JP2021025732A - 熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱媒体流通路内の熱媒体が凍結することに起因する熱媒体の漏れを抑制できる熱交換器を提供する。【解決手段】熱交換器10の熱媒体流通路R2は、流入口15aを有する流入路14aと、流出口15bを有する流出路14bと、流入路14aと流出路14bとを連通する連通路13とを備えるU字状に形成されている。流入路14aと流出路14bとの間を仕切るとともに連通路13の壁部を構成する仕切壁12dを備え、仕切壁12dは、連通路13の壁面を構成する仕切壁以外の区画壁よりも強度が低い。【選択図】図5
Description
本発明は、セラミック製の熱交換器に関する。
特許文献1に開示される熱交換器は、ガス流通路と、熱媒体流通路と、ガス流通路及び熱媒体流通路を区画する区画壁とを備えるセラミック製のハニカム構造体により構成され、ガス流通路を流通するガスと、熱媒体流通路を流通する液状の熱媒体との間で熱交換を行う。特許文献1の熱交換器の熱媒体流通路は、外部に開口する流入路及び流出路と、流入路と流出路とを連通する複数のセルとから構成されている。
ところで、特許文献1の熱交換器を、内部に熱媒体が溜まった状態として熱媒体が凍結する条件に曝した場合、流入路と流出路とを連通する各セル内の熱媒体が凍結した際の膨張圧によって、流入路と流出路とを連通する各セルを区画する区画壁にクラックが生じる虞がある。区画壁にクラックが生じた場合、熱媒体が液体に戻った際に、上記クラックを通じて熱交換器の外部又はガス流通路に熱媒体が漏れることが考えられる。
本発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱媒体流通路内の熱媒体が凍結することに起因する熱媒体の漏れを抑制できる熱交換器を提供することにある。
上記課題を解決する熱交換器は、ガス流通路と、熱媒体流通路と、上記ガス流通路及び上記熱媒体流通路を区画する区画壁とを備え、上記ガス流通路を流通するガスと、上記熱媒体流通路を流通する液状の熱媒体との間で熱交換が行われるセラミック製の熱交換器であって、上記熱媒体流通路は、流入口を有する流入路と、流出口を有する流出路と、上記流入路と上記流出路とを連通する連通路とを備えるU字状に形成され、上記区画壁は、上記流入路と上記流出路との間を仕切るとともに上記連通路の壁面を構成する仕切壁を備え、上記仕切壁は、上記連通路の壁面を構成する上記仕切壁以外の上記区画壁よりも強度が低い。
上記構成によれば、連通路内の熱媒体が凍結した際の膨張圧によって、連通路の内部応力が過度に上昇した際に、相対的に強度の低い仕切壁に優先的にクラックが生じる。これにより、連通路の内部応力の上昇が緩和されて、連通路を区画する仕切壁以外の区画壁にクラックが生じ難くなる。
仕切壁は、流入路と流出路との間を仕切る壁部であることから、連通路側から仕切壁にクラックが生じたとしても、クラックが熱交換器の外部に達するまでの距離が長くなるため、外部への液漏れが生じ難い。また、仕切壁に生じたクラックが達した先が、流入路又は流出路であれば、実質的に熱媒体流路の外に熱媒体が漏れることはない。したがって、上記構成によれば、仕切壁に優先的にクラックを生じさせて、連通路を区画する仕切壁以外の区画壁にクラックを生じ難くすることにより、熱交換器の外部及び連通路に隣接するガス流通路へのクラックを通じた熱媒体の漏れを抑制できる。
上記熱交換器において、上記仕切壁は、上記流入路の壁面を構成する上記仕切壁以外の上記区画壁よりも強度が低いことが好ましい。
上記構成によれば、流入路内の熱媒体が凍結した際の膨張圧によって、流入路の内部応力が過度に上昇した際に、相対的に強度の低い仕切壁に優先的にクラックが生じる。これにより、熱交換器の外部及び流入路に隣接するガス流通路へのクラックを通じた熱媒体の漏れを抑制できる。
上記構成によれば、流入路内の熱媒体が凍結した際の膨張圧によって、流入路の内部応力が過度に上昇した際に、相対的に強度の低い仕切壁に優先的にクラックが生じる。これにより、熱交換器の外部及び流入路に隣接するガス流通路へのクラックを通じた熱媒体の漏れを抑制できる。
上記熱交換器において、上記仕切壁は、上記流出路の壁面を構成する上記仕切壁以外の上記区画壁よりも強度が低いことが好ましい。
上記構成によれば、流出路内の熱媒体が凍結した際の膨張圧によって、流出路の内部応力が過度に上昇した際に、相対的に強度の低い仕切壁に優先的にクラックが生じる。これにより、熱交換器の外部及び流出路に隣接するガス流通路へのクラックを通じた熱媒体の漏れを抑制できる。
上記構成によれば、流出路内の熱媒体が凍結した際の膨張圧によって、流出路の内部応力が過度に上昇した際に、相対的に強度の低い仕切壁に優先的にクラックが生じる。これにより、熱交換器の外部及び流出路に隣接するガス流通路へのクラックを通じた熱媒体の漏れを抑制できる。
上記熱交換器において、上記区画壁は、炭化ケイ素を主成分として含有し、上記仕切壁は、上記連通路の壁面を構成する上記仕切壁以外の上記区画壁よりも炭化ケイ素の体積含有率が低いことが好ましい。
上記構成によれば、仕切壁の強度を容易に調整できる。
本発明の熱交換器によれば、熱媒体流通路内の熱媒体が凍結することに起因する熱媒体の漏れを抑制できる。
以下、熱交換器の一実施形態を説明する。
熱交換器10は、セラミック材料により構成されている。上記セラミック材料は、特に限定されるものではなく、公知のセラミック製の熱交換器に用いられる材料を用いることができる。上記セラミック材料としては、例えば、炭化ケイ素、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物が挙げられる。これらの中でも、炭化ケイ素を主成分として含む材料は、他のセラミック材料に比べて熱伝導率が高く、熱交換効率を高くすることができるため好ましい。ここで、主成分とは、50質量%以上を意味するものとする。炭化ケイ素を主成分として含む材料としては、例えば、炭化ケイ素の粒子と金属ケイ素を含む材料が挙げられる。
熱交換器10は、セラミック材料により構成されている。上記セラミック材料は、特に限定されるものではなく、公知のセラミック製の熱交換器に用いられる材料を用いることができる。上記セラミック材料としては、例えば、炭化ケイ素、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物が挙げられる。これらの中でも、炭化ケイ素を主成分として含む材料は、他のセラミック材料に比べて熱伝導率が高く、熱交換効率を高くすることができるため好ましい。ここで、主成分とは、50質量%以上を意味するものとする。炭化ケイ素を主成分として含む材料としては、例えば、炭化ケイ素の粒子と金属ケイ素を含む材料が挙げられる。
図1〜5に示すように、熱交換器10は、矩形筒状の周壁11と、周壁11の内部を複数のガス流通路R1と複数の熱媒体流通路R2に区画する区画壁12とを備えている。
図2に示すように、矩形筒状の周壁11は、上下に対向する一対の横側壁11aと、左右に対向する一対の縦側壁11bとを有し、周壁11の軸方向に直交する断面形状が横長の長方形をなすように構成されている。以下では、周壁11の軸方向を単に軸方向と記載する。
図2に示すように、矩形筒状の周壁11は、上下に対向する一対の横側壁11aと、左右に対向する一対の縦側壁11bとを有し、周壁11の軸方向に直交する断面形状が横長の長方形をなすように構成されている。以下では、周壁11の軸方向を単に軸方向と記載する。
図2、3に示すように、区画壁12は、横側壁11aに平行な第1区画壁12aと、第1区画壁12a同士を接続するとともに、縦側壁11bに平行な第2区画壁12bとを備える。また、図2、3に示すように、区画壁12は、所定の隣り合う第2区画壁12b同士の間を部分的に接続するように配置され、縦側壁11bに平行な第3区画壁12c及び仕切壁12dを備える。
図5に示すように、第3区画壁12cは、縦側壁11bの軸方向の両端部に位置する側縁に沿って上下方向に延びる一対の端壁部12c1と、縦側壁11bの下縁に沿って軸方向に延びるとともに一対の端壁部12c1に接続される下壁部12c2とを備えるU字状に形成されている。仕切壁12dは、U字状の第3区画壁12cの内側に所定の間隔をあけて配置され、縦側壁11bの上縁中央部から下方へ延びる矩形状に形成されている。
図2〜4に示すように、周壁11の内部には、第1区画壁12aと第2区画壁12bとによって、軸方向に延びる複数のガス流通セルCが形成されている。ガス流通セルCは、ガス流通路R1を構成する。
図2、5に示すように、周壁11の内部には、第2区画壁12b、第3区画壁12c及び仕切壁12dによって、軸方向に並ぶ一対の流入路14a及び流出路14bと、軸方向に延びるとともに流入路14aと流出路14bとを連通する連通路13とが形成されている。流入路14a、流出路14b、及び連通路13は、熱媒体流通路R2を構成する。したがって、流入路14aの周壁11に開口する端部は、熱媒体流通路R2の流入口15aとなるとともに、流出路14bの周壁11に開口する端部は、熱媒体流通路R2の流出口15bとなる。図1に示すように、本実施形態においては、3組の流入路14a及び流出路14bが軸方向に直交する方向に並ぶように形成されている。
図5に示すように、仕切壁12dは、流入路14aと流出路14bとの間を仕切る壁部であり、流入路14a及び流出路14bにおける軸方向内側の壁面を構成するとともに、連通路13における上側の壁面を構成している。第3区画壁12cは、流入路14a及び流出路14bの軸方向外側の壁面を構成するとともに、連通路13の下側の壁面を構成している。
仕切壁12dは、区画壁12を構成する他の壁部である第1区画壁12a、第2区画壁12b、及び第3区画壁12cよりも強度が低くなっている。第1区画壁12a、第2区画壁12b、及び第3区画壁12cの強度は同じである。仕切壁12dの強度を調整する方法は特に限定されるものではなく、公知の調整方法を採用できる。例えば、炭化ケイ素を主成分として含有する区画壁12を採用する場合、仕切壁12dにおける炭化ケイ素の体積含有率を、区画壁12を構成する他の壁部の体積含有率よりも低くすることによって、仕切壁の相対的な強度を容易に低下させることができる。仕切壁12dにおける炭化ケイ素の体積含有率を低くする方法としては、例えば、仕切壁12dの炭化ケイ素の組成比を相対的に低くする方法、仕切壁12dの気孔率を相対的に低くする方法が挙げられる。
図2に示すように、第3区画壁12c及び仕切壁12dの厚さTは、第1区画壁12a及び第2区画壁12bよりも厚く構成され、ガス流通セルCの幅方向(図中左右方向)の寸法と同等以上になるように構成されている。ここで、第3区画壁12c及び仕切壁12dの厚さTとは、ガス流通セルCの幅方向における第3区画壁12c及び仕切壁12dの寸法を意味するものとする。
第3区画壁12c及び仕切壁12dの厚さTは、ガス流通セルCの幅方向の寸法(流路幅)に対して、1.5〜5.0倍であることが好ましい。なお、第1区画壁12a及び第2区画壁12bの厚さは、例えば、0.1〜0.5mmであり、第3区画壁12c及び仕切壁12dの厚さTは、例えば、0.5〜5.0mmである。また、第3区画壁12c及び仕切壁12dの厚さTは、ガス流通セルCの幅方向(図中左右方向)における、流入路14a及び流出路14bの寸法U(図3参照)と等しくなるように構成される。
次に、ガス流通路R1を構成するガス流通セルCについて説明する。
図2〜4に示すように、ガス流通セルCは、両端部が共に開放され、処理対象のガスを軸方向に沿って流通させることができるように構成されている。ガス流通セルCは、周壁11の縦側壁11bに平行にガス流通セルCが8個配列したセル列Caを備える。セル列Caは、周壁11の横側壁11aに沿って4列設けられている。図2、3に示すように、4列のセル列Caと4列のセル列Caとの間に第3区画壁12c及び仕切壁12dが配置されている。そして、4列のセル列Caの隣であって、第3区画壁12c及び仕切壁12dの間に流入路14a、流出路14b及び連通路13が配置されている。そして、これらの配置が繰り返された配置パターンが形成されている。
図2〜4に示すように、ガス流通セルCは、両端部が共に開放され、処理対象のガスを軸方向に沿って流通させることができるように構成されている。ガス流通セルCは、周壁11の縦側壁11bに平行にガス流通セルCが8個配列したセル列Caを備える。セル列Caは、周壁11の横側壁11aに沿って4列設けられている。図2、3に示すように、4列のセル列Caと4列のセル列Caとの間に第3区画壁12c及び仕切壁12dが配置されている。そして、4列のセル列Caの隣であって、第3区画壁12c及び仕切壁12dの間に流入路14a、流出路14b及び連通路13が配置されている。そして、これらの配置が繰り返された配置パターンが形成されている。
ガス流通セルCを流通させる処理対象のガスとしては、例えば、内燃機関の排気ガスが挙げられる。ガス流通セルCのセル構造は特に限定されるものではないが、例えば、第1区画壁12a及び第2区画壁12bの壁厚が0.1〜0.5mmであり、セル密度が、周壁11の軸方向に直交する断面1cm2あたり15〜93セルであるセル構造とすることができる。
次に、熱媒体流通路R2について説明する。
図5に示すように、熱媒体流通路R2は、周壁11に開口する流入口15aを有する流入路14aと、周壁11に開口する流出口15bを有する流出路14bと、流入路14a及び流出路14bの下側の端部に連通される連通路13とを備えるU字状に形成されている。流入路14a及び流出路14bは、軸方向における中央に配置される仕切壁12dを挟んで軸方向に並設されている。また、流入路14a及び流出路14bは、軸方向に直交する方向に平行に延びるように形成されている。
図5に示すように、熱媒体流通路R2は、周壁11に開口する流入口15aを有する流入路14aと、周壁11に開口する流出口15bを有する流出路14bと、流入路14a及び流出路14bの下側の端部に連通される連通路13とを備えるU字状に形成されている。流入路14a及び流出路14bは、軸方向における中央に配置される仕切壁12dを挟んで軸方向に並設されている。また、流入路14a及び流出路14bは、軸方向に直交する方向に平行に延びるように形成されている。
熱交換効率を高める観点において、流入路14aの軸方向の長さと流出路14bの軸方向の長さとの合計は、ガス流通セルCの軸方向の長さの1/2以上であることが好ましい。また、流入路14a及び流出路14bの上下方向の長さは、流入路14a及び流出路14bの下端が熱交換器10の中心よりも下側に位置する長さであることが好ましい。
図2、3に示すように、ガス流通セルCの幅方向(図中左右方向)において、熱媒体流通路R2の両側にガス流通セルCが設けられ、熱媒体流通路R2は、第2区画壁12bを介してガス流通セルCに隣接している。
図5に示すように、熱交換器10に供給された熱媒体は、周壁11に開口する流入口15aから熱交換器10内に流入し、流入路14aを通って連通路13へと流通する。連通路13へ流通した熱媒体は、軸方向に沿って流入路14a側から流出路14b側へと流れる。そして、流出路14bを通って、周壁11に開口する流出口15bから熱交換器10外へ流出する。
熱媒体流通路R2を流通する熱媒体としては、水を用いることができる。
上記構成の熱交換器10は、ガス流通セルCを流れるガスと、熱媒体流通路R2を流れる熱媒体との間で、区画壁12を介して熱交換を行うことができる。
上記構成の熱交換器10は、ガス流通セルCを流れるガスと、熱媒体流通路R2を流れる熱媒体との間で、区画壁12を介して熱交換を行うことができる。
図6〜10に基づいて、熱交換器10の一製造方法について説明する。
熱交換器10は、以下に記載する成形工程、熱媒体流通路形成工程、脱脂工程、含浸工程を順に経ることにより製造される。
熱交換器10は、以下に記載する成形工程、熱媒体流通路形成工程、脱脂工程、含浸工程を順に経ることにより製造される。
(成形工程)
熱交換器の成形に用いる原料として、炭化ケイ素粒子と、有機バインダーと、分散媒とを含有する粘土状の混合物を調製する。
熱交換器の成形に用いる原料として、炭化ケイ素粒子と、有機バインダーと、分散媒とを含有する粘土状の混合物を調製する。
有機バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。これらの有機バインダーの中でも、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースが特に好ましい。また、上記の有機バインダーのうちの一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
分散媒としては、例えば、水、有機溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、エタノールが挙げられる。また、上記の分散媒のうちの一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
また、混合物中にその他の成分を更に含有させてもよい。その他の成分としては、例えば、炭化ケイ素以外の材質からなるセラミック粒子、可塑剤、潤滑剤が挙げられる。炭化ケイ素以外の材質からなるセラミック粒子としては、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物からなるセラミック粒子が挙げられる。可塑剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物が挙げられる。潤滑剤としては、例えば、グリセリンが挙げられる。
図6に示すように、この粘土状の混合物を用いて、ガス流通セルCが縦方向に8個配列したセル列を備え、このセル列が横方向に4列設けられた矩形筒状の成形体(第1成形体20)を成形する。必要に応じて、得られた第1成形体20に対して乾燥処理を行う。乾燥処理の具体的方法としては、例えば、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いた乾燥処理が挙げられる。
(熱媒体流通路形成工程)
熱媒体流通路形成工程は、成形工程で得られた複数の成形体の間に層間材を用いて熱媒体流通路を形成する工程である。
熱媒体流通路形成工程は、成形工程で得られた複数の成形体の間に層間材を用いて熱媒体流通路を形成する工程である。
図7に示すように、第1成形体20の側面におけるガス流通セルCの延びる方向の両端部、及び第1成形体20の側面における下端部に、層間材21として、第1成形体20の原料と同じ粘土状の混合物を塗布する。層間材21は、後の工程を経て第3区画壁12cとなる部分であり、開放部が上方を向いたU字状に塗布される。また、層間材22として、第1成形体20の原料と組成の異なる粘土状の混合物を塗布する。層間材22は、後の工程を経て仕切壁12dとなる部分であり、第1成形体20の側面の中央上端部から下方に延びる矩形状に塗布される。
層間材22に用いられる粘土状の混合物は、仕切壁12dとなった際に、炭化ケイ素の体積含有率が相対的に低くなるように調製される。例えば、仕切壁12dの炭化ケイ素の組成比が相対的に低くなるように、炭化ケイ素粒子の配合比率を変化させた混合物とする。また、仕切壁12dの気孔率が高くなるように、アルミナ等の後の含侵工程で含侵する金属ケイ素に対する濡れ性が低い添加剤を含有させた混合物とする。
層間材21、22を塗布した第1成形体20には、必要に応じて乾燥処理が行われる。層間材21、22の厚さは、特に限定されないが、ガス流通セルCの流路幅に対して、1.0〜5.0倍であることが好ましい。
図8に示すように、層間材21、22を塗布した第1成形体20を重ね合わせることにより、4個の第1成形体20の間に、層間材21、22が配置された成形体(第2成形体23)を作製する。ここで、第1成形体20の側面に層間材21、22を塗布する方法に代えて、予め、層間材21、22をコ字状等の形状に成形した後、複数の第1成形体20間に配置してもよい。
(脱脂工程及び含浸工程)
脱脂工程は、第2成形体23を加熱することによって、第2成形体23に含まれる有機分を焼失させる工程である。図9に示すように、脱脂工程を経ることにより、炭化ケイ素粒子同士が接触した状態で配置された骨格部分を有する多孔質の脱脂体30が得られる。
脱脂工程は、第2成形体23を加熱することによって、第2成形体23に含まれる有機分を焼失させる工程である。図9に示すように、脱脂工程を経ることにより、炭化ケイ素粒子同士が接触した状態で配置された骨格部分を有する多孔質の脱脂体30が得られる。
含浸工程は、脱脂体30の各壁の内部に金属ケイ素を含浸させる工程である。含浸工程においては、脱脂体30に対して金属ケイ素の塊を接触させた状態として、金属ケイ素の融点以上(例えば、1450℃以上)に加熱する。これにより、図10に示すように、溶融した金属ケイ素が毛細管現象によって、脱脂体の骨格部分を構成する粒子間の隙間へ入り込み、同隙間に金属ケイ素が含浸される。
含浸工程の加熱処理は、脱脂工程の加熱処理から連続して行ってもよい。例えば、加工成形体に対して金属ケイ素の塊を接触させた状態として、金属ケイ素の融点未満の温度で加熱することにより有機分を除去して脱脂体とした後、加熱温度を金属ケイ素の融点以上に上昇させ、溶融した金属ケイ素を脱脂体に含浸させる。
上記の含浸工程を経ることにより、筒状の周壁11と、周壁11の内部に複数のガス流通セルC及び複数の熱媒体流通路R2を区画する区画壁12とを備える熱交換器10が得られる。そして、区画壁12を構成する他の壁部よりも強度が低い仕切壁12dが形成される。
次に、本実施形態の作用及び効果について記載する。
(1)熱交換器は、ガス流通路と、熱媒体流通路と、ガス流通路及び熱媒体流通路を区画する区画壁とを備えている。熱媒体流通路は、流入口を有する流入路と、流出口を有する流出路と、流入路と流出路とを連通する連通路とを備えるU字状に形成されている。区画壁は、流入路と流出路との間を仕切るとともに連通路の壁部を構成する仕切壁を備える。仕切壁は、連通路の壁面を構成する仕切壁以外の区画壁である第2区画壁及び第3区画壁の下壁部よりも強度が低い。
(1)熱交換器は、ガス流通路と、熱媒体流通路と、ガス流通路及び熱媒体流通路を区画する区画壁とを備えている。熱媒体流通路は、流入口を有する流入路と、流出口を有する流出路と、流入路と流出路とを連通する連通路とを備えるU字状に形成されている。区画壁は、流入路と流出路との間を仕切るとともに連通路の壁部を構成する仕切壁を備える。仕切壁は、連通路の壁面を構成する仕切壁以外の区画壁である第2区画壁及び第3区画壁の下壁部よりも強度が低い。
上記構成によれば、連通路内の熱媒体が凍結した際の膨張圧によって、連通路の内部応力が過度に上昇した際に、相対的に強度の低い仕切壁に優先的にクラックが生じる。これにより、連通路の内部応力の上昇が緩和されて、連通路を区画する仕切壁以外の区画壁にクラックが生じ難くなる。
仕切壁は、流入路と流出路との間を仕切る壁部であることから、連通路側から仕切壁にクラックが生じたとしても、クラックが熱交換器の外部に達するまでの距離が長くなるため、外部への液漏れが生じ難い。また、仕切壁に生じたクラックが達した先が、流入路又は流出路であれば、実質的に熱媒体流路の外に熱媒体が漏れることはない。したがって、上記構成によれば、仕切壁に優先的にクラックを生じさせて、連通路を区画する仕切壁以外の区画壁にクラックを生じ難くすることにより、熱交換器の外部及び連通路に隣接するガス流通路へのクラックを通じた熱媒体の漏れを抑制できる。
(2)仕切壁は、流入路の壁面を構成する仕切壁以外の区画壁である第2区画壁及び第3区画壁の端壁部よりも強度が低い。
上記構成によれば、流入路内の熱媒体が凍結した際の膨張圧によって、流入路の内部応力が過度に上昇した際に、相対的に強度の低い仕切壁に優先的にクラックが生じる。これにより、上記(1)の効果と同様に、熱交換器の外部及び流入路に隣接するガス流通路へのクラックを通じた熱媒体の漏れを抑制できる。
上記構成によれば、流入路内の熱媒体が凍結した際の膨張圧によって、流入路の内部応力が過度に上昇した際に、相対的に強度の低い仕切壁に優先的にクラックが生じる。これにより、上記(1)の効果と同様に、熱交換器の外部及び流入路に隣接するガス流通路へのクラックを通じた熱媒体の漏れを抑制できる。
(3)仕切壁は、流出路の壁面を構成する仕切壁以外の区画壁である第2区画壁及び第3区画壁の端壁部よりも強度が低い。
上記構成によれば、流出路内の熱媒体が凍結した際の膨張圧によって、流出路の内部応力が過度に上昇した際に、相対的に強度の低い仕切壁に優先的にクラックが生じる。これにより、上記(1)の効果と同様に、熱交換器の外部及び流出路に隣接するガス流通路へのクラックを通じた熱媒体の漏れを抑制できる。
上記構成によれば、流出路内の熱媒体が凍結した際の膨張圧によって、流出路の内部応力が過度に上昇した際に、相対的に強度の低い仕切壁に優先的にクラックが生じる。これにより、上記(1)の効果と同様に、熱交換器の外部及び流出路に隣接するガス流通路へのクラックを通じた熱媒体の漏れを抑制できる。
(4)熱交換器は、炭化ケイ素を主成分として含有する。仕切壁は、連通路の壁面を構成する仕切壁以外の区画壁よりも炭化ケイ素の体積含有率が低い。
上記構成によれば、仕切壁の強度を容易に調整できる。
上記構成によれば、仕切壁の強度を容易に調整できる。
本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。また、上記実施形態の構成や以下の変更例に示す構成を適宜組み合わせて実施することも可能である。
・仕切壁の強度は、流入路の壁面を構成する仕切壁以外の区画壁である第2区画壁及び第3区画壁の端壁部の強度以上であってもよい。
・仕切壁の強度は、流入路の壁面を構成する仕切壁以外の区画壁である第2区画壁及び第3区画壁の端壁部の強度以上であってもよい。
・仕切壁の強度は、流出路の壁面を構成する仕切壁以外の区画壁である第2区画壁及び第3区画壁の端壁部の強度以上であってもよい。
・本実施形態では、熱交換器は、幅方向(図2の左右方向)の寸法が、上下方向の寸法よりも大きく構成されていたが、この態様に限定されない。上下方向の寸法の方が、幅方向の寸法よりも大きく構成されていてもよいし、上下方向と幅方向が同じ寸法で構成されていてもよい。
・本実施形態では、熱交換器は、幅方向(図2の左右方向)の寸法が、上下方向の寸法よりも大きく構成されていたが、この態様に限定されない。上下方向の寸法の方が、幅方向の寸法よりも大きく構成されていてもよいし、上下方向と幅方向が同じ寸法で構成されていてもよい。
・本実施形態では、ガス流通セルは、周壁の縦側壁に平行にガス流通セルが8個配列し、このセル列が、周壁の横側壁に沿って4列設けられた配置パターンが、熱媒体流通路を介して繰り返されていたが、この態様に限定されない。ガス流通セルの配置パターンは、適宜選択することができる。
・周壁は、矩形筒状に限定されない。円筒状や、断面が楕円形の筒状に構成されていてもよい。また、ガス流通セル及び熱媒体流通路の断面形状は断面矩形状に限定されない。矩形状以外の多角形状であってもよいし、円形や楕円形であってもよい。多角形状の角部が面取りされた形状であってもよい。熱媒体流通路の流入路と流出路とで形状が異なっていてもよい。
以下、上記実施形態をさらに具体化した実施例について説明する。
仕切壁の強度を異ならせた実施例1〜3及び比較例1の熱交換器を作製し、充填した熱媒体を凍結させた際の挙動を観察した。
仕切壁の強度を異ならせた実施例1〜3及び比較例1の熱交換器を作製し、充填した熱媒体を凍結させた際の挙動を観察した。
ガス流通セルが縦方向に27個配列したセル列を備え、このセル列が横方向に4列設けられた矩形筒状の第1成形体を成形した。第1成形体の各壁の壁厚は、0.15mmとし、セルサイズは、縦0.98mm×横0.98mm×長さ80mmとした。第1成形体の材料として、含浸工程後、炭化ケイ素の体積含有率が60%、気孔率が0%となる壁が形成される組成の材料を用いた。
第1成形体の側面に対して、流入路、流出路、及び連通路を形成するように、厚さ3mmの層間材を塗布した。流入路の幅(軸方向の長さ)、流出路の幅(軸方向の長さ)、連通路の幅(縦方向(上下方向)の長さ)が全て20mmとなり、第3区画壁となる層間材の幅(外周からの長さ)が全て5mmなるように層間材を塗布した。
ここで、第3区画壁となる層間材の材料として、含浸工程後、炭化ケイ素の体積含有率が60%、気孔率が0%となる壁が形成される組成の材料を用いた。また、仕切壁となる層間材の材料として、含浸工程後、炭化ケイ素の体積含有率が60%、気孔率が表1に示す数値となる仕切壁が形成される組成の材料を用いた。気孔率は、材料にアルミナを含有させて、金属ケイ素に対する濡れ性を低下させることにより調整した。
層間材を挟んで8個の第1成形体を重ね合わせた第2成形体を作製し、脱脂工程及び含浸工程を実施することにより実施例1〜3及び比較例1の熱交換器を得た。
得られた実施例1〜3及び比較例1の熱交換器の熱媒体流路である流入路、流出路、及び連通路に熱媒体としての水を充填した状態とし、−19℃の恒温槽に2時間放置した後に目視でクラックの有無を確認した。その結果を表1に示す。
得られた実施例1〜3及び比較例1の熱交換器の熱媒体流路である流入路、流出路、及び連通路に熱媒体としての水を充填した状態とし、−19℃の恒温槽に2時間放置した後に目視でクラックの有無を確認した。その結果を表1に示す。
R1…ガス流通路、R2…熱媒体流通路、10…熱交換器、11…周壁、12…区画壁、12a…第1区画壁、12b…第2区画壁、12c…第3区画壁、12c1…端壁部、12c2…下壁部、12d…仕切壁、13…連通路、14a…流入路、14b…流出路、15a…流入口、15b…流出口、20…第1成形体、21、22…層間材、23…第2成形体、30…脱脂体、R1…ガス流通路、R2…熱媒体流通路。
Claims (4)
- ガス流通路と、熱媒体流通路と、前記ガス流通路及び前記熱媒体流通路を区画する区画壁とを備え、前記ガス流通路を流通するガスと、前記熱媒体流通路を流通する液状の熱媒体との間で熱交換が行われるセラミック製の熱交換器であって、
前記熱媒体流通路は、流入口を有する流入路と、流出口を有する流出路と、前記流入路と前記流出路とを連通する連通路とを備えるU字状に形成され、
前記区画壁は、前記流入路と前記流出路との間を仕切るとともに前記連通路の壁面を構成する仕切壁を備え、
前記仕切壁は、前記連通路の壁面を構成する前記仕切壁以外の前記区画壁よりも強度が低いことを特徴とする熱交換器。 - 前記仕切壁は、前記流入路の壁面を構成する前記仕切壁以外の前記区画壁よりも強度が低い請求項1に記載の熱交換器。
- 前記仕切壁は、前記流出路の壁面を構成する前記仕切壁以外の前記区画壁よりも強度が低い請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
- 前記区画壁は、炭化ケイ素を主成分として含有し、
前記仕切壁は、前記連通路の壁面を構成する前記仕切壁以外の前記区画壁よりも炭化ケイ素の体積含有率が低い請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱交換器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019145641A JP2021025732A (ja) | 2019-08-07 | 2019-08-07 | 熱交換器 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2019145641A JP2021025732A (ja) | 2019-08-07 | 2019-08-07 | 熱交換器 |
Publications (1)
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JP2021025732A true JP2021025732A (ja) | 2021-02-22 |
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ID=74662295
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2019145641A Pending JP2021025732A (ja) | 2019-08-07 | 2019-08-07 | 熱交換器 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2021025732A (ja) |
-
2019
- 2019-08-07 JP JP2019145641A patent/JP2021025732A/ja active Pending
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