JP2021021624A - イオン分析方法及びイオン分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】試料にレーザ光を照射することによりイオンを生成し、生成されたイオンに対してレーザ光を照射することにより該イオンを解離させてプロダクトイオンを生成し測定するイオン分析装置の製造コストを低減し、装置を小型化する。【解決手段】試料11に第1レーザ光を照射することによりイオンを生成し、第2レーザ光を照射することにより該イオンを解離させてプロダクトイオンを生成するものであって、第1レーザ光と第2レーザ光が一のレーザ光源71から発せられる光であるイオン分析方法。一のレーザ光源71と、試料11が載置される試料載置部12と、レーザ光源71から発せられる光を試料11に照射する第1光学系73、74と、イオンが導入されるイオントラップ5と、レーザ光源71から発せられる光をイオントラップ5内のイオンに照射する第2光学系75とを備える、イオン分析装置。【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ光を照射することにより試料をイオン化して分析するイオン分析方法及びイオン分析装置に関する。
質量分析装置において用いられる試料のイオン化法の一つにレーザイオン化(LDI: Laser Desorption/Ionization)法がある。レーザイオン化法は、試料の表面にレーザ光を照射し、該レーザ光のエネルギーによって試料分子を励起してイオン化する方法である。
レーザイオン化法の1つにマトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI: Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization)法がある。MALDI法では、レーザ光を吸収しやすく、またイオン化しやすい物質(マトリックス物質)を試料の表面に塗布する。そして、マトリックス物質に試料分子を取り込ませて微結晶化させた後、試料分子を取り込んだマトリックス物質の微結晶にレーザ光を照射することによって試料分子をイオン化する。MALDI法はマトリックス物質を介して試料分子にエネルギーを与えることにより該試料分子を断片化することなくイオン化するソフトなイオン化法であり、高分子化合物の解析に広く用いられている。
高分子化合物の解析では、MALDI法等により生成したイオン(プリカーサイオン)を1又は複数回解離させてプロダクトイオン(フラグメントイオンとも呼ばれる。)を生成し、それを質量電荷比に応じて分離し検出する質量分析法が広く利用されている。
イオンを解離させる代表的な方法として、イオンに窒素ガス等の不活性ガス分子を衝突させる、衝突誘起解離(CID: Collision-Induced Dissociation)法が知られている。CID法では不活性分子との衝突によってイオンを解離させるため、様々なイオンを解離させることができる。しかし、CID法ではイオンが解離する位置の選択性が低い。そのため、CID法は、構造解析のために特定の部位でイオンを解離させる必要がある場合には不向きである。例えば、ペプチドなどを分析する場合は、アミノ酸の結合位置で特異的に解離させることが望まれるが、CID法ではそれが難しい。また、ガス分子との衝突エネルギーによりイオンを解離させるという手法であるため、イオンが重くなるほど解離効率が低下する。
CID法に代わるイオン解離法の1つとして、紫外光解離(UVPD: Ultra-Violet Photo Dissociation)法を用いることが検討されている。非特許文献1には、ペプチドを取り込んだマトリックス物質の微結晶に窒素レーザの紫外光を照射してペプチドにプロトンを付加したイオン(プロトン化イオン)を生成し、そのプロトン化イオンにNd:YAGレーザの紫外光(4次高調波)を照射してプロダクトイオンを生成して検出することが記載されている。
Joo Yeon Oh, Jeong Hee Moon, Yong Ho Lee, Seok-Won Hyung, Sang-Won Lee and Myung Soo Kim, "Photodissociation tandem mass spectrometry at 266nm of an aliphatic peptide derivatized with phenyl isothiocyanate and 4-sulfophenyl isothiocyanate", Rapid Communications in Mass Spectrometry, 2005, 19, pp 1283-1288 Thibault Tabarin, Rodolphe Antoine, Michel Broyer and Philippe Dugourd, "Specific photodissociation of peptides with multi-stage mass spectrometry", Rapid Communications in Mass Spectrometry, 2005, 19,pp 2883?2892 Jennifer S. Brodbe, "Photodissociation mass spectrometry: new tools Q1 Q2 for characterization of biological molecules", The Royal Society of Chemistry 2014 DOI: 10.1039/c3cs60444f
非特許文献1に記載の質量分析装置では、ペプチドをMALDI法でイオン化するために窒素レーザを使用し、生成したイオンをUVPD法で解離させるためにNd:YAGレーザを使用する。このように2つのレーザ光源を使用すると質量分析装置の製造コストが増大し、また装置が大型化してしまうという問題があった。
ここではMALDI法により試料をイオン化する場合を例に説明したが、LDI法により試料をイオン化する場合にも同様の問題があった。また、イオンを質量電荷比に応じて分離する質量分析装置だけでなく、イオンを移動度に応じて分離するイオン移動度分析装置等においても同様の問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、試料にレーザ光を照射することによりイオンを生成し、生成されたイオンに対して更にレーザ光を照射することにより該イオンを解離させてプロダクトイオンを生成し測定するイオン分析装置の製造コストを低減し、また装置を小型化する技術を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明に係るイオン分析方法は、
試料に第1レーザ光を照射することによりイオンを生成し、該生成されたイオンに対して第2レーザ光を照射することにより該イオンを解離させてプロダクトイオンを生成するものであって、
前記第1レーザ光と前記第2レーザ光が一のレーザ光源から発せられる光である。
また、上記課題を解決するために成された本発明に係るイオン分析装置は、
一のレーザ光源と、
試料が載置される試料載置部と、
前記レーザ光源から発せられる光を前記試料載置部上の試料に照射する第1光学系と、
前記試料から生成されたイオンが導入されるイオントラップと、
前記レーザ光源から発せられる光を前記イオントラップ内のイオンに照射する第2光学系と
を備える。
本発明に係るイオン分析方法及びイオン分析装置では、一つのレーザ光源から発せられる光によって試料からイオンを生成し、また、生成されたイオンを解離させる。従って、試料をイオン化するためのレーザ光源と生成されたイオンを解離させるためのレーザ光源を個別に備えた質量分析装置に比べてコストを低減し、また装置を小型化することができる。
本発明に係るイオン分析装置の実施例1の質量分析装置の要部構成図。 本発明に係るイオン分析装置の実施例2の質量分析装置の要部構成図。 本発明に係るイオン分析装置の実施例3の質量分析装置の要部構成図。
本発明に係るイオン分析装置の実施例である質量分析装置について、以下、図面を参照して説明する。
実施例1の質量分析装置は、MALDI(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization)イオン源で生成したイオンを、イオントラップ(IT)で質量分離するマトリックスレーザ脱離イオン化−イオントラップ(MALDI-IT)型の質量分析装置である。
図1に、実施例1の質量分析装置の要部構成を示す。この質量分析装置は、イオン化部1、第1イオン輸送部2、イオン偏向部3、第2イオン輸送部4、イオントラップ5、イオン検出部6、光照射部7、試料観察部8、及び制御・処理部9を有している。イオン化部1、第1イオン輸送部2、イオン偏向部3、第2イオン輸送部4、イオントラップ5、及びイオン検出部6はチャンバ100の内部に収容されている。チャンバ100の内部は、真空排気部91によって所定の真空度に維持されている。
イオン化部1は、試料11を載置する試料ステージ12と、試料11から生成されたイオンを第1イオン輸送部2に向かって引き出す引き出し電極13を備えている。試料ステージ12は、図示しない移動機構によって水平方向及び垂直方向に移動可能となっている。
第1イオン輸送部2は、中央にイオン通過開口が設けられた複数枚の円盤状のリング電極21を備えている。これらのリング電極21には、電圧印加部92から所定の高周波電圧及び/又は直流電圧が印加される。これにより、第1イオン輸送部2に導入されたイオンの進行方向が収束され、イオンの飛行方向が垂直方向から水平方向に90度偏向される。
イオン偏向部3は、4本のロッド電極31〜34を備えている。ロッド電極31には測定対象のイオンと逆極性の電圧が、それ以外のロッド電極32〜34には測定対象のイオンと同極性の電圧が、それぞれ電圧印加部92から印加される。これにより、イオン偏向部3内に、図1に白抜きの矢印で示すようなポテンシャルの傾斜が形成される。
第2イオン輸送部4は、第1イオン輸送部2と同様に、中央にイオン通過開口が設けられた複数枚の円盤状のリング電極41を備えている。これらのリング電極41には、電圧印加部92から所定の高周波電圧及び/又は直流電圧が印加される。これにより、第2イオン輸送部4に導入されたイオンの進行方向が収束される。
イオントラップ5は、入口側エンドキャップ電極51、リング電極52、及び出口側エンドキャップ電極53を備えた三次元イオントラップである。入口側エンドキャップ電極51と出口側エンドキャップ電極53にはイオンを入射又は出射させるための開口が形成されている。また、リング電極52には、後述する光照射部7からのレーザ光を通過させるための開口が設けられている。入口側エンドキャップ電極51、リング電極52、及び出口側エンドキャップ電極53には、電圧印加部92から所定の高周波電圧及び/又は直流電圧が印加される。これにより、イオントラップ5の内部にイオンを捕捉し、また、捕捉したイオンを出口側エンドキャップ電極53の開口から出射させる。出口側エンドキャップ電極53の開口から出射したイオンはイオン検出部6に入射して検出される。
試料観察部8はカメラを備えており、チャンバ100に設けられた図示しない窓部を通じて試料ステージ12上に載置された試料11の表面を観察及び撮像することができる。
光照射部7は、レーザ光源71を備えている。実施例1のレーザ光源71はNd:YAGレーザ(3次高調波を発生させるための結晶を含む)であり、355nmのレーザ光を発生させる。レーザ光源71から発せられるレーザ光の光路上には、ビームスプリッター72が配置されている。ビームスプリッター72を通過したレーザ光はチャンバ100に設けられた図示しない窓部を通過し、ミラー74で反射されて試料ステージ12上に載置された試料11に照射される。
一方、ビームスプリッター72で反射されたレーザ光は、チャンバ100に設けられた図示しない窓部を通過し、リング電極52に設けられている開口からイオントラップ5の内部に照射される。イオントラップ5の内部空間を通過したレーザ光は、リング電極52に設けられた開口から出射し、チャンバ100の内壁に設けられたビームストッパ101に入射する。試料11に照射されるレーザ光の光路上には第1シャッター73が、イオントラップ5の内部に照射されるレーザ光の光路上には第2シャッター75が、それぞれ設けられており、これらを開閉することによりレーザ光の照射/非照射が切り替えられる。
制御・処理部9は記憶部94の他に、機能ブロックとして測定制御部95を備えている。制御・処理部9の実体は一般的なコンピュータであり、図示しない入力部及び表示部を備えている。機能ブロックである測定制御部95は、コンピュータに予めインストールされた測定プログラムをプロセッサで実行することにより具現化される。記憶部94には、試料の測定条件を記載したファイルなどが保存されており、測定制御部95は同ファイルに記載された測定条件に従って電圧印加部92の動作を制御し、各電極に高周波電圧及び/又は直流電圧を印加するなど、測定時の各部の動作を制御する。
実施例1の質量分析装置における試料11の測定について説明する。まず、試料ステージ12上に試料11を載置し、試料観察部8のカメラによって試料11の表面を確認して測定対象領域を決定する。その後、試料11の表面にマトリックス物質を塗布し、マトリックス物質内に試料分子を取り込ませる。続いて、測定対象領域に光照射部7からのレーザ光が照射されるように、試料ステージ12を適宜に移動させる。ここでは試料11の測定対象位置にレーザ光を照射してイオンを生成させる場合を説明したが、試料ステージ12を移動させることによってレーザ光の照射領域を試料11の表面上で移動させつつ、各領域から放出されるイオンの質量分析を行うことによりイメージング質量分析を行うこともできる。
レーザ光を吸収したマトリックス物質からエネルギーが与えられることにより試料11から発せられたイオンは、引き出し電極13によって上方に引き出され、第1イオン輸送部2に入射する。第1イオン輸送部2に入射したイオンは、その進行方向が収束されてイオン偏向部3に入射する。
イオン偏向部3に入射したイオンは、イオン偏向部3の内部に形成された電場によって進行方向が垂直方向から水平方向に偏向され、第2イオン輸送部4に入射する。第2イオン輸送部4に入射したイオンは、その進行方向が収束されてイオントラップ5の入口側エンドキャップ電極51の開口からイオントラップ5内に入射する。
イオントラップ5に入射したイオンは、その内部で捕捉される。所定時間、イオントラップ5の内部にイオンを蓄積したあと、電圧印加部92から入口側エンドキャップ電極51、リング電極52、及び出口側エンドキャップ電極53に印加される高周波電圧及び/又は直流電圧が変更され、所定の質量電荷比を有するイオンのみが、プリカーサイオンとしてイオントラップ5の内部に捕捉される。
イオントラップ5の内部に所定時間、プリカーサイオンを蓄積した後、第2シャッター75を開く。これによりイオントラップ5の内部に捕捉されたプリカーサイオンにレーザ光が照射され、プリカーサイオンが解離してプロダクトイオンが生成される。所定時間、レーザ光を照射することによりプリカーサイオンからプロダクトイオンを生成した後、電圧印加部92から入口側エンドキャップ電極51、リング電極52、及び出口側エンドキャップ電極53に印加される高周波電圧及び/又は直流電圧を変更し、質量電荷比の小さい順(又は大きい順)に出口側エンドキャップ電極53の開口からプロダクトイオンを出射させ、イオン検出部6で検出する。イオン検出部6からの出力信号は順次、制御・処理部9に出力され、記憶部94に保存される。
実施例1の質量分析装置では、1つのレーザ光源71から発せられたレーザ光をビームスプリッター72で分岐させ、試料11への照射(MALDI法)と、イオントラップ5内でのプリカーサイオンへの照射(UVPD法)の両方に使用する。
従来、MALDI法では波長が337nmのレーザ光(窒素レーザ)や355nmのレーザ光(Nd:YAGレーザ)が広く使用されている。一方、UVPD(紫外光解離)法では、157nm、192nm、213nm、266nmなどの、MALDI法で用いられるよりも短波長のレーザ光を使用する事例が報告されており(例えば非特許文献2及び3)、これらよりも長波長のレーザ光によりUVPD法を行うには予め試料を誘導体化するなどの前処理が必要であると考えられてきた。そのため、従来、試料に前処理を施すことなくMALDI法とUVPD法を行う場合には、それぞれに適した波長の光を発するレーザ光源を個別に備えた質量分析装置が用いられている。
非特許文献1〜3に記載されている装置では、300nm未満の波長のレーザ光を用いたUVPD法によりイオンを解離させることが記載されており、UVPD法には最適な波長が存在すると考えられる。例えば、ペプチド結合を切断するには、300nm未満の波長の光を照射することが好ましいと考えられている。しかし、レーザ光の総エネルギーが強大であることから、本発明者は、必ずしもUVPD法に最適な波長の光でなくても、二光子吸収等の様々な態様によってイオンを解離させることが可能であると考えた。こうした技術的思想の下で、実施例1のように1つのレーザ光源のみを備えた質量分析装置を構成することに想到した。このような構成を採ることにより、MALDI法とUVPD法のそれぞれに個別のレーザ光源を備えた従来の質量分析装置よりもコストを抑えることができ、また装置自体を小型化することができる。
プリカーサイオンを解離させる手法として最も一般的であるCID法では、プリカーサイオンを衝突させるガスを供給し、プリカーサイオンに衝突エネルギーを付与するための電圧印加部を設けるのみでよく、装置を安価に構成できるというメリットがある。しかし、CID法では、ガス分子との衝突エネルギーによりイオンを解離させるため、イオンが重くなるほど、即ちイオンの熱容量が大きくなるほど解離効率が低下する。また、衝突ガスによってプリカーサイオンが冷却され、プリカーサイオンの運動エネルギーが低下するといったデメリットもある。さらに、プリカーサイオンが解離する部位の選択性も低い。
ペプチドの分析等において近年用いられている電子移動解離(ETD: Electron Transfer Dissociation)法、電子捕獲解離(ECD: Electron Capture Dissociation)法、あるいは水素付着解離(HAD: Hydrogen-Attached Dissociation)法を用いれば、重いイオンでも解離効率はそれほど低下せず、プリカーサイオンを解離させる部位の選択性も高い。しかし、ECD法では電子源と磁場閉じ込め機構を設ける必要があり、ETD法では負イオン源と負イオン用のイオン光学系を設ける必要があり、HAD法では水素ラジカル源を設ける必要があることから、装置が高価で大型になりやすい。
これに対し、実施例1の質量分析装置では、MALDIイオン化用のレーザ光源をそのままUVPD法にも使用するため特別な構成要素を追加する必要がなく、また、ECD法、ETD法、及びHAD法と同様に重いイオンでも解離効率が低下しない、という利点が得られる。
さらに、実施例1の質量分析装置では、イオン偏向部3が、レーザ光の経路と直交する方向にイオンの飛行方向を偏向することにより、イオン化部1からイオン偏向部3に至るイオンの経路と、イオン偏向部3からイオン検出部6に至るイオンの経路を直交させている。これにより、特定の一方向に装置を大きくすることなく全体をよりいっそう小型化することができる。
次に、実施例2の質量分析装置について、図2を参照して説明する。実施例2の質量分析装置は、イオン偏向部30及び光照射部70の構成が実施例1と異なるため、これらについてのみ説明し、実施例1の質量分析装置と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
実施例2のイオン偏向部30は、第1イオン輸送部2から入射するイオンの飛行経路の両側に1組の平板電極35、36を有している。イオンの飛行経路に対してイオントラップ5の反対側に位置する平板電極35には、電圧印加部92からイオンと同極性の電圧を、イオントラップ5と同じ側に位置する平板電極36にはイオンと逆極性の電圧を印加する。また、イオン偏向部30は、この1組の平板電極35、36と直交する方向にも別の1組の平板電極37、38を有している。平板電極37、38のうち、試料11の側に位置する平板電極37には、電圧印加部92からイオンと同極性の電圧を、試料11と反対側に位置する平板電極38にはイオンと逆極性の電圧を印加する。これにより、図2に白抜きの矢印で示す方向にイオンを押すポテンシャルの勾配が形成され、実施例1と同様にイオンの飛行方向を水平方向に偏向することができる。
実施例2の光照射部70はレーザ光源711を備えている。実施例2のレーザ光源711はNd:YAGレーザ(高次高調波を発生させる結晶を含まない)であり、1064nmのレーザ光を出射する。レーザ光源711から発せられるレーザ光の光路上には、ビームスプリッター72が配置されている。ビームスプリッター72を通過したレーザ光は第1波長変換部76及び第1シャッター73を通ってダイクロイックミラー78に入射する。第1波長変換部76は、レーザ光の高調波(例えば4倍高調波)を発生させる結晶等の光学素子を有しており、第1波長変換部76を通過させることによりレーザ光が高調波(例えば266nmの光)に変換される。ダイクロイックミラー78は、可視光を透過させ紫外光を反射する。
ビームスプリッター72で反射されたレーザ光は、第2波長変換部77及び第2シャッター75を通過し、チャンバ100に設けられた図示しない窓部を通ってリング電極52の開口からイオントラップ5の内部に照射され、リング電極52に設けられた開口から出射し、チャンバ100の内壁に設けられたビームストッパ101に入射する。第2波長変換部77は、レーザ光の高調波(例えば3倍高調波)を発生させる結晶等の光学素子を有しており、第2波長変換部77を通過させることによりレーザ光が、第1波長得変換部76とは異なる高調波(例えば355nmの光)に変換される。
実施例2の質量分析装置では、1つのNd:YAGレーザから発せられたレーザ光を第1波長変換部76と第2波長変換部77によって異なる波長のレーザ光に変換する。実施例2の質量分析装置では、第1波長変換部76及び第2波長変換部77を適宜に構成することにより、試料11のイオン化(MALDI法)と、プリカーサイオンの解離(UVPD法)のそれぞれに適した波長のレーザ光を照射することができる。
実施例2の質量分析装置では、試料観察部8の光軸と試料11に照射されるレーザ光の光軸を一致させ、試料11の表面に垂直な方向からレーザ光を照射する。試料11の表面に垂直な方向からレーザ光を照射するとイオンの生成効率が高くなることが経験的に知られており、実施例2の構成を採ることにより質量分析の感度を高めることができる。また、試料11の表面に垂直な方向からレーザ光を照射するとレーザ光のスポット径が最小になる。そのため、イメージング質量分析を行う場合の空間分解能も高くなる。
次に、実施例3の質量分析装置について、図3を参照して説明する。実施例3の質量分析装置は、実施例3の質量分析装置は、光照射部700の構成のみが実施例2と異なるため、光照射部700の構成のみを図3を参照して説明する。
実施例3の光照射部700はレーザ光源712を備えている。実施例3のレーザ光源712にはNd:YAGレーザを使用する。実施例3のNd:YAGレーザは互いに異なる高次高調波を発生させる複数の結晶(例えば3次高調波を発生させる結晶と4次高調波を発生させる結晶)を含んでいる。従って、レーザ光源712は、例えば、266nmのレーザ光と355nmのレーザ光を発生させる。レーザ光源712から発せられるレーザ光の光路上には、ビームスプリッター72が配置されている。ビームスプリッター72を通過したレーザ光は第1光学フィルター791及び第1シャッター73を通ってダイクロイックミラー78に入射する。第1光学フィルター791は、例えば266nmの波長の光を透過させる一方、355nmの波長の光を反射する光学素子である。即ち、第1光学フィルター791を通過させることにより例えば266nmの波長のレーザ光が取り出される。
一方、ビームスプリッター72で反射されたレーザ光は、第2光学フィルター792及び第2シャッター75を通過し、チャンバ100に設けられた図示しない窓部を通ってリング電極52の開口からイオントラップ5の内部に照射され、リング電極52に設けられた開口から出射し、チャンバ100の内壁に設けられたビームストッパ101に入射する。第2光学フィルター792は、例えば355nmの波長の光を透過させる一方、266nmの波長の光を反射する光学素子である。即ち、第2光学フィルター792を通過させることにより例えば355nmの波長のレーザ光が取り出される。
実施例3の質量分析装置では、1つのNd:YAGレーザで多波長のレーザ光を発生させ、第1光学フィルター791と第2光学フィルター792によって互いに異なる波長のレーザ光を取り出すことができる。これにより、実施例3の質量分析装置においても、試料11のイオン化と、プリカーサイオンの解離のそれぞれに適した、異なる波長のレーザ光を照射することができる。
上記実施例はいずれも一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜に変更することができる。上記実施例1〜3における要素技術の組み合わせは一例であって、実施例1〜3に記載の要素技術を適宜に組み合わせて用いることができる。例えば、実施例1の質量分析装置においても、実施例2と同様に試料観察部8の光軸と試料11に照射されるレーザ光の光軸を一致させ、試料11の表面に垂直な方向からレーザ光を照射することができる。また、実施例1〜3では、レーザ光源の一例としてNd:YAGレーザを挙げたが、Nd:YAGレーザ以外にも、窒素レーザ等、試料11への照射、及びイオンの解離に適した波長のレーザ光を発する種々の光源を用いることができる。また、2次高調波あるいは5次以上の高調波(2次高調波:532nm、5次高調波:213nm、6次高調波:193nmなど)を発生させる結晶を含むNd:YAGレーザを用いることもできる。さらに、実施例2及び3では波長変換素子として結晶を有する波長変換部を備えた構成としたが、結晶以外の光学素子によりレーザ光の波長を変換してもよい。
実施例1〜3の質量分析装置では、試料11へのレーザ光の照射及びイオントラップ5内のプリカーサイオンへのレーザ光の照射/非照射を切り替えるために第1シャッター73及び第2シャッター75を用いたが、他の光学素子によってレーザ光の照射のON/OFFを切り替えるように構成することもできる。例えば、レーザ光源71からの光をイオントラップ5に向かって反射するミラーを進退可能に配置することによって、試料11へのレーザ光の照射とイオントラップ5内のプリカーサイオンへのレーザ光の照射を切り替えることができる。
実施例1〜3の質量分析装置は、三次元イオントラップを備えた質量分析装置としたが、二次元イオントラップとして機能するコリジョンセルを備えた質量分析装置(三連四重極型の質量分析装置、イオントラップ‐飛行時間型の質量分析装置等)とすることもできる。また、実施例1〜3の質量分析装置は、MALDIイオン化部を有するものとしたが、マトリックス物質を用いず、試料に直接レーザ光を照射するレーザ脱離イオン化部(LDI部)を有する質量分析装置においても上記同様の構成を採ることができる。さらに、イオンを質量電荷比に応じて分離し検出する質量分析装置以外にも、イオン移動度に応じてイオンを分離し検出するイオン移動度分析装置等のイオン分析装置においても本発明を適用することができる。
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)
一態様に係るイオン分析方法は、
試料に第1レーザ光を照射することによりイオンを生成し、該生成されたイオンに対して第2レーザ光を照射することにより該イオンを解離させてプロダクトイオンを生成するものであって、
前記第1レーザ光と前記第2レーザ光が一のレーザ光源から発せられる光である。
(第2項)
また、一態様に係るイオン分析装置は、
一のレーザ光源と、
試料が載置される試料載置部と、
前記レーザ光源から発せられる光を前記試料載置部上の試料に照射する第1光学系と、
前記試料から生成されたイオンが導入されるイオントラップ(5)と、
前記レーザ光源から発せられる光を前記イオントラップ内のイオンに照射する第2光学系と
を備える。
第1項に記載のイオン分析方法及び第2項に記載のイオン分析装置では、一つのレーザ光源から発せられる光によって試料からイオンを生成し、また、生成されたイオンを解離させる。従って、試料をイオン化するためのレーザ光源と生成されたイオンを解離させるためのレーザ光源を個別に備えた質量分析装置に比べてコストを低減し、また装置を小型化することができる。
(第3項)
第2項に記載のイオン分析装置において、
前記第1光学系と前記第2光学系の少なくとも一方が波長変換素子を備えるものであってもよい。
(第4項)
第2項に記載のイオン分析装置において、
前記レーザ光源が複数の波長の光を発するものであり、
前記第1光学系と前記第2光学系が、互いに異なる波長の光を通過させる光学フィルタを備えるものであってもよい。
第3項又は第4項に記載のイオン分析装置では、試料載置部に載置される試料と、イオントラップ内に導入されるイオンのそれぞれに適した、異なる波長の光を照射することができる。
(第5項)
第2項から第4項のいずれかに記載のイオン分析装置において、
前記イオントラップが三次元イオントラップであってもよい。
第5項に記載のイオン分析装置では、三次元イオントラップの内部にイオンを蓄積した後に光を照射することができるため、高感度でイオンを測定することができる。
(第6項)
第2項から第5項のいずれかに記載のイオン分析装置において、
前記第1光学系による前記試料への光の照射/非照射と、前記第2光学系により前記イオンへの光の照射/非照射を切り替える、照射切替部を備えるものであってもよい。
第5項に記載のイオン分析装置では、試料への光照射とイオントラップ内のイオンへの光照射を適宜にタイミングで行うことができる。
1…イオン化部
11…試料
12…試料ステージ
13…電極
2…第1イオン輸送部
21…リング電極
3、30…イオン偏向部
31〜34…ロッド電極
35〜38…平板電極
4…第2イオン輸送部
41…リング電極
5…イオントラップ
51…入口側エンドキャップ電極
52…リング電極
53…出口側エンドキャップ電極
6…イオン検出部
7、70、700…光照射部
71、711、712…レーザ光源
72…ビームスプリッター
73…第1シャッター
74…ミラー
75…第2シャッター
76…第1波長変換部
77…第2波長変換部
78…ダイクロイックミラー
791…第1光学フィルター
792…第2光学フィルター
8…試料観察部
91…真空排気部
92…電圧印加部
9…制御・処理部
94…記憶部
95…測定制御部
100…チャンバ
101…ビームストッパ

Claims (6)

  1. 試料に第1レーザ光を照射することによりイオンを生成し、該生成されたイオンに対して第2レーザ光を照射することにより該イオンを解離させてプロダクトイオンを生成するものであって、
    前記第1レーザ光と前記第2レーザ光が一のレーザ光源から発せられる光である、イオン分析方法。
  2. 一のレーザ光源と、
    試料が載置される試料載置部と、
    前記レーザ光源から発せられる光を前記試料載置部上の試料に照射する第1光学系と、
    前記試料から生成されたイオンが導入されるイオントラップと、
    前記レーザ光源から発せられる光を前記イオントラップ内のイオンに照射する第2光学系と
    を備える、イオン分析装置。
  3. 前記第1光学系と前記第2光学系の少なくとも一方が波長変換素子を備える、請求項2に記載のイオン分析装置。
  4. 前記レーザ光源が複数の波長の光を発するものであり、
    前記第1光学系と前記第2光学系が、互いに異なる波長の光を通過させる光学フィルターを備える、請求項2に記載のイオン分析装置。
  5. 前記イオントラップが三次元イオントラップである、請求項2から4のいずれかに記載のイオン分析装置。
  6. 前記第1光学系による前記試料への光の照射/非照射と、前記第2光学系により前記イオンへの光の照射/非照射を切り替える、照射切替部を備える、請求項2から5のいずれかに記載のイオン分析装置。
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