JP2021014053A - 偽造防止媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザー照射によって発色するレーザー発色層とホログラムとを利用した偽造防止媒体であって、表面側からの改竄はもちろん、裏面側からの改竄も防ぐことができる偽造防止媒体を提供すること。【解決手段】ホログラム構造体と、このホログラム構造体の表裏に配置され、レーザー照射によって発色するレーザー発色層1A,2Aを有する偽造防止媒体で、表裏の前記レーザー発色層をいずれもパターン状に発色させる。そして、前記ホログラム構造体を挟んだ領域内で、これら表裏の発色パターン1B,2Bを同一形状かつ同一位置に設ける。【選択図】図5

Description

本発明はレーザー照射によって発色するレーザー発色層とホログラムとを利用した偽造防止媒体に関する。
偽造防止技術は、様々な物品に利用されている。例えば、銀行券、債券、商品券、小切手などの金券や有価証券などに利用されている。また、クレジットカード、IDカード、公文書などの各種証明書、重要書類などにも利用されている。
また、最近では、各種商品やその包装材料に適用して、その商品が真正であることを保障するために利用されている。言うまでもなく、これら物品を検査して、適正な偽造防止手段が施されている場合には真正な物品と判定され、偽造防止手段が施されていない場合もしくは不適正なものであった場合は非真正な物品と判定される。
偽造防止技術にはさまざまなものが知られているが、このようなさまざまな偽造防止技術のうち、レーザー発色層とホログラムの両者を利用した偽造防止技術は、例えば、特許文献1に記載されている。
この偽造防止技術を適用したカードは図7〜図8に図示するようなものである。すなわち、このカードは、図8(a)に示すカードブランク200Aにレーザー光を照射して、画像を形成したものである。カードブランク200Aは、その中央に印刷済の白色コアシート30と白色コアシート40とを有しており、これらは互いに積層されている。
そして、その表面側、すなわち、印刷済白色コアシート30側にレーザー発色層2Aが積層されている。このレーザー発色層2Aはレーザー光の照射によって発色するものである。
次に、このレーザー発色層2Aの上にホログラム構造体が積層されている。このホログラム構造体は、ホログラムを構成する凹凸を表面に設けたホログラム形成材13と、この凹凸表面に密着して設けられた光反射性金属膜14とで構成されており、接着剤15を介してレーザー発色層2Aと光反射性金属膜14とが接着している。
そして、このホログラム構造体の表面側に透明保護層12が設けられている。
一方、裏面側、すなわち、白色コアシート40側には、透明保護層60が設けられている。
そして、このカードブランク200Aの表面側からレーザー光を照射すると、レーザー発色層2Aを構成する光反射性金属膜14が破壊除去され、その下に配置されたレーザー発色層2Aにレーザー光が到達して、このレーザー発色層2Aが発色する。このため、レーザー光を画像パターン状に走査することにより、この画像パターン状に光反射性金属膜14が破壊除去され、かつ、レーザー発色層2Aが発色して画像を形成するのである(図8(b)参照)。図8(b)において、2Bはレーザー発色層2Aが発色した発色部位を示している。なお、こうして形成する画像は任意の画像でよいが、例えば、図7に示すように、カード200の持主の顔写真等の画像である。
こうして製造されたカード200は、レーザー発色層2Aの発色で形成された画像がホ
ログラム構造体に覆われているので、この画像を改竄するためにはホログラム構造体を破壊しなければならない。そして、ホログラム構造体を破壊すればその痕跡が残り、また、ホログラム構造体を破壊した痕跡は一目で認識できるので、前記画像の改竄が困難なのである。
特開2019−38141号公報
しかしながら、このカードにおいては、例えば、裏面側から削り取ることによって、ホログラム構造体を損傷することなく前記画像を削り取ることが可能である。そして、削り取った画像の代わりに他の画像を設けることにより、このカードの改竄が可能となるという問題を有していた。
そこで、本発明は、表面側からの改竄はもちろん、裏面側からの改竄も防ぐことができる偽造防止媒体を提供することを目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、ホログラム構造体と、このホログラム構造体の表裏に配置され、レーザー照射によって発色するレーザー発色層を有し、
この表裏のレーザー発色層がいずれもパターン状に発色しており、
かつ、前記ホログラム構造体を挟んだ領域内で、これら表裏の発色パターンが同一形状かつ同一位置に設けられていることを特徴とする偽造防止媒体である。
次に、請求項2に記載の発明は、前記ホログラム構造体が、ホログラムを構成する凹凸を表面に設けたホログラム形成材と、この凹凸表面に密着して設けられた光反射膜とで構成されており、
前記光反射膜が金属反射膜と透明反射膜とを積層した多層反射膜で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体である。
次に、請求項3に記載の発明は、前記透明反射膜が、高屈折率の透明膜と低屈折率の透明膜とを積層した多層透明反射膜で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の偽造防止媒体である。
次に、請求項4に記載の発明は、カードから成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偽造防止媒体である。
本発明の偽造防止媒体は、レーザー発色層の発色パターンがホログラム構造体の表裏に設けられており、しかも、ホログラム構造体を挟んだ領域内では、これら表裏の発色パターンが同一形状かつ同一位置に設けられているから、これを改竄するためには、表裏の前記発色パターンの両方を削り取らなくてはならない。表裏の前記発色パターンの間にはホログラム構造体が存在しており、表裏の前記発色パターンの両方を削り取った場合には、このホログラム構造体が残存するが、ホログラム構造体は脆弱で破壊され易く、また、そのホログラム画像も変化するため、このように表裏両面の発色パターンの両方を削り取ることはできない。このため、表面側からの改竄はもちろん、裏面側からの改竄も防ぐことが可能となる。
なお、万一表裏両面の発色パターンの両方を削り取ったとしても、ホログラム構造体を挟んだ領域内で同一形状かつ同一位置に改竄画像を設けることは事実上不可能であるから、この場合にも改竄は不可能なのである。
図1は本発明の偽造防止媒体の製造に適用する転写箔の具体例を示す要部断面図である。 図2は本発明の偽造防止媒体の製造工程を示す要部断面図である。 図3は本発明の偽造防止媒体の製造工程を示す要部断面図である。 図4は本発明の偽造防止媒体の製造工程を示す要部断面図である。 図5は本発明の偽造防止媒体の具体例に係り、図5(a)はその断面図、図5(b)は要部の拡大断面図である。 図6は本発明の偽造防止媒体の製造に適用する転写箔の別の例を示す要部断面図である。 図7は偽造防止媒体の例を示す斜視図である。 図8は従来の偽造防止媒体に係り、図8(a)はそのブランクの要部断面図、図8(b)は偽造防止媒体を示す要部断面図である。
次に、カードを例として、本発明の具体例を説明する。なお、説明の便宜上、その製造工程に従って説明する。
図1は本発明の偽造防止媒体の製造に適用する転写箔10の具体例を示す要部断面図である。
この転写箔10では、転写箔基材11の片面に、剥離層12を介して、レーザー発色層1Aが積層されている。このレーザー発色層1Aの上には、ホログラム構造体が積層されており、このホログラム構造体は、ホログラムを構成する凹凸を表面に設けたホログラム形成材13と、この凹凸表面に密着して設けられた光反射膜14とで構成されている。また、ホログラム構造体の上に接着剤層15が形成されている。
転写箔基材11は熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が要求されるもので、その材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等の合成樹脂、天然樹脂、紙、合成紙等を使用可能である。
剥離層12としては、容易に転写箔基材11から剥がれる材料であれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂のいずれであっても良いが、柔軟性、箔切れ性を考慮し、熱可塑性樹脂が好ましい。その例として、熱可塑性ポリアクリル酸エステル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を、単独あるいは複合して用いることができる。また、箔切れ性や耐摩性を考慮し、石油系ワックス、植物系ワックス等の各種ワックス、ステアリン酸等の高級脂肪酸の金属塩、シリコンオイル等の滑剤や、テフロン(登録商標)パウダー、ポリエチレンパウダー、シリコーン系微粒子やアクリルニトリル系微粒子等の有機フィラーおよび、シリカ微粒子等の無機フィラーを添加することもできる。
レーザー発色層1Aは、照射されたレーザー光により、照射部分を炭化させることによ
り黒く発色させるか、照射部分の構造を変化させ発色させるものである。このようなレーザー発色層1Aの材料としては、光透過性の樹脂に、レーザー光の波長域に吸収のある添加剤を加えたものを用いることができる。
このようなレーザー光としては、例えば、COレーザーを含む遠赤外線レーザー、Nd:YAGレーザーおよびNd:YVOレーザーを含む近赤外線パルスレーザー、可視光のパルスレーザー、および、エキシマレーザーなどであればよい。また、例えば、Nd:YAGレーザーまたはNd:YVOレーザーの第3高調波を用いた紫外線レーザー、半導体レーザー、フェムト秒レーザー、および、ピコ秒レーザーなどであってもよい。
また、このレーザー光を透過する前記光透過性樹脂としては、例えばポリカーボネート(PC)、植物由来ポリカーボネート(バイオPC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシロキサン1,4−ジメチルフタレート(PCT)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、透明アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合合成樹脂(MABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール等が使用できる。
また、その添加剤としては、レーザー光を吸収して熱エネルギーに変換できる材料又は、レーザー光を吸収して発色する材料が適当である。
レーザー光を吸収して熱エネルギーに変換できる材料を添加剤として樹脂に添加した場合には、レーザー光を照射したとき、この材料がレーザー光を吸収して発熱し、周囲の樹脂を炭化させて黒色に発色させる。このような材料としては、例えば、染料と珪素含有無機化合物、珪素を含有する染料、金属珪酸塩等の放射線吸収物質、水和アルミナ等の無機質充填剤、燐酸塩を含む顔料、非白色のチタン酸金属塩、黒色有機染料、非黒色の無機鉛化合物、黒鉛、カーボンブラック、グラファイト、金属水酸化物や金属含水化合物と着色剤を含有したもの等が挙げられる。
また、レーザー光を吸収して発色する材料としては、炭酸鉛、硫酸鉛、ステアリン酸鉛、鉛白、酢酸銀、蓚酸コバルト、炭酸コバルト、黄色酸化鉄、塩基性酢酸ビスマス、水酸化ビスマス、ニッケルアセチルアセテート、乳酸ニッケル、クエン酸銅、炭酸銅等、重金属を含有する化合物などがあげられる。また、ロイコ染料と顕色剤を用いてもよい。
なお、この材料を溶剤に溶解又は分散して剥離層12上に塗布することにより、レーザー発色層1Aを形成することができる。
次に、ホログラム形成材13は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂のいずれを材質とするもので良い。例を挙げれば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂や、反応性水酸基を有するアクリルポリオールやポリエステルポリオール等にポリイソシアネートを架橋剤として添加、架橋したウレタン樹脂や、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等の熱硬化樹脂、エポキシ(メタ)アクリル、ウレタン(メタ)アクリレート等の紫外線あるいは電子線硬化樹脂を、単独もしくはこれらを混合して使用できる。
そして、これら樹脂をレーザー発色層1A上に塗布した後、表面に所定の凹凸を有するプレス板でプレスすることによって、ホログラムを構成する前記凹凸をホログラム形成材13表面に形成することができる。
次に、光反射膜14はホログラム形成材13の前記凹凸表面に密着して設けられるもので、これに入射した光を反射回折し、この反射回折光でホログラム画像を再生する役割を
有している。こうして再生されるホログラム画像は、観察する角度に応じて色彩が変化したりあるいは互いに異なる画像が観察できる。いずれの画像も印刷では表現できないものである。
光反射膜14は、単層構造であってもよいが、多層構造であってもよい。好ましくは、透明反射膜と金属反射膜とを積層した多層反射膜である。図1の転写箔10は、単層の透明反射膜14aと単層の金属反射膜14bとをこの順に積層した二層構造の光反射膜14を有している。金属反射膜14bとしては、アルミニウム、錫、金、銀、クロム、ニッケル等の金属の蒸着膜を利用できる。また、透明反射膜14aとしては、酸化チタン、硫化亜鉛等の高屈折材料の透明蒸着膜を利用できる。
なお、透明反射膜として、高屈折の透明蒸着膜と低屈折率の透明蒸着膜とを積層した多層透明反射膜を使用することもできる。周知のように、高屈折の透明蒸着膜と低屈折率の透明蒸着膜とを交互に積層して構成される多層透明反射膜は、その層の数、各層の厚み及び屈折率に応じて、特定の波長の光を選択して反射する。このため、光反射膜14としてこのような多層透明反射膜を使用した場合には、特定の色彩に着色したホログラム画像を観察することができる。
図6は、光反射膜14としてこのような多層透明反射膜と単層の金属反射膜14bとを積層した三層構造の反射膜を使用した転写箔10’の具体例を示している。すなわち、この例では、高屈折の透明蒸着膜14a,低屈折率の透明蒸着膜14a’及び金属反射膜14bをこの順にホログラム形成材13上に積層して、この三層で光反射膜14を構成している。このように多層透明反射膜と金属反射膜の両者を含む光反射膜14を使用した場合には、多層透明反射膜による特定色の反射回折光と金属反射膜による反射回折光とが重畳して、例えば、金色に着色したホログラム画像を観察することができる。
接着剤層15は、熱転写の際に、転写する対象、この例ではレーザー発色シート2Aに接着するものである。その材質としては熱可塑性樹脂が好ましくアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂等の等が使用可能である。
そして、まず、この転写箔10を、図2に示すように、レーザー発色シート2Aに転写する。すなわち、転写箔10の接着剤層15をレーザー発色シート2Aに向けて重ね、熱圧して両者を接着した後、転写箔基材11を剥離除去することにより、レーザー発色シート2Aに、接着剤層15、光反射膜14とホログラム形成材13とで構成されるホログラム構造体、剥離層12を転写する。なお、図示のように、レーザー発色シート2Aの一部に転写することもできるし、レーザー発色シート2Aの全面に転写することも可能である。
レーザー発色シート2Aは、前述のレーザー発色層1Aと同様の材質のものであってよいが、レーザー光を吸収して熱エネルギーに変換できる材料を添加剤として添加したポリカーボネート樹脂シートが好適である。
次に、こうして転写されたレーザー発色シート2Aと、そのほかのカード構成材料とを重ねてプレスすることにより、カードブランク100Aを製造する。すなわち、図3に示すように、図示しない印刷が施されたコアシート(印刷済コアシート)30とコアシート40とを重ね、その表面側、すなわち、印刷済白色コアシート30側に転写された前記レーザー発色シート2Aと透明保護シート70をこの順に重ねると共に、裏面側、すなわち、白色コアシート40側にレーザー発色シート50と透明保護シート60とをこの順に重ねて、全体をプレスして一体化させることにより、カードブランク100Aを製造することができる(図4参照)。
印刷済コアシート30及びコアシート40は任意の材質のシートでよいが、レーザー発色シート2Aがポリカーボネート樹脂で構成されている場合には、これと強固に接合するように、印刷済コアシート30及びコアシート40もポリカーボネート樹脂で構成されていることが望ましい。また、これら印刷済コアシート30やコアシート40は、レーザー発色シート2Aを発色させるレーザー光を透過させない不透明なものであることが望ましい。例えば、白色ポリカーボネート樹脂シートである。
レーザー発色シート50は、カードの裏面側からレーザー光を照射して画像形成するもので、レーザー発色シート2Aと同様の材質のものが使用できる。例えば、レーザー光を吸収して熱エネルギーに変換できる材料を添加剤として添加したポリカーボネート樹脂シートである。コアシート40とレーザー発色シート50の両者が共にポリカーボネート樹脂で構成されている場合には、この両者を強固に接合することが可能である。
また、透明保護シート60,70も任意の材質から成るシートであってよいが、レーザー発色シート2A,50と同質のシートを使用することが望ましい。例えば、透明ポリカーボネート樹脂シートである。
こうして製造されたカードブランク100Aに対して、その表面側からレーザー光を照射することにより、レーザー発色層1Aを発色させることができる。また、光反射膜14がその層構成中に金属反射膜を有する場合であっても、照射されたレーザー光はこの金属反射膜を破壊除去してレーザー発色シート2Aに到達するから、このレーザー発色シート2Aも発色させる。
なお、光反射膜14がその層構成中に透明反射膜を有する場合、レーザー光はこの透明反射膜を透過するから、透明反射膜はレーザー光の影響を受けない。
また、印刷済コアシート30やコアシート40がレーザー光を透過させない不透明なものである場合、表面側から照射されたレーザー光はレーザー発色シート50に到達せず、レーザー発色シート50もその影響を受けない。
そして、このように、表面側からレーザー光を照射することにより、金属反射膜が破壊除去され、レーザー発色層1Aとレーザー発色シート2Aとを発色させるから、パターン状にレーザー光を照射すれば、この照射パターンと同一形状及び同一位置に金属反射膜が破壊除去され、また、レーザー発色層1Aの発色パターンとレーザー発色シート2Aの発色パターンも、レーザー光の照射パターンと同一形状及び同一位置となる。
なお、レーザー発色シート2Aの一部にホログラム構造体が転写された場合には、レーザー発色層1Aはこのホログラム構造体の領域内のみに存在しており、この領域外にはみ出しておらず、一方、レーザー発色シート2Aはホログラム構造体の領域内からはみ出しているが、このホログラム構造体の領域内においては、レーザー発色層1Aの発色パターンとレーザー発色シート2Aの発色パターンとが同一形状及び同一位置に形成される。
図5は、一部にホログラム構造体を転写して製造したカード100の要部断面図である。この図から分かるように、このカード100は、印刷済コアシート30の表面側に、レーザー発色シート2A、ホログラム構造体、レーザー発色層1Aが積層されており、レーザー発色層1Aとレーザー発色シート2Aとは、ホログラム構造体を挟んでその表裏に配置されている。
そして、この例では、ホログラム構造体を挟んだ領域内から領域外にかけてこれらに跨
るようにないレーザー光が照射されているため、ホログラム構造体の存在する領域内においては、レーザー光の照射パターンに対応して、ホログラム構造体の金属反射膜14bが破壊除去されており、また、レーザー発色層1Aとレーザー発色シート2Aとはパターン状に発色している。図中、1Bはレーザー発色層1Aが発色して形成された発色パターンを示しており、2Bはレーザー発色シート2Aが発色して形成された発色パターンを示している。
一方、ホログラム構造体を挟んだ領域の外では、ホログラム構造体やレーザー発色層1Aが存在せず、レーザー発色シート2Aが存在しているから、このレーザー発色シート2Aが発色している。そして、その発色パターン2Bはホログラム構造体を挟んだ領域内から領域外に跨って連続した画像を構成している。
なお、前述のように、透明反射膜14aはレーザー照射による影響を受けることなく残存しているから、レーザー発色シート2Aが発色して形成された発色パターン2Bはこの透明反射膜14aに覆われており、この部位では、透明反射膜14aによる反射回折光に基づくホログラム画像と発色パターン1B,2Bとが重畳して観察できる。
レーザー光の照射パターン、すなわち、発色パターン1B,2Bは任意の画像でよいが、そのカード100に特有の画像とすることが望ましい。例えば、カード100の持主の顔写真である。また、ホログラム構造体を挟んだ領域内から領域外に跨って連続した画像として形成することが望ましい。
なお、裏面側からパターン状にレーザー光を照射することにより、レーザー発色シート50に画像を形成することができる。印刷済コアシート30やコアシート40がレーザー光を透過させない不透明なものである場合、裏面側から照射されたレーザー光はレーザー発色シート2Aに到達せず、レーザー発色シート2Aやレーザー発色層1Aはその影響を受けない。
以上、具体例に基づいて本発明を説明したが、ICチップを内蔵したり、磁気記録層を有するカードにも適用できることは明らかである。また、カードに限らず、不正な改竄が予想される任意の物品に適用できることも明らかである。
(実施例1)
この例は、光反射膜14として、単層の透明反射膜14aと単層の金属反射膜14bとをこの順に積層した二層構造の光反射膜を使用した例である(図1〜4参照)。
まず、転写箔基材11として厚さ19μmのポリエステルフィルムを準備した。そして、この転写箔基材11の片面に剥離層12を塗布形成した。剥離層12の材質はアクリル樹脂で、その厚みは1μmである。また、塗布方法はグラビアコーティングである。
次に、この剥離層12の上にレーザー発色層1Aを塗布形成した。剥離層12は、レーザー光の照射によって発色するもので、その厚みは1μmである。また、塗布方法としてはグラビアコーティングを採用した。
次に、この剥離層12の上にホログラム形成材13を塗布形成した。ホログラム形成材13の材質は紫外線硬化型樹脂である。そして、別途準備したプレス板でプレスして、ホログラムを構成する凹凸をホログラム形成材13表面に形成した後、紫外線を照射して、このホログラム形成材13を硬化させた。プレス条件は、温度100℃、圧力1MPaである。
なお、前記プレス板は、次の工程で製造したものである。すなわち、まずホログラムの描画データに基づき、電子線硬化型レジストを電子線で走査して、このレジスト表面に凹凸を形成し、現像して原版とした。この原版の凹凸表面にニッケルをスパッタリングした後、電鋳法によりニッケルメッキを施して母型を作成した。そして、この母型から反転を繰り返すことにより、前記プレス板を製造した。
次に、このホログラム形成材13の凹凸表面に、酸化チタン(TiO)を蒸着して透明反射膜14aを形成した。透明反射膜14aの厚みは55nmである。そして、さらにこの透明反射膜14aの上にアルミニウム(Al)を蒸着して、金属反射膜14bを形成した。金属反射膜14bの厚みは50nmである。
次に、この金属反射膜14bの上に接着剤層15を塗布形成して転写箔10とした。接着剤層15の材質はアクリル系樹脂で、その厚みは2μmである。また、塗布方法はグラビアコーティングである。
レーザー発色シート2Aとしては、レーザー光を吸収して熱エネルギーに変換できる材料を添加剤として添加したポリカーボネート樹脂シートを使用した。その厚みは100μmである。そして、このレーザー発色シート2Aに前記転写箔10を重ね、120℃、100kg/cmの条件で熱圧して接着した後、転写箔基材11を剥離除去して、レーザー発色シート2Aの一部に転写した。転写面積は、20mm×20mmである。
そして、図3に示すように、別途準備した印刷済コアシート30とコアシート40とを重ね、その表面側、すなわち、印刷済白色コアシート30側に転写された前記レーザー発色シート2Aとを透明保護シート70とをこの順に重ねると共に、裏面側、すなわち、白色コアシート40側にレーザー発色シート50と透明保護シート60とをこの順に重ねて、全体をプレスして一体化させることにより、カードブランク100Aを製造した。プレス条件は、温度195℃、圧力10kg/cmである。
なお、印刷済コアシート30及びコアシート40は、いずれも白色不透明なポリカーボネート樹脂シートで、その厚みはいずれも200μmである。レーザー発色シート50は、前記レーザー発色シート2Aと同一材質のもので、その厚みも同一である。また、透明保護シート60,70は厚み125μmのポリカーボネート樹脂シートである。
そして、このカードブランク100Aに対し、表面側、すなわち、透明保護シート70側からレーザー光を顔写真のパターン形状に照射した。なお、この顔写真のパターン形状は、ホログラム構造体を挟んだ領域内から領域外に跨って連続した画像として形成した。
この結果、ホログラム構造体の存在する領域においては、前記顔写真のパターン形状に対応して金属反射膜14bが破壊除去され、レーザー発色層1Aとレーザー発色シート2Aとが発色した。レーザー発色層1Aの発色パターン1Bとレーザー発色シート2Aの発色パターン2Bとは同一形状かつ同一位置であり、前記顔写真のパターン形状の一部を構成するパターンである。そして、この部位では、これら発色パターン1B,2Bに重畳して、透明反射膜14aによるホログラム画像が観察できた。
(実施例2)
この例は、光反射膜14として、二層構造の透明反射膜14a,14a’と単層の金属反射膜14bとをこの順に積層した二層構造の光反射膜を使用した例である(図6参照)。そのほかの点は実施例1と同様である。
すなわち、ポリエステルフィルム製転写箔基材11の片面に、剥離層12、レーザー発色層1A、ホログラム形成材13を順次塗布形成し、ホログラム形成材13表面に酸化チタン(TiO)を蒸着して高屈折率の透明反射膜14aを形成した。高屈折率透明反射膜14aの厚みは80nmである。次に、この高屈折率透明反射膜14aの上にフッ化マグネシウム(MgF)を蒸着して低屈折率の透明反射膜14a’を形成した。低屈折率透明反射膜14a’の厚みは30nmである。透明反射膜14aの厚みは55nmである。そして、さらに、この低屈折率透明反射膜14a’の上にアルミニウム(Al)を蒸着して、金属反射膜14bを形成した。金属反射膜14bの厚みは50nmである。なお、こうして三層の反射膜14a,14a’,14bで光反射膜14を構成しているため、金色のホログラム画像が観察できた。
そして、この金属反射膜14bの上に接着剤層15を塗布形成して転写箔10とし、この転写箔10を使用して実施例1と同様にカードブランク100Aを製造し、また、カード100を製造した。
こうして得られたカード100においても、ホログラム構造体の存在する領域においては、前記顔写真のパターン形状に対応して金属反射膜14bが破壊除去され、レーザー発色層1Aとレーザー発色シート2Aとが発色した。レーザー発色層1Aの発色パターン1Bとレーザー発色シート2Aの発色パターン2Bとは同一形状かつ同一位置であり、前記顔写真のパターン形状の一部を構成するパターンである。そして、この部位では、これら発色パターン1B,2Bに重畳して、透明反射膜14a,14a’によるホログラム画像が観察できた。なお、この部位では金属反射膜14bが破壊除去されているため、ホログラム画像は透明であった。
100:偽造防止媒体(カード)
100A:カードブランク
10:転写箔
11:転写箔基材
12:剥離層
1A:レーザー発色層 1B:発色パターン
13:ホログラム形成材
14:光反射膜 14a:高屈折率透明反射膜 14a’:高屈折率透明反射膜
14b:金属反射膜14b
15:接着剤層
2A:レーザー発色シート 2B:発色パターン
30:印刷済コアシート
40:コアシート
50:レーザー発色シート
60:透明保護シート
70:透明保護シート

Claims (4)

  1. ホログラム構造体と、このホログラム構造体の表裏に配置され、レーザー照射によって発色するレーザー発色層を有し、
    この表裏のレーザー発色層がいずれもパターン状に発色しており、
    かつ、前記ホログラム構造体を挟んだ領域内で、これら表裏の発色パターンが同一形状かつ同一位置に設けられていることを特徴とする偽造防止媒体。
  2. 前記ホログラム構造体が、ホログラムを構成する凹凸を表面に設けたホログラム形成材と、この凹凸表面に密着して設けられた光反射膜とで構成されており、
    前記光反射膜が金属反射膜と透明反射膜とを積層した多層透明反射膜で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止媒体。
  3. 前記透明反射膜が、高屈折率の透明膜と低屈折率の透明膜とを積層した多層反射膜で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の偽造防止媒体。
  4. カードから成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偽造防止媒体。
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