以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(実施の形態1)
<システムの概要>
まず、本開示のドアホンシステムの概要について、図1を用いて説明する。図1に示すように、ドアホンシステム1は、1台のロビーステーション100と、複数台の室内モニタ200と、から構成される。ロビーステーション100は、主に、集合住宅の来訪者が訪問先の居住者を呼び出すために使用される装置であり、例えば、集合住宅の建物の1階の共用玄関(ロビー)に設置される。室内モニタ200は、主に、来訪者からの呼び出しを受けて居住者が応答するための装置であり、各部屋(あるいは各住戸)に設置される。また、室内モニタ200は、ロビーステーション100と他の室内モニタ200との間を中継する装置も兼ねる。
ロビーステーション100は、2線ケーブルを介して1つの室内モニタ200−1と接続される。
室内モニタ200は、2線ケーブルを介して、デイジーチェーン型配線で互いに接続される。具体的には、室内モニタ200−1は、前段のロビーステーション100および後段の室内モニタ200−2と接続される。他の室内モニタ200−h(hは2以上の整数)は、前段の室内モニタ200−h−1および後段の室内モニタ200−h+1に接続される。
ロビーステーション100は、通信相手の室内モニタ200に映像データ、音声データおよびコマンドデータを送信する。各室内モニタ200は、ロビーステーション100に音声データおよびコマンドデータを送信する。また、各室内モニタ200は、ロビーステーション100のカメラを制御する。ロビーステーション100と、通信相手の室内モニタ200との間に位置する室内モニタ200は、ロビーステーション100と通信相手の室内モニタ200との間で送受される信号を中継する。
なお、以下の説明において、ロビーステーション100から室内モニタ200への方向を「下り方向」といい、下り方向に送信されるパケット、信号をそれぞれ「下りパケット」、「下り信号」という。また、室内モニタ200からロビーステーション100への方向を「上り方向」といい、上り方向に送信されるパケット、信号をそれぞれ「上りパケット」、「上り信号」という。
<フレームフォーマット、タイムスロットフォーマット>
次に、本実施の形態に係るフレームフォーマット、タイムスロットフォーマットについて図2A、図2B、図2Cを用いて説明する。なお、図2A、図2B、図2Cに記載している「byte」および「bytes」を、以下では「バイト」と記載する。
図2Aは、下り方向のフレームフォーマット、タイムスロットフォーマットを示す図である。図2Aに示すように、下り方向では、各フレームが、48000bitの領域を有し、20ms周期、2.4Mbps(高速)のビットレートであり、「SL0」から「SL23」までの24個のタイムスロットに分割される。したがって、下り方向の各タイムスロットは、2000bit=250バイトの領域を有し、0.833μsec周期、2.4Mbpsのビットレートになる。
「SL1」から「SL18」は、ロビーステーション100からの映像データ送信用に割り当てられたタイムスロットである。「SL19」は、ロビーステーション100からの音声データ送信用に割り当てられたタイムスロットである。なお、「SL20」から「SL23」は、リザーブのスロットであり、コマンド用のタイムスロットとして使用しても良い。
ロビーステーション100と室内モニタ200との間で同期を取って、データ送信する必要がある場合、「SL0」を制御スロット(ビーコン)として使用しても良い。
このように、複数のタイムスロットで構成される通信フレームを使用して、ロビーステーション100から、室内モニタ200へ下り方向にデータを送信する場合、映像データ、音声データおよびコマンドデータを各スロットに割り当て、時分割多重することができる。なお、この場合、映像データのみ、映像データと音声データ、さらには、映像データと音声データとコマンドデータを送信することもできる。
複数のタイムスロットで構成される通信フレームを使用して「下り方向」に、データを送信する場合、そのデータ量等、システムの要求に応じて、映像データ用として少なくとも1つのタイムスロット割り当てれば良い。また、映像データと音声データを送信する場合も同様に、映像データ用として少なくとも1つのタイムスロットを割り当て、音声データ用として少なくとも1つのタイムスロットを割り当てれば良い。
図2Bは、上り方向のフレームフォーマット、タイムスロットフォーマットを示す図である。図2Bに示すように、上り方向では、各フレームが、6000bitの領域を有し、20ms周期、0.3Mbps(低速)のビットレートであり、「SL0」から「SL2」までの3個のタイムスロットに分割される。したがって、下り方向の各タイムスロットは、2000bit=250バイトの領域を有し、6.667μsec周期、0.3Mbpsのビットレートになる。
「SL1」は、室内モニタ200からの音声データ送信用に割り当てられたタイムスロットである。なお、「SL2」は、リザーブのスロットであり、コマンド用のタイムスロットとして使用しても良い。
ロビーステーション100と室内モニタ200との間で同期を取って、データ送信する必要がある場合、「SL0」を制御スロット(ビーコン)として使用しても良い。
このように、複数のタイムスロットで構成される通信フレームを使用して、室内モニタ200から、ロビーステーション100へ「上り方向」にデータを送信する場合、音声データおよびコマンドデータを各スロットに割り当て、時分割多重することができる。
また、上り方向では映像データを送信しないので、上り方向のタイムスロットのビットレートを、下り方向よりも低くすることができる。上り方向と下り方向とでビットレート(通信レート)を異ならせることにより、例えば、上り方向、下り方向ともに、FSK(Frequency Shift Keying)でデジタル変調して送信した場合、上り方向の搬送波(以下、「上りキャリア」という)の周波数帯域と、下り方向の搬送波(以下、「下りキャリア」という)の周波数帯域とを分離可能な周波数帯域に設定できるので、周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)のデジタル通信が可能となる。
下り方向および上り方向の各タイムスロットは、53バイトのガードスペース、6バイトのプリアンブルフィールド(Preamble)、1バイトのシンクフィールド(Sync)、8バイトの制御データフィールド、最大180バイトの可変長のユーザデータフィールド、2バイトのチェックサムフィールドに分けられている。
ガードスペースは、タイムスロット間に設けられた、各タイムスロット受信時の初期リセット等のコマンド実行のための期間である。プリアンブルフィールドには、所定のユニークパターンを有するプリアンブルデータが書き込まれる。
シンクフィールドには、所定のシンクパターンが書き込まれる。シンクパターンとは、シンクフィールドに配置された既知のデータ列であって、受信データ受信時の同期を確立するために用いられ、受信データが正確なタイミングで受信されたことを確認するために用いられるデータパターンである。
ユーザデータフィールドには、ユーザデータが書き込まれる。チェックサムフィールドには、誤り検出符号の一種であるチェックサムが書き込まれる。以下の説明において、制御データ、ユーザデータおよびチェックサムを、単に「データ部」という場合もある。なお、上記データ部の構成は、一例であり、信号処理の都合により、その構成が異なる場合もある。
図2Cは、制御データフィールドのフォーマットを示す図である。図2Cに示すように、下り方向および上り方向の各タイムスロットの制御データフィールドは、2バイトのデータ長、1バイトのスロット種別、1バイトの送信元ID(識別子)、1バイトの送信先ID、1バイトのフレーム番号、1バイトのスロット番号、1バイトのリザーブに分けられている。
データ長は、例えば、「制御データ領域+ユーザデータ領域+チェックサム」の合計のデータ長を示す。スロット種別は、このスロットが、音声用か、画像用か、コマンド用か、制御スロット用かを示す。
送信元IDおよび送信先IDは、いずれも、各装置に固有のIDであり、例えば、各装置(ロビーステーション100、室内モニタ200)の不揮発性メモリに記憶されている。送信元IDおよび送信先IDは、初期設置時等に手動(あるいは専用ソフトによる自動)で設定される。
フレーム番号は、フレームが連続する送信時に、本スロットが何番目のフレーム内のものであるかを示す。スロット番号は、本スロットが、フレーム内の何番目のスロットであるかを示す。
<ロビーステーションの構成>
次に、ロビーステーション100の構成について、図3を用いて説明する。図3に示すように、ロビーステーション100は、主に、キー入力部101と、スピーカ102と、マイク103と、音声データ処理部104と、カメラモジュール105と、制御部106と、下りデータ変調部107と、上りデータ復調部108と、記憶部109と、水晶発振部110と、接続IF(Interface)部111と、を具備する。また、ロビーステーション100は、下りキャリア通過フィルタF101および上りキャリア通過フィルタF102を有する。
制御部106は、内部に、通信クロック生成部131と、分周器132と、送信データ処理部133と、受信データ処理部134と、を有する。下りデータ変調部107は、内部に、2値レベル変換部151および2値V−F変換部152を有する。上りデータ復調部108は、2値F−V変換部171および2値レベル変換部172を有する。
キー入力部101は、図4に示すように、各室内モニタ200に割り付けられたキー番号を含む各種ボタンを有し、ボタン操作に応じたキー番号を示す信号および呼出指示信号を制御部106に出力する。なお、キー番号は、図4に示したような物理的なキーに1対1に対応する番号に限らず、例えば部屋番号のような複数のキーの組合せに対応する番号であってもよい。
スピーカ102は、音声データ処理部104から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。マイク103は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声データ処理部104に出力する。
音声データ処理部104は、マイク103から出力されたアナログ音声データに対して増幅等のアナログ音声処理を行い、デジタル音声データに変換して制御部106に出力する。また、音声データ処理部104は、制御部106から出力されたデジタル音声データをアナログ音声データに変換して、増幅等の処理を行い、スピーカ102に出力する。係るアナログ/デジタル変換は、A/D、D/A変換器(図示せず)により行われる。
カメラモジュール105は、デジタルカメラを含み、被写体を撮影してデジタル映像データを生成し、H.264等の動画圧縮規格に従って映像データに対して順次圧縮処理を行う。圧縮されたデジタル映像データは、制御部106に出力される。
制御部106は、ロビーステーション100の各部の制御を行う。例えば、制御部106は、映像関連のコマンドデータを入力した場合、カメラモジュール105における撮像範囲や逆光補正等を制御する。
制御部106の通信クロック生成部131は、水晶発振部110の発振周波数を基準に、下り方向のタイムスロットのビットレートのn倍(nは1以上)に対応する周波数(例えば、24MHz(n=10))の通信クロック(以下、「下り通信クロック」という)を生成し、分周器132および送信データ処理部133に出力する。
制御部106の分周器132は、下り通信クロックの周波数をm分の1(mは1以上(mは2以上が望ましい))に落とした周波数の通信クロック(以下、「上り通信クロック」という)を生成し、受信データ処理部134に出力する。mは、下り方向と上り方向のタイムスロットのビットレートの比により求まる。例えば、下り方向のタイムスロットのビットレートが2.4Mbpsで、上り方向のタイムスロットのビットレートが0.3Mbpsである場合、m=8となる。
制御部106の送信データ処理部133は、映像付き通話を実現するための下りパケットを生成する。具体的には、送信データ処理部133は、カメラモジュール105から出力されたデジタル映像データを適宜分割して所定のタイムスロット(「SL1」から「SL18」)のユーザデータフィールドに書き込む。また、送信データ処理部133は、音声データ処理部104から出力されたデジタル音声データを適宜分割して所定のタイムスロット(「SL19」)のユーザデータフィールドに書き込む。また、送信データ処理部133は、各種のコマンドデータを生成する。例えば、送信データ処理部133は、キー入力部101からキー番号を示す信号および呼出指示信号を入力した場合、送信元ID(ロビーステーション100のID)および送信先ID(通信相手の室内モニタ200のID)を含む呼出のコマンドデータを生成する。そして、送信データ処理部133は、コマンドデータを適宜分割して所定のタイムスロット(「SL20」から「SL23」)のユーザデータフィールドに書き込む。また、送信データ処理部133は、各タイムスロットのユーザデータフィールドに書き込まれたユーザデータのデータ長を各タイムスロットの制御データフィールドに書き込む。さらに、送信データ処理部133は、各タイムスロットに、プリアンブルデータ、シンクパターンを書き込む。これらの処理により、下りパケット(送信データ)が生成される。送信データ処理部133は、下り通信クロックと同期させて、下りパケットを下りデータ変調部107に出力する。
制御部106の受信データ処理部134は、上りデータ復調部108から出力された上りパケットに含まれるプリアンブルデータおよびシンクパターンを用いて室内モニタ200との同期(受信データの各ビットの先頭のタイミング)を検出する。また、受信データ処理部134は、上り通信クロックを使用して上りパケットを再生し、デジタル音声データおよびコマンドデータを抽出する。受信データ処理部134は、デジタル音声データを音声データ処理部104に出力する。
下りデータ変調部107は、制御部106から出力された下りパケットのデジタルデータ列に対してデジタル変調を行い、変調信号を下りキャリアに乗せる。下りキャリアは、下りキャリア通過フィルタF101を通過した後、室内モニタ200に送信される。
デジタル変調は、搬送波(キャリア)を不連続に変調する変調方式である。代表的なデジタル変調方式として、FSK変調(Frequency Shift Keying)、ASK変調(Amplitude Shift Keying)、PSK変調(Phase Shift Keying)等がある。本実施の形態では、FSK変調を用いる場合について説明する。なお、FSK変調において、H、Lの2レベルのパルス信号を、それぞれ、キャリア周波数f1、f2に変調する場合、それぞれの最小パルス幅の中に各キャリアが2波以上必要とする。
下りデータ変調部107の2値レベル変換部151は、デジタルデータ列のH(High)レベルを第1電圧値に変換し、L(Low)レベルを第2電圧値に変換する。
下りデータ変調部107の2値V−F変換部152は、第1電圧値および第2電圧値のそれぞれに対応したキャリア周波数の下りキャリアを出力する。これにより、Hレベルを第1下りキャリア周波数(例えば、12MHz)とし、Lレベルを第2下りキャリア周波数(例えば、10MHz)としたFSK変調波形が生成される。
上りデータ復調部108は、室内モニタ200から送信され、上りキャリア通過フィルタF102を通過した上りキャリアに対してデジタル復調を行い、上りパケットのデジタルデータ列を得る。上りパケットのデジタルデータ列は、受信データ処理部134に出力される。
上りデータ復調部108の2値F−V変換部171は、第1上りキャリア周波数(例えば、2MHz)の上りキャリアを第1電圧値に変換し、第2上りキャリア周波数(例えば、1MHz)の上りキャリアを第2電圧値に変換する。
下りデータ復調部108の2値レベル変換部172は、第1電圧値をHレベルに変換し、第2電圧値をLレベルに変換し、上りパケットのデジタルデータ列を得る。
記憶部109は、各種プログラムを実行する際のワークエリアとして制御部106に利用される。また、記憶部109は、制御部106が実行する各種アプリケーションプログラムや、各種ソフトウェアを予め記憶している。なお、記憶部109は、保持したい各種設定やデータ等のメモリ用としても使用される。
水晶発振部110は、水晶発振子を有し、発振周波数の電圧振幅信号(周波数信号)を通信クロック生成部131に出力する。なお、水晶発振部110に対して、通信クロック生成部131の制御による発振周波数の微調整は行われない。水晶発振部110に対する発振周波数の調整は、工場出荷時の発振周波数のセンター値調整のみである。
接続IF部111は、2線ケーブル用の接続端子を含み、室内モニタ200に繋がる2線ケーブルと、下りキャリア通過フィルタF101および上りキャリア通過フィルタF102との間を、デジタル変調信号を伝送可能な状態で接続する。
下りキャリア通過フィルタF101は、下り方向のデジタル変調信号の通信に用いられる周波数帯域(例えば、8.5MHzから14MHzまで)を通過帯域とするフィルタである。
上りキャリア通過フィルタF102は、上り方向のデジタル変調信号の通信に用いられる周波数帯域(例えば、0.5MHzから2.5MHzまで)を通過帯域とするフィルタである。
なお、ロビーステーション100では、ACアダプタにて、商用の交流電源が直流電源に変換され、各部に供給される。ACアダプタは外付けであるが、ロビーステーション100は電源を内蔵していても良い。また、ロビーステーション100は、簡単な表示部を有していても良い。
<室内モニタの構成>
次に、室内モニタ200の構成について、図5を用いて説明する。図5に示すように、室内モニタ200は、主に、下りデータ復調部201と、上りデータ変調部202と、制御部203と、キー入力部204と、映像データ処理部205と、ディスプレイ部206と、音声データ処理部207と、スピーカ208と、マイク209と、記憶部210と、水晶発振部211と、第1接続IF部212と、第2接続IF部213と、を具備する。また、室内モニタ200は、下りキャリア通過フィルタF201および上りキャリア通過フィルタF202を有する。
制御部203は、内部に、通信クロック生成部231と、分周器232と、受信データ処理部233と、送信データ処理部234と、を有する。下りデータ復調部201は、2値F−V変換部251および2値レベル変換部252を有する。上りデータ変調部202は、内部に、2値レベル変換部271および2値V−F変換部272を有する。
下りデータ復調部201は、ロビーステーション100から送信され、下りキャリア通過フィルタF201を通過した下りキャリアに対してデジタル復調(FSK復調)を行い、下りパケットのデジタルデータ列を得る。下りパケットのデジタルデータ列は、受信データ処理部233に出力される。
下りデータ復調部201の2値F−V変換部251は、第1下りキャリア周波数の下りキャリアを第1電圧値に変換し、第2下りキャリア周波数の下りキャリアを第2電圧値に変換する。
下りデータ復調部201の2値レベル変換部252は、第1電圧値をHレベルに変換し、第2電圧値をLレベルに変換し、下りパケットのデジタルデータ列を得る。
上りデータ変調部202は、制御部203から出力された上りパケットのデジタルデータ列に対してデジタル変調を行い、変調信号を上りキャリアに乗せる。上りキャリアは、上りキャリア通過フィルタF201を通過した後、ロビーステーション100に送信される。
上りデータ変調部202の2値レベル変換部271は、デジタルデータ列のH(High)レベルを第1電圧値に変換し、L(Low)レベルを第2電圧値に変換する。
上りデータ変調部202の2値V−F変換部272は、第1電圧値および第2電圧値のそれぞれに対応したキャリア周波数の搬送波を出力する。これにより、Hレベルを第1上りキャリア周波数(例えば、2MHz)とし、Lレベルを第2上りキャリア周波数(例えば、1MHz)としたFSK変調波形が生成される。
制御部203は、室内モニタ200の各部の制御を行う。
制御部203の通信クロック生成部231は、水晶発振部211の発振周波数を基準に、下り通信クロックを生成し、分周器232および受信データ処理部233に出力する。また、通信クロック生成部231は、ロビーステーション100の送信側の通信クロックを基準にして水晶発振部211の発振周波数を制御する。
制御部203の分周器232は、下り通信クロックの周波数をm分の1に落とした上り通信クロックを生成し、送信データ処理部234に出力する。
制御部203の受信データ処理部233は、下りデータ復調部201から出力された下りパケットに含まれるプリアンブルデータおよびシンクパターンを用いてロビーステーション100との同期(受信データの各ビットの先頭のタイミング)を検出する。また、受信データ処理部233は、下り通信クロックを使用して下りパケットを再生し、デジタル映像データ、デジタル音声データおよびコマンドデータを抽出する。受信データ処理部233は、デジタル映像データを映像データ処理部205に出力し、デジタル音声データを音声データ処理部207に出力する。
制御部203の送信データ処理部234は、上りパケットを生成する。具体的には、送信データ処理部234は、音声データ処理部207から出力されたデジタル音声データを適宜分割して所定のタイムスロット(「SL1」)のユーザデータフィールドに書き込む。また、送信データ処理部234は、各種のコマンドデータを生成する。例えば、送信データ処理部234は、着信を検出した場合、送信元ID(室内モニタ200のID)および送信先ID(ロビーステーション100のID)を含む応答のコマンドデータを生成する。そして、送信データ処理部234は、コマンドデータを適宜分割して所定のタイムスロット(「SL2」)のユーザデータフィールドに書き込む。また、送信データ処理部234は、各タイムスロットのユーザデータフィールドに書き込まれたユーザデータのデータ長等を各タイムスロットの制御データフィールドに書き込む。さらに、送信データ処理部234は、各タイムスロットに、プリアンブルデータ、シンクパターンを書き込む。これらの処理により、上りパケット(送信データ)が生成される。送信データ処理部234は、上り通信クロックと同期させて、上りパケットを上りデータ変調部202に出力する。
キー入力部204は、各種ボタンを有し、ボタン操作に基づくユーザ指示を制御部203に出力する。なお、キー入力部204は、タッチパネルでも良い。
映像データ処理部205は、制御部203から出力された映像データに対してディスプレイ部206の画面にLCD表示するための画像処理を行い、画像処理後の映像データをディスプレイ部206に出力する。ディスプレイ部206は、映像データ処理部205から出力された映像データを画面に表示する。
音声データ処理部207は、制御部203から出力されたデジタル音声データをアナログ音声データに変換して、増幅等の処理を行い、スピーカ208に出力する。また、音声データ処理部207は、マイク209から出力されたアナログ音声データに対して増幅等のアナログ音声処理を行い、デジタル音声データに変換して制御部203に出力する。
スピーカ208は、音声データ処理部207から出力されたアナログ音声データを、音声に変換して出力する。マイク209は、周囲の音声を集音してアナログ音声データに変換し、音声データ処理部207に出力する。
記憶部210は、各種プログラムを実行する際のワークエリアとして制御部203に利用される。また、記憶部210は、制御部203が実行する各種アプリケーションプログラムや、各種ソフトウェアを予め記憶している。なお、保持したい各種設定やデータ等のメモリ用としても使用される。
水晶発振部211は、水晶発振子を有し、発振周波数の電圧振幅信号(周波数信号)を通信クロック生成部131に出力する。また、水晶発振部211は、通信クロック生成部231の制御に基づき、発振周波数を微調整する。なお、工場出荷時には、水晶発振部211の発振周波数が、マイコン等のレジスタ設定等によりセンター値に調整される。通信クロック生成部231および水晶発振部211の構成の詳細については後述する。
第1接続IF部212は、2線ケーブル用の接続端子を含み、ロビーステーション100あるいは前段の室内モニタ200に繋がる2線ケーブルと、下りキャリア通過フィルタF201および上りキャリア通過フィルタF202との間を、デジタル変調信号を伝送可能な状態で接続する。
第2接続IF部213は、2線ケーブル用の接続端子を含み、後段の室内モニタ200に繋がる2線ケーブルと、下りキャリア通過フィルタF201および上りキャリア通過フィルタF202との間を、デジタル変調信号を伝送可能な状態で接続する。
また、第1接続IF部212は、第2接続IF部213と接続している。これにより、ロビーステーション100あるいは前段の室内モニタ200と後段の室内モニタ200とを、デジタル変調信号を伝送可能な状態で接続することができる。
下りキャリア通過フィルタF201は、下り方向のデジタル変調信号の通信に用いられる周波数帯域(例えば、8.5MHzから14MHzまで)を通過帯域とするフィルタである。
上りキャリア通過フィルタF202は、上り方向のデジタル変調信号の通信に用いられる周波数帯域(例えば、0.5MHzから2.5MHzまで)を通過帯域とするフィルタである。
なお、室内モニタ200では、ACアダプタにて、商用の交流電源が直流電源に変換され、各部に供給される。ACアダプタは外付けであるが、室内モニタ200は電源を内蔵していても良い。
<各信号の周波数帯域>
次に、ドアホンシステム1で送受信される各信号の周波数帯域について、従来のアナログ方式のものと対比して説明する。
アナログ方式のドアホンシステムでは、図6Aに示すように、上りと下りのDCコマンド、上りと下りのアナログ音声信号、上りと下りのASKコマンド、および、下りのアナログ映像信号が、それぞれ、異なる周波数帯域で送受信される。
図6Aの例では、DCコマンドは0Hz(直流成分)が使用され、アナログ音声信号は300Hzから3kHz程度までの周波数帯域において送受信され、ASKコマンドは、例えば300kHzのキャリア周波数で送受信され、アナログ映像信号は8.5MHzから14MHz程度までの周波数帯域において送受信される。このように、DCコマンド、アナログ音声信号、ASKコマンドおよびアナログ映像信号は、互いに異なる周波数帯域で送信される(周波数分割多重される)。
一方、本実施の形態に係るドアホンシステム1は、図6Bに示すように、デジタル音声データおよびコマンドデータを含む上りパケットのデジタルデータ列をデジタル変調した上りキャリアと、デジタル映像データ、デジタル音声データおよびコマンドデータを含む下りパケットのデジタルデータ列をデジタル変調した下りキャリアとが、互いに異なる周波数帯域で送受信される。
図6Bの例では、上りキャリアには、1MHzと2MHzの周波数が使用され、下りキャリアには、10MHzと12MHzの周波数が使用される。
このように、本実施の形態に係るドアホンシステム1では、上りキャリアの周波数帯域と下りキャリアの周波数帯域が異なるため、周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)のデジタル通信が可能となる。したがって、遅延のマージンを確保する必要が無いので、通信路の遅延が大きいシステムであっても伝送レートを維持できる。
なお、図6Bの各周波数帯域の数値はあくまでも一例であり、本実施の形態はこの数値に限定されるものではない。本実施の形態に係るドアホンシステム1の下りキャリアは、切り替えられる従来のアナログ方式のドアホンシステムのアナログ映像データ帯域内の周波数を使用するのであれば良い。
<水晶発振周波数の要件>
次に、本実施の形態の水晶発振周波数の要件について、図7を用いて説明する。
送信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成したクロックでサンプリングして生成されたデータのタイムスロットを、受信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成したクロックでサンプリングした場合、タイムスロット内のシンクパターンの第1ビットで再同期するシステムでは、同タイムスロット内のシンクパターンの第1ビットから1528 ビット(= (1 + 8 + 180 + 2) x 8)後の最終ビットのデータにおいて、送信側のクロックに対する受信側のクロックのずれが最大となる。なお、本システムでは、次のタイムスロットにおいて、シンクパターンの第1ビットで再同期する。
ここで、システム要件として、上記タイムスロットの1528ビットのデータをサンプリングした場合のクロックのずれの許容範囲が、例えば、1ビットデータ長の1/5(前後1/10)まで、すなわち±65ppm(= 1/1528 x 1/5 x 1/2)以内とする。送信側のクロックを規準にした場合、受信側のクロックのずれが、常に±65ppm以内になるように受信側の水晶発振周波数が調整されていれば、受信側の機器は受信データを復号処理できる。
そこで、本実施の形態では、図7に示すように、規定のデータ数(例えば100フレーム分のデータ数)で、送信側(ロビーステーション100)のデータ送信時間301と受信側(室内モニタ200)の計測時間302との時間差303を検出し、その時間差に応じて、受信側の水晶発振周波数を調整する。データ送信時間301とは、送信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成された通信用クロックでサンプリングした送信データの規定のデータ数が占める時間(第1時間)である。計測時間302とは、受信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成された通信クロックでカウントした規定のデータ数に相当する時間(第2時間)である。
ここでは、基準時間となるデータ送信時間301を、ロビーステーション100が下りパケットのデジタルデータ列を送信した時間とする。また、比較時間となる計測時間302を、室内モニタ200の通信クロック生成部231が下り通信クロックを用いて計測した時間とする。
なお、1つの下りタイムスロットあるいは1つの下りフレーム(24個のタイムスロット)にて、送信側のデータ送信時間と受信側の計測時間との時間差を検出しようとすると、差分の累積が小さく、時間差が短いため、高速のクロックが必要となってしまう。
また、本実施の形態では、調整幅の最小レンジを、例えばMAX±5ppm等、システム要件に応じて予め決定しておく。調整幅の最小レンジにより、時間差を検出するための計測用クロックの周波数が決まる。
<通信クロック生成部の内部構成>
次に、室内モニタ200の通信クロック生成部231の内部構成の詳細について、図8を用いて説明する。図8に示すように、通信クロック生成部231は、デジタル通信用クロック生成部281、送信側データ時間計測部282、受信側内部時間計測部283、受信側時間差計算部284および調整値設定部285を有する。
デジタル通信用クロック生成部281は、水晶発振部211の水晶発振周波数を基準に、調整幅の最小レンジに基づく周波数(例えば、48MHz)の計測用クロックを生成し、送信側データ時間計測部282および受信側内部時間計測部283に計測用クロックを継続的に出力する。また、デジタル通信用クロック生成部281は、水晶発振部211の水晶発振周波数を基準に下り通信クロックを生成し、分周器232および受信データ処理部233に出力する。ここで、計測用クロックおよび下り通信用クロックの周波数は、何れも、受信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成された既知の値であり、計測用クロックの周波数は通信用クロックの周波数と等しくても良い。
送信側データ時間計測部282は、受信信号の規定のデータ数が占める時間(受信データのカウント開始ポイントからカウント終了ポイントまでの時間)(以下、「基準時間」という)を計測する。この基準時間は、送信側の機器であるロビーステーション100から送信されたデジタル通信フレーム中の規定のデータ数が占める時間(図7の301)に相当する。
受信側内部時間計測部283は、通信用クロックでカウントした規定のデータ数に相当する時間を計測用クロックのカウント数に換算し、デジタル通信用クロック生成部281から出力された計測用クロックを、カウント開始ポイントから、規定のデータ数に相当する数だけカウントし、計測用クロックのカウント開始から終了までの時間(図7の302)(以下、「比較時間」という)を計測する。なお、送信側データ時間計測部282および受信側内部時間計測部283におけるカウント開始ポイントに特に限定は無い。例えば、送信側データ時間計測部282のカウント開始ポイントは、タイムスロット上のシンクフィールド(Sync)の1bit目のデータ開始トリガポイント、あるいは、タイムスロット上のシンクパターン(Sync)を検出したトリガポイントとしても良い。受信側内部時間計測部283は、これらのトリガポイント間を1タイムスロット長として、規定の通信フレーム数(規定のデータ数)に達するまでカウントする。
受信側時間差計算部284は、送信側データ時間計測部282で計測された基準時間と受信側内部時間計測部283で計測された比較時間との差(図7の303)を計算する。
調整値設定部285は、基準時間と比較時間とのずれを減らすために、受信側時間差計算部284で計算された時間差に対応する設定値を水晶発振部211のレジスタ299(図9参照)に設定し、水晶発振部211の発振周波数を調整する。なお、受信側時間差計測部284で計算された時間差が所定の閾値以下になった場合には、調整値設定部285は、発振周波数の調整を停止しても良い。また、閾値にはヒステリシスを持たせても良い。
調整値設定部285は、室内モニタ200毎に、前回呼出時に調整された前記水晶発振部211の発振周波数に対応する設定値を記憶部210に記憶させる。調整値設定部285は、次回呼出時に、記憶部210に記憶された該設定値を呼出し、新しい初期設定値としてレジスタ299に設定する。
なお、ロビーステーション100の水晶発振部110の発振周波数および室内モニタ200の水晶発振部211の発振周波数は、工場出荷時にセンター値に調整される。また、工場出荷時におけるセンター値調整時には、通信クロック生成部231の各ブロックは動作しない(オフの状態となる)。また、通常動作時には、通信クロック生成部231の各ブロックは常に動作し(オンの状態となり)、発振周波数の自動調整が常時行われる。
なお、本実施の形態では、ロビーステーション100、室内モニタ200における上記の水晶発振周波数の調整動作を、通常動作時の受信データ処理と並行して、バックグランドで実施することができる。これにより、調整用の時間を設定する必要がなく、通常の受信動作で受信データのビットエラーが発生しない初期調整のばらつき範囲内であれば、高精度なデジタル通信を行うことができる。
<水晶発振部の内部構成>
次に、室内モニタ200の水晶発振部211の内部構成の詳細について、図9を用いて説明する。図9に示すように、水晶発振部211は、水晶発振子290(振動周波数X1)、インバータ291、帰還抵抗292(抵抗値Rf)、ダンピング抵抗293(抵抗値Rd)、バッファ294、入力容量295(容量値C2)、出力容量296(容量値C3)からなる一般的なCMOSインバータ水晶発振回路に、入力容量297(容量値C1)、出力容量298(容量値C4)、レジスタ299を追加した構成を採る。
入力容量297の容量値C1および出力容量298の容量値C4は、予め、レジスタ299の初期値に対応する規定値になるように設定される。
通信クロック生成部231(調整値設定部285)によってレジスタ299に新たな値が設定されると、この値に応じて、入力容量297の容量値C1あるいは出力容量298の容量値C4が調整される。これにより、水晶発振部211の発振周波数は、送信側の室内モニタ200の水晶発振周波数に合うように微調整される。
なお、ここでは、室内モニタ200の水晶発振部211の内部構成について説明したが、ロビーステーション100の水晶発振部110の内部構成も同様である。ロビーステーション100の水晶発振部110の周波数調整は、工場出荷時にレジスタ設定によりセンター値に調整される時に使用される。
<通話シーケンス>
次に、本実施の形態に係るドアホンシステム1の各種シーケンスについて図10、図11、図12を用いて説明する。なお、図10、図11、図12では、1台のロビーステーション100と3台の室内モニタ200−1、200−2、200−3がデイジーチェーン型配線で接続している例を示す。
図10は、ロビーステーション100により起動し、ロビーステーション100と室内モニタ200−2が通話状態となる場合のシーケンスを示す。前提として、各装置間でデータが送受されない待機状態において(S401)、下りパケットのビーコンにより、ロビーステーション100と各室内モニタ200−1、200−2、200−3との間で、同期が確立しているものとする。
待機状態において、ロビーステーション100の呼出ボタンを押し下げる、キー呼出操作が行われた場合(S402)、ロビーステーション100は、室内モニタ200−2のIDを送信先IDとする呼出のコマンドデータを含む下りパケットを全室内モニタ200に送信する(S403)。なお、呼出のコマンドデータを含む下りパケットに、デジタル音声データあるいはデジタル映像データを含めても良い。
各室内モニタ200−1、200−2、200−3は、受信した下りパケットの送信先IDが、記憶部210に記憶されている自己のIDと一致するか否かを判定する(S404)。
室内モニタ200−2は、下りパケットの送信先IDが自己のIDと一致するので、スピーカ208から呼出音を出力させる等の着信処理を行う(S405)。なお、室内モニタ200−1および室内モニタ200−3は、下りパケットの送信先IDが自己のIDと一致しないので、受信した下りパケットを無視する。
その後、室内モニタ200−2の通話キーを押し下げる操作が行われた場合(S406)、室内モニタ200−2がロビーステーション100に応答し、ロビーステーション100と室内モニタ200−2とが通話状態となる(S407)。
なお、室内モニタ200−2は、ロビーステーション100からの着信と同時に、上りの通信フレームの連続送信を開始しても良い。また、末端の室内モニタ200−3が待機状態にある場合において(S401)、室内モニタ200−3から送信された上りパケットの通信フレームのビーコンにより、ロビーステーション100と各室内モニタ200−1、200−2、200−3との間で、同期を確立しても良い。室内モニタ200−3が末端のものであることは、設置時に人手で設定しても良いし、室内モニタ200−3が下り方向の接続IF部213が空いていることを検知することで判断しても良い。
通話状態において、室内モニタ200−2は、上りパケットにより、デジタル音声データおよびコマンドデータをロビーステーション100に送信する(S407−1)。また、ロビーステーション100は、下りパケットにより、デジタル映像データ、デジタル音声データおよびコマンドデータを室内モニタ200−2に送信する(S407−2)。これにより、ロビーステーション100と室内モニタ200との間で、映像付き通話ができる。
なお、通話状態において、室内モニタ200−2は、水晶発振部211の水晶発振周波数の微調整を行う。
その後、室内モニタ200−2の終了キーを押し下げる操作が行われた場合(S408)、室内モニタ200−2は、ロビーステーション100に、終了要求のコマンドデータを含む上りパケットを送信する(S409)。ロビーステーション100は、終了要求のコマンドデータを抽出すると、室内モニタ200−2に、ACK(承認)のコマンドデータを含む下りパケットを送信する(S410)。
その後、ロビーステーション100および室内モニタ200−2は、通信を終了し(S411)、待機状態となる(S412)。
図11は、室内モニタ200−2により起動し、ロビーステーション100の画像をモニタリングする場合のシーケンスを示す。前提として、待機状態において(S501)、下りパケットのビーコンにより、ロビーステーション100と各室内モニタ200−1、200−2、200−3との間で、同期が確立しているものとする。
待機状態において、室内モニタ200−2のモニタキーを押し下げる操作が行われた場合(S502)、室内モニタ200−2は、ロビーステーション100のIDを送信先IDとするモニタ要求のコマンドデータを含む上りパケットをロビーステーション100に送信する(S503)。
なお、室内モニタ200−2のモニタキーを押し下げる操作が行われると同時に、室内モニタ200−2は、上りの通信フレームの連続送信を開始しても良い。また、末端の室内モニタ200−3が待機状態にある場合において(S501)、室内モニタ200−3から送信された上りパケットの通信フレームのビーコンにより、ロビーステーション100と各室内モニタ200−1、200−2、200−3との間で、同期を確立していても良い。
ロビーステーション100は、受信した上りパケットの送信先IDが、記憶部109に記憶されている自己のIDと一致するか否かを判定する(S504)。
ロビーステーション100は、上りパケットの送信先IDが自己のIDと一致するので、室内モニタ200−2に、室内モニタ200−2のIDを送信先IDとし、デジタル映像データ、デジタル音声データおよびコマンドデータを含む下りパケットを送信する(S505)。
室内モニタ200−2は、下りパケットの送信先IDが自己のIDと一致するので、映像および音声を出力する(S506)。これにより、室内モニタ200−2のユーザは、ロビーステーション100の画像をモニタできる。なお、室内モニタ200−1および室内モニタ200−3は、下りパケットの送信先IDが自己のIDと一致しないので、受信した下りパケットを無視する。
その後、室内モニタ200−2の終了キーを押し下げる操作が行われた場合(S507)、室内モニタ200−2は、ロビーステーション100に、終了要求のコマンドデータを含む上りパケットを送信する(S508)。ロビーステーション100は、終了要求のコマンドデータを抽出すると、室内モニタ200−2に、ACK(承認)のコマンドデータを含む下りパケットを送信する(S509)。
その後、ロビーステーション100および室内モニタ200−2は、通信を終了し(S510)、待機状態となる(S511)。
図12は、緊急時等において、室内モニタ200−2により起動し、全装置(ロビーステーション100、室内モニタ200)にメッセージを一斉送信する場合のシーケンスを示す。前提として、待機状態において(S601)、下りパケットのビーコンにより、ロビーステーション100と各室内モニタ200−1、200−2、200−3との間で、同期が確立しているものとする。また、ロビーステーション100の記憶部109および全室内モニタ200の記憶部210には、一斉送信固有のID(例えば"0xFF")が記憶されているものとする。
待機状態において、室内モニタ200−2の一斉送信の発信キーを押し下げる操作が行われた場合(S602)、室内モニタ200−2は、一斉送信固有のIDを送信先IDとする一斉送信要求のコマンドデータおよびメッセージデータを含む上りパケットをロビーステーション100に送信する(S603)。
なお、室内モニタ200−2のモニタキーを押し下げる操作が行われると同時に、室内モニタ200−2は、上りの通信フレームの連続送信を開始しても良い。また、末端の室内モニタ200−3が待機状態にある場合において(S601)、室内モニタ200−3から送信された上りパケットの通信フレームのビーコンにより、ロビーステーション100と各室内モニタ200−1、200−2、200−3との間で、同期を確立していても良い。
ロビーステーション100は、受信した上りパケットの送信先IDが、記憶部109に記憶されているIDと一致するか否かを判定する(S604)。
ロビーステーション100は、上りパケットの送信先IDが一斉送信固有のIDであるので、メッセージデータを抽出し、メッセージを画像表示あるいは音声出力する(S605)。同時に、ロビーステーション100は、一斉送信固有のIDを送信先IDとする一斉送信要求のコマンドデータおよびメッセージデータを含む下りパケットを送信することにより、メッセージを転送する(S606)。
各室内モニタ200−1、200−2、200−3は、受信した下りパケットの送信先IDが、記憶部210に記憶されているIDと一致するか否かを判定する(S607)。
各室内モニタ200−1、200−2、200−3は、下りパケットの送信先IDが一斉送信固有のIDであるので、メッセージデータを抽出し、メッセージを画像表示あるいは音声出力する(S608)。なお、本実施の形態では、メッセージの通知方法は、画像表示、音声出力以外でも良い。
その後、一定時間が経過した場合、ロビーステーション100は、一斉送信終了のコマンドデータを含む下りパケットを送信する(S609)。
その後、ロビーステーション100および各室内モニタ200−1、200−2、200−3は、通信を終了し(S610)、待機状態となる(S611)。
なお、本実施の形態に係る一斉送信では、ロビーステーション100において、メッセージを画像表示あるいは音声出力しない選択肢があっても良い。また、ロビーステーション100のキー押し(複数キー同時押し、数字キーによるパスワード入力等)により、一斉送信モードにして、全ての室内モニタ200にメッセージを一斉送信しても良い。
<効果>
以上のように、本実施の形態では、上り方向と下り方向とで通信レートを異ならせることにより、例えば、上り方向、下り方向ともに、FSKでデジタル変調して送信し、上りキャリアの周波数帯域と、下りキャリアの周波数帯域とを分離できるようにする。これにより、周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)のデジタル通信が可能となる。したがって、遅延のマージンを確保する必要が無いので、通信路の遅延が大きいシステムであっても、伝送レートを下げること無く、双方向のデジタル伝送を実現でき、室内モニタの高画質化、高音質化、および、ロビーステーションの出力音声の高音質化を図ることができる。
なお、本実施の形態では、ロビーステーション100と室内モニタ200からなる集合住宅用のドアホンシステム1の例について説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、玄関子機と室内親機からなる戸建て用のドアホンシステムにも適用できる。また、本発明は、一般的な、情報通信機器からなるシステムにも適用できる。
第1の端末と第2の端末が、送信と受信とをそれぞれ別のケーブル(単線あるいは複数線)で通信を行う場合において、送信側ケーブルと受信側ケーブルが束ねられ、一方のケーブルから他方のケーブルへクロストークが発生する状況であっても、本実施の形態は、周波数分割複信によって各ケーブルで送受される信号の周波数帯域を分けることができるので、クロストークによる通信エラーの発生を防ぐことができる。
また、第1の端末が複数のケーブル(単線あるいは複数線)で第2の端末に送信を行う場合において、該複数のケーブルが束ねられている状況にも、本実施の形態は非常に有効である。
(実施の形態2)
実施の形態2では、ロビーステーションおよび室内モニタにおいて、送信側のブロックと受信側のブロックとがそれぞれの通信クロックで動作する場合について説明する。実施の形態2では、ロビーステーション100Aおよび室内モニタ200Aの内部構成の一部が、実施の形態1で説明したロビーステーション100および室内モニタ200のものから変更される。なお、本実施の形態のシステム構成は、実施の形態1で説明した図1と同一であるので説明を省略する。
<ロビーステーションの構成>
次に、本実施の形態のロビーステーション100Aの構成について、図13のブロック図を用いて説明する。なお、図13に示すロビーステーション100Aにおいて、図3に示したロビーステーション100と共通する構成部分には、図3と同一符号を付し、説明を省略する。ロビーステーション100Aは、ロビーステーション100と比較して、制御部106が、送信側制御部106Txと受信側制御部106Rxの2つに分けられている。これに伴い、音声データ処理部104が、送信側音声データ処理部104Txと受信側音声データ処理部104Rxとに分けられている。また、ロビーステーション100Aは、送信側水晶発振部110Txと受信側水晶発振部110Rxの2つの水晶発振部を有する。
送信側制御部106Txは、内部に、送信側通信クロック生成部131Txと、送信データ処理部133と、送信側制御IF部135Txと、を有する。受信側制御部106Rxは、内部に、受信側通信クロック生成部131Rxと、受信データ処理部134と、受信側制御IF部135Rxと、を有する。
キー入力部101、送信側音声データ処理部104Tx、カメラモジュール105および送信側水晶発振部110Txは、送信側制御部106Txに接続される。受信側音声データ処理部104Rxおよび受信側水晶発振部110Rxは、受信側制御部106Rxに接続される。スピーカ102は受信側音声データ処理部104Rxに接続され、マイク103は送信側音声データ処理部104Txに接続される。
送信側音声データ処理部104Txは、マイク103から出力されたアナログ音声データに対して増幅等のアナログ音声処理を行い、デジタル音声データに変換して送信側制御部106Txに出力する。受信側音声データ処理部104Rxは、受信側制御部106Rxから出力されたデジタル音声データをアナログ音声データに変換して、増幅等の処理を行い、スピーカ102に出力する。
送信側制御部106Txの送信側通信クロック生成部131Txは、送信側水晶発振部110Txの発振周波数を基準に、下り通信クロックを生成し、送信データ処理部133に出力する。
送信側制御部106Txの送信側制御IF部135Txは、送信側制御部106Txと受信側制御部106Rxとを信号を伝送可能な状態で接続する。
受信側制御部106Rxの受信側通信クロック生成部131Rxは、受信側水晶発振部110Rxの発振周波数を基準に、上り通信クロックを生成し、受信データ処理部134に出力する。また、通信クロック生成部131Rxは、末端に設置された室内モニタ200の送信側の通信クロックを基準にして水晶発振部110Rxの発振周波数を制御する。なお、上り通信クロックの周波数は、下り通信クロックの周波数のm分の1(mは、1以上)である。
受信側制御部106Rxの受信側制御IF部135Rxは、送信側制御部106Txと受信側制御部106Rxとを信号を伝送可能な状態で接続する。
送信側水晶発振部110Txは、水晶発振子を有し、発振周波数の電圧振幅信号(周波数信号)を送信側通信クロック生成部131Txに出力する。なお、送信側水晶発振部110Txに対して、送信側通信クロック生成部131Txの制御による発振周波数の微調整は行われない。送信側水晶発振部110Txに対する発振周波数の調整は、工場出荷時の発振周波数のセンター値調整のみである。
受信側水晶発振部110Rxは、水晶発振子を有し、発振周波数の電圧振幅信号(周波数信号)を受信側通信クロック生成部131Rxに出力する。なお、工場出荷時には、受信側水晶発振部110Rxの発振周波数が、マイコン等のレジスタ設定等によりセンター値に調整される。また、工場出荷時におけるセンター値調整時には、受信側通信クロック生成部131Rxの各ブロック(図8参照)は動作しない(オフの状態となる)。また、通常動作時には、受信側通信クロック生成部131Rxの各ブロックは常に動作し(オンの状態となり)、受信側水晶発振部110Rxの発振周波数の自動調整が常時行われる。
<室内モニタの構成>
次に、本実施の形態の室内モニタ200Aの構成について、図14のブロック図を用いて説明する。なお、図14に示す室内モニタ200Aにおいて、図5に示した室内モニタ200と共通する構成部分には、図5と同一符号を付し、説明を省略する。室内モニタ200Aは、室内モニタ200と比較して、制御部203が、送信側制御部203Txと受信側制御部203Rxの2つに分けられている。これに伴い、音声データ処理部207が、送信側音声データ処理部207Txと受信側音声データ処理部207Rxとに分けられている。また、室内モニタ200Aは、送信側水晶発振部211Txと受信側水晶発振部211Rxの2つの水晶発振部を有する。
また、室内モニタ200Aは、水晶発振周波数調整データ復調用として、上りキャリア通過フィルタF202を通過してきた受信データを出力する上りデータ復調部222を有する。上りデータ復調部222は、2値F−V変換部273および2値レベル変換部274で構成される。なお、上りデータ変調部202と上りデータ復調部222は、送信側制御部203Txにより、タイムスロット単位の送信/受信の切替えでどちらか一方のみ動作している。
送信側制御部203Txは、内部に、送信側通信クロック生成部231Txと、送信データ処理部234と、送信側制御IF部235Txと、受信データ処理部237と、を有する。受信側制御部203Rxは、内部に、受信側通信クロック生成部231Rxと、受信データ処理部233と、受信側制御IF部235Rxと、を有する。
キー入力部204、送信側音声データ処理部207Txおよび送信側水晶発振部211Txは、送信側制御部203Txに接続される。映像データ処理部205、ディスプレイ部206、受信側音声データ処理部207Rxおよび受信側水晶発振部211Rxは、受信側制御部203Rxに接続される。スピーカ208は受信側音声データ処理部207Rxに接続され、マイク209は送信側音声データ処理部207Txに接続される。
送信側音声データ処理部207Txは、マイク209から出力されたアナログ音声データに対して増幅等のアナログ音声処理を行い、デジタル音声データに変換して送信側制御部203Txに出力する。受信側音声データ処理部207Rxは、受信側制御部203Rxから出力されたデジタル音声データをアナログ音声データに変換して、増幅等の処理を行い、スピーカ208に出力する。
送信側制御部203Txの送信側通信クロック生成部231Txは、送信側水晶発振部211Txの発振周波数を基準に、下り通信クロックを生成し、送信データ処理部234に出力する。
送信側制御部203Txの送信側制御IF部235Txは、送信側制御部203Txと受信側制御部203Rxとを信号を伝送可能な状態で接続する。
送信側制御部203Txの受信データ処理部237は、送信側通信クロック生成部231Txに水晶発振周波数調整データを出力する。
受信側制御部203Rxの受信側通信クロック生成部231Rxは、受信側水晶発振部211Rxの発振周波数を基準に、下り通信クロックを生成し、受信データ処理部233に出力する。また、受信側通信クロック生成部231Rxは、ロビーステーション100の送信側の通信クロックを基準にして受信側水晶発振部211Rxの発振周波数を制御する。
受信側制御部203Rxの受信側制御IF部235Rxは、送信側制御部203Txと受信側制御部203Rxとを信号を伝送可能な状態で接続する。
送信側水晶発振部211Txは、水晶発振子を有し、発振周波数の電圧振幅信号(周波数信号)を送信側通信クロック生成部231Txに出力する。なお、工場出荷時には、送信側水晶発振部211Txの発振周波数が、マイコン等のレジスタ設定等によりセンター値に調整される。また、工場出荷時におけるセンター値調整時には、送信側通信クロック生成部231Txの各ブロック(図8参照)は動作しない(オフの状態となる)。また、通常動作時には、送信側通信クロック生成部231Txの各ブロックは常に動作し(オンの状態となり)、送信側水晶発振部211Txの発振周波数の自動調整が常時行われる。ただし、末端の室内モニタ200が、上りの基準ビーコンを発信する場合には、末端の室内モニタ200は、上りデータ復調部222、受信データ処理部237および送信側通信クロック生成部231Txの各ブロック(図8参照)の動作を停止し(オフの状態とし)、上り(低速送受信)用クロックを工場設定時のまま、あるいは、最終調整時の値のままとし、水晶発振器211の発振周波数の自動調整を行わない。
末端の室内モニタ以外の他の室内モニタ200Aは、データ受信のタイミングで、上りデータ復調部222、受信データ処理部237および送信側通信クロック生成部231Txを動作させ、送信側水晶発振部211Txの水晶発振周波数を調整する。具体的には、すべての接続機器が、アイドル状態にあるとき、末端以外の室内モニタ200Aは、上りデータ復調部222を動作させ、末端の室内モニタから送信された基準ビーコンを含む通信フレームを受信し、受信データ処理部237でデータ列を受信処理し、送信側通信クロック生成部231Txで該データ列を使用して送信側水晶発振部211Txの水晶発振周波数の調整を行う。
受信側水晶発振部211Rxは、水晶発振子を有し、発振周波数の電圧振幅信号(周波数信号)を受信側通信クロック生成部231Rxに出力する。なお、工場出荷時には、受信側水晶発振部211Rxの発振周波数が、マイコン等のレジスタ設定等によりセンター値に調整される。また、工場出荷時におけるセンター値調整時には、受信側通信クロック生成部231Rxの各ブロック(図8参照)は動作しない(オフの状態となる)。また、通常動作時には、受信側通信クロック生成部231Rxの各ブロックは常に動作し(オンの状態となり)、受信側水晶発振部211Rxの発振周波数の自動調整が常時行われる。
<効果>
以上のように、本実施の形態では、ロビーステーション100Aおよび室内モニタ200Aにおいて、送信側のブロックと受信側のブロックとがそれぞれの通信クロックで動作することにより、下り伝送と上り伝送とでそれぞれ独立した伝送システムとして送受信することが可能となる。
(実施の形態3)
実施の形態3では、室内モニタ間での内線通話機能を追加する場合について説明する。実施の形態3では、ロビーステーション100Bおよび室内モニタ200Bの内部構成の一部が、実施の形態1で説明したロビーステーション100および室内モニタ200のものから変更される。なお、本実施の形態のシステム構成は、実施の形態1で説明した図1と同一であるので説明を省略する。
<ロビーステーションの構成>
次に、本実施の形態のロビーステーション100Bの構成について、図15のブロック図を用いて説明する。なお、図15に示すロビーステーション100Bにおいて、図3に示したロビーステーション100と共通する構成部分には、図3と同一符号を付し、説明を省略する。ロビーステーション100Bは、ロビーステーション100と比較して、制御部106の内部に、フレーム割当部136が追加される。
フレーム割当部136は、複数の室内モニタ200Bに下りパケットを送信する場合に、各通信フレームの送信先を割り当てる。例えば、室内モニタ200B−iと室内モニタ200B−jとの間で内線通話が行われている場合(iは正の整数、jはi以外の正の整数)、フレーム割当部136は、n mod3 = 0となるn番目の通信フレームの送信先を室内モニタ200B−iとし、n mod3 = 1となるn番目の通信フレームの送信先を室内モニタ200B−jとする(「n mod3」はnを3で除したときの余り)。また、室内モニタ200B−iと室内モニタ200B−jとが内線通話を行っている状態(以下、「内線通話状態」という)であって、かつ、ロビーステーション100Bが室内モニタ200B−kと通信する場合(kはi、j以外の正の整数)、フレーム割当部136は、n mod3 = 0となるn番目の通信フレームの送信先を室内モニタ200−iとし、n mod3 = 1となるn番目の通信フレームの送信先を室内モニタ200−jとし、n mod3 = 2となるn番目の通信フレームの送信先を室内モニタ200−kとする。なお、この場合、内線通話に用いられる、n mod3 = 0または1となるn番目の通信フレームの映像データ送信用に割り当てられたタイムスロット(「SL1」から「SL18」)は空きスロットになる。フレーム割当部136は、この空きスロットに、室内モニタ200B−k宛のデジタル映像データを送信するために利用しても良い。このように、高速伝送側である下りの室内通話用の空きスロットをデジタル映像データの送信に利用することで、ロビーステーションの通信相手の室内モニタにおける画質を向上させることができる。
<室内モニタの構成>
次に、本実施の形態の室内モニタ200Bの構成について、図16のブロック図を用いて説明する。なお、図16に示す室内モニタ200Bにおいて、図5に示した室内モニタ200と共通する構成部分には、図5と同一符号を付し、説明を省略する。室内モニタ200Bは、室内モニタ200と比較して、制御部203の内部に、フレーム割当部236が追加される。
フレーム割当部236は、複数の室内モニタ200Bが上りパケットを送信する場合に、使用する通信フレームを割り当てる。例えば、室内モニタ200B−iと室内モニタ200B−jとの間で内線通話が行われている場合、室内モニタ200B−iのフレーム割当部236は、n mod3 = 0となるn番目の通信フレームを使用し、室内モニタ200B−jのフレーム割当部236は、n mod3 = 1となるn番目の通信フレームを使用する。また、室内モニタ200B−iと室内モニタ200B−jが内線通話状態であって、かつ、ロビーステーション100Bが室内モニタ200B−kと通信する場合、室内モニタ200B−iのフレーム割当部236は、n mod3 = 0となるn番目の通信フレームを使用し、室内モニタ200B−jのフレーム割当部236は、n mod3 = 1となるn番目の通信フレームを使用し、室内モニタ200B−kのフレーム割当部236は、n mod3 = 2となるn番目の通信フレームの送信先を室内モニタ200−kとする。
<通話シーケンス>
次に、本実施の形態に係るドアホンシステム1の各種シーケンスについて図17、図18、図19を用いて説明する。なお、図17、図18、図19では、1台のロビーステーション100Bと3台の室内モニタ200B−1、200B−2、200B−3がデイジーチェーン型配線で接続している例を示す。
図17は、室内モニタ200B−1と室内モニタ200B−2が内線通話を行う場合のシーケンスを示す。前提として、待機状態において(S701)、下りパケットのビーコンにより、ロビーステーション100Bと各室内モニタ200B−1、200B−2、200B−3との間で、同期が確立しているものとする。
待機状態において、室内モニタ200B−2の通話要求ボタンを押し下げる操作が行われた場合(S702)、室内モニタ200B−2は、室内モニタ200B−1のIDを送信先IDとする通話要求のコマンドデータを含む上りパケットをロビーステーション100Bに送信する(S703)。
なお、末端の室内モニタ200B−3が待機状態にある場合において(S701)、室内モニタ200B−3から送信された上りパケットの通信フレームのビーコンにより、ロビーステーション100Bと各室内モニタ200B−1、200B−2、200B−3との間で、同期を確立しているものとする。室内モニタ200B−3が末端のものであることは、設置時に人手で設定しても良いし、室内モニタ200B−3が下り方向の接続IF部213が空いていることを検知することで判断しても良い。
ロビーステーション100Bは、受信した上りパケットの送信先IDが、記憶部210に記憶されている自己のIDと一致するか否かを判定する(S704)。
ロビーステーション100Bは、上りパケットの送信先IDが自己のIDと一致しないので、受信した通話要求のコマンドデータを含む上りパケットを、室内モニタ200B−1のIDを送信先IDとし、室内モニタ200B−2のIDを送信元IDとする下りパケットとして転送する(S705)。なお、該下りパケットの通信フレームの番号を0とする。
各室内モニタ200B−1、200B−2、200B−3は、受信した下りパケットの送信先IDが、記憶部210に記憶されているIDと一致するか否かを判定する(S706)。
各室内モニタ200B−1は、下りパケットの送信先IDが自己のIDと一致するので、スピーカ208から呼出音を出力させる等の着信処理を行う(S707)。なお、室内モニタ200B−2および室内モニタ200B−3は、下りパケットの送信先IDが自己のIDと一致しないので、受信した下りパケットを無視する。
その後、室内モニタ200B−1の通話キーを押し下げる操作が行われた場合(S708)、室内モニタ200B−1がロビーステーション100Bに応答の上りパケットを送信し(S709)、ロビーステーション100Bが、受信した応答の上りパケットを、室内モニタ200B−2のIDを送信先IDとし、室内モニタ200B−1のIDを送信元IDとする、n mod3 = 0となるn番目の通信フレームを使用した下りパケットにより転送する(S710)。なお、該下りパケットの通信フレームの番号を1とする。これにより、室内モニタ200B−1と室内モニタ200B−2とがロビーステーション100Bを介して内線通話状態となる。
室内モニタ200B−2は、室内モニタ200B−1宛のデジタル音声データを書き込んだ上りパケットを、n mod3 = 0となるn番目の通信フレームを使用してロビーステーション100Bに送信する(S711)。ロビーステーション100Bは、室内モニタ200B−2から受信した上りパケットを、n mod3 = 1となるn番目の通信フレームを使用した下りパケットにより室内モニタ200B−1に転送する(S712)。室内モニタ200B−1は、室内モニタ200B−2宛のデジタル音声データを書き込んだ上りパケットを、n mod3 = 1となるn番目の通信フレームを使用してロビーステーション100Bに送信する(S713)。
その後、室内モニタ200B−2の終了キーを押し下げる操作が行われた場合(S714)、室内モニタ200B−2は、ロビーステーション100Bに、終了要求のコマンドデータを含む上りパケットを送信する(S715)。ロビーステーション100Bは、終了要求のコマンドデータを抽出すると、室内モニタ200B−1に、終了要求のコマンドデータを含む下りパケットを送信する(S716)。
その後、室内モニタ200B−1および室内モニタ200B−2は内線通話を終了し(S717)、ロビーステーション100Bおよび室内モニタ200B−1、200B−2は待機状態となる(S718)。
図18は、室内モニタ200B−1と室内モニタ200B−2が内線通話状態である時に、ロビーステーション100Bにより起動し、ロビーステーション100Bと室内モニタ200B−3が通話状態となる場合のシーケンスを示す。前提として、室内モニタ200B−1と室内モニタ200B−2が内線通話状態(図17のS710からS713)にある場合において(S801)、ロビーステーション100Bと各室内モニタ200B−1、200B−2、200B−3との間で、ロビーステーション100Bからの下りパケットの通信フレームのビーコンにより、同期が確立しているものとする。
なお、末端の室内モニタ200B−3が、室内モニタ200B−1と室内モニタ200B−2とが内線通話状態にある場合において(S801)、室内モニタ200B−3から送信された上りパケットの通信フレームのビーコンにより、ロビーステーション100Bと各室内モニタ200B−1、200B−2、200B−3との間で、同期を確立しているものとする。
内線通話状態において、ロビーステーション100Bの呼出ボタンを押し下げる操作が行われた場合(S802)、ロビーステーション100Bは、室内モニタ200B−3のIDを送信先IDとする呼出のコマンドデータを含む下りパケットを、n mod3 = 2となるn番目の通信フレームを使用して全室内モニタ200Bに送信する(S803)。
各室内モニタ200B−1、200B−2、200B−3は、受信した下りパケット(タイムスロット)の送信先IDが、記憶部210に記憶されている自己のIDと一致するか否かを判定する(S804)。
室内モニタ200B−3は、下りパケットの送信先IDが自己のIDと一致するので、スピーカ208から呼出音を出力させる等の着信処理を行う(S805)。なお、室内モニタ200B−1および室内モニタ200B−2は、下りパケットの送信先IDが自己のIDと一致しないので、受信した下りパケットを無視する。
その後、室内モニタ200B−3の通話キーを押し下げる操作が行われた場合(S806)、室内モニタ200B−3がロビーステーション100Bに応答し、ロビーステーション100Bと室内モニタ200B−3とが通話状態となる(S807)。なお、室内モニタ20B−3は、応答処理として、n mod3 = 2となるn番目の上りの通信フレーム内の各タイムスロットに、送信元ID(室内モニタ200B−3のID)および送信先ID(ロビーステーション100BのID)を含む応答のコマンドデータを書き込む。
通話状態において、ロビーステーション100Bは、n mod3 = 2となるn番目の通信フレームの下りパケットにより、デジタル映像データ、デジタル音声データおよびコマンドデータを室内モニタ200B−3に送信する(S807−2)。また、室内モニタ200B−3は、n mod3 = 2となるn番目の通信フレームの上りパケットにより、デジタル音声データおよびコマンドデータをロビーステーション100Bに送信する(S807−1)。これにより、ロビーステーション100Bと室内モニタ200B−3との間で、映像付き通話ができる。
その後、室内モニタ200B−3の終了キーを押し下げる操作が行われた場合(S808)、室内モニタ200B−3は、ロビーステーション100Bに、終了要求のコマンドデータを含む上りパケットを送信する(S809)。ロビーステーション100Bは、終了要求のコマンドデータを抽出すると、室内モニタ200B−3に、ACK(承認)のコマンドデータを含む下りパケットを送信する(S810)。
その後、ロビーステーション100Bおよび室内モニタ200B−3は通信を終了し(S811)、室内モニタ200B−3は待機状態となる(S812)。
図19は、室内モニタ200B−1と室内モニタ200B−2が内線通話状態である時に、室内モニタ200B−3により起動し、ロビーステーション100Bの画像をモニタリングする場合のシーケンスを示す。室内モニタ200B−1と室内モニタ200B−2が内線通話状態(図17のS710からS713)にある場合において(S901)、ロビーステーション100Bと各室内モニタ200B−1、200B−2、200B−3との間で、ロビーステーション100Bからの下りパケットの通信フレームのビーコンにより、同期が確立しているものとする。
なお、末端の室内モニタ200B−3が、室内モニタ200B−1と室内モニタ200B−2とが内線通話状態にある場合において(S901)、室内モニタ200B−3から送信された上りパケットの通信フレームのビーコンにより、ロビーステーション100Bと各室内モニタ200B−1、200B−2、200B−3との間で、同期を確立しているものとする。
内線通話状態において、室内モニタ200B−3のモニタキーを押し下げる操作が行われた場合(S902)、室内モニタ200B−3は、ロビーステーション100BのIDを送信先IDとするモニタ要求のコマンドデータを含む上りパケットを、n mod3 = 2となるn番目の通信フレームを使用してロビーステーション100Bに送信する(S903)。
ロビーステーション100Bは、受信した上りパケットの送信先IDが、記憶部109に記憶されている自己のIDと一致するか否かを判定する(S904)。
ロビーステーション100Bは、上りパケットの送信先IDが自己のIDと一致するので、室内モニタ200B−3に、室内モニタ200B−3のIDを送信先IDとし、デジタル映像データ、デジタル音声データおよびコマンドデータを含む、n mod3 = 2となるn番目の通信フレームの下りパケットを送信する(S905)。
室内モニタ200B−3は、下りパケットの送信先IDが自己のIDと一致するので、映像および音声を出力する。これにより、室内モニタ200B−3のユーザは、ロビーステーション100Bの画像をモニタできる(S906)。なお、室内モニタ200B−1および室内モニタ200B−2は、下りパケットの送信先IDが自己のIDと一致しないので、受信した下りパケットを無視する。
その後、室内モニタ200B−3の終了キーを押し下げる操作が行われた場合(S907)、室内モニタ200B−3は、ロビーステーション100Bに、終了要求のコマンドデータを含む上りパケットを送信する(S908)。ロビーステーション100Bは、終了要求のコマンドデータを抽出すると、室内モニタ200B−3に、ACK(承認)のコマンドデータを含む下りパケットを送信する(S909)。
その後、ロビーステーション100Bおよび室内モニタ200B−3は通信を終了し(S910)、室内モニタ200B−3は待機状態となる(S911)。
<効果>
以上のように、本実施の形態によれば、ロビーステーションを介して室内モニタ間で全2重の内線通話を行うことができる。また、本実施の形態では、室内モニタ間で内線通話をしている時に、他の室内モニタとロビーステーションとの間で映像付き通話を実現することができる。
また、本実施の形態によれば、内線通話している室内モニタの一方にロビーステーションから呼出があった場合に、該室内モニタに呼出の通知(モニタ表示による通知、音声出力等)を行うこともできるので、該室内モニタの住人が、通話を切替えて対応することも可能になる。
なお、本開示は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施の形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
例えば、本開示のドアホンシステム1では、室内モニタ200の数に、特に限定は無い。
また、上記の説明では、デジタル変調方式として、FSK変調を用いる場合について説明したが、本開示はこれに限られず、ASK変調、PSK変調等、他のデジタル変調を用いても良い。ASK変調を用いる場合、例えば、第1キャリア周波数を13MHzとし、第2キャリア周波数を変調しないようにし、第1キャリア周波数を、アナログ映像データの送受信に使用される周波数帯域の範囲内にする。また、PSK変調を用いる場合、例えば、一つのキャリア周波数を使用し、デジタルデータ列のHレベルとLレベルとで互いに異なる位相となるように該キャリア搬送波を変調し、該キャリア周波数を、アナログ映像データの送受信に使用される周波数帯域の範囲内にする。