JP2021020806A - シート搬送装置および画像形成装置 - Google Patents

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崇 橋本
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英之 ▲高▼山
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Abstract

【課題】シートの不送りを低減するシート搬送装置200および画像形成装置を提供すること。【解決手段】給紙コロ251と、給紙コロ251との間でシートを挟む分離コロ255と、給紙コロ251および分離コロ255よりもシートを搬送する方向の下流側に配置された搬送ローラ271と、を備え、給紙コロ251および搬送ローラ271を回転駆動することによりシートを搬送するとともに、分離コロ255を給紙コロ251の回転方向とは逆方向に回転駆動し、給紙コロ251または搬送ローラ271のトルクを取得するトルク把握手段551と、トルク把握手段551が取得したトルクに基づき、分離コロ255を回転駆動する分離モータ駆動制御手段523と、を備える。【選択図】図6

Description

本発明は、シート搬送装置および画像形成装置に関する。
特許文献1では、温度検知器25および湿度検知器26と、枚数検知器27を有し、それぞれの検知器が出力する検知結果に基づいて、送りローラの回転数、分離ローラの逆方向回転トルク、両ローラ間のピンチ圧を適切に変更することで、投入された紙葉類を高速度で1枚ずつに分離できる紙葉類分離装置を開示している。
特許文献2では、媒体の重送を検出した場合には、トルク制御機構が与える搬送負荷が高くなるように設定することにより、重送状態を好適に解消することができる媒体供給装置を開示している。
本発明は、シートの不送りを低減するシート搬送装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明に係るシート搬送装置および画像形成装置は、第1給紙ローラと、第1給紙ローラとの間でシートを挟む第2給紙ローラと、第1給紙ローラおよび第2給紙ローラよりもシートを搬送する方向の下流側に配置された搬送ローラと、を備え、第1給紙ローラおよび搬送ローラを回転駆動することによりシートを搬送するとともに、第2給紙ローラを第1給紙ローラの回転方向とは逆方向に回転駆動し、第1給紙ローラまたは搬送ローラのトルクを取得するトルク取得手段と、トルク取得手段が取得したトルクに基づき、第2給紙ローラを回転駆動する駆動制御手段と、を備える。
本発明によれば、シートの不送りを低減するシート搬送装置および画像形成装置を提供することができる。
本発明の一実施形態としての画像形成装置を示す断面図である。 本発明の一実施形態としてのシート搬送装置200の概略構成を示す図である。 本実施形態に係るシート搬送装置200の構成を示す断面図である。 本実施形態に係るシート搬送装置200により搬送されるシートの状態を示す図である。 tpf(式1)とtf(式2)の関係を示す図である。 本実施形態に係るシート搬送装置200の制御ブロック図である。 メモリ554が格納するテーブルの一例を示す概念図である。 トルクリミッタ戻し力TAと分離コロ作動圧PBの関係を示す図である。 本実施形態に係るシート搬送装置200のタイミングチャートである。 本実施形態に係るトルク変化特徴量算出手段552の処理を説明する図である。 本実施形態に係る判断手段553の判断結果を表示する例である。 本実施形態に係る判断手段553の判断結果を報知する例である。 図3、図4に示したシート搬送装置200の変形例である。 図2に示したシート搬送装置200の変形例である。 図14に示したシート搬送装置200の構成を示す断面図である。 図15に示したシート搬送装置200により搬送されるシートの状態を示す図である。 図2に示したシート搬送装置200の第2の変形例である。 図17に示したシート搬送装置200の制御ブロック図である。
図1は、本発明の一実施形態としての画像形成装置を示す断面図である。図示する画像形成装置は、電子写真式タンデム型間接転写カラー複写機(以下、単に複写機と言う。)の一例の内部機構の全体概略構成を示す。図中100は画像形成装置本体である複写機本体、200はそれを載せるシート搬送装置、300は複写機本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける自動原稿搬送装置(ADF)である。
複写機本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写体10を駆動ローラ14と二つの従動ローラ15、16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能に設けてある。 もちろん、別途に、中間転写体10の片寄りを調整するローラに掛け回すなど、4つ以上のローラに掛け回すようにしてもよい。 なお中間転写体10は、図示の例ではほぼ水平に張り渡してあるが、水平ではなく、斜めに張り渡すようにしてもよい。
また図示の例では、一方の従動ローラ15の図中左側に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置17を設けてある。
駆動ローラ14と従動ローラ15間に水平に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの単色作像手段18を横に並べて配置してタンデム作像装置20を設けてある。 タンデム作像装置20の上には、さらに露光装置21を設けてある。
一方、中間転写体10の張り渡し領域の下方には、二次転写装置22を備えている。 二次転写装置22は、図示の例では、二つのローラ23間に、無端ベルトである二次転写ベルト24を掛け渡して構成し、他方の従動ローラ16に押し当てて中間転写体10上の画像を記録媒体に転写する。
二次転写装置22の横には、記録媒体上の転写画像を定着する定着装置25を設けてある。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。そして、図示の例ではその一部を(全部でもよい)、中間転写体10の張り渡し領域の下方に入り込ませて備えている。この二次転写装置22には、画像転写後の記録媒体をこの定着装置25へと搬送する媒体搬送機能も備えている。もちろん、二次転写装置22として、非接触のチャージャを配置してもよい。ただし、そのような構成の場合は、この媒体搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
このような二次転写装置22及び定着装置25の下には、中間転写体10の張り渡し方向と平行に、記録媒体の両面に画像を形成すべく記録媒体を反転する記録媒体反転装置28を備える。
この複写機を用いて複写するときは、自動原稿搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットするか、または自動原稿搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に直接原稿をセットし、自動原稿搬送装置400を閉じてそれで押さえる。 そして、不図示のスタートスイッチを押すと、自動原稿搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動してから、スキャナ300を駆動して原稿内容を読み取る。コンタクトガラス32上に直接原稿をセットしたときは、そのまま原稿内容を読み取る。
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで駆動ローラ14が回転駆動されて従動ローラ15、16が従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。 同時に、個々の単色作像手段18でそれぞれの像担持体40を回転させて各像担持体40上にそれぞれの色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)の単色画像を形成する。 そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を一次転写して順次重ね、中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
一方、不図示のスタートスイッチを押した後、適宜のタイミングでシート搬送装置200のピックアップコロ42の1つが選択されて回転する。すると、ペーパーバンク43に多段に備えるシート積載トレイ44の1つから記録媒体が繰り出される。 記録媒体は、分離コロ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れられ、搬送部47で搬送され、複写機本体100内の給紙路48に導かれ、レジストローラ49に突き当って止まる。 手差し給紙の場合は、給紙コロ50を回転させて開いた手差しトレイ51上にセットした記録媒体を繰り出し、分離コロ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体10と二次転写装置22との間に記録媒体を送り込み、二次転写装置22で中間転写体10上の合成カラー画像を一括二次転写して記録媒体上にカラー画像を形成する。
画像転写後の記録媒体は、二次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込む。 定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着させた後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出し、排紙トレイ57上にスタックする。 記録媒体の両面に画像形成をする場合は、切換爪55で切り換えて記録媒体反転装置28に入れ、そこで反転させて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を形成して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写体10は、ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム作像装置20による再度の画像形成に備える。
図2は、本発明の一実施形態としてのシート搬送装置200の概略構成を示す図である。
シート搬送装置200は、シートを搬送する方向において順に、シートを供給するシート供給手段の一例としてのピックアップコロ221と、第1給紙ローラの一例としての給紙コロ251と、第2給紙ローラの一例としての分離コロ255と、給紙コロ251を回転駆動する第1モータの一例としての給紙モータ252と、搬送ローラ271と、搬送ローラ271を回転駆動する第2モータの一例としての搬送モータ272と、搬送ローラ271との間にシートを挟んで搬送ローラ271を回転駆動することによりシートを搬送する搬送ローラ対向ベルト273と、を備える。
給紙コロ251、分離コロ255および給紙モータ252は、第1シート搬送手段を構成し、搬送ローラ271、搬送モータ272および搬送ローラ対向ベルト273は、第2シート搬送手段を構成する。
第1シート搬送手段は、給紙コロ251と分離コロ255との間にシートを挟み、給紙コロ251を回転駆動することにより第2シート搬送手段にシートを搬送する。
シート搬送装置200は、さらに、シートを積載するシート積載トレイ44と、シート積載トレイ44に積載されたシートをピックアップコロ221に向けて上昇させるシート上昇板241と、給紙モータ252の回転駆動をピックアップコロ221に伝達するタイミングベルト253と、分離コロ255をシート搬送方向とは逆方向に回転駆動する分離モータ257と、分離コロ255の回転トルクを制限するトルクリミッタ258と、を備える。
図3は、本実施形態に係るシート搬送装置200の構成を示す断面図である。
シート搬送装置200は、さらに、第1シート搬送手段から搬送されるシートを検出する第1搬送センサ262と、分離コロ255を給紙コロ251に向けて付勢する分離コロ付勢部材256と、第1シート搬送手段から送りだされたシートを第2シート搬送手段に導く搬送ガイド261と、搬送ローラ対向ベルト273を介して搬送ローラ271に対向する搬送対向ローラ274と、搬送ローラ対向ベルト273が掛け回される搬送対向第2ローラ275と、搬送対向ローラ274を搬送ローラ271に向けて付勢する搬送対向ローラ付勢部材276と、第2シート搬送手段から搬送されるシートを検出する第2搬送センサ263と、を備える。
第1搬送センサ262は、給紙コロ251の軸の直下か、図のようにそれより少し搬送方向下流側に配置される。
第2搬送センサ263は、搬送ローラ271の軸の直下か、図のようにそれより少し搬送方向下流側に配置される。
搬送ガイド261は、シートが搬送される側の面が内側になるように、湾曲しており、図では、第1シート搬送手段から搬送されるシートを上方に進ませている。
以上の構成により、シート搬送装置200は、シートを供給する際には、シート積載トレイ44内に設けられたシート上昇板241を上昇させることにより、その上に積載されているシートを上昇させて最も上のシートをピックアップコロ221に押し当てる。この際、所定の範囲の圧力で押し当てたところでシート上昇板241の上昇を停止する。最も上のシートがピックアップコロ221に押し当たったことは、センサを設けて検知する。シートを供給しない時は、シート上昇板241を下げておいても良い。
シート搬送装置200は、最も上のシートがピックアップコロ221に押し当てられた状態でピックアップコロ221をシート搬送方向に回転駆動させると、シート積載トレイ44からシートが送り出される。ピックアップコロ221は、タイミングベルト253を介して給紙コロ251の駆動源である給紙モータ252の回転駆動を伝達することにより、回転駆動される。
シート積載トレイ44から送り出されたシートは、給紙コロ251と分離コロ255が圧接されている部分(ニップ部)に突入する。
給紙コロ251は、給紙モータ252によりシートをシート搬送方向に送り出すように回転駆動されている。給紙コロ251は、分離コロ255と共にシートを圧接挟持する。
分離コロ255は、トルクリミッタ258を含む駆動力伝達手段を介して分離モータ257で駆動される。
分離モータ257は、分離コロ255をシート搬送方向とは逆方向に回転駆動するが、トルクリミッタ258があるため、分離コロ表面にトルクリミッタの上限値を超える力が加わった際には、分離コロ255は給紙コロ251に連れ回る(シート搬送方向に回転する)。
分離コロ255は、トルクリミッタ258の上限を超えない場合は、シート搬送方向とは逆方向に回転することにより、ピックアップコロ221からシートが複数枚重なって送り出されてきた場合には、過剰に送り出されたシートをシート積載トレイ44に返送させる働きをする。これは、分離コロ255とシートの間の摩擦よりも、シートとシートの間の摩擦の方が小さいためである。これにより、第1シート搬送手段はシートを1枚ずつ送り出す。
なお、分離コロ255の駆動源は、分離モータ257として専用に設置するのではなく、給紙モータ252か、次に述べる搬送モータ272と共有しても良い。
シート搬送装置200は、第1シート搬送手段から送り出されたシートを、搬送ローラ271と搬送ローラ対向ベルト273の複数対によって圧接挟持して、シート搬送方向に送り出す。搬送ローラ271が、搬送モータ272によって回転駆動されると、搬送ローラ対向ベルト273は、搬送ローラ271に連れ回る。ここで、搬送対向ローラ付勢部材276により搬送ローラ対向ベルト273を搬送ローラ271に押し当てる圧力は、分離コロ付勢部材256により分離コロ255を給紙コロ251に押し当てる圧力よりも大きい。
第1シート搬送手段から第2シート搬送手段までの搬送経路が、直線状ではなかったり、直線状でも距離が長かったりする場合には、搬送ガイド261を設置する(経路が直線で距離が短い場合でも搬送ガイド261を設置しても良い)。搬送ガイド261は、第1シート搬送手段から送り出されたシートを、第2シート搬送手段まで導き、シート搬送方向に応じた形状をしている。図では、シートが搬送される側の面が内側になるように、湾曲(カーブ)しており、第2シート搬送手段から送り出されたシートを上方に進ませる(シートは搬送ガイド261に接触しながら搬送ガイド261の形状に合わせて進んでいく)。
シート搬送装置200は、第1搬送センサ262、および第2搬送センサ263の検出結果に基づき、シートが正しく搬送されているかを把握する。また、第1搬送センサ262、および第2搬送センサ263の検出結果(検出タイミング)に基づいて、給紙モータ252および搬送モータ272の起動停止タイミングを決める。
従来、第1シート搬送手段を構成する給紙コロ251、分離コロ255や、第2シート搬送手段を構成する搬送ローラ271、搬送モータ272等のシート搬送用部材が劣化するとシート速度が低下することに着目し、「単位時間あたりのシートの移動量」、つまり「シートの速度」に基づいた指標でシート供給用部材の劣化を判定していた。
シート搬送用部材が劣化するとシートとの接触面の摩擦係数が低下してスリップが発生し、シート速度は低下する。そうすると、第1搬送センサ262等のシート検知手段のシート検知タイミングが遅くなるので、この遅れから速度低下を検知し、シート搬送用部材が劣化したと判定する。ここで、タイミング計測開始(基準タイミング)からシート検知手段がシートを検知するまでの時間「tpf」とシート速度「a*Vpf」の関係を(式1)に表す。
シート搬送用部材とシートがスリップしていない場合は「a=1」であり、シート搬送用部材が劣化(摩擦係数が低下)してスリップが発生すると、aは1より小さくなる。(式1)から明らかなように、「tpf」は「a」に反比例する(0≦a≦1,ただし、実際の機械ではaには許容される下限値がある)。
例えば、「tpf」の基準タイミングは、第1搬送センサ262でシートを検知したタイミングとして、第2搬送センサ263でシートを検知したタイミングまでの時間を「tpf」とすることが考えられる。なお、(式1)は、第1搬送センサ262は給紙コロ251の軸と同じ位置に、第2搬送センサ263は搬送ローラ271の軸と同じ位置に設置した場合の関係式である。
しかしながら、この方法では、特に、シート搬送用部材の劣化初期では変化量が小さく、十分な精度を得ることが難しかった。
そこで本実施形態では、シート搬送用部材の劣化初期のように変化量が小さい場合でも、シートの搬送状態を精度良く判断し、シート搬送用部材の劣化を精度良く判別できるシート搬送装置を提供することを目的とする。
図4は、本実施形態に係るシート搬送装置200により搬送されるシートの状態を示す図である。
本実施形態では、シート搬送用部材の劣化によりシートとの摩擦係数が低下して発生するスリップに起因する別の現象に着目して、変化量が大きく、シート搬送用部材の劣化を従来よりも精度良く判定することができる特徴量(指標)を提案する。着目する現象は、第1シート搬送手段から第2シート搬送手段までの間で生じた「シートのたるみ」が、搬送ローラ271に引っ張られて解消されるという現象である。この「シートのたるみ」が解消されるまでの時間を特徴量(指標)とする。
シート搬送装置200の搬送経路にはシートの厚さよりも大きいギャップがあることが多く、その場合、シートがたるむ可能性がある。特に、図4の様に搬送経路がカーブ(搬送ガイド261が湾曲)している場合は、カーブで大回りの経路をとるか最短距離の経路をとるかで経路長の差が生じ、この差がたるみとなる。例えば、曲げた時に反発力が小さいシートでは、給紙コロ251のニップ部から送り出された後、カーブした搬送経路に沿ってシート自身も曲がりながら進み、搬送ローラ271のニップ部に到達する。つまり、カーブで大回りの経路をとるため、たるみが有る状態となる。
図4の様なシートを1枚ずつに分離する機構(給紙コロ251と対向する分離コロ255)を持つシート搬送装置の場合、分離コロ255による戻し力の影響で、給紙コロ251のニップ部から送り出されるシートの実際の速度は、同じ送り出し速度に設定された搬送ローラ271のニップ部から送り出される実際の速度よりも遅くなる可能性があり、給紙コロ251の摩擦係数が低下していくと、搬送ローラ271のニップ部から送り出される実際の速度よりも遅くなる。遅くなった場合、シートが搬送ローラ271に到達していると、シートは搬送ローラ271に引っ張られる状態となる。シートにたるみが有る場合は、シートが搬送ローラ271に引っ張られることで、たるみが解消する。図4(a)から図4(b)にかけてシートのたるみが解消する様子を表した。
「シートのたるみ」は搬送ローラ271に引っ張られて解消されるので、たるみが解消された後は、シートを介して搬送モータ271の駆動力が給紙モータ252に伝わることになる。搬送モータ272にとっては負荷が大きくなり、給紙モータ252にとっては負荷が小さくなる。この各モータの負荷の変化を、各モータのトルク変化から把握し、トルクの変化が現れるタイミングから、たるみが解消するまでの時間を把握する。
たるみが解消するまでの時間は、「たるみ量」に比例して、「搬送ローラ271のニップ部から送り出されるシートの実際の速度と給紙コロ251のニップ部から送り出されるシートの実際の速度の差(速度差)」に反比例する。「たるみが解消するまでの時間:t’」を、(式2)で表した。また、「たるみが解消するまでの時間:t’」の正確な時間を算出するのが難しい場合は、「t’」の値に近い指標[(式2)では「tf」]を代用しても良い(「tf」は図7で説明)。
図5は、tpf(式1)とtf(式2)の関係を示す図であり、(式1)と(式2)の各パラメータに適当な値を用いて表した。tpf(式1)が比較例であり、tf(式2)が実施例である。
実際の装置でのaの許容範囲を考慮して、「0.7≦a≦0.99」の範囲を表している。なお、速度差が小さい場合は、たるみが解消される前にシートは給紙コロ251のニップ部を抜ける(または装置の動作として給紙モータ252を停止する)ため、「t’」または「tf」が算出できないことも考えられるが、この様な「算出できない」状態自体も、シート搬送用部材の劣化の判定に活用できる。
比較例では、「シート搬送用部材(給紙コロ251)とシートのスリップを考慮したシート搬送用部材がシートを送り出す速度」に反比例するのに対して、実施例で提案する指標は、第1搬送シート手段(給紙コロ251)と、その下流に位置する第2シート搬送部材(搬送ローラ271)との「シートを送り出す速度の差」に反比例する。そこで、各パラメータに適当な値を設定することで、所定のスリップ量までは実施例で提案する指標の方が、変化率が大きくなるので精度がよくなることがわかる。
図6は、本実施形態に係るシート搬送装置200の制御ブロック図である。
シート搬送装置200は、使用者によるシート供給枚数やシート供給動作開始等の入力を受け付ける入力部501と、入力部501に入力された内容に基づいてシート供給装置200の動作を制御するシート供給動作制御手段500と、シート供給動作制御手段500に対して各種検知情報を出力するセンサ502と、シート供給動作制御手段500からの出力信号に基づき各種部材を駆動する駆動部503を備える。
シート供給動作制御手段500は、シート積載トレイ44上のシートの有無、サイズの検知情報等をセンサ502から取得し、駆動部503によりシート上昇板241を所定の高さまで上昇させ、シートが0枚となったらシート上昇板241を下る。給紙カセット44が引き出されたらトレイ上昇板241の駆動を初期状態とする。
シート供給動作制御手段500は、入力部501により設定された紙種によってシート搬送速度を決めて、第1搬送センサ262および第2搬送センサ263から検出情報262S、263Sを取得し、分離モータ257、給紙モータ252および搬送モータ272を駆動制御する。
シート搬送装置200は、シート供給動作制御手段500からの出力信号に基づき給紙モータ252を駆動制御する給紙モータ駆動制御手段534と、給紙モータ252の回転速度を検出して出力するロータリーエンコーダ533と、給紙モータ252の駆動力をピックアップコロ221へ伝達するピックアップコロ用駆動力伝達手段531と、給紙モータ252の駆動力を給紙コロ252へ伝達する給紙コロ用駆動力伝達手段532を備える。ピックアップコロ用駆動力伝達手段531は、タイミングベルト253を含む。
給紙モータ駆動制御手段534は、給紙モータ用コントローラ536と給紙モータ用ドライバ535を含む。給紙モータ用コントローラ536にはマイコンなどを使用して、ロータリーエンコーダ533からの信号が入力され、シート供給動作制御手段500から指示される(受信した)目標速度で給紙モータ252が回転するようにデジタル制御を行う。そして、給紙モータ用コントローラ365から給紙モータ用ドライバ535へは、給紙モータ252に印加する電圧に対応した信号(PWM信号)と回転方向を指示する信号を出力する。給紙モータ用ドライバ535は、給紙モータ252へ駆動信号535Sを出力する。給紙モータ252から給紙モータ用ドライバ535へは、ホール素子信号が出力される。
シート搬送装置200は、シート供給動作制御手段500からの出力信号に基づき分離モータ257を駆動制御する分離モータ駆動制御手段523と、分離モータ257の回転速度を検出して出力するロータリーエンコーダ522と、分離モータ257の駆動力を分離コロ255へ伝達する分離コロ用駆動力伝達手段521を備える。分離コロ用駆動力伝達手段521は、トルクリミッタ258を含む。
分離モータ駆動制御手段523は、分離コロ255を回転駆動する駆動制御手段の一例であり、分離モータ用コントローラ525と分離モータ用ドライバ524を含む。分離モータ用コントローラ525にはマイコンなどを使用して、ロータリーエンコーダ522からの信号が入力され、シート供給動作制御手段500から指示される(受信した)目標速度で分離モータ257が回転するようにデジタル制御を行う。そして、分離モータ用コントローラ525から分離モータ用ドライバ524へは、分離モータ257に印加する電圧に対応した信号(PWM信号)と回転方向を指示する信号を出力する。分離モータ257から分離モータ用ドライバ524へは、ホール素子信号が出力される。分離モータ用ドライバ524は、分離モータ257へ駆動信号を出力する。
シート搬送装置200は、シート供給動作制御手段500からの出力信号に基づき搬送モータ272を駆動制御する搬送モータ駆動制御手段543と、搬送モータ272の回転速度を検出して出力するロータリーエンコーダ542と、搬送モータ272の駆動力を搬送ローラ271へ伝達する搬送ローラ用駆動力伝達手段541を備える。
搬送モータ駆動制御手段543は、搬送モータ用コントローラ545と搬送モータ用ドライバ544を含む。搬送モータ用コントローラ545にはマイコンなどを使用して、ロータリーエンコーダ542からの信号が入力され、シート供給動作制御手段500から指示される(受信した)目標速度で搬送モータ272が回転するようにデジタル制御を行う。そして、搬送モータ用コントローラ545から搬送モータ用ドライバ544へは、搬送モータ272に印加する電圧に対応した信号(PWM信号)と回転方向を指示する信号を出力する。搬送モータ272から搬送モータ用ドライバ544へは、ホール素子信号が出力される。搬送モータ用ドライバ544は、搬送モータ272へ駆動信号を出力する。
給紙モータ252、分離モータ257、および搬送モータ272は、DCブラシレスモータなどを使用する。
ロータリーエンコーダ522、533、542は、例えばモータ軸の回転速度を監視して、回転速度に対応した周期の信号(矩形波信号)を出力する。
給紙モータ用コントローラ365、分離モータ用コントローラ525、および搬送モータ用コントローラ545は、例えば二重ループとして、マイナーループでは速度制御を、メジャーループでは位置制御を行う。制御方式は、P制御、PI制御、PID制御などから選ばれる。
シート供給動作制御手段500は、第1搬送センサ262および第2搬送センサ263から検出情報を取得し、動作が正常状態か、異常状態か判定して使用者に通知する(シートがシート積載トレイから供給できていない状態やシートのつまり等)。
トルク把握手段551は、トルク取得手段の一例であり、ロータリーエンコーダ533から出力されるモータ回転速度に対応する信号と、給紙モータ用コントローラ536から給紙モータ用ドライバ535に出力されるモータ印加電圧に対応する信号、およびモータ回転方向を指示する信号を取得し、給紙モータ252のトルクを算出する。
トルク把握手段551は、ロータリーエンコーダ542から出力されるモータ回転速度に対応する信号と、搬送モータ用コントローラ545から搬送モータ用ドライバ544に出力されるモータ印加電圧に対応する信号、およびモータ回転方向を指示する信号を取得し、搬送モータ272のトルクを算出する。
トルク把握手段551は、モータ回転方向を指示する信号の代わりに、モータ印加電圧情報の正負の符号から回転方向の情報を取得してもよい。
トルク把握手段551は、トルクの算出には、外乱オブザーバ等を使用する。トルク把握手段551にはマイコンを使用。上記のコントローラのマイコンと同一のマイコンでも良い。
トルク変化特徴量算出手段552は、トルク把握手段551が算出したトルクのデータが入力され、第1シート搬送手段から送り出されたシートが、第2シート搬送手段に到達する前後におけるトルクの変化の特徴量(指標)を算出する。算出方法は、図9、図10で説明する。
トルク変化特徴量算出手段552にはマイコンを使用し、上記のコントローラのマイコンと同一のマイコン、またはトルク把握手段551のマイコンと同一のマイコンでも良い。
判断手段553は、トルク変化特徴量算出手段552が算出した特徴量(指標)に基づき、シートの搬送状態を判断する。
判断手段553は、トルク変化特徴量算出手段552が算出した特徴量を所定の閾値と比較してシートの搬送が正常か(搬送部材が劣化していないか)判断し、シート搬送装置200は、判断手段553の判断結果に基づき、フィードバック制御(たとえばシート送りを強めにする)したり、アラートを出したりしてもよく(搬送部材交換の要求)、あるいは、サービスマンに対して提示(アラートする)してもよい。
判断手段553の判断結果を数値化して、数値表示器や液晶ディスプレイに表示しても良い。シート搬送装置200がユーザーインターフェイス部などで表示部を備える場合、これと共有しても良い。
なお、トルク把握手段551、トルク変化特徴量算出手段552、および判断手段553が処理する対象となるモータは、給紙モータ252か搬送モータ272のどちらか、または給紙モータ252と搬送モータ272の両方、のどちらでもよい。または、各モータが駆動する負荷(コロやローラ)の数などを考慮して、トルクの変化の特徴量(指標)が大きく、わかりやすい方を選ぶのでも良い。
メモリ(記憶手段)554は、トルク変化特徴量算出手段552が算出した特徴量に関連付けて、給紙コロ251の摩擦係数μおよび分離コロ255を回転駆動する分離トルクTを記憶する。
判断手段553は、トルク変化特徴量算出手段552が算出した特徴量に対応する摩擦係数μおよび分離コロ255をメモリ554から読み出す。
判断手段553は、メモリ554から読み出した摩擦係数μを所定の閾値と比較してシートの搬送が正常か(搬送部材が劣化していないか)判断し、シート搬送装置200は、判断手段553の判断結果に基づき、フィードバック制御したり、アラートを出したりしてもよく、あるいは、サービスマンに対して提示してもよい。
判断手段553は、メモリ554から読み出した分離トルクTを制御目標値として分離モータ駆動制御手段523に入力する。分離モータ駆動制御手段523の分離モータ用コントローラ525は、判断手段553から分離トルクTを入力した場合には、シート供給動作制御手段500から指示される目標速度に代えて、判断手段553から入力された分離トルクTを制御目標値として分離モータ257が回転するようにデジタル制御を行う。
これにより、分離トルクTをトルクリミッタに付与される一定のトルクではなく、可変のトルクにできるため、不送りも重送も発生しない適切なシートの戻し力を付与することができる。
分離モータ用コントローラ525は、DCモータの電流が一定となるような電流制御機能が搭載されたものであってもよいし、DCモータの電圧、角速度からモータトルクを推定し、推定したモータトルクが所定のトルクとなるような電圧フィードバック制御機能が内蔵されたものであってもよい。
図7は、メモリ554が格納するテーブルの一例を示す概念図である。メモリ554が格納するテーブルは、トルク変化特徴量算出手段552が算出した特徴量の一例であるtfに関連付けて、給紙コロ251の摩擦係数μおよび分離コロ255を回転駆動する分離トルクTを記憶する。図7では、特徴量tfが小さくなるにしたがって、摩擦係数μおよび分離トルクTも小さい値が記憶されている。
図4および図5で説明したように、給紙コロ251と紙がスリップしてくると、係数aはスリップ無し状態の初期値1から徐々に小さくなり、それに応じてtfは小さくなる。つまり、給紙コロ251の摩擦係数μが低下してくるとtfは小さくなる関係があり、メモリ554はその関係を記憶している。
そして、メモリ554は、給紙コロ251の摩擦係数μおよびtfが小さくなると、分離トルクTを小さくする関係を記憶している。この理由については以下に述べる。
図8は、トルクリミッタ戻し力TAと分離コロ作動圧PBの関係を示す図である。
まず、分離コロ作動圧PBが、以下の(式3)に示す関係を満たす場合に、シートが正常に送られる。(式3)において、PBが左辺よりも大きくなる場合はシートが重送される重送条件であり、PBが右辺よりも小さくなる場合はシートが不送りとなる不送り条件である。ここで、μpはシート間の摩擦係数、μrは給紙コロ251とシートの間の摩擦係数、mはシート1枚の重量である。
図8では、上記(式3)の重送条件および不送り条件にそれぞれ対応する重送領域および不送り領域と、重送領域および不送り領域を除く正常領域を示している。
図8及び上記(式3)により、給紙コロ251の摩擦係数μrが低下すると、正常領域と不送り領域の境界線の傾きが徐々に大きくなり、正常領域が狭くなることがわかる。
例えば、μrが初期状態の1.5のときのTAが5N(分離トルクT換算で50mN・m)の場合、図8における〇で示すように正常領域に入る。
しかしながら、給紙コロ251が経時劣化してμrが1.1となった際に、TAが5Nのままでは、不送り領域に入ってしまい不送りが発生してしまう。
そこで、図7に示したように、μrが1.3となった際には、TAが4N(分離トルクT換算で40mN・m)となるように分離トルクTを低く設定し(図8における□)、μr=1.1となった際には、TAが3N(分離トルクT換算で30mN・m)となるように分離トルクTをさらに低く設定する(図8における△)。
分離コロ255とシートが滑らない範囲では、分離トルクTとトルクリミッタ戻し力TAとの間には、T=TA*r(r:分離コロ半径)の関係が成り立つ。制御対象が分離モータ257の場合、上記関係から分離トルクTを制御することでトルクリミッタ戻し力TAを制御できる。
これにより、給紙コロ251の摩擦係数μrが低下してもシートの不送りにならないようなトルクリミッタ戻し力TAを付与することができる。すなわち、給紙コロ251の摩擦係数μr低下という不送り発生の予兆を捉えて自動的に分離トルクTを低く調整できるため、シートの不送りを低減することができる。また、シートの不送り発生後に分離トルクTを調整するというサービスコストを低減することができる。
図9は、本実施形態に係るシート搬送装置200のタイミングチャートであり、第1、第2搬送センサの出力信号262S、263Sと、給紙モータ、搬送モータのトルク252T、272Tを示す。
まず、シート搬送装置200は、給紙モータ駆動信号535SをONにして給紙モータ252を起動する。分離モータ257、搬送モータ272は、シートが分離コロ255、搬送ローラ271に到達するまでに起動されて定常回転となっていれば良いが、図の例では、分離モータ257と搬送モータ272は、給紙モータ252と同時に起動させている(分離モータ257のトルク波形は図示していない)。
シート先端が第1搬送センサ262の検知位置に到達すると、第1搬送センサ262の出力信号262Sが変化する(図ではLowレベルがシート有りを示す)。そして、シートがさらに搬送されて第2搬送センサ263の検知位置に到達すると、第2搬送センサ263の出力信号263Sが変化する(図ではLowレベルがシート有りを示す)。
第1搬送センサ262や第2搬送センサ263が、給紙コロ251や搬送ローラ271の下流側の近傍に設置されている場合は、第1搬送センサ262や第2搬送センサ263がシートを検知するタイミングは、給紙コロ251や搬送ローラ271に到達した直後となる(同時ではない)。
例えば、シートが搬送ローラ271に到達するタイミングは、第2搬送センサ263の出力信号263Sが変化する(信号がHighレベルからLowレベルに変化する)タイミングよりも少し前となる。(図中、t1のタイミング)タイミング差はシート搬送速度と、搬送ローラ271から第2搬送センサ263までの距離による。
給紙モータのトルク252Tと搬送モータのトルク272Tは、トルク把握手段551で把握される。
給紙モータのトルク252Tは、給紙モータ252の起動直後から給紙モータ252の駆動力のみでシートを搬送している区間にかけて高い。シートが搬送モータ272に到達した直後は、トルクは緩やかに低下し、その後急激に低下した後に低いレベルで落ち着く。
搬送モータのトルク272Tは、シートが搬送モータ272に到達した後に高いレベルに遷移しているが、シートが搬送モータ272に到達した直後のトルク変化は、緩やかな上昇である。その後、急激に上昇して高いレベルで落ち着く(波形の後半は、搬送モータ272の後段のモータの影響を受けて低下しているが、この部分は除く)。
図中、Taは、給紙モータ252のみでシートを搬送する期間、Tbは、給紙モータ252と搬送モータ272でシートを搬送する期間、Tcは、後段のモータもシートを搬送している期間である。
この様に、トルク波形において、シートが搬送モータ272に到達した直後にトルクが緩やかに変化している期間があるのは、給紙コロ251と搬送ローラ271の間の搬送経路にて、シートの「たるみ」が発生しているためである。(式2)で説明した「t’」は、シートが搬送モータ272に到達した直後にトルクが緩やかに変化している期間の長さである。
本実施形態では、シート搬送用部材の劣化を従来よりも精度良く判定するために、給紙コロ251が送り出すシートの速度(速度A)と、搬送ローラ271が送り出すシートの速度(速度B)の差(速度B−速度A)に反比例する指標「t’」を提案する。「t’」は、上記の様に、給紙モータ252や搬送モータ272のトルク変化から把握できる。
図10は、本実施形態に係るトルク変化特徴量算出手段552の処理を説明する図である。
トルク変化特徴量算出手段552は、給紙モータのトルク252Tと搬送モータのトルク272Tのトルク波形において、シートが搬送モータ271に到達した直後にトルクが緩やかに変化している期間[(式2)で説明した「t’」]をトルクの変化の特徴量とする。
ただし、トルク波形の緩やかな変化から急激な変化に変わる変曲点を精度良く算出することが難しい場合など、トルク波形から「t’」を算出するのが難しい場合は、「t’」に近い「tf」、「tr」をトルクの変化の特徴量(指標)としても良い。図10では、「tf」と「tr」の定義(トルクデータからの算出方法)を示している。
トルク変化特徴量算出手段552は、トルク波形の緩やかな変化から急激な変化に変わる「変曲点」の替わりに、トルクの大きさにしきい値を設けて、トルクが緩やかな変化から急激な変化に移行した際に、このしきい値と交差するタイミングを把握する。
そして、シートが搬送モータ272に到達したタイミングから、トルク波形が上記しきい値と交差するタイミングまでの時間を指標とする。
トルク変化特徴量算出手段552は、搬送ローラ271の直下に第2搬送センサ263が設置されていない場合、搬送ローラ271の回転速度や目標値などからシート速度を算出し、このシート速度と搬送ローラ271から第2搬送センサ263までの距離(設計値)に基づき、シートが搬送モータ272に到達するタイミングを予測する(図中、t1で示す)。
トルク変化特徴量算出手段552は、給紙モータのトルク252Tの波形を用いる場合は「tf」を指標とし、搬送モータのトルク272Tの波形を用いる場合は「tr」を指標とする。
トルク変化特徴量算出手段552は、トルク波形のHighレベルとLowレベルをまず算出して、これらの差(低下幅や上昇幅)に所定の比率(0より大きく1未満)を乗算した値を、給紙モータ251の場合はHighレベルから減算して、搬送モータ271の場合はLowレベルに加算して上記しきい値を求める。
トルク変化特徴量算出手段552は、第2搬送センサ263の出力信号263Sが変化するタイミングのtb1[s]前から所定期間THの平均値を給紙モータのトルク252TのHighレベルとする。tb1[s]は、第1搬送センサ262の出力信号262Sが変化するタイミング以降、またはシートが給紙コロ251に突入する予想タイミング以降とする。所定期間THは、シートが搬送モータ272に到達する予測タイミングt1までとする。
トルク変化特徴量算出手段552は、トルクの急激な変化が終了した後の、トルクのレベルが安定している所定期間TLの平均値を給紙モータのトルク252TのLowレベルとする。所定期間TLは、第2搬送センサ263の出力信号263Sが変化するタイミングのta1[s]後までとする。
トルク変化特徴量算出手段552は、給紙モータのトルク252TのHighレベルとLowレベルの差TQdを算出し、差TQdに基づきしきい値TQ1を設定する。
トルク変化特徴量算出手段552は、シートが搬送モータ272に到達する予測タイミングt1から、給紙モータのトルク252Tがしきい値TQ1と交差するタイミングまでの期間を「tf」として算出する。
また、トルク変化特徴量算出手段552は、第2搬送センサ263の出力信号263Sが変化するタイミングからtb2[s]前から所定期間TLの期間の平均値、または、この所定期間TL内の最小値と前後の所定時間内のデータの平均値を搬送モータのトルク272TのLowレベルとする。所定期間TLは、シートが搬送モータ272に到達する予測タイミングt1までとする。
トルク変化特徴量算出手段552は、トルクの急激な変化が終了した後の、トルクのレベルが安定している所定期間THの平均値を搬送モータのトルク272TのHighレベルとする。所定期間THは、第2搬送センサ263の出力信号263Sが変化するタイミングのta2[s]後までとする。
トルク変化特徴量算出手段552は、搬送モータのトルク272TのHighレベルとLowレベルの差TQuを算出し、差TQuに基づきしきい値TQ2を設定する。
トルク変化特徴量算出手段552は、シートが搬送モータ272に到達する予測タイミングt1から、搬送モータのトルク272Tがしきい値TQ2と交差するタイミングまでの期間を「tr」として算出する。
以上において、しきい値TQ1、TQ2を適切に設定することにより、「t’」に対する「tf」、「tr」の誤差を小さくすることができる。
図11は、本実施形態に係る判断手段553の判断結果を表示する例である。
シート搬送装置200は、シート積載トレイ44と、シートを排出するシート排出口トレイ204と、判断手段553の判断結果を表示する表示手段201を備える。
表示手段201は、液晶ディスプレイであり、判断手段553が判断したシートの搬送状態を数値化して表示する。
図12は、本実施形態に係る判断手段553の判断結果を報知する例である。
シート搬送装置200は、図11の構成に加えて、判断手段553の判断結果を報知する警報手段203を備える。
警報手段203は、LEDであり、判断手段553が判断したシートの搬送状態を数値化して、数値化した値が「警告しきい値」に達したら、そのことをLEDの点灯(または点滅)で知らせる。
図13は、図3、図4に示したシート搬送装置200の変形例である。
シート搬送装置200は、図3、図4に示した湾曲する搬送ガイド261に代えて、ストレート形状の搬送ガイド264を備える。
シート搬送装置200は、第2シート搬送手段の搬送ローラ271の駆動タイミングを制御することで、シートにたるみを形成させる。
シート搬送装置200は、図13(b)に示すように、停止している搬送ローラ271に対して、給紙コロ251を回転駆動してシートを突き当てることにより、シートに「たるみ」を発生させている(たるみ形成手段)。
その後、シート搬送装置200は、図13(c)に示すように、搬送ローラ271を回転駆動することにより、シートの「たるみ」を解消させている。
本変形例においても、図3〜図12で説明した実施形態と同様に、この「シートのたるみ」が解消されるまでの時間を特徴量(指標)とすることができる。
図14は、図2に示したシート搬送装置200の変形例である。
シート搬送装置200は、図2に示した構成に加えて、シート先端を突き当てる板状のゲート(付き当て板)281と、ゲートを駆動するゲート駆動モータ282を備える。
ゲート281は、第1シート搬送手段から送り出されたシートの搬送経路上に設置され、シートの進行を妨げる姿勢と、搬送ガイドと平行になってシートの進行を妨げない姿勢に変更可能である。
ゲート281は、シートの進行を妨げる姿勢の際にはシートの先端が突き当たり、第1シート搬送手段がシートを送り出し続けることでシートにたるみを形成させる。
ゲート駆動モータ282は、ゲート281を、シートの進行を妨げる姿勢と、搬送ガイドと平行になってシートの進行を妨げない姿勢に変更する。
図15は、図14に示したシート搬送装置200の構成を示す断面図である。
シート搬送装置200は、図3、図4に示したシート搬送装置200の構成に加えて、ゲート281を備え、図3、図4に示した湾曲する搬送ガイド261に代えて、ストレート形状の搬送ガイド264を備える。
図16は、図15に示したシート搬送装置200により搬送されるシートの状態を示す図である。
シート搬送装置200は、図16(a)に示すように、シートの進行を妨げる姿勢のゲート281に対して、給紙コロ251を回転駆動してシートを突き当てることにより、シートに「たるみ」を発生させる(たるみ形成手段)。
その後、シート搬送装置200は、図16(b)に示すように、ゲート281の姿勢を搬送ガイド264と平行になってシートの進行を妨げない姿勢に変更し、シートは搬送ガイド264に沿って搬送ローラ271に向かって搬送される。
その後、シートは、図16(c)に示すように、回転駆動される搬送ローラに搬送されることにより、シートの「たるみ」は解消する。
本変形例においても、図2〜図12で説明した実施形態と同様に、次の(式4)に示すように「シートのたるみ」が解消されるまでの時間を特徴量(指標)とすることができる。
本変形例においても、図2〜図12で説明した実施形態と同様に、「シートのたるみ」が解消されるまでの時間を特徴量(指標)として、シートの搬送状態を判断するとともに、シートの不送りを低減することができる。
図17は、図2に示したシート搬送装置200の第2の変形例である。
シート搬送装置200は、図2に示した構成に加えて、給紙コロ251の回転軸および搬送ローラ271の回転軸に設けられているトルク計555を備える。トルク計555は、トルク取得手段の一例であり、給紙コロ251の回転トルクおよび搬送ローラ271の回転トルクを検出して出力する。
図18は、図17に示したシート搬送装置200の制御ブロック図である。
シート搬送装置200は、図6に示したブロック図に示したトルク把握手段551に代えて、図17に示したトルク計555を備える。トルク計555は、給紙コロ251の回転トルクおよび搬送ローラ271の回転トルクを検出して出力する。
トルク変化特徴量算出手段552は、トルク把握手段551が算出したトルクのデータが入力され、第1シート搬送手段から送り出されたシートが、第2シート搬送手段に到達する前後におけるトルクの変化の特徴量(指標)を算出する。
本第2の変形例においても、図2〜図12で説明した実施形態と同様に、「シートのたるみ」が解消されるまでの時間を特徴量(指標)として、シートの搬送状態を判断するとともに、シートの不送りを低減することができる。
200 シート搬送装置
221(42) ピックアップコロ(シート供給手段)
251 給紙コロ(第1給紙ローラ)
252 給紙モータ(第1モータ)
255(45) 分離コロ(第2給紙ローラ)
261 搬送ガイド
271 搬送ローラ
272 搬送モータ(第2モータ)
281 ゲート(付き当て板)
523 分離モータ駆動制御手段(駆動制御手段)
551 トルク把握手段(トルク取得手段)
553 判断手段
555 トルク計(トルク取得手段)
特開2000‐264489号公報 特許第6235729号公報

Claims (8)

  1. 第1給紙ローラと、前記第1給紙ローラとの間でシートを挟む第2給紙ローラと、前記第1給紙ローラおよび第2給紙ローラよりもシートを搬送する方向の下流側に配置された搬送ローラと、を備え、
    前記第1給紙ローラおよび前記搬送ローラを回転駆動することによりシートを搬送するとともに、前記第2給紙ローラを前記第1給紙ローラの回転方向とは逆方向に回転駆動するシート搬送装置であって、
    前記第1給紙ローラまたは前記搬送ローラのトルクを取得するトルク取得手段と、
    前記トルク取得手段が取得した前記トルクに基づき、前記第2給紙ローラを回転駆動する駆動制御手段と、
    を備えたシート搬送装置。
  2. 前記トルク取得手段が取得した前記トルクに基づき、シートの搬送状態を判断する判断手段を備えた請求項1記載の搬送装置。
  3. 前記駆動制御手段は、前記第1給紙ローラのトルクまたは前記搬送ローラのトルクのうち、変化量の大きい方のトルクに基づいて、前記第2給紙ローラを回転駆動する請求項1記載のシート搬送装置。
  4. 前記第1給紙ローラから送りだされたシートを前記搬送ローラに導く搬送ガイドを備えることを特徴とする、請求項1〜3の何れか記載シート搬送装置。
  5. 前記搬送ガイドは、シートが搬送される側の面が内側になるように、湾曲していることを特徴とする請求項4記載シート搬送装置。
  6. 前記第1給紙ローラと前記搬送ローラとの間に、シートに所定のたるみを発生させるたるみ形成手段を備えることを特徴とする、請求項1〜5の何れか記載のシート搬送装置。
  7. 前記たるみ形成手段は、前記第1給紙ローラおよび前記搬送ローラの回転タイミングを制御することにより、前記第1給紙ローラと前記搬送ローラとの間でシートに所定のたるみを発生させることを特徴とする請求項6記載のシート搬送装置。
  8. 請求項1〜7の何れか記載のシート搬送装置を有する画像形成装置。
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