JP2021020140A - 水性塗料の塗装方法 - Google Patents

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秀樹 山内
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Abstract

【課題】最終仕上げ塗料が水性塗料であっても、その塗料にハジキの発生がなく塗装することができ、最終仕上げ塗料との密着性に優れたもので、更に、その仕上がりが良好な水性塗料の塗装方法を提供する。【解決手段】最終仕上げ塗料が水性塗料であって、その塗装前の塗装対象基材の接触角が15〜90°の範囲に親水性下塗り塗料により調整されたものであり、これにより、最終仕上げ塗料が水性塗料であっても、その塗料にハジキの発生がなく塗装することができ、最終仕上げ塗料との密着性に優れたもので、更に、その仕上がりが良好な水性塗料の塗装方法を得ることができる。【選択図】なし

Description

本開示は、建物など構造物の内外壁表面の塗装を行うための塗装方法であり、特に水性塗料を上塗りに用いた塗装方法に関するものである。
従来、建物など構造物の内外壁表面には、その表面の美装と保護の目的で、塗料を用いて塗装されることが多い。又、板材の表面を塗料により塗装された壁板材により壁面を構成することも多い。
このような場合のその最終の仕上げに用いられる塗料により、その塗装面の仕上がりや性能が決まることになる。
この仕上がりには、光沢面や艶消し面に仕上げることなど塗装された壁面の外観に関わるものである。
性能では、その塗料により形成された塗膜の耐候性などの耐久性能や塗膜の柔らかさを調整することで、汚れが着き難くいものや汚れを雨により流れさせる親水性塗膜などがある。
しかし、このような最終の仕上げに用いられる塗料に各種性能を付加した場合であっても、その塗料が均一に塗られない場合では、その性能を十分に発揮することができないこともある。
特に、水性塗料の場合であっては、最終の仕上げに用いられる最外部の塗料を塗装した時にその前処理などの影響で、その塗料のハジキなどにより形成される塗膜に欠損を生じることがある。
この前処理には、塗装対象の基材などの均質化、その基材からの影響や基材への影響などを防止すること、基材と仕上げ塗材の密着性の向上などのためにシーラー、プライマーなどの下塗材を塗付してから最終仕上げ塗料を塗装する方法が行われている。
この下塗材には、その必要性能に応じ数々ある。その中でも特許文献1に記載されているような下塗材組成物を使用することがある。
これは、溶剤形並みの下地への浸透力を持ち、初期より各種の被塗物への密着性に優れた下塗材であり、水性でありながら、溶剤形並みのシール性を持ったもので、水性,溶剤形を問わず幅広い仕上げ塗材との密着性に優れ、溶剤形の仕上げ塗材を塗装した場合でもリフティングの問題を発生しない下塗材組成物である。
さらに、水に易溶性の有機溶媒である親水性溶媒中で溶液重合された後に、水に溶解して水溶性樹脂液として使用し、これらの親水性有機溶媒を下塗材組成物中に15重量%以内で使用することで、この親水性溶媒により、一般の水性下塗材で発生するはじきを防止することができるものである。
また、特許文献2では、塗膜形成直後よりその表面が親水性を発揮し汚染部室を洗い流す非汚染塗料用組成物が記載されている。これは、塗装された塗膜の表面が親水性になり、塗膜に付着した汚れ物質を雨により洗い流すものである。
このような塗膜表面を親水性にするための塗料組成物は、種々ありその代表的なものである。
特開平9−324138号公報 特開2001−181554号公報
しかしながら、特許文献1の下塗組成物では、下地との密着性や仕上げ塗材との密着性が優れ、水性下塗材で発生するハジキを防止することができるものであるが、仕上げ塗材を塗装した場合において、その仕上げ塗材にハジキを発生することもある。これは、仕上げ材が一般的な下塗り材に比べ比較的薄膜なため、ハジキやすい場合が多いためである。
また、特許文献2にあるような塗膜表面を親水性にし、汚れなどの付着物を雨などにより洗い流すものであり、その表面に塗装した場合での仕上がりや密着性を考慮したものではない。
本開示は、最終仕上げ塗料が水性塗料であっても、その塗料にハジキの発生がなく塗装することができ、最終仕上げ塗料との密着性に優れたもので、更に、その仕上がりが良好な水性塗料の塗装方法を提供することにある。
最終仕上げ塗料が水性塗料であって、その塗装前の塗装対象基材の接触角が15〜90°の範囲に親水性下塗り塗料により調整されたものである。
これにより、最終仕上げ塗料が水性塗料であっても、その塗料にハジキの発生がなく塗装することができ、最終仕上げ塗料との密着性に優れたもので、更に、その仕上がりが良好な水性塗料の塗装方法を得ることができる。
前記親水性下塗り塗料が合成樹脂エマルションを主成分とする水性塗料であるものである。
このことにより、親水性下塗り塗料の親水性の調整が行いやすく、最終仕上げ塗料との密着性がより優れたものとなる。
さらに、前記親水性下塗り塗料が白色顔料,体質顔料のいずれか1種又は2種を含む水性塗料であるものである。
このことにより、比較的厚膜の下塗層を形成することができ、下地の色や多少の凹凸などを隠すことができる親水性下塗り塗料を用いることで、仕上がりがより良好なものとなる。
本開示の実施形態を詳細に説明する。
本開示の水性塗料の塗装方法は、最終仕上げ塗料が水性塗料であって、その塗装前の塗装対象基材の接触角が15〜90°の範囲に親水性下塗り塗料により調整されたものである。
まず、本開示での最終仕上げ塗料とは、塗装対象物の最も外側に塗膜を形成させるための塗料であり、その塗膜に塗装対象物を仕上げるものである。
この塗料により形成される塗膜は、色彩の付与など意匠的なことで塗装されることが多い。近年、この意匠性を長期間保つようにその塗膜の耐候性など耐久性を求められることが多くなってきている。
また、その最終仕上げ塗料には、艶有りや艶消しの水性塗料が用いられることが多く、その水性塗料を塗装する前の状態により、塗装した時にその水性塗料にハジキを発生することがある。
このハジキとは、最終仕上げ塗料を塗装する際に、その塗装対象物の表面が親油性の場合、それとのなじみが悪く最終仕上げ塗料が塗装面に均一に塗ることができず、部分的に穴やへこみなどが生じ、塗装面の下地が露出することである。
このハジキにより最終仕上げ塗料により形成される塗膜に欠損ができ、その仕上がりや耐久性能に大きく影響を及ぼすことがある。
この最終仕上げ塗料の水性塗料は、一般的に市販されている水性塗料のことで、水溶性又は水分散型の合成樹脂をバインダーとしたもので、塗装面に色を付けるためや耐久性の向上を図るものである。
このバインダーの他に白色顔料や体質顔料などの顔料成分,充填材や艶消し剤などのフィラー成分,湿潤剤や分散剤や消泡剤などの界面活性剤,防凍剤や造膜助剤などの高沸点溶剤,増粘剤などの粘性調整剤などにより構成されているものである。
この水性塗料には、JIS K 5660にあるつや有合成樹脂エマルションペイント,JIS K 5663にある合成樹脂エマルションペイント,JIS K 5668にある合成樹脂エマルション模様塗料などが挙げられる。
次に、親水性下塗り塗料は、溶剤系や水系の塗料のどちらでもよいが、その扱いなどにより水系塗料を使用する場合が多い。又、塗膜の親水性の調整が行い易いため好ましく用いられる。
この水系の親水性下塗り塗料は、前記水性塗料と同様に水溶性又は水分散型の合成樹脂をバインダーとし、湿潤剤や分散剤などの界面活性剤,防凍剤や造膜助剤などの高沸点溶剤,増粘剤などの粘性調整剤などにより構成されているものである。
また、必要に応じ、pH調整剤,消泡剤,防腐剤,防黴剤,防藻剤等のような一般に塗料製造に配合されている添加剤も用いられる。又、繊維や艶消し剤などを添加することもある。
この界面活性剤により親水性下塗り塗料により形成される塗膜の親水性を容易に調整することができる。しかし、この界面活性剤の添加量が多くなりすぎるとその塗膜の耐水性が低下することもあり、その添加量は、親水性下塗り塗料中に0.5〜10.0重量%の範囲が好ましいものである。
さらに、セメントやコロイダルシリカなどの、無機系結合材を配合して用いることもある。これについては、後述する。
このなかでも合成樹脂エマルションをバインダーとする水系の親水性下塗り塗料が好ましいものである。
この親水性下塗り塗料が合成樹脂エマルションをバインダーとする水系塗料であることにより、親水性下塗り塗料の親水性の調整が行いやすく、最終仕上げ塗料との密着性がより優れたものとなる。また、その塗膜の耐久性の優れたものとなる。
この合成樹脂エマルションは、乳化重合のような常用の重合技術で製造することができる、一般的なもので良く、アクリル樹脂,シリコーン樹脂,スチレン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などの樹脂より製造された合成樹脂エマルションなどが挙げられる。
このうち、塗装作業性などの塗料適性、耐水性などの塗膜の物性などから、アクリル樹脂,スチレン樹脂より製造されたアクリル系合成樹脂エマルション又は、アクリルスチレン系合成樹脂エマルションが好ましく用いられる。
このアクリル系合成樹脂エマルションは、(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸ブチル,アクリル酸2−エチルヘキシル,アクリル酸デシルなどのモノマー類より製造された(コ)ポリマーからなるものである。
合成樹脂エマルションに使われる樹脂のガラス転移温度は、好ましくは−50〜70℃の範囲であるが、親水性下塗り塗料の用途に応じて、適したガラス転移温度の合成樹脂を選択することができる。
好ましくは、前記親水性下塗り塗料が白色顔料,体質顔料のいずれか1種又は2種を含む水性塗料であるものである。
このことにより、比較的厚膜の下塗層を形成することができ、下地の色や多少の凹凸などを隠すことができる親水性下塗り塗料を用いることで、仕上がりがより良好なものとなる。
白色顔料には、酸化チタン,亜鉛華,カオリン,タルクやクレーなどがあり、主に下地の色を隠し、最終仕上げ塗料の水性塗料の仕上がりを良好とするためのものである。
体質顔料には、炭酸カルシウム,珪藻土,ベントナイト,ホワイトカーボン,ガラスビーズ,プラスチックビーズ,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウムや珪砂などが挙げられ、塗膜にボリュームを与えることで、下地の凹凸の程度を低減させることができるものである。
この体質顔料の中でも炭酸カルシウム,珪藻土,水酸化アルミニウムや珪砂が好ましく用いられる。これらの体質顔料は、水に馴染み易いものであるため、これらを含ませることにより親水性下塗り塗料により形成される塗膜の親水性を調整することが容易に行うことができる。
この体質顔料の平均粒子径は、150μm以下のものが好ましいが、最終仕上げ塗料の仕上りを良好にするためには、その平均粒子径が5〜100μmのものがより好ましい。
この体質顔料の含有量は、親水性下塗り塗料の固形分中に5〜70重量%の範囲が好ましい。
5重量%より少ない場合には、下地の凹凸などを目立たなく仕上げることが難しく、70重量%を超える場合には、最終仕上げ塗料の仕上がりで、所望の艶を得ることができないなどその仕上がりが悪い場合がある。
さらに、必要に応じ着色顔料を加えることができる。この着色顔料は、酸化鉄などの無機系の顔料や有機系顔料などがある。この着色顔料により下塗層に色調を付与することができる。
これら白色顔料,体質顔料などの顔料の含有量は、親水性下塗り塗料の顔料体積濃度(PVC)が、10%〜80%になる範囲が好ましく、30〜70%の範囲がより好ましい。
この顔料体積濃度が10%より少ない場合には、親水性下塗り塗料により形成される塗膜の隠ぺい性が低下し、80%を超える場合には、最終仕上げ塗料が水性塗料塗膜の光沢が損なわれることがあり、仕上がりに影響を与えることがある。
そのため、この範囲内で必要に応じた顔料体積濃度を調整するが、30〜70%の範囲に調整することで、より仕上がりが良好なものとなる。
前記無機系結合剤は、親水性下塗り塗料の表面張力を低下させることができるため、最終仕上げ塗料を薄く均一に塗布することができ、その塗料のハジキを低減させることができるものである。
また、この無機系結合剤を含有させることにより、無機系の被塗布面に対する接着力向上や、塗膜の有機分の含有量を少なくすることができるため、耐熱性及び難燃性を付与することができ、セメントなどの粉末状のものやシリカゾル,リチウムシリケート,アルミナゾルなどのシリカ溶液が挙げられる。
このシリカ溶液型の無機系結合材が好ましく用いられ、これらは単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
この溶液の中でも、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウム等のケイ酸塩等の水分散液であるコロイダルシリカがより好ましく用いられる。
このコロイダルシリカは、合成樹脂エマルションとの混和性が比較的良好で、入手が容易なものである。又、その扱いも比較的容易であるために好ましく用いられる。
その他にもニ酸化けい素と酸化リチウムを主成分とするリチウムシリケートなどがあり、オルガノシリカゾルとしてはシリカのメタノール分散液、イソプロピルアルコール分散液、エチレングリコール分散液、n−プロピルセロソルブ分散液、ジメチルアセトアミド分散液、メチルエチルケトン分散液、メチルイソブチルケトン分散液、キシレン・n−ブタノール混合溶媒分散液、プロピレングリコールモノメチルアセテート分散液等が挙げられる。
このシリカ溶液中に分散されるシリカなどの微粒子の平均粒子径は、好ましくは4〜100nmであり、より好ましくは6〜50nmであり、最も好ましくは10〜20nmである。
この範囲にあるとき、親水性下塗り塗料の親水性を調整することが容易であり、シリカ微粒子間の結合力が最適になる。
シリカ微粒子の平均粒子径が4nm未満の場合には、シリカ微粒子間の結合力が強すぎて、シリカ微粒子膜に収縮クラックが発生するおそれがある。逆に、100nmを超える場合には、シリカ微粒子間の結合力が弱く、親水性下塗り塗料による塗膜の強度が弱い場合がある。
前記シリカ微粒子の粒子形状としては球状、パールネックレス状、針状、棒状などがあり、球状であることが好ましく用いられる。
これは、シリカ微粒子が乾燥して乾燥ゲルとなったときに、粒子同士が最密充填構造をとることができるため、親水性下塗り塗料により形成される塗膜の強度を向上させることができる。
これらのシリカ溶液は、合成樹脂エマルションとの混和性がよいものが好ましく用いられる。
その添加量は、無機系下地に対する接着力向上や、塗膜の耐熱性及び難燃性などの物性を得られる範囲まで添加することができ、親水性下塗り塗料の固形分中に5〜50重量%の範囲になる添加量が好ましい。
また、無機系結合材には入手の容易さやコスト面からセメントを用いられることがある。このセメントでは、普通ポルトランドセメントや白色セメントが好ましく用いられる。
セメントを結合材として添加した場合、セメント自体にも下地の色調などを隠すことができるため、白色顔料や体質顔料の添加の量を少なくすることができる。
このセメントの含有量は、親水性下塗り塗料の固形分中に10〜35重量%の範囲が好ましい。10重量%より少ない場合には、無機系の下地に対する接着力向上や、塗膜の耐熱性及び難燃性を付与することができない。
このような構成材料により調整された親水性下塗り塗料は、塗装対象基材に塗装される。この塗装方法は、スプレー,塗装用ローラーや刷毛など一般的に塗装工事で用いられる塗装器具により塗装することができる。
また、塗装済み外壁板など板材に前もって工場などで塗装機械を用いて行うライン塗装の場合では、レシプロタイプのスプレー,ロールコーターやカーテンフローコータなどにより塗装を行うこともできる。
このように親水性下塗り塗料を塗装した後に最終仕上げ塗料を塗装する。この塗装方法も前記同様で、スプレー,塗装用ローラー,刷毛やライン塗装の場合では、レシプロタイプのスプレー,ロールコーターやカーテンフローコータなどにより塗装を行うことができる。
このように構成される親水性下塗り塗料を用いて、最終仕上げ塗料が水性塗料の塗装前に塗装対象基材の接触角が15〜90°の範囲に調整されるものである。
この場合の接触角は、親水性下塗り塗料により形成された塗膜の上に水滴を乗せたときの水滴とその表面がつくる角度である。平滑な塗膜表面の接触角は、水と塗膜との間の界面張力で決まり、界面張力が小さいものほど水に対する接触角が大きくなる。
つまり、最終仕上げ塗料が親水性下塗り塗料により形成される塗膜に対しての濡れ易さの程度のことで、塗膜と水と大気とが接触しているとき、この3相の接触する境界線において水が塗膜面との成す角度のことである。
この接触角は、表面の濡れ易さを定量的に測ることができ、表面張力が大きい塗膜は、濡れ易く、塗料が付着したときの接触角は小さくなり、表面張力が小さい塗膜は、濡れ難く、塗料が付着したときの接触角は大きくなる。
接触角が90°以下の状態を塗れる状態であり、この接触角が小さい性質が親水性になり、大きい性質が撥水性である。
親水性下塗り塗料を用いて、その塗料により形成される塗膜の接触角が15°より小さい場合では、最終仕上げ塗料の濡れ具合は良く、ハジキなどが起こることはないが、垂直面への塗装では、最終仕上げ塗料のタレが起こり易いものとなる。
接触角が90°より大きい場合では、最終仕上げ塗料のハジキが起り、良好な仕上がりとならない。
より好ましい接触角としては、20〜50°の範囲に調整するものであり、この範囲内であれば、最終仕上げ塗料のタレやハジキが無い良好な仕上がりを得ることができる。
このような構成により本開示に用いられる親水性下塗り塗料は構成され、それにより、最終仕上げ塗料が水性塗料であっても、その塗料にハジキの発生がなく塗装することができ、最終仕上げ塗料との密着性に優れたもので、更に、その仕上がりが良好な水性塗料の塗装方法を得ることができる。
さらに、この親水性下塗り塗料により形成された塗膜が、不燃性を有し、加工性のある塗膜を得ることができるものとすることができる。
この親水性下塗り塗料は、扱い易い水系のもので、そのバインダーがアクリル樹脂,スチレン樹脂より製造されたアクリル系合成樹脂エマルション又は、アクリルスチレン系合成樹脂エマルションである。
合成樹脂エマルションに使われる樹脂のガラス転移温度は、0〜30℃の範囲のものであることが好ましい。
0℃より低い場合では、形成された塗膜の研磨性などの加工性が劣ることがある。これは、塗膜が柔らかい傾向になり、研磨の際に研磨紙の目詰まりが頻繁に起きるためである。30℃より高い場合では、その塗膜を形成する際に加熱が必要な場合が生じる。
これらの合成樹脂エマルションを用いることで、不燃性や研磨性などの加工性を付与させることができる難燃材,体質顔料や無機結合材との混和性に優れ、PVCの調整が容易なものである。
この難燃材には、ハロゲン系,リン系などの有機難燃剤や金属水酸化物,アンチモン系の無機系難燃剤がある。
この中でも無機系難燃剤の金属水酸化物である水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムが好ましく用いられる。
この金属水酸化物は、熱すると酸化物になり、水が発生するもので、前記バインダーである合成樹脂エマルションとの混和性に優れたものである。
また、これらは上記記載の体質顔料の1種でもあるため、加えることにより、PVCを上げることができ、親水性下塗り塗料中の有機物の相対的含有量を低く抑えることができる。
体質顔料は、上記記載のものと同様ではあるが、入手の容易さや合成樹脂エマルションとの混和性に優れた、炭酸カルシウム,珪藻土,珪砂を用いることが多いが、研磨性などの加工性の点より、珪砂などの比較的硬いものではなく、炭酸カルシウム,珪藻土が好ましく用いられる。
これは、比較的硬い珪砂を用いた場合では、研磨性などの加工性が劣ることがある。
この場合の無機系結合剤は、バインダー成分の1つとして加えるものであり、その塗膜中の有機成分を相対的に減量させながら塗膜の強度を向上させる材料である。
この無機系結合材には、前記記載のものがあるが、このなかでもシリカゾル,リチウムシリケート,アルミナゾルなどのシリカ溶液が好ましい。
セメントなどの粉末状のものを用いる場合では、その種類により水などと反応し硬化するものもあり、親水性下塗り塗料の扱いが難しいことがある。又、硬化した後に塗膜が硬くなり、加工性が劣ることもある。
このようなシリカ溶液を用いることで、バインダーである合成樹脂エマルションとの混和性に優れ、その取扱いが簡単なものとなる。
この溶液の中でも、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウム等のケイ酸塩等の水分散液であるコロイダルシリカがより好ましく用いられる。
このコロイダルシリカは、合成樹脂エマルションとの混和性が比較的良好で、入手が容易なものである。又、その扱いも比較的容易であるために好ましく用いられる。
また、それを含んだ親水性下塗り塗料により形成された塗膜の研磨性などの加工性が良好なものとなる。これは、その塗膜が硬くなり、多少脆くなる傾向があるためである。
この加工性に優れ、不燃性が有り、親水性の調整が行いやすく、最終仕上げ塗料との密着性がより優れた親水性下塗り塗料は、上記記載のように構成され、用いられるものである。
この親水性下塗り塗料により形成された塗膜の加工性は、研磨や切削などの
の削り加工が主なもので、このような削り加工のため、塗膜は比較的厚膜により塗膜が形成される場合が多い。
また、塗装対象基材の表面に1mm以下の凹凸がある基材に対して、この親水性下塗り塗料をその凹凸以上の膜厚を形成させて、その表面を研磨することで、平滑な基材に加工することが可能である。
そのため親水性下塗り塗料の一回の塗布が100〜300g/mの範囲が好ましく、それより少ない場合では、凹凸が覆いきれず、平滑面を得ることができないことがあり、多い場合では、塗膜形成過程で割れなどが生ずることがある。
この範囲内で凹凸が覆いきれない場合は、一回目に300g/mの塗布量で塗布し、二回目に300g/m以内で塗布するなど複数回に分けて塗布することも可能である。
この塗布方法は、スプレー,塗装用ローラーにより行うことが可能であり、外壁板など板材に前もって工場などで塗装機械を用いて行うライン塗装の場合では、レシプロタイプのスプレー,カーテンフローコータなどにより塗装を行うこともできる。
このように塗装した後に研磨器具により平滑に処理する。この研磨器具には、サンドペーパー、サンダー、グラインダー、ミーリングカッター等が使用される。
これらの中でもサンドペーパーを使用して研磨を行うオービタルサンダーやベルトサンダーなどを用いて研磨加工を行う場合が多い。
この場合に用いられるサンドペーパーの番手は、必要に応じ選択されるもので、研磨後の平滑度により決められることが多い。
このようにして、親水性下塗り塗料を塗布した後に、乾燥させ、研磨加工を行うことにより、平滑度の高い塗膜を得ることができる。
この得られた平滑度の高い塗膜は、親水性が高いため、最終仕上げ塗料が水性塗料であっても、その塗料にハジキの発生がなく塗装することができ、最終仕上げ塗料との密着性に優れたもので、平滑性が高く、仕上がりを得ることができるものである。
以上のように、この実施形態によれば次のような効果が発揮される。
前記親水性下塗り塗料が合成樹脂エマルションを主成分とする水性塗料であり、その塗料中に界面活性剤が0.5〜10.0重量%の範囲で添加させているものである。
このことにより、親水性下塗り塗料の親水性の調整がより行いやすく、塗膜の耐水性の低下を押さえ、最終仕上げ塗料との密着性がより優れたものとなる。
親水性下塗り塗料に用いられる体質顔料が炭酸カルシウム,珪藻土,水酸化アルミニウムや珪砂のいずれかの1種又は2種以上であるものである。
このことにより、比較的厚膜の下塗層を形成することができ、下地の色や多少の凹凸などを隠すことができる親水性下塗り塗料を用いることで、仕上がりがより良好なものとなり、親水性下塗り塗料により形成される塗膜の親水性を調整することが容易に行うことができるものである。
体質顔料の平均粒子径が5〜100μmの範囲であり、その含有量が親水性下塗り塗料の固形分中に5〜70重量%の範囲であるものである。
このことにより、下地の凹凸などを目立たなく仕上げることができ、最終仕上げ塗料の仕上がりを良好にすることができ、仕上げ塗料の所望の艶を得ることができる。
親水性下塗り塗料の顔料体積濃度が、10%〜80%になる範囲であるものである。
このことにより、親水性下塗り塗料により形成される塗膜の隠ぺい性が保たれ、最終仕上げ塗料が水性塗料塗膜の光沢が損なわれることなく、良好な仕上がりを得ることができる。
無機系結合材がシリカ溶液であり、それに分散されるシリカなどの微粒子の平均粒子径が4〜100nmであるものである。
このことにより、親水性下塗り塗料の親水性を調整することが容易であり、シリカ微粒子間の結合力が最適になる。又、シリカ微粒子間の結合力による収縮クラックの発生や塗膜の強度のバランスが良いものである。
さらに、下記記載のような場合であれば、不燃性や加工性の効果が発揮される。
最終仕上げ塗料が水性塗料であって、その塗装前の塗装対象基材の接触角が15〜90°の範囲に親水性下塗り塗料により調整され、親水性下塗り塗料の固形分中に5〜50重量%の範囲でシリカ溶液が添加されたものである。
これにより、最終仕上げ塗料が水性塗料であっても、その塗料にハジキの発生がなく塗装することができ、最終仕上げ塗料との密着性に優れ、その仕上がりが良好なものとなり、更に無機系下地に対する接着力向上や、塗膜の耐熱性及び難燃性などの物性を得られる。
シリカ溶液がシリカゾル,リチウムシリケート,アルミナゾルであり、その中でもケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウム等のケイ酸塩等の水分散液であるコロイダルシリカであるものである。
このことにより、合成樹脂エマルションとの混和性が比較的良好で、入手が容易なもので、その扱いも比較的容易であり、それを含んだ親水性下塗り塗料により形成された塗膜の研磨性などの加工性が良好なものとなる。
親水性下塗り塗料のバインダーが合成樹脂エマルションであり、その樹脂のガラス転移温度は、0〜30℃の範囲のものである。
このことにより、形成された塗膜の研磨性などの加工性がよく、塗膜を形成する際に加熱しなくても容易に塗膜を得ることができる。更に、不燃性や研磨性などの加工性を付与させることができる難燃剤,体質顔料や無機結合材との混和性に優れ、PVCの調整が容易なものとなる。
親水性下塗り塗料に無機系難燃剤の金属水酸化物である水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムが含有されたものである。
このことにより、合成樹脂エマルションとの混和性に優れたもので、PVCを上げることができ、親水性下塗り塗料中の有機物の相対的含有量を低く抑えることができる。
親水性下塗り塗料の一回の塗布が100〜300g/mの範囲のものである。
これにより、多少の凹凸を覆うことができ、平滑面を得ることができ、その塗膜形成過程で割れなどが生ずることが少ないものである。

Claims (3)

  1. 最終仕上げ塗料が水性塗料であって、その塗装前の塗装対象基材の接触角が15〜90°の範囲に親水性下塗り塗料により調整された水性塗料の塗装方法。
  2. 前記親水性下塗り塗料が合成樹脂エマルションを主成分とする水性塗料である請求項1に記載の水性塗料の塗装方法。
  3. さらに、前記親水性下塗り塗料が白色顔料,体質顔料のいずれか1種又は2種を含む水性塗料である請求項1又は請求項2に記載の水性塗料の塗装方法。

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