JP2021025569A - 自動変速機のソレノイド駆動制御装置 - Google Patents

自動変速機のソレノイド駆動制御装置 Download PDF

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Naoki Yuda
直樹 湯田
高橋 誠一郎
Seiichiro Takahashi
誠一郎 高橋
野武 久雄
Hisao Notake
久雄 野武
駿介 南澤
Shunsuke Minamizawa
駿介 南澤
ジェホ キム
Jae Ho Kim
ジェホ キム
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Abstract

【課題】自動変速機のソレノイド駆動制御装置において、作動油中へのエアの混入を速やかに推定して、エアの混入影響が少ないうちにエア混入対策を実施することができるようにする。【解決手段】電気的な指令によりソレノイド72,74,76を駆動し、これにより作動油の油圧を制御する自動変速機10のソレノイド駆動制御装置70であって、ソレノイドに流れる電流を検出する電流検出手段81,82,83と、電流検出手段により検出された電流の変動状態に基づき、ソレノイドが振動しているか否かを検出し、ソレノイドの振動が検出されたら作動油にエアが混入していると推定するエア混入推定手段8Aと、エア混入推定手段により作動油へのエアの混入が推定されたらエア混入対応制御を実施する制御手段8Bと、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、自動変速機のソレノイド駆動制御装置に関するものである。
油圧式の自動変速機では、作動油(ATF)中にエアが混入すると油圧制御にかかる応答性が低下し、制御精度の低下を招く。しかし、作動油中にエアが混入したことを直接検出することは困難であり、作動油中へのエアの混入を推定する技術や、作動油中へのエアの混入があっても油圧制御の精度を確保できるようにする技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、摩擦係合要素に対する供給油圧をソレノイドによって制御して変速を実施する自動変速機の変速制御装置において、油圧の指示値をステップ変化させたときの実油圧の変化から油圧のステップ応答における時定数を算出し、この時定数から作動油におけるエア混入率を推定する技術、及び、該エア混入率に応じてソレノイドの操作量を補正することで油圧制御の精度を確保しようとする技術が開示されている。
特開平11−125330号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、作動油中にエアが混入した結果として応答性の低下が発生しないとエア混入率を推定することができない。つまり、エアの混入影響が生じないとエア混入率を推定することができない。したがって、エア混入率の推定技術を更に改善して、エア混入の影響が生じる前、或いはエア混入の影響が少ないうちにエア混入対策を実施できるようにすることが求められている。
本発明はこのような課題に着目して創案されたもので、作動油中へのエアの混入を速やかに推定して、エアの混入影響が少ないうちにエア混入対策を実施することができるようにした自動変速機のソレノイド駆動制御装置を提供することを目的としている。
本発明の自動変速機のソレノイド駆動制御装置は、電気的な指令によりソレノイドを駆動し、これにより作動油の油圧を制御する自動変速機のソレノイド駆動制御装置であって、前記ソレノイドに流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段により検出された電流の変動状態に基づき、前記ソレノイドが振動しているか否かを検出し、前記ソレノイドの振動が検出されたら前記作動油にエアが混入していると推定するエア混入推定手段と、前記エア混入推定手段により前記作動油へのエアの混入が推定されたらエア混入対応制御を実施する制御手段と、を備えていることを特徴としている。
前記自動変速機は、疑似有段制御モードを備えた無段変速機であって、前記制御手段は、前記エア混入推定手段により前記作動油へのエアの混入が推定されたら、前記エア混入対応制御として前記疑似有段制御モードを禁止することが好ましい。
前記エア混入推定手段は、前記電流検出手段により検出された電流の上下変動を検出し、前記上下変動時の振幅が所定振幅以上である上下変動が所定時間内で継続的に所定回数以上発生すると、前記ソレノイドが振動していると判定し、前記作動油にエアが混入していると推定することが好ましい。
前記自動変速機は、プライマリ圧を受ける油圧室を有するプライマリプーリと、セカンダリ圧を受ける油圧室を有するセカンダリプーリと、これらのプーリに巻き回されたベルトとを備えた無段変速機であって、前記ソレノイドとして、変速比を変更するために前記プライマリ圧を調整するプライマリ圧ソレノイドと、プーリ推力を確保するために前記セカンダリ圧を調整するセカンダリ圧ソレノイドと、前記プライマリ圧及び前記セカンダリ圧の元圧となるライン圧を調整するライン圧ソレノイドと、を備え、前記エア混入推定手段は、前記プライマリ圧ソレノイド、前記セカンダリ圧ソレノイド、及び前記ライン圧ソレノイドのそれぞれ又は何れかについて、当該ソレノイドが振動しているか否かを判定することが好ましい。
前記プライマリ圧ソレノイドの振動を判定する前記所定振幅である第1所定振幅、及び前記セカンダリ圧ソレノイドの振動を判定する前記所定振幅である第2所定振幅、前記ライン圧ソレノイドの振動を判定する前記所定振幅である第3所定振幅は、前記第1所定振幅,前記第3所定振幅,前記第2所定振幅の順に大きな値に設定され、前記エア混入推定手段は、前記プライマリ圧ソレノイド、前記セカンダリ圧ソレノイド、及び前記ライン圧ソレノイドの何れかが振動していると判定したら、前記作動油にエアが混入していると判定することが好ましい。
前記所定振幅、前記所定時間、及び前記所定回数は何れも、前記プライマリ圧ソレノイド、前記セカンダリ圧ソレノイド、及び前記ライン圧ソレノイドのそれぞれについて共通の値に設定され、前記エア混入推定手段は、前記プライマリ圧ソレノイドが振動していると判定した場合、又は、前記プライマリ圧ソレノイドが振動していると判定されないが前記セカンダリ圧ソレノイド及び前記ライン圧ソレノイドが何れも振動していると判定した場合は、前記作動油にエアが混入していると判定することが好ましい。
また、もう一つの本発明の自動変速機のソレノイド駆動制御装置は、電気的な指令によりソレノイドを駆動し、これにより作動油の油圧を制御する自動変速機のソレノイド駆動制御装置であって、前記自動変速機は、疑似有段制御モードを備えた無段変速機であり、前記ソレノイドに流れる電流を検出し、検出された電流の上下変動時の振幅が所定以上の場合、前記疑似有段制御モードを禁止する制御手段を備えていることを特徴としている。
本発明によれば、ソレノイドに流れる電流に基づきソレノイドの振動を検出し、ソレノイドの振動が検出されたら作動油にエアが混入していると推定するので、作動油中へのエアの混入を速やかに推定して、エアの混入影響が少ないうちにエア混入対策を実施することができるようになる。
一実施形態にかかる自動変速機のソレノイド駆動制御装置を備えた車両の駆動系の構成図である。 一実施形態にかかる自動変速機のソレノイド駆動制御装置におけるエア混入の推定に係るソレノイドの電流の特性を例示するグラフである。 一実施形態にかかる自動変速機のソレノイド駆動制御装置におけるエア混入の推定及びエア混入推定時の制御を説明するフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。以下の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することや適宜組み合わせることが可能である。
〔車両の駆動系の構成〕
まず、本実施形態にかかる車両の駆動系の構成を説明する。
図1に示すように、車両の駆動系は、駆動源であるエンジン(内燃機関)1と、トルクコンバータ2と、前後進切替機構3と、変速機構4と、変速機構4の動力伝達方向下流側の終減速機5と、差動機構6と、その動力伝達方向下流側の駆動輪7とを備えている。トルクコンバータ2と前後進切替機構3と変速機構4とから、変速機(自動変速機)10が構成される。
〔変速機の要部及びソレノイド駆動制御装置の構成〕
トルクコンバータ2は、トルク増大機能を有する発進要素であり、エンジン出力軸11にコンバータハウジング22を介して連結されたポンプインペラ23と、トルクコンバータ出力軸21に連結されたタービンランナ24と、ケースにワンウェイクラッチ(図示略)を介して設けられたステータ25とを構成要素としている。
トルクコンバータ2は、例えば車両が高速でかつ低負荷で走行している場合などトルク増大機能を必要としないとき、エンジン出力軸11(=トルクコンバータ入力軸)とトルクコンバータ出力軸21とを直結可能なロックアップクラッチ20を有している。
ロックアップクラッチ20は、作動油(以下、ATFともいう)の油圧を用いて制御される。詳細は図示しないが、ロックアップクラッチ20は、その前後の油室であるアプライ室20AC及びリリーフ室20RCにおけるアプライ圧PAとレリーズ圧PRとの差圧PA−PRに応動し、レリーズ圧PRがアプライ圧PAよりも高いとロックアップクラッチ20は解放されてトルクコンバータ入出力要素間を直結せず、レリーズ圧PRがアプライ圧PAよりも低くなる時にロックアップクラッチ20は完全係合(締結)されてトルクコンバータ入出力要素間を直結する。
ロックアップクラッチ20の完全係合に際して、ロックアップクラッチ20の締結力、つまりロックアップ容量は、上記の差圧PA−PRにより決定し、この差圧が大きい程ロックアップクラッチ20の係合力が増大してロックアップ容量を増大する。差圧PA−PRは、油圧制御弁により制御される。なお、差圧PA−PRについては単にロックアップ圧とも言う。
ロックアップクラッチ20の係合状態は、油圧制御ユニット70内の油圧制御弁を通じた油圧制御によって制御される。油圧制御弁は、自動変速機コントロールユニット(以下、ATCUという)8の指令信号によって作動する。
自動変速機10に装備され変速機構4は、電気的な指令により駆動されるソレノイドにより作動油の油圧が制御されるものであって、本実施形態では、無段変速機構(CVT)が適用されている。ただし、変速機構4は有段変速機構であってもよい。この場合、後進段を備えることで前後進切替機構3を省略できる。
CVT4は、前後進切替機構3の出力軸に連結されたプライマリプーリ41と、終減速機5側へ出力する出力軸に連結されたセカンダリプーリ42と、これらのプライマリプーリ41及びセカンダリプーリ42に掛け回された無端ベルト43とを備え、プライマリプーリ41の油室(プライマリ油室)41C及びセカンダリプーリ42の油室(セカンダリ油室)42Cに供給する作動油(ATF)の油圧(プライマリプーリ圧及びセカンダリプーリ圧)に応じて変速比やトルク伝達容量が調整される。
つまり、油圧制御ユニット70は、油圧制御弁であるレギュレータ弁71と、ライン圧ソレノイド72と、油圧制御弁であるプライマリ圧減圧弁73と、プライマリ圧ソレノイド74と、油圧制御弁であるセカンダリ圧減圧弁75と、セカンダリ圧ソレノイド76と、を備え、オイルポンプ(図示略)から供給された作動油の圧力を制御し、プライマリ油室41Cに導かれるプライマリ圧Ppriと、セカンダリ油室42Cに導かれるセカンダリ圧Psecとを調整する。
レギュレータ弁71は、オイルポンプからの吐出圧を元圧として、ライン圧を調圧する弁である。このレギュレータ弁71は、ライン圧ソレノイド72によって駆動され、オイルポンプから圧送された油圧を、ATCU8からの指令に応じて所定のライン圧PLに調圧する。
プライマリ圧減圧弁73及びセカンダリ圧減圧弁75は、レギュレータ弁71により調圧されたライン圧を元圧として、プライマリ油室41C及びセカンダリ油室42Cにそれぞれ導かれるプライマリ圧Ppri及びセカンダリ圧Psecを調圧する。これらの減圧弁73,75は、それぞれプライマリ圧ソレノイド74及びセカンダリ圧ソレノイド76によって駆動され、ATCU8からの指令に応じてライン圧を減圧して所定のプライマリ圧Ppri及びセカンダリ圧Psecに制御する。
ATCU8には、プライマリプーリ41の回転速度(単位時間回転数)Npri、セカンダリプーリ42の回転速度(単位時間回転数)Nsec、セカンダリ圧Psec、プライマリ圧Ppri等の種々の検出情報やスイッチ情報が入力され、各情報に基づいて、ライン圧指示値をライン圧ソレノイド72に出力するライン圧制御、所定のセカンダリ圧指示値をセカンダリ圧ソレノイド76に出力するセカンダリ圧制御、所定のプライマリ圧指示値をプライマリ圧ソレノイド74に出力するプライマリ圧制御等を行なう。
本実施形態では、プライマリ圧Ppriの制御によって変速比を制御し、セカンダリ圧Psecの制御によってプーリ推力(トルク伝達容量)を制御する。また、ATCU8が実施する変速比の制御モードとして、変速比を有段変速機構のようにステップ状に変化させる疑似有段制御(Dstep)を実施する疑似有段制御モードを備えている。
このような油圧式の自動変速機10では、作動油中にエアが混入する場合があるが、エアの混入事態を検出することは困難である。本発明者らは、鋭意研究の結果、作動油中にエアが混入した場合にソレノイド弁に振動が生じることを見出した。また、このソレノイド弁の振動は、ソレノイド弁に供給する電流の反復変動から推定できることを発見した。
そこで、本実施形態のATCU8では、ライン圧ソレノイド72,プライマリ圧ソレノイド74,セカンダリ圧ソレノイド76のそれぞれの供給電流をモニタする電流センサ(電流検出手段)81,82,83を装備して、これらの電流センサ81,82,83のモニタ電流Iに基づいて、ソレノイド72,74,76の振動を検出して、ソレノイド弁72,74,76の振動を検出したら、作動油中にエアが混入しているものと推定する。
なお、本実施形態では、電流センサ81,82,83は電流供給線に、抵抗を挟んで電位差(電圧)を測定し、測定した電圧をフィルタ処理した値をモニタ電流として使う。
図2はエア混入時においてソレノイドへの指示圧変動を与えた際のソレノイドの電流の変動特性を例示するグラフである。なお、図2において、モニタ電流Iは周期の小さな変動と周期の大きな変動を生じているが、周期の大きな変動はソレノイドへの指示圧変動によるもので、周期の小さな変動がエア混入によるものである。図2に示すように、時点t1付近でモニタ電流Iに周期の小さな上限変動が出現し、時点t2付近でこの上限変動が顕著になっている。このモニタ電流Iに生じる周期の小さな上限変動は、周期が極めて短い(例えば0.02sec程度)、即ち、周波数が極めて高い(例えば数十Hz程度)ものである。
そこで、ATCU8には、電流センサ81,82,83の各モニタ電流Iに基づいて、電流Iの所定の周波数域における上下変動を検出し、この上下変動量(電流変動量)VAが所定量A以上の振れ幅で且つ所定時間B内に所定回数C以上連続して電流Iの上下変動が発生したら、ソレノイド72,74,76に振動が生じていると判定し、作動油中にエアが混入しているものと推定するエア混入推定部(エア混入推定手段)8Aが備えられている。
このように、モニタ電流Iの上下変動閾値Aを設定するのは、モニタ電流Iはエア混入のない通常時にも多少の変動があるがエア混入時にはより顕著な変動があるので、両者を切り分けるためである。また、回数閾値Cを設定するのは、通常時には電流変動は一定回数以上反復して生じることはないがエア混入時には電流変動が一定回数以上反復して生じるので、通常時と切り分けるためである。時間閾値Bは、所定時間B内に所定回数C以上と規定することで電流変動の周波数を所定量以下に限定し、ソレノイドへの指示圧変動と切り分けるためである。
なお、ソレノイド72,74,76のうち振動が生じると最も影響が大きいのは、変速比を操作するプライマリ圧ソレノイド74であり、次に影響が大きいのは、ライン圧ソレノイド72である。そこで、本実施形態では、下記の表1に示すように、プライマリ圧ソレノイド74,ライン圧ソレノイド72,セカンダリ圧ソレノイド76の各振れ幅閾値Aを異なる値に設定し、プライマリ圧ソレノイド74にかかる振れ幅閾値Aを最小にしている。これにより、プライマリ圧ソレノイド74の振動を敏感に検出することができる。
なお、時間閾値B,回数閾値は各ソレノイド72,74,76で共通の値とする。
Figure 2021025569
また、ATCU8には、エア混入推定部8Aにより作動油へのエアの混入が推定されたらエア混入対応制御を実施するエア混入対応制御部(制御手段としてのエア混入対応制御手段)8Bが備えられている。このエア混入対応制御には、エア抜き制御と疑似有段制御モードを禁止するモード禁止制御とがある。
作動油へエアが混入すると油圧の制御応答性が低下するため、頻繁な変速制御は適正に実施できなくなるおそれがあり、一般に、変速頻度を低減することが好ましい。
特に、制御応答性が必要な疑似有段制御については、油圧の制御応答性が低下すると制御を適正に実施できなくなるおそれがある。このため、本実施形態では、エア混入対応制御として疑似有段制御モードを禁止するモード禁止制御を実施する。ただし、ドライバに違和感を与えないように、疑似有段制御モードを一気に禁止するのではなく、徐々に禁止していくことが好ましい。例えば、疑似有段制御モードの作動が開始されるアクセル開度を徐々に大きくしていったりすることも有効である。
[フローチャート]
ここで、自動変速機のソレノイド駆動制御装置によるエア混入の推定及びエア混入対応制御を図3のフローチャートを用いて説明する。なお、図3のフローは所定周期(ただし、この所定周期は、エア混入で生じるモニタ電流Iの上限変動周期よりも十分に短い)で繰り返される。
図3に示すように、まず、モニタ電流Iが上昇(up)から減少(down)に転じたか否かを判定する(ステップS10)。モニタ電流Iが上昇から減少に転じたらモニタ電流Iの極大値Imaxを記録する(ステップS20)。一方、モニタ電流Iが上昇から減少に転じてなければモニタ電流Iが減少(down)から上昇(up)に転じたか否かを判定する(ステップS30)。モニタ電流Iが減少から上昇に転じたらモニタ電流Iの極小値Iminを記録する(ステップS40)。モニタ電流Iの上昇から減少への変動も減少から上昇への変動もなければ、タイマを停止し、タイマ値を0にリセットし(ステップS130)、カウント値を0にリセットし(ステップS140)、この周期の処理を終了する。
モニタ電流Iの上昇から減少への変動或いは減少から上昇への変動があれば、直近の極大値Imaxと極小値Iminとの差(Imax−Imin)である電流変動量VAを演算する(ステップS50)。そして、電流変動量VAが上下変動閾値A以上であるか否かを判定する(ステップS60)。電流変動量VAが上下変動閾値A以上でなければ、タイマを停止し、タイマ値を0にリセットし(ステップS130)、カウント値を0にリセットし(ステップS140)、この周期の処理を終了する。
一方、電流変動量VAが上下変動閾値A以上であれば、タイマをスタートさせ(ステップS70)、変動回数Nのカウントアップを実施する(ステップS80)。そして、タイマ値Tが時間閾値B以下であるか否か(ステップS90)を判定し、タイマ値Tが時間閾値B以下であれば、変動回数Nが回数閾値C以上であるか否か(ステップS100)を判定する。
タイマ値Tが時間閾値B以下でない場合は、タイマを停止し、タイマ値を0にリセットし(ステップS130)、カウント値を0にリセットし(ステップS140)、この周期の処理を終了する。
また、変動回数Nが回数閾値C以上でなければこの周期の処理を終了する。この場合、タイマは継続され、変動回数Nのカウントも継続される。
タイマ値Tが時間閾値B以下であり且つ変動回数Nが回数閾値C以上であれば、作動油にエアが含有して電流の反復変動が生じていると推定する(ステップS110)。
例えば図2に部分拡大図で示すように、電流変動量VAが、VA00,VA0,VA1,VA2,VA3,・・・と算出されていった場合に、VA00は上下変動閾値A以上であるがVA0は上下変動閾値A未満である場合、タイマ値,カウント値は0にリセットされる。しかし、VA1以降は継続して電流変動量VAが上下変動閾値A以上である場合は、タイマ及びカウントが継続されて、エアの含有が推定される。
そして、推定後の処置として、疑似有段制御モードを禁止する(即ち、疑似有段制御(Dstep)を禁止する)モード禁止制御とを実施する(ステップS120)。この疑似有段制御モードの禁止(Dstepの禁止)は、一気に禁止するのではなく、例えば、疑似有段制御モードの作動が開始されるアクセル開度(作動開度)を徐々に大きくしていったりして、徐々に禁止していく。
このように本装置によれば、ソレノイド72,74,76に流れる電流Iに基づきソレノイド72,74,76の振動を検出し、ソレノイド72,74,76の振動が検出されたら作動油にエアが混入していると推定するので、作動油中へのエアの混入を速やかに推定して、エアの混入影響が少ないうちにエア混入対策を実施することができるようになる。
また、エア含有率が高い状態での疑似有段制御を回避できるので、疑似有段制御時に変速の応答性が低下して運転者に違和感を与えるのを回避することができる。
なお、本実施形態では、プライマリ圧ソレノイド74,ライン圧ソレノイド72,セカンダリ圧ソレノイド76のそれぞれについて上記の処理を実施し、作動油にエアが含有して何れかのソレノイドで電流の反復変動が生じていると判定したら、判定後の処置(エア混入対応制御)を実施する(ステップS110)。このとき、上下変動閾値Aについては、変速比を操作するプライマリ圧ソレノイド74のものが最も小さいのでプライマリ圧ソレノイド74の振動は比較的敏感に判定される。このため、変速比に影響しやすいプライマリ圧ソレノイド74の振動対策を速やかに実施することができる。
〔その他〕
上記実施形態では、上下変動閾値Aについては、プライマリ圧ソレノイド74のものを最小にし、ライン圧ソレノイド72,セカンダリ圧ソレノイド76の順で大きくしており、何れかのソレノイド72,74,76で電流の反復変動が生じていると判定したら、作動油にエアが含有していると推定して推定後の処置(エア混入対応制御)を実施しているが、これに限定されない。
例えば、各ソレノイド72,74,76で上下変動閾値Aを同一にし、プライマリ圧ソレノイド74で電流の反復変動が生じていると判定したら、作動油にエアが含有していると推定して推定後の処置(エア混入対応制御)を実施し、ライン圧ソレノイド72,セカンダリ圧ソレノイド76については、両ソレノイド72,76で何れも電流の反復変動が生じていると判定したら、作動油にエアが含有していると推定して推定後の処置(エア混入対応制御)を実施する構成としてもよい。
また、例えばプライマリ圧ソレノイド74のみに供給電流をモニタする電流センサ(電流検出手段)を装備して電流の反復変動が生じているか否かを判定して作動油にエアが含有しているか否かを推定するなど、特定のソレノイドに着目して電流の反復変動を検知し、作動油にエアが含有しているか否かを推定するようにしてもよい。
1 エンジン(内燃機関)
2 トルクコンバータ
3 前後進切替機構
4 無段変速機構(CVT)
5 終減速機
6 差動機構
7 駆動輪
8 自動変速機コントロールユニット(ATCU)
8A エア混入推定部(エア混入推定手段)
8B エア混入対応制御部(エア混入対応制御手段,制御手段)
10 変速機
11 エンジン出力軸
20 ロックアップクラッチ
41 プライマリプーリ
41C プライマリ油室
42 セカンダリプーリ
42C セカンダリ油室
43 無端ベルト
70 油圧制御ユニット
71 レギュレータ弁
72 ライン圧ソレノイド
73 プライマリ圧減圧弁
74 プライマリ圧ソレノイド
75 セカンダリ圧減圧弁
76 セカンダリ圧ソレノイド
81,82,83 電流センサ(電流検出手段)

Claims (7)

  1. 電気的な指令によりソレノイドを駆動し、これにより作動油の油圧を制御する自動変速機のソレノイド駆動制御装置であって、
    前記ソレノイドに流れる電流を検出する電流検出手段と、
    前記電流検出手段により検出された電流の変動状態に基づき、前記ソレノイドが振動しているか否かを検出し、前記ソレノイドの振動が検出されたら前記作動油にエアが混入していると推定するエア混入推定手段と、
    前記エア混入推定手段により前記作動油へのエアの混入が推定されたらエア混入対応制御を実施する制御手段と、を備えている
    ことを特徴とする自動変速機のソレノイド駆動制御装置。
  2. 前記自動変速機は、疑似有段制御モードを備えた無段変速機であって、
    前記制御手段は、前記エア混入推定手段により前記作動油へのエアの混入が推定されたら、前記エア混入対応制御として前記疑似有段制御モードを禁止する
    ことを特徴とする請求項1に記載された自動変速機のソレノイド駆動制御装置。
  3. 前記エア混入推定手段は、前記電流検出手段により検出された電流の上下変動を検出し、前記上下変動時の振幅が所定振幅以上である上下変動が所定時間内で継続的に所定回数以上発生すると、前記ソレノイドが振動していると判定し、前記作動油にエアが混入していると推定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載された自動変速機のソレノイド駆動制御装置。
  4. 前記自動変速機は、プライマリ圧を受ける油圧室を有するプライマリプーリと、セカンダリ圧を受ける油圧室を有するセカンダリプーリと、これらのプーリに巻き回されたベルトとを備えた無段変速機であって、
    前記ソレノイドとして、変速比を変更するために前記プライマリ圧を調整するプライマリ圧ソレノイドと、プーリ推力を確保するために前記セカンダリ圧を調整するセカンダリ圧ソレノイドと、前記プライマリ圧及び前記セカンダリ圧の元圧となるライン圧を調整するライン圧ソレノイドと、を備え、
    前記エア混入推定手段は、前記プライマリ圧ソレノイド、前記セカンダリ圧ソレノイド、及び前記ライン圧ソレノイドのそれぞれ又は何れかについて、当該ソレノイドが振動しているか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項3に記載された自動変速機のソレノイド駆動制御装置。
  5. 前記プライマリ圧ソレノイドの振動を判定する前記所定振幅である第1所定振幅、及び前記セカンダリ圧ソレノイドの振動を判定する前記所定振幅である第2所定振幅、前記ライン圧ソレノイドの振動を判定する前記所定振幅である第3所定振幅は、前記第1所定振幅,前記第3所定振幅,前記第2所定振幅の順に大きな値に設定され、
    前記エア混入推定手段は、前記プライマリ圧ソレノイド、前記セカンダリ圧ソレノイド、及び前記ライン圧ソレノイドの何れかが振動していると判定したら、前記作動油にエアが混入していると判定する
    ことを特徴とする請求項4に記載された自動変速機のソレノイド駆動制御装置。
  6. 前記所定振幅、前記所定時間、及び前記所定回数は何れも、前記プライマリ圧ソレノイド、前記セカンダリ圧ソレノイド、及び前記ライン圧ソレノイドのそれぞれについて共通の値に設定され、
    前記エア混入推定手段は、前記プライマリ圧ソレノイドが振動していると判定した場合、又は、前記プライマリ圧ソレノイドが振動していると判定されないが前記セカンダリ圧ソレノイド及び前記ライン圧ソレノイドが何れも振動していると判定した場合は、前記作動油にエアが混入していると判定する
    ことを特徴とする請求項4に記載された自動変速機のソレノイド駆動制御装置。
  7. 電気的な指令によりソレノイドを駆動し、これにより作動油の油圧を制御する自動変速機のソレノイド駆動制御装置であって、
    前記自動変速機は、疑似有段制御モードを備えた無段変速機であり、
    前記ソレノイドに流れる電流を検出し、検出された電流の上下変動時の振幅が所定以上の場合、前記疑似有段制御モードを禁止する制御手段を備えている
    ことを特徴とする自動変速機のソレノイド駆動制御装置。
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