JP3950101B2 - X線コンピュータ断層撮影装置 - Google Patents

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Description

本発明は、コーンビーム状のX線で被検体をヘリカルスキャンするX線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)に関する。
第3世代CTとは、図16に示すように、X線束を発生するX線管と、被検体を挟み対向する位置にあるX線検出器とが被検体の回りを回転しながら様々な角度からの投影データを収集する方式として定義される。従来X線束はファンビーム状のX線束、検出器は1次元アレイ型検出器であった。
スキャン方式は、コンベンショナルスキャン方式と、ヘリカルスキャン方式の2種類がある。コンベンショナルスキャン方式とは、図17(a)に示すようにX線管が同一の円軌道を周回するスキャン方法として定義される。ヘリカルスキャン方式とは、図17(b)に示すようにX線源と検出器とは被検体の回りを連続的に回転し、その回転と同期して被検体を載置した寝台が体軸に沿って移動するスキャン方式として定義され、被検体と共に移動する移動座標系を考えると、X線管がらせん軌道を描くことからこの名称が使われている。なお、移動座標系において、X線管が1回転する間に変位する体軸方向すなわちZ軸方向の距離は、ヘリカルピッチとして定義される。
近年、第3世代あるいは第4世代のCTにおいて、ファンビーム状のX線束ではなく体軸方向に広がりを持ったコーンビーム状のX線束を発生するX線管と、X線検出器が複数の1次元アレイ型検出器をZ軸方向に複数列例えばN列積み重ねたように検出器素子がマトリクス状に配列された2次元アレイ型検出器をもつCTが知られており、これをコーンビームCTと称する。
ここで、図18及び図19に示すように、ある1列の検出器列へ入射するX線ビームを考え、そのX線ビームが回転中心(Z軸すなわち撮影領域FOVの中心)を通過するときのZ軸方向の厚みととして定義する。また第3世代のコーンビーCTにおける撮影領域は、Z軸を中心とした半径ωの円筒として定義される。コーンビームCTでコンベンショナルスキャン方式でスキャンした場合の画像再構成方法は、幾つか知られており、例えば次の文献がある。
(非特許文献1)”Practical cone-beam algorithm ”
L.A.Feldkamp,L.C.Davis,and J.W.Kress
J.Opt.Soc.Am.A/Vol.1,No.6,pp.612-619/June1984
この再構成方法は開発者の名前からFeldkamp再構成方法と呼ばれ、これは数学的に厳密な再構成法であるファンビーム(2次元平面内)再構成アルゴリズムを、Z軸方向に拡張することによって得られた近似的な3次元再構成アルゴリズムであり、以下のステップからなる。
(1)投影データの補正、重みづけ
投影データに、Z座標に対応した重みを乗算し、ビームの理路狩りの効果を補正する。
(2)コンボリューション(畳み込み演算,Convolution)
(1)のデータと、ファンビーム再構成と同じ再構成関数とのコンボリューション演算を行う。
(3)バックプロジェクション(逆投影演算,Back Projection)
(2)のデータを、X線が通過した(焦点から検出器までの)パス上の点(ボクセル)に加算する。
上記(1)〜(3)を所定の角度(360°あるいは 180°+ファン角度)にわたって繰り返すと画像再構成される。
以上全て数学的な議論の後、シミュレーションの結果が記載されている。この再構成方法は元々と近似的な再構成法であるので、Z軸方向のビームの広がり、すなわちコーン角が広くなるにつれて、再構成された画像の画質が劣化する。従って、医用機器などでは実用的にコーン角に限界が生じてしまう。
また、これらFeldkamp再構成に関しては多くの計算機シミュレーションや、I.I.イメージングプレートなどを用いた実験の結果が報告されている。
近年、Z軸方向に比較的広い撮影領域FOVに関する3次元データを高い分解能で、しかも高速で収集するものとして、コーンビームCTによるヘリカルスキャン方式との組み合わせが考えられている。この組み合わせ方式については、次の文献に紹介されている。
(特許文献2)「CT装置」
(株)東芝 荒舘博、南部恭二郎
特開平4−224736号公報 1990年12月25日出願
(非特許文献3)「円すいビーム投影を用いた3次元ヘリカルスキャンCT」
東北大学 工藤博幸、筑波大学 斎藤恒雄
電子情報通信学会論文誌 DII Vol.J74-D-II,No.8,pp.1108-1114,1994年 8月
これらの文献においては、Feldkamp再構成法と類似する再構成方法が開示されている。この概略は、前述したFeldkamp再構成方法と同様に、投影データの重みづけ、関数とのコンボリューション演算、 360°にわたるX線パス上への重み付け逆投影である。この逆投影をある再構成点(ボクセル)に注目して考えると、各ビューにおいて焦点と再構成点を結ぶパスを通って得られたデータが再構成点に重みづけ加算され、 360°分のビュー数だけ該当するX線パスのデータが加算されたとき、その点が再構成されることになる。
ヘリカルピッチについては、図20に示すように、文献3において、「X線源の位置 a(β)から放射したX線ビームの上端(直線A)と、1回転後のX線源の位置 b(β+2π)から放射したX線ビームの下端(直線B)との交点Cが、X線源よりの被写体存在領域(被検体P)の外に位置することが必要十分条件である。」との記述がある。またこれは、前述の画像再構成を行うためには必要な再構成点に必要な角度例えば 360°のX線ビームが必要なことからも容易に類推できる。
これらの文献においてもX線ビームの離散化の影響すなわち検出器の各チャンネルがチャンネル方向及びZ軸方向に有限かつある程度のサイズをもっていることに関する記述はない。また計算機でシュミレーションを行った結果が記載されているが、その詳細な内容例えば補間方法などに関する記述はない。
(1)1チャンネルの検出素子のZ軸方向およびチャンネル方向のサイズが一定の大きさを有することによる再構成誤差に関する問題点
上記文献では純粋に数学的な式の上の議論の後、計算機シミュレーションの結果がいきなり提示されるのに過ぎない。再構成処理上、円筒状の撮影領域FOVは複数のボクセルの集まりとして規定されている。計算機上では焦点から再構成したいボクセルを結んだ直線が検出器面に到達する点におけるデータを任意に発生させることが可能であるため、これら離散化の影響は現れない。また種々の実験で用いられるI.I.などの検出器においては、検出素子が0.5mm 角以下の正方形で形成されており、そのサイズは実用上ほとんど無視できる上に、縦横のサイズが等方的である。
それに対して実際のコーンビームCTなどでは検出素子のチャンネル方向とZ軸方向のサイズが1mm×2mm程度である。実測された投影データのX線パスは、X線焦点とチャンネル中心とを結ぶ直線として認識されるため、多くの場合、この実測のX線パスは、X線焦点と、再構成処理上規定されるボクセルの中心とを結ぶ計算上のX線パスとはズレている。このズレが誤差を誘引する。なお、I.I.などのように検出素子のサイズが十分に小さく点としてとらえても差し障りがないような程度であれば、このズレを無視して計算上のX線パスに最も近い位置の実測のX線パスのデータを利用しても実用上差支えがないが、コーンビームCTにおける検出器のように検出素子サイズが大きい場合、この誤差は無視できない。検出素子のZ軸方向のサイズがさらに大きい場合には、この誤差はさらに大きくなってしまう。
(2)重複領域のデータの取り扱いに関する問題点
文献3に記述されたようにヘリカルピッチを決定すると、図21(a)に斜線で示すように、あるk回転目のX線ビームと、k+1回転目のX線ビームとが重複して照射される。これは、斜線の重複領域の情報が、2つの投影データに含まれることを意味している。しかし、文献3ではこの重複領域を無視し、対象とする再構成面に対する交差角度、つまりコーン角の小さいX線ビームだけを選択的に用いて逆投影を行うに過ぎず、情報を十分に利用していない。
(3)再構成開始角度と終了角度のつなぎ目の方向に発生するストリークに関する問題点
また文献3のように対象とする再構成面をなるべくコーン角の小さい投影データを使って再構成するときの、X線焦点から再構成面の回転中心に対するコーン角の概略を図21(b)に示す。再構成開始角と再構成終了角は隣り合っているが、前記再構成開始角が+10°であるのに対し、再構成終了角では−10°であるので、このつなぎ目の方向(破線)には、このコーン角の不連続による大きなギャップが存在することが分かる。またデータ収集時刻のズレによる被写体の動きの影響もあり、この方向には明瞭なストリークアーチファクトが発生してしまう。
(4)ヘリカルピッチが小さい問題点
文献3には「X線ビームの上端と下端との交点が被写体存在領域外側に位置することが必要充分である」との記述があるが、検出器のチャンネルサイズその他離散化に関する記述はない。つまり、これは「検出器の最上列のチャンネル中心を通るX線パスと最下列のチャンネル中心を通るX線パスとの交点が被写体存在領域の外に位置することが必要十分である」(図22参照)と解釈され、ヘリカルピッチはかなり小さくなってしまうことを意味する。例えば検出器列数をN、基本スライス厚をThick 、焦点−回転中心間距離をFCD、有効視野直径をFOVとすると、ヘリカルピッチPは、
P≦ Thick×(N/2-0.5)×(FCD-FOV/2)/FCD ×2.0 …(2)
で定義される。例えばN=10,Thick=2mm,FCD=500mm,FOV=240mm とすると、P=13.68mm/REV となる。これはかなり小さく、撮影時間が非常に長くなることを意味する。
"Practical cone-beam algorithm "、L.A.Feldkamp,L.C.Davis,and J.W.Kress、J.Opt.Soc.Am.A/Vol.1,No.6,pp.612-619/June1984 特開平4−224736号公報 「円すいビーム投影を用いた3次元ヘリカルスキャンCT」、東北大学工藤博幸、筑波大学斎藤恒雄、電子情報通信学会論文誌 DII Vol.J74-D-II,No.8,pp.1108-1114,1994年 8月
本発明の目的は、コーン角の影響によるアーチファクトの発生を軽減し得るX線コンピュータ断層撮影装置を提供することである。
本発明の局面は、被検体の体軸方向に広がりを持つX線を発生するX線源と、検出素子が被検体の体軸方向に沿って複数列配列されたX線検出手段と、X線源と被検体との相対移動と相対回転運動によってらせん状スキャンをし、収集したデータを処理し、処理したデータを逆投影することにより画像を再構成する再構成手段とを有するX線コンピュータ断層撮影装置において、前記再構成手段は、特定のボクセルの逆投影データを、前記特定のボクセルの中心とX線焦点とを結ぶ計算上のX線パスと前記複数配列された検出器素子により構成される検出器面との交点の周囲で実測された複数の投影データに基づいて求める。
本発明によれば、コーン角の影響によるアーチファクトの発生を軽減することができる。
以下本発明による実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態によるX線コンピュータ断層撮影装置の構成図である。図2は図1のガントリの外観図である。図3は図1の2次元アレイ型検出器の斜視図である。投影データ測定系としてのガントリ(架台ともいう)1は、円錐に近似したコーンビーム状のX線束を発生するX線源3と、複数の検出素子を2次元状に配列してなる2次元アレイ型X線検出器5とを収容する。X線源3と2次元アレイ型X線検出器5とは、寝台6のスライド天板に載置された被検体を挟んで対向した状態で回転リング2に装備される。2次元アレイ型X線検出器5としては、複数の検出素子が1次元に配列されてなる1次元アレイ型検出器が複数列積み重ねられた状態で回転リング2に実装される。ここで、1つの検出素子は1チャンネルに相当するものと定義する。X線源3からのX線はX線フィルタ4を介して被検体に照射される。被検体を通過したX線は2次元アレイ型X線検出器5で電気信号として検出される。
X線制御器8は高圧発生器7にトリガ信号を供給する。高圧発生器7はトリガ信号を受けたタイミングでX線源3に高電圧を印加する。これによりX線源3からはX線がばく射される。
架台寝台制御器9は、ガントリ1の回転リング2の回転と、寝台6のスライド天板のスライドとを同期して制御する。システム全体の制御中枢としてのシステム制御器10は、被検体から見てX線源3が螺旋軌道を移動するいわゆるヘリカルスキャンを実行するように、X線制御器8と架台寝台制御器9を制御する。具体的には、回転リング2が一定の角速度で連続回転し、スライド天板が一定の速度で移動し、X線源3から連続的又は一定角度毎に間欠的にX線がばく射される。
2次元アレイ型X線検出器5の出力信号はチャンネル毎にデータ収集部11で増幅され、ディジタル信号に変換される。データ収集部11から出力される投影データは、再構成処理部12に取り込まれる。再構成処理部12は、投影データに基づいてボクセル毎にX線吸収率を反映した逆投影データを求める。本実施の形態のようなコーンビーム状のX線を用いたヘリカルスキャン方式では、その撮影領域(有効視野)は回転中心軸を中心として半径ωの円筒形状を成し、再構成処理部12はこの撮影領域に複数のボクセル(立体画素)を規定し、ボクセル毎に逆投影データを求める。この逆投影データに基づいて作成された3次元画像データ又は断層像データは表示装置14に送られ3次元画像又は断層像としてビジュアルに表示される。
次に本実施の形態の作用について説明する。ここで、システムのジオメトリは図4(a),(b)に示すように検出器列数N、基本スライス厚Thick 、焦点−回転中心間距離FCD、撮影領域(有効視野)の直径ω、ヘリカルピッチPとし、一例としてN=10,Thick=2mm,FCD=500mm,FOV=240mmとする。基本スライス厚とは、撮影領域FOV付近での1チャンネル分の検出素子に照射されるX線ビームの厚みとして定義される。ヘリカルピッチPとは、X線源3の螺旋軌道の間隔、具体的にはX線源3が1回転する間に移動するスライド天板の移動距離として定義される。
(1)逆投影データの作成方法
まず、装置側、つまり再構成処理部12は、X線焦点Fとボクセルの中心とを結ぶ直線(X線パス)に沿って投影データが得られていると計算上認識しているが、実際に実測される投影データはX線焦点Fと検出素子中心とを結ぶX線パスに沿って得られる、換言するとこのX線パスに感度中心が存在することが多い。この計算上のX線パスと、実際のX線パスとのズレが画質を低下させる誤差要因となり得る。この点、確認されたい。
図6は、あるビューI(例えば頂点位置を0°としたときのX線源3の回転角度)におけるX線ビームと再構成ボクセルとの関係を示す模式図である。ここで斜線で示すボクセルVに対するこのビューの投影データの逆投影を考える。X線焦点FとボクセルVの中心とを結んだ直線FVCを延長し、検出器面に交差する点を点Cとする。図7に点Cと検出素子との関係を示す。点Cは(n,m)の検出素子、(n,m+1)の検出素子、(n+1,m)の検出素子、(n+1,m+1)の検出素子各々の中心点間に存在するものとする。「各チャンネルの中心位置」を“矩形のチャンネルの重心”と定義すると、点Cはいずれのチャンネルの中心からも外れている。検出器がI.I.の時に良く行われるように最も近い検出器列、最も近いチャンネルのデータを、欲しい直線FVCを通過したデータと近似すると、CTの場合には上述したような大きな誤差が発生してしまう。そこで本実施の形態では、式(3)に示すように、計算上のX線パスFVCの周囲に存在する実際の4本のX線パスに沿って実測された投影データを前述の処理をしたデータ、つまり点C周囲の4チャンネル分における処理されたデータから、点Cと各チャンネル中心位置の距離の逆比で線形の内挿補間し、得られた補間データを計算上のX線パスを示す直線FVCに沿って逆投影するデータとし、これを所定の重み付けをして逆投影する。
Figure 0003950101
ここでは距離の逆比で4データを線形補間する方法を示したが、4データを非線形補間、又はZ軸方向に3,4,,,N列分のデータを用いる6,8,,,2Nデータの線形、若しくはZ軸方向に3,4,,,N列分のデータを用いる6,8,,,2Nデータの非線形補間を採用してもよいし、チャンネル方向とZ軸方向で補間関数を変えてもよい。
(2)ビーム重複領域への2データ逆投影方法
図8は同じ位相(同じビューI)における、ある再構成面を挟むk回転目のX線焦点F(k) からのX線ビームの照射範囲と、K+1回転目のX線焦点F(k+1)からのX線ビームの照射範囲とをZ軸に垂直な方向から見た図である。k回転目のX線焦点F(k) からのX線ビームの照射範囲と、K+1回転目のX線焦点F(k+1)からのX線ビームの照射範囲とが一部重複するようにヘリカルスキャンが実行される。重複領域外のボクセルV1に対しては、焦点F(k) からのX線ビームだけが通過しているので、焦点F(k)からのボクセルV1を通りある検出素子に至るX線パスに沿って得られた投影データを処理したデータを、式(4)にしたがって重み付けして逆投影する。
Back(I,k) = 1/W2 ・D(k) …(4) ただし、D(k)はコンボリューション演算などの所定の処理をされた投影データを示す。
Wは、X線源の位置Fと再構成点Vをx-y 平面に射影した2点間の距離を示す。
重複領域内のボクセルV2に対しては両方の焦点からのX線ビームが交差しているので、焦点F(k) からのX線ビームで得られた投影データを所定の処理後、式(4)にしたがって重み付けして逆投影したデータBack(I,k) を得、焦点F(k+1)からのX線ビームで得られたデータを同様に式(4)にしたがって重み付けして逆投影したデータBack(I,k+1) を得、式(5)にしたがって2つのデータBack(I,k) とBack(I,k+1) を重み付け加算して当該ボクセルV2の逆投影データBack(I) を得る。
Back(I) = α・Back(I,k)+(1- α) ・Back(I,k+1) …(5) ただし、α=|(点CFのZ座標) −(再構成点のZ座標)|/(WZ)
そして、ボクセルV2のCTデータV(x,y,z) は、全ビューの逆投影データBack(I) の積算として式(6)にしたがって求められる。
(全ビュー)
V(x,y,z) = Σ Back(I) …(6) ここでCFは2つのビームが交差する点であり、WZは2つのデータを逆投影するZ軸方向の範囲である。その範囲が重複領域そのものであるときには図8のようになり、焦点とボクセルの位置関係で定まる。
ここで2つのデータBack(I,k) とBack(I,K+1) は重み係数αを用いて重み付け加算したが,αは必ずしも式(5)の但し書きで特定したものである必要はなく、焦点位置と再構成点との位置関係によって定まる重み係数で有れば良いし、または重みαは0.5 ,0.7 などある値で一定としても良い。
また、式(5)において2つの(逆投影される)コンボリューションされたデータD(チャンネル,列)を逆投影して、Back(I,k)とBack(I,k+1)を得た後、それぞれ重みづけ加算したが、式(7)、式(8)にしたがって重み付け加算後に逆投影しても良い。
D'(I) =α・D(k)+ (1-α)・D(k+1) …(7) Back(I) =1/W2 ・D'(I) …(8)
(3)外挿補間処理とヘリカルピッチに関して
ヘリカルピッチは、後者の文献によると“検出器の最上列のチャンネルの中心に対するX線ビームと検出器の最下列のチャンネルの中心に対するX線ビームとの交点が被写体存在領域外側に位置することが必要十分である”と解釈できる。 ここで有効視野全体のボクセルに対して前述の4データ線形補間による投影データを逆投影するためには、有効視野の最も端のボクセルの中心の外側に上述の交点が存在すれば良い。これだけでもヘリカルピッチはわずかに大きくなる。例えば従来と同じ条件ではピッチP=13.72mm が得られる。
もちろん4データの線形補間できない領域は逆投影しないこととし、FOV外側付近の画質低下を無視してヘリカルピッチを大きくすることも可能である。
しかし、X線焦点とボクセルの中心を通る直線(X線パス)と検出器面との交点のZ座標が検出器の最上列あるいは最下列のチャンネル中心より外側(上又は下側)の場合、検出器の最も上側あるいは下側の2列、2チャンネルのデータを使って外挿補間(補外ともいう)を行い、逆投影するデータを作成する。この方が画質が良い。
例えば図9(a)は、ある位相(あるビューI)におけるX線ビームと再構成ボクセルの関係をZ軸に垂直な方向から見た図である。ボクセルVに対する逆投影を考える。焦点FとボクセルVの中心を結んだ直線を延長し、検出器面に交差する点を点Cとする(図9(b)参照)。点Cはチャンネル方向にはnチャンネルとn+1 チャンネル、Z軸方向には1列目の上に存在する。点Cは明らかに最上端検出器列の中心Z座標より上側になる。そこで式(9)にしたがって、第1列と第2列のnチャンネルとn+1 チャンネルの4データを距離の逆比で外挿補間して逆投影データBack(I)を得る。
Figure 0003950101
交点が検出器の最下列のチャンネル中心より下側の場合も同様に外挿し、式(9)でZ(1)→Z(N),Z(2)→Z(N-1)にそれぞれ置換すれば良い。
これにより、検出器列1列分外挿補間する場合、ヘリカルピッチPは式(10)で定義でき、P=16.72mm とすることが可能であり、約22%大きくすることができ、撮影時間の短縮化を実現する。
P≦ Thick×((N+2i)/2-0.5)×(FCD-FOV/2)/FCD ×2.0 …(10)
ここでは式(10)でi=1として、検出器1列分外挿補間する場合を示したが、外挿補間の範囲はこれに限定されない。有効視野FOV端付近の画質劣化を許容できる場合には式(10)下線部の値をN+2,N+3,,,というように大きくして行けば良い。ただし余り大きな外挿補間はかえって画質を劣化させることがあるので、外挿逆投影データする範囲(境界)を予め決定しておき、ヘリカルピッチがその範囲を越えるときは、その範囲外には境界のデータを与えても良い。即ち、式(9)でZ(2),Z(1)に境界に対する値を入力しても良い。
ここでは距離の逆比で4データ線形外挿補間する方法を示したが、4データの非線形外挿補間、Z軸方向に3,4,,,N列分のデータを用いる6,8,,,2Nデータの線形、あるいは非線形外挿補間を採用してもよい。
さて、上記外挿補間処理においては交点が最端の検出器中心より外に存在するとき外挿補間を用いることを示したが、以下の方法でも良い。
(1)スキャン時に各ビューにおけるN列分のデータの上下に1列ずつダミーデータを持つ。
(2)各ビューにおけるN列分のデータを使って上下1列ずつのデータを外挿補間しておく。
例えばnチャンネルの第1,2 列目、第N-1,N 列目のデータから仮想的な第0,N+1 列のデータを下式(11)のように外挿する。
D(n,0) =2×D(n,1)-D(n,2)
D(n,N+1)=2×D(n,N)-D(n,N-1) …(11)
(3)(2)で計算した仮想的な検出器列、第0,N+1 列を含めて全部でN+2 列の検出器のデータと見なし、(1)記載の内挿補間処理を行って逆投影すべきデータを求める。
この外挿補間処理と内挿補間処理とを併用する方法によると、(2)の固定的な処理は汎用のハードウェアによって高速な処理が可能であり、(3)の内挿補間は(1)と同じ処理であることから、外挿補間用の特殊なハードウェアを持たずに安価な構成による実現が可能である。この例では上下に1列ずつ加えてN+2 列の仮想的検出器列を作成したが、更に仮想的検出器列数を増やすことで、式(10)N+1 をN+2,N+3,,,と大きくする場合にも対応できる。(1)は必ずしも必要でない。
以上(1)乃至(3)により、ヘリカルピッチを定めてスキャンを行い、投影データを所定の処理をして得たデータを補間して逆投影して画像再構成する。
(1)および(3)はヘリカルスキャンでなくコンベンショナルスキャンにおける Feldkamp 再構成にも適応できる。
(第2の実施の形態)
システム構成および(1)逆投影データの作成方法、(2)ビーム重複領域への2データ逆投影処理、(3)外挿補間処理とヘリカルピッチに関しては、第1の実施の形態と同じであり、説明は省略し、第1の実施の形態と相違する部分のみ説明する。
(4)ヘリカルピッチの決定方法
第1の実施の形態で記述した(2)ビーム重複領域への2データ逆投影処理では、k回転目とk+1回転目の2焦点からの2つの投影データを1つのボクセルに対して逆投影し、重み付け加算した。ここで4データの内挿補間あるいは外挿補間で仮想的に逆投影データを作成して逆投影する場合でも、投影データ又は逆投影データは、あくまで内挿補間あるいは外挿補外によって作成されるため、補間自体の誤差や、隣接するビューで補間に使う検出器列またはチャンネルを切り換える場合に発生する誤差があるため、わずかなアーチファクトが発生する。この切り換えに起因するアーチファクトを軽減するために、本実施の形態ではヘリカルピッチPを工夫する。
さてヘリカルピッチPを決定する際には、シングルスライスCTの習慣もあり、式(10)及び式(12)を満たすように決定する。
P = Thick ×I (Iは整数) …(12) 且つP ≦ Thick ×((N+2i)/2-0.5)×(FCD-FOV/2)/FCD×2.0 …(10)再掲 例えば第1の実施の形態の条件下ではP=16mmになる。
しかし式(12)のようにヘリカルピッチが基本スライス厚の整数倍の場合、切り換えを、1回転 360°を整数分割したタイミングで行うため、何回転目でも常に同じ位相で同様の現象が発生してしまう。例えば図10はあるボクセルに対する逆投影のために投影データを4点内挿補間で求める際に用いる検出器列の切り換えによるギャップの影響を示している。図10(a)が再構成面より下側のX線焦点F(N)による切り換えによるギャップが生じる角度(方向)であり、図10(b)が1回転後の上側の焦点F(N+1)による切り換えギャップである。同じ位相(回転角)で切り換えが発生しており、同じ方向に誤差を含んだ逆投影が行われるためアーチファクトが重ね合わされ、2焦点からの2つのデータを1つのボクセルに逆投影して重み付け加算するにも関わらず、アーチファクトが弱まることがない。重み付け加算した結果を図10(c)に示す。
そこで、第2の実施の形態では、ヘリカルピッチを式(10)及び式(13)を満たすように決定する。
P = Thick ×X (Xは整数でない) …(13) 且つP ≦ Thick ×((N+2i)/2-0.5)×(FCD-FOV/2)/FCD×2.0 …(10)再掲 つまり、ヘリカルピッチを基本スライス厚の非整数倍に設定する。
このとき、前述の切り換えによるギャップの方向は、図11のようになる。図11(a)が再構成面より下側のX線焦点によるもの、図11(b)が上側のX線焦点によるもの、図11(c)が重み付け加算結果である。上側と下側でアーチファクトの切り換えが発生する方向がずれたことで、互いに相殺し合い、明らかにアーチファクトが弱められている。
なお、ヘリカルピッチは上述した条件に限定されるものではない。“切り換えが発生する位相が再構成面を挟み上下でずれるように決定すること”が重要であり、少なくとも“ヘリカルピッチが基本スライス厚の非整数倍である”という条件が重要である。
例えばフアンビーム再構成で良く知られているように、180゜+ファン角度のいわゆるハーフ再構成をこのFeldkamp再構成と組み合わせる場合には、式(10)は必要条件ではない。式(13)の条件が本質的である。
また、通常臨床現場において有効視野FOVは撮影対象部位によって、腹部はMサイズ、頭部はSサイズ、というように変える。ヘリカルピッチの条件式(10)のFOVは後者の文献ではW=FOV/2=120mm で固定されていたが、固定でなく、撮影対象部位のFOVサイズに対応して可変とする。これにより、撮影領域が小サイズのときは大きなヘリカルピッチで送ることが出来る。
例えば、FOVサイズを240mmから120mmにした場合、360゜再構成の場合、式(10)によるとPの上限は16.72mmから19.36mmになり、式(13)から適切な値を選ぶとPは16.5mmから18.5mmに変更される。あるいは逆に、へリカルピッチからFOVサイズを決定しても良い。
以上のように決定したヘリカルピッチでヘリカルスキャンを行い、第1の実施の形態と同様の手法で画像再構成する。
(第3の実施の形態)
システム構成、(3)外挿補間処理とヘリカルピッチ、(4)ヘリカルピッチの決定方法に関しては第1、第2の実施の形態と同様とする。
(5)逆投影データの作成方法
投影データの重み付け、関数とのコンボリューションは従来で掲げた文献と同様とする。
第1の実施の形態の(1)では主に4データの線形補間による逆投影データの作成方法に関して詳しく説明した。第3の実施の形態では非線形補間によって逆投影データを作成する方法について詳しく記述する。
非線形補間の重み係数曲線はガウス関数、三角関数、高次関数など無数に存在するが、ここでは比較的単純な方法を説明する。
(1)再構成するボクセルVのZ軸方向のサイズをHvとする(図12参照)。 (2)ボクセルVの中心VcからZ軸方向に上下に等間隔ΔZに並ぶ点J個を考える。
ここではΔZ=Hv/J,J=5とする。上からMicroV(1), MicroV(2),,, と称する。
(3) (2)で想定したJ個の点のうち最も上にあるMicroV(1) を考える。あるビューIにおいて、X線焦点と点 MicroV(1)を結ぶ直線を延長して検出器面と交わる点に最も近い2列2チャンネルの計4データを用いて4データの線形補間を行い、MicroV(1)に逆投影してBack−MicorV(I,1)を得る。
(4)全てのMicroV(J)に関して上と同様に逆投影し、それぞれBack−MicroV(I,J)を得る。
(5)式(14)にしたがって、全てのMicroV(J)に対して逆投影された値Back−MicroV(I,J)を加算平均し、ボクセルVへの逆投影された値Back(I)とする。
(全てのJ)
Back(I)= Σ Back−MicroV(I,J)/J …(14)
以上により、線形補間のみが可能な安価なシステム構成、ハードウェア構成で複雑な非線形補間を行うことが可能である。またこの補間方法によれば、ボクセル中心を通過した直線上のデータを逆投影するのではなくボクセル全体を通過したビームを逆投影することになり、ビームの広がりを考慮したより精度の高い方法といえる。
結果として、図13に示すように、ボクセルを通過したX線ビームの広がり、つまりボクセルの位置(焦点からの距離)に依存して2列から4列の投影データを適当に用いて1ボクセルの逆投影データを作成することになる。
上記(2)においてボクセルVを等間隔に分割したが、必ずしも等間隔である必要はない。また分割数J=5 としたが、分割数は任意である。また(3)において4データの線形補間を用いたが、これに限定されるものではなく、いかなる補間方法でも良い。また(5)においてはボクセルVへの逆投影値を求めるときに加算平均を行ったが、重み付き加算などを用いても良い。(2)の分割間隔と分割数を変え、(5)で重み付き加算を行うことでより複雑な非線形補間を行うことができる。
また上記ではJ点に関して各々4点線形補間を行って逆投影したが、焦点とボクセル中心を結ぶ直線の延長と検出器面との交点位置とボクセルの位置から、図13のような位置依存性によるビームの広がりを考慮した関数を用いて非線形補間しても良い。ある検出器列に対する重みWt(ある検出器)の式(15)は交点位置とボクセルの位置の関数となり、次のように与えられる。
Wt(ある検出器列)=F(交点位置、ボクセルの位置) …(15)
または、位置依存性を無視することで簡略化し、次の式(16)を適用しても良い。このとき、回転中心における式(15)の重みに等しくなるようにすると画質劣化が目立たなくなる。
Wt(ある検出器列)=F(交点位置) …(16)
例えばあるボクセルに逆投影するときに、交点位置から第1〜第N列までの重みが式(16)で次のように求まったとする。
Wt(1)=0.0,Wt(2)=0.0,Wt(3)=0.3,Wt(4)=0.6,Wt(5)=0.1,Wt(6)=Wt(7)=… Wt(N)=0.0
チャンネル方向の重みをWt −CHとするとき、逆投影するデータは次の式(17)で与えられる。
(全ての列N)
Back(I) = Σ Wt(N)・[Wt - CH・D(n,N)+(1-Wt - CH)・D(n+1,N)]
=Wt- CH・[Wt(3)・D(n,3)+Wt(4)・Dn,4)+Wt(5)・D(n,5)]
+(1-Wt- CH)・[Wt(3)・D(n+1,3)+Wt(4)・D(n+1,4)+Wt(5)・D(n+1,5)]
…(17)
また最初の方法において各点に対する逆投影における重みはほとんど同じであることから、逆投影前にデータを加算平均しても良い。即ち、(1),(2)の処理を同様に行ったあと、
(3)(2)で想定したJ個の点のうち最も上にあるMicroV(1)を考える。あるビューIにおいて、焦点と点MicroV(1)を結ぶ直線を延長して検出器面と交わる点に最も近い2列2チャンネルの計4データを用いて4点線形補間を行い、Pre - Back- MicroV(I,1)を得る。
(4)全てのMicroV(J)に関して上と同様に4点線形補間し、各々Pre - Back- MicroV(I,I)を得る。
(5)全てのMicroV(J)に関するPre - Back- MicroV(I,J)を加算平均し、ボクセルへ逆投影する値Pre - Back(I)とする。
(6)上のPre - Back(I)を逆投影してボクセルVへ逆投影された値Back(I)とする。
これによって、逆投影する計算時間を大幅に短縮でき、しかも逆投影を全MicroV(J)に行わず、1回で済ます誤差はほとんど無視できる。ただし、上でも必ずしも加算平均である必要はなく重み付き加算などでも良い。
(6)2データ逆投影方法2
360°分の再構成開始角と終了角の方向に大きなギャップが存在するため、画像上に明瞭なストリークが発生するという問題があった。またビーム重複領域への2データ逆投影法を行うとノイズの少ない濃度分解能の良い画像になるかわり、コーン角の大きい斜行したデータを用いるために実効スライス厚がやや厚めになる。臨床現場ではノイズより実効スライス厚の薄さが優先されることもあり、その方法を説明する。
XY面に対するX線ビームの角度、つまりコーン角の小さいX線ビームだけを逆投影できれば実効スライス厚は薄くなる。したがってK回転目とK+1 回転目のX線焦点F(k)とF(k+1)からのX線ビームの重複領域内のごく限られた領域(Border Area)、つまりK回転目とK+1 回転目のX線焦点F(k)とF(k+1)各々からのX線ビームのコーン角の略同一となる領域内のボクセルに対しては2データを逆投影し、重複領域外のボクセルに対しては例え2つのX線ビームが重複していても、コーン角の小さいX線ビームの投影データだけを選択的に採用して逆投影する。
図15(a)はBorder Area の一例を示す。このとき、重複領域内であってBorder Area 外の一方の領域A内のボクセルへはコーン角の小さい焦点F(k+1)からのX線によって得られた投影データを逆投影し、重複領域内であってBorder Area 外の他方の領域B内のボクセルへはF(k)からのX線によって得られた投影データを逆投影する。ただし2つの焦点からのコーン角がほぼ等しいBorder Area 内のボクセルへは2つの焦点F(k)およびF(k+1)からそれぞれ再構成点へ逆投影してBack(I,k),Back(I,k+1)を得、各々を重み付け加算あるいは加算平均して再構成点への逆投影値Back(I)を得る。
図15(b)のように、ある再構成平面を考えると、再構成平面を挟む上下の焦点のコーン角の差が大きいときはコーン角の小さいビームだけを逆投影し、差が小さいときは上下両方の焦点から逆投影して重み付け加算することになる。すなわち360 °分の投影データで1枚の断層像を再構成をするのではなく、ややオーバーラップした360 °+αのデータを用いて重複領域は重み付け加算して360 °の再構成データを作成し、1枚の断層像を再構成することになる。重み付け加算を行う場合、重みはこの角度に対応して線形あるいは非線形に変化させると良い。
ここで角度に対応した重み付けについて説明する。図23は図15(b)で、横軸の角度で収集されたデータを縦軸の重みで逆投影することを示した図である。図23(a)は参考に示した図であり、従来の逆投影法で重複領域でもコーン角の小さい方のデータを選択して逆投影する方法である。逆没影する角度は2πすなわち360°である。図23(b)および図23(c)は重複角をαとし、2回転で得られたデータを重み付けして逆投影する方法である。図23(b)は線形な重み付けであり、図23(c)は非線形な重み付けである。ギャップの影響を抑制するという目的から、重み自体が連続、かつ重みの1次微分も連続かつ1次微分の最大値が最小になるような非線形な重み関数が理想的である。
これにより、再構成開始角と終了角の方向に発生した明瞭なアーチファクトを消去あるいは減弱できる。
Border Area の形状、重複領域の範囲(角度)は上に限定されず、図14のように平面内位置依存性があってもよい。また重複領域では2つのビームは線形又は非線形重み付け加算に限定されない。重み一定の重み付け加算でも良いし、加算平均でも良い。
また、上において2つの(逆投影される)コンボリューションされたデータD(チャンネル,列)を逆投影してBack(I,k)とBack(I,k+1)を得た後、それぞれを重み付け加算したが、重み付け加算後に逆投影しても良い。即ち、式(4)、(5)を変形した式(7)を採用する。
D'(I) =β・D(k)+(1-β)・D(k+1)
Back(I) =1/W2 ・D'(I) …(7)再掲
X線が2回重複して照射される領域の2種類の重み付け方法の違いについて再度説明する。
(1)ある角度のデータに対して、スライス面内の各ボクセルの重みは位置依存あり、図14で記述した方法について説明する。例えば図24(a)の同一アキシャル面内にある(すなわちZ座標か同一の)2つのボクセルV1とV2を考える。ボクセルV1とV2には、F(k) とF(k+1) の2つの焦点からX線ビームか照射される。
このときボクセルV1を通りZ軸(回転軸)に平行な直線L(V1)を考えこの直線L(V1)とF(K) およびF(K+1) から照射されるX線ビームの端との交点を、DおよびCとする。このとき、この直線上の各ボクセル焦点F(K) のデータを逆投影するときの重みW(k) は、図24(b)のようになる。同様に、焦点F(k+1) のデータを逆投影するときの重みW(k+1) は図25(c)である。
同様にボクセルV1と同一のアキシャル面内にある(すなわちZ座標が同一の)ボクセルV2を通る直線上のボクセルへの焦点F(k) ,F(k+1) の重みW(k) ,W(K+1) は、図24(d)のようになる。図24(b)と図24(d)で示されるようにV1とV2の重みW(k) は異なり、すなわち、同じ焦点から得られたデータを同一のアキシャル面内に逆没影する場合であっても、ボクセルと焦点のアキシャル面内の位置関係に依存して逆投影するときの各々のビームの重みが異なることになる。
(2)ある角度のデータに対して、スライス面内の全ボクセルの重みが同一
図15で記述した方法について説明する。図26(a)は同一アキシャル面にあるボクセルV1とV2、およびそれらとは異なるアキシャル面にあるボクセルV3を考える。3つのボクセルいずれにも、2つの焦点F(k) およびF(k+1) からのX線ビームか照射されている。
この方法では前述のように重複した領域の限定された領域だけに2つのビームを逆没影するのでボクセルV3はコーン角の小さい方の焦点泣置で得られた投影データに基づく逆投影データのみが逆没影される。
次に、ボクセルV1を通りZ軸に平行な直線L(V1)を考え2つのデータを重複して逆投影する領域を図25(a)のBorder Area として設定し,この直線L(V1)とBorder Area との交点をB1およびB2とする。このとき、この直線上の各ボクセルへ焦点F(k) のデータを逆没影するときの重みW(k) は、図25(b)のようになり、焦点F(k+1) のデータを逆投影するときの重みW(k+1) は図25(c)のようになる。2つのデータが重み付けされて逆投影される領域か図24と異なることに注目されたい。
またボクセルV1と同一のアキシャル面内にある(すなわちZ座標か同一の)ボクセルV2を通る直線上のボクセルへの焦点F(k) ,F(k+1) ) の重みW(k) ,W(k+1) も、同様にBorder Area との交点から、図25(d)のようになる。これはボクセルV1に対する重み図25(b)と同じである。つまり重みが(1)のようにビームの広がりに依存しない、つまりアキシャル面内のボクセルの位置に依存しないので、同一のアキシャル面内の全ボクセルに対して逆投影するときの2つのビームの重みが同一になる。
つまり、図15(b)あるいは図23のような角度による重み表現が可能になる。これはハードウェアで実現する際に簡便な構成で実現可能であることを示し、またコーン角の大きいデータを画像再構成に利用しないことになるので、画質も向上する。
以上説明したシステム構成で、(3)外挿処理とヘリカルピッチ、(4)ヘリカルピッチの決定方法2で決定されたヘリカルピッチでスキャンし、(1)逆投影データの作成方法で逆投影するデータを作成し、(6)2データ逆投影方法2で逆投影して画像を再構成する。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
第1の実施の形態によるX線コンピュータ断層撮影装置の構成図。 図1のガントリの外観図。 図1の2次元アレイ型X線検出器の斜視図。 各種パラメータの説明図。 ヘリカルピッチの説明図。 計算上のX線パスの説明図。 内挿補間処理の説明図。 重複領域内のボクセルで交差するX線パスを示す図。 外挿補間処理の説明図。 従来の補間に用いる投影データのk回転目とk+1回転目の切り換えによるアーチファクトの発生に関する説明図。 第2の実施の形態による補間に用いる投影データのk回転目とk+1回転目の切り換えによるアーチファクトの軽減に関する説明図。 第3の実施の形態による非線形補間で適用されるボクセルVの中心VcからZ軸方向に上下に等間隔ΔZに並ぶ点J個を示す図。 第3の実施の形態による非線形補間に使われる投影データとボクセルの位置との関係を示す図。 重複領域内のBorder Area を示す図。 Border Area の形状、重複領域の範囲の平面内位置依存性の説明図。 1次元アレイ型X線検出器の斜視図。 コンベンショナルスキャンとヘリカルスキャンの説明図。 基本スライス厚の説明図。 コーンビームスキャンの説明図。 従来の重複領域内ボクセルに対する投影データの取り扱いの説明図。 重複領域を示す図。 従来のヘリカルピッチの決定方法の説明図。 角度変化に対する重み関数を示す図。 ボクセルと焦点のアキシャル面内の位置変化に対する重み関数を示す図。 Border Area に対応する重み関数を示す図。
符号の説明
1…ガントリ、2…回転リング、3…X線源、4…X線フィルタ、5…2次元アレイ型X線検出器、6…寝台、7…高圧発生器、8…X線制御器、9…架台寝台制御器、10…システム制御器、1…データ収集部、12…再構成処理部、13…表示装置。

Claims (6)

  1. 被検体の体軸方向に広がりを持つX線を発生するX線源と、検出素子が被検体の体軸方向に沿って複数列配列されたX線検出手段と、X線源と被検体との相対移動と相対回転運動によってらせん状スキャンをし、収集したデータを処理し、処理したデータを逆投影することにより画像を再構成する再構成手段とを有するX線コンピュータ断層撮影装置において、
    前記再構成手段は、特定のボクセルの逆投影データを、前記特定のボクセルの中心とX線焦点とを結ぶ計算上のX線パスと前記複数配列された検出器素子により構成される検出器面との交点の周囲で実測された複数の投影データに基づいて求めることを特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置。
  2. 前記特定のボクセルの逆投影データを求めるために用いる複数の投影データを前記X線焦点又はビュー毎に決定することを特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  3. 前記特定のボクセルの逆投影データを、前記X線焦点と前記特定のボクセルの中心とを結ぶ計算上のX線パスと前記複数配列された検出器素子により構成される検出器面との交点の周囲で実測された複数の投影データに基づいて求めることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  4. 前記再構成手段は、複数回転のビームが照射される領域の一部あるいは全部について、同位相で異回転の複数のデータから逆投影データを得て、逆投影することを特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  5. 前記再構成手段は、前記重複領域中の一部の領域は、同位相で異焦点位置の複数のデータを用いて逆投影データを得、前記重複領域中の前記一部の領域を除く領域は1焦点位置のデータを用いて逆投影データを得ることを特徴とする請求項4記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  6. 前記再構成手段は、前記重複領域について、360度より多い投影データを重み付け加算して360度分のデータを得、このデータに基づいて画像を再構成することを特徴とする請求項4又は5記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
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