JP2021011655A - 炭素繊維前駆体用処理剤、及び炭素繊維前駆体 - Google Patents

炭素繊維前駆体用処理剤、及び炭素繊維前駆体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐炎化処理工程における耐炎化繊維の集束性を向上させることのできる炭素繊維前駆体用処理剤を提供する。【解決手段】炭素繊維前駆体用処理剤は、(A)液状ゴム成分と、(B)平滑剤と、(C)非イオン界面活性剤とを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維前駆体用処理剤、及び炭素繊維前駆体用処理剤が付着している炭素繊維前駆体に関する。
一般に、炭素繊維は、例えば、エポキシ樹脂等のマトリクス樹脂と組み合わせた炭素繊維複合材料として、建材、輸送機器等の各分野において広く利用されている。炭素繊維は、例えば、アクリル繊維を紡糸する紡糸工程、繊維を延伸する延伸工程を行うことにより炭素繊維前駆体を製造し、炭素繊維前駆体に対して耐炎化処理工程、及び炭素化処理工程を行うことにより製造される。炭素繊維前駆体には、炭素繊維の製造工程において生ずる繊維間の膠着又は融着を抑制するために、炭素繊維前駆体用処理剤が用いられることがある。
特許文献1及び特許文献2には、シリコーンゴムからなる粒子を繊維表面に有する炭素繊維前駆体を用いて耐炎化処理工程及び炭素化処理工程を行うことにより、得られる炭素繊維の強度を向上させる技術が開示されている。
特開平09−041226号公報 特開平09−249747号公報
従来の炭素繊維前駆体用処理剤は、炭素繊維前駆体に耐炎化処理工程における集束性を付与する効果が不十分であった。
本発明が解決しようとする課題は、耐炎化処理工程における耐炎化繊維の集束性を向上させることにある。
上記課題を解決する炭素繊維前駆体用処理剤は、液状ゴム成分と、平滑剤と、非イオン界面活性剤とを含有する。
前記液状ゴム成分の質量平均分子量が1000以上500000以下であることが好ましい。
前記液状ゴム成分は、液状シリコーンゴムを含むことが好ましい。
前記平滑剤は、アミノ変性シリコーンを含むことが好ましい。
前記液状ゴム成分、前記平滑剤、及び前記非イオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量部とすると、前記液状ゴム成分の含有割合が0.1〜30質量部であり、前記平滑剤の含有割合が10〜94.9質量部であり、前記非イオン界面活性剤の含有割合が5〜89.9質量部であることが好ましい。
上記課題を解決する炭素繊維前駆体は、上記炭素繊維前駆体用処理剤が付着している。
本発明によれば、耐炎化処理工程における耐炎化繊維の集束性を向上させることができる。
(第1実施形態)
以下、本発明の炭素繊維前駆体用処理剤(以下、単に処理剤という)を具体化した第1実施形態を説明する。
本実施形態の処理剤は、(A)液状ゴム成分と、(B)平滑剤と、(C)非イオン界面活性剤とを含有する。
(A)液状ゴム成分
液状ゴム成分は、常温で液状であるゴム性化合物である。なお、常温で液状とは、「ASTM D 4359-90:Standard Test Method for Determining Whether a Material is a Liquid or Solid」に基づく固体−液体判定試験により、「液体」と判定される状態を意味する。
本実施形態の処理剤に含有される液状ゴム成分としては、例えば、液状シリコーンゴム、液状ブタジエンゴム、液状スチレンブタジエンゴム、液状イソプレンゴムが挙げられる。これらの液状ゴム成分のなかでも、液状シリコーンゴムが好ましい。この場合には、耐炎化処理工程における耐炎化繊維の集束性が更に向上する。
液状ゴム成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
液状ゴム成分の質量平均分子量は、特に制限されないが、例えば、1000以上500000以下であることが好ましい。
(B)平滑剤
本実施形態の処理剤に含有される平滑剤としては、例えば、シリコーン、エステル等が挙げられる。
平滑剤として使用されるシリコーンとしては、特に制限はなく、例えば、ジメチルシリコーン、フェニル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミド変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルキルアラルキル変性シリコーン、アルキルポリエーテル変性シリコーン、エステル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン等が挙げられる。
平滑剤として使用されるエステルとしては、特に制限はなく、例えば、(1)オクチルパルミテート、オレイルラウレート、オレイルオレート、イソテトラコシルオレート等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、(2)1,6−ヘキサンジオールジデカネート、グリセリントリオレート、トリメチロールプロパントリラウレート、ペンタエリスリトールテトラオクタネート等の、脂肪族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、(3)ジオレイルアゼレート、チオジプロピオン酸ジオレイル、チオジプロピオン酸ジイソセチル、チオジプロピオン酸ジイソステアリル等の、脂肪族モノアルコールと脂肪族多価カルボン酸とのエステル化合物、(4)ベンジルオレート、ベンジルラウレート等の、芳香族モノアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル化合物、(5)ビスフェノールAジラウレート、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジラウレート等の、芳香族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸との完全エステル化合物、(6)ビス2−エチルヘキシルフタレート、ジイソステアリルイソフタレート、トリオクチルトリメリテート等の、脂肪族モノアルコールと芳香族多価カルボン酸との完全エステル化合物、(7)ヤシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、大豆油、ヒマシ油、ゴマ油、魚油及び牛脂等の天然油脂等が挙げられる。その他、合成繊維用処理剤に採用されている公知の平滑剤等を使用してもよい。
平滑剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、平滑剤は、アミノ変性シリコーンを含むことが好ましい。アミノ変性シリコーンのアミノ当量は、例えば、500〜10000g/molであることが好ましい。
平滑剤の動粘度は、例えば、25℃において10mm/s〜100000mm/sであることが好ましい。
(C)非イオン界面活性剤
本実施形態の処理剤に含有される非イオン界面活性剤としては、特に制限はなく、例えば、アルコール類又はカルボン酸類にアルキレンオキサイドを付加させたものが挙げられる。
非イオン界面活性剤の原料として用いられるアルコール類の具体例としては、例えば、(1)メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ヘンエイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、ノナコサノール、トリアコンタノール等の直鎖アルキルアルコール、(2)イソプロパノール、イソブタノール、イソヘキサノール、2−エチルヘキサノール、イソノナノール、イソデカノール、イソドデカノール、イソトリデカノール、イソテトラデカノール、イソトリアコンタノール、イソヘキサデカノール、イソヘプタデカノール、イソオクタデカノール、イソノナデカノール、イソエイコサノール、イソヘンエイコサノール、イソドコサノール、イソトリコサノール、イソテトラコサノール、イソペンタコサノール、イソヘキサコサノール、イソヘプタコサノール、イソオクタコサノール、イソノナコサノール、イソペンタデカノール等の分岐アルキルアルコール、(3)テトラデセノール、ヘキサデセノール、ヘプタデセノール、オクタデセノール、ノナデセノール等の直鎖アルケニルアルコール、(4)イソヘキサデセノール、イソオクタデセノール等の分岐アルケニルアルコール、(5)シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の環状アルキルアルコール、(6)フェノール、ノニルフェノール、ベンジルアルコール、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、トリスチレン化フェノール等の芳香族系アルコール等が挙げられる。
非イオン界面活性剤の原料として用いられるカルボン酸類の具体例としては、例えば、(1)オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン酸等の直鎖アルキルカルボン酸、(2)2−エチルヘキサン酸、イソドデカン酸、イソトリデカン酸、イソテトラデカン酸、イソヘキサデカン酸、イソオクタデカン酸等の分岐アルキルカルボン酸、(3)オクタデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカトリエン酸等の直鎖アルケニルカルボン酸、(4)安息香酸等の芳香族系カルボン酸等が挙げられる。
非イオン界面活性剤の原料として用いられるアルキレンオキサイドの具体例としては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。
非イオン界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、非イオン界面活性剤は、直鎖アルキルアルコール等の炭素数4〜20の脂肪族飽和アルコール1モルに対し、エチレンオキサイドを1〜20モルの割合で付加させたものを含むことが好ましい。この場合には、処理剤の安定性が向上する。
(D)その他成分
本実施形態の処理剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、通常処理剤に用いられるその他成分をさらに含有してもよい。その他成分としては、例えば、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の処理剤の品質保持のための安定化剤や制電剤が挙げられる。その他成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
次に、本実施形態の処理剤における各成分の含有割合について記載する。本実施形態の処理剤における各成分の含有割合は、特に制限されるものではないが、以下の含有割合であることが好ましい。
(A)液状ゴム成分の含有割合は、(A)液状ゴム成分、(B)平滑剤、及び(C)非イオン界面活性剤の含有割合の合計(以下、主成分合計という。)を100質量部とすると、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましい。
(B)平滑剤の含有割合は、主成分合計を100質量部とすると、10〜94.9質量部であることが好ましく、20〜89.5質量部であることがより好ましい。
(C)非イオン界面活性剤は、主成分合計を100質量部とすると、5〜89.9質量部であることが好ましく、10〜79.5質量部であることがより好ましい。
また、本実施形態の処理剤における不揮発成分の含有割合を100質量部とすると、(A)液状ゴム成分、(B)平滑剤、及び(C)非イオン界面活性剤の含有割合の合計は、50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましい。
(第2実施形態)
次に、本発明の炭素繊維前駆体(以下、前駆体という)を具体化した第2実施形態について説明する。
本実施形態の前駆体は、原料繊維を紡糸してなる繊維部分と、繊維部分に付着する第1実施形態の処理剤とを備える。本実施形態の前駆体に対して、200〜300℃、好ましくは230〜270℃の酸化性雰囲気中で耐炎化繊維に転換する耐炎化処理工程、及び耐炎化繊維をさらに300〜2000℃、好ましくは300〜1300℃の不活性雰囲気中で炭化させる炭素化処理工程を行うことにより炭素繊維が製造される。
原料繊維としては、例えば、アクリル繊維等が挙げられる。アクリル繊維は、少なくとも90モル%以上のアクリロニトリルと、10モル%以下の耐炎化促進成分とを共重合させて得られるポリアクリロニトリルを主成分とする繊維から構成されることが好ましい。耐炎化促進成分としては、例えば、アクリロニトリルに対して共重合性を有するビニル基含有化合物が好適に使用できる。
炭素繊維前駆体における第1実施形態の処理剤の付着量は、特に制限されないが、炭素繊維前駆体に対し、0.1〜2質量%となるように付着させることが好ましく、0.3〜1.2質量%となるように付着させることがより好ましい。なお、上記濃度は、溶媒を含まない固形分濃度である。
炭素繊維前駆体の単繊維繊度は、特に制限されないが、性能及び製造コストのバランスの観点から、好ましくは0.1〜2.0dTexである。また、炭素繊維前駆体の繊維束を構成する単繊維の本数は、特に制限されないが、性能及び製造コストのバランスの観点から、好ましくは1,000〜96,000本である。
炭素繊維前駆体は、原料繊維を紡糸及び延伸する製糸工程により製造できる。製糸工程においては、例えば、原料繊維を紡糸する紡糸工程、紡糸された繊維に第1実施形態の処理剤を付着させる付着処理工程、及び紡糸された繊維を延伸する延伸工程が順に行われる。なお、原料繊維は紡糸直後から延伸されるが、付着処理工程後の高倍率延伸を特に「延伸工程」と呼ぶ。
付着処理工程は、原料繊維を紡糸した後、第1実施形態の処理剤を付着させる工程である。つまり、付着処理工程で原料繊維に第1実施形態の処理剤を付着させる。
付着処理工程における第1実施形態の処理剤の付着方法は公知の方法を適用できる。公知の付着方法としては、例えば、スプレー給油法、浸漬給油法、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法等が挙げられる。第1実施形態の処理剤を繊維に付着させる際の形態としては、例えば、有機溶媒溶液、水性液等が挙げられる。
延伸工程における延伸方法は公知の方法を適用できる。公知の延伸方法としては、例えば、高温水蒸気を用いた湿熱延伸法、熱ローラーを用いた乾熱延伸法等が挙げられる。
製糸工程において、第1実施形態の処理剤を付着させるタイミング及び第1実施形態の処理剤を付着させる回数は特に制限されるものではない。例えば、紡糸工程前の原料繊維に付着させてもよいし、延伸工程後に付着させてもよい。延伸工程後に付着させるタイミングとしては、例えば、延伸工程の直後、延伸工程後の巻取り段階、耐炎化処理工程の直前が挙げられる。なお、第1実施形態の処理剤は、延伸工程前に一度付着させておくことが好ましく、延伸工程前に一度付着させておき、延伸工程直後に再度付着させることがより好ましい。
第1実施形態及び第2実施形態の効果について説明する。
(1)第1実施形態の処理剤は、(A)液状ゴム成分と、(B)平滑剤と、(C)非イオン界面活性剤とを含有する。第2実施形態の炭素繊維前駆体は、第1実施形態の処理剤が付着されている。
上記構成によれば、処理剤を着させた炭素繊維前駆体から炭素繊維を製造する際の耐炎化処理工程における耐炎化繊維の集束性が向上する。更に、上記構成によれば、処理剤を着させた炭素繊維前駆体から得られた炭素繊維の強度を向上させること、炭素繊維前駆体を製造する際の紡糸工程における集束性を向上させること、及び処理剤を着させた炭素繊維前駆体を走行させるためのローラーの汚れを抑制することができる。
(2)(A)液状ゴム成分の質量平均分子量が1000以上500000以下である。
上記構成によれば、上記(1)の効果がより顕著に得られる。
(3)(A)液状ゴム成分は、シリコーンゴムを含む。
上記構成によれば、耐炎化処理工程における耐炎化繊維の集束性が更に向上する。また、処理剤を付着させた炭素繊維前駆体から得られた炭素繊維の強度を大きく向上させることができる。
(4)(B)平滑剤は、アミノ変性シリコーンを含む。
上記構成によれば、上記(1)の効果がより顕著に得られる。
(5)(A)液状ゴム成分、(B)平滑剤、及び(C)非イオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量部とすると、(A)液状ゴムの含有割合が0.1〜30質量部であり、(B)平滑剤の含有割合が10〜94.9質量部であり、(C)非イオン界面活性剤の含有割合が5〜89.9質量部である。
上記構成によれば、上記(1)の効果がより顕著に得られる。
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
試験区分1(炭素繊維前駆体用処理剤の調製)
(実施例1)
表1に示される各成分を使用し、液状ゴム成分(A−1)を2g、平滑剤(B−1)を178g、非イオン界面活性剤(C−1)を12g、非イオン界面活性剤(C−2)を4g、非イオン界面活性剤(C−3)を4g、ビーカーに加えて撹拌してよく混合した。撹拌を続けながら固形分濃度が25%となるようにイオン交換水を徐々に添加することで実施例1の炭素繊維前駆体用処理剤の25%水性液を調製した。
(実施例2〜8及び比較例1〜4)
実施例2〜8及び比較例1〜4の各炭素繊維前駆体用処理剤は、表1に示される各成分を使用し、実施例1と同様の方法にて調製した。
表1の記号欄に記載するA−1〜A−4、ra1〜ra2、B1〜B7、及びC−1〜C−3の各成分の詳細は以下のとおりである。
(液状ゴム成分)
A−1:質量平均分子量400000の液状シリコーンゴム
A−2:質量平均分子量150000の液状シリコーンゴム
A−3:質量平均分子量28000の液状イソプレンゴム
A−4:質量平均分子量5500の液状ブタジエンゴム
(その他のポリマー)
ra−1:平均粒子径0.5μmのシリコーンレジン微粒子
ra−2:固状シリコーンゴム微粒子
(平滑剤)
B−1:25℃における動粘度が90mm/s、アミノ当量が4000のアミノ変性シリコーン
B−2:25℃における動粘度が650mm/s、アミノ当量が2000のアミノ変性シリコーン
B−3:25℃における動粘度が3500mm/s、アミノ当量が2000のアミノ変性シリコーン
B−4:25℃における動粘度が1500mm/s、アミノ当量が3800のアミノ変性シリコーン
B−5:25℃における動粘度が5000mm/s、アミノ当量が6000のアミノ変性シリコーン
B−6:25℃における動粘度が1000mm/s、シリコーン鎖/ポリエーテル=50/50(質量比)、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=80/20(モル比)のポリエーテル変性シリコーン
B−7:25℃における動粘度が100mm/sのジメチルシリコーン
(非イオン界面活性剤)
C−1:炭素数12の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド5モル付加物
C−2:炭素数9の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド10モル付加物
C−3:炭素数12の脂肪族アルコールのエチレンオキサイド20モル付加物
試験区分2(炭素繊維前駆体及び炭素繊維の製造)
試験区分1で調製した炭素繊維前駆体用処理剤を用いて、炭素繊維前駆体及び炭素繊維を製造した。
アクリロニトリル95質量%、アクリル酸メチル3.5質量%、メタクリル酸1.5質量%からなる極限粘度1.80の共重合体を、ジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解してポリマー濃度が21.0質量%、60℃における粘度が500ポイズの紡糸原液を作成した。紡糸原液は、紡浴温度35℃に保たれたDMACの70質量%水溶液の凝固浴中に孔径(内径)0.075mm、ホール数12,000の紡糸口金よりドラフト比0.8で吐出した。
凝固糸を水洗槽の中で脱溶媒と同時に5倍に延伸して水膨潤状態のアクリル繊維ストランド(原料繊維)を作成した。このアクリル繊維ストランドに対して、固形分付着量が1質量%(溶媒を含まない)となるように、試験区分1で調製した炭素繊維前駆体用処理剤を給油した。炭素繊維前駆体用処理剤の給油は、炭素繊維前駆体用処理剤の4%イオン交換水溶液を用いた浸漬法により実施した。
その後、アクリル繊維ストランドに対して、130℃の加熱ローラーで乾燥緻密化処理を行い、更に170℃の加熱ローラー間で1.7倍の延伸を施した後に糸管に巻き取ることで炭素繊維前駆体を得た。
巻き取られた炭素繊維前駆体から糸を解舒し、230〜270℃の温度勾配を有する耐炎化炉で空気雰囲気下1時間、耐炎化処理した後に糸管に巻き取ることで耐炎化糸(耐炎化繊維)を得た。更に、巻き取られた耐炎化糸から糸を解舒し、窒素雰囲気下で300〜1,300℃の温度勾配を有する炭素化炉で焼成して炭素繊維に転換後、糸管に巻き取ることで炭素繊維を得た。
試験区分3(評価)
・耐炎化集束性の評価
試験区分2の炭素繊維の製造過程において、耐炎化炉の各所ローラー部分における糸割れや巻きつきを目視で観察し、以下の基準で耐炎化集束性を評価した。結果を表1にまとめて示した。
◎:耐炎化炉の出口まで糸割れや巻きつきが無くスムーズに操業できる。
○:耐炎化炉の出口までわずかに糸割れや巻きつきがあるが操業は問題ない。
×:耐炎化炉の出口までに糸割れや巻きつきが酷く操業に影響がある。
・炭素繊維強度の評価
JIS R 7606に準じて、試験区分2で得た炭素繊維の強度を測定し、以下の基準で評価した。結果を表1にまとめて示した。
◎:3.7GPa以上
○:3.4GPa以上3.7GPa未満
×:3.4GPa未満
・紡糸集束性の評価
試験区分2の炭素繊維前駆体の製造過程において、糸管に巻き取る前までの各所ローラー部分での糸割れや巻きつきを目視で観察し、以下の基準で紡糸集束性を評価した。結果を表1にまとめて示した。
◎:巻取りまで糸割れや巻きつきが無くスムーズに操業できる。
○:巻取りまでわずかに糸割れや巻きつきがあるが操業は問題ない。
×:糸割れや巻きつきが酷く操業に影響がある。
・ローラー汚れの評価
炭素繊維前駆体用処理剤を付着させた後のアクリル繊維ストランドが接触する乾燥ローラーを対象として、汚れにより操業できなくなるまでの期間を測定し、以下の基準でローラーの汚れを評価した。
◎:2週間以上の連続操業が可能。
○:10日以上14日未満の連続操業が可能。
×:10日未満の連続操業しかできない。
表1に示すように、(A)液状ゴム成分を含有しない比較例1,2,4及び(C)非イオン界面活性剤を含有しない比較例3の処理剤を用いた場合と比較して、(A)液状ゴム成分と、(B)平滑剤と、(C)非イオン界面活性剤とを含有する実施例1〜8の処理剤を用いた場合には、耐炎化集束性の評価が向上した。また、実施例1〜8の処理剤を用いた場合には、耐炎化集束性の評価に加えて、炭素繊維強度の評価、紡糸集束性の評価、及びローラー汚れの評価についても優れた結果が得られた。
(A)液状ゴム成分としてシリコーンゴムが含まれる実施例1〜6の処理剤を用いた場合には、(A)液状ゴム成分がその他の液状ゴム成分である実施例7〜8の処理剤を用いた場合と比較して、耐炎化集束性の評価及び炭素繊維強度の評価が大きく向上した。

Claims (6)

  1. 液状ゴム成分と、
    平滑剤と、
    非イオン界面活性剤とを含有する炭素繊維前駆体用処理剤。
  2. 前記液状ゴム成分の質量平均分子量が1000以上500000以下である請求項1に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
  3. 前記液状ゴム成分は、液状シリコーンゴムを含む請求項1又は請求項2に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
  4. 前記平滑剤は、アミノ変性シリコーンを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
  5. 前記液状ゴム成分、前記平滑剤、及び前記非イオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量部とすると、前記液状ゴム成分の含有割合が0.1〜30質量部であり、前記平滑剤の含有割合が10〜94.9質量部であり、前記非イオン界面活性剤の含有割合が5〜89.9質量部である請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭素繊維前駆体用処理剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の炭素繊維前駆体用処理剤が付着している炭素繊維前駆体。
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