JP7214612B2 - 農業用ロボット - Google Patents
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Description
特許文献1に開示された農業用ロボットは、走行体に作物の収穫を行うことが可能なマニピュレータが設けられている。
本発明は、作物の収穫時に、走行体とマニピュレータとのバランスをとることのできる農業用ロボットを提供することを目的とする。
また、前記アームは、前記第1アーム部に対して前記第2アーム部が揺動することで屈伸可能とされ、前記第1アーム部は、前記第1油圧シリンダで揺動駆動され、前記第2アーム部は、前記第2油圧シリンダで揺動駆動される。
また、前記検出センサは、前記作物の重量を取得する重量センサ、前記作物の香りを取得する香りセンサ、前記作物の打音を取得する打音センサのうちのいずれか1つまたは複数を含む。
図1、図2は、作物2の収穫用の農業用ロボット1を例示している。農業用ロボット1は、例えば、スイカ、メロン、カボチャ等の比較的重量のある作物2である重量野菜、果実の収穫に採用される。農業用ロボット1は、自律型の収穫ロボットである。即ち、農業用ロボット1は、自律走行し且つ収穫すべき作物2を自律判断により判別して収穫する。
以下の説明において、図1、図2に矢印A1で示す方向を前方、矢印A2で示す方向を後方、矢印A3で示す方向を前後方向として説明する。したがって、図2に矢印B1で示す方向(図1の手前側)が左方であり、図2に矢印B2で示す方向(図1の奥側)が右方である。また、前後方向A3に直交する水平方向を機体幅方向(図2の矢印B3方向)として説明する。
走行体3は、機体6と、機体6を走行可能に支持する走行装置7とを有している。
図3、図4に示すように、機体6は、メインフレーム6Aと、原動機フレーム6Bとを有している。メインフレーム6Aは、機体幅方向B3で間隔をあけて配置された一対の第1フレーム6Aaと、各第1フレーム6Aaの下方に間隔をあけて配置された一対の第2フレーム6Abとを有している。第1フレーム6Aaと第2フレーム6Abとは、複数の縦フレーム6Acによって連結されている。縦フレーム6Acは、左の第1フレーム6Aaと左の第2フレーム6Abとの前部間、右の第1フレーム6Aaと右の第2フレーム6Abとの前部間、左の第1フレーム6Aaと左の第2フレーム6Abとの後部間、右の第1フレーム6Aaと右の第2フレーム6Abとの後部間に設けられている。
第2フレーム6Abの前部同士は、第6横フレーム6Ajによって連結され、第2フレーム6Abの後部同士は、第7横フレーム6Akによって連結されている。
図2に示すように、メインフレーム6A(機体6)には、走行装置7を制御する複数のコントロールバルブ(第1コントロールバルブCV1~第4コントロールバルブCV4)が搭載されている。
走行フレーム10は、主支持体10Aと、揺動フレーム10Bと、車輪フレーム10Cとを有している。主支持体10Aは、機体6に縦軸(上下方向に延伸する軸心)回りに可能に支持されている。詳しくは、主支持体10Aは機体6に固定された支持ブラケット11に上下方向に延伸する軸心を有する第1支軸12Aを介して回動可能に支持されている。
第1車輪支持体9La及び第2車輪支持体9Raの揺動フレーム10Bは前上部が主支持体10Aに枢支され、第3車輪支持体9Lb及び第4車輪支持体9Rbの揺動フレーム10Bは後上部が主支持体10Aに枢支されている。
第1車輪支持体9La及び第2車輪支持体9Raの車輪フレーム10Cは後部が揺動フレーム10Bの後部に枢支され、第3車輪支持体9Lb及び第4車輪支持体9Rbの車輪フレーム10Cは前部が揺動フレーム10Bの前部に枢支されている。
操向シリンダC1は、機体6と主支持体10Aとの間に設けられている。詳しくは、操向シリンダC1の一端は、第1フレーム6Aaの前後方向A3中央部に固定されたシリンダブラケット14Aに枢支され、操向シリンダC1の他端は、主支持体10Aに固定されたシリンダブラケット14Bに枢支されている。操向シリンダC1を伸縮することにより走行フレーム10が第1支軸12A回りに揺動し、車輪8(第1車輪8La~第4車輪8Rb)の向きを変更する(操向する)ことができる。本実施形態の走行装置7にあっては、各車輪8を独立して操向可能である。
走行モータM1は、油圧モータによって形成されている。走行モータM1は、各車輪8に対応して設けられている。即ち、走行装置7は、第1車輪8Laを駆動する走行モータM1と、第2車輪8Raを駆動する走行モータM1と、第3車輪8Lbを駆動する走行モータM1と、第4車輪8Rbを駆動する走行モータM1とを有している。走行モータM1は、車輪8の機体幅方向B3の内方に配置され、車輪フレーム10Cに取り付けられている。走行モータM1は、油圧ポンプP1から吐出される作動油によって駆動され、正逆転可能である。走行モータM1を正逆転させることにより、車輪8の回転を正転方向と逆転方向とに切り換えることができる。
上記走行装置7にあっては、第1車輪8La~第4車輪8Rbを操向操作することで走行体3を操向することができる。第1車輪8La~第4車輪8Rbを正転させることで走行体3を前進させることができ、逆転させることにより走行体3を後進させることができる。第1車輪8La~第4車輪8Rbを昇降することにより走行体3を昇降することができる。第1車輪8La及び第2車輪8Raを第3車輪8Lb及び第4車輪8Rbに対して昇降することにより、或いは、第3車輪8Lb及び第4車輪8Rbを第1車輪8La及び第2車輪8Raに対して昇降することにより、機体6を前傾または後傾させることができる。第1車輪8La及び第3車輪8Lbを第2車輪8Ra及び第4車輪8Rbに対して昇降することにより、或いは、第2車輪8Ra及び第4車輪8Rbを第1車輪8La及び第3車輪8Lbに対して昇降することにより、機体6を、機体幅方向B3の一側が他側よりも高い傾斜状にすることができる。
図1に示すように、装着体16は、本実施形態では、走行体3の後部に設けられている。なお、装着体16は、走行体3の前部に設けられていてもよい。つまり、走行体3における前後方向A3の中央部から一方側に偏倚して設けられていればよい。また、本実施形態では、農業用ロボット1は、走行体3を前方に進行させて収穫作業を行うので、装着体16は、進行方向とは反対側の方向である進行逆方向側に偏倚して設けられている。
図7、図9に示すように、装着部19は、本体部19Aが下方に開口する筺体で形成されている。本体部19Aの下部には、前部に第1プレート部材19Bが固定され、後部に第2プレート部材19Cが固定されている。第1プレート部材19Bは、装着部19の前面下部に固定された第1壁19aと、第1壁19aの下端から後方に延びる第2壁19bと、第2壁19bの後端から下方に延びる第3壁19cと、第3壁19cの下端から後方に延びる第4壁19dとを有している。第2プレート部材19Cは、装着部19の後面下部に固定された第1壁19eと、第1壁19eの下端から前方に延びる第2壁19fと、第2壁19fの前端から下方に延びる第3壁19gと、第3壁19gの下端から前方に延びる第4壁19hとを有している。第4壁19dと第4壁19hは、複数の連結部材19Dによって連結されている。
以上のように、装着体16は、走行体3(機体6)に対して着脱可能である。
図7に示すように、装着部19には、回動シャフト20を支持するシャフト支持体24が立設されている。シャフト支持体24は、装着部19の上面に固定された中空状のベース部24Aと、ベース部24Aから上方に突出する支持筒24Bとを有している。
回動モータM2は、例えば、正逆転可能な電動モータによって構成されている。回動モータM2は、走行体3に搭載されたバッテリ(図示省略)から給電される電力によって作動する。なお、回動モータM2は、走行体3に搭載された油圧ポンプP1によって作動する油圧モータによって構成されていてもよい。
メインアーム29は、回動フレーム21に上下揺動可能に枢支され、屈伸可能である。詳しくは、メインアーム29は、回動フレーム21に上下揺動可能に枢支された第1アーム部31と、第1アーム部31に揺動可能に枢支された第2アーム部32とを有し、第1アーム部31に対して第2アーム部32が揺動することで屈伸可能とされている。
図4に示すように、第1アーム部31は、基部側31aであって且つ第1アーム枢軸33Aよりも先端側31c寄りに、シリンダ取付部31bを有している。このシリンダ取付部31bとシリンダブラケット27のシリンダ取付部27aとにわたって第1アームシリンダ(第1油圧シリンダ)C4が設けられている。第1アームシリンダC4は、走行体3に設けた油圧ポンプP1から吐出される作動油によって駆動されて伸縮する。第1アームシリンダC4を伸縮させることで第1アーム部31が上下揺動する。第1アーム部31(アーム17)を上下揺動させることにより、ロボットハンド18を昇降させることができる。第1アームシリンダC4には、第1アームシリンダC4のストロークを検出する第1ストロークセンサS1が設けられている。
図4、図8に示すように、複数の連結プレート35は、本実施形態では、第2アーム部32の長手方向に直交し且つ第3アームフレーム32Lと第4アームフレーム32Rとが対向する方向に直交する方向で対向配置された2枚で1組の連結プレート35を第2アーム部32の長手方向に間隔をあけて4組設けている。
図4に示すように、サブアーム30の先端側には、接合フランジ30Aが固定されている。接合フランジ30Aには、取付フランジ36がボルト等によって取り付けられ、取付フランジ36には、吊りプレート37が固定されている。吊りプレート37にロボットハンド18が枢支され、吊り下げられる(図1参照)。つまり、ロボットハンド18は、サブアーム30の先端側に揺動可能に取り付けられる。第2アーム部32の先端側には、サブアーム30の第2アーム部32からの突出量を測定(検出)する第3ストロークセンサS3が設けられている。
本実施形態にあっては、アーム17を回動可能に支持する回動フレーム21が走行体3の後部に設けられ、アーム17が後方側を向く作業姿勢W1にある状態で作物2の収穫作業を行うので、作業範囲を広くとることができる。
以上のように、本実施形態では、回動フレーム21が回動規制部材38に当接した状態から時計回りに回動して位置決め部材39に当接するまでの回動範囲は、略270°に設定されている。なお、回動フレーム21の回動範囲は、270°に限定されることはない。
なお、作物2の品質をセンシングすることのできるカメラ(例えば、マルチスペクトルカメラ、遠赤外線カメラ、近赤外線分光カメラ等)をロボットハンド18や走行体3等に設けてもよい。これにより、作物2の品質をセンシングしながら収穫すべき作物2を選択して収穫することができる。
制御装置41には、撮像装置5Aが接続されている。制御装置41は、撮像装置5Aが取得(検知)した情報(検知情報)を取得可能である。撮像装置5Aの検知情報によって、収穫すべき作物2、作物2との距離、作物2が栽培される栽培地と栽培地との間の通路と栽培地との境界、農業用ロボット1の周囲の様子等を制御装置41に把握(認識)させることができる。
制御装置41には、第1ストロークセンサS1が接続されている。制御装置41は、第1ストロークセンサS1の検出情報を取得可能であり、第1ストロークセンサS1の検出情報によって制御装置41に第1アーム部31の揺動量を把握させることができる。また、制御装置41には、第2ストロークセンサS2が接続されている。制御装置41は、第2ストロークセンサS2の検出情報を取得可能であり、第2ストロークセンサS2の検出情報によって制御装置41に第1アーム部31に対する第2アーム部32の揺動量を把握させることができる。
図14Aに示すように、制御装置41には、回動モータM2、第1シリンダ制御弁42、第2シリンダ制御弁43が接続されている。制御装置41は、回動モータM2を制御することで回動フレーム21の回動を制御するフレーム制御部41Bを有している。フレーム制御部41Bは、回動規制部材38で規制された回動フレーム21の位置を基準(旋回原点)として回動フレーム21の回動を制御する。つまり、フレーム制御部41Bは、旋回原点を基準として回動フレーム21の回動位置を算出し、回動フレーム21の回動を制御する。したがって、収穫作業を開始する前(初期)に、回動フレーム21を一度回動規制部材38まで回動させておき、回動フレーム21の初期位置を制御装置41に把握させておく。
図14Aに示すように、制御装置41には、第3ストロークセンサS3が接続されている。制御装置41は、第3ストロークセンサS3の検出情報を取得可能であり、第3ストロークセンサS3の検出情報によって制御装置41にサブアーム30の突出量を把握させることができる。
図14Aに示すように、第1アームシリンダC4及び第2アームシリンダC5の油圧制御回路44には、圧力センサ45が設けられている。圧力センサ45は、第1シリンダ制御弁42と第1アームシリンダC4のロッド側(ピストンロッドが突出する側)の油室とを接続する第1接続油路44a、第1シリンダ制御弁42と第1アームシリンダC4のボトム側(ヘッド側)の油室とを接続する第2接続油路44b、第2シリンダ制御弁43と第2アームシリンダC5のロッド側の油室とを接続する第3接続油路44c、第2シリンダ制御弁43と第2アームシリンダC5のボトム側の油室とを接続する第4接続油路44dに設けられている。圧力センサ45の検出情報によって、アーム17(第1アームシリンダC4及び第2アームシリンダC5)に作用する負荷を検出することができる。
なお、圧力センサ45は、第1接続油路44aと第2接続油路44bとの両方に設ける必要はなく、いずれか一方に設けられていていればよい。また、圧力センサ45は、第3接続油路44cと第4接続油路44dとの両方に設ける必要はなく、いずれか一方だけに設けてもよい。
作物2がスイカの場合は、判定部41Eは、図14Bに示すように、巻きひげ2aの色、表面の縞模様2b、葉2cの状態から収穫適期を判定する。詳しくは、巻きひげ2aが、付け根まで濃い褐色(枯れた状態)になったら収穫適期である。また、縞模様2bが鮮明なほど(縞模様の黒色がハッキリしていることが)収穫適期である。また、葉2cの状態が、黄色や濃い褐色になって枯れたら収穫適期である。
図14Aに示すように、制御装置41は、バランス制御部41Fを有している。バランス制御部41Fは、機体6とアーム17及びロボットハンド18(マニピュレータ4)とのバランスをとるべく第1車輪8La~第4車輪8Rbの位置を制御する。具体的には、バランス制御部41Fは、アーム17及びロボットハンド18とのバランスをとるべく第1車輪8La~第4車輪8Rbを昇降することで機体6の姿勢を制御する。より具体的には、図14Eに示すように、アーム17を機体幅方向B3の一方側、例えば、左側に回動させた状態で作物2を収穫する場合、走行体3の右側にある第2車輪8Ra及び第4車輪8Rbを上昇させる。すると、機体6は、右側が下がるように傾く。これにより、走行体3とマニピュレータ4とのバランスをとることができる。また、アーム17を右側に回動させた状態で作物2を収穫する場合は、走行体3の左側にある第1車輪8La及び第3車輪8Raを上昇させる。
また、車輪のトレッドを調整することにより、機体6とアーム17及びロボットハンド18とのバランスをとるように構成してもよい。
次に、図15を参照して、作物2を収穫する場合について説明する。図15は、作物2としてのスイカが栽培された圃場を示している。
なお、作物2を収穫した後に、ロボットハンド18の代わりにアーム17の先端側にレーキ(熊手)を取り付けて、収穫後にツタや葉を引き寄せる(かき寄せる)作業をすることもできる。この場合、アーム17は、サブアーム30を突出させて延ばした状態で使用することにより、通路47から遠い場所にあるツタや葉を引き寄せることができる。
本実施形態の農業用ロボット1は、種々の設計変更が可能である。例えば、アーム17に、サブアーム30を設けない場合もある。即ち、アーム17を第1アーム部31と第2アーム部32とで構成することもできる。また、収穫した作物2が収容される運搬車48は、追従型の自走式運搬車でなくてもよく、走行体3に牽引される牽引式の運搬車であってもよい。つまり、走行体3の後方を走行体3の走行に伴って移動する運搬車48であればよい。また、収穫した作物2を収容する収容容器を機体6に装備してもよい。
以下の説明において、外方とは、ロボットハンド18の中心を通る上下方向に延伸する中心線L1(図16参照)から該中心線L1に直交する方向に離れる方向(図16の矢印L2方向)をいう。また、内方とは、外方の反対方向であって、中心線L1に近づく方向(図16の矢印L3方向)をいう。
図19に示すように、支持体73は、上部体74と、下部体75とを有している。
図18に示すように、上部体74は、基壁74aと、基壁74aから上方に延出された複数の上連結片74bと、基壁74aから下方に延出された複数の下連結片74cと、基壁74aの中央部に設けられた軸受け部74dとを有している。本実施形態では、4つの上連結片74bが設けられ、各上連結片74bは、各延出壁68に対応する位置に配置されている。下連結片74cは、上連結片74bの間に夫々設けられている。したがって、本実施形態では、4つの下連結片74cが設けられている。図19に示すように、軸受け部74dは、上部体74の中央に位置し、軸受け74eを収容している。
図16、図18に示すように、昇降体62と支持体73とは、複数の伸縮リンク機構76によって連結されている。伸縮リンク機構76は、対応する第1部位68aと上連結片74bとを連結している。したがって、本実施形態では、4つの伸縮リンク機構76が設けられている。
図19に示すように、各把持ツメ81は、閉じバネ85によって閉じ方向に付勢されている。詳しくは、閉じバネ85は、ねじりコイルバネによって形成され、コイル部85aが第1揺動リンク83Aの上部を枢支する枢軸80の外側に嵌められている。閉じバネ85は、一端85bが第1揺動リンク83Aの係止部83aに係止され、他端85cがツメ取付部材79に係止されている。
図16、図19に示すように、ロボットハンド18は、把持ツメ81の開閉動作に連動する連動部材86を有している。連動部材86は、基部86aと、基部86aから斜め上方に延びるレバー86bとを有している。
図16に示すように、レバー86bは、基部86aの端部であって第1揺動リンク83Aに固定された端部とは反対側の端部から上方に向かうにつれて外方に移行する傾斜方向に延びていて、第3部位68cに形成された溝70を挿通している。把持ツメ81が閉じた状態で係合部材72がレバー86bに下から係合(当接)していることにより、把持ツメ81の開き方向の揺動が規制される。この係合部材72がレバー86bに下から係合している状態が係合状態X1である。
次に、スイカ等の作物2を収穫する際のロボットハンド18の動作について説明する。なお、以下の動作は、作物2からのびるツタ(つる)を切断した状態で作物2を収穫する場合について述べる。
図23の右図に示すように、作物2を移動場所に移動して該移動場所に載置した状態で、昇降体62を下降させると、係合部材72は、係合状態X1から係合解除状態X2になる。
また、ロボットハンド18の把持ツメ81は作物2の表面に接しながら開くので、把持ツメ81の内側に不用意にツタや葉が入り込むことを抑制しながら、特にロボットハンド18を制御しなくても、把持ツメ81によって自然にツタや葉を払い除けることができる。
また、作物2を持ち上げる際は、ロボットハンド18が上昇するとテコの作用で把持ツメ81が作物2を抱き込むので、動力がなくとも把持ツメ81を閉じて確実に作物2を把持できる。
図27~図34は、図1~図26に示す実施形態とは異なる実施形態を示している。図27は、等級判別収穫装置53を例示している。等級判別収穫装置53は、上記の農業用ロボット1と、運搬車48とを有して構成されている。
第2撮像装置5Bは、作物2の品質情報を撮影によって取得する装置である。第2撮像装置5Bが取得する作物2の分別に必要な品質情報は、作物2の外観から得られる品質情報であって、例えば、作物2の大きさ、形、色、模様(スイカにあっては縞模様)、傷などである。第2撮像装置5Bは、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)イメージセンサを搭載したCCDカメラ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサを搭載したCMOSカメラなどが採用される。
図28、図29に示すように、本実施形態では、検出センサ50は、重量センサ50A、香りセンサ50B、打音センサ50C、映像センサ50Dのうちの1つまたは複数を含む。
打音センサ50Cは、作物2の品質情報として、作物2に打撃を与えた(作物2を叩いた)ときの打音を取得するセンサである。打音センサ50Cは、ロボットハンド18(ベース部材18A)に設けられている。
図31に示すように、制御装置41は、等級仕分部41Kを有している。等級仕分部41Kは、マニピュレータ4を作動させることによって、等級判別部41Hが判別した作物2を、収穫容器48Aに割り当てられた等級別の所定位置(第1収容部48a~第4収容部48d)に仕分ける。即ち、第1収容部48aが第1等級(特級)の作物2を収容する所定位置であり、第2収容部48bが第2等級(秀)の作物2を収容する所定位置であり、第3収容部48cが第3等級(優)の作物2を収容する所定位置であり、第4収容部48dが第4等級(良)の作物2を収容する所定位置であるとした場合、第2撮像装置5B及び検出センサ50が取得した品質情報に基づいて、等級判別部41Hが作物2を第1等級であると判別すると、等級仕分部41Kは、フレーム制御部41B及びアーム制御部41Cによって、ロボットハンド18の位置制御を行って、作物2を第1収容部48aへ収容する。等級判別部41Hが、作物2を第2等級、第3等級または第4等級と判別した場合も同様に、作物2を対応する収容部へ収容する。
図32、図33、図34は、他の実施形態に係る農業用ロボット1を示している。
図32に示す農業用ロボット1は、マニピュレータ4が、回動フレーム21と、アーム17と、ロボットハンド18とを有して構成されるユニットを複数(4A、4B)有している。言い換えると、複数のアーム17を有し、複数のアーム17の各々にロボットハンド18を有している。詳しくは、図32に示す農業用ロボット1にあっては、マニピュレータ4は、2つのユニット4A、4Bを有して構成され、各ユニット4A、4Bは、各々、回動フレーム21、アーム17、第1アームシリンダC4、第2アームシリンダC5等を有している。
図33に示す農業用ロボット1にあっては、マニピュレータ4は、分岐アーム4Cを有している。分岐アーム4Cは、基アーム部4Caと、第1従アーム部4Cbと、第2従アーム部4Ccとを有している。基アーム部4Caは、サブアーム30が設けられる場合は、サブアーム30に取り付けられ、サブアーム30が設けられない場合は、第2アーム部32に取り付けられる。また、基アーム部4Caは、長手方向の中途部が、サブアーム30または第2アーム部32に取り付けられる。第1従アーム部4Cbは、基アーム部4Caの一端に枢支され、第2従アーム部4Ccは、基アーム部4Caの他端に枢支される。第1従アーム部4Cbは、基アーム部4Caに対して油圧シリンダC6によって揺動駆動され、第2従アーム部4Ccは、基アーム部4Caに対して油圧シリンダC7によって揺動駆動される。なお、基アーム部4Caは、サブアーム30または第2アーム部32に枢支され、油圧シリンダによって揺動駆動されるように構成されていてもよい。
図35~図40は、図1~図34に示す実施形態とは異なる実施形態を示している。
図35に示すように、原動機フレーム6Bには、農業用ロボット1に装備される電気機器に電力を供給するバッテリBTが搭載されている。
図36、図37に示すように、農業用ロボット1は、作業機53(図38参照)を昇降可能に連結する連結機構51を有している。本実施形態では、連結機構51は、1本のトップリンク51Aと、2本のロワーリンク51Bとを有する三点リンク機構で構成されている。連結機構51は、農業用ロボット1(走行体3)の前部に設けられている。トップリンク51Aは、第1動力取出し軸49よりも上方で且つメインフレーム6A(機体6)の前方に配置されている。詳しくは、トップリンク51Aは、メインフレーム6Aの前上部の機体幅方向B3中央部の前方に配置されている。トップリンク51Aの後部は、メインフレーム6Aに設けられたブラケット51aに機体幅方向B3に延伸する軸心回りに回動可能に枢支されている。2本のロワーリンク51Bは、トップリンク51A及び第1動力取出し軸49よりも下方で且つ原動機フレーム6B(機体6)の前方に配置されている。詳しくは、一方のロワーリンク51Bは、前フレーム6Baの左部の前方に配置され、他方のロワーリンク51Bは、前フレーム6Baの右部の前方に配置されている。各ロワーリンク51Bは、前フレーム6Baの下部に設けられたブラケット51bに機体幅方向B3に延伸する軸心回りに回動可能に枢支されている。
回動モータM2の出力軸Maは、原動機E1とは異なる動力源の動力を取り出す動力取出し軸(第2動力取出し軸)である。
図39に示すように、制御装置41には、通信ポート56が接続されている。通信ポート56には、農業用ロボット1に連結機構51を介して連結される作業機53に装備された制御部53Aが接続ケーブル等を介して接続可能である。制御装置41は、制御部53Aを制御する外部制御部41Lを有している。外部制御部41Lは、農業用ロボット1と作業機53との協調制御を行う。
上記の農業用ロボット1は、機体6と、機体6を走行可能に支持する車輪型の走行装置7であって、少なくとも3輪の車輪8を有する走行装置7と、機体6に取り付けられたアーム17と、アーム17に取り付けられていて対象物(作物2)を把持可能なロボットハンド18とを有するマニピュレータ4と、機体6とマニピュレータ4とのバランスをとるべく各車輪8の位置を制御するバランス制御部41Fと、を備えている。
また、バランス制御部41Fは、各車輪8の位置を制御して機体6の姿勢を制御する。
この構成によれば、機体6の姿勢を制御することで機体6とアーム17及びロボットハンド18とのバランスをとることができる。
また、マニピュレータ4は、アーム17が上下揺動可能に取り付けられる装着体16を有し、装着体16は、機体6に対して着脱可能に装着される。
この構成によれば、マニピュレータ4を他の形式のものに交換することができる。
また、機体6の周囲の情報を撮影によって取得する撮像装置5Aと、収穫する前に、撮像装置が取得した情報に基づいて、作物の個々の位置及び育成状況のマップ60を自動で生成するマップ作成部41Gを有している。
また、撮像装置5Aが取得した情報に基づいて、作物の種別に特化した特徴から作物の収穫適期を判定する判定部41Eを備えている。
この構成によれば、作物2を、収穫するか否かを自動的に選択しながら収穫できる農業用ロボット1を提供することができる。
また、ツメ取付部材79を枢軸78回りに上下揺動可能に支持する支持体73と、支持体73に設けられた駆動部87と、を備え、駆動部87は、動力部88と、動力部88の動力によってツメ取付部材79を枢軸78回りに上下揺動させることで把持ツメ81を強制的に開閉する駆動機構89とを有している。
また、動力部88は、モータによって構成され、駆動機構89は、モータによって回転駆動される第1ギヤ89Aと、第1ギヤ89Aに噛合し且つツメ取付部材79を枢軸78回りに上下揺動させる第2ギヤ89Bとを有している。
また、支持体73の上方に配置されており、且つ昇降可能な昇降体62と、上下方向に伸縮自在に構成されていて昇降体62と支持体73とを相対移動可能に連結する伸縮リンク機構76と、を備え、昇降体62は、把持ツメ81が作物2に当接して支持体73の下降が規制された状態で伸縮リンク機構76が収縮することで支持体73に対して下降し、ツメ取付部材79は、昇降体62が支持体73に対して下降した際に昇降体62が当接する当接部79dを有している。
また、係合部材72は、昇降体62に設けられていて昇降体62と共に昇降し、且つ昇降体62が当接部79dに当接した状態で係合解除状態X2にある。
また、ツメ取付部材79は、把持ツメ81が閉じた状態で連動部材86が当接することにより把持ツメ81の閉じ方向の移動を規制する規制部79bを有している。
また、把持ツメ81を閉じ方向に付勢する閉じバネ85を備えている。
この構成によれば、把持ツメ81が作物2の表面に沿って開く際に、該把持ツメ81を作物2の表面に良好に沿わせることができる。
上記ロボットハンドは、農業用ロボットに採用することができる。
また、制御装置41と、アーム17が作業姿勢W1にあるときの回動フレーム21の回動を規制する回動規制部材38を備え、制御装置41は、回動規制部材38で規制された回動フレーム21の位置を基準として回動フレーム21の回動を制御する。
また、回動フレーム21の回動を規制してアーム17を収納姿勢W2に位置決めする位置決め部材39を備え、回動フレーム21は、縦軸回りの第1回動方向Y3と第1回動方向Y3の反対方向である第2回動方向Y4とに回動可能であり、回動規制部材38は、回動フレーム21の第1回動方向Y3及び第2回動方向Y4のうちの一方の方向の回動を規制し、位置決め部材39は、回動フレーム21の第1回動方向Y3及び第2回動方向Y4のうちの他方の方向の回動を規制する。
また、アーム17に取り付けられていて作物2を把持可能なロボットハンド18を備え、アーム17は、回動フレーム21に上下揺動可能に枢支された第1アーム部31と、第1アーム部31に揺動可能に枢支された第2アーム部32とを有し、第1アーム部31に対して第2アーム部32が揺動することで屈伸可能とされ、制御装置41は、第1アーム部31及び第2アーム部32の揺動と回動フレーム21の回動とを制御することでロボットハンド18の位置を制御する。
また、作業姿勢W1において、第1アーム部31の先端側31cは、走行体3よりも一方側に位置しており、収納姿勢W2において、第1アーム部31の先端側31cは、走行体3の上方に位置している。
また、アーム17は、第2アーム部32に突出及び後退可能に設けられたサブアーム30を有し、ロボットハンド18は、サブアーム30の先端側に取り付けられている。
また、制御装置41は、サブアーム30の突出量を取得可能であり、突出量を加味してロボットハンド18の位置を制御する。
この構成によれば、伸縮可能なアーム17であってもロボットハンド18の位置制御を行うことができる。
この構成によれば、油圧シリンダによって重い作物2でも容易に持ち上げ搬送可能である。
また、アーム17を上下揺動させる第1油圧シリンダC4と、アーム17を屈伸させる第2油圧シリンダC5とを備えている。
また、アーム17は、回動フレーム21に上下揺動可能に枢支された第1アーム部31と、第1アーム部31に揺動可能に枢支された第2アーム部32とを有し、第1アーム部31に対して第2アーム部32が揺動することで屈伸可能とされ、第1アーム部31は、第1油圧シリンダC4で揺動駆動され、第2アーム部32は、第2油圧シリンダC5で揺動駆動される。
また、マニピュレータ4で収穫される作物2の品質情報を取得する品質検出装置49と、品質情報に基づいて、収穫される作物2の等級を判別する等級判別部41Hと、を備え、品質検出装置49は、マニピュレータ4で収穫される作物2の品質情報を撮影によって取得する撮像装置5Bと、撮像装置5Bで得られる品質情報とは異なる品質情報をセンシングによって取得する検出センサ50とを含み、等級判別部41Hは、撮像装置5Bが取得した品質情報と、検出センサ50が取得した品質情報とに基づいて作物2の等級を判別する。
また、マニピュレータ4に収穫動作を行わせる動作制御を行う制御部41と、マニピュレータ4を作動させることによって、等級判別部41Hが判別した作物2を、走行体3の走行に伴って移動する運搬車48の収穫容器48Aに割り当てられた等級別の所定位置(第1収容部48a~第4収容部48d)に仕分ける等級仕分部41Kと、を備えている。
また、検出センサ50は、作物2の重量を取得する重量センサ50A、作物2の香りを取得する香りセンサ50B、作物2の打音を取得する打音センサ50Cのうちのいずれか1つまたは複数を含んでいてもよい。
また、上記の農業用ロボット1は、走行体3と、走行体3の周囲の情報を取得する撮像装置5と、撮像装置5が取得した情報に基づいて、走行体3を自律走行させる制御装置41と、走行体3に搭載された原動機E1と、原動機E1の動力を取り出す第1動力取出し軸49と、を備えている。
また、原動機E1とは異なる動力源(回動モータM2)の動力を取り出す第2動力取出し軸(出力軸Ma)を備え、第1動力取出し軸49は、走行体3の前後方向A3の一方側に設けられ、第2動力取出し軸Maは、走行体3の前後方向A3の他方側に設けられている。
この構成によれば、第1動力取出し軸49を装備した側に取り付けられる作業機53に対する補助的な作業を、回動フレーム21、アーム17及びロボットハンド18を有して構成されるマニピュレータに行わせることができる。
この構成によれば、農業用ロボット1に作業機53を簡単に連結することができる。
また、作動流体を供給可能な流体圧源(油圧ポンプP1)と、流体圧源P1から供給される作動流体を外部に取り出すための外部取出しポート54と、を備えている。
また、電力を外部に供給するための電源ポート55を備えている。
この構成によれば、農業用ロボット1に装着される作業機53に装備された電気機器に電力を供給することができ、電動式の作業機53を簡単に後付けすることができる。
この構成によれば、農業用ロボット1と該農業用ロボット1に取り付けられる作業機53とを通信させることができ、これにより、農業用ロボット1と作業機53との協調制御を行うことができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
3 走行体
4 マニピュレータ
4A ユニット
4B ユニット
5B 撮像装置(第2撮像装置)
17 アーム
21 回動フレーム
41 制御装置
41D 制御部
41E 等級判別部
41F 等級仕分部
48 運搬車
48A 収穫容器
48a 所定位置(第1収容部)
48b 所定位置(第2収容部)
48c 所定位置(第3収容部)
48d 所定位置(第4収容部)
49 品質検出装置
50 検出センサ
50A 重量センサ
50B 香りセンサ
50C 打音センサ
W1 作業姿勢
Claims (6)
- 走行体と、
前記走行体に設けられ、作物の収穫を行うことが可能なマニピュレータと、
を備え、
前記マニピュレータは、上下方向に延伸する回動軸心の周囲を回動可能な回動フレームと、前記回動フレームに上下揺動可能に支持された屈伸可能なアームと、作物を把持可能なロボットハンドとを有し、
前記回動フレームは、前記走行体の進行方向とは反対側の方向である進行逆方向側に偏倚して設けられ、
前記アームは、前記進行逆方向側を向く作業姿勢で且つ前記回動軸心の周囲を所定の回動範囲内で収穫作業を行うものであって、前記回動フレームに上下揺動可能に枢支された第1アーム部と、前記第1アーム部に揺動可能に枢支された第2アーム部と、前記第2アーム部に突出及び後退可能に設けられ且つ先端側に前記ロボットハンドが取り付けられるサブアームとを有している農業用ロボット。 - 前記アームを上下揺動させる第1油圧シリンダと、
前記アームを屈伸させる第2油圧シリンダと、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記第1アーム部及び前記第2アーム部の揺動と前記回動フレームの回動とを制御することで前記ロボットハンドの位置を制御し、
さらに、前記制御装置は、前記サブアームの突出量を取得可能であり、前記突出量を加味して前記ロボットハンドの位置を制御する請求項1に記載の農業用ロボット。 - 前記アームは、前記第1アーム部に対して前記第2アーム部が揺動することで屈伸可能とされ、
前記第1アーム部は、前記第1油圧シリンダで揺動駆動され、
前記第2アーム部は、前記第2油圧シリンダで揺動駆動される請求項2に記載の農業用ロボット。 - 前記マニピュレータで収穫される作物の品質情報を取得する品質検出装置と、 前記品質情報に基づいて、収穫される作物の等級を判別する等級判別部と、
を備え、
前記品質検出装置は、前記マニピュレータで収穫される作物の品質情報を撮影によって取得する撮像装置と、前記撮像装置で得られる品質情報とは異なる品質情報をセンシングによって取得する検出センサとを含み、
前記等級判別部は、前記撮像装置が取得した品質情報と、前記検出センサが取得した品質情報とに基づいて作物の等級を判別する請求項1~3のいずれか1項に記載の農業用ロボット。 - 前記マニピュレータに収穫動作を行わせる動作制御を行う制御部と、
前記マニピュレータを作動させることによって、前記等級判別部が判別した作物を、前記走行体の走行に伴って移動する運搬車の収穫容器に割り当てられた等級別の所定位置に仕分ける等級仕分部と、
を備えている請求項4に記載の農業用ロボット。 - 前記検出センサは、前記作物の重量を取得する重量センサ、前記作物の香りを取得する香りセンサ、前記作物の打音を取得する打音センサのうちのいずれか1つまたは複数を含む請求項4又は5に記載の農業用ロボット。
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