JP2021007350A - 細胞培養装置及び培地交換方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】細胞培養装置において、培養容器からの培地の排出の際に細胞を保護する。【解決手段】培地の吸引除去に先立って、培養容器を揺動運動させることにより、細胞集団の中央密集状態83が形成される。中央密集状態83では、細胞密集体84は、排出口58aから隔てられている。培地の吸引除去の後、培養容器内に新しい培地が導入される。新しい培地の導入後、細胞集団の全体分散状態が形成される。【選択図】図12

Description

本発明は、細胞培養装置及び培地交換方法に関し、特に、培地交換技術に関する。
再生医療や創薬等の分野において必要な細胞は多種多様であり、それぞれの細胞種に合わせた培養法が求められる。特に近年では、細胞塊を培養容器底面に接着させずに培養する三次元細胞培養法の開発が進められている。
三次元細胞培養法は、スキャホールド(足場)を用いず、培養容器内の培地において複数の細胞を浮遊状態としながら、それらの培養を行う方法である。その方法によれば、複数の細胞塊(スフェロイド)が生成される。三次元細胞培養法の実施に際しては、例えば、水平に広がった形態を有する培養容器が利用される。培養容器の内底面には、必要に応じて、細胞付着を防止又は低減するコーティングが施される。
特許文献1には、培養容器を回転させる機構、培養容器から培地を排出する機構、及び、培養容器へ培地を注入する機構、を備えた細胞培養装置が開示されている。特許文献2には、培養容器を傾斜させつつ回転させる機構を備えた細胞培養装置が開示されている。なお、本願明細書においては、場合により、単体で存在する細胞(シングルセル)及び複数の細胞からなるスフェロイドの両方を単に「細胞」と称する。
特開2010−268813号公報 特開2019−43号公報
再生医療や創薬等の分野で用いられる細胞は、同種で均一な状態にあることが求められる。そのため培地に対して複数の細胞を播種する際においては、個々の細胞の状態を揃えるために、培地において複数の細胞を均一の密度で分散させることが望まれる。培地交換後においても同様である。一方、培地交換時には、細胞の排出を防止し、細胞においてダメージやストレスができるだけ生じないようにすることが望まれる。
本開示の目的は、培地交換時において細胞を保護することにある。あるいは、本開示の目的は、大量の細胞を安定的に培養できるようにすることにある。
本開示に係る細胞培養装置は、浮遊状態にある複数の細胞を含む培地を収容した培養容器を保持すると共に、前記培養容器に運動を行わせる運動機構と、前記培養容器の運動を制御することにより前記複数の細胞の分布を操作する制御部であって、前記培養容器の排出口を通じて前記培地を取り出す前に、前記排出口から離れた位置を中心として前記複数の細胞を密集させることにより、前記複数の細胞の非均一分布状態を生じさせる制御部と、を含むことを特徴とするものである。
本開示に係る培地交換方法は、培養容器内の培地において浮遊状態にある複数の細胞を前記培養容器の排出口から水平方向に隔てつつ密集させる工程と、前記複数の細胞を密集させた後に前記排出口を通じて前記培養容器内から前記培地を取り出す工程と、前記培地が取り出された後に前記培養容器内に新しい培地を導入する工程と、前記新しい培地が導入された後に前記新しい培地において浮遊状態にある複数の細胞を全体的に分散させる工程と、を含むことを特徴とするものである。
本開示によれば、培地交換時において細胞を保護できる。あるいは、本開示によれば、大量の細胞を安定的に培養できる。
実施形態に係る細胞培養装置を示す概念図である。 揺動機構の正面図である。 培養容器の模式的な正面図である。 培養容器の模式的な側面図である。 培養容器の模式的な平面図である。 揺動機構の斜視図である。 連結構造及びその動作を示す図である。 x軸及びy軸を示す図である。 y軸回りの揺動運動を示す図である。 x軸回りの揺動運動を示す図である。 細胞の全体分散状態を示す図である。 細胞の中央密集状態を示す図である。 細胞の隅部密集状態を示す図である。 制御ユニットの構成例を示す図である。 パラメータテーブル群を示す図である。 細胞培養装置の動作例を示すフローチャートである。 全体分散状態を形成する動作を示すフローチャートである。 培地交換時の動作の一例を示すフローチャートである。 培地交換時の動作の第1変形例を示すフローチャートである。 培地吸引時の細胞集団の変化を示す図である。 培地交換時の動作の第2変形例を示すフローチャートである。 中央密集状態の変形例を示す図である。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)実施形態の概要
実施形態に係る細胞培養装置は、運動機構、及び、制御部を有する。運動機構は、培養容器を保持すると共に培養容器に運動を行わせるものである。培養容器は、浮遊状態にある複数の細胞を含む培地を収容する容器である。制御部は、培養容器の運動を制御することにより培養容器内における複数の細胞の分布を操作するものであり、特に、培養容器の排出口を通じて培地を取り出す前に、排出口から離れた位置を中心として複数の細胞を密集させることにより、複数の細胞の非均一分布状態を生じさせるものである。
上記構成によれば、細胞容器の内部から排出口を介して培地を取り出す際に、密集中心を含んだ非均一分布状態が形成されるので、複数の細胞が全体的に分散している状態が形成されている場合(つまり均一分布状態)に比べて、細胞を保護できる。すなわち、浮遊状態にある細胞が排出口又はその近傍に到達することを防止でき、あるいは、その可能性を低減できる。これにより、細胞の流出を回避又は軽減でき、また細胞にダメージやストレスが生じることを回避又は軽減できる。
排出口は、細胞容器の内部空間に臨む開口であり、例えば、細胞容器の内底面に近接した位置に設けられる。吸引力を利用して排出口から培地が吸引されてもよいし、重力の作用を利用して排出口から培地を流出させてもよい。非均一分布状態は、排出口から水平方向に離れた位置を中心として複数の細胞を密集させることにより形成されるものである。水平方向に離れた位置の概念には、点、線又は領域が含まれる。例えば、揺動軸に沿って複数の細胞を密集させてもよい。非均一分布状態の概念には、局所領域内に実質的にすべての細胞を集合させた態様、密集中心から離れるにしたがって密度が徐々に低下するように複数の細胞を分布させた態様、等が含まれ得る。細胞集団の周辺部が排出口に近接又は到達していてもその周辺部の密度が低ければ、細胞集団全体として見て一定の保護を図れる。培養容器の運動として、揺動運動、往復運動、振盪運動、回転運動等があげられる。
実施形態においては、非均一分布状態において、排出口から水平方向に隔てられた細胞密集体が形成される。この構成によれば、排出口と細胞密集体との間に、細胞がまったく存在しない又はごく僅かの細胞しか存在しない空白地帯が生じるので、排出口への細胞の到達を効果的に回避又は軽減できる。培地の取り出しに伴って細胞密集体の形態が変化する場合、その変化を考慮して、細胞密集体のサイズ又は密集度を決めてもよい。細胞密集体は、上方から見て、二次元に広がる培地の中の一部分に密集した例えば9割以上の細胞からなる。いずれにしても細胞密集体の中心が排出口から離れていれば、細胞を密集させない場合に比べて、細胞を保護できる。
実施形態に係る培養容器は、新しい培地を導入するための導入口を備える。上方から見て、排出口と導入口の間に細胞密集体が形成される。この構成によれば、導入口からの培地の導入時に際して、細胞にダメージやストレスが生じることを防止又は軽減できる。排出口は、例えば、排出ノズルの端部に設けられた開口であり、導入口は、例えば、導入ノズルの端部に設けられた開口である。例えば、排出口と同様に、培養容器の底面に近接した位置に導入口が設けられてもよい。
実施形態に係る培養容器は、直交関係にある第1軸及び第2軸の両方向に広がった形態を有する。第1軸の方向は、排出口と導入口の並び方向に平行であり、細胞密集体は第2軸の方向に伸長している。培養容器が面状に広がっていれば、細胞同士の凝集または過疎による個々の細胞状態の変化が避けられ、一定状態の細胞を得ることができる。また、そのような形態によれば、培養容器の運動により、非均一分布状態を形成し易い。
実施形態において、第1軸及び第2軸はそれぞれ仮想的な軸であり、それぞれは例えば揺動軸(回転軸)である。培養容器を貫くように第1軸及び第2軸が設定されてもよいし、培養容器の下側又は上側を貫くように第1軸及び第2軸が設定されてもよい。
実施形態において、運動機構は、培養容器に揺動運動を行わせる揺動機構である。制御部は、複数の細胞を密集させて細胞密集体が形成されるように培養容器の揺動運動を制御する。揺動条件を変えることにより、非均一分布状態及び均一分布状態が形成される。
実施形態において、培養容器は揺動軸を有し、揺動軸回りの培養容器の揺動運動により細胞密集体が形成され、細胞密集体は揺動軸の付近に集合した複数の細胞により構成される。揺動運動によれば、細胞密集体を比較的容易に形成できる。実施形態において、揺動軸は仮想的な軸である。
実施形態において、制御部は、複数の細胞の全体分散状態を生じさせる機能と、非均一分布状態としての複数の細胞の局所密集状態を生じさせる機能と、を有する。例えば、細胞培養過程の最初に全体分散状態が形成され、培地交換前に局所密集状態が形成される。上方から見て、複数の細胞が培地の全体にわたって概ね均一に分布している場合、それは全体分散状態であると言い得る。全体分散状態は細胞の生育に適した状態である。上方から見て、およそ全ての細胞がある領域内に集合した結果、培地の中に空白地帯が生じる場合、その状態は局所密集状態であると言い得る。
実施形態において、制御部は、培地の取り出し前に局所密集状態を生じさせ、培地の導入後に全体分散状態を生じさせる。この構成は、複数の細胞の分布の態様を状況に合わせて適応的に変化させるものである。
実施形態において、培養容器は、直交関係にある第1軸及び第2軸の両方向に広がった形態を有する。細胞培養装置は、第1揺動動作及び第2揺動動作を実行する揺動機構を有する。第1揺動動作は、第1軸回りにおいて培養容器を正方向及び負方向に回転させることにより培養容器に揺動運動を行わせる動作である。第2揺動動作は、第2軸回りにおいて培養容器を正方向及び負方向に回転させることにより培養容器に揺動運動を行わせる動作である。全体分散状態は、培養容器に第1軸回りの揺動運動及び第2軸回りの揺動運動を行わせることにより形成される。局所密集状態は、培養容器に第2軸回りの揺動運動を行わせることにより形成される。局所密集状態の形成に際して、必要に応じて、更に、培養容器に第2軸回りの揺動運動を行わせてもよい。
実施形態において、排出口は、培養容器における第1軸の方向の一方側に設けられ、培養容器は、更に、第1軸の方向における他方側に設けられ、新しい培地を導入するための導入口を有する。実施形態においては、排出口は第1軸の方向の一方側端部に設けられ、導入口は第1軸の方向の他方側端部に設けられる。各端部は、上方から見て、側壁近傍の部位である。
実施形態において、制御部は、培地の取り出しを行う過程において、局所密集状態が繰り返し形成されるように培養容器の運動を制御する。例えば、培地の取り出し過程で、細胞密集体が排出口に一定距離以下まで近付かないように、局所密集状態が繰り返し形成される。細胞密集体を撮像し、その形態の変化を観察できるようにしてもよい。
実施形態に係る細胞培養装置は、全体分散状態を生じさせるための第1パラメータセット及び局所密集状態を生じさせるための第2パラメータセットが記憶された記憶部を含む。制御部は、第1パラメータセットに従って培養容器の運動を制御することにより全体分散状態を生じさせる。また、制御部は、第2パラメータセットに従って培養容器の運動を制御することにより局所密集状態を生じさせる。第1パラメータセット及び第2パラメータセットは予め実験その他により求めておくことが可能である。
実施形態に係る培地交換方法は、培養容器内の培地において浮遊状態にある複数の細胞を培養容器の排出口から水平方向に隔てつつ密集させる工程と、複数の細胞を密集させた後に排出口を通じて培養容器内から培地を取り出す工程と、培地が取り出された後に培養容器内に新しい培地を導入する工程と、新しい培地が導入された後に新しい培地において浮遊状態にある複数の細胞を全体的に分散させる工程と、を含む。
上記構成によれば、培地の取り出しに先立って、培養容器内において複数の細胞が排出口から隔てられるので、複数の細胞を保護できる。新しい培地が導入された後に培養容器内において複数の細胞を全体的に分散させた状態が形成される。それは、複数の細胞の生育に適した状態である。
実施形態に係る培地交換方法において、培養容器は、新しい培地を導入するための導入口を有し、細胞容器内において、上方から見て、複数の細胞が排出口と導入口との間に密集して細胞密集体が形成される。この構成によれば、培地の取り出し及び培地の導入の両過程において細胞を保護できる。実施形態においては、細胞密集体は、排出口及び導入口のいずれからも水平方向に離れた位置に形成される。
実施形態に係る培地交換方法において、細胞密集体は、培養容器に揺動軸回りの揺動運動を行わせることにより形成され、細胞密集体は揺動軸に沿って伸長した帯状の形態を有する。帯状の概念には、揺動軸に沿って伸長している、長方形、楕円形、屈曲形、等が含まれ得る。
(2)実施形態の詳細
図1には、実施形態に係る細胞培養装置の全体構成が模式的に示されている。この細胞培養装置は、三次元細胞培養法において用いられ得るものであり、培地の導入、培地の交換、細胞の播種、等を自動的に行える装置である。実施形態において、培養対象となる細胞は、人の細胞、例えば、人口多機能性幹細胞(iPS細胞)、神経細胞等である。人以外の動物の細胞、植物の細胞が培養の対象とされてもよい。三次元細胞培養法では、培地内において複数の細胞が浮遊状態におかれる。培養の結果、複数の細胞塊である複数のスフェロイドが形成される。
図1において、細胞培養装置は、インキュベータユニット10、試薬ユニット12、及び、制御ユニット14により構成される。インキュベータユニット10は、培養容器列16に運動を行わせる運動機構としての揺動機構20を有する。実施形態において、揺動機構20は、培養容器列16を運動可能に保持した保持機構21、及び、保持機構21に連結された駆動源22により構成される。培養容器列16は、上下方向に整列した複数の培養容器18により構成される。細胞培養過程においては、複数の培養容器18はそれぞれ水平姿勢で静置される。揺動機構20は、後述するように、個々の培養容器18内において、細胞集団の全体分散状態及び局所密集状態(具体的には中央密集状態)を生じさせる場合に動作する。
試薬ユニット12は、新しい培地を収容した複数の培地ボトル、使用済みの培地を吸引するための複数のポンプ、新しい培地を送り込むための複数のポンプ、等を有する。制御ユニット14は、細胞培養装置内の各要素の動作を制御するものである。駆動源22の動作、換言すれば、複数の培養容器18の揺動運動は、制御ユニット14によって制御される。実施形態においては、3つのユニット10,12,14が別体化されているが、それらが一体化されてもよい。あるいは、更に他のユニットが付加されてもよい。
図2には、揺動機構20が示されている。上述したように、揺動機構20は、保持機構21及び駆動源22により構成される。保持機構21は、複数のステージ24を有し、それらによって培養容器列16を構成する複数の培養容器18が保持されている。保持機構21は、3つの可動柱26,28,30を有する。3つの可動柱26,28,30は、各ステージ24が有する3つの角部に、一定の運動自由度をもって連結されている。
駆動源22は、3つの可動柱26,28,30に対して上下方向の運動力を与える3つのアクチュエータ36,38,40を有する。具体的には、アクチュエータ36は、可動柱26を上下方向に動かす機構であり、アクチュエータ38は、可動柱28を上下方向に動かす機構であり、アクチュエータ40は可動柱30を上下方向に動かす機構である。なお、各図において、第1水平方向がX方向であり、X方向に直交する第2水平方向がY方向であり、X方向及びY方向に直交する方向がZ方向である。
図3〜図5には、培養容器18が示されている。図3は培養容器18の正面図であり、図4は培養容器18の側面図であり、図5は培養容器18の上面図である。
図3において、培養容器18は、培地44を収容する容器本体42を有している。容器本体42は、例えば、化学的に安定な透明性を有する材料により構成される。その4つの側壁はそれぞれ傾斜している。容器本体42の内底面には、必要に応じて、細胞付着を防止又は低減するコーティングが施される。培地44は複数の細胞46を含んでいる。容器本体42の上部には、導入ポート48及び排出ポート50が設けられている。
導入ポート48には、下方に伸びるノズル52が連結されている。ノズル52の下端開口が導入口52aである。導入口52aは、容器本体42の内底面に近接しつつ対向している。導入口52aは、容器本体42内においてY方向の一方側端部すなわち一方側側面の近傍に設けられている。外部から送り込まれた培地54及び外部から送り込まれた細胞懸濁液56は、導入口52aを介して容器本体42内へ導入される。なお、細胞培養時に必要となるガスも導入ポート48を介して容器本体42内に導入される。
排出ポート50には、下方に伸びるノズル58が連結されている。ノズル58の下端開口が排出口58aである。排出口58aは、容器本体42の内底面に近接しつつ対向している。排出口58aは、容器本体42内においてY方向の他方側端部すなわち他方側側面の近傍に設けられている。容器本体42の内部から排出口58aを介して培地が吸引され、これにより培地60が外部へ取り出される。排出ポート50を介して、容器本体42内からガス62が取り出される。ちなみに、容器本体42のX方向の幅は例えば200〜250mmの範囲内にあり、容器本体42のY方向の幅は例えば280〜320mmの範囲内にあり、容器本体42のZ方向の高さは例えば20〜50mmの範囲内にある。
容器本体42の底面から下方へ伸びるノズルを設け、そのノズルを介して培地が排出されてもよい。その場合、重力の作用により培地を流出させてもよいし、吸引により培地が取り出されてもよい。同様に、ノズル52についても図示された態様以外の態様が採用されてもよい。図4において、既に説明した要素には同一符号を付し、その説明を省略する。このことは他の図においても同様である。
図5において、上方から見て、細胞集団46は、培養容器18の全体にわたって二次元的に分散している。微視的に見れば、細胞集団46内には粗密が生じているが、巨視的に見れば、細胞集団46はほぼ均一の密度で分布している。導入ポート48の中心に相当する導入口、及び、排出ポート50の中心に相当する排出口の近傍に、幾つかの細胞が存在している。
細胞培養を行う場合、特に細胞播種を行う場合、個々の細胞の状態を均一化させるために、図5に示されるような細胞集団の全体分散状態が形成される必要がある。一方、培地の排出を行う場合においては、細胞にダメージやストレスが及ばないようにあるいはそれが軽減されるように、とりわけ細胞の排出が回避されるように、細胞集団の局所密集状態、具体的には、細胞集団の中央密集状態が形成される。中央密集状態は、上方から見て、導入口及び排出口から隙間をおいて隔てられつつ細胞密集体が形成されている状態である。全体分散状態及び中央密集状態については後に詳述する。
図6には、斜め方向から見た揺動機構20が示されている。複数のステージ24上に複数の培養容器18が保持されている。各ステージ24は4つの角部を有し、その内で3つの角部に対して可動柱26,28,30が連結されている。個々の可動柱26,28,30は、同様の構成を有しており、以下、可動柱26を代表させてその構成について説明する。
可動柱26は、交互に連結された複数のスペーサ64及び複数の連結部材66からなる。各連結部材66は、図7の上段に示されているように、上下方向に伸びる筒状部材68、そこから水平方向に伸長したアーム70、及び、その端部をなすボール72、により構成される。一方、ステージ24の端部には、ブロック74が設けられ、そこには球状の窪み76が設けられている。窪み76によってボール72が保持されている。窪み76及びボール72がいわゆるボールジョイントを構成している。連結部材66によってステージ24が保持されているものの、その保持は固定的なものではなく、ステージ24の運動が許容されている。図7の下段には、可動柱26の上昇運動による、ステージ24の傾斜運動が例示されている。図7に示した構成は一例に過ぎず、他の構成を採用してもよい。
図6に戻って、3つ可動柱26,28,30のそれぞれの上下方向の位置を制御することにより、各ステージ24の姿勢を可変でき、すなわち、各ステージ上の培養容器18の姿勢を可変できる。実施形態において、揺動機構20は、各培養容器18に第1揺動運動及び第2揺動運動を行わせるものである。これについて以下に詳述する。
図8には、ステージ24に搭載された培養容器18が示されている。培養容器18に対しては仮想的な揺動軸(回転軸)としてx軸及びy軸が定められている。
x軸及びy軸は、培養容器18の姿勢変化に伴って運動するが、培養容器18が水平姿勢を有する場合、x軸はX方向に平行であり、y軸はY方向に平行である。また、上方から見て、x軸及びy軸は培養容器18の中心を通過しており、両者は直交している。x軸回りの揺動(回転)が符号78で示されており、y軸回りの揺動(回転)が符号80で示されている。y軸は、注入口と排出口の並び方向に平行である。x軸は後述する細胞密集体の中心軸に相当する。
3つの可動柱の上下方向の位置を制御することにより、揺動78,80を生じさせることができる。x軸及びy軸が培養容器18の下側又は上側を通過するようにそれらを設定してもよい。なお、揺動に代えて、又は、揺動と共に、往復動、振盪、回転、等を採用してもよい。
図9及び図10において、各図の上段にはx軸回りの揺動運動が示されており、各図の下段にはy軸回りの揺動運動が示されている。各図において、左側から右側へ段階的な姿勢変化が示されている。実際には、実施形態においては、2つの軸回りの揺動運動は同時に行われず、各軸回りの揺動運動が独立して実行される。すなわち、図8において、x軸回りの揺動運動は行われておらず、y軸回りの揺動運動のみが行われている。図9において、y軸回りの揺動運動は行われておらず、x軸回りの揺動運動のみが行われている。
図11には、細胞集団の全体分散状態82が示されている。上方から見て、培養容器の全体にわたって、複数の細胞が概ね一様な密度をもって分布している。この全体分散状態82は、所定条件の下で、培養容器に2つの揺動運動を行わせることにより形成される。所定条件は、実験により求められる。
図12には、細胞集団の中央密集状態83が示されている。上方から見て、細胞集団は揺動軸であるx軸上に集合しており、これにより帯状の形態を有する細胞密集体84が形成されている。細胞密集体84の一方縁84aと排出口58aの間には一定の距離88が存在し、そこに空白地帯が生じている。一定の距離88は、培地排出過程において、細胞の流れ出しを防止し、また、細胞に必要以上のストレスやダメージが生じないように、定められる。例えば、一定の距離88は、数cm以上、望ましくは5cm以上である。なお、本願明細書であげる数値はいずれも例示に過ぎないものである。
細胞密集体84の他方縁84bと導入口52aの間にも一定の距離89が存在し、そこに空白地帯が生じている。一定の距離89は、培地導入過程において、細胞に必要以上のストレスやダメージが生じないように、定められる。例えば、一定の距離89は、数cm以上である。例えば、細胞密集体84は、細胞容器内の細胞全部を100%として、95%、97%又は99%以上の細胞により構成される。もっとも、状況次第では、細胞密集体84が90%以上の細胞によって構成されてもよい。各空白地帯において、2%又は3%以下の僅かな個数の細胞が存在してもよい。
細胞密集体84の形態としては、矩形の他、楕円形、屈曲形等が考えられる。図示の例では、細胞密集体84は、導入口52aと排出口58aの中間位置において、x軸に沿って伸長しているが、細胞集団をx軸の中央に円形に密集させてもよい。いずれにしても、導入口52a及び排出口58aから細胞集団が隔てられるように、細胞集団の分布を制御するのが望ましい。中央密集状態83は、所定の揺動条件の下で形成され、所定の揺動条件は実験により定められる。
図13には、培養容器において特定の対角方向の一方側(角部)に集合した細胞集団90が示されている。揺動条件の変更により、このような分布状態を形成することもできる。もっとも、そのような分布状態では、細胞流出等の問題が懸念される。
図14には、制御ユニットの構成例が示されている。制御部100は、プログラムを実行するプロセッサ(例えばCPU)により構成される。制御部100には入力器102及び表示器104が接続されている。また、それにはメモリ106が接続されている。メモリ106上には、全体分散状態を形成するための全体分散パラメータセット108、及び、中央密集状態を形成するための中央密集パラメータセット110が格納されている。各パラメータセット108,110は揺動条件を規定するものである。
制御部100には、揺動機構に設けられた2つのセンサからの検出信号が入力されている。2つの検出信号は、x軸回りの回転角度θx及びy軸回りの回転角度θyを示すものである。それらの検出信号は、例えば、2軸回りの揺動運動をフィードバック制御する際に参照される。駆動信号生成回路112は、制御部100からの制御データに基づいて、3つのアクチュエータに対して供給する3つの駆動信号D1,D2,D3を生成する回路である。
制御部100は、培地排出前に、中央密集パラメータセット110に従って培養容器の揺動運動を制御することにより、培養容器場内において細胞集団の中央密集状態を生じさせる。その後、中央密集状態が維持されつつ、培養容器の中の培地が外部へ取り出される。続いて、新しい培地が培養容器内に導入される。培地導入後、制御部100は、全体分散パラメータセット108に従って培養容器の揺動運動を制御することにより、培養容器内において細胞集団の全体分散状態を生じさせる。培養容器の種別、培地の量、等に応じて、全体分散パラメータセット108及び中央密集パラメータセット110の内容は変わり得る。
図15には、複数のパラメータテーブル114,116,118が例示されている。培養容器の種別、培地の量等の組み合わせに基づいて、実際に使用するパラメータテーブルが選択される。パラメータ項目としては、y軸回り揺動条件を規定する複数のパラメータ(揺動角度、半往復時間、揺動回数)、x軸回り揺動条件を規定する複数のパラメータ(揺動角度、半往復時間、揺動回数)、及び、インターバル時間、があげられる。揺動角度は正方向又は負方向の角度であり、半往復時間は、水平姿勢から正方向又は負方向に回転して傾斜姿勢となり、そこから再び水平姿勢になるまでの時間である。インターバル時間は各傾斜姿勢を維持する時間である。符号120は全体分散パラメータセットを示しており、符号122は中央密集パラメータセットを示している。実際には、それらのパラメータセット120,122がメモリ上に登録される。培地の量にかかわらず、同じ中央密集パラメータセットが利用されてもよい。
例えば、各軸回りの揺動角度として、0.1度から5.0度の範囲内の角度を設定することができる。例えば、半往復時間として、1.0秒から10.0秒の範囲内の時間を設定することができる。例えば、揺動回数として、1回から100回の範囲内の回数を設定することができる。例えば、インターバル時間として、0.1秒から10.0秒の範囲内の時間を設定することができる。
全体分散状態を形成する場合、y軸回りの揺動については、例えば、揺動角度として、1.0度から3.0度の範囲内の角度が設定され、半往復時間として、1.0秒から3.0秒の範囲内の時間が設定され、揺動回数として、2回から10回の範囲内の回数が設定される。x軸回りの揺動については、例えば、揺動角度として、1.0度から7.0度の範囲内の角度が設定され、半往復時間として、1.0秒から3.0秒の範囲内の時間が設定され、揺動回数として、2回から10回の範囲内の回数が設定される。また、インターバル時間として、0秒から1.0秒の範囲内の時間が設定される。
一方、中央密集状態を形成する場合、y軸回りの揺動は不要であり、x軸回りの揺動のみが実行される。その場合、例えば、揺動角度として、0.1度から1.0度の範囲内の角度が設定され、半往復時間として、0.5秒から2.0秒の範囲内の時間が設定され、揺動回数として、4回から50回の範囲内の回数が設定される。また、インターバル時間として、0秒から1.0秒の範囲内の時間が設定される。もちろん、個々の数値は、状況に応じて変わり得る。
ユーザーの入力に基づいて各パラメータセットが登録されてもよいし、実験により特定された最適なパラメータセットが自動的に登録されてもよい。なお、中央密集状態の形成に際してy軸回りの揺動が行われてもよい。
図16には、細胞培養装置の動作が例示されている。図16は、上記の制御部による制御の内容を示すものである。S10では、培養容器内に新しい培地が導入される。S12では、培養容器内に細胞懸濁液が導入される。S14では培養容器の揺動により、具体的には、y軸回りの揺動及びそれに続くx軸回りの揺動により、全体分散状態が形成される。その場合、x軸回りの揺動に続いて、y軸回りの揺動が行われてもよい。S16では、水平姿勢を有する培養容器を静置した状態で、細胞培養が行われる。例えば、培地導入から一定期間が経過した場合、S18において、培地交換の必要性が判定され、S20において培地交換が実施される。S22では、本処理を終了させるか否かが判断され、継続が判断された場合には、S16以降の工程が再び実行される。
図17には、全体分散状態を形成する際の制御が例示されている。以下においては、x軸回りの揺動角度をΔθxと表記し、y軸回りの揺動角度をΔθyと表記する。
S30では、培養容器をy軸回りに+Δθy回転させる制御が実行され、S32では、培養容器の傾斜姿勢を一定時間維持する制御が実行される。S34では、培養容器をy軸回りに−Δθy回転させる制御が実行され、続いて、S36では、培養容器をy軸回りに−Δθy回転させる制御が実行される。S34及びS36を併せて単一の工程とみなすことも可能である。S38では、培養容器の傾斜姿勢を一定時間維持させる制御が実行される。S40では、培養容器をy軸回りに+Δθy回転させる制御が実行される。
S42では、実際の揺動回数Nyが設定値Nymaxに到達したか否かが判断され、それに到達していなければ、S30以降の工程が再び実行される。その場合、S40及びS30を単一の工程とみなすことも可能である。S42において、実際の揺動回数Nyが設定値Nymaxに到達したと判断された場合、S44以降の工程が実行される。
S44では、培養容器をx軸回りに+Δθx回転させる制御が実行され、S46では、培養容器の傾斜姿勢を一定時間維持する制御が実行される。S48では、培養容器をx軸回りに−Δθx回転させる制御が実行され、続いて、S50では、培養容器をx軸回りに−Δθx回転させる制御が実行される。S48及びS50を併せて単一の工程とみなすことも可能である。S52では、培養容器の傾斜姿勢を一定時間維持する制御が実行される。S54では、培養容器をx軸回りに+Δθx回転させる制御が実行される。
S56では、実際の揺動回数Nxが設定値Nxmaxに到達したか否かが判断され、それに到達していなければS44以降の工程が再び実行される。その場合、S54及びS44を単一の工程とみなすことも可能である。S56において、実際の揺動回数Nxが設定値Nxmaxに到達したと判断された場合、本制御が終了する。なお、実際には、複数の培養容器が同時に処理される。
図18には、図16におけるS20の具体的内容、すなわち培地交換時の制御内容が例示されている。S60が中央密集状態を形成する工程である。具体的には、S62では、培養容器をx軸回りに+Δθx回転させる制御が実行され、S64では、培養容器の傾斜姿勢を一定時間維持させる制御が実行される。S66では、培養容器をx軸回りに−Δθx回転させる制御が実行され、続いて、S68では、培養容器をx軸回りに−Δθy回転させる制御が実行される。S70では、培養容器の傾斜姿勢を一定時間維持する制御が実行される。S72では、培養容器をx軸回りに+Δθx回転させる制御が実行される。
S74では、実際の揺動回数Nxが設定値Nxmaxに到達したか否かが判断され、それに到達していなければS62以降の工程が再び実行される。S74において、実際の揺動回数Nxが設定値Nxmaxに到達したと判断された場合、S76が実行される。
S76では、使用済みの培地が吸引及び除去される。その場合、y軸の方向における培養容器の中間部分に細胞集団が密集しており、つまり、細胞密集体が排出口から隔てられているので、細胞の保護が図られる。S78では、新しい培地が培養容器内に導入される。その場合、細胞密集体は導入口から隔てられているので、細胞の保護が図られる。S80では、培養容器の揺動により全体分散状態が形成される。つまり、細胞生育に適した状態が形成される。一般に、全体分状態は、培養容器をゆっくり揺動させることにより形成され、局所集中状態は、培養容器を比較的に早く揺動させることにより形成される。
図19には、培地交換時の制御についての第1変形例が示されている。S90では、培養容器を揺動運動させることにより、細胞集団の中央密集状態が形成される。S92では、培養容器を傾けた状態が形成される。例えば、排出口を低くし且つ導入口を高くした傾斜姿勢となるように、培養容器の姿勢が制御される。そのような傾斜姿勢によれば、培地吸引を促進でき、培地吸引後の培地残量を少なくできる。排出口を高くし且つ導入口を低くした逆傾斜姿勢となるように培養容器の姿勢が制御されてもよい。S76では、使用済みの培地が吸引除去される。S78では、培養容器内へ新しい培地が導入される。S80では、培養容器の揺動により細胞集団の全体分散状態が形成される。
図20には、培地吸引過程における細胞密集体の形態変化が示されている。中央密集状態の形成時には帯状の形態を有する細胞密集体124が形成される。細胞密集体124と排出口58aとの間には、ある程度大きな距離126が存在している。培地吸引過程を進行させていくと、細胞密集体の中央部が排出口58aにより早く近付き、細胞密集体128の形態が屈曲形態となる。その際における細胞密集体128と排出口58aとの間の距離130はかなり小さくなる。更に、培地吸引過程を進行させると、一部の細胞が排出口58a又はその近傍に到達してしまう可能性がある。そのような事態を回避するためには、培地吸引過程において、中央密集状態を間欠的に繰り返し形成すればよい。
具体的には、図21に示す第2変形例を採用すればよい。なお、既に説明した工程と同様の工程には同一符号を付しその説明を省略する。S90では、中央密集状態が形成される。S100では、培地の吸引が開始される。S102では、吸引完了に至っていない状況下で、吸引を一時停止するか否かが判定される。例えば、一定時間ごとに吸引の一時停止が判定されてもよいし、細胞集団を撮影した画像の解析の結果、細胞集団が排出口に近付いたことが判断された場合に吸引の一時停止が判定されてもよい。吸引の一時停止状態において、S90で、中央密集状態が再び形成される。S102において、吸引完了が判断された場合、S78以降の各工程が実行される。
図22には、中央密集状態の変形例が示されている。培養容器132においては、特定の対角方向における一方側に排出口134が設けられており、その対角方向における他方側に導入口136が設けられている。第1揺動軸がy軸であり、第2揺動軸がx軸である。培養容器132にx軸回りの揺動運動を行わせることにより、中央密集状態が形成され、つまり細胞密集体138が生じる。その状態で、使用済み培地が排出口134を介して外部へ取り出される。このような変形例においても細胞の保護を図れる。
以上のように、上記実施形態によれば、細胞にダメージやストレスが生じることを回避できあるいは軽減できる。特に、細胞の排出されてしまう可能性を低減できる。細胞密集体と排出口との間、及び、細胞密集体と導入口との間に空白地帯を設ければ、上記作用効果をより確実に得られる。
10 インキュベータユニット、12 試薬ユニット、14 制御ユニット、18 培養容器、20 揺動機構、21 保持機構、22 駆動源、48 導入ポート、50 排出ポート、52a 導入口、58a 排出口。

Claims (15)

  1. 浮遊状態にある複数の細胞を含む培地を収容した培養容器を保持すると共に、前記培養容器に運動を行わせる運動機構と、
    前記培養容器の運動を制御することにより前記複数の細胞の分布を操作する制御部であって、前記培養容器の排出口を通じて前記培地を取り出す前に、前記排出口から離れた位置を中心として前記複数の細胞を密集させることにより、前記複数の細胞の非均一分布状態を生じさせる制御部と、
    を含むことを特徴とする細胞培養装置。
  2. 請求項1記載の細胞培養装置において、
    前記非均一分布状態においては、前記排出口から水平方向に隔てられた細胞密集体が形成される、
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  3. 請求項2記載の細胞培養装置において、
    前記培養容器は新しい培地を入れるための導入口を備え、
    前記排出口と前記導入口の間に前記細胞密集体が形成される、
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  4. 請求項3記載の細胞培養装置において、
    前記培養容器は直交関係にある第1軸及び第2軸の両方向に広がった形態を有し、
    前記第1軸の方向は前記排出口と前記導入口の並び方向に平行であり、
    前記細胞密集体は前記第2軸の方向に伸長している、
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  5. 請求項2記載の細胞培養装置において、
    前記運動機構は前記培養容器に揺動運動を行わせる揺動機構であり、
    前記制御部は前記細胞密集体が形成されるように前記揺動機構を制御する、
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  6. 請求項5記載の細胞培養装置において、
    前記培養容器は揺動軸を有し、
    前記揺動軸回りの前記培養容器の揺動により前記細胞密集体が形成され、
    前記細胞密集体は前記揺動軸の付近に集合した複数の細胞により構成される、
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  7. 請求項1記載の細胞培養装置において、
    前記制御部は、
    前記複数の細胞の全体分散状態を生じさせる機能と、
    前記非均一分布状態としての複数の細胞の局所密集状態を生じさせる機能と、
    を有することを特徴とする細胞培養装置。
  8. 請求項7記載の細胞培養装置において、
    前記制御部は、前記培地の取り出し前に前記局所密集状態を生じさせ、前記培地の導入後に前記全体分散状態を生じさせる、
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  9. 請求項7記載の細胞培養装置において、
    前記培養容器は直交関係にある第1軸及び第2軸の両方向に広がった形態を有し、
    前記運動機構は、前記第1軸回りにおいて前記培養容器を正方向及び負方向に回転させることにより前記培養容器に揺動運動を行わせる第1揺動動作と、前記第2軸回りにおいて前記培養容器を正方向及び負方向に回転させることにより前記培養容器に揺動運動を行わせる第2揺動動作と、を実行する揺動機構であり、
    前記全体分散状態は、前記培養容器に前記第1軸回りに揺動運動を行わせ且つ前記第2軸回りに揺動運動を行わせることにより形成され、
    前記局所密集状態は、前記培養容器に前記第2軸回りに揺動運動を行わせることにより形成される、
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  10. 請求項9記載の細胞培養装置において、
    前記排出口は、前記培養容器における前記第1軸の方向の一方側に設けられ、
    前記培養容器は、更に、前記第1軸の方向における他方側に設けられ、新しい培地を導入するための導入口を有する、
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  11. 請求項7記載の細胞培養装置において、
    前記制御部は、前記培地の取り出しを行う過程において、前記局所密集状態が繰り返し形成されるように前記培養容器の運動を制御する、
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  12. 請求項7記載の細胞培養装置において、
    前記全体分散状態を生じさせるための第1パラメータセット及び前記局所密集状態を生じさせるための第2パラメータセットが記憶された記憶部を含み、
    前記制御部は、前記第1パラメータセットに従って前記培養容器の運動を制御することにより前記全体分散状態を生じさせ、前記第2パラメータセットに従って前記培養容器の運動を制御することにより前記局所密集状態を生じさせる、
    ことを特徴とする細胞培養装置。
  13. 培養容器内の培地において浮遊状態にある複数の細胞を前記培養容器の排出口から水平方向に隔てつつ密集させる工程と、
    前記複数の細胞を密集させた後に前記排出口を通じて前記培養容器内から前記培地を取り出す工程と、
    前記培地が取り出された後に前記培養容器内に新しい培地を導入する工程と、
    前記新しい培地が導入された後に前記新しい培地において浮遊状態にある複数の細胞を全体的に分散させる工程と、
    を含むことを特徴とする培地交換方法。
  14. 請求項13記載の培地交換方法において、
    前記培養容器は前記新しい培地を導入するための導入口を有し、
    前記培養容器内において前記複数の細胞が前記排出口と前記導入口との間に密集して細胞密集体が形成される、
    ことを特徴とする培地交換方法。
  15. 請求項14記載の培地交換方法において、
    前記細胞密集体は、前記培養容器を揺動軸回りに揺動運動させることにより形成され、
    前記細胞密集体は前記揺動軸に沿って伸長した帯状の形態を有する、
    ことを特徴とする培地交換方法。
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