本発明は、以上の点に鑑み、燃料ガスの発熱量が変動しても、混合気の空気過剰率を一定に保って燃焼不良の発生を防止できるようにした予混合装置を提供することをその課題としている。
上記課題を解決するために、本発明は、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する予混合装置であって、ガス供給路の下流端がファンの上流側の空気供給路の部分に設けられたガス吸引部に接続され、ガス供給路に、二次ガス圧を大気圧に調圧するゼロガバナが介設されるものにおいて、混合気の空気過剰率を検出する空気過剰率検出手段と、ゼロガバナの下流側のガス供給路の部分に介設される流量調節弁とを備え、空気過剰率検出手段で検出される混合気の空気過剰率が一定になるように流量調節弁が制御されることを特徴とする。
本願発明によれば、燃料ガスの発熱量が変動しても、流量調節弁の制御により混合気の空気過剰率が一定に保たれ、燃焼不良の発生を防止できる。
ところで、排気筒への風の侵入で排気不良を生じないようにするため、即ち、耐風性能を確保するため、ファンの下限回転数は比較的高く設定せざるを得ない。然し、これでは、ファン回転数を下限回転数にしたときに得られる燃焼量である最小燃焼量も比較的高くなり、ターンダウン比が小さくなってしまう。
そこで、本発明においては、バーナとファンとの間の混合気供給路に、上端の軸を支点にして垂れ下がった閉じ姿勢から自重に抗して上方の開き側に揺動可能な揺動弁を設けることが望ましい。これによれば、ファン回転数を所定回転数以上にすると、ファンからの風圧で揺動弁が自重に抗して上方に揺動して全開状態となり、所定回転数以下ではファン回転数の低下に伴い揺動弁が全開状態から次第に下方に揺動して、混合気供給路の通路面積が次第に減少する。従って、下限回転数が比較的高くても、混合気の供給量は、混合気供給路の通路面積の減少で比較的少なくなり、即ち、最小燃焼量が比較的低くなり、ターンダウン比を大きくすることができる。
また、本発明によれば、燃料ガスのガス種が変更された場合でも、流量調節弁の制御で混合気の空気過剰率を一定にすることができる。この場合、発熱量が大きく異なるガス種への変更に対処するには、ゼロガバナの下流側のガス供給路の部分の通気抵抗を大幅に変更すること、即ち、流量調節弁の開度変化幅をかなり広くすることが必要になる。然し、これでは流量調節弁の制御性が悪くなってしまう。
そこで、本発明においては、ゼロガバナの下流側のガス供給路の部分に、開閉弁が介設された、流量調節弁に並列のバイパス路を設けることが望ましい。これによれば、流量調節弁の開度変化幅がさほど広くなくても、開閉弁を閉弁させてバイパス路に燃料ガスが流れないようにした状態での流量調節弁の開度変化と、開閉弁を開弁させてバイパス路に燃料ガスが流れるようにした状態での流量調節弁の開度変化とで、ゼロガバナの下流側のガス供給路の部分の通気抵抗を広範囲に変化させることができる。従って、流量調節弁の開度変化幅を広くすることによる制御性の悪化を回避できる。
図1に示す燃焼装置は、全一次燃焼式のバーナ1と、バーナ1の燃焼面1aから噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐2と、燃焼筐2内に配置した熱交換器3とを備える熱源機である。混合気の燃焼で生ずる燃焼ガスは、熱交換器3を加熱した後に燃焼筐2の端部に接続される排気筒4を介して外部に排出される。また、本発明の実施形態の予混合装置Aにより、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファン5を介してバーナ1に供給している。
予混合装置Aは、ファン5の上流側の空気供給路6と、燃料ガスを供給するガス供給路7と、ファン5の下流側のバーナ1との間の混合気供給路8とを備えている。ガス供給路7の下流端は、空気供給路6に設けられたガス吸引部61に接続されている。ガス吸引部61の上流側に隣接する空気供給路6の部分には、後述するバタフライ弁62を配置した部分よりも小径なベンチュリ部63が設けられている。ベンチュリ部63の下流側に隣接する空気供給路6の部分は、ベンチュリ部63より大径の筒部64で囲われている。そして、ベンチュリ部63の下流端部を筒部64の上流端部に環状の隙間を存して挿入し、この隙間でガス吸引部61を構成している。ガス供給路7の下流端には、筒部64を囲うようにして、ガス吸引部61に連通するガス室71が設けられている。また、ガス供給路7には、上流側から順に、元弁72と、二次ガス圧を大気圧に調圧するゼロガバナ73と、流量調節弁74とが介設されている。
ガス吸引部61を介して供給される燃料ガスの量は、二次ガス圧である大気圧と空気供給路6内の負圧との差圧に応じて変化する。ここで、空気供給路6内の負圧は、ファン5の回転数に応じて変化する。そのため、燃料ガスの供給量はファン5の回転数、即ち、空気の供給量に比例して変化する。また、燃料ガスの供給量と空気の供給量との比率は、流量調節弁74の開度によって変化する。流量調節弁74の開度を使用するガス種に応じた所定の基準開度にすることで、混合気の空気過剰率が所定の適正値(例えば、1.3)になる。そして、要求燃焼量(設定湯温の温水を出湯するために必要な燃焼量)に応じてファン5の回転数を制御することにより、空気過剰率が適正値で要求燃焼量に応じた量の混合気がバーナ1に供給される。
尚、排気筒4への風の侵入で排気不良を生じないようにするため、即ち、耐風性能を確保するため、ファン5の下限回転数をあまり低く設定することはできない。そして、要求燃焼量がファン5の下限回転数に対応する所定値以下になった場合には、要求燃焼量に対応する量の空気を供給できなくなる。
そこで、ガス吸引部61より上流側の空気供給路6の部分に、当該部分の通気抵抗を大小2段に切換えるために、図外のモータにより図1に実線で示す閉じ姿勢と仮想線で示す開き姿勢とに切換えられるバタフライ弁62を配置している。そして、要求燃焼量が上記所定値以下になった場合には、バタフライ弁62を閉じ姿勢にして、空気供給路6の通気抵抗を大きくし、ファン5の回転数を下限回転数以下にせずに、所定値以下の要求燃焼量に対応する量の空気を供給できるようにしている。但し、バタフライ弁62を閉じ姿勢にして、空気供給路6の通気抵抗を大きくするだけでは、空気供給路6内の負圧が増加して、燃料ガスの供給量が過大となり、バーナ1に供給される混合気の空気過剰率が適正値を下回ってしまう。そのため、要求燃焼量が比較的小さな場合には、バタフライ弁62を閉じ姿勢にして、空気供給路6の通気抵抗を大きくすると共に、流量調節弁74を基準開度から所定開度分だけ絞って、ゼロガバナ73の下流側のガス供給路7の部分の通気抵抗を大きくした小能力状態として、空気過剰率が適正値で比較的小さな要求燃焼量に対応する量の混合気がバーナ1に供給されるようにし、要求燃焼量が比較的大きな場合には、バタフライ弁62を開き姿勢にして、空気供給路6の通気抵抗を小さくすると共に、流量調節弁74を基準開度まで開いて、ゼロガバナ73の下流側のガス供給路7の部分の通気抵抗を小さくした大能力状態として、空気過剰率が適正値で比較的大きな要求燃焼量に対応する量の混合気がバーナ1に供給されるようにしている。
また、混合気供給路8には、上端の軸81aを支点にして垂れ下がった閉じ姿勢(図1の仮想線で示す姿勢)から自重に抗して上方の開き側に揺動可能な揺動弁81が設けられている。ファン5の回転数を所定回転数以上にすると、ファン5からの風圧で揺動弁81が自重に抗して上方に揺動して全開状態となり、所定回転数以下ではファン5の回転数の低下に伴い揺動弁81が全開状態から次第に下方に揺動して、混合気供給路8の通路面積が次第に減少する。
ファン5の回転数と混合気の供給量との関係は、小能力状態では図3のLの特性線で示すようになり、大能力状態では図3のHの特性線で示すようになる。本実施形態の如く揺動弁81を設ければ、これら特性線L,Hは、ファン5の回転数の低下に伴い混合気の供給量が図3に点線で示す比例直線よりも減少した曲線となる。従って、大能力状態でファン5の回転数を上限回転数Nmaxにしたときの混合気の供給量Qmax、即ち、バーナ1の最大燃焼量と、小能力状態でファン5の回転数を下限回転数Nminにしたときの混合気の供給量Qmin、即ち、バーナ1の最小燃焼量との比であるターンダウン比(最大燃焼量/最小燃焼量)を大きくすることができる。
ところで、燃料ガスとして同じガス種を使用していても、時間により燃料ガスの発熱量(ウォッベ指数)が変動することがある。この場合、空気の供給量に対する燃料ガスの供給量の比が一定であると、燃料ガスの発熱量の変動で混合気の空気過剰率が変動して、燃焼不良が発生してしまう。
そこで、混合気の空気過剰率を検出する空気過剰率検出手段9を設けている。本実施形態では、バーナ1の燃焼面1aに臨ませて設けたフレームロッドで空気過剰率検出手段9を構成し、フレームロッドに流れるフレーム電流から混合気の空気過剰率を検出するようにしている。尚、混合気の空気過剰率に応じて火炎が燃焼面1aに近づいたり離れたりするため、燃焼面1aの裏面温度が混合気の空気過剰率に応じて変化する。従って、燃焼面1aの裏面温度を検出する温度センサで空気過剰率検出手段9を構成することも可能である。
そして、空気過剰率検出手段9で検出される混合気の空気過剰率が一定になるように、即ち、所定の適正値に保たれるように、流量調節弁74をフィードバック制御する。具体的には、燃料ガスの発熱量の増加で混合気の空気過剰率が減少したときは、流量調節弁74の開度を減少させて、空気の供給量に対する燃料ガスの供給量の比を空気過剰率が適正値になるように減少させ、また、燃料ガスの発熱量の減少で混合気の空気過剰率が増加したときは、流量調節弁74の開度を増加させて、空気の供給量に対する燃料ガスの供給量の比を空気過剰率が適正値になるように増加させる。これによれば、燃料ガスの発熱量が変動しても、混合気の空気過剰率が適正値に保たれ、燃焼不良の発生を防止できる。
次に、図2に示す第2実施形態について説明する。第2実施形態の基本的な構造は、上記第1実施形態のものと特に異ならず、第1実施形態と同様の部材、部位に上記と同一の符号を付している。第2実施形態の第1実施形態との相違点は、ゼロガバナ73の下流側のガス供給路7の部分に、流量調節弁74に並列のバイパス路75を設けて、このバイパス路75に開閉弁76を介設したことである。
ここで、燃料ガスのガス種が変更された場合でも、流量調節弁74の制御で混合気の空気過剰率を適正値にすることができる。但し、発熱量が大きく異なるガス種への変更に対処するには、ゼロガバナ73の下流側のガス供給路7の部分の通気抵抗を大幅に変更することが必要になる。そして、第1実施形態のものでは、流量調節弁74の開度変化幅をかなり広くすることが必要なる。そのためは、流量調節弁74の単位操作量当たりの開度変化量を大きくせざるを得ず、操作量の許容誤差が僅かとなって、流量調節弁74の制御性が悪くなってしまう。
これに対し、第2実施形態によれば、流量調節弁74の開度変化幅がさほど広くなくても、開閉弁76を閉弁させてバイパス路75に燃料ガスが流れないようにした状態での流量調節弁74の開度変化と、開閉弁76を開弁させてバイパス路75に燃料ガスが流れるようにした状態での流量調節弁74の開度変化とで、ゼロガバナ73の下流側のガス供給路7の部分の通気抵抗を広範囲に変化させることができる。従って、流量調節弁74の開度変化幅を広くすることによる制御性の悪化を回避できる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、能力切換のために、空気供給路6の通気抵抗をバタフライ弁62により大小切換するのに合わせて、ゼロガバナ73の下流側のガス供給路7の部分の通気抵抗を流量調節弁74により大小切換しているが、ゼロガバナ73の下流側のガス供給路7の部分に通気抵抗を大小切換する切換弁を流量調節弁74と直列に介設し、流量調節弁74を制御せずに能力切換を行うことも可能である。また、バタフライ弁62を省略し、能力切換を行わないようにすることも可能である。