JP2021080543A - アルミニウム合金ブレージングシートおよび熱交換器の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金ブレージングシートおよび熱交換器の製造方法 Download PDF

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瞬 丸野
岩尾 祥平
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【課題】ろう付性と耐食性に優れた犠牲材を有するアルミニウム合金ブレージングシートおよび熱交換器の製造方法を提供する。【解決手段】アルミニウム合金ブレージングシートは、芯材の一方または両方の面にろう材の機能を持つ犠牲材を有し、犠牲材が、質量%で、Si:2.0〜5.0%、Zn:3.0〜5.0%、Mn:0.1〜1.0%、Fe:0.1〜0.7%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成を有し、ろう付前に、円相当径が0.2〜10.0μmのSi粒子および晶出物を合わせた数密度が5×102〜2×106個/mm2で分布しており、このブレージングシートを用いて熱交換器を製造する。【選択図】図2

Description

この発明は、芯材の少なくとも一方の面にろう材の機能を持つ犠牲材を有するアルミニウム合金ブレージングシートおよびこのブレージングシートを用いた熱交換器の製造方法に関するものである。
近年、エンジンやエンジンオイルなどの流体を冷却するための自動車用熱交換器の需要が増えている。これらの熱交換器では水(+Long Life Coolant:LLC)で冷却が行われ、腐食しやすい環境であるために冷却水流路側には高い耐食性が要求される。
さらに、自動車用熱交換器は、ろう付熱処理によって各他部材と接合することが必要であることから、当該用途には犠牲材、芯材、ろう材からなるブレージングシートが使用されることが多い。しかし、このような用途に使用される熱交換器は種々の形態をとり、また、複雑な構造を持つこともあるため、ろう材層がない、もしくはろう材層が一層しかない場合には、構造が制限される問題がある。また、ろう付を行う側で耐食性が必要とされる場合もある。
近年、片側の犠牲材にろう材の機能を持たせたAl−Zn−Si合金が知られている[例えば特許文献1−3]。
特開2005−307251号公報 特開2008−188616号公報 特開2016−216791号公報
ところで、犠牲材にろう材の機能を持たせたAl−Zn−Si合金では、犠牲材の効果を保つためにAl−Zn−Si合金中のSi濃度をある程度低く抑えることで、ろう付後に残った初晶によって耐食性を確保する必要がある。しかし、現状では冷却水にLLC(ロング・ライフ・クーラント)を添加した場合、冷却水のpHが上昇し活性溶解が加速することや、添加量の過多や種類によってアルカリ側の腐食を発生させ、深い孔食が局部的に発生する問題が生じている。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、耐食性とろう付性に優れたアルミニウム合金ブレージングシートおよびろう付性に優れ、耐食性に優れた熱交換器が得られる熱交換器の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明のアルミニウム合金ブレージングシートのうち、第1の形態は、芯材を有し、前記芯材の一方または両方の面にろう材の機能を持つ犠牲材を有するアルミニウム合金ブレージングシートであって、
前記犠牲材が、質量%で、Si:2.0〜5.0%、Zn:3.0〜5.0%、Mn:0.1〜1.0%、Fe:0.1〜0.7%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成を有し、ろう付前に、円相当径が0.2〜10.0μmのSi粒子および晶出物を合わせた数密度が5×10〜2×10個/mmで分布している。
第2の形態のアルミニウム合金ブレージングシートの発明は、前記形態の発明において、前記犠牲材は、ろう付前に、円相当径が50〜200nmの第二相粒子の数密度が0.2〜7個/μmで分布している。
第3の形態のアルミニウム合金ブレージングシートの発明は、前記形態の発明において、前記芯材が、質量%で、Mn:0.3〜2.0%、Si:0.05〜1.0%、Cu:0.01〜1.0%、Fe:0.1〜0.7%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成を有する。
第4の形態のアルミニウム合金ブレージングシートの発明は、ろう付後において、孔食電位が、前記犠牲材中の初晶α、共晶αおよび前記芯材のうち最も貴となるものよりも50mV以上貴である晶出物を前記犠牲材中に含む。
本発明の熱交換器の製造方法の発明は、前記形態のいずれかにおけるアルミニウム合金ブレージングシートと、ろう付対象材とをろう付接合する。
以下に、本発明で規定している技術的事項の限定理由について説明する。なお、犠牲材および芯材に含まれる成分の含有量は質量%で示される。
[犠牲材]
Si:2.0〜5.0%(好ましくは2.5〜4.0%)
Siは、ろう付性を向上させるので、必須の元素として含有させる。ただし、含有量が過小であると接合不良を招き、また、含有量が過大であると、エロージョンが発生し耐食性が劣化する。これらの理由により、Si含有量は上記範囲に定める。なお、同様の理由により、Si含有量は下限を2.5%、上限を4.0%とするのが望ましい。
犠牲材、芯材からなるアルミニウム合金ブレージングシートであるが、犠牲材にSiを含有させろう材の役割をもたせることで、複雑構造の熱交換器にも対応でき、かつ冷却水側の耐食性も確保することができる。
Zn:3.0〜5.0%(好ましくは3.0〜4.0%)
Znは、耐食性を向上させるので、必須の元素として含有させる。ただし、含有量が過小であると耐食性が劣化し、含有量が過大であるとフィレットの優先腐食が生じる。これらの理由によりZnの含有量は上記範囲に定める。なお、同様の理由により、Zn含有量は下限を3.0%、上限を4.0%とするのが望ましい。
Mn:0.1〜1.0%(好ましくは0.2〜0.8%)
Mnは、Al−Mn系第二相粒子の生成に寄与し、耐アルカリ腐食の性能を向上させる。ただし、含有量が少ないと、所望の効果得られず、一方、含有量が過大であると、巨大金属間化合物が生成し、耐食性を劣化させる。なお、同様の理由により、Mn含有量は下限を0.2%、上限を0.8%とするのが望ましい。
Fe:0.1〜0.7%(好ましくは0.1〜0.5%)
Feは、Al−Mn系第二相粒子の生成に寄与し、耐アルカリ腐食の性能を向上させる。
ただし、含有量が少ないと、所望の効果得られず、一方、含有量が過大であると、巨大金属間化合物が生成し、耐食性を劣化させる。なお、同様の理由により、Fe含有量は下限を0.1%、上限を0.5%とするのが望ましい。
ろう付前に、円相当径が0.2〜10.0μmのSi粒子および晶出物を合わせた数密度:5×10〜2×10個/mm(好ましくは1×10〜1.7×10個/mm
アルカリ溶液環境では上記の粒子(Si粒子と晶出物)がカソード反応部となり水素ガスとOHが発生する反応が生じ、これと同時にアルミニウム母材が溶けるアノード反応が比較的粒子近傍で生じる。これらの粒子が適度に分散し存在することで、腐食の起点が分散し、平均的に腐食が進行する形態となるため、局部的な腐食部の発生を抑制し、アルカリ溶液環境における耐食性を向上させることができる。ただし、その数密度が不足すると、所望の効果が得られず、一方、数密度が過大になると粒子が均一に分散しにくくなり粒子の密な箇所で腐食が促進され局所的な腐食が生じる原因となってしまう。これらの理由により、円相当径が0.2〜10.0μmのSi粒子および晶出物を合わせた数密度は上記範囲に定める。なお、同様の理由により、Si含有量は下限を1×10個/mm、上限を1.7×10個/mmとするのが望ましい。
なお、Si粒子は鋳造時に溶湯が完全に凝固する577℃直下の温度で生成する組織であり、晶出物は溶湯が冷却する過程で生じるAl−Mn系の金属間化合物である。
また、これらの粒子の分布は犠牲材のSi、Mn,Fe添加量と鋳造時冷却速度で制御することができる。鋳造時の冷却速度は、好ましくは0.01〜300℃/sで材料を作製する。冷却速度が遅いと粒子は粗大かつ粗に分布し、冷却速度が速いと粒子は微細かつ密に分布する。
Al−Mn系第二相粒子の数密度が0.2〜7個/μm(好ましくは0.4〜6.5個/μm)
Al−Mn系第二相粒子の円相当径および数密度は、耐食性とエロージョンの抑制を両立させるために制御しなければならない。円相当径と数密度はトレードオフの関係にあり、基本的には円相当径が小さい場合であると数密度は多くなる。円相当径が小さくかつ数密度が過大であると、ろう付時の芯材の再結晶挙動が遅延することでエロージョンが発生しろう付不良を生じる。円相当径が大きくかつ数密度が少ない(再固溶によりSi固溶量が上昇する)とフリーSi過多による粒界腐食が発生し耐食性が劣化する。
これらの理由により、Al−Mn系第二相粒子の数密度は上記範囲が望ましい。同様の理由により、Al−Mn系第二相粒子の数密度は下限を0.4個/μm、上限を6.5個/μmとするのが望ましい。
犠牲材層内に芯材よりも電位が貴となるAl−Mn系第二相粒子を点在させ、腐食の起点を増加させることで局所的な腐食を防ぎ、耐アルカリ腐食、耐エロージョン・コロージョン性を向上させる。
また、これらのAl−Mn系第二相粒子の分布状態を制御するためには均質化処理や熱間圧延、焼鈍温度条件を適切に組み合わせる必要がある。均質化処理は、好ましくは、400〜600℃の処理温度で5〜20時間鋳塊を加熱処理することで、第二相粒子の析出を制御する。処理温度が高温になる程、また処理時間が長くなる程、第二相粒子のサイズが大きく密度が低くなる傾向である。また、熱間圧延温度、最終焼鈍条件についても同様の傾向であるため、熱間圧延の仕上がり温度および最終焼鈍条件を適切に制御する。好ましくは、熱間圧延仕上がり温度を400℃以上450℃以下、最終焼鈍温度を350℃以上で行なう。ただし、これらの組み合わせによっても第二相粒子の分散状態は変化するため、前記範囲の第二相粒子分散状態を得るには、これら工程条件を適切に組み合わせて選択する必要がある。
[芯材]
芯材には、一般的にはAl−Mn系合金が用いられる。以下の成分は好適なものとして説明されているが、本発明としては以下の成分に限定されるものではない。
Mn:0.3〜2.0%(好ましくは0.5〜2.0%)
Mnは強度を向上させる元素である。ただし、含有量が少ないと、所望の効果が十分に得られず、過大に含有すると製造性(鋳造性,圧延性)を悪化させる。これらの理由により、Mn含有量は上記範囲とするのが望ましい。同様に理由により、Mn含有量の下限は0.5%、上限は、2.0%とするのが望ましい。
Si:0.05〜1.0%(好ましくは0.1〜0.8%)
Siは強度を向上させる元素であり、所望により含有させる。ただし、Si含有量が少ないと、所望の効果得られず、過大に含有すると融点が低下し、ろう付性が低下する。これらの理由により、Siを含有する場合は、Si含有量は上記範囲内とするのが望ましい。同様の理由により、下限は0.1%、上限は0.8%とするのが望ましい。なお、Siを積極的に含有させない場合でも、不可避不純物としてSiを0.05%未満で含有するものであってもよい。
Cu:0.01〜1.0%(好ましくは0.01〜0.8%)
Cuは強度を向上させる元素であり、所望により含有させる。ただし、Cu含有量が少ないと、所望の効果が得られず、含有量が過大であると、電位貴化、耐食性劣化、融点低下を招く。これらの理由により、Cuを含有する場合は、Cu含有量は上記範囲内とするのが望ましい。同様の理由により、下限は0.01%、上限は0.8%とするのが望ましい。
なお、Cuを積極的に含有させない場合でも、不可避不純物としてCuを0.01%未満で含有するものであってもよい。
Fe:0.1〜0.7%(好ましくは0.1〜0.5%)
Feは強度を向上させる元素であり、所望により含有させる。ただし、Fe含有量が少ないと、所望の効果が得られず、含有量が過大であると、鋳造時の巨大金属間化合物の発生し、耐食性が劣化する。これらの理由により、Feを含有させる場合、含有量は上記範囲内とするのが望ましい。同様の理由により、下限を0.1%、上限を0.5%とするのが望ましい。なお、Feを積極的に含有させない場合でも、不可避不純物としてFeを0.05%以下で含有するものであってもよい。
ろう付後において、孔食電位が、前記犠牲材中の初晶α、共晶αおよび前記芯材のうち最も貴となるものよりも50mV以上貴である晶出物を前記犠牲材中に含む(好ましくは100mV以上)
ろう付後の犠牲材において、上記電位差を有することにより耐食性の向上が得られる。上記電位差が過小であると、粒子の局部カソード効果が減少して耐食性が劣化してしまう。電位差が過大であることでのデメリットはなく、上限は設定していない。なおこの電位差は犠牲材の芯材への各種添加元素および添加量の組み合わせによって変わる。
以上説明したように、本発明によれば、犠牲材としてのろう付性と、耐食性に優れたアルミニウム合金ブレージングシートが得られ、このブレージングシートを用いて熱交換器を製造することで良好なろう付性が確保され、得られた熱交換器は優れた耐食性を発揮する。
本発明の一実施形態のアルミニウム合金ブレージングシートの断面を示す図である。 一実施形態のアルミニウム合金ブレージングシートを用いて製造された熱交換器の斜視図である。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
本発明の組成を有する芯材用アルミニウム合金および犠牲材用アルミニウム合金を用意する。これら合金は、常法により製造することができ、その製法は特に限定されない。例えば、半連続鋳造によって製造することができる。
芯材用アルミニウム合金には、Al−Mn系合金が用いられ、犠牲材用アルミニウム合金には、Al−Zn−Si系合金が用いられる。
芯材用のAl−Mn系合金には、好適には、質量%で、Mn:0.3〜2%、Si:0.05〜1%、Cu:0.01〜1.0%、Fe:0.1〜0.7%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有する合金を用いることができる。ただし、本発明としては、Al−Mn系合金の組成が上記に限定されるものではない。
犠牲材用アルミニウム合金には、Si:2.0〜5.0%、Zn:3.0〜5.0%、Mn:0.1〜1.0%、Fe:0.1〜0.7%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる合金を用いる。
芯材用アルミニウム合金または犠牲材用アルミニウム合金は、溶製した後、所望により均質化処理を施すことができる。均質化処理の条件は特に限定されないが、例えば、芯材に対しては400〜600℃で4〜16時間の均質化処理を行い、犠牲材には、400〜500℃で4〜16時間の均質化処理を行うことができる。
芯材では、スラブ鋳造後に偏析など不均質な組織を除去する事を目的に均質化処理を実施する。高温の均質化処理により、鋳造時にマトリクスに過飽和に固溶した添加元素が金属間化合物として析出する。析出する金属間化合物のサイズや分散量は均質化処理の温度、時間に影響を及ぼされるため、添加元素の種類に応じた熱処理条件を選択する必要がある。
犠牲材では、スラブ鋳造後に偏析など不均質な組織を除去することと、粗大金属間化合物に丸みをおびさせ面削性を向上させることを目的に均質化処理を実施する。成分によっては高温の均質化処理により、鋳造時にマトリクスに過飽和に固溶した添加元素が金属間化合物として析出する。析出する金属間化合物のサイズや分散量は均質化処理の温度、時間に影響を及ぼされるため、添加元素の種類に応じた熱処理条件を選択する必要がある。
通常であれば犠牲材は均質化処理行われることは少ない。また、通常の高Siのろう材の内部組織はろう付熱処理によって大きく変わり、ろう付前の組織を維持することはない。
しかし、低Siを添加しろう付の機能を持たせた犠牲材では、ろう付によって溶融する割合が少なく大部分がろう付前の組織を維持することとなる。そして、ろう付前の犠牲材の組織は均質化処理等の熱処理によって制御することができる。
芯材用アルミニウム合金および犠牲材用アルミニウム合金は、熱間圧延を経て板材とされる。また連続鋳造圧延を経て板材とするものであってもよい。
熱間圧延では、仕上げ温度を設定することができる。
通常熱間圧延は500℃前後の高温で負荷されるが、圧延終了後にコイル化され室温まで冷却される。この場合、熱間圧延の仕上げ温度により高温で保持される時間が変わるため、金属間化合物の析出挙動に影響を及ぼす。
好ましくは、熱間圧延仕上がり温度を400℃以上450℃以下、最終焼鈍温度を350℃以上で行なう。
クラッドは、熱間圧延後、さらに冷間圧延を行うことで所望の厚さのアルミニウム合金ブレージングシートが得られる。
本発明としては、クラッド材のクラッド率は特に限定されるものではないが、例えば犠牲材の厚さ5〜25%、芯材厚さ75〜95%などが用いられる。
なお、上記では、芯材に直接犠牲材が重ね合わされるものとして説明したが、他の層が介在するものとしてもよい。
クラッド材は、冷間圧延によって、例えば厚さ0.15〜0.80mmとする。なお、冷間圧延途中には、中間焼鈍を行ってもよい。中間焼鈍の条件は、例えば、200〜380℃、1〜6時間の範囲から選択できる。
冷間圧延後には、最終焼鈍を行うことができる。最終焼鈍は、例えば400℃で4時間の条件で行うことができる。 材料をO材調質とするために圧延材を最終的に焼鈍する。処理温度によって金属間化合物の析出挙動に影響を及ぼす。
これら板材は、図1に示すように、芯材2の片面に犠牲材3を配置し、重ね合わせた状態で適宜のクラッド率でクラッドされてアルミニウム合金ブレージングシート1とされる。芯材の片面に犠牲材を配置する場合、他の片面に上記組成範囲の犠牲材3aを重ね合わせるものであってもよく、さらには、他の組成の層を設けるものとしてもよい。
得られたクラッド材は、例えば、熱交換器用チューブ材、フィンなどとして使用することができる。
熱交換器用チューブ材は、インナーフィンなど、適宜の被ろう付け部材とろう付接合される。
被ろう付け部材の材質、形状などは本発明としては特に限定されるものではなく、適宜
のアルミニウム材料を用いることが可能である。
ろう付けの結果、熱交換器チューブが得られる。
ろう付時の熱処理条件は590〜615℃まで昇温することを除いて特に限定されないが、例えば、室温から550℃まで昇温した後、550℃から目標温度までの到達時間が1分〜10分となるような昇温速度で加熱し、590〜615℃の目標温度で1分〜20分間保持し、その後、300℃まで50〜100℃/minで冷却した後、室温までを空冷とする条件で行うことができる。
図2は、上記ブレージングシートを用いてフィン5を形成し、ろう付け対象材としてアルミニウム合金製のチューブ6を用いたアルミニウム製自動車用熱交換器4を示している。フィン5、チューブ6を、補強材7、ヘッダプレート8と組み込んで、ろう付けによってアルミニウム製自動車用熱交換器4を得ている。
半連続鋳造により犠牲材および芯材用アルミニウム合金を鋳造した。なお鋳造速度は0.05〜10℃/sで制御し作製し、犠牲材では実施例に示した通りである。犠牲材および芯材用アルミニウム合金には、表に示す組成(残部Alおよび不可避不純物)を有する合金を用いた。犠牲材では実施例に示す温度・時間条件にて均質化処理を行った。芯材は450℃×10時間の均質化処理を行った。
次に、表に示す温度条件にて熱間圧延を行い、さらに板厚0.5mmまで冷間圧延を行った。その後、実施例に記載の温度条件で3時間の最終焼鈍を実施して調質Oの板材を作製した。クラッドでは、犠牲材のクラッド率が15%となるように作製した。
得られた供試材について以下の評価方法を実施した。
・粒子の分布状態
犠牲材において円相当径が50〜200nmのAl−Mn系第二相粒子を対象に円相当径および数密度(個/μm)を走査型電子顕微鏡(FE−SEM)によって測定した。
測定方法は、ろう付熱処理前の供試材に機械研磨およびクロスセクションポリッシャー(CP)加工により板材断面(圧延方向平行断面)を露出させ試料を作製し、FE−SEMにて10000〜50000倍で写真撮影した。1〜10視野について写真撮影し、画像解析によって分散粒子の円相当径および数密度を計測した。その結果を表に示した。
同様に犠牲材において円相当径が0.2〜10.0μmのSi粒子および晶出物を対象に円相当径および数密度(個/mm)を走査型電子顕微鏡(FE−SEM)によって測定した。
測定方法は、ろう付熱処理前の供試材に機械研磨およびクロスセクションポリッシャー(CP)加工により板材断面(圧延方向平行断面)を露出させ試料を作製し、FE−SEMにて1000〜10000倍で写真撮影した。1〜10視野について写真撮影し、画像解析によって分散粒子の円相当径および数密度を計測した。その結果を表に示した。
・孔食電位測定
アノード分極測定により、各層の孔食電位を測定した。参照電極には飽和カロメル電極(SCE)を使用し、電解液は高純度Nガスの吹込みにより十分に脱気した40℃の2.67%AlCl溶液、掃引速度0.5mV/sの条件で測定した。
犠牲材共晶ろう(共晶α)、芯材の電位測定は、ろう付熱処理後のサンプルを犠牲材最表面から5%NaOH(苛性ソーダ)でエッチング除去して所定の板厚とした後に実施した。犠牲材共晶ろうではごく表層、芯材では芯材厚み中央部までエッチングを行った。なお、犠牲材初晶ろう(初晶α)の電位測定は、最も電位の卑な犠牲材共晶ろうをアノード溶解にて完全に消失させた後に実施した。なお、ろう付熱処理は、室温から550℃まで昇温した後、550℃から600℃まで約5分で昇温し、600℃で3分保持後に300℃まで100℃/minの冷却速度で制御する方法で行った。この実施例におけるろう付熱処理は、本発明のろう付条件を限定するものではない。
晶出物は、Al−Mn系、Al−Fe系、Al−(Mn,Fe)−Si系の相として存在し、EPMAによる成分確認および電位測定を行った。なお、電位測定結果は成分やサンプリングの状態によってある程度のバラツキを持つが、概ね下記の値を示す通りである。
・晶出粒子(Al−Mn系)・・・−800〜−900mV
・晶出粒子(Al−Fe系)・・・−500〜−700mV
・晶出粒子(Al−(Mn,Fe)−Si系)・・・−500〜−800mV
・(参考)Si粒子・・・−200〜300mV
なお、粒子の電位測定は実際の材料から抽出し分析することは困難なため、予め上記相当のそれぞれの粒子がほぼ単独で晶出するような材料を用意し、分極することで測定を実施した。実際の材料ではEPMA分析により晶出粒子成分を確認し、どの粒子に対応するかを判断し、その電位値を判断した。
・OY水浸漬試験
OY水(Cl:195ppm, SO 2−:60ppm, Cu :1ppm, Fe :30ppm残部純水)を0.1%NaOH水溶液にてpH11に調整した試験液を用いて浸漬試験を実施した。試験条件は室温×16時間+88℃×8時間(撹拌なし)を1日のサイクルとし、4週間目に評価した。なお、pH調整は試験液を88℃の状態で行った。腐食深さの測定を実施した。
[評価基準]
×;腐食深さが0.25mmt(板厚の半分)以上・・・腐食速度速すぎ&大きなピッティング発生
△;ピッティングが見られるが腐食深さが板厚の半分以下
〇;ピッティングはないが、腐食深さが0.20−0.25mmt
◎;ピッティングなく、腐食深さが0.20mmt以下
・逆T字型流動性試験
ろう付性を評価するために、水平材に上面を犠牲材とした供試材を、垂直材にA3003合金を用いて、逆T字試験を行った。評価結果は表1中のろう付性評価をもとにO×で示した。ろう付条件は、室温から550℃まで昇温した後、550℃から600℃まで約5分で昇温し、600℃で3分保持後に300℃まで100℃/minの冷却速度で制御する方法とした。
[評価基準]
〇;未接合部なし、×;未接合部あり。また、犠牲材/芯材界面より芯材方向へ150μm以上のエロージョンが生じた材料も×とした。
・ろう付後における初晶α、共晶α、芯材と、犠牲材中の晶出物の電位差評価
[評価基準]
初晶α、共晶αおよび芯材のうち最も貴となるものに対する電位差
×;-50mV、△;50−100mV、〇;100mV以上
Figure 2021080543
以上、本発明について、上記実施形態および実施例に基づいて説明したが、本発明はこれら説明の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは、前記実施形態に対する適宜の変更が可能である。
1 ブレージングシート
2 芯材
3 犠牲材
4 熱交換器
5 フィン
6 チューブ

Claims (5)

  1. 芯材を有し、前記芯材の一方または両方の面にろう材の機能を持つ犠牲材を有するアルミニウム合金ブレージングシートであって、
    前記犠牲材が、質量%で、Si:2.0〜5.0%、Zn:3.0〜5.0%、Mn:0.1〜1.0%、Fe:0.1〜0.7%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成を有し、ろう付前に、円相当径が0.2〜10.0μmのSi粒子および晶出物を合わせた数密度が5×10〜2×10個/mmで分布しているアルミニウム合金ブレージングシート。
  2. 前記犠牲材は、ろう付前に、円相当径が50〜200nmの第二相粒子の数密度が0.2〜7個/μmで分布している請求項1に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
  3. 前記芯材が、質量%で、Mn:0.3〜2.0%、Si:0.05〜1.0%、Cu:0.01〜1.0%、Fe:0.1〜0.7%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成を有する請求項1または2に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
  4. ろう付後において、孔食電位が、前記犠牲材中の初晶α、共晶αおよび前記芯材のうち最も貴となるものよりも50mV以上貴である晶出物を前記犠牲材中に含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブレージングシートと、ろう付対象材とをろう付接合する熱交換器の製造方法。
JP2019211085A 2019-11-22 2019-11-22 アルミニウム合金ブレージングシートおよび熱交換器の製造方法 Pending JP2021080543A (ja)

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