JP2021014624A - 焼結性金属粉末及び該焼結性金属粉末を用いた金属部材成形方法 - Google Patents

焼結性金属粉末及び該焼結性金属粉末を用いた金属部材成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の技術に比べ、省エネルギーかつ高効率の金属部材の成形を実現でき、少ロット多品種の金属部材生産に好適に用いることができる焼結性金属粉末及び該焼結性金属粉末を用いた金属部材成形方法を提供する。【解決手段】金属粉末及び燃焼性金属組成物を含有してなる焼結性金属粉末であって、前記燃焼性金属組成物が、金属酸化物と金属還元剤とを少なくとも含むことを特徴とする焼結性金属粉末及び該焼結性金属粉末を用いた金属部材成形方法。金属酸化物と金属還元剤を含有してなる燃焼性金属組成物の燃焼反応場に金属粉末を介在させることにより、該金属粉末粒子が焼結または溶融結合し、短時間で所定の形状からなる金属部材を形成させることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、焼結性金属粉末及び該焼結性金属粉末を用いた金属部材形成方法に関し、特に、少ロットの金属部材を省エネルギーで効率的に成形することができる方法に関する。
金属部材を成形する従来の代表的方法としては、まず鋳造法が挙げられる。これは、鋳型に溶融金属を注入、冷却固結することにより金属部材を得る方法であり、鋳型種類によって、砂型鋳造法(生砂製法、炭酸ガス型法)、ロストワックス法、ダイカスト法、金型鋳造法に類型される。また、粉末冶金法も代表的な方法として挙げられる。これは、金属粉末を金型に入れて圧縮して固め、高温で長時間焼結して金属部材を製造する方法である。
鋳造法では金属溶融炉が必要であり、また、粉末冶金法では精密な金型及び高温焼成炉を必要とする。このようにいずれも重厚な設備や金型を必要とし、小ロット多品種の金属部材を生産する方法として非効率である。
近年、小ロット品の造形物を作製する方法として粉末焼結積層造形法(いわゆる金属3Dプリンター)の技術が注目を浴びている。これは、金属粉末を層状に敷き詰め、高出力のレーザービームや放電などで直接焼結して金属部材を成形する方法である。
特開2018−178239号公報
特許文献1に開示されている粉末焼結積層造形法は、少ロット多品種の金属部材生産に適しているが、金属粉末を層状に敷き詰めたところに高出力レーザーを当てて金属粒子同士を融着する方法であり、この操作を繰り返しながら積層造形して行く必要があるため非常に多大な時間を要し、より効率的な成形方法の開発が待たれている。
本発明者は前記課題に鑑みてなされたものであり、従来の技術に比べ、省エネルギーかつ高効率の金属部材の成形を実現でき、少ロット多品種の金属部材生産に好適に用いることができる焼結性金属粉末及び該焼結性金属粉末を用いた金属部材成形方法を提供することを目的とする。
本発明は、金属酸化物と金属還元剤との反応によって発生する高熱を利用すべく、金属粉末及び燃焼性金属組成物を含有してなる焼結性金属粉末を準備し、金属部材成形原料として使用したところ、従来の技術に比べ、極めて省エネルギーかつ高効率で金属部材を形成することができることを見出し、さらなる検討と考察を加えて本発明を完成させた。
すなわち本発明は以下に示すものである。
(1)金属粉末及び燃焼性金属組成物を含有してなる焼結性金属粉末であって、
前記燃焼性金属組成物が、金属酸化物と金属還元剤とを少なくとも含むことを特徴とする焼結性金属粉末。
(2)前記金属酸化物が、
酸化モリブデン、酸化銅、酸化鉄、酸化マンガン、酸化ビスマス、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化クロム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム及び酸化スズからなる群から選ばれる少なくとも一つの金属酸化物であり、
前記金属還元剤が、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ホウ素及びこれらの合金からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属還元剤
であることを特徴とする前記(1)に記載の焼結性金属粉末。
(3)前記金属粉末が、鉄、銅、チタン、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、タンタル、ニオブ、バナジウム、ハフニウム、モリブデン、マンガン、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、スズ及びこれらの合金からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属粉末であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の焼結性金属粉末。
(4)金属粉末及び燃焼性金属組成物を含有してなる焼結性金属粉末を金属部材成形原料として用い、
該燃焼性金属組成物を燃焼せしめて発生する還元生成溶融金属及び発生熱による熱拡散作用により、前記金属粉末を焼結し成形体を得ることを特徴とする金属部材成形方法。
(5)金属粉末及び燃焼性金属組成物を含有してなる焼結金属用粉末を金属部材成形原料として用い、
該金属部材成形原料を粘結剤と混合し、所定形状に成形した後、該燃焼性金属組成物を燃焼せしめて発生する還元生成溶融金属及び発生熱による熱拡散作用により、前記金属粉末を焼結し成形体を得ることを特徴とする金属部材成形方法。
(6)熱源を金属部材成形原料に印加して該燃焼性金属組成物の燃焼を惹起せしめ、前記金属粉末を焼結し成形体を得ることを特徴とする前記(4)又は(5)に記載の金属部材成形方法。
本発明によれば、金属酸化物と金属還元剤との反応に金属粉末を介在させることにより金属粉末粒子同士を瞬時に焼結させることができ、金属溶融炉、高温焼成炉、高出力レーザー等の大量エネルギー消費機器を必要とせず、高効率に金属部材を形成することができる。
本発明は、金属粉末及び燃焼性金属組成物を含有してなる焼結性金属粉末であって、
前記燃焼性金属組成物が、金属酸化物と金属還元剤とを少なくとも含むことを特徴としている。
金属酸化物と金属還元剤を含有してなる燃焼性金属組成物の燃焼反応場に金属粉末を介在させることにより、該金属粉末粒子が焼結または溶融結合し、短時間で所定の形状からなる金属部材を形成させることができる。
[金属粉末]
本発明に用いることができる金属粉末としては、公知の方法によって製造された金属粉末を使用することができる。
金属種としては、鉄、銅、チタン、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、タンタル、ニオブ、バナジウム、ハフニウム、モリブデン、マンガン、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、スズ及びこれらの合金を例示することができる。粒経数μm以上のサイズであれば、工業的な乾式法又は湿式法によって製造された金属粉末を使用することができる。金属粉末の純度は、60%以上であることが望ましく、80%以上であることがより望ましい。
本発明に用いられる金属粉末の形状としては、粒径0.5μm〜1000μmのものを使用することができ、好ましくは粒径1μm〜500μm、より好ましくは粒径5μm〜200μmのものである。
また、比表面積としては、0.001m/g〜5.00m/gのものを使用することができ、好ましくは0.004m/g〜3.00m/g、より好ましくは0.01m/g〜0.5m/gのものである。
[燃焼性金属組成物]
本発明に用いることができる燃焼性組成物とは、燃焼する際に放出される反応熱により瞬時に約1000℃〜3000℃に高温化する燃焼組成物を示す。
該燃焼性組成物は、金属酸化物と金属還元剤とを含むことを特徴とする。
金属酸化物としては、酸化モリブデン、酸化銅、酸化鉄、酸化マンガン、酸化ビスマス、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化クロム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム及び酸化スズ等を例示することができる。
酸化モリブデンとしては、例えば、MoO(VI)が挙げられる。酸化銅としては、例えば、CuO(I)、CuO(I)が挙げられる。酸化鉄としては、例えば、FeO(II)、Fe(III)、Feが挙げられる。酸化マンガンとしては、例えば、MnO(II),Mn(III)、MnO(IV)、MnO(VI)、Mn(VII)、KMnO(過マンガン酸カリウム)が挙げられる。酸化ビスマスとしては、Bi(III)、Bi(V)が挙げられる。酸化タングステンとしては、W(III)、WO(IV)、WO(VI)が挙げられる。酸化バナジウムとしては、例えば、V(V)、V(IV)、V(III)、VO(II)などが挙げられる。酸化ニオブとしては、NbO(II)、Nb(III)、NbO(IV)、Nb(V)が挙げられる。酸化クロムとしては、例えば、CrO(II)、Cr(III)、CrO(IV)、CrO(VI)などが挙げられる。酸化チタンとしては、TiO(II)、Ti(III),TiO2(IV)、が挙げられる。酸化タンタルとしては、TaO(IV)、Ta(V)が挙げられる。酸化ジルコニウムとしては、ZrO(II)、ZrO(IV)が挙げられる。酸化スズとしては、SnO(IV)が挙げられる。
金属酸化物の平均粒径が、0.1μm〜100μmの範囲、好ましくは0.1μm〜50μmの範囲であることが好ましい。
また、金属還元剤としては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ホウ素及びこれらの合金等を例示することができる。
金属還元剤の平均粒径が、0.1μm〜300μmの範囲、好ましくは0.1μm〜100μmの範囲であることが好ましい。
本発明に用いることができる燃焼組成物の各成分(金属酸化物及び金属還元剤)の含有量としては、金属酸化物の含有量が2〜70質量%であることが好ましい。また、金属還元剤の含有量は30〜98質量%であることが好ましい。
これら2成分のより好ましい組成は、反応性の面から金属酸化物15〜50質量%、金属還元剤50〜85質量%である。
その際、前記2成分以外にも、着火性能、燃焼性能、発熱性能を損なわない範囲で、成
形体の耐振動性、耐衝撃性、成形性を高める目的でバインダー剤(粘結剤)、コーティング剤等を適宜配合してもよい。
[焼結性金属粉末]
本発明の焼結性金属粉末は、前記金属粉末及び前記燃焼性金属組成物を含有してなる焼結性金属粉末であって、前記燃焼性金属組成物が、前記金属酸化物と前記金属還元剤とを少なくとも含む。
金属粉末と燃焼性金属組成物の混合割合としては、金属粉末の含有量を10〜98質量%とすることが好ましい。また、燃焼性金属組成物の含有量を2〜90質量%とすることが好ましい。さらに好ましい混合割合は、成形性の面から金属粉末30〜90質量%、燃焼性金属組成物10〜70質量%である。
また、前記金属粉末と金属酸化物とは必ずしもそれぞれ独立の粉末を準備し、調製する場合に限らず、前記金属粉末の表面が酸化された金属粉末を使用し、焼結用金属粉末とすることも可能である。例えば、表面が酸化鉄で被覆された鉄粉を使用しアルミニウム等の金属還元剤を使用することで、より効率的に、主成分が鉄からなる成形体を得ることが可能となる。
[燃焼性金属粉末を用いた金属部材成形方法]
本発明の金属部材成形方法は、金属粉末及び燃焼性金属組成物を含有してなる焼結性金属粉末を金属部材成形原料として用い、該燃焼性金属組成物を燃焼せしめて発生する還元生成溶融金属及び発生熱による熱拡散作用により、前記金属粉末を焼結し成形体を得ることを特徴とする金属部材成形方法である。
本発明の燃焼性金属粉末を金属部材成形原料として用いる場合、例えば、焼結用テーブル上に該金属部材成形原料層を形成して、この原料層の所定部に熱源を印加して該燃焼性金属組成物の燃焼を惹起せしめることで、瞬時に発生する反応熱によって金属粉末を焼結させ、成形体を得ることができる。
また、該金属部材成形原料を、好ましくは所定の形状に成形した軟成形体を経由して、金属部材を成形することができる。すなわち、前記の各成分粉末を所定量計量後混合し、好ましくは所定の容器内に充填後、プレスすることによって軟成形体を準備する。
その際、前記3成分(金属粉末、金属酸化物及び金属還元剤)以外にも、着火性能、燃焼性能、発熱性能を損なわない範囲で、成形体の耐振動性、耐衝撃性、成形性を高める目的でバインダー剤(粘結剤)、コーティング剤、溶剤等を適宜配合してもよい。
ここで、バインダー剤としては、PVA(ポリビニルアルコール)、PVP(ポリビニルピロリドン)等のものが例示できる。さらに、溶剤としては水、アルコール類、オイル類等のものが例示できる。
その他、軟成形体を得る方法としては、前記バインダー剤、溶剤等を配合しペースト状にした金属部材成形原料を、型枠に流し込み、乾燥させることで軟成形体を得る方法があげられる。さらに、公知の方法により、金属部材成形用原料を含むインクジェット用インクを調整し、積層法によって軟成形体を形成しても良い。
上記軟成形体は耐熱性ボード等の焼結用テーブルに載置し、電熱線、点火玉等の着火装置、あるいはレーザー、その他エネルギー線等によって着火し、反応を開始させ、得られる発熱を利用して金属粉末を焼結し、成形体とすることができる。
以下、本発明の実施例を示す。本発明の技術的範囲はこれらの具体例によって制限されるものでない。
(実施例1)軟成形体(酸化鉄粉→粉末圧縮成形)
鉄粉(平均粒子径150μm)100g、酸化鉄粉(Fe、平均粒子径1.1μm)12g、アルミニウム粉(平均粒子径7μm)4.1gの混合粉を金型に入れ圧縮成形して軟成形体を得た。この軟成形体を耐熱性ボード上に置き、その一端に電熱線をあて電熱加熱を行った。加熱部を起点にテルミット反応が起こり2秒ほどで鉄の成形体を得た。この成形体は鉄約93質量%、酸化アルミニウム約7質量%の成分から成り、3.2%の空隙率を有していた。
(実施例2)軟成形体(酸化鉄粉→鋳込み成形)
鉄粉(平均粒子径30μm)150g、酸化鉄粉(Fe、平均粒子径1.1μm)16g、アルミニウム粉(平均粒子径7μm)5.5g、PVP1.5g、純水80gを混合して鉄粉が主成分であるペーストを作製した。これを石膏で作製した型枠に流し込み、3時間静置した後に型枠から取り出し、真空乾燥機の中で残留水分を除去して軟成形体を得た。この軟成形体を耐熱性ボード上に置き、その一端に電熱線をあて電熱加熱を行った。加熱部を起点にテルミット反応が起こり2秒ほどで鉄の成形体を得た。この成形体は鉄約94質量%、酸化アルミニウム約6質量%の成分から成り、2.4%の空隙率を有していた。
(実施例3)軟成形体(表面酸化鉄粒子→粉末圧縮成形)
鉄粉(平均粒子径80μm)100gを純水中に24時間浸漬したのちに脱水・乾燥することにより表面がFeにより酸化された鉄粉を得た。これにアルミニウム粉(平均粒子径7μm)3gを加え、混合した後に金型に入れ圧縮成形して軟成形体を得た。この軟成形体を耐熱性ボード上に置き、その一端に電熱線をあて電熱加熱を行った。加熱部を起点にテルミット反応が起こり2秒ほどで鉄の成形体を得た。この成形体は鉄約95質量%、酸化アルミニウム約3質量%の成分から成り、5.2%の空隙率を有していた。
本発明によれば、高効率で瞬時に金属部材を形成できるため、小ロット多品種の金属部材形成に利用できる。その他、精密な金属部材の溶接補強材や、3Dプリンターに用いられる造形物形成用の原料としても好適に使用できる。

Claims (6)

  1. 金属粉末及び燃焼性金属組成物を含有してなる焼結性金属粉末であって、
    前記燃焼性金属組成物が、金属酸化物と金属還元剤とを少なくとも含むことを特徴とする焼結性金属粉末。
  2. 前記金属酸化物が、
    酸化モリブデン、酸化銅、酸化鉄、酸化マンガン、酸化ビスマス、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化クロム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム及び酸化スズからなる群から選ばれる少なくとも一つの金属酸化物であり、
    前記金属還元剤が、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ホウ素及びこれらの合金からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属還元剤
    であることを特徴とする請求項1に記載の焼結性金属粉末。
  3. 前記金属粉末が、鉄、銅、チタン、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、タンタル、ニオブ、バナジウム、ハフニウム、モリブデン、マンガン、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、スズ及びこれらの合金からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属粉末であることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結性金属粉末。
  4. 金属粉末及び燃焼性金属組成物を含有してなる焼結性金属粉末を金属部材成形原料として用い、
    該燃焼性金属組成物を燃焼せしめて発生する還元生成溶融金属及び発生熱による熱拡散作用により、前記金属粉末を焼結し成形体を得ることを特徴とする金属部材成形方法。
  5. 金属粉末及び燃焼性金属組成物を含有してなる焼結金属用粉末を金属部材成形原料として用い、
    該金属部材成形原料を粘結剤と混合し、所定形状に成形した後、該燃焼性金属組成物を燃焼せしめて発生する還元生成溶融金属及び発生熱による熱拡散作用により、前記金属粉末を焼結し成形体を得ることを特徴とする金属部材成形方法。
  6. 熱源を金属部材成形原料に印加して該燃焼性金属組成物の燃焼を惹起せしめ、前記金属粉末を焼結し成形体を得ることを特徴とする請求項4又は5に記載の金属部材成形方法。
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