JP6956050B2 - 熱交換器の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換器の製造方法に関する。
特許文献1には、熱交換器の製造方法について記載されている。
図11に示すように、セラミック製のシート材51の表面に円筒状のローラー52を用いて複数のリブ53を形成している。リブ53を形成したシート材51を複数積層して積層体を作製し、積層体を焼成した後、ケースに収納して熱交換器を製造している。
特開2002−5593号公報
特許文献1の熱交換器では、複数のリブ53は、シート材51の一端側の端部から他端側の端部まで連続して設けられている。流体は、複数のリブ53の間をリブ53に沿って流通するため、流体の流れが整流状態となりやすい。流体の流れが整流状態であると、熱輸送を行いにくい。そのため、熱交換効率が低いという課題を有している。本発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱交換効率を向上させることができる熱交換器の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の熱交換器の製造方法は、複数の第1流通路と、複数の第2流通路と、上記第1流通路と上記第2流通路を区画する区画壁とを備え、上記第1流通路を流通する第1流体と、上記第2流通路を流通する第2流体との間で上記区画壁を介して熱交換が行われる炭化ケイ素製の熱交換器の製造方法であって、上記第1流通路を有する第1成形体を成形する第1成形工程と、上記第2流通路を有する第2成形体を成形する第2成形工程と、上記第1成形体と上記第2成形体を積層させて積層体を得る積層工程と、上記積層体を脱脂して多孔体を得る脱脂工程と、上記多孔体に金属ケイ素を含浸させる含浸工程とを有し、上記第1成形工程は、筒状の周壁と上記周壁の内部を複数のセルに区画するセル壁とを有するハニカム成形体を複数成形するハニカム成形工程と、上記セル壁の位置をずらすようにして、複数の上記ハニカム成形体を上記周壁の軸方向に沿って配置する配置工程とを有することを要旨とする。
上記構成によれば、セル壁の位置をずらすようにして、複数のハニカム成形体を周壁の軸方向に沿って配置する配置工程を有することにより、第1流通路に凹凸を形成したり、第1流通路を分岐したりすることが可能になる。これにより、第1流通路を流通する第1流体と第1流通路を形成するセル壁との間に形成される熱の移動を阻害する境界層ができにくくなるため、第1流体の熱輸送を促進させることができる。そのため、熱交換効率を向上させることができる。
本発明の熱交換器の製造方法について、上記配置工程は、複数の同一形状のハニカム成形体を上記周壁の周方向に回転させた状態で配置することによって、セル壁の位置をずらしていることが好ましい。上記構成によれば、互いのセル壁の位置をずらした状態で軸方向に沿って配置することが容易になるため、配置工程を効率良く行うことができる。
本発明の熱交換器の製造方法について、上記ハニカム成形体において、上記セルは、上記第1成形体と上記第2成形体の積層方向と、当該積層方向に交差する方向の両方向に2列以上設けられていることが好ましい。上記構成によれば、第1流通路におけるセル壁の数を多くすることができるため、第1流通路を流通する第1流体の熱輸送を促進させることができる。これにより、熱交換効率を向上させることができる。
本発明の熱交換器の製造方法について、上記配置工程において、隣接する上記ハニカム成形体同士のセル壁の位置を、上記セル壁の厚さ以上にずらして配置することが好ましい。上記構成によれば、第1流通路を分岐させることができるため、第1流通路を流通する第1流体の熱輸送が促進されやすい。
本発明の熱交換器の製造方法について、上記配置工程において、上記ハニカム成形体を5個以上配置することが好ましい。上記構成によれば、第1流通路の凹凸もしくは分岐が多く形成できるため、より第1流通路を流通する第1流体の熱輸送が促進されやすい。
本発明の熱交換器の製造方法について、上記多孔体を焼成する焼成工程をさらに含むことが好ましい。上記構成によれば、多孔体が焼成されているため、含侵工程において破損しにくくすることができる。
本発明によれば、熱交換効率を向上させることができる。
熱交換器の斜視図。 図1の2−2線断面図。 図1の3−3線断面図。 第1成形工程(ハニカム成形工程)の説明図。 第1成形工程(配置工程)の説明図。 第2成形工程の説明図。 積層工程の説明図。 容器内に積層体を配置した状態を示す説明図。 容器内の温度変化を示すグラフ。 変更例の第1成形体の正面図。 従来技術の熱交換器における成形工程の説明図。
以下、熱交換器の一実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態の熱交換器10は、第1流通路(ガス流通路R1)を備える第1流通部(ガス流通部20)と、第2流通路(熱媒体流通路R2)を備える第2流通部(熱媒体流通部30)とが並設された状態で構成されている。並設方向の両端部に熱媒体流通部30が配置され、各熱媒体流通部30の内側にガス流通部20と熱媒体流通部30とが交互に配置されている。そして、ガス流通路R1を流通するガスと、熱媒体流通路R2を流通する液状の熱媒体との間で、熱交換が行われるように構成されている。
次に、熱媒体流通部30について説明する。
図1、2に示すように、熱媒体流通部30は、同一形状で構成された矩形状の2枚の板材31と、この2枚の板材31を所定の間隔をおいて接続する複数の壁部32とを備え、全体としてハニカム形状に構成されている。すなわち、2枚の板材31の間に複数の壁部32が設けられていることによって、板材31の間に熱媒体流通路R2を構成する多数のセルC2が形成されている。セルC2は、一列に配列したセル列を構成している。2枚の板材31、及び、2枚の板材31を接続する複数の壁部32は、熱媒体流通路R2を区画する区画壁として機能する。
ここで、図1に示すように、ガス流通部20と熱媒体流通部30が並設された方向を「幅方向DX」といい、セルC2の配列する方向を「前後方向DY」といい、セルC2の延びる方向を「上下方向DZ」という。
図2に示すように、セルC2は、上下方向DZの両端が開放されている。セルC2の上端の開口によって熱媒体の流入口15aが形成されるとともに、セルC2の下端の開口によって熱媒体の流出口15bが形成され、流入口15aと流出口15bの間に熱媒体流通路R2が形成されている。セルC2としては、例えば、板材31及び壁部32の壁厚が0.1〜0.5mmであり、セルピッチが1〜10mmであるセル構造とすることができる。熱媒体流通路R2を流通する熱媒体としては、例えば、公知の液状の熱媒体を用いることができる。公知の熱媒体としては、例えば、冷却水(Long Life Coolant:LLC)や、エチレングリコール等の有機溶剤が挙げられる。
次に、ガス流通部20について説明する。
図1、3に示すように、ガス流通部20は、筒状の周壁21と周壁21の内部を複数のセルC1に区画するセル壁22とを備え、全体としてハニカム形状に構成されている。すなわち、周壁21の内部に、ガス流通路R1を構成する多数のセルC1が形成されている。セルC1は、幅方向DXに3列配列するとともに、上下方向DZに7列配列したセル列を構成している。筒状の周壁21、及び、セル壁22は、ガス流通路R1を区画する区画壁として機能する。
図3に示すように、セルC1は、前後方向DYの両端が開放されている。セルC1の前後方向DY一端側の開口によってガスの流入口16aが形成されるとともに、セルC1の前後方向DY他端側の開口によってガスの流出口16bが形成され、流入口16aと流出口16bの間にガス流通路R1が形成されている。セルC1としては、例えば、周壁21及びセル壁22の壁厚が0.1〜0.5mmであり、セルピッチが1〜10mmであるセル構造とすることができる。
図3に示すように、セルC1は、前後方向DYにおいてガス流通路R1の長さを略5等分した各地点で、セル壁22の位置が上下方向DZにずれるようにして構成されている。具体的には、前後方向DYに隣接するセル壁22の位置が、上下方向DZにセル壁22の厚さ以上にずれた状態になっており、上下方向DZにおける各セル壁22の中間の位置に、前後方向DYに隣接するセル壁22が位置している。セル壁22の位置がこのようにずれた状態になっていることにより、ガス流通路R1が複数枝分かれして、分岐した状態となる。
ガス流通路R1を流通するガスとしては、例えば、内燃機関の排気ガス、内燃機関への吸気ガスが挙げられる。
熱媒体流通部30、及び、ガス流通部20を構成する材料は、炭化ケイ素を主成分として含む炭化ケイ素製の材料である。炭化ケイ素を主成分として含む材料は、熱伝導率が高く、熱交換効率を高くすることができる。ここで、「主成分」とは、50質量%以上を意味するものとする。
次に、熱交換器10の流路構成について説明する。
図1に示すように、熱交換器10は、ガス流通部20と熱媒体流通部30が接続された状態で構成されている。そして、熱媒体流通部30のセルC2とガス流通部20のセルC1とは、互いに直交する方向に延びるように構成されている。具体的には、熱媒体流通部30のセルC2は、上下方向DZに延びるように構成され、ガス流通部20のセルC1は、前後方向DYに延びるように構成されている。そして、ガス流通部20のセルC1を流通するガスと、熱媒体流通部30のセルC2を流通する熱媒体との間で、区画壁を介して熱交換が行われる。
図4〜9に基づいて、熱交換器10の一製造方法について説明する。
熱交換器10は、以下に記載する第1成形工程、第2成形工程、積層工程、脱脂工程、含浸工程を経ることにより製造される。
(第1成形工程)
第1成形工程は、筒状の周壁21と周壁21の内部を複数のセルC1に区画するセル壁22とを有するハニカム成形体17を複数成形するハニカム成形工程と、セル壁22の位置をずらすようにして、複数のハニカム成形体17を周壁21の軸方向に沿って配置し、第1成形体(第1ハニカム成形体18)を形成する配置工程とを有する。
[ハニカム成形工程]
ハニカム成形体17の成形に用いる原料組成物として、炭化ケイ素粒子と、有機バインダーと、分散媒とを含有する粘土状の混合物を調製する。
有機バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。これらの有機バインダーの中でも、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースが特に好ましい。また、上記の有機バインダーのうちの一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
分散媒としては、例えば、水、有機溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、エタノールが挙げられる。また、上記の分散媒のうちの一種のみを用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
また、混合物中にその他の成分を更に含有させてもよい。その他の成分としては、例えば、炭化ケイ素以外の材質からなるセラミック粒子、可塑剤、潤滑剤が挙げられる。炭化ケイ素以外の材質からなるセラミック粒子としては、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物からなるセラミック粒子が挙げられる。可塑剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物が挙げられる。潤滑剤としては、例えば、グリセリンが挙げられる。
図4に示すように、この粘土状の混合物を用いて、ハニカム成形体17を成形する。このハニカム成形体17は、例えば、押出成形により成形することができる。ハニカム成形体17は、横断面が略正方形で構成される第1セルC1aと、上下方向DZの寸法が第1セルC1aの略半分の寸法で構成されて、横断面が長方形で構成される第2セルC1bとを備える。第2セルC1bは、ガス流通部20の上下方向DZの一方の端部に位置するように設けられている。
[配置工程]
図4に示すように、同一形状のハニカム成形体17を複数用意し、周壁21の周方向に180度回転させた状態で、周壁21の軸方向に沿って各ハニカム成形体17を配置する。
図5に示すように、周壁21の周方向に180度回転させた状態で同一形状のハニカム成形体17を5個配置することによって、第1成形体(第1ハニカム成形体18)を形成する。図3に示すように、第1ハニカム成形体18は、前後方向DYに隣接するセル壁22の位置が、上下方向DZにおいてセル壁22の厚さ以上にずれた状態になる。具体的には、上下方向DZにおける各セル壁22の中間の位置に、前後方向DYに隣接するセル壁22が位置する状態となる。
各ハニカム成形体17は、接着剤層を介して配置させてもよい。接着剤としては、無機バインダーと無機粒子の混合物を用いることができる。無機バインダーとしては、シリカゾル、アルミナゾルが挙げられ、無機粒子としては炭化ケイ素、窒化ケイ素が挙げられる。
(第2成形工程)
第2成形体の成形に用いる原料組成物としては、第1ハニカム成形体18と同じ原料組成物からなる粘土状の混合物を用いる。
図6に示すように、この粘土状の混合物を用いて、第2成形体(第2ハニカム成形体19)を成形する。この第2ハニカム成形体19は、例えば、押出成形により成形することができる。
(積層工程)
図7に示すように、第1ハニカム成形体18と第2ハニカム成形体19を所定の順番で積層して、積層体24を形成する。第1ハニカム成形体18は、後述の脱脂工程及び含浸工程を経て、ガス流通部20を構成する。第2ハニカム成形体19は、後述の脱脂工程及び含浸工程を経て、熱媒体流通部30を構成する。第1ハニカム成形体18と第2ハニカム成形体19は、接着剤層を介して積層させてもよい。接着剤としては、配置工程と同様の接着剤を用いることができる。必要に応じて、積層体24に対して乾燥処理を行う。乾燥処理の具体的方法としては、例えば、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いた乾燥処理が挙げられる。
(脱脂工程)
脱脂工程は、積層体を加熱することによって、積層体に含まれる有機分を焼失させる工程である。脱脂工程を経ることにより、炭化ケイ素粒子同士が接触した状態で配置された骨格部分を有する多孔体が得られる。
(含浸工程)
含浸工程は、多孔体の区画壁の内部に金属ケイ素を含浸させる工程である。含浸工程を経ることにより、区画壁を構成する炭化ケイ素粒子間に金属ケイ素が充填される。
ここで、本実施形態の製造方法では、脱脂工程及び含浸工程を、異なる温度域による多段階の加熱処理によって連続的に行う。
図8に示すように、グラファイト等からなる有底箱状の耐熱性の容器40内に積層体24を配置する。図8では、積層体24について、その断面形状を省略して図示している。積層体24は、容器40の底面に配置された支持具41の上に載置されることにより、支持具41を介して容器40内に配置される。支持具41は、積層体24の下面の一部のみに接触する大きさ及び形状に形成されており、積層体24の下面の一点又は数点において積層体24を支持する。支持具41の数は単数であってもよいし、複数であってもよい。
支持具41の形状としては、例えば、角柱状、円柱状、角錐台状、円錐台状が挙げられる。これらの中でも、積層体24の下面との接点を少なくできる点から、角錐台状、円錐台状が特に好ましい。
支持具41は、毛細管現象を生じさせる程度の大きさの連続した気孔を有する多孔質材により構成される。支持具41を構成する多孔質材としては、例えば、炭化ケイ素からなる多孔質材、黒鉛等の炭素からなる多孔質材が挙げられる。支持具41を構成する多孔質材の気孔率は、例えば、20〜60%である。
また、容器40の底面と支持具41に載置された積層体24との間の隙間Sに粉末状、粒状、塊状等の固体状の金属ケイ素42を配置する。金属ケイ素42としては、その純度が98%未満の金属ケイ素を用いることが好ましい。固体状の金属ケイ素は、その純度が低くなるにしたがって融点が低くなる傾向がある。そのため、低純度の金属ケイ素を用いることにより、含浸工程に要する加熱温度を低く抑えることができる。その結果、製造コストを抑制することができる。なお、金属ケイ素の純度は、例えば、95%以上である。
容器40内に収容される金属ケイ素42の量は、例えば、積層体24から得られる多孔体の気孔容積と支持具41の気孔容積の和に相当する量(例えば、上記和の1.00〜1.05倍の体積に相当する量)とする。この場合には、熱交換器10の気孔率を0%に近づけることができる。また、金属ケイ素42の使用量が抑えられて、製造コストを抑制することができる。
上記のように、容器40内に積層体及び金属ケイ素42を配置した状態として、焼成炉等の公知の加熱手段を用いて、アルゴンや窒素等の不活性雰囲気下又は真空下にて容器40を加熱する。このとき、容器40に対して異なる温度域による多段階の加熱を行う。
具体的には、図9に示すように、容器40内の温度を、第1温度まで昇温させ、第1温度にて一定時間、保持することにより一次加熱を行う。その後、容器40内の温度を、第1温度よりも高い第2温度まで昇温させ、一定時間、保持することにより二次加熱を行う。その後、容器40内の温度を降下させる。
一次加熱は、脱脂工程に相当する加熱処理である。一次加熱の第1温度は、有機分が焼失する温度かつ金属ケイ素の融点未満の温度であり、積層体24に含まれる有機分の種類に応じて設定される。一次加熱により、積層体24に含まれる有機分が焼失して、積層体24は多孔体となる。このとき、容器40内の温度(第1温度)は、金属ケイ素の融点未満の温度であるため、容器40内に収容された金属ケイ素42は、固体の状態が維持される。
第1温度は、例えば、400℃以上1400℃以下の温度であることが好ましく、450℃以上1000℃以下の温度であることがより好ましい。上記温度範囲に設定することにより、金属ケイ素42の溶融を抑制しつつ、有機分をより確実に焼失させることができる。
一次加熱は、積層体24に含まれる有機分が完全に除去されるまで行うことが好ましい。例えば、事前の予備試験により、積層体24に含まれる有機分が除去された状態の多孔体となる加熱時間を測定しておき、その加熱時間の経過をもって、容器40内の温度を第1温度から第2温度に昇温する。
二次加熱は、含浸工程に相当する加熱処理である。二次加熱の第2温度は、金属ケイ素の融点以上に設定される。二次加熱により、容器40内に収容された金属ケイ素42が溶融する。そして、溶融した金属ケイ素は、毛細管現象によって、多孔質材からなる支持具41を通じて多孔体の区画壁を構成する炭化ケイ素粒子の隙間に入り込み、その隙間に金属ケイ素42が含浸される。このとき、多孔体における熱媒体流通部及びガス流通部間の境界部分にも金属ケイ素42が含浸されることにより、ハニカム成形体間及び熱媒体流通部とガス流通部の間の境界部分は消失する。
これにより、区画壁を構成する炭化ケイ素粒子の隙間に金属ケイ素42が含浸されており、複数の熱媒体流通部及びガス流通部が一体化してなる熱交換器10が得られる。
第2温度は、例えば、1420℃以上の温度であることが好ましい。上記温度範囲に設定することにより、金属ケイ素をより確実に含浸させることができる。
また、第2温度は、例えば、2000℃以下の温度であることが好ましく、1900℃以下の温度であることがより好ましい。上記温度範囲に設定することにより、設備やエネルギー等の観点において、製造コストを抑制することができる。さらに、多孔体の熱膨張が抑制されて、熱膨張に起因する破損が生じ難くなる。
また、第2温度は、成形工程に用いた混合物に含まれる炭化ケイ素の焼結温度未満(例えば、2000℃以下)の温度であることが好ましい。上記温度範囲に設定することにより、得られる熱交換器10は、その構成成分である炭化ケイ素粒子の殆どが焼結されずに、それぞれ独立して存在する未焼結の状態となる。この未焼結の状態は、ヤング率が高く、変形し難い性質を有しており、熱交換器として有用である。
二次加熱は、多孔体の各壁を構成する炭化ケイ素粒子の隙間に金属ケイ素が十分に含浸されるまで行うことが好ましい。例えば、容器40内に収容される金属ケイ素42の量が、多孔体の気孔容積と支持具41の気孔容積の和に相当する量である場合には、全ての金属ケイ素42が含浸されたことをもって、金属ケイ素が十分に含浸されたと判断することができる。
そして、二次加熱の後は、容器40内の温度を降下させ、容器40から熱交換器10を取り出し、熱交換器10の下面に一体化している支持具41を分離する。これにより、熱交換器10が得られる。
上記の含浸工程を経ることにより、複数のガス流通路R1と、複数の熱媒体流通路R2と、ガス流通路R1と熱媒体流通路R2を区画する区画壁とを備え、ガス流通路R1を流通するガスと、熱媒体流通路R2を流通する液状の熱媒体との間で区画壁を介して熱交換が行われる熱交換器10を得ることができる。
次に、本実施形態の作用及び効果について記載する。
(1)筒状の周壁と周壁の内部を複数のセルに区画するセル壁とを有するハニカム成形体を複数成形するハニカム成形工程と、セル壁の位置をずらすようにして、複数のハニカム成形体を周壁の軸方向に沿って配置する配置工程とを有する。セル壁の位置をずらすようにして複数のハニカム成形体が配置されているため、ガス流通路に凹凸を形成したり、ガス流通路を分岐したりすることが可能になる。これにより、ガスとガス流通路を形成するセル壁との間に形成される熱の移動を阻害する境界層ができにくくなるため、ガスが整流状態で流通する従来の態様に比べて、ガスによる熱輸送を促進させることができる。したがって、熱交換効率を向上させることができる。
(2)配置工程は、複数の同一形状のハニカム成形体を周壁の周方向に180度回転させた状態で配置することによって、セル壁の位置をずらしている。したがって、互いのセル壁の位置をずらした状態で軸方向に沿って配置することが容易になるため、配置工程を効率良く行うことができる。
(3)ハニカム成形体において、セルは、第1ハニカム成形体と第2ハニカム成形体の積層方向と、当該積層方向に交差する方向の両方向に2列以上設けられている。ガス流通路におけるセル壁の数を多くすることができるため、ガス流通路を流通するガスの熱輸送を促進させることができる。したがって、熱交換効率を向上させることができる。
(4)配置工程において、隣接するハニカム成形体同士のセル壁の位置を、セル壁の厚さ以上にずらして配置する。したがって、ガス流通路を分岐させることができるため、ガス流通路を流通するガスの熱輸送がさらに促進されやすくなる。
(5)配置工程において、ハニカム成形体を5個以上配置させている。ガス流通路の分岐を多く形成させることができるため、ガス流通路を流通するガスの熱輸送がさらに促進されやすくなる。
本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。また、上記実施形態の構成や以下の変更例に示す構成を適宜組み合わせて実施することも可能である。
・第1流通路を流通する第1流体は、ガスに限定されない。第2流通路を流通する第2流体は、熱媒体に限定されない。第1流体が熱媒体であり、第2流体がガスであってもよい。第1流体と第2流体が両方ともガスであってもよいし、両方とも熱媒体であってもよい。
・第1流通路及び第2流通路を流通する流体は、第1流体及び第2流体のみに限定されない。例えば、第2流通路に第2流体と、第2流体とは異なる第3流体を流通させてもよい。
・ガス流通部と熱媒体流通部の積層形態は、本実施形態の態様に限定されない。ガス流通部と熱媒体流通部の積層の順番、及び、積層する数は、適宜選択することができる。
・本実施形態では、熱媒体流通部の上下方向DZ一端側に熱媒体の流入口が形成され、上下方向DZ他端側に熱媒体の流出口が形成されていたが、この態様に限定されない。上下方向DZ一端側に熱媒体の流出口が形成され、上下方向DZ他端側に熱媒体の流入口が形成されていてもよい。ガス流通部も同様に、流入口と流出口の位置が逆であってもよい。
・第1ハニカム成形体のセルは、第1ハニカム成形体と第2ハニカム成形体の積層方向と、当該積層方向に交差する方向の両方向に2列以上設けられた態様に限定されない。第1ハニカム成形体と第2ハニカム成形体の積層方向に交差する方向に1列のみ設けられた態様であってもよい。
・配置工程は、同一形状のハニカム成形体を複数用意し、周壁の周方向に180度回転させた状態で、周壁の軸方向に沿って各ハニカム成形体を配置する態様に限定されない。セル壁の位置が異なるハニカム成形体を複数用意し、周壁の軸方向に沿って各ハニカム成形体を配置することによって、隣接するハニカム成形体同士のセル壁の位置をずらしてもよい。また、同一形状のハニカム成形体を複数用意し、各ハニカム成形体を全体的にずらした状態で周壁の軸方向に沿って配置することにより、セル壁の位置をずらしてもよい。
・配置工程は、隣接するハニカム成形体同士のセル壁の位置を、セル壁の厚さ以上にずらして配置する態様に限定されない。セル壁の厚さ未満でずらして配置してもよい。セル壁の厚さ未満でずらして配置した態様であっても、ガス流通路を構成するセルの表面に凹凸を形成することができるため、セルを流通するガスの熱輸送を促進させることができる。
・配置工程は、前後方向DYに隣接するセル壁の位置を、上下方向DZにずらすように各ハニカム成形体を配置する態様に限定されない。前後方向DYに隣接するセル壁の位置を、幅方向DXにずらすように各ハニカム成形体を配置してもよい。また、例えば、図10に示すように、前後方向DYに隣接するセル壁22の位置を、上下方向DZと幅方向DXの両方向にずらすように各ハニカム成形体17を配置してもよい。
・脱脂工程と含侵工程の間に焼成工程を入れてもよい。脱脂された多孔体を焼成することにより、多孔体の強度を向上させ、含侵工程において破損することを防ぐことができる。焼成工程では、温度を2100℃〜2250℃、保持時間を1〜5時間とすることができる。
上述した実施形態やその変形例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に記載する。ハニカム成形工程において、複数の第1セルと、上下方向の寸法が第1セルの略半分の寸法で構成される複数の第2セルとを備えるハニカム成形体を成形し、第2セルは、ガス流通部の上下方向の一方の端部に位置するように設けられている。
ハニカム成形体が上記構成を有することにより、複数の同一形状のハニカム成形体を周壁の周方向に180度回転させるという簡易な操作で、互いのセル壁の位置をずらした状態で軸方向に沿って配置することができる。
R1…第1流通路(ガス流通路)、R2…第2流通路(熱媒体流通路)、C1…セル、C2…セル、10…熱交換器、17…ハニカム成形体、18…第1成形体(第1ハニカム成形体)、19…第2成形体(第2ハニカム成形体)、24…積層体。

Claims (6)

  1. 複数の第1流通路と、複数の第2流通路と、前記第1流通路と前記第2流通路を区画する区画壁とを備え、前記第1流通路を流通する第1流体と、前記第2流通路を流通する第2流体との間で前記区画壁を介して熱交換が行われる炭化ケイ素製の熱交換器の製造方法であって、
    前記第1流通路を有する第1成形体を成形する第1成形工程と、
    前記第2流通路を有する第2成形体を成形する第2成形工程と、
    前記第1成形体と前記第2成形体を積層させて積層体を得る積層工程と、
    前記積層体を脱脂して多孔体を得る脱脂工程と、
    前記多孔体に金属ケイ素を含浸させる含浸工程とを有し、
    前記第1成形工程は、筒状の周壁と前記周壁の内部を複数のセルに区画するセル壁とを有するハニカム成形体を複数成形するハニカム成形工程と、前記セル壁の位置をずらすようにして、複数の前記ハニカム成形体を前記周壁の軸方向に沿って配置する配置工程とを有することを特徴とする熱交換器の製造方法。
  2. 前記配置工程は、複数の同一形状のハニカム成形体を前記周壁の周方向に回転させた状態で配置することによって、セル壁の位置をずらしている請求項1に記載の熱交換器の製造方法。
  3. 前記ハニカム成形体において、前記セルは、前記第1成形体と前記第2成形体の積層方向と、当該積層方向に交差する方向の両方向に2列以上設けられている請求項1又は2に記載の熱交換器の製造方法。
  4. 前記配置工程において、隣接する前記ハニカム成形体同士のセル壁の位置を、前記セル壁の厚さ以上にずらして配置する請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱交換器の製造方法。
  5. 前記配置工程において、前記ハニカム成形体を5個以上配置する請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換器の製造方法。
  6. 前記多孔体を焼成する焼成工程をさらに含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱交換器の製造方法。
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