JP2021011928A - トーショナルダンパ - Google Patents
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Abstract
【課題】内部に液体が浸入することに起因した耐久性及び防振性能の低下を防止することができるトーショナルダンパを提供する。【解決手段】トーショナルダンパ1は、ハブプレート2と、一対の環状をなす慣性マス部材3A、3Bと、一対の環状をなす弾性部材4A、4Bと、一対の慣性マス部材3A、3Bの双方の外周部をそれぞれ軸方向に折曲した外側折曲部3a及び内側折曲部3bと、外側折曲部3a及び内側折曲部3bを軸方向に互いに嵌合して拘束することにより、一対の弾性部材4A、4Bをハブプレート2の両面と対向する慣性マス部材3A、3Bとの間で圧縮して挟持する嵌合部5とを備え、外側折曲部3a及び内側折曲部3bの少なくとも何れか一方は、径方向に貫通する1つ以上の排水孔10、11、12を有する。【選択図】図2
Description
本発明は、トーショナルダンパに関し、特に、自動車、トラック、バス、建設機械、産業機械などの内燃機関に用いるトーショナルダンパに関する。
特許文献1には、回転軸を同芯で取り付け可能なハブプレートの両面と、一対の慣性マス部材との間に、それぞれ一対の弾性部材が圧縮して挟持されたトーショナルダンパが開示されている。このトーショナルダンパは、一対の慣性マス部材の双方の外周部をそれぞれ軸方向に折曲した内側折曲部及び外側折曲部と、内側折曲部及び外側折曲部を軸方向に互いに嵌合して拘束する嵌合部とを有する。嵌合部を形成することにより、一対の弾性部材がハブプレートの両面と対向する慣性マス部材との間で圧縮して挟持される。
一対の慣性マス部材を嵌合部において嵌合したことにより、トーショナルダンパの内部には、嵌合部、一対の弾性部材の外周面、及びハブプレートの外周面で囲まれた空間が形成される。嵌合部は、圧入により強固に形成されるものの、上記空間とトーショナルダンパの外部とを連通する微小な間隙が形成される場合がある。
このような間隙が存在すると、トーショナルダンパを組み立てた後の洗浄工程における水、或いは、トーショナルダンパを車両に装着した後の車両運転中における泥水等の液体が上記間隙を通って空間に浸入することがある。空間に液体が一旦浸入すると、間隙は微小であるが故、液体は間隙から外に排水され難く、実際、ほとんどが排水されずに空間に長期間滞留することとなる。
空間に滞留した液体は、慣性マス部材及びハブプレートを腐食させ、また、弾性部材を膨潤させて弾性力を損なわせる。特に慣性マス部材が板金加工により形成される場合には、慣性マス部材における錆発生が著しい。従って、慣性マス部材ひいてはトーショナルダンパの耐久性が低下し、また、トーショナルダンパの防振性能が低下するおそれがある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内部に液体が浸入することに起因した耐久性及び防振性能の低下を防止することができるトーショナルダンパを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のトーショナルダンパは、回転軸を同芯で取り付け可能なハブプレートと、ハブプレートの径方向に延在する両面の外周部にそれぞれ配置される一対の環状をなす慣性マス部材と、ハブプレートの両面と一対の慣性マス部材との間にそれぞれ配置される一対の環状をなす弾性部材と、一対の慣性マス部材の双方の外周部をそれぞれ軸方向に折曲した内側折曲部及び外側折曲部と、内側折曲部及び外側折曲部を軸方向に互いに嵌合して拘束することにより、一対の弾性部材をハブプレートの両面と対向する慣性マス部材との間で圧縮して挟持する嵌合部とを備え、内側折曲部及び外側折曲部の少なくとも何れか一方は、径方向に貫通する1つ以上の排水孔を有する。
本発明のトーショナルダンパによれば、内部に液体が浸入することに起因した耐久性及び防振性能の低下を防止することができる。
以下、図面に基づき本発明の実施形態に係るトーショナルダンパについて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るトーショナルダンパの平面図を示す。図2は、図1のトーショナルダンパの縦断面図を示す。このトーショナルダンパ(以下、省略してダンパと称することがある)1は、ハブプレート2、慣性マス部材3、弾性部材4を備えている。
図1は、本発明の一実施形態に係るトーショナルダンパの平面図を示す。図2は、図1のトーショナルダンパの縦断面図を示す。このトーショナルダンパ(以下、省略してダンパと称することがある)1は、ハブプレート2、慣性マス部材3、弾性部材4を備えている。
ハブプレート2は、金属製であって鋳造、鍛造、板金等により円板状に形成されている。ハブプレート2の径方向中央には、エンジンのクランクシャフトなどの図示しない回転軸に回転中心を一致させ、すなわち同芯で取り付け可能な軸孔2aが形成されている。軸孔2aの周囲には複数のボルト孔2bが形成されており、これらのボルト孔2bに図示しないボルトを挿通して図示しないボスをハブプレート2にボルト締結して取り付けることができる。これにより、回転軸がボスを介してハブプレート2ひいてはダンパ1と回転中心を一致させて一体に回転可能に取り付けられる。
なお、回転軸をハブプレート2の回転中心にボルト1本で取り付ける場合もある。また、回転軸の端部がフランジ状に形成されている場合には、ボスがなくともハブプレート2に回転軸を直接にボルト締結可能である。また、以降、回転軸の軸方向、すなわちハブプレート2の軸孔2aにおける回転軸の貫通方向を「軸方向」とし、回転軸に垂直な放射方向、すなわちハブプレート2の両面が延在する方向を「径方向」とし、回転軸の正負の回転方向、すなわちハブプレート2或いは慣性マス部材3の周方向を「周方向」とする。
慣性マス部材3は、金属製であって鋳造、鋳造、板金等により環状に形成され、一対の慣性マス部材3A、3B(以下、慣性マス部材3と総称することがある)から構成されている。一対の慣性マス部材3A、3Bは、ハブプレート2の径方向に延在する両面の外周部にそれぞれ配置され、回転軸に対して少なくとも周方向に揺動自在であり、好ましくはさらに回転軸に対して径方向(図1及び図2で見て上下方向を含む)に揺動自在である。
弾性部材4は、いわゆるダンパゴムの機能を有するゴムリングであって、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)等のゴム材料や樹脂エラストマーにより形成されており、環状をなす一対の弾性部材4A、4B(以下、弾性部材4と総称することがある)から構成されている。一対の弾性部材4A、4Bは、ハブプレート2の両面と一対の慣性マス部材3A、3Bとの間にそれぞれ配置される。
一対の慣性マス部材3A、3Bの双方の外周部をそれぞれ軸方向に折曲した外側折曲部3aと内側折曲部3bとが形成されている。外側折曲部3a及び内側折曲部3bを軸方向に互いに嵌合して拘束することにより嵌合部5が形成され、嵌合部5を形成することにより、一対の弾性部材4A、4Bがハブプレート2の両面と対向する慣性マス部材3A、3Bとの間で圧縮されて挟持される。
嵌合部5はダンパ1の周方向に環状をなす部位である。嵌合部5を形成することにより、一対の弾性部材4A、4Bが圧縮されてハブプレート2と一対の慣性マス部材3A、3Bとが弾性的に接続される。
このように構成されるダンパ1は、回転軸に装着されるハブプレート2と慣性マス部材3を弾性部材4で弾性接続する。このため、弾性部材4の粘弾性により、一対の慣性マス部材3A、3Bが回転軸に対して周方向に揺動し、さらに回転軸に対して径方向に揺動する。これにより、図示しない被伝達部材にトルク伝達する際に発生する種々の変動(ねじれ振動や上下振動)がダンパ1において吸収、減衰される。
一対の弾性部材4A、4Bとハブプレート2及び一対の慣性マス部材3A、3Bとの間には、それぞれ固着液が介在される。固着液により、成形済みの一対の弾性部材4A、4Bが、ハブプレート2及び一対の慣性マス部材3A、3Bに後接着される。より具体的には、一対の弾性部材4A、4Bをハブプレート2及び一対の慣性マス部材3A、3Bに圧縮して接触させた状態で固着させることができるポストボンド法が用いられる。固着液は、公知の接着剤や加硫接着剤を使用可能である。ポストボンド法に適用できるとともに、天然ゴム、NBR、EPDMなどの防振ゴムに用いられる固着液としては、シランカップリング剤が好ましい。
図3は、従来のダンパ1の嵌合部5を拡大した断面図を示す。一対の慣性マス部材3A、3Bを嵌合部5において嵌合したことにより、ダンパ1の内部には、嵌合部5、一対の弾性部材4A、4Bの外周面、及びハブプレート2の外周面で囲まれた空間6が形成される。嵌合部5は、圧入により強固に形成されるものの、空間6とダンパ1の外部とを連通する微小な間隙7が存在する場合がある。なお、説明上、間隙7は誇張して大きめに図示している。
図3に示すように、間隙7が存在すると、ダンパ1を組み立てた後の洗浄工程における水、或いは、ダンパ1を車両に装着した後の車両運転中における泥水等の液体8が矢印で示すように間隙7を通って空間6に浸入することがある。空間6に液体8が一旦浸入すると、間隙7は微小であるが故、液体8は間隙7から外に排水され難く、実際、ほとんどが排水されずに空間6に長期間滞留することとなる。
空間6に滞留した液体8は、慣性マス部材3A、3B及びハブプレート2を腐食させ、また、弾性部材4A、4Bを膨潤させて弾性力を損なわせる。特に慣性マス部材3A、3Bが板金加工により形成される場合には、慣性マス部材3A、3Bにおける錆発生が著しい。従って、慣性マス部材3A、3Bひいてはダンパ1の耐久性が低下し、また、ダンパ1の防振性能が低下するおそれがある。
一方、図4は、本実施形態のダンパ1の嵌合部5を拡大した断面図を示す。本実施形態の外側折曲部3aには、径方向に貫通する1つの排水孔10が形成されている。空間6に浸入した液体8は、ダンパ1が作動し、慣性マス部材3Aが周方向に回転することにより、遠心力によって排水孔10からダンパ1の外部に排水される。間隙7のみならず、排水孔10から空間6に浸入した液体8であっても排水孔10から迅速に外部に排水される。
排水孔10は、例えば、孔径5mm程度の断面円形孔である。しかし、これに限らず、排水孔10は、空間6の液体8が排水され易く、且つ空間6に液体8が浸入し難い孔径及び孔形状を有するのが好ましい。また、排水孔10は、慣性マス部材3A、3Bを組み付けて嵌合部5を形成する前に、慣性マス部材3Aにドリル等により予め穿孔して形成するのが好ましい。これにより、排水孔10の穿孔に伴う切粉が空間6に入り込まないため、切粉による排水阻害や防振性能低下等が防止される。
以上のように、本実施形態のダンパ1は、外側折曲部3aを径方向に貫通する排水孔10を形成したことにより、空間6に浸入した液体8をダンパ1の作動に伴う遠心力によって迅速に外部に排水することができる。これにより、空間6に浸入した液体8による慣性マス部材3A、3B及びハブプレート2の腐食、及び弾性部材4A、4Bの膨潤が防止される。
これにより、ダンパ1の内部に液体8が浸入することに起因したダンパ1の耐久性及び防振性能の低下を防止することができる。特に、排水孔10が外側折曲部3aのみを径方向に貫通して形成されることにより、遠心力によって空間6における最外径領域6aに移動した液体8を外部に円滑に排水することができるため、排水効率がより一層向上して好適である。
以上で本発明の実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
例えば、図5に示すように、外側折曲部3aではなく内側折曲部3bのみを径方向に貫通する排水孔11を形成しても良い。排水孔11は、排水孔10の場合と同様に、空間6への切粉の入り込みを防止するべく、嵌合部5を形成する前に慣性マス部材3Bに予め穿孔して形成するのが好ましい。
例えば、図5に示すように、外側折曲部3aではなく内側折曲部3bのみを径方向に貫通する排水孔11を形成しても良い。排水孔11は、排水孔10の場合と同様に、空間6への切粉の入り込みを防止するべく、嵌合部5を形成する前に慣性マス部材3Bに予め穿孔して形成するのが好ましい。
また、図6に示すように、外側折曲部3a及び内側折曲部3bの双方を径方向に貫通する排水孔12を形成しても良い。排水孔10の場合と同様に空間6への切粉の入り込みを防止するべく、嵌合部5を形成する前に慣性マス部材3A、3Bに予め孔を個別に穿孔し、これらの孔を連通させることで排水孔12を形成するのが好ましい。これらの図5及び図6の場合であっても空間6に浸入した液体8をダンパ1の作動に伴う遠心力によって外部に排水することが可能であり、ダンパ1の耐久性及び防振性能の低下を防止可能である。
また、図7に示すように、排水孔10(或いは排水孔11、12)は、図示するように2つ形成しても良いし、2つ以上形成しても良いし、2つの排水孔10を図示するように径方向の対角位置に1対形成しても良いし、2対以上形成しても良い。排水孔10を径方向の対角位置に1対形成した場合には、それぞれの排水孔10の近辺に存在する液体8を迅速に排水可能となるため、排水前の液体8が空間6を周方向に流れる時間が短縮され、ダンパ1の全体として排水効率が向上する。
1 トーショナルダンパ
2 ハブプレート
2a 軸孔
2b ボルト孔
3、3A、3B 慣性マス部材
3a 外側折曲部
3b 内側折曲部
4、4A、4B 弾性部材
5 嵌合部
6 空間
7 間隙
8 液体
10、11、12 排水孔
2 ハブプレート
2a 軸孔
2b ボルト孔
3、3A、3B 慣性マス部材
3a 外側折曲部
3b 内側折曲部
4、4A、4B 弾性部材
5 嵌合部
6 空間
7 間隙
8 液体
10、11、12 排水孔
Claims (3)
- 回転軸を同芯で取り付け可能なハブプレートと、
前記ハブプレートの径方向に延在する両面の外周部にそれぞれ配置される一対の環状をなす慣性マス部材と、
前記ハブプレートの両面と一対の前記慣性マス部材との間にそれぞれ配置される一対の環状をなす弾性部材と、
一対の前記慣性マス部材の双方の外周部をそれぞれ軸方向に折曲した内側折曲部及び外側折曲部と、
前記内側折曲部及び前記外側折曲部を前記軸方向に互いに嵌合して拘束することにより、一対の前記弾性部材を前記ハブプレートの両面と対向する前記慣性マス部材との間で圧縮して挟持する嵌合部と
を備え、
前記外側折曲部及び前記内側折曲部の少なくとも何れか一方は、前記径方向に貫通する1つ以上の排水孔を有する、トーショナルダンパ。 - 前記排水孔は、前記外側折曲部のみを前記径方向に貫通してなる、請求項1に記載のトーショナルダンパ。
- 前記排水孔は、前記径方向の対角位置に1対以上形成される、請求項1又は2に記載のトーショナルダンパ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019127061A JP2021011928A (ja) | 2019-07-08 | 2019-07-08 | トーショナルダンパ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2019127061A JP2021011928A (ja) | 2019-07-08 | 2019-07-08 | トーショナルダンパ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021011928A true JP2021011928A (ja) | 2021-02-04 |
Family
ID=74226799
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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JP (1) | JP2021011928A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022091330A (ja) * | 2020-12-09 | 2022-06-21 | 株式会社大都技研 | 遊技台 |
JP2022115446A (ja) * | 2021-01-28 | 2022-08-09 | 株式会社大都技研 | 遊技台 |
-
2019
- 2019-07-08 JP JP2019127061A patent/JP2021011928A/ja active Pending
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