JP2021012769A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池内部の乾湿状態の判断の精度を高める。【解決手段】燃料電池を備える燃料電池システムは、燃料電池のインピーダンスを測定する測定部と、燃料電池の温度を測定する温度センサと、燃料電池の乾湿状態を、測定部が測定した燃料電池のインピーダンスの値と、温度センサが測定した燃料電池の温度と、を用いて推定する推定部と、を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池の性能は、燃料電池内部の乾湿状態の影響を受けることが知られており、燃料電池の性能を適切に発揮させるためには、燃料電池内部の乾湿状態を監視し、必要に応じて、燃料電池内部の乾湿状態を適切な状態に維持するための処理を実行することが重要になる。燃料電池内部の乾湿状態を判断する方法としては、燃料電池のインピーダンスを用いる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、燃料電池のインピーダンスは、燃料電池内部の乾湿状態以外の影響も受け得るため、より精度良く乾湿状態を判断可能な技術が望まれていた。
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の一形態によれば、燃料電池を備える燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムは、前記燃料電池のインピーダンスを測定する測定部と、前記燃料電池の温度を測定する温度センサと、前記燃料電池の乾湿状態を、前記測定部が測定した前記燃料電池のインピーダンスの値と、前記温度センサが測定した前記燃料電池の温度と、を用いて推定する推定部と、を備える。
この形態の燃料電池システムによれば、燃料電池のインピーダンスの値と燃料電池の温度とを用いて燃料電池の乾湿状態を推定するため、燃料電池内部の乾湿状態を判断する精度を高めることができる。すなわち、湿度によるインピーダンスの変化と、温度によるインピーダンスの変化とを切り分けて、温度による影響を抑えつつ、燃料電池内の乾湿状態を判断することができる。
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池における乾湿状態の判定方法、燃料電池内部の湿度の維持方法、燃料電池システムの制御方法、その制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
この形態の燃料電池システムによれば、燃料電池のインピーダンスの値と燃料電池の温度とを用いて燃料電池の乾湿状態を推定するため、燃料電池内部の乾湿状態を判断する精度を高めることができる。すなわち、湿度によるインピーダンスの変化と、温度によるインピーダンスの変化とを切り分けて、温度による影響を抑えつつ、燃料電池内の乾湿状態を判断することができる。
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池における乾湿状態の判定方法、燃料電池内部の湿度の維持方法、燃料電池システムの制御方法、その制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
A.燃料電池システムの全体構成:
図1は、本発明の一実施形態としての燃料電池システム10の概略構成を模式的に表わす説明図である。燃料電池システム10は、例えば、電気自動車に搭載されて駆動用電源として用いることができる。あるいは、燃料電池システム10は、定置型電源として用いてもよい。本実施例の燃料電池システム10は、燃料電池15と、燃料ガス供給部20と、酸化ガス供給部30と、制御部50と、を備える。そして、燃料電池15には、電力回路60が接続されている。
図1は、本発明の一実施形態としての燃料電池システム10の概略構成を模式的に表わす説明図である。燃料電池システム10は、例えば、電気自動車に搭載されて駆動用電源として用いることができる。あるいは、燃料電池システム10は、定置型電源として用いてもよい。本実施例の燃料電池システム10は、燃料電池15と、燃料ガス供給部20と、酸化ガス供給部30と、制御部50と、を備える。そして、燃料電池15には、電力回路60が接続されている。
燃料電池15は、単セル70が複数積層されたスタック構成を有している。本実施形態では、燃料電池15が備える個々の単セル70は、いずれも同じ形状および構造を有している。本実施形態では、燃料電池15として固体高分子形燃料電池を用いている。燃料電池15を構成する各単セル70では、電解質膜の一方の面側であるアノード側に、燃料ガスが流れる流路(アノード側流路)が形成され、電解質膜の他方の面側であるカソード側に、酸化ガスが流れる流路(カソード側流路)が形成されている。燃料ガスおよび酸化ガスは、電気化学反応で用いるガスであり、反応ガスとも呼ぶ。
燃料電池15の内部には、燃料電池15を冷却するための冷媒が流れる冷媒流路が形成されているが、図1では、このような冷媒流路、および、冷媒流路内に冷媒を循環させるための構造については、記載を省略している。さらに、燃料電池15には、燃料電池15の内部温度を検出するための温度センサ67が設けられている。温度センサ67は、例えば、上記した冷媒流路において、燃料電池15から冷媒が排出される出口部に設けることとすればよい。温度センサ67は、燃料電池15の内部温度を測定可能であれば、他の箇所に設けてもよい。
燃料ガス供給部20は、燃料ガスタンク21と、燃料ガス供給管22と、燃料ガス排気管23と、燃料ガス還流管24と、主止弁40と、可変調圧弁42と、気液分離器45と、水素ポンプ44と、を備える。燃料ガスタンク21は、燃料ガスとしての水素ガスが貯蔵される貯蔵装置であり、燃料ガス供給管22を介して燃料電池15のアノード側流路に接続されている。燃料ガス供給管22上において、燃料ガスタンク21から近い順に、主止弁40と可変調圧弁42とが設けられている。可変調圧弁42は、燃料ガスタンク21から燃料電池15へ供給される水素圧(水素量)を調整可能な調圧弁である。
燃料ガス排気管23は、燃料電池15から排出されるアノードオフガスが流れる流路である。燃料ガス還流管24は、燃料ガス排気管23と、燃料ガス供給管22における可変調圧弁42よりも下流側の部位と、に接続されている。燃料ガス還流管24を循環する水素の圧力は、水素ポンプ44によって調節される。
燃料ガス排気管23と燃料ガス還流管24との接続部には、気液分離器45が設けられており、気液分離器45において、アノードオフガス中の水とガス(水素および窒素等)とが分離される。本実施形態では、気液分離器45と、気液分離器45に接続される燃料ガス排出管25に設けられたパージ弁46とを介して、燃料ガス還流管24を含む流路内から、窒素や水蒸気を含む不純物が除去される。
酸化ガス供給部30は、エアコンプレッサ31と、酸化ガス供給管32と、酸化ガス排出管33と背圧弁39と、を備える。本実施形態の燃料電池システム10は、酸化ガスとして、空気を用いる。エアコンプレッサ31は、空気を圧縮し、酸化ガス供給管32を介して、燃料電池15のカソード側流路に空気を供給する。燃料電池15から排出されるカソードオフガスは、酸化ガス排出管33を介して、燃料電池システム10の外部に排出される。酸化ガス排出管33には、背圧弁39が設けられており、背圧弁39の開度を調節することによって、燃料電池15内における酸化ガスの圧力を調節している。
電力回路60において、燃料電池15は、配線62を介して負荷65に接続されている。配線62には、DC/DCコンバータ61が設けられている。DC/DCコンバータ61は、制御部50の制御信号を受けて、燃料電池15の出力状態を変更する機能を有している。具体的には、DC/DCコンバータ61は、燃料電池15から負荷65に向けて電流および電圧を取り出して、DC/DCコンバータ61におけるスイッチング制御によって、燃料電池15から取り出す電流および電圧を制御する。また、DC/DCコンバータ61は、燃料電池15が発電した電力を負荷65に供給する際に、燃料電池15の出力電圧を、負荷65で利用可能な電圧に昇圧する。燃料電池システム10を、車両の駆動用電源として用いる場合には、負荷65は、少なくとも車両の駆動モータを含むことができる。配線62には、電流センサ63および電圧センサ64が設けられており、燃料電池15の出力電流および出力電圧を測定可能となっている。
制御部50は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成され、詳しくは、予め設定された制御プログラムに従って演算などを実行するCPUと、CPUで各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROMと、同じくCPUで各種演算処理をするのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAMと、各種信号を入出力する入出力ポート等を備える。制御部50は、電力回路60への出力のための燃料電池システム10の発電制御や、後述する湿度維持処理に係る制御を行なう。制御部50は、エアコンプレッサ31、主止弁40、可変調圧弁42、水素ポンプ44、パージ弁46、DC/DCコンバータ61等に対して駆動信号を出力する。また、電流センサ63および電圧センサ64を含む各種センサ等から、検出信号を取得する。
図1では、制御部50を、制御部50が実行する機能の一部を表わす機能ブロックによって示している。具体的には、制御部50は、機能ブロックとして、測定部54、推定部55、湿度維持制御部56、信号重畳部57を備える。
信号重畳部57は、燃料電池15の出力端子に交流信号を入力するための信号を生成して、DC/DCコンバータ61に出力する。本実施形態では、燃料電池15の出力電流に重畳する交流信号の周波数として、比較的高い周波数(例えば、200Hz〜1kHz)を用いている。本実施形態では、後述するように、燃料電池15内の乾湿状態の指標としてのインピーダンスを求めるために、燃料電池15の出力電流に交流信号を重畳している。重畳する交流信号の周波数が、上記のように比較的高い周波数であれば、測定されるインピーダンスの大部分は、電荷の移動抵抗を示す抵抗成分となる。そのため、上記のように比較的高い周波数の交流信号を重畳して得られるインピーダンスを用いることで、後述する電解質膜におけるプロトン伝導度を、精度良く求めることができる。
測定部54は、燃料電池15のインピーダンスを測定する。具体的には、測定部54は、電流センサ63および電圧センサ64から検出信号を取得して、燃料電池15の出力から交流成分を抽出し、交流インピーダンス法を用いて燃料電池15のインピーダンスの抵抗成分を測定する。推定部55は、温度センサ67の検出信号を取得して、測定部54が測定した燃料電池15のインピーダンスの値と、温度センサ67が測定した燃料電池15の温度と、を用いて、燃料電池15の乾湿状態を推定する。湿度維持制御部56は、上記した燃料電池15の乾湿状態から、燃料電池15の内部が、予め定めた乾燥状態であると判断されるときに、燃料電池15の内部の湿度を維持するための湿度維持処理を実行する。本実施形態では、推定部55は、燃料電池15の乾湿状態として、燃料電池15における平均相対湿度(RHave)を推定する。以下では、燃料電池15の乾湿状態の推定、すなわち、燃料電池15における平均相対湿度(RHave)の推定について説明する。
B.インピーダンスと燃料電池温度と乾湿状態との関係:
燃料電池15において、単セル70当たりのインピーダンスの平均値(以下、平均インピーダンス値とも呼ぶ)は、以下の(1)式により表わすことができる。
燃料電池15において、単セル70当たりのインピーダンスの平均値(以下、平均インピーダンス値とも呼ぶ)は、以下の(1)式により表わすことができる。
平均インピーダンス値(Ω)=1/プロトン伝導度(S/m)×膜厚(m)…(1)
平均インピーダンス値は、例えば、測定部54が測定した燃料電池15全体のインピーダンスを、燃料電池15全体のセル数で除することにより算出できる。膜厚とは、各単セル70が備える電解質膜の膜厚であり、膜厚の値は、予め制御部50のメモリ内に記憶されている。算出された平均インピーダンス値と、記憶された膜厚とを上記(1)式に代入することにより、各単セル70が備える電解質膜における平均的なプロトン伝導度が算出される。
燃料電池15では、内部の相対湿度RHが高いほど、電解質膜が湿潤化される(含水量が高まる)ため、電解質膜におけるプロトン伝導度が高くなる。また、燃料電池15の内部温度が高いほど、電解質膜に含まれる水等の分子の分子運動が活発化して、電解質膜内でプロトンが移動し易くなるため、プロトン伝導度が高くなる。そのため、プロトン伝導度は、以下に示す(2)式のように、燃料電池内の相対湿度RH(x)を変数とする関数f(x)と、燃料電池内の温度(y)を変数とする関数f(y)と、を用いた近似式によって表わすことができる。また、(2)式に含まれる燃料電池内の温度(y)を変数とする関数f(y)は、例えば、電解質膜内をプロトンが移動するための反応の速度を反映する式によって、具体的には、化学反応における温度と反応速度との関係を表すアレニウス則を利用した以下に示す(3)式によって、近似することができる。
プロトン伝導度(S/m)=f(x) × f(y) …(2)
図2は、上記のような燃料電池内部の相対湿度RHと、電解質膜のプロトン伝導度と、燃料電池15の内部温度と、の関係の一例を模式的に示す説明図である。これらの関係は、例えばシミュレーションにより、あるいは予め実験的に調べることができる。図2では、異なる4段階の温度について、相対湿度RHとプロトン伝導度との関係を表わすグラフを示している。各々のグラフに対応する燃料電池の内部温度は、グラフ(a)、(b)、(c)、(d)の順で低くなっている。本実施形態では、上記のような相対湿度RHとプロトン伝導度と燃料電池15の内部温度との関係を、燃料電池15の内部温度として取り得る範囲にわたって予め調べて、マップとして制御部50内のメモリに記憶している。なお、特定の温度条件下において燃料電池内部の相対湿度RHが特定の値を取るときのプロトン伝導度とは、相対湿度RHが上記特定の値であるガスによって電解質膜が平衡状態になったときの、電解質膜のプロトン伝導度を指す。燃料電池15の各単セル70が備える電解質膜における平均的なプロトン伝導度を算出し、燃料電池内の温度(y)を検出すれば、図2に示す関係を用いることにより、燃料電池15内の相対湿度RHを求めることができる。
C.乾湿状態監視の動作:
図3は、燃料電池15の発電時に制御部50のCPUで繰り返し実行される湿度維持制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。本実施形態の燃料電池システム10では、上記のようにして導出された燃料電池15内の相対湿度RHを用いて、燃料電池15内の湿度維持に係る制御を行なう。
図3は、燃料電池15の発電時に制御部50のCPUで繰り返し実行される湿度維持制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。本実施形態の燃料電池システム10では、上記のようにして導出された燃料電池15内の相対湿度RHを用いて、燃料電池15内の湿度維持に係る制御を行なう。
本ルーチンが起動されると、制御部50のCPUは、インピーダンスを測定する(ステップS100)。燃料電池15の発電時には、制御部50の信号重畳部57が、燃料電池15の出力電流に交流信号を重畳している。制御部50の測定部54は、電流センサ63および電圧センサ64から継続的に検出信号を取得しており、ステップS100におけるインピーダンスの測定を行なう。
ステップS100で燃料電池15のインピーダンスを測定すると、制御部50は、測定したインピーダンスを用いて、既述した平均インピーダンス値を算出する(ステップS110)。そして、算出した平均インピーダンス値を用いて、既述した(1)式を用いて、燃料電池15の各単セル70が備える電解質膜における平均的なプロトン伝導度を算出する(ステップS120)。その後、制御部50は、温度センサ67から、燃料電池15の内部温度を取得する(ステップS130)。なお、ステップS100からステップS120までのインピーダンスおよびプロトン伝導度の算出に係る動作と、ステップS130における燃料電池15の内部温度の取得に係る動作とは、いずれを先に行なってもよく、並行して行なってもよい。
その後、制御部50は、ステップS120で算出したプロトン伝導度と、ステップS130で取得した燃料電池温度とを用いて、燃料電池15の乾湿状態を推定する動作として、燃料電池15における平均相対湿度(RHave)を推定する(ステップS140)。平均相対湿度(RHave)の推定は、例えば、図2に示したマップを参照することにより行なえばよい。ステップS110からステップS140は、制御部50の推定部55(図1参照)が実行する。
平均相対湿度(RHave)を推定すると、制御部50は、推定した平均相対湿度(RHave)と、予め定めた基準相対湿度RH1と、を比較する(ステップS150)。基準相対湿度RH1とは、燃料電池15内部の乾湿状態が、望ましくない程度の乾燥状態になっているか否か、具体的には、後述する湿度維持処理を実行すべき乾燥状態であるか否かを、燃料電池内部の相対湿度を用いて判断するために、予め定められた値である。
ステップS150において、平均相対湿度(RHave)が基準相対湿度RH1未満であると判断すると(ステップS150:YES)、制御部50の湿度維持制御部56(図1参照)は、湿度維持処理を実行し(ステップS160)、本ルーチンを終了する。ステップS160の処理を開始するときに、湿度維持処理を未だ実行していないときには、ステップS160において制御部50は、湿度維持処理を開始する。また、ステップS160の処理を開始するときに、既に湿度維持処理を行なっているときには、ステップS160において制御部50は、湿度維持処理を実行する動作を継続する。
ステップS150において、平均相対湿度(RHave)が基準相対湿度RH1以上であると判断すると(ステップS150:NO)、制御部50の湿度維持制御部56(図1参照)は、湿度維持処理を実行することなく(ステップS170)、本ルーチンを終了する。ステップS170の処理を開始するときに、湿度維持処理を未だ実行していないときには、ステップS170において制御部50は、湿度維持処理を実行しない状態を維持する。またステップS170の処理を開始するときに、既に湿度維持処理を行なっているときには、ステップS170において制御部50は、湿度維持処理を停止する。
上記した湿度維持処理とは、燃料電池15内の湿度を維持するための処理であり、各単セル70が備える電解質膜の含水量の低下を抑える処理であれば、種々の処理を採用可能である。具体的には、例えば、酸化ガス排出管33に設けた背圧弁39の開度を減少させて酸化ガスの背圧を上昇させる処理とすることができる。あるいは、湿度維持処理は、エアコンプレッサ31の駆動制御により酸化ガスの供給量を減少させる処理としてもよい。このように、燃料電池15内を流れる酸化ガス等の反応ガスの流量を減少させることにより、反応ガスによる燃料電池15からの水分持ち去り量が減少するため、燃料電池15内の湿度低下を抑えることができる。
また、湿度維持処理は、燃料電池15の温度を低下させる処理とすることができる。例えば、冷媒を用いて燃料電池15の温度を制御する際に、燃料電池15の目標温度を低下させればよい。具体的には、燃料電池15とラジエータとの間で冷媒を循環させる冷媒流路から分岐して、燃料電池15を通過した冷媒の一部がラジエータを経由しないように冷媒の一部を導くバイパス流路を設けて、ラジエータを経由することなくバイパス流路を流れる冷媒の割合を増加させればよい。燃料電池15の温度を低下させることで、燃料電池15内部の飽和蒸気圧が低下し、酸化ガス等の反応ガスが電解質膜から持ち去る水分量が低減されるため、燃料電池15内の湿度低下を抑えることができる。
また、図1に示すように、燃料電池15に供給する燃料ガスの流路を、燃料ガスが循環する流路とする場合には、湿度維持処理は、水素ポンプ44の回転数を上げる処理とすることができる。燃料ガス供給管22と燃料ガス排気管23と燃料ガス還流管24とを含む燃料ガスの流路を循環する水素流量を増加させると、水素流量を増加させた後しばらくは、水素流れによって燃料電池15から排出される水分量が増加する。このように水素流量を増加させても、気液分離器45から排出される液水量を増加させない場合には、上記した燃料ガスが循環する流路内の水蒸気量が増加して、燃料電池15内の湿度が高められる。
あるいは、酸化ガス供給管32に加湿器を設け、燃料電池15への供給に先立って酸化ガスを加湿する場合には、加湿器による加湿量を増加させる処理を、湿度維持処理としてもよい。燃料電池システム10のシステム構成や、発電条件、あるいは燃料電池システム10の使用環境等に応じて、湿度維持処理として実行する処理を、適宜変更してもよく、適宜組み合わせてもよい。
以上のように構成された本実施形態の燃料電池システムによれば、燃料電池15のインピーダンスの値と燃料電池15の温度とを用いて燃料電池15の乾湿状態を推定するため、燃料電池のインピーダンスの値を用いて燃料電池内部の乾湿状態を判断する際の精度を高めることができる。すなわち、本実施形態では、(1)式および(2)式に示したように、インピーダンスの値およびプロトン伝導度が、燃料電池15内の湿度と燃料電池15の内部温度との両方の影響を受けることに着目して、インピーダンスあるいはインピーダンスから導出されるプロトン伝導度と、燃料電池15の内部温度とをパラメータとして、燃料電池15内の湿度を推定している。そのため、燃料電池のインピーダンスの値を用いて燃料電池内部の乾湿状態を判断する際に、湿度によるインピーダンスの変化と、温度によるインピーダンスの変化とを切り分けることができ、温度による影響を抑えて、燃料電池15内の乾湿状態を判断することができる。
また、本実施形態では、燃料電池15の乾湿状態の判断結果を用いて、燃料電池15に対して湿度維持処理を実行するか否かを判断するため、湿度維持処理の要否を判断する精度を高めることができる。例えば、インピーダンスの値のみを用いて乾湿状態を判断する場合であって、インピーダンスの値が基準値よりも大きい場合に乾燥状態であると判断して湿度維持処理を実行する場合には、実際には湿度が低下していなくても、温度が低下したときにはプロトン伝導度が低下してインピーダンスの値が上昇する。そのため、湿度維持処理が不要であっても湿度維持処理を実行する場合が生じ得る。このような場合に、湿度維持処理として、例えば背圧弁39の開度を減少させて酸化ガスの背圧を上昇させる処理を行なうならば、エアコンプレッサ31の消費電力が増大することにより、燃料電池システム10のエネルギ効率の低下が起こり得る。本実施形態では、乾湿状態の判定の精度が高まることで、不要な湿度維持処理の実行が抑えられ、不要な湿度維持処理に伴うこのような不都合を抑えることができる。
特に、燃料電池15の運転時の温度が、より大きな範囲で変動する場合、例えば、定常状態における目標制御温度が80℃以上に設定されている燃料電池15を、氷点下で始動させた後に、上記した定常状態の温度にまで昇温させる場合には、燃料電池15内部の乾湿状態の判断において、燃料電池温度が大きく影響し得る。本実施形態によれば、燃料電池15の内部温度の影響を抑えて乾湿状態を判定して湿度維持処理を実行するため、広い温度範囲にわたって、燃料電池内部の乾湿状態を精度良く判定し、燃料電池内部の乾湿状態を適切に制御することが容易になる。
D.他の実施形態:
上述した実施形態における燃料電池システム10では、乾湿状態の判断に用いるインピーダンス値として平均インピーダンス値を用い、平均インピーダンス値を、燃料電池15全体のインピーダンスをセル数で除した値を用いたが、異なる構成としてもよい。例えば、単セル70毎にインピーダンスを測定して、各単セル70のインピーダンス値をスタック全体で平均した値を、平均インピーダンス値として用いてもよい。あるいは、スタック全体を、直列に接続された複数の単セル70から成る測定対象グループに分けて、測定対象グループ毎に出力電流および出力電圧を検出してインピーダンスを測定し、測定対象グループ毎に測定したインピーダンス値を用いて、燃料電池15全体の平均インピーダンス値を算出してもよい。
上述した実施形態における燃料電池システム10では、乾湿状態の判断に用いるインピーダンス値として平均インピーダンス値を用い、平均インピーダンス値を、燃料電池15全体のインピーダンスをセル数で除した値を用いたが、異なる構成としてもよい。例えば、単セル70毎にインピーダンスを測定して、各単セル70のインピーダンス値をスタック全体で平均した値を、平均インピーダンス値として用いてもよい。あるいは、スタック全体を、直列に接続された複数の単セル70から成る測定対象グループに分けて、測定対象グループ毎に出力電流および出力電圧を検出してインピーダンスを測定し、測定対象グループ毎に測定したインピーダンス値を用いて、燃料電池15全体の平均インピーダンス値を算出してもよい。
また、乾湿状態の判断に用いるインピーダンス値は、スタック全体のインピーダンスの平均値以外であってもよい。燃料電池15におけるセル毎の乾湿状態のばらつきが許容範囲であるならば、例えば、各単セル70について測定されたインピーダンスの最大値、各単セル70について測定されたインピーダンスの最小値、あるいは、予め定めた特定の単セル70について測定されたインピーダンスの値を用いてもよい。乾湿状態の判断に用いるインピーダンス値は、燃料電池15全体の乾湿状態の傾向を表わす代表的な値であればよい。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…燃料電池システム、15…燃料電池、20…燃料ガス供給部、21…燃料ガスタンク、22…燃料ガス供給管、23…燃料ガス排気管、24…燃料ガス還流管、25…燃料ガス排出管、30…酸化ガス供給部、31…エアコンプレッサ、32…酸化ガス供給管、33…酸化ガス排出管、39…背圧弁、40…主止弁、42…可変調圧弁、44…水素ポンプ、45…気液分離器、46…パージ弁、50…制御部、54…測定部、55…推定部、56…湿度維持制御部、57…信号重畳部、60…電力回路、61…DC/DCコンバータ、62…配線、63…電流センサ、64…電圧センサ、65…負荷、67…温度センサ、70…単セル
Claims (1)
- 燃料電池を備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池のインピーダンスを測定する測定部と、
前記燃料電池の温度を測定する温度センサと、
前記燃料電池の乾湿状態を、前記測定部が測定した前記燃料電池のインピーダンスの値と、前記温度センサが測定した前記燃料電池の温度と、を用いて推定する推定部と、
を備える燃料電池システム。
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2019
- 2019-07-04 JP JP2019124961A patent/JP2021012769A/ja active Pending
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