(1)概要
本実施形態の電力変換装置1は、入力された直流電力を交流電力に変換して出力する動作と、入力された交流電力を直流電力に変換して出力する動作と、のうちの少なくとも一方の動作を行う。電力変換装置1は、図1に示すように、複数(図1では4つ)のフライングキャパシタ回路10,20,30,40と、基板2と、を備える。以下、フライングキャパシタ回路を単に「FC回路」ともいう。
複数のFC回路10,20,30,40は、それぞれキャパシタC11,C21,C31,C41及び複数の主スイッチング素子Q11〜Q14,Q21〜Q24,Q31〜Q34,Q41〜Q44を有する。具体的には、第1FC回路10は、1つのキャパシタC11と、複数の主スイッチング素子Q11〜Q14と、を有している。第2FC回路20は、1つのキャパシタC21と、複数の主スイッチング素子Q21〜Q24と、を有している。第3FC回路30は、1つのキャパシタC31と、複数の主スイッチング素子Q31〜Q34と、を有している。第4FC回路40は、1つのキャパシタC41と、複数の主スイッチング素子Q41〜Q44と、を有している。以下、複数の主スイッチング素子Q11〜Q14,Q21〜Q24,Q31〜Q34,Q41〜Q44を区別しない場合には、単に「主スイッチング素子Q1」という。複数のFC回路10,20,30,40は、5レベル以上(本実施形態では、5レベル)の出力電圧Vo(図3参照)を出力可能なマルチレベルインバータの少なくとも一部を構成する。
本実施形態では、マルチレベルインバータは、フライングキャパシタ方式のマルチレベルインバータである。マルチレベルインバータは、回路内でフローティングした複数のキャパシタ(フライングキャパシタ)C11,C21,C31,C41により複数の異なる電圧を保持し,それらの電圧値の加算および減算により複数のレベルの出力電圧Voを得るように構成されている。
基板2には、複数のFC回路10,20,30,40が実装されている。本実施形態では、複数のFC回路10,20,30,40は、いずれも基板2における同一の面(実装面21)に実装されている。そして、複数のFC回路10,20,30,40の各々の複数の主スイッチング素子Q1は、基板2の一方向(長さ方向)に並ぶように基板2に実装されている。つまり、全ての主スイッチング素子Q11〜Q14,Q21〜Q24,Q31〜Q34,Q41〜Q44が、基板2の長さ方向に並ぶように基板2に実装されている。
上述のように、本実施形態では、複数のFC回路10〜40の各々を構成する複数の主スイッチング素子Q1が基板2の一方向に並ぶように基板2に実装されている。このため、本実施形態では、各主スイッチング素子Q1に電流が流れた場合に、各主スイッチング素子Q1の発する熱が、配線導体4等を通して基板2の全体にわたって分散しやすくなる。したがって、本実施形態では、スイッチング素子(ここでは、主スイッチング素子Q1)の発する熱の放熱経路を制御しやすい、という利点がある。
(2)詳細
(2.1)電力変換装置の回路構成
以下、本実施形態の電力変換装置1について詳細に説明する。まず、電力変換装置1の回路構成について図3を用いて説明する。以下では、電力変換装置1の動作として、入力された直流電力を交流電力に変換して出力する動作について主として説明する。本実施形態では、後述するように、複数の主スイッチング素子Q1の各々は、複数(ここでは、3つ)の第1半導体素子Q10を並列に接続して構成されている。また、本実施形態では、後述するように、複数の副スイッチング素子Q2の各々は、複数(ここでは、3つ)の第2半導体素子Q20を並列に接続して構成されている。
ただし、図3では、主スイッチング素子Q11〜Q14,Q21〜Q24,Q31〜Q34,Q41〜Q44を、いずれも1つのスイッチング素子として図示している。同様に、図3では、副スイッチング素子Q51,Q52,Q61,Q62,Q71,Q72,Q81,Q82を、いずれも1つのスイッチング素子として図示している。したがって、以下の図3を用いた説明においては、主スイッチング素子Q11〜Q14,Q21〜Q24,Q31〜Q34,Q41〜Q44の各々を1つのスイッチング素子として取り扱うこととする。また、以下の図3を用いた説明においては、副スイッチング素子Q51,Q52,Q61,Q62,Q71,Q72,Q81,Q82の各々を1つのスイッチング素子として取り扱うこととする。以下、複数の副スイッチング素子Q51,Q52,Q61,Q62,Q71,Q72,Q81,Q82を区別しない場合には、単に「副スイッチング素子Q2」という。
電力変換装置1は、直流電源101に接続されており、直流電源101から直流の入力電圧Viが入力される。以下の説明では、入力電圧Viの電圧値を「E」として説明する。電力変換装置1の一対の入力端P51,P52のうちの入力端P51は、直流電源101の正極に接続され、入力端P52は、直流電源101の負極に接続されている。本開示でいう「接続する」は、端子、電子部品、又は電線等の要素同士を機械的に接続することの他、要素同士を接続することを含んでいる。
また、電力変換装置1の一対の出力端P61,P62間に負荷102が接続されている。電力変換装置1は、負荷102に交流の出力電圧Voを出力する。負荷102は、電力変換装置1からの出力電圧Voにより動作するように構成されている。
電力変換装置1は、4つのFC回路(第1FC回路10〜第4FC回路40)と、制御回路9と、を備えている。各FC回路は、1つのキャパシタ(フライングキャパシタ)と、複数(4つ)の主スイッチング素子Q1とを備えている。本実施形態では、電力変換装置1が制御回路9を構成要素として含むこととして説明するが、制御回路9は電力変換装置1の構成要素でなくてもよい。
4つのFC回路のうち、第1FC回路10と第2FC回路20とが対をなし、第3FC回路30と第4FC回路40とが対をなしている。言い換えれば、電力変換装置1は、一対のFC回路を2組備えている。2組の一対のFC回路は、第1FC回路10及び第2FC回路20の組と、第3FC回路30及び第4FC回路40の組とを含む。
一対の入力端P51,P52間に、第1FC回路10及び第4FC回路40の直列回路と、第3FC回路30及び第2FC回路20の直列回路と、が並列に接続されている。
具体的には、第1FC回路10が入力端P51と接続され、第4FC回路40が入力端P52と接続されている。第3FC回路30が入力端P51と接続され、第2FC回路20が入力端P52と接続されている。つまり、第1FC回路10及び第3FC回路30が高電位側のFC回路であり、第4FC回路40及び第2FC回路20が低電位側のFC回路である。
第1FC回路10は、4つの主スイッチング素子Q11〜Q14と、1つのキャパシタC11と、を備えている。
一例として、主スイッチング素子Q11〜Q14の各々は、デプレッション型のnチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で構成されている。主スイッチング素子Q11〜Q14は、入力端P51側から主スイッチング素子Q11、Q12、Q13、Q14の順に直列接続されている。
具体的には、主スイッチング素子Q11は、ドレインが入力端P51と接続され、ソースが主スイッチング素子Q12のドレインと接続されている。主スイッチング素子Q12は、ソースが主スイッチング素子Q13のドレインと接続されている。主スイッチング素子Q13は、ソースが主スイッチング素子Q14と接続されている。主スイッチング素子Q14は、第4FC回路40と接続されている。
主スイッチング素子Q11〜Q14は、それぞれ制御回路9から出力される制御信号S11〜S14によって制御される。
また、主スイッチング素子Q11〜Q14は、それぞれ寄生ダイオードD11〜D14を有している。寄生ダイオードD11〜D14は、それぞれアノードがソースと接続され、カソードがドレインと接続されるように構成されている。
キャパシタC11は、主スイッチング素子Q11及び主スイッチング素子Q12の接続点と、主スイッチング素子Q13及び主スイッチング素子Q14の接続点と、の間に接続されている。言い換えれば、キャパシタC11は、主スイッチング素子Q12及び主スイッチング素子Q13の直列回路と並列に接続されている。
主スイッチング素子Q12及び主スイッチング素子Q13の接続点が、第1FC回路10の出力端P11である。
キャパシタC11は、両端電圧の電圧値が「E/4」となるようにプリチャージされる。「E」は、入力電圧Viの電圧値である。そして、第1FC回路10では、電圧値「E/4」を中心にしてキャパシタC11が充放電を繰り返すように、主スイッチング素子Q11〜Q14が制御される。したがって、第1FC回路10の出力電圧の電圧値は、「E」、「3E/4」、「E/2」の3レベルとなる。ここでいう第1FC回路10の出力電圧とは、直流電源101の負極の電位を基準とした、第1FC回路10の出力端P11の電位である。
第4FC回路40は、4つの主スイッチング素子Q41〜Q44と、1つのキャパシタC41と、を備えている。
一例として、主スイッチング素子Q41〜Q44の各々は、デプレッション型のnチャネルMOSFETで構成されている。主スイッチング素子Q41〜Q44は、第1FC回路10側から主スイッチング素子Q41、Q42、Q43、Q44の順に直列接続されている。
具体的には、主スイッチング素子Q41は、ドレインが第1FC回路10の主スイッチング素子Q14のソースと接続され、ソースが主スイッチング素子Q42のドレインと接続されている。主スイッチング素子Q42は、ソースが主スイッチング素子Q43のドレインと接続されている。主スイッチング素子Q43は、ソースが主スイッチング素子Q44と接続されている。主スイッチング素子Q44は、入力端P52と接続されている。
つまり、第1FC回路10の主スイッチング素子Q11〜Q14及び第4FC回路40の主スイッチング素子Q41〜Q44は、直流電源101の出力端間(一対の入力端P51,P52)間において、直列に接続されている。
主スイッチング素子Q41〜Q44は、それぞれ制御回路9から出力される制御信号S41〜S44によって制御される。
また、主スイッチング素子Q41〜Q44は、それぞれ寄生ダイオードD41〜D44を有している。寄生ダイオードD41〜D44は、それぞれアノードがソースと接続され、カソードがドレインと接続されるように構成されている。
キャパシタC41は、主スイッチング素子Q41及び主スイッチング素子Q42の接続点と、主スイッチング素子Q43及び主スイッチング素子Q44の接続点と、の間に接続されている。言い換えれば、キャパシタC41は、主スイッチング素子Q42及び主スイッチング素子Q43の直列回路と並列に接続されている。
主スイッチング素子Q42及び主スイッチング素子Q43の接続点が、第4FC回路40の出力端P41である。
キャパシタC41は、両端電圧の電圧値が「E/4」となるようにプリチャージされる。そして、第4FC回路40では、電圧値「E/4」を中心にしてキャパシタC41が充放電を繰り返すように、主スイッチング素子Q41〜Q44が制御される。したがって、第4FC回路40の出力電圧の電圧値は、「E/2」、「E/4」、「0」の3レベルとなる。ここでいう第4FC回路40の出力電圧とは、直流電源101の負極の電位を基準とした、第4FC回路40の出力端P41の電位である。
第3FC回路30は、4つの主スイッチング素子Q31〜Q34と、1つのキャパシタC31と、を備えている。
一例として、主スイッチング素子Q31〜Q34の各々は、デプレッション型のnチャネルMOSFETで構成されている。主スイッチング素子Q31〜Q34は、入力端P51側から主スイッチング素子Q31、Q32、Q33、Q34の順に直列接続されている。
具体的には、主スイッチング素子Q31は、ドレインが入力端P51と接続され、ソースが主スイッチング素子Q32のドレインと接続されている。主スイッチング素子Q32は、ソースが主スイッチング素子Q33のドレインと接続されている。主スイッチング素子Q33は、ソースが主スイッチング素子Q34と接続されている。主スイッチング素子Q34は、第4FC回路40と接続されている。
主スイッチング素子Q31〜Q34は、それぞれ制御回路9から出力される制御信号S31〜S34によって制御される。
また、主スイッチング素子Q31〜Q34は、それぞれ寄生ダイオードD31〜D34を有している。寄生ダイオードD31〜D34は、それぞれアノードがソースと接続され、カソードがドレインと接続されるように構成されている。
キャパシタC31は、主スイッチング素子Q31及び主スイッチング素子Q32の接続点と、主スイッチング素子Q33及び主スイッチング素子Q34の接続点と、の間に接続されている。言い換えれば、キャパシタC31は、主スイッチング素子Q32及び主スイッチング素子Q33の直列回路と並列に接続されている。
主スイッチング素子Q32及び主スイッチング素子Q33の接続点が、第3FC回路30の出力端P31である。
キャパシタC31は、両端電圧の電圧値が「E/4」となるようにプリチャージされる。そして、第3FC回路30では、電圧値「E/4」を中心にしてキャパシタC31が充放電を繰り返すように、主スイッチング素子Q31〜Q34が制御される。したがって、第3FC回路30の出力電圧の電圧値は、「E」、「3E/4」、「E/2」の3レベルとなる。ここでいう第3FC回路30の出力電圧とは、直流電源101の負極の電位を基準とした、第3FC回路30の出力端P31の電位である。
第2FC回路20は、4つの主スイッチング素子Q21〜Q24と、1つのキャパシタC21と、を備えている。
一例として、主スイッチング素子Q21〜Q24の各々は、デプレッション型のnチャネルMOSFETで構成されている。主スイッチング素子Q21〜Q24は、第1FC回路10側から主スイッチング素子Q41、Q42、Q43、Q44の順に直列接続されている。
具体的には、主スイッチング素子Q41は、ドレインが第3FC回路30の主スイッチング素子Q34のソースと接続され、ソースが主スイッチング素子Q22のドレインと接続されている。主スイッチング素子Q22は、ソースが主スイッチング素子Q23のドレインと接続されている。主スイッチング素子Q23は、ソースが主スイッチング素子Q24と接続されている。主スイッチング素子Q24は、入力端P52と接続されている。
つまり、第3FC回路30の主スイッチング素子Q31〜Q34及び第2FC回路20の主スイッチング素子Q21〜Q24は、直流電源101の出力端間(一対の入力端P51,P52)間において、直列に接続されている。
主スイッチング素子Q21〜Q24は、それぞれ制御回路9から出力される制御信号S21〜S24によって制御される。
また、主スイッチング素子Q21〜Q24は、それぞれ寄生ダイオードD21〜D24を有している。寄生ダイオードD21〜D24は、それぞれアノードがソースと接続され、カソードがドレインと接続されるように構成されている。
キャパシタC21は、主スイッチング素子Q21及び主スイッチング素子Q22の接続点と、主スイッチング素子Q23及び主スイッチング素子Q24の接続点と、の間に接続されている。言い換えれば、キャパシタC21は、主スイッチング素子Q22及び主スイッチング素子Q23の直列回路と並列に接続されている。
主スイッチング素子Q22及び主スイッチング素子Q23の接続点が、第2FC回路20の出力端P21である。
キャパシタC21は、両端電圧の電圧値が「E/4」となるようにプリチャージされる。そして、第2FC回路20では、電圧値「E/4」を中心にしてキャパシタC21が充放電を繰り返すように、主スイッチング素子Q21〜Q24が制御される。したがって、第2FC回路20の出力電圧の電圧値は、「E/2」、「E/4」、「0」の3レベルとなる。ここでいう第2FC回路20の出力電圧とは、直流電源101の負極の電位を基準とした、第2FC回路20の出力端P21の電位である。
第1FC回路10及び第4FC回路40の接続点と、第3FC回路30及び第2FC回路20の接続点とは、接続されている。具体的には、第1FC回路10の主スイッチング素子Q14のソース及び第4FC回路40の主スイッチング素子Q41のドレインの接続点と、第3FC回路30の主スイッチング素子Q34のソース及び第2FC回路20の主スイッチング素子Q21のドレインの接続点と、が接続されている。
第1〜第4FC回路10〜40において、それぞれのキャパシタC11,C21,C31,C41は、互いに同じ容量である。ここでいう「互いに同じ容量」とは、厳密に同じ値でなくてもよく、誤差(例えば10%程度)の範囲内で異なっていてもよい。
電力変換装置1は、それぞれ複数の副スイッチング素子Q2を有し、出力電圧Voの正負を切り替える第1〜第4出力スイッチ回路50〜80を更に備えている。
第1出力スイッチ回路50は、直列に接続された副スイッチング素子Q51,Q52を有している。第2出力スイッチ回路60は、直列に接続された副スイッチング素子Q61,Q62を有している。第3出力スイッチ回路70は、直列に接続された副スイッチング素子Q71,Q72を有している。第4出力スイッチ回路80は、直列に接続された副スイッチング素子Q81,Q82を有している。
一例として、副スイッチング素子Q51,Q52,Q61,Q62,Q71,Q72,Q81,Q82の各々は、デプレッション型のnチャネルMOSFETで構成されている。
第1出力スイッチ回路50及び第4出力スイッチ回路80は、第1FC回路10の出力端P11と、第4FC回路40の出力端P41と、の間に直列に接続されている。具体的には、第1出力スイッチ回路50の副スイッチング素子Q51は、ドレインが第1FC回路10における主スイッチング素子Q12及び主スイッチング素子Q13の接続点と接続され、ソースが副スイッチング素子Q52のドレインと接続されている。副スイッチング素子Q52は、ソースが第4出力スイッチ回路80における副スイッチング素子Q81のドレインと接続されている。副スイッチング素子Q81は、ソースが副スイッチング素子Q82のドレインと接続されている。副スイッチング素子Q82は、ドレインが第4FC回路40における主スイッチング素子Q42及び主スイッチング素子Q43の接続点と接続されている。
第3出力スイッチ回路70及び第2出力スイッチ回路60は、第3FC回路30の出力端P31と、第2FC回路20の出力端P21と、の間に直列に接続されている。具体的には、第3出力スイッチ回路70の副スイッチング素子Q71は、ドレインが第3FC回路30における主スイッチング素子Q32及び主スイッチング素子Q33の接続点と接続され、ソースが副スイッチング素子Q72のドレインと接続されている。副スイッチング素子Q72は、ソースが第2出力スイッチ回路60における副スイッチング素子Q61のドレインと接続されている。副スイッチング素子Q61は、ソースが副スイッチング素子Q62のドレインと接続されている。副スイッチング素子Q62は、ドレインが第2FC回路20における主スイッチング素子Q22及び主スイッチング素子Q23の接続点と接続されている。
副スイッチング素子Q51,Q52,Q61,Q62,Q71,Q72,Q81,Q82は、それぞれ制御回路9から出力される制御信号S51,S52,S61,S62,S71,S72,S81,S82によって制御される。
第1出力スイッチ回路50及び第4出力スイッチ回路80の接続点は、フィルタ回路90を介して出力端P61と接続されている。第2出力スイッチ回路60及び第3出力スイッチ回路70の接続点は、フィルタ回路90を介して出力端P62と接続されている。
フィルタ回路90は、インダクタL91,L92と、キャパシタC91と、を備えている。インダクタL91は、一端が第1出力スイッチ回路50及び第4出力スイッチ回路80の接続点と接続され、他端が出力端P61と接続されている。インダクタL92は、一端が第2出力スイッチ回路60及び第3出力スイッチ回路70の接続点と接続され、他端が出力端P62と接続されている。キャパシタC91は、インダクタL91及び出力端P61の接続点と、インダクタL92及び出力端P62の接続点と、の間に接続されている。
制御回路9は、例えば、1以上のプロセッサ及びメモリを有するマイクロコントローラにて構成されている。言い換えれば、制御回路9は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムにて実現されており、1以上のプロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御回路9として機能する。プログラムは、ここでは制御回路9のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。制御回路9は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成されてもよい。
制御回路9は、第1〜第4FC回路10〜40を制御するように構成されている。具体的には、制御回路9は、第1FC回路10に対しては、主スイッチング素子Q11〜Q14をそれぞれ駆動する制御信号S11〜S14を出力する。制御回路9は、第2FC回路20に対しては、主スイッチング素子Q21〜Q24をそれぞれ駆動する制御信号S21〜S24を出力する。制御回路9は、第3FC回路30に対しては、主スイッチング素子Q31〜Q34をそれぞれ駆動する制御信号S31〜S34を出力する。制御回路9は、第4FC回路40に対しては、主スイッチング素子Q41〜Q44をそれぞれ駆動する制御信号S41〜S44を出力する。
制御回路9は、さらに第1〜第4出力スイッチ回路50〜80を制御するように構成されている。具体的には、制御回路9は、第1出力スイッチ回路50に対しては、副スイッチング素子Q51,Q52をそれぞれ駆動する制御信号S51,S52を出力する。制御回路9は、第2出力スイッチ回路60に対しては、副スイッチング素子Q61,Q62をそれぞれ駆動する制御信号S61,S62を出力する。制御回路9は、第3出力スイッチ回路70に対しては、副スイッチング素子Q71,Q72をそれぞれ駆動する制御信号S71,S72を出力する。制御回路9は、第4出力スイッチ回路80に対しては、副スイッチング素子Q81,Q82をそれぞれ駆動する制御信号S81,S82を出力する。
(2.2)電力変換装置の構造
次に、電力変換装置1の構造について図1〜図4を用いて詳細に説明する。電力変換装置1は、図1に示すように、複数の主スイッチング素子Q1と、複数の副スイッチング素子Q2と、複数のキャパシタC11,C21,C31,C41と、基板2と、ヒートシンク3と、複数の配線導体4と、温度センサ5と、を備えている。
基板2は、例えばガラスエポキシ樹脂等の樹脂材料により形成されている。基板2の配線導体4を除いた部位の熱伝導率は、例えばコンマ数〔W/m・K〕程度である。配線導体4は、例えば銅箔等であって、基板2の一面(実装面21)に形成されて素子間を接続する。
また、図示を省略しているが、電力変換装置1は、制御回路9を備えている。制御回路9は、例えば基板2の裏面22(図2参照)に実装される。裏面22は、基板2の厚さ方向の両面のうちの、複数の主スイッチング素子Q1及び複数の副スイッチング素子Q2が実装される実装面21を表面とした場合の他面である。複数のキャパシタC11,C21,C31,C41は、図2に示すように、基板2の長さ方向(図2における左右方向)に並ぶように、基板2の裏面22に実装されている。
本実施形態では、複数の主スイッチング素子Q1、複数の副スイッチング素子Q2、及び複数のキャパシタC11,C21,C31,C41は、いずれもディスクリート半導体である。
本実施形態では、電力変換装置1がヒートシンク3及び温度センサ5を構成要素として含むこととして説明するが、ヒートシンク3及び温度センサ5の少なくとも一方は、電力変換装置1の構成要素でなくてもよい。
複数の主スイッチング素子Q1は、既に述べたように、第1〜第4FC回路10〜40の主スイッチング素子Q11〜Q14,Q21〜Q24,Q31〜Q34,Q41〜Q44である。本実施形態では、複数の主スイッチング素子Q1は、それぞれ複数(ここでは、3つ)の第1半導体素子Q10を並列に接続して構成されている。第1半導体素子Q10は、例えばデプレッション形のnチャネルMOSFETで構成されている。そして、各主スイッチング素子Q1においては、複数の第1半導体素子Q10の各々のドレインが共通の配線導体4に接続され、複数の第1半導体素子Q10の各々のソースが他の共通の配線導体4に接続されている。また、各主スイッチング素子Q1においては、複数の第1半導体素子Q10の各々のゲートは、例えばワイヤボンディング等により制御回路9に接続されている。
各主スイッチング素子Q1において、複数の第1半導体素子Q10は、基板2の短手方向(図1における上下方向)に並ぶように、基板2の一面(実装面21)に実装されている。また、複数の主スイッチング素子Q1は、基板2の長さ方向(図1における左右方向)に並ぶように、基板2の実装面21に実装されている。具体的には、基板2の長さ方向における一端(図1における左端)から他端(図1における右端)に向かって、第4FC回路40の主スイッチング素子Q44〜Q41、第1FC回路10の主スイッチング素子Q14〜Q11、第3FC回路30の主スイッチング素子Q31〜Q34、第2FC回路20の主スイッチング素子Q21〜Q24の順に並ぶように、複数の主スイッチング素子Q1が基板2の実装面21に実装されている。
複数の副スイッチング素子Q2は、既に述べたように、第1〜第4出力スイッチ回路50〜80の副スイッチング素子Q51,52,Q61,Q62,Q71,Q72,Q81,Q82である。本実施形態では、複数の副スイッチング素子Q2は、それぞれ複数(ここでは、3つ)の第2半導体素子Q20を並列に接続して構成されている。第2半導体素子Q20は、例えばデプレッション形のnチャネルMOSFETで構成されている。つまり、本実施形態では、複数の第1半導体素子Q10及び複数の第2半導体素子Q20は、いずれも同じ素子である。そして、各副スイッチング素子Q2においては、複数の第2半導体素子Q20の各々のドレインが共通の配線導体4に接続され、複数の第2半導体素子Q20の各々のソースが他の共通の配線導体4に接続されている。また、各副スイッチング素子Q2においては、複数の第2半導体素子Q20の各々のゲートは、例えばワイヤボンディング等により制御回路9に接続されている。
各副スイッチング素子Q2において、複数の第2半導体素子Q20は、基板2の長さ方向(図1における左右方向)に並ぶように、基板2の一面(実装面21)に実装されている。また、複数の副スイッチング素子Q2は、基板2の短手方向に並ぶ2つの副スイッチング素子Q2を1組として、複数組(ここでは、4組)が基板2の長さ方向に並ぶように、基板2の実装面21に実装されている。
具体的には、第1出力スイッチ回路50においては、2つの副スイッチング素子Q51,Q52が基板2の短手方向に並ぶように、基板2の実装面21に実装されている。第2出力スイッチ回路60においては、2つの副スイッチング素子Q61,Q62が基板2の短手方向に並ぶように、基板2の実装面21に実装されている。第3出力スイッチ回路70においては、2つの副スイッチング素子Q71,Q72が基板2の短手方向に並ぶように、基板2の実装面21に実装されている。第4出力スイッチ回路80においては、2つの副スイッチング素子Q81,Q82が基板2の短手方向に並ぶように、基板2の実装面21に実装されている。そして、基板2の長さ方向における一端(図1における左端)から他端(図1における右端)に向かって、第4出力スイッチ回路80、第1出力スイッチ回路50、第3出力スイッチ回路70、第2出力スイッチ回路60の順に並ぶように、複数の副スイッチング素子Q2が基板2の実装面21に実装されている。
そして、本実施形態では、既に述べたように、各主スイッチング素子Q1においては、複数の第1半導体素子Q10は、基板2の短手方向に並んでいる。そして、各副スイッチング素子Q2においては、複数の第2半導体素子Q20は、基板2の長さ方向に並んでいる。つまり、本実施形態では、複数の第1半導体素子Q10は、複数の第2半導体素子Q20が並ぶ向きと交差(ここでは、直交)するように並んでいる。
基板2の実装面21において、複数の副スイッチング素子Q2が実装される領域は、複数の主スイッチング素子Q1が実装される領域の上側にある。言い換えれば、複数の出力スイッチ回路50〜80の各々の複数の副スイッチング素子Q2は、基板2において複数のFC回路10〜40の外側に実装されている。
また、基板2の実装面21において、第1FC回路10と第3FC回路30との間をつなぐ配線導体41、及び第2FC回路20と第3FC回路40との間をつなぐ配線導体41は、複数の主スイッチング素子Q1が実装される領域の下側にある。つまり、複数のFC回路10〜40の間をつなぐ配線導体41は、基板2において、複数のFC回路10〜40が実装される領域を挟んで複数の出力スイッチ回路50〜80が実装される領域とは反対側に実装されている。
ヒートシンク3は、図2及び図4に示すように、主体31と、複数の放熱フィン32と、を有している。主体31は、一方向に長い直方体状である。本実施形態では、主体31の長さ方向は、基板2の長さ方向と同じである。複数の放熱フィン32は、矩形板状であって、主体31から突出している。複数の放熱フィン32は、主体31の長さ方向に並んでいる。
ヒートシンク3の主体31の一面(図4における上面)には、実装面21が対向するように基板2が配置されている。このため、基板2に実装されたスイッチング素子(主スイッチング素子Q1及び副スイッチング素子Q2)は、ヒートシンク3の主体31に接している。なお、図4では、複数の主スイッチング素子Q1、複数の配線導体4、及び複数のキャパシタC11,C21,C31,C41の図示を省略している。ヒートシンク3は、基板2に実装されたスイッチング素子(主スイッチング素子Q1及び副スイッチング素子Q2)の発する熱を、電力変換装置1が収容される筐体の外部へと放熱する。
温度センサ5は、例えばサーミスタであって、基板2の一面(実装面21)に配置されている。言い換えれば、温度センサ5は、複数のFC回路10〜40の各々の複数の主スイッチング素子Q1と同じ実装面21に配置されている。本実施形態では、温度センサ5は、配線導体4上ではなく、基板2の配線導体4を除いた領域に配置されており、例えばリード線により制御回路9に接続されている。つまり、温度センサ5は、配線導体4に対して、絶縁体(基板2)を介して取り付けられている。配線導体4は、複数のFC回路10〜40の各々の複数の主スイッチング素子Q1の少なくとも一部と熱的に結合している。
温度センサ5は、スイッチング素子(主スイッチング素子Q1及び副スイッチング素子Q2)に電流が流れる際にスイッチング素子が発する熱を測定するために用いられる。温度センサ5の測定結果は、例えばスイッチング素子が過剰に発熱しているか否かを検知するために用いられる。例えば、制御回路9は、温度センサ5の測定結果を取得し、温度センサ5で測定された温度が閾値を上回った場合に、スイッチング素子が過剰に発熱していると判定して、各FC回路10〜40及び各出力スイッチ回路50〜80の動作を停止させる。
本実施形態では、温度センサ5は、基板2の実装面21において特に表面温度が高温になりやすい領域に配置されている。具体的には、温度センサ5は、図1に示すように、基板2の一方向(長さ方向)の中央に配置されている。さらに言えば、温度センサ5は、基板2の実装面21において、複数のFC回路10〜40が実装される領域を挟んで複数の出力スイッチ回路50〜80が実装される領域と同じ側に配置されている。言い換えれば、温度センサ5は、基板2の実装面21において、複数のFC回路10〜40が実装される領域を挟んで、複数のFC回路10〜40の間をつなぐ配線導体41が実装される領域と反対側に配置されている。
ここで、熱解析シミュレーションにより基板2の実装面21の表面温度分布を解析した結果を図5に示す。図5において、濃淡は基板2の表面温度の高低を表している。つまり、基板2において濃度の濃い領域ほど表面温度が高く、濃度の薄い領域ほど表面温度が低いことを表している。図5に示すように、スイッチング素子(主スイッチング素子Q1及び副スイッチング素子Q2)が実装されている領域では表面温度が高くなる傾向にあり、基板2の絶縁体の領域及び配線導体4が実装されている領域では表面温度が低くなる傾向にある。そして、基板2の一方向(長さ方向)の中央を含む領域は、複数の主スイッチング素子Q1及び複数の副スイッチング素子Q2が密集しており、かつ、配線導体4により囲まれていないことから、他の領域と比較して表面温度が高い。このため、本実施形態では、この領域に温度センサ5を配置することで、スイッチング素子が過剰に発熱しているか否かの検知の応答性を向上させている。また、この領域に温度センサ5を配置することで、スイッチング素子が過剰に発熱しているか否かの検知に必要な温度センサ5の数の最小化を図ることができ、結果として電力変換装置1に掛かるコストの低減化を図っている。
(3)動作
次に、電力変換装置1の動作について、図3、及び以下の表1,2を参照して説明する。以下の説明では、出力電圧Voの極性を明示するために、電圧に「+」又は「−」の符号を適宜付している。出力電圧Voは、一対の出力端P61,P62間の電圧である。より詳細には、出力電圧Voは、出力端P61の電位を基準とした、出力端P62の電位である。出力電圧Voの極性は、出力端P62の電位に対して出力端P61の電位が高い場合を「+」、出力端P62の電位に対して出力端P61の電位が低い場合を「−」としている。ただし、「+」も「−」も付されていない場合は、特に断りのない限り「+」を表している。
本実施形態では、第1〜第4FC回路10〜40及び第1〜第4出力スイッチ回路50〜80の各スイッチング素子のスイッチングパターンとしては、8つのパターン(第1〜第8パターン)がある(表1、表2参照)。制御回路9は、出力電圧Voが交流電圧となるように、スイッチングパターンを第1〜第8パターンのいずれかに切り替える出力制御処理を行う。
上述したように、第1〜第4FC回路10〜40及び第1〜第4出力スイッチ回路50〜80の各スイッチング素子のスイッチングパターンが、第1〜第8パターンで切り替えられる。これにより、出力電圧Voの電圧値が「−E」、[−E/2」、「0」、「+E/2」、「+E」の5レベルとなる。
制御回路9は、出力電圧Voの極性を正(+)とする場合、スイッチングパターンを第1〜第4パターン(表1参照)で切り替える。また、制御回路9は、出力電圧Voの極性を負(−)とする場合、スイッチングパターンを第5〜第8パターン(表2参照)で切り替える。
制御回路9は、出力電圧Voを正弦波とし、かつ第1〜第4FC回路10〜40のキャパシタC11,C21,C31,C41それぞれの充電時間と放電時間との均一化を図るために、各スイッチングパターンを実行する時間長の割合を調整している。具体的には、制御回路9は、2つの搬送波(第1搬送波、第2搬送波)と、変調信号と、を用いてPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、当該PWM信号を制御信号S11〜S14、S21〜S24、S31〜S34、S41〜S44として出力する。
第1搬送波及び第2搬送波は、三角波であり、互いに位相が180°ずれている。変調信号は、スイッチング素子をPWM制御するための信号であり、出力電圧Voの電圧値の目標に応じて振幅値が調整される。
制御回路9は、第1搬送波と変調信号との比較により、PWM信号である第1信号S1及び第4信号S4を生成する。第1信号S1は、第1搬送波の振幅値が変調信号の振幅値未満である場合にハイ(Hi)となり、第1搬送波の振幅値が変調信号の振幅値以上である場合にロー(Low)となる矩形波である。第4信号S4は、第1搬送波の振幅値が変調信号の振幅値以上である場合にハイ(Hi)となり、第1搬送波の振幅値が変調信号の振幅値未満である場合にロー(Low)となる矩形波である。つまり、第1信号S1と第4信号S4とは、ハイとローとが反転した矩形波である。
また、制御回路9は、第2搬送波と変調信号との比較により、PWM信号である第2信号S2及び第3信号S3を生成する。第2信号S2は、第2搬送波の振幅値が変調信号の振幅値未満である場合にハイ(Hi)となり、第2搬送波の振幅値が変調信号の振幅値以上である場合にロー(Low)となる矩形波である。第3信号S3は、第2搬送波の振幅値が変調信号の振幅値以上である場合にハイ(Hi)となり、第2搬送波の振幅値が変調信号の振幅値未満である場合にロー(Low)となる矩形波である。つまり、第2信号S2と第3信号S3とは、ハイとローとが反転した矩形波である。
制御回路9は、第1信号S1を制御信号S11,S41として、第1FC回路10の主スイッチング素子Q11、及び第4FC回路40の主スイッチング素子Q41に出力する。制御回路9は、第1信号S1を反転させた信号を制御信号S31,S21として、第3FC回路30の主スイッチング素子Q31、及び第2FC回路20の主スイッチング素子Q21に出力する。
また、制御回路9は、第2信号S2を制御信号S12,S42として、第1FC回路10の主スイッチング素子Q12、及び第4FC回路40の主スイッチング素子Q42に出力する。制御回路9は、第2信号S2を反転させた信号を制御信号S32,S22として、第3FC回路30の主スイッチング素子Q32、及び第2FC回路20の主スイッチング素子Q22に出力する。
また、制御回路9は、第3信号S3を制御信号S13,S43として、第1FC回路10の主スイッチング素子Q13、及び第4FC回路40の主スイッチング素子Q43に出力する。制御回路9は、第3信号S3を反転させた信号を制御信号S33,S23として、第3FC回路30の主スイッチング素子Q33、及び第2FC回路20の主スイッチング素子Q23に出力する。
また、制御回路9は、第4信号S4を制御信号S14,S44として、第4FC回路40の主スイッチング素子Q14、及び第4FC回路40の主スイッチング素子Q44に出力する。制御回路9は、第4信号S4を反転させた信号を制御信号S34,S24として、第3FC回路30の主スイッチング素子Q34、及び第2FC回路20の主スイッチング素子Q24に出力する。
このように、制御回路9は、位相が反転された2つの搬送波(第1半送波、第2搬送波)と変調信号とを用いて第1〜第4信号S1〜S4を生成し、主スイッチング素子Q11〜Q14,Q21〜Q24,Q31〜Q34,Q41〜Q44をPWM制御している。したがって、第2パターンにおいてキャパシタC11,C21が充電される時間と、第3パターンにおいてキャパシタC11,C21が放電される時間と、の均一化を図ることができる。また、第5パターンにおいてキャパシタC31,C41が充電される時間と、第6パターンにおいてキャパシタC31,C41が放電される時間と、の均一化を図ることができる。
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
上述の実施形態では、温度センサ5は、基板2の配線導体4を除いた領域(つまり、絶縁体の領域)に配置され、リード線により制御回路9に接続されているが、これに限らない。例えば、温度センサ5は、基板2の配線導体4を除いた領域に実装され、配線導体4により制御回路9に接続されていてもよい。
上述の実施形態において、温度センサ5の数は1つに限らず、複数であってもよい。
上述の実施形態において、主スイッチング素子Q1は、1つ又は2つの第1半導体素子Q10で構成されていてもよいし、4つ以上の第1半導体素子Q10で構成されていてもよい。同様に、副スイッチング素子Q2は、1つ又は2つの第2半導体素子Q20で構成されていてもよいし、4つ以上の第2半導体素子Q20で構成されていてもよい。
上述の実施形態において、電力変換装置1は、5レベルの出力電圧Voを出力可能なマルチレベルインバータを含んでいるが、これに限らない。例えば、電力変換装置1は、例えば7レベル以上の出力電圧Voを出力可能なマルチレベルインバータを含んでいてもよい。この場合、出力電圧Voのレベルに応じて、複数のフライングキャパシタ回路及び複数の出力スイッチ回路の数を増加させればよい。
上述の実施形態では、電力変換装置1は、単相の交流電力を出力するように構成されているが、これに限らない。例えば、電力変換装置1は、更に複数のフライングキャパシタ回路及び複数の出力スイッチ回路を備えることで、三相の交流電力を出力するように構成されていてもよい。
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る電力変換装置(1)は、複数のフライングキャパシタ回路(10,20,30,40)と、基板(2)と、を備える。複数のフライングキャパシタ回路(10,20,30,40)は、それぞれキャパシタ(C11,C21,C31,C41)及び複数の主スイッチング素子(Q1(Q11〜Q14,Q21〜Q24,Q31〜Q34,Q41〜Q44))を有する。複数のフライングキャパシタ回路(10,20,30,40)は、5レベル以上の出力電圧(Vo)を出力可能なマルチレベルインバータの少なくとも一部を構成する。基板(2)には、複数のフライングキャパシタ回路(10,20,30,40)が実装される。複数のフライングキャパシタ回路(10,20,30,40)の各々の複数の主スイッチング素子(Q1)は、基板(2)の一方向に並ぶように基板(2)に実装されている。
この態様によれば、スイッチング素子(主スイッチング素子(Q1))の発する熱の放熱経路を制御しやすい、という利点がある。
第2の態様に係る電力変換装置(1)は、第1の態様において、複数の出力スイッチ回路(50,60,70,80)を更に備える。複数の出力スイッチ回路(50,60,70,80)は、それぞれ複数の副スイッチング素子(Q2(Q51,Q52,Q61,Q62,Q71,Q72,Q81,Q82))を有し、出力電圧(Vo)の正負を切り替える。複数の出力スイッチ回路(50,60,70,80)の各々の複数の副スイッチング素子(Q2)は、基板(2)において複数のフライングキャパシタ回路(10,20,30,40)の外側に実装されている。
この態様によれば、複数の主スイッチング素子(Q1)と同じように複数の副スイッチング素子(Q2)を並べる場合と比較して、基板(2)の小型化を図りやすい、という利点がある。
第3の態様に係る電力変換装置(1)では、第2の態様において、複数の主スイッチング素子(Q1)は、それぞれ複数の第1半導体素子(Q10)を並列に接続して構成されている。複数の副スイッチング素子(Q2)は、それぞれ複数の第2半導体素子(Q20)を並列に接続して構成されている。
この態様によれば、主スイッチング素子(Q1)及び副スイッチング素子(Q2)の各々で発生する損失の低減を図りやすい、という利点がある。
第4の態様に係る電力変換装置(1)では、第3の態様において、複数の第1半導体素子(Q10)は、複数の第2半導体素子(Q20)が並ぶ向きと交差するように並んでいる。
この態様によれば、複数の第1半導体素子(Q10)が並ぶ向きと複数の第2半導体素子(Q20)の並ぶ向きとが一致する場合と比較して、基板(2)の小型化を図りやすい、という利点がある。
第5の態様に係る電力変換装置(1)では、第3又は第4の態様において、複数の第1半導体素子(Q10)及び複数の第2半導体素子(Q20)は、いずれも同じ素子である。
この態様によれば、第1半導体素子(Q10)と第2半導体素子(Q20)とが互いに異なる素子である場合と比較して、各半導体素子(Q10,Q20)の発する熱の放熱経路を制御しやすい、という利点がある。
第6の態様に係る電力変換装置(1)では、第2〜第5のいずれかの態様において、複数のフライングキャパシタ回路(10,20,30,40)の間をつなぐ配線導体(41)は、基板(2)において、以下のように実装されている。すなわち、配線導体(41)は、複数のフライングキャパシタ回路(10,20,30,40)が実装される領域を挟んで複数の出力スイッチ回路(50,60,70,80)が実装される領域とは反対側に実装されている。
この態様によれば、複数の出力スイッチ回路(50,60,70,80)が実装される領域と同じ側に配線導体(41)が実装される場合と比較して、配線導体(41)を実装しやすい、という利点がある。
第7の態様に係る電力変換装置(1)は、第1〜第6のいずれかの態様において、温度センサ(5)を更に備える。温度センサ(5)は、基板(2)において、複数のフライングキャパシタ回路(10,20,30,40)の各々の複数の主スイッチング素子(Q1)と同じ実装面(21)に配置される。
この態様によれば、温度センサ(5)によりスイッチング素子(主スイッチング素子(Q1))の発する熱を測定しやすい、という利点がある。
第8の態様に係る電力変換装置(1)では、第7の態様において、温度センサ(5)は、配線導体(4)に対して、絶縁体(基板(2))を介して取り付けられている。配線導体(4)は、複数のフライングキャパシタ回路(10,20,30,40)の各々の複数の主スイッチング素子(Q1)の少なくとも一部と熱的に結合している。
この態様によれば、スイッチング素子(主スイッチング素子(Q1))の発する熱が伝わりやすい配線導体(4)から伝わる熱を温度センサ(5)により測定することで、スイッチング素子の発する熱の測定精度が向上しやすい、という利点がある。
第9の態様に係る電力変換装置(1)では、第7又は第8の態様において、温度センサ(5)は、基板(2)の上記一方向の中央に配置されている。
この態様によれば、スイッチング素子(主スイッチング素子(Q1))の発する熱が集中しやすい箇所に温度センサ(5)が配置されるので、スイッチング素子の発する熱の測定精度が向上しやすい、という利点がある。
第10の態様に係る電力変換装置(1)では、第1〜第9のいずれかの態様において、複数の主スイッチング素子(Q1)及びキャパシタ(C11,C21,C31,C41)は、いずれもディスクリート半導体である。
この態様によれば、複数の主スイッチング素子(Q1)及びキャパシタ(C11,C21,C31,C41)を集積回路で構成する場合と比較して、スイッチング素子(主スイッチング素子(Q1))の発する熱の放熱経路を制御しやすい、という利点がある。
第2〜第10の態様に係る構成については、電力変換装置(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。