JP6738570B2 - 分散協働型処理システム - Google Patents
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Description
また、本発明は、当該マニピュレータを備える処理用ロボットを用いることにより、分散協働型の処理用システム及びその運用方法を提供することを目的とする。
なお、処理用ロボットが実施する処理の具体的な内容としては、収穫対象物である果実類、野菜類等を摘み取って搬送用ロボット等に渡す収穫作業、不定形な果実の実や花を成長前に除去する間引き作業、不要な葉を切り落とす伐採作業等が含まれる。
なお、軸を表す符号として用いている(J1,J2,J3,J4)は物理的実体を有する機械部品としての軸ではなく、仮想直線としての言わば仮想軸線を表すものであるが、本明細書の記載においては、説明を簡素化するために一貫して、単に「軸」と表現している。また、用語「リンク」は、マニピュレータを構成する各部分、即ち、機素という意味で用いるものとする。
更にまた、第一リンクを、所定方向の移動成分と所定方向の移動成分を含んで、X字状の軌跡を往復運動可能とすることで、可動範囲をX字状の軌跡に沿って拡大するので更に好ましい。
本願発明の処理用ロボットでは、進行方向に直交する幅方向の寸法をWとし、第三リンクの長さをr1、第四リンクの長さをr2とした場合に、1/2×W>r1、r2が成り立つように、各寸法の長さを備えることで、マニピュレータが方向を180°転換するときに、第四リンクを旋回運動させて、第三リンクに対して折り畳むことにより、第三リンクと第四リンクが処理用ロボット自らの幅Wを超えて、はみ出すことがないので、両側の栽培棚に干渉させることなく処理作業を行うことができるので好ましい。
このように備えれば、リンクが処理用ロボットの自らの幅Wからはみ出すことはあっても、少なくとも栽培棚には干渉させることなく処理作業を行うことができるので好ましい。
本発明の処理用ロボットシステムによれば、処理した果実類を搬送するために処理作業を中断する必要がない、稼働効率の高い分散協働型処理システムを実現することができる。
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る処理用ロボット1は、図1及び図2に示すように、処理対象物であるイチゴ62を摘み取るマニピュレータユニット10と、マニピュレータユニット10を搭載して自律走行する走行ユニット30と、を備える。処理用ロボット1は、図3に示すように、隣接する栽培棚60の間の通路S1を走行しながら、栽培棚60からイチゴ62を摘み取り、前後に待機する搬送用ロボット40に受け渡す。処理用ロボット1は、搬送用ロボット40とともに、分散協働型処理システム70を構成する。
以下、処理用ロボット1の構成を説明し、次いで、処理用ロボット1を用いた分散協働型処理システム70に言及する。
マニピュレータユニット10は、走行ユニット30に載せられると水平方向に沿うベース11と、ベース11に設けられ、前後方向(所定方向)に移動成分を有して延びる軸J1に沿って直線往復運動可能な第一リンク12と、第一リンク12から鉛直方向の上向きに立ち上がり、軸J2を中心にして水平方向に旋廻可能な第二リンク14と、を備える。軸J1と軸J2は互いに垂直をなしている(「軸」とは、直線運動や旋廻運動の運動軸を表す架空の直線を意味するものであるが、以後の説明では、簡便化のため単に「軸」と表記することにする)。
なお、第一リンク12を直線往復運動させる駆動機構、第二リンク14を旋廻運動させる駆動機構、第三リンク16を昇降運動させる駆動機構及び第四リンク18を旋回運動させる駆動機構は、任意であり、公知の種々の駆動機構を用いることができる。
走行ユニット30は、それぞれ2つの車輪からなる径の大きい大輪32と、径の小さい小輪34とを備え、栽培棚60と栽培棚60の間の通路S1を前後(所定方向)に走行する。下部収納部36には、駆動用モータ、バッテリ、制御部、等のシステム統合モジュールが組み込まれる。取り付けベース38の下部には、画像処理のためのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、カラー画像入力装置、位置を特定するコンピュータシステム、駆動を制御するコンピュータシステム、等が収納される。なお、システム統合モジュールやコンピュータシステム等の図示は省略されている。
マニピュレータユニット10の可動範囲について図2を参照しながら説明する。また、図2では、軸J2は、第二リンク14の旋廻軸と第三リンク16の直線往復運動軸を兼ねる。
はじめに、図2(a)に示すように、マニピュレータユニット10は、第一リンク12が直線往復運動できるので、第二リンク14の旋廻軸J2の位置が、前端C1から後端C2までの距離Sを移動することができる。なお、この例では、旋廻軸J2と旋廻軸J3の距離及び旋廻軸J3から作業ハンド22の先端までの距離は、等しくrとなるように構成されている。
図2(c)は、第三リンク16が旋回運動することを加味したマニピュレータユニット10の可動範囲を示している。図2(c)に示すように、マニピュレータユニット10は、第一リンク12が前端C1から後端C2までの距離Sを移動できるので、破線で示すように、円弧部分が半径2rのトラック形状の軌跡に沿って移動することができる。
例えば、図2(b)に示すように、第二リンク14が中央に固定されているとすれば、その可動範囲は半径2rの単純な円形の領域に過ぎない。これに対し、マニピュレータユニット10の可動範囲は、水平移動体12がC1からC2の位置まで距離Sを移動することができるので、その分だけ拡張され水平方向に延伸した形状になっている。
このように、マニピュレータユニット10は、第一リンク12が直線往復運動できるので、可動範囲が広い。
処理用ロボット1は、マニピュレータユニット10と走行ユニット40を備える。処理用ロボット1は、マニピュレータユニット10が第一リンク12を旋廻させることにより、作業の方向に向けてハンド24の向きを自在に換えながら、左右両方の栽培棚60に対して処理作業を行う。特許文献1に記載されているマニピュレータユニットAのように、他方の栽培棚60に対する作業のためにいちいち通路を抜け出て180°方向転換する必要がない。また、マニピュレータユニット10が備える第一リンク12が処理用ロボット1の進行の前後方向に自在に移動できるので可動範囲が広くなり、前後に配置される搬送用ロボットに対して摘み取った果実を容易に渡すことができる。したがって、分散協働型の処理システムを構築するのに好適である。
次に、図3を参照して、処理用ロボット1の幅方向の両側に設けられる栽培棚60から、マニピュレータユニット10により、例えばイチゴ62を摘み取る作業を説明する。
この作業は、図3(a)に示すように、通路S1の幅方向の両側に設けられる一対の栽培棚60からイチゴ62を摘み取る。通路S1に配置される処理用ロボット1は、通路S1を走行する過程で停止して、イチゴ62を摘み取る。処理用ロボット1の前後には、処理用ロボット1が摘み取ったイチゴ62を受け取る搬送用ロボット40が、各1台ずつ縦列に配置されている。分散協働型処理システム70は、1台の処理用ロボット1と前後の所定位置に配置される計2台の搬送用ロボット40で構成される。搬送用ロボット40は、受け取ったイチゴ62を、栽培区域S0内の所定の集荷場所100に搬送する。栽培棚60で育成されているイチゴ62は、栽培棚60の範囲内に収まることもあれば、通路S1の側にはみ出すこともある。
また、処理用ロボット1及び搬送用ロボット40(分散協働型処理システム70)が通路S1を通過するときに、栽培棚60からはみ出したイチゴ62に干渉して傷つけることのないように、幅W’は幅Wよりも余裕をもって大きく設定されている。つまり、処理用ロボット1及び搬送用ロボット40が通路S1の幅方向の中央に配置されているものとすると、分散協働型処理システム70の幅方向の両側に距離gずつ、つまり左右合わせて2gに等しい距離の空きスペースが確保される。
また、処理用ロボット1の全長(進行方向の長さ)はLであり、摘み取ったイチゴ62を搬送用ロボット40に渡すために必要とされる最大リーチはRである。最大リーチRは、第三リンク16と第四リンク18が一直線状に伸びた状態で得られる。
以下に、処理用ロボット1及び搬送用ロボット40を用いた分散協働型処理システム70の例を、具体的な数値を用いて説明する。なお、リーチRは、搬送用ロボット40の荷台の進行方向の奥行きL’と、処理用ロボット1と搬送用ロボット40が運行中に接触することのないように必要な車間距離Gが設けられている。
[数値例]
通路S1の幅W’ = 80cm
搬送ロボット40の幅W = 60cm
フリースペースFの幅g = 10cm
W’,W,gの関係式 W’= W +2g
処理用ロボット1の幅W = 60cm
処理用ロボット1の全長L = 90cm
必要なリーチR = 85cm
第一リンク12の可動範囲S=60cm(第一リンクの長さの中央から±30cm)
そうすれば、第四リンク18を第三リンク16の側に折りたたんで第二リンク14を旋廻させれば、関節20がフリースペースFにはみ出すことはない。この条件を満たすには、第三リンク16の長さ=第四リンク18の長さ=搬送用ロボット40の幅Wの1/2=r=30cmとすればよい。
しかし、マニピュレータユニット10は、第一リンク12を可動範囲の中心C(図3(b))の位置からC’の位置まで約25cm移動させることで、作業ハンド22が搬送用ロボット40に届くようになりイチゴ62を受け渡すことができる。
図9に示すマニピュレータユニットBは、第一リンク12に相当する部分を備えない点を除けば、マニピュレータユニット10と同じリンク構成を備えている。
このマニピュレータBにおいて、図10(a)に示すように第三リンク16の長さ(30cm)と第四リンク18の長さ(30cm)は互いに等しく、かつ、走行ユニット30の幅W(60cm)の1/2に等しいものとする。この寸法では、二つのリンクの長さを加えても60cmにしかならないので、必要とされるリーチR(85cm)に満たないので、イチゴ62を搬送用ロボット40に受け渡すことができないことになる。
次に、分散協働型処理システム70の運用方法を、図4を参照して説明する。
図4は、栽培区域S0において、分散協働型処理システム70が運用されている様子を示した図である。図4では(a)〜(f)にしたがって時間が経過している。
図4(a)は、処理用ロボット1が図面に向かって右側の搬送用ロボット40に対して摘み取ったイチゴ62を渡していたところ、全てのストッカー42が満杯になった様子を表している。以下、満杯になった搬送用ロボット40は黒く塗りつぶして表示することにする。
図4(b)は、満杯になった右側の搬送用ロボット40が、処理用ロボット1の元を離れて栽培区域S0の角に設けられた集荷場所100に処理用ロボット1から渡されたイチゴ62を降ろしに向かうとともに、処理用ロボット1が作業ハンド22の向きを180°転回しようとしている様子を表す。処理用ロボット1は、180°転回すると直ちにイチゴ62を摘み取る処理を行い、図面に向かって左側の搬送用ロボット40に対する受け渡しを始める。
図4(d)は、左側の搬送用ロボット40に切換えてイチゴ62を渡している間に、右側の搬送用ロボット40がイチゴ62を降ろして元の位置で戻り待機している様子を示す。
図4(f)は、イチゴ62を降ろしに行った左側の搬送用ロボット40が道程R2を通って戻ってくるまでの間にも処理用ロボット1が作業を続け、右側の搬送用ロボット40に対して摘み取ったイチゴ62を渡すことにより、ストッカー42が渡されたイチゴ62で徐々に満たされている様子を示す。
また、マニピュレータユニット10では、一般に市販されている6軸、6関節のマニピュレータに比べると、4軸の構成であるため部品点数が少なく低コストに製作することができる。それとともに、マニピュレータユニット10を構成する要素には鉛直方向に対して斜めに傾斜するリンクがないので、一般のマニピュレータに比べて対象物と干渉することが少なく広い可動範囲を実現できる。
マニピュレータユニット10が重量物を支える場合は、一般のマニピュレータのようにトルク維持のための通電が必要でない箇所が多く、例えば、第一リンクがどの位置にいたとしても第一リンク12にかかる全荷重は、第一リンクを下方で支えるガイドレールが機構的に支えるので停止状態で電力を消費することがない。第二リンク14、及びア第四リンク18についても同様である。このような意味において、本実施形態のマニピュレータユニット10はエネルギ消費の少ない装置である。
つまり、第一リンクの移動方向と直交する軸J2を中心に水平方向に第二リンク14を旋廻運動させることにより、幅方向の両側の栽培棚60に作業ハンド22を向けることができ、第三リンク16を昇降させることにより、作業ハンド22を栽培棚60のイチゴ62に高さ方向の位置合わせをすることができる。また、第四リンク18を旋回運動させて、第三リンク16に対して折り畳むことにより、第三リンク16と第四リンク18を両側の栽培棚60に干渉させることなく、旋廻させることができる。さらに、第一リンク12を、前進及び後退させることにより、摘み取った処理対象物を搬送用ロボット40に受け渡すことができる。
例えば、図5に示すように、図1の第二リンク14と第三リンク16の取り付ける順序を変えて、第一リンク12(所定方向の軸J1に沿った移動成分で直線往復運動可能)、第三リンク16(第一リンクの移動方向である軸J1と直行する軸J2に沿って昇降運動可能)、第二リンク14(軸J2を中心に水平方向に旋廻運動可能)、第四リンク18(軸J3に中心に水平方向に旋廻運動可能)の順に設けたとしても、同様の可動範囲を有するマニピュレータユニット10を実現することができる。
10 マニピュレータユニット
11 ベース
12 第一リンク
14 第二リンク
16 第三リンク
18 第四リンク
18a H1リンク
18b H2リンク
20 関節
22 作業ハンド
24 デジタルカメラ
J1,J2,J3,J4 軸
30 走行ユニット
32 大輪
34 小輪
36 下部収納部
38 取り付けベース
40 搬送用ロボット
42 ストッカー
60 栽培棚
62 イチゴ
70 分散協働型処理システム
100 集荷場所
S0 栽培区域
S1 通路
F フリースペース
W’ 通路の幅
W 処理用ロボットの幅
L 処理用ロボットの長さ
C 第一リンクの可動範囲の中心位置
R 位置Cを基準した必要なリーチの長さ
S 第一リンクの可動範囲
Y 拡張される可動範囲
Claims (10)
- 処理用ロボットと、
前記処理用ロボットの進行方向の前後の所定位置に配置され、前記処理用ロボットから処理対象物を受け渡される搬送用ロボットと、を備え、
前記処理用ロボットと前記搬送用ロボットは、前記進行方向に直交する幅方向の両側に設けられる栽培棚の間の通路を進行し、
前記処理用ロボットは、所定方向に走行する走行ユニットと、前記走行ユニットに搭載されて、前記走行ユニットとともに走行するマニピュレータと、を備え、
前記搬送用ロボットは、受け渡された前記処理対象物を所定の集荷場所に移動して搬送し、
前記マニピュレータは、
所定方向の移動成分を有して軸J1に沿って往復運動可能な第一リンクと、
前記第一リンクから上向きに立ち上がる第二リンクと、
前記第二リンクに連なり、前記第二リンクとともに前記軸J1と垂直な軸J2を中心に旋廻可能であるか、又は、前記第二リンクに対して旋廻可能であるとともに、前記第一リンクに対して前記軸J1と垂直な前記軸J2に沿って昇降可能な第三リンクと、
前記第三リンクに連なり、前記第三リンクとの接続部分を中心に前記軸J2に平行な軸J3を中心に旋廻可能な第四リンクと、
前記第四リンクの先端に設けられる作業ハンドと、
を備えることを特徴とする分散協働型処理システム。 - 前記第二リンクは、前記第一リンクの移動方向と直交する前記軸J2を中心に水平方向に旋廻可能であり、
前記第三リンクは、前記軸J2に沿って昇降可能である、
請求項1に記載の分散協働型処理システム。 - 前記第二リンクは、前記第一リンクの移動方向と直交する前記軸J2に沿って昇降可能であり、
前記第三リンクは、前記軸J2を中心に旋廻可能である、
請求項1に記載の分散協働型処理システム。 - 前記第四リンクの中間に、前記軸J3と垂直をなす軸J4を中心に旋廻可能なH1リンク及び前記第四リンクと平行である軸を中心にねじり旋廻可能なH2リンク、の少なくとも一方又は双方が備えられる、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の分散協働型処理システム。 - 前記第一リンクは、
所定方向の移動成分のみを含んで往復直線運動可能である、
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の分散協働型処理システム。 - 前記第一リンクは、
所定方向の移動成分と前記所定方向の移動成分を含んで、X字状の軌跡を往復運動可能である、
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の分散協働型処理システム。 - 前記処理用ロボットの前記進行方向に直交する幅方向の寸法をWとし、
前記第三リンクの長さをr1、前記第四リンクの長さをr2とすると、
1/2×W>r1、r2が成り立つ、
請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の分散協働型処理システム。 - 待機状態の前記搬送用ロボットを備え、
先行して前記処理用ロボットの前又は後に配置されていた前記搬送用ロボットが、所定の前記集荷場所に移動すると、待機状態の前記搬送用ロボットが、前記所定位置に移動する、
請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の分散協働型処理システム。 - 前記処理用ロボットの前記進行方向の前の前記所定位置に配置されている前記搬送用ロボットへの前記処理対象物の受け渡しが定量になると、
前記処理用ロボットは、前記マニピュレータの向きを反転させて、
前記進行方向の後の前記所定位置に配置されている前記搬送用ロボットへの前記処理対象物の受け渡しを始め、
前記マニピュレータが向きを反転させる際に、前記第三リンク、前記第四リンクは、前記処理対象物を栽培する栽培棚と干渉しない、
請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の分散協働型処理システム。 - 前記処理用ロボットの前記進行方向に直行する前記栽培棚と前記栽培棚に挟まれる通路の幅の寸法をW’とし、
前記処理用ロボットが備える前記マニピュレータの前記第三リンクの長さをr1、前記第四リンクの長さをr2とすると、
1/2×W’ >r1、r2が成り立つ、
請求項1〜請求項9の何れかに記載の分散協働型処理システム。
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