JP2021021436A - 減衰力調整式緩衝器 - Google Patents

減衰力調整式緩衝器 Download PDF

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【課題】減衰力調整機構をシリンダに内蔵した減衰力調整式緩衝器の大型化を防ぐ。【解決手段】ピストンボルト5(室形成部材)の一側に第1室121を設け、該第1室121と共通通路11との間に、縮み行程時に、縮み側背圧室56から第1室121への油液の流れを遮断するディスク状のスプール背圧リリーフ弁107(逆止弁)を設けたので、ボール弁型の逆止弁を設けた場合と比較して、減衰力調整機構の軸長を短くすることが可能であり、延いては、減衰力調整機構をシリンダ2に内蔵した減衰力調整式緩衝器1の大型化を防ぐことができる。【選択図】図2

Description

本発明は、ピストンロッドのストロークに対する油液の流れを制御して減衰力を調整する減衰力調整式緩衝器に関する。
特許文献1には、減衰力調整機構をシリンダに内蔵した減衰力調整式緩衝器が開示されている。当該減衰力調整式緩衝器は、弁体の開弁時に、ソレノイドアクチュエータのプランジャボア内の油液を低圧側のシリンダ室へ流出させることにより、縮み側弁体の後端部が当該プランジャボア内に突出した分の体積補償を行っている。
特開2018−249107号公報
特許文献1に記載された減衰力調整式緩衝器は、弁体の開弁時の体積補償に、伸び側と縮み側との2つのボール弁型の逆止弁を用いるため、構造が煩雑化する。また、伸び側の逆止弁をピストンボルト(室形成部材)の軸部に沿って設けるため、減衰力調整機構の軸長が長くなり、減衰力調整式緩衝器の大型化を招く。
本発明は、減衰力調整機構をシリンダに内蔵した減衰力調整式緩衝器の大型化を防ぐことを課題とする。
本発明の減衰力調整式緩衝器は、作動流体が封入されるシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装され、前記シリンダ内をシリンダ一側室とシリンダ他側室とに区画するピストンと、一端が前記ピストンに連結され、他端が前記シリンダから外部へ延出するピストンロッドと、前記ピストンに設けられる伸び側通路及び縮み側通路と、前記伸び側通路に設けられる伸び側メインバルブと、該伸び側メインバルブの開弁圧力を調整する伸び側背圧室と、前記縮み側通路に設けられる縮み側メインバルブと、該縮み側メインバルブの開弁圧力を調整する縮み側背圧室と、前記伸び側背圧室と前記縮み側背圧室とを連通する共通通路と、前記共通通路内に移動可能に設けられる弁体と、該弁体を開弁方向へ付勢する弁ばねと、前記弁体の移動を制御するアクチュエータと、を備える減衰力調整式緩衝器であって、前記弁体の一側には、前記シリンダ一側室と前記シリンダ他側室とに連通する第1室が設けられ、該第1室と前記共通通路との間には、縮み行程時に、前記縮み側背圧室から前記第1室への作動流体の流れを遮断する逆止弁が設けられることを特徴とする。
本発明によれば、減衰力調整機構をシリンダに内蔵した減衰力調整式緩衝器の大型化を防ぐことができる。
本実施形態の減衰力調整式緩衝器の主要部の断面図である。 図1における減衰力調整機構部の拡大図である。
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。
便宜上、図1における上下方向をそのまま「上下方向」と称する。以下、単筒型の減衰力調整式緩衝器について説明するが、本実施形態は、リザーバを備える複筒型の減衰力調整式緩衝器にも適用できる。
図1に、減衰力調整機構がシリンダ2に内蔵された本実施形態に係る減衰力調整式緩衝器1を示す。図1に示されるように、シリンダ2内には、ピストン3が摺動可能に嵌装される。ピストン3は、シリンダ2内をシリンダ上室2A(一側室)とシリンダ下室2B(他側室)との2室に区画する。なお、シリンダ2内には、シリンダ2内を上下方向へ移動可能なフリーピストン(図示省略)が設けられ、該フリーピストンは、シリンダ2内をピストン3側のシリンダ下室2Bとボトム側のガス室(図示省略)とに区画する。
ピストン3の軸孔4には、ピストンボルト5の軸部6が挿通される。ピストンボルト5は、軸部6の上端部に設けられる頭部7と、該頭部7の外周縁部に形成される円筒部8と、を有する。円筒部8は、上端側が開口し、頭部7に対して大径の外径を有する。円筒部8には、ソレノイドケース94の下端部が、ねじ結合により接続される。ピストンボルト5には、軸部6に対して同軸の共通通路11が設けられる。
図2に示されるように、共通通路11は、該共通通路11の上部に形成されて上端が開口する軸方向通路12と、共通通路11の下部に形成されて下端が閉塞される軸方向通路14と、軸方向通路12,14間を連通する軸方向通路13と、からなる。共通通路11の内径は、軸方向通路13が最も大きく、軸方向通路12、軸方向通路14の順に小さくなる。なお、軸方向通路12は、ピストンボルト5の頭部7に形成された凹部10の底面中央に開口する。凹部10は、軸直角平面による断面が、ピストンボルト5と同軸の円形をなす。
図1に示されるように、ソレノイドケース94の上端部には、ピストンロッド15の下端部(一端)が、ねじ結合により接続される。ピストンロッド15の上端側(他端)は、シリンダ2の外部へ延出する。ピストンロッド15の下端部には、緩み止めのナット16が設けられる。ピストンロッド15の下端には、小径部17が形成される。該小径部17の外周面には、環状溝(符号省略)が形成される。該環状溝には、ソレノイドケース94とピストンロッド15との間をシールするシール部材18が装着される。
ピストン3には、上端がシリンダ上室2Aに開口する伸び側通路19と、下端がシリンダ下室2Bに開口する縮み側通路20と、が設けられる。ピストン3の下端側には、伸び側通路19の油液(作動流体)の流れを制御する伸び側バルブ機構21(減衰力調整機構)が設けられる。他方、ピストン3の上端側には、縮み側通路20の油液の流れを制御する縮み側バルブ機構51(減衰力調整機構)が設けられる。
図2に示されるように、伸び側バルブ機構21は、ピストン3の下端面の外周側に形成される環状のシート部24と、該シート部24に離着座可能に当接する伸び側メインバルブ23と、ピストンボルト5の軸部6に取り付けられる伸び側パイロットボディ25と、該伸び側パイロットボディ25と伸び側メインバルブ23の背面との間に形成される伸び側背圧室26と、を備える。伸び側背圧室26内の圧力は、伸び側メインバルブ23に対して閉弁方向へ作用する。
ピストンボルト5の軸部6の下端部には、ナット27が取り付けられる。該ナット27と伸び側パイロットボディ25との間には、下側から順に、ワッシャ28、リテーナ29、及びディスクバルブ30が設けられる。ワッシャ28、リテーナ29、及びディスクバルブ30は、ナット27と伸び側パイロットボディ25の内周縁部との間で保持される。伸び側メインバルブ23は、弾性体からなる環状のパッキン31が、伸び側パイロットボディ25の内周面に全周にわたって接触するパッキンバルブである。
伸び側背圧室26は、伸び側パイロットボディ25に形成された通路32及びディスクバルブ30を介して、シリンダ下室2Bに連通される。ディスクバルブ30は、伸び側背圧室26の圧力が所定圧力に達したときに開弁し、当該伸び側背圧室26内の圧力をシリンダ下室2Bへリリーフする。伸び側背圧室26は、通路32を介して、伸び側パイロットボディ25とディスクバルブ30との間に形成された室49に連通する。該室49は、伸び側パイロットボディ25の下端面に設けられた無端状のシート部50によって画定される。
伸び側背圧室26は、ディスク状の伸び側背圧導入弁33を介して、ピストンボルト5の軸部6に形成された径方向通路34に連通される。該径方向通路34は、軸方向通路14に連通される。伸び側背圧導入弁33は、伸び側パイロットボディ25の通路44を介した、シリンダ下室2Bから伸び側背圧室26への油液の流れを許容する逆止弁である。伸び側背圧導入弁33は、伸び側パイロットボディ25の上面(伸び側背圧室26側の面)の、通路32の内周側で、且つ通路44の外周側に形成された、環状のシート部35に離着座可能に当接される。伸び側背圧導入弁33の内周縁部は、伸び側パイロットボディ25の内周縁部とスペーサ36との間で保持される。伸び側背圧室26は、伸び側背圧導入弁33の内周側に形成された複数個の伸び側導入オリフィス37、及び伸び側パイロットボディ25の内周縁部に形成された環状通路38を介して径方向通路34に連通される。
軸方向通路14は、ピストンボルト5の軸部6に形成された径方向通路39(縮み側排出通路)に連通される。該径方向通路39は、ピストン3の軸孔4の下端部に形成された環状通路41、ピストン3の内周縁部の下端側に形成された複数個の切欠き42、及びピストン3に設けられた縮み側逆止弁40を介して、伸び側通路19に連通される。縮み側逆止弁40は、ピストン3の下端側の、シート部24及び伸び側通路19より内周側に設けられた環状のシート部43に離着座可能に当接する。縮み側逆止弁40は、径方向通路39から伸び側通路19への油液の流れを許容する。
縮み側バルブ機構51は、ピストン3の上端面の外周側に形成される環状のシート部54と、該シート部54に離着座可能に当接する縮み側メインバルブ53と、ピストンボルト5の軸部6に取り付けられる縮み側パイロットボディ55と、該縮み側パイロットボディ55と縮み側メインバルブ53の背面との間に形成される縮み側背圧室56と、を備える。縮み側背圧室56内の圧力は、縮み側メインバルブ53に対して閉弁方向へ作用する。縮み側メインバルブ53は、弾性体からなる環状のパッキン61が、縮み側パイロットボディ55の内周面に全周にわたって接触するパッキンバルブである。
縮み側背圧室56は、縮み側パイロットボディ55に形成された通路62及びディスクバルブ60を介して、シリンダ上室2Aに連通される。ディスクバルブ60は、縮み側背圧室56の圧力が所定圧力に達したときに開弁し、当該縮み側背圧室56内の圧力をシリンダ上室2Aへリリーフする。縮み側背圧室56は、通路62を介して、縮み側パイロットボディ55とディスクバルブ60との間に形成された室79に連通する。該室79は、縮み側パイロットボディ55の下端面に設けられた無端状のシート部80によって画定される。縮み側背圧室56は、ディスク状の縮み側背圧導入弁63を介して、ピストンボルト5の軸部6に形成された径方向通路64に連通される。該径方向通路64は、軸方向通路12に連通される。
縮み側背圧導入弁63は、縮み側パイロットボディ55の通路74を介する、シリンダ上室2Aから縮み側背圧室56への油液の流れを許容する逆止弁である。縮み側背圧導入弁63は、縮み側パイロットボディ55の下面(縮み側背圧室56側の面)の、通路62の内周側で、且つ通路74の外周側に形成された、環状のシート部65に離着座可能に当接する。縮み側背圧導入弁63の内周縁部は、縮み側パイロットボディ55の内周縁部とスペーサ66との間で保持される。縮み側背圧室56は、縮み側背圧導入弁63の内周側に形成された複数個の縮み側導入オリフィス67、縮み側パイロットボディ55の内周縁部に形成された環状通路68、及びピストンボルト5の軸部6に形成された二面幅部75を介して、径方向通路64に連通される。
軸方向通路12は、ピストンボルト5の軸部6に形成された径方向通路69(縮み側排出通路)に連通される。径方向通路69は、ピストン3の軸孔4の上端部に形成された環状通路71、ピストン3の内周縁部の上端側に形成された複数個の切欠き72、及びピストン3に設けられた伸び側逆止弁70を介して、縮み側通路20に連通される。伸び側逆止弁70は、ピストン3の上端側の、シート部54及び縮み側通路20より内周側に設けられた環状のシート部73に、離着座可能に当接する。伸び側逆止弁70は、径方向通路69から縮み側通路20への油液の流れを許容する。
ピストンボルト5の共通通路11内の油液の流れは、パイロットバルブ81によって制御される。該パイロットバルブ81は、共通通路11に摺動可能に嵌装されたバルブスプール82(弁体)を有する。バルブスプール82は、中実軸からなり、ピストンボルト5とともにパイロットバルブ81を構成する。バルブスプール82は、軸方向通路12の、径方向通路64より上側に挿入される摺動部83と、軸方向通路14の開口周縁に形成されたシート部84に離着座可能に当接する弁部85と、摺動部83と弁部85とを接続する接続部86と、を有する。
バルブスプール82の弁部85に形成されたばね受部87と、共通通路11(軸方向通路14)の底部との間には、圧縮コイルばねからなるパイロットばね88(弁ばね)が介装される。該パイロットばね88は、バルブスプール82をピストンボルト5に対して上方向へ付勢する。これにより、摺動部83の端面89は、後述するソレノイド91(アクチュエータ)の、作動ロッド92の下端面93に当接する(押し付けられる)。
図1に示されるように、ソレノイド91は、ソレノイドケース94、作動ロッド92、及びコイル95を有する。作動ロッド92の外周面には、プランジャ96が結合される。プランジャ96は、コイル95への通電により推力を発生する。作動ロッド92の内周側には、ロッド内通路97が形成される。作動ロッド92は、コア98に設けられたブッシュ100によって上下方向(軸方向)へ案内される。
図2に示されるように、ピストンボルト5の凹部10の内側には、第1室121が設けられる。該第1室121には、バルブスプール82の上端部90が突出する。換言すれば、第1室121は、バルブスプール82の上端部90(弁体の一側)の外周に設けられる。ピストンボルト5の頭部7の外周面122には、上端側が開口する有底円筒形のワッシャ123(有底筒部材)が取り付けられる。
ワッシャ123の底部124には、ピストンボルト5の軸部6を挿通させるボルト挿通孔125が設けられる。底部124の内周縁部には、複数個の切欠き129が設けられる。該切欠き129は、軸部6の二面幅部75に連通する。ピストンボルト7の頭部7の外周面122には、環状溝127が設けられる。該環状溝127には、ピストンボルト5の頭部7とワッシャ123の円筒部126との間をシールするシール部材128が設けられる。これにより、ピストンボルト5の頭部7の下端側(室形成部材の他側)とワッシャ123(有底筒部材)との間には、環状の第2室131が形成される。
ピストンボルト5の頭部7とワッシャ123の底部124との間には、上側から順に、スプール背圧リリーフ弁107、スペーサ108、及びリテーナ132が設けられる。該スプール背圧リリーフ弁107、スペーサ108、及びリテーナ132は、第2室131内に設けられる。スプール背圧リリーフ弁107(逆止弁)は、頭部7に形成された通路105を介する、第1室121から第2室131への油液の流れを許容する逆止弁である。スプール背圧リリーフ弁107の内周縁部は、ピストンボルト5の頭部7の内周縁部とスペーサ108との間で保持される。スプール背圧リリーフ弁107の外周縁部は、ピストンボルト5の頭部7の下面に形成された環状のシート部109に離着座可能に当接する。
リテーナ132の内周縁部には、第2室131を、二面幅部75、及びワッシャ123の切欠き129に連通する複数個の切欠き133が設けられる。リテーナ132は、スプール背圧リリーフ弁107と略等しい外径を有し、スプール背圧リリーフ弁107の最大開弁量を調整する。ワッシャ123の底部124とディスクバルブ60との間には、上側から順に、ディスク58、及びリテーナ59が設けられる。ディスク58は、ワッシャ123の切欠き129を介する、シリンダ上室2Aと第2室131との連通を遮断する。
ピストンボルト5の頭部7には、フェイルセーフバルブ111が設けられる。該フェイルセーフバルブ111は、ディスク状のフェイルセーフばね112(弁ばね)と、バルブスプール82の上端部90(弁体の一側)に固定された弁ばね固定部材135と、を備える。バルブスプール82(摺動部83)の上端部90は、共通通路11(軸方向通路12)から凹部10内に突出した部分であり、弁ばね固定部材135の軸孔137に圧入される。
バルブスプール82の上端部90の端面89の近傍には、環状溝138が形成される。そして、バルブスプール82の上端部90を弁ばね固定部材135の軸孔137に圧入させた後、弁ばね固定部材135の上端側の内周縁部を、全周に亘って、或いは部分的にかしめてかしめ部139を形成することにより、バルブスプール82と弁ばね固定部材135とが強固に結合される。
弁ばね固定部材135は、フランジ状のばね受部136の下端側で、フェイルセーフばね112の内周縁部を受ける。フェイルセーフばね112の外周縁部は、ピストンボルト5の凹部10の外周縁部とコア99の外周縁部との間で保持される。コア99とフェイルセーフばね112との間には、フェイルセーフばね112の可動域を調整するリテーナ114が設けられる。第1室121は、リテーナ114に形成された切欠き120を介して環状通路117に連通される。
コア99の外周面には、環状溝115が設けられる。該環状溝115には、ソレノイドケース94の下端部とコア99との間をシールするシール部材116が装着される。これにより、ピストンボルト5、ソレノイドケース94、及びコア99の間には、環状通路117が形成される。該環状通路117は、ピストンボルト5の円筒部8の下端部に設けられた通路118を介して、シリンダ上室2Aに連通される。
ソレノイド91のコア99の内周側には、スプール背圧室101が設けられる。該スプール背圧室101は、作動ロッド92の切欠き102、及びロッド内通路97を介してロッド背圧室103に連通される。そして、コイル95への非通電時には、バルブスプール82は、フェイルセーフばね112のばね力によって、上方向、即ち、弁部85をシート部84から離座させる方向へ付勢される。これにより、弁ばね固定部材135のばね受部136がシート部119に着座し、その結果、スプール背圧室101と第1室121との連通が遮断される。
コイル95への通電時には、バルブスプール82は、作動ロッド92(プランジャ96)の推力によって、下方向、即ち、弁部85をシート部84に着座させる方向へ付勢される。これにより、バルブスプール82は、パイロットばね88及びフェイルセーフばね112のばね力に抗して、弁部85がシート部84に着座される。パイロットバルブ81(弁部85)の開弁圧力は、コイル95への通電の電流値を変化させることで制御される。コイル95への通電の電流値が小さいソフトモード時には、パイロットばね88のばね力と作動ロッド92との推力が平衡し、弁部85がシート部84から離間した状態となる。
次に、本実施形態における油液の流れ、主に、パイロット流れを説明する。
(縮み行程)
パイロットバルブ81(弁体)の開弁前には、シリンダ下室2Bの油液は、縮み側通路20、伸び側逆止弁70のオリフィス76、ピストン3の切欠き72、環状通路71、径方向通路69、軸方向通路12(共通通路11)、及び縮み側導入通路、即ち、径方向通路64、軸部6の二面幅部75、環状通路68、及び縮み側背圧導入弁63の縮み側導入オリフィス67を経て、縮み側背圧室56に導入される。
パイロットバルブ81が開弁すると、軸方向通路12に導入された油液は、縮み側導入通路を経て縮み側背圧室56に導入されるとともに、縮み側パイロット通路、即ち、軸方向通路13(共通通路11)、軸方向通路14(共通通路11)、径方向通路39、環状通路41、ピストン3の切欠き42、縮み側逆止弁40、及び伸び側通路19を経て、シリンダ上室2Aへ流れる。このとき、ソレノイド91(アクチュエータ)のコイル95への通電の電流値を制御することにより、パイロットバルブ81の開弁圧力を調整することができる。同時に、縮み側背圧導入弁63から縮み側背圧室56へ導入される油液の圧力も調整されるので、縮み側メインバルブ53の開弁圧力を制御することができる。
また、パイロットバルブ81の開弁時には、第1室121の油液を、リテーナ114の切欠き120、環状通路117、及びピストンボルト5の通路118を介して、シリンダ上室2Aへ排出する。これにより、バルブスプール82が第1室121へ突出した分の体積補償が行われる。このとき、縮み側背圧室56から第1室121への油液の流れは、共通通路11と第1室121との間に設けられたスプール背圧リリーフ弁107(逆止弁)によって遮断される。
(伸び行程)
パイロットバルブ81の開弁前には、シリンダ上室2Aの油液は、伸び側通路19、縮み側逆止弁40のオリフィス48、ピストン3の切欠き42、環状通路41、径方向通路39、軸方向通路14(共通通路11)、及び伸び側導入通路、即ち、径方向通路34、環状通路38、及び伸び側背圧導入弁33の伸び側導入オリフィス37を経て、伸び側背圧室26に導入される。
パイロットバルブ81が開弁すると、軸方向通路14に導入された油液は、伸び側導入通路を経て伸び側背圧室26に導入されるとともに、伸び側パイロット通路、即ち、軸方向通路13(共通通路11)、軸方向通路12(共通通路11)、径方向通路69、環状通路71、ピストン3の切欠き72、伸び側逆止弁70、及び縮み側通路20を経て、シリンダ下室2Bへ流れる。このとき、ソレノイド91のコイル95への通電の電流値を制御することにより、パイロットバルブ81の開弁圧力を調整することができる。同時に、伸び側背圧導入弁33から伸び側背圧室26へ導入される油液の圧力も調整されるので、伸び側メインバルブ23の開弁圧力を制御することができる。
また、パイロットバルブ81の開弁時には、第1室121の油液を、ピストンボルト5の通路105、スプール背圧リリーフ弁107、第2室131、リテーナ132の切欠き133、ピストンボルト5の二面幅部75、径方向通路64、軸方向通路12(共通通路11)、径方向通路69、ピストン3の環状通路71並びに切欠き72、伸び側逆止弁70、及び縮み側通路20を介して、シリンダ下室2Bへ排出する。これにより、バルブスプール82が第1室121へ突出した分の体積補償が行われる。
従来の減衰力調整式緩衝器(特許文献1参照)では、弁体(バルブスプール)の開弁時に体積補償するため、伸び側と縮み側との2つのボール弁型の逆止弁を用いるので、減衰力調整機構の軸長が長くなり、延いては、減衰力調整式緩衝器の大型化を招くという問題がある。
これに対し、本実施形態では、ピストンボルト5(室形成部材)の頭部7の一側、即ち、バルブスプール82(弁体)の上端部90(一側)が突出する凹部10の内側に、シリンダ上室2A(一側室)とシリンダ下室2B(他側室)とに連通する第1室121を設け、該第1室121と、伸び側背圧室26と縮み側背圧室56とを連通する共通通路11との間に、縮み行程時に、縮み側背圧室56から第1室121への油液の流れを遮断するスプール背圧リリーフ弁107(逆止弁)を設けたので、縮み行程時に、縮み側背圧室26の圧力が、第1室121を介して、低圧側のシリンダ上室2Aへ逃げることを阻止することができる。
また、本実施形態では、スプール背圧リリーフ弁107(逆止弁)を、ピストンボルト5(室形成部材)の頭部7の他側に設け、該頭部7の他側に、有底円筒形のワッシャ123(有底筒部材)を設けることにより、該ワッシャ123と頭部7の他側との間に、伸び行程時に、第1室121に連通される第2室131を設けた。この場合、ワッシャ123をプレス成形により製造することが可能であり、製造時における切削加工を削減することができ、延いては、工数及び製造コストを低減することができる。
さらに、本実施形態では、第2室131にディスク状のスプール背圧リリーフ弁107(逆止弁)を設けたので、2つのボール弁型の逆止弁を設けた従来の減衰力調整式緩衝器と比較して、減衰力調整機構の軸長を短くすることが可能であり、延いては、減衰力調整機構をシリンダ2に内蔵した減衰力調整式緩衝器1を小型化(全長を短縮)することができる。
1 減衰力調整式緩衝器、2 シリンダ、2A シリンダ上室(一側室)、2B シリンダ下室(他側室)、3 ピストン、5 ピストンボルト(室形成部材)、11 共通通路、15 ピストンロッド、23 伸び側メインバルブ、26 伸び側背圧室、53 縮み側メインバルブ、56 縮み側背圧室、91 ソレノイド(アクチュエータ)、82 バルブスプール(弁体)、88 パイロットばね(弁ばね)、107 スプール背圧リリーフ弁(逆止弁)、112 フェイルセーフばね(弁ばね)、121 第1室

Claims (2)

  1. 作動流体が封入されるシリンダと、
    該シリンダ内に摺動可能に嵌装され、前記シリンダ内をシリンダ一側室とシリンダ他側室とに区画するピストンと、
    一端が前記ピストンに連結され、他端が前記シリンダから外部へ延出するピストンロッドと、
    前記ピストンに設けられる伸び側通路及び縮み側通路と、
    前記伸び側通路に設けられる伸び側メインバルブと、
    該伸び側メインバルブの開弁圧力を調整する伸び側背圧室と、
    前記縮み側通路に設けられる縮み側メインバルブと、
    該縮み側メインバルブの開弁圧力を調整する縮み側背圧室と、
    前記伸び側背圧室と前記縮み側背圧室とを連通する共通通路と、
    前記共通通路内に移動可能に設けられる弁体と、
    該弁体を開弁方向へ付勢する弁ばねと、
    前記弁体の移動を制御するアクチュエータと、
    を備える減衰力調整式緩衝器であって、
    前記弁体の一側には、前記シリンダ一側室と前記シリンダ他側室とに連通する第1室が設けられ、
    該第1室と前記共通通路との間には、縮み行程時に、前記縮み側背圧室から前記第1室への作動流体の流れを遮断する逆止弁が設けられることを特徴とする減衰力調整式緩衝器。
  2. 前記逆止弁は、前記第1室を形成する室形成部材の他側に設けられ、
    該室形成部材の他側には、有底筒部材との間に形成される第2室が設けられることを特徴とする請求項1に記載の減衰力調整式緩衝器。
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