JP2021021113A - 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート及びその製造方法 - Google Patents

熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電率及び耐食性を向上できる熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート及びその製造方法を提供すること。【解決手段】Al−Fe系芯材と、その片面又は両面に張り合わされたAl−Si系ろう材とを備える熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートであって、ろう付相当熱処理後の引張強さが100MPa以上、かつ導電率が55%IACS以上であり、Al−Fe系芯材は、Fe:0.3質量%以上1.5質量%以下、Cu:0.1質量%以上0.7質量%以下、Si:0.1質量%以上0.3質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなり、Al−Fe系芯材とAl−Si系ろう材との間に、純アルミニウムからなる中間層が形成され、中間層の厚さが20μm以上であり、かつ、中間層の平均結晶粒径が500μm以上である。【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車等の熱交換器用部材として用いられる熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート及びその製造方法に関する。
近年、電気自動車や燃料電池車に代表される環境対応車の急増により、自動車用の熱交換器の高性能化の要求が高まっている。
その中でも、熱交換器の放熱性能向上に関しては、熱交換器用アルミニウム部材の放熱性能が寄与する。ここで、放熱性能と電気伝導度とには、一定の相関があることから、従来から材料の放熱性能の判断材料として、簡易に測定可能な電気伝導度が用いられてきた。つまり、高伝導材であるほど、熱交換器の放熱性を向上可能となる。
熱交換器用アルミニウム部材には、従来Al−Mn系合金からなる芯材の両面又は片面Al−Si系合金からなるろう材を貼り合せたブレージングシートが用いられてきた。例えば、特許文献1に記載の熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートは、Al−Mn系合金からなる芯材の片面にAl−Si系ろう材がクラッドされ、他の片面にSi:2.5〜6.0質量%を含有するアルミニウム合金材がクラッドされている。このようなブレージングシートは、材料強度やろう付性のバランスが良く、広く熱交換器用部材として用いられている。
特開2007−178062号公報
しかしながら、特許文献1に記載の熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートの芯材には、Mnが添加されているため、アルミニウムに固溶することで導電性を低下させる。また、熱交換器は、約600℃のろう付け熱処理によって、接合されるため、高温熱処理によるMnの固溶度の上昇は避けられず、これが材料の導電率低下を招いていた。
本発明は、導電率及び耐食性を向上できる熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、導電率の低下を抑制するための合金としてAl−Fe系合金を用いることを検討した。このAl−Fe系合金は、アルミニウムに添加されたFeの固溶限が小さく、ろう付加熱においても、ほとんどアルミニウムに固溶しないことから、導電率の低下を防ぐことが可能となる。しかし、Al−Fe系合金は、鋳造時に粗大な金属間化合物を生成しやすく、この金属間化合物がろう付加熱時に再結晶核となることで芯材の結晶粒を微細化しやすい傾向にあることがわかった。ろう付加熱において、芯材の再結晶粒が微細な場合、結晶粒界が溶融ろうの侵食経路となることで芯材のろう侵食(エロージョン)が進み、ろう付性を低下させる問題がある。そこで、本発明者らは鋭意研究した結果、Al−Fe系芯材と、Al−Si系ろう材との間に純アルミニウムを配置することで、ろう付け加熱処理時に粗大な再結晶粒を有する純アルミニウムが芯材へのろう浸食を抑制することを見出した。
すなわち、本発明の熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートは、Al−Fe系芯材と、その片面又は両面に張り合わされたAl−Si系ろう材とを備える熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートであって、ろう付相当熱処理後の引張強さが100MPa以上、かつ導電率が55%IACS以上であり、前記Al−Fe系芯材は、Fe:0.3質量%以上1.5質量%以下、Cu:0.1質量%以上0.7質量%以下、Si:0.1質量%以上0.3質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなり、前記Al−Fe系芯材と前記Al−Si系ろう材との間に、純アルミニウムからなる中間層が形成され、前記中間層の厚さが20μm以上であり、かつ、前記中間層の平均結晶粒径が500μm以上である。
上記純アルミニウムの純度は、少なくとも99.0質量%以上である。このような純アルミニウムからなる中間層を芯材にクラッドする場合、熱間圧延等の圧延処理が施される。この場合、中間層は、純アルミニウムからなり、再結晶温度が低く、析出物も少ないのでの結晶粒が粗大化する。結晶粒が大きいと、ろう浸食経路が少なくなり耐食性が向上する。このため、中間層の平均結晶粒径が500μm未満では、耐食性向上の効果が損なわれる。また、中間層の厚さが20μm未満であると、Al−Fe系芯材へのろう侵食を抑制できない可能性がある。
本発明では、Al−Fe系芯材とAl−Si系のろう材との間に厚さ20μm以上の純アルミニウムを配置することで、ろう付加熱時に粗大な再結晶粒を有する純アルミニウムがAl−Fe系芯材へのろう侵食を抑制するので、高いろう付性を維持できる。また、Al−Fe系芯材と、Al−Si系ろう材とAl−Fe系芯材との間に配置された純アルミニウムとは、高い導電率を有する事から、熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート高強度を維持しつつ、ろう付性を確保できる。これにより、ろう付け相当熱処理後の引張強さを100MPa以上、かつ導電率を55%IACS以上にできる。
Feは、芯材の強度向上に寄与し、0.3質量%未満では、添加量が少なく所望の効果を得られず、1.5質量%を超えると芯材の鋳造性及び圧延性が低下する。
Cuは、芯材の強度向上に寄与し、0.1質量%未満では、添加量が少なく所望の効果を得られず、0.7質量%を超えると芯材の鋳造性が低下するとともに、融点が低下してろう付け性(導電率)も低下する。
Siは、芯材の強度向上に寄与し、0.1質量%未満では、添加量が少なく所望の効果を得られず、0.3質量%を超えると芯材の融点が低下して、ろう付け性(導電性)が低下する。
ろう付相当熱処理後の引張強さが100MPa未満であると、熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートの信頼性が低下する。なお、ろう付相当熱処理とは、600°で3分間保持する熱処理であり、その条件は、550℃から600℃までの昇温時間が3分となるような昇温速度で加熱し、600℃で3分間保持した後、300℃まで100℃/分の冷却速度で冷却し、室温まで空冷で冷却するものである。
本発明の熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートの好ましい態様としては、前記Al−Si系ろう材は、Si:5.0質量%以上12.0質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなるとよい。
Siは、ろう材のろう付性向上及びエロージョンの抑制に寄与し、5.0質量%未満では、添加量が少なく所望の効果を得られず、12.0質量%を超えると、ろう付け性が低下して、エロージョンの発生を抑制できない可能性がある。
本発明の熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートの好ましい態様としては、前記Al−Si系ろう材は、Zn:0.1質量%以上3.0質量%以下をさらに含有するとよい。
Znは、ろう材のろう付性向上に寄与し、0.1質量%未満では、添加量が少なく所望の効果を得られず、3.0質量%を超えると、ろう付け性が低下するとともに、接合部の耐食性が低下する可能性がある。
本発明の熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートの製造方法は、Fe:0.3質量%以上1.5質量%以下、Cu:0.1質量%以上0.7質量%以下、Si:0.1質量%以上0.3質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金によりAl−Fe系芯材を製造する芯材製造工程と、芯材製造工程により製造された前記Al−Fe系芯材の両面又は片面に純アルミニウムからなる厚さ20μm以上の中間層を積層し、前記中間層の前記Al−Fe系芯材とは反対側の面にAl−Si系ろう材を積層してクラッドするクラッド工程と、を備える。
本発明によれば、熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートの導電率及び耐食性を向上できる。
本発明の一実施形態に係る熱交換器用アルミニウム合金ブレージングの断面図である。
以下、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート及びその製造方法について、図面を用いて説明する。
本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート1(以下、単にブレージングシート1という)は、自動車用の熱交換器等に用いられる。
このブレージングシート1は、図1に示すように、Al−Fe系芯材11(以下、芯材11という)と、その片面又は両面に貼り合わされたAl−Si系ろう材12(以下ろう材12という)と、芯材11とろう材12との間に形成された純アルミニウムからなる中間層13と、を備えている。
[芯材の組成]
芯材11は、Fe:0.3質量%以上1.5質量%以下、Cu:0.1質量%以上0.7質量%以下、Si:0.1質量%以上0.3質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなる。
ここで、Feは、芯材11の強度向上に寄与し、0.3質量%未満では、添加量が少なく所望の効果を得られず、1.5質量%を超えると芯材11の鋳造性及び圧延性が低下する。また、Cuは、芯材11の強度向上に寄与し、0.1質量%未満では、添加量が少なく所望の効果を得られず、0.7質量%を超えると芯材11の鋳造性が低下するとともに、融点が低下してろう付け性(導電率)も低下する。さらに、Siは、芯材11の強度向上に寄与し、0.1質量%未満では、添加量が少なく所望の効果を得られず、0.3質量%を超えると芯材11の融点が低下して、ろう付け性(導電性)が低下する。
なお、より好ましくは、芯材11は、Feを0.5質量%以上1.3質量%以下、Cuを0.2質量%以上0.6質量%以下、Siを0.1質量%以上0.3質量%以下の範囲で含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金により構成されるとよい。
[ろう材の組成]
ろう材12は、Al−Fi系のアルミニウム合金からなる。好ましくは、ろう材12は、Si:5.0質量%以上12.0質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなるとよい。
Siは、ろう材のろう付性向上及びエロージョンの抑制に寄与し、5.0質量%未満では、添加量が少なく所望の効果を得られず、12.0質量%を超えると、ろう付け性が低下して、エロージョンの発生を抑制できない可能性がある。
また、ろう材12は、Zn:0.1質量%以上3.0質量%以下をさらに含有することが好ましい。
Znは、ろう材のろう付性向上に寄与し、0.1質量%未満では、添加量が少なく所望の効果を得られず、3.0質量%を超えると、ろう付け性が低下するとともに、接合部の耐食性が低下する可能性がある。
[中間層の組成]
中間層13は、純アルミニウムからなる。この純アルミニウムの純度は、少なくとも99.0質量%以上とされ、より好ましくは、99.5質量%以上であるとよい。このような純アルミニウムからなる中間層13を芯材11にクラッドする場合、熱間圧延等の圧延処理が施される。この場合、中間層13は、純アルミニウムからなり、再結晶温度が低く、析出物も少ないのでの結晶粒が粗大化する。結晶粒が大きいと、ろう浸食経路が少なくなり耐食性が向上する。このため、中間層13の平均結晶粒径が500μm以上であり、その厚さは、20μm以上に設定されている。この中間層13は、ろう付け熱処理時に芯材11へのろう浸食を抑制する効果があり、中間層13の平均結晶粒径が500μm未満では、耐食性向上の効果が損なわれ、中間層13の厚さが20μm未満であると、Al−Fe系芯材へのろう侵食を抑制できない可能性がある。
なお、中間層13は、純アルミニウムからなるため、強度が低いため、耐ろう侵食性で必要な最小厚さであることが好ましく、40μm以下であることが好ましい。この中間層13の厚さが40μmを超えると、ブレージングシート1の強度が低下する。つまり、中間層13の厚さは、20μm以上40μm以下であるとよい。
また、中間層13が高導電率の純アルミニウムにより構成され、上述した芯材11も高導電率であるため、ろう付相当熱処理後のブレージングシート1の導電率は、55%IACSとなるとともに、ろう付相当熱処理後のブレージングシート1の引張強さは、100MPa以上となる。
なお、ろう付相当熱処理とは、600°で3分間保持する熱処理であり、その条件は、550℃から600℃までの昇温時間が3分となるような昇温速度で加熱し、600℃で3分間保持した後、300℃まで100℃/分の冷却速度で冷却し、室温まで空冷で冷却するものである。
[ブレージングシートの製造方法]
次に、このブレージングシートの製造方法について説明する。
このブレージングシート1の製造方法は、芯材11を製造する芯材製造工程と、ろう材12を製造するろう材製造工程と、中間層13となる純アルミニウム板を構成する中間層形成工程と、芯材製造工程により製造された芯材11の片面に中間層13を積層し、中間層13の芯材11とは反対側の面にろう材12を積層してクラッドするクラッド工程と、を備える。
(芯材製造工程)
まず、半連続鋳造により芯材用アルミニウム合金を鋳造する。そして、得られた鋳塊(芯材用アルミニウム合金)には、スラブ鋳造後に偏析など不均質な組織を除去する事を目的に均質化処理を実施する。高温の均質化処理により、鋳造時にマトリクスに過飽和に固溶した添加元素が金属間化合物として析出する。析出する金属間化合物のサイズや分散量は均質化処理の温度、時間に影響を及ぼされるため、添加元素の種類に応じた熱処理条件を選択する必要がある。
本実施形態では、Al−Fe系合金にCu及びSiを添加し、これらを溶解鋳造することにより芯材用アルミニウム合金を鋳造し、得られた鋳塊について均質化処理を400℃以上520℃以下の温度で5〜15時間行う。
そして、均質化処理を実施した芯材用アルミニウム合金の鋳塊は、圧延最表面を除去する面削処理のみを施して後述するクラッド工程に供してもよいし、熱間圧延を得て板材としてもよい。また、鋳造工程と圧延工程とを分けずに、連続鋳造圧延を経て板材としてもよい。
通常、芯材11の熱間圧延は500℃前後の高温で実施されるが、圧延終了後にコイル化され室温まで冷却される。この場合、熱間圧延の仕上げ温度により高温で保持される時間が変わるため、金属間化合物の析出挙動に影響を及ぼす。
このため、本実施形態では、芯材用アルミニウム合金からなる板材の仕上がり温度が408℃以上442℃以下となるように熱間圧延を実施している。
(ろう材製造工程)
半連続鋳造によりろう材用アルミニウム合金を鋳造する。そして、得られた鋳塊(ろう材用アルミニウム合金)には、スラブ鋳造後に偏析など不均質な組織を除去する事を目的に均質化処理を実施する。
Al−Si系合金からなるろう材用アルミニウム合金の均質化処理は、400〜550℃で1〜15時間とする。通常、ブレージングシートの作製工程において、ろう材用アルミニウム合金に均質化処理を実施しないことが一般的であり、この工程にて作製されたブレージングシートのろう材内には、円相当径で1μm程度のSi粒子が多数存在する。このろう材内のSi粒子サイズを制御するために、均質化処理が効果的であり、400〜550℃で1〜15時間の範囲から選択することができ、480〜550℃で3〜10時間の範囲で実施するのがより好ましい。
そして、均質化処理が実施されたろう材用アルミニウム合金の鋳塊は、熱間圧延を得て板材とされる。なお、鋳造工程と圧延工程とを分けずに、連続鋳造圧延を経て板材としてもよい。
(中間層製造工程)
半連続鋳造により中間層用純アルミニウムを鋳造する。この中間層用純アルミニウムは、純アルミニウムにより構成されているため、均質化処理は実行しない。
そして、均質化処理が実施された中間層用純アルミニウムの鋳塊は、熱間圧延を得て板材とされる。なお、鋳造工程と圧延工程とを分けずに、連続鋳造圧延を経て板材としてもよい。
(クラッド工程)
そして、これら板材を適宜のクラッド率でクラッドする。そのクラッドは、一般には熱間圧延により行われる。その後、さらに冷間圧延を施すことにより、所望の厚さの熱交換器用アルミニウム合金材が得られる。そして、最終焼鈍を例えば360℃で3時間行うことにより、ブレージングシートとする。具体的には、芯材用アルミニウム合金上に中間層用純アルミニウムを配置し、中間層用純アルミニウムの芯材用アルミニウム合金とは反対側にろう材用アルミニウム合金を配置し、これらに熱間圧延及び冷間圧延を施すことにより、芯材11、中間層13及びろう材12を貼り合わせて、図1に示す熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート1を製造する。
このブレージングシート1の厚さの構成は、例えば、全体の厚さが0.4mm、ろう材12の厚さが20μm〜60μm(例えば、クラッド率5%〜15%相当)、中間層13の厚さが20μm〜40μm(例えば、クラッド率5%〜10%相当)、残りの厚さが芯材11の厚さである。
熱間圧延、冷間圧延、最終焼鈍は常法によって行えばよいが、冷間圧延工程時に、中間焼鈍を介在させることも可能である。その場合、中間焼鈍としては、例えば200〜400℃で1〜6時間の加熱によって行なうことができる。中間焼鈍後の最終圧延では、10〜50%の冷間圧延率で圧延を行なう。
このようなブレージングシート1は、例えば、熱交換器の各部材として用いられ、各部材を組み立てた状態で全体を高温の炉内に挿入し、冷却することで、Al−Si系合金からなるろう材12が溶融して各部材の接触部位がろう付け接合され、熱交換器が構成される。このろう付け熱処理は、例えば、室温(例えば、25℃)から550℃まで平均昇温速度100℃/分で昇温し、550℃から600℃までの昇温時間が1分〜3分となるような昇温速度で加熱し、600℃で1〜3分保持後、68℃/分以上100℃/分以下の冷却速度で600℃から300℃まで冷却し、室温まで空冷で冷却する。
本実施形態では、Al−Fe系芯材11とAl−Si系のろう材12との間に厚さ20μm以上の純アルミニウムからなる中間層13を配置することで、ろう付加熱時に粗大な再結晶粒を有する純アルミニウムがAl−Fe系芯材11へのろう侵食を抑制するので、高いろう付性を維持できる。また、Al−Fe系芯材11と、Al−Si系ろう材12とAl−Fe系芯材11との間に配置された純アルミニウムからなる中間層13とは、高い導電率を有する事から、熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート1の高強度を維持しつつ、ろう付性を確保できる。これにより、ろう付相当熱処理後のブレージングシート1の引張強さを100MPa以上、かつ導電率を55%IACS以上にできる。
そして、上述した製造方法により製造された熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート1により熱交換器が構成されていることから、該熱交換器自体の耐食性及び強度が高まるので、熱交換器の耐久性を高めることができる。
なお、本発明は上記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態では、ブレージングシートとして、芯材11の一方の面に中間層13を介してろう材12が形成された例を示したが、これに限らず、芯材11の他方の面にも中間層13を介してろう材12が形成されていてもよい。
半連続鋳造により芯材用アルミニウム合金、ろう材用アルミニウム合金及び中間層用純アルミニウムを鋳造した。芯材用アルミニウム合金及びろう材用アルミニウム合金には、表1(残部Alおよび不可避不純物)に示す合金を用い、中間層用純アルミニウムの純度は表1に示すとおりとした。芯材用の材料には、450〜580℃で4〜8時間の範囲で均質化処理を行なった。また、ろう材用の材料には、430〜480℃で3時間の均質化処理を行なった。
次に、芯材の片面にろう材を配置し、その間に中間層を組み合わせて熱間圧延して、さらに冷間圧延を行い、厚さ0.40mmとした後、最終焼鈍を360℃で3時間行い、O調質のブレージングシート(供試材)を作製した。
各供試材(ブレージングシート)の厚さ構成は、ろう材の厚さを40μm(クラッド率10%相当)、中間層の厚さを12〜40μmとし、残りの厚さを芯材の厚さとした。
そして各供試材に対し、ろう付け相当熱処理として、550℃から目標温度までの到達時間が3分となるような昇温速度で加熱し、600℃の目標温度で3分間保持し、その後、300℃まで約100℃/minで冷却した後、室温まで空冷を行なった。
(中間層の平均結晶粒径)
各供試材における中間層の平均結晶粒径は、ろう付け相当熱処理前の各供試材を用いて、圧延方向平行断面を樹脂埋め後、鏡面に研磨した後、エッチング液(例えば常温のケラー氏液の1〜3分浸漬)で芯材の結晶粒を現出させ、各供試材の5箇所について光学顕微鏡を用いて200倍で写真撮影した。撮影した写真から圧延方向について切断法で結晶粒径を測定し、平均結晶粒径を算出した。
(ろう付け相当熱処理後の導電率の評価)
ろう付け相当熱処理後の各供試材の導電率は、JIS H−0505記載の導電率測定方法により、ダブルブリッジ式導電率計にて測定した。この導電率が55.5%IACS以上のものを良好「A」と評価し、55.0%IACS以上55.5%IACS未満のものを可「B」と評価し、55.0%IAC未満のものを不可「C」と評価した。
(ろう付け相当熱処理後の引張強さ評価)
ろう付け相当熱処理後、圧延方向と平行にサンプルを切り出してJIS5号形状の試験片を作製し、引張試験を実施し、引張強さを測定した。引張速度は3mm/分とした。
引張強さが100MPa以上であるものは、ろう付後の引張強さが良好「A」であると評価し、100MPa未満であるものは不可「C」と評価した。
(ろう流動係数の評価)
ろうの流動係数(Kd)については、ドロップ型流動試験で測定し、次式により算出した。
Kd= (4WB−W0)/(3W0×クラッド率)
W0:ろう付前のブレージングシートの重量
WB:ろう付後のブレージングシート下部1/4の重量
クラッド率:ろう材のクラッド率
ドロップ型流動試験は、各供試材を縦60mm×横25mmの試験片に加工し、この初期状態における試験片全体の質量W0を測定した。次いで、高純度窒素ガス雰囲気中において、縦に配置した各供試材を温度600℃で3分間保持してろう合金を溶融させ、試験片の一端側から縦方向で1/4までの部分(つまり、60mm/4=15mm)の部位の質量WBを測定し、上記式にて流動係数を求めた。
このろう流動係数が0.3以上0.9未満の場合を良好「A」と判定し、それ以外の場合を可「B」と判定した。
(エロージョン深さの評価)
また、ろう流動係数の評価とあわせて、試験片中央部の断面観察よりろう材/中間層の界面から板厚方向のエロージョン深さを測定した。このエロージョン深さが20μm未満の場合を良好「A」と評価し、20μm以上の場合を不可「C」と判断した。
(耐食性の評価)
ろう付け相当熱処理後の各供試材から30×50mmのサンプルを切り出し、ろう材層側について、Cl:195ppm、SO 2−:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe3+:30ppmを含む水溶液中で80℃×8時間と室温×16時間との間のサイクルで浸漬試験を4週間実施した。腐食試験後のサンプルを沸騰させたリン酸クロム酸混合溶液に浸漬して腐食生成物を除去した後、腐食減量を測定し、この結果を用いて耐食性を評価した。腐食減量が5mg/cm未満であったものを良好「A」と評価し、5mg/cm以上で7mg/cm未満であるのものを可「B」と評価し、7mg/cm以上のものを不可「C」と評価した。
以上説明した測定結果及び評価は、表1及び表2に示す通りである。
Figure 2021021113
Figure 2021021113
表1及び表2に示すように、実施例1〜10は、芯材がFe:0.3質量%以上1.5質量%以下、Cu:0.1質量%以上0.7質量%以下、Si:0.1質量%以上0.3質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなり、中間層の厚さが20μm以上であり、かつ、中間層の平均結晶粒径が500μm以上であったため、ろう付け相当熱処理後の引張強さ、導電率、エロージョン深さ、ろう流動係数及び耐食性の評価のいずれもが可「B」以上であった。
一方、比較例1〜6は、芯材がFe:0.3質量%以上1.5質量%以下、Cu:0.1質量%以上0.7質量%以下、Si:0.1質量%以上0.3質量%以下の範囲で含有していなかったため、ろう付相当熱処理後の引張強さ、導電率及び耐食性のいずれかの評価が不可「C」であった。また、比較例7は、中間層の厚さが12μmと薄かったことから、エロージョン深さが35μmと大きくなり、その評価が不可「C」であった。さらに、比較例8は、中間層を構成する純アルミニウムの純度が98%と低かったため、平均結晶粒径が480μmとなり、エロージョン深さが25μmと大きくなり、その評価が不可「C」であった。
1 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート(ブレージングシート)
11 芯材(Al−Fe系芯材)
12 ろう材(Al−Si系ろう材)
13 中間層

Claims (4)

  1. Al−Fe系芯材と、その片面又は両面に張り合わされたAl−Si系ろう材とを備える熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートであって、
    ろう付相当熱処理後の引張強さが100MPa以上、かつ導電率が55%IACS以上であり、
    前記Al−Fe系芯材は、Fe:0.3質量%以上1.5質量%以下、Cu:0.1質量%以上0.7質量%以下、Si:0.1質量%以上0.3質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなり、
    前記Al−Fe系芯材と前記Al−Si系ろう材との間に、純アルミニウムからなる中間層が形成され、前記中間層の厚さが20μm以上であり、かつ、前記中間層の平均結晶粒径が500μm以上であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート。
  2. 前記Al−Si系ろう材は、Si:5.0質量%以上12.0質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート。
  3. 前記Al−Si系ろう材は、Zn:0.1質量%以上3.0質量%以下をさらに含有することを特徴とする請求項2に記載の熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート。
  4. Fe:0.3質量%以上1.5質量%以下、Cu:0.1質量%以上0.7質量%以下、Si:0.1質量%以上0.3質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金によりAl−Fe系芯材を製造する芯材製造工程と、
    芯材製造工程により製造された前記Al−Fe系芯材の両面又は片面に純アルミニウムからなる厚さ20μm以上の中間層を積層し、前記中間層の前記Al−Fe系芯材とは反対側の面にAl−Si系ろう材を積層してクラッドするクラッド工程と、を備えることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートの製造方法。
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