JP2021011217A - 車両の制動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 冗長性が確保され、小型・軽量化され得る制動制御装置を提供する。【解決手段】 制動制御装置は、「タンデム型マスタシリンダの第1、第2液圧室と第1、第2ホイールシリンダとを接続する第1、第2接続路」と、「第1、第2接続路に設けられる常開型の第1、第2分離弁」と、「電気モータによって駆動され、制動液の圧力を調整液圧に調整する調圧ユニット」と、「第1、第2接続路と調圧ユニットとを接続する第1、第2連絡路」と、「第1、第2連絡路に設けられる常閉型の第1、第2連絡弁」と、「電気モータ、第1、第2分離弁、及び、第1、第2連絡弁を駆動するコントローラ」と、を備える。そして、電気モータは、第1、第2モータコイルを有し、コントローラは、第1、第2制御部を有する。第1制御部は、第1モータコイル、第1分離弁、及び、第1連絡弁を駆動し、第2制御部は、第2モータコイル、第2分離弁、及び、第2連絡弁を駆動する。【選択図】 図2
Description
本開示は、車両の制動制御装置に関する。
特許文献1には、「失陥時であっても信頼性の高い失陥時対応制御を達成可能であって、かつ、完全な冗長系よりもコンパクトなブレーキ制御装置を提供すること」を目的に、「複数の車輪に設けられたホイールシリンダと、前記ホイールシリンダ内を加圧する液圧源と、各ホイールシリンダに対応して設けられホイールシリンダ内の圧力を増減圧する制御弁と、状態量通信線を介して入力された車両の状態量に基づいて前記全ての制御弁及び前記液圧源を制御するメイン制御部と、前記車輪の制御系統を対角系統又は前後系統にグループ化し、状態量通信線を介して入力された車両の状態量に基づいて前記グループ化された第1の系統と第2の系統の内、前記第2の系統の制御弁及び前記液圧源を制御可能なサブ制御部と、を有し、前記サブ制御部は、前記メイン制御部の異常時には、前記第2の系統の制御弁及び前記液圧源を制御する」ことが記載されている。
特許文献1の装置は、ストロークシミュレータによって、ブレーキペダルの操作力を発生させるブレーキバイワイヤ式の制動制御装置であるが、その冗長性は、2つの電気モータ(ブラシレスモータとブラシモータ)によって確保されている。このようなブレーキバイワイヤ式の制動制御装置においては、簡素化された構成で、冗長性が確保されることが望まれている。
本発明の目的は、車両の制動制御装置において、その冗長性が確保され、小型・軽量化が達成され得るものを提供することである。
車両の制動制御装置は、ストロークシミュレータ(SS)によって制動操作部材(BP)に操作力(Fp)を発生するブレーキバイワイヤ型であって、「タンデム型マスタシリンダ(CM)の第1、第2液圧室(Rm1、Rm2)と第1、第2ホイールシリンダ(CW1、CW2)とを接続する第1、第2接続路(HS1、HS2)」と、「前記第1、第2接続路(HS1、HS2)に設けられる常開型の第1、第2分離弁(VM1、VM2)」と、「電気モータ(MT)によって駆動され、制動液(BF)の圧力を調整液圧(Pp)に調整する調圧ユニット(YC)」と、「前記第1、第2接続路(HS1、HS2)と前記調圧ユニット(YC)とを接続する第1、第2連絡路(HR1、HR2)」と、「前記第1、第2連絡路(HR1、HR2)に設けられる常閉型の第1、第2連絡弁(VR1、VR2)」と、「前記電気モータ(MT)、前記第1、第2分離弁(VM1、VM2)、及び、前記第1、第2連絡弁(VR1、VR2)を駆動するコントローラ(ECU)」と、を備える。
車両の制動制御装置では、前記電気モータ(MT)は、第1、第2モータコイル(CL1、CL2)を有し、前記コントローラ(ECU)は、第1、第2制御部(EC1、EC2)を有する。そして、前記第1制御部(EC1)は、前記第1モータコイル(CL1)、前記第1分離弁(VM1)、及び、前記第1連絡弁(VR1)を駆動し、前記第2制御部(EC2)は、前記第2モータコイル(CL2)、前記第2分離弁(VM2)、及び、前記第2連絡弁(VR2)を駆動する。
上記構成によれば、制動制御装置の冗長性が、電気的な二重化によって達成される。このため、簡素な構成で装置の冗長性が確保された上で、装置全体での小型・軽量化が達成され得る。
<構成部材等の記号、記号末尾の添字>
以下の説明において、「CW」等の如く、同一記号を付された構成部材、要素、信号等は同一機能のものである。2つの制動系統に係る記号の末尾に付された添字「1」、「2」は、それが何れの系統に関するものであるかを示す包括記号であり、「1」は一方の制動系統(「第1制動系統BK1」ともいう)、「2」は他方の制動系統(「第2制動系統BK2」ともいう)を示す。例えば、タンデム型マスタシリンダCMの2つの圧力室(「液圧室」ともいう)において、第1制動系統BK1に接続されるものが第1液圧室Rm1であり、第2制動系統BK2に接続されるものが第2液圧室Rm2である。添字「1」、「2」は省略され得る。添字「1」、「2」が省略された場合には、その記号は総称を表す。例えば、「Rm」は液圧室を表す。
以下の説明において、「CW」等の如く、同一記号を付された構成部材、要素、信号等は同一機能のものである。2つの制動系統に係る記号の末尾に付された添字「1」、「2」は、それが何れの系統に関するものであるかを示す包括記号であり、「1」は一方の制動系統(「第1制動系統BK1」ともいう)、「2」は他方の制動系統(「第2制動系統BK2」ともいう)を示す。例えば、タンデム型マスタシリンダCMの2つの圧力室(「液圧室」ともいう)において、第1制動系統BK1に接続されるものが第1液圧室Rm1であり、第2制動系統BK2に接続されるものが第2液圧室Rm2である。添字「1」、「2」は省略され得る。添字「1」、「2」が省略された場合には、その記号は総称を表す。例えば、「Rm」は液圧室を表す。
後述する接続路HSにおいて、マスタシリンダCMに近い側(又は、ホイールシリンダCWから遠い側)が「上部」と称呼され、ホイールシリンダCWに近い側が「下部」と称呼される。また、制動液BFが循環する還流路HKにおいて、流体ポンプHPの吐出部Btに近い側が「上流側(上流部)」と称呼され、吐出部Btから遠い側(離れた側)が「下流側(下流部)」と称呼される。
<車両の制動制御装置の第1実施形態>
図1の全体構成図を参照して、本発明に係る制動制御装置SCの第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、2系統の流体路(制動系統)のうちで、第1制動系統BK1は、第1車輪WH1のホイールシリンダCW1に接続され、第2制動系統BK2は、第2車輪WH2のホイールシリンダCW2に接続される。例えば、2系統の流体路として、所謂、前後型(「II型」ともいう)のものが採用される。この場合、第1制動系統BK1は、前輪に係る制動系統であり、第1液圧室Rm1は、2つの前輪ホイールシリンダに接続される。また、第2制動系統BK2は、後輪に係る制動系統であり、第2液圧室Rm2は、2つの後輪ホイールシリンダに接続される。ここで、「流体路」は、作動液体である制動液BFを移動するための経路であり、制動配管、流体ユニットの流路、ホース等が該当する。
図1の全体構成図を参照して、本発明に係る制動制御装置SCの第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、2系統の流体路(制動系統)のうちで、第1制動系統BK1は、第1車輪WH1のホイールシリンダCW1に接続され、第2制動系統BK2は、第2車輪WH2のホイールシリンダCW2に接続される。例えば、2系統の流体路として、所謂、前後型(「II型」ともいう)のものが採用される。この場合、第1制動系統BK1は、前輪に係る制動系統であり、第1液圧室Rm1は、2つの前輪ホイールシリンダに接続される。また、第2制動系統BK2は、後輪に係る制動系統であり、第2液圧室Rm2は、2つの後輪ホイールシリンダに接続される。ここで、「流体路」は、作動液体である制動液BFを移動するための経路であり、制動配管、流体ユニットの流路、ホース等が該当する。
制動制御装置SCを備える車両には、制動操作部材BP、回転部材KT、ホイールシリンダCW、マスタリザーバRV、マスタシリンダCM、制動操作量センサBA、及び、車輪速度センサVWが設けられる。
制動操作部材(例えば、ブレーキペダル)BPは、運転者が車両を減速するために操作する部材である。制動操作部材BPが操作されることによって、車輪WHの制動トルクTqが調整され、車輪WHに制動力が発生される。具体的には、車両の車輪WHには、回転部材(例えば、ブレーキディスク)KTが固定される。そして、回転部材KTを挟み込むようにブレーキキャリパが配置される。
ブレーキキャリパには、ホイールシリンダCWが設けられている。ホイールシリンダCW内の制動液BFの圧力(制動液圧)Pwが増加されることによって、摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)が、回転部材KTに押し付けられる。回転部材KTと車輪WHとは、一体となって回転するよう固定されているため、このときに生じる摩擦力によって、車輪WHに制動トルクTqが発生される。そして、制動トルクTqによって、車輪WHに制動力(摩擦制動力)が発生される。
マスタリザーバ(「大気圧リザーバ」ともいう)RVは、作動液体用のタンクであり、その内部に制動液BFが貯蔵されている。マスタリザーバRVによって、マスタシリンダCMに制動液BFが補給される。
マスタシリンダCMは、制動操作部材BPに、ブレーキロッドRD等を介して、機械的に接続されている。マスタシリンダCMとして、タンデム型のものが採用されている。マスタシリンダCMの内部には、プライマリピストンPG、及び、セカンダリピストンPHによって、2つの液圧室(第1、第2液圧室)Rm1、Rm2が形成されている。制動操作部材BPが操作されていない場合には、マスタシリンダCMの第1、第2液圧室Rm1、Rm2(「マスタシリンダ室」ともいう)とマスタリザーバRVとは、制動液BFが不足した場合には、それが補充されるよう、連通状態にされている。
制動操作部材BPが操作されると、マスタシリンダCM内のプライマリ、セカンダリピストンPG、PHが、前進方向Haに押され、マスタシリンダ室(液圧室)Rm(=Rm1、Rm2)は、マスタリザーバRVから遮断される。更に、制動操作部材BPの操作が増加されると、ピストンPG、PHは前進方向Haに移動され、液圧室Rmの体積は減少し、制動液(作動流体)BFは、マスタシリンダCMから排出される。制動操作部材BPの操作が減少されると、ピストンPG、PHは後退方向Hbに移動され、液圧室Rmの体積は増加し、制動液BFはマスタシリンダCMに向けて戻される。
タンデム型マスタシリンダCMの第1液圧室Rm1と第1ホイールシリンダCW1とは、第1接続流体路HS1(単に、「第1接続路」ともいう)によって接続されている。また、第2液圧室Rm1と第2ホイールシリンダCW2とは、第2接続流体路HS2(単に、「第2接続路」ともいう)によって接続されている。第1、第2接続路HS1、HS2の一方端部は、マスタシリンダCM(特に、液圧室Rm1、Rm2)に接続される。第1、第2接続路HS1、HS2は、分岐部Bb1、Bb2にて、2つに分岐され、第1、第2ホイールシリンダCW1、CW2に接続される。
制動操作量センサBAによって、運転者による制動操作部材(ブレーキペダル)BPの操作量Baが検出される。具体的には、制動操作量センサBAとして、液圧室Rm内の液圧(マスタシリンダ液圧)Pm(=Pm1、Pm2)を検出するマスタシリンダ液圧センサPM(=PM1、PM2)、制動操作部材BPの操作変位Spを検出する操作変位センサSP、及び、制動操作部材BPの操作力Fpを検出する操作力センサFPのうちの少なくとも1つが採用される。つまり、操作量センサBAは、マスタシリンダ液圧センサPM、操作変位センサSP、及び、操作力センサFPの総称であり、操作量Baは、マスタシリンダ液圧Pm、操作変位Sp、及び、操作力Fpの総称である。
車輪速度センサVWによって、各車輪WHの回転速度である、車輪速度Vwが検出される。車輪速度Vwの信号は、車輪WHのロック傾向を抑制するアンチロックブレーキ制御等に採用される。車輪速度センサVWによって検出された各車輪速度Vwは、コントローラECUに入力される。コントローラECUでは、車輪速度Vwに基づいて、車体速度Vxが演算される。
≪制動制御装置SC≫
制動制御装置SCは、ストロークシミュレータSS、シミュレータ弁VS、流体ユニットHU、及び、コントローラECUにて構成される。制動制御装置SCは、電気的に冗長化されている。具体的には、電気モータMTが2系統の巻線組(第1、第2モータコイル)CL1、CL2を有するとともに、コントローラECUが2つの制御部(第1、第2制御部)EC1、EC2を含んで構成される。更に、還流路KNには、2つの調圧弁(一方側、他方側調圧弁)UAx、UAyが直列に配置される。以下、第1の実施形態に係る制動制御装置SCについて説明する。
制動制御装置SCは、ストロークシミュレータSS、シミュレータ弁VS、流体ユニットHU、及び、コントローラECUにて構成される。制動制御装置SCは、電気的に冗長化されている。具体的には、電気モータMTが2系統の巻線組(第1、第2モータコイル)CL1、CL2を有するとともに、コントローラECUが2つの制御部(第1、第2制御部)EC1、EC2を含んで構成される。更に、還流路KNには、2つの調圧弁(一方側、他方側調圧弁)UAx、UAyが直列に配置される。以下、第1の実施形態に係る制動制御装置SCについて説明する。
ストロークシミュレータ(単に、「シミュレータ」ともいう)SSが、制動操作部材BPに操作力Fpを発生させるために設けられる。換言すれば、制動操作部材BPの操作特性(操作変位Spに対する操作力Fpの関係)は、シミュレータSSによって形成される。シミュレータSSは、マスタシリンダCM(例えば、第2液圧室Rm2)に接続される。シミュレータSSの内部には、シミュレータピストン及び弾性体(例えば、圧縮ばね)が備えられる。制動液BFが、第2液圧室Rm2からシミュレータSS内に移動されると、流入する制動液BFによってシミュレータピストンが押される。シミュレータピストンには、弾性体によって制動液BFの流入を阻止する方向に力が加えられるため、制動操作部材BPが操作される場合に、その操作変位Spに応じた操作力Fpが発生される。
第2液圧室Rm2とシミュレータSSとの間には、シミュレータ弁VSが設けられる。シミュレータ弁VSは、開位置と閉位置とを有する、常閉型の電磁弁(オン・オフ弁)である。「オン・オフ弁」では、開位置と閉位置とが選択的に実現される。制動制御装置SCが起動されると、シミュレータ弁VSが開弁され、マスタシリンダCMとシミュレータSSとは連通状態にされる。なお、第2液圧室Rm2の容量が、第2ホイールシリンダCW2の容量に比較して、十分に大きい場合には、シミュレータ弁VSは省略されてもよい。また、シミュレータSSは、第1液圧室Rm1に接続されてもよい。この場合、シミュレータ弁VSは、第1制動系統BK1に設けられる。
流体ユニットHUは、第1、第2マスタシリンダ弁VM1、VM2、第1、第2マスタシリンダ液圧センサPM1、PM2、調圧ユニットYC、第1、第2連絡弁VR1、VR2、第1、第2調整液圧センサPP1、PP2、第1、第2インレット弁VI1、VI2、及び、第1、第2アウトレット弁VO1、VO2を含んで構成される。
第1マスタシリンダ弁VM1(「分離弁」ともいう)が第1接続路HS1に設けられる。第2マスタシリンダ弁(分離弁)VM2が、シミュレータSSが第2接続路HS2に接続される部位Bfの下部で、第2接続路HS2に設けられる。第1、第2分離弁VM1、VM2は、開位置と閉位置とを有する、常開型の電磁弁(オン・オフ弁)である。制動制御装置SCの起動時に、第1、第2分離弁VM1、VM2は閉弁され、マスタシリンダCMと第1、第2(前輪、後輪)ホイールシリンダCW1、CW2とは遮断状態(非連通状態)にされる。つまり、第1、第2分離弁VM1、VM2の閉位置によって、マスタシリンダCMと第1、第2ホイールシリンダCW1、CW2との接続が分離される。
第1、第2分離弁VM1、VM2の上部には、第1、第2液圧室Rm1、Rm2の液圧(マスタシリンダ液圧)Pm1、Pm2を検出するよう、第1、第2マスタシリンダ液圧センサPM1、PM2が設けられる。マスタシリンダ液圧センサPM(=PM1、PM2)は操作量センサBAに相当し、マスタシリンダ液圧Pmは操作量Baに相当する。なお、第1、第2マスタシリンダ液圧Pm1、Pm2は、実質的には同一であるため、第1、第2マスタシリンダ液圧センサPM1、PM2のうちの何れか1つは省略することができる。
−調圧ユニットYC(第1実施形態)−
第1の実施形態に係る調圧ユニットYCについて説明する。調圧ユニットYCでは、電気モータMTによって駆動される流体ポンプHPによって、制動液BFの循環流KNが形成される。この循環流KNが、一方側、他方側調圧弁UAx、UAyのうちの少なくとも1つによって、絞られることで、調整液圧Ppが調整される。そして、調整液圧Ppに調節された制動液BFは、第1、第2ホイールシリンダCW1、CW2に供給される。
第1の実施形態に係る調圧ユニットYCについて説明する。調圧ユニットYCでは、電気モータMTによって駆動される流体ポンプHPによって、制動液BFの循環流KNが形成される。この循環流KNが、一方側、他方側調圧弁UAx、UAyのうちの少なくとも1つによって、絞られることで、調整液圧Ppが調整される。そして、調整液圧Ppに調節された制動液BFは、第1、第2ホイールシリンダCW1、CW2に供給される。
以下、調圧ユニットYCの詳細について述べる。流体ポンプHPが、還流流体路HK(「還流路」ともいう)に設けられる。還流路HKは、第1、第2接続路HS1、HS2に対して並列に設けられた流体路であり、流体ポンプHPの吸入部Bsと吐出部Btとを接続している。流体ポンプHPは、電気モータMTによって駆動される。電気モータMTには、2系統の巻線組(第1、第2モータコイル)CL1、CL2が含まれる。流体ポンプHPと電気モータMTとが一体となって回転するよう、電気モータMTと流体ポンプHPとが固定される。電気モータMTが回転駆動されると、還流路HKでは、破線矢印で示す様に、制動液BFの還流KN(「Bt→Bv2→Bv1→Bw→Bx→Bs→Bt」の流れ)が生じる。ここで、「還流」とは、制動液BFが循環して、再び元の流れに戻ることである。還流路HKには、制動液BFが逆流しないよう、逆止弁(「チェック弁」ともいう)が設けられる。
還流路HKには、2つの調圧弁(一方側、他方側調圧弁)UAx、UAyが、直列に設けられる。具体的には、一方側調圧弁UAxが、他方側調圧弁UAyに対して上流側に配置される。一方側、他方側調圧弁UAx、UAyは、常開型のリニア電磁弁(開弁量が連続的に調整される電磁弁であり、「比例弁」、「差圧弁」とも称呼される)である。調圧ユニットYCは、2つの一方側、他方側調圧弁UAx、UAyによって冗長化されている。なお、一方側調圧弁UAxと他方側調圧弁UAyとの配置は、入れ替えられてもよい。
一方側、他方側調圧弁UAx、UAyによって、制動液BFの循環流KNが絞られて、一方側、他方側調圧弁UAx、UAyの上流部(例えば、部位Bv1、Bv2)の液圧Pp(「調整液圧」という)が調節される。換言すれば、流体ポンプHPが吐出する制動液BFの圧力が、一方側、他方側調圧弁UAx、UAyのうちの少なくとも1つによって、調整液圧Ppに調節される。調整液圧Ppは、流体ポンプHPの吐出部Btと、一方側、他方側調圧弁UAx、UAyのうちで上流側に配置された調圧弁の上流部Bv1、Bv2との間の液圧である。
還流路HKは、部位Bxにて低圧リザーバRWが接続される。低圧リザーバRWは、流体ポンプHPに制動液BFを供給するための、マスタリザーバRVとは異なる(別の)制動液BFを貯蔵するタンク(液だめ)である。低圧リザーバRWのシリンダ内部には、リザーバピストンが設けられる。リザーバピストンによって、シリンダの内部は、制動液BFが満たされる液体室Rw(「リザーバ室」ともいう)と、気体が満たされる気体室とに区画されている。液体室Rwの内部には、リザーバピストンを気体室に向けて押圧するよう、圧縮ばねが収容されている。従って、マスタリザーバRV内は常に大気圧であるが、低圧リザーバRW内の液圧は、大気圧よりも大きくなり得る。
低圧リザーバRWは、流体ポンプHP(特に、吸入部Bs)に近接して設けられる。例えば、低圧リザーバRWが、流体ユニットHU内に内蔵されるよう、流体ユニットHUは一体で組み付けられている。或いは、低圧リザーバRWは、流体ユニットHUと短い配管にて接続され得る。つまり、低圧リザーバRW(特に、液体室Rw)は、流体ポンプHPの近傍に配置される。このため、管路抵抗等が低減され、制動液圧Pwの増加において、その応答性が向上され得る。なお、低圧リザーバRWを小型化するため、還流路HKが、リザーバ路HVを介して、マスタリザーバRVに接続されてもよい。この場合であっても、制動初期には、低圧リザーバRWから、制動液BFが吸い込まれるため、制動液圧Pwの昇圧応答性が改善される。なお、流体ポンプHPにおいて、制動液BFの吸込みがマスタリザーバRVからで、十分に足りる場合には、低圧リザーバRWは省略されてもよい。
調圧ユニットYCの還流路HKと第1、第2接続路HS1、HS2とは、第1、第2接続路HR1、HR2によって接続される。具体的には、第1、第2接続路HS1、HS2は、第1、第2接続路HS1、HS2の第1、第2分離弁VM1、VM2の下部Bu1、Bu2、及び、流体ポンプHPの吐出部Btの下流部(一方側、他方側調圧弁UAx、UAyの上流部)Bv1、Bv2を結ぶ流体路である。第1、第2接続路HS1、HS2には、第1、第2連絡弁VR1、VR2が設けられる。連絡弁VR(=VR1、VR2)は、開位置と閉位置とを有する、常閉型のオン・オフ弁である。制動制御装置SCの起動時に、連絡弁VRは開弁され、接続路HS(=HS1、HS2)と還流路HKとは連通状態にされる。調圧ユニットYCによって調整液圧Ppに調節された制動液BFが、第1、第2ホイールシリンダCW1、CW2に供給される。
第1、第2接続路HS1、HS2には、調整液圧Ppを検出するよう、第1、第2調整液圧センサPP1、PP2が設けられる。第1、第2調整液圧センサPP1、PP2のうちの一方は省略されてもよい。また、調整液圧Ppを検出するよう、調整液圧センサPPが、還流路HKに設けられてもよい。
第1、第2接続路HS1、HS2において、分岐部Bb1、Bb2から下部(ホイールシリンダCWに近い側)の構成は同じである。接続路HS(=HS1、HS2)には、インレット弁VI(=VI1、VI2)が設けられる。インレット弁VIとして、常開型のオン・オフ電磁弁が採用される。
インレット弁VIの下部Bg(即ち、インレット弁VIとホイールシリンダCWとの間)にて、減圧路HGに接続される。減圧路HGは、低圧リザーバRW(「流体ポンプHPの吸入部Bs」でもある)に接続される。減圧路HGには、アウトレット弁VO(=VO1、VO2)が設けられる。アウトレット弁VOとして、常閉型のオン・オフ電磁弁が採用される。
アンチロックブレーキ制御等によって、ホイールシリンダCW内の液圧Pwを減少するためには、インレット弁VIが閉位置にされ、アウトレット弁VOが開位置される。制動液BFのインレット弁VIからの流入が阻止され、ホイールシリンダCW内の制動液BFは、低圧リザーバRWに流出し、制動液圧Pwは減少される。また、制動液圧Pwを増加するため、インレット弁VIが開位置にされ、アウトレット弁VOが閉位置される。制動液BFの低圧リザーバRWへの流出が阻止され、調整液圧Ppが、ホイールシリンダCWに導入され、制動液圧Pwが増加される。更に、ホイールシリンダCW内の液圧(制動液圧)Pwを保持するためには、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOが、共に閉弁される。つまり、電磁弁VI、VOを制御することによって、制動液圧Pw(即ち、制動トルクTq)が、各車輪WHのホイールシリンダCWで独立に調整可能である。
コントローラ(「電子制御ユニット」ともいう)ECUによって、電気モータMT、及び、電磁弁UA、VM、VR、VS、VI、VOが制御される。コントローラECUには、マイクロプロセッサMP等が実装された電気回路基板と、マイクロプロセッサMPにプログラムされた制御アルゴリズムとが含まれている。コントローラECUは、車載通信バスBSを介して、運転支援コントローラ等の他システムのコントローラ(電子制御ユニット)とネットワーク接続されている。
コントローラECUによって、各種信号(Ba、Pp、Vw等)に基づいて、電気モータMT、及び、電磁弁(VM等)が制御される。具体的には、マイクロプロセッサMP内の制御アルゴリズムに基づいて、電気モータMTを制御するためのモータ駆動信号Mtが演算される。同様に、電磁弁UAx、UAy、VM、VR、VS、VI、VOを制御するための電磁弁駆動信号Uax、Uay、Vm、Vr、Vs、Vi、Voが演算される。そして、これらの駆動信号(Vm、Mt等)に基づいて、電気モータ及び複数の電磁弁が駆動される。
<第1の実施形態での電気モータMT、コントローラECU等の構成>
図2の概略図を参照して、第1の実施形態に係る制動制御装置SCの電気モータMT、コントローラECU等の構成について説明する。
図2の概略図を参照して、第1の実施形態に係る制動制御装置SCの電気モータMT、コントローラECU等の構成について説明する。
電気モータMTには、2系統の巻線組(第1、第2モータコイル)CL1、CL2が含まれる。例えば、電気モータMTとして、3相ブラシレスモータが採用される。ブラシレスモータMTには、モータのロータ位置(回転角)Kaを検出する回転角センサKAが設けられる。ブラシレスモータMTの第1、第2モータコイルCL1、CL2には、3相(U相、V相、W相)の巻線組(モータコイル)が、夫々、形成される。即ち、電気モータMTには、2系統の3相モータコイル(第1、第2モータコイル)CL1、CL2が設けられている。回転角(実際値)Kaに基づいて、2つの3相モータコイルCL1、CL2の通電方向(即ち、励磁方向)が、順次切り替えられ、ブラシレスモータMTが回転駆動される。なお、冗長性を確保するため、回転角センサKAにも、2組の検出部が採用され得る。
実際の回転角Kaは、公知の方法(例えば、120度通電を行い誘起電圧のゼロクロスを検出する方法、中性点電位を利用する方法、dq回転座標モデルの推定誘起電圧を利用する方法、αβ固定座標モデルに対して拡張カルマンフィルタを適用する方法、状態オブザーバを利用した方法)によって推定可能である。従って、回転角Kaが推定演算される場合には、回転角センサKAは省略されてもよい。
第1の実施形態でのコントローラECUは、2つの制御部(第1、第2制御部)EC1、EC2にて構成される。第1制御部EC1には、第1マイクロプロセッサMP1、及び、第1駆動回路DR1が含まれる。また、第2制御部EC2には、第2マイクロプロセッサMP2、及び、第2駆動回路DR2が含まれる。第1、第2マイクロプロセッサMP1、MP2には、電気モータMT、及び、電磁弁(VM等)を制御する制御アルゴリズムがプログラムされている。第1マイクロプロセッサMP1と第2マイクロプロセッサMP2との間では、信号(検出値、演算値等)が共有されている。第1、第2マイクロプロセッサMP1、MP2での演算結果に基づいて、第1、第2駆動回路DR1、DR2が制御される。第1、第2駆動回路DR1、DR2には、スイッチング素子(MOS−FET、IGBT等のパワー半導体デバイス)によって電気回路が形成されている。第1、第2駆動回路DR1、DR2によって、電気モータMT、及び、電磁弁(UAx、UAy、VM等)に通電が行われ、それらが駆動される。以上で説明したように、第1の実施形態でのコントローラECU(=MP+DR)、及び、電気モータMTは、電気的に二重化されている。
図2(a)を参照して、コントローラECU等の第1構成例について説明する。第1構成例では、第1制御部EC1(即ち、第1駆動回路DR1)によって、第1モータコイル(2系統のうちの第1系統のモータコイル)CL1、一方側調圧弁UAx、第1分離弁VM1、第1連絡弁VR1、第1インレット弁VI1、及び、第1アウトレット弁VO1に通電が行われる。また、第2制御部EC2(即ち、第2駆動回路DR2)によって、第2モータコイル(2系統のうちの第2系統のモータコイル)CL2、他方側調圧弁UAy、第2分離弁VM2、第2連絡弁VR2、第2インレット弁VI2、第2アウトレット弁VO2、及び、シミュレータ弁VSに通電が行われる。従って、第1制御部EC1、及び、第2制御部EC2のうちで何れか一方が不調になった場合(例えば、電気的に失陥した場合)でも、適正に作動する他方の制御部(駆動回路等)によって、電気モータMT、及び、調圧弁UAx又はUAyが駆動されるため、液圧サーボ制御が継続され得る。ここで、「液圧サーボ制御」とは、制動操作量Ba等に基づいて演算された目標液圧Ptに、実際の調整液圧Pp(=Pw)を一致させる制御である。例えば、液圧サーボ制御では、制動操作量Baの増加に従って、目標液圧Ptが増加するように決定され、目標液圧Ptと調整液圧Pp(検出値)との偏差が「0」に近づくように、調圧弁UAx、UAyへの通電量がフィードバック制御される。
図2(b)を参照して、コントローラECU等の第2構成例について説明する。第2構成例では、第1制御部EC1(即ち、第1駆動回路DR1)によって、第1モータコイル(第1系統モータコイル)CL1、一方側調圧弁UAx、第1分離弁VM1、及び、第1連絡弁VR1に通電が行われる。また、第2制御部EC2(即ち、第2駆動回路DR2)によって、第2モータコイル(第2系統モータコイル)CL2、他方側調圧弁UAy、第2分離弁VM2、第2連絡弁VR2、第1、第2インレット弁VI1、VI2、第1、第2アウトレット弁VI1、VO2、及び、シミュレータ弁VSに通電が行われる。即ち、第2構成例では、全てのインレット弁VI、アウトレット弁VOが、第2制御部EC2によって制御される。第2構成例でも、第1構成例と同様に、第1制御部EC1、及び、第2制御部EC2のうちで何れか一方が不調になった場合であっても、適正に作動する他方の制御部(駆動回路等)によって、液圧サーボ制御が継続され得る(即ち、冗長性が確保されている)。
加えて、第2構成例では、第1、第2インレット弁VI1、VI2、及び、第1、第2アウトレット弁VO1、VO2が、第2制御部EC2にて制御される。或いは、破線で示す様に、第1、第2インレット弁VI1、VI2、第1、第2アウトレット弁VO1、VO2が、第1制御部EC1にて制御されてもよい。これは、アンチロックブレーキ制御等の各輪の独立液圧制御では、各車輪速度Vwが比較されて、各車輪WHに係るインレット弁VI、アウトレット弁VOが、個別に駆動されることに基づく。つまり、第1制御部EC1と第2制御部EC2との間では、情報共有されてはいるが、インレット弁VI、アウトレット弁VOが、第1、第2制御部EC1、EC2のうちの何れか一方で駆動される方が、アンチロックブレーキ制御等には好適である。
第1、第2構成例では、第2制御部EC2によって、シミュレータ弁VSに通電が行われ、駆動される。シミュレータ弁VSを駆動する側の制御部が「特定側制御部」と称呼され、シミュレータ弁VSを駆動しない側の制御部が「非特定側制御部」と称呼される。従って、第1、第2構成例では、第1制御部EC1が非特定側制御部であり、第2制御部EC2が特定側制御部である。逆に、シミュレータ弁VSは、第1制御部EC1によって駆動されてもよい。この場合、第1制御部EC1が特定側制御部であり、第2制御部EC2が非特定側制御部である。
<コントローラECUの適正時/不調時の作動>
図3のマトリクス図を参照して、コントローラECUの適正時/不調時の作動について説明する。なお、常用制動時(サービスブレーキ時)においては、インレット弁VI、アウトレット弁VOには通電が行われないため、マトリクス図では省略されている。マトリクス図では、第1制御部EC1が非特定側制御部とされ、第2制御部EC2は特定側制御部とされている。
図3のマトリクス図を参照して、コントローラECUの適正時/不調時の作動について説明する。なお、常用制動時(サービスブレーキ時)においては、インレット弁VI、アウトレット弁VOには通電が行われないため、マトリクス図では省略されている。マトリクス図では、第1制御部EC1が非特定側制御部とされ、第2制御部EC2は特定側制御部とされている。
図3(a)を参照して、第1、第2制御部EC1、EC2が共に適正に作動する場合について説明する。この場合、第1制御部EC1によって、第1モータコイルCL1、一方側調圧弁UAx、第1分離弁VM1、及び、第1連絡弁VR1に通電が行われる。第2制御部EC2によって、第2モータコイルCL2、他方側調圧弁UAy、第2分離弁VM2、第2連絡弁VR2、及び、シミュレータ弁VSに通電が行われる。これにより、第1、第2モータコイルCL1、CL2によって、電気モータMTが回転駆動される。一方側、他方側調圧弁UAx、UAyによって、制動液BFの還流KNが絞られて、調整液圧Ppに調整される。第1、第2分離弁VM1、VM2が閉弁され、マスタシリンダCMと第1、第2ホイールシリンダCW1、CW2は、非連通状態にされる。第1、第2連絡弁VR1、VR2が開弁され、第1、第2制動液圧Pw1、Pw2が、調整液圧Ppによって調節される。シミュレータ弁VSが開弁され、制動操作部材BPの操作力Fpが、シミュレータSSによって発生される。なお、第1、第2制御部EC1、EC2が正常の場合には、第1、第2モータコイルCL1、CL2のうちの何れか一方によって、電気モータMTが駆動されてもよい。また、一方側、他方側調圧弁UAx、UAyのうちの何れか一方によって、調整液圧Ppが調節されてもよい。
図3(b)を参照して、第2制御部EC2は適正に作動するが、第1制御部EC1が不調である場合について説明する。この場合、第1制御部EC1(非特定側制御部)は不調であるため、第1モータコイルCL1、一方側調圧弁UAx、第1分離弁VM1、及び、第1連絡弁VR1には通電が行われない。従って、一方側調圧弁UAx、及び、第1分離弁VM1は、開弁状態にされ、第1連絡弁VR1は閉弁状態にされる。一方、第2制御部EC2(特定側制御部)は正常に作動するため、電気モータMTは、第2モータコイルCL2によって駆動され、他方側調圧弁UAyによって、還流KNが絞られて、調整液圧Ppが調整される。このとき、第2分離弁VM2、及び、第2連絡弁VR2に通電が行われ、第2分離弁VM2が閉弁され、第2連絡弁VR2が開弁される。しかし、特定側制御部である第2制御部EC2は正常であっても、シミュレータ弁VSには通電を行わない。結果、シミュレータ弁VSは閉弁状態にされる。
マスタシリンダCMの第1液圧室Rm1は、第1ホイールシリンダCW1に、直接、接続される。第1ホイールシリンダCW1の第1制動液圧Pw1は、マニュアル制動によって調整される。第2分離弁VM2、及び、シミュレータ弁VSは閉弁されているため、セカンダリピストンPHは前進方向Haには移動されない。第1液圧室Rm1から、制動液BFが効率的に第1ホイールシリンダCW1に圧送される。つまり、第1車輪WH1(前輪)において、マニュアル制動が効果的に行われる。ここで、「マニュアル制動」は、運転者の筋力のみで行われる制動のことである。また、マニュアル制動で増加されたホイールシリンダ液圧(制動液圧)が、「マニュアル液圧」と称呼される。第2ホイールシリンダCW2には、調整液圧Ppに調整された制動液BFが導入される。つまり、第2車輪WH2(後輪)では、第2制御部EC2によって、液圧サーボ制御が実行される。
図3(c)を参照して、第1制御部EC1は適正に作動するが、第2制御部EC2が不調である場合について説明する。この場合、第2制御部EC2は不調であるため、第2モータコイルCL2、他方側調圧弁UAy、第2分離弁VM2、第2連絡弁VR2、及び、シミュレータ弁VSには通電が行われない。従って、他方側調圧弁UAy、及び、第2分離弁VM2は開弁状態にされ、第2連絡弁VR2、及び、シミュレータ弁VSは閉弁状態にされている。第1制御部EC1によって、第1モータコイルCL1、一方側調圧弁UAx、第1分離弁VM1、及び、第1連絡弁VR1に通電が行われる。電気モータMTは、第1モータコイルCL1によって駆動され、還流路HK内に制動液BFの還流KNが生じる。一方側調圧弁UAxによって、還流KNが絞られて、調整液圧Ppが調整される。第1分離弁VM1が閉弁され、第1連絡弁VR1が開弁されているため、第1ホイールシリンダCW1には、調整液圧Ppに調整された制動液BFが導入される。即ち、第1車輪WH1(前輪)では、第1制御部EC1によって、液圧サーボ制御が実行される。一方、第2ホイールシリンダCW2の第2制動液圧Pw2は、マニュアル制動によって調整される。
制動制御装置SCでは、複数の構成部材による冗長化ではなく、電気系統が二重化されることによって、その冗長性が確保される。この冗長化によって、コントローラECU、電気モータMT等の一部が不調になっても、直ちに、全ての車輪WHがマニュアル制動には切り替えられず、正常に作動する側で液圧サーボ制御が継続される。結果、制動制御装置SCの一部不調時において、十分な車両減速度が確保され得る。また、第1、第2制御部EC1、EC2の一方が不調になっても、シミュレータ弁VSは閉弁されているため、液圧室Rm1(又は、Rm2)からの制動液BFはシミュレータSSに消費されず、ホイールシリンダCWにおいて、マニュアル液圧が効果的に増加される。
上記の液圧サーボ制御では、第1制御部EC1、及び、第2制御部EC2のうちで何れか一方が不調になった場合には、第1、第2制御部EC1、EC2が適正作動する場合に比較して、制動操作量Baに対する目標液圧Ptが、より大きくなるように演算されることが好適である。具体的には、第1、第2制御部EC1、EC2のうちで何れか一方が不調である場合には、それらが適正作動する場合の目標液圧Ptとマニュアル制動による制動液圧(マニュアル液圧)との差分だけ、目標液圧Ptが大きくなるように決定される。これにより、第1、第2制御部EC1、EC2のうちで何れか一方が不調になった際の車両減速度の不足分が、適正に補償され得る。
<車両の制動制御装置の第2実施形態>
図4の全体構成図を参照して、本発明に係る制動制御装置SCの第2の実施形態について説明する。第2の実施形態でも、2系統の流体路として、前後型のものが採用され、第1制動系統BK1は、第1液圧室Rm1から前輪ホイールシリンダまでを含み、第2制動系統BK2は、第2液圧室Rm2から後輪ホイールシリンダまでを含む。
図4の全体構成図を参照して、本発明に係る制動制御装置SCの第2の実施形態について説明する。第2の実施形態でも、2系統の流体路として、前後型のものが採用され、第1制動系統BK1は、第1液圧室Rm1から前輪ホイールシリンダまでを含み、第2制動系統BK2は、第2液圧室Rm2から後輪ホイールシリンダまでを含む。
第1の実施形態の調圧ユニットYCでは、1つの流体ポンプHPを含む、1つの還流路HKにおいて、一方側、他方側調圧弁UAx、UAyによって、調整液圧Pp(=Pw)がサーボ制御された。第2の実施形態の調圧ユニットYCでは、2つの流体ポンプ(第1、第2流体ポンプ)HP1、HP2を含む、2つの還流路(第1、第2還流路)HK1、HK2において、2つの調圧弁(第1、第2調圧弁)UA1、UA2によって、第1、第2調整液圧Pp1、Pp2(=Pw1、Pw2)が、個別に液圧サーボ制御される。
上述したように、同一記号を付された構成部材、要素、信号等は同一機能のものである。記号末尾に付された添字「1」、「2」は、2つの制動系統の何れに関するものであるかを示し、「1」は第1制動系統BK1、「2」は第2制動系統BK2を示す。添字「1」、「2」は省略され得る。添字「1」、「2」が省略された場合には、その記号は総称を表す。接続路HSにおいて、マスタシリンダCMに近い側が「上部」、ホイールシリンダCWに近い側が「下部」と称呼される。また、還流路HKにおいて、流体ポンプHPの吐出部Btに近い側が「上流側(上流部)」、吐出部Btから遠い側が「下流側(下流部)」と称呼される。以下、第1の実施形態に係る制動制御装置SCとの相違点について説明する。
−調圧ユニットYC(第2実施形態)−
調圧ユニットYCには、第1制動系統BK1用の第1流体ポンプHP1、第1調圧弁UA1、及び、第1低圧リザーバRW1が設けられる。また、第2制動系統BK2用の第2流体ポンプHP2、第2調圧弁UA2、及び、第2低圧リザーバRW2が設けられる。調圧ユニットYCにおいて、第1制動系統BK1の構成と、第2制動系統BK2の構成とは同じである。
調圧ユニットYCには、第1制動系統BK1用の第1流体ポンプHP1、第1調圧弁UA1、及び、第1低圧リザーバRW1が設けられる。また、第2制動系統BK2用の第2流体ポンプHP2、第2調圧弁UA2、及び、第2低圧リザーバRW2が設けられる。調圧ユニットYCにおいて、第1制動系統BK1の構成と、第2制動系統BK2の構成とは同じである。
第1制動系統BK1では、第1流体ポンプHP1が、第1還流流体路HK1(「第1還流路」ともいう)に設けられる。第1還流路HK1は、第1接続路HS1に対して並列に設けられた流体路であり、第1流体ポンプHP1の吸入部Bs1と吐出部Bt1とを接続している。第1流体ポンプHP1は、電気モータMTによって駆動される。第1流体ポンプHP1と電気モータMTとが一体となって回転するよう、電気モータMTと第1流体ポンプHP1とが固定される。電気モータMTが回転駆動されると、第1還流路HK1では、破線矢印で示す様に、制動液BFの第1還流KN1(「Bt1→Bv1→Bw1→Bx1→Bs1→Bt1」の流れ)が生じる。ここで、「還流」とは、制動液BFが循環して、再び元の流れに戻ることである。第1還流路HK1には、制動液BFが逆流しないよう、逆止弁が設けられる。
第1還流路HK1には、第1調圧弁UA1が設けられる。第1調圧弁UA1は、その開弁量(リフト量)が連続的に制御されるリニア型の電磁弁である。第1調圧弁UA1として、常開型電磁弁が採用される。第1調圧弁UA1によって、第1還流KN1が絞られて、第1調圧弁UA1の上流側の液圧(第1流体ポンプHP1の吐出部Bt1と第1調圧弁UA1との間の液圧であり、「第1調整液圧」という)Pp1が調節される。即ち、第1流体ポンプHP1が吐出する制動液BFの圧力が、第1調圧弁UA1によって、第1調整液圧Pp1に調節される。
第1制動系統BK1に係る構成と同様に、第2制動系統BK2では、第2流体ポンプHP2が、第2還流流体路HK2(「第2還流路」ともいう)に設けられる。第2還流路HK2は、第2流体ポンプHP2の吸入部Bs2と吐出部Bt2とを接続する流体路である。第2流体ポンプHP2は、電気モータMTによって駆動される。電気モータMTが回転駆動されると、第2還流路HK2では、破線矢印で示す様に、制動液BFの還流KN2(「Bt2→Bv2→Bw2→Bx2→Bs2→Bt2」の流れ)が生じる。第2還流路HK2には、制動液BFが逆流しないよう、逆止弁が設けられる。
第2還流路HK2には、第2調圧弁UA2が設けられる。第2調圧弁UA2は、その開弁量(リフト量)が連続的に制御されるリニア型の電磁弁である。第2調圧弁UA2として、常開型電磁弁が採用される。第2調圧弁UA2によって、第2還流KN2が絞られて、第2調圧弁UA2の上流側の液圧(第2流体ポンプHP2の吐出部Bt2と第2調圧弁UA2との間の液圧であり、「第2調整液圧」という)Pp2が調節される。即ち、第2流体ポンプHP2が吐出する制動液BFの圧力が、第2調圧弁UA2によって、第2調整液圧Pp2に調節される。
第1、第2流体ポンプHP1、HP2に制動液BFを供給するよう、第1、第2還流路HK1、HK2には、部位Bx1、Bx2にて、第1、第2低圧リザーバRW1、RW2が接続される。第1、第2流体ポンプHP1、HP2の駆動開始時には、第1、第2低圧リザーバRW(特に、第1、第2液体室Rw1、Rw2)から制動液BFが吸入され、第1、第2還流路HK1、HK2において、制動液BFの第1、第2還流KN1、KN2が形成される。第1、第2低圧リザーバRW1、RW2は、第1、第2流体ポンプHP1、HP2の吸入部Bs1、Bs2の近傍に配置される。このため、流体ポンプHP(=HP1、HP2)において、制動液BFの吸い込み性能が向上される。
第1、第2低圧リザーバRW1、RW2(即ち、第1、第2液体室Rw1、Rw2)の容積を減少し、小型化するために、第1、第2還流路HK1、HK2が、第1、第2リザーバ路HV1、HV2(破線で示す)を介して、マスタリザーバRVに接続されてもよい。この場合、流体ポンプHP(=HP1、HP2)の駆動初期(即ち、電気モータMTの回転数が「0」から増加する時であって、制動開始時)には、制動液BFは、先ずは、低圧リザーバRW(=RW1、RW2)から吸い込まれる。制動液BFの昇圧において流体抵抗等が少ないため、その応答性が向上される。そして、低圧リザーバRWからの制動液BFの供給が制限される状態になると、制動液BFはマスタリザーバRVから供給される。なお、流体ポンプHPにおいて、制動液BFの吸込みがマスタリザーバRVからで、十分に足りる場合には、低圧リザーバRWは省略されてもよい。
第1、第2還流路HK1、HK2は、第1、第2連絡路HR1、HR2を介して、第1、第2接続路HS1、HS2に接続される。換言すれば、連絡路HR(=HR1、HR2)は、接続路HS(=HS1、HS2)の分離弁VM(=VM1、VM2)の下部Bu1、Bu2(分離弁VM1、VM2とホイールシリンダCW1、CW2との間の部位)と、第1、第2還流路HK1、HK2の第1、第2調圧弁UA1、UA2の上流側(部位Bv1、Bv2であって、第1、第2吐出部Bt1、Bt2と第1、第2調圧弁UA1、UA2との間)とを結ぶ流体路である。第1、第2連絡路HR1、HR2には、第1、第2連絡弁VR1、VR2が設けられる。第1、第2連絡弁VR1、VR2は、開位置と閉位置とを有する、常閉型の電磁弁(オン・オフ弁)である。制動制御装置SCの起動時に、第1、第2連絡弁VR1、VR2は開弁され、第1、第2接続路HS1、HS2と第1、第2還流路HK1、HK2とは連通状態にされる。つまり、第1、第2連絡弁VR1、VR2の開位置によって、第1、第2調整液圧Pp1、Pp2に調節された制動液BFが、第1、第2ホイールシリンダCW1、CW2に供給される。
第2の実施形態に係る制動制御装置SCでは、第1、第2調整液圧Pp1、Pp2は個別に調整され得る(以下、「独立制御」という)。つまり、独立制御では、第1(前輪)、第2(後輪)制動系統BK1、BK2(前輪、後輪ホイールシリンダCW1、CW2)の液圧(前輪、後輪制動液圧Pw1、Pw2)が、第1、第2調整液圧Pp1、Pp2によって、独立して(個別に)調節される。この独立制御は、前輪、及び、後輪のうちの少なくとも1つに走行用の電気モータ(「エネルギ回生用のジェネレータ」でもある)を備える、電動車両(電気自動車、ハイブリッド車両等)において、回生協調制御を実行する際に好適である。即ち、独立制御によって、回生協調制御において、エネルギ回生量が増大されるとともに、制動時の車両安定性が向上され得る。ここで、「回生協調制御」は、ジェネレータによる回生制動力と、制動液圧Pwによる摩擦制動力と、を協調させることによって、走行中の車両が有している運動エネルギを効率的に電気エネルギに変換するものである。
<第2の実施形態に係る電気モータMT、コントローラECU等の構成、及び、その作動>
図5の概略図、及び、図6のマトリクス図を参照して、第2の実施形態に係る制動制御装置SCの電気モータMT、コントローラECU等の構成と、その作動について説明する。第2の実施形態に係る制動制御装置SCの電気モータMT、コントローラECU等の構成、及び、作動は、第1の実施形態に係る制動制御装置SCについて、「一方側調圧弁UAx」を「第1調圧弁UA1」に、「他方側調圧弁UAy」を「第2調圧弁UA2」に読み替えたものと同じである。以下、簡単に説明する。
図5の概略図、及び、図6のマトリクス図を参照して、第2の実施形態に係る制動制御装置SCの電気モータMT、コントローラECU等の構成と、その作動について説明する。第2の実施形態に係る制動制御装置SCの電気モータMT、コントローラECU等の構成、及び、作動は、第1の実施形態に係る制動制御装置SCについて、「一方側調圧弁UAx」を「第1調圧弁UA1」に、「他方側調圧弁UAy」を「第2調圧弁UA2」に読み替えたものと同じである。以下、簡単に説明する。
電気モータMT(例えば、3相ブラシレスモータ)には、2系統の第1、第2モータコイルCL1、CL2が含まれる。コントローラECUは、2つの第1、第2制御部EC1、EC2にて構成される。第1、第2制御部EC1、EC2には、第1、第2マイクロプロセッサMP1、MP2、及び、第1、第2駆動回路DR1、DR2が含まれる。第1、第2マイクロプロセッサMP1、MP2の間では、信号が共有される。即ち、電気モータMT、及び、コントローラECUは、電気的に二重化されている。
図5(a)を参照して、コントローラECU等の第1構成例について説明する。第1構成例では、第1制御部EC1によって、第1モータコイルCL1、第1調圧弁UA1、第1分離弁VM1、第1連絡弁VR1、第1インレット弁VI1、及び、第1アウトレット弁VO1が駆動される。また、第2制御部EC2によって、第2モータコイルCL2、第2調圧弁UA2、第2分離弁VM2、第2連絡弁VR2、第2インレット弁VI2、第2アウトレット弁VO2、及び、シミュレータ弁VSが駆動される。従って、第1制御部EC1、及び、第2制御部EC2のうちで何れか一方が不調になった場合でも、適正に作動する他方の制御部(駆動回路等)によって、電気モータMT、及び、調圧弁UAが駆動されるため、液圧サーボ制御が継続される。ここで、「液圧サーボ制御」は、操作量Ba等に基づいて演算された第1、第2目標液圧Pt1、Pt2に、実際の第1、第2調整液圧Pp1、Pp2(=Pw1、Pw2)を一致させる制御である。
図5(b)を参照して、コントローラECU等の第2構成例について説明する。第2構成例では、第1制御部EC1によって、第1モータコイルCL1、第1調圧弁UA1、第1分離弁VM1、及び、第1連絡弁VR1が駆動される。また、第2制御部EC2によって、第2モータコイルCL2、第2調圧弁UA2、第2分離弁VM2、第2連絡弁VR2、第1、第2インレット弁VI1、VI2、第1、第2アウトレット弁VI1、VO2、及び、シミュレータ弁VSが駆動される。
第2構成例では、全てのインレット弁VI、アウトレット弁VOが、第2制御部EC2によって駆動される。第2構成例でも、第1構成例と同様に、第1制御部EC1、及び、第2制御部EC2のうちで何れか一方が不調になった場合であっても、適正に作動する他方の制御部(駆動回路等)によって、液圧サーボ制御が継続される(即ち、冗長性が確保されている)。なお、全てのインレット弁VI、アウトレット弁VOは、第1制御部EC1によって駆動されてもよい。第1、第2インレット弁VI1、VI2、及び、第1、第2アウトレット弁VO1、VO2が、第1、第2制御部EC1、EC2のうちの何れか一方にて駆動されることにより、アンチロックブレーキ制御が効率的に実行され得る。
第1、第2構成例では、第2制御部EC2によって、シミュレータ弁VSに通電が行われ、駆動される。第2制御部EC2が、シミュレータ弁VSを駆動する側の制御部(「特定側制御部」という)であり、第1制御部EC1が、シミュレータ弁VSを駆動しない側の制御部(「非特定側制御部」という)である。シミュレータ弁VSは、第1制御部EC1によって駆動されてもよい。この場合、第1制御部EC1が特定側制御部であり、第2制御部EC2が非特定側制御部である。
図6(a)を参照して、第1、第2制御部EC1、EC2が共に適正に作動する場合について説明する。この場合、第1制御部EC1によって、第1モータコイルCL1、第1調圧弁UA1、第1分離弁VM1、第1連絡弁VR1に通電が行われる。第2制御部EC2によって、第2モータコイルCL2、第2調圧弁UA2、第2分離弁VM2、第2連絡弁VR2、及び、シミュレータ弁VSに通電が行われる。第1、第2モータコイルCL1、CL2によって、電気モータMTが回転駆動される。そして、第1、第2調圧弁UA1、UA2によって、制動液BFの第1、第2還流KN1、KN2が絞られて、第1、第2調整液圧Pp1、Pp2が個別に調整される(即ち、独立制御が実行される)。第1、第2分離弁VM1、VM2が閉弁され、マスタシリンダCMと第1、第2ホイールシリンダCW1、CW2とは、非連通状態にされる。第1、第2連絡弁VR1、VR2が開弁され、第1、第2制動液圧Pw1、Pw2が、第1、第2調整液圧Pp1、Pp2によって調節される。シミュレータ弁VSが開弁されているため、制動操作部材BPの操作力Fpが、シミュレータSSによって発生される。なお、第1、第2制御部EC1、EC2が正常の場合には、第1、第2モータコイルCL1、CL2のうちの何れか一方によって、電気モータMTが駆動されてもよい。
図6(b)を参照して、第2制御部EC2は適正に作動するが、第1制御部EC1が不調である場合について説明する。この場合、第1制御部EC1(非特定側制御部)は不調であるため、第1モータコイルCL1、第1調圧弁UA1、第1分離弁VM1、及び、第1連絡弁VR1には通電が行われない。従って、第1調圧弁UA1、及び、第1分離弁VM1は、開弁状態にされ、第1連絡弁VR1は、閉弁状態にされる。第2制御部EC2(特定側制御部)によって、第2モータコイルCL2、第2調圧弁UA2、第2分離弁VM2、及び、第2連絡弁VR2に通電が行われる。しかし、特定側制御部である第2制御部EC2は、シミュレータ弁VSには通電を行わない。電気モータMTは、第2モータコイルCL2によって駆動され、第1、第2還流路HK1、HK2内に制動液BFの第1、第2還流KN1、KN2が生じる。第2調圧弁UA2によって、第2還流KN2が絞られて、第2調整液圧Pp2が調整される。このとき、第2分離弁VM2が閉弁され、第2連絡弁VR2が開弁され、シミュレータ弁VSが閉弁されている。従って、第2制動液圧Pw2は、第2調整液圧Pp2に調節される。第1液圧室Rm1は、第1ホイールシリンダCW1に、直接、接続され、第1制動液圧Pw1は、運転者の筋力(マニュアル制動)によって調整される。このとき、第2分離弁VM2、及び、シミュレータ弁VSは閉弁されている。制動液BFは、第1液圧室Rm1から圧送されるが、セカンダリピストンPHが前進方向Haには移動されないため、第1車輪WH1(第1制動系統BK1)において、マニュアル制動(つまり、マニュアル液圧の増加)が効果的に行われるとともに、第2車輪WH2(第2制動系統BK2)では、第2制御部EC2によって、液圧サーボ制御が実行される。
図6(c)を参照して、第1制御部EC1は適正に作動するが、第2制御部EC2が不調である場合について説明する。この場合、第2制御部EC2は不調であるため、第2モータコイルCL2、第2調圧弁UA2、第2分離弁VM2、第2連絡弁VR2、及び、シミュレータ弁VSには通電が行われない。第2調圧弁UA2、第2分離弁VM2は、開弁状態にされ、第2連絡弁VR2、シミュレータ弁VSは、閉弁状態にされている。第1制御部EC1によって、第1モータコイルCL1、第1調圧弁UA1、第1分離弁VM1、及び、第1連絡弁VR1に通電が行われる。電気モータMTは、第1モータコイルCL1によって駆動され、第1、第2還流路HK1、HK2内に制動液BFの第1、第2還流KN1、KN2が生じる。第1調圧弁UA1によって、第1還流KN1が絞られて、第1調整液圧Pp1が調整される。このとき、第1分離弁VM1が閉弁され、第1連絡弁VR1が開弁されている。従って、第1制動液圧Pw1は、第1調整液圧Pp1に調節される。つまり、第1制動系統BK1では、第1制御部EC1によって、液圧サーボ制御が実行される。一方、シミュレータ弁VSは閉弁されているため、第2液圧室Rm2からの制動液BFはシミュレータSSに消費されず、第2ホイールシリンダCW2において、マニュアル液圧が効果的に増加される。
上記の液圧サーボ制御では、第1制御部EC1、及び、第2制御部EC2のうちで何れか一方が不調になった場合には、第1、第2制御部EC1、EC2が適正作動する場合に比較して、制動操作量Baに対する目標液圧Ptが、より大きくなるように演算されることが好適である。具体的には、第1制御部EC1が不調である場合には、それが適正作動する場合の第1目標液圧Pt1と第1ホイールシリンダCW1のマニュアル制動による制動液圧(マニュアル液圧)との差分だけ、第2目標液圧Pt2が大きくなるように決定される。逆に、第2制御部EC2が不調である場合には、それが適正作動する場合の第2目標液圧Pt2と第2ホイールシリンダCW2のマニュアル液圧との差分だけ、第1目標液圧Pt1が大きくなるように決定される。これにより、第1、第2制御部EC1、EC2のうちで何れか一方が不調になった際の車両減速度の不足分が、適正に補償され得る。
第2の実施形態でも、電気系統の冗長化(二重化)によって、制動制御装置SCの小型・軽量化が達成される。制動制御装置SCは冗長化されているため、コントローラECU、電気モータMT等の一部が不調になっても、正常に作動する側で液圧サーボ制御が継続される。このため、制動制御装置SCの一部不調時において、十分な車両減速度が確保され得る。
<車両の制動制御装置の第3実施形態>
図7の全体構成図を参照して、本発明に係る制動制御装置SCの第3の実施形態について説明する。第3の実施形態でも、2系統の流体路として、前後型のものが採用され、第1制動系統BK1は、第1液圧室Rm1から前輪ホイールシリンダCW1までを含み、第2制動系統BK2は、第2液圧室Rm2から後輪ホイールシリンダCW2までを含む。
図7の全体構成図を参照して、本発明に係る制動制御装置SCの第3の実施形態について説明する。第3の実施形態でも、2系統の流体路として、前後型のものが採用され、第1制動系統BK1は、第1液圧室Rm1から前輪ホイールシリンダCW1までを含み、第2制動系統BK2は、第2液圧室Rm2から後輪ホイールシリンダCW2までを含む。
第1、第2の実施形態の調圧ユニットYCでは、流体ポンプHP(又は、第1、第2流体ポンプHP1、HP2)を含む還流路HK(又は、第1、第2還流路HK1、HK2)において、一方側、他方側調圧弁UAx、UAy(又は、第1、第2調圧弁UA1、UA2)によって、調整液圧Pp(又は、第1、第2調整液圧Pp1、Pp2)が調節された。第3の実施形態の調圧ユニットYCでは、調整液圧Ppが、電気モータMTの回転動力によって、直接、液圧サーボ制御される。調圧ユニットYC以外は、第1の実施形態に係る制動制御装置SCと同様であるため、相違点についてのみ説明する。
−調圧ユニットYC(第3実施形態)−
調圧ユニットYCは、電気モータMT、減速機GS、回転・直動変換機構(例えば、ねじ機構)NJ、調圧ピストンPC、及び、調圧シリンダCCにて構成される。
調圧ユニットYCは、電気モータMT、減速機GS、回転・直動変換機構(例えば、ねじ機構)NJ、調圧ピストンPC、及び、調圧シリンダCCにて構成される。
電気モータMTは、2系統の巻線組(第1、第2モータコイル)CL1、CL2を含んで構成される。電気モータMTの回転動力が、減速機GSによって、減速されて、ねじ機構(「変換機構」に相当)NJに伝達される。例えば、小径歯車が、電気モータMTの出力軸に固定される。小径歯車が、大径歯車にかみ合わされ、その回転軸がねじ機構(変換機構)NJのボルト部材Ojに固定される。ねじ機構(回転・直動変換機構)NJは、ボルト部材Oj、及び、ナット部材Mjで構成される。ねじ機構NJにて、減速機GSの回転動力が、調圧ピストンPCの直線動力に変換される。ねじ機構NJのナット部材Mjによって調圧ピストンPCが押されることによって、調圧ピストンPCの直線動力に変換される。ねじ機構NJとして、台形ねじ等の「滑りねじ」が採用される。また、ねじ機構NJとして、ボールねじ等の「転がりねじ」が採用され得る。
調圧ピストンPCは、調圧シリンダCCの内孔に挿入され、「ピストン/シリンダ」の組み合わせが形成されている。具体的には、「調圧シリンダCCの内周面、底面」、及び、「調圧ピストンPCの端面」によって液圧室Rc(「調圧室」という)が形成される。調圧室Rcは、第1、第2連絡路HR1、HR2を介して、第1、第2接続路HS1、HS2に接続される。調圧ピストンPCが移動されることによって、調圧室Rcの体積が変化する。このとき、第1、第2連絡弁VR1、VR2が開弁され、第1、第2分離弁VM1、VM2が閉弁されているため、制動液BFは、第1、第2液圧室Rm1、Rm2には戻されず、第1、第2ホイールシリンダCW1、CW2に対して移動される。
電気モータMTが正転方向に回転駆動されると、調圧室Rcの体積が減少し、調整液圧Pp(即ち、制動液圧Pw)が増加される。一方、電気モータMTが逆転方向に回転駆動されると、調圧室Rcの体積が増加し、制動液BFが第1、第2ホイールシリンダCW1、CW2から調圧シリンダCCに戻される。これによって、調整液圧Pp(=Pw)が減少される。なお、調圧室Rc内には、戻しばね(弾性体)が設けられ、電気モータMTへの通電が停止された場合には、調圧ピストンPCは、その初期位置に戻される。また、調圧室Rcは、逆止弁を介して、減圧路HGに接続される。
第3の実施形態に係る制動制御装置SCにおいて、電気モータMT、コントローラECU等の構成は、図2を参照して説明した第1の実施形態から、一方側、他方側調圧弁UAx、UAyを省いたものと同じである。また、コントローラECUの適正時/不調時の作動は、図3を参照して説明した第1の実施形態から、一方側、他方側調圧弁UAx、UAyを省いたものと同じである。第3の実施形態においても、第1、第2の実施形態と同様の効果を奏する。即ち、電気的な二重化によって冗長性が確保される。結果、制動制御装置SCの一部不調時において、正常作動側で液圧サーボ制御が継続され、十分な車両減速度が確保され得る。
<各実施形態と、その作用・効果のまとめ>
制動制御装置SCは、ストロークシミュレータSSによって制動操作部材BPに操作力Fpを発生するブレーキバイワイヤ型のものである。以下、各実施形態と、その作用・効果についてまとめる。
制動制御装置SCは、ストロークシミュレータSSによって制動操作部材BPに操作力Fpを発生するブレーキバイワイヤ型のものである。以下、各実施形態と、その作用・効果についてまとめる。
制動制御装置SCには、「タンデム型マスタシリンダCMの第1、第2液圧室Rm1、Rm2と第1、第2ホイールシリンダCW1、CW2とを接続する第1、第2接続路HS1、HS2」と、「第1、第2接続路HS1、HS2に設けられる常開型の第1、第2分離弁VM1、VM2」と、「電気モータMTによって駆動され、制動液BFの圧力を調整液圧Ppに調整する調圧ユニットYC」と、「第1、第2接続路HS1、HS2と調圧ユニットYCとを接続する第1、第2連絡路HR1、HR2」と、「第1、第2連絡路HR1、HR2に設けられる常閉型の第1、第2連絡弁VR1、VR2」と、「電気モータMT、第1、第2分離弁VM1、VM2、及び、第1、第2連絡弁VR1、VR2を駆動するコントローラECU」と、が備えられる。そして、電気モータMTは、第1、第2モータコイルCL1、CL2を有するとともに、コントローラECUは、第1、第2制御部EC1、EC2を有する。ここで、第1制御部EC1は、第1モータコイルCL1、第1分離弁VM1、及び、第1連絡弁VR1を駆動し、第2制御部EC2は、第2モータコイルCL2、第2分離弁VM2、及び、第2連絡弁VR2を駆動する。
ブレーキバイワイヤ式の制動制御装置において、その冗長性が、複数の構成部材(例えば、特許文献1に記載されるような、2つの電気モータ)によって確保されるのではなく、電気的な二重化によって達成される。結果、簡素な構成で、制動制御装置SCの冗長性が確保された上で、小型・軽量化が達成され得る。
第1の実施形態に係る制動制御装置SCでは、調圧ユニットYCが、「電気モータMTによって駆動される流体ポンプHP」と、「流体ポンプHPの吐出部Btと流体ポンプHPの吸入部Bsとを接続する還流路HK」と、「還流路HKに設けられる常開型の一方側、他方側調圧弁UAx、UAy」と、を備える。そして、還流路HKは、第1、第2連絡路HR1、HR2に接続される。また、一方側調圧弁UAxは、第1制御部EC1によって駆動され、他方側調圧弁UAyは、第2制御部EC2によって駆動される。
上記構成による制動制御装置SCでは、還流KNが一方側、他方側調圧弁UAx、UAyによって絞られること(所謂、オリフィス効果)によって、調整液圧Ppが制御される。調整液圧Ppの増加初期は、低圧リザーバRW(又は、マスタリザーバRV)から制動液BFが供給される。しかし、操作量Baに応じた目標液圧Ptに、調整液圧Ppが一致した後には、還流路HKを循環する還流KNによって、調整液圧Ppの調節が行われるため、アンチロックブレーキ制御が実行されても、制動液BFの量は不足しない。例えば、第3実施形態のような、調圧室Rcの容積の増減によって調整液圧Ppが調整される方式では、調圧室Rcの容積を十分に確保するか、又は、アンチロックブレーキ制御の実行中に、適切なタイミングで調圧ピストンPCを引き戻すことが必要となる。しかしながら、制動液BFの循環流KNを利用する調圧方式では、制動液BFの不足が生じないため、上記の調圧ピストンPCの引き戻し等の制御が不要となる。結果、アンチロックブレーキ制御が好適に実行され得る。
第2の実施形態に係る制動制御装置SCでは、調圧ユニットYCが、「電気モータMTによって駆動される第1、第2流体ポンプHP1、HP2」と、「第1、第2流体ポンプHP1、HP2の吐出部Bt1、Bt2と第1、第2流体ポンプHP1、HP2の吸入部Bs1、Bs2とを接続する第1、第2還流路HK1、HK2」と、「第1、第2還流路HK1、HK2に設けられる常開型の第1、第2調圧弁UA1、UA2」と、を備える。そして、第1、第2還流路HK1、HK2は、第1、第2連絡路HR1、HR2に接続される。また、第1調圧弁UA1は、第1制御部EC1によって駆動され、第2調圧弁UA2は、第2制御部EC2によって駆動される。
上記構成による制動制御装置SCでは、第2の実施形態に係る制動制御装置SCの効果に加え、前輪、後輪制動液圧Pw1、Pw2が、第1、第2調整液圧Pp1、Pp2によって、独立、且つ、個別に調節される。このため、ジェネレータによる回生制動力と制動制御装置SCによる摩擦制動力とが協働されて制御される、回生協調制御において、エネルギ回生量の増大と車両安定性の向上とが両立される。
第3の実施形態に係る制動制御装置SCでは、調圧ユニットYCが、「電気モータMTの回転動力を直線動力に変換する変換機構NJ」と、「調圧シリンダCC内に挿入され、直線動力によって駆動される調圧ピストンPC」と、を含んで構成される。
上記構成による制動制御装置SCでは、電気モータMTの動力によって、調整液圧Ppが直接的に制御される。このため、流体ポンプHP、及び、調圧弁(UAx等)が省略され、制動制御装置SCの簡素化が図られる。
第1乃至第3の実施形態に係る制動制御装置SCには、ストロークシミュレータSSと第1液圧室Rm1又は第2液圧室Rm2との間に設けられ、第1制御部EC1又は第2制御部EC2によって駆動される常閉型のシミュレータ弁VSが備えられる。そして、第1、第2制御部EC1、EC2の作動が適正である場合には、第1、第2制御部EC1、EC2のうちでシミュレータ弁VSを駆動する側である特定側制御部はシミュレータ弁VSに通電を行い、特定側制御部の作動が適正であって、第1、第2制御部EC1、EC2のうちでシミュレータ弁VSには通電を行わない側である非特定側制御部の作動が不調である場合には、特定側制御部はシミュレータ弁VSには通電を行わないように構成されている。
第1、第2制御部EC1、EC2の何れか一方が不調になった場合には、シミュレータ弁VSは閉弁されている。液圧室Rmの制動液BFは、シミュレータSSには消費されず、液圧室Rmから圧送される制動液BFの全量は、マニュアル制動が必要なホイールシリンダCWに供給される。このため、効率的なマニュアル制動が達成され得る。
第1乃至第3の実施形態に係る制動制御装置SCでは、4つの、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOは、第2制御部EC2によって駆動される。アンチロックブレーキ制御は、各車輪速度Vwに基づいて実行される。第1、第2マイクロプロセッサMP1、MP2の間は情報共有されてはいるが、第1、第2制御部EC1、EC2のうちの何れか一方によって駆動されることで、情報伝達遅れ等が回避され、より効率的にアンチロックブレーキ制御が実行され得る。更に、車両の安定性は、後輪WH2の横力確保によって向上されるため、第2制御部EC2によって、全てのインレット弁VI、アウトレット弁VOが駆動されることが好適である。該構成では、第1制御部EC1が不調である場合には、後輪WH2でのアンチロックブレーキ制御が実行可能である。
第1乃至第3の実施形態に係る制動制御装置SCの実施形態では、2つの制動系統BK1、BK2として、前後式のものを想定して説明した。そして、第1、第2制御部EC1、EC2のうちで特定側制御部の作動が適正であって、第1、第2制御部EC1、EC2のうちで特定側制御部ではない側の作動が不調である場合には、特定側制御部はシミュレータ弁VSには通電を行わないようにした。前後型制動系統が採用される場合、前輪系統(即ち、第1制動系統BK1)が液圧サーボ制御され、後輪系統(即ち、第2制動系統BK2)がマニュアル制動にされる際にシミュレータ弁VSが閉弁されると、制動装置の諸元(マスタシリンダCM、ホイールシリンダCWの受圧面積、回転部材KTの有効制動半径、ブレーキキャリパ、摩擦材の剛性等)によっては、操作力Fpに対して操作変位Spが小さ過ぎることが生じ得る(所謂、「短ストローク」の問題)。換言すれば、「短ストローク」は、操作変位Spに対する操作力Fpが過大になることである。この短ストロークの課題を解消するため、特定側制御部が第1制御部EC1にされ、非特定側制御部が第2制御部EC2とされる(つまり、第1制御部EC1によって、シミュレータ弁VSが駆動される)。そして、第2制御部EC2が不調であって、第1制御部EC1が正常である場合には、第1制御部EC1によって、シミュレータ弁VSへの通電が行われる。マスタシリンダCMからの制動液BFは、シミュレータSSに流入可能であるため、短ストロークの課題が解決され得る。
また、制動装置の諸元によっては、前輪系統(即ち、第1制動系統BK1)がマニュアル制動にされ、後輪系統(即ち、第2制動系統BK2)が液圧サーボ制御される場合であっても、操作力Fpに対して操作変位Spが小さくなり過ぎること(短ストローク)が発生する可能性がある。このような諸元の制動装置を備える車両では、第1、第2制御部EC1、EC2のうちの何れか一方が不調になった場合であって、特定側制御部が正常である場合には、シミュレータ弁VSへの通電が行われ、シミュレータ弁VSが開弁される。
上述した実施形態では、2つの制動系統BK1、BK2として、前後式のものを想定したが、前後式に代えて、2つの制動系統BK1、BK2として、ダイアゴナル式(「X型」ともいう)のものが採用され得る。この場合、第1制動系統BK1(Rm1、HS1等)は、右前輪、左後輪ホイールシリンダに接続され、第2制動系統BK2(Rm2、HS2等)は、左前輪、右後輪ホイールシリンダに接続される。ダイアゴナル型の制動制御装置SCにおいても、上記同様の効果を奏する。
ダイアゴナル型の制動系統が採用される場合には、上記短ストロークの問題が生じ難いため、特定側制御部の作動が適正であって、特定側制御部ではない側の作動が不調である場合には、特定側制御部はシミュレータ弁VSには通電を行わないようにされる。しかしながら、上記の短ストロークの課題が生じる諸元の制動制御装置では、第1、第2制御部EC1、EC2のうちの何れか一方が不調になった場合であって、特定側制御部が正常である場合には、シミュレータ弁VSへの通電が行われ、シミュレータ弁VSが開弁される。
ダイアゴナル型の制動制御装置SCでも、4つの、インレット弁VI、及び、アウトレット弁VOは、第1、第2制御部EC1、EC2のうちの一方によって駆動されることが、アンチロックブレーキ制御の実行には好適である。なお、ダイアゴナル型の制動制御装置SCでは、回生協調制御が実行される車両構成であっても、独立制御は採用されず、第1調整液圧Pp1と第2調整液圧Pp2とが同じになるように液圧サーボ制御が行われる(即ち、「Pw1=Pw2」)。
SC…制動制御装置、BK1、BK2…第1、第2制動系統、BP…制動操作部材、CM…マスタシリンダ、Rm…液圧室(マスタシリンダ室)、SS…ストロークシミュレータ、CW1、CW2…第1、第2ホイールシリンダ、RV…マスタリザーバ、RW…低圧リザーバ、BA…操作量センサ、PM…マスタシリンダ液圧センサ、YC…調圧ユニット、HP…流体ポンプ、ECU…コントローラ(電子制御ユニット)、EC1、EC2…第1、第2制御部、MT…電気モータ、CL1、CL2…第1、第2モータコイル、UA…調圧弁、VM…分離弁(マスタシリンダ弁)、VR…連絡弁、VS…シミュレータ弁、VI…インレット弁、VO…アウトレット弁、HP…流体ポンプ、BF…制動液、KN…制動液(作動液体)の還流、HS…接続路、HR…連絡路、HK…還流路、PC…調圧ピストン、CC…調圧シリンダ。
Claims (1)
- ストロークシミュレータによって制動操作部材に操作力を発生するブレーキバイワイヤ型の車両の制動制御装置であって、
タンデム型マスタシリンダの第1、第2液圧室と第1、第2ホイールシリンダとを接続する第1、第2接続路と、
前記第1、第2接続路に設けられる常開型の第1、第2分離弁と、
電気モータによって駆動され、制動液の圧力を調整液圧に調整する調圧ユニットと、
前記第1、第2接続路と前記調圧ユニットとを接続する第1、第2連絡路と、
前記第1、第2連絡路に設けられる常閉型の第1、第2連絡弁と、
前記電気モータ、前記第1、第2分離弁、及び、前記第1、第2連絡弁を駆動するコントローラと、
を備え、
前記電気モータは、第1、第2モータコイルを有し、
前記コントローラは、第1、第2制御部を有し、
前記第1制御部は、前記第1モータコイル、前記第1分離弁、及び、前記第1連絡弁を駆動し、
前記第2制御部は、前記第2モータコイル、前記第2分離弁、及び、前記第2連絡弁を駆動する、車両の制動制御装置。
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