以下、図面を参照して、再構成装置及び放射線診断装置の実施形態について詳細に説明する。なお、一つの実施形態又は変形例に記載した内容は、他の実施形態又は他の変形例にも同様に適用されてもよい。
(第1の実施形態)
図1を参照しながら、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成の一例について説明する。図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成の一例を示す図である。図1に示すように、X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。X線CT装置1は、放射線診断装置の一例である。
図1においては、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向とする。また、Z軸方向及びX軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とする。なお、図1は、説明のために架台装置10を複数方向から描画したものであり、X線CT装置1が架台装置10を1つ有する場合を示す。
架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、DAS(Data Acquisition System)18とを有する。架台装置10は、収集部の一例である。
X線管11は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することで、被検体Pに対し照射するX線を発生する。例えば、X線管11には、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。なお、X線管11は、X線発生部の一例である。
X線検出器12は、X線管11から照射されて被検体Pを通過したX線を検出し、検出したX線量に対応した信号をDAS18へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心とした1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数の検出素子が配列された、複数の検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数の検出素子が配列された検出素子列が列方向(スライス方向、row方向)に複数配列された構造を有する。また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、フォトダイオード等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。また、X線検出器12は、X線検出部の一例である。
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。例えば、回転フレーム13は、アルミニウムを材料とした鋳物である。なお、回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やウェッジ16、コリメータ17、DAS18等を更に支持することもできる。更に、回転フレーム13は、図1において図示しない種々の構成を更に支持することもできる。以下では、架台装置10において、回転フレーム13、及び、回転フレーム13と共に回転移動する部分を、回転部とも記載する。
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管11が発生するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、図示しない固定フレームに設けられても構わない。
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、入力インターフェース43からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う。例えば、制御装置15は、回転フレーム13の回転や架台装置10のチルト、寝台装置30及び天板33の動作等について制御を行う。一例を挙げると、制御装置15は、架台装置10をチルトさせる制御として、入力された傾斜角度(チルト角度)情報により、X軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させる。なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられてもよい。
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線の分布が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16は、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウム等を加工したフィルタである。
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。また、図1においては、X線管11とコリメータ17との間にウェッジ16が配置される場合を示すが、X線管11とウェッジ16との間にコリメータ17が配置される場合であってもよい。この場合、ウェッジ16は、X線管11から照射され、コリメータ17により照射範囲が制限されたX線を透過して減衰させる。
DAS18は、X線検出器12が有する各検出素子によって検出されるX線の信号を収集する。例えば、DAS18は、各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、アナログ信号である電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。
DAS18が生成したデータは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)を有する送信機から、光通信によって、架台装置10の非回転部分(例えば、固定フレーム等。図1での図示は省略している)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。ここで、非回転部分とは、例えば、回転フレーム13を回転可能に支持する固定フレーム等である。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分へのデータの送信方法は、光通信に限らず、非接触型の如何なるデータ伝送方式を採用してもよいし、接触型のデータ伝送方式を採用しても構わない。
X線検出器12及びDAS18は、X線管11から照射されたX線を検出し、投影データを収集する。このようなX線検出器12及びDAS18は、X線検出部の一例である。
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを有する。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長手方向に移動する駆動機構であり、モータ及びアクチュエータ等を含む。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長手方向に移動してもよい。
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。なお、コンソール装置40は架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。コンソール装置40は、再構成装置の一例である。
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。また、例えば、メモリ41は、X線CT装置1に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。なお、メモリ41は、X線CT装置1とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。メモリ41は、記憶部の一例である。
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された画像データが示す画像を表示したり、医師や診療放射線技師等の操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示したりする。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されてもよい。
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像データを再構成する際の再構成条件、CT画像データから後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース43は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、コンソール装置40とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
処理回路44は、X線CT装置1全体の動作を制御する。なお、処理回路44は、コンソール装置40に含まれる場合に限られない。例えば、処理回路44は、複数のX線CT装置にて取得された検出データに対する処理を一括して行なう統合サーバに含まれてもよい。例えば、X線CT装置1とネットワークで接続された統合サーバが処理回路44を有してもよい。この場合、X線CT装置1は、収集した投影データを統合サーバへ送信する。そして、統合サーバは、投影データを受信する。そして、統合サーバの処理回路44は、受信した投影データに対して、以下で説明する各種の処理を実行する。統合サーバは、再構成装置の一例である。
例えば、処理回路44は、システム制御機能441、前処理機能442、決定機能443、再構成処理機能444、画像処理機能445及び出力機能446を実行する。例えば、処理回路44は、メモリ41からシステム制御機能441に相当するプログラム(制御プログラム)を読み出して実行することにより、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。
システム制御機能441は、X線CT装置1を制御して、位置決め撮影を実行する。例えば、システム制御機能441は、X線管11の位置を所定の回転角度に固定し、天板33をZ方向に移動させながらX線管11からのX線を被検体Pに照射することで、位置決め撮影を実行する。また、処理回路44は、メモリ41から再構成処理機能444に相当するプログラムを読み出して実行することにより、位置決め撮影により収集されたX線の信号に基づいて、位置決め画像データを生成する。なお、位置決め画像データは、スキャノ画像データやスカウト画像データと呼ばれる場合もある。
また、システム制御機能441は、X線CT装置1を制御して、投影データを収集する本スキャンを実行する。例えば、システム制御機能441は、位置決め画像データに基づいて、本スキャンのスキャン条件(収集条件)(例えば、収集FOV、管電圧及び管電流等)を設定する。システム制御機能441は、収集条件として、例えば、X線管11に供給される管電圧を変化させるタイミングを示すタイミングデータを生成し、生成したタイミングデータをメモリ41に格納する。次に、システム制御機能441は、寝台駆動装置32を制御することにより、被検体Pを架台装置10の撮影口内へ移動させる。また、システム制御機能441は、コリメータ17の開口度及び位置を調整する。また、システム制御機能441は、制御装置15を制御することにより回転部を回転させる。
また、システム制御機能441は、X線高電圧装置14を制御することにより、X線管11へ高電圧を供給させる。これにより、X線管11は、被検体Pに対し照射するX線を発生する。
システム制御機能441によって本スキャンが実行される間、複数のDAS18は、複数の検出素子によって検出される複数のX線の信号を収集し、検出データを生成する。また、処理回路44は、メモリ41から前処理機能442に相当するプログラムを読み出して実行することにより、DAS18から出力された検出データに対し前処理を施す。例えば、前処理機能442は、DAS18から出力された検出データに対して、対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施す。なお、前処理を施した後のデータは、生データと称される。また、前処理を施す前の検出データ及び前処理を施した後の生データは、投影データと称される。投影データは、データの一例である。
また、処理回路44は、メモリ41から決定機能443に相当するプログラムを読み出して実行することにより、再構成に用いるマトリクスサイズを決定する。決定機能443は、決定部の一例である。決定機能443の詳細については後述する。
また、処理回路44は、メモリ41から再構成処理機能444に相当するプログラムを読み出して実行することにより、前処理後の生データに基づいてCT画像データを再構成する。具体的には、再構成処理機能444は、前処理後の生データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを再構成する。再構成処理機能444は、再構成処理部の一例である。CT画像データは、画像データの一例である。
また、処理回路44は、メモリ41から画像処理機能445に相当するプログラムを読み出して実行することにより、CT画像データに対して各種の画像処理を施す。例えば、画像処理機能445は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作等に基づいて、再構成されたCT画像データを、公知の方法により任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。また、画像処理機能445は、断層像データや3次元画像データをメモリ41に記憶させる。
また、処理回路44は、メモリ41から出力機能446に相当するプログラムを読み出して実行することにより、断層像データや3次元画像データ、CT画像データ等を出力する。例えば、出力機能446は、断層像データが示す断層像やCT画像データが示すCT画像等の各種の画像をディスプレイ42に表示させる。出力機能446は、表示制御部の一例である。また、例えば、出力機能446は、断層像データや3次元画像データ、CT画像データを、X線CT装置1とネットワークを介して接続された外部装置(例えば、画像データを保管するサーバ装置等)に出力する。
図1に示すX線CT装置1においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41に記憶されている。処理回路44は、メモリ41から各プログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路44は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、図1においては、システム制御機能441、前処理機能442、決定機能443、再構成処理機能444、画像処理機能445及び出力機能446の各処理機能が単一の処理回路44によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路44は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路44が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、又は、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、若しくは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ41に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
なお、図1においては、単一のメモリ41が各処理機能に対応する各プログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、複数のメモリ41を分散して配置し、処理回路44は、個別のメモリ41から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、メモリ41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
また、処理回路44は、ネットワークを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、各種の機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路44は、メモリ41から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、X線CT装置1とネットワークを介して接続された外部のワークステーションや、サーバ群(クラウド)を計算資源として利用することにより、図1に示す各機能を実現してもよい。
以上、X線CT装置1の構成の一例について説明した。かかる構成の下、X線CT装置1は、最適な再構成時間で最適な空間分解能の画像データを再構成することができるように、以下に説明する各種の処理を実行する。
図2は、第1の実施形態に係るX線CT装置1が実行する処理の一例の流れを示すフローチャートである。図2の例に示すように、決定機能443は、投影データを収集する際に用いられた収集条件、及び、投影データを収集する際の架台装置10を構成する複数の要素の位置関係に基づいて、この収集条件及び位置関係から得られる最高の空間分解能を示す値「Z」(mm)を決定する(ステップS101)。ここで、値「Z」は、1つの画素(ピクセル)の一辺の長さを示す値である。値「Z」が小さくなるほど、値「Z」が示す空間分解能は、高くなる。
ステップS101の処理の具体例について説明する。例えば、メモリ41には、投影データを収集する際に用いられる収集条件として、X線管11の焦点のサイズ(焦点サイズ)を示す情報、及び、ビュー数(収集プロジェクション数)を示す情報等が記憶されている。また、メモリ41には、投影データを収集する際の架台装置10を構成する複数の要素の位置関係として、X線管11とX線検出器12との間の距離を示す情報、及び、X線検出器12のチャネル方向の隣接する2つの検出素子の間の距離(ピッチ)を示す情報等が記憶されている。X線管11とX線検出器12との間の距離は、例えばX線の焦点と検出素子の検出面との間の距離である。そして、ステップS101では、決定機能443は、これらの複数の情報をメモリ41から取得する。そして、決定機能443は、取得した複数の情報が示すX線管11とX線検出器12との間の距離、焦点サイズ、ピッチ及びビュー数から得られる、最高の空間分解能を示す値「Z」を算出する。なお、DAS18により複数の検出素子から出力される複数のX線の信号が束ねられて1つの検出データとして出力される場合、この複数の検出素子を1つの検出素子と見做して、チャネル方向に隣接する2つの検出素子の間の距離(ピッチ)を、上述した位置関係として用いてもよい。より具体的には、メモリ41にデータベース(図示せず)が記憶されている。このデータベースには、収集条件及び位置関係の組合せと、この組合せから得られる最高の空間分解能を示す値とが対応付けられて登録されたレコードが、収集条件及び位置関係の組合せ毎に登録されている。そして、決定機能443は、取得した収集条件及び取得した位置関係の組合せに対応する最高の空間分解能を示す値「Z」をデータベースから取得することで、最高の空間分解能を示す値「Z」を決定する。
そして、決定機能443は、投影データを収集する際に操作者により選択されたFOV「A」(mm)を取得する(ステップS102)。例えば、メモリ41には、FOV「A」を示す情報が記憶されている。そして、ステップS102では、決定機能443は、FOV「A」を示す情報をメモリ41から取得する。
ここで、FOVは、例えば、収集FOV又は再構成FOVである。収集FOVは、投影データを収集する範囲(収集範囲)である。また、再構成FOVは、収集範囲と同一の範囲又は収集範囲の一部の範囲であって、投影データの再構成の対象となる範囲(再構成範囲)である。
そして、決定機能443は、最高の空間分解能を示す値「Z」及びFOV「A」に基づいて、再構成に用いられるマトリクスサイズ「B×B」の「B」を以下の式(1)により決定する(ステップS103)。
B=A/Z (1)
すなわち、決定機能443は、行方向に並んだ画素の数「B」と列方向に並んだ画素の数「B」との積「B×B」により表されるマトリクスサイズの「B」を決定する。
このように、決定機能443は、上述した収集条件及び上述した位置関係に応じたマトリクスサイズを決定する。また、決定機能443は、上述した収集条件及び上述した位置関係に応じた値「Z」により示される空間分解能、及び、投影データの収集範囲又は投影データの再構成範囲に基づいて、マトリクスサイズを決定する。
そして、再構成処理機能444は、投影データを用いて、決定されたマトリクスサイズ「B×B」のCT画像データを再構成する(ステップS104)。これにより、再構成処理機能444は、上述した収集条件及び上述した位置関係から得られる最高の空間分解能を有するCT画像データを再構成する。すなわち、再構成処理機能444は、この最高の空間分解能に対応するマトリクスサイズで、CT画像データを再構成する。したがって、第1の実施形態では、最高の空間分解能に対応するマトリクスサイズよりも不必要に大きいマトリクスサイズで再構成が行われない。このため、第1の実施形態では、空間分解能が一定の高さ以上にはならないにも関わらず、不必要に再構成時間が長くなるような事態の発生を抑制することができる。このように、第1の実施形態では、最適な再構成時間で最適な空間分解能を有するCT画像データを再構成することができる。
そして、出力機能446は、再構成されたCT画像データにより示されるCT画像、及び、マトリクスサイズ「B×B」を示す情報をディスプレイ42に表示させ(ステップS105)、処理を終了する。
以上、第1の実施形態について説明した。第1の実施形態によれば、上述したように、最適な再構成時間で最適な空間分解能を有するCT画像データを再構成することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るX線CT装置1について説明する。第2の実施形態では、X線CT装置1が、操作者から所望の空間分解能を受け付け、受け付けた空間分解能と、上述した収集条件及び上述した位置関係に応じた空間分解能とを比較し、低いほうの空間分解能に基づいて、マトリクスサイズを決定する。
以下、第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と異なる点を主に説明し、第1の実施形態と同様の構成の説明については、省略する場合がある。図3は、第2の実施形態に係るX線CT装置1の構成の一例を示す図である。図3に示すように、第2の実施形態に係る処理回路44は、受付機能447を備える点で、第1の実施形態に係る処理回路44と異なる。受付機能447は、受付部の一例である。
図4は、第2の実施形態に係るX線CT装置1が実行する処理の一例の流れを示すフローチャートである。図4の例に示すように、出力機能446は、診断対象の部位(撮影対象の部位)を診断する際に必要な空間分解能を示す値を受け付けるための画面(受付画面)をディスプレイ42に表示させる(ステップS201)。
図5は、第2の実施形態においてステップS201で表示される受付画面の一例を示す図である。例えば、ステップS201で、出力機能446は、図5に例示する受付画面50をディスプレイ42に表示させる。受付画面50は、空間分解能を示す値の入力を促すための文字列「診断対象の部位で必要な空間分解能を示す値を入力して下さい。」、及び、テキストボックス51を有する。このような受付画面50が表示されると、操作者は、入力インターフェース43を介して、診断対象の部位を診断する際に必要な空間分解能を示す値をテキストボックス51に入力する。そして、受付機能447は、テキストボックス51に入力された空間分解能を示す値を受け付ける。以下の説明では、受付機能447により受け付けられた空間分解能を示す値を「Z1」(mm)と表記する。ここで、値「Z1」は、1つの画素の一辺の長さを示す値である。値「Z1」が小さくなるほど、値「Z1」が示す空間分解能は、高くなる。値「Z1」が示す空間分解能は、第1の空間分解能の一例である。
そして、決定機能443は、受付機能447により空間分解能を示す値「Z1」が受け付けられたか否かを判定する(ステップS202)。受付機能447により空間分解能を示す値「Z1」が受け付けられていないと判定した場合(ステップS202:No)、決定機能443は、再び、ステップS202で、受付機能447により空間分解能を示す値「Z1」が受け付けられたか否かを判定する。
一方、受付機能447により空間分解能を示す値「Z1」が受け付けられたと判定した場合(ステップS202:Yes)、決定機能443は、次の処理を実行する。例えば、決定機能443は、第1の実施形態において値「Z」を決定した方法と同様の方法で、上述した収集条件及び上述した位置関係から得られる最高の空間分解能を示す値「Z2」(mm)を決定する(ステップS203)。ここで、値「Z2」は、1つの画素の一辺の長さを示す値である。値「Z2」が小さくなるほど、値「Z2」が示す空間分解能は、高くなる。値「Z2」が示す空間分解能は、第2の空間分解能の一例である。
そして、決定機能443は、空間分解能を示す値「Z1」と空間分解能を示す値「Z2」とを比較し、空間分解能を示す値「Z2」が空間分解能を示す値「Z1」以下であるか否かを判定する(ステップS204)。そして、空間分解能を示す値「Z2」が空間分解能を示す値「Z1」以下であると判定した場合(ステップS204:Yes)、決定機能443は、ステップS205に移行する。
ここで、空間分解能を示す値「Z2」が空間分解能を示す値「Z1」よりも小さい場合について説明する。この場合、値「Z2」が示す空間分解能の方が、値「Z1」が示す空間分解能よりも高い。そして、X線CT装置1は、値「Z2」が示す空間分解能を有するCT画像データを再構成することができる。しかしながら、例えば、操作者は、CT画像データの空間分解能は、値「Z1」が示す空間分解能で十分であると考えている。このような場合に、X線CT装置1が、値「Z2」が示す空間分解能に対応するマトリクスサイズでCT画像データを再構成すると、不必要に高い空間分解能の画像データを得た上に、不必要に再構成時間が長くなってしまう。そこで、以下のステップS205〜S207では、X線CT装置1が、値「Z1」が示す所望の空間分解能に対応するマトリクスサイズでCT画像データを再構成する。
決定機能443は、上述したステップS102と同様に、投影データを収集する際に操作者により選択されたFOV「A」(mm)を取得する(ステップS205)。
そして、決定機能443は、空間分解能を示す値「Z1」及びFOV「A」に基づいて、再構成に用いられるマトリクスサイズ「B×B」の「B」を以下の式(2)により決定する(ステップS206)。
B=A/Z1 (2)
このように、決定機能443は、値「Z1」が示す空間分解能と、値「Z2」が示す空間分解能との比較結果に基づいて、マトリクスサイズを決定する。例えば、ステップS206では、決定機能443は、値「Z1」が示す空間分解能、及び、値「Z2」が示す空間分解能のうち、低いほうの空間分解能(値「Z1」が示す空間分解能)に基づいて、マトリクスサイズを決定する。
そして、再構成処理機能444は、上述したステップS104と同様に、投影データを用いて、決定されたマトリクスサイズ「B×B」のCT画像データを再構成する(ステップS207)。これにより、再構成処理機能444は、操作者の所望の空間分解能を有するCT画像データを再構成する。すなわち、再構成処理機能444は、所望の空間分解能に対応するマトリクスサイズで、CT画像データを再構成する。したがって、第2の実施形態のステップS207では、所望の空間分解能に対応するマトリクスサイズよりも不必要に大きいマトリクスサイズで再構成が行われない。このため、第2の実施形態のステップS207では、不必要に再構成時間が長くなるような事態の発生を抑制することができる。このように、第2の実施形態のステップS207では、最適な再構成時間で最適な空間分解能を有するCT画像データを再構成することができる。
一方、空間分解能を示す値「Z2」が空間分解能を示す値「Z1」よりも大きいと判定した場合(ステップS204:No)、決定機能443は、ステップS209に移行する。
ここで、空間分解能を示す値「Z2」が空間分解能を示す値「Z1」よりも大きい場合について説明する。この場合、値「Z1」が示す空間分解能の方が、値「Z2」が示す空間分解能よりも高い。そして、操作者は、CT画像データの空間分解能は、値「Z1」が示す空間分解能で十分であると考えている。しかしながら、X線CT装置1により得ることが可能な空間分解能の上限は、値「Z2」が示す空間分解能であり、値「Z1」が示す空間分解能に達しない。このような場合に、X線CT装置1が、値「Z1」が示す空間分解能に対応するマトリクスサイズでCT画像データを再構成すると、CT画像データの空間分解能が、値「Z2」が示す空間分解能を超えないにも関わらず、不必要に再構成時間が長くなってしまう。そこで、以下のステップS209〜S211では、X線CT装置1が、値「Z2」が示す空間分解能に対応するマトリクスサイズでCT画像データを再構成する。
ステップS209では、決定機能443は、上述したステップS102と同様に、投影データを収集する際に操作者により選択されたFOV「A」(mm)を取得する。
そして、決定機能443は、空間分解能を示す値「Z2」及びFOV「A」に基づいて、再構成に用いられるマトリクスサイズ「B×B」の「B」を以下の式(3)により決定する(ステップS210)。
B=A/Z2 (3)
このように、決定機能443は、値「Z1」が示す空間分解能と、値「Z2」が示す空間分解能との比較結果に基づいて、マトリクスサイズを決定する。例えば、ステップS210では、決定機能443は、値「Z1」が示す空間分解能、及び、値「Z2」が示す空間分解能のうち、低いほうの空間分解能(値「Z2」が示す空間分解能)に基づいて、マトリクスサイズを決定する。
そして、再構成処理機能444は、上述したステップS104と同様に、投影データを用いて、決定されたマトリクスサイズ「B×B」のCT画像データを再構成する(ステップS211)。これにより、再構成処理機能444は、上述した収集条件及び上述した位置関係から得られる最高の空間分解能を有するCT画像データを再構成する。すなわち、再構成処理機能444は、最高の空間分解能に対応するマトリクスサイズで、CT画像データを再構成する。したがって、第2の実施形態のステップS211では、上述した収集条件及び上述した位置関係から得られる最高の空間分解能に対応するマトリクスサイズよりも不必要に大きいマトリクスサイズで再構成が行われない。このため、第2の実施形態のステップS211では、不必要に再構成時間が長くなるような事態の発生を抑制することができる。このように、第2の実施形態のステップS211では、最適な再構成時間で最適な空間分解能を有するCT画像データを再構成することができる。
そして、出力機能446は、CT画像及びマトリクスサイズ「B×B」を示す情報をディスプレイ42に表示させ(ステップS208)、処理を終了する。
以上、第2の実施形態について説明した。第2の実施形態によれば、上述したように、最適な再構成時間で最適な空間分解能を有するCT画像データを再構成することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るX線CT装置1について説明する。上述した第2の実施形態では、操作者が、診断対象の部位を診断する際に必要な空間分解能を示す値「Z1」を入力する場合について説明した。しかしながら、第3の実施形態では、X線CT装置1が、自動的に、診断対象の部位を診断する際に必要な空間分解能を示す値「Z1」を取得する。
以下、第3の実施形態の説明では、第2の実施形態と異なる点を主に説明する。具体的には、X線CT装置1が、自動的に、診断対象の部位を診断する際に必要な空間分解能を示す値「Z1」を取得する点を主に説明する。そして、第3の実施形態の説明では、第2の実施形態と同様の構成の説明については、省略する場合がある。第3の実施形態に係る処理回路44は、受付機能447を備えないという点で、第2の実施形態に係る処理回路44と異なる。
図6は、第3の実施形態に係るデータベース60のデータ構造の一例を示す図である。図6の例に示すデータベース60は、メモリ41に記憶されている。データベース60には、診断対象の部位(撮影対象の部位)と、診断に必要な空間分解能を示す値とが対応付けられたレコードが、撮像対象の部位毎に登録されている。
データベース60のレコードは、「部位」及び「空間分解能を示す値」の各項目を備える。「部位」の項目には、撮像対象となり得る部位を示す情報が登録されている。「空間分解能を示す値」の項目には、「部位」の項目に登録された情報により示される部位の診断に必要な空間分解能を示す値(mm)が登録されている。例えば、図6に示すデータベース60の1番目のレコードは、頭部の診断に必要な空間分解能を示す値が「A」(mm)であることを示す。他のレコードについても同様である。
そして、第3の実施形態では、決定機能443は、第2の実施形態のステップS201及びS202での処理に代えて、以下で説明する処理を実行する。例えば、決定機能443は、まず、撮影対象の部位を特定する。例えば、メモリ41には、撮影対象の部位に関する情報が記憶されている。そして、決定機能443は、メモリ41に記憶された撮影対象の部位に関する情報を取得し、取得した情報が示す撮影対象の部位を特定する。
そして、決定機能443は、データベース60を参照し、特定した撮影対象の部位に対応する空間分解能を示す値をデータベース60から取得する。具体例を挙げて説明すると、決定機能443は、データベース60の全てのレコードの中から、撮影対象の部位を示す情報が「部位」の項目に登録されたレコードを特定する。そして、決定機能443は、特定したレコードの「空間分解能を示す値」の項目に登録された値を取得する。以下の説明では、取得された値を「Z1」と表記する。
そして、決定機能443は、空間分解能を示す値「Z1」を用いて、第2の実施形態と同様に、ステップS203以降の各ステップの各処理を実行する。
以上、第3の実施形態について説明した。第3の実施形態では、メモリ41は、被検体の複数の部位のそれぞれと、複数の空間分解能のそれぞれとを対応付けて記憶する。そして、決定機能443は、撮影対象の部位に対応する空間分解能をメモリ41から取得する。そして、決定機能443は、取得した空間分解能と、上述した収集条件及び上述した位置関係に応じた空間分解能との比較結果に基づいて、マトリクスサイズを決定する。
第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様に、最適な再構成時間で最適な空間分解能を有するCT画像データを再構成することができる。また、第3の実施形態によれば、操作者が空間分解能を示す値を入力することなく、自動的に、空間分解能を示す値を取得する。したがって、第3の実施形態によれば、操作者の煩雑さを低減させつつ、最適な再構成時間で最適な空間分解能を有するCT画像データを再構成することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係るX線CT装置1について説明する。上述した第3の実施形態では、X線CT装置1が、自動的に、診断対象の部位を診断する際に必要な空間分解能を示す値「Z1」を取得する場合について説明した。しかしながら、第4の実施形態では、X線CT装置1が、自動的に、診断対象の部位に対応する再構成関数で用いられる空間分解能を示す値「Z1」を取得する場合について説明する。
以下、第4の実施形態の説明では、第3の実施形態と異なる点を主に説明する。具体的には、X線CT装置1が、自動的に、診断対象の部位に対応する再構成関数で用いられる空間分解能を示す値「Z1」を取得する点を主に説明する。そして、第4の実施形態の説明では、第3の実施形態と同様の構成の説明については、省略する場合がある。
まず、再構成関数について説明する。再構成関数は、再構成処理機能444によりCT画像データが再構成される際に用いられる関数である。再構成処理機能444によりCT画像データが再構成される際に、撮影対象の部位に対応する再構成関数が用いられる。
例えば、撮影対象が肺野である場合に用いられる再構成関数(肺野用の再構成関数)と、撮影対象が腹部である場合の再構成関数(腹部用の再構成関数)とでは、異なる再構成関数が用いられる。例えば、肺野を診断する場合には、CT画像データの空間分解能が高分解能であることが要求される。一方、腹部を診断する場合には、CT画像データの空間分解能が高分解能でなくても構わない。そのため、例えば、肺野用の再構成関数により再構成されるCT画像データの空間分解能の方が、腹部用の再構成関数により再構成されるCT画像データの空間分解能よりも高くなる。このように、撮影対象の部位に応じて、再構成関数により得られるCT画像データの空間分解能が異なる。
次に、第4の実施形態において用いられるデータベースの一例について説明する。図7は、第4の実施形態に係るデータベース62のデータ構造の一例を示す図である。図7の例に示すデータベース62は、メモリ41に記憶されている。データベース62には、診断対象の部位(撮影対象の部位)に対応する再構成関数を示す識別子と、再構成関数により再構成されるCT画像データの空間分解能を示す値とが対応付けられたレコードが、再構成関数毎に登録されている。
データベース62のレコードは、「再構成関数」及び「空間分解能を示す値」の各項目を備える。「再構成関数」の項目には、再構成関数を示す識別子が登録されている。図7の例に示すデータベース62には、撮影対象が頭部である場合に用いられる再構成関数を示す識別子「F1」、撮影対象が肺野である場合に用いられる再構成関数を示す識別子「F2」が、各レコードに登録されている。また、データベース62には、撮影対象が腹部である場合に用いられる再構成関数を示す識別子「F3」、及び、撮影対象が骨盤である場合に用いられる再構成関数を示す識別子「F4」が、各レコードに登録されている。
「空間分解能を示す値」の項目には、「再構成関数」の項目に登録された識別子により示される再構成関数により得られる空間分解能を示す値(mm)が登録されている。具体的には、「空間分解能を示す値」の項目には、「再構成関数」の項目に登録された識別子により示される再構成関数により再構成されるCT画像データの空間分解能を示す値が登録されている。例えば、データベース62の1番目のレコードは、撮影対象が頭部である場合に用いられる再構成関数により得られる空間分解能を示す値が「A1」(mm)であることを示す。他のレコードについても同様である。
そして、第4の実施形態では、決定機能443は、第2の実施形態のステップS201及びS202での処理に代えて、以下で説明する処理を実行する。例えば、決定機能443は、まず、撮影対象の部位に対応する再構成関数を示す識別子を取得する。
例えば、操作者は、投影データの収集が行われる前に、各種の収集条件を設定する。例えば、操作者は、入力インターフェース43を介して、各種の収集条件を入力する。入力された各種の収集条件は、メモリ41に記憶される。このとき、操作者は、収集条件の1つとして、撮影対象の部位に対応する再構成関数を示す識別子を、入力インターフェース43を介して入力する。これにより、メモリ41に、撮像対象の部位に対応する再構成関数を示す識別子が記憶される。決定機能443は、メモリ41に記憶された再構成関数を示す識別子を取得する。
そして、決定機能443は、データベース62を参照し、取得した識別子に対応する空間分解能を示す値をデータベース62から取得する。具体例を挙げて説明すると、決定機能443は、データベース62の全てのレコードの中から、取得した識別子が「再構成関数」の項目に登録されたレコードを特定する。そして、決定機能443は、特定したレコードの「空間分解能を示す値」の項目に登録された値を取得する。以下の説明では、取得された値を「Z1」と表記する。
そして、決定機能443は、空間分解能を示す値「Z1」を用いて、第2の実施形態や第3の実施形態と同様に、ステップS203以降の各ステップの各処理を実行する。
以上、第4の実施形態について説明した。第4の実施形態では、メモリ41は、複数の再構成関数のそれぞれと、複数の空間分解能のそれぞれとを対応付けて記憶する。そして、決定機能443は、撮影対象の部位に対応する再構成関数に対応する空間分解能をメモリ41から取得する。そして、決定機能443は、取得した空間分解能と、上述した収集条件及び上述した位置関係に応じた空間分解能との比較結果に基づいて、マトリクスサイズを決定する。
第4の実施形態によれば、第2の実施形態や第3の実施形態と同様に、最適な再構成時間で最適な空間分解能を有するCT画像データを再構成することができる。また、第4の実施形態によれば、第3の実施形態と同様に、操作者が空間分解能を示す値を入力することなく、自動的に、空間分解能を示す値を取得する。したがって、第4の実施形態によれば、第3の実施形態と同様に、操作者の煩雑さを低減させつつ、最適な再構成時間で最適な空間分解能を有するCT画像データを再構成することができる。
(第1の実施形態〜第4の実施形態の第1の変形例)
ここで、第1の実施形態〜第4の実施形態において、一旦設定された収集条件が、実際の投影データの収集前に操作者により変更された場合には、決定機能443は、変更後の収集条件及び上述した位置関係に応じたマトリクスサイズを再び決定してもよい。そして、再構成処理機能444は、再び決定されたマトリクスサイズを用いて、CT画像データを再構成してもよい。そこで、このような変形例を、第1の実施形態〜第4の実施形態の第1の変形例として説明する。
図8は、第1の変形例を説明するための図である。図8には、一旦設定されたビュー数「N1」が、実際の投影データの収集前に操作者により「N2」に変更された場合が例示されている。図8の例に示す場合には、決定機能443は、ビュー数についてのみ「N1」から「N2」に変更された収集条件、及び、上述した位置関係に基づいて、マトリクスサイズを決定する。
以上、第1の変形例について説明した。第1の変形例では、X線CT装置1は、収集条件が変更された場合であっても、変更後の収集条件に応じたマトリクスサイズを決定する。したがって、第1の変形例によれば、精度良くマトリクスサイズを決定することができる。
(第1の実施形態〜第4の実施形態の第2の変形例)
ここで、第1の実施形態〜第4の実施形態において、決定機能443は、決定したマトリクスサイズ「B×B」を、ディスプレイ42のマトリクスサイズに合わせて、補正してもよい。そして、再構成処理機能444は、補正されたマトリクスサイズを用いて、CT画像データを再構成してもよい。そこで、このような変形例を、第1の実施形態〜第4の実施形態の第2の変形例として説明する。
図9は、第2の変形例を説明するための図である。図9には、ディスプレイ42のマトリクスサイズが「C×D」である場合が示されている。ここで、「D」は、「C」よりも大きい自然数である。第2の変形例では、決定機能443は、決定したマトリクスサイズ「B×B」と、ディスプレイ42のマトリクスサイズ「C×D」とを比較し、マトリクスサイズ「B×B」がマトリクスサイズ「C×D」よりも小さいか否かを判定する。例えば、決定機能443は、「B」が「C」よりも小さい場合には、マトリクスサイズ「B×B」がマトリクスサイズ「C×D」よりも小さいと判定する。また、決定機能443は、「B」が「C」以上である場合には、マトリクスサイズ「B×B」がマトリクスサイズ「C×D」以上であると判定する。
マトリクスサイズ「B×B」が、マトリクスサイズ「C×D」よりも小さいと判定した場合には、決定機能443は、再構成に用いるマトリクスサイズを「C×C」に変更する。なお、この場合には、決定機能443は、再構成に用いるマトリクスサイズを「D×D」に変更してもよい。すなわち、決定機能443は、ディスプレイ42のマトリクスサイズ「C×D」と、決定されたマトリクスサイズ「B×B」との比較結果に応じて、ディスプレイ42のマトリクスサイズ「C×D」に合わせて、マトリクスサイズ「B×B」を補正する。
そして、再構成処理機能444は、補正されたマトリクスサイズ「C×C」又は「D×D」を用いて、CT画像データを再構成する。すなわち、再構成処理機能444は、マトリクスサイズが「C×C」又は「D×D」であるCT画像データを再構成する。
一方、マトリクスサイズ「B×B」が、マトリクスサイズ「C×D」以上であると判定した場合には、決定機能443は、再構成に用いるマトリクスサイズを「B×B」のまま変更しない。そして、再構成処理機能444は、マトリクスサイズ「B×B」で、CT画像データを再構成する。
第2の変形例において、マトリクスサイズ「B×B」が、マトリクスサイズ「C×D」よりも小さい場合について説明する。この場合に、仮に、出力機能446が、マトリクスサイズ「B×B」のCT画像データを示すCT画像を、ディスプレイ42のマトリクスサイズ「C×D」の画面の全面に表示させるときには、CT画像をマトリクスサイズ「C×D」のCT画像に拡大してディスプレイ42に表示させる必要がある。この場合、画素が補間されるため、いわゆる画像のぼけが生ずることがある。
しかしながら、第2の変形例では、マトリクスサイズ「B×B」が、マトリクスサイズ「C×D」よりも小さい場合に、再構成に用いるマトリクスサイズが「C×C」又は「D×D」に変更される。このため、例えば、マトリクスサイズが「C×C」に変更された場合には、出力機能446は、画素を補間せずに、CT画像をディスプレイ42に等倍表示させることができる。このため、画質が良好となる。
以上、第2の変形例について説明した。第2の変形例では、上述したように、ディスプレイ42に合わせて画質が良好となるマトリクスサイズを決定することができる。
(第1の実施形態〜第4の実施形態の第3の変形例)
ここで、第1の実施形態〜第4の実施形態において、決定機能443が、「B×B」で表されるマトリクスサイズの「B」の値として、任意の値を決定する場合について例示した。しかしながら、決定機能443は、「B」の値を、いくつかの候補の中から選択してもよい。そこで、このような変形例を、第1の実施形態〜第4の実施形態の第3の変形例として説明する。
第3の変形例では、決定機能443は、複数のマトリクスサイズの候補の中から、ステップS103、ステップS206及びステップS210で決定されたマトリクスサイズ「B×B」に最も近いマトリクスサイズの候補を、再構成に用いるマトリクスサイズとして決定する。例えば、複数のマトリクスサイズの候補として、4つのマトリクスサイズの候補(「256×256」、「512×512」、「1024×1024」及び「2048×2048」)が挙げられる。
例えば、マトリクスサイズ「B×B」が「1039×1039」である場合には、決定機能443は、複数のマトリクスサイズの候補の中から、再構成に用いるマトリクスサイズとして「1024×1024」を決定する。すなわち、決定機能443は、複数のマトリクスサイズの候補の中から、上述した収集条件及び上述した位置関係に応じたマトリクスサイズを決定する。
なお、決定機能443は、複数のマトリクスサイズの候補の中から、ステップS103、ステップS206及びステップS210で決定されたマトリクスサイズ「B×B」に最も近いマトリクスサイズの候補を、マトリクスサイズの新たな候補として決定してもよい。そして、出力機能446が、決定されたマトリクスサイズの新たな候補を操作者により選択可能にディスプレイ42に表示させてもよい。そして、操作者が入力インターフェース43を介してマトリクスサイズの新たな候補を選択した場合に、決定機能443は、選択されたマトリクスサイズの新たな候補を、再構成に用いるマトリクスサイズとして決定してもよい。
以上、第3の変形例について説明した。第3の変形例によれば、上述した第1の実施形態〜第4の実施形態と同様に、最適な再構成時間で最適な空間分解能を有するCT画像データを再構成することができる。
(第1の実施形態〜第4の実施形態の第4の変形例)
ここで、第1の実施形態〜第4の実施形態に係るX線CT装置1において、上述した収集条件及び上述した位置関係が変更される場合について説明した。しかしながら、X線CT装置1において、収集条件及び位置関係のうち、収集条件が変更されるものの、位置関係が変更されずに一定であってもよい。そこで、第4の変形例として、このようなX線CT装置1について説明する。
例えば、第1の実施形態〜第4の実施形態では、決定機能443が、収集条件及び位置関係に基づいてマトリクスサイズを決定する場合について説明した。しかしながら、第4の変形例では、以下に説明するように、決定機能443は、収集条件に基づいてマトリクスサイズを決定する。
例えば、第4の変形例では、メモリ41にデータベース(図示せず)が記憶されている。このデータベースには、収集条件と、収集条件に対応するマトリクスサイズとが対応付けられて登録されたレコードが、収集条件毎に登録されている。ここで、データベースに登録されるマトリクスサイズは、収集条件、及び、一定である位置関係に応じたマトリクスサイズである。
そして、決定機能443は、メモリ41から、投影データを収集する際に用いられた収集条件を取得する。そして、決定機能443は、取得した収集条件に対応するマトリクスサイズをデータベースから取得し、取得したマトリクスサイズを再構成に用いるマトリクスサイズとして決定する。すなわち、決定機能443は、収集条件に基づいてマトリクスサイズを決定する。決定されたマトリクスサイズは、上述したように、収集条件及び位置関係に応じたマトリクスサイズである。
なお、第4の変形例において、決定機能443が、収集条件に基づいてマトリクスサイズを決定する場合について説明した。しかしながら、決定機能443は、収集条件に基づいて、最高の空間分解能を示す値「Z」又は「Z2」を決定してもよい。例えば、メモリ41にデータベース(図示せず)が記憶されている。このデータベースには、収集条件と、収集条件に対応する空間分解能を示す値とが対応付けられて登録されたレコードが、収集条件毎に登録されている。ここで、データベースに登録される空間分解能を示す値は、収集条件、及び、一定である位置関係から得られる最高の空間分解能を示す値である。
そして、決定機能443は、メモリ41から、投影データを収集する際に用いられた収集条件を取得する。そして、決定機能443は、取得した収集条件に対応する空間分解能を示す値「Z」又は「Z2」をデータベースから取得することで、空間分解能を示す値「Z」又は「Z2」を決定する。
以上、第4の変形例について説明した。第4の変形例によれば、上述した第1の実施形態〜第4の実施形態と同様に、最適な再構成時間で最適な空間分解能を有するCT画像データを再構成することができる。
なお、上述した各実施形態及び各変形例において、X線CT装置1が各種の処理を実行する場合について説明した。しかしながら、X線CT装置1が実行する各種の処理と同様の処理を、X線アンギオ装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、及び、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置等の放射線診断装置が実行してもよい。
例えば、X線アンギオ装置は、3次元の再構成を行う。X線アンギオ装置は、X線管と、Cアームと、X線検出器と、コンソール装置とを備える。Cアームは、X線管及びX線検出器を、X線管とX線検出器との間の距離((Source Image receptor Distance(SID))を変更可能に保持する。X線管と、X線検出器とは、Cアームにより被検体を挟んで対向するように配置される。X線検出器は、X線管から発せられ、被検体を透過したX線を検出する。そして、X線検出器は、検出データをコンソール装置に送信する。X線アンギオ装置のX線管、Cアーム及びX線検出器は、収集部の一例である。また、検出データは、データの一例である。
そして、X線アンギオ装置のコンソール装置は、上述した前処理機能442、決定機能443、再構成処理機能444、画像処理機能445及び出力機能446と同様の機能を有する。したがって、X線アンギオ装置のコンソール装置は、上述したX線CT装置1のコンソール装置40と同様の処理を行う。X線アンギオ装置のコンソール装置は、再構成装置の一例である。
また、PET装置は、架台装置と、コンソール装置とを備える。PET装置の架台装置は、収集部の一例である。PET装置のコンソール装置は、再構成装置の一例である。
PET装置の架台装置は、複数の検出器モジュールと、計数情報収集回路とを備える。検出器モジュールは、被検体内で放出された陽電子が電子と結合して対消滅した際に放出された一対のガンマ線を検出し、検出した一対のガンマ線に基づく電気信号を出力する。検出器モジュールは、被検体の周囲をリング状に取り囲むように、複数配置される。検出器モジュールは、被検体内から放出されたガンマ線を光に変換し、変換した光を電気信号に変換する。検出器モジュールは、フォトンカウンティング方式、アンガー型の検出器であり、複数のシンチレータと、複数の光電子増倍管(PMT(Photomultiplier Tube))とを有する。
シンチレータは、被検体内で放出された陽電子が電子と結合して対消滅した際に放出された一対のガンマ線をシンチレーション光子(scintillation photons、optical photons)に変換し、シンチレーション光子を出力する。シンチレータは、2次元状に配列される。
光電子増倍管は、シンチレータから出力されたシンチレーション光子を増倍して電気信号に変換する。
このように、検出器モジュールは、被検体内から放出された対消滅ガンマ線をシンチレータによってシンチレーション光子に変換し、変換したシンチレーション光子を光電子増倍管によって電気信号に変換して出力する。すなわち、検出器モジュールは、間接変換型の検出器である。
計数情報収集回路は、検出器モジュールの出力信号から計数情報を生成し、生成した計数情報を、コンソール装置に送信する。
PET装置のコンソール装置は、架台装置から送信された計数情報に基づいて、PET画像データを再構成する。PET画像データは、画像データの一例である。また、PET装置のコンソール装置は、上述した決定機能443、再構成処理機能444及び出力機能446と同様の機能を有する。したがって、PET装置のコンソール装置は、上述したX線CT装置1のコンソール装置40と同様の処理を行う。例えば、PET装置のコンソール装置は、線源と検出器モジュールとの間の距離、隣接する2つのシンチレータ間の距離等から得られる、最高の空間分解能を示す値「Z」又は「Z2」を算出する。
SPECT装置は、架台装置と、コンソール装置とを有する。SPECT装置の架台装置は、収集部の一例である。SPECT装置のコンソール装置は、再構成装置の一例である。
SPECT装置の架台装置は、被検体に投与され、被検体の生体組織に選択的に取り込まれた放射性医薬品から放射されるガンマ線を検出して投影データを収集する装置である。架台装置は、ガンマカメラを有する。
ガンマカメラは、2次元状に並んだ撮像素子を有し、被検体の生体組織に選択的に取り込まれた放射性医薬品の核種(RI:Radio Isotope)から放射されるガンマ線の強度分布を2次元的に検出する。そして、ガンマカメラは、検出した2次元ガンマ線強度分布データを、例えば、増幅処理、A/D変換処理することで投影データを生成する装置である。ガンマカメラは、生成した投影データをコンソール装置に送信する。投影データは、データの一例である。
SPECT装置のコンソール装置は、架台装置によって収集された投影データから被検体に投与した放射性医薬品の体内分布が描出された断層画像である核医学画像データ(SPECT画像データ)を再構成する。SPECT画像データは、画像データの一例である。また、SPECT装置のコンソール装置は、上述した決定機能443、再構成処理機能444及び出力機能446と同様の機能を有する。したがって、SPECT装置のコンソール装置は、上述したX線CT装置1のコンソール装置40と同様の処理を行う。例えば、SPECT装置のコンソール装置は、線源とガンマカメラとの間の距離、隣接する2つの撮像素子間の距離等から得られる、最高の空間分解能を示す値「Z」又は「Z2」を算出する。
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
また、上述した実施形態で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態又は変形例によれば、最適な再構成時間で最適な空間分解能の画像データを再構成することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。