JP7191808B2 - ロボットハンド及び農業用ロボット - Google Patents

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Description

本発明は、ロボットハンド及び農業用ロボットに関する。
従来、特許文献1に開示されたロボットハンドが知られている。
特許文献1に開示されたロボットハンドは、物体を把持可能な把持ツメを有している。把持ツメはシリンダボディに接続され、シリンダボディ内には、把持ツメを開閉する機構であるギヤシステムが内蔵されている。
特許第5092128号公報
特許文献1に開示のロボットハンドにあっては、ギヤシステムによって把持ツメの開閉の制御を行うので、把持ツメの開閉の構造が複雑である。
本発明は、前記問題点に鑑み、把持ツメの開閉の構造を簡素化することを目的とする。
本発明の一態様に係るロボットハンドは、作物を把持可能な把持ツメと、前記把持ツメが開閉可能に取り付けられるツメ取付部材であって昇降可能なツメ取付部材と、前記把持ツメの開閉動作に連動する連動部材と、前記連動部材と係脱可能な係合部材と、を備え、前記把持ツメは、前記ツメ取付部材を下降させて前記把持ツメを前記作物に押しつけることで、前記作物からの反力によって閉じた状態から前記作物の表面に沿って開き、前記係合部材は、昇降可能であって、前記連動部材から下方に離間して前記把持ツメの開閉を許容する係合解除状態と、前記連動部材に下から係合する係合状態とに変位可能であり、且つ前記係合状態で上昇して前記連動部材を引き上げることで前記把持ツメを閉じた状態に移動させる。
また、前記ツメ取付部材を枢軸回りに上下揺動可能に支持する支持体と、前記支持体に設けられた駆動部と、を備え、前記駆動部は、動力部と、前記動力部の動力によって前記ツメ取付部材を前記枢軸回りに上下揺動させることで前記把持ツメを強制的に開閉する駆動機構とを有している。
また、前記動力部は、モータによって構成され、前記駆動機構は、前記モータによって回転駆動される第1ギヤと、前記第1ギヤに噛合し且つ前記ツメ取付部材を前記枢軸回りに上下揺動させる第2ギヤとを有している。
また、前記支持体の上方に配置されており、且つ昇降可能な昇降体と、上下方向に伸縮自在に構成されていて前記昇降体と前記支持体とを相対移動可能に連結する伸縮リンク機構と、を備え、前記昇降体は、前記把持ツメが前記作物に当接して前記支持体の下降が規制された状態で前記伸縮リンク機構が収縮することで前記支持体に対して下降し、前記ツメ取付部材は、前記昇降体が前記支持体に対して下降した際に前記昇降体が当接する当接部を有している。
また、前記係合部材は、前記昇降体に設けられていて前記昇降体と共に昇降し、且つ前記昇降体が前記当接部に当接した状態で前記係合解除状態にある。
また、前記ツメ取付部材は、前記把持ツメが閉じた状態で前記連動部材が当接することにより前記把持ツメの閉じ方向の移動を規制する規制部を有している。
また、前記把持ツメを閉じ方向に付勢する閉じバネを備えている。
また、本発明の一態様に係る農業用ロボットは、上記ロボットハンドを備えている。
上記のロボットハンドによれば、把持ツメは、作物に押しつけられることで作物の反力によって閉じた状態から作物の表面に沿って開き、係合部材を上昇させて連動部材を引き上げることにより閉じる。これにより、把持ツメの開閉の構造を簡素化することができる。また、把持ツメが作物に押しつけられて作物の表面に沿って開く際に、作物の表面に在るツタや葉を把持ツメによって払い除けることができる。
農業用ロボットの側面図である。 農業用ロボットの平面図である。 機体及びマニピュレータの斜視図である。 機体及びマニピュレータの側面図である。 走行装置の平面図である。 走行装置の側面図である。 マニピュレータの装着部の側面断面図である。 アームの平面図である。 装着部の斜視図である。 機体後部の平面図である。 作業姿勢の状態の農業用ロボットの側面図である。 作業姿勢での回動規制を説明する平面図である。 収納姿勢の位置決めを示す平面図である。 システム構成を示す構成図である。 作物としてのスイカを示す斜視図である。 作物としてのメロンを示す斜視図である。 作物としてのカボチャを示す斜視図である。 走行体の姿勢制御を示す背面図である。 作物の位置及び育成状況のマップを示す図である。 作物の収穫作業を説明するための平面図である。 ロボットハンドの側面図である。 昇降体の側面図である。 昇降体、リンク機構、上部体の側面図である。 把持ツメを強制的に開閉する機構の側面図である。 昇降体とツメ取付部材との関係を示す側面図である。 把持ツメと係合部との関係を示す側面図である。 ロボットハンドの動作を示す側面図である。 ロボットハンドの動作を示す側面図である。 ロボットハンドの動作を示す側面図である。 把持ツメの閉じ動作を示す側面図である。 把持ツメを強制的に開く動作を示す側面図である。 等級判別収穫装置の全体平面図である。 農業用ロボットの側面図である。 作業姿勢の状態の農業用ロボットの側面図である。 ロボットハンドの一部拡大図である。 システム構成を示す構成図である。 農業用ロボットの他の例を示す斜視図である。 農業用ロボットの他の例を示す斜視図である。 農業用ロボットの他の例を示す斜視図である。 農業用ロボットの側面図である。 農業用ロボットの平面図である。 機体及びマニピュレータの側面図である。 作業姿勢の状態の農業用ロボットの側面図である。 システム構成を示す構成図である。 マニピュレータの装着部の他の例を示す側面断面図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1、図2は、作物2の収穫用の農業用ロボット1を例示している。農業用ロボット1は、例えば、スイカ、メロン、カボチャ等の比較的重量のある作物2である重量野菜、果実の収穫に採用される。農業用ロボット1は、自律型の収穫ロボットである。即ち、農業用ロボット1は、自律走行し且つ収穫すべき作物2を自律判断により判別して収穫する。
なお、収穫する作物2としては、上記した作物2に限定されることはない。農業用ロボット1は、収穫以外の作業、例えば農薬や肥料の散布に使用されてもよい。
以下の説明において、図1、図2に矢印A1で示す方向を前方、矢印A2で示す方向を後方、矢印A3で示す方向を前後方向として説明する。したがって、図2に矢印B1で示す方向(図1の手前側)が左方であり、図2に矢印B2で示す方向(図1の奥側)が右方である。また、前後方向A3に直交する水平方向を機体幅方向(図2の矢印B3方向)として説明する。
図1に示すように、農業用ロボット1は、自律走行する走行体3と、走行体3に装着されたマニピュレータ4と、撮像装置(第1撮像装置)5Aとを有している。
走行体3は、機体6と、機体6を走行可能に支持する走行装置7とを有している。
図3、図4に示すように、機体6は、メインフレーム6Aと、原動機フレーム6Bとを有している。メインフレーム6Aは、機体幅方向B3で間隔をあけて配置された一対の第1フレーム6Aaと、各第1フレーム6Aaの下方に間隔をあけて配置された一対の第2フレーム6Abとを有している。第1フレーム6Aaと第2フレーム6Abとは、複数の縦フレーム6Acによって連結されている。縦フレーム6Acは、左の第1フレーム6Aaと左の第2フレーム6Abとの前部間、右の第1フレーム6Aaと右の第2フレーム6Abとの前部間、左の第1フレーム6Aaと左の第2フレーム6Abとの後部間、右の第1フレーム6Aaと右の第2フレーム6Abとの後部間に設けられている。
左の第1フレーム6Aaと右の第1フレーム6Aaとは、第1フレーム6Aa間に配置された第1横フレーム6Ad~第5横フレーム6Ahによって連結されている。第1横フレーム6Ad~第5横フレーム6Ahは、第1フレーム6Aaの前端から後端にわたって前後方向A3で間隔をあけて並行状に配置されている。
第2フレーム6Abの前部同士は、第6横フレーム6Ajによって連結され、第2フレーム6Abの後部同士は、第7横フレーム6Akによって連結されている。
原動機フレーム6Bは、メインフレーム6Aの下方側に配置されている。原動機フレーム6Bは、前フレーム6Baと、後フレーム6Bbと、複数の連結フレーム6Bcと、複数の取付フレーム6Bdとを有している。前フレーム6Baは、上部が、左及び右の第2フレーム6Abの前部に取り付けられている。後フレーム6Bbは、上部が、左及び右の第2フレーム6Abの前部に取り付けられている。複数の連結フレーム6Bcは、前フレーム6Baと後フレーム6Bbの下部間を連結している。複数の取付フレーム6Bdは、連結フレーム6Bcの前後方向A3中央部に固定されている。
図4に示すように、取付フレーム6Bdには、原動機(エンジン)E1が取り付けられている。原動機E1には、油圧ポンプP1が取り付けられている。油圧ポンプP1は、原動機E1で駆動される。また、原動機フレーム6Bには、油圧ポンプP1から吐出する作動油を貯留する作動油タンク(図示省略)が搭載されている。
図2に示すように、メインフレーム6A(機体6)には、走行装置7を制御する複数のコントロールバルブ(第1コントロールバルブCV1~第4コントロールバルブCV4)が搭載されている。
図1、図2に示すように、走行装置7は、4輪の車輪8を有する車輪型(4輪型)の走行装置7で構成されている。詳しくは、走行装置7は、機体6前部の左側に配置された第1車輪8La(左前輪)と、機体6前部の右側に配置された第2車輪8Ra(右前輪)と、機体6後部の左側に配置された第3車輪8Lb(左後輪)と、機体6後部の右側に配置された第4車輪8Rb(右後輪)とを備えている。なお、走行装置7は、少なくとも3輪の車輪8を有する車輪型走行装置で構成されていてもよい。また、走行装置7は、クローラ型の走行装置であってもよい。
走行装置7は、車輪8を支持する車輪支持体9を有している。車輪支持体9は、車輪8に対応する数設けられている。つまり、走行装置7は、第1車輪8Laを支持する第1車輪支持体9La、第2車輪8Raを支持する第2車輪支持体9Ra、第3車輪8Lbを支持する第3車輪支持体9Lb及び第4車輪8Rbを支持する第4車輪支持体9Rbを有している。
図5、図6に示すように、車輪支持体9は、走行フレーム10と、操向シリンダC1と、第1昇降シリンダC2と、第2昇降シリンダC3と、走行モータM1とを有している。
走行フレーム10は、主支持体10Aと、揺動フレーム10Bと、車輪フレーム10Cとを有している。主支持体10Aは、機体6に縦軸(上下方向に延伸する軸心)回りに可能に支持されている。詳しくは、主支持体10Aは機体6に固定された支持ブラケット11に上下方向に延伸する軸心を有する第1支軸12Aを介して回動可能に支持されている。
図2に示すように、第1車輪支持体9Laを枢支する支持ブラケット11は機体6の前部左側に設けられ、第2車輪支持体9Raを枢支する支持ブラケット11は機体6の前部右側に設けられ、第3車輪支持体9Lbを枢支する支持ブラケット11は機体6の後部左側に設けられ、第4車輪支持体9Rbを枢支する支持ブラケット11は機体6の後部右側に設けられている。
揺動フレーム10Bは、主支持体10Aに上下揺動可能に支持されている。詳しくは、揺動フレーム10Bは、上部が主支持体10Aに第2支軸12Bを介して横軸(機体幅方向B3に延伸する軸心)回りに回動可能に支持されている。
第1車輪支持体9La及び第2車輪支持体9Raの揺動フレーム10Bは前上部が主支持体10Aに枢支され、第3車輪支持体9Lb及び第4車輪支持体9Rbの揺動フレーム10Bは後上部が主支持体10Aに枢支されている。
車輪フレーム10Cは、揺動フレーム10Bに上下揺動可能に支持されている。詳しくは、車輪フレーム10Cは、揺動フレーム10Bに第3支軸12Cを介して横軸回りに回動可能に支持されている。
第1車輪支持体9La及び第2車輪支持体9Raの車輪フレーム10Cは後部が揺動フレーム10Bの後部に枢支され、第3車輪支持体9Lb及び第4車輪支持体9Rbの車輪フレーム10Cは前部が揺動フレーム10Bの前部に枢支されている。
操向シリンダC1、第1昇降シリンダC2及び第2昇降シリンダC3は、油圧シリンダによって構成されている。
操向シリンダC1は、機体6と主支持体10Aとの間に設けられている。詳しくは、操向シリンダC1の一端は、第1フレーム6Aaの前後方向A3中央部に固定されたシリンダブラケット14Aに枢支され、操向シリンダC1の他端は、主支持体10Aに固定されたシリンダブラケット14Bに枢支されている。操向シリンダC1を伸縮することにより走行フレーム10が第1支軸12A回りに揺動し、車輪8(第1車輪8La~第4車輪8Rb)の向きを変更する(操向する)ことができる。本実施形態の走行装置7にあっては、各車輪8を独立して操向可能である。
第1昇降シリンダC2は、一端が揺動フレーム10Bに枢支され、他端が第1リンク機構15Aに枢支されている。第1リンク機構15Aは、第1リンク15aと第2リンク15bとを有している。第1リンク15aの一端は、主支持体10Aに枢支され、第2リンク15bの一端は揺動フレーム10Bに枢支されている。第1リンク15aと第2リンク15bとの他端は、第1昇降シリンダC2の他端に枢支されている。第1昇降シリンダC2を伸縮することにより揺動フレーム10Bが第2支軸12B回りに上下揺動する。
第2昇降シリンダC3は、一端が揺動フレーム10Bの前部に枢支され、他端が第2リンク機構15Bに枢支されている。第2リンク機構15Bは、第1リンク15cと第2リンク15dとを有している。第1リンク15cの一端は、揺動フレーム10Bに枢支され、第2リンク15dの一端は車輪フレーム10Cに枢支されている。第1リンク15cと第2リンク15dとの他端は、第2昇降シリンダC3の他端に枢支されている。第2昇降シリンダC3を伸縮することにより車輪フレーム10Cが第3支軸12C回りに上下揺動する。
第1昇降シリンダC2による揺動フレーム10Bの上下揺動と、第2昇降シリンダC3による車輪フレーム10Cの上下揺動とを組み合わせることによって車輪8を平行状に昇降させることができる。
走行モータM1は、油圧モータによって形成されている。走行モータM1は、各車輪8に対応して設けられている。即ち、走行装置7は、第1車輪8Laを駆動する走行モータM1と、第2車輪8Raを駆動する走行モータM1と、第3車輪8Lbを駆動する走行モータM1と、第4車輪8Rbを駆動する走行モータM1とを有している。走行モータM1は、車輪8の機体幅方向B3の内方に配置され、車輪フレーム10Cに取り付けられている。走行モータM1は、油圧ポンプP1から吐出される作動油によって駆動され、正逆転可能である。走行モータM1を正逆転させることにより、車輪8の回転を正転方向と逆転方向とに切り換えることができる。
第2車輪支持体9Ra、第3車輪支持体9Lb及び第4車輪支持体9Rbは、車輪支持体9Laを構成する構成部品と同様の構成部品を有している。第2車輪支持体9Raは、車輪支持体9Laと左右対称に構成されている。第3車輪支持体9Lbは、第2車輪支持体9Raを機体6の中心を通る上下方向のセンタ軸心回りに180°回転させた形態を呈している。第4車輪支持体9Rbは、車輪支持体9Laをセンタ軸心回りに180°回転させた形態を呈している。
第1車輪支持体9Laに装備された油圧アクチュエータは、第1コントロールバルブCV1によって制御される。第2車輪支持体9Raに装備された油圧アクチュエータは、第2コントロールバルブCV2によって制御される。第3車輪支持体9Lbに装備された油圧アクチュエータは、第3コントロールバルブCV3によって制御される。第4車輪支持体9Rbに装備された油圧アクチュエータは、第4コントロールバルブCV4によって制御される。
したがって、第1車輪8La~第4車輪8Rbは、それぞれ独立的に操向可能である。また、第1車輪8La~第4車輪8Rbは、それぞれ独立的に昇降可能である。
上記走行装置7にあっては、第1車輪8La~第4車輪8Rbを操向操作することで走行体3を操向することができる。第1車輪8La~第4車輪8Rbを正転させることで走行体3を前進させることができ、逆転させることにより走行体3を後進させることができる。第1車輪8La~第4車輪8Rbを昇降することにより走行体3を昇降することができる。第1車輪8La及び第2車輪8Raを第3車輪8Lb及び第4車輪8Rbに対して昇降することにより、或いは、第3車輪8Lb及び第4車輪8Rbを第1車輪8La及び第2車輪8Raに対して昇降することにより、機体6を前傾または後傾させることができる。第1車輪8La及び第3車輪8Lbを第2車輪8Ra及び第4車輪8Rbに対して昇降することにより、或いは、第2車輪8Ra及び第4車輪8Rbを第1車輪8La及び第3車輪8Lbに対して昇降することにより、機体6を、機体幅方向B3の一側が他側よりも高い傾斜状にすることができる。
マニピュレータ4は、本実施形態では、少なくとも作物2の収穫を行うことが可能な装置である。図3、図4に示すように、マニピュレータ4は、走行体3(機体6)に着脱可能に装着された装着体16と、装着体16に取り付けられたアーム17と、アーム17に設けられていて作物(対象物)2を把持可能なロボットハンド18とを備えている。
図1に示すように、装着体16は、本実施形態では、走行体3の後部に設けられている。なお、装着体16は、走行体3の前部に設けられていてもよい。つまり、走行体3における前後方向A3の中央部から一方側に偏倚して設けられていればよい。また、本実施形態では、農業用ロボット1は、走行体3を前方に進行させて収穫作業を行うので、装着体16は、進行方向とは反対側の方向である進行逆方向側に偏倚して設けられている。
図7に示すように、装着体16は、走行体3に着脱可能に装着される装着部19と、装着部19に縦軸回りに回動可能に支持された回動シャフト20と、回動シャフト20を回転駆動する回動モータM2と、回動シャフト20と一体回動する回動フレーム21とを有している。
図7、図9に示すように、装着部19は、本体部19Aが下方に開口する筺体で形成されている。本体部19Aの下部には、前部に第1プレート部材19Bが固定され、後部に第2プレート部材19Cが固定されている。第1プレート部材19Bは、装着部19の前面下部に固定された第1壁19aと、第1壁19aの下端から後方に延びる第2壁19bと、第2壁19bの後端から下方に延びる第3壁19cと、第3壁19cの下端から後方に延びる第4壁19dとを有している。第2プレート部材19Cは、装着部19の後面下部に固定された第1壁19eと、第1壁19eの下端から前方に延びる第2壁19fと、第2壁19fの前端から下方に延びる第3壁19gと、第3壁19gの下端から前方に延びる第4壁19hとを有している。第4壁19dと第4壁19hは、複数の連結部材19Dによって連結されている。
図7に示すように、第3壁19c,19g、第4壁19d,19h及び複数の連結部材19Dによって、係合部19Eが構成されている。つまり、装着部19は、下部側に下方に突出する係合部19Eを有している。係合部19Eは、第4横フレーム6Ag(第1装着フレーム)と第5横フレーム6Ah(第2装着フレーム)との間に差し込み可能とされている。
図7、図10に示すように、第4横フレーム6Agの下面には、機体幅方向B3で並べて配置された一対の載置プレート22Aが後方突出状に固定されている。また、第5横フレーム6Ahの下面にも、機体幅方向B3で並べて配置された一対の載置プレート22Bが前方突出状に固定されている。載置プレート22Aと載置プレート22Bとは、連結プレート23によって連結されている。機体6上面側であって機体6の左部及び右部には、それぞれプレート部材6Dが固定されている。左及び右のプレート部材6D間であって且つ第4横フレーム6Agと第5横フレーム6Ahとの間が、係合部19Eを差し込む差し込み部6E(図10参照)とされている。
図7に示すように、係合部19Eを第4横フレーム6Agと第5横フレーム6Ahとの間に差し込むことで、機体6(走行体3)は装着部19を保持可能である。詳しくは、第2壁19bは、第4横フレーム6Agの上面に載置され、第3壁19cは、第4横フレーム6Agの後面に当接する。第4壁19dは、載置プレート22Aに載置される。また、第2壁19fは、第5横フレーム6Ahの上面に載置され、第3壁19gは、第5横フレーム6Ahの前面に当接する。第4壁19hは、載置プレート22Bに載置される。これにより、機体6は、装着部19を保持する。言い換えると、装着部19を簡易に保持することができる。また、着脱も容易である。
連結部材19Dは、本実施形態では、アングル材によって形成され、上部にナット部材(図示省略)が固定されている。このナット部材に、連結プレート23、載置プレート22A,22B及び連結部材19Dを下方から貫通するボルトをねじ込むことにより、係合部19E(装着部19)を、該ボルトによって着脱可能に固定することができる。
以上のように、装着体16は、走行体3(機体6)に対して着脱可能である。
装着部19(装着体16)を機体6から取り外すことにより、マニピュレータ4を取り外すことができ、本実施形態のマニピュレータ4とは異なる形式のマニピュレータに交換することができる。
図7に示すように、装着部19には、回動シャフト20を支持するシャフト支持体24が立設されている。シャフト支持体24は、装着部19の上面に固定された中空状のベース部24Aと、ベース部24Aから上方に突出する支持筒24Bとを有している。
図7に示すように、回動シャフト20は、上下方向に延伸する軸心(回動軸心J1)を有し、支持筒24Bに挿入されると共に該支持筒24Bに回動軸心J1の周囲を回動可能に支持されている。
回動モータM2は、例えば、正逆転可能な電動モータによって構成されている。回動モータM2は、走行体3に搭載されたバッテリ(図示省略)から給電される電力によって作動する。なお、回動モータM2は、走行体3に搭載された油圧ポンプP1によって作動する油圧モータによって構成されていてもよい。
図7に示すように、回動モータM2は、装着部19の内部に収容され、装着部19の上壁19kに取り付けられている。回動モータM2は、装着部19から上方に突出する出力軸Maを有している。回動モータM2の出力軸Maは、回動シャフト20の下部に一体回動可能に連結されている。したがって、回動シャフト20は、回動モータM2から出力される回転動力によって、回動軸心J1の周囲を正逆転可能に駆動される。
図7に示すように、回動フレーム21は、シャフト支持体24に回動軸心J1の周囲を回動可能に支持されている。したがって、回動フレーム21は、装着部19に回動軸心J1の周囲を回動可能に取り付けられている。言い換えると、回動フレーム21は、機体6(走行体3)に縦軸回りに回動可能に支持されている。詳しくは、回動フレーム21は、フレーム本体25と、アームブラケット26と、シリンダブラケット27とを有している。フレーム本体25は、回動部25Aを有している。回動部25Aは、支持筒24Bを取り囲むと共に軸受け28A及び軸受け28Bを介して支持筒24Bに回動軸心J1の周囲を回動可能に支持されている。また、回動部25Aは、回動シャフト20の上部にスプライン結合等によって連結される結合部25Aaを有していて回動シャフト20と一体回動する。つまり、回動フレーム21は、回動モータM2によって回動軸心J1の周囲を回動可能である。回動フレーム21を回動させることにより、ロボットハンド18を回動軸心J1を中心とする円周方向に移動(位置変更)させることができる。
図3に示すように、フレーム本体25は、回動軸心J1に直交する方向で回動部25Aを挟む一対のフレーム部材25Bを有している。各フレーム部材25Bは、回動部25Aに固定されている。図7に示すように、各フレーム部材25Bの上部は、回動部25Aから上方に突出している。一対のフレーム部材25Bの上部間には、アームブラケット26が上方突出状に固定されている。シリンダブラケット27は、アームブラケット26及び回動部25Aの前部に取り付けられている。シリンダブラケット27は、下部に、シリンダ取付部27aを有している。
図3、図4に示すように、アーム17は、回動フレーム21(アームブラケット26)に上下揺動可能に支持されると共に長手方向の中途部で屈伸可能である。アーム17は、メインアーム29とサブアーム30とを有している。
メインアーム29は、回動フレーム21に上下揺動可能に枢支され、屈伸可能である。詳しくは、メインアーム29は、回動フレーム21に上下揺動可能に枢支された第1アーム部31と、第1アーム部31に揺動可能に枢支された第2アーム部32とを有し、第1アーム部31に対して第2アーム部32が揺動することで屈伸可能とされている。
第1アーム部31は、基部側31aがアームブラケット26に枢支されている。第1アーム部31は、図3、図8に示すように、第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rを有している。第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rは、機体幅方向B3で並べて配置され且つ連結パイプ31A等で相互に連結されている。第1アームフレーム31Lと第2アームフレーム31Rとの基部側31a間にアームブラケット26の上部が挿入され、機体幅方向B3に延伸する軸心を有するアーム枢軸33A(第1アーム枢軸という)を介して第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rの基部側31aがアームブラケット26に第1アーム枢軸33Aの軸心回りに回動可能に支持されている。
第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rは中空部材で形成されている。第1アーム部31の長さは、走行体3(機体6)の前後方向A3の長さよりも短く形成されている。
図4に示すように、第1アーム部31は、基部側31aであって且つ第1アーム枢軸33Aよりも先端側31c寄りに、シリンダ取付部31bを有している。このシリンダ取付部31bとシリンダブラケット27のシリンダ取付部27aとにわたって第1アームシリンダ(第1油圧シリンダ)C4が設けられている。第1アームシリンダC4は、走行体3に設けた油圧ポンプP1から吐出される作動油によって駆動されて伸縮する。第1アームシリンダC4を伸縮させることで第1アーム部31が上下揺動する。第1アーム部31(アーム17)を上下揺動させることにより、ロボットハンド18を昇降させることができる。第1アームシリンダC4には、第1アームシリンダC4のストロークを検出する第1ストロークセンサS1が設けられている。
図4に示すように、第1アーム部31の先端側31cには、枢支部材31Bが固定されている。詳しくは、枢支部材31Bは、基部31Baが第1アームフレーム31Lと第2アームフレーム31Rとの間に挿入されて第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rに固定されている。枢支部材31Bの基部31Baの下面側には、シリンダステー34が取り付けられている。枢支部材31Bの先端側31Bbは、第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rから前方に突出している。
図3、図8に示すように、第2アーム部32の長さは、第1アーム部31の長さよりも長く形成されている。第2アーム部32は、基部側32aが枢支部材31Bの先端側31Bbに枢支されている。第2アーム部32は、第3アームフレーム32L及び第4アームフレーム32Rを有している。第3アームフレーム32L及び第4アームフレーム32Rは、機体幅方向B3で並べて配置され且つ複数の連結プレート35によって相互に連結されている。第3アームフレーム32L及び第4アームフレーム32Rは中空部材で形成されている。第3アームフレーム32Lと第4アームフレーム32Rとの基部側32a間に枢支部材31Bの先端側31Bbが挿入されている。第3アームフレーム32L及び第4アームフレーム32R(第2アーム部32)は、機体幅方向B3に延伸する軸心を有するアーム枢軸(第2アーム枢軸という)33Bによって枢支部材31Bに枢支されている。
第2アーム部32の基部側32aであって第2アーム枢軸33Bよりも先端側32b寄りには、シリンダ取付部32cが設けられている。このシリンダ取付部32cとシリンダステー34とにわたって第2アームシリンダ(第2油圧シリンダ)C5が設けられている。第2アームシリンダC5は、走行体3に設けた油圧ポンプP1から吐出される作動油によって駆動されて伸縮する。第2アームシリンダC5を伸縮させることで第1アーム部31に対して第2アーム部32が揺動し、メインアーム29(アーム17)が屈伸(曲げたり伸ばしたりすること)する。なお、本実施形態では、メインアーム29は、最も伸びた状態で直線状となるが、最も伸びた状態で若干曲がっていてもよい。
また、第2アームシリンダC5を伸縮させることで走行体3に対してロボットハンド18を遠近方向に移動させることができる。詳しくは、第2アームシリンダC5を伸長させることでロボットハンド18を走行体3から遠ざける方向に移動させることができ、第2アームシリンダC5を収縮させることでロボットハンド18を走行体3に近づける方向に移動させることができる。
図4に示すように、第2アームシリンダC5には、第2アームシリンダC5のストロークを検出する第2ストロークセンサS2が設けられている。
図4、図8に示すように、複数の連結プレート35は、本実施形態では、第2アーム部32の長手方向に直交し且つ第3アームフレーム32Lと第4アームフレーム32Rとが対向する方向に直交する方向で対向配置された2枚で1組の連結プレート35を第2アーム部32の長手方向に間隔をあけて4組設けている。
本実施形態では、第1アーム部31及び第2アーム部32は、2枚の中空部材を繋いで構成することで、高剛性に形成されている。また、第1アーム部31を構成する第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rと、第2アーム部32を構成する第3アームフレーム32L及び第4アームフレーム32Rとを、中空部材で構成することにより、第1アームフレーム31L~第4アームフレーム32Rの内部に、油圧ホースやハーネス等の配策部材を配策することができる。これにより、油圧ホースやハーネスの破損防止を図ることができる。また、第1アームフレーム31Lと第2アームフレーム31Rとの間に第1アームシリンダC4のピストンロッドの先端側を挿入して連結すること、第3アームフレーム32Lと第4アームフレーム32Rとの間に第2アームシリンダC5のピストンロッドの先端側を挿入して連結することによりコンパクトな構成にすることができる。
サブアーム30は、第2アーム部32に突出及び後退可能に設けられている。したがって、サブアーム30を突出及び後退させることにより、アーム17の長さが伸縮可能である。図4、図8に示すように、サブアーム30は、角パイプによって直線状に形成されている。サブアーム30は、第3アームフレーム32Lと第4アームフレーム32Rとの先端側(前部)間に長手方向移動可能に支持されている。また、サブアーム30は、対向する連結プレート35の間に配置されていて連結プレート35にボルト等の固定具によって固定可能とされている。サブアーム30の一側面には、第3アームフレーム32Lに当接する突起30aが設けられ、他側面には、第4アームフレーム32Rに当接する突起30aが設けられている。突起30aによってサブアーム30のがたつきを抑制することができる。
サブアーム30は、最も後退させた位置(最後退位置)では、第3アームフレーム32Lと第4アームフレーム32Rとの間に没入する。なお、サブアーム30は、最後退位置で第2アーム部32から若干突出していてもよい。
図4に示すように、サブアーム30の先端側には、接合フランジ30Aが固定されている。接合フランジ30Aには、取付フランジ36がボルト等によって取り付けられ、取付フランジ36には、吊りプレート37が固定されている。吊りプレート37にロボットハンド18が枢支され、吊り下げられる(図1参照)。つまり、ロボットハンド18は、サブアーム30の先端側に揺動可能に取り付けられる。第2アーム部32の先端側には、サブアーム30の第2アーム部32からの突出量を測定(検出)する第3ストロークセンサS3が設けられている。
サブアーム30は、例えば、第2アーム部32から最も突出させた位置(最突出位置)と、第2アーム部32に対して最も後退させた位置との2位置で使用される。なお、サブアーム30は、最突出位置と最後退位置との間で段階的に突出量を調整してもよく、また、最突出位置と最後退位置との間で任意の位置に固定できるようにしてもよい。また、サブアーム30を油圧シリンダによって突出及び後退させるようにしてもよい。
アーム17は、前後方向A3の一方側(進行逆方向側)を向く作業姿勢W1(図11参照)と、前後方向A3の他方側(進行方向側)を向くと共に屈曲させた収納姿勢W2(図1参照)とに姿勢変更可能である。本実施形態では、作業姿勢W1は、図11に示すように、走行体3の後方側を向く姿勢である。詳しくは、作業姿勢W1は、走行体3の後方と機体幅方向B3との間の任意の方向を向く姿勢である。また、収納姿勢W2は、図1に示すように、走行体3の前方を向く姿勢である。
農業用ロボット1は、アーム17が作業姿勢W1にある状態で且つ回動軸心J1の周囲の所定の範囲内で、作物2の収穫作業等の作業を行う。アーム17が作業姿勢W1にある状態で、回動フレーム21を左方または右方に回動させると共にアーム17を昇降及び屈伸させることにより、ロボットハンド18を任意の位置に移動させることができる。つまり、ロボットハンド18を作物2の上方に移動させると共に下降させて該ロボットハンド18によって作物2を把持することができる。
図1に示すように、収納姿勢W2では、アーム17は、第1アーム部31が走行体3の上方を前方に向かうにつれて上方に移行する傾斜方向に延伸しており、且つ第2アーム部32が走行体3の前後方向A3の中途部の上方から前方に向かうにつれて下方に移行する傾斜方向に延伸している。サブアーム30は、最後退位置に位置させている。
本実施形態にあっては、アーム17を回動可能に支持する回動フレーム21が走行体3の後部に設けられ、アーム17が後方側を向く作業姿勢W1にある状態で作物2の収穫作業を行うので、作業範囲を広くとることができる。
また、作業姿勢W1では、第1アーム部31の先端側31cが走行体3よりも後方側に位置しているのに対して、収納姿勢W2では、第1アーム部31の先端側31cは、走行体3(機体6)の前端よりも後方に位置していて、第1アーム部31が走行体3の上方に位置している(図例では、第1アーム部31の先端側31cは、走行体3の前後方向の略中央部の上方に位置している)。これにより、移動時や格納時等の非使用時に、農業用ロボット1を前後方向A3にコンパクトにすることができる。
本実施形態の農業用ロボット1にあっては、アーム17を油圧シリンダによって揺動させる構成にすることにより、10kgを超えるスイカ等の作物2を容易に持ち上げ搬送することができる。また、第1アームシリンダC4及び第2アームシリンダC5の動力源(油圧源)として、走行体3に装備した油圧ポンプP1を利用する(走行体3側の油圧アクチュエータを駆動する動力源とマニピュレータ4側の油圧アクチュエータを駆動する動力源とが別々の動力源でない)ことから、コンパクトに構成することができる。
図12、図13に示すように、装着部19の上面側には、回動規制部材38と位置決め部材39とが設けられている。回動規制部材38及び位置決め部材39は、本実施形態では、それぞれ1本のピンによって形成されている。なお、回動規制部材38及び位置決め部材39は、ピンに限定されることはない。回動規制部材38は、アーム17が作業姿勢W1にあるときの回動フレーム21の回動を規制する。アーム17が作業姿勢W1にあるときの回動フレーム21の回動を規制することで、アーム17に配策される油圧ホース及びハーネスが回動フレーム21に巻き付いたり、破損するのを防止することができる。位置決め部材39は、回動フレーム21の回動を規制してアーム17を収納姿勢W2に位置決めする。位置決め部材39で回動フレーム21の回動を規制することで、回動フレーム21を迅速且つ正確にアーム17の収納姿勢W2の位置に回動させることができる。
本実施形態では、図12に示すように、回動規制部材38は、回動フレーム21の右側方(側方)に配置されている。図12の上図に示すように、アーム17が回動フレーム21から後方に延伸する状態(後向き状態W3)から回動フレーム21を矢印Y3で示す第1回動方向(反時計方向)に90°回動すると、図12の下図に示すように、回動フレーム21(シリンダブラケット)は回動規制部材38に当接する。これにより、回動フレーム21の回動が規制される。
本実施形態では、図13に示すように、位置決め部材39は、回動フレーム21の前方側で且つ右寄りに配置されている。図13の上図に示すように、アーム17が後向き状態W3にある位置から回動フレーム21を矢印Y4で示す第2回動方向(時計方向)に180°回動すると、回動フレーム21は位置決め部材39に当接する。
以上のように、本実施形態では、回動フレーム21が回動規制部材38に当接した状態から時計回りに回動して位置決め部材39に当接するまでの回動範囲は、略270°に設定されている。なお、回動フレーム21の回動範囲は、270°に限定されることはない。
なお、回動規制部材38を回動フレーム21の左側方に配置し、回動フレーム21の第2回動方向Y4の回動でアーム17が作業姿勢W1にあるときの回動フレーム21の回動を規制するようにしてもよい。この場合、位置決め部材39は、回動フレーム21の前方側で且つ左寄りに配置され、回動フレーム21の第1回動方向Y3の回動でアーム17を収納姿勢W2に位置決めする。即ち、回動モータM2を正逆回転することで、回動フレーム21は、回動軸心J1回りの第1回動方向Y3と第1回動方向Y3の反対方向である第2回動方向Y4とに回動可能であり、回動規制部材38は、回動フレーム21の第1回動方向Y3及び第2回動方向Y4のうちの一方の方向の回動を規制し、位置決め部材39は、回動フレーム21の第1回動方向Y3及び第2回動方向Y4のうちの他方の方向の回動を規制する。
図1に示すように、本実施形態では、撮像装置5Aは、回動フレーム21に取り付けられている。詳しくは、アームブラケット26の上部に支柱40を介して取り付けられている。これに限定されることはなく、撮像装置5Aは、走行体3等に取り付けてもよい。また、撮像装置5Aは複数箇所に設けられていてもよい。つまり、農業用ロボット1は、撮像装置5Aを複数有していてもよい。撮像装置5Aは、走行体3の周囲を撮影可能であって、走行体3の周囲の情報を撮影によって取得する。
撮像装置5Aは、例えば、ステレオカメラやレーザカメラ等の測距機能を有するカメラが採用される。ステレオカメラは、撮影した画像(イメージ)の視差データを生成し、カメラ(レンズ)と対象物(例えば、作物2や後述する運搬車48等の農業用ロボット1の周囲の物体や走行領域の境界等)までの距離を測定(計測)することができるカメラである。レーザカメラは、照明光として長距離まで届くレーザーを使用し、CCDカメラで撮影することでカメラと対象物までの距離を測定するカメラシステムである。
また、撮像装置5Aは、複数台のカメラで走行体3の周囲(前方、後方、左方及び右方)を撮影するものであってもよいし、1台で走行体3の周囲360°撮影することのできる全方位(360°)カメラで構成されていてもよい。
なお、作物2の品質をセンシングすることのできるカメラ(例えば、マルチスペクトルカメラ、遠赤外線カメラ、近赤外線分光カメラ等)をロボットハンド18や走行体3等に設けてもよい。これにより、作物2の品質をセンシングしながら収穫すべき作物2を選択して収穫することができる。
図14Aに示すように、農業用ロボット1は、制御装置41を有している。制御装置41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを備えたマイクロコンピュータを利用して構成される。
制御装置41には、撮像装置5Aが接続されている。制御装置41は、撮像装置5Aが取得(検知)した情報(検知情報)を取得可能である。撮像装置5Aの検知情報によって、収穫すべき作物2、作物2との距離、作物2が栽培される栽培地と栽培地との間の通路と栽培地との境界、農業用ロボット1の周囲の様子等を制御装置41に把握(認識)させることができる。
制御装置41には、走行装置7が接続されている。制御装置41は、走行制御部41Aを有している。走行制御部41Aは、撮像装置5Aが取得した情報(検知情報)に基づいて、操向シリンダC1、第1昇降シリンダC2、第2昇降シリンダC3及び走行モータM1を制御する。即ち、走行制御部41Aは、走行装置7を制御する。走行制御部41Aが走行装置7の速度制御及び操向制御等を行うことで、走行体3が自律走行する。また、走行制御部41Aは、機体6の昇降、傾き等の制御を行う。
なお、走行体3を自律走行させるのに、ライダー(LiDAR: Light Detection And Ranging)によって行ってもよい。ライダーは、1秒間に何百万回ものパルス状の赤外線等を照射し、跳ね返って戻ってくるまでの時間を測定することで、走行体3周辺の3Dマップを構築する光を用いたリモートセンシング技術である。
制御装置41には、第1ストロークセンサS1が接続されている。制御装置41は、第1ストロークセンサS1の検出情報を取得可能であり、第1ストロークセンサS1の検出情報によって制御装置41に第1アーム部31の揺動量を把握させることができる。また、制御装置41には、第2ストロークセンサS2が接続されている。制御装置41は、第2ストロークセンサS2の検出情報を取得可能であり、第2ストロークセンサS2の検出情報によって制御装置41に第1アーム部31に対する第2アーム部32の揺動量を把握させることができる。
なお、第1アーム部31及び第2アーム部32の揺動量は、ポテンショメータによって直接検出し、このポテンショメータのポテンショ値を制御装置41に送信するようにしてもよい。
図14Aに示すように、制御装置41には、回動モータM2、第1シリンダ制御弁42、第2シリンダ制御弁43が接続されている。制御装置41は、回動モータM2を制御することで回動フレーム21の回動を制御するフレーム制御部41Bを有している。フレーム制御部41Bは、回動規制部材38で規制された回動フレーム21の位置を基準(旋回原点)として回動フレーム21の回動を制御する。つまり、フレーム制御部41Bは、旋回原点を基準として回動フレーム21の回動位置を算出し、回動フレーム21の回動を制御する。したがって、収穫作業を開始する前(初期)に、回動フレーム21を一度回動規制部材38まで回動させておき、回動フレーム21の初期位置を制御装置41に把握させておく。
第1シリンダ制御弁42、第2シリンダ制御弁43は、例えば、パイロット式の電磁弁によって構成されている。第1シリンダ制御弁42は、第1アームシリンダC4を制御し第2シリンダ制御弁43は、第2アームシリンダC5を制御する。制御装置41は、第1シリンダ制御弁42、第2シリンダ制御弁43を制御することで第1アーム部31及び第2アーム部32の揺動を制御するアーム制御部41Cを有している。
アーム制御部41Cは、第1シリンダ制御弁42の第1ソレノイド42a及び第2ソレノイド42bを励磁又は消磁させることによって、第1シリンダ制御弁42を中立位置42cから第1位置42d又は第2位置42eに切り換える。第1位置42dに切り換えると、第1アームシリンダC4が伸長し、これにより、第1アーム部31(アーム17)が上方揺動する。第2位置42eに切り換えると、第1アームシリンダC4が収縮し、これにより第1アーム部31(アーム17)が下方揺動する。また、アーム制御部41Cは、第2シリンダ制御弁43の第1ソレノイド43a及び第2ソレノイド43bを励磁又は消磁することによって、第2シリンダ制御弁43を中立位置43cから第1位置43d又は第2位置43eに切り換える。第1位置43dに切り換えると、第2アームシリンダC5が伸長し、これにより、第2アーム部32が上方揺動する。第2位置43eに切り換えると、第2アームシリンダC5が収縮し、これにより、第2アーム部32が下方揺動する。
以上のように、制御装置41は、フレーム制御部41Bによって回動モータM2による回動フレーム21の回動を制御可能であり、アーム制御部41Cによって第1アームシリンダC4の伸縮による第1アーム部31の揺動及び第2アームシリンダC5による第2アーム部32の揺動を制御可能である。これによって、制御装置41は、ロボットハンド18を任意(所望)の位置に移動させることができる。詳しくは、回動フレーム21の回動による回動軸心J1を中心とする円周方向のロボットハンド18の移動、第1アーム部31の上下揺動によるロボットハンド18の昇降、第2アーム部32の揺動によるロボットハンド18の走行体3に対する遠近方向の移動によって、ロボットハンド18を目的の位置に移動させることができる。また、制御装置41は、撮像装置5Aの検知情報に基づいてロボットハンド18を収穫すべき作物2へロボットハンド18を移動させるようにマニピュレータ4を作動させる。
図14Aに示すように、走行制御部41A、フレーム制御部41B及びアーム制御部41Cは、撮像装置5Aが取得した情報に基づいて、走行体3を自律走行させる走行制御及びマニピュレータ4に収穫動作を行わせる動作制御を行う制御部41Dを構成している。
図14Aに示すように、制御装置41には、第3ストロークセンサS3が接続されている。制御装置41は、第3ストロークセンサS3の検出情報を取得可能であり、第3ストロークセンサS3の検出情報によって制御装置41にサブアーム30の突出量を把握させることができる。
ところで、回動フレーム21の回動位置、第1アーム部31及び第2アーム部32の揺動量が同じであっても、サブアーム30を突出させていない場合と、突出させている場合とでは、ロボットハンド18の位置は異なる。そこで、制御装置41は、サブアーム30の突出量を加味(考慮)してロボットハンド18の位置を制御する。
図14Aに示すように、第1アームシリンダC4及び第2アームシリンダC5の油圧制御回路44には、圧力センサ45が設けられている。圧力センサ45は、第1シリンダ制御弁42と第1アームシリンダC4のロッド側(ピストンロッドが突出する側)の油室とを接続する第1接続油路44a、第1シリンダ制御弁42と第1アームシリンダC4のボトム側(ヘッド側)の油室とを接続する第2接続油路44b、第2シリンダ制御弁43と第2アームシリンダC5のロッド側の油室とを接続する第3接続油路44c、第2シリンダ制御弁43と第2アームシリンダC5のボトム側の油室とを接続する第4接続油路44dに設けられている。圧力センサ45の検出情報によって、アーム17(第1アームシリンダC4及び第2アームシリンダC5)に作用する負荷を検出することができる。
図14Aに示すように、各圧力センサ45は、制御装置41に接続されている。制御装置41は、各圧力センサ45の検出情報を取得可能である。制御装置41は、アーム17に作用する負荷(作物2の重さ)に応じて、油圧ポンプP1の出力を制御する力制御が可能である。
なお、圧力センサ45は、第1接続油路44aと第2接続油路44bとの両方に設ける必要はなく、いずれか一方に設けられていていればよい。また、圧力センサ45は、第3接続油路44cと第4接続油路44dとの両方に設ける必要はなく、いずれか一方だけに設けてもよい。
図14Aに示すように、制御装置41は、判定部41Eを有している。判定部41Eは、撮像装置5Aが取得した情報に基づいて作物2の種別に特化した特徴から作物2の収穫適期を判定する。
作物2がスイカの場合は、判定部41Eは、図14Bに示すように、巻きひげ2aの色、表面の縞模様2b、葉2cの状態から収穫適期を判定する。詳しくは、巻きひげ2aが、付け根まで濃い褐色(枯れた状態)になったら収穫適期である。また、縞模様2bが鮮明なほど(縞模様の黒色がハッキリしていることが)収穫適期である。また、葉2cの状態が、黄色や濃い褐色になって枯れたら収穫適期である。
また、作物2がメロンの場合は、判定部41Eは、図14Cに示すように、葉2dの状態、ヘタ2eの部分の状態から収穫適期を判定する。詳しくは、葉2dの状態が、黄色や濃い褐色になって枯れたら収穫適期である。また、ヘタ2eの付け根に茶色いリング(離層)2gができたり、ヘタ2eの部分につる2hに向けて伸びる網目の延長部分2jができると収穫適期である。
また、作物2がカボチャの場合は、判定部41Eは、図14Dに示すように、果梗部2kの状態、葉2mの状態から収穫適期を判定する。詳しくは、果梗部2kが茶色く(通称:コルク化という)なると収穫適期である。また、葉2mの状態が、黄色や濃い褐色になって枯れたら収穫適期である。
図14Aに示すように、制御装置41は、バランス制御部41Fを有している。バランス制御部41Fは、機体6とアーム17及びロボットハンド18(マニピュレータ4)とのバランスをとるべく第1車輪8La~第4車輪8Rbの位置を制御する。具体的には、バランス制御部41Fは、アーム17及びロボットハンド18とのバランスをとるべく第1車輪8La~第4車輪8Rbを昇降することで機体6の姿勢を制御する。より具体的には、図14Eに示すように、アーム17を機体幅方向B3の一方側、例えば、左側に回動させた状態で作物2を収穫する場合、走行体3の右側にある第2車輪8Ra及び第4車輪8Rbを上昇させる。すると、機体6は、右側が下がるように傾く。これにより、走行体3とマニピュレータ4とのバランスをとることができる。また、アーム17を右側に回動させた状態で作物2を収穫する場合は、走行体3の左側にある第1車輪8La及び第3車輪8Raを上昇させる。
また、アーム17を後方に向かうにつれて左方に移行する傾斜方向に延ばして収穫作業をする場合は、第2車輪8Raを第4車輪8Rbよりも高く上げると共に、第3車輪8Lbを下げる。これにより、機体6の右側が下がると共に機体6が後傾状となり、走行体3とマニピュレータ4とのバランスを良好にとることができる。アーム17を後方に向かうにつれて右方に移行する傾斜方向に延ばして収穫作業をする場合は、第1車輪8Laを第3車輪8Lbよりも高く上げると共に、第4車輪8Rbを下げる。
また、走行体3に作用するマニピュレータ4からの荷重は、アーム17を延ばした量やロボットハンド18が作物2を把持しているか否かによって異なる。アーム17やロボットハンド18等の荷重は、圧力センサ45の検出情報によって制御装置41に把握させることができるので、走行体3に作用するマニピュレータ4からの荷重に応じて第1車輪8La~第4車輪8Rbの昇降量を制御することもできる。
また、バランス制御部41Fが機体6とアーム17及びロボットハンド18とのバランスをとる制御に、第1車輪8La~第4車輪8Rbの向きを変更する(操向する)制御を加えてもよい。
また、車輪のトレッドを調整することにより、機体6とアーム17及びロボットハンド18とのバランスをとるように構成してもよい。
図14Aに示すように、制御装置41はマップ作成部41Gを有している。マップ作成部41Gは、作物2の収穫前において、農業用ロボット1が通路47(図15参照)を自律走行することにより、撮像装置5Aが取得した情報(撮影した情報)に基づいて、作物2の個々の位置や育成状況のマップ60(図14E参照)を自動で生成する。具体的には、マップ作成部41Gは、図14Fに示すように、撮像装置5Aで撮影した情報に基づいて、圃場59における作物2(No1、No2、No3・・・・Non)の位置をマップ60に記録する。また、マップ60には、作物2の育成状況が記録される。育成状況は、例えば、作物2の大きさが考えられる。大きさは、例えば、S1→S5で記録される。S1が一番小さいサイズを示す。S5が一番大きいサイズを示す。なお、マップ60には、収穫適期か否かを記録してもよい。
予め作物2の位置や育成状況を把握してマップ60を生成することにより、その後の作業に活用することができ、次の作業をピンポイントで、最短効率で行うことができる。その後の作業としては、例えば、施肥作業、散水作業、除草作業や収穫作業などがあげられる。
次に、図15を参照して、作物2を収穫する場合について説明する。図15は、作物2としてのスイカが栽培された圃場を示している。
図15に示すように、圃場には、作物2が栽培された栽培地46Aと該栽培地46Aに隣接する栽培地46Bとの間に通路47があり、作物2は、栽培過程で通路47側に寄せて育成される。走行体3は、通路47を走行する。走行体3の後方には、例えば、走行体3に追従して走行する追従型の自走式運搬車48が配置される。作物2が通路47側に寄せて育成されている場合は、アーム17は、サブアーム30を突出させない状態で使用する。
本実施形態の農業用ロボット1で作物2を収穫するにあたっては、走行体3は前進方向に進行し、マニピュレータ4は作業姿勢W1にした状態(例えば、アーム17を斜め後方に伸ばした状態)でロボットハンド18の位置制御を行って作物2の収穫を行う。また、撮像装置5Aが取得した情報に基づいて、判定部41Eが作物2の種別に特化した特徴から収穫適期であると判定した作物2を収穫する。収穫した作物2は、ロボットハンド18の位置制御を行って運搬車48に積み込む。なお、作物2から延びるツタは、例えば、図示省略の切断装置によって収穫作業時(例えば、ロボットハンド18で作物2を把持する直前や、作物2を把持した際)に切断する。切断装置は、ロボットハンド18またはアーム17の先端側に装備する。
また、作物2が通路47から遠い場所にある場合は、アーム17は、サブアーム30を突出させて延ばした状態で使用する。サブアーム30を突出または後退させてアーム17を伸縮させることにより、作物2の位置、作業形態に合わせたアーム寸法(アーム長さ)をとることができる。
なお、作物2を収穫した後に、ロボットハンド18の代わりにアーム17の先端側にレーキ(熊手)を取り付けて、収穫後にツタや葉を引き寄せる(かき寄せる)作業をすることもできる。この場合、アーム17は、サブアーム30を突出させて延ばした状態で使用することにより、通路47から遠い場所にあるツタや葉を引き寄せることができる。
なお、上記では、前進しながら作業をする場合を説明したが、後進しながら作業をすることもできる。
本実施形態の農業用ロボット1は、種々の設計変更が可能である。例えば、アーム17に、サブアーム30を設けない場合もある。即ち、アーム17を第1アーム部31と第2アーム部32とで構成することもできる。また、収穫した作物2が収容される運搬車48は、追従型の自走式運搬車でなくてもよく、走行体3に牽引される牽引式の運搬車であってもよい。つまり、走行体3の後方を走行体3の走行に伴って移動する運搬車48であればよい。また、収穫した作物2を収容する収容容器を機体6に装備してもよい。
次に、ロボットハンド18の構成を詳細に説明する。
以下の説明において、外方とは、ロボットハンド18の中心を通る上下方向に延伸する中心線L1(図16参照)から該中心線L1に直交する方向に離れる方向(図16の矢印L2方向)をいう。また、内方とは、外方の反対方向であって、中心線L1に近づく方向(図16の矢印L3方向)をいう。
図16に示すように、ロボットハンド18は、昇降可能な昇降体62を有している。昇降体62は、板材によって形成され、上部に連結片63を有している。連結片63は、アーム17の先端側に設けられた吊りプレート37に枢軸66を介して横軸(水平方向の軸心)回りに回動可能に枢支連結されている。したがって、昇降体62は、アーム17に連結され、該アーム17を上下揺動することで昇降可能である。
図17に示すように、昇降体62の本体62Aは、上壁67と、上壁67から下方に延びる複数の延出壁68とを有している。上壁67の上面の中央部に連結片63が固定されている。延出壁68は、上壁67の四方の端部から延出されている。したがって、本実施形態では、4つの延出壁68が設けられている。各延出壁68は、上部の第1部位68aと、中間部の第2部位68bと、下部の第3部位68cとを有している。
第1部位68aは、上壁67から略垂直下方に延出されている。第1部位68aの上部は、下部よりも幅広に形成されている。第1部位68aの下部は、上部の幅方向中央から一側に偏倚して形成されている。第2部位68bは、第1部位68aの下部から下方に延出されている。また、第2部位68bは、下方に向かうにつれて外方に移行する傾斜方向に延出されている。第2部位68bの下部には、上縁69aと側縁69bとを有するL字状の切り欠き部69が形成されている。第3部位68cは、第2部位68bの下端から外方に向けて延出されている。
図17に示すように、各延出壁68には、第2部位68bの下部から第3部位68cにわたって連続する溝70が形成されている。第3部位68cの上面には、溝70を挟んで対向配置された一対のステー71が固定されている。一対のステー71には、一方のステー71から他方のステー71にわたるように係合部材72が設けられている。本実施形態では、係合部材72は、ピンによって形成されている。係合部材72は、溝70における第3部位68cに形成された部分の上方を横切るように設けられている。
図16に示すように、ロボットハンド18は、昇降体62の下方に配置された支持体73を有している。言い換えると、昇降体62は、支持体73の上方に配置されている。
図19に示すように、支持体73は、上部体74と、下部体75とを有している。
図18に示すように、上部体74は、基壁74aと、基壁74aから上方に延出された複数の上連結片74bと、基壁74aから下方に延出された複数の下連結片74cと、基壁74aの中央部に設けられた軸受け部74dとを有している。本実施形態では、4つの上連結片74bが設けられ、各上連結片74bは、各延出壁68に対応する位置に配置されている。下連結片74cは、上連結片74bの間に夫々設けられている。したがって、本実施形態では、4つの下連結片74cが設けられている。図19に示すように、軸受け部74dは、上部体74の中央に位置し、軸受け74eを収容している。
図19に示すように、下部体75は、複数の下連結片74cに固定されている。
図16、図18に示すように、昇降体62と支持体73とは、複数の伸縮リンク機構76によって連結されている。伸縮リンク機構76は、対応する第1部位68aと上連結片74bとを連結している。したがって、本実施形態では、4つの伸縮リンク機構76が設けられている。
図18に示すように、各伸縮リンク機構76は、第1リンク76Aと、第2リンク76Bと、第3リンク76Cと、第4リンク76Dとを有している。第1リンク76A及び第2リンク76Bの一端側(上端側)は、第1部位68aにピン77Aを介して枢支されている。第3リンク76C及び第4リンク76Dの一端側は、上連結片74bにピン77Bを介して枢支されている。第1リンク76Aと第3リンク76Cの他端側同士は、ピン77Cによって枢支連結されている。第2リンク76Bと第4リンク76Dの他端側同士は、ピン77Dによって枢支連結されている。
伸縮リンク機構76は、ピン77Cとピン77Dとが近づく方向に移動することで伸長し、ピン77Cとピン77Dとが離れる方向に移動することで収縮する。つまり、伸縮リンク機構76は、上下方向に伸縮自在である。したがって、昇降体62と支持体73とは、伸縮リンク機構76によって上下方向に相対移動可能(近接離反可能)に連結されている。
図19に示すように、下部体75には、複数の枢支部75aが設けられている。枢支部75aは、支持体73の中心を通る上下方向の軸心(中心線L1)回りの周方向に等間隔をあけて4つ設けられている。各枢支部75aには、夫々枢軸78が設けられている。各枢支部75aには、ツメ取付部材79が枢軸78回りに上下揺動可能に支持されている。即ち、本実施形態では、ロボットハンド18は、4つ(複数)のツメ取付部材79を有している。
図20に示すように、各ツメ取付部材79は、各第2部位68bの切り欠き部69に対応する位置に設けられている。各ツメ取付部材79は、枢支部75aに枢軸78を介して枢支連結される一対のブラケット片79aを有している。また、ツメ取付部材79は、ブラケット片79aの下側に位置する規制部79bを有している。さらに、ツメ取付部材79は、ブラケット片79aの下部から外方側に突出するツメ取付部79cを有している。ツメ取付部79cの上面は、切り欠き部69の上縁69a(昇降体62)が当接する当接部79dとされている。
図16に示すように、各ツメ取付部材79には、作物2を把持可能な把持ツメ81が取り付けられている。即ち、本実施形態では、ロボットハンド18は、4つ(複数)の把持ツメ81を有しており、これら4つの把持ツメ81によってロボットハンド18のハンド部82が構成されている。言い換えると、ハンド部82は、対面状に配置された2つの把持ツメ81を2組有して構成されている。各把持ツメ81は、揺動リンク機構83と、把持部84とを有している。揺動リンク機構83は、パラレルリンクによって構成されている。詳しくは、揺動リンク機構83は、上端側がツメ取付部79cの内方側に枢支された第1揺動リンク83Aと、上端側がツメ取付部79cの外方側に枢支された第2揺動リンク83Bとを有して構成されている。
把持部84は、上部の内方側が第1揺動リンク83Aの下端側に枢支され、上部の外方側が、第2揺動リンク83Bの下端側に枢支されている。揺動リンク機構83が揺動することで把持部84が平行移動する。把持部84の下部は、該把持部84の上部の下側から内方に向けて延出されている。把持部84(把持ツメ81)の下端側は、図16に示すハンド部82(把持ツメ81)が閉じた状態でオーバーラップしている。
把持ツメ81(ハンド部82)は、揺動リンク機構83が揺動することにより開閉する。詳しくは、把持ツメ81が閉じた状態から揺動リンク機構83が外方に揺動することにより把持ツメ81(ハンド部82)が開く(図21の二点鎖線参照)。したがって、揺動リンク機構83が内方に揺動することで把持ツメ81(ハンド部82)が閉じる。
図19に示すように、各把持ツメ81は、閉じバネ85によって閉じ方向に付勢されている。詳しくは、閉じバネ85は、ねじりコイルバネによって形成され、コイル部85aが第1揺動リンク83Aの上部を枢支する枢軸80の外側に嵌められている。閉じバネ85は、一端85bが第1揺動リンク83Aの係止部83aに係止され、他端85cがツメ取付部材79に係止されている。
図21に示すように、把持ツメ81は、閉じバネ85の付勢力に抗する力F1で押し上げられることにより開き方向に移動する(図21の二点鎖線参照)。
図16、図19に示すように、ロボットハンド18は、把持ツメ81の開閉動作に連動する連動部材86を有している。連動部材86は、基部86aと、基部86aから斜め上方に延びるレバー86bとを有している。
図19に示すように、基部86aの端部は、第1揺動リンク83Aの上部にボルトによって固定されている。基部86aは、第1揺動リンク83Aの上部から内方側に突出している。把持ツメ81が閉じた状態で基部86a(連動部材86)が規制部79bに当接することにより、把持ツメ81の閉じ方向の移動が規制される。
図16に示すように、レバー86bは、基部86aの端部であって第1揺動リンク83Aに固定された端部とは反対側の端部から上方に向かうにつれて外方に移行する傾斜方向に延びていて、第3部位68cに形成された溝70を挿通している。把持ツメ81が閉じた状態で係合部材72がレバー86bに下から係合(当接)していることにより、把持ツメ81の開き方向の揺動が規制される。この係合部材72がレバー86bに下から係合している状態が係合状態X1である。
図21に示すように、把持ツメ81の下端が作物2に当接して、ツメ取付部材79及び支持体73の下方移動が規制された状態で昇降体62が下降すると、二点鎖線で示すように、係合部材72は、係合状態X1から昇降体62と共に下降して連動部材86から下方に離間する係合解除状態X2になる。係合部材72が、この係合解除状態X2にある状態で把持ツメ81の開閉が許容される。
図19に示すように、支持体73には、駆動部87が設けられている。駆動部87は、動力部88と、駆動機構89とを有している。動力部88は、正逆転可能なモータ(例えば、電動モータ)によって構成され、上部体74上に取り付けられている。動力部88は、下方に突出して軸受け部74dを挿通する出力軸88aを有している。駆動機構89は、動力部88の動力によってツメ取付部材79を枢軸78回りに上下揺動させることで把持ツメ81を強制的に開閉する機構である。詳しくは、駆動機構89は、第1ギヤ89Aと、複数の第2ギヤ89Bとを有している。第1ギヤ89Aは、ウォームによって構成され、軸受け部74dの軸受け74eと、下部体75の下部に設けられた軸受け90との間に配置されて縦軸回りに回転可能に支持されている。第1ギヤ89Aは、出力軸88aに連結されていて、動力部88の回転動力によって回転駆動される。第2ギヤ89Bは、第1ギヤ89Aに噛合するウォームホイールによって構成され、各枢軸78に取り付けられている。したがって、第2ギヤ89Bは、ツメ取付部材79及び把持ツメ81に対応する数設けられている。具体的には、4つの第2ギヤ89Bが設けられている。
出力軸88aからの回転動力が第1ギヤ89Aを介して各第2ギヤ89Bに伝達されて各第2ギヤ89Bが回転駆動されると各枢軸78が回転し、各ツメ取付部材79が枢軸78回りに上下揺動する。したがって、動力部88の動力によってツメ取付部材79を上下揺動させることで把持ツメ81を強制的に開閉することができる。図19において、ツメ取付部材79は、実線で示す下降位置X3が把持ツメ81(ハンド部82)を閉じる位置であり、二点鎖線で示す上昇位置X4が把持ツメ81(ハンド部82)を開く位置である。
なお、本実施形態では、ロボットハンド18は、4つの把持ツメ81を有しているが、これに限定されることはない。例えば、把持ツメ81は、3つ又は5つ以上であってもよい。そして、ツメ取付部材79、連動部材86、係合部材72、第2ギヤ89B等は、把持ツメ81の数に対応する数設けられる。
次に、スイカ等の作物2を収穫する際のロボットハンド18の動作について説明する。なお、以下の動作は、作物2からのびるツタ(つる)を切断した状態で作物2を収穫する場合について述べる。
図16に示すように、支持体73、ツメ取付部材79及び把持ツメ81(ハンド部82)が昇降体62に伸縮リンク機構76を介して吊り下げられている状態では、伸縮リンク機構76は伸長した状態である。また、把持ツメ81は、自重や閉じバネ85の付勢力によって閉じた状態であり、ツメ取付部材79は下降位置X3にあり且つ係合部材72は係合状態X1にある。
この図16に示す状態からロボットハンド18を作物2の上方に移動させて下降させると、先ず、把持ツメ81の下端が作物2に当接して、支持体73、ツメ取付部材79及び把持ツメ81の下方移動が規制される。さらに、昇降体62を下降させると、図22の左図に示すように、伸縮リンク機構76が収縮することで、昇降体62は、支持体73等に対して相対的に下降する。昇降体62は、図20に二点鎖線で示すように、切り欠き部69の上縁69aがツメ取付部材79の当接部79dに当接するまで下降する。また、係合部材72は、図21に二点鎖線で示すように、連動部材86から下方に離間して係合解除状態X2となり、把持ツメ81は開くことが可能な状態となる。上縁69aが当接部79dに当接すると、昇降体62でツメ取付部材79が押し下げられ、把持ツメ81に作用する作物2からの反力によって閉じバネ85の付勢力に抗して把持ツメ81が開く。さらにツメ取付部材79を押し下げていくと、図22の中央の図に示すように、把持ツメ81は、作物2の表面に沿って開く。そして、図22の右図に示すように、把持部84(把持ツメ81の下端)が圃場面(地面)G1に到達すると、昇降体62の下降が停止する。
次に、図23の左図に示すように、昇降体62を上昇させると、図23の左から2番目の図に示すように、把持ツメ81が閉じ、作物2が把持ツメ81によって抱き込まれて把持される。詳しくは、昇降体62を上昇させると、図25に示すように、昇降体62の上昇に伴って係合部材72が係合解除状態X2から上昇し、係合部材72が連動部材86に下から当接する係合状態X1となると共に、係合部材72が上昇することによって連動部材86が引き上げられる。これによって、図25に二点鎖線で示すように、把持ツメ81が内方に移動して作物2を把持する。
係合部材72が係合状態X1にある状態では、把持ツメ81は開き方向の移動が規制されるので、昇降体62を上昇させることにより作物2を持ち上げることができる。これにより、図23の右から2番目の図及び右図に示すように、作物2を所望の移動場所(追従型の運搬車48等)へ移動させることができる。
図23の右図に示すように、作物2を移動場所に移動して該移動場所に載置した状態で、昇降体62を下降させると、係合部材72は、係合状態X1から係合解除状態X2になる。
次に、図23の右図に示すロボットハンド18を移動場所に載置した状態で、図19に示すように、駆動部87によってツメ取付部材79を下降位置X3から上昇位置X4へと上方揺動させると、図24の左図、図26に示すように、把持ツメ81が強制的に開き、作物2を解放することができる。作物2を解放した後は、図24の中央の図に示すように、把持ツメ81を開いたままロボットハンド18を上昇させ、その後、図24の右図に示すように、作物2の上方等でツメ取付部材79を上昇位置X4から下降位置X3へと下方揺動させることで把持ツメ81を強制的に閉じる。その後は、ロボットハンド18を、次の収穫目標の作物2へ移動させ、上記した動作を繰り返すことにより、順次、作物2を収穫することができる。
上記のロボットハンド18にあっては、ロボットハンド18が作物2に接触するまでは、把持ツメ81の先端が閉じているので、把持ツメ81の内側に不用意にツタや葉が入り込むことを抑制することができる。
また、ロボットハンド18の把持ツメ81は作物2の表面に接しながら開くので、把持ツメ81の内側に不用意にツタや葉が入り込むことを抑制しながら、特にロボットハンド18を制御しなくても、把持ツメ81によって自然にツタや葉を払い除けることができる。
また、各把持ツメ81が外側に開くようにリンクが構成されているので、把持ツメ81の先端が作物2の中心からいずれかの把持ツメ81側に偏倚していても、把持ツメ81を押し下げた際に、偏倚した側とは反対側の把持ツメ81が逆関節(内側に押し込まれること)を防止できる。
また、作物2を持ち上げる際は、ロボットハンド18が上昇するとテコの作用で把持ツメ81が作物2を抱き込むので、動力がなくとも把持ツメ81を閉じて確実に作物2を把持できる。
また、作物2を離す際は、動力部88(モータ)で把持ツメ81全体を根元から強制的に開くので、把持ツメ81のリンク機構やテコの作用に影響されることなく、作物2を離したいタイミングで離すことができる。
図27~図34は、図1~図26に示す実施形態とは異なる実施形態を示している。図27は、等級判別収穫装置53を例示している。等級判別収穫装置53は、上記の農業用ロボット1と、運搬車48とを有して構成されている。
図28、図29に示すように、ロボットハンド18は、ベース部材18Aと、複数の把持ツメ18Bとを有している。ベース部材18Aの上面側には連結片63が設けられている。連結片63は吊りプレート37に枢支されている。つまり、ロボットハンド18はアーム17に吊り下げられている。複数の把持ツメ18Bは、ベース部材18Aの下面側に揺動可能に取り付けられている。ロボットハンド18は、複数の把持ツメ18Bが揺動することにより、把持ツメ18Bと把持ツメ18Bとの間で作物2を把持することが可能(図29参照)であると共に、把持した作物2を解放することが可能である。
図28、図29に示すように、農業用ロボット1は、マニピュレータ4で収穫される作物2の品質情報を取得する品質検出装置49を備えている。詳しくは、品質検出装置49は、マニピュレータ4で収穫される作物2の分別に必要な品質情報を取得する。品質検出装置49は、撮像装置(第2撮像装置という)5Bと、検出センサ50とを含む。
第2撮像装置5Bは、作物2の品質情報を撮影によって取得する装置である。第2撮像装置5Bが取得する作物2の分別に必要な品質情報は、作物2の外観から得られる品質情報であって、例えば、作物2の大きさ、形、色、模様(スイカにあっては縞模様)、傷などである。第2撮像装置5Bは、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)イメージセンサを搭載したCCDカメラ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサを搭載したCMOSカメラなどが採用される。
検出センサ50は、第2撮像装置5Bで得られる品質情報とは異なる品質情報をセンシングによって取得するセンサである。検出センサ50が取得する作物2の分別に必要な品質情報は、例えば、作物2の重量、香り、打音、映像などである。
図28、図29に示すように、本実施形態では、検出センサ50は、重量センサ50A、香りセンサ50B、打音センサ50C、映像センサ50Dのうちの1つまたは複数を含む。
重量センサ50Aは、作物2の品質情報として、作物2の重さを取得するセンサである。重量センサ50Aは、ロボットハンド18(ベース部材18A)と連結片63との間に設けられている。つまり、ロボットハンド18は、重量センサ50Aを介してアーム17に吊り下げられていて、把持ツメ18Bで把持された作物2の重量を検出可能である。重量センサ50Aは、例えば、ロードセルや電磁平衡式センサによって構成される。
香りセンサ50Bは、作物2の品質情報として、作物2の香りを取得するセンサである。香りセンサ50Bは、例えば、ベース部材18Aに設けられ、把持ツメによって把持された作物2の香りを取得する。
打音センサ50Cは、作物2の品質情報として、作物2に打撃を与えた(作物2を叩いた)ときの打音を取得するセンサである。打音センサ50Cは、ロボットハンド18(ベース部材18A)に設けられている。
図30に示すように、打音センサ50Cは、打撃機構51と、録音機構52とを有している。打撃機構51は、把持ツメ18Bで把持された作物2に対して進退可能な打撃部材51Aを有し、打撃部材51Aを突出させて作物2に打撃を与えて打音を発生させる。録音機構52は、マイク(高指向性マイク)を有し、打撃部材51Aで作物2を打撃することによって発生した打音を録音する。
映像センサ50Dは、作物2の品質情報として、作物2の映像を取得するセンサである。映像センサ50Dは、例えば、ベース部材18Aに設けられる。映像センサ50Dは、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサ等を含むセンサである。映像センサ50Dが撮影した作物2の映像によって作物2の熟度を取得することが可能である。なお、映像センサ50Dによって撮影した映像によって作物2の位置検出や不良判別などを行うことが可能である。
なお、品質検出装置49は、第2撮像装置5B及び検出センサ50のいずれか一方だけであってもよい。また、検出センサ50は、重量センサ50A、香りセンサ50B、打音センサ50C、映像センサ50Dに限定されることはなく、第2撮像装置5Bが取得する品質情報とは異なる品質情報をセンシングによって取得するセンサであればよい。その他の検出センサ50として、作物2の水分を検出する水分センサなどが考えられる。
図27に示すように、運搬車48は、走行体3の後方に配置される。運搬車48は、例えば、走行体3に追従して走行する追従型の自走式運搬車である。運搬車48は、収穫容器48Aを有している。収穫容器48Aは、該収穫容器48Aに割り当てられた等級別の複数の所定位置(第1収容部48a~第4収容部48d)を有している。隣接する所定位置の間(第1収容部48aと第2収容部48bとの間、第2第収容部48bと第3収容部48cとの間、第3収容部48cと第4収容部48dとの間)は仕切り壁48eによって仕切られている。図例の収穫容器48Aにあっては、4つの所定位置を有しており、農業用ロボット1は、作物2を4段階の等級(例えば、特級→秀→優→良)に仕分け可能である。作物2を仕分ける所定位置の数は、本実施形態の数に限定されることはない。
図31に示すように、制御装置41には、第2撮像装置5B、重量センサ50A、香りセンサ50B、打音センサ50C、映像センサ50Dが接続されている。制御装置41は、第2撮像装置5Bが取得した作物2の品質情報を取得可能であり、また、重量センサ50Aが取得した作物2の重量、香りセンサ50Bが取得した作物2の香り、打音センサ50Cが取得した作物2の打音、映像センサ50Dが取得した映像による作物2の熟度を品質情報として取得可能である。
制御装置41は、等級判別部41Hを有している。等級判別部41Hは、第2撮像装置5Bが取得した品質情報と、検出センサ50(重量センサ50A、香りセンサ50B、打音センサ50C、映像センサ50D)が取得した品質情報とに基づいて作物2の等級を判別する。即ち、等級判別部41Hは、第2撮像装置5Bが取得した作物2の大きさ、形、色、模様、傷などの作物2の外観によって作物2が複数の等級のうちのいずれに該当するかを判別する。また、等級判別部41Hは、重量センサ50Aが取得した作物2の重量によって作物2が複数の等級のうちのいずれに該当するかを判別する。また、等級判別部41Hは、香りセンサ50Bが取得した作物2の香りに基づいて作物2の熟度を判定し、これによって、作物2が複数の等級のうちのいずれに該当するかを判別する。また、等級判別部41Hは、打音センサ50Cが取得した作物2の打音に基づいて作物2の熟度を判定し、これによって、作物2が複数の等級のうちのいずれに該当するかを判別する。ところで、作物2が熟してくると、打音が高い澄んだ音から低い濁ったような音になる。この打音をフーリエ変換すると、作物2が熟するのに伴い特徴的なスペクトルの波長分布を示す。等級判別部41Hは、この波長分布に基づいて作物2の熟度を判定する。また、等級判別部41Hは、映像センサ50Dが取得した映像による熟度に基づいて作物2が複数の等級のうちのいずれに該当するかを判別する。
上記の等級判別部41Hは、第2撮像装置5Bが取得した品質情報で判別される等級と、検出センサ50(重量センサ50A、香りセンサ50B、打音センサ50C、映像センサ50D)が取得した品質情報で判別される等級とを総合的に勘案して作物2の等級を判別する。これによって、作物2の等級を判別する精度を高めることができる。
図31に示すように、制御装置41は、等級仕分部41Kを有している。等級仕分部41Kは、マニピュレータ4を作動させることによって、等級判別部41Hが判別した作物2を、収穫容器48Aに割り当てられた等級別の所定位置(第1収容部48a~第4収容部48d)に仕分ける。即ち、第1収容部48aが第1等級(特級)の作物2を収容する所定位置であり、第2収容部48bが第2等級(秀)の作物2を収容する所定位置であり、第3収容部48cが第3等級(優)の作物2を収容する所定位置であり、第4収容部48dが第4等級(良)の作物2を収容する所定位置であるとした場合、第2撮像装置5B及び検出センサ50が取得した品質情報に基づいて、等級判別部41Hが作物2を第1等級であると判別すると、等級仕分部41Kは、フレーム制御部41B及びアーム制御部41Cによって、ロボットハンド18の位置制御を行って、作物2を第1収容部48aへ収容する。等級判別部41Hが、作物2を第2等級、第3等級または第4等級と判別した場合も同様に、作物2を対応する収容部へ収容する。
その他の構成は、上記図1~図15に示す実施形態と略同様に構成される。この実施形態において、上記図16に示す形態のロボットハンド18を採用してもよい。
図32、図33、図34は、他の実施形態に係る農業用ロボット1を示している。
図32に示す農業用ロボット1は、マニピュレータ4が、回動フレーム21と、アーム17と、ロボットハンド18とを有して構成されるユニットを複数(4A、4B)有している。言い換えると、複数のアーム17を有し、複数のアーム17の各々にロボットハンド18を有している。詳しくは、図32に示す農業用ロボット1にあっては、マニピュレータ4は、2つのユニット4A、4Bを有して構成され、各ユニット4A、4Bは、各々、回動フレーム21、アーム17、第1アームシリンダC4、第2アームシリンダC5等を有している。
図33、図34に示す農業用ロボット1にあっては、マニピュレータ4は、回動フレーム21と、アーム17と、アーム17に設けられた複数のロボットハンド18とを有している。つまり、1つのアーム17に対して、複数のロボットハンド18を有している。
図33に示す農業用ロボット1にあっては、マニピュレータ4は、分岐アーム4Cを有している。分岐アーム4Cは、基アーム部4Caと、第1従アーム部4Cbと、第2従アーム部4Ccとを有している。基アーム部4Caは、サブアーム30が設けられる場合は、サブアーム30に取り付けられ、サブアーム30が設けられない場合は、第2アーム部32に取り付けられる。また、基アーム部4Caは、長手方向の中途部が、サブアーム30または第2アーム部32に取り付けられる。第1従アーム部4Cbは、基アーム部4Caの一端に枢支され、第2従アーム部4Ccは、基アーム部4Caの他端に枢支される。第1従アーム部4Cbは、基アーム部4Caに対して油圧シリンダC6によって揺動駆動され、第2従アーム部4Ccは、基アーム部4Caに対して油圧シリンダC7によって揺動駆動される。なお、基アーム部4Caは、サブアーム30または第2アーム部32に枢支され、油圧シリンダによって揺動駆動されるように構成されていてもよい。
図34に示す農業用ロボット1にあっては、マニピュレータ4は、分岐アーム4Dを有している。分岐アーム4Dは、基アーム部4Daと、従アーム部4Dbとを有している。基アーム部4Daは、一端側が第2アーム部32の長手方向の中途部に枢支され、他端側に従アーム部4Dbが枢支されている。基アーム部4Daは、第2アーム部32に対して油圧シリンダC8によって揺動駆動され、従アーム部4Dbは、基アーム部4Daに対して油圧シリンダC9によって揺動駆動される。
図32、図33、図34に示す農業用ロボット1にあっては、作物2の枝(ツタ)や葉を一方のロボットハンド18によって払い除け、他方のロボットハンド18によって作物2の収穫などの作業を行うことができる。また、一方のロボットハンド18で作物2を把持し、他方のロボットハンド18で茎(ツタ)の切り取りなどの作業を行うことができる。また、農業用ロボット1を圃場に肥料を散布する肥料散布機として構成する場合、一方のロボットハンド18で肥料袋を肥料ホッパの投入口まで持ち運び、他方のロボットハンド18によって肥料袋を開封して肥料を肥料ホッパに投入することができる。また、農業用ロボット1を苗の植え付けを行う移植機として構成する場合、機体6から空の苗箱を搬出する搬出作業と、機体6に苗を有する苗箱の装着を行う苗箱装着作業とを同時に行うことができる。即ち、これまで、人手作業でないとできなかった農作業が農業用ロボット1によって行える。
また、図32に示す農業用ロボット1にあっては、一方のユニット4Aのアーム17及びロボットハンド18に対して他方ユニット4Bのアーム17及びロボットハンド18が小型に構成されている。また、図33に示す農業用ロボット1にあっては、一方のロボットハンド18に対して他方のロボットハンド18が小型に構成されている。また、図34に示す農業用ロボット1にあっては、大型のアーム17及びロボットハンド18におけるアーム17の中途部に小型の分岐アーム4Dが設置されている。
図32、図33、図34に示す農業用ロボット1にあっては、大型のロボットハンド18で、作物2(野菜)を把持・運搬し、小型のロボットハンド18でその他の補助作業や繊細な作業を行うことで、迅速で効率的な作業を行うことができる。
図35~図40は、図1~図34に示す実施形態とは異なる実施形態を示している。
図35に示すように、原動機フレーム6Bには、農業用ロボット1に装備される電気機器に電力を供給するバッテリBTが搭載されている。
図35、図37に示すように、農業用ロボット1は、原動機E1の動力を動力を取り出す動力取出し軸(第1動力取出し軸)49を有している。第1動力取出し軸49は、原動機E1の前部に連結された伝動ケース50から前方に突出している。また、第1動力取出し軸49には、伝動ケース50の内部に収容された動力伝達機構を介して原動機E1から出力される動力が伝達される。第1動力取出し軸49は、機体6の機体幅方向B3中央部に配置されている。
なお、第1動力取出し軸49は、農業用ロボット1の後部に設けられていてもよいし、農業用ロボット1の前部及び後部の両方に設けられていてもよい。
図36、図37に示すように、農業用ロボット1は、作業機53(図38参照)を昇降可能に連結する連結機構51を有している。本実施形態では、連結機構51は、1本のトップリンク51Aと、2本のロワーリンク51Bとを有する三点リンク機構で構成されている。連結機構51は、農業用ロボット1(走行体3)の前部に設けられている。トップリンク51Aは、第1動力取出し軸49よりも上方で且つメインフレーム6A(機体6)の前方に配置されている。詳しくは、トップリンク51Aは、メインフレーム6Aの前上部の機体幅方向B3中央部の前方に配置されている。トップリンク51Aの後部は、メインフレーム6Aに設けられたブラケット51aに機体幅方向B3に延伸する軸心回りに回動可能に枢支されている。2本のロワーリンク51Bは、トップリンク51A及び第1動力取出し軸49よりも下方で且つ原動機フレーム6B(機体6)の前方に配置されている。詳しくは、一方のロワーリンク51Bは、前フレーム6Baの左部の前方に配置され、他方のロワーリンク51Bは、前フレーム6Baの右部の前方に配置されている。各ロワーリンク51Bは、前フレーム6Baの下部に設けられたブラケット51bに機体幅方向B3に延伸する軸心回りに回動可能に枢支されている。
なお、連結機構51は、二点リンク機構やその他の構造のものであってもよい。つまり、連結機構51は、作業機53を連結できる機構のものであればよい。また、連結機構51は、農業用ロボット1の後部に設けられていてもよいし、農業用ロボット1の前部及び後部の両方に設けられていてもよいが、第1動力取出し軸49が設けられた側に設けられる。
図36、図37に示すように、農業用ロボット1は、ロワーリンク51Bを上げ下げする昇降機構52を有している。昇降機構52は、油圧装置52Aと、2本のリフトアーム52Bと、2本のリフトロッド52Cとを有している。油圧装置52Aは、メインフレーム6A(機体6)の前部の上面側に設けられている。また、油圧装置52Aは、メインフレーム6Aの機体幅方向B3の中央部に配置されている。油圧装置52Aは、油圧ポンプP1から吐出する作動油によって駆動される。リフトアーム52Bは、油圧装置52Aの左及び右に配置されている。各リフトアーム52Bは、基部(後部)が油圧装置52Aに回動可能に取り付けられ、油圧装置52Aによって上下揺動可能に駆動される。リフトロッド52Cは、機体幅方向B3で並べて配置されている。左のリフトロッド52Cは、左のリフトアーム52Bの前部と左のロワーリンク51Bの中途部とを連結しており、右のリフトロッド52Cは、右のリフトアーム52Bの前部と右のロワーリンク51Bの中途部とを連結している。油圧装置52Aによってリフトアーム52Bを上下揺動することにより、リフトロッド52Cを介してロワーリンク51Bが上げ下げされる。これにより、連結機構51に連結された作業機53が昇降される。
図37に示すように、農業用ロボット1は、作動流体を供給可能な流体圧源としての油圧ポンプP1から供給される作動油(作動流体)を外部に取り出すための外部取出しポート54を有している。外部取出しポート54は、1または複数設けられる。外部取出しポート54は、従来の農業機械に使用されている形状のものであるのがよい。また、外部取出しポート54は、エアポンプ(流体圧源)から吐出される圧縮空気(作動流体)を外部に取り出すためのポートであってもよい。
農業用ロボット1は、第1動力取出し軸49、連結機構51及び外部取出しポート54を備えていることにより、油圧式や機械式の作業機を簡単に後付けすることができる。第1動力取出し軸49、連結機構51及び外部取出しポート54の形状が従来の方式のものであれば、従来の作業機をそのまま使用することも可能である。後付けされる作業機としては、限定されることはないが、ロータリ耕耘機、ブロードキャスタやライムソワー等の肥料散布機、畝間溝の管理作業を行う管理作業機などが考えられる。
図37に示すように、農業用ロボット1は、バッテリBTからの電力を外部に供給するための電源ポート55を有している。電源ポート55を有することにより、農業用ロボット1に装着される作業機53に装備された電気機器に電力を供給することができる。つまり、電動式の作業機53を簡単に後付けすることができる。また、農業用ロボット1の周辺で使用される電気機器などに電源ポート55から電力を供給することができる。
図37に示すように、農業用ロボット1は、外部との通信に利用可能な通信ポートを備えている。通信ポート56を有することにより、農業用ロボット1と該農業用ロボット1に取り付けられる作業機53とを通信させることができる。これにより、農業用ロボットと作業機53との協調制御を行うことができる。
回動モータM2の出力軸Maは、原動機E1とは異なる動力源の動力を取り出す動力取出し軸(第2動力取出し軸)である。
図40に示すように、ベース部24Aは、装着部19の上壁19kに固定された取付プレート19mにボルト及びナット等の締結具によって着脱可能に取り付けられるように構成してもよい。言い換えると、機体6に、回動モータM2が取り付けられた装着部19を残したまま、シャフト支持体24、回動シャフト20、回動フレーム21を取り外せるように構成してもよい。これにより、本実施形態のマニピュレータ4とは異なる作業装置を機体6に装着する場合に、該作業装置に第2動力取出し軸Maから動力を伝達(供給)することができる。
図35に示すように、ロボットハンド18は、ベース部材18Aと、複数の把持ツメ18Bとを有している。ベース部材18Aの上面側には連結片63が設けられている。連結片63は吊りプレート37に枢支されている。つまり、ロボットハンド18はアーム17に吊り下げられている。複数の把持ツメ18Bは、ベース部材18Aの下面側に揺動可能に取り付けられている。ロボットハンド18は、複数の把持ツメ18Bが揺動することにより、把持ツメ18Bと把持ツメ18Bとの間で作物2を把持することが可能(図38参照)であると共に、把持した作物2を解放することが可能である。
この実施形態においても、上記図16に示す形態のロボットハンド18を採用してもよい。なお、ロボットハンド18を、肥料袋を把持可能なロボットハンドに付け替えることにより、連結機構51に連結した肥料散布機に肥料を供給する際の補助作業をマニピュレータ4にさせることができる。
図39に示すように、制御装置41には、通信ポート56が接続されている。通信ポート56には、農業用ロボット1に連結機構51を介して連結される作業機53に装備された制御部53Aが接続ケーブル等を介して接続可能である。制御装置41は、制御部53Aを制御する外部制御部41Lを有している。外部制御部41Lは、農業用ロボット1と作業機53との協調制御を行う。
その他の構成は、上記図1~図15に示す実施形態と略同様に構成される。
上記の農業用ロボット1は、機体6と、機体6を走行可能に支持する車輪型の走行装置7であって、少なくとも3輪の車輪8を有する走行装置7と、機体6に取り付けられたアーム17と、アーム17に取り付けられていて対象物(作物2)を把持可能なロボットハンド18とを有するマニピュレータ4と、機体6とマニピュレータ4とのバランスをとるべく各車輪8の位置を制御するバランス制御部41Fと、を備えている。
この構成によれば、バランス制御部41Fによって各車輪8の位置を制御することにより、機体6とマニピュレータ4とのバランスをとることができる。
また、バランス制御部41Fは、各車輪8の位置を制御して機体6の姿勢を制御する。
この構成によれば、機体6の姿勢を制御することで機体6とアーム17及びロボットハンド18とのバランスをとることができる。
また、走行装置7は、機体6の前部の左側に設けられた第1車輪8Laと、機体6の前部の右側に設けられた第2車輪8Raと、機体6の後部の左側に設けられた第3車輪8Lbと、機体6の後部の右側に設けられた第4車輪8Rbとを有し、第1車輪8La~第4車輪8Rbは、機体6に対して夫々独立的に昇降可能に支持され、バランス制御部41Fは、第1車輪8La~第4車輪8Rbを昇降することで機体6の姿勢を制御する。
この構成によれば、第1車輪8La~第4車輪8Rbを昇降することで機体6の姿勢を制御することができる。
また、マニピュレータ4は、アーム17が上下揺動可能に取り付けられる装着体16を有し、装着体16は、機体6に対して着脱可能に装着される。
この構成によれば、マニピュレータ4を他の形式のものに交換することができる。
また、マニピュレータ4を制御する制御部41Dを備え、装着体16は、機体6に着脱可能に装着される装着部19と、装着部19に縦軸回りに回動可能に支持された回動シャフト20と、回動シャフト20を回転駆動する回動モータM2と、回動シャフト20と一体回動する回動フレーム21とを有し、アーム17は、回動フレーム21に上下揺動可能に枢支された第1アーム部31と、第1アーム部31に揺動可能に枢支された第2アーム部32とを有し、第1アーム部31に対して第2アーム部32が揺動することで屈伸可能とされ、ロボットハンド18は第2アーム17の先端側に取り付けられ、制御部41Dは、第1アーム部31及び第2アーム部32の揺動と回動フレームの回動21とを制御することでロボットハンド18の位置を制御する。
この構成によれば、ロボットハンド18を作物2の位置に的確に移動させることができる。
また、機体6の周囲の情報を撮影によって取得する撮像装置5Aと、収穫する前に、撮像装置が取得した情報に基づいて、作物の個々の位置及び育成状況のマップ60を自動で生成するマップ作成部41Gを有している。
この構成によれば、予め作物2の位置や育成状況を把握してマップ化することで、その後の作業に活用することができる。
また、撮像装置5Aが取得した情報に基づいて、作物の種別に特化した特徴から作物の収穫適期を判定する判定部41Eを備えている。
この構成によれば、作物2を、収穫するか否かを自動的に選択しながら収穫できる農業用ロボット1を提供することができる。
また、上記のロボットハンド18は、作物2を把持可能な把持ツメ81と、把持ツメ81が開閉可能に取り付けられるツメ取付部材79であって昇降可能なツメ取付部材79と、把持ツメ81の開閉動作に連動する連動部材86と、連動部材86と係脱可能な係合部材72と、を備え、把持ツメ81は、ツメ取付部材79を下降させて把持ツメ81を作物2に押しつけることで、作物からの反力によって閉じた状態から作物2の表面に沿って開き、係合部材72は、昇降可能であって、連動部材86から下方に離間して把持ツメ81の開閉を許容する係合解除状態X2と、連動部材86に下から係合する係合状態X1とに変位可能であり、且つ係合状態X1で上昇して連動部材86を引き上げることで把持ツメ81を閉じた状態に移動させる。
この構成によれば、把持ツメ81は、作物2に押しつけられることで作物2の反力によって閉じた状態から作物2の表面に沿って開き、係合部材72を上昇させて連動部材86を引き上げることにより閉じる。これにより、把持ツメ81の開閉の構造を簡素化することができる。
また、ツメ取付部材79を枢軸78回りに上下揺動可能に支持する支持体73と、支持体73に設けられた駆動部87と、を備え、駆動部87は、動力部88と、動力部88の動力によってツメ取付部材79を枢軸78回りに上下揺動させることで把持ツメ81を強制的に開閉する駆動機構89とを有している。
この構成によれば、作物2を離したいタイミングで把持ツメ81から離すことができる。
また、動力部88は、モータによって構成され、駆動機構89は、モータによって回転駆動される第1ギヤ89Aと、第1ギヤ89Aに噛合し且つツメ取付部材79を枢軸78回りに上下揺動させる第2ギヤ89Bとを有している。
この構成によれば、駆動部87を簡単に構成することができる。
また、支持体73の上方に配置されており、且つ昇降可能な昇降体62と、上下方向に伸縮自在に構成されていて昇降体62と支持体73とを相対移動可能に連結する伸縮リンク機構76と、を備え、昇降体62は、把持ツメ81が作物2に当接して支持体73の下降が規制された状態で伸縮リンク機構76が収縮することで支持体73に対して下降し、ツメ取付部材79は、昇降体62が支持体73に対して下降した際に昇降体62が当接する当接部79dを有している。
この構成によれば、昇降体62によって、ツメ取付部材79及び把持ツメ81を昇降させることができ、且つツメ取付部材79を押し下げて把持ツメ81を作物2に沿って開かせることができる。
また、係合部材72は、昇降体62に設けられていて昇降体62と共に昇降し、且つ昇降体62が当接部79dに当接した状態で係合解除状態X2にある。
この構成によれば、ツメ取付部材79を押し下げる動作と、係合部材72を連動部材86から離間させる動作とを別々に行う必要がなく、前記2つの動作を昇降体62によって行うことができる。
また、ツメ取付部材79は、把持ツメ81が閉じた状態で連動部材86が当接することにより把持ツメ81の閉じ方向の移動を規制する規制部79bを有している。
この構成によれば、把持ツメ81が内側に入り込むのを防止することができる。
また、把持ツメ81を閉じ方向に付勢する閉じバネ85を備えている。
この構成によれば、把持ツメ81が作物2の表面に沿って開く際に、該把持ツメ81を作物2の表面に良好に沿わせることができる。
上記ロボットハンドは、農業用ロボットに採用することができる。
上記の農業用ロボット1は、走行体3と、走行体3に縦軸回りに回動可能に支持された回動フレーム21と、回動フレーム21に上下揺動可能に支持された屈伸可能なアーム17と、を備え、回動フレーム21は、走行体3における前後方向A3の一方側に偏倚して設けられ、アーム17は、前後方向A3の一方側を向く作業姿勢W1と、前後方向A3の他方側を向くと共に屈曲させた収納姿勢W2とに姿勢変更可能である。
この構成によれば、アーム17を支持する回動フレーム21が走行体3の前後方向A3の一方側に偏倚して設けられて且つアーム17が前記一方側を向く作業姿勢W1にて作業を行うので、作業範囲を広くとることができる。また、アーム17を作業姿勢W1とは逆向きにして屈曲させた収納姿勢W2にすることにより、農業用ロボット1をコンパクトにすることができる。
また、回動フレーム21が回動可能に取り付けられる装着部19を備え、装着部19は、下部に下方に突出する係合部19Eを有し、走行体3は、並行状に設けられた第1装着フレーム(第4横フレーム6Ag)及び第2装着フレーム(第5横フレーム6Ah)を有し、且つ第1装着フレーム6Agと第2装着フレーム6Ahとの間に係合部19Eが差し込まれることで装着部19を保持可能である。
この構成によれば、回動フレーム21、アーム17及び装着部19を有するマニピュレータ4を交換することができる。また、装着部19の着脱を容易に行える。
また、制御装置41と、アーム17が作業姿勢W1にあるときの回動フレーム21の回動を規制する回動規制部材38を備え、制御装置41は、回動規制部材38で規制された回動フレーム21の位置を基準として回動フレーム21の回動を制御する。
この構成によれば、回動フレーム21の回動を検出する検出部材がなくても、回動フレーム21の回動の制御を行える。
また、回動フレーム21の回動を規制してアーム17を収納姿勢W2に位置決めする位置決め部材39を備え、回動フレーム21は、縦軸回りの第1回動方向Y3と第1回動方向Y3の反対方向である第2回動方向Y4とに回動可能であり、回動規制部材38は、回動フレーム21の第1回動方向Y3及び第2回動方向Y4のうちの一方の方向の回動を規制し、位置決め部材39は、回動フレーム21の第1回動方向Y3及び第2回動方向Y4のうちの他方の方向の回動を規制する。
この構成によれば、位置決め部材39によってアーム17を収納姿勢W2に迅速且つ確実に位置決めすることができる。また、回動フレーム21の回動を規制する回動規制部材38と位置決め部材39とを設けても、回動フレーム21の回動によってアーム17を作業姿勢W1と収納姿勢W2とに姿勢変更することができる。
また、アーム17に取り付けられていて作物2を把持可能なロボットハンド18を備え、アーム17は、回動フレーム21に上下揺動可能に枢支された第1アーム部31と、第1アーム部31に揺動可能に枢支された第2アーム部32とを有し、第1アーム部31に対して第2アーム部32が揺動することで屈伸可能とされ、制御装置41は、第1アーム部31及び第2アーム部32の揺動と回動フレーム21の回動とを制御することでロボットハンド18の位置を制御する。
この構成によれば、ロボットハンド18を作物2の位置に的確に移動させることができる。
また、作業姿勢W1において、第1アーム部31の先端側31cは、走行体3よりも一方側に位置しており、収納姿勢W2において、第1アーム部31の先端側31cは、走行体3の上方に位置している。
この構成によれば、作業姿勢W1では、走行体3から離れた作物2を良好に把持することができ、アーム17を収納姿勢W2にすると、農業用ロボット1をコンパクトにすることができる。
また、アーム17は、第2アーム部32に突出及び後退可能に設けられたサブアーム30を有し、ロボットハンド18は、サブアーム30の先端側に取り付けられている。
この構成によれば、作物位置・作業形態に合わせたアーム寸法をとることができる。
また、制御装置41は、サブアーム30の突出量を取得可能であり、突出量を加味してロボットハンド18の位置を制御する。
この構成によれば、伸縮可能なアーム17であってもロボットハンド18の位置制御を行うことができる。
また、回動フレーム21を回動させる回動モータM2と、アーム17を上下揺動させる第1油圧シリンダ(第1アームシリンダC4)と、アーム17を屈伸させる第2油圧シリンダ(第2アームシリンダC5)と、を備えている。
この構成によれば、油圧シリンダによって重い作物2でも容易に持ち上げ搬送可能である。
また、上記の農業用ロボット1は、走行体3と、走行体3に設けられ、作物2の収穫を行うことが可能なマニピュレータ4と、を備え、マニピュレータ4は、上下方向に延伸する回動軸心J1の周囲を回動可能な回動フレーム21と、回動フレーム21に上下揺動可能に支持された屈伸可能なアーム17と有し、回動フレーム21は、走行体3の進行方向とは反対側の方向である進行逆方向側に偏倚して設けられ、アーム17は、進行逆方向側を向く作業姿勢W1で且つ回動軸心J1の周囲の所定の回動範囲内で収穫作業を行う。
この構成によれば、マニピュレータ4を走行体3の進行方向とは反対側の方向である進行逆方向側に偏倚して設け、アーム17を進行逆方向側を向く作業姿勢W1で且つマニピュレータ4の回動軸心J1回りの所定の回動範囲内で収穫作業を行うようにすることで、走行体3とマニピュレータ4とのバランスをとることができる。
また、アーム17を上下揺動させる第1油圧シリンダC4と、アーム17を屈伸させる第2油圧シリンダC5とを備えている。
この構成によれば、油圧力によってアーム17を作動させることにより、重量野菜を容易にハンドリングすることができる。
また、アーム17は、回動フレーム21に上下揺動可能に枢支された第1アーム部31と、第1アーム部31に揺動可能に枢支された第2アーム部32とを有し、第1アーム部31に対して第2アーム部32が揺動することで屈伸可能とされ、第1アーム部31は、第1油圧シリンダC4で揺動駆動され、第2アーム部32は、第2油圧シリンダC5で揺動駆動される。
この構成によれば、油圧力により重量野菜を把持したマニピュレータ4の昇降及び屈伸を容易に行える。
また、マニピュレータ4で収穫される作物2の品質情報を取得する品質検出装置49と、品質情報に基づいて、収穫される作物2の等級を判別する等級判別部41Hと、を備え、品質検出装置49は、マニピュレータ4で収穫される作物2の品質情報を撮影によって取得する撮像装置5Bと、撮像装置5Bで得られる品質情報とは異なる品質情報をセンシングによって取得する検出センサ50とを含み、等級判別部41Hは、撮像装置5Bが取得した品質情報と、検出センサ50が取得した品質情報とに基づいて作物2の等級を判別する。
この構成によれば、作物2の等級を判別する精度を高めることができる。
また、マニピュレータ4に収穫動作を行わせる動作制御を行う制御部41と、マニピュレータ4を作動させることによって、等級判別部41Hが判別した作物2を、走行体3の走行に伴って移動する運搬車48の収穫容器48Aに割り当てられた等級別の所定位置(第1収容部48a~第4収容部48d)に仕分ける等級仕分部41Kと、を備えている。
この構成によれば、収穫する作物2を収穫時に等級別に分別することができる
また、検出センサ50は、作物2の重量を取得する重量センサ50A、作物2の香りを取得する香りセンサ50B、作物2の打音を取得する打音センサ50Cのうちのいずれか1つまたは複数を含んでいてもよい。
また、上記の農業用ロボット1は、走行体3と、走行体3の周囲の情報を取得する撮像装置5と、撮像装置5が取得した情報に基づいて、走行体3を自律走行させる制御装置41と、走行体3に搭載された原動機E1と、原動機E1の動力を取り出す第1動力取出し軸49と、を備えている。
この構成によれば、原動機E1の動力を取り出す第1動力取出し軸49を装備することにより、自律走行する農業用ロボット1に後付けで取り付けられる作業機53に、第1動力取出し軸49から動力を供給することができる。
また、原動機E1とは異なる動力源(回動モータM2)の動力を取り出す第2動力取出し軸(出力軸Ma)を備え、第1動力取出し軸49は、走行体3の前後方向A3の一方側に設けられ、第2動力取出し軸Maは、走行体3の前後方向A3の他方側に設けられている。
この構成によれば、走行体3の前後方向A3一方側に作業機53を取り付けて該作業機53を第1動力取出し軸49によって駆動することができると共に、走行体3の前後方向A3他方側に作業装置を取り付けて該作業装置を第2動力取出し軸Maによって駆動することができる。これにより、多様な作業を行うことができる農業用ロボット1を提供することができる。
また、走行体3に取り付けられ且つ第2動力取出し軸Maの動力によって縦軸回りに回動する回動フレーム21と、回動フレーム21に上下揺動可能に支持された屈伸可能なアーム17と、アーム17に取り付けられたロボットハンド18と、を備えている。
この構成によれば、第1動力取出し軸49を装備した側に取り付けられる作業機53に対する補助的な作業を、回動フレーム21、アーム17及びロボットハンド18を有して構成されるマニピュレータに行わせることができる。
また、走行体3における第1動力取出し軸49が設けられている側に、作業機53を連結可能な連結機構51を備えている。
この構成によれば、農業用ロボット1に作業機53を簡単に連結することができる。
また、作動流体を供給可能な流体圧源(油圧ポンプP1)と、流体圧源P1から供給される作動流体を外部に取り出すための外部取出しポート54と、を備えている。
この構成によれば、農業用ロボット1に装着される作業機53に装備されるアクチュエータを外部取出しポート54からの作動流体によって駆動することができる。
また、電力を外部に供給するための電源ポート55を備えている。
この構成によれば、農業用ロボット1に装着される作業機53に装備された電気機器に電力を供給することができ、電動式の作業機53を簡単に後付けすることができる。
また、外部との通信に利用可能な通信ポート56を備えている。
この構成によれば、農業用ロボット1と該農業用ロボット1に取り付けられる作業機53とを通信させることができ、これにより、農業用ロボット1と作業機53との協調制御を行うことができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 作物
62 昇降体
72 係合部材
73 支持体
76 伸縮リンク機構
78 枢軸
79 ツメ取付部材
79b 規制部
79d 当接部
81 把持ツメ
85 閉じバネ
86 連動部材
87 駆動部
88 動力部
89 駆動機構
89A 第1ギヤ
89B 第2ギヤ
X2 係合解除状態
X1 係合状態

Claims (8)

  1. 作物を把持可能な把持ツメと、
    前記把持ツメが開閉可能に取り付けられるツメ取付部材であって昇降可能なツメ取付部材と、
    前記把持ツメの開閉動作に連動する連動部材と、
    前記連動部材と係脱可能な係合部材と、
    を備え、
    前記把持ツメは、前記ツメ取付部材を下降させて前記把持ツメを前記作物に押しつけることで、前記作物からの反力によって閉じた状態から前記作物の表面に沿って開き、
    前記係合部材は、前記連動部材に対して昇降可能であって、前記連動部材から下方に離間して前記把持ツメの開閉を許容する係合解除状態と、前記連動部材に下から係合する係合状態とに変位可能であり、且つ前記係合状態で上昇して前記連動部材を引き上げることで前記把持ツメを前記閉じた状態に移動させるロボットハンド。
  2. 前記ツメ取付部材を枢軸回りに上下揺動可能に支持する支持体と、
    前記支持体に設けられた駆動部と、
    を備え、
    前記駆動部は、動力部と、前記動力部の動力によって前記ツメ取付部材を前記枢軸回りに上下揺動させることで前記把持ツメを強制的に開閉する駆動機構とを有している請求項1に記載のロボットハンド。
  3. 前記動力部は、モータによって構成され、
    前記駆動機構は、前記モータによって回転駆動される第1ギヤと、前記第1ギヤに噛合し且つ前記ツメ取付部材を前記枢軸回りに上下揺動させる第2ギヤとを有している請求項2に記載のロボットハンド。
  4. 前記支持体の上方に配置されており、且つ昇降可能な昇降体と、
    上下方向に伸縮自在に構成されていて前記昇降体と前記支持体とを相対移動可能に連結する伸縮リンク機構と、
    を備え、
    前記昇降体は、前記把持ツメが前記作物に当接して前記支持体の下降が規制された状態で前記伸縮リンク機構が収縮することで前記支持体に対して下降し、
    前記ツメ取付部材は、前記昇降体が前記支持体に対して下降した際に前記昇降体が当接する当接部を有している請求項2または3に記載のロボットハンド。
  5. 前記係合部材は、前記昇降体に設けられていて前記昇降体と共に昇降し、且つ前記昇降体が前記当接部に当接した状態で前記係合解除状態にある請求項4に記載のロボットハンド。
  6. 前記ツメ取付部材は、前記把持ツメが閉じた状態で前記連動部材が当接することにより前記把持ツメの閉じ方向の移動を規制する規制部を有している請求項1~5のいずれか1項に記載のロボットハンド。
  7. 前記把持ツメを閉じ方向に付勢する閉じバネを備えている請求項1~6のいずれか1項に記載のロボットハンド。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載のロボットハンドを備えている農業用ロボット。
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