JP2021006548A - ウルソデオキシコール酸を含有する老視の治療または予防剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】老視の新たな治療または予防手段の提供。【解決手段】ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩を有効成分として含有する、老視等の眼疾患の治療又は予防剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩を有効成分として含有する老視の治療または予防剤に関する。
老視は、40歳頃から始まる目の老化現象の一つで、俗に老眼とも呼ばれ、非特許文献1によれば、加齢に伴って調節幅が減退する病態(Age-Related Loss of Accommodation)である疾患と定義される。近くのものや遠くのものを見てピントが合うためには、目に入ってきた光が水晶体を通るときに適切に屈折されることが必要であり、そのため、水晶体の近くに位置する毛様体筋の収縮など目には水晶体の厚さを調節する機能が備わっている。遠近調節反応に関与する眼球組織は、水晶体、チン小帯、水晶体嚢、および毛様体筋を含む。しかし、老化によって毛様体筋の機能が低下したり、水晶体の弾性(或いは、粘弾性)が低下、つまり、水晶体が硬化したりすると、水晶体の厚さを調節することが困難になり、ものを見た時にピントがうまく合わなくなる。この状態が老視である。
老視への対処にはこれまで老眼鏡が用いられてきたが、最近では、老視治療剤の研究開発の報告もある。例えば、特許文献1には、リポ酸コリンエステル(別名、EV06、UNR844)等のリポ酸誘導体が老視の治療に有用であることが開示され、リポ酸コリンエステルを含有する点眼剤は米国で臨床開発が進められている。そのほか、AGN−199201とAGN−190584を配合する点眼剤、PRX−100を含有する点眼剤、およびPresbiDrops(CSF−1)を含有する点眼剤でも、老視治療剤としての臨床開発が進められている。しかしながら、老視患者の状態は多様であり、それに応じて治療剤を適宜選択できるよう、眼疾患治療剤の種類の増加は依然として強く望まれている。
ウルソデオキシコール酸は、胆汁分泌の促進作用やサイトカイン・ケモカイン産生抑制作用などを有する化合物であり、そのため肝疾患の治療薬に用いられている(非特許文献2)。しかしながら、ウルソデオキシコール酸と老視治療の関係について報告する文献はない。
国際公開第2010/147957号パンフレット
あたらしい眼科、Vol.28、No.7、985−988、2011 ウルソ(登録商標)錠 50mg ウルソ(登録商標)錠 100mg 添付文書
本明細書において引用する先行技術文献の開示は全て、参照することにより、本明細書に組み込まれる。
老視の新たな治療または予防手段を見出すことは非常に興味深い課題である。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ウルソデオキシコール酸が、意外にも水晶体の弾性を顕著に向上させることを見出し、本開示の発明に至った。具体的に本開示は以下の発明の態様を提供する。
〔1〕 ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩を有効成分として含有する、老視の治療または予防剤。
〔2〕 ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩を有効成分として含有する、水晶体の弾性の低下を伴う眼疾患の治療または予防剤。
〔3〕 該眼疾患が眼の調節力の低下を伴う眼疾患である、〔2〕に記載の治療または予防剤。
〔4〕 ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩を有効成分として含有する、眼の調節力の低下を伴う眼疾患の治療または予防剤。
〔5〕 該眼疾患が老視である、〔2〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
〔6〕 眼投与される、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
〔7〕 点眼剤または眼軟膏である、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
〔8〕 ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩の含有量が0.00001〜10%(w/v)である、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
〔9〕 ウルソデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸メチルエステル、ウルソデオキシコール酸エチルエステル、ウルソデオキシコール酸n−プロピルエステル、ウルソデオキシコール酸イソプロピルエステル、ウルソデオキシコール酸n−ブチルエステル、ウルソデオキシコール酸イソブチルエステル、ウルソデオキシコール酸sec−ブチルエステル、ウルソデオキシコール酸tert−ブチルエステル、ウルソデオキシコール酸n−ペンチルエステル、ウルソデオキシコール酸n−ヘキシルエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩を含有する、〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
〔10〕 ウルソデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸メチルエステル、ウルソデオキシコール酸エチルエステル、ウルソデオキシコール酸n−プロピルエステル、ウルソデオキシコール酸イソプロピルエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩を含有する、〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
〔11〕 ウルソデオキシコール酸またはそのナトリウム塩を含有する、〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
〔12〕 水、ならびにピルビン酸エチル、リン酸水素ナトリウム一水和物、リン酸水素二ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、NaCl、およびその混合から選択される添加物をさらに含有する、〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
〔13〕 老視、水晶体の弾性の低下を伴う眼疾患、または眼の調節力の低下を伴う眼疾患の治療または予防剤の製造における、ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩の使用。
〔14〕 老視、水晶体の弾性の低下を伴う眼疾患、または眼の調節力の低下を伴う眼疾患の治療または予防における使用のための、ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩。
〔15〕 老視、水晶体の弾性の低下を伴う眼疾患、または眼の調節力の低下を伴う眼疾患を治療または予防するための方法であって、その治療または予防を必要とする対象に有効量のウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩を投与することを含む方法。
前記〔1〕から〔15〕の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができる。
本開示の治療または予防剤は、水晶体の厚さ調節に重要な水晶体の弾性を向上することができ、よって老視等の眼疾患の治療または予防に有用である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本開示は、ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩を有効成分として含有する、老視の治療または予防剤(以下、「本発明の薬剤」と称することがある)を提供する。本発明の薬剤は水晶体の弾性を向上するために使用されうる。さらに本発明の薬剤は眼の調節力を向上するために使用されうる。
ウルソデオキシコール酸は下記式(1):
で表される化合物(CAS登録番号:128−13−2)であり、ウルソジオールや3α,7β−ジヒドロキシ−5β−コラン−24−酸(3α,7β-Dihydroxy-5β-cholan-24-oic acid)とも呼ばれ、UDCAと略されることもある。
本発明の薬剤に含有されうるウルソデオキシコール酸のアミド結合体は、ウルソデオキシコール酸のカルボキシル基がアミノ化合物のアミノ基と脱水縮合することで形成される−CO−NH−結合を有するアミド結合体を意味する。
当該アミノ化合物の例としては、
アミノ酸:例えば、アラニン、ロイシン、アルギニン、リシン、アスパラギン、メチオニン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、システイン、グルタミン、セリン、グルタミン酸、トレオニン、グリシン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン、イソロイシン、およびバリン;
2−アミノアジピン酸、3−アミノアジピン酸、2−アミノブタン酸、4−アミノブタン酸、2,4−ジアミノブタン酸、2−アミノヘキサン酸、6−アミノヘキサン酸、β−アラニン、2−アミノペンタン酸、2,3−ジアミノプロパン酸、2−アミノピメリン酸、2,6−ジアミノピメリン酸、システイン酸、2,4−ジアミノブタン酸、2,6−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロパン酸、4−カルボキシグルタミン酸、ホモシステイン、ホモセリン、ホモセリンラクトン、ホモセリンラクトン、5−ヒドロキシリシン、アロヒドロキシリシン、アロイソロイシン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、アロトレオニン、チロキシン;
アミノ酸類縁体:例えば、タウリン;
が挙げられる。
ウルソデオキシコール酸のアミド結合体の例として、タウロウルソデオキシコール酸およびグリコウルソデオキシコール酸が挙げられる。
タウロウルソデオキシコール酸は下記式(2):
で表される化合物(CAS登録番号:14605−22−2)であり、3α,7β-ジヒドロキシ-5β-コラン-24-酸 N-(2-スルホエチル)アミド(3α,7β-Dihydroxy-5β-cholan-24-oic Acid N-(2-Sulfoethyl)amide)とも呼ばれ、TUDCAと略されることもある。
グリコウルソデオキシコール酸は下記式(3):
で表される化合物(CAS登録番号:64480−66−6)であり、N-(3α,7β-ジヒドロキシ-5β-コラン-24-オイル)グリシン(N-(3α,7β-Dihydroxy-5β-cholan-24-oyl)glycine)とも呼ばれ、GUDCAと略されることもある。
本発明の薬剤に含有されうるウルソデオキシコール酸のエステルは、例えば、ウルソデオキシコール酸のカルボキシル基が炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜3)の1価アルコールと脱水縮合することで形成されるエステルが挙げられる。
本発明の薬剤に含有されうるウルソデオキシコール酸のアミド結合体のエステルは、例えば、当該アミノ化合物部分がカルボキシル基および/またはスルホン酸基を有する場合、当該カルボキシル基および/または当該スルホン酸基が炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜3)の1価アルコールと脱水縮合することで形成されるエステルが挙げられる。
具体的なウルソデオキシコール酸またはウルソデオキシコール酸のアミド結合体のエステルの例としては、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、sec−ブチルエステル、tert−ブチルエステル、n−ペンチルエステルまたはn−ヘキシルエステルが挙げられる。好ましいエステルの例として、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステルが挙げられる。
また、別の例としては、ウルソデオキシコール酸またはウルソデオキシコール酸のアミド結合体の少なくとの一つのヒドロキシル基が炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数2〜3)のカルボン酸と脱水縮合することで形成されるカルボン酸エステルが挙げられる。具体的なカルボン酸エステルの例としては、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソプロピオン酸エステル、酪酸エステル、イソ酪酸エステル、ピバル酸エステル、吉草酸エステル、またはイソ吉草酸エステルが挙げられる。好ましいカルボン酸エステルエステルの例として、酢酸エステルが挙げられる。
本発明の薬剤に含有されうるウルソデオキシコール酸の塩、ウルソデオキシコール酸のアミド結合体の塩、ウルソデオキシコール酸のエステルの塩、およびウルソデオキシコール酸のアミド結合体のエステルの塩は、医薬的に許容される塩であれば特に制限されない。例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、安息香酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩;アンモニウム塩等の無機塩;およびトリエチルアミン塩、グアニジン塩等の有機アミン塩等が挙げられ、好ましくは、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。
本発明の薬剤において、ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩は、水和物または溶媒和物の形態をとってもよい。
本発明の薬剤におけるウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩の含有量は、特に制限されず、投与形態等によって、広範囲から選択されうる。
例えば、本発明の薬剤におけるウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩の含有量は0.00001〜10%(w/v)であり、好ましくは0.0001〜5%(w/v)であり、より好ましくは0.001〜3%(w/v)であり、さらにより好ましくは0.01〜2%(w/v)、特に好ましくは0.15〜1.5%(w/v)である。当該含有量の下限値の例として0.00001%(w/v)、好ましい例として0.0001%(w/v)、より好ましい例として0.001%(w/v)、さらにより好ましい例として0.01%(w/v)、特に好ましい例として0.1%(w/v)、さらに特に好ましい例として0.15%(w/v)が挙げられる。当該含有量の上限値の例として10%(w/v)、好ましい例として5%(w/v)、より好ましい例として3%(w/v)、特に好ましい例として2%(w/v)、さらに特に好ましい例として1.5%(w/v)が挙げられる。当該含有量の好ましい範囲は、上記の下限値の例および上限値の例の組み合わせにより示されうる。
さらに例えば、本発明の薬剤におけるウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩の含有量は0.00001〜10%(w/w)であり、好ましくは0.0001〜5%(w/w)であり、より好ましくは0.001〜3%(w/w)であり、さらにより好ましくは0.01〜2%(w/w)、特に好ましくは0.15〜1.5%(w/w)である。当該含有量の下限値の例として0.00001%(w/w)、好ましい例として0.0001%(w/w)、より好ましい例として0.001%(w/w)、さらにより好ましい例として0.01%(w/w)、特に好ましい例として0.1%(w/w)、さらに特に好ましい例として0.15%(w/w)が挙げられる。当該含有量の上限値の例として10%(w/w)、好ましい例として5%(w/w)、より好ましい例として3%(w/w)、特に好ましい例として2%(w/w)、さらに特に好ましい例として1.5%(w/w)が挙げられる。当該含有量の好ましい範囲は、上記の下限値の例および上限値の例の組み合わせにより示されうる。
1つの実施形態において、本発明の薬剤におけるウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩の含有量は、0.3〜10%(w/w)(例えば0.4〜5%(w/w)、0.5〜3%(w/w)、0.6〜1.5%(w/w)、0.8〜1.3%(w/w))でありうる。
本開示において「%(w/v)」は、薬剤100mL中に含まれる有効成分(ウルソデオキシコール酸およびウルソデオキシコール酸のアミド結合体、ならびにそれらのエステル、ならびにそれらの医薬的に許容される塩)や添加物(界面活性剤等)の質量(g)を意味する。例えば、ウルソデオキシコール酸0.01%(w/v)とは、薬剤100mL中に含まれるウルソデオキシコール酸が0.01gであることを意味する。
本開示において「%(w/w)」は、薬剤100g中に含まれる有効成分(ウルソデオキシコール酸およびウルソデオキシコール酸のアミド結合体、ならびにそれらのエステル、ならびにそれらの医薬的に許容される塩)や添加物(界面活性剤等)の質量(g)を意味する。例えば、ウルソデオキシコール酸0.01%(w/w)とは、薬剤100g中に含まれるウルソデオキシコール酸が0.01gであることを意味する。
ウルソデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸のアミド結合体、ウルソデオキシコール酸のエステル、またはウルソデオキシコール酸のアミド結合体のエステルが、塩または水和物もしくは溶媒和物(塩の水和物または溶媒和物を含む)の形態である場合、薬剤におけるウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩の含有量は、薬剤中に配合された当該塩または水和物もしくは溶媒和物(塩の水和物または溶媒和物を含む)の質量であっても、ウルソデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸のアミド結合体、またはそれらのエステルのフリー体として換算された質量であってもよいが、ウルソデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸のアミド結合体、またはそれらのエステルのフリー体として換算された質量であることが好ましい。
本開示において「老視」とは、医師または専門家に用いられる一般的な基準に基づいて老視と判断される症状/疾患を意味する。例えば老視の診断基準として、「両眼検査で近見視力の低下を自覚症状として有しかつ両眼生活視力(日常生活と同じ条件で測定した両眼遠見視力)で40cm視力が0.4未満である」(臨床的老視)および/または「自覚症状の有無に関係なく片眼完全矯正下(片眼の矯正視力(少数視力)が1.0以上)で調節力が2.5ジオプター未満である」(医学的老視)が挙げられる。ただし、アコモドメーター等を有さない場合には簡便法として40cm視力が0.4未満を用いてもよい。
本開示において「水晶体の弾性の低下を伴う眼疾患」とは、眼科分野において水晶体の弾性の低下を伴うと考えられている眼疾患を意味し、例えば老視(例えば加齢による老視)、および薬剤等により誘発された水晶体硬化が挙げられる。
本開示において「眼の調節力」とは、遠見時および/または近見時に自動的にピントを合わす眼の機能を意味する。「眼の調節力の低下を伴う眼疾患」とは眼科分野において眼の調節力の低下を伴うと考えられている眼疾患を意味し、例えば老視(例えば加齢による老視)、薬剤等により誘発された水晶体硬化、および長時間の近方視により誘発された調節力低下が挙げられる。
本発明の薬剤の効果は、例えば「眼の調節力」の向上として評価されうる。
眼の調節力はジオプター(D)として測定され、次の式(1)により求めることができる。
ジオプター(D)=1/近点距離(m) (式1)
一般に、眼の調節力は10歳では10ジオプター以上あるが、その後徐々に低下して、約45歳で約3ジオプターに低下し、約60歳でほとんど失われる。約3ジオプターにまで低下すると日常生活において近距離(約30cm)に焦点を合わせにくくなるため、老視の自覚症状が現れる。
本発明の薬剤の効果は、例えば「視力」の向上として評価されうる。
視力は、近見視力(裸眼、遠見矯正下、矯正)として測定され、少数視力、分数視力、logMARより求めることができる。
一般に、近見視力は約40cmを規定しており、0.4未満にまで低下すると近くのものを見る際に困難をきたし、老視の自覚症状が現れる。本発明の薬剤は近見視力(例えば遠見矯正下近見視力)を改善するために使用されうる。
本発明の薬剤は、処置後、1年以内、好ましくは6ケ月以内、より好ましくは1ケ月以内、さらに好ましくは1週間以内、最も好ましくは1日以内に効果を発揮しうる。また、一度効果を発揮したら、1日後、好ましくは1週間後、より好ましくは1ヵ月後、さらに好ましくは6ヵ月後、特に好ましくは1年後、最も好ましくは3年後まで持続して効果を発揮しうる。
本発明の薬剤は、例えば、眼の調節力を少なくとも約0.5ジオプター(好ましくは少なくとも約1ジオプター、より好ましくは少なくとも約1.5ジオプター、さらに好ましくは少なくとも約2ジオプター、さらにより好ましくは少なくとも約3ジオプター、またさらに好ましくは少なくとも約4ジオプター、特に好ましくは少なくとも約5ジオプター、さらに特に好ましくは少なくとも約10ジオプター)増加させるように投与されることができる。
本発明の薬剤は、例えば、遠見矯正下近見視力(distance-corrected near visual acuities (DCNVA))を少なくとも0.5 logMAR程度(好ましくは少なくとも1.0 logMAR程度、より好ましくは少なくとも1.5 logMAR程度、さらに好ましくは2.0 logMAR程度、もっと好ましくは3.0 logMAR程度、殊更好ましくは4.0 logMAR程度、特に好ましくは5.0 logMAR程度、さらに特に好ましくは6.0 logMAR程度)改善させるように投与されることができる。遠見矯正下近見視力は、一般に遠見視力を≦0.0 logMAR(少数視力1.0以上)に矯正して測定した近見視力のことをいう。
本発明の薬剤は、例えば、眼の調節力が、少なくとも約0.5ジオプター(好ましくは少なくとも約1ジオプター、より好ましくは少なくとも約1.5ジオプター、さらに好ましくは少なくとも約2ジオプター、もっと好ましくは少なくとも約3ジオプター、殊更好ましくは少なくとも約4ジオプター、特に好ましくは少なくとも約5ジオプター、さらに特に好ましくは少なくとも約10ジオプター)にまで回復するように投与されることができる。
本発明の薬剤は、例えば、遠見矯正下近見視力(distance−corrected near visual acuities (DCNVA))を少なくとも0.5 logMAR程度(好ましくは少なくとも1.0 logMAR程度、より好ましくは少なくとも1.5 logMAR程度、さらに好ましくは2.0 logMAR程度、もっと好ましくは3.0 logMAR程度、殊更好ましくは4.0 logMAR程度、特に好ましくは5.0 logMAR程度、さらに特に好ましくは6.0 logMAR程度)にまで回復させるように投与されることができる。
本開示において老視の治療または予防には、水晶体の弾性を向上させること、水晶体の厚さの調節機能を改善すること、および/または目の調節力を改善することが含まれる。
上述のとおり、一般に老視の自覚症状が現れるのは約45歳であるものの、加齢による眼の調節力の低下は十代から進行している。本発明の薬剤は老視の自覚症状が現れてから使用されてもよく、老視の自覚症状が現れる前に老視の進行を防止するおよび/または遅らせるために使用されてもよい。
本発明の薬剤の投与対象は、ウシおよびブタ等の家畜、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、およびヒトを含む哺乳類であり、好ましくはヒトである。
本開示において「治療」および「予防」には、疾患を治療することおよび疾患を予防することに加え、疾患の症状を緩和する、疾患の進行を遅らせる、疾患の症状を抑制する、および疾患の症状の改善を誘発することを含み得る。
本発明の薬剤の投与経路は、経口であっても非経口(例えば眼、鼻、皮膚、粘膜、注射等)であってよい。本発明の薬剤は、有効成分を例えば1以上の医薬的に許容される添加物と混合して、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の経口剤、或いは点眼剤、眼軟膏、注射剤、坐剤、経鼻剤等の非経口剤の形態に、当該技術分野における通常の方法で調製されうる。本発明の薬剤の効果がより優れる観点から、本発明の薬剤の好ましい製剤形として点眼剤(例えば懸濁剤の点眼剤)および眼軟膏が挙げられる。
本発明の薬剤に含まれうる医薬的に許容される添加物は、特に限定されず、投与経路、製剤形等に従って適宜選択されうる。当該医薬的に許容される添加物の例としては、例えば、界面活性剤、緩衝剤、等張化剤、安定化剤、防腐剤、抗酸化剤、粘稠化剤、溶解補助剤、懸濁化剤、基剤、溶剤、pH調整剤、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、保存剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等が挙げられる。
本発明の薬剤が点眼剤の場合には、使用されうる添加物の例として、界面活性剤、緩衝剤、等張化剤、安定化剤、防腐剤、抗酸化剤、粘稠化剤、溶剤、pH調整剤等が挙げられる。
界面活性剤の例として、カチオン性界面活性化剤、アニオン性界面活性化剤、非イオン性界面活性化剤等が挙げられる。
本発明の薬剤に界面活性化剤を配合する場合の界面活性化剤の含有量は、界面活性化剤の種類などにより適宜調整することができるが、例えば、0.01〜1%(w/v)が好ましい。
緩衝剤の例として、リン酸又はその塩等が挙げられ、これらの水和物又は溶媒和物であってもよい。
リン酸又はその塩としては、リン酸、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム(リン酸水素二ナトリウム)等が挙げられ、これらの水和物であってもよい。
本発明の薬剤に緩衝剤を配合する場合の緩衝剤の含有量は、緩衝剤の種類などにより適宜調整することができるが、例えば、0.001〜10%(w/v)が好ましく、0.01〜5%(w/v)がより好ましい。緩衝剤を2種以上一緒に用いてもよい。
等張化剤の例として、イオン性等張化剤や非イオン性等張化剤等が挙げられる。イオン性等張化剤としては、塩化ナトリウム等が挙げられる。
本発明の薬剤に等張化剤を配合する場合の等張化剤の含有量は、等張化剤の種類などにより適宜調整することができるが、例えば、0.001〜10%(w/v)が好ましく、0.01%〜5%(w/v)がより好ましい。
粘稠化剤の例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
本発明の薬剤に粘稠化剤を配合する場合の粘稠化剤の含有量は、粘稠化剤の種類などにより適宜調整することができるが、例えば、0.001〜5%(w/v)が好ましく、0.01%〜3%(w/v)がより好ましい。
本発明の薬剤が水性製剤(例えば点眼剤)である場合には、そのpHは、4〜8が好ましく、5〜7がより好ましい。
溶剤の例として、例えば、水、生理食塩水等が挙げられる。
本発明の薬剤が水性製剤(例えば点眼剤)である場合の例として、ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩、水、ならびにピルビン酸エチル、リン酸水素ナトリウム一水和物(NaHPOO)、リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、NaCl、およびその混合から選択される添加物を含有する水性製剤が挙げられる。前記「その混合」とは当該列記された特定の添加物の任意の組み合わせを意味する。
本願において「有効量」は、疾患の症状における患者利益を提供するために必要な有効成分の量である。
本発明の薬剤の用法・用量は、所望の薬効を奏するのに十分な用法・用量であれば特に制限はなく、疾患の症状、患者の年齢や体重、薬剤の剤形等に応じて適宜選択できる。
例えば、点眼剤の場合、1回量1〜5滴、好ましくは1〜3滴、より好ましくは1〜2滴、特に好ましくは1滴を、1日1〜4回、好ましくは1日1〜3回、より好ましくは1日1〜2回、特に好ましくは1日1回を、毎日〜1週間毎に点眼投与することができる。ここで、1滴は、通常、約0.01〜約0.1mLであり、好ましくは、約0.015〜約0.07mLであり、より好ましくは、約0.02〜約0.05mLであり、特に好ましくは約0.03mLである。
1つの実施形態において、本発明の薬剤は、老視、水晶体の弾性の低下を伴う眼疾患、または眼の調節力の低下を伴う眼疾患に対し、(例えばEV06と比べて)即効性でありうる。本発明の薬剤の投与期間は医師または専門家により決定されうるが、1つの実施形態において、本発明の薬剤は点眼剤(例えば懸濁剤)および眼軟膏等の眼投与剤であって、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも7日間、少なくとも10日間継続して使用されうる。1つの実施形態において、本発明の薬剤は、1日に少なくとも1回(例えば、少なくとも2回、少なくとも3回)投与されうる。
1つの実施形態において、本発明の薬剤は、眼投与されたとき、老視、水晶体の弾性の低下を伴う眼疾患、または眼の調節力の低下を伴う眼疾患に対する効果を有しつつ、さらに、低眼刺激性でありうる。
以下に薬理試験の結果を示すが、これらは本発明をより良く理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
[薬理試験1]
リポ酸コリンエステル(EV06)による水晶体の弾性に対する作用を確認した。InvestOphthalmol Vis Sci、57、2851−2863、2016に記載の方法を参考に、評価試験を行った。 EV06は、下記式(2):
で表される化合物である。
(被験試料の調製)
1)基剤の調製
0.1%(w/v) ピルビン酸エチル、0.269%(w/v) リン酸水素ナトリウム一水和物(NaHPOO)、0.433%(w/v) リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、0.2%(w/v) ヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5%(w/v) NaClを含有する基剤を調製した。
2)EV06試料の調製
EV06に基剤を加えてソニケートし、5%(w/v)の懸濁液を調製した。調製した5%(w/v)懸濁液を基剤で希釈して1.5%(w/v)溶液を調製した。さらに、調製した1.5%(w/v)溶液を基剤で希釈して0.5%(w/v)溶液を調製した。それぞれ1日分を用事調製した。
(試験方法)
1)8ヵ月齢のC57BL/6Jマウスに各被験試料を1日3回(9:00、13:00、17:00を目安)、15〜17日間、2.5 μL/eyeずつピペットマンを用いて右眼に点眼した。
2)最終点眼後に、マウスに二酸化炭素を吸引させ安楽殺し、眼球を摘出して、Hank‘s balanced salt solution(HBSS)でリンスした。
3)視神経近くの強膜をカミソリで切り、水晶体を切開部から摘出し、摘出した水晶体はHBSSに浸した。
4)水晶体をスライドガラスの上にのせ、オールインワン蛍光顕微鏡BZ−9000(キーエンス)を用いて水晶体の画像を取り込んだ(画像a)。
5)次に、水晶体の上に1枚のカバーガラス(Corning(登録商標) 22x22mm Square)を載せ、重さにより水晶体の厚さが変動した画像を同様に取り込んだ(画像b)。
6)画像bの水晶体直径から画像aの水晶体直径を引き、水晶体直径の変化量を下記計算式1より算出した。ついで、基剤群と比較した各試料群の水晶体弾性向上量を下記計算式2より算出した。なお、平均値は、基剤群は6例、各EV06試料群は12例の平均である。
(計算式1)
水晶体直径の変化量=各被験試料の画像bの水晶体直径−各被験試料の画像aの水晶体直径
(計算式2)
各試料群の水晶体弾性向上量=各EV06試料群の水晶体直径の変化量の平均値−基剤群の水晶体直径の変化量の平均値
(結果)
結果を表1に示す。

表1から明らかなように、EV06試料群は、0.5%、1.5%、5%のいずれにおいても、基剤群と比べて水晶体直径を増加させ、EV06が弾性向上作用を示すことを確認した。
[薬理試験2]
ウルソデオキシコール酸ナトリウムによる水晶体の弾性に対する作用を検討した。
(被験試料の調製)
1)基剤の調製
0.1%(w/v) ピルビン酸エチル、0.269%(w/v) リン酸水素ナトリウム一水和物(NaHPOO)、0.433%(w/v) リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、0.2%(w/v)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5%(w/v) NaClを含有する基剤を調製した。
2)ウルソデオキシコール酸ナトリウム試料の調製
ウルソデオキシコール酸ナトリウムに基剤を加えてソニケートし、1.5%(w/v)の懸濁液を調製した。調製した1.5%(w/v)懸濁液を基剤で希釈して0.5%(w/v)懸濁液を調製した。さらに、調製した0.5%(w/v)懸濁液を基剤で希釈して0.15%(w/v)懸濁液を調製した。それぞれ1日分を用事調製した。
3)EV06試料の調製
EV06に基剤を加えてソニケートし、1.5%(w/v)溶液を調製した(1日分を用事調製した)。
(試験方法)
1)8ヵ月齢のC57BL/6Jマウスに各被験試料を1日3回(9:00、13:00、17:00を目安)、12〜15日間、2.5 μL/eyeずつピペットマンを用いて右眼に点眼した。
2)最終点眼後に、マウスに二酸化炭素を吸引させ安楽殺し、眼球を摘出して、Hank‘s balanced salt solution(HBSS)でリンスした。
3)視神経近くの強膜をカミソリで切り、水晶体を切開部から摘出し、摘出した水晶体はHBSSに浸した。
4)水晶体をスライドガラスの上にのせ、オールインワン蛍光顕微鏡BZ−9000(キーエンス)を用いて水晶体の画像を取り込んだ(画像a)。
5)次に、水晶体の上に1枚のカバーガラス(Corning(登録商標) 22x22mm Square)を載せ、重さにより水晶体の厚さが変動した画像を同様に取り込んだ(画像b)。
6)画像bの水晶体直径から画像aの水晶体直径を引き、水晶体直径の変化量を下記計算式1より算出した。ついで、基剤群と比較した各試料群の水晶体弾性向上量を下記計算式2より算出した。なお、平均値は、基剤群は5例、各ウルソデオキシコール酸ナトリウム試料群及びEV06試料群は10例の平均である。
(計算式1)
水晶体直径の変化量=各被験試料の画像bの水晶体直径−各被験試料の画像aの水晶体直径
(計算式2)
各試料群の水晶体弾性向上量=各被験試料群の水晶体直径の変化量の平均値−基剤群の水晶体直径の変化量の平均値
(結果)
結果を表2に示す。


表2から明らかなように、ウルソデオキシコール酸ナトリウム試料群は、0.15%、0.5%、1.5%のいずれにおいても強力な水晶体弾性改善作用を示し、1.5%では同濃度のEV06よりも強力な水晶体弾性向上作用を示した。
[薬理試験3]
ウルソデオキシコール酸(フリー体)による水晶体の弾性に対する作用を検討した。
(被験試料の調製)
1)基剤の調製
0.1%(w/v) ピルビン酸エチル、0.269%(w/v) リン酸水素ナトリウム一水和物(NaHPOO)、0.433%(w/v) リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、0.2%(w/v)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5%(w/v) NaClを含有する基剤を調製した。
2)ウルソデオキシコール酸試料の調製
ウルソデオキシコール酸に基剤を加えてソニケートし、1.5%(w/v)の懸濁液を調製した。調製した1.5%(w/v)懸濁液を基剤で希釈して0.5%(w/v)懸濁液を調製した。さらに、調製した0.5%(w/v)懸濁液を基剤で希釈して0.15%(w/v)懸濁液を調製した。それぞれ1日分を用事調製した。
3)EV06試料の調製
EV06に基剤を加えてソニケートし、1.5%(w/v)溶液を調製した(1日分を用事調製した)。
(試験方法)
1)8ヵ月齢のC57BL/6Jマウスに各被験試料を1日3回(9:00、13:00、17:00を目安)、12〜15日間、2.5 μL/eyeずつピペットマンを用いて右眼に点眼した。
2)最終点眼後に、マウスに二酸化炭素を吸引させ安楽殺し、眼球を摘出して、Hank‘s balanced salt solution(HBSS)でリンスした。
3)視神経近くの強膜をカミソリで切り、水晶体を切開部から摘出し、摘出した水晶体はHBSSに浸した。
4)水晶体をスライドガラスの上にのせ、オールインワン蛍光顕微鏡BZ−9000(キーエンス)を用いて水晶体の画像を取り込んだ(画像a)。
5)次に、水晶体の上に1枚のカバーガラス(Corning(登録商標) 22x22mm Square)を載せ、重さにより水晶体の厚さが変動した画像を同様に取り込んだ(画像b)。
6)画像bの水晶体直径から画像aの水晶体直径を引き、水晶体直径の変化量を下記計算式1より算出した。ついで、基剤群と比較した各試料群の水晶体弾性向上量を下記計算式2より算出した。なお、平均値は、基剤群は5例、各ウルソデオキシコール酸試料群及びEV06試料群は10例の平均である。
(計算式1)
水晶体直径の変化量=各被験試料の画像bの水晶体直径−各被験試料の画像aの水晶体直径
(計算式2)
各試料群の水晶体弾性向上量=各被験試料群の水晶体直径の変化量の平均値−基剤群の水晶体直径の変化量の平均値
(結果)
結果を表3に示す。
表3から明らかなように、ウルソデオキシコール酸試料群は、0.15%、0.5%、1.5%のいずれにおいても強力な水晶体弾性改善作用を示し、1.5%では同濃度のEV06よりも強力な水晶体弾性向上作用を示した。
[薬理試験4]
ウルソデオキシコール酸の1日1回、2週間点眼による水晶体の弾性に対する作用を検討した。
(被験試料の調製)
1)基剤の調製
0.1%(w/v) ピルビン酸エチル、0.269%(w/v) リン酸水素ナトリウム一水和物(NaHPOO)、0.433%(w/v) リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、0.2%(w/v)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5%(w/v) NaClを含有する基剤を調製した。
2)ウルソデオキシコール酸試料の調製
ウルソデオキシコール酸に基剤を加えてソニケートし、3.0%(w/v)の懸濁液を調製した。調製した3.0%(w/v)懸濁液を基剤で希釈して1.0%(w/v)懸濁液を調製した。さらに、調製した1.0%(w/v)懸濁液を基剤で希釈して0.3%(w/v)懸濁液を調製した。それぞれ1日分を用事調製した。
3)EV06試料の調製
EV06に基剤を加えてソニケートし、1.5%(w/v)溶液を調製した(1日分を用事調製した)。
(試験方法)
1)8ヵ月齢のC57BL/6Jマウスに各被験試料を1日1回(QD)、2回(BID)あるいは3回(TID)(1回は9:00を目安、2回は9:00、17:00を目安、3回は9:00、13:00、17:00を目安)、14日間、2.5 μL/eyeずつピペットマンを用いて右眼に点眼した。
2)最終点眼後に、マウスに二酸化炭素を吸引させ安楽殺し、眼球を摘出して、Hank‘s balanced salt solution(HBSS)でリンスした。
3)視神経近くの強膜をカミソリで切り、水晶体を切開部から摘出し、摘出した水晶体はHBSSに浸した。
4)水晶体をスライドガラスの上にのせ、オールインワン蛍光顕微鏡BZ−9000(キーエンス)を用いて水晶体の画像を取り込んだ(画像a)。
5)次に、水晶体の上に1枚のカバーガラス(Corning(登録商標) 22x22mm Square)を載せ、重さにより水晶体の厚さが変動した画像を同様に取り込んだ(画像b)。
6)画像bの水晶体直径から画像aの水晶体直径を引き、水晶体直径の変化量を下記計算式1より算出した。ついで、基剤群と比較した各試料群の水晶体弾性向上量を下記計算式2より算出した。なお、平均値は、基剤群は5例、各ウルソデオキシコール酸試料群及びEV06試料群は10例の平均である。
(計算式1)
水晶体直径の変化量=各被験試料の画像bの水晶体直径−各被験試料の画像aの水晶体直径
(計算式2)
各試料群の水晶体弾性向上量=各被験試料群の水晶体直径の変化量の平均値−基剤群の水晶体直径の変化量の平均値
(結果)
結果を表4に示す。


表4から明らかなように、ウルソデオキシコール酸試料群は、1日1回点眼でも1%、3%のいずれにおいても強力な水晶体弾性改善作用を示し、1.5% EV06の1回点眼は効果を示さなかったため、EV06よりも明らかに強力な水晶体弾性向上作用を示した。
[薬理試験5]
1% ウルソデオキシコール酸の1日1回、1日、3日、7日、10日または14日間点眼したときの水晶体の弾性に対する作用を検討した。
(被験試料の調製)
1)基剤の調製
0.1%(w/v) ピルビン酸エチル、0.269%(w/v) リン酸水素ナトリウム一水和物(NaHPOO)、0.433%(w/v) リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、0.2%(w/v)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5%(w/v) NaClを含有する基剤を調製した。
2)1% ウルソデオキシコール酸試料の調製
ウルソデオキシコール酸に基剤を加えてソニケートし、1.0%(w/v)の懸濁液を調製した。それぞれ1日分を用事調製した。
(試験方法)
1)8ヵ月齢のC57BL/6Jマウスに各被験試料を1日1回(13:30を目安)、1日、3日、7日、10日または14日間、2.5 μL/eyeずつピペットマンを用いて両眼に点眼した。
2)最終点眼24時間後に、マウスに二酸化炭素を吸引させ安楽殺し、眼球を摘出して、Hank‘s balanced salt solution(HBSS)でリンスした。
3)視神経近くの強膜をカミソリで切り、水晶体を切開部から摘出し、摘出した水晶体はHBSSに浸した。
4)水晶体をスライドガラスの上にのせ、オールインワン蛍光顕微鏡BZ−9000(キーエンス)を用いて水晶体の画像を取り込んだ(画像a)。
5)次に、水晶体の上に1枚のカバーガラス(Corning(登録商標) 22x22mm Square)を載せ、重さにより水晶体の厚さが変動した画像を同様に取り込んだ(画像b)。
6)画像bの水晶体直径から画像aの水晶体直径を引き、水晶体直径の変化量を下記計算式1より算出した。ついで、基剤群と比較した各試料群の水晶体弾性向上量を下記計算式2より算出した。なお、平均値は、無処置群及び各ウルソデオキシコール酸試料群は9又は10例の平均である。
(計算式1)
水晶体直径の変化量=各被験試料の画像bの水晶体直径−各被験試料の画像aの水晶体直径
(計算式2)
各試料群の水晶体弾性向上量=各被験試料群の水晶体直径の変化量の平均値−無処置群の水晶体直径の変化量の平均値
(結果)
結果を表5に示す。


表5から明らかなように、1% ウルソデオキシコール酸試料群は、1日1回点眼において点眼日数の増加により水晶体弾性改善作用を示し、3日間点眼から明らかな水晶体弾性改善作用を示し、早期に作用を発揮する可能性が示唆された。
[薬理試験6]
ウルソデオキシコール酸メチルエステルの1日1回、7日間点眼による水晶体の弾性に対する作用を検討した。
(被験試料の調製)
1)基剤の調製
0.1%(w/v) ピルビン酸エチル、0.269%(w/v) リン酸水素ナトリウム一水和物(NaHPOO)、0.433%(w/v) リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、0.2%(w/v)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5%(w/v) NaClを含有する基剤を調製した。
2)ウルソデオキシコール酸メチルエステル試料の調製
ウルソデオキシコール酸メチルエステルに基剤を加えてソニケートし、0.3%(w/v)懸濁液、1.0%(w/v)懸濁液及び3.0%(w/v)懸濁液を調製した。それぞれ1日分を用事調製した。
(試験方法)
1)7ヵ月齢のC57BL/6Jマウスに各被験試料を1日1回(13:30を目安)、7日間、2.5 μL/eyeずつピペットマンを用いて両眼に点眼した。
2)最終点眼24時間後に、マウスに二酸化炭素を吸引させ安楽殺し、眼球を摘出して、Hank‘s balanced salt solution(HBSS)でリンスした。
3)視神経近くの強膜をカミソリで切り、水晶体を切開部から摘出し、摘出した水晶体はHBSSに浸した。
4)水晶体をスライドガラスの上にのせ、オールインワン蛍光顕微鏡BZ−9000(キーエンス)を用いて水晶体の画像を取り込んだ(画像a)。
5)次に、水晶体の上に1枚のカバーガラス(Corning(登録商標) 22x22mm Square)を載せ、重さにより水晶体の厚さが変動した画像を同様に取り込んだ(画像b)。
6)画像bの水晶体直径から画像aの水晶体直径を引き、水晶体直径の変化量を下記計算式1より算出した。ついで、基剤群と比較した各試料群の水晶体弾性向上量を下記計算式2より算出した。なお、平均値は、基剤群及び各ウルソデオキシコール酸メチルエステル試料群は9又は10例の平均である。
(計算式1)
水晶体直径の変化量=各被験試料の画像bの水晶体直径−各被験試料の画像aの水晶体直径
(計算式2)
各試料群の水晶体弾性向上量=各被験試料群の水晶体直径の変化量の平均値−基剤群の水晶体直径の変化量の平均値
(結果)
結果を表6に示す。


表6から明らかなように、ウルソデオキシコール酸メチルエステル試料群は、1日1回点眼でも1%、3%のいずれにおいても強力な水晶体弾性改善作用を示し、ウルソデオキシコール酸メチルエステルにおいても1.5% EV06よりも強力な水晶体弾性向上作用を示す可能性が示唆された。

[薬理試験7]
タウロウルソデオキシコール酸の1日1回、7日間点眼による水晶体の弾性に対する作用を検討した。
(被験試料の調製)
1)基剤の調製
0.1%(w/v) ピルビン酸エチル、0.269%(w/v) リン酸水素ナトリウム一水和物(NaHPOO)、0.433%(w/v) リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、0.2%(w/v)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5%(w/v) NaClを含有する基剤を調製した。
2)タウロウルソデオキシコール酸試料の調製
タウロウルソデオキシコール酸に基剤を加えて溶解し、1.0%(w/v)溶液を調製した。それぞれ1日分を用事調製した。
(試験方法)
1)7ヵ月齢のC57BL/6Jマウスに各被験試料を1日1回(13:30を目安)、7日間、2.5 μL/eyeずつピペットマンを用いて両眼に点眼した。
2)最終点眼24時間後に、マウスに二酸化炭素を吸引させ安楽殺し、眼球を摘出して、Hank‘s balanced salt solution(HBSS)でリンスした。
3)視神経近くの強膜をカミソリで切り、水晶体を切開部から摘出し、摘出した水晶体はHBSSに浸した。
4)水晶体をスライドガラスの上にのせ、オールインワン蛍光顕微鏡BZ−9000(キーエンス)を用いて水晶体の画像を取り込んだ(画像a)。
5)次に、水晶体の上に1枚のカバーガラス(Corning(登録商標) 22x22mm Square)を載せ、重さにより水晶体の厚さが変動した画像を同様に取り込んだ(画像b)。
6)画像bの水晶体直径から画像aの水晶体直径を引き、水晶体直径の変化量を下記計算式1より算出した。ついで、基剤群と比較した各試料群の水晶体弾性向上量を下記計算式2より算出した。なお、平均値は、基剤群及びタウロウルソデオキシコール酸試料群は10例の平均である。
(計算式1)
水晶体直径の変化量=各被験試料の画像bの水晶体直径−各被験試料の画像aの水晶体直径
(計算式2)
各試料群の水晶体弾性向上量=各被験試料群の水晶体直径の変化量の平均値−基剤群の水晶体直径の変化量の平均値
(結果)
結果を表7に示す。


表7から明らかなように、1% タウロウルソデオキシコール酸試料群においても、1日1回点眼で強力な水晶体弾性改善作用を示し、表4に示すとおり1.5% EV06の1日1回点眼は14日でも効果を示さなかったため、EV06よりも明らかに強力な水晶体弾性向上作用を示す可能性が示唆された。
[薬理試験8]
グリコウルソデオキシコール酸の1日1回、7日間点眼による水晶体の弾性に対する作用を検討した。
(被験試料の調製)
1)基剤の調製
0.1%(w/v) ピルビン酸エチル、0.269%(w/v) リン酸水素ナトリウム一水和物(NaHPOO)、0.433%(w/v) リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、0.2%(w/v)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5%(w/v) NaClを含有する基剤を調製した。
2)グリコウルソデオキシコール酸試料の調製
グリコウルソデオキシコール酸に基剤を加えてソニケートし、1.0%(w/v)懸濁液を調製した。それぞれ1日分を用事調製した。
(試験方法)
1)8ヵ月齢のC57BL/6Jマウスに各被験試料を1日1回(13:30を目安)、7日間、2.5 μL/eyeずつピペットマンを用いて両眼に点眼した。
2)最終点眼24時間後に、マウスに二酸化炭素を吸引させ安楽殺し、眼球を摘出して、Hank‘s balanced salt solution(HBSS)でリンスした。
3)視神経近くの強膜をカミソリで切り、水晶体を切開部から摘出し、摘出した水晶体はHBSSに浸した。
4)水晶体をスライドガラスの上にのせ、オールインワン蛍光顕微鏡BZ−9000(キーエンス)を用いて水晶体の画像を取り込んだ(画像a)。
5)次に、水晶体の上に1枚のカバーガラス(Corning(登録商標) 22x22mm Square)を載せ、重さにより水晶体の厚さが変動した画像を同様に取り込んだ(画像b)。
6)画像bの水晶体直径から画像aの水晶体直径を引き、水晶体直径の変化量を下記計算式1より算出した。ついで、基剤群と比較した各試料群の水晶体弾性向上量を下記計算式2より算出した。なお、平均値は、基剤群及びグリコウルソデオキシコール酸試料群は9−10例の平均である。
(計算式1)
水晶体直径の変化量=各被験試料の画像bの水晶体直径−各被験試料の画像aの水晶体直径
(計算式2)
各試料群の水晶体弾性向上量=各被験試料群の水晶体直径の変化量の平均値−基剤群の水晶体直径の変化量の平均値
(結果)
結果を表8に示す。


表8から明らかなように、1% グリコウルソデオキシコール酸試料群においても、1日1回点眼で強力な水晶体弾性改善作用を示し、表4に示すとおり1.5% EV06の1日1回点眼は14日でも効果を示さなかったため、EV06よりも明らかに強力な水晶体弾性向上作用を示す可能性が示唆された。
[眼刺激性試験]
(試料調製)
0.1%(w/v) ピルビン酸エチル、0.269%(w/v) リン酸二水素ナトリウム・一水和物(NaHPO・HO)、0.433%(w/v) リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、0.2%(w/v) ヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5%(w/v) NaClを含有する基剤(水溶液)を調製した。
(試験方法)
ウルソデオキシコール酸点眼液の点眼群
上記薬理試験と同様の方法により調製した1%(w/v)、3%(w/v)および10%(w/v)ウルソデオキシコール酸点眼液(懸濁液)、並びに、基剤をピペットで日本白色種ウサギの左眼に6時間間隔で2回、2週間反復点眼(50μL/眼/回)し、最終点眼後1時間の前眼部刺激症状観察(McDonald−Shadduck法)および水晶体の観察を実施した。なお、対側眼は無処置とした。
前眼部刺激症状観察は、以下の基準によりスコア化した。
+1:軽度、+2:中等度、+3:重度
(試験結果)
試験結果を表9に示す。2週間の反復点眼後、ウルソデオキシコール酸点眼液点眼眼では前眼部刺激症状観察および水晶体観察において、なんら異常所見は認められなかった。眼局所の病理組織学的検査においても異常所見は認められなかった。

(考察)
ウルソデオキシコール酸点眼液の安全性は、高いことが示された。
本発明の薬剤は老視等の眼疾患の治療または予防に有用である。

Claims (12)

  1. ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩を有効成分として含有する、老視の治療または予防剤。
  2. ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩を有効成分として含有する、水晶体の弾性の低下を伴う眼疾患の治療または予防剤。
  3. 該眼疾患が眼の調節力の低下を伴う眼疾患である、請求項2に記載の治療または予防剤。
  4. ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩を有効成分として含有する、眼の調節力の低下を伴う眼疾患の治療または予防剤。
  5. 該眼疾患が老視である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
  6. 眼投与される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
  7. 点眼剤または眼軟膏である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
  8. ウルソデオキシコール酸もしくはウルソデオキシコール酸のアミド結合体、もしくはそれらのエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩の含有量が0.00001〜10%(w/v)である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
  9. ウルソデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸メチルエステル、ウルソデオキシコール酸エチルエステル、ウルソデオキシコール酸n−プロピルエステル、ウルソデオキシコール酸イソプロピルエステル、ウルソデオキシコール酸n−ブチルエステル、ウルソデオキシコール酸イソブチルエステル、ウルソデオキシコール酸sec−ブチルエステル、ウルソデオキシコール酸tert−ブチルエステル、ウルソデオキシコール酸n−ペンチルエステル、ウルソデオキシコール酸n−ヘキシルエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩を含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
  10. ウルソデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸、グリコウルソデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸メチルエステル、ウルソデオキシコール酸エチルエステル、ウルソデオキシコール酸n−プロピルエステル、ウルソデオキシコール酸イソプロピルエステル、またはそれらの医薬的に許容される塩を含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
  11. ウルソデオキシコール酸またはそのナトリウム塩を含有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
  12. 水、ならびにピルビン酸エチル、リン酸水素ナトリウム一水和物、リン酸水素二ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、NaCl、およびその混合から選択される添加物をさらに含有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
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