JP2021010878A - 液体霧化システム及びミスト発生システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子を、より安定した噴霧量で放出させる。【解決手段】液体霧化システム1は、基板2と、IDT電極3と、カバー部材6と、を備える。IDT電極3は、基板2に表面弾性波を発生させる。カバー部材6は、基板2の厚さ方向D0から見て表面弾性波の伝搬方向においてIDT電極3に並んでいる。カバー部材6は、基板2の表面21側に設けられて基板2の表面21との間に対象液体100が供給される間隙7を形成している。カバー部材6は、貫通孔64を有する。貫通孔64は、カバー部材6を厚さ方向D0に貫通し、間隙7に供給された対象液体100が間隙7を通して搬送される位置に形成されている。液体霧化システム1では、厚さ方向D0から見て基板2の表面21のうち貫通孔64に重なる規定領域211上で対象液体100の霧化によって形成された液滴粒子が貫通孔64から放出される。【選択図】図1

Description

本開示は、一般に、液体霧化システム及びミスト発生システムに関し、より詳細には、対象液体を霧化することで形成された液滴粒子を放出させる液体霧化システム、及びそれを備えるミスト発生システムに関するものである。
特許文献1には、弾性表面波を用いた超音波霧化器が記載されている。特許文献1に開示された超音波霧化器は、一対の櫛形電極が形成される圧電材料からなる振動子と、振動子とギャップを介して振動子の一部に配置され、ギャップ端にスリットが形成されるカバーと、ギャップに液体を供給する手段と、を備えている。
特許文献1に開示された超音波霧化器では、カバーと振動子との間に供給された液体は、カバーと振動子との間のスリットから出てくる。液体は、その後、薄く広がり、液面上には振動子上の弾性表面波による振動によって、キャピラリ波が生じ、そこから霧化が行われる。
特開平7−232114号公報
特許文献1に開示された超音波霧化器では、ギャップから出た液体の液膜厚が厚くなり、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子を発生させることが困難であった。ここにおいて、「ナノメートルサイズ」とは、1nm〜999nmである。また、特許文献1に開示された超音波霧化器では、スリットから出てくる液体の広がる面積が定まらないため、噴霧量の安定化が難しかった。
本開示の目的は、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子を、より安定した噴霧量で放出させることが可能な液体霧化システム及びミスト発生システムを提供することにある。
本開示に係る一態様の液体霧化システムは、基板と、IDT電極と、カバー部材と、を備える。前記基板は、表面及び裏面を有する。前記基板は、圧電性を有する。前記IDT電極は、前記基板の前記表面上に設けられている。前記IDT電極は、前記基板に表面弾性波を発生させる。前記カバー部材は、前記基板の厚さ方向から見て前記表面弾性波の伝搬方向において前記IDT電極に並んでいる。前記カバー部材は、前記基板の前記表面側に設けられて前記基板の前記表面との間に対象液体が供給される間隙を形成している。前記カバー部材は、貫通孔を有する。前記貫通孔は、前記カバー部材を前記厚さ方向に貫通し、前記間隙に供給された前記対象液体が前記間隙を通して搬送される位置に形成されている。前記液体霧化システムでは、前記厚さ方向から見て前記基板の前記表面のうち前記貫通孔に重なる規定領域上で前記対象液体の霧化によって形成された液滴粒子が前記貫通孔から放出される。
本開示に係る一態様のミスト発生システムは、前記液体霧化システムと、前記液体霧化システムにおける前記間隙へ前記対象液体を供給する液体供給部と、を備える。
本開示の液体霧化システム及びミスト発生システムでは、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子を、より安定した噴霧量で放出させることが可能となる。
図1は、実施形態1に係る液体霧化システムの平面図である。 図2は、同上の液体霧化システムを示し、図1のA−A線断面図である。 図3は、同上の液体霧化システムの動作説明図である。 図4Aは、図1の構成において貫通孔の内径を0.1mm〜0.5mmとした場合の動作説明図である。図4Bは、図1の構成において貫通孔の内径を1.0mm〜1.5mmとした場合の動作説明図である。図4Cは、図1の構成において貫通孔の内径を2.0mmとした場合の動作説明図である。図4Dは、図1の構成において貫通孔の内径を3.0mmとした場合の動作説明図である。 図5は、図1の構成において貫通孔の径を0.1mmとした場合の液滴粒径の個数分布図である。 図6は、図1の構成において貫通孔の径を1.0mmとした場合の液滴粒径の個数分布図である。 図7は、図1の構成において貫通孔の径を2.0mmとした場合の液滴粒径の個数分布図である。 図8は、実施形態1の変形例1に係る液体霧化システムの断面図である。 図9は、実施形態1の変形例2に係る液体霧化システムの断面図である。 図10は、実施形態1の変形例3に係る液体霧化システムの断面図である。 図11は、実施形態1の変形例4に係る液体霧化システムの断面図である。 図12は、実施形態2に係る液体霧化システムの平面図である。 図13は、実施形態3に係る液体霧化システムの平面図である。 図14は、変形例に係る液体霧化システムの平面図である。
下記の実施形態1〜3等において説明する図1〜4D、8〜14は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(実施形態1)
以下では、実施形態1に係る液体霧化システム1について図1〜3に基づいて説明する。
(1)概要
実施形態1に係る液体霧化システム1は、例えば、表面弾性波のエネルギを対象液体100に与えて対象液体100を霧化する。液体霧化システム1では、対象液体100を霧化することによって形成された液滴粒子を放出する。ここにおいて、液体霧化システム1は、基板2と、IDT(Interdigital Transducer)電極3と、カバー部材6と、を備える。基板2は、圧電性を有する。IDT電極3は、基板2に表面弾性波を発生させる。液体霧化システム1では、基板2とカバー部材6との間に形成される間隙7に対象液体100が供給される。対象液体100は、例えば、水、アロマオイル、美容用の液体、医療用の液体等である。液体霧化システム1は、例えば、ミストディフューザに適用することができる。
(2)液体霧化システムの詳細
液体霧化システム1は、図1〜3に示すように、基板2と、IDT電極3と、カバー部材6と、を備える。
基板2は、表面21及び裏面22を有する。表面21及び裏面22は、基板2の厚さ方向D0において離れており、基板2の厚さ方向D0に交差する。基板2の表面21及び裏面22は、例えば、基板2の厚さ方向D0に直交している。基板2の厚さ方向D0から見て、基板2の外周形状は、例えば、長方形状である。
基板2は、上述のように圧電性を有する。基板2は、圧電基板であり、一例として、128°YカットLiNbO単結晶基板である。基板2の材料は、LiNbOに限らず、例えば、LiTaO等でもよい。基板2のカット角は、128°に限らず、128°以外のカット角であってもよい。基板2の厚さは、例えば、0.5mmであるが、これに限らない。
IDT電極3は、基板2の表面21上に設けられており、基板2に表面弾性波を発生させる。ここで、IDT電極3は、基板2の表面21上に直接設けられている。
IDT電極3は、第1櫛形電極31と、第2櫛形電極32と、を有する。第1櫛形電極31及び第2櫛形電極32の各々は、基板2の厚さ方向から見て、櫛形状である。第1櫛形電極31は、複数の第1電極指311を含む。第1櫛形電極31は、複数の第1電極指311がつながっている第1導電部312を更に含む。第2櫛形電極32は、複数の第2電極指321を含む。第2櫛形電極32は、複数の第2電極指321がつながっている第2導電部322を更に含む。
IDT電極3の材料は、例えば、アルミニウムであるが、これに限らず、他の金属又は合金等であってもよい。また、IDT電極3は、単層構造に限らず積層構造を有していてもよい。
以下では、説明の便宜上、基板2の厚さ方向D0を第1方向D1とし、第1櫛形電極31の第1電極指311の並んでいる方向を第2方向D2とし、第1方向D1と第2方向D2とに直交する方向を第3方向D3として説明することもある。
IDT電極3では、複数の第1電極指311と複数の第2電極指321とが、第2方向D2において1つずつ交互に並んでいる。第2方向D2において隣り合う第1電極指311と第2電極指321とは互いに離れている。図示例では、図1〜3等はあくまで模式図であり、IDT電極3における第1電極指311及び第2電極指321の数を実際の数よりも少なく描いてある。
IDT電極3では、第1導電部312と第2導電部322とが第3方向D3において互いに対向している。複数の第1電極指311は、第1導電部312につながっており、第2導電部322側に延びている。第3方向D3において、複数の第1電極指311の長さは、互いに同じである。複数の第1電極指311の先端は、第3方向D3において第2導電部322から離れている。第3方向D3において、複数の第2電極指321の長さは、互いに同じである。複数の第2電極指321の先端は、第3方向D3において第1導電部312から離れている。
IDT電極3は、複数の第1電極指311と複数の第2電極指321とで決まる交差領域33を有する。交差領域33は、複数の第1電極指311の先端の第1包絡線と複数の第2電極指321の先端の第2包絡線との間の領域である。交差領域33の外周線は、第1包絡線及び第2包絡線を含む。なお、図1では、交差領域33を見やすくするために、交差領域33の外周線を、複数の第1電極指311の先端及び複数の第2電極指321の先端から僅かに離してある。同様に、図1では、交差領域33を見やすくするために、交差領域33の外周線を、図1における左端の第1電極指311及び右端の第2電極指321から僅かに離してある。
基板2とIDT電極3とを含む表面弾性波素子5は、IDT電極3により表面弾性波を発生させる。より詳細には、表面弾性波素子5は、第1櫛形電極31と第2櫛形電極32との間に例えば高周波電源から高周波電圧が印加されることにより、表面弾性波を発生させる。高周波電圧の周波数は、例えば、数MHz〜数百MHzであり、一例として40MHzであるが、これに限らない。液滴粒子の粒径を小さくする観点からは、高周波電圧の周波数が高いほうが好ましい。
表面弾性波素子5では、IDT電極3は、交差領域33において、基板2に表面弾性波を励振させる。表面弾性波は、基板2における伝搬領域23を伝搬する。ここで、伝搬領域23は、交差領域33を第2方向D2に延長した延長領域に基板2の厚さ方向で重複する領域である。表面弾性波の振幅を小さくする観点からは、IDT電極3への投入エネルギが一定の場合、第3方向D3における交差領域33の幅は、広いほうが好ましい。
伝搬領域23の幅(以下、伝搬幅ともいう)L1は、第3方向D3における交差領域33の幅と同じである。伝搬幅L1は、例えば、1mm〜10mmである。
表面弾性波素子5は、反射器4を更に備えている。反射器4は、基板2の表面21上に設けられている。反射器4は、第2方向D2においてIDT電極3と並んでいる。反射器4は、IDT電極3により発生された表面弾性波を反射する。したがって、実施形態1に係る液体霧化システム1では、伝搬領域23は、基板2の厚さ方向から見たIDT電極3を基準として反射器4側とは反対側にある。つまり、表面弾性波素子5では、反射器4、IDT電極3及び伝搬領域23が、この順に並んでいる。
反射器4は、第1電極41と、第2電極42と、を有している。第1電極41及び第2電極42の各々は、基板2の厚さ方向D0から見てIDT電極3と同様に櫛形状である。反射器4の材料は、例えば、アルミニウムであるが、これに限らず、他の金属又は合金等であってもよい。
反射器4は、第1電極41及び第2電極42を有する形状に限らず、例えば、短絡グレーティング、開放グレーティング等であってもよい。
カバー部材6は、基板2の表面21側に設けられている。カバー部材6は、基板2の表面21との間に対象液体100が供給される間隙7を形成している。ここにおいて、カバー部材6は、基板2の厚さ方向D0において基板2と対向している。実施形態1に係る液体霧化システム1では、カバー部材6と基板2との間の空間が間隙7を構成している。ナノメートルサイズの液滴粒子を得るためには、基板2の厚さ方向D0における間隙7のギャップ長は、例えば、0.2mm以下であるのが好ましい。「ナノメートルサイズ」とは、1nm〜999nmである。また、基板2の厚さ方向D0における間隙7のギャップ長は、例えば、10μm以上であるのが好ましい。実施形態1に係る液体霧化システム1は、制限部8を備えている。制限部8は、少なくとも一部が基板2とカバー部材6との間に介在し、対象液体100が基板2の表面21上において広がる範囲を制限する。液体霧化システム1は、制限部8を2つ備えている。2つの制限部8の各々の材料は、表面弾性波を減衰させにくい材料であり、例えば、コーティング剤であるが、これに限らない。
カバー部材6は、基板2の厚さ方向D0から見て表面弾性波の伝搬方向においてIDT電極3に並んでいる。ここで、カバー部材6とIDT電極3とは第2方向D2において並んでいる。カバー部材6とIDT電極3とは、第2方向D2において離れている。
カバー部材6は、板状である。カバー部材6は、カバー部材6の厚さ方向を基板2の厚さ方向D0と揃えるように配置されている。
基板2の厚さ方向D0から見て、カバー部材6の外周形状は、例えば、長方形状である。基板2の厚さ方向D0から見て、カバー部材6は、基板2よりも小さい。カバー部材6は、カバー部材6の長手方向を第2方向D2に揃え、カバー部材6の短手方向を第3方向D3に揃えるように配置されている。第2方向D2におけるカバー部材6の長さは、第2方向D2における伝搬領域23の長さよりも短い。第3方向D3におけるカバー部材6の長さは、第3方向D3における伝搬領域23の長さ(伝搬幅L1)よりも長い。基板2の厚さ方向D0から見て、伝搬領域23は、第3方向D3においてカバー部材6の両端よりも内側に位置している。
上述の2つの制限部8の各々は、カバー部材6の外周部のうち厚さ方向D0から見て伝搬領域23と交差している部分に少なくとも位置している。2つの制限部8は、第2方向D2において互いに離れている。
カバー部材6は、供給孔63と、貫通孔64と、を有する。
供給孔63は、間隙7に対象液体100を供給するための孔である。供給孔63は、カバー部材6を基板2の厚さ方向D0に貫通している。要するに、供給孔63は、カバー部材6の厚さ方向に貫通している。供給孔63は、基板2の厚さ方向D0から見て、例えば、円形状である。
貫通孔64は、カバー部材6を基板2の厚さ方向D0に貫通している。要するに、貫通孔64は、カバー部材6の厚さ方向に貫通している。貫通孔64は、間隙7に供給された対象液体100が間隙7を通して搬送される位置に形成されている。貫通孔64は、第2方向D2において供給孔63から離れている。貫通孔64は、第2方向D2において2つの制限部8の各々から離れている。
貫通孔64は、第1開口641と、第2開口642と、を含む。第1開口641は、カバー部材6における基板2側の第1面61に形成されている。第2開口642は、カバー部材6における基板2側とは反対側の第2面62に形成されている。
貫通孔64は、基板2の厚さ方向D0から見て、例えば、円形状である。貫通孔64の内径については、液体霧化システム1でナノメートルサイズの液滴粒子を得るために好ましい範囲があり、一実施例では、例えば、0.8mm〜1.5mmである。第1開口641の直径及び第2開口642の直径は、貫通孔64の内径と同じである。カバー部材6の厚さは、例えば、0.3〜1.5mmである。
貫通孔64は、基板2の厚さ方向D0から見て、IDT電極3と供給孔63とを結ぶ一直線上でIDT電極3と供給孔63との間に位置している。つまり、液体霧化システム1では、基板2の厚さ方向D0から見て、第2方向D2において、IDT電極3、貫通孔64及び供給孔63が、この順に並んでいる。
カバー部材6の材料は、例えば、ステンレスである。カバー部材6の材料は、ステンレスに限らず、金属、樹脂等であってもよい。
液体霧化システム1では、基板2の厚さ方向D0から見て基板2の表面21のうち貫通孔64に重なる規定領域211上の対象液体100の霧化によって形成された液滴粒子が貫通孔64から放出される。図3では、規定領域211上の対象液体100の液面101からの液滴粒子の放出方向を点線の矢印で模式的に示してある。
対象液体100を霧化することによって形成された液滴粒子の粒径は、ナノメートルサイズである。
対象液体100を霧化することによって形成された液滴粒子の粒径は、例えば、レーザ回折法により測定した値である。より詳細には、液滴粒子の粒径は、レーザ回折式の粒度分布測定装置を用いて測定した値である。レーザ回折式の粒度分布測定装置は、例えば、Malvern Panalytical社のスプレーテック(商品名)である。スプレーテックは、例えば、レーザ光が、スプレーを通過するときに散乱した光のパターンから粒度分布を測定し、その後、散乱パターンを解析し、液滴径を計算することができる装置である。対象液体100を霧化することによって形成された液滴粒子の粒径は、メディアン径(d50)である。
液体霧化システム1では、対象液体100を霧化するときには、基板2の表面21の規定領域211上において対象液体100の液面101が、第2開口642よりも第1開口641側に位置している。ナノメートルサイズの液滴粒子を放出させる観点から、対象液体100を霧化するときには、規定領域211上の対象液体100の液膜厚は、0.2mm以下であるのが好ましい。ここにおいて、規定領域211上の対象液体100の液膜厚は、間隙7のギャップ長と略同じであるのが好ましい。
(2)貫通孔の内径についての検討
図1の構成において貫通孔64の内径を種々変化させた場合それぞれについて、間隙7に対象液体100を供給し、IDT電極3の駆動電圧を印加して基板2に表面弾性波を発生させたときの貫通孔64の第2開口642付近をカメラで撮影するとともに、液滴粒子の粒径を上述のレーザ回折式の粒度分布測定装置を用いて測定した。貫通孔64の内径は、0.1mm〜3.0mmの範囲で変化させた。駆動電圧の周波数は、40MHzとした。
図4A〜4Dは、カメラで貫通孔64の第2開口642付近を撮影して得られた動画に基づいて描いた模式図であり、対象液体100の状態と、液滴粒子の放出方向を模式的に示している。図4A〜4Dでは、対象液体100にドットのハッチングを付してある。また、図4A〜4Dでは、表面弾性波を波線矢印で模式的に示してある。また、図4A〜4Dでは、対象液体100の搬送方向を実線の矢印で示してある。図4A〜4Cでは、液滴粒子の放出方向を点線の矢印で模式的に示してある。図4Dにおいて点線の矢印がないのは、液滴粒子が放出されていなかったからである。
図4Aは、貫通孔64の内径を0.1mm〜0.5mmとした場合である。図4Bは、貫通孔64の内径を1.0〜1.5mmとした場合である。図4Cは、貫通孔64の内径を2.0mmとした場合である。図4Dは、貫通孔64の内径を3.0mmとした場合である。
図5〜7は、上述のレーザ回折式の粒度分布測定装置を用いて液滴粒子の粒径を測定した測定結果の一例を示す個数基準粒径分布曲線である。図5〜7の横軸は、液滴粒子の粒径である。図5〜7の縦軸は、個数分布である。図5は、貫通孔64の内径を0.1mmとした場合の測定結果である。図6は、貫通孔64の内径を1.0mmとした場合の測定結果である。図7は、貫通孔64の内径を2.0mmとした場合の測定結果である。
図4A及び5から、貫通孔64の内径が0.1mmで、毛細管現象により貫通孔64が対象液体100で満たされていて貫通孔64内に空間を有していない状態では、ナノメートルサイズよりも大きな粒径の液滴粒子が放出されているが、ナノメートルサイズの液滴粒子が放出されていないことが分かる。この場合、貫通孔64内に満たされている対象液体100から貫通孔64の内径に近い粒径(例えば、約100μm)の液滴粒子が飛び出していることが観測され、また、カバー部材6の第2面62上に広がった対象液体100からも液滴粒子が放出されていることが観測された。
図4B及び6から、貫通孔64の内径が1.0mm〜1.5mmで、貫通孔64が対象液体100で満たされておらず貫通孔64内に空間を有している状態では、ナノメートルサイズの液滴粒子が放出されていることが分かる。図6の例では、全ての液滴粒子のうち99%以上の液滴粒子の粒径がナノメートルサイズである。図4Bから、貫通孔64の内径が1.0mm〜1.5mmで、貫通孔64が対象液体100で満たされていない場合、規定領域211の全域が対象液体100で覆われており、規定領域211の中央部上にある対象液体100から液滴粒子が形成されることが分かる。この場合、規定領域211上の対象液体100が霧化されることで形成された液滴粒子が放出されている。貫通孔64の内径が1.0mmの場合、対象液体100が霧化されているときの規定領域211の中央部上にある対象液体100の液膜厚は、間隙7のギャップ長と略同じである。これにより、液体霧化システム1では、対象液体100の液膜厚をギャップ長と略同じ程度に薄く保つことができるので、ナノメートルサイズの液滴粒子を発生させることができる。また、液体霧化システム1では、対象液体100において液滴粒子を発生させる領域の面積が貫通孔64の形状で規定されるので、安定した噴霧量を確保しやすくなる。貫通孔64の内径が1.0mmの場合の液滴粒子の平均粒径は、約200nmである。また、貫通孔64の内径が1.0mmの場合のナノメートルサイズの液滴粒子の個数割合は、貫通孔64の内径が0.1mmの場合のナノメートルサイズの液滴粒子の個数割合よりも大きい。また、貫通孔64の内径が1.0mmの場合、貫通孔64の内径が0.1mmの場合と比べて、液滴粒子をより安定して放出できることが分かった。
図4C及び7から、貫通孔64の内径が2.0mmで、貫通孔64が対象液体100で満たされておらず貫通孔64内に空間を有している状態では、ナノメートルサイズの液滴粒子が放出されていないが、貫通孔64の内径が0.1mmの場合よりは小さな粒径の液滴粒子が放出されていることが分かる。
図4Dから、貫通孔64の内径が3.0mmで、貫通孔64が対象液体100で満たされておらず貫通孔64内に空間を有している状態では、対象液体100が霧化されず液滴粒子が放出されていないことが分かる。
図4A〜4Cの場合は、IDT電極3により表面弾性波を発生させているときに、間隙7内の対象液体100に作用する摩擦力によって対象液体100が表面弾性波の伝搬方向とは逆方向に搬送される。これに対し、図4Dの場合は、IDT電極3により表面弾性波を発生させているときに、規定領域211上の対象液体100が表面弾性波の伝搬方向と同じ方向に搬送される。また、図4Dの場合、規定領域211上での対象液体100の液膜厚が図4B,4Cの場合よりも厚くなっている。
実施形態1に係る液体霧化システム1では、例えば、カバー部材6の厚さ、伝搬幅L1、IDT電極3の駆動電圧の周波数、IDT電極3への入力電力、間隙7のギャップ長、対象液体100の種類等の種々のパラメータに応じて貫通孔64の内径を適宜決めればよい。
ここで、貫通孔64の内径については、上述のように、液体霧化システム1でナノメートルサイズの液滴粒子を得るために好ましい範囲がある。これにより、実施形態1に係る液体霧化システム1では、図3及び4Bに示すように、基板2の厚さ方向D0から見て貫通孔64に重なる規定領域211上で対象液体100の液膜厚を間隙7のギャップ長と略等しくすることができ、規定領域211上の対象液体100の霧化によって形成されたナノメートルサイズのミストが貫通孔64から放出される。
(3)効果
実施形態1に係る液体霧化システム1は、基板2と、IDT電極3と、カバー部材6と、を備える。基板2は、表面21及び裏面22を有する。基板2は、圧電性を有する。IDT電極3は、基板2の表面21上に設けられている。IDT電極3は、基板2に表面弾性波を発生させる。カバー部材6は、基板2の厚さ方向D0から見て表面弾性波の伝搬方向においてIDT電極3に並んでいる。カバー部材6は、基板2の表面21側に設けられて基板2の表面21との間に対象液体100が供給される間隙7を形成している。カバー部材6は、貫通孔64を有する。貫通孔64は、カバー部材6を厚さ方向D0に貫通し、間隙7に供給された対象液体100が間隙7を通して搬送される位置に形成されている。液体霧化システム1では、厚さ方向D0から見て基板2の表面21のうち貫通孔64に重なる規定領域211上で対象液体100の霧化によって形成された液滴粒子が貫通孔64から放出される。
実施形態1に係る液体霧化システム1では、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子を、より安定した噴霧量で放出させることが可能となる。
(4)変形例
図8は、実施形態1の変形例1に係る液体霧化システム1aの断面図である。変形例1に係る液体霧化システム1aに関し、実施形態1に係る液体霧化システム1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
変形例1に係る液体霧化システム1aは、貫通孔64の第2開口642の直径が第1開口641の直径よりも小さい点で、実施形態1に係る液体霧化システム1と相違する。
変形例1に係る液体霧化システム1aでは、実施形態1に係る液体霧化システム1と同様、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子を、より安定した噴霧量で放出させることが可能となる。また、変形例1に係る液体霧化システム1aでは、貫通孔64の第2開口642の直径が第1開口641の直径よりも小さいので、対象液体100がカバー部材6の第2面62まで回り込みにくくなる。
図9は、実施形態1の変形例2に係る液体霧化システム1bの断面図である。変形例2に係る液体霧化システム1bに関し、実施形態1に係る液体霧化システム1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
変形例2に係る液体霧化システム1bは、貫通孔64の第2開口642の直径が第1開口641の直径よりも大きい点で、実施形態1に係る液体霧化システム1と相違する。
変形例2に係る液体霧化システム1bでは、実施形態1に係る液体霧化システム1と同様、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子を、より安定した噴霧量で放出させることが可能となる。
図10は、実施形態1の変形例3に係る液体霧化システム1cの断面図である。変形例3に係る液体霧化システム1cに関し、実施形態1に係る液体霧化システム1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
変形例3に係る液体霧化システム1cは、カバー部材6が、基板2の表面21との間に間隙7を形成するための凹凸構造65を有する点で、実施形態1に係る液体霧化システム1と相違する。凹凸構造65の高低差は、例えば、10μm〜0.1mmである。変形例3に係る液体霧化システム1cは、凹凸構造65は、カバー部材6の第1面61のうち2つの8と重なる領域の間に設けられているが、これに限らず、例えば、カバー部材6のうち基板2の厚さ方向D1から見て伝搬領域23に重なる領域だけに設けられていてもよいし、貫通孔64と供給孔63との間の領域だけに設けられていてもよいし、第1面61の全域に設けられていてもよい。
変形例3に係る液体霧化システム1cでは、カバー部材6の凹凸構造65により、間隙7のギャップ長を規定することができる。したがって、変形例3に係る液体霧化システム1cでは、基板2及びカバー部材6とは別部材のスペーサによって間隙7のギャップ長を規定している場合と比べて、間隙7のギャップ長をより短くすることが可能となる。これにより、液体霧化システム1cでは、規定領域211上の対象液体100の液膜厚をより薄くすることが可能となり、より粒径の小さな液滴粒子を形成すること可能となる。
図11は、実施形態1の変形例4に係る液体霧化システム1dの断面図である。変形例4に係る液体霧化システム1dに関し、実施形態1に係る液体霧化システム1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
変形例4に係る液体霧化システム1dは、多孔質シート10を更に備える点で、実施形態1に係る液体霧化システム1と相違する。
多孔質シート10は、基板2の表面21の規定領域211上に設けられている。多孔質シート10は、カバー部材6の貫通孔64内に入り込んでいる。多孔質シート10は、対象液体100を浸透するシートである。多孔質シート10の材料は、対象液体100に対して耐食性を有する材料であればよく、例えば、ガラス、セラミック、ポリマー等がある。
実施形態1に係る液体霧化システム1のように多孔質シート10を備えていない場合、周辺環境、条件によって規定領域211上の液膜厚に変動が生じることがある。これに対して、変形例4に係る液体霧化システム1dでは、規定領域211上の対象液体100の液膜厚の変動を抑制することが可能となり、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子を、より安定して放出させることが可能となり、また、液滴粒子の粒径も、より安定しやすくなる。したがって、多孔質シート10の厚さは、基板2の厚さ方向D0における間隙7のギャップ長と略同じであるのが好ましい。
(実施形態2)
以下、実施形態2に係る液体霧化システム1e及びそれを備えるミスト発生システム200について、図12に基づいて説明する。実施形態2に係る液体霧化システム1eに関し、実施形態1に係る液体霧化システム1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
ミスト発生システム200は、液体霧化システム1eと、液体供給部201と、を備える。液体供給部201は、液体霧化システム1eにおける間隙7へ対象液体100を供給する。ここにおいて、液体霧化システム1eは、実施形態1に係る液体霧化システム1と同様、基板2と、IDT電極3と、カバー部材6と、を備えている。カバー部材6と基板2との間には間隙7が形成されている。カバー部材6は、供給孔63及び貫通孔64を有する。
液体供給部201は、対象液体100が入れられた槽2011と、槽2011とカバー部材6の第2面62における供給孔63の周辺部とをつないでいる供給管2012と、を含む。
ミスト発生システム200は、液体霧化システム1eと、液体供給部201と、を備えるので、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子を放出させることが可能となる。
ミスト発生システム200は、IDT電極3と間隙7と貫通孔64と液体供給部201とのセットを複数(例えば、2つ)有する。
ミスト発生システム200では、2つのIDT電極3が1つの基板2の表面21上に設けられており、2つのカバー部材6が1つの基板2の表面21側に設けられている。
複数のセットの各々では、対象液体100として互いに異なる成分を含む液体が液体供給部201から間隙7へ供給される。ミスト発生システム200は、混合器202を更に備える。混合器202は、複数のセットそれぞれの貫通孔64から放出された液滴粒子を含むミストを混合させる。混合器202は、混合されたミストが噴出する噴出口を有する。
ミスト発生システム200は、2つのカバー部材6の代わりに、2つの伝搬領域23に跨る大きさのカバー部材6を備えていてもよい。この場合、1つのカバー部材6が2つの貫通孔64と、2つの供給孔63と、を有する。
(実施形態3)
以下、実施形態3に係る液体霧化システム1f及びそれを備えるミスト発生システム200aについて、図13に基づいて説明する。実施形態3に係る液体霧化システム1fに関し、実施形態1に係る液体霧化システム1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
液体霧化システム1fと、液体供給部201と、を備える。液体供給部201は、液体霧化システム1fにおける間隙7へ対象液体100を供給する。ここにおいて、液体霧化システム1fは、実施形態1に係る液体霧化システム1と同様、基板2と、IDT電極3と、カバー部材6と、を備えている。カバー部材6と基板2との間には間隙7が形成されている。カバー部材6は、供給孔63及び貫通孔64を有する。
したがって、ミスト発生システム200aは、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子を放出させることが可能となる。
実施形態3に係るミスト発生システム200aは、複数種の液体から対象液体100を調合する調合部203を更に備える。液体供給部201は、調合部203で調合された対象液体100を間隙7へ供給する。液体霧化システム1fでは、供給孔63は、カバー部材6ではなく基板2に形成されている。
実施形態3に係るミスト発生システム200aでは、調合部203及び液体供給部201は、例えば、マイクロ流路形成基板206に形成されている。マイクロ流路形成基板206は、例えば、2枚のシリコン基板のうち少なくとも一方のシリコン基板に液体供給部201を形成するための第1凹部と、調合部203を形成するための第2凹部と、調合部203に互いに異なる液体を供給する複数(3つ)のマイクロ流路205を形成するための複数(3つ)の第3凹部と、を設けて2枚のシリコン基板を接合することによって形成されている。また、マイクロ流路形成基板206は、複数のマイクロ流路205に一対一につながっている複数の液体注入孔204を有する。
実施形態3に係るミスト発生システム200aでは、調合部203で調合された対象液体100を霧化させることによって形成されてナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子を放出させることが可能となる。
上記の実施形態1〜3等は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態1〜3等は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
例えば、液体霧化システム1は、基板2の表面21のうち基板2の厚さ方向D0から見てカバー部材6に重ならずに第3方向D3においてカバー部材6の両側にある領域に、対象液体100に対する撥液性を有する撥液部を設けてあってもよい。これにより、対象液体100が基板2とカバー部材6との間の間隙7からカバー部材6の外に広がるのを抑制することが可能となる。
また、液体霧化システム1では、対象液体100を霧化するときには、基板2の表面21の規定領域211上において対象液体100の液面101の少なくとも一部が、第2開口642よりも第1開口641側に位置していればよい。
また、基板2上に2つのIDT電極3を互いの伝搬領域23が一直線上に並ぶように設けて、基板2の厚さ方向D0から見て、2つのIDT電極3の間にカバー部材6が位置し、2つのIDT電極3の間に貫通孔64が位置していてもよい。この場合、供給孔63は、伝搬領域23と重ならないように第3方向D3において貫通孔64と並んでいてもよい。
また、基板2の中央部上にIDT電極3を設けて、反射器4を無くすことで、IDT電極3の両側に伝搬領域23が設けて、2つの伝搬領域23に一対一に対応する2つのカバー部材6を設けてもよい。
また、基板2は、圧電性を有していればよく、圧電基板に限らず、例えば、支持基板上に圧電体層(LiNbNO単結晶基板)が設けられた構成でもよい。
また、液体霧化システム1は、例えば、図14に示すように、制御部9を更に備えるのが好ましい。制御部9は、対象液体100を霧化するときに貫通孔64が対象液体100で満たされないように対象液体100の供給量を制御する。制御部9は、例えば、マイクロポンプ、マイクロバルブ、毛細管等であるが、これらに限らない。また、図14では、制御部9は、カバー部材6上に設けられているが、これに限らず、例えば、基板2上に設けられていてもよいし、マイクロ流路形成基板に設けられていてもよい。
カバー部材6は、基板2に結合されていてもよいし、結合されずに基板2の表面21側に設けられていてもよい。
(態様)
以上説明した実施形態等から本明細書には以下の態様が開示されている。
第1の態様に係る液体霧化システム(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f)は、基板(2)と、IDT電極(3)と、カバー部材(6)と、を備える。基板(2)は、表面(21)及び裏面(22)を有する。基板(2)は、圧電性を有する。IDT電極(3)は、基板(2)の表面(21)上に設けられている。IDT電極(3)は、基板(2)に表面弾性波を発生させる。カバー部材(6)は、基板(2)の厚さ方向(D0)から見て表面弾性波の伝搬方向においてIDT電極(3)に並んでいる。カバー部材(6)は、基板(2)の表面(21)側に設けられて基板(2)の表面(21)との間に対象液体(100)が供給される間隙(7)を形成している。カバー部材(6)は、貫通孔(64)を有する。貫通孔(64)は、カバー部材(6)を厚さ方向(D0)に貫通し、間隙(7)に供給された対象液体(100)が間隙(7)を通して搬送される位置に形成されている。液体霧化システム(1;1a;1b)では、厚さ方向(D0)から見て基板(2)の表面(21)のうち貫通孔(64)に重なる規定領域(211)上で対象液体(100)の霧化によって形成された液滴粒子が貫通孔(64)から放出される。
第1の態様に係る液体霧化システム(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f)では、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子を、より安定した噴霧量で放出させることが可能となる。
第2の態様に係る液体霧化システム(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f)では、第1の態様において、貫通孔(64)は、第1開口(641)と、第2開口(642)と、を含む。第1開口(641)は、カバー部材(6)における基板(2)側の第1面(61)に形成されている。第2開口(642)は、カバー部材(6)における基板(2)側とは反対側の第2面(62)に形成されている。対象液体(100)を霧化するときには、基板(2)の表面(21)の規定領域(211)上において対象液体(100)の液面(101)の少なくとも一部は、第2開口(642)よりも第1開口(641)側に位置している。
第3の態様に係る液体霧化システム(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f)では、第1又は2の態様において、IDT電極(3)により表面弾性波を発生させているときに、間隙(7)内の対象液体(100)に作用する摩擦力によって対象液体(100)が表面弾性波の伝搬方向とは逆方向に搬送される。
第4の態様に係る液体霧化システム(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f)では、第1〜3の態様のいずれか一つにおいて、カバー部材(6)は、供給孔(63)を有する。供給孔(63)は、カバー部材(6)を厚さ方向(D0)に貫通し、間隙(7)に対象液体(100)を供給するための孔である。貫通孔(64)は、厚さ方向(D0)から見て、IDT電極(3)と供給孔(63)とを結ぶ一直線上でIDT電極(3)と供給孔(63)との間に位置している。
第5の態様に係る液体霧化システム(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f)は、第1〜4の態様のいずれか一つにおいて、対象液体(100)を霧化するときには、少なくとも、規定領域(211)の中央部上にある対象液体(100)から液滴粒子が形成される。
第5の態様に係る液体霧化システム(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f)では、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子が形成されやすくなる。
第6の態様に係る液体霧化システム(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f)は、第1〜5の態様のいずれか一つにおいて、対象液体(100)を霧化するときには、規定領域(211)の全域が対象液体(100)で覆われている。
第6の態様に係る液体霧化システム(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f)では、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子が形成されやすくなる。
第7の態様に係る液体霧化システム(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f)では、第1〜6の態様のいずれか一つにおいて、IDT電極(3)は、第1櫛形電極(31)と、第2櫛形電極(32)と、を有する。第1櫛形電極(31)は、櫛形状である。第1櫛形電極(31)は、複数の第1電極指(311)を含む。第2櫛形電極(32)は、櫛形状である。第2櫛形電極(32)は、複数の第2電極指(321)を含む。表面弾性波は、基板(2)における伝搬領域(23)を伝搬する。伝搬領域(23)は、IDT電極(3)の複数の第1電極指(311)と複数の第2電極指(321)との交差領域(33)を延長した延長領域に厚さ方向(D0)で重複する領域である。液体霧化システム(1;1a;1b)は、制限部(8)を更に備える。制限部(8)は、少なくとも一部が基板(2)とカバー部材(6)との間に介在し、対象液体(100)が基板(2)の表面(21)上において広がる範囲を制限する。制限部(8)は、カバー部材(6)の外周部のうち厚さ方向(D0)から見て伝搬領域(23)と交差している部分に少なくとも位置している。
第8の態様に係る液体霧化システム(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f)は、第1〜7の態様のいずれか一つにおいて、制御部(9)を更に備える。制御部(9)は、対象液体(100)を霧化するときに貫通孔(64)が対象液体(100)で満たされないように対象液体(100)の供給量を制御する。
第8の態様に係る液体霧化システム(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f)では、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子をより安定的に形成することが可能となる。
第9の態様に係る液体霧化システム(1c)では、第1〜8の態様のいずれか一つにおいて、カバー部材(6)は、基板(2)の表面(21)との間に間隙(7)を形成するための凹凸構造(65)を有する。
第9の態様に係る液体霧化システム(1c)では、カバー部材(6)と基板(2)との間の間隙(7)のギャップ長をより短くすることが可能となる。
第10の態様に係る液体霧化システム(1d)は、第1〜9の態様のいずれか一つにおいて、多孔質シート(10)を更に備える。多孔質シート(10)は、規定領域(211)上に設けられている。多孔質シート(10)は、カバー部材(6)の貫通孔(64)内に入り込んでいる。
第10の態様に係る液体霧化システム(1d)では、規定領域(211)上の対象液体(100)の液膜厚の変動を抑制することが可能となり、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子を放出させることが可能となる。
第11の態様に係るミスト発生システム(200;200a)は、第1〜10の態様のいずれか一つの液体霧化システム(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f)と、液体供給部(201)と、を備える。液体供給部(201)は、液体霧化システム(1;1a;1b;1c;1d;1e;1f)における間隙(7)へ対象液体(100)を供給する。
第11の態様に係るミスト発生システム(200;200a)では、ナノメートルサイズの粒径を有する液滴粒子を放出させることが可能となる。
第12の態様に係るミスト発生システム(200)は、第11の態様において、IDT電極(3)と間隙(7)と貫通孔(64)と液体供給部(201)とのセットを複数有する。複数のセットの各々では、対象液体(100)として互いに異なる成分を含む液体が液体供給部(201)から間隙(7)へ供給される。ミスト発生システム(200)は、混合器(202)を更に備える。混合器(202)は、複数のセットそれぞれの貫通孔(64)から放出された液滴粒子を含むミストを混合させる。
第13の態様に係るミスト発生システム(200a)は、第11の態様において、複数種の液体から対象液体(100)を調合する調合部(203)を更に備える。液体供給部(201)は、調合部(203)で調合された対象液体(100)を間隙(7)へ供給する。
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f 液体霧化システム
2 基板
21 表面
211 規定領域
22 裏面
23 伝搬領域
3 IDT電極
31 第1櫛形電極
311 第1電極指
32 第2櫛形電極
321 第2電極指
5 表面弾性波素子
6 カバー部材
61 第1面
62 第2面
63 供給孔
64 貫通孔
7 間隙
8 制限部
9 制御部
10 多孔質シート
100 対象液体
200 ミスト発生システム
201 液体供給部
202 混合器
203 調合部

Claims (13)

  1. 表面及び裏面を有し、圧電性を有する基板と、
    前記基板の前記表面上に設けられており、前記基板に表面弾性波を発生させるIDT電極と、
    前記基板の厚さ方向から見て前記表面弾性波の伝搬方向において前記IDT電極に並んでおり、前記基板の前記表面側に設けられて前記基板の前記表面との間に対象液体が供給される間隙を形成しているカバー部材と、を備え、
    前記カバー部材は、
    前記カバー部材を前記厚さ方向に貫通し、前記間隙に供給された前記対象液体が前記間隙を通して搬送される位置に形成された貫通孔を有し、
    前記厚さ方向から見て前記基板の前記表面のうち前記貫通孔に重なる規定領域上で前記対象液体の霧化によって形成された液滴粒子が前記貫通孔から放出される、
    液体霧化システム。
  2. 前記貫通孔は、前記カバー部材における前記基板側の第1面に形成された第1開口と、前記カバー部材における前記基板側とは反対側の第2面に形成された第2開口と、を含み、
    前記対象液体を霧化するときには、前記基板の前記表面の前記規定領域上において前記対象液体の液面の少なくとも一部は、前記第2開口よりも前記第1開口側に位置している、
    請求項1に記載の液体霧化システム。
  3. 前記IDT電極により前記表面弾性波を発生させているときに、前記間隙内の前記対象液体に作用する摩擦力によって前記対象液体が前記表面弾性波の伝搬方向とは逆方向に搬送される、
    請求項1又は2に記載の液体霧化システム。
  4. 前記カバー部材は、
    前記カバー部材を前記厚さ方向に貫通し、前記間隙に前記対象液体を供給するための供給孔を有し、
    前記貫通孔は、前記厚さ方向から見て、前記IDT電極と前記供給孔とを結ぶ一直線上で前記IDT電極と前記供給孔との間に位置している、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体霧化システム。
  5. 前記対象液体を霧化するときには、少なくとも、前記規定領域の中央部上にある前記対象液体から前記液滴粒子が形成される、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体霧化システム。
  6. 前記対象液体を霧化するときには、前記規定領域の全域が前記対象液体で覆われている、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体霧化システム。
  7. 前記IDT電極は、
    複数の第1電極指を含む櫛形状の第1櫛形電極と、
    複数の第2電極指を含む櫛形状の第2櫛形電極と、を有し、
    前記表面弾性波は、前記基板における伝搬領域を伝搬し、
    前記伝搬領域は、前記IDT電極の前記複数の第1電極指と前記複数の第2電極指との交差領域を延長した延長領域に前記厚さ方向で重複する領域であり、
    少なくとも一部が前記基板と前記カバー部材との間に介在し、前記対象液体が前記基板の前記表面上において広がる範囲を制限する制限部を更に備え、
    前記制限部は、前記カバー部材の外周部のうち前記厚さ方向から見て前記伝搬領域と交差している部分に少なくとも位置している、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体霧化システム。
  8. 前記対象液体を霧化するときに前記貫通孔が前記対象液体で満たされないように前記対象液体の供給量を制御する制御部を更に備える、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体霧化システム。
  9. 前記カバー部材は、前記基板の前記表面との間に前記間隙を形成するための凹凸構造を有する、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体霧化システム。
  10. 前記規定領域上に設けられており、前記カバー部材の前記貫通孔内に入り込んでいる多孔質シートを更に備える、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体霧化システム。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体霧化システムと、
    前記液体霧化システムにおける前記間隙へ前記対象液体を供給する液体供給部と、を備える、
    ミスト発生システム。
  12. 前記IDT電極と前記間隙と前記貫通孔と前記液体供給部とのセットを複数有し、
    前記複数のセットの各々では、前記対象液体として互いに異なる成分を含む液体が前記液体供給部から前記間隙へ供給され、
    前記複数のセットそれぞれの前記貫通孔から放出された前記液滴粒子を含むミストを調合する混合器を更に備える、
    請求項11に記載のミスト発生システム。
  13. 前記液体供給部は、複数種の液体から前記対象液体を調合する調合部を更に備え、
    前記液体供給部は、前記調合部で調合した前記対象液体を前記間隙へ供給する、
    請求項11に記載のミスト発生システム。
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