JP2021007502A - 医療用膨張・収縮駆動装置 - Google Patents

医療用膨張・収縮駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】心拍数に依存することなく、バルーン内圧調整のための圧力監視を常時実行できる、圧力監視機能の十分な医療用膨張・収縮駆動装置を提供する。【解決手段】バルーン1内に連通するガス圧力室11内のガスをバルーン膨張方向および収縮方向に移動操作する圧力伝達隔壁装置10と、圧力伝達隔壁装置10に印加する駆動圧を入力信号に応じて変化させ、ガスの移動操作方向を切り替えるポンピング駆動機構13と、移動操作中のガスの流れを補助タンク41側のガスにより調節するガス流調節部59と、バルーン1の内圧を調整操作するための操作信号を入力する調整操作入力部71とを備えた医療用膨張・収縮駆動装置であり、補助タンク41の内圧を測定する圧力センサ55と、調圧期間中に測定される補助タンク41の内圧をバルーン内圧調整のための監視圧力P2として表示する表示出力部65とを設けている。【選択図】図1

Description

本発明は、医療用膨張・収縮駆動装置に関し、特に補助循環法による循環器系の機能補助装置の駆動に好適な医療用の医療用膨張・収縮駆動装置に関する。
医療用の医療用膨張・収縮駆動装置、例えば大動脈内バルーンポンピング(以下、IABPという)駆動装置は、循環器系疾患の治療現場において心臓のポンプ機能の低下や不全を一時的に補う機能補助装置に使用されている。
このような医療用膨張・収縮駆動装置においては、心臓拡張期のバルーン膨張により冠動脈血流量の増加および心筋への酸素供給量増加を図るとともに、心臓収縮期のバルーン収縮により心臓の血液駆出量の増加および心筋の酸素消費量の減少を図ることから、バルーンの膨張・収縮の駆動が患者の心臓の拡張や収縮に対して適切なタイミングおよび圧力で行われていることを画面表示等により監視できることが望ましい。
そこで、従来、バルーンカテーテルのバルーン内圧を測定する測定部と、バルーン内圧を調整するための操作信号を入力するための入力部と、操作信号に応じてバルーンを膨張させるためのシャトルガス量を調整して膨張状態のバルーン内圧を調整する調整部と、測定部で測定されたバルーン内圧におけるプラトー圧(バルーンが膨らみきったときの圧力)をバルーンの駆動中に数値表示する表示部とを有するIABP駆動装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2018−143540号公報 国際公開第2011/114779号
しかしながら、前述のような従来の医療用膨張・収縮駆動装置にあっては、例えばバルーンカテーテル側に装着した圧力センサによって、バルーン内圧を測定し、バルーン内圧におけるプラトー圧を数値表示していた。
そのため、入力信号を左右する心拍数が異常に高くなると、バルーン内圧を調整するために監視すべき圧力、すなわち、バルーン内圧におけるバルーン膨張時の圧力に相当するプラトー圧が監視し難くなるということが懸念される。
すなわち、バルーン内圧におけるプラトー圧は、心拍数が通常範囲内であれば、バルーン内圧の表示波形中に肩状の波形部分として現れるところ、心拍数が異常に高くなると、駆動側からバルーン内方側への圧力伝播時間が短くなること等から、バルーン内圧の表示波形中に肩状の波形部分が現れず、プラトー圧が出現し難くなる。よって、バルーン内圧を調整するための圧力監視が心拍数に依存したものとなってしまい、圧力監視機能が十分とは言えないという問題があった。
本発明は、このような従来の問題を解消すべくなされたものであり、心拍数に依存することなく、バルーン内圧を調整するための圧力監視を常時実行することができる、圧力監視機能の十分な医療用膨張・収縮駆動装置を提供することを目的とする。
本発明の医療用膨張・収縮駆動装置は、上記目的達成のため、膨張および収縮が可能な被駆動機器内に連通するガス圧力室内のガスを前記被駆動機器の膨張方向および収縮方向に移動操作するガス操作部と、前記ガス操作部に印加する駆動圧を入力信号に応じて変化させ、前記ガスの前記移動操作の方向を切り替える操作圧切替機構と、前記ガス操作部により前記移動操作がなされたときに前記ガス圧力室に連通する補助タンクを有し、前記ガス操作部による前記移動操作中のガスの流れを前記補助タンク側のガスにより調節し、前記被駆動機器の内圧を所定の調圧期間中に変動収束方向に調圧するガス流調節部と、前記被駆動機器の内圧を調整操作するための操作信号を入力する調整操作入力部と、を備えた医療用膨張・収縮駆動装置であって、前記補助タンクの内圧を測定するガス圧測定部と、前記調圧期間中に前記ガス圧測定部で測定される前記補助タンクの内圧を、前記被駆動機器の内圧調整のための監視圧力として表示する圧力表示部と、を設けたことを特徴とする。
この構成により、本発明では、ガス操作部によりバルーンの膨張方向に移動操作されるガス圧力室内のガスの流れがガス流調節部の補助タンク側からのガスにより調節されて、所定の調圧期間中において変動収束方向に調圧されたとき、その補助タンクの内圧が、ガス圧測定部により測定され、バルーン内圧を調整するための監視圧力として圧力表示部により数値表示される。したがって、バルーンの内圧調整のための監視圧力が心拍数に依存するものでなくなり、心拍数が異常に高くなったとしても、監視圧力波形中に肩状の波形部分としてプラトー圧が測定され、その結果プラトー圧を数値表示することが可能となり、十分な圧力監視機能が担保されることとなる。
本発明の医療用膨張・収縮駆動装置において、前記圧力表示部は、前記ガス操作部により前記ガス圧力室内のガスが前記被駆動機器の膨張方向に移動操作されたときに前記ガス圧力室に連通する前記補助タンクの内圧を所定時間保持し、前記監視圧力として表示する構成とすることができる。補助タンクの内圧の保持およびその保持時間設定は、例えば補助タンクとガス圧力室の間の連通状態を変化させる弁手段の開閉により設定可能である。
また、本発明の医療用膨張・収縮駆動装置において、前記ガス流調節部は、前記ガス操作部により前記ガス圧力室内のガスが前記被駆動機器の膨張方向に移動操作されたとき、前記被駆動機器の膨張方向に移動操作される前記ガス圧力室内のガスの流れを前記補助タンク側からガスの流入により調節して前記被駆動機器の内圧を所定の膨張側調圧期間中に変動収束方向に調圧する一方、前記ガス操作部により前記ガス圧力室内のガスが前記被駆動機器の収縮方向に移動操作されている間に、前記被駆動機器の収縮方向に移動操作される前記ガス圧力室内のガスの流れを前記補助タンク側のガスにより調節して前記被駆動機器の内圧を所定の収縮側調圧期間中に変動収束方向に調圧する構成とすることができる。
さらに、本発明の医療用膨張・収縮駆動装置において、前記圧力表示部は、少なくとも前記所定の膨張側調圧期間における前記補助タンクの内圧を前記監視圧力として数値表示するとともに、前記ガス圧力室の内圧の測定波形を表示する構成とすることができる。
加えて、本発明の医療用膨張・収縮駆動装置において、前記ガス流調節部は、前記補助タンクの内圧を選択的に減圧する減圧手段を有している構成とすることができる。
本発明によれば、心拍数に依存することなく、バルーン内圧を調整するための圧力監視を常時実行することができる、圧力監視機能の十分な医療用膨張・収縮駆動装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置および同装置でポンピング駆動される大動脈内バルーンポンピングカテーテルの全体略図である。 本発明の一実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置における駆動圧の変化とその圧力の調整操作の手順を示すタイミングチャートである。 本発明の一実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置におけるバルーンポンピング時のバルーン内圧の変動波形を実線で示すとともに、そのバルーンポンピング時の補助タンク内圧の変化を仮想線で示し、バルーン内圧の監視圧力波形中に肩状に現れるプラトー圧が略同時期の補助タンク内圧の測定値と近似し、かつ両圧力の波形が同測定値付近で交差することを示す説明図である。同図中の縦軸は圧力を、横軸は時間を示す。 本発明の一実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置におけるバルーンポンピング時のバルーン内圧の変動波形を実線で示すとともに、そのバルーンポンピング時の補助タンク内圧の変化を仮想線で示し、バルーン内圧の監視圧力波形中で視認し難いプラトー圧付近の測定値と略同時期の補助タンク内圧の測定値とが近似し、かつ両圧力の波形が同測定値付近で交差することを示す説明図である。同図中の縦軸は圧力を、横軸は時間を示す。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。
(一実施形態)
図1ないし図4は、本発明の一実施形態に係る医療用膨張・収縮駆動装置の構成を示しており、本発明を一例の被駆動機器である大動脈内バルーンポンピングカテーテルのバルーンポンピング(IABP(intra-aortic balloon pumping))に使用する場合を例示している。
まず、その構成について説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態の医療用膨張・収縮駆動装置は、大動脈内バルーンポンピングカテーテル2(以下、単にカテーテル2という)が配管を介して着脱可能な圧力伝達隔壁装置10を有している。
この圧力伝達隔壁装置10は、配管を介してカテーテル2のバルーン1(被駆動機器)に連通可能なガス圧力室11を形成する圧力容器12と、圧力容器12内にガス圧力室11とは別に形成されてポンピング駆動機構13からの圧力を導入する駆動圧室14とを有している。
ガス圧力室11は、カテーテル2が圧力伝達隔壁装置10に接続されたとき、圧力容器12の二次配管系側の連通孔12aを介してカテーテル2の基端側から先端側のバルーン1内に連通するようになっている。このガス圧力室11には、後述する補充装置30から補助装置40を介して所定のガス、例えばヘリウムガスが供給されるようになっている。なお、圧力容器12のガス圧力室11とカテーテル2のバルーン1とを連通させる、医療用膨張・収縮駆動装置内の配管およびカテーテル2の管状部分を総称して、二次配管系と称するものとする。
圧力容器12は、例えば略円板状の中空容器で、内蔵するダイヤフラム15によってその両面側の2室であるガス圧力室11と駆動圧室14とを仕切るとともに、ガス圧力室11と駆動圧室14の間での圧力伝達が可能なように構成されている。
そして、圧力伝達隔壁装置10は、駆動圧室14側からの駆動圧をダイヤフラム15が受圧して弾性変形するとき、ガス圧力室11がそのダイヤフラム15の弾性変形に応じてガス収容可能な容積を変化させることで、ガス圧力室11内のガスをダイヤフラム15を介してバルーン1の膨張方向および収縮方向に移動操作することができるガス操作部として機能する。この圧力伝達隔壁装置10は、バルーン1の膨張・収縮状態を特定するカテーテル2内のヘリウムガスの圧力および量を変化させ得るようになっている。
ポンピング駆動機構13は、図1中の右側に位置するガス圧力室11内のヘリウムガスに対し、ダイヤフラム15を介し駆動圧室14側から所定の操作流体、例えば空気によって陽圧および陰圧を交互に印加することができるようになっている。
具体的には、ポンピング駆動機構13は、陽圧駆動バルブ21を介して駆動圧室14に断接可能に接続される陽圧タンク22と、この陽圧タンク22内に所定の基準圧より高圧の陽圧を蓄圧可能な吐出圧で操作流体を吐出する陽圧ポンプ23と、陽圧ポンプ23から陽圧タンク22への供給流体圧を所定の陽圧値に調圧するレギュレータバルブ24と、陰圧駆動バルブ26を介して駆動圧室14に断接可能に接続された陰圧タンク27と、吸入口(陰圧口)側で可変絞り弁28を介して陰圧タンク27に接続された陰圧ポンプ29と、陽圧タンク22および陰圧タンク27における陽圧および陰圧をそれぞれ駆動圧室14に伝達するための接続を行う配管(一次配管系)と、図示しない複数の圧力調整用バルブ等を含んでいる。なお、ここでの基準圧は、例えば心臓の収縮期の血圧より低い一定圧力である。
補充装置30は、ヘリウムガスボンベ等のガス供給源31からレギュレータバルブ32および第1電磁切換バルブ33を介して補充タンク34に蓄圧可能に供給したヘリウムガスを、カテーテル2内に補充すべく、この補充タンク34から第2電磁切換バルブ35を介して補助装置40側に供給するようになっている。
補助装置40は、補充装置30から補充されるヘリウムガスを蓄圧可能に収容する補助タンク41と、補助タンク41からガス圧力室11もしくはカテーテル2内(圧力容器12の二次配管系側)にヘリウムガスを選択的に補充可能な補助バルブ42と、補助タンク41に接続されて補助タンク41から真空タンク44内にガスをパージ(排気)させるパージバルブ43とを有しており、補充装置30からカテーテル2への補充ガスの流れを補助できるようになっている。
ここで、補助タンク41は、そのタンク内圧と二次配管系との圧力差に応じて、二次配管系内にタンク内のヘリウムガスの一部を補充したり、二次配管系からタンク内にヘリウムガスの一部を戻したりすることができる三次ヘリウムタンクであり、補助バルブ42を介して二次配管系に接続される。
また、カテーテル2もしくは圧力伝達隔壁装置10には、二次配管系内のガス圧力を検知する圧力センサ51が装着されており、補助装置40の補助タンク41には、そのタンク内圧を検知する圧力センサ55が装着されている。さらに、ポンピング駆動機構13の陽圧タンク22および陰圧タンク27や、補充装置30の補充タンク34等には、それぞれの内圧を検知する圧力センサ52、53、54等が装着されている。そして、ポンピング駆動機構13、補充装置30および補助装置40の作動制御は、陽圧ポンプ23および陰圧ポンプ29の作動や複数のバルブ21、26、33、35、42、43等の弁開閉をコントローラ60により制御することで、達成されるようになっている。
コントローラ60は、内蔵する複数の制御プログラムに対応する複数の機能部として、入力監視制御部61、情報出力制御部62、ポンピング駆動制御部63およびガス補充制御部64を有している。また、コントローラ60には、複数の圧力センサ51−55等がそれぞれの圧力情報を取り込み可能に接続されるとともに、調整操作入力部71、警報解除操作部72、血圧変動測定器73および心電計測器74がそれぞれ信号授受可能に接続されている。
さらに、コントローラ60には、画像や数値などの画面表示出力が可能な表示出力部65(圧力表示部)と、光や音声情報による警報出力部66とが接続されている。
具体的には、コントローラ60は、マイクロプロセッサ等で構成され、記憶格納された制御プログラムに従って装置各種の演算処理を実施することにより、入力監視制御部61による各種入力情報の監視や計算、情報出力制御部62による表示や警報出力の制御、ポンピング駆動制御部63によるバルーン1のポンピング(膨張および収縮)駆動の制御、ガス補充制御部64によるガス補充の制御を実行させるようになっている。
また、入力監視制御部61に取り込まれる各種入力情報は、それぞれ図示しない入力インターフェースを介して取り込み可能な信号形態に変換され、情報出力制御部62、ポンピング駆動制御部63およびガス補充制御部64から出力される各種制御信号は、図示しない出力インターフェースやドライバ回路によって必要な制御信号形態に変換されるようになっている。
より具体的には、入力監視制御部61は、複数の圧力センサ51−55等からの圧力情報や血圧変動測定器73および心電計測器74等の測定情報に基づき、必要な入力情報、例えば心拍数、収縮期圧、拡張期圧、平均圧、オーグメンテーション圧等を算出する。
情報出力制御部62は、入力監視制御部61での監視情報や算出情報を基に、表示出力部65および警報出力部66から出力すべき画面表示や数値表示、警報出力情報等を生成するようになっている。
ポンピング駆動制御部63は、予め設定された監視圧力や、調整操作入力部71からの調整操作入力に応じたポンピング駆動圧の調整比(アシスト比)や駆動タイミング等の設定条件をメモリに記憶しており、それらの記憶情報を基にポンピング駆動機構13の作動を制御するようになっている。そして、そのポンピング駆動制御部63の機能で、陽圧駆動バルブ21、陰圧駆動バルブ26、陽圧ポンプ23および陰圧ポンプ29等を制御することにより、ガス圧力室11内のヘリウムガスにダイヤフラム15を介し陽圧および陰圧を交互に印加できるようになっている。
また、ポンピング駆動制御部63は、その制御プログラムに従って心電波形や動脈圧波形における所定の信号変化をトリガ(例えば、心電図トリガ)として検出し、そのトリガを基準として陽圧駆動バルブ21および陰圧駆動バルブ26を交互に開弁させるようになっている。
さらに、ポンピング駆動制御部63は、陽圧駆動バルブ21および陰圧駆動バルブ26の交互の開弁作動により、ガス圧力室11内のヘリウムガスに対し所定のタイミングおよび時間の陽圧および陰圧を印加することで、心拡張期開始時における大動脈弁の閉鎖と同時にバルーン1を膨張させたり、拡張末期動脈圧が最低値を示すタイミングでバルーン1を収縮させたりすることができるようになっている。
ポンピング駆動制御部63は、具体的には、ポンピング駆動機構13の陽圧駆動バルブ21の開弁により、ダイヤフラム15を内蔵する圧力容器12を介して二次配管系内に陽圧の印加を開始した時点(陰圧から陽圧への切換え時点)から第1の所定時間、例えば150msec程度が経過した後に、陽圧駆動バルブ21を閉弁させる。また、ポンピング駆動制御部63は、前述の陽圧の印加を開始した時点から第2の所定時間、例えば160msec程度の経過後(すなわち、陽圧駆動バルブ21の閉弁時点から10msec程度後)に補助バルブ42を開き、次の切換えである陽圧から陰圧への切換えの前、例えば次の切換えの10msec程度前に補助バルブ42を閉弁させる制御を実行する。
陽圧タンク22内の陽圧が補助タンク41内の内圧より高い圧力であることにより、陽圧駆動バルブ21が開弁し二次配管系に陽圧が印加される状態下で補助バルブ42が開弁すると、二次配管系内に加えて補助タンク41内のヘリウムガスにも陽圧が印加され、二次配管系内のヘリウムガスの圧力が陽圧駆動直後のピーク圧より低下して収束する。したがって、心拍数が通常範囲内であれば、バルーン1が膨張しきるときのバルーン内圧であるプラトー圧は、図3に示すように、バルーン内圧の表示波形P3(以下、単にバルーン内圧ともいう)中に或る圧力P4付近で収束し、次の切換えまでその圧力P4付近で略一定圧状態となる肩状の波形部分として現れる。
同様に、ポンピング駆動制御部63は、ポンピング駆動機構13の陰圧駆動バルブ26を開弁により、ダイヤフラム15を内蔵する圧力容器12を介して二次配管系内に陰圧の印加を開始した時点(陽圧から陰圧への切換え時点)から第3の所定時間、例えば150msec程度が経過した後に、陰圧駆動バルブ26を閉弁させる。また、ポンピング駆動制御部63は、前述の陰圧の印加を開始した時点(陽圧から陰圧への切換え時点)から第4の所定時間、例えば160msec程度が経過した後(すなわち、陰圧駆動バルブ26の閉弁時点から10msec程度後)に補助バルブ42を開き、次の切換えである陰圧から陽圧への切換えの前、例えば次の切換えの10msec程度前に補助バルブ42を閉弁させる制御を実行する。
陰圧タンク27内の陰圧が補助タンク41内の内圧より低い圧力であることにより、陰圧駆動バルブ26が開弁し二次配管系に陰圧が印加される状態下で補助バルブ42が開弁すると、二次配管系内の圧力は、補助タンク41によるヘリウムガスの補充量に応じて上昇する。したがって、心拍数が通常範囲内であれば、バルーン1が収縮しきるときのバルーン内圧は、図3に示すように、バルーン内圧の表示波形P3中に次の切換えまで基準圧P1付近の略一定圧状態の波形部分として現れる。
ここで、補助バルブ42を開くタイミング(前述の第1ないし第4の所定時間)は、バルーン1の膨らみまたは縮みの状態との関係で最適な時間を選定することができ、例えば陽圧への切換え時点からバルーン1が膨らみきる時点まで、または陰圧への切換え時点からバルーン1が縮みきる時点までの時間として設定できる。この所定時間は、例えば、モック試験装置での模擬循環試験(例えば、背圧70mmHg(ゲージ圧))を行って実験的にバルーン1に陽圧または陰圧を印加し、バルーン1の容積変化を実測することで、求めることができる。
このように、ポンピング駆動制御部63がポンピング駆動機構13を作動させることで、二次配管系内に陽圧が印加されるときには、その二次配管系内の圧力が一旦はプラトー圧を超えてオーバーシュートした後、プラトー圧まで減少し、次の切換え(陰圧への切換え)まで略一定の状態となり、次の陰圧への切換えにより、二次配管系内の圧力が下降するときには、その二次配管系内の圧力が基準圧(バルーン1が縮みきったときの圧力)P1よりもアンダーシュートした後、基準圧P1まで上昇し、次の陽圧への切換え時点まで略一定の状態となり、これらを順次繰り返すことになる。その結果、入力監視制御部61で得られる心拍数(一定時間毎の心臓の拍動回数)等に合わせたバルーン1の膨張および収縮が可能になり、カテーテル2を用いる心臓補助治療が可能となる。
ここで、ポンピング駆動機構13は、ダイヤフラム15に印加する駆動圧をポンピング駆動制御部63からの入力信号に応じて変化させ、ガス圧力室11内のガスの移動操作の方向を切り替える操作圧切替機構となっている。
ガス補充制御部64は、ガス圧力室11内へのヘリウムガスの供給や補充、排出等を制御すべく、複数の圧力センサ51−55等からの圧力情報や、調整操作入力部71および警報解除操作部72への操作入力情報、血圧変動測定器73および心電計測器74等からの測定情報に基づいて、複数のバルブ21、26、33、35、42、43等と、陽圧ポンプ23および陰圧ポンプ29との作動を制御するようになっている。
このガス補充制御部64は、例えば二次配管系の内圧と補助タンク41の内圧との圧力差に応じ、所定のタイミングで補助バルブ42を開弁させることにより、補助タンク41側のヘリウムガスの一部を二次配管系内に補充させたり、二次配管系内のヘリウムガスの一部を補助タンク41側に排出させたりすることができる。
また、圧力容器12には、不純物除去フィルタ等を介しガス圧力室11から漏れを生じさせる圧力解放バルブ17が接続されており、前述のような複数の機能部を有するコントローラ60は、圧力センサ51で検知されるカテーテル2内の圧力が所定圧力を超えると、大気圧側への圧力解放バルブ17を開弁させ、ガス圧力室11に対し漏れによる必要量の減圧処理を実行するようになっている。
また、圧力センサ52で検知される陽圧タンク22内の空気圧が所定陽圧値を超えると、コントローラ60によって図示しない漏れ調整用のバルブや大気圧側への圧力解放用のバルブが開弁制御され、圧力センサ53で検知される陰圧タンク27内の空気圧が所定陰圧範囲から外れると、漏れ調整用のバルブ等が開弁制御される。
さらに、コントローラ60により、圧力センサ52で検知される陽圧タンク22内の空気圧および圧力センサ53で検知される陰圧タンク27内の空気圧に応じてポンプ23、29が駆動されることで、陽圧タンク22内の空気圧が所定の陽圧レベルに高められるとともに、陰圧タンク27内の空気圧が所定の陰圧範囲内に保持されるようになっている。
前述の圧力センサ51−54の検知圧力や、補助タンク41内のガス圧力を検知する圧力センサ55(ガス圧測定部)の検知圧力の情報は、所定時間ごとにコントローラ60の入力監視制御部61に取り込まれる。
そして、コントローラ60により、圧力センサ51−55等の検知情報に基づいてガス供給源31からレギュレータバルブ32および第1電磁切換バルブ33を介して補充タンク34にヘリウムガスが供給され、この補充タンク34から第2電磁切換バルブ35の開閉に応じて補助タンク41にヘリウムガスが補充される。そのときの補充量は、補助タンク41の内容積と、補助タンク41内のガス補充前の圧力に対するガス補充完了後の圧力差とに比例する。
また、圧力センサ51−55等の検知情報に基づき、必要に応じて補助バルブ42(あるいは更にパージバルブ43)がコントローラ60により制御され、補助タンク41からカテーテル2のバルーン1内への補充方向のガスの流れ(流れの方向および流量)、あるいは陰圧タンク27側への排出方向のガスの流れが調整できるようになっている。
上述のように、入力監視制御部61での監視情報や算出情報を基にポンピング駆動制御部63によりポンピング駆動機構13の作動が制御され、圧力伝達隔壁装置10によりガス圧力室11内のガスの移動操作がなされるとき、補助バルブ42は、コントローラ60によって開弁制御されることで、必要に応じ、補助タンク41を二次配管系内に連通させるようになっている。
ここで、補助装置40の補助タンク41および補助バルブ42とコントローラ60のガス補充制御部64は、圧力伝達隔壁装置10により移動操作されるガス圧力室11内のガスの流れを調節し、バルーン1の内圧を所定の調圧期間において変動収束方向に調圧可能なガス流調節部59を構成している。
このガス流調節部59は、ポンピング駆動機構13による陽圧駆動直後の二次配管系内の圧力を、補助バルブ42を開弁させて変動収束方向に収束させ、二次配管系内のプラトー圧と同等な補助タンク41内の圧力を補助バルブ42の閉弁により蓄圧保持できるようになっている。そして、コントローラ60の情報出力制御部62は、その蓄圧保持状態の補助タンク41の内圧を圧力センサ55により測定させ、その測定値をプラトー圧相当値の監視圧力として表示出力部65に数値表示させるようになっている。
また、ガス流調節部59は、パージバルブ43を作動させることで、補助タンク41の内圧を選択的に減圧する減圧手段の機能を併有している。
前述のようなガス圧力室11へのガスの供給や補充、排出等の制御に加え、コントローラ60は、内部に格納された制御プログラムに従い、圧力センサ51−55等からの圧力情報に基づいて第1電磁切換バルブ33、第2電磁切換バルブ35、補助バルブ42およびパージバルブ43の開閉を制御することで、ガス圧力室11およびカテーテル2内のヘリウムガスの初期の充填作業や所定期間経過後のヘリウムガスの入れ替え作業を行うことができるようになっている。
表示出力部65および警報出力部66は、入力監視制御部61で監視している入力情報やそれに基づく計算値等に異常が検出されたとき、例えばバルーン1が膨らみきるときのバルーン1の内圧であるプラトー圧が所定範囲を超えて異常に高くなったときに、表示や音声による警報動作を実行し、装置の操作者に異常を報知するようになっている。
また、圧力表示部である表示出力部65は、圧力伝達隔壁装置10によりガス圧力室11内のガスがバルーン1の膨張方向に移動操作されたとき、前述の通り、プラトー圧の測定値を数値表示するようになっている。
より具体的には、本実施形態では、バルーン1の膨張期間中に補助タンク41内が二次配管系内に連通し、バルーン1が膨らみきるときに二次配管系内と同等の圧力状態となる補助タンク41内の圧力を、プラトー圧相当の圧力として測定し、数値表示に利用する。
まず、圧力伝達隔壁装置10によりガス圧力室11内のガスがバルーン1の膨張方向に移動操作されるとき、バルーン1が膨らみきるより前に、補助タンク41側の補助バルブ42を所定のタイミングで開弁させる。これにより、バルーン1の内圧が、図2(e)に示す所定の膨張側補助期間Ti中に、同図(a)に示すプラトー圧相当の圧力P4に収束する。
また、圧力伝達隔壁装置10によりガス圧力室11内のガスがバルーン1の収縮方向に移動操作される間に、補助バルブ42を開弁させる(パージバルブ43を同時に開弁させてもよい)。これにより、バルーン1の内圧が、図2(e)に示す所定の収縮側補助期間Td中において基準圧P1の一定範囲内に収束する。
情報出力制御部62および表示出力部65は、少なくともガス圧力室11の内圧の測定部である圧力センサ51の測定圧力であるバルーン内圧P3の波形を、例えば図3中に実線で示すような圧力波形として表示出力するようになっている。
図3に示すように、バルーン1が膨らみきってバルーン内圧P3が同図中で肩状のプラトー圧P4に達するとき、同図中に仮想線で示す補助タンク内圧P2は、バルーン内圧P3に近似する値となる。したがって、そのときの補助タンク内圧P2を測定するか、補助バルブ42の閉弁によりそのときの補助タンク内圧P2を保持し、その保持期間中に測定することで、プラトー圧相当値を得ることができる。なお、図3中のバルーン内圧P3は、心拍数80[bpm]の場合の監視波形を例示している。
警報出力部66は、例えばバルーン1の内圧が通常範囲から外れる所定値以上であるときに、視覚的および聴覚的な警報動作を行う。この警報出力部66は、例えば表示出力部65の中央上部に配置されるパイロットランプや警報音発生器を有している場合、監視圧力が所定の値以上になると、パイロットランプを赤色点滅させるとともに、警報音発生部から断続的に警報音を発生させ、その警報動作後も異常が解消しないか警報動作を解除する解除信号が入力されない場合、コントローラ60は、バルーン1のポンピング駆動を停止させるようになっている。
調整操作入力部71は、バルーン1の内圧を調整操作するための操作信号を、前述の監視圧力を参照する操作者からの入力操作に応じて発生する調整操作入力部となっている。
警報解除操作部72は、表示出力部65および警報出力部66での警報出力を一時停止させる指令操作および警報解除の指令操作を行うことができるようになっている。
なお、陽圧タンク22および陰圧タンク27には、ウォータトラップタンクが配管接続されていてもよく、陽圧タンク22からそのウォータトラップタンクにバルブを介して水分を排出させたり、ウォータトラップタンク内の水分をバルブを介してタンク側に排出させたりしてもよい。
また、その場合、ガス圧力室11には、バルーン1側から滲入する水分を冷却し結露させる熱電素子、例えばペルチェ素子が収納されてもよく、その水分は、排出要求時に開弁するバルブやフィルタを介してウォータトラップタンクに排出することができる。
ここでのバルブは、コントローラ60で制御されてもよいし手動操作されてもよい。
次に、動作について説明する。
まず、概略の動作を述べると、本実施形態では、ポンピング駆動機構13(圧力発生手段)による陽圧または陰圧の印加に伴う二次配管系内の圧力の変化は、その配管系に陽圧が印加された場合には、同配管系内の圧力が上昇し、その圧力はプラトー圧(被駆動機器であるバルーン1が膨らみきったときの圧力)よりもオーバーシュートした後、プラトー圧まで減少して、次の切り換え(陰圧への切り換え)まで略一定の状態となる。その後、陰圧への切り換えにより、二次配管系内の圧力が下降し、その圧力は基準圧(被駆動機器であるバルーン1が縮みきったときの圧力)よりもアンダーシュートした後、基準圧まで上昇して、次の切り換え(陽圧への切り換え)まで略一定の状態となり、これらを順次繰り返す。
また、陽圧に切り換えられた時点から所定時間の経過後に補助バルブ42(弁手段)が開き、このときの配管系内圧力は陽圧が印加されているので、その配管系内のガスの一部が補助タンク41内に吸入される。一方、陰圧に切り換えられた時点から所定時間の経過後に弁手段が開き、このときの配管系内圧力は陰圧が印加されているので、補助タンク41内のガスの一部が二次配管系との圧力差にしたがってその配管系に排出される。陽圧印加時の当該所定時間および陰圧印加時の当該所定時間を最適化する(例えば、被駆動機器が膨らみきった時点または縮みきった時点とする)ことにより、プラトー圧と基準圧との差を小さくすることができる。そして、膨張時には基準圧からプラトー圧への到達時間を短くすることができ、収縮時にはプラトー圧から基準圧への到達時間を短くすることができ、被駆動機器の膨張および収縮に係る応答性を向上することができる。
図2に基づいてより具体的に説明すると、図2には、最上方側に本実施形態の医療用膨張・収縮駆動装置による膨張・収縮(ポンピング)駆動圧の変動波形(同図(a))を示し、その下方側に、バルーン1の膨張(同図(b)中"INF")と収縮(同図中"DEF")の期間と、陽圧駆動バルブ21の開弁によるガス圧力室11内のガスの膨張方向への移動操作の有無(同図(c)中の"陽圧駆動"と"非駆動")と、陰圧駆動バルブ26の開弁によるガス圧力室11内のガスの収縮方向への移動操作の有無(同図(d)中の"陰圧駆動"と"非駆動")と、補助バルブ42の開弁によるバルーン1の膨張補助側および収縮補助側へのガス流量の調節の有無(同図(e)中の"補助有"と"補助無")とを示している。
同図に示すように、本実施形態においては、心電波形や動脈圧波形における所定の信号変化をトリガ(例えば、心電図トリガ)として検出し、そのトリガを基準とする所定時間T1後のタイミングで、陽圧駆動バルブ21および陰圧駆動バルブ26が交互に開弁駆動されることで、バルーン1が膨張するバルーン拡張期間とバルーン1が収縮するバルーン収縮期間が生じる。
また、バルーン拡張期間(INF)の開始直後に陰圧駆動バルブ26の閉弁状態下で陽圧駆動バルブ21が所定の陽圧駆動期間T2だけ開弁した後、バルーン拡張期間(INF)の開始時点から膨張補助待ち時間Taが経過すると、補助バルブ42が所定の膨張側補助期間Tiにわたって開弁する。さらに、陽圧駆動バルブ21の閉弁状態下で陰圧駆動バルブ26が開弁しているバルーン収縮期間(DEF)中に、補助バルブ42が所定の収縮側補助期間Tdにわたって開弁する。
したがって、陽圧駆動バルブ21および陰圧駆動バルブ26の交互の開弁に応じて、ガス圧力室11に接続する二次配管系内のヘリウムガスに対し駆動圧室14側からダイヤフラム15を介して膨張方向および収縮方向の移動操作がなされるとともに、補助タンク41側のガスが二次配管系内に流出入可能となる。
その結果、例えば心拡張期開始時における大動脈弁の閉鎖と同時にバルーン1を膨張させてダイヤストリックオーグメンテーション効果(冠動脈血流量の増加や平均大動脈圧の維持)を発揮させたり、拡張末期動脈圧が最低値を示すタイミングでバルーン1を収縮させてシストリックアンローディング効果(拡張末期および収縮期の血圧低下による心仕事量の低下や心筋酸素消費量の抑制)を図ったりすることができる。
このような本実施形態では、ガス流調節部59の補助バルブ42が開弁すると、二次配管系のヘリウムガスが補助タンク41内のヘリウムガスを含むものとなってその体積が増加し、バルーン1が膨らみきってバルーン内圧P3がプラトー圧に達するときには、補助タンク41の内圧が同等な圧力に達するものとなる。そして、その圧力状態で補助バルブ42が閉弁すると、補助タンク41の内圧がバルーン内圧P3におけるプラトー圧と同等なプラトー圧相当値に保持されることになる。
そこで、本実施形態においては、所定の膨張側補助期間Tiと所定の収縮側補助期間Tdの間の「補助無」の期間中に、補助バルブ42の閉弁によりプラトー圧相当値に保持されている補助タンク41の内圧が圧力センサ55によって測定され、バルーン内圧P3におけるプラトー圧相当値として表示出力部65により数値表示される。
したがって、調整操作入力部71によるバルーン内圧調整のための監視圧力であるバルーン内圧P3が心拍数に依存するものでなくなり、入力信号を左右する患者の心拍数が異常に高くなった場合、例えば図4に示すように心拍数180[bpm]の場合でも、ガス流調節部59の作動に対応する所定の膨張側補助期間Ti中の補助タンク41の内圧P2の値を代用して、バルーン内圧P3におけるプラトー圧相当値の監視圧力P4´をその圧力値で数値表示可能となり、十分な圧力監視機能が担保されることとなる。
また、本実施形態では、圧力伝達隔壁装置10によりガス圧力室11内のガスがバルーン1の膨張方向に移動操作されたときに、そのバルーン膨張方向へのガスの流れを補助タンク41側からのガスの流入により調節しつつ、監視圧力であるバルーン内圧P3をプラトー圧相当値として得ることができる。
したがって、心拡張期開始時における大動脈弁の閉鎖と同時にバルーン1を確実に膨張させてダイヤストリックオーグメンテーション効果を確実に発揮させたり、拡張末期動脈圧が最低値を示すタイミングでバルーン1を確実に収縮させてシストリックアンローディング効果を確実に発揮させたりすることができる。
さらに、本実施形態では、表示出力部65に少なくとも所定の膨張側補助期間Tiにおける補助タンク41の内圧P2をプラトー圧相当値として保持し、バルーン内圧P3の監視圧力として数値表示するとともに、圧力センサ51からのガス圧力室11およびバルーン内圧P3の波形を表示出力するので、心拍数に応じたバルーンポンピング駆動状態を的確に表示しながらも、高心拍数時にガス圧力室11の内圧のプラトー圧相当値を容易に視認可能でかつ数値特定の容易な測定情報として表示出力できることとなる。
加えて、本実施形態では、圧力伝達隔壁装置10によりガス圧力室11内のガスがバルーン膨張方向に移動操作されたときのみならず、バルーン収縮方向に移動操作されている間にも、その収縮方向に移動操作されるガスの流れを補助タンク41側のガスにより調節して、バルーン1の内圧を所定の収縮側補助期間Tdにおいて基準圧P1(図3参照)から一定範囲内にすることができる。
このように、本実施形態においては、心電図波形や動脈圧波形等に対応する所定の入力信号に従ってバルーン1の膨張・収縮タイミングが制御される構成を採りながらも、その入力信号に影響しポンピング駆動周期を左右する心拍数に依存することなく、バルーン内圧P3におけるプラトー圧相当値を監視圧力P2の測定値から把握し表示することができ、圧力監視機能の十分な医療用膨張・収縮駆動装置を提供することができる。
なお、上述の一実施形態においては、ポンピング駆動機構13は、陽圧駆動バルブ21および陰圧駆動バルブ26の選択的な開弁動作によって圧力伝達隔壁装置10の駆動圧室14に供給する流体圧(例えば空気圧)を陽圧タンク22および陰圧タンク27からの陽圧と陰圧に切り替える構成としていたが、駆動圧室14に供給する流体圧を一実施形態と同様に変化させることができる流体圧を供給する流体圧回路、もしくは駆動圧室14に供給する流体圧を一実施形態と同様に変化させることができる吐出圧制御が可能なポンプを膨張・収縮駆動機構として用いることも考えられる。
また、上述の一実施形態においては、圧力伝達隔壁装置10の駆動圧室14に陽圧と陰圧を交互に供給可能なポンピング駆動機構13が、陽圧駆動バルブ21および陽圧タンク22と陰圧駆動バルブ26および陰圧タンク27とを有し、圧力伝達隔壁装置10は、圧力容器12に内蔵するダイヤフラム15によってその両側のガス圧力室11と駆動圧室14とを圧力伝達可能に仕切る構成となっていたが、ポンピング駆動機構や圧力伝達隔壁装置(容量制限装置またはアイソレータとも呼ばれる)が他の方式であってもよいことはいうまでもなく、例えば前掲の特許文献2に記載のように両端閉止形のベローズの伸縮により陽圧と陰圧を発生させてバルーン内に供給する構成とすることもできる。あるいは、その伸縮駆動されるベローズから駆動圧室14内に陽圧と陰圧を交互に供給することも考えられる。
以上説明したように、本発明は、心拍数に依存することなくバルーン内圧調整のための圧力監視を常時実行できる医療用膨張・収縮駆動装置を提供することができるものであり、補助循環法による循環器系の機能補助に好適な医療用の医療用膨張・収縮駆動装置全般に有用である。
1 バルーン(被駆動機器)
2 カテーテル(大動脈内バルーンポンピングカテーテル、被駆動機器)
10 圧力伝達隔壁装置
11 ガス圧力室
12 圧力容器
12a 二次配管系側の連通孔
13 ポンピング駆動機構
14 駆動圧室
15 ダイヤフラム
17 圧力解放バルブ
21 陽圧駆動バルブ
22 陽圧タンク
23 陽圧ポンプ
24 レギュレータバルブ
26 陰圧駆動バルブ
27 陰圧タンク
28 可変絞り弁
29 陰圧ポンプ
30 補充装置
31 ガス供給源
32 レギュレータバルブ
33 第1電磁切換バルブ
34 補充タンク
35 第2電磁切換バルブ
40 補助装置
41 補助タンク
42 補助バルブ
43 パージバルブ
44 真空タンク
51 圧力センサ(バルーン内圧センサ)
52、53、54 圧力センサ
55 圧力センサ(補助タンクの内圧を測定するガス圧測定部)
59 ガス流調節部
60 コントローラ
61 入力監視制御部
62 情報出力制御部
63 ポンピング駆動制御部
64 ガス補充制御部
65 表示出力部
66 警報出力部
71 調整操作入力部
72 警報解除操作部
73 血圧変動測定器
74 心電計測器
P1 基準圧
P2 監視圧力(補助タンクの内圧)
P3 バルーン内圧
P4 圧力(プラトー圧相当の監視圧力)
P4´ 圧力(プラトー圧相当値の監視圧力)
T1 所定の膨張側調圧時間(所定期間)
T2 所定の陽圧駆動期間

Claims (5)

  1. 膨張および収縮が可能な被駆動機器内に連通するガス圧力室内のガスを前記被駆動機器の膨張方向および収縮方向に移動操作するガス操作部と、前記ガス操作部に印加する駆動圧を入力信号に応じて変化させ、前記ガスの前記移動操作の方向を切り替える操作圧切替機構と、前記ガス操作部により前記移動操作がなされたときに前記ガス圧力室に連通する補助タンクを有し、前記ガス操作部による前記移動操作中のガスの流れを前記補助タンク側のガスにより調節し、前記被駆動機器の内圧を所定の調圧期間中に変動収束方向に調圧するガス流調節部と、前記被駆動機器の内圧を調整操作するための操作信号を入力する調整操作入力部と、を備えた医療用膨張・収縮駆動装置であって、
    前記補助タンクの内圧を測定するガス圧測定部と、
    前記調圧期間中に前記ガス圧測定部で測定される前記補助タンクの内圧を、前記被駆動機器の内圧調整のための監視圧力として表示する圧力表示部と、を設けたことを特徴とする医療用膨張・収縮駆動装置。
  2. 前記圧力表示部は、前記ガス操作部により前記ガス圧力室内のガスが前記被駆動機器の膨張方向に移動操作されたときに前記ガス圧力室に連通する前記補助タンクの内圧を所定時間保持し、前記監視圧力として表示することを特徴とする請求項1に記載の医療用膨張・収縮駆動装置。
  3. 前記ガス流調節部は、前記ガス操作部により前記ガス圧力室内のガスが前記被駆動機器の膨張方向に移動操作されたとき、前記被駆動機器の膨張方向に移動操作される前記ガス圧力室内のガスの流れを前記補助タンク側からガスの流入により調節して前記被駆動機器の内圧を所定の膨張側調圧期間中に変動収束方向に調圧する一方、前記ガス操作部により前記ガス圧力室内のガスが前記被駆動機器の収縮方向に移動操作されている間に、前記被駆動機器の収縮方向に移動操作される前記ガス圧力室内のガスの流れを前記補助タンク側のガスにより調節して前記被駆動機器の内圧を所定の収縮側調圧期間中に変動収束方向に調圧することを特徴とする請求項1または2に記載の医療用膨張・収縮駆動装置。
  4. 前記圧力表示部は、少なくとも前記所定の膨張側調圧期間における前記補助タンクの内圧を前記監視圧力として数値表示するとともに、前記ガス圧力室の内圧の測定波形を表示することを特徴とする請求項3に記載の医療用膨張・収縮駆動装置。
  5. 前記ガス流調節部は、前記補助タンクの内圧を選択的に減圧する減圧手段を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の医療用膨張・収縮駆動装置。
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