JP2021019019A - 銅張積層板の密着強度評価サンプル作製方法 - Google Patents

銅張積層板の密着強度評価サンプル作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】実製品のフレキシブルプリント配線板の下地金属層と樹脂フィルムとの界面における密着強度を正しく評価することの可能な銅張積層板の密着強度評価サンプルの作製方法の提供。【解決手段】樹脂フィルムと、下地金属層と、銅薄膜層と、厚さ2μm以下の銅めっき層とからなる銅張積層板の表面に、バッチ方式の電解銅めっきにより銅めっき層を、銅めっき層の厚さが8〜12μmとなるまで積層する密着強度評価サンプルの作製方法において、バッチ方式の電解銅めっきにより、電流密度3〜7A/dm2で全銅厚の40〜50%の銅めっき層を形成し、次に電流密度0.8〜1.2A/dm2で全銅厚の25〜35%の銅めっき層を形成する。【選択図】なし

Description

本発明は、銅張積層板の密着強度評価サンプルの作製方法に関し、詳しくは、フレキシブルプリント配線板(FPC)などの製造に用いられる銅張積層板の密着強度評価サンプルの作製方法に関する。
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話などには、樹脂フィルムの表面に配線パターンが形成されたフレキシブルプリント配線板が用いられる。フレキシブルプリント配線板は、例えば、銅張積層板を用いて製造される。
銅張積層板の製造方法としてメタライジング法が知られている。メタライジング法による銅張積層板の製造は、例えば、次の手順で行なわれる。まず、樹脂フィルムの表面にスパッタリング法等により、ニッケルクロム合金からなる下地金属層を形成する。次に、下地金属層の上に銅薄膜層を形成する。次に、銅薄膜層の上に銅めっきにより、銅めっき被膜を形成し、配線パターンを形成するのに適した膜厚となるまで、下地金属層と銅薄膜層とからなる金属層と銅めっき被膜とにより構成された導体層を厚膜化する。一般的な厚膜化のめっき処理では、基材の搬送経路上に複数槽のめっき槽が並ぶとともに、めっき槽間には水洗設備が設けられた、めっき装置を用いて、めっき工程と水洗工程を交互に行うことにより、銅めっき被膜を厚膜化する。
メタライジング法による銅張積層板の製造により、樹脂フィルム上に直接導体層が形成された、いわゆる2層基板と称されるタイプの銅張積層板が得られる。
この種の銅張積層板を用いてフレキシブルプリント配線板を製造する方法としてセミアディティブ法が知られている。セミアディティブ法によるフレキシブルプリント配線板の製造は、次の手順で行なわれる(特許文献1参照)。まず、銅張積層板の銅めっき被膜の表面にレジスト層を形成する。次に、レジスト層における配線パターンを形成する部分に開口部を形成する。次に、レジスト層の開口部から露出した銅めっき被膜を陰極として電解めっきを行ない、配線部を形成する。
一般的に、セミアディティブ用の電解銅めっき装置においては、基材の搬送経路上に複数槽のめっき槽が並ぶとともに、めっき槽間には水洗設備が設けられており、めっき工程と水洗工程とを交互に繰り返して行うようになっている。次に、レジスト層を除去し、フラッシュエッチングなどにより配線部以外の導体層を除去する。これにより、フレキシブルプリント配線板が得られる。セミアディティブ法を用いて形成される配線は、厚みが10μm程度で、配線幅も10数μm程度の微細配線である。
セミアディティブ法を用いて形成される配線は微細であることから、樹脂フィルムからの配線の剥離を防ぐため、樹脂フィルムと下地金属層との界面における密着強度は高いことが望まれる。
ところで、密着強度評価は、銅張積層板に対しエッチング加工等を施して1mm幅の直線状の評価用配線を形成し、樹脂フィルムに導体層が形成された基材に対して直角方向に評価用配線の端部を引き上げたときの引張り強さを密着強度として計測することによって行う。また、密着強度評価は、引き上げた評価用配線自体が破断や裂断をしないよう、銅めっき層が8〜12μm程度の厚さを有する評価用配線で測定することによって行う。しかるに、セミアディティブ法による配線形成に用いる銅張積層板の銅めっき層の厚さは2μm以下が一般的であり、このままのめっき厚さでは密着強度評価のための測定は行えない。そこで、従来、セミアディティブ法による配線形成に用いる銅張積層板の表面にバッチ方式の電解銅めっきを行い、銅めっき層を厚くして、引き上げる配線自体が破断や裂断をしないようにすることで密着強度評価のための測定を実施している(非特許文献1、非特許文献2を参照)。
なお、銅張積層板を用いてセミアディティブ法により形成された配線は、厚みは10μm程度あるものの、配線幅が10数μm程度と微細であるため、実製品のフレキシブルプリント配線板は、密着強度評価のための測定には適さない。
特開2006−278950号公報
JIS C6471 8.1 JPCA−BM03 6.3 表18
密着強度評価は、上述のとおり、1mm幅の直線状の評価用配線の端部を基材から90度の角度で上方に引き上げ、下地金属層と樹脂フィルムとの界面における密着強度を測定することによって行うが、図1に示すように、下地金属層と銅薄膜層とからなる金属層の上に積層されている8〜12μmの厚さを持つ銅めっき被膜の硬さ/柔らかさにより、端部を90度上方に引き上げたときの銅めっき被膜の折り曲げ部の曲率半径が異なる。従って、銅めっき被膜の下に形成されている金属層の折り曲げ部の曲率半径も銅めっき被膜の硬さ/柔らかさにより異なることになる。金属層の曲率半径が異なると、90度で引き上げても、樹脂フィルムから引き剥がされるときの、樹脂フィルムの面に対する金属層の樹脂フィルム側の面の角度が異なり、曲率半径が大きいほど、上記角度は小さくなり、密着強度は大きくなる傾向があることが、認められる(技術論文:鈴木、引きはがし速度が接着剥離力に及ぼす影響中央大学大学院研究年報、理工学研究科篇(2012)の図5に示されている引張角度と引張強度の関係を参照)。
従って、フレキシブルプリント配線板を製造するセミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機で得られた銅めっき被膜の硬さ/柔らかさと、密着強度評価用のバッチ方式の電解銅めっき装置で得られた銅めっき被膜の硬さ/柔らかさとが異なると、実製品のフレキシブルプリント配線板の密着強度を正しく評価できていない虞がある。
しかるに、本発明者が鋭意検討したところ、評価用のバッチ方式の電解銅めっき装置で得られる銅めっき被膜の硬さ/柔らかさは、フレキシブルプリント配線板を製造するセミアディティブ用の電解銅めっき装置で得られた銅めっき被膜の硬さ/柔らかさと異なることが判明した。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、実製品のフレキシブルプリント配線板の下地金属層と樹脂フィルムとの界面における密着強度を正しく評価することの可能な銅張積層板の密着強度評価サンプルの作製方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明による銅張積層板の密着強度評価サンプルの作製方法は、樹脂フィルムと、下地金属層と、銅薄膜層と、厚さ2μm以下の銅めっき層とからなる銅張積層板の表面に、バッチ方式の電解銅めっきにより銅めっき層を、銅めっき層の厚さが8〜12μmとなるまで積層する密着強度評価サンプルの作製方法において、バッチ方式の電解銅めっきにより、電流密度3〜7A/dmで全銅厚の40〜50%の銅めっき層を形成し、次に電流密度0.8〜1.2A/dmで全銅厚の25〜35%の銅めっき層を形成することを特徴とする。
また、本発明の銅張積層板の密着強度評価サンプルの作製方法においては、前記バッチ方式の電解銅めっきに、水溶性銅塩、硫酸、レベラー成分、ポリマー成分、ブライトナー成分、塩素成分を含む銅めっき液を用いるのが好ましい。
また、本発明の銅張積層板の密着強度評価サンプルの作製方法においては、前記銅めっき液に含まれるブライトナー成分が、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドであるのが好ましい。
本発明によれば、実製品のフレキシブルプリント配線板の下地金属層と樹脂フィルムとの界面における密着強度を正しく評価することの可能な銅張積層板の密着強度評価サンプルを作製できる。
樹脂フィルム上に形成される銅めっき被膜の硬さ/柔らかさと、銅めっき被膜の端部を90度上方に引き上げたときの銅めっき被膜の折り曲げ部の曲率半径の大小との関係を模式的に示す説明図で、(a)は銅めっき被膜が硬い場合において、銅めっき被膜の端部を90度上方に引き上げたときの銅めっき被膜の折り曲げ部の状態を示す図、(b)は銅めっき被膜が柔らかい場合において、銅めっき被膜の端部を90度上方に引き上げたときの銅めっき被膜の折り曲げ部の状態を示す図である。 銅めっき被膜の形成と水洗とを交互に繰り返すことによって所定厚さに形成した銅めっき被膜と、水洗を行わずに連続的に銅めっき被膜の形成を行うことによって所定厚さに形成した銅めっき被膜の夫々における、二次イオン質量分析法(SIMS)による銅めっき被膜中の深さ方向の硫黄濃度分布を示すグラフである。 めっき電流密度と、めっき被膜中の硫黄濃度との関係を示すグラフである。 銅めっき被膜を90度上方に引張ったときの銅めっき被膜の断面の中央より表面側と、ポリイミドフィルム側と、の夫々における被膜に働く力の方向を模式的に示す説明図である。 試料3の銅張積層板の密着強度評価サンプルの断面の結晶構造を示すSIM(:Scanning Ion Microscope、走査イオン顕微鏡)画像である。 試料4の銅張積層板の密着強度評価サンプルの断面の結晶構造を示すSIM(:Scanning Ion Microscope、走査イオン顕微鏡)画像である。
次に、本発明の実施形態を説明する。
本発明の一実施形態に係る銅張積層板の密着強度評価サンプルの作製方法は、樹脂フィルムと(下地金属層と銅薄膜層とからなる)金属層とで構成された基材と、基材の片面に形成された銅めっき被膜を有する銅張積層板に対して、バッチ方式の電解銅めっき装置を用いて銅めっき被膜の表面にさらに銅めっき被膜を形成し、銅めっき層を厚くする。
銅張積層板は、基材と、基材の片面に形成された銅めっき被膜からなる。銅めっき被膜は電解銅めっきにより成膜される。したがって、銅めっき被膜を形成する対象となる基材は、銅めっき被膜が成膜される側の表面に導電性を有する素材であればよい。例えば、銅めっき被膜を形成する対象となる基材は、絶縁性を有するベースフィルムの表面に金属層が形成されたものである。ベースフィルムとしては、ポリイミドフィルムなどの樹脂フィルムを用いることができる。金属層は、例えば、スパッタリング法により形成される、下地金属層と銅薄膜層とからなる。下地金属層と銅薄膜層とは、ベースフィルムの表面に順に積層される。一般に、下地金属層は、ニッケル、クロム、またはニッケルクロム合金からなる。この金属層と銅めっき被膜とにより導体層が構成される。
銅張積層板の製造における銅めっき被膜は、特に限定されないが、一般に、ロールツーロール方式の電解銅めっき装置を用いて形成される。
ロールツーロール方式のめっき装置は、長尺帯状の基材を搬送しながら、基材に対して電解銅めっきを行なう装置であり、ロール状に巻回された基材を繰り出す供給装置と、電解銅めっき後の基材(銅張積層板)をロール状に巻き取る巻取装置とを有する。基材の搬送経路には、前処理槽、めっき槽、および後処理槽が配置されている。めっき槽は、基材の搬送経路上に複数槽並んでおり、めっき槽間には水洗設備が設けられている。そして、基材は各めっき槽を順次搬送されていくことにより、電解銅めっきによる銅めっき被膜の形成と、めっき槽間での水洗とが交互に行われながら、銅めっき被膜が厚膜化されて、長尺帯状の銅張積層板が得られる。
銅めっき液は、水溶性銅塩を含む。銅めっき液に一般的に用いられる水溶性銅塩であれば、特に限定されず用いることができる。銅めっき液に用いる水溶性銅塩としては、無機銅塩、アルカンスルホン酸銅塩、アルカノールスルホン酸銅塩、有機酸銅塩などが挙げられる。銅めっき液に用いる無機銅塩としては、硫酸銅、酸化銅、塩化銅、炭酸銅などが挙げられる。銅めっき液に用いるアルカンスルホン酸銅塩としては、メタンスルホン酸銅、プロパンスルホン酸銅などが挙げられる。銅めっき液に用いるアルカノールスルホン酸銅塩としては、イセチオン酸銅、プロパノールスルホン酸銅などが挙げられる。銅めっき液に用いる有機酸銅塩としては、酢酸銅、クエン酸銅、酒石酸銅などが挙げられる。
また、銅めっき液に用いる水溶性銅塩としては、無機銅塩、アルカンスルホン酸銅塩、アルカノールスルホン酸銅塩、有機酸銅塩などから選択された1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、硫酸銅と塩化銅とを組み合わせる場合のように、無機銅塩、アルカンスルホン酸銅塩、アルカノールスルホン酸銅塩、有機酸銅塩などから選択された1つのカテゴリー内の異なる2種類以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、銅めっき液の管理の観点からは、1種類の水溶性銅塩を単独で用いることが好ましい。
また、銅めっき液は、硫酸を含んでもよい。硫酸の添加量を調整することで、銅めっき液のpHおよび硫酸イオン濃度を調整できる。
また、銅めっき液は、一般的にめっき液に添加される添加剤を含む。銅めっき液に添加する添加剤としては、レベラー成分、ポリマー成分、ブライトナー成分、塩素成分などが挙げられる。また、銅めっき液に添加する添加剤としては、レベラー成分、ポリマー成分、ブライトナー成分、塩素成分などから選択された1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
レベラー成分は、窒素を含有するアミンなどで構成される。銅めっき液に添加するレベラー成分としては、特に限定されないが、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ヤヌス・グリーンBなどが挙げられる。銅めっき液に添加するポリマー成分としては、特に限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体から選択された1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。銅めっき液に添加するブライトナー成分としては、特に限定されないが、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(略称SPS)、3−メルカプトプロパン−1−スルホン酸(略称MPS)などから選択された1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。銅めっき液に添加する塩素成分としては、特に限定されないが、塩酸、塩化ナトリウムなどから選択された1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。
銅めっき液の各成分の含有量は、任意に選択できる。ただし、銅めっき液は、銅を15〜70g/L、硫酸を20〜250g/L含有することが好ましい。そのようにすれば、銅めっき被膜を十分な速度で成膜できる。また、銅めっき液は、レベラー成分を1〜300mg/L含有することが好ましい。そのようにすれば、突起を抑制し平坦な銅めっき被膜を形成できる。また、銅めっき液は、ポリマー成分を10〜1,500mg/L含有することが好ましい。そのようにすれば、基材端部への電流集中を緩和し均一な銅めっき被膜を形成できる。また、銅めっき液は、ブライトナー成分を1〜50mg/L含有することが好ましい。そのようにすれば、析出結晶を微細化し銅めっき被膜の表面を平滑にできる。また、銅めっき液は、塩素成分を20〜80mg/L含有することが好ましい。そのようにすれば、異常析出を抑制できる。
銅めっき液の温度は、20〜35℃が好ましい。また、めっき槽内の銅めっき液を撹拌することが好ましい。銅めっき液を撹拌する手段は、特に限定されないが、噴流を利用した手段を用いることができる。例えば、ノズルから噴出させた銅めっき液を基材に吹き付けることで、銅めっき液を撹拌できる。
めっき槽の内部には、基材の搬送方向に沿って複数のアノードが配置されている。アノードと基材との間に電流を流すことで、基材の表面に銅めっき被膜を成膜できる。
めっき槽の内部に配置された複数のアノードは、それぞれに整流器が接続されており、アノードごとに所望の電流密度を設定できるようになっている。
上述のロールツーロール方式の電解銅めっき装置を用いた銅めっき被膜の形成工程を経て形成される銅張積層板の銅めっき被膜の厚さは、一般的に2μm程度であり、密着強度評価には薄すぎる。そして、銅張積層板をそのまま密着強度評価に用いたのでは、密着強度の測定中に銅めっき被膜が破断や裂断をしてしまい、測定ができない。そこで、密着強度評価に適した厚さ8〜12μmになるまで、銅張積層板の銅めっき被膜の表面に、バッチ方式の電解銅めっき装置により銅めっき被膜を形成する。バッチ方式の電解銅めっき装置による銅めっき被膜の形成に用いるめっき液成分や組成は、上述のロールツーロール方式の電解銅めっき装置やセミアディティブ用の電解銅めっき装置を用いた銅めっき被膜の形成におけるものと同じである。ただし、バッチ方式の電解銅めっきでは、ロールツーロール方式の電解銅めっき装置やセミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機のように銅めっき被膜の形成と水洗とを交互に繰り返すことはなく、めっきの開始から終了までめっき槽に浸漬され連続して電解銅めっきが施されるのが一般的である。
ここで、本発明者が、鋭意検討の結果、銅めっき被膜の形成と水洗とを交互に繰り返すと、銅めっき被膜中に硫黄が取り込まれて、被膜中の硫黄濃度が増加することが判明した。図2は銅めっき被膜の形成と水洗とを交互に繰り返すことによって所定厚さに形成した銅めっき被膜と、水洗を行わずに連続的に銅めっき被膜の形成を行うことによって所定厚さに形成した銅めっき被膜の夫々における、二次イオン質量分析法(SIMS)による銅めっき被膜中の深さ方向の硫黄濃度分布を示すグラフである。図2に示すとおり、銅めっき被膜の形成中に水洗がない場合、硫黄濃度は2〜8×1017atoms/cmであるのに対し、銅めっき被膜の形成と水洗を交互に行うようにして、6回の水洗を行うと、各回の水洗直後の硫黄濃度が、図2のグラフにおける6つの山部で示されるように、3〜9×1019atoms/cmに増加する。
一方、銅めっき被膜中の硫黄濃度と被膜硬度には相関関係があり、硫黄濃度が高いほど銅めっき被膜の硬度が増す傾向があることが知られている(上野;表面技術、63(4)227(2012)の図5(a)に示されているSPS濃度と結晶粒径の関係、および、小谷、山本、永山、中村;京都市産業技術研究所 研究報告 No.5、43(2015)の図5(a)に示されている結晶粒径と硬度の関係を参照)。
従って、ロールツーロール方式の電解銅めっき装置やセミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いた、銅めっき被膜の形成においては、銅めっき被膜の形成と水洗とが交互に行われて、被膜中の硫黄濃度が高くなることから、硬い被膜が形成される。一方、密着強度評価用のバッチ方式の電解銅めっき装置を用いた、銅めっき被膜の形成においては、めっき槽に浸漬したままの連続めっき処理で銅めっき被膜の形成が行われ、被膜中の硫黄濃度が低くなることから、柔らかい被膜が形成される。このように、両者の銅めっき被膜の形成手法により形成される銅めっき被膜は、被膜の硬さが異なる。このため、バッチ方式の電解銅めっきで銅めっき被膜を厚くして行う銅張積層板の密着強度評価では、セミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いて、銅めっき被膜を形成した実製品のフレキシブルプリント配線板の密着強度を正確に評価できていない虞がある。
ところで、図3に示すように、めっき電流密度が低いほど被膜中の硫黄濃度が高く、めっき電流密度が高いと被膜中の硫黄濃度が低くなる。
そこで、本発明者は、セミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いて銅めっき被膜が形成された実製品のフレキシブルプリント配線板の密着強度評価のために、銅張積層板の表面に評価用のバッチ方式の電解銅めっき装置を用いて銅めっき被膜を形成するときに、めっき電流密度が低いほど被膜中の硫黄濃度が高くなる特性を用いて、バッチ方式の電解銅めっき装置を用いた連続めっきでも、セミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いためっき槽間の水洗による硫黄濃度増加と同じ効果を有するよう、銅めっき被膜の最表面に低電流密度による硬い層を形成することで、セミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いて製造した実製品のフレキシブルプリント配線板と同じ密着強度評価を行うことができることを着想し、本発明の銅張積層板の密着強度評価サンプルの作製方法を導出するに至った。
銅めっき被膜を90度上方に引張ると、図4に示すように、銅めっき被膜の断面の中央より表面側では被膜に対し縮む方向に力が働き、ポリイミドフィルム側では被膜に対し伸びる方向に力が働く。
また、上述のように、高電流密度で形成した銅めっき被膜は、被膜中の硫黄濃度が低く、柔らかいので、伸び縮みし易い。一方、低電流密度で形成した銅めっき被膜は、被膜中の硫黄濃度が高く、硬いので、伸び縮みし難い。
このため、銅めっき被膜の表層に高電流密度で柔らかい被膜を形成すると、90度上方に引張ったときの曲率半径は小さくなる。一方、銅めっき被膜の表層に低電流密度で硬い被膜を形成すると、90度上方に引張ったときの曲率半径は大きくなる。
本発明の銅張積層板の密着強度評価サンプルの作製方法のように、評価用のバッチ方式の電解銅めっき装置を用いた銅めっき被膜の形成において、銅めっき被膜の表層に低電流密度で硬い被膜を形成すると、セミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いて形成した銅めっき被膜を90度上方に引張ったときの曲率半径と同程度になるようにすることが可能となる。
次に、本発明の実施例を説明する。
(実機めっき試料の密着強度評価)
試料1
まず、セミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いて試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルを作製し、作製した試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルの密着強度を測定した。
詳しくは、次の手順で、試料1の銅張積層板を作製した。まず、長尺帯状ベースフィルムとして、厚さ35μmのポリイミドフィルム(宇部興産社製 Upilex−35SGAV1)を準備した。次に、ベースフィルムを、その内部にニッケルクロム合金ターゲットと銅ターゲットとが設置されているマグネトロンスパッタリング装置にセットした。なお、ニッケルクロム合金ターゲットは、Crが20質量%、Niが80質量%で組成されたものを用いた。マグネトロンスパッタリング装置により、真空雰囲気下で、ベースフィルムの片面に、厚さ250Åのニッケルクロム合金からなる下地金属層を形成し、その上に厚さ1,500Åの銅薄膜層を形成した。
次に、銅めっき液を調整した。銅めっき液は、銅を30g/L、硫酸を70g/L、レベラー成分を50mg/L、ポリマー成分を1,100mg/L、ブライトナー成分を15mg/L、塩素成分を50mg/L含有させた。なお、レベラー成分としては、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−二酸化硫黄共重合体(ニットーボーメディカル株式会社製 PAS−A―5)を用いた。また、ポリマー成分としては、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体(日油株式会社製 ユニルーブ50MB−11)を用いた。また、ブライトナー成分としては、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(RASCHIG GmbH社製の試薬)を用いた。また、塩素成分としては、塩酸(和光純薬工業株式会社製の35%塩酸)を用いた。
上記のように調整した銅めっき液が貯留されたロールツーロール方式の電解銅めっき装置における供給装置に、長尺帯状ベースフィルムに下地金属層と銅薄膜層を形成しロール状に巻回された基材をセットして、以下の前処理、めっき、後処理を施して、ロール状に巻回された銅めっき被膜を有する銅張積層板を得た。
ロールツーロール方式の電解銅めっき装置には、基材の搬送経路上に7槽のめっき槽が並ぶとともに、めっき槽間には水洗設備が設けられたものを用いた。そして、基材を各めっき槽に順次搬送して行くことにより、電解めっきによる銅めっき被膜の形成と、めっき槽間での水洗とを交互に行いながら、銅厚2.0μmの銅めっき被膜を形成し、長尺帯状の銅張積層板を得た。なお、銅めっき液の温度は、31℃に設定した。また、電解銅めっきの間、ノズルから噴出させた銅めっき液を基材の表面に対して略垂直に吹き付けることで、銅めっき液を撹拌した。
また、電解銅めっきにおけるめっき処理条件は、1槽目の電解めっき処理は電流密度0.5A/dmでめっき時間30秒、2槽目の電解めっき処理は電流密度1.0A/dmでめっき時間30秒、3槽目の電解めっき処理は電流密度1.5A/dmでめっき時間30秒、4槽目の電解めっき処理は電流密度3.0A/dmでめっき時間30秒、5〜7槽目の電解めっき処理は夫々電流密度4.0A/dmでめっき時間30秒とするとともに、各槽間での水洗処理時間を5秒間とした。
次に、ロールツーロール方式の電解銅めっき装置を用いて得た銅張積層板における銅めっき被膜の表面に、6.0μmの銅めっき被膜をセミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いて形成した。セミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いた電解めっきにおいて、1〜5槽目の電解めっき処理条件は、各々の槽で電流密度5.5A/dmでめっき時間1分とし、各槽間での水洗処理時間を5秒間とした。このようにして、厚さ2.0μmの銅めっき被膜と、厚さ6.0μmの銅めっき被膜とにより、合計銅厚8.0μmの銅被膜を有する試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルを得た。
上述の手順で得た試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルに、密着強度測定のための配線加工を施した。詳しくは、試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルの表面に感光性レジストを貼り付け、その上に1mm×30mmのパターンが5本並んだマスクを置いて、露光機により露光した後、現像により上述のレジストパターンを有するレジストマスクを形成した。次に、塩化第二鉄のエッチング液により、レジストマスクから露出する部分を溶解した後、レジストマスクを水酸化ナトリウムにより溶解除去した。これにより、試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルに密着強度測定用の1mm×30mmの配線パターンが5本形成された。次に、株式会社島津製作所製 引張試験機AGS−J 500Nを用いて、夫々の配線パターンの一端をチャックし、引き剥がし方向の角度90度、引き剥がし速度50mm/秒で引き剥がしを行い、下地金属層と樹脂フィルムとの界面における密着強度を測定した。
試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルの密着強度の測定結果を表1に示す。なお、表1中の密着強度には、銅張積層板の密着強度評価サンプルに形成した、5本の配線パターンの引き剥がしを行うことによって測定した5点の密着強度のうち、最大値と最小値を除いた3点の密着強度の平均値を用いた。
表1に示すとおり、セミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いて形成した実製品のフレキシブルプリント配線板と同等の製造条件で得た試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルの密着強度は、銅厚8.0μmにおいて、602N/mであった。
(バッチめっき試料の密着強度評価)
試料2〜6
次に、バッチ方式の電解銅めっき装置を用いて作製した試料の密着強度評価を実施した。
試料2
まず、試料1と同様の条件、方法で作製した銅厚2.0μmの銅張積層板を30cm×30cmに切り出した。
次に、切り出した銅張積層板をバッチ方式の電解銅めっき装置の治具に取り付けて、銅めっき槽に設置し、電流密度5.5A/dmのみでめっき時間5分のめっきを施して、銅張積層板における銅めっき被膜の表面に、厚さ6.0μmの銅めっき被膜を形成し、合計銅厚8.0μmの銅被膜を有する試料2の銅張積層板の密着強度評価サンプルを得た。
試料3
試料1と同様の条件、方法で作製した銅厚2.0μmの銅張積層板を30cm×30cmに切り出し、切り出した銅張積層板を試料2と同様の方法で銅めっき槽に設置し、電流密度5.5A/dmでめっき時間3分のめっきを施して、銅張積層板における銅めっき被膜の表面に、厚さ3.5μmの銅めっき被膜を形成した後、続けて電流密度1.0A/dmでめっき時間12分間のめっきを施して、厚さ2.5μmの銅めっき被膜を形成し、合計銅厚8.0μmの銅被膜を有し、表層が電流密度1.0A/dmの低電流密度で形成された銅めっき被膜層で構成された試料3の銅張積層板の密着強度評価サンプルを得た。
試料4
試料1と同様の条件、方法で作製した銅厚2.0μmの銅張積層板を30cm×30cmに切り出し、切り出した銅張積層板を試料2と同様の方法で銅めっき槽に設置し、電流密度1.0A/dmでめっき時間12分のめっきを施して、銅張積層板における銅めっき被膜の表面に、厚さ2.5μmの銅めっき被膜を形成した後、続けて電流密度5.5A/dmでめっき時間3分のめっきを施して、厚さ3.5μmの銅めっき被膜を形成し、合計銅厚8.0μmの銅被膜を有し、表層が電流密度5.5A/dmの高電流密度で形成された銅めっき被膜層で構成され、中間層が電流密度1.0A/dmの低電流密度で形成された銅めっき被膜層で構成された試料4の銅張積層板の密着強度評価サンプルを得た。
試料5
試料1と同様の条件、方法で作製した銅厚2.0μmの銅張積層板を30cm×30cmに切り出し、切り出した銅張積層板を試料2と同様の方法で銅めっき槽に設置し、電流密度5.5A/dmでめっき時間3分のめっきを施して、銅張積層板における銅めっき被膜の表面に、厚さ3.5μmの銅めっき被膜を形成した後、続けて電流密度1.5A/dmでめっき時間8分のめっきを施して、厚さ2.5μmの銅めっき被膜を形成し、合計銅厚8.0μmの銅被膜を有し、表層が電流密度1.5A/dmの低電流密度で形成された銅めっき被膜層で構成された試料5の銅張積層板の密着強度評価サンプルを得た。
試料6
試料1と同様の条件、方法で作製した銅厚2.0μmの銅張積層板を30cm×30cmに切り出し、切り出した銅張積層板を試料2と同様の方法で銅めっき槽に設置し、電流密度1.0A/dmでめっき時間28分のめっきを施して、銅張積層板における銅めっき被膜の表面に、厚さ6.0μmの銅めっき被膜を形成し、合計銅厚8.0μmの銅被膜を有し、表層及び中間層(即ち、厚さ6.0μmの銅めっき被膜における層方向の全位置)が電流密度1.0A/dmの低電流密度で形成された銅めっき被膜層で構成された試料6の銅張積層板の密着強度評価サンプルを得た。
上述の手順で得た試料2〜6の銅張積層板の密着強度評価サンプルに、試料1と同様の方法で、配線加工を施した後、下地金属層と樹脂フィルムとの界面における密着強度を測定した。
試料2〜6の銅張積層板の密着強度評価サンプルの、低電流密度で形成された銅めっき被膜層の層方向における位置、電流密度、密着強度の測定結果、バッチ方式の電解銅めっき装置を用いた銅めっき被膜の形成に要しためっき時間を表2に示す。なお、表2中の密着強度には、銅張積層板の密着強度評価サンプルに形成した、5本の配線パターンの引き剥がしを行うことによって測定した5点の密着強度のうち、最大値と最小値を除いた3点の密着強度の平均値を用いた。
表2に示すとおり、バッチ方式の電解銅めっき装置を用いて形成した厚さ6.0μmの銅めっき被膜における層方向におけるいずれの位置にも、低電流密度で形成された銅めっき被膜層が存在しない試料2の銅張積層板の密着強度評価サンプルでは、密着強度が565N/mとなり、セミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いて形成した実製品のフレキシブルプリント配線板と同等の製造条件で得た試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルの密着強度(602N/m)と差異が生じた。
一方、バッチ方式の電解銅めっき装置を用いて形成した厚さ6.0μmの銅めっき被膜の表層に電流密度1.0A/dmの低電流密度で形成された銅めっき被膜層が存在する試料3の銅張積層板の密着強度評価サンプルでは、密着強度が608N/mとなり、セミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いて形成した実製品のフレキシブルプリント配線板と同等の製造条件で得た試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルと同等の密着強度を得た。
また、バッチ方式の電解銅めっき装置を用いて形成した厚さ6.0μmの銅めっき被膜における、電流密度1.0A/dmの低電流密度で形成された銅めっき被膜層の層方向における位置が、試料3の銅張積層板の密着強度評価サンプルとは異なる(「中間層」))試料4の銅張積層板の密着強度評価サンプルでは、密着強度が561N/mとなり、セミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いて形成した実製品のフレキシブルプリント配線板と同等の製造条件で得た試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルと同等の密着強度は得られなかった。
また、バッチ方式の電解銅めっき装置を用いて形成した厚さ6.0μmの銅めっき被膜における、低電流密度で形成された銅めっき被膜層の層方向における位置は試料3の銅張積層板の密着強度評価サンプルと同じ(「表層」)であるものの、低電流密度の数値が1.5A/dmで、試料3の銅張積層板の密着強度評価サンプルを製造した際の銅めっき被膜形成のための電流密度1.0A/dmよりも0.5A高い、試料5の銅張積層板の密着強度評価サンプルでは、密着強度が571N/mとなり、セミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いて形成した実製品のフレキシブルプリント配線板と同等の製造条件で得た試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルと同等の密着強度は得られなかった。
また、バッチ方式の電解銅めっき装置を用いて形成した厚さ6.0μmの銅めっき被膜における層方向の全位置(即ち、密着強度評価サンプルに形成される全ての銅被膜における「表層」及び「中間層」の位置)に電流密度1.0A/dmの低電流密度で形成された銅めっき被膜層が存在する試料6の銅張積層板の密着強度評価サンプルでは、密着強度が671N/mと高くなり過ぎてしまい、セミアディティブ用の電解銅めっき装置の実機を用いて形成した実製品のフレキシブルプリント配線板と同等の製造条件で得た試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルの密着強度(602N/m)と大きな差異が生じた。しかも、めっき時間が28分と長時間化し、生産性が低下することが認められる結果となった。
図5に、試料3の銅張積層板の密着強度評価サンプルの断面の結晶構造を、SIM(:Scanning Ion Microscope、走査イオン顕微鏡)画像で示す。試料3の銅張積層板の密着強度評価サンプルは、低電流密度で形成された銅めっき被膜層を表層に配置した銅張積層板の密着強度評価サンプルであるが、図5のSIM画像より、表層に細かい結晶が多数存在していることがわかる。低電流密度で形成されためっき被膜は、硫黄成分が多く取り込まれるため、結晶粒径が小さいままであり、硬い被膜であるという特徴をもつ。従って、試料3の銅張積層板の密着強度評価サンプルは、表層への低電流密度で形成された銅めっき層の配置により硬い被膜が表層に存在することによって、90度上方に引張ったときに表層の被膜が縮みにくいことから曲率半径が大きくなって、下地金属層と樹脂フィルムとの界面における密着強度が実機と同等の製造条件で得た試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルの下地金属層と樹脂フィルムとの界面における密着強度と同等の値を得ることができたと考えられる。
図6に、試料4の銅張積層板の密着強度評価サンプルの断面の結晶構造をSIM画像で示す。試料4の銅張積層板の密着強度評価サンプルは、低電流密度で形成された銅めっき被膜層を層方向における中間位置に配置した銅張積層板の密着強度評価サンプルであるが、図6のSIM画像より中間層に細かい結晶が多数存在していることがわかる。低電流密度の細かい結晶を持つ被膜は硬いものの、90度上方に引張ったときの被膜の伸び縮みがほどんど起きない被膜中央部(中間層)では、硬い被膜が存在しても、曲率半径を大きくすることに寄与しないため、密着強度が実機と同等の製造条件で得た試料1の銅張積層板の密着強度評価サンプルの密着強度よりも低くなったと考えられる。
本発明の銅張積層板の密着強度評価サンプル作製方法は、銅張積層板の銅めっき厚が薄く、配線幅が微細である、フレキシブルプリント配線板の樹脂フィルムと下地金属層との界面における密着強度を評価することが求められる分野に有用である。

Claims (3)

  1. 樹脂フィルムと、下地金属層と、銅薄膜層と、厚さ2μm以下の銅めっき層とからなる銅張積層板の表面に、バッチ方式の電解銅めっきにより銅めっき層を、銅めっき層の厚さが8〜12μmとなるまで積層する密着強度評価サンプルの作製方法において、バッチ方式の電解銅めっきにより、電流密度3〜7A/dmで全銅厚の40〜50%の銅めっき層を形成し、次に電流密度0.8〜1.2A/dmで全銅厚の25〜35%の銅めっき層を形成することを特徴とする銅張積層板の密着強度評価サンプルの作製方法。
  2. 前記バッチ方式の電解銅めっきに、水溶性銅塩、硫酸、レベラー成分、ポリマー成分、ブライトナー成分、塩素成分を含む銅めっき液を用いることを特徴とする請求項1に記載の銅張積層板の密着強度評価サンプルの作製方法。
  3. 前記銅めっき液に含まれるブライトナー成分が、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドであることを特徴とする請求項1または2に記載の銅張積層板の密着強度評価サンプルの作製方法。
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