JP2021023079A - ブラシレスモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構造で高い耐電食性を確保できるブラシレスモータを提供する。【解決手段】モータ10は、環状のステータコア36を有するステータ22と、ステータ22を収容するロータハウジング64を有するロータ24と、ロータハウジング64に固定されたシャフト32と、ステータコア36の内側に挿入された筒状の軸受収容部70を有するベース部材26と、を備える。軸受収容部70には、内側にシャフト32が挿入された第一玉軸受28及び第二玉軸受30が収容されており、ベース部材26は、ステータコア36、第一玉軸受28及び第二玉軸受30と異なる金属で形成されている。軸受収容部70と第一玉軸受28及び第二玉軸受30とは、絶縁性を有する第一接着材100、102を介して接着されており、ステータコア36と軸受収容部70とは、絶縁性を有する第二接着材104を介して接着されている。【選択図】図3
Description
本発明は、ブラシレスモータに関する。
近年、小型航空機(少人数向け小型モビリティ)や無人航空機(UAV)、ドローン、飛行ロボットなどに代表される電動航空機(以下、飛行機器)は、点検・測量・農業・輸送・防災・乗用など、多岐にわたる用途が見込まれている。
これらに使われる飛行機器用のモータは、主に電池による限られた電力で駆動される方式が多い。飛行機器の価値である、長時間飛行、積載量増加、運動性向上(強風での制御安定)を高めるために、飛行機器用のモータには、軽量・高出力・高効率・自己風圧による高い冷却性能が重視される。特に重さは重要で、積載量の確保や飛行時間の長時間化、省エネルギー化、機体の慣性モーメント低減による姿勢制御応答性の向上など、軽量化によるメリットは多数あり、モータの軽量化の研究が盛んである。
例えば、特許文献1に記載のような構造のモータを軽量化する一つのアプローチとして、軽量高強度材料の使用が挙げられる。特に、磁気回路や通電部分ではないベース部材(軸受収容部等を有する支持部位)には、鉄ではなくアルミニウムが多く使用されている。このアルミニウムに置き換わる、より軽量な軽金属としてマグネシウムが注目されているが、被水腐食性や、異種の金属と地金同士が接触したときに生じる電気的腐食(電食・ガルバニック腐食)により、耐環境性が低いという課題がある。
上述のようなモータの例では、マグネシウム製のベース部材に対し、ステータコア、鉄製取付ねじ、ステンレス製の玉軸受、鉄製の磁気回路部品(バックヨーク)など、異種金属との接触が多い。ここで、めっきや高精度な膜厚を確保した塗装などの絶縁層で電気的な接触を避け、耐腐食性向上させる手法も考えられるが、モータが発生する振動や外部から伝達される微振動による擦れ摩耗によって絶縁層が剥がれてしまったり、製品組付時の接触によって絶縁層が破壊されてしまったりする課題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡単な構造で高い耐電食性を確保できるブラシレスモータを提供することを目的とする。
請求項1に記載のブラシレスモータは、環状のステータコアを有するステータと、前記ステータを収容するロータハウジングを有するロータと、前記ロータハウジングに固定されたシャフトと、前記ステータコアの内側に挿入された筒状の軸受収容部を有するベース部材と、を備え、前記軸受収容部には、内側に前記シャフトが挿入された一対の玉軸受が収容され、前記ベース部材は、前記ステータコア及び前記一対の玉軸受と異なる金属で形成され、前記軸受収容部と前記一対の玉軸受とは、絶縁性を有する第一接着材を介して接着され、前記ステータコアと前記軸受収容部とは、絶縁性を有する第二接着材を介して接着されている。
このブラシレスモータによれば、軸受収容部を有するベース部材と、軸受収容部に収容された一対の玉軸受とは、異なる金属で形成されているが、軸受収容部と一対の玉軸受とは、絶縁性を有する第一接着材を介して接着されている。したがって、軸受収容部(ベース部材)と一対の玉軸受との絶縁に第一接着材を用いることにより、軸受収容部と一対の玉軸受について高い耐電食性を確保できる。
また、ステータコアと、このステータコアの内側に挿入された軸受収容部を有するベース部材とは、異なる金属で形成されているが、ステータコアと軸受収容部とは、絶縁性を有する第二接着材を介して接着されている。したがって、ステータコアと軸受収容部(ベース部材)との絶縁に第二接着材を用いることにより、ステータコアと軸受収容部について高い耐電食性を確保できる。
しかも、軸受収容部(ベース部材)と一対の玉軸受との絶縁に第一接着材を用いると共に、ステータコアと軸受収容部との絶縁に第二接着材を用いることにより、例えば、めっきや塗装などを用いる場合に比べて、簡単な構造とすることができる。
なお、請求項2に記載のように、請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、前記軸受収容部には、前記ベース部材と異なる金属で形成されたリング部材が収容され、前記軸受収容部と前記リング部材とは、前記第一接着材を介して接着されていてもよい。
このブラシレスモータによれば、軸受収容部には、ベース部材と異なる金属で形成されたリング部材が収容されているが、軸受収容部とリング部材とは、第一接着材を介して接着されている。したがって、軸受収容部とリング部材との絶縁に第一接着材を用いることにより、軸受収容部とリング部材について高い耐電食性を確保できる。また、軸受収容部とリング部材との絶縁に第一接着材を用いることにより、簡単な構造とすることができる。
また、請求項3に記載のように、請求項1又は請求項2に記載のブラシレスモータにおいて、前記軸受収容部の内周面には、凹状の第一溜め部が形成され、前記第一溜め部には、前記第一接着材が溜められていてもよい。
このブラシレスモータによれば、軸受収容部の内周面には、凹状の第一溜め部が形成されており、この第一溜め部には、第一接着材が溜められている。したがって、第一溜め部に第一接着材が溜められることにより、軸受収容部の内周面と各玉軸受の外周面との径方向間に第一接着材を過不足なく行き渡らせることができる。これにより、軸受収容部と一対の玉軸受について高い耐電食性を周方向の全周に亘って確保できる。
また、請求項4に記載のように、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のブラシレスモータにおいて、前記ステータコアの内周面及び前記軸受収容部の外周面の少なくとも一方には、凹状の第二溜め部が形成され、前記第二溜め部には、前記第二接着材が溜められていてもよい。
このブラシレスモータによれば、ステータコアの内周面及び軸受収容部の外周面の少なくとも一方には、凹状の第二溜め部が形成されており、この第二溜め部には、第二接着材が溜められている。したがって、第二溜め部に第二接着材が溜められることにより、ステータコアの内周面と軸受収容部の外周面との径方向間に第二接着材を過不足なく行き渡らせることができる。これにより、ステータコアと軸受収容部について高い耐電食性を周方向の全周に亘って確保できる。
また、請求項5に記載のように、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のブラシレスモータにおいて、前記ロータハウジングは、前記ステータと軸方向に対向するロータ部材と、前記ロータ部材と異なる金属で形成され、前記ロータ部材の外周を囲うバックヨークと、を有し、前記ロータ部材と前記バックヨークとは、絶縁性を有する第三接着材を介して接着されていてもよい。
このブラシレスモータによれば、ロータハウジングは、ステータと軸方向に対向するロータ部材と、ロータ部材と異なる金属で形成され、ロータ部材の外周を囲うバックヨークとを有するが、ロータ部材とバックヨークとは、絶縁性を有する第三接着材を介して接着されている。したがって、ロータ部材とバックヨークとの絶縁に第三接着材を用いることにより、ロータ部材とバックヨークについて高い耐電食性を確保できる。また、ロータ部材とバックヨークとの絶縁に第三接着材を用いることにより、簡単な構造とすることができる。
また、請求項6に記載のように、請求項5に記載のブラシレスモータにおいて、前記ロータ部材の外周面及び前記バックヨークの内周面の少なくとも一方には、凹状の第三溜め部が形成され、前記第三溜め部には、前記第三接着材が溜められていてもよい。
このブラシレスモータによれば、ロータ部材の外周面及びバックヨークの内周面の少なくとも一方には、凹状の第三溜め部が形成されており、第三溜め部には、第三接着材が溜められている。したがって、第三溜め部に第三接着材が溜められることにより、ロータ部材の外周面とバックヨークの内周面との径方向間に第三接着材を過不足なく行き渡らせることができる。これにより、ロータ部材とバックヨークについて高い耐電食性を周方向の全周に亘って確保できる。
また、請求項7に記載のように、請求項6に記載のブラシレスモータにおいて、前記シャフトは、前記ロータハウジングと異なる金属で形成され、前記ロータハウジングと前記シャフトとは、絶縁性を有する第四接着材を介して接着されていてもよい。
このブラシレスモータによれば、ロータハウジングに固定されるシャフトは、ロータハウジングと異なる金属で形成されているが、ロータハウジングとシャフトとは、絶縁性を有する第四接着材を介して接着されている。したがって、ロータハウジングとシャフトとの絶縁に第四接着材を用いることにより、ロータハウジングとシャフトについて高い耐電食性を確保できる。また、ロータハウジングとシャフトとの絶縁に第四接着材を用いることにより、簡単な構造とすることができる。
また、請求項8に記載のように、請求項7に記載のブラシレスモータにおいて、前記第一接着材、前記第二接着材、前記第三接着材及び前記第四接着材は、同じ接着材料でもよい。
このブラシレスモータによれば、第一接着材、第二接着材、第三接着材及び第四接着材は、同じ接着材料である。したがって、例えば、異なる接着材料を用いる場合に比して、組み立て工程を簡素化できるので、コストダウンできる。
はじめに、本発明の一実施形態に係る飛行機器1の概略構成を説明する。
図1に示される本実施形態の飛行機器1(電動マルチコプター)は、飛行可能なパーソナルモビリティであり、本体部2と、複数の推進部3とを備える。矢印FRは飛行機器1の前後方向前側を示し、矢印LHは飛行機器1の左右方向左側を示し、矢印UPは飛行機器1の上下方向上側を示している。
本体部2は、キャビン4と、一対の脚部5とを有する。キャビン4は、箱形に構成されている。このキャビン4には、乗員が搭乗可能となっている。一対の脚部5は、キャビン4の下側に設けられている。
複数の推進部3の個数は、一例として、4個である。この複数の推進部3は、本体部2の前後左右に対称に配置されている。すなわち、第一の推進部3は、本体部2の左前側に配置されており、第二の推進部3は、本体部2の右前側に配置されており、第三の推進部3は、本体部2の左後側に配置されており、第四の推進部3は、本体部2の右後側に配置されている。
各推進部3は、ロッド8と、支持部材9と、モータ10と、プロペラ11とを有する。各ロッド8の基端部は、本体部2に固定されている。左前側の推進部3のロッド8は、本体部2の左前側に向けて延びており、右前側の推進部3のロッド8は、本体部2の右前側に向けて延びており、左後側の推進部3のロッド8は、本体部2の左後側に向けて延びており、右後側の推進部3のロッド8は、本体部2の右後側に向けて延びている。
各支持部材9は、板状に形成されている。この各支持部材9は、本体部2の上下方向を板厚方向として各ロッド8の先端部に固定されている。各推進部3のモータ10は、本体部2の上下方向を軸方向として支持部材9に支持されている。モータ10は、後に詳述する通り、ロータ及びステータを有するモータ本体34と、ロータと一体に回転するシャフト32とを有する。複数のモータ10は、同一の構成である。
左前側のモータ10及び右前側のモータ10のモータ本体34は、支持部材9の下側に配置されており、軸方向一方側(矢印A1側)を上向きにした状態で支持部材9に固定されている。一方、左後側のモータ10及び右後側のモータ10のモータ本体34は、支持部材9の上側に配置されており、軸方向他方側(矢印A2側)を上向きにした状態で支持部材9に固定されている。シャフト32は、モータ本体34から上側に向けて延びており、シャフト32の上端部には、プロペラ11が固定されている。モータ10及びプロペラ11は、飛行機器1の推力発生装置12を構成している。各モータ10は、「ブラシレスモータ」の一例である。
続いて、モータ10の具体的な構成を説明する。
図2に示されるように、モータ10は、アウタロータ型のブラシレスモータであり、カバー20と、ステータ22と、ロータ24と、ベース部材26と、第一玉軸受28と、第二玉軸受30と、シャフト32とを備える。矢印A1側はモータ10の軸方向一方側を示し、矢印A2側はモータ10の軸方向他方側を示している。モータ10の軸方向は、上述の飛行機器1(図1参照)の上下方向に相当する。
ステータ22、ロータ24及びベース部材26は、モータ本体34を構成している。ステータ22は、ステータコア36と、複数の巻線巻回部38とを有する。ステータコア36は、環状部40と、この環状部40の周囲に放射状に延びる複数のティース部42とを有する。環状部40を含むステータコア36の全体は、環状に形成されている。複数のティース部42には、図示しないインシュレータが装着されている。各ティース部42には、インシュレータを介して巻線が巻回されており、これにより、各ティース部42には、巻線巻回部38が形成されている。
ロータ24は、ロータ部材44と、バックヨーク46と、複数の磁石48とを有する。ロータ部材44は、概略円盤状に形成されており、ステータ22の矢印A2側にステータ22と対向して配置されている。ロータ部材44における巻線巻回部38と対向する部位には、ロータ部材44の軸方向に貫通する複数の冷却孔50が形成されている。この複数の冷却孔50は、ロータ部材44の周方向に並んで形成されている。
ロータ部材44の中央部には、ロータ部材44の軸方向に貫通する貫通孔52が形成されており、この貫通孔52には、シャフト32が挿入されている。また、ロータ部材44の中央部には、ロータ部材44の矢印A2側に突出する突出部54が形成されており、この突出部54には、ロータ部材44の径方向に延びる複数のネジ孔56が形成されている。
複数のネジ孔56は、貫通孔52と連通している。複数のネジ孔56には、止めネジ58(イモネジ)がそれぞれ螺入されている。この各止めネジ58の先端部は、シャフト32に形成された複数の凹部60にそれぞれ挿入されており、これにより、ロータ24は、シャフト32に固定されている。ロータ部材44には、矢印A2側からカバー20が装着されている。
バックヨーク46は、円環状に形成されている。このバックヨーク46は、ロータ部材44の外周部に固定されており、ステータ22の周囲を囲っている。このロータ部材44及びバックヨーク46は、有底円筒状(有天円筒状)のロータハウジング64を構成している。このロータハウジング64の内側には、ステータ22が配置されており、ロータハウジング64は、ステータ22を収容している。
バックヨーク46の内周面には、複数の磁石48が固着されている。複数の磁石48は、バックヨーク46の周方向に並んで配置されている。各磁石48は、ティース部42の先端部とモータ10の径方向に対向しており、ステータ22(ティース部42の先端部)との間に隙間66を有している。
ベース部材26(センターピース)は、円盤部68と、軸受収容部70とを有する。円盤部68は、ステータ22の矢印A1側にステータ22と対向して配置されている。円盤部68は、より具体的には、ステータ22側に開口する偏平凹状形に形成されている。円盤部68の外周部には、円盤部68の径方向に貫通する冷却孔72が形成されている。
本実施形態のモータ10は、上述のように、ロータ24及びベース部材26に冷却孔50及び冷却孔72がそれぞれ形成されている。この冷却孔50及び冷却孔72は、隙間66とそれぞれ連通されている。そして、この複数の冷却孔50及び冷却孔72を通じて吸気及び排気が行われることにより、モータ10の内部に冷却風の流れが形成され、この冷却風の流れによってモータ10の内部が冷却されるようになっている。このように、本実施形態のモータ10は、空冷開放型となっている。
また、円盤部68には、円盤部68の軸方向に貫通する複数のネジ孔74が形成されている。このネジ孔74は、円盤部68を支持部材9にねじ止めするために使用される。円盤部68の外周部には、円盤部68の径方向に貫通する導出孔76が形成されており、この導出孔76には、巻線巻回部38と電気的に接続されたリード部78が挿入されている。リード部78は、導出孔76を通じてモータ10の外部へ導出されている。
軸受収容部70は、円盤部68からステータ22側に向けて突出している。この軸受収容部70は、ステータコア36に形成された環状部40の内側に挿入されており、これにより、ステータ22は、軸受収容部70に支持されている。この軸受収容部70は、円筒状に形成されており、軸方向の両側に開口している。
軸受収容部70の内側の矢印A1側の部分には、第一凹部80が形成されており、軸受収容部70の内側の矢印A2側の部分には、第二凹部82が形成されている。第一凹部80は、軸受収容部70の矢印A1側に開口しており、第二凹部82は、軸受収容部70の矢印A2側に開口している。
図3に示されるように、第一凹部80は、内周面80A及び底面80Bを有し、第二凹部82は、内周面82A及び底面82Bを有する。第一凹部80には、第一玉軸受28、ウェーブワッシャ86及びスペーサ87(ワッシャ)が収容されており、第二凹部82には、第二玉軸受30及びカラー88が収容されている。スペーサ87及びカラー88は、リング状に形成されている。第一玉軸受28及び第二玉軸受30は、「一対の玉軸受」の一例であり、ウェーブワッシャ86、スペーサ87及びカラー88は、「リング部材」の一例である。
第一玉軸受28は、内輪28Aと、外輪28Bと、玉28Cとを有する。外輪28Bは、内輪28Aの径方向外側に配置され、玉28Cは、内輪28Aと外輪28Bとの間に配置されている。同様に、第二玉軸受30は、内輪30Aと、外輪30Bと、玉30Cとを有する。外輪30Bは、内輪30Aの径方向外側に配置され、玉30Cは、内輪30Aと外輪30Bとの間に配置されている。第一玉軸受28及び第二玉軸受30は、同一の構成である。
第一玉軸受28及び第二玉軸受30の各内輪28A、30Aの内側には、シャフト32が挿入(圧入)されており、これにより、シャフト32及びロータ24は、第一玉軸受28及び第二玉軸受30を介してベース部材26の軸受収容部70に回転可能に支持されている。
シャフト32には、Cリング90が装着されている。Cリング90は、第一玉軸受28の矢印A1側に配置されている。Cリング90は、シャフト32に装着された状態でシャフト32の周方向に沿ってC字状に延びており、矢印A1側から第一玉軸受28の内輪28Aに当接している。また、ロータ部材44の中央部には、第二玉軸受30の内輪30Aに向けて矢印A1側に突出する突起部92が形成されている。
ウェーブワッシャ86は、第一凹部80の底面80Bと第一玉軸受28の外輪28Bとの軸方向間に弾性圧縮変形された状態で設けられている。スペーサ87(ワッシャ)は、ウェーブワッシャ86と第一凹部80の底面80Bとの間に配置されている。カラー88は、第二凹部82の底面82Bと第二玉軸受30の外輪30Bとの軸方向間に設けられている。
ここで、上記構成のモータ10において、軸受収容部70の第一凹部80と、この第一凹部80に収容された第一玉軸受28、ウェーブワッシャ86及びスペーサ87とは、隙間嵌めとされている。同様に、軸受収容部70の第二凹部82と、この第二凹部82に収容された第二玉軸受30及びカラー88とは、隙間嵌めとされている。
さらに、ステータコア36(環状部40)と、このステータコア36の内側に挿入された軸受収容部70とは、隙間嵌めとされており、バックヨーク46と、このバックヨーク46の内側に挿入されたロータ部材44とは、隙間嵌めとされている。また、ロータハウジング64と、このロータハウジング64の貫通孔52に挿入されたシャフト32とは、隙間嵌めとされている。
ベース部材26は、ステータコア36、第一玉軸受28、第二玉軸受30、ウェーブワッシャ86、スペーサ87及びカラー88と異なる金属で形成されており、バックヨーク46は、ロータ部材44と異なる金属で形成されている。また、シャフト32は、ロータハウジング64と異なる金属で形成されている。一例として、各部材は、次の材料により形成されている。
すなわち、第一玉軸受28、第二玉軸受30、ウェーブワッシャ86、スペーサ87及びカラー88は、ステンレス製とされており、ベース部材26及びロータ部材44は、マグネシウム製とされている。また、ステータコア36、バックヨーク46及びシャフト32は、鉄製とされている。
ところで、このように隣接する各部材が異なる金属で形成されていると、電気的腐食が生じる虞がある。
そこで、本実施形態では、異なる金属間の接触部位に、第一接着材100、102、第二接着材104、第三接着材106、第四接着材108及び第五接着材110が用いられている。各接着材は、薄膜状であるが、図2〜図5では、理解の容易のために厚さを誇張した太線で示されている。
この第一接着材100、102、第二接着材104、第三接着材106及び第四接着材108は、一例として、同じ接着材料である。この第一接着材100、102、第二接着材104、第三接着材106及び第四接着材108は、絶縁性を有しており、絶縁被膜として機能する。このような接着材料としては、例えば、シリコン系接着材が好適に使用される。以下、第一接着材100、102、第二接着材104、第三接着材106及び第四接着材108が適用された箇所について順に説明する。
軸受収容部70の第一凹部80と、この第一凹部80に収容された第一玉軸受28、ウェーブワッシャ86及びスペーサ87とは、第一接着材100を介して接着されている。具体的には、第一凹部80の内周面80Aと、第一玉軸受28の外周面、ウェーブワッシャ86の外周面及びスペーサ87の外周面とは、第一接着材100を介して接着され、また、第一凹部80の底面80Bと、スペーサ87の矢印A2側の端面も、第一接着材100を介して接着されている。
同様に、軸受収容部70の第二凹部82と、この第二凹部82に収容された第二玉軸受30及びカラー88とは、第一接着材102を介して接着されている。具体的には、第二凹部82の内周面82Aと、第二玉軸受30の外周面及びカラー88の外周面とは、第一接着材102を介して接着され、また、第二凹部82の底面82Bと、カラー88の矢印A1側の端面も、第一接着材102を介して接着されている。
また、ステータコア36(環状部)の内周面と、軸受収容部70の外周面とは、第二接着材104を介して接着されており、ロータ部材44の外周面とバックヨーク46の内周面とは、第三接着材106を介して接着されている。また、ロータハウジング64の貫通孔の内周面とシャフト32の外周面とは、第四接着材108を介して接着されており、ロータハウジング64の突起部92と、第二玉軸受30の内輪30Aも、第四接着材108を介して接着されている。
さらに、円盤部68に形成されたネジ孔74の内周面には、第五接着材110が塗布されている。円盤部68には、支持部材9が重ね合わされ、ネジ孔74には、支持部材9を貫通するネジが螺入される。このネジは、例えば、鉄製とされる。なお、上述の各接着材を用いて接着される各部材には、地金に化成処理や陽極酸化処理が施された上で接着材が用いられてもよい。
また、図4に示されるように、第一凹部80の内周面80Aには、第一凹部80の内側(径方向内側)に開口する凹状の第一溜め部112が複数形成されている。この複数の第一溜め部112は、第一凹部80の周方向に等間隔に形成されている。各第一溜め部112は、一例として、第一凹部80の軸方向の全長に亘って形成されている。各第一溜め部112には、第一接着材100が溜められている。つまり、第一接着材100は、第一溜め部112に溜められた溜まり部100Aを有する。
同様に、図5に示されるように、第二凹部82の内周面82Aには、第二凹部82の内側(径方向内側)に開口する凹状の第一溜め部114が複数形成されている。この複数の第一溜め部114は、第二凹部82の周方向に等間隔に形成されている。各第一溜め部114は、一例として、第二凹部82の軸方向の全長に亘って形成されている。各第一溜め部114には、第一接着材102が溜められている。つまり、第一接着材102は、第一溜め部114に溜められた溜まり部102Aを有する。
また、図6に示されるように、ステータコア36(環状部40)の内周面には、凹状の第二溜め部116が複数形成されている。この複数の第二溜め部116は、ステータコア36の周方向に等間隔に形成されている。各第二溜め部116は、一例として、ステータコア36の軸方向の全長に亘って形成されている。各第二溜め部116には、上述の第二接着材104(図2、図3参照)が溜められる。つまり、第二接着材104は、第二溜め部116に溜められる溜まり部を有する。このステータコア36の内周面における第二溜め部116の間の部分は、軸受収容部70の外周面と高精度に隙間嵌めされる高精度隙間嵌め部36Aとされている。
また、図7に示されるように、ロータ部材44の外周面には、凹状の第三溜め部118が形成されている。この第三溜め部118は、ロータ部材44の周方向に沿って環状に形成されている。第三溜め部118には、上述の第三接着材106(図2、図3参照)が溜められる。つまり、第三接着材106は、第二溜め部116に溜められる溜まり部を有する。このロータ部材44の外周面における第三溜め部118の両側の部分は、バックヨーク46の内周面と高精度に隙間嵌めされる高精度隙間嵌め部44Aとされている。
次に、本実施形態の作用及び効果を説明する。
本実施形態に係るモータ10によれば、以下の作用及び効果(1)〜(10)を少なくとも有する。
(1)図2、図3に示されるように、軸受収容部70を有するベース部材26と、軸受収容部70に収容された第一玉軸受28及び第二玉軸受30とは、異なる金属で形成されているが、軸受収容部70と第一玉軸受28及び第二玉軸受30とは、絶縁性を有する第一接着材100、102を介してそれぞれ接着されている。したがって、軸受収容部70(ベース部材26)と第一玉軸受28及び第二玉軸受30との絶縁に第一接着材100、102をそれぞれ用いることにより、軸受収容部70と第一玉軸受28及び第二玉軸受30について高い耐電食性を確保できる。
(2)ステータコア36と、このステータコア36の内側に挿入された軸受収容部70を有するベース部材26とは、異なる金属で形成されているが、ステータコア36と軸受収容部70とは、絶縁性を有する第二接着材104を介して接着されている。したがって、ステータコア36と軸受収容部70(ベース部材26)との絶縁に第二接着材104を用いることにより、ステータコア36と軸受収容部70について高い耐電食性を確保できる。
(3)軸受収容部70(ベース部材26)と第一玉軸受28及び第二玉軸受30との絶縁に第一接着材100、102をそれぞれ用いると共に、ステータコア36と軸受収容部70との絶縁に第二接着材104を用いることにより、例えば、めっきや塗装などを用いる場合に比べて、簡単な構造とすることができる。
(4)軸受収容部70には、ベース部材26と異なる金属で形成されたウェーブワッシャ86、スペーサ87及びカラー88が収容されているが、軸受収容部70とウェーブワッシャ86、スペーサ87及びカラー88とは、第一接着材100、102を介してそれぞれ接着されている。したがって、軸受収容部70とウェーブワッシャ86、スペーサ87及びカラー88との絶縁に第一接着材100、102をそれぞれ用いることにより、軸受収容部70とウェーブワッシャ86、スペーサ87及びカラー88について高い耐電食性を確保できる。また、軸受収容部70とウェーブワッシャ86、スペーサ87及びカラー88との絶縁に第一接着材100、102をそれぞれ用いることにより、簡単な構造とすることができる。
(5)図4、図5に示されるように、軸受収容部70の内周面には、凹状の第一溜め部112、114が形成されており、この第一溜め部112、114には、第一接着材100、102がそれぞれ溜められている。したがって、第一溜め部112、114に第一接着材100、102がそれぞれ溜められることにより、軸受収容部70の内周面と第一玉軸受28及び第二玉軸受30の外周面との径方向間に第一接着材100、102を過不足なく行き渡らせることができる。これにより、軸受収容部70と第一玉軸受28及び第二玉軸受30について高い耐電食性を周方向の全周に亘って確保できる。
(6)図6に示されるように、ステータコア36の内周面には、凹状の第二溜め部116が形成されており、この第二溜め部116には、第二接着材104(図2、図3参照)が溜められる。したがって、第二溜め部116に第二接着材104が溜められることにより、ステータコア36の内周面と軸受収容部70の外周面との径方向間に第二接着材104を過不足なく行き渡らせることができる。これにより、ステータコア36と軸受収容部70について高い耐電食性を周方向の全周に亘って確保できる。
(7)図2、図3に示されるように、ロータハウジング64は、ステータと軸方向に対向するロータ部材44と、ロータ部材44と異なる金属で形成され、ロータ部材44の外周を囲うバックヨーク46とを有するが、ロータ部材44とバックヨーク46とは、絶縁性を有する第三接着材106を介して接着されている。したがって、ロータ部材44とバックヨーク46との絶縁に第三接着材106を用いることにより、ロータ部材44とバックヨーク46について高い耐電食性を確保できる。また、ロータ部材44とバックヨーク46との絶縁に第三接着材106を用いることにより、簡単な構造とすることができる。
(8)図7に示されるように、ロータ部材44の外周面には、凹状の第三溜め部118が形成されており、第三溜め部118には、第三接着材106(図2、図3参照)が溜められる。したがって、第三溜め部118に第三接着材106が溜められることにより、ロータ部材44の外周面とバックヨーク46の内周面との径方向間に第三接着材106を過不足なく行き渡らせることができる。これにより、ロータ部材44とバックヨーク46について高い耐電食性を周方向の全周に亘って確保できる。
(9)図2、図3に示されるように、ロータハウジング64に固定されるシャフト32は、ロータハウジング64と異なる金属で形成されているが、ロータハウジング64とシャフト32とは、絶縁性を有する第四接着材108を介して接着されている。したがって、ロータハウジング64とシャフト32との絶縁に第四接着材108を用いることにより、ロータハウジング64とシャフト32について高い耐電食性を確保できる。また、ロータハウジング64とシャフト32との絶縁に第四接着材108を用いることにより、簡単な構造とすることができる。
(10)図2、図3に示されるように、円盤部68に形成されたネジ孔74の内周面には、第五接着材110が塗布されている。したがって、円盤部68を有するベース部材26とは異なる金属で形成されたネジがネジ孔74に螺入された場合でも、ネジ及びネジ孔74について高い耐電食性を確保できる。また、ネジとネジ孔74との絶縁に第五接着材110を用いることにより、簡単な構造とすることができる。
(11)第一接着材100、102、第二接着材104、第三接着材106、第四接着材108及び第五接着材110は、同じ接着材料である。したがって、例えば、異なる接着材料を用いる場合に比して、組み立て工程を簡素化できるので、コストダウンできる。
次に、本実施形態の変形例を説明する。
上記実施形態において、ベース部材26及びロータ部材44は、マグネシウム製とされているが、アルミニウム製でもよい。また、シャフト32は、鉄製とされているが、ステンレス製でもよい。また、上述の異なる金属で形成された各部材の組み合わせは、上記以外の金属で形成されてもよい。
また、図6に示されるように、ステータコア36の内周面には、凹状の第二溜め部116が形成されているが、第二溜め部116は、軸受収容部70の外周面に形成されていてもよく、また、ステータコア36の内周面及び軸受収容部70の外周面の両方に形成されていてもよい。
また、図6に示されるように、ステータコア36の内周面における第二溜め部116の間の部分は、軸受収容部70の外周面と高精度に隙間嵌めされる高精度隙間嵌め部36Aとされているが、第二溜め部116以外は圧入されていてもよい。
また、図7に示されるように、ロータ部材44の外周面には、凹状の第三溜め部118が形成されているが、第三溜め部118は、バックヨーク46の内周面に形成されていてもよく、また、ロータ部材44の外周面及びバックヨーク46の内周面の両方に形成されていてもよい。
また、図7に示されるように、ロータ部材44の外周面における第三溜め部118の間の部分は、バックヨーク46の内周面と高精度に隙間嵌めされる高精度隙間嵌め部44Aとされているが、第三溜め部118以外は圧入されていてもよい。
また、上記実施形態では、ウェーブワッシャ86が用いられているが、ウェーブワッシャ86以外の種類のバネワッシャが用いられてもよい。
また、上記実施形態において、モータ10は、飛行機器1に用いられているが、飛行機器1以外の機器に用いられてもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
1…飛行機器、2…本体部、3…推進部、4…キャビン、5…脚部、8…ロッド、9…支持部材、10…モータ、11…プロペラ、12…推力発生装置、20…カバー、22…ステータ、24…ロータ、26…ベース部材、28…第一玉軸受、28A……内輪、28B…外輪、28C…玉、30…第二玉軸受、30A…内輪、30B…外輪、30C…玉、32…シャフト、34…モータ本体、36…ステータコア、38…巻線巻回部、40…環状部、42…ティース部、44…ロータ部材、46…バックヨーク、48…磁石、50…冷却孔、52…貫通孔、54…突出部、56…ネジ孔、58…ネジ、60…凹部、64…ロータハウジング、66…隙間、68…円盤部、70…軸受収容部、72…冷却孔、74…ネジ孔、76…導出孔、78…リード部、80…第一凹部、80A…内周面、80B…底面、82…第二凹部、82A…内周面、82B…底面、86…ウェーブワッシャ、87…スペーサ、88…カラー、90…Cリング、92…突起部、100…第一接着材、102…第一接着材、104…第二接着材、106…第三接着材、108…第四接着材、110…第五接着材、112…第一溜め部、114…第一溜め部、116…第二溜め部、118…第三溜め部
Claims (8)
- 環状のステータコアを有するステータと、
前記ステータを収容するロータハウジングを有するロータと、
前記ロータハウジングに固定されたシャフトと、
前記ステータコアの内側に挿入された筒状の軸受収容部を有するベース部材と、
を備え、
前記軸受収容部には、内側に前記シャフトが挿入された一対の玉軸受が収容され、
前記ベース部材は、前記ステータコア及び前記一対の玉軸受と異なる金属で形成され、
前記軸受収容部と前記一対の玉軸受とは、絶縁性を有する第一接着材を介して接着され、
前記ステータコアと前記軸受収容部とは、絶縁性を有する第二接着材を介して接着されている、
ブラシレスモータ。 - 前記軸受収容部には、前記ベース部材と異なる金属で形成されたリング部材が収容され、
前記軸受収容部と前記リング部材とは、前記第一接着材を介して接着されている、
請求項1に記載のブラシレスモータ。 - 前記軸受収容部の内周面には、凹状の第一溜め部が形成され、
前記第一溜め部には、前記第一接着材が溜められている、
請求項1又は請求項2に記載のブラシレスモータ。 - 前記ステータコアの内周面及び前記軸受収容部の外周面の少なくとも一方には、凹状の第二溜め部が形成され、
前記第二溜め部には、前記第二接着材が溜められている、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。 - 前記ロータハウジングは、
前記ステータと軸方向に対向するロータ部材と、
前記ロータ部材と異なる金属で形成され、前記ロータ部材の外周を囲うバックヨークと、
を有し、
前記ロータ部材と前記バックヨークとは、絶縁性を有する第三接着材を介して接着されている、
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。 - 前記ロータ部材の外周面及び前記バックヨークの内周面の少なくとも一方には、凹状の第三溜め部が形成され、
前記第三溜め部には、前記第三接着材が溜められている、
請求項5に記載のブラシレスモータ。 - 前記シャフトは、前記ロータハウジングと異なる金属で形成され、
前記ロータハウジングと前記シャフトとは、絶縁性を有する第四接着材を介して接着されている、
請求項6に記載のブラシレスモータ。 - 前記第一接着材、前記第二接着材、前記第三接着材及び前記第四接着材は、同じ接着材料である、
請求項7に記載のブラシレスモータ。
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