JP2021017472A - インク、インクセット、ならびにそれらを用いた印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、色相がニュートラルで且つ色濃度が高く、劣化時の変色が小さく、特にオゾンガス暴露後の変色が小さい水性インクの提供を課題とする。【解決手段】下記式(1)で表されるブラック染料、ブラウン染料及びフタロシアニン骨格を含むシアン染料を含むインク。【化1】(式(1)中、Zは置換基を有していても良いナフチル基を示す。R1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を示す。nは1または2の整数を表わす。)【選択図】なし
Description
本発明は、水性インク、そのインクを用いるインクジェット記録方法、及びそのインクが付着した記録メディアに関する。
インクジェットプリンタを用いる記録方法(インクジェット記録方法)は、カラー記録方法の1つである。インクジェット記録方法は、インクの小滴を発生させ、これを種々の記録メディア(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行う。この方法は、記録ヘッドと記録メディアとが直接接触しないため音の発生が少なく静かである。また、インクジェットプリンタの小型化、高速化が容易であるという特長を有する。このため、インクジェット記録方法は近年急速に普及し、今後とも大きな伸長が期待されている。筆記具及びインクジェット記録用途の水性インクとしては、一般に着色剤を水性媒体中に溶解したインクが用いられる。これらの水性インクには、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、通常は水溶性有機溶剤が添加されている。そして、これらのインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、記録メディア上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等の性能が要求される。また、着色剤としては、水及びインクに添加される水溶性有機溶剤への溶解度が高いものが望ましい。さらに、水性インクにより記録された画像には、耐水性、耐光性、耐ガス性(特に耐オゾン性)、耐湿性等の各種の堅牢性が求められる。
黒色インクはモノカラー及びフルカラー画像の両方に使用される重要なインクである。しかし、濃色域と淡色域の色相が共にニュートラルで且つ色濃度が高く、堅牢性にも優れた色素の開発は技術的に困難な点が多く、多大な研究開発が行われているがまだ十分な性能を有するものが少ない。そのため、一般には複数の多様な色素を混合して黒色インクを調製することが行われている。しかし複数の色素を混合してインクを調製すると、単一色素でインクを調製した場合に比べて、被記録材料によって色相が異なる、光やガスによる劣化や水による滲みによって特に変色が大きくなる、保存安定性の低下を招く等の問題が起こりやすく、発色性、色相、耐オゾン性、耐光性を兼ね備えた黒色インクが求められている。さらに、一般的に低濃度になるほど光やガスによる劣化や水による影響が大きくなることが知られており、黒色インクの中でも特に低濃度のグレーでの色相、耐オゾン性、耐光性を兼ね備えたグレーインクが求められている。
本発明は、色相がニュートラルで、劣化時の変色が小さく、特に耐光試験後の変色が小さい水性インクの提供を課題とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、特定のブラック染料、ブラウン染料及びフタロシアニン骨格を含むシアン染料を含むインクが、上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記1)〜13)に関する。
1)
下記式(1)で表されるブラック染料、ブラウン染料及びフタロシアニン骨格を含むシアン染料を含むインク。
1)
下記式(1)で表されるブラック染料、ブラウン染料及びフタロシアニン骨格を含むシアン染料を含むインク。
(式(1)中、Zは置換基を有していても良いナフチル基を示す。R1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を示す。nは1または2の整数を表わす。)
2)
上記ブラウン染料が、分子内にアゾ結合を有するブラウン染料である1)に記載のインク。
3)
上記ブラウン染料が、さらにトリアジン骨格を有する2)に記載のインク。
4)
上記ブラウン染料が、下記式(2)で表される1)〜3)のいずれか一項に記載のインク。
2)
上記ブラウン染料が、分子内にアゾ結合を有するブラウン染料である1)に記載のインク。
3)
上記ブラウン染料が、さらにトリアジン骨格を有する2)に記載のインク。
4)
上記ブラウン染料が、下記式(2)で表される1)〜3)のいずれか一項に記載のインク。
(式(2)中、Q1からQ8はそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;モノC1−C4アルキルウレイド基;ジC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルウレイド基;ベンゾイルアミノ基;ベンゼン環が、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基;ベンゼンスルホニルアミノ基;又は、ベンゼン環が、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表し、
Xは、C1−C8アルキレンジアミノ基;ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基;N−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたN−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;アミノC1−C6アルコキシC1−C6アルキルアミノ基;アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基;キシリレンジアミノ基;ピペラジン−1,4−ジイル基;C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基で置換されたピペラジン−1,4−ジイル基;及び、フェニレンジアミノ基;よりなる群から選択されるいずれかの基を表す。)
5)
上記フタロシアニン骨格を含むシアン染料が、下記式(3)で表される1)〜4)のいずれか一項に記載のインク。
Xは、C1−C8アルキレンジアミノ基;ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基;N−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたN−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;アミノC1−C6アルコキシC1−C6アルキルアミノ基;アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基;キシリレンジアミノ基;ピペラジン−1,4−ジイル基;C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基で置換されたピペラジン−1,4−ジイル基;及び、フェニレンジアミノ基;よりなる群から選択されるいずれかの基を表す。)
5)
上記フタロシアニン骨格を含むシアン染料が、下記式(3)で表される1)〜4)のいずれか一項に記載のインク。
(式(3)中、破線で表される環A〜Dは、それぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は窒素原子を1個若しくは2個含む6員環の含窒素複素芳香環を表し、窒素原子を1個若しくは2個含む6員環の含窒素複素芳香環の個数は、環A〜Dの4つのうち、平均値で0.00を超えて3.00以下であり、残りはベンゼン環である。EはC2−C6アルキレンを表し、Xは、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、モノC6−C10アリールアミノ基、ジC6−C10アリールアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、C1−C6アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基、及びC1−C6アルキルチオ基よりなる群から選択される1種類又は2種類以上の置換基を有してもよい、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基、ホスホノアニリノ基、スルホナフチルアミノ基、カルボキシナフチルアミノ基、又はホスホノナフチルアミノ基を表し、Rは水素原子;スルホ基;カルボキシ基;リン酸基;スルファモイル基;カルバモイル基;ヒドロキシ基;C1−C6アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C6アルキルアミノ基;ジC1−C6アルキルアミノ基;モノC6−C10アリールアミノ基;ジC6−C10アリールアミノ基;C1−C3アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;C1−C6アルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;C1−C6アルキルスルホニル基;又はアルキルチオ基;を表し、
基Yはフェニル基;又は6員含窒素複素芳香環基;を表し、
aは1以上6以下の整数を表し、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は平均値で1.00以上4.00未満である。)
6)
さらに、第2のブラック染料を含む1)〜5)のいずれか一項に記載のインク。
7)
インク中における、上記式(1)で表されるブラック染料の含有質量%が、0.01%〜3.5%である、1)〜6)のいずれか一項に記載のインク。
8)
上記式(1)で表されるブラック染料と、上記ブラウン染料の質量比が、23:77〜67:33の範囲である、1)〜7)のいずれか一項に記載のインク。
9)
上記式(1)で表されるブラック染料及び上記ブラウン染料の合計質量と、上記フタロシアニン骨格を含むシアン染料の質量との比が、1:3〜3:1の範囲である、1)〜8)のいずれか一項に記載のインク。
10)
さらに、インク調整剤として水溶性有機溶剤、防腐剤、pH調整剤のうち少なくともいずれかを含む1)〜9)のいずれか一項に記載のインク。
11)
1)〜10)のいずれか一項に記載のインクと、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクからなる群から選択される少なくともいずれかのインクとを含むインクセット。
12)
1)〜10)のいずれか一項に記載のインク、または11)に記載のインクセットを用い印刷した記録メディア。
13)
1)〜10)のいずれか一項に記載のインク、または11)に記載のインクセットを用いた印刷方法。
基Yはフェニル基;又は6員含窒素複素芳香環基;を表し、
aは1以上6以下の整数を表し、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は平均値で1.00以上4.00未満である。)
6)
さらに、第2のブラック染料を含む1)〜5)のいずれか一項に記載のインク。
7)
インク中における、上記式(1)で表されるブラック染料の含有質量%が、0.01%〜3.5%である、1)〜6)のいずれか一項に記載のインク。
8)
上記式(1)で表されるブラック染料と、上記ブラウン染料の質量比が、23:77〜67:33の範囲である、1)〜7)のいずれか一項に記載のインク。
9)
上記式(1)で表されるブラック染料及び上記ブラウン染料の合計質量と、上記フタロシアニン骨格を含むシアン染料の質量との比が、1:3〜3:1の範囲である、1)〜8)のいずれか一項に記載のインク。
10)
さらに、インク調整剤として水溶性有機溶剤、防腐剤、pH調整剤のうち少なくともいずれかを含む1)〜9)のいずれか一項に記載のインク。
11)
1)〜10)のいずれか一項に記載のインクと、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクからなる群から選択される少なくともいずれかのインクとを含むインクセット。
12)
1)〜10)のいずれか一項に記載のインク、または11)に記載のインクセットを用い印刷した記録メディア。
13)
1)〜10)のいずれか一項に記載のインク、または11)に記載のインクセットを用いた印刷方法。
本発明に係る、上記式(1)で表されるブラック染料、ブラウン染料及びフタロシアニン骨格を含むシアン染料を含むインクは、インクジェット記録用のインクとして好適に用いられ、さらに、インクジェット専用紙に記録した場合、演色性に優れ、且つ彩度が低く、高品位なグレーの色相を有し、特に耐光堅牢性に優れる。したがって、本発明のアゾ化合物若しくはその互変異性体又はそれらの塩を含むインク組成物は、インクジェット記録用グレーインクとして極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書においては、煩雑さを避けるため、「化合物」「その互変異性体」「その塩」の全てを含めて、「化合物」と簡略化して記載する場合がある。また、本発明において特に断りが無い限り、スルホ基及びカルボキシル基等の酸性官能基は遊離酸の形で表わす。
本明細書においては、煩雑さを避けるため、「化合物」「その互変異性体」「その塩」の全てを含めて、「化合物」と簡略化して記載する場合がある。また、本発明において特に断りが無い限り、スルホ基及びカルボキシル基等の酸性官能基は遊離酸の形で表わす。
[式(1)で表されるブラック染料]
上記インクは、上記式(1)で表されるブラック染料を含む。上記式(1)中、Zは置換基を有していても良いナフチル基を示す。R1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を示す。nは1または2の整数を表わす。
上記インクは、上記式(1)で表されるブラック染料を含む。上記式(1)中、Zは置換基を有していても良いナフチル基を示す。R1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を示す。nは1または2の整数を表わす。
上記置換基としては、特に限定は無いが、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲン基、シアノ基、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、置換基を有していても良い複素環基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していても良いアミド基等が挙げられる。
上記ハロゲン基としては、例えば、フッ素基、塩素基、臭素基、ヨウ素基等が挙げられる。
上記置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基における脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基等の直鎖アルキル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の分鎖アルキル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等が挙げられる。
上記置換基を有していても良い芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基等が挙げられる。
上記置換基を有していても良い複素環基における複素環基としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子からなる群から選択される少なくともいずれか原子を環構成成分として含む環が挙げられ、例えば、ピロール基、フラン基、チオフェン基、ピラゾール基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、チアゾール基、ベンゾチアゾール基、ナフトチアゾール基、チアジアゾール基、ベンゾチアジアゾール基、トリアゾール基、ベンゾトリアゾール基等が挙げられる。
上記置換基を有していても良いアルコキシ基におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
上記置換基を有していても良いアミノ基としては、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
上記置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、置換基を有していても良い複素環基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していても良いアミド基における置換基としては、特に限定は無いが、例えば、ヒドロキシ基、スルホ基、リン酸基、カルボキシ基、シアノ基等が挙げられる。
上記式(1)で表されるブラック染料における、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、カルバモイル基、置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良いアルコキシ基からなる群から選択されるいずれか基であることが好ましく、これらのうち、R1〜R4としては、置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基またはスルホ基を置換基として有するアルコキシ基であることがさらに好ましく、メチル基またはスルホ基を置換基として有するn−プロポキシ基であることが特に好ましく、R1、R3がそれぞれメチル基であり、かつ、R2、R4がそれぞれスルホ基を置換基として有するn−プロポキシ基である組合せが極めて好ましい。R5としては、水素原子または置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基であることが好ましく、置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基であることがさらに好ましく、メチル基であることが特に好ましい。R6としては、水素原子、シアノ基、カルバモイル基からなる群から選択されるいずれか基であることが好ましく、シアノ基であることがさらに好ましい。
上記置換基を有していても良いナフチル基としては、特に限定は無いが、例えば、ヒドロキシ基、スルホ基、リン酸基、カルボキシ基等を置換基として有しても良いナフチル基が挙げられる。該置換基を有していても良いナフチル基上の置換基数は、1〜5であることが好ましく、1〜4であることがさらに好ましく、2〜3であることが特に好ましく、3であることが極めて好ましい。該置換基を有していても良いナフチル基上の置換基数が2以上の場合、それら置換基は、それぞれ同じ、あるいは異なっていても良い。上記Zとしては、3つのスルホ基を置換基として有するナフチル基であることが好ましく、その置換位置は、ナフチル基のアゾ結合位置を1位とした場合、時計回りで、3位、5位、7位の組合せであることが特に好ましい。
上記式(1)で表されるブラック染料における、nは1または2の整数を表わし、1であることが好ましい。
上記式(1)で表されるブラック染料における、ヒドロキシ基及びスルホ基、あるいはカルボキシ基を有する場合はカルボキシ基、は、それぞれ遊離酸であっても、あるいは塩であっても良い。
上記、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基の塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、メチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラ−n−プロピルアンモニウム塩等のアンモニウム系塩等が挙げられ、上記遊離酸含め、上記インクの要求性能等に応じ任意で選択可能である。例えば、全て遊離酸からなる組合せ、全て1種の塩からなる組合せ、遊離酸と1種の塩からなる組合せ、遊離酸と2種以上の塩からなる組合せ、2種以上の塩からなる組合せ等であっても良く、遊離酸と1種の塩からなる組合せ、遊離酸と2種以上の塩からなる組合せ、2種以上の塩からなる組合せにおける、各組合せ比率は任意で設定して良い。
[ブラウン染料]
上記インクはブラウン染料を含む。該ブラウン染料としては、分子内にアゾ結合を有するブラウン染料であることが好ましく、分子内にアゾ結合とトリアジン骨格を有するブラウン染料であることがさらに好ましい。
上記インクはブラウン染料を含む。該ブラウン染料としては、分子内にアゾ結合を有するブラウン染料であることが好ましく、分子内にアゾ結合とトリアジン骨格を有するブラウン染料であることがさらに好ましい。
上記分子内にアゾ結合を有するブラウン染料としては、例えば、ダイレクトレッド84等が挙げられる。
上記分子内にアゾ結合とトリアジン骨格を有するブラウン染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブラウン195、特許5085129公報に記載のブラウン染料、特許5624051公報に記載のブラウン染料等が挙げられる。
上記ブラウン染料が、上記式(2)で表されることが特に好ましい。
上記式(2)中、Q1からQ8はそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;モノC1−C4アルキルウレイド基;ジC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルウレイド基;ベンゾイルアミノ基;ベンゼン環が、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基;ベンゼンスルホニルアミノ基;又は、ベンゼン環が、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表し、
Xは、C1−C8アルキレンジアミノ基;ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基;N−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたN−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;アミノC1−C6アルコキシC1−C6アルキルアミノ基;アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基;キシリレンジアミノ基;ピペラジン−1,4−ジイル基;C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基で置換されたピペラジン−1,4−ジイル基;及び、フェニレンジアミノ基;よりなる群から選択されるいずれかの基を表す。上記ハロゲン原子としては、上記と同じで良い。
Xは、C1−C8アルキレンジアミノ基;ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基;N−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたN−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;アミノC1−C6アルコキシC1−C6アルキルアミノ基;アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基;キシリレンジアミノ基;ピペラジン−1,4−ジイル基;C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基で置換されたピペラジン−1,4−ジイル基;及び、フェニレンジアミノ基;よりなる群から選択されるいずれかの基を表す。上記ハロゲン原子としては、上記と同じで良い。
上記Q1からQ8における、C1−C4アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の直鎖のもの;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。好ましい具体例としてはメチル、エチルが挙げられ、メチルが特に好ましい。
上記Q1からQ8における、C1−C4アルコキシ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられる。具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ等の直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。好ましい具体例としてはメトキシ、エトキシが挙げられ、メトキシが特に好ましい。
上記Q1からQ8における、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基としては、C1−C4アルコキシ基における任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。該置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。置換基の位置は特に制限されないが、同一の炭素原子に2つ以上の酸素原子が置換しないものが好ましい。具体例としては、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ等のヒドロキシC1−C4アルコキシ基;メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ等のC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;2−ヒドロキシエトキシエトキシ等のヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ等のカルボキシC1−C4アルコキシ基;2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ等のスルホC1−C4アルコキシ基;等が挙げられる。
上記Q1からQ8における、C1−C4アルキルカルボニルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、アセチルアミノ(メチルカルボニルアミノ)、エチルカルボニルアミノ、プロピルカルボニルアミノ、ブチルカルボニルアミノ等の直鎖のもの;イソプロピルカルボニルアミノ、t−ブチルカルボニルアミノ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
上記Q1からQ8における、カルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基の具体例としては、2−カルボキシエチルカルボニルアミノ、3−カルボキシプロピルカルボニルアミノ等のカルボキシC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;等が挙げられる。カルボキシ基の置換数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。
上記Q1からQ8における、モノC1−C4アルキルウレイド基としては、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖のものが挙げられる。該C1−C4アルキルの置換位置は特に制限されないが、「N’」に置換するのが好ましい。本明細書において、「モノC1−C4アルキルウレイド基」とは、「C1−C4アルキルNH−CO−NH−」基又は「H2N−CO−N(C1−C4アルキル)−」基を意味し、R1及びR8が結合するベンゼン環において、該ベンゼン環に直接結合する窒素原子を「N」、この窒素原子とカルボニル(CO)基を介して結合する窒素原子を「N’」として記載する。したがって、該C1−C4アルキルの置換位置としては前者が「N’」、後者が「N」である。具体例としては、N’−エチルウレイド、N’−プロピルウレイド、N’−ブチルウレイド等の直鎖のもの;N’−イソプロピルウレイド、N’−イソブチルウレイド、N’−t−ブチルウレイド等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
上記Q1からQ8における、ジC1−C4アルキルウレイド基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられる。該C1−C4アルキルの置換位置は特に制限されず、上記「モノC1−C4アルキルウレイド基」における置換位置に準じて「N」及び「N’」に1つずつ、又は「N’」に2つ置換したものが挙げられるが、後者が好ましい。また、2つの該C1−C4アルキルは、同一であっても異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。具体例としては、N’,N’−ジメチルウレイド、N’,N’−ジエチルウレイド、N’,N’−ジプロピルウレイド、N’,N’−ジブチルウレイド等の直鎖のもの;N’,N’−ジイソプロピルウレイド、N’,N’−ジイソブチルウレイド等の分岐のもの;等が挙げられる。
上記Q1からQ8における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたモノC1−C4アルキルウレイド基としては、上記モノC1−C4アルキルウレイド基における任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。該置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。置換基の位置は特に制限されないが、同一の炭素原子に窒素原子とヒドロキシ基とが置換しないものが好ましい。具体例としては、N’−2−ヒドロキシエチルウレイド、N’−3−ヒドロキシプロピルウレイド等のN’−モノ(ヒドロキシC1−C4アルキル)ウレイド基;N’−2−スルホエチルウレイド、N’−3−スルホプロピルウレイド等のN’−モノ(スルホC1−C4アルキル)ウレイド基;N’−カルボキシメチルウレイド、N’−2−カルボキシエチルウレイド、N’−3−カルボキシプロピルウレイド、N’−4−カルボキシブチルウレイド等のN’−モノ(カルボキシC1−C4アルキル)ウレイド基;等が挙げられる。
上記Q1からQ8における、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたジC1−C4アルキルウレイド基としては、上記ジC1−C4アルキルウレイド基における任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。該置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは2つである。置換基の位置は特に制限されないが、同一の炭素原子に窒素原子とヒドロキシ基とが置換しないものが好ましい。また、置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。具体例としては、N’,N’−ジ(2−ヒドロキシエチル)ウレイド、N’,N’−ジ(2−ヒドロキシプロピル)ウレイド、N’,N’−ジ(3−ヒドロキシプロピル)ウレイド等のN’,N’−ジ(ヒドロキシC1−C4アルキル)ウレイド基;N’,N’−ジ(3−スルホプロピル)ウレイド等のN’,N’−ジ(スルホC1−C4アルキル)ウレイド基;N’,N’−ジ(カルボキシメチル)ウレイド等のN’,N’−ジ(カルボキシC1−C4アルキル)ウレイド基;等が挙げられる。
上記Q1からQ8における、ベンゼン環が、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、塩素原子が特に好ましい。)、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたベンゾイルアミノ基としては、これらの置換基を1つ乃至3つ、好ましくは1又は2つ有するものが挙げられる。置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよいが、同一であるものが好ましい。具体例としては、2−クロロベンゾイルアミノ、4−クロロベンゾイルアミノ、2,4−ジクロロベンゾイルアミノ等のハロゲン原子置換ベンゾイルアミノ基;2−メチルベンゾイルアミノ、3−メチルベンゾイルアミノ、4−メチルベンゾイルアミノ等のC1−C4アルキル置換ベンゾイルアミノ基;2−ニトロベンゾイルアミノ、4−ニトロベンゾイルアミノ、3,5−ジニトロベンゾイルアミノ等のニトロ置換ベンゾイルアミノ基;2−スルホベンゾイルアミノ、4−スルホベンゾイルアミノ等のスルホ置換ベンゾイルアミノ基;2−カルボキシベンゾイルアミノ、4−カルボキシベンゾイルアミノ、3,5−ジカルボキシベンゾイルアミノ等のカルボキシ置換ベンゾイルアミノ基;等が挙げられる。
上記Q1からQ8における、ベンゼン環が、ハロゲン原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基としては、これらの置換基を1つ乃至3つ、好ましくは1つ又は2つ、より好ましくは1つ有するものが挙げられる。置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよい。具体例としては、2−クロロフェニルスルホニルアミノ、4−クロロフェニルスルホニルアミノ等のハロゲン原子置換フェニルスルホニルアミノ基;2−メチルフェニルスルホニルアミノ、4−メチルフェニルスルホニルアミノ、4−t−ブチルフェニルスルホニルアミノ等のC1−C4アルキル置換フェニルスルホニルアミノ基;2−ニトロフェニルスルホニルアミノ、3−ニトロフェニルスルホニルアミノ、4−ニトロフェニルスルホニルアミノ等のニトロ置換フェニルスルホニルアミノ基;3−スルホフェニルスルホニルアミノ、4−スルホフェニルスルホニルアミノ等のスルホ置換フェニルスルホニルアミノ基;3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ、4−カルボキシフェニルスルホニルアミノ等のカルボキシ置換フェニルスルホニルアミノ基;等が挙げられる。
上記のうち、Q1からQ8としては、水素原子;ハロゲン原子;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;スルホ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;C1−C4アルキルカルボニルアミノ基;が好ましい。これらの中でも、水素原子、メチル、エチル、t−ブチル、2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ、2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ;がより好ましい。特に好ましくは水素原子、メチル、3−スルホプロポキシが挙げられる。
上記式(2)において、Q1からQ8としては、少なくとも1つがスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であるものが好ましい。また、Q1からQ4がそれぞれ独立に、水素原子、C1−C4アルキル基、又はスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、且つQ1からQ4の少なくとも1つがスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基であり、Q5からQ8がそれぞれ独立に、水素原子又はC1−C4アルキル基であるものがより好ましい。また、Q1及びQ2の少なくとも一方がスルホプロポキシ基であり、Q3及びQ4の少なくとも一方がスルホプロポキシ基であり、Q5からQ8がC1−C4アルキル基であるものがさらに好ましい。また、Q1及びQ2の一方がスルホプロポキシ基、他方が水素原子又はスルホプロポキシ基であり、Q3及びQ4の一方がスルホプロポキシ基、他方が水素原子又はスルホプロポキシ基であり、Q5からQ8がメチル基であるものが特に好ましい。
上記Q1からQ8の置換位置は特に制限されないが、これらが置換するそれぞれのベンゼン環において、トリアジン環に結合する窒素原子の置換位置を1位、アゾ基の置換位置を4位として、Q1からQ4が2位、Q5からQ8が5位に置換するのが好ましい。
Xは、C1−C8アルキレンジアミノ基;ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基;N−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたN−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;アミノC1−C6アルコキシC1−C6アルキルアミノ基;アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基;キシリレンジアミノ基;ピペラジン−1,4−ジイル基;C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基で置換されたピペラジン−1,4−ジイル基;及び、フェニレンジアミノ基;よりなる群から選択されるいずれかの基を表す
上記C1−C8アルキレンジアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。炭素数の範囲としては通常C1−C8、好ましくはC2−C8、より好ましくはC2−C6、さらに好ましくはC2−C4である。具体例としては、エチレンジアミノ、1,3−プロピレンジアミノ、1,4−ブチレンジアミノ、1,5−ペンチレンジアミノ、1,6−ヘキシレンジアミノ、1,7−ヘプチレンジアミノ、1,8−オクチレンジアミノ等の直鎖のもの;2−メチル−1,3−プロピレンジアミノ、3−メチル−1,4−ブチレンジアミノ、4−メチル−1,6−ヘキシレンジアミノ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
上記ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基としては、上記C1−C8アルキレンジアミノ基における任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。該置換基の数は特に制限されないが、好ましくは1つ又は2つである。また、置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。具体例としては、2−ヒドロキシ−1,3−プロピレンジアミノ、2−ヒドロキシ−1,4−ブチレンジアミノ、3−ヒドロキシ−1,6−ヘキシレンジアミノ等のヒドロキシ置換C1−C8アルキレンジアミノ基;1−カルボキシエチレンジアミノ、1−カルボキシ−1,3−プロピレンジアミノ、1−カルボキシ−1,4−ブチレンジアミノ、1−カルボキシ−1,5−ペンチレンジアミノ、1,5−ジカルボキシ−1,5−ペンチレンジアミノ等のカルボキシ置換C1−C8アルキレンジアミノ基;等が挙げられる。
上記N−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基とは、C1−C6アルキレンジアミノ基の一方の窒素原子が、C1−C4アルキル基で置換されたものを意味する。本明細書においては、ジアミノ基のうちC1−C4アルキル基で置換された窒素原子を「N」と表記し、必要に応じて他方の窒素原子を「N’」と表記する。アルキレン部分の炭素数の範囲としては通常C1−C6、好ましくはC2−C4、特に好ましくはC2又はC3である。該C1−C4アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、N−メチルエチレンジアミノ基、N−エチルエチレンジアミノ基、N−プロピルエチレンジアミノ基、N−ブチルエチレンジアミノ基といったN−(直鎖C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;N−イソプロピルエチレンジアミノ基、N−イソブチルエチレンジアミノ基、N−sec−ブチルエチレンジアミノ基、N−t−ブチルエチレンジアミノ基等のN−(分岐鎖C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;等が挙げられる。
上記、アルキル部分がヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたN−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基とは、上記N−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基における、N−(C1−C4)アルキル基のアルキル部分の任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。置換基の位置は特に制限されないが、窒素原子とヒドロキシ基とが同一の炭素原子に置換しないものが好ましい。アルキレン部分の炭素数の範囲としては、好ましいものも含めて上記N−C1−C4アルキル−C1−C6アルキレンジアミノ基におけるのと同じ範囲が挙げられる。また、アルキル部分の炭素数の範囲としては通常C1−C4、好ましくはC2−C4、より好ましくはC2−C3である。該置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。また、置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。具体例としては、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミノ基、N−(3−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミノ基、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミノ基、N−(4−ヒドロキシブチル)エチレンジアミノ基等のN−ヒドロキシ置換C1−C4アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;N−(カルボキシメチル)エチレンジアミノ基、N−(2−カルボキシエチル)エチレンジアミノ基、N−(3−カルボキシプロピル)エチレンジアミノ基、N−(4−カルボキシブチル)エチレンジアミノ基等のN−カルボキシ置換C1−C4アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;等が挙げられる。
上記、アミノC1−C6アルコキシC1−C6アルキルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。炭素数の範囲としては、通常、アミノC1−C6アルコキシC1−C6アルキルアミノ基、好ましくはアミノC2−C4アルコキシC2−C4アルキルアミノ基が挙げられ、特に好ましくはアミノC2−C3アルコキシC2−C3アルキルアミノ基が挙げられる。具体例としては、アミノエトキシエチルアミノ、アミノエトキシプロピルアミノ、アミノプロポキシプロピルアミノ、アミノエトキシペンチルアミノ等が挙げられる。
上記、アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。炭素数の範囲としては、通常、アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基、好ましくはアミノC2−C4アルコキシC2−C4アルコキシC2−C4アルキルアミノ基が挙げられ、特に好ましくはアミノC2−C3アルコキシC2−C3アルコキシC2−C3アルキルアミノ基が挙げられる。具体例としては、アミノエトキシエトキシエチルアミノ、アミノエトキシプロポキシエチルアミノ、アミノエトキシブトキシエチルアミノ等の直鎖のもの;アミノエトキシ(2−メチルエトキシ)エチルアミノ、アミノエトキシ(2−メチルプロポキシ)エチルアミノ等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
上記キシリレンジアミノ基としては、例えば、o−、m−、及びp−キシリレンジアミノ基が挙げられ、m−又はp−キシリレンジアミノ基が好ましい。
上記、C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基で置換されたピペラジン−1,4−ジイル基としては、ピペラジン環の環構成原子の任意の炭素原子に、これらの置換基を有するものが挙げられる。該置換基の数は、通常1つ又は2つ、好ましくは1つである。また、置換基を複数有するとき、その種類としては同一でも異なっていてもよいが、同一のものが好ましい。具体例としては、2−メチルピペラジン−1,4−ジイル基、2−エチルピペラジン−1,4−ジイル基、2,5−ジメチルピペラジン−1,4−ジイル基、2,6−ジメチルピペラジン−1,4−ジイル基、2,5−ジエチルピペラジン−1,4−ジイル基、2−メチル−5−エチルピペラジン−1,4−ジイル基;等が挙げられる。
上記フェニレンジアミノ基としては、o−、m−、及びp−フェニレンジアミノ基が挙げられ、m−又はp−フェニレンジアミノ基が好ましい。
上記のうち、Xとしては、C1−C8アルキレンジアミノ基;カルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシで置換されたN−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基;キシリレンジアミノ基;又は、ピペラジン−1,4−ジイル基;が好ましく挙げられる。より好ましくは、C2−C4アルキレンジアミノ基;カルボキシ基で置換されたC2−C6アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基で置換されたN−(C2−C3)アルキル−(C2−C3)アルキレンジアミノ基;アミノC2−C3アルコキシC2−C3アルコキシC2−C3アルキルアミノ基;m−又はp−キシリレンジアミノ基;又は、ピペラジン−1,4−ジイル基;が挙げられる。さらに好ましくは、C1−C8アルキレンジアミノ基;キシリレンジアミノ基;又は、ピペラジン−1,4−ジイル基;が挙げられる。これらのうち、好ましい具体例としては、1,2−エチレンジアミノ;1,3−プロピレンジアミノ;1,4−ブチレンジアミノ;1−カルボキシペンチレン−1,5−ジアミノ;N−2−ヒドロキシエチル−エチレンジアミノ;アミノエトキシエトキシエチルアミノ;m−キシリレンジアミノ;又は、ピペラジン−1,4−ジイル;が挙げられる。
上記式(2)において、それぞれ置換位置が特定されていない4つのスルホ基の置換位置は、特に制限されない。1つのアゾ結合を有するベンゼン環に置換したスルホ基は、該アゾ結合の置換位置を1位として、2位、3位、又は4位、好ましくは4位に置換するのがよい。
上記式(2)において、Q1〜Q4がそれぞれスルホプロポキシ基であり、Q5〜Q8がそれぞれメチル基であり、Xがピペラジン−1,4−ジイルであることが好ましく、さらに式(2)におけるXから最も距離が離れた4つのベンゼン環に置換する各スルホ基の置換位置が、それぞれのベンゼン環のアゾ結合部位に対して、いずれもパラ位に置換していることが好ましい。
上記式(2)で表される上記ブラウン染料の具体例としては、例えば、特許文献1に記載の化合物等が挙げられる。
上記インクは、フタロシアニン骨格を含むシアン染料を含む。該フタロシアニン骨格を含むシアン染料としては、例えば、C.I.Acid Blue 249、C.I.Direct Blue 86、87、199、特許文献7、特許文献8等に記載されたものが好ましく、中でも、最大吸収波長λmaxを560〜680nmの範囲であるフタロシアニン骨格を含むシアン染料であることがさらに好ましく、該フタロシアニン骨格を含むシアン染料が、上記式(3)で表されることが特に好ましい。上記インクは、フタロシアニン骨格を含むシアン染料を含むことにより、記録メディアに印刷した場合、中庸でかつ高品質なグレー印刷記録メディアを得ることを可能とする。
上記式(3)中、破線で表される環A〜Dは、それぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は窒素原子を1個若しくは2個含む6員環の含窒素複素芳香環を表し、窒素原子を1個若しくは2個含む6員環の含窒素複素芳香環の個数は、環A〜Dの4つのうち、平均値で0.00を超えて3.00以下であり、残りはベンゼン環である。EはC2−C6アルキレンを表し、Xは、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、モノC6−C10アリールアミノ基、ジC6−C10アリールアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、C1−C6アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基、及びC1−C6アルキルチオ基よりなる群から選択される1種類又は2種類以上の置換基を有してもよい、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基、ホスホノアニリノ基、スルホナフチルアミノ基、カルボキシナフチルアミノ基、又はホスホノナフチルアミノ基を表し、Rは水素原子;スルホ基;カルボキシ基;リン酸基;スルファモイル基;カルバモイル基;ヒドロキシ基;C1−C6アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C6アルキルアミノ基;ジC1−C6アルキルアミノ基;モノC6−C10アリールアミノ基;ジC6−C10アリールアミノ基;C1−C3アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;C1−C6アルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;C1−C6アルキルスルホニル基;又はアルキルチオ基;を表し、
基Yはフェニル基;又は6員含窒素複素芳香環基;を表し、
aは1以上6以下の整数を表し、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は平均値で1.00以上4.00未満である。
基Yはフェニル基;又は6員含窒素複素芳香環基;を表し、
aは1以上6以下の整数を表し、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は平均値で1.00以上4.00未満である。
上記インクは、上記式(1)で表されるブラック染料、上記ブラウン染料、上記フタロシアニン骨格を含むシアン染料以外に、第2のブラック染料を含んでいてもよく、上記式(1)で表されるブラック染料、上記ブラウン染料、上記フタロシアニン骨格を含むシアン染料、上記第2のブラック染料のいずれとも異なる構造を有する他のブラック染料をさらに含んでいても良い。
上記第2のブラック染料、上記他のブラック染料、としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック 19、38、168、フードブラック 2、特許第4630584号公報に記載のブラック染料、特許第4533136号公報に記載のブラック染料、特許第4517174号公報に記載のブラック染料、特許第4605635号公報に記載のブラック染料、特許第6218381号公報に記載のブラック染料、特開2017−061633号公報に記載のブラック染料、特許第5152966号公報に記載のブラック染料、特許第4764829号公報に記載のブラック染料、特許第4677403号公報に記載のブラック染料等が挙げられ、特許第4630584号公報に記載のブラック染料、特許第4533136号公報に記載のブラック染料、特許第4517174号公報に記載のブラック染料、特許第4605635号公報に記載のブラック染料、特許第6218381号公報に記載のブラック染料、特開2017−061633号公報に記載のブラック染料、特許第5152966号公報に記載のブラック染料、特許第4764829号公報に記載のブラック染料、特許第4677403号公報に記載のブラック染料等が好ましく、特許第4517174号公報に記載のブラック染料、特許第4605635号公報に記載のブラック染料、特許第6218381号公報に記載のブラック染料、特開2017−061633号公報に記載のブラック染料、特許第5152966号公報に記載のブラック染料、特許第4764829号公報に記載のブラック染料、特許第4677403号公報に記載のブラック染料等がさらに好ましく、特許第4764829号公報に記載のブラック染料、特許第4677403号公報に記載のブラック染料等が特に好ましい。
上記インクは、上記式(1)で表されるブラック染料、上記ブラウン染料及び上記フタロシアニン骨格を含むシアン染料以外に、その他の色を有する染料をさらに含んでいてもよい。そのような染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー 34、50、58、86、132、142、161、173、及びアシッドイエロー 17、23等のイエロー染料、特許第5663561号公報に記載のイエロー染料、WO2018−079442号に記載のイエロー染料;C.I.ダイレクトオレンジ 17、26、29、39、49等のオレンジ染料;C.I.ダイレクトレッド 62、75、79、80、89、225、226、227等のレッド染料等が挙げられる。これらの中ではイエロー染料が好ましい。
上記インク中における、上記式(1)で表されるブラック染料の含有質量%が、0.01%〜3.5%であることが好ましい。
上記インク中における、上記式(1)で表されるブラック染料と、上記ブラウン染料の質量比が、23:77〜67:33の範囲であることが好ましく、1:1〜1:3の範囲であることがさらに好ましく、1:1〜1:2の範囲であることが特に好ましく、1:1.2〜1:2の範囲であることが極めて好ましい。
上記式(1)で表されるブラック染料及び上記ブラウン染料の合計質量と、上記フタロシアニン骨格を含むシアン染料の質量との比が、1:3〜3:1の範囲であることが好ましく、1:2〜2:1の範囲であることがさらに好ましく、1.0:1.7〜1.7:1.0の範囲であることが特に好ましく、1.0:1.5〜1.5:1.0の範囲であることが極めて好ましい。
上記インクは、インク調製剤として水溶性有機溶剤、防腐剤、pH調整剤のうち少なくともいずれかを含んでいても良い。
上記水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及びトリメチロールプロパン等のC1−C6アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びN−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム;1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、及び1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類;アセトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン、及びエチレンカーボネート等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、及びジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、分子量400、800、1540又はそれ以上のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール又はジチオジグリコール等の、C2−C6アルキレン単位を有するモノ−、オリゴ−、及びポリ−アルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ジグリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール);γ−ブチロラクトン;及び、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
上記防腐剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、又は無機塩系等の化合物が挙げられる。また、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが好ましく挙げられる。
上記pH調整剤としては、調製されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHをおおよそ5〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;ケイ酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
上記インクは、上記インク調製剤以外に、その他添加剤をさらに含んでいても良い。その他添加剤としては、例えば、防黴剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、水、等が挙げられる。
上記防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。
上記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、及びウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
上記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、及びジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
上記水溶性紫外線吸収剤としては、例えば、スルホ化されたベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、及びトリアジン系化合物が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、アルコキシアニリン類、及びクロマン類等の複素環類等が挙げられる。
上記界面活性剤としては、例えば、アニオン、カチオン、ノニオン、両性、シリコーン系、フッ素系等の、公知の界面活性剤が挙げられる。これらの中ではノニオン、及びシリコーン系から選択される界面活性剤が好ましく、シリコーン系がより好ましい。アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型リン酸エステル、アルキル型リン酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;日信化学社製、商品名サーフィノール104、105、82、465、オルフィンSTG等;ポリグリコールエーテル系(例えばSIGMA−ALDRICH社製のTergitol 15−S−7等);等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性シロキサン類、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン類等が挙げられる。その一例としては、エアープロダクツジャパン社製のダイノール960、ダイノール980、日信化学工業株式会社製のシルフェイスSAG001、シルフェイスSAG002、シルフェイスSAG003、シルフェイスSAG005、シルフェイスSAG503A、シルフェイスSAG008、シルフェイスSAG009、シルフェイスSAG010、及びビックケミー・ジャパン社製のBYK−345、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−3455等が挙げられる。これらの中では、ビックケミー・ジャパン社製のBYKシリーズ等で知られるポリエーテル変性シロキサン類が好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、例えばDuPont社、オムノバ・ソリューションズ社、DIC株式会社、及びビックケミー・ジャパン社等から、様々な種類の製品を容易に購入することができる。
上記各インクは、上記の成分を混合して溶液とし、必要に応じてメンブランフィルター等で得られた溶液を濾過することにより得られる。インクジェット捺染用インクとしては、メンブランフィルター等で溶液を濾過する方が好ましい。メンブランフィルターの孔径は通常0.1μm〜1μm、好ましくは0.1μm〜0.5μmである。
上記各インクの25℃における粘度は、E型粘度計にて測定したときに3〜20mPa・s;プレート法にて測定したときに20〜40mN/m;の各範囲内であるのが好ましい。インクの粘度は上記の範囲で、プリンタの吐出量;応答速度;インク液滴の飛行特性;及び、インクジェットヘッドの特性;等を考慮し、適切な値に調整することができる。
上記インクと、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクからなる群から選択される少なくともいずれかのインクとを含むインクセットも本願発明に含まれる。
上記インクセットは、さらに、第2のブラックインク、第2のイエローインク、第2のマゼンタインク、第2のシアンインク、バイオレットインク、グリーンインク、オレンジインクからなる群から選択されるいずれかを含むことができる。
上記インク、上記インクセットを用い印刷した記録メディアも本願発明に含まれる。
上記記録メディアとしては、インク受容層を有するものと、有さないものとに大別される。上記インクジェット記録方法に用いる記録メディアとしては、これらのいずれも好ましい。具体的な記録メディアとしては、例えば、紙、フィルム、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。インク受容層は、インクを吸収してその乾燥を早める等の作用を目的として、記録メディアに設置される。インク受容層は、例えば上記記録メディアにカチオン系ポリマーを含浸又は塗工する方法;インク中の色素を吸収できる無機微粒子を、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に、記録メディアの表面に塗工する方法;等により設置される。上記インク中の色素を吸収し得る無機微粒子としては、多孔質シリカ、アルミナゾル、及び特殊セラミックス等が挙げられる。このようなインク受容層を有する記録メディアは、通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、光沢フィルム等と呼ばれる。インク受容層を有する記録メディアの代表的な市販品の例としては、キヤノン株式会社製、商品名プロフェッショナルフォトペーパー、キヤノン写真用紙・光沢プロ[プラチナグレード]、及び光沢ゴールド;セイコーエプソン株式会社製、商品名写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢);日本ヒューレット・パッカード株式会社製、商品名アドバンスフォト用紙(光沢);富士フイルム株式会社製、商品名画彩 写真仕上げPro;ブラザー工業株式会社製、商品名:写真光沢紙BP71G;等が挙げられる。また、インク受容層を有さない紙としては普通紙等が挙げられる。市販されている普通紙のうち、インクジェット記録用としては、両面上質普通紙(セイコーエプソン株式会社製);PB PAPER GF−500(キヤノン株式会社製);Multipurpose Paper、All−in−one Printing Paper(Hewlett Packard社製)等が挙げられる。また、プレーンペーパーコピー(PPC)用紙等も普通紙である。
上記インク、上記インクセットを用いた印刷方法も本願発明に含まれる。
上記した全ての成分、及び事項について、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。
本発明の上記式(1)で表されるブラック染料、ブラウン染料及びフタロシアニン骨格を含むシアン染料を含むインクは、例えばメンブランフィルターに対する濾過性が良好であるという特徴を有し、各種の記録メディアに記録したときに、非常に鮮明で、発色性、演色性に優れ、理想的な色相のグレー色の画像を与える。このため、写真画質のカラー画像を、記録メディアに忠実に再現させることもできる。本発明のインクはさらに、長期間保存後の固体析出、物性変化、色相変化等もなく、貯蔵安定性が極めて良好である。また、本発明のインクは、乾燥による固体の析出が非常に起こりにくく、このため、インクジェットプリンタの噴射器(記録ヘッド)の目詰まりを生じることがない。さらに本発明のインクは、比較的長い時間間隔においてインクを再循環させて使用する連続式インクジェットプリンタにおいても、オンデマンド式インクジェットプリンタによる断続的な使用においても、物理的性質の変化を起こさない。
本発明のインクを使用して、インク受容層を有する記録メディアに記録した画像は、耐光性、耐水性、耐湿性、耐擦性及び耐光性等の各種堅牢性、特に耐オゾン性が良好である。この理由から、写真画質で記録した画像の長期保存安定性も優れる。また、本発明のインクを使用して、インク受容層を有さない記録メディアに記録した画像は彩度、明度、及び印字濃度等の発色性も優れる。本発明の上記式(1)で表されるブラック染料、ブラウン染料及びフタロシアニン骨格を含むシアン染料を含むインクを用いたインク記録画像は、理想的なグレーの色相を表現しつつ、長時間光照射下においてもその色相を保つことを可能とする。複数の染料の配合による調色を行う場合、堅牢性試験前後で、色相が大きく変化することがあるが、本発明の上記インクを使用したインク記録画像は、a*、b*が0に近い理想的な色相を有し、かつ、耐光試験後における色相の変化が小さく、理想的なグレーを保持することができる。
本発明のインクを使用して、インク受容層を有する記録メディアに記録した画像は、耐光性、耐水性、耐湿性、耐擦性及び耐光性等の各種堅牢性、特に耐オゾン性が良好である。この理由から、写真画質で記録した画像の長期保存安定性も優れる。また、本発明のインクを使用して、インク受容層を有さない記録メディアに記録した画像は彩度、明度、及び印字濃度等の発色性も優れる。本発明の上記式(1)で表されるブラック染料、ブラウン染料及びフタロシアニン骨格を含むシアン染料を含むインクを用いたインク記録画像は、理想的なグレーの色相を表現しつつ、長時間光照射下においてもその色相を保つことを可能とする。複数の染料の配合による調色を行う場合、堅牢性試験前後で、色相が大きく変化することがあるが、本発明の上記インクを使用したインク記録画像は、a*、b*が0に近い理想的な色相を有し、かつ、耐光試験後における色相の変化が小さく、理想的なグレーを保持することができる。
以下に本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。また、実施例中で得た化合物の各構造式において、スルホ基等の酸性官能基は遊離酸の形で記載した。
[(A)式(1)で表されるブラック染料の合成]
[合成例1]
上記特許文献2の実施例4に記載の方法に従い、下記式(1−1)で表されるブラック染料を合成した。
[合成例1]
上記特許文献2の実施例4に記載の方法に従い、下記式(1−1)で表されるブラック染料を合成した。
[式(2)で表されるブラウン染料の合成]
上記特許文献1の実施例9に記載の方法に従い、下記式(2−1)で表されるブラウン染料を合成した。
上記特許文献1の実施例9に記載の方法に従い、下記式(2−1)で表されるブラウン染料を合成した。
[式(3)で表されるフタロシアニン骨格を含むシアン染料の合成]
上記特許文献5に記載の実施例9の方法に従い、下記式(3−1)で表されるフタロシアニン骨格を含むシアン染料を合成した。
上記特許文献5に記載の実施例9の方法に従い、下記式(3−1)で表されるフタロシアニン骨格を含むシアン染料を合成した。
[式(4−1)で表される化合物の合成]
上記特許文献4に記載の実施例8の方法に従い、下記式(4−1)で表される化合物を合成した。
上記特許文献4に記載の実施例8の方法に従い、下記式(4−1)で表される化合物を合成した。
[式(4−2)で表される化合物の合成]
上記特許文献6に記載の実施例2の方法に従い、下記式(4−2)で表される化合物を合成した。
上記特許文献6に記載の実施例2の方法に従い、下記式(4−2)で表される化合物を合成した。
[式(4−3)で表される化合物の合成]
上記特許文献3に記載の実施例1の方法に従い、下記式(4−3)で表される化合物を合成した。
上記特許文献3に記載の実施例1の方法に従い、下記式(4−3)で表される化合物を合成した。
[(B)水性インク組成物の調製]
[実施例1〜4及び比較例1〜6]
下記表6に記載した各成分を混合し、1時間撹拌して溶液とした後、0.45μmのメンブランフィルター(アドバンテック社製の商品名セルロースアセテート系濾紙)で濾過することにより、評価試験用の水性インク組成物を調製した。なお、下記表6中の各成分の数値は「部」を意味する。
[実施例1〜4及び比較例1〜6]
下記表6に記載した各成分を混合し、1時間撹拌して溶液とした後、0.45μmのメンブランフィルター(アドバンテック社製の商品名セルロースアセテート系濾紙)で濾過することにより、評価試験用の水性インク組成物を調製した。なお、下記表6中の各成分の数値は「部」を意味する。
下記表1中の略号等は、以下の意味を有する。また、各成分の数値は「部」である。
1−1:上記式(1−1)で表される化合物
2−1:上記式(2−1)で表される化合物
3−1:上記式(3−1)で表される化合物
4−1:上記式(4−1)で表される化合物
4−2:上記式(4−2)で表される化合物
4−3:上記式(4−3)で表される化合物
FBk2:C.I.Food Black 2
BDG:ブチルジグリコール
Gly:グリセリン
IPA:イソプロパノール
SF104:サーフィノール104PG−50
上記サーフィノール104PG−50とは、日信化学工業株式会社製サーフィノール104の50%プロピレングリコール溶液である。
1−1:上記式(1−1)で表される化合物
2−1:上記式(2−1)で表される化合物
3−1:上記式(3−1)で表される化合物
4−1:上記式(4−1)で表される化合物
4−2:上記式(4−2)で表される化合物
4−3:上記式(4−3)で表される化合物
FBk2:C.I.Food Black 2
BDG:ブチルジグリコール
Gly:グリセリン
IPA:イソプロパノール
SF104:サーフィノール104PG−50
上記サーフィノール104PG−50とは、日信化学工業株式会社製サーフィノール104の50%プロピレングリコール溶液である。
[(C)インクジェット記録]
実施例及び比較例のインクを、インクジェットプリンタ(キヤノン株式会社製、商品名:PIXUS ip7230)を用いて、下記の光沢紙にそれぞれインクジェット記録を行った。記録の際は、100%、85%、70%、55%、40%、25%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、濃グレー色〜淡グレー色のグラデーションの記録物を得た。これを試験片として以下の評価試験を実施した。
光沢紙:セイコーエプソン株式会社製、商品名:写真用紙
実施例及び比較例のインクを、インクジェットプリンタ(キヤノン株式会社製、商品名:PIXUS ip7230)を用いて、下記の光沢紙にそれぞれインクジェット記録を行った。記録の際は、100%、85%、70%、55%、40%、25%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、濃グレー色〜淡グレー色のグラデーションの記録物を得た。これを試験片として以下の評価試験を実施した。
光沢紙:セイコーエプソン株式会社製、商品名:写真用紙
[(D)色味の評価]
各試験片の100%濃度の階調部分について、色味を視感判定した。色味は下記2段階の基準で評価し、グレー色味のものを○、グレー以外のものを×とし、×については、下記表2中において、実際の色味を括弧内に記載した。
○:グレー
×:グレー以外
各試験片の100%濃度の階調部分について、色味を視感判定した。色味は下記2段階の基準で評価し、グレー色味のものを○、グレー以外のものを×とし、×については、下記表2中において、実際の色味を括弧内に記載した。
○:グレー
×:グレー以外
[(E)測色機と測色条件]
記録画像の測色は、X−rite社製の測色機(商品名Spectro EyeRTM)を用いて測色を行った。測色は濃度基準にDIN NB、視野角2度、光源D65の条件で行った。
記録画像の測色は、X−rite社製の測色機(商品名Spectro EyeRTM)を用いて測色を行った。測色は濃度基準にDIN NB、視野角2度、光源D65の条件で行った。
[(F)耐光性試験]
各試験片をホルダ−を用い、キセノンウェザオメータXL75[スガ試験機株式会社製]中に設置し、温度24℃、湿度60%RH、100klux照度で48時間照射した。各試験片の100%濃度の階調部分について、試験前後の反射濃度を測色した。得られた反射濃度から色素残存率を算出し、下記3段階の基準で評価した。色素残存率(%)は、高い方が優れ、特に90%以上の場合、耐光性に優れ、実用性を備えている。
○:試験後の残存率が90%以上
△:試験後の残存率が86%以上、90%未満
×:試験後の残存率が86%未満
各試験片をホルダ−を用い、キセノンウェザオメータXL75[スガ試験機株式会社製]中に設置し、温度24℃、湿度60%RH、100klux照度で48時間照射した。各試験片の100%濃度の階調部分について、試験前後の反射濃度を測色した。得られた反射濃度から色素残存率を算出し、下記3段階の基準で評価した。色素残存率(%)は、高い方が優れ、特に90%以上の場合、耐光性に優れ、実用性を備えている。
○:試験後の残存率が90%以上
△:試験後の残存率が86%以上、90%未満
×:試験後の残存率が86%未満
[(G)彩度の評価]
グレーの色相の品質を評価するため、各試験片の100%濃度の階調部分で測色した、a*、b*の値を評価した。得られたa*、b*の値から下記2段階の基準で評価した。
a*、b*の値は小さい方が無彩色で色味の無い高品質のグレーに近づくため優れる。
○:a*、b*いずれの値も±10以内である
×:a*、b*少なくともいずれかの値が±10を超える
グレーの色相の品質を評価するため、各試験片の100%濃度の階調部分で測色した、a*、b*の値を評価した。得られたa*、b*の値から下記2段階の基準で評価した。
a*、b*の値は小さい方が無彩色で色味の無い高品質のグレーに近づくため優れる。
○:a*、b*いずれの値も±10以内である
×:a*、b*少なくともいずれかの値が±10を超える
[(H)耐光試験後の彩度の評価]
各試験片をホルダ−を用い、キセノンウェザオメータXL75[スガ試験機株式会社製]中に設置し、温度24℃、湿度60%RH、100klux照度で48時間照射した。試験後のグレーの色相の品質を評価するため、各試験片の100%濃度の階調部分で測色した、a*、b*の値を評価した。得られたa*、b*の値から下記2段階の基準で評価した。
a*、b*の値は小さい方が無彩色で色味の無い高品質のグレーに近づくため優れる。
○:a*、b*いずれの値も±10以内
×:a*、b*少なくともいずれかの値が±10を超える
各試験片をホルダ−を用い、キセノンウェザオメータXL75[スガ試験機株式会社製]中に設置し、温度24℃、湿度60%RH、100klux照度で48時間照射した。試験後のグレーの色相の品質を評価するため、各試験片の100%濃度の階調部分で測色した、a*、b*の値を評価した。得られたa*、b*の値から下記2段階の基準で評価した。
a*、b*の値は小さい方が無彩色で色味の無い高品質のグレーに近づくため優れる。
○:a*、b*いずれの値も±10以内
×:a*、b*少なくともいずれかの値が±10を超える
上記表2の結果から明らかなように、各実施例のインクは、全ての試験項目に置いて非常に優れた結果を示した。一方、比較例は各試験項目のいずれかにおいて明らかに劣り、各実施例のインクは、高品質なグレー色味であり、かつ、優れた彩度と耐光性を兼ね備えた記録物を与えることが分かった。
本発明のインクはインクジェット記録用、筆記用具用等の各種記録用、特にインクジェット記録用のグレーインクとして好適である。
Claims (13)
- 上記ブラウン染料が、分子内にアゾ結合を有するブラウン染料である請求項1に記載のインク。
- 上記ブラウン染料が、さらにトリアジン骨格を有する請求項2に記載のインク。
- 上記ブラウン染料が、下記式(2)で表される請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク。
Xは、C1−C8アルキレンジアミノ基;ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたC1−C8アルキレンジアミノ基;N−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;アルキル部分がヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されたN−(C1−C4)アルキル−(C1−C6)アルキレンジアミノ基;アミノC1−C6アルコキシC1−C6アルキルアミノ基;アミノC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ基;キシリレンジアミノ基;ピペラジン−1,4−ジイル基;C1−C4アルキル基又はC1−C4アルコキシ基で置換されたピペラジン−1,4−ジイル基;及び、フェニレンジアミノ基;よりなる群から選択されるいずれかの基を表す。) - 上記フタロシアニン骨格を含むシアン染料が、下記式(3)で表される請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク。
基Yはフェニル基;又は6員含窒素複素芳香環基;を表し、
aは1以上6以下の整数を表し、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は平均値で1.00以上4.00未満である。) - さらに、第2のブラック染料を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク。
- インク中における、上記式(1)で表されるブラック染料の含有質量%が、0.01%〜3.5%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク。
- 上記式(1)で表されるブラック染料と、上記ブラウン染料の質量比が、23:77〜67:33の範囲である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインク。
- 上記式(1)で表されるブラック染料及び上記ブラウン染料の合計質量と、上記フタロシアニン骨格を含むシアン染料の質量との比が、1:3〜3:1の範囲である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインク。
- さらに、インク調整剤として水溶性有機溶剤、防腐剤、pH調整剤のうち少なくともいずれかを含む請求項1〜9のいずれか一項に記載のインク。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクと、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクからなる群から選択される少なくともいずれかのインクとを含むインクセット。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載のインク、または請求項11に記載のインクセットを用い印刷した記録メディア。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載のインク、または請求項11に記載のインクセットを用いた印刷方法。
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JP2019132547A JP2021017472A (ja) | 2019-07-18 | 2019-07-18 | インク、インクセット、ならびにそれらを用いた印刷方法 |
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