組成物の場合、硬化性シリコーン(a)と、シランカップリング剤(f)、有機ケイ素架橋剤(g)及び硬化触媒(h)は異なる液に含まれることが好ましく、シランカップリング剤(f)と、有機ケイ素架橋剤(g)及び硬化触媒(h)は更に異なる液に含まれることがより好ましい。
着色顔料(C)、シリカ(D)及び生物忌避剤(E)は、硬化性シリコーン(a)と同一の液に含まれることが好ましい。
なお、防汚塗料組成物中の各成分の含有量は、多液型防汚塗料組成物の場合、全ての組成物の合計量に対する含有量である。
<防汚塗料組成物の製造>
前記防汚塗料組成物は、以下のようにして製造することが好ましい。
まず、硬化性シリコーン(a)とシリカ(D)を混練する工程を有することが好ましい。また、混練時又は混練後に加熱してもよい。これらを予め混練することによって、両成分の親和性が向上し、シリカの凝集や塗料組成物の粘度の上昇を抑制することができる。
加熱する場合の条件は、100℃以上が好ましく、100〜300℃がより好ましく、140〜200℃が更に好ましい。圧力は常圧下又は減圧下が好ましく、処理時間は3〜30時間が好ましい。
前記防汚塗料組成物は、前記配合成分を混合攪拌することによって得られる。
防汚塗料組成物が、1液型防汚塗料組成物の場合は、必須成分である硬化性シリコーン(a)及び滑り剤(B)と、任意成分である着色顔料(C)、シリカ(D)、生物忌避剤(E)、シランカップリング剤(f)、有機ケイ素架橋剤(g)、硬化触媒(h)及び有機溶剤(i)を適宜加えて、混合攪拌して得られる。
防汚塗料組成物が、多液型防汚塗料組成物の場合は、硬化性シリコーン(a)と、シランカップリング剤(f)、有機ケイ素架橋剤(g)及び硬化触媒(h)は異なる液に含まれることが好ましい。3液型以上の多液型防汚塗料組成物の場合は、シランカップリング剤(f)と、有機ケイ素架橋剤(g)及び硬化触媒(h)は更に異なる液に含まれることが好ましい。
また、着色顔料(C)、シリカ(D)及び生物忌避剤(E)は、硬化性シリコーン(a)と同一の液に含まれることが好ましい。
滑り剤(B)はいずれの液に含まれてもよく、硬化性シリコーン(a)が含まれる液に親水性基を有するアクリル系ポリマー(B2)、硬化触媒(h)が含まれる液にシリコーン油(B1)を含むことが好ましい。
また、有機溶剤(i)はいずれの液にも含まれることが好ましい。
混合攪拌は、0〜50℃で行うことが好ましい。
<防汚塗料組成物を基材層に塗布する工程>
本工程は、前記防汚塗料組成物を、シリコーンを主材とする基材層に塗布する工程である。
本工程によって、基材層上に塗膜を形成する。
基材層は塗工前に洗浄や研磨、化学エッチング、レーザーアブレーション、プラズマ処理などの前処理を行なってもよい。
防汚塗料組成物を塗布する方法としては公知の方法を用いることができ、スプレー、刷毛、ローラー、フィルムアプリケーター、フローコーター、ロールコーター等によって塗布する方法や被塗物を防汚塗料組成物に含浸する方法が挙げられ、スプレー、刷毛によって塗布する方法が好ましく、スプレーによって塗布する方法がより好ましい。
また、塗布後、硬化前の塗膜に鋳型を押し付けることで、防汚層の表面に凹凸構造を設けてもよい。このような凹凸構造としては、例えば、水流摩擦抵抗を低減する効果を有するリブレット構造などが挙げられる。
なお、前記多液型防汚塗料組成物を用いる場合には、塗布直前に常温(20〜30℃)で全ての液を混合攪拌することが好ましく、ディスパーサーを用いて混合攪拌することがより好ましい。
防汚塗料組成物の塗布量は、塗工方法、用途や得られる水中防汚管の大きさによって異なるが、固形分に換算して、10〜3000g/m2が好ましく、50〜3000g/m2がより好ましい。
<硬化性シリコーン(a)を硬化させて防汚層を得る工程>
本工程は、硬化性シリコーン(a)を硬化させて防汚層を得る工程である。
硬化性シリコーン(a)は、前工程によって形成された塗膜に含有されており、本工程で硬化させることにより、シリコーン硬化体を得る。本工程で得られるシリコーン硬化体は、前記シリコーン硬化体(A)と同様であることが好ましい。
前記塗膜を硬化させる温度としては、0〜200℃が好ましく、10〜150℃がより好ましい。前記温度範囲であると、溶媒の揮発や硬化に伴う気体の発生による塗膜欠陥が生じにくく、平滑な防汚層を得ることができる。
硬化させる時間としては、1分〜3日間が好ましく、3分〜2日間がより好ましい。
硬化は、溶媒や副生するガスの除去を促進させるために、気流雰囲気下で行ってもよいが、塗膜欠陥を防止するために、無風下で行うことが好ましい。
本工程で得られる前記防汚層の厚さは、10μm〜3mmであることが好ましく、30μm〜3mmがより好ましく、50μm〜3mmが更に好ましく、50μm〜1mmがより更に好ましく、50〜500μmがより更に好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[防汚塗料組成物の成分]
塗料組成物に用いた成分を表1に示す。表1中の粘度及び動粘度は、いずれも25℃における値である。
<親水性基を有するアクリル系ポリマー(B2)>
合成例1(ポリマー(B21)の合成)
反応は常圧、窒素雰囲気下で行った。撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、メチルアミルケトン42.86質量部を仕込み、撹拌しながらメチルアミルケトンが100℃になるまで加熱した。反応混合物の温度を100±5℃に保ちながら、NKエステル AM−90G(メトキシポリエチレングリコールアクリレート、平均ポリエチレングリコール単位数9、新中村化学工業株式会社製)40.0質量部、イソブチルアクリレート60.0質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)4.0質量部からなる混合物を4時間かけて反応容器内に滴下した。その後、100±5℃を保ちながら2時間撹拌し、ポリマー(B21)の溶液を得た。得られた溶液の固形分は70.3質量%、粘度109mPa・sであり、ポリマー(B21)の重量平均分子量(Mw)は9,100であった。
(ポリマー溶液の固形分)
ポリマー溶液を、108℃1気圧で3時間乾燥して得られた固形分の質量を乾燥前のポリマー溶液の質量で除して固形分(質量%)を求めた。
(ポリマー溶液の粘度)
E型粘度計(TV−25、東機産業(株)製)を用いて、液温25℃のポリマー溶液の粘度(mPa・s)を測定した。
(ポリマーの平均分子量)
ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、下記条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した。
(GPC条件)
装置:「HLC−8220GPC」(東ソー(株)製)
カラム:「TSKgel SuperH2000」及び「TSKgel SuperH4000」(それぞれ東ソー(株)製、6mm(内径)、15cm(長さ))を連結した。
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:0.500mL/min
検出器:RI
カラム恒温槽温度:40℃
標準物質:ポリスチレン
サンプル調製法:ポリマー溶液にTHFを加え、メンブランフィルターで濾過してGPC測定用サンプルを得た。
[防汚塗料組成物の製造]
製造例1〜6(防汚塗料組成物の製造)
<硬化性シリコーン(a)及びシリカ(D)の混練物>
表1に示す硬化性シリコーン(a)及びシリカ(D)を表2に記載した割合で混練し、混練物を得た。
<防汚塗料組成物>
表3に記載された配合量(質量部)に従って各成分を配合し、主剤、硬化剤、添加剤の各液をそれぞれ混合撹拌して、3液型防汚塗料組成物(製造例1)を得た。また、表3に記載された配合量(質量部)に従って各成分を配合し、主剤、硬化剤の各液をそれぞれ混合撹拌して、2液型防汚塗料組成物(製造例2)を得た。
表4に記載された配合量(質量部)に従って各成分を配合し、混合撹拌して、1液型防汚塗料組成物(製造例3〜6)を得た。
<水中防汚管の製造>
〔実施例1〕
塗布直前に製造例1で得られた3液型防汚塗料組成物の主剤、硬化剤及び添加剤を容器に入れて混合し、ディスパーサーを用いて均一になるよう十分に撹拌して、防汚塗料組成物Y1を得た。
次に内径7mm、外径9mmのシリコーンチューブ(シリコーンゴム製、アズワン株式会社より入手)の外面に、防汚塗料組成物Y1の塗布量を計量しながら、防汚層の厚さ(乾燥後の膜厚)が200μmの均一な膜厚となるように防汚塗料組成物Y1を刷毛で塗布し、23℃で1日乾燥し、水中防汚管P1を得た。
〔実施例2〕
塗布直前に製造例2で得られた2液型防汚塗料組成物の主剤及び硬化剤を容器に入れて混合し、ディスパーサーを用いて均一になるよう十分に撹拌して、防汚塗料組成物Y2を得た。
防汚塗料組成物Y1に替えて、防汚塗料組成物Y2を用いた以外は実施例1と同様にして、水中防汚管P2を得た。
〔実施例3〕
内径7mm、外径9mmのシリコーンチューブ(シリコーンゴム製、アズワン株式会社より入手)の外面に防汚層の厚さ(乾燥後の膜厚)が50μmとなるように防汚塗料組成物Y3を塗布し、23℃で1日乾燥し、水中防汚管P3を得た。
〔実施例4〜8及び比較例1〕
実施例3において、防汚塗料組成物及び防汚層の厚さ(乾燥後の膜厚)を表5のように変更した以外は、実施例3と同様にして水中防汚管P4〜P8及びC1を得た。
〔比較例2〕
実施例3において、シリコーンチューブを内径7mm、外径9mmのビニールチューブ(塩化ビニル樹脂製、株式会社八興製、商品名:ビニールチューブホース)に変更し、防汚層の厚さ(乾燥後の膜厚)が200μmとなるように防汚塗料組成物Y3を塗布した以外は、実施例3と同様にして水中防汚管C2を得た。
〔比較例3〕
実施例3において、シリコーンチューブに防汚塗料組成物を塗布しなかったものを水中防汚管C3として、評価に供した。
<防汚性評価>
実施例及び比較例で製造した水中防汚管を、海面からの深さ1mの海中(広島湾、瀬戸内海)に浸漬して、3ヶ月後に海生生物による占有面積を次の基準で評価した。海生生物による占有面積が少ないほど、防汚性に優れる。
(防汚性の基準)
5:海生生物による占有面積が、水中防汚管外面全体の10%未満
4:海生生物による占有面積が、水中防汚管外面全体の10%以上30%未満
3:海生生物による占有面積が、水中防汚管外面全体の30%以上50%未満
2:海生生物による占有面積が、水中防汚管外面全体の50%以上80%未満
1:海生生物による占有面積が、水中防汚管外面全体の80%以上
<滑りやすさの評価(耐ダメージ性評価)>
水中防汚管の表面の水中での滑りやすさを評価した。
具体的には、実施例及び比較例で製造した水中防汚管を23℃の水中で指の腹で触り、実施例7を対照として、10名で個別に評価を行った。次の基準で評価し、その平均点を表5に示した。
滑りやすいもの(滑りやすさ評価の数値の大きいもの)は摩擦による防汚層の損傷がないため、ダメージが少なく、耐ダメージ性に優れる。
(滑りやすさ評価の基準)
3:実施例7よりも滑りやすい
2:実施例7と同等
1:実施例7よりも滑りにくい
<水中防汚管内部の藻類の発生抑制性能>
実施例及び比較例で製造した水中防汚管に0.2m間隔で直径1mmの穴を開け、海面からの深さ1mの海中(広島湾、瀬戸内海)に浸漬し、内部に海水が循環するようにして、6ヶ月後に各水中防汚管を切り開き、水中防汚管の内面の藻類の発生を次の基準で評価した。藻類による占有面積が少ないほど、水中防汚管内部の藻類の発生が抑制できており、藻類の発生抑制性能に優れる。
(藻類の発生抑制性能の評価基準)
5:藻類による占有面積が、水中防汚管外面全体の10%未満
4:藻類による占有面積が、水中防汚管外面全体の10%以上30%未満
3:藻類による占有面積が、水中防汚管外面全体の30%以上50%未満
2:藻類による占有面積が、水中防汚管外面全体の50%以上80%未満
1:藻類による占有面積が、水中防汚管外面全体の80%以上
実施例の結果から、本発明の水中防汚管は、水中で使用した際に生物付着負荷の高い条件でも優れた防汚性を有し、滑り性に優れるため、海中浮遊物やケーブル同士、水中の岩などとの接触時に負荷がかかりにくく、耐ダメージ性にも優れることがわかる。
また、本発明の水中防汚管は、防汚層が遮光性を有し、かつ長期にわたって基材層表面に存在するためか、防汚層が存在しない水中防汚管内部においても藻類の発生を抑制することができることがわかる。

Claims (13)

  1. シリコーンを主材とする基材層、及び該基材層上にシリコーン硬化体(A)と滑り剤(B)を含有する防汚層を有し、該防汚層が最外層である、水中防汚管。
  2. 滑り剤(B)が、油類及び親水性基を有するポリマーから選ばれる1種以上である、請求項1に記載の水中防汚管。
  3. 前記防汚層中の滑り剤(B)の含有量が、1〜30質量%である、請求項1又は2に記載の水中防汚管。
  4. 滑り剤(B)が、シリコーン油、パラフィン油、油脂、親水性基を有するアクリル系ポリマー及びポリアルキレングリコールから選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の水中防汚管。
  5. 前記シリコーン油が、フェニル変性シリコーン及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種以上である、請求項4に記載の水中防汚管。
  6. 前記防汚層の厚さが50μm〜3mmである、請求項1〜5のいずれか1つに記載の水中防汚管。
  7. 前記基材層を構成するシリコーンが、シリコーンゴムである、請求項1〜6のいずれか1つに記載の水中防汚管。
  8. 前記防汚層が前記基材層上に直接接する、請求項1〜7のいずれか1つに記載の水中防汚管。
  9. 着色顔料(C)を含有する、請求項1〜8のいずれか1つに記載の水中防汚管。
  10. 前記着色顔料(C)が、前記防汚層に存在する、請求項9に記載の水中防汚管。
  11. 請求項1〜10のいずれか1つに記載の水中防汚管中に水中用ケーブルを有する、水中ケーブル。
  12. 水中用ケーブルの表面を、請求項1〜10のいずれか1つに記載の水中防汚管で覆うことによる、水中用ケーブルの保護方法。
  13. 硬化性シリコーン(a)と滑り剤(B)を含有する防汚塗料組成物を、シリコーンを主材とする基材層に塗布する工程、及び硬化性シリコーン(a)を硬化させて防汚層を得る工程を有する、水中防汚管の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023204213A1 (ja) * 2022-04-22 2023-10-26 中国塗料株式会社 防汚塗料組成物

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