JP2021017390A - 銅/セラミックス接合体、絶縁回路基板、及び、銅/セラミックス接合体の製造方法、絶縁回路基板の製造方法 - Google Patents
銅/セラミックス接合体、絶縁回路基板、及び、銅/セラミックス接合体の製造方法、絶縁回路基板の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】超音波接合を行った場合であってもセラミックス部材と銅部材との剥離を抑制することができるとともにセラミックス部材の割れの発生を抑制することができ、超音波接合性に優れた銅/セラミックス接合体を提供する。【解決手段】銅又は銅合金からなる銅部材12と、セラミックス部材11とが接合されてなる銅/セラミックス接合体10であって、セラミックス部材11と銅部材12との間において、セラミックス部材11の表面には、Ti,Zr,Nb,Hfから選択される1種又は2種以上の活性金属の化合物を含む活性金属化合物層41が形成され、この活性金属化合物層41の銅部材12側に、CuとMgを含む金属間化合物からなるCu−Mg金属間化合物相45が形成されており、セラミックス部材11の接合面から銅部材12側へ50μmまでの領域におけるCu−Mg金属間化合物相45の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされている。【選択図】図2
Description
この発明は、銅又は銅合金からなる銅部材と、セラミックス部材とが接合されてなる銅/セラミックス接合体、セラミックス基板の表面に銅又は銅合金からなる銅板が接合されてなる絶縁回路基板、及び、銅/セラミックス接合体の製造方法、絶縁回路基板の製造方法に関するものである。
パワーモジュール、LEDモジュール及び熱電モジュールにおいては、絶縁層の一方の面に導電材料からなる回路層を形成した絶縁回路基板に、パワー半導体素子、LED素子及び熱電素子が接合された構造とされている。
例えば、風力発電、電気自動車、ハイブリッド自動車等を制御するために用いられる大電力制御用のパワー半導体素子は、動作時の発熱量が多いことから、これを搭載する基板としては、セラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面に導電性の優れた金属板を接合して形成した回路層と、を備えた絶縁回路基板が、従来から広く用いられている。なお、絶縁回路基板としては、セラミックス基板の他方の面に金属板を接合して金属層を形成したものも提供されている。
例えば、風力発電、電気自動車、ハイブリッド自動車等を制御するために用いられる大電力制御用のパワー半導体素子は、動作時の発熱量が多いことから、これを搭載する基板としては、セラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面に導電性の優れた金属板を接合して形成した回路層と、を備えた絶縁回路基板が、従来から広く用いられている。なお、絶縁回路基板としては、セラミックス基板の他方の面に金属板を接合して金属層を形成したものも提供されている。
例えば、特許文献1には、セラミックス基板の一方の面及び他方の面に、銅板を接合することにより回路層及び金属層を形成した絶縁回路基板が提案されている。この特許文献1においては、セラミックス基板の一方の面及び他方の面に、Ag−Cu−Ti系ろう材を介在させて銅板を配置し、加熱処理を行うことにより銅板が接合されている(いわゆる活性金属ろう付け法)。この活性金属ろう付け法では、活性金属であるTiが含有されたろう材を用いているため、溶融したろう材とセラミックス基板との濡れ性が向上し、セラミックス基板と銅板とが良好に接合されることになる。
また、特許文献2においては、Cu−Mg−Ti系ろう材を用いて、セラミックス基板と銅板とを接合した絶縁回路基板が提案されている。
この特許文献2においては、窒素ガス雰囲気下にて560〜800℃で加熱することによって接合する構成とされており、Cu−Mg−Ti合金中のMgは昇華して接合界面には残存せず、かつ、窒化チタン(TiN)が実質的に形成しないものとされている。
この特許文献2においては、窒素ガス雰囲気下にて560〜800℃で加熱することによって接合する構成とされており、Cu−Mg−Ti合金中のMgは昇華して接合界面には残存せず、かつ、窒化チタン(TiN)が実質的に形成しないものとされている。
ところで、上述の絶縁回路基板の回路層においては、端子材等が超音波接合されることがある。
ここで、特許文献1、2に記載された絶縁回路基板においては、端子材等を接合するために超音波を負荷させた際に、接合界面にクラックが発生し、回路層が剥離してしまうおそれがあった。また、セラミックス基板に割れが生じるおそれがあった。
ここで、特許文献1、2に記載された絶縁回路基板においては、端子材等を接合するために超音波を負荷させた際に、接合界面にクラックが発生し、回路層が剥離してしまうおそれがあった。また、セラミックス基板に割れが生じるおそれがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、超音波接合を行った場合であってもセラミックス部材と銅部材との剥離を抑制することができるとともにセラミックス部材の割れの発生を抑制することができ、超音波接合性に優れた銅/セラミックス接合体、絶縁回路基板、及び、銅/セラミックス接合体の製造方法、絶縁回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
前述の課題を解決するために、本発明の銅/セラミックス接合体は、銅又は銅合金からなる銅部材と、セラミックス部材とが接合されてなる銅/セラミックス接合体であって、 前記セラミックス部材と前記銅部材との間において、前記セラミックス部材の表面には、Ti,Zr,Nb,Hfから選択される1種又は2種以上の活性金属の化合物を含む活性金属化合物層が形成され、この活性金属化合物層の前記銅部材側に、CuとMgを含む金属間化合物からなるCu−Mg金属間化合物相が形成されており、前記セラミックス部材の接合面から前記銅部材側へ50μmまでの領域における前記Cu−Mg金属間化合物相の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされていることを特徴としている。
本発明の銅/セラミックス接合体によれば、前記セラミックス部材の接合面から前記銅部材側へ50μmまでの領域における前記Cu−Mg金属間化合物相の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされているので、接合界面が適度に強化され、超音波を負荷させた場合であっても、セラミックス部材と銅部材との剥離を抑制することができるとともに、セラミックス部材の割れの発生を抑制でき、超音波接合性を向上させることが可能となる。
ここで、本発明の銅/セラミックス接合体においては、前記Cu−Mg金属間化合物相の少なくとも一部が前記セラミックス部材の表面に形成された前記活性金属化合物層と接触していることが好ましい。
この場合、比較的硬いCu−Mg金属間化合物相の少なくとも一部がセラミックス部材の表面に形成された活性金属化合物層と接することにより、超音波接合時にセラミックス部材に応力が集中することを抑制でき、セラミックス部材の割れをさらに抑制することが可能となる。
この場合、比較的硬いCu−Mg金属間化合物相の少なくとも一部がセラミックス部材の表面に形成された活性金属化合物層と接することにより、超音波接合時にセラミックス部材に応力が集中することを抑制でき、セラミックス部材の割れをさらに抑制することが可能となる。
また、本発明の銅/セラミックス接合体においては、前記Cu−Mg金属間化合物相の内部には、Cu粒子、及び、Cuと活性金属の化合物粒子のいずれか一方又は両方が分散されていることが好ましい。
この場合、上述のCu粒子及び化合物粒子により、Cu−Mg金属間化合物相の強度が向上し、超音波を負荷させた際の、セラミックス部材と銅部材との剥離をさらに抑制することが可能となる。
この場合、上述のCu粒子及び化合物粒子により、Cu−Mg金属間化合物相の強度が向上し、超音波を負荷させた際の、セラミックス部材と銅部材との剥離をさらに抑制することが可能となる。
さらに、本発明の銅/セラミックス接合体においては、前記活性金属がTiであることが好ましい。
この場合、セラミックス部材の表面に活性金属化合物層として窒化チタン層又は酸化チタン層が形成されることになり、接合界面を確実に強化することができ、超音波を負荷させた場合であっても、セラミックス部材と銅部材との剥離をさらに抑制することが可能となる。
この場合、セラミックス部材の表面に活性金属化合物層として窒化チタン層又は酸化チタン層が形成されることになり、接合界面を確実に強化することができ、超音波を負荷させた場合であっても、セラミックス部材と銅部材との剥離をさらに抑制することが可能となる。
本発明の絶縁回路基板は、セラミックス基板の表面に、銅又は銅合金からなる銅板が接合されてなる絶縁回路基板であって、前記セラミックス基板と前記銅板との間において、前記セラミックス基板の表面には、Ti,Zr,Nb,Hfから選択される1種又は2種以上の活性金属の化合物を含む活性金属化合物層が形成され、この活性金属化合物層の前記銅部材側に、CuとMgを含む金属間化合物からなるCu−Mg金属間化合物相が形成されており、前記セラミックス基板の接合面から前記銅板側へ50μmまでの領域における前記Cu−Mg金属間化合物相の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされていることを特徴としている。
本発明の絶縁回路基板によれば、前記セラミックス基板の接合面から前記銅板側へ50μmまでの領域における前記Cu−Mg金属間化合物相の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされているので、接合界面が適度に強化され、超音波を負荷させた場合であっても、セラミックス基板と銅板との剥離を抑制することができるとともに、セラミックス基板の割れの発生を抑制でき、超音波接合性を向上させることが可能となる。
ここで、本発明の絶縁回路基板においては、前記Cu−Mg金属間化合物相の少なくとも一部が前記セラミックス基板の表面に形成された前記活性金属化合物層と接触していることが好ましい。
この場合、比較的硬いCu−Mg金属間化合物相の少なくとも一部がセラミックス部材の表面に形成された活性金属化合物層と接することにより、超音波接合時にセラミックス部材に応力が集中することを抑制でき、セラミックス部材の割れをさらに抑制することが可能となる。
この場合、比較的硬いCu−Mg金属間化合物相の少なくとも一部がセラミックス部材の表面に形成された活性金属化合物層と接することにより、超音波接合時にセラミックス部材に応力が集中することを抑制でき、セラミックス部材の割れをさらに抑制することが可能となる。
また、本発明の絶縁回路基板においては、前記Cu−Mg金属間化合物相の内部には、Cu粒子、及び、Cuと活性金属の化合物粒子のいずれか一方又は両方が分散されていることが好ましい。
この場合、上述のCu粒子及び化合物粒子により、Cu−Mg金属間化合物相の強度が向上し、超音波を負荷させた際の、セラミックス基板と銅板との剥離をさらに抑制することが可能となる。
この場合、上述のCu粒子及び化合物粒子により、Cu−Mg金属間化合物相の強度が向上し、超音波を負荷させた際の、セラミックス基板と銅板との剥離をさらに抑制することが可能となる。
さらに、本発明の絶縁回路基板においては、前記活性金属がTiであることが好ましい。
この場合、セラミックス基板の表面に活性金属化合物層として窒化チタン層又は酸化チタン層が形成されることになり、接合界面を確実に強化することができ、超音波を負荷させた場合であっても、セラミックス基板と銅板との剥離をさらに抑制することが可能となる。
この場合、セラミックス基板の表面に活性金属化合物層として窒化チタン層又は酸化チタン層が形成されることになり、接合界面を確実に強化することができ、超音波を負荷させた場合であっても、セラミックス基板と銅板との剥離をさらに抑制することが可能となる。
本発明の銅/セラミックス接合体の製造方法は、上述の銅/セラミックス接合体を製造する銅/セラミックス接合体の製造方法であって、前記銅部材と前記セラミックス部材との間に、Ti,Zr,Nb,Hfから選択される1種又は2種以上の活性金属及びMgを配置する活性金属及びMg配置工程と、前記銅部材と前記セラミックス部材とを、活性金属及びMgを介して積層する積層工程と、活性金属及びMgを介して積層された前記銅部材と前記セラミックス部材とを積層方向に加圧した状態で、真空雰囲気下において加熱処理して接合する接合工程と、を備えており、前記活性金属及びMg配置工程では、活性金属量を0.4μmol/cm2以上47.0μmol/cm2以下の範囲内、Mg量を28μmol/cm2以上180μmol/cm2以下の範囲内とし、前記接合工程では、480℃以上650℃未満の温度領域における昇温速度が5℃/min以上とされるとともに、650℃以上の温度で30分以上保持することを特徴としている。
この構成の銅/セラミックス接合体の製造方法によれば、前記活性金属及びMg配置工程では、活性金属量を0.4μmol/cm2以上47.0μmol/cm2以下の範囲内、Mg量を28μmol/cm2以上180μmol/cm2以下の範囲内としているので、界面反応に必要な液相を十分に得ることができる。よって、銅部材とセラミックス部材とを確実に接合することができる。
そして、接合工程において、480℃以上650℃未満の温度領域における昇温速度が5℃/min以上とされるとともに、650℃以上の温度で30分以上保持しているので、界面反応に必要な液相を一定時間以上保持することができ、均一な界面反応を促進し、接合界面にCu−Mg金属間化合物相が形成され、前記セラミックス部材の接合面から前記銅部材側へ50μmまでの領域における前記Cu−Mg金属間化合物相の面積率を20%以上45%以下の範囲内とすることができる。
そして、接合工程において、480℃以上650℃未満の温度領域における昇温速度が5℃/min以上とされるとともに、650℃以上の温度で30分以上保持しているので、界面反応に必要な液相を一定時間以上保持することができ、均一な界面反応を促進し、接合界面にCu−Mg金属間化合物相が形成され、前記セラミックス部材の接合面から前記銅部材側へ50μmまでの領域における前記Cu−Mg金属間化合物相の面積率を20%以上45%以下の範囲内とすることができる。
本発明の絶縁回路基板の製造方法は、上述の絶縁回路基板を製造する絶縁回路基板の製造方法であって、前記銅板と前記セラミックス基板との間に、Ti,Zr,Nb,Hfから選択される1種又は2種以上の活性金属及びMgを配置する活性金属及びMg配置工程と、前記銅板と前記セラミックス基板とを、活性金属及びMgを介して積層する積層工程と、活性金属及びMgを介して積層された前記銅板と前記セラミックス基板とを積層方向に加圧した状態で、真空雰囲気下において加熱処理して接合する接合工程と、を備えており、前記活性金属及びMg配置工程では、活性金属量を0.4μmol/cm2以上47.0μmol/cm2以下の範囲内、Mg量を28.6μmol/cm2以上180μmol/cm2以下の範囲内とし、前記接合工程では、480℃以上650℃未満の温度領域における昇温速度が5℃/min以上とされるとともに、650℃以上の温度で30分以上保持することを特徴としている。
この構成の絶縁回路基板の製造方法によれば、前記活性金属及びMg配置工程では、活性金属量を0.4μmol/cm2以上47.0μmol/cm2以下の範囲内、Mg量を28μmol/cm2以上180μmol/cm2以下の範囲内としているので、界面反応に必要な液相を十分に得ることができる。よって、銅板とセラミックス基板とを確実に接合することができる。
そして、接合工程において、480℃以上650℃未満の温度領域における昇温速度が5℃/min以上とされるとともに、650℃以上の温度で30分以上保持しているので、界面反応に必要な液相を一定時間以上保持することができ、均一な界面反応を促進し、接合界面にCu−Mg金属間化合物相が形成され、前記セラミックス基板の接合面から前記銅板側へ50μmまでの領域における前記Cu−Mg金属間化合物相の面積率を20%以上45%以下の範囲内とすることができる。
そして、接合工程において、480℃以上650℃未満の温度領域における昇温速度が5℃/min以上とされるとともに、650℃以上の温度で30分以上保持しているので、界面反応に必要な液相を一定時間以上保持することができ、均一な界面反応を促進し、接合界面にCu−Mg金属間化合物相が形成され、前記セラミックス基板の接合面から前記銅板側へ50μmまでの領域における前記Cu−Mg金属間化合物相の面積率を20%以上45%以下の範囲内とすることができる。
本発明によれば、超音波接合を行った場合であってもセラミックス部材と銅部材との剥離を抑制することができるとともにセラミックス部材の割れの発生を抑制することができ、超音波接合性に優れた銅/セラミックス接合体、絶縁回路基板、及び、銅/セラミックス接合体の製造方法、絶縁回路基板の製造方法を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態について添付した図面を参照して説明する。
本実施形態に係る銅/セラミックス接合体は、セラミックスからなるセラミックス部材としてのセラミックス基板11と、銅又は銅合金からなる銅部材としての銅板22(回路層12)及び銅板23(金属層13)とが接合されてなる絶縁回路基板10である。図1に、本実施形態である絶縁回路基板10を備えたパワーモジュール1を示す。
本実施形態に係る銅/セラミックス接合体は、セラミックスからなるセラミックス部材としてのセラミックス基板11と、銅又は銅合金からなる銅部材としての銅板22(回路層12)及び銅板23(金属層13)とが接合されてなる絶縁回路基板10である。図1に、本実施形態である絶縁回路基板10を備えたパワーモジュール1を示す。
このパワーモジュール1は、回路層12及び金属層13が配設された絶縁回路基板10と、回路層12の一方の面(図1において上面)に接合層2を介して接合された半導体素子3と、金属層13の他方側(図1において下側)に配置されたヒートシンク30と、を備えている。
半導体素子3は、Si等の半導体材料で構成されている。この半導体素子3と回路層12は、接合層2を介して接合されている。
接合層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材で構成されている。
接合層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材で構成されている。
ヒートシンク30は、前述の絶縁回路基板10からの熱を放散するためのものである。このヒートシンク30は、銅又は銅合金で構成されており、本実施形態ではりん脱酸銅で構成されている。このヒートシンク30には、冷却用の流体が流れるための流路31が設けられている。
なお、本実施形態においては、ヒートシンク30と金属層13とが、はんだ材からなるはんだ層32によって接合されている。このはんだ層32は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材で構成されている。
なお、本実施形態においては、ヒートシンク30と金属層13とが、はんだ材からなるはんだ層32によって接合されている。このはんだ層32は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材で構成されている。
そして、本実施形態である絶縁回路基板10は、図1に示すように、セラミックス基板11と、このセラミックス基板11の一方の面(図1において上面)に配設された回路層12と、セラミックス基板11の他方の面(図1において下面)に配設された金属層13と、を備えている。
セラミックス基板11は、絶縁性および放熱性に優れた窒化ケイ素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al2O3)等のセラミックスで構成されている。本実施形態では、セラミックス基板11は、特に放熱性の優れた窒化アルミニウム(AlN)で構成されている。また、セラミックス基板11の厚さは、例えば、0.2mm以上1.5mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。
回路層12は、図4に示すように、セラミックス基板11の一方の面(図4において上面)に、銅又は銅合金からなる銅板22が接合されることにより形成されている。
本実施形態においては、回路層12は、無酸素銅の圧延板からなる銅板22がセラミックス基板11に接合されることで形成されている。
なお、回路層12となる銅板22の厚さは0.1mm以上2.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
本実施形態においては、回路層12は、無酸素銅の圧延板からなる銅板22がセラミックス基板11に接合されることで形成されている。
なお、回路層12となる銅板22の厚さは0.1mm以上2.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
金属層13は、図4に示すように、セラミックス基板11の他方の面(図4において下面)に、銅又は銅合金からなる銅板23が接合されることにより形成されている。
本実施形態においては、金属層13は、無酸素銅の圧延板からなる銅板23がセラミックス基板11に接合されることで形成されている。
なお、金属層13となる銅板23の厚さは0.1mm以上2.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
本実施形態においては、金属層13は、無酸素銅の圧延板からなる銅板23がセラミックス基板11に接合されることで形成されている。
なお、金属層13となる銅板23の厚さは0.1mm以上2.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
そして、セラミックス基板11と回路層12(金属層13)との接合界面においては、図2に示すように、セラミックス基板の表面には、Ti,Zr,Nb,Hfから選択される1種又は2種以上の活性金属の化合物を含む活性金属化合物層41が形成され、この活性金属化合物層41の回路層12(金属層13)側にCuとMgを含む金属間化合物からなるCu−Mg金属間化合物相45が形成されている。
そして、セラミックス基板11の接合面から回路層12(金属層13)側へ50μmまでの領域におけるCu−Mg金属間化合物相45の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされている。このように、Cu−Mg金属間化合物相45の面積率が規定されることにより、接合界面が適度に強化され、絶縁回路基板11の超音波接合性が向上することになる。
なお、絶縁回路基板11の超音波接合性をさらに向上させるためには、上述のCu−Mg金属間化合物相45の面積率の下限は22%以上であることが好ましく、28%以上であることがさらに好ましい。一方、上述のCu−Mg金属間化合物相45の面積率の上限は40%以下であることが好ましく、32%以下であることがさらに好ましい。
そして、セラミックス基板11の接合面から回路層12(金属層13)側へ50μmまでの領域におけるCu−Mg金属間化合物相45の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされている。このように、Cu−Mg金属間化合物相45の面積率が規定されることにより、接合界面が適度に強化され、絶縁回路基板11の超音波接合性が向上することになる。
なお、絶縁回路基板11の超音波接合性をさらに向上させるためには、上述のCu−Mg金属間化合物相45の面積率の下限は22%以上であることが好ましく、28%以上であることがさらに好ましい。一方、上述のCu−Mg金属間化合物相45の面積率の上限は40%以下であることが好ましく、32%以下であることがさらに好ましい。
なお、本実施形態においては、図2に示すように、Cu−Mg金属間化合物相45の少なくとも一部がセラミックス基板11の表面に形成された活性金属化合物層41と接触していることが好ましい。
また、本実施形態においては、図2に示すように、Cu−Mg金属間化合物相45の内部には、Cu粒子及びCuと活性金属の化合物粒子のいずれか一方又は両方からなるCu含有粒子46が分散されていることが好ましい。
また、本実施形態においては、図2に示すように、Cu−Mg金属間化合物相45の内部には、Cu粒子及びCuと活性金属の化合物粒子のいずれか一方又は両方からなるCu含有粒子46が分散されていることが好ましい。
ここで、図2において、一段凹んだ領域(紙面に直交する方向に凹んだ領域)がCu−Mg金属間化合物相45であり、この凹んだ領域(Cu−Mg金属間化合物相45)の内部に存在する粒状の領域がCu含有粒子46である。また、Cu−Mg金属間化合物層45の面積率は、図2において、凹んだ領域の面積率であり、内部に存在するCu含有粒子46の領域(電子像において白く光る部分)は含まない。
また、本実施形態においては、前記活性金属がTiであることが好ましい。なお、本実施形態では、セラミックス基板11が窒化アルミニウムで構成されていることから、セラミックス基板11の表面に形成される活性金属化合物層41は、窒素チタン等の活性金属の窒化物を含むものとなる。
以下に、本実施形態に係る絶縁回路基板10の製造方法について、図3及び図4を参照して説明する。
(活性金属及びMg配置工程S01)
まず、窒化アルミニウム(AlN)からなるセラミックス基板11を準備し、図4に示すように、回路層12となる銅板22とセラミックス基板11との間、及び、金属層13となる銅板23とセラミックス基板11との間に、それぞれTi,Zr,Nb,Hfから選択される1種又は2種以上の活性金属及びMgを配置する。
本実施形態では、回路層12となる銅板22とセラミックス基板11との間、及び、金属層13となる銅板23とセラミックス基板11との間に、Mg箔25と活性金属箔26を配設している。
まず、窒化アルミニウム(AlN)からなるセラミックス基板11を準備し、図4に示すように、回路層12となる銅板22とセラミックス基板11との間、及び、金属層13となる銅板23とセラミックス基板11との間に、それぞれTi,Zr,Nb,Hfから選択される1種又は2種以上の活性金属及びMgを配置する。
本実施形態では、回路層12となる銅板22とセラミックス基板11との間、及び、金属層13となる銅板23とセラミックス基板11との間に、Mg箔25と活性金属箔26を配設している。
ここで、活性金属及びMg配置工程S01では、配置する活性金属量を0.4μmol/cm2以上47.0μmol/cm2以下の範囲内、Mg量を28μmol/cm2以上180μmol/cm2以下の範囲内とする。
なお、配置する活性金属量の下限は0.9μmol/cm2以上とすることが好ましく、2.8μmol/cm2以上とすることがさらに好ましい。一方、配置する活性金属量の上限は20μmol/cm2以下とすることが好ましく、10μmol/cm2以下とすることがさらに好ましい。
また、配置するMg量の下限は42μmol/cm2以上とすることが好ましく、56μmol/cm2以上とすることがさらに好ましい。一方、配置するMg量の上限は143μmol/cm2以下とすることが好ましく、128μmol/cm2以下とすることがさらに好ましい。
なお、配置する活性金属量の下限は0.9μmol/cm2以上とすることが好ましく、2.8μmol/cm2以上とすることがさらに好ましい。一方、配置する活性金属量の上限は20μmol/cm2以下とすることが好ましく、10μmol/cm2以下とすることがさらに好ましい。
また、配置するMg量の下限は42μmol/cm2以上とすることが好ましく、56μmol/cm2以上とすることがさらに好ましい。一方、配置するMg量の上限は143μmol/cm2以下とすることが好ましく、128μmol/cm2以下とすることがさらに好ましい。
(積層工程S02)
次に、銅板22とセラミックス基板11を、活性金属箔26及びMg箔25を介して積層するとともに、セラミックス基板11と銅板23を、活性金属箔26及びMg箔25を介して積層する。
次に、銅板22とセラミックス基板11を、活性金属箔26及びMg箔25を介して積層するとともに、セラミックス基板11と銅板23を、活性金属箔26及びMg箔25を介して積層する。
(接合工程S03)
次に、積層された銅板22、活性金属箔26、Mg箔25、セラミックス基板11、Mg箔25、活性金属箔26、銅板23を、積層方向に加圧するとともに、真空炉内に装入して加熱し、銅板22とセラミックス基板11と銅板23を接合する。
ここで、接合工程S03における熱処理条件は、480℃以上650℃未満の温度領域における昇温速度が5℃/min以上とされるとともに、650℃以上の温度で30分以上保持する。このように熱処理条件を規定することにより、界面反応に必要なCu−Mg液相が確保され、均一な界面反応を進行させることができる。これにより、セラミックス基板11の表面に活性金属化合物層41が形成され、この活性金属化合物層41の回路層12(金属層13)側にCu−Mg金属間化合物相45が形成される。そして、セラミックス基板11の接合面から回路層12(金属層13)側へ50μmまでの領域におけるCu−Mg金属間化合物相45の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされる。
次に、積層された銅板22、活性金属箔26、Mg箔25、セラミックス基板11、Mg箔25、活性金属箔26、銅板23を、積層方向に加圧するとともに、真空炉内に装入して加熱し、銅板22とセラミックス基板11と銅板23を接合する。
ここで、接合工程S03における熱処理条件は、480℃以上650℃未満の温度領域における昇温速度が5℃/min以上とされるとともに、650℃以上の温度で30分以上保持する。このように熱処理条件を規定することにより、界面反応に必要なCu−Mg液相が確保され、均一な界面反応を進行させることができる。これにより、セラミックス基板11の表面に活性金属化合物層41が形成され、この活性金属化合物層41の回路層12(金属層13)側にCu−Mg金属間化合物相45が形成される。そして、セラミックス基板11の接合面から回路層12(金属層13)側へ50μmまでの領域におけるCu−Mg金属間化合物相45の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされる。
なお、480℃以上650℃未満の温度領域における昇温速度の下限は7℃/min以上とすることが好ましく、9℃/min以上とすることがさらに好ましい。一方、480℃以上650℃未満の温度領域における昇温速度の上限に特に制限はないが、15℃/min以下とすることが好ましく、12℃/min以下とすることがさらに好ましい。
また、保持温度の下限は680℃以上とすることが好ましく、700℃以上とすることがさらに好ましい。一方、保持温度の上限に特に制限はないが、800℃以下とすることが好ましく、750℃以下とすることがさらに好ましい。
さらに、保持時間の下限は45min以上とすることが好ましく、60min以上とすることがさらに好ましい。一方、保持時間の上限に特に制限はないが、120min以下とすることが好ましく、90min以下とすることがさらに好ましい。
また、保持温度の下限は680℃以上とすることが好ましく、700℃以上とすることがさらに好ましい。一方、保持温度の上限に特に制限はないが、800℃以下とすることが好ましく、750℃以下とすることがさらに好ましい。
さらに、保持時間の下限は45min以上とすることが好ましく、60min以上とすることがさらに好ましい。一方、保持時間の上限に特に制限はないが、120min以下とすることが好ましく、90min以下とすることがさらに好ましい。
なお、接合工程S03における加圧荷重は、0.049MPa以上3.4MPa以下の範囲内とすることが好ましい。
さらに、接合工程S03における真空度は、1×10−6Pa以上5×10−2Pa以下の範囲内とすることが好ましい。
さらに、接合工程S03における真空度は、1×10−6Pa以上5×10−2Pa以下の範囲内とすることが好ましい。
以上のように、活性金属及びMg配置工程S01と、積層工程S02と、接合工程S03とによって、本実施形態である絶縁回路基板10が製造されることになる。
(ヒートシンク接合工程S04)
次に、絶縁回路基板10の金属層13の他方の面側にヒートシンク30を接合する。
絶縁回路基板10とヒートシンク30とを、はんだ材を介して積層して加熱炉に装入し、はんだ層32を介して絶縁回路基板10とヒートシンク30とをはんだ接合する。
次に、絶縁回路基板10の金属層13の他方の面側にヒートシンク30を接合する。
絶縁回路基板10とヒートシンク30とを、はんだ材を介して積層して加熱炉に装入し、はんだ層32を介して絶縁回路基板10とヒートシンク30とをはんだ接合する。
(半導体素子接合工程S05)
次に、絶縁回路基板10の回路層12の一方の面に、半導体素子3をはんだ付けにより接合する。
上述の工程により、図1に示すパワーモジュール1が製出される。
次に、絶縁回路基板10の回路層12の一方の面に、半導体素子3をはんだ付けにより接合する。
上述の工程により、図1に示すパワーモジュール1が製出される。
以上のような構成とされた本実施形態の絶縁回路基板10(銅/セラミックス接合体)によれば、回路層12(及び金属層13)とセラミックス基板11との接合界面において、セラミックス基板11の表面に活性金属化合物層41が形成され、この活性金属化合物層41の回路層12(及び金属層13)側にCu−Mg金属間化合物相45が形成されており、セラミックス基板11の接合面から回路層12(及び金属層13)側へ50μmまでの領域におけるCu−Mg金属間化合物相45の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされているので、接合界面が適度に強化され、超音波を負荷させた場合であっても、セラミックス基板11と回路層12(及び金属層13)との剥離を抑制することができるとともに、セラミックス基板11の割れの発生を抑制でき、超音波接合性を向上させることが可能となる。
また、本実施形態において、Cu−Mg金属間化合物相45の少なくとも一部がセラミックス基板11の表面に形成された活性金属化合物層41と接触している場合には、超音波接合時にセラミックス基板11に応力が集中することを抑制でき、セラミックス基板11の割れをさらに抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態において、Cu−Mg金属間化合物相45の内部に、Cu粒子及びCuと活性金属の化合物粒子のいずれか一方又は両方からなるCu含有粒子46が分散されている場合には、Cu含有粒子46により、Cu−Mg金属間化合物相45の強度が向上し、超音波を負荷させた際の、セラミックス基板11と回路層12(及び金属層13)との剥離をさらに抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態において、活性金属がTiである場合には、セラミックス基板11の表面に活性金属化合物層41として窒化チタン層又は酸化チタン層が形成されることになり、接合界面を確実に強化することができ、超音波を負荷させた場合であっても、セラミックス基板11と回路層12(及び金属層13)との剥離をさらに抑制することが可能となる。なお、本実施形態では、セラミックス基板11が窒化アルミニウム(AlN)で構成されていることから、活性金属化合物相41は窒化チタン層となる。
本実施形態である絶縁回路基板の製造方法によれば、活性金属量を0.4μmol/cm2以上47.0μmol/cm2以下の範囲内、Mg量を28μmol/cm2以上180μmol/cm2以下の範囲内としているので、界面反応に必要な液相を十分に得ることができる。よって、回路層12及び金属層13とセラミックス基板11とを確実に接合することができる。
そして、接合工程S03において、480℃以上650℃未満の温度領域における昇温速度が5℃/min以上とされるとともに、650℃以上の温度で30分以上保持する構成としているので、界面反応に必要なCu−Mg液相を一定時間以上保持することができ、均一な界面反応を促進することができる。これにより、セラミックス基板11の表面に活性金属化合物層41が形成され、この活性金属化合物層41の回路層12(金属層13)側にCu−Mg金属間化合物相45が形成される。そして、セラミックス基板11の接合面から回路層12(金属層13)側へ50μmまでの領域におけるCu−Mg金属間化合物相45の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされる。
そして、接合工程S03において、480℃以上650℃未満の温度領域における昇温速度が5℃/min以上とされるとともに、650℃以上の温度で30分以上保持する構成としているので、界面反応に必要なCu−Mg液相を一定時間以上保持することができ、均一な界面反応を促進することができる。これにより、セラミックス基板11の表面に活性金属化合物層41が形成され、この活性金属化合物層41の回路層12(金属層13)側にCu−Mg金属間化合物相45が形成される。そして、セラミックス基板11の接合面から回路層12(金属層13)側へ50μmまでの領域におけるCu−Mg金属間化合物相45の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、絶縁回路基板に半導体素子を搭載してパワーモジュールを構成するものとして説明したが、これに限定されることはない。例えば、絶縁回路基板の回路層にLED素子を搭載してLEDモジュールを構成してもよいし、絶縁回路基板の回路層に熱電素子を搭載して熱電モジュールを構成してもよい。
例えば、本実施形態では、絶縁回路基板に半導体素子を搭載してパワーモジュールを構成するものとして説明したが、これに限定されることはない。例えば、絶縁回路基板の回路層にLED素子を搭載してLEDモジュールを構成してもよいし、絶縁回路基板の回路層に熱電素子を搭載して熱電モジュールを構成してもよい。
また、本実施形態の絶縁回路基板では、回路層と金属層がともに銅又は銅合金からなる銅板によって構成されたものとして説明したが、これに限定されることはない。
例えば、回路層とセラミックス基板とが本発明の銅/セラミックス接合体で構成されていれば、金属層の材質や接合方法に限定はなく、金属層がなくてもよいし、金属層がアルミニウム又はアルミニウム合金で構成されていてもよく、銅とアルミニウムの積層体で構成されていてもよい。
一方、金属層とセラミックス基板とが本発明の銅/セラミックス接合体で構成されていれば、回路層の材質や接合方法に限定はなく、回路層がアルミニウム又はアルミニウム合金で構成されていてもよく、銅とアルミニウムの積層体で構成されていてもよい。
例えば、回路層とセラミックス基板とが本発明の銅/セラミックス接合体で構成されていれば、金属層の材質や接合方法に限定はなく、金属層がなくてもよいし、金属層がアルミニウム又はアルミニウム合金で構成されていてもよく、銅とアルミニウムの積層体で構成されていてもよい。
一方、金属層とセラミックス基板とが本発明の銅/セラミックス接合体で構成されていれば、回路層の材質や接合方法に限定はなく、回路層がアルミニウム又はアルミニウム合金で構成されていてもよく、銅とアルミニウムの積層体で構成されていてもよい。
さらに、本実施形態では、銅板とセラミックス基板との間に、活性金属箔とMg箔を積層する構成として説明したが、これに限定されることはなく、Mgと活性金属の合金箔を配設してもよい。また、セラミックス基板及び銅板の接合面に、Mg、活性金属、Mgと活性金属の合金等からなる薄膜を、スパッタ法や蒸着法等によって成膜してもよい。
さらに、本実施形態の絶縁回路基板では、セラミックス基板として、窒化アルミニウム(AlN)で構成されたものを例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、アルミナ(Al2O3)、窒化ケイ素(Si3N4)等の他のセラミックス基板を用いたものであってもよい。
以下に、本発明の効果を確認すべく行った確認実験の結果について説明する。
まず、表1記載のセラミックス基板(40mm×40mm)を準備した。なお、厚さは、AlN及びAl2O3は0.635mm、Si3N4は0.32mmとした。
このセラミックス基板の両面に、無酸素銅からなる銅板(37mm×37mm×厚さ0.3mm)を表1に示す条件で接合し、絶縁回路基板(銅/セラミックス接合体)を得た。なお、接合時の真空炉の真空度は4×10−3Paとした。
このセラミックス基板の両面に、無酸素銅からなる銅板(37mm×37mm×厚さ0.3mm)を表1に示す条件で接合し、絶縁回路基板(銅/セラミックス接合体)を得た。なお、接合時の真空炉の真空度は4×10−3Paとした。
得られた絶縁回路基板(銅/セラミックス接合体)について、セラミックス基板の接合面から銅板側へ50μmまでの領域におけるCu−Mg金属間化合物相の面積率、活性金属化合物層との接触の有無、Cu−Mg金属間化合物相中のCu含有粒子(Cu粒子及びCuと活性金属の化合物粒子のいずれか一方又は両方)の有無、初期接合率、超音波接合性について、以下のようにして評価した。
(Cu−Mg金属間化合物相)
得られた絶縁回路基板(銅/セラミックス接合体)の中央部から観察試料を採取し、銅板とセラミックス基板との接合界面を、電子線マイクロアナライザー(日本電子株式会社製JXA−8539F)を用いて、倍率2000倍、加速電圧15kVの条件で接合界面を含む領域(400μm×600μm)のMgの元素MAPを取得し、Mgの存在が確認された領域内での定量分析の5点平均で、Cu濃度が5原子%以上、かつ、Mg濃度が30原子以上70原子%以下を満たした領域をCu−Mg金属間化合物相とした。そして、セラミックス基板の接合面から銅板側に向けて50μmまでの領域における金属間化合物相の面積率を算出した。なお、観察視野数は5つとし、その平均値を表2に示した。
測定箇所としては絶縁回路基板の中心点の領域と、その点を中心とする20mm×20mmの四角形の4つの頂点の領域の合計5点を観察し、面積率を算出した。
得られた絶縁回路基板(銅/セラミックス接合体)の中央部から観察試料を採取し、銅板とセラミックス基板との接合界面を、電子線マイクロアナライザー(日本電子株式会社製JXA−8539F)を用いて、倍率2000倍、加速電圧15kVの条件で接合界面を含む領域(400μm×600μm)のMgの元素MAPを取得し、Mgの存在が確認された領域内での定量分析の5点平均で、Cu濃度が5原子%以上、かつ、Mg濃度が30原子以上70原子%以下を満たした領域をCu−Mg金属間化合物相とした。そして、セラミックス基板の接合面から銅板側に向けて50μmまでの領域における金属間化合物相の面積率を算出した。なお、観察視野数は5つとし、その平均値を表2に示した。
測定箇所としては絶縁回路基板の中心点の領域と、その点を中心とする20mm×20mmの四角形の4つの頂点の領域の合計5点を観察し、面積率を算出した。
また、活性金属と窒素(N)又は酸素(O)が共存する領域を活性金属化合物層とし、Cu−Mg金属間化合物相と活性金属化合物層とが接触しているか否かを判断した。
さらに、Cu−Mg金属間化合物相の内部において、Cuのみ、あるいは、Cuと活性金属が共存する領域をCu含有粒子(Cu粒子及びCuと活性金属の化合物粒子のいずれか一方又は両方)と判断し、Cu含有粒子の有無を判断した。
さらに、Cu−Mg金属間化合物相の内部において、Cuのみ、あるいは、Cuと活性金属が共存する領域をCu含有粒子(Cu粒子及びCuと活性金属の化合物粒子のいずれか一方又は両方)と判断し、Cu含有粒子の有無を判断した。
(初期接合率)
銅板とセラミックス基板との接合率を評価した。具体的には、絶縁回路基板において、銅板とセラミックス基板との界面の接合率について超音波探傷装置(株式会社日立パワーソリューションズ製FineSAT200)を用いて評価し、以下の式から算出した。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、すなわち回路層の面積とした。超音波探傷像を二値化処理した画像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。
(接合率)={(初期接合面積)−(非接合部面積)}/(初期接合面積)×100
銅板とセラミックス基板との接合率を評価した。具体的には、絶縁回路基板において、銅板とセラミックス基板との界面の接合率について超音波探傷装置(株式会社日立パワーソリューションズ製FineSAT200)を用いて評価し、以下の式から算出した。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、すなわち回路層の面積とした。超音波探傷像を二値化処理した画像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。
(接合率)={(初期接合面積)−(非接合部面積)}/(初期接合面積)×100
(超音波接合性)
得られた絶縁回路基板に対して、超音波金属接合機(超音波工業株式会社製:60C−904)を用いて、銅端子(10mm×5mm×1mm厚)をコプラス量0.3mmの条件で超音波接合した。なお、銅端子はそれぞれ10個ずつ接合した。
接合後に、超音波探傷装置(株式会社日立ソリューションズ製FineSAT200)を用いて、銅板とセラミックス基板の接合界面を検査した。10個中3個以上で剥離又はセラミックス割れが観察されたものを「×」、10個中1個以上2個以下で剥離又はセラミックス割れが観察されたものを「〇」、10個全てで剥離又はセラミックス割れが観察されなかったものを「◎」と評価した。評価結果を表2に示す。
得られた絶縁回路基板に対して、超音波金属接合機(超音波工業株式会社製:60C−904)を用いて、銅端子(10mm×5mm×1mm厚)をコプラス量0.3mmの条件で超音波接合した。なお、銅端子はそれぞれ10個ずつ接合した。
接合後に、超音波探傷装置(株式会社日立ソリューションズ製FineSAT200)を用いて、銅板とセラミックス基板の接合界面を検査した。10個中3個以上で剥離又はセラミックス割れが観察されたものを「×」、10個中1個以上2個以下で剥離又はセラミックス割れが観察されたものを「〇」、10個全てで剥離又はセラミックス割れが観察されなかったものを「◎」と評価した。評価結果を表2に示す。
480℃以上650℃未満の温度領域における平均昇温速度が2℃/minとされた比較例1においては、セラミックス基板の接合面から銅板側へ50μmまでの領域におけるCu−Mg金属間化合物相の面積率が14.0%と本発明の範囲よりも低く、超音波接合性が「×」となった。
650℃での保持時間が5minとされた比較例2においては、セラミックス基板の接合面から銅板側へ50μmまでの領域におけるCu−Mg金属間化合物相の面積率が61.1%と本発明の範囲よりも高く、縦割れが入り、超音波接合性が「×」となった。また、初期接合率も86.4%と低くなった。
650℃での保持時間が5minとされた比較例2においては、セラミックス基板の接合面から銅板側へ50μmまでの領域におけるCu−Mg金属間化合物相の面積率が61.1%と本発明の範囲よりも高く、縦割れが入り、超音波接合性が「×」となった。また、初期接合率も86.4%と低くなった。
これに対して、セラミックス基板の接合面から銅板側へ50μmまでの領域におけるCu−Mg金属間化合物相の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされた本発明例1−8においては、初期接合率が高く、かつ、超音波接合を実施しても、銅板とセラミックス基板との剥離やセラミックス基板の割れの発生が少なく、超音波接合性に優れていた。
以上の結果、本発明例によれば、超音波接合を行った場合であってもセラミックス部材と銅部材との剥離を抑制することができるとともにセラミックス部材の割れの発生を抑制することができ、超音波接合性に優れた銅/セラミックス接合体、絶縁回路基板、及び、銅/セラミックス接合体の製造方法、絶縁回路基板の製造方法を提供可能であることが確認された。
10 絶縁回路基板(銅/セラミックス接合体)
11 セラミックス基板(セラミックス部材)
12 回路層(銅部材)
13 金属層(銅部材)
41 活性金属化合物層
45 Cu−Mg金属間化合物相
46 Cu含有粒子(Cu粒子、及び、Cuと活性金属の化合物粒子)
11 セラミックス基板(セラミックス部材)
12 回路層(銅部材)
13 金属層(銅部材)
41 活性金属化合物層
45 Cu−Mg金属間化合物相
46 Cu含有粒子(Cu粒子、及び、Cuと活性金属の化合物粒子)
Claims (10)
- 銅又は銅合金からなる銅部材と、セラミックス部材とが接合されてなる銅/セラミックス接合体であって、
前記セラミックス部材と前記銅部材との間において、
前記セラミックス部材の表面には、Ti,Zr,Nb,Hfから選択される1種又は2種以上の活性金属の化合物を含む活性金属化合物層が形成され、この活性金属化合物層の前記銅部材側に、CuとMgを含む金属間化合物からなるCu−Mg金属間化合物相が形成されており、
前記セラミックス部材の接合面から前記銅部材側へ50μmまでの領域における前記Cu−Mg金属間化合物相の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされていることを特徴とする銅/セラミックス接合体。 - 前記Cu−Mg金属間化合物相の少なくとも一部が前記セラミックス部材の表面に形成された前記活性金属化合物層と接触していることを特徴とする請求項1に記載の銅/セラミックス接合体。
- 前記Cu−Mg金属間化合物相の内部には、Cu粒子、及び、Cuと活性金属の化合物粒子のいずれか一方又は両方が分散されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の銅/セラミックス接合体。
- 前記活性金属がTiであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の銅/セラミックス接合体。
- セラミックス基板の表面に、銅又は銅合金からなる銅板が接合されてなる絶縁回路基板であって、
前記セラミックス基板と前記銅板との間において、
前記セラミックス基板の表面には、Ti,Zr,Nb,Hfから選択される1種又は2種以上の活性金属の化合物を含む活性金属化合物層が形成され、この活性金属化合物層の前記銅部材側に、CuとMgを含む金属間化合物からなるCu−Mg金属間化合物相が形成されており、
前記セラミックス基板の接合面から前記銅板側へ50μmまでの領域における前記Cu−Mg金属間化合物相の面積率が20%以上45%以下の範囲内とされていることを特徴とする絶縁回路基板。 - 前記Cu−Mg金属間化合物相の少なくとも一部が前記セラミックス基板の表面に形成された前記活性金属化合物層と接触していることを特徴とする請求項5に記載の絶縁回路基板。
- 前記Cu−Mg金属間化合物相の内部に、Cu粒子、及び、Cuと活性金属の化合物粒子のいずれか一方又は両方が分散されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の絶縁回路基板。
- 前記活性金属がTiであることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の絶縁回路基板。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の銅/セラミックス接合体を製造する銅/セラミックス接合体の製造方法であって、
前記銅部材と前記セラミックス部材との間に、Ti,Zr,Nb,Hfから選択される1種又は2種以上の活性金属及びMgを配置する活性金属及びMg配置工程と、
前記銅部材と前記セラミックス部材とを、活性金属及びMgを介して積層する積層工程と、
活性金属及びMgを介して積層された前記銅部材と前記セラミックス部材とを積層方向に加圧した状態で、真空雰囲気下において加熱処理して接合する接合工程と、
を備えており、
前記活性金属及びMg配置工程では、活性金属量を0.4μmol/cm2以上47.0μmol/cm2以下の範囲内、Mg量を28μmol/cm2以上180μmol/cm2以下の範囲内とし、
前記接合工程では、480℃以上650℃未満の温度領域における昇温速度が5℃/min以上とされるとともに、650℃以上の温度で30分以上保持することを特徴とする銅/セラミックス接合体の製造方法。 - 請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の絶縁回路基板の製造方法であって、
前記銅板と前記セラミックス基板との間に、Ti,Zr,Nb,Hfから選択される1種又は2種以上の活性金属及びMgを配置する活性金属及びMg配置工程と、
前記銅板と前記セラミックス基板とを、活性金属及びMgを介して積層する積層工程と、
活性金属及びMgを介して積層された前記銅板と前記セラミックス基板とを積層方向に加圧した状態で、真空雰囲気下において加熱処理して接合する接合工程と、
を備えており、
前記活性金属及びMg配置工程では、活性金属量を0.4μmol/cm2以上47.0μmol/cm2以下の範囲内、Mg量を28.6μmol/cm2以上180μmol/cm2以下の範囲内とし、
前記接合工程では、480℃以上650℃未満の温度領域における昇温速度が5℃/min以上とされるとともに、650℃以上の温度で30分以上保持することを特徴とする絶縁回路基板の製造方法。
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WO2022224946A1 (ja) * | 2021-04-19 | 2022-10-27 | 三菱マテリアル株式会社 | 銅/セラミックス接合体、および、絶縁回路基板 |
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