以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる収穫用車両1の外観を示す斜視図である。ここで、図1に示されるXYZ直交座標系のX方向を収穫用車両1の前方、−X方向を後方、Y方向を左方、−Y方向を右方、Z方向を上方、−Z方向を下方とする。また、以下の説明では、収穫用車両1によって、果菜類等の作物を収穫する場合を想定しており、果菜類の作物として、トマトを想定している。
図1に示されるように、収穫用車両1は、作物を収穫する収穫部2と、収穫した作物を収納するための収納バケットAを複数収容可能な収容部31が設けられた走行車体3を備え、収穫部2を走行車体3に積載して走行可能に構成されている。
収穫部2は、収穫用車両1の各種機構を制御する制御部C及び電力供給を行うバッテリEが搭載された略直方体形状の筐体21を備えている。筐体21内部は上下多段の棚状に形成されており、下からバッテリE、収穫ハンド体駆動機構F、制御部Cが順次搭載されている。
バッテリEを筐体21の最下部に配設したことにより、収穫用車両1の重心を低く抑えることができるため安定走行が可能となり、かつ、バッテリEの上方に設けられた収穫装置駆動機構F及び制御部C、下方に設けられた走行車体3の走行機構4に電力を供給しやすい。
また、筐体21の前面には、作物を収穫するための収穫装置24が設けられており、この収穫装置24は、先端を首振りして上下左右に移動可能に設けられた腕部22が筐体21の前面に取り付けられており、この腕部22の先端に、アームの開閉によって作物を把持自在な収穫ハンド体23が設けられている。
収穫部2は、図示しない作物の認識装置によって作物の位置情報を制御部Cが取得可能に構成されており、これにより、制御部Cが、腕部22及び収穫ハンド体23の動作を制御し、収穫ハンド体23で作物を把持して摘み取った後、収容部31内に収容された収納バケットA上まで把持した作物を移動させてから解放し、収納バケットAに作物を収納する構成となっている。なお、図1及び図2に示されるように、収納バケットAは、上面が開放した箱形状をなし、上面において水平方向に張り出した外枠が設けられたものが用いられる。
走行車体3は、地上及び栽培施設内に敷設された走行レール500上を走行可能とする走行機構4を備えている。なお、走行機構4については、後述する。
図2は、本発明の実施の形態にかかる収穫用車両1の正面図であり、図3は、本発明の実施の形態にかかる収穫用車両1の側面図である。
走行車体3の収容部31は、図2に示されるように、走行車体3の左右両側に設けられて走行車体3の側方を形成する左右の車体フレーム3L,3Rの内側に、複数の収納バケットAを収容可能な収容空間S2を設けて構成されており、この収容空間S2に収納バケットAが複数収容可能となっている。
収容部31は、バケット台B上に積み上げられた前後2列の収納バケットA(A1〜A8)を、走行車体3の正面側に設けられた開口部である収容開口部S1から取り込み、走行車体3内の収容空間S2に収容可能となっている。このとき、前列に積み上げられた4つの収納バケットA(A1〜A4)は、収容空間S2の前部S2fに、後列に積み上げられた4つの収納バケットA(A5〜A8)は収納空間S2の後部S2rに収まるように収容される。また、収容空間S2の下部は、収納バケットAを落下排出可能な排出開口部S3が設けられている。これにより、収容部31は、排出開口部S3から収納バケットA(A1〜A8)を迅速かつ容易に落下排出可能となっている。このように構成された収穫用車両1は、収容開口部S1から複数の収納バケットAを、機体を前進しながら収容空間S2内に取り込むことが可能となっている。これにより、作業能率が大幅に向上する。
また、収穫部2の収穫装置24である腕部22及び収穫ハンド体23の動作によって、走行車体3の前部上面に設けられた開放部分から、収容部31に収容された収納バケットAに作物を収納可能となっている。ここで、図1及び図2において、作物収容空間S2の前部S2fに収容されている収納バケットA(A1〜A4)のうち最上段に位置する収納バケットA(A4)が、収容空間S2内において、収穫部2から作物を収納可能な作物収納位置となっている。収穫部2は、この作物収納位置にある収納バケットAに、収穫した作物を順次収納することが可能となっている。また、走行車体3の前部には、適宜の位置に、収容部31に収容された収容バケットAを検知する収納バケット検知センサ83が配設されており、これにより、制御部Cは、収容部31内における各収納バケットAの位置の情報を取得し、収納部31内の収納バケットAの配置状態を判断することができるように構成されている。
収容部31は、収容空間S2内で収納バケットAを支持する支持機構であり、かつ、収納バケットAを搬送する搬送機構である支持搬送機構を備えており、この支持搬送機構は、図2及び図3に示されるように、収容空間S2内の上部に配設され、収容空間S2の上部に位置する収納バケットAを前後方向に支持搬送可能に構成された上部支持搬送機構311と、収容空間S2内の下部に配設され、収容空間S2の下部に位置する収納バケットAを前後方向に支持搬送可能に構成された下部支持搬送機構312とによって構成されている。また、収容部31は、前記収容空間S2内で積み上げられた収納バケットAのうち、任意の収納バケットを挟持して上下方向に搬送可能とする挟持リフト機構を備えており、この挟持リフト機構は、収容空間S内の前部S2fに配設され、収容空間Sの前部S2fに位置する任意の収納バケットAを挟持して上下方向に搬送可能に構成された前部挟持リフト機構313と、収容空間S内の後部S2rに配設され、収容空間Sの後部S2rに位置する任意の収納バケットAを挟持して上下方向に搬送可能に構成された後部挟持リフト機構314と、を備えて構成されている。また、上部支持搬送装置311及び下部支持搬送装置312は、それぞれ、走行車体3の収容空間S内に取り込まれた収納バケットAを支持搬送する機構である支持搬送機構5を備えている。
図4(a)は、上部支持搬送装置311及び下部支持搬送装置312の支持搬送機構5の概略平面図であり、図4(b)は、上部支持搬送装置311及び下部支持搬送装置312の支持搬送機構5の概略側面図である。
次に、上部支持搬送装置311及び下部支持搬送装置312がそれぞれ備えている支持搬送機構5の構成について説明する。支持搬送機構5は、収容空間S2内において、収納バケットAを支持し、前後方向への搬送を可能とするため、収容空間S2内の前後方向に延びる左右の回動軸51(51L,51R)を備え、この回動軸51(51L,51R)の一端に軸回動用モータ52(52L,52R)が連結され、この軸回動用モータ52(52L,52R)の駆動によって、回動軸51が正逆に回動可能となっている。さらに、左右の回動軸51(51L,51R)をそれぞれ回動可能に支持し、収容空間S2内において前後方向に延びる左右の支持フレーム53(53L,53R)を備え、この支持フレーム53(53L,53R)は、長手方向に沿って、複数の回動支持部材54(54L,54R)が等間隔で回動自在に取り付けられている。
この回動支持部材54(54L,54R)は、それぞれ、収容空間S2内で左右一対となるように設けられており、左右両側から収納バケットAを支持するように構成されている。また、回動支持部材54(54L,54R)は、それぞれ、支持状態にある収納バケットを搬送するため回動可能に設けられたローラ部541(541R,541L)と、両端が支持フレーム53(53L,53R)を貫通して軸支されている回転軸542(542L,542R)を備えており、該回転軸542(542L,542R)は、それぞれ、内側端にローラ部541(541R,541L)が設けられ、内側端から支持フレーム53(53L,53R)を挟んで外側端に、外側スプロケット544(544R,544L)が設けられ、回転軸542(542L,542R)の外側端よりやや内側の位置に内側スプロケット543(543L,543R)が設けられている。
図4(a)に示されるように、左右の支持フレーム53(53L,53R)の後端には、それぞれ、ローラ部541(541R,541L)を回動するためのチェーン用モータ55(55L,55R)が設けられている。
チェーン用モータ55(55L,55R)と隣接する最も後端に配設された回動支持部材54(54L,54R)の内側スプロケット543(543L,543R)は、チェーン用モータ55(55L,55R)と無端チェーン56(56L,56R)で連結されており、さらに、複数の回動支持部材54(54L,54R)は、後端の回動支持部材54(54L,54R)から前端の回動支持部材54(54L,54R)に至るまで、隣接する回動支持部材54(54L,54R)の、外側スプロケット544(544R,544L)同士と、内側スプロケット543(543L,543R)同士が、交互に、無端チェーン56(56L,56R)で連結されており、その結果、チェーン用モータ55(55L,55R)が駆動すると、駆動力が、支持フレーム53(53L,53R)の最も後端に配設された回動支持部材54(54L,54R)から最も前端に配設された回動支持部材54(54L,54R)まで伝達される。これにより、複数の回動支持部材54(54L,54R)のローラ部541(541R,541L)が同期しながら、回転軸542(542L,542R)を中心として、チェーン用モータ55(55L,55R)の駆動に応じて、時計回り又は反時計回りに回動するように構成されている。これにより、支持搬送機構5は、回動支持部材54(54L,54R)の回動によって、回動支持部材54(54L,54R)に支持された収容バケットAを前後方向に搬送できるように構成されている。
図5(a)は、支持姿勢の回動支持部材54を示しており、図5(b)は、非支持姿勢の回動支持部材54を示している。支持搬送機構5は、軸回動用モータ52(51L,52R)の駆動によって回転軸542(542L,542R)が回動すると、これと連動して回動支持部材54(54L,54R)のローラ部541(541R,541L)が、回動軸51(51L,51R)を中心として、上下に回動するように構成されている。その結果、回動支持部材54(54L,54R)を、回転軸542(542L,542R)が水平となった支持姿勢と、回転軸542(542L,542R)が傾斜した非支持姿勢とに切り替えることが可能となっている。
図5(a)に示されるように、回動支持部材54の支持姿勢においては、左右のローラ部541(541R,541L)が首を持ち上げるようにして収容空間S2の内側へと張り出し、これにより、収納バケットAの外枠に下方から当接し、左右両側から収納バケットAを支持するように構成されている。図5(b)に示されるように、左右のローラ部541(541R,541L)の非支持姿勢においては、回動軸51(51L,51R)の回動によって、左右のローラ部541(541R,541L)が首を垂れるように下方に回動した状態となり、左右のローラ部541(541R,541L)の間に、収納バケットAの外枠に干渉しない左右幅の空間が確保されるように構成されている。このようにして、左右の回動支持部材54(54L,54R)は、支持姿勢においては収納バケットAを支持し、非支持姿勢においては収納バケットAに干渉しない間隔を設けて構成されており、これにより、非支持姿勢から支持姿勢に切り替えることで、収容空間S2内に位置する収納バケットAを持ち上げて支持したり、支持姿勢から非支持姿勢に切り替えることで、支持していた収納バケットAを解放して載置したり、非支持姿勢の状態において、収納バケットAを走行車体3の収容空間S2に収容する場合や、排出開口部S3から収納バケットAを落下排出し、さらに、走行車体3の走行によって収容空間S2から収納バケットAを外部に移動させる場合に、左右のローラ部541(541R,541L)の間を収納バケットAが通過できるように構成されている。
図6は、上部支持搬送装置311の概略平面図であり、図7は、下部支持搬送装置312の概略平面図である。図6及び図7に示されるように、走行車体3内における収容空間S2の前後幅は、前後2段に積み上げられた収納バケットAを収容することができる長さに設けられている。また、図6に示されるように、収容空間S2内の上部に設けられた上部支持搬送装311によって支持された収納バケットAは、左右のローラ部541(541R,541L)の回動動作によって、前方(矢印方向)へと搬送可能となっている。これにより、後方の収容空間S2rに位置する収納バケットAを、前方の収容空間S2fへと搬送することが可能となっている。
また、図7に示されるように、収容空間S2内の下部に設けられた下部支持搬送装置312によって支持された収納バケットAは、左右のローラ部541(541R,541L)の回動動作によって、後方(矢印方向)へと搬送可能となっており、これにより、前方の収容空間S2fに位置する収納バケットAを、後方の収容空間S2rへと搬送することが可能となっている。すなわち、上部支持搬送装311と下部支持搬送装置312の左右のローラ部541(541R,541L)の回動方向は、逆向きとなるように構成されている。このように、上部支持搬送機構311及び下部支持搬送機構312の複数のローラ部54の回動方向が、互いに逆となるように設けられたことより、上部支持搬送機構311及び下部支持搬送機構312の収納バケットAの搬送方向を異ならせて構成できるため、作物が収納された収納バケットAと、空の収納バケットAを好適に入れ替えることができる。
図8(a)及び図8(b)は、収容空間S2の前部S2fにおける収容部31の動作を説明するための概略正面図である。
収容部31は、収納バケットA(A1〜A8)を収容空間S2内に収容した後、下部支持搬送装置312(312L,312R)における左右の回動支持部材54(54L,54R)を非支持姿勢から支持姿勢に切り替えることで、図8(b)に示されるように、収納バケットA(A1〜A8)を回動支持部材54(54L,54R)によって支持し、走行車体3内へ収納バケットA(A1〜A8)を搭載するよう構成されている。これにより、下部支持搬送装置312(312L,312R)における左右の回動支持部材54(54L,54R)の支持姿勢を維持しながら走行車体3が走行することで、走行車体3の収容空間S2内に搭載した複数の収納バケットAを運搬可能となっている。その結果、収穫用車両1は、複数の収納バケットAを搭載して走行することで、従来よりも収穫した作物の収容量を増加できるため、収納バケットの入れ替えに要する負担が大幅に軽減されるとともに、作業能率を向上できる。
収容空間S2の前部S2fにおける収容部31の左右両側には、左右の前部挟持リフト機構313(313L,313R)が設けられている。この左右の前部挟持リフト機構313(313L,313R)は、それぞれ、電動スライダによって上下動可能に構成された上下動機構61L,61Rと、上下動機構61L,61Rに取り付けられた左右の挟持爪62L,62Rを備えている。
左右の挟持爪62L,62Rは、制御部Cの制御によって開閉動作を行い、閉状態においては、図8(a)に示されるように、先端が鉛直方向を向いて収納されているが、開状態においては、図8(b)に示されるように、先端を収容空間S2の内側へと向け、収納バケットAの外枠の両側から係合し、収納バケットAを挟持するように構成されている。
このように構成された前部挟持リフト機構313(313L,313R)は、収容空間S内の前部S2fにおいて、左右の挟持爪62L,62Rをスライド移動するとともに開動作する高さ位置を選択することにより、収容空間S2の前部S2fに積み上げられた収納バケットA(A1〜A4)うち、任意のバケットAを挟持して上下方向に搬送可能となっており、さらに、収納バケットAを挟持している状態から、左右の挟持爪62L,62Rを閉動作することにより、収納バケットAを解放して載置することが可能となっている。
次に、収穫作業時において、下部支持搬送装置312(312L,312R)及び前部挟持リフト機構313(313L,313R)の連動によるバケットAの前後入れ替え搬送動作について説明する。まず、制御部Cの制御によって、前部挟持リフト機構313(313L,313R)は、収納バケットAを挟持した状態で、上下動機構61L,61Rを駆動し、上方に左右の挟持爪62L,62Rをスライド移動することにより、図8(b)に示されるように、下部支持搬送装置312(312L,312R)によって支持されている最下段のバケットA(A1)から、下から2段目に位置するバケットA(A2)を分離して持ち上げる。
これにより、収容部31は、下から2段目に位置するバケットA(A2)を分離して持ち上げた状態で、制御部Cの制御によって、下部支持搬送装置312(312L,312R)の回動支持部材54(54L,54R)を回動し、最下段のバケットA(A1)を、後方へと搬送する。このようにして、収容部31は、収容空間Sの前部S2fに積み上げられた収納バケットAを、前部S2fから後部S2rへと移動できるように構成されている。
図9(a)及び図9(b)に示されるように、収容空間S2の後部S2rにおける収容部31の両側には、前部S2fと同様に、左右の後部挟持リフト機構314(314L,314R)が設けられている。この左右の前部挟持リフト機構314(314L,314R)は、それぞれ、電動スライダによる上下動機構71L,71Rと、上下動機構71L,71Rに取り付けられた左右の挟持爪72L,72Rを備えている。このように構成された後部挟持リフト機構314(314L,314R)は、前部挟持リフト機構313(313L,313R)と同様の基本動作が可能となっている。
次に、収穫作業時において、上部支持搬送装置311(312L,311R)、下部支持搬送装置312(312L,312R)及び後部挟持リフト機構314(314L,314R)の連動によるバケットAの前後入れ替え搬送動作について説明する。図9(a)に示されるように、制御部Cの制御によって、前部挟持リフト機構313(313L,313R)は、後部挟持リフト機構314(314L,314R)を駆動し、収容空間S2の後部S2rに位置するバケットA(A5〜A8)を挟持して上方へと搬送して、バケット1つ分が収容可能な空間を形成し、そこへ前部S2fの最下段にあるバケットA(A1)を下部支持搬送装置312(312L,312R)によって搬送して収容する。
次に、図9(b)に示されるように、上部支持搬送装置311(312L,311R)の回動支持部材54を非支持姿勢から支持姿勢に切り替えて、最上段のバケットA(A8)を持ち上げる。このとき、最上段のバケットA(A8)は、下方のバケットA(A7)から切り離され、さらに、回動支持部材54(54L,54R)の回動により、前方へと搬送される。次に、最上段のバケットA(A8)が前方へと搬送されると、制御部Cは、上部支持搬送装置311(312L,311R)の回動支持部材54が再び非支持姿勢となるように制御し、最上段のバケットA(A8)を収容空間S2の前部S2fに載置する。また、後部挟持リフト機構314(314L,314R)は、左右の挟持爪72L,72Rを閉動作し、挟持していた収納バケットA(A5〜A7)を解放して、下方の収納バケットA(A1)に載置する。このようにして、収容部31は、収納バケットAを収容空間S内の後部S2rから前部S2fへと移動することができるように構成されている。その結果、収容部31は、収納バケットAを走行車体3内で前後上下に搬送して循環することで、収穫部2が作物を収納可能な作物収納位置にあるバケットAを順次交換可能に構成されている。これにより、収穫用車両1は、複数の収納バケットAを積載可能としながら、満杯となった収納バケットAの交換に係る作業負担が大幅に軽減されるよう構成されている。
(収穫用車両の走行機構について)
図10は、収穫用車両1の概略底面図である。
なお、図12においては図面の左側が収穫用車両1の前側であり、図面の右側が収穫用車両1の後側である。ここで、左右の車体フレーム3L,3Rの下部には、走行車体3の左右端部よりも内側寄りに、車両の前後方向に伸びる強化フレームである梁部320L,320Rが一体として取り付けられており、この左右一対の梁部320L,320Rによって、左右の車体フレーム3L,3Rの剛性を高めるように構成されている。
左右の車体フレーム3L,3Rの下部に設けられた走行機構は、走行車体3の前側から順に、レール案内ローラ401L,401R、第1レール走行ローラ402L,402R、第1レール支持ローラ403L,403R、第1多方向移動車輪404L,404R、多方向従動車輪405L,405R、第2レール走行ローラ406L,406R、第2レール支持ローラ407L,407R、第2多方向移動車輪408L,408R、第3のレール走行ローラ409L,409Rが、それぞれ、走行車体3の中心線Clに対して左右対称に配設されている。図10に示した点Gは、収穫用車両1の重心の位置(以下、重心点Gという。)を表している。
収穫用車両1は、第1多方向移動車輪404L,404Rを前輪、第2多方向移動車輪507L,507Rを後輪とする四輪駆動で地上を走行するように構成されており、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rは接地輪となっている。多方向従動車輪405L,405Rは、収穫用車両1の荷重を支持するための従動輪である。
第1多方向移動車輪404L,404R、多方向従動車輪405L,405R及び第2多方向移動車輪408L,408Rは、左右の車体フレーム3L,3R下部において、左右それぞれ、梁部320L,320Rよりも外側に配設されており、前後方向に一直線上並ぶように配設されている。多方向従動車輪405L,405Rは、第1多方向移動車輪及び第2多方向移動車輪408L,408Rの間に配設される。ここで、二列に並設された走行レール500の端部500tは、温水を循環するために略U字形状に形成されており、この端部から収穫用車両1が走行レール500上に進入する。したがって、左右の第1多方向移動車輪404L,404R、多方向従動車輪405L,405R及び第2多方向移動車輪408L,408Rは、それぞれ、二列に並設された走行レール500の左右幅Dよりも左右方向に離間して配設されており、これにより、収穫用車両1の走行レール500上への乗り入れが可能となっている。
なお、図10には、図示されていないが、走行車体3の前部には、走行レール500の端部500tを検知する走行レール端検知センサ87と、バケット台Bを検知するバケット台検知センサ85が適宜の位置に設けられている。
レール案内ローラ401L,401R、第1レール走行ローラ402L,402R、第1レール支持ローラ403L,403R、第2レール走行ローラ406L,406R、第2レール支持ローラ407L,407R、第3のレール走行ローラ409L,409Rは、収穫用車両1が走行レール500上を走行する際に用いられるレール走行専用ローラである。したがって、これらのレール走行専用ローラは、いずれも、収穫用車両1が走行レール500外を走行しているとき、接地しておらず中空に位置している。すなわち、これらのレール走行専用のローラの下端は、いずれも、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rの下端よりも上方に位置するように配設されている。
また、収穫用車両1が走行レール500上を走行しているときは、走行車体3は、第1レール走行ローラ402L,402R、第2レール走行ローラ406L,406R、第3レール走行ローラ409L,409Rに走行レール500上で支持されて、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rは接地せず、中空に位置している。
第1多方向移動車輪404L,404Rの前方に、第1レール走行ローラ402L,402Rを配し、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rの間に、第2レール走行ローラ406L,406Rを配し、第2多方向移動車輪408L,408Rの後方に、第3のレール走行ローラ409L,409Rを配した構成により、走行レール500上を走行する収穫用車両1の荷重を良好に分散して走行レール500に支持させることができ、走行レール500の撓みを軽減できる(図14参照。)。
収穫用車両1の走行機構について、以下さらに詳しく説明する。
左右のレール案内ローラ401L,401Rは、走行車体3の前端部に設けられ、走行車体3に対して上下方向の回転軸を有する、すなわち横回転の従動ローラである。
左右のレール案内ローラ401L,401Rは、走行レール500と略同一の高さとなるように設けられており、これにより、二列に並設された走行レール500の左右側部と接触すると摩擦力により回転し、収穫用車両3を走行レール500に沿って案内し、走行レール500の伸長方向に対する左右方向の位置ずれを防止し、収穫用車両1の進行方向が走行レール500から外れることを防止する機能を果たす。
左右のレール案内ローラ401L,401Rの配設間隔は、二列に並設された走行レール500の左右幅Dよりも、広い間隔で設けられている。これにより、収穫用車両1は、走行レール500への進入時に、走行レール500に対する収穫用車両1の位置が左右にずれていたとしても、走行レール500に接触した左右のレール案内ローラ401L,401Rが収穫用車両1の進行方向を案内することで、左右方向の位置すれを所定範囲許容しながら走行レール500上へ乗り上げることが可能となっており、その結果、走行レール500の伸長方向に対する収穫用車両1の進行方向の左右の位置ずれを軌道修正しながら、走行レール500に安定して乗り上げることができる。その結果、走行レール500への円滑な進入が可能となり、作業効率が向上する。
第1レール走行ローラ402L,402Rは、走行車体3の前部に配設され、走行車体3に対して左右方向の回転軸を有する、すなわち縦回転の駆動ローラであり、制御装置Cの制御により、正逆回転可能に設けられている。第1レール走行ローラ402L,402Rは、収穫用車両1の走行レール500の進入時及び走行時に、走行レール500上で、走行車体3を支持するとともに、回転駆動によって走行車体3に推進力を付与する機能を果たす。特に、収穫用車両1の走行レール500の進入する際、第1レール走行ローラ402L,402Rが走行車体3の前部に配設されていることにより、走行レール500上へスムーズに乗り上げることができる。また、第1レール走行ローラ402L,402Rが正逆回転可能に設けられていることにより、走行レール500への収穫用車両の乗り降りの際、第1多方向移動車輪404L,404Rが接地していなくても、十分な駆動力を得ることができる。
第1レール走行ローラ402L,402Rは、左右それぞれ、ベベルギア402L1,402R1を介して、レール走行伝動モータ402L2,402R2から動力が伝達されて回転駆動するよう構成されている。ここで、ベベルギア402L1,402R1を用いることにより、直線的に動力伝達する構成よりも左右幅を抑え、収容空間S2内や走行車体3の外方への出っ張りを防ぐように構成されている。また、第1レール走行ローラ402L,402Rは、梁部320L,320Rの下部に設けられて、収穫用車両1の荷重に良好に耐えながら支持できるよう構成されている。
第1レール走行ローラ402L,402Rの前後方向における同一直線状には、左右それぞれ、第2レール走行ローラ406L,406R、第3レール走行ローラ409L,409Rが配設されており、第2レール走行ローラ406L,406Rは、走行車体3の後部に、第3レール走行ローラ409L,409Rは、走行車体3の後端部に配されている。
第2レール走行ローラ406L,406R、第3レール走行ローラ409L,409Rは、左右方向に回転軸を有する、すなわち縦回転の回転自在な従動ローラであり、収穫用車両1が走行レール500上を走行する際に、走行車体3を支持するとともに、走行レール500との摩擦力を低減する機能を果たす。
第1レール走行ローラ402L,402R、第2レール走行ローラ406L,406R、第3レール走行ローラ409L,409Rは、前後方向に一直線上に配設され、梁部320L,320Rの下部に設けられている。これにより、収穫用車両1の荷重に良好に耐えながら支持でき、かつ、梁部320L,320Rの下部に設けられたことにより、走行レール500走行時における接地面積の減少による負荷の増大に対し、左右の車体フレーム3L,3Rの変形を好適に防止できる。
第3レール走行ローラ409L,409Rには、回転検出センサ86であるロータリエンコーダ(図10において図示省略)が設けられており、第3レール走行ローラ409L,409Rの回転数を検出可能となっている。この回転検出センサ86の検出情報を制御装置Cが取得することで、収穫用車両1の走行距離が計測できるようになっており、加えて、収穫用車両1の後部が走行レール500上に乗っているか否かを判断可能となっている。
ここで、駆動ローラに回転検出センサ86を配設すると、空滑りした際に、回転数と実際の走行距離に誤差が生じるが、従動ローラである第3レール走行ローラ409L,409Rに回転検出センサ86を配設したことにより、より正確に走行距離を計測できる。
第1レール支持ローラ403L,403Rは、走行車体3に対して上下方向の回転軸を有する、すなわち横回転の回転自在な従動ローラであり、第1レール支持ローラ403L,403Rの左右の配設間隔は、左右のレール案内ローラ401L,401Rの左右の配設間隔よりもやや狭く設けられており、二列に並設された走行レール500の左右幅Dと略同一の幅となるよう離間して配設されている。
第1レール支持ローラ403L,403Rは走行車体3の前部に設けられ、収穫用車両1が走行レール500上を走行するとき、二列に並設された走行レール500の両側に当接して、走行車体3前部の左右の位置ずれを良好に防止する。走行車体3後部には、第1レール支持ローラ403L,403Rと同様の構成で、第2レール支持ローラ406L,406Rが設けられており、走行車体3後部の左右の位置ずれを良好に防止する。
このような構成により、収穫用車両1が走行レール500を走行しているとき、第1レール支持ローラ403L,403R及び第2レール支持ローラ406L,406Rが、走行レール500の伸長方向に対する左右の位置ずれを良好に防止しながら収穫用車両1の走行方向を案内する。その結果、収穫用車両1は、二列に並設された走行レール500間に配置された収納バケットA(A1〜A8)を正確に取り込むことが可能となっている(図13参照。)。
走行車体3は、四輪駆動式の前輪としての機能を果たす第1多方向移動車輪404L,404Rと、後輪としての機能を果たす第2多方向移動車輪408L,408Rとを備えており、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rは接地輪となっている。
第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rは、左右それぞれが独立して駆動可能に設けられており、制御装置Cが、左右の第1多方向移動車輪404L,404Rと左右の第2多方向移動車輪408L,408Rのそれぞれの回転方向及び回転速度を制御することにより、走行車体3は全方向へ移動可能となっている。
具体的には、第1多方向移動車輪404L,404Rは、走行車体3の前部において左右方向に伸びる車軸線P1上に車輪の回転軸を有している。第1多方向移動車輪404L,404Rの車輪の構成は、一般にメカナムホイールと呼ばれるものであり、車軸線P1に対して回転軸を所定角度傾斜させたフリーローラが、車輪外周に沿って複数(本実施形態では、12輪)設けられている。
第2多方向移動車輪408L,408Rは、走行車体3の後部において左右方向に伸びる車軸線P3上に車輪の回転軸を有している。第2多方向移動車輪408L,408Rの車輪の構成は、第1多方向移動車輪404L,404Rと同様に、メカナムホイールで構成されている。
図10に示されるように、重心点Gが、筐体21前部の下方に位置するようして収穫部2が走行車体3上に配設されており、また、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rは、重心点Gから均等距離に配設されている。メカナムホイールは、四輪にかかる荷重がそれぞれ異なると、横移動や旋回にずれが生じるため、収穫用車両1の重心から均等距離に第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rをそれぞれ配設することで、均等に荷重をかけ、収穫用車両1の横移動や旋回時にスムーズに移動できる。加えて、重心点Gが、筐体21前部の下方に位置するようして収穫部2が走行車体3上に配設されているため、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rによる収穫用車両3の走行がさらに安定する。
左右の第1多方向移動車輪404L,404Rは、バッテリEから電力の供給を受ける第1電動モータ404L1、404R1から駆動力を得る。第1の電動モータ404L1、404R1から第1の多方向移動車輪404L,404Rへの動力伝達は、ベベルギア404L2、404R2によって、第1の電動モータ404L1、404R1の回転軸の方向を90度変えて動力が伝達されるよう構成されており、これにより、多方向移動車輪404L,404Rの駆動機構の左右幅の増加を抑えて、車体フレーム3L,3R内外への張出し部分の発生を抑え、収容空間S2を確保するとともに、障害物との接触を良好に防止する構成となっている。
第2多方向移動車輪408L,408Rは、第1多方向移動車輪404L,404Rと同様、バッテリEから電力の供給を受けて第2多方向移動車輪408L,408Rに駆動力を与える第2動モータ408L2と、第2電動モータ408L2、408R1の回転軸の方向を90度変えて動力を第2多方向移動車輪408L,408Rに伝達するベベルギア408L1、408R1とを備えて構成されている。
次に、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rの走行車体3への取付方法について、第2多方向移動車輪408Lを例に用いて説明する。
なお、第2多方向移動車輪408L、第2電動モータ408L2、ベベルギア408L1は、アセンブリ部品(ASSYユニット)としてモジュール化されており、修理交換が容易となっている。同様に、第1多方向移動車輪404L,404R、第2多方向移動車輪408R、第1レール走行ローラ402L,402R、第2レール支持ローラ407L,407R、回転検出センサ86についても、それぞれ、モジュール化されている。
図11は、第2多方向移動車輪408L周辺の要部側面図である。図11に示されるように、第2多方向移動車輪408Lは、走行車体3に取り付けられた取付連結軸410を軸として、第2多方向移動車輪408Lを軸支する取付部材411が回動可能に構成され、該取付部材411と車体フレーム3L間には、弾性部材412であるゴムが配設されている。第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408Rについても同様である。
このような構成によって、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rに緩衝能力が付与されている。これにより、収穫用車両1が段差や凹凸面を走行するとき、多方向移動車輪404L,404Rが走行車体3の荷重を受けながら接地面の高さに応じて上下動して、接地状態を良好に保持できるように構成されている。
ここで、左右の車体フレーム3L,3Rは、第1多方向移動車輪404L,404Rの上方に設けられた矩形の切欠き部321L1,321R1と、第2多方向移動車輪408L,408Rの上方に設けられた矩形の切欠き部321L2,321R2を備える。なお、図11においては、矢線dで示した範囲で切欠きが設けられている。
さらに、多方向移動車輪404L,404Rの上端が、該切欠き部321L,321Rよりも上方に位置するよう構成されており、第2多方向移動車輪408L,408R及び切欠き部321L2,321R2についても同様である。これにより、走行車体3の全高を抑え、収穫作業中に、収穫用車両1と植物と接触することを良好に防止できる。また、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rが緩衝能力により走行車体3に対して上下動しても、車体フレーム3L,3Rとの干渉が防止されるようになっている。
図12は、多方向従動車輪405の概略斜視図である。
左右の多方向従動車輪405L,405Rは、走行車体3の進行方向の全方向に従動可能な従動輪である。左右の多方向従動車輪405L,405Rは、一般にオムニホイール(登録商標)と呼ばれるものであり、左右方向に伸びる車軸線P2上に車輪の回転軸を有し、かつ、車軸線P2に対して回転軸が直交するフリーローラが、車輪外周に沿って複数(本実施形態では、6輪)設けられている。
ここで、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rは、車輪外周に沿って複数のフリーローラが設けられており、収穫用車両1の走行時にフリーローラに過負荷が生じることがある。したがって、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rの間に、全方向に従動可能な多方向従動車輪405L,405Rを配設することによって、収穫用車両1の全方向に対する移動に支障なく、収穫用車両1の荷重を支持することができ、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rへの過負荷を防止できる。
ここで、多方向従動車輪405L,405Rの下端は、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rの下端よりも、上方の高さ位置となるように配設されており、収穫用車両1が通常の平坦面を走行しているときは、地面から僅かに上方に位置し、接地しない構成となっている。走行車体3に荷重がかかり、沈んだ際に、多方向従動車輪405L,405Rが接地して収穫用車両1の荷重を支持するように構成されている。このように構成することで、通常の走行において、多方向従動車輪405L,405Rは、接地しないことにより、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2多方向移動車輪408L,408Rによる移動や旋回を妨げず、走行車体3に荷重がかかった場合に、良好に、収穫用車両1の荷重を支持することができる。
ここで、多方向従動車輪405L,405Rの車軸線P2と、走行車体3の中心線Clの交点は、重心点Gの近傍となるように設けられていることにより、多方向従動車輪405L,405Rが、収穫用車両1の荷重を支持しやすいように構成されている。これにより、収穫用車両1の走行がより安定する。
図15は、収穫用車両1の制御装置Cのブロック図である。
制御装置Cは、収穫用車両1の動作を統括して制御する。制御装置Cは、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理を行う処理部と、RAM(Random Access Memory)等の処理結果を記憶する記憶部と、入出力部とを含んで構成されている。制御部Cは、処理部と記憶部と入出力部とが互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能に構成されており、収穫用車両1の動作を制御するコンピュータプログラムが記憶装置81に格納されている。
制御装置Cの入力側には、作物を画像認識することで作物の位置情報を取得可能とする画像センサ82と、収容部31内に収容された収納バケットAの位置を検知する収納バケット検知センサ83と、収穫用車両1の栽培施設内の位置を検出する走行位置検出センサ84と、バケット台Bを検知するバケット台検知センサ85と、第3レール走行ローラ409L,409Rの回転数を検出する回転検出センサ86と、走行レール500の端部500tを検知する走行レール端検知センサ500tが接続されている。なお、画像センサ82、走行位置検出センサ84は、収穫用車両1の適宜の位置に設けられる。なお、走行レール端検知センサ87及び回転検出センサ86は、制御装置Cが、前記収穫用車両1が走行レール500上を走行しているか否かを判断可能とするレール上走行判断手段としての機能を果たす。
また、制御装置Cの出力側には、収穫装置24の駆動機構である収穫装置駆動機構Fと、走行車体3の走行機構4と、軸回動用モータ52と、チェーン用モータ55と、上下動機構61L,61Rと、挟持爪62L,62R,72R,72Lを開閉動作する機構である挟持爪開閉機構88が電気的に接続され、これらの動作が制御部Cによって制御可能となっている。
このように構成された収穫用車両1の制御装置Cは、走行レール500への進入時に、走行レール端検知センサ87により、走行レール500の端部500tを検知すると、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2の多方向移動車輪408L,408Rの駆動に加え、第1のレール走行ローラ402L,402Rを駆動するよう構成されている。これにより、走行レール500に進入したことを検知するセンサが不要となり、走行レール500への乗り入れ時に段差やずれがあった場合にも十分な駆動力を確保できる。その結果、円滑に走行レール500上に乗り入れることができる。
また、収穫用車両1が走行レール500への進入後に、収納バケットAを走行車体3内に取り込み、走行車体3内へ収納バケットA搭載が完了したことを、収納バケット検知センサ83及びバケット台検知センサ85の検知情報により判断すると、収穫用車両1が完全に走行レール上に正常に入ったと判断し、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2の多方向移動車輪408L,408Rの駆動を停止するように構成されている。これにより、走行レール500を走行中に駆動輪が不要に駆動すること防止でき、消費電力を削減できる。
なお、収穫用車両1が走行レール500への進入後に、回転検出センサ86が第3レール走行ローラ409L,409Rの回転を検出すると、収穫用車両1が完全に走行レール上に正常に入ったと判断し、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2の多方向移動車輪408L,408Rの駆動を停止するように構成してもよい。これにより、収穫用車両1の走行レール500への乗り上げが完了すると、迅速に第1多方向移動車輪404L,404R及び第2の多方向移動車輪408L,408Rの駆動を停止できる。
さらに、収穫用車両1が走行レール500への進入後に、回転検出センサ86が第3レール走行ローラ409L,409Rの回転を検出しなくなると、収穫用車両1が走行レール500から出たと判断し、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2の多方向移動車輪408L,408Rの駆動を再開するように構成してもよい。これにより、消費電力を抑えながら好適に地上の走行へと移行できる。
また、収穫用車両1の制御装置Cは、収穫作業終了後、収容部31の排出開口部S3から、収納バケットAをバケット台B上へ落下排出が完了したことを、収納バケット検知センサ83及びバケット台検知センサ85の検知情報により判断すると、走行レール500上から降りるため、停止していた第1多方向移動車輪404L,404R及び第2の多方向移動車輪408L,408Rを駆動するよう構成されている。これにより、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2の多方向移動車輪408L,408Rが駆動して走行レール500上から円滑に収穫用車両1を降ろすことができる。
収穫用車両1が走行レール500への進入後に、収納バケットAを走行車体3内に取り込み、走行車体3内へ収納バケットA搭載が完了したことを、収納バケット検知センサ83及びバケット台検知センサ85の検知情報により判断すると、収穫用車両1が完全に走行レール上に正常に入ったと判断し、第1多方向移動車輪404L,404R及び第2の多方向移動車輪408L,408Rの駆動を停止するように構成されている。これにより、走行レール500を走行中に駆動輪が不要に駆動すること防止でき、消費電力を削減できる。
図16は、収穫用車両1が使用される栽培施設の一例を示すものであり、この栽培施設は、暖房機や加湿機等により温度及び湿度等の室内環境が管理される温室である栽培室501と、該栽培室501に隣接する出荷室502とを備えている。前記栽培室1内の中央には作業者又は収穫用車両1あるいは防除作業車等が通過できるメイン通路504を設けており、このメイン通路504は、路面がコンクリートで構成されたコンクリート通路である。メイン通路504の両側の側方位置には、栽培ユニットとなる栽培ベッド505を多数列配置した作物を栽培するための栽培スペース506を構成している。尚、前記栽培ベッド505は培地となるロックウールで形成された栽培床部であり、出荷室502内の養液供給装置507から各栽培ベッド505へ養液が供給される構成となっている。また、メイン通路504の両端には開閉扉を備える栽培室501への出入り口508を設け、一方の出入り口508を介して隣接する出荷室502へ行き来できる構成となっている。尚、他方の出入り口8は、栽培施設の屋外から出入りできる構成となっている。そして、収穫用車両1をメイン通路504から各々の栽培ユニット(栽培ベッド505)の間のサブ通路509に移動させ、該サブ通路509で栽培ユニット(栽培ベッド505)に沿って収穫用車両1を走行させながら栽培する植物に対する各種作業を行うことができる。サブ通路509は、各々の栽培ユニット(栽培ベッド505)の左右間で前後方向に形成される通路となる。なお、図11には図示されていないが、収穫用車両1は、それぞれのサブ通路509上に2列で敷設された暖房用管を走行レール500として走行可能に構成されている。なお、暖房用管は、温水を管内に循環させる管状体であり、これにより、栽培室501内を暖房するものである。